JP7119777B2 - 段ボール用澱粉系接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ホルムアルデヒドフリーの段ボール用澱粉系接着剤及び段ボールシートに関する。
近年、段ボール箱を使用した物流の拡大が進み、青果物、鮮魚物、海産物、冷凍食品等の搬送にも段ボール箱が多用されている。これら用途に使われる段ボール箱は、内容物の箱詰め作業から搬送、積み置き貯蔵等の各場面において、内容物自体からの水分滲出や作業環境からの湿潤により、常に水気に曝される状況にあるため、段ボールを構成する原紙及び接着剤には、耐水性能が要求される。
段ボールの製造に使われる接着剤には、安価で安全性の高い天然物の澱粉が使用される。澱粉は耐水性に乏しく、澱粉接着剤で貼合した段ボールを水に浸すと、ライナーと中芯の接着部より容易に自然剥離を起こしてしまう。したがって、耐水性が求められる耐水段ボールの製造には、澱粉系接着剤に耐水性能を付与した接着剤が使われる。
段ボール用接着剤の耐水強度を向上させる技術としては、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂、ケトン-ホルムアルデヒド樹脂などの熱硬化性樹脂であるホルムアルデヒド系樹脂を添加して段ボール用澱粉接着剤に耐水性能を付与する方法が知られている。
しかし、近年シックハウス症候群に見るようにホルムアルデヒドが健康、環境に与える影響が大きな社会問題となっており、社会的に脱ホルムアルデヒド化が加速的に進んでいるのが現実である。段ボール用接着剤においてもこの傾向は例外ではなく、段ボール製造現場のホルムアルデヒドによる環境汚染や接着層から発生するホルムアルデヒドによる汚染などが危惧され、早急な対策が必要である。
特開平7-76677号公報
本発明は、ホルムアルデヒドフリーの耐水強度を有する段ボール用澱粉系接着剤及び段ボールシートを提供することを目的とする。
前記課題に鑑み研究を重ねた結果、本発明者は、従来の段ボール用澱粉系接着剤の製糊時にアルキルケテンダイマーを使用することで耐水性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の態様を包含する:
項1.澱粉及びアルキルケテンダイマーを含む、ホルムアルデヒドフリーの段ボール用澱粉系接着剤。
項2.アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸ヒドロキシエステル共重合体およびスチレン-ブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、項1に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
項3.エポキシ系樹脂をさらに含む、項1又は2に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
項4.澱粉の全固形分質量に対し、アルキルケテンダイマーをアルキルケテンダイマー固形分として0.25~10質量%含有する、項1~3のいずれか1項に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
項5.項1~4のいずれか1項に記載の段ボール用澱粉系接着剤を用いて、波形に成形された中芯紙の片面または両面に、ライナー紙を貼り合わせる工程を含む、段ボールシートの製造方法。
項6.波型に成形された中芯紙とライナー紙との間に項1~4いずれか1項に記載の段ボール用澱粉系接着剤が硬化した接着層を有する段ボールシート。
本発明によれば、ホルムアルデヒドフリーの耐水性に優れた段ボール用澱粉系接着剤が提供され、また耐水性に優れた段ボールシートを製造することができる。特に、10分間以上水に浸漬した場合の耐水強度、更には3時間という長時間水に浸漬した場合の耐水強度に優れた段ボールシートを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「澱粉系接着剤」とは、澱粉を主体とする接着剤であって、接着剤を加熱することで澱粉の持つ吸水、膨潤及び糊化の各物性を利用して接着機能を発現させ、接着剤として機能する接着剤を意味する。「段ボール用澱粉系接着剤」とは、波形に成形された中芯原紙とライナー原紙を貼り合わせるために用いられる澱粉系接着剤である。
