JP2023053719A - インターフェロン-λ産生促進用組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Shigenori Suzuki
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Abstract

【課題】樹状細胞以外の細胞においても高いインターフェロン-λ産生促進効果を示す乳酸菌を含む組成物を提供する。【解決手段】エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を有効成分として含有する組成物を対象に投与することで、対象のインターフェロン-λの産生が促進される。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 〔メール送信による公開〕 送信日:令和2年10月5日 送信先:国立研究開発法人国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター
本発明は、乳酸菌を有効成分とする、インターフェロン-λ産生を促進する組成物及びその製造方法に関する。
免疫とは、体内で発生した癌細胞や体外から侵入した細菌やウイルスなどを常に監視し撃退する自己防衛システムのことをいう。免疫力を高める組成物や食品については、古くから研究が進められてきた。
インターフェロン-λ(IFN-λ)はIII型インターフェロンに属する生理活性物質(サイトカイン)の1種であり、IFN-λファミリーは、ヒトでは、IFN-λ1(IL-29)、IFN-λ2(IL-28A)、IFN-λ3(IL-28B)及びIFN-λ4の4つのタンパク質で構成される。これまでに樹状細胞、肝細胞、腸管上皮細胞、肺上皮細胞などによる産生が認められている。IFN-λは抗ウイルス作用等の自然免疫を賦活化する作用を有し、抗ウイルス活性、免疫賦活活性、ウイルス(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス等)感染の抑制作用、抗腫瘍増殖活性、抗腫瘍活性、抗癌活性などを示し得ることから、これらの活性を有する飲食品、治療剤、予防剤、改善剤、緩和剤などに利用することが期待されている(非特許文献1)。
IFN-λを体内に直接投与することのみならず、IFN-λの生体内での発現量や産生量を増やすこと、すなわち、IFN-λ産生を高める物質を体内に投与することにより、IFN-λの生理活性を生体内で引き起こすことが期待される。特許文献1では、ラクトコッカス・ラクティスJCM20101株及び同JCM5805株が、プラズマサイトイド樹状細胞のIFN-λ産生を高めることが報告されている。特許文献2では、テトラジェノコッカス・ハロフィラスKK221株が樹状細胞BDCA3DCのIFN-λ産生を高めることが報告されている。特許文献3では、合成二本鎖RNAであるpoly:ICで擬似感染させた腸管上皮細胞(HT-29細胞)において、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274株、M-16V株、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムBB536株、及びビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスM-63株がIFN-λ産生を高めることが報告されている。
国際公開第2012/091081号 国際公開第2017/175774号 特開2019-167327号
Lazear H.M. et al., Shared and distinct functions of type I and type III interferons. Immunity 50 (4): 907-923 (2019)
特許文献1及び2に記載の乳酸菌は、もともとIFN産生能の高い樹状細胞について、その産生能をさらに高める効果を有するものである。一方、特許文献3に記載の乳酸菌は、腸管上皮細胞のIFN-λ産生能を高めるものであるが、その効果は、予め免疫活性を高めた状態の細胞で確認されたものであった。そのため、樹状細胞以外の細胞において、他の免疫賦活化処理を要することなく、IFN-λ産生を顕著に促進する乳酸菌が望まれる。
本発明は、樹状細胞以外の細胞においても高いIFN-λ産生促進効果を示す乳酸菌を含む組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、樹状細胞以外の細胞においても高いIFN-λ産生促進効果を示す乳酸菌を含む組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、エンテロコッカス属細菌が、他の免疫賦活処理を要することなく、大腸上皮細胞のIFN-λ産生量を増加させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を有効成分として含有する、対象のインターフェロン-λの産生を高めるための組成物。
(2)前記エンテロコッカス属細菌が、エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株(受領番号 NITE AP-03535)である、(1)に記載の組成物。
(3)前記エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物が殺菌済みである、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)対象の抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現量を高める、(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)前記抗ウイルスタンパク質遺伝子が、Mxダイナミン様GTPアーゼ1(Mx1)遺伝子、2’-5’-オリゴアデニル酸合成酵素1(OAS1)遺伝子及びインターフェロン刺激遺伝子15(ISG15)遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子である、(4)に記載の組成物。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の組成物を含む、医薬組成物。