本発明の澱粉系接着剤は、ホルムアルデヒドフリーであることを特徴とする。「ホルムアルデヒドフリー」とは、ホルムアルデヒドを実質的に含有しない程度をいう。
具体的には、澱粉系接着剤におけるホルムアルデヒドの含有量が9mg/m未満、好ましくは4mg/m未満、より好ましくは2mg/mであれば、ホルムアルデヒドフリーである(ホルムアルデヒドを実質的に含有しない)と本明細書では定義する。
澱粉系接着剤におけるホルムアルデヒドの含有量は、製造後の段ボールシートと、その段ボールシートを製造するために使用したライナー及び中芯とのホルムアルデヒドをそれぞれ水浴により抽出し、両者の差分を算出することにより測定することができる。
すなわち、まず、製造後の段ボールシートから、5.5g±0.5gとなるよう段ボールシートを切り出し、これに蒸留水50mlを加え、密栓し、40℃±2℃の水浴中で1時間抽出する。得られた抽出液中のホルムアルデヒド量を、ワコー純薬社製 ホルムアルデヒド-テストワコーを用いて測定し、1mの面積のホルムアルデヒド量に換算する。この値をAとする。次に、上記段ボールシートを製造した際に使用したものと同一のライナー原紙と中芯原紙とを、段ボールシート61.0cmに相当する量切り出し、上記同様にホルムアルデヒド量を測定し、1m分のホルムアルデヒド量に換算する。この値をBとする。そして、AからBを減算し、段ボール接着剤の段ボールシート1m分あたりのホルムアルデヒドの含有量として求めることができる。
段ボール用澱粉系接着剤における澱粉は、糊化していない生澱粉からなるメイン澱粉と、化工澱粉をアルカリと熱により完全糊化したキャリア澱粉とを含む。段ボール用澱粉系接着剤は、澱粉が水を主体とする水性媒体に分散した分散液である。
一般的な段ボール用澱粉系接着剤の構成の例として、水、メイン澱粉、キャリア澱粉、アルカリ、及び硼素化合物を含むものが挙げられる。
本発明に使用する澱粉は、従来段ボール用澱粉系接着剤に使われてきた澱粉が使用できる。例えば、コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉等、及びこれら澱粉を酸化、酸処理、エステル化、エーテル化した澱粉が使用できる。澱粉は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の接着剤において、倍水率は、通常1.9~4.5程度である。倍水率を1.9以上とすることで、メイン澱粉が糊化するために十分な水分が供給され良好な接着が得られる。また、倍水率を4.5以下とすることで、接着剤の固形分濃度を所定以上に維持し、良好な初期接着を達成することができる。本明細書において、「倍水率」とは、澱粉系接着剤における(全水量/全澱粉量)の質量比を意味する。
また、本発明の接着剤において、キャリア率は、好ましくは通常5~30質量%程度である。キャリア率を5%以上とすることで、良好な保水性、初期接着力を達成することができる。また、キャリア率を30%以下とすることは、段ボール用接着剤として適正な粘度及び保存安定性を得るという観点から好ましい。
本発明の好ましい態様の1つにおいて、接着剤はキャリア澱粉として、ハイアミロース澱粉を含む。本明細書において、「ハイアミロース澱粉」とはアミロース含有量50%以上の澱粉を意味する。ハイアミロース澱粉としては、ハイアミロースコーンスターチなどが例示される。
キャリア澱粉としてハイアミロース澱粉を含む場合、キャリア澱粉はハイアミロース澱粉1種のみから構成されても、他の澱粉(1種または2種以上)と組み合わせてもよい。初期接着率を向上させるとの観点から、キャリア澱粉はハイアミロース澱粉に加えて地下茎澱粉をさらに含めることができる。地下茎澱粉としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉が例示される。
キャリア澱粉がハイアミロース澱粉及び地下茎澱粉を含む場合、ハイアミロース澱粉及び地下茎澱粉の配合比率は通常30:70~99:1程度とすることができる。