(7)(1)~(5)のいずれかに記載の組成物を含む、食品組成物。
(8)(1)~(5)のいずれかに記載の組成物を含む、外用組成物。
(9)エンテロコッカス属細菌を培養する工程、及びエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を得る工程、を含む、対象のインターフェロン-λの産生を高めるための組成物の製造方法。
(10)前記エンテロコッカス属細菌が、エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株(受領番号 NITE AP-03535)である、(9)に記載の製造方法。
本発明によると、樹状細胞以外の細胞においても高いIFN-λ産生促進効果を示す乳酸菌を含む組成物を提供することができる。また、本発明は、樹状細胞以外の細胞においても高いIFN-λ産生促進効果を示す乳酸菌を含む組成物の製造方法を提供することができる。
エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株培養物の添加量とWiDr細胞のIFN-λ1産生量との関係を示すグラフである。図中のエラーバーは標準誤差を示す。図中の「*」は、Steel法検定で、対照に対して有意差が認められた(p<0.05)ことを示す(n=6)。 エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株培養物の添加量とWiDr細胞のIFN-λ3産生量との関係を示すグラフである。図中のエラーバーは標準誤差を示す。図中の「*」は、Steel法検定で、対照に対して有意差が認められた(p<0.05)ことを示す(n=6)。 エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株培養物による処理時間とWiDr細胞のMx1遺伝子発現量との関係を示すグラフである。図中のエラーバーは標準誤差を示す。図中の「*」は、Steel法検定で、0時間に対して有意差が認められた(p<0.05)ことを示す(n=6)。 エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株培養物による処理時間とWiDr細胞のOAS1遺伝子発現量との関係を示すグラフである。図中のエラーバーは標準誤差を示す。図中の「*」は、Steel法検定で、0時間に対して有意差が認められた(p<0.05)ことを示す(n=6)。 エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株培養物による処理時間とWiDr細胞のISG15遺伝子発現量との関係を示すグラフである。図中のエラーバーは標準誤差を示す。図中の「*」は、Steel法検定で、0時間に対して有意差が認められた(p<0.05)ことを示す(n=6)。
1.組成物
本発明の組成物は、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を有効成分として含有する、対象のインターフェロン-λ(IFN-λ)の産生を高めるための組成物である。本発明の組成物は、対象に経口摂取等の手段により投与することで、対象におけるIFN-λの産生を促進することができる、という特徴を有する。
本発明者らは、乳酸菌の一種であるエンテロコッカス属細菌により、大腸癌細胞株であるWiDr細胞のIFN-λ産生が促進されることを見出した。WiDr細胞は、大腸上皮に由来する細胞であり、樹状細胞のようにもともとIFN産生量の高い細胞ではなく、通常の体細胞に近い細胞であるといえる。大腸上皮細胞は、経口投与した場合の医薬品・食品の成分と接触する機会が多く、この細胞においてIFN-λ産生が促進されることは、特に生体の免疫機能向上への寄与度が高いといえる。
本発明者らは、さらに、エンテロコッカス属細菌により、WiDr細胞における各種のIFN誘導性の抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現が促進されることを見出した。すなわち、エンテロコッカス属細菌が、大腸上皮細胞においてIFN-λ産生を促進するのみでなく、同細胞において実際に免疫防御機能を誘導することを確認した。
本明細書において「対象」とは、ヒト若しくは非ヒト動物、又はヒト若しくは非ヒト動物に由来する細胞を指す。ここでいう非ヒト動物としては、特に制限されるものではないが、例えば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などであり、好ましくは、ニワトリ、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコなどが挙げられる。本発明の組成物は、対象に投与されることで、その対象が産生するIFN-λの産生量を増加させることができることを特徴とする。
本発明の組成物によって産生量が高められるIFN-λは、IFN-λ1、IFN-λ2、IFN-λ3及びIFN-λ4のいずれであってもよいが、特に、IFN-λ1及び/又はIFN-λ3であることが好ましい。
本明細書において「IFN-λ1」は、配列番号1のアミノ酸配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。なお、配列番号1のアミノ酸配列は、Accession No.AAN86125の配列である。
本明細書において「IFN-λ2」は、配列番号2のアミノ酸配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。なお、配列番号2のアミノ酸配列は、Accession No.AAN86126の配列である。
本明細書において「IFN-λ3」は、配列番号3のアミノ酸配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。なお、配列番号3のアミノ酸配列は、Accession No.AAN86127の配列である。
本明細書において「IFN-λ4」は、配列番号4のアミノ酸配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。なお、配列番号4のアミノ酸配列は、Accession No.NP_001263183の配列である。
本明細書において「配列同一性」とは、2つのアミノ酸配列または塩基配列にギャップを導入して、またはギャップを導入しないで整列させた場合の、最適なアラインメントにおいて、オーバーラップする全アミノ酸配列(翻訳開始点となるアミノ酸を含む)または塩基配列(開始コドンを含む)に対する同一アミノ酸または塩基の割合(パーセンテージ)を意味し、式(1)によって算出する。配列同一性は、この分野で汎用されているアルゴリズムであるBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用いて容易に調べることができる。例えばBLASTは、NCBI(National Center for Biotechnology Information)やKEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)などのウェブサイトから誰でも利用可能であり、デフォルトのパラメーターを用いて容易に配列同一性を調べることができる。
配列同一性(%)=一致数(ギャップ同士は無視する)/短いほうの配列長(ギャップを含まない長さ)×100・・・式(1)
本発明の組成物は、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を含む。本明細書において、細菌の「培養物」とは、生菌体、死菌体、生菌体又は死菌体の破砕物、生菌体又は死菌体の凍結乾燥物、該凍結乾燥物の破砕物、培養液、培養液抽出物等を指す。培養物には、菌体の一部や菌体の処理物が含まれてもよく、また、菌体から抽出されたDNA、RNA等が含まれてもよい。細菌の「処理物」とは、菌体に、例えば、酵素処理、熱処理、抽出処理、塩析処理、エタノール沈殿処理、乾燥処理等を加えたものを指す。
本明細書において、「エンテロコッカス属細菌」とは、Enterococcus属細菌とも表示される、フィルミクテス門(Firmicutes)に属する乳酸菌を指す。グラム陽性球菌であり、双球菌又は短い連鎖球菌の状態で主に動物の腸管に存在する。
本発明の組成物に含まれるエンテロコッカス属細菌は、エンテロコッカス・キャセリフラバス(Enterococcus casseliflavus)であることが好ましい。特に、エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株であることが好ましい。エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株は、2021年9月10日付で、NITE AP-03535の受領番号で、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)で、ブダペスト条約に基づく国際寄託のために受領された細菌である。エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株は、伝統的な発酵食品である漬物から単離された細菌であり、食品として使用されてきた細菌である。特に経口摂取において、安全性の高い細菌であるといえる。
本発明の組成物において、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物は、生菌菌体を含んでいてもよいが、殺菌済み、すなわち菌体の生育・増殖が不可能な状態で組成物中に含まれることが好ましい。本発明の組成物において、有効成分であるエンテロコッカス属細菌、特にエンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株の培養物又は処理物は、生菌を含まなくても効果があることが確認されている。本発明の組成物は、殺菌済みとすることで、生菌を含む場合と比較して、医薬品、食品等として市場に流通させる際に、輸送・保存時の温度、時間等の管理が簡便になる、という利点を有する。
インターフェロン(IFN)は、I型、II型及びIII型の3種類に分類され、各型が特異的な免疫応答を誘導する。IFNを介したシグナル伝達によって、MHCクラスI及びII分子のアップレギュレーションが促進され、多くの下流シグナル伝達カスケードが活性化されることで、抗ウイルス機構、特に各種の抗ウイルスタンパク質の産生が生じることが知られる。IFN誘導性の抗ウイルスタンパク質としては、Mxダイナミンン様GTPアーゼ1(Mx1)、2’-5’-オリゴアデニル酸合成酵素1(OAS1)、インターフェロン刺激遺伝子15(ISG15)、ビペリン(Viperin)、プロテインキナーゼR(PKR)、インターフェロン調節因子7(IRF7)等を含む120種類以上が知られる。
本明細書において、「Mxダイナミン様GTPアーゼ1(Mx1)遺伝子」とは、配列番号5で示される塩基配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有する塩基配列を有する遺伝子を指す。Mx1は、細胞内で、インフルエンザ、パラインフルエンザ、麻疹、コクサッキー、B型肝炎等の幅広いウイルスに対して抗ウイルス活性を持つタンパク質として知られる。なお、配列番号5の塩基配列は、Accesion No.NG_027788の配列である。