本発明の接着剤は、アルカリをさらに含むことができる。本発明に使用するアルカリは、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム等、従来段ボール用澱粉系接着剤に使われてきたものが使用できる。アルカリは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。アルカリは好ましくは水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)である。本発明の接着剤の苛性率は、適性糊化温度を得るために製糊条件に合わせて決めればよい。一般的には、アルカリの添加量は苛性率として、通常0.5~1.5質量%の範囲が好ましい。本明細書において、「苛性率」とは、澱粉系接着剤における(苛性量/全糊液量)の質量比を意味する。
本発明の接着剤は、耐水化を付与するための成分(耐水化剤)として、アルキルケテンダイマー種を含む。アルキルケテンダイマーは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に使用するアルキルケテンダイマーは、製紙の抄紙工程におけるサイズ剤として使用される物を使用することができる。アルキルケテンダイマー(AKD)としては、炭素数10~30(好ましくは12~25)程度の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸あるいはこれらの混合物を二量化したものが挙げられる。また、アルキルケテンダイマー(AKD)としては、飽和脂肪酸アルキルケテンダイマー、不飽和脂肪酸アルキルケテンダイマーが例示される。
アルキルケテンダイマーの含有量は、澱粉の全固形分質量(全澱粉量)に対して、アルキルケテンダイマー固形分として0.25~10質量%程度、より好ましくは0.38~8.0質量%程度、さらに好ましくは1.5~7.0質量%程度とすることができる。
アルキルケテンダイマーの添加量が上述の下限以上であれば良好な耐水強度を得ることができる。また、上述の上限以下であれば冬場の乾燥時などに於いても、いわゆるバリツキといった過乾燥に起因するトラブルを防止することができる。
本発明の接着剤は、耐水化を付与するための成分(耐水化剤)をさらに含むことができる。耐水化剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
耐水化剤は、耐水化を付与できる成分として作用するものであれば特に制限なく使用することができる。耐水化剤の例としては、アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸ヒドロキシエステル共重合体等の耐水化を付与できるアクリル樹脂;スチレン-ブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。上記成分の含有量は、澱粉の全固形分質量に対して、樹脂固形分として通常0.4~20質量%、好ましくは1~10質量%とすることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
耐水化剤として、架橋剤として作用するエポキシ系樹脂を使用することもできる。エポキシ系樹脂としては、例えばポリアミドエピクロロヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物が使用できる。エポキシ系樹脂の含有量は、澱粉の全固形分質量に対して、樹脂固形分として通常0.2~20質量%、好ましくは0.7~10質量%とすることができる。
理論による拘束を望むものではないが、エポキシ系樹脂は澱粉を架橋することにより耐水化の効果が発揮されると考えられる。また、アクリル樹脂及び/またはスチレン-ブタジエンゴムと、エポキシ系樹脂とを併用する場合、エポキシ系樹脂が前述の澱粉の架橋に加えて、アクリル樹脂及び/またはスチレン-ブタジエンゴムをも架橋することにより耐水化の効果が発揮されると考えられる。
本発明のホルムアルデヒドを含有しない澱粉系接着剤は、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂、ケトン-ホルムアルデヒド樹脂などのホルムアルデヒド系樹脂を含有しないことが望ましい。ホルムアルデヒド系樹脂は、ホルムアルデヒドを含有している及び/又はホルムアルデヒドが生じるおそれがあるためである。
本発明の接着剤は、さらに硼素化合物を含むことができる。硼素化合物は、糊化澱粉を擬似的に架橋して初期接着力を発現させると考えられる。硼素化合物の含有量は、硼砂換算量として、澱粉の全固形分質量に対して、通常1.5質量%~3.3質量%程度、好ましくは1.6~3.3質量%程度、さらに好ましくは1.6~3.0質量%程度、特に好ましくは0.7~2.7質量%程度とすることができる。上記下限値以上とすることで、十分な初期接着力の向上が達成される。また、上記上限値以下とすることで、硼砂と澱粉の反応が進行しゲル化及び/または高粘度化が発生することを抑制できる。
本発明の接着剤は、さらに含水イノケイ酸塩鉱物を含むことができる。含水イノケイ酸塩鉱物としては、含水イノケイ酸マグネシウム、含水イノケイ酸アルミニウム・マグネシウム等が挙げられる。含水イノケイ酸塩鉱物は、含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物に含まれる。含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物としては、通称「セピオライト」、「アタパルジャイト」、「パリゴルスカイト」等が挙げられ、本発明においてこれらを使用することができる。
含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物の製造法には、乾式粉砕法と湿式粉砕法の2通りあり、本発明には、いずれの粉砕方法で製造した含水イノケイ酸塩鉱物を主成分とする粘土鉱物も使用できるが、粘土鉱物の微細繊維構造を解繊/分散させる能力が高く、含水イノケイ酸塩鉱物の機能を引き出すことができる点で、湿式粉砕法が好ましい。
本発明において、含水イノケイ酸塩鉱物の含有量は、澱粉の全固形分質量に対して通常0.1~15質量%程度、好ましくは1~10質量%程度である。含水イノケイ酸塩鉱物の含有量を前記下限値以上とすることで、含水イノケイ酸塩鉱物を含有する十分な効果が認められる。含水イノケイ酸塩鉱物の含有量を前記下限値以上とすることは、経済性の観点及び含水イノケイ酸塩鉱物の持つ特性の1つである揺変性が強く付与されず良好な接着剤の物性が達成されるとの観点から好ましい。
本発明の接着剤は、ワンタンクステインホール方式、ツータンクステインホール方式、プレミックス方式、ノーキャリア方式等で調製することができる。
ワンタンクキャリア方式は、一つのタンクに澱粉スラリーを調製しアルカリを加えて澱粉をアルカリ糊化した後、アルカリ糊液希釈のため水を加え、希釈されたアルカリ糊液にメイン澱粉(未糊化澱粉)を加え、さらに必要に応じて硼砂を加えて混合する製糊方式である。ワンタンクキャリア方式を採用する場合は、接着剤の仕上がり粘度、経時粘度の安定化の点から、処理温度は30~45℃であることが好ましく、また、必要に応じて含有するセピオライト等の含水イノケイ酸塩鉱物の繊維を解し、分散させる観点から、製糊時の撹拌の回転数は、好ましくは1000rpm以上、更に好ましくは1500~5000rpmである。1000rpm以上の回転数で撹拌可能な装置としては、例えばサーコ社製糊装置、三菱重工製糊装置MREX、柿田製作所製糊装置が挙げられる。
ワンタンクキャリア方式による好ましい調製法としては、例えば一つのタンクに30~45℃の温水を取り、ホモジナイザーを用いて3000~5000rpmで撹拌し、その中へ澱粉を加え、更に必要に応じて含水イノケイ酸塩鉱物を加え、分散溶解後アルカリを添加し10~15分間撹拌した後、30~45℃の温水を加え、引き続きメイン澱粉(未糊化澱粉)を加え、更に必要に応じて硼砂及び耐水化剤を加え、10~15分間撹拌して段ボール用澱粉系接着剤を製造する方法が挙げられる。
本発明の段ボールシートは、本発明の澱粉系接着剤を用いて製造されるものであり、波形に成形された中芯紙と、澱粉系接着剤によって前記中芯紙の片面または両面に貼合されたライナー紙とを有し、前記中芯紙及びライナー紙の貼合に、前述した本発明の段ボール用澱粉系接着剤が用いられていることを特徴とする。
このようにして製造される段ボールシートは、波型に成形された中芯紙とライナー紙との間に本発明の段ボール用澱粉系接着剤が硬化した接着層を有する段ボールシートである。なお、段ボールシートの製造工程において、本発明の段ボール用澱粉系接着剤の一部が中芯紙及び/またはライナー紙に吸収される場合もある。このような場合であっても、用いた本発明の段ボール用澱粉系接着剤の少なくとも一部が中芯紙とライナー紙との間で接着層を形成し中芯紙とライナー紙とを接着していれば、本発明の段ボールシートの態様に含まれる。