本明細書において、「2’-5’-オリゴアデニル酸合成酵素1(OAS1)遺伝子」とは、配列番号6で示される塩基配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有する塩基配列を有する遺伝子を指す。OAS1は、不活性型RNase Lに結合して活性化させてmRNAやrRNAを分解し、ウイルスや細菌の増殖を抑制する。なお、配列番号6の塩基配列は、Accession No.NG_011530の配列である。
本明細書において、「インターフェロン刺激遺伝子15(ISG15)遺伝子」とは、配列番号7で示される塩基配列と60%以上、65%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上又は100%の配列同一性を有する塩基配列を有する遺伝子を指す。なお、配列番号7の塩基配列は、Accession No.NG_033033の配列である。
本発明の組成物は、対象の抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現量を高める効果を有することが好ましい。抗ウイルスタンパク質遺伝子としては、対象由来の抗ウイルス活性を有するタンパク質の遺伝子であれば特に限定されないが、特にIFN活性の有用な指標である、Mx1遺伝子、OAS1遺伝子及びISG15遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子であることが好ましい。
本発明の組成物の形態は、特に限定されず、水溶液、乾燥粉末、凍結乾燥品、凍結品等のいずれの形態としてもよいが、後述の組成物の用途によって、その形態は適宜選択され得る。
本発明の組成物は、対象に投与するための組成物である。投与形態は、対象に有効成分が取り込まれる形態であれば投与形態は特に限定されず、経口投与であっても非経口投与であってもよいが、後述の組成物の用途によって、その投与形態は適宜選択され得る。本発明の組成物は、対象に経口摂取等で投与した場合にも高い安全性を有する。一方、投与形態に関わらず、対象のIFN-λ産生を促進する効果を有し、IFNに関連して、対象において抗ウイルス効果、免疫賦活効果、抗感染症効果、抗B型肝炎効果、抗C型肝炎効果、抗腫瘍増殖効果、抗腫瘍効果、抗癌効果を有し得る。
2.組成物の用途
本発明の組成物の用途は、特に限定されるものではなく、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品、飼料などに配合される。ここでいう医薬品、医薬部外品、化粧品とは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に規定されるものをいう。以下、用途に応じて、本発明の組成物を含む「医薬組成物」、「食用組成物」及び「外用組成物」を分けて説明するが、これらは完全に分けられるものではなく、互いに重複し得るものである。
2-1 医薬組成物
本発明の医薬組成物は、「1.組成物」の項に記載の本発明の組成物を含むことを特徴とする。本明細書において「医薬組成物」とは、ヒト又は非ヒト動物の疾病の治療及び/又は予防を行うための組成物を指し、主に薬機法上の医薬品及び一部の医薬部外品がこれに含まれる。
本発明の医薬組成物は、有効成分として、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を含む。本発明の医薬組成物は、有効成分に加えて、必要に応じて製薬上許容される担体を含有してもよい。ここでいう「製薬上許容可能な担体」とは、製剤技術分野において通常使用する添加剤をいう。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤、滑沢剤等が挙げられる。
賦形剤としては、単糖、二糖類、シクロデキストリン及び多糖類のような糖(より具体的には、限定はしないが、グルコース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストリン、マルトデキストリン、デンプン及びセルロースを含む)、金属塩(例えば、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、クエン酸、酒石酸、グリシン、低、中、高分子量のポリエチレングリコール(PEG)、プルロニック、カオリン、ケイ酸、あるいはそれらの組み合わせが例として挙げられる。
結合剤としては、トウモロコシ、コムギ、コメ、若しくはジャガイモのデンプンを用いたデンプン糊、単シロップ、グルコース液、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セラック及び/又はポリビニルピロリドン等が例として挙げられる。
崩壊剤としては、前記デンプンや、乳糖、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、アルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド又はそれらの塩が例として挙げられる。
充填剤としては、前記糖及び/又はリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウム、若しくはリン酸水素カルシウム)が例として挙げられる。
乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが例として挙げられる。
流動添加調節剤及び滑沢剤としては、ケイ酸塩、タルク、ステアリン酸塩又はポリエチレングリコールが例として挙げられる。
このような担体は、主として前記剤形形成を容易にし、また剤形及び薬理効果を維持するために用いられるものであり、必要に応じて適宜使用すればよい。上記の添加剤の他、必要であれば矯味矯臭剤、可溶化剤、懸濁剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤、吸収促進剤、増量剤、付湿剤、保湿剤、吸着剤、崩壊抑制剤、コーティング剤、着色剤、保存剤、抗酸化剤、香料、風味剤、甘味剤、緩衝剤等を含むこともできる。