本発明の段ボールシートは、段ボールシートの製造で通常使用されるコルゲーターを用いて製造することができる。すなわち、例えば、糊ロール及び糊ロールに本発明の段ボール用澱粉系接着剤を付着させる手段を少なくとも有するコルゲーターを用い、波形に成形された中芯紙の頂縁と糊ロールとを当接させて頂縁に本発明の段ボール用澱粉系接着剤を塗布する工程と、中芯の、本発明の段ボール用澱粉系接着剤が塗布された片面または両面にライナー紙を貼り合わせる工程と、を含む段ボールシートの製造方法により製造することができる。例えば、本発明の澱粉系接着剤を用いて、グラビアロールを備えたコルゲーターにより段ボールシートを製造することができる。
段ボールシートの糊付け機は、アプリケータロールとドクターロールから構成される。アプリケータロール(糊付けロール)には、メタリングロール、梨地ロール、グラビアロールの各種類がある。メタリングロール、梨地ロールは、ロール表面が平滑な糊付けロールであり、グラビアロールは、ロール表面に凹み(セル)が多数設けられた糊付けロールである。糊バットに浸ったロールには、ロール表面に付着した接着剤が回転によりピックアップされ、ドクターロールによりロール表面に付着した余分な接着剤は掻き落される。表面が平滑なロールでは、粘度低下を起した接着剤はロールへのピックアップが十分に行われず、接着剤の塗布が不均一となり接着剤は斑に塗布されて、接着性能に影響を与える。一方、グラビアロールでは、ロール表面に刻まれた凹み(セル)に接着剤が入り込むため、粘度低下を起した接着剤でもピックアップが容易となり、均一な接着剤の塗布が可能となる。
本発明の段ボールシートは、中芯紙及びライナー紙の貼合に本発明の澱粉系接着剤を用いるものであれば特に制限はなく、片面段ボール、両面段ボール、複両面段ボール、複複両面段ボールのいずれも包含する。
本発明の段ボール用澱粉系接着剤を用いることで、本発明の段ボールシートは優れた耐水性を発揮することができる。耐水性は、例えば、段ボール用澱粉系接着剤を用いて貼り合わせた段ボールシートを所定時間(例えば、10分、3時間)イオン交換水に浸漬後にJIS Z 0402「段ボールの接着力試験方法」に規定する方法評価することができる。
本発明の好ましい態様においては、10分浸漬後に測定する耐水強度、3時間浸漬後に測定する耐水強度共に優れた耐水強度を得ることができる。
本発明の段ボール用澱粉系接着剤は、ろ紙に所定量塗工した際の撥水度が一定範囲であることが好ましい。具体的には、以下の方法で作成した試料に、JIS K 6768に規定されるぬれ試薬を、マイクロピペットを用いて、2.5cm~3.5cmの高さから10μl 滴下し、1秒以内に濡れ試薬の液滴が全部ろ紙に浸透するぬれ試薬のぬれ張力が25.4mN/m以上60mN/m以下、より好ましくは25.4mN/m以上50mN/m以下、更に好ましくは25.4mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。ぬれ張力が上記の下限以上であれば良好な耐水強度を得ることができる。また、上限以下であれば、冬場の乾燥時などに於いても、いわゆるバリツキといった過乾燥に起因するトラブルを防止することができる。
<試料の作成方法>
JIS P 3801に規定された標準ろ紙に、固形分2.5g/m~3.5g/mの塗工量となるようにバー塗工し、105℃の熱風乾燥機で30分間乾燥させ、23℃50%の雰囲気下で24時間調湿する。
実施例1
<キャリアパートの調製>
3Lのステンレスジョッキに水592gを取り、ウォーターバスを用いて35℃に加熱し、市販の段ボール用接着剤用コーンスターチ(王子コーンスターチ(株)製 OHP-C153)を63g加え、特殊機化工業(株)製の攪拌機ロボミックス(4500rpm)で分散させ、澱粉スラリーを調製した。撹拌しながらこの澱粉スラリーに25%濃度の苛性ソーダ溶液45gを投入し、15分間撹拌して、段ボール用接着剤のキャリア澱粉を製造した。
<段ボール接着剤の調製>
得られたキャリア澱粉を引き続きロボミックスで撹拌を続けつつ、さらに水を625g添加し、市販の段ボール接着剤用コーンスターチ(王子コーンスターチ(株)製 コーンスターチ)を438g添加した。そして、引き続き撹拌を続けながら、10水塩の硼砂を7.5g添加した。
以上のようにして、下表のとおりの段ボール用接着剤を製造した。
Figure 0007119777000001
<耐水化剤の添加>
更に、引き続き撹拌を続けながら耐水化剤として、アルキルケテンダイマー(王子コーンスターチ(株)製 NF-80)を表1の添加量となるように添加し、15分間撹拌した。
<実施例2~4、比較例1>
耐水化剤添加量を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様に段ボール用接着剤を製造した。
尚、0597C、0545はいずれもJSR社製のSBR樹脂エマルジョンであり、それぞれTgが30℃、-40℃である。また、ボンコート AC-501はDIC株式会社製スチレン・アクリルエマルジョンであり、Tgが20℃である。また、NF-30はエポキシ系樹脂(王子コーンスターチ(株)製)である。
<常態強度・耐水強度の測定>
得られた接着剤の耐水接着強度を以下のようにして測定した。50mm×85mmの大きさの耐水用片面段ボール(原紙構成:耐水K280/強化中芯200)に絶乾10g/m-片面塗布し、これを185℃に加熱したホットプレート上に60mm×85mmの大きさの耐水K280の耐水ライナー原紙を置くと同時に重ね、1kg/42.5cmの荷重を5秒間かけて、耐水接着強度測定サンプルを作成した。そのサンプルを温度23℃、相対湿度50%の状態に24時間放置した後、23℃のイオン交換水に10分浸漬し、JIS Z 0402「段ボールの接着力試験方法」に規定する方法で10分浸漬後の耐水強度を測定した。同じく3時間イオン交換水に浸漬し、JIS Z 0402に規定する方法で10分浸漬時の耐水強度を測定した。更に前記サンプルを水に浸漬しない場合の強度(常態強度)をJIS Z 0402に規定する方法で測定した。
得られた結果を表2に示す。
<ホルムアルデヒド量の測定>
耐水ライナーK200及び強化中芯Kを使用し、実施例1~4、および比較例の接着剤を用いて既知の方法でAフルート段ボールシートを製造した。接着剤の塗布量は、S/F側、D/B側ともに10g/mとした。この値をAとする。
その段ボールシートから、61.0cmの長方形となるように測定用サンプルを切り出し、細かく裁断して重量を測定した。重量はいずれも、5.5gであった。これに蒸留水50mlを加え、密栓し、40℃±2℃の水浴中で1時間抽出した。得られた抽出液中のホルムアルデヒド量を、和光純薬社製 ホルムアルデヒド-テストワコーを用いて測定し、1mの面積のホルムアルデヒド量に換算した。
次に、上記段ボールシートを製造した際に使用したものと同一のライナー原紙と中芯原紙を、段ボールシート61.0cmに相当する量切り出し、上気同様にホルムアルデヒド量を測定し、1m分のホルムアルデヒド量に換算した。この値をBとする。
AからBを減算し、段ボール接着剤の段ボールシート1m分あたりのホルムアルデヒド含有量とした。
また、表中の濃度は、各樹脂の固形分濃度であり、各薬品を3g~4g精秤し(この質量をAとする)、120℃にて恒量となるまで乾燥させた後、23℃及び湿度50%の雰囲気下で24時間調湿して質量を測定し(この質量をBとする)、下式より求めた。
B÷A×100
Figure 0007119777000002

Claims (4)

  1. 澱粉及びアルキルケテンダイマーを含む、ホルムアルデヒドフリーの段ボール用澱粉系接着剤であって、アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸ヒドロキシエステル共重合体、スチレン-ブタジエンゴム及びエポキシ系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、段ボール用澱粉系接着剤
  2. 澱粉の全固形分質量に対し、アルキルケテンダイマーをアルキルケテンダイマー固形分として0.25~10質量%含有する、請求項1に記載の段ボール用澱粉系接着剤。
  3. 請求項1又は2に記載の段ボール用澱粉系接着剤を用いて、波形に成形された中芯紙の片面または両面に、ライナー紙を貼り合わせる工程を含む、段ボールシートの製造方法。
  4. 波型に成形された中芯紙とライナー紙との間に請求項1又は2に記載の段ボール用澱粉系接着剤が硬化した接着層を有する段ボールシート。
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