本発明の医薬組成物は、IFN-λ産生促進の効果を失わない範囲において、他の薬剤を含有することもできる。例えば、他の抗生物質を所定量含有していても良い。
本発明の医薬組成物の剤形は、有効成分であるエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物、及び他の付加的な有効成分を不活化させない形態であれば特に限定しない。例えば、液体、固体又は半固体のいずれであってもよい。具体的な剤形としては、経口投与として、糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠、チュアブル錠などの錠剤、トローチ剤、丸剤、散剤、ソフトカプセルを含むカプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、ドライシロップを含むシロップ剤、エリキシル剤などの液剤など、及び非経口投与形態として、静脈注射、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射などの注射剤、経皮投与、経鼻投与、経肺投与、経腸投与、口腔内投与、経粘膜投与などのための経皮吸収テープ、エアゾール剤、坐剤などが挙げられる。利便性、汎用性の観点から、経口投与形態が好ましい。
本発明の医薬組成物は、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を、IFN産生促進に効果的で、かつ、重篤な副作用が発生する可能性が極めて低い量で含むことが好ましい。エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物の投与量は、特に限定されないが、例えば、菌体細胞数に換算して1×10~1×1012細胞/個体/日、特に、1×10~1×1011細胞/個体/日となるように調整することができる。
本発明の医薬組成物の投与回数は、IFN産生促進効果が十分に得られ、かつ重篤な副作用が生じない限り、特に限定しないが、例えば、3日に1回~1日5回、特に1日1回~1日3回とすることが好ましい。本実施形態の医薬組成物の投与期間は、特に限定されないが、例えば、1~24週間、特に8~12週間とすることができる。
2-2 食用組成物
本発明の食用組成物は、「1.組成物」の項に記載の本発明の組成物を含むことを特徴とする。本明細書において「食用組成物」とは、ヒト又は非ヒト動物が栄養分として経口摂取するための組成物をいう。ヒトの摂取に適した食用組成物を飲食品、非ヒト動物の摂取に適した食用組成物を飼料とも称する。
本発明の食用組成物(飲食品、飼料)の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、加工食品、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品など)、サプリメント、病者向け食品(病院食、病人食、介護食など)、菓子、油脂類、乳製品、レトルト食品、レンジ食品、冷凍食品、調味料、健康補助食品、飲料、栄養ドリンクなどが挙げられる。
本発明の食用組成物(飲食品、飼料)の形状や性状は、特に限定されるものではなく、例えば、固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状などが挙げられる。特に、健康食品やサプリメントとして使用する場合は、継続的で簡便な摂取ができるように、顆粒、カプセル、錠剤、チュアブル剤、飲料パウダー、ドリンク剤、スムージー、ゼリー、グミ、アメ、ガムなどの形態にすることが好ましい。
本発明の食用組成物に含まれるエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物の量は、健康被害が生じる可能性が極めて低い量であれば特に限定されないが、例えば、菌体細胞数に換算して1×10~1×1012細胞/個体/日、特に、1×10~1×1011細胞/個体/日となるように調整することができる。
2-3 外用組成物
本発明の外用組成物は、「1.組成物」の項に記載の本発明の組成物を含むことを特徴とする。本明細書において「外用組成物」とは、ヒト又は非ヒト動物の皮膚、毛髪、爪等、体表面の疾患の治療及び/若しくは治療、又は体表面の健康若しくは美観の改善及び/若しくは維持のために使用され、体表面に貼付、塗擦、散布又はこれらに類似する方法で接触させるための組成物を指す。主に、薬機法上の医薬品・医薬部外品の一部及び化粧品がこれに含まれる。
本発明の外用組成物の形態は、体表面に適用できる形態であれば、特に限定されず、経皮吸収テープ、エアゾール剤、パッチ剤、ローション、ゲル、クリーム、スプレー、パック等のいずれの形態としてもよい。
本発明の外用組成物は、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物に加えて、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、充填剤、乳化剤、流動添加調節剤、滑沢剤等が挙げられる。各成分の詳細については、「2-1 医薬組成物」の項に記載した通りである。
本発明の外用組成物に含まれるエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物の量は、健康被害が生じる可能性が極めて低い量であれば特に限定されないが、例えば、菌体細胞数に換算して1×10~1×1012細胞/個体/日、特に、1×10~1×1011細胞/個体/日となるように調整することができる。
3.組成物の製造方法
本発明の製造方法は、対象のIFN-λの産生を高めるための組成物の製造方法であって、エンテロコッカス属細菌を培養する工程、及びエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を得る工程、を含む、ことを特徴とする。
本発明の製造方法は、IFN-λ産生及び抗ウイルスタンパク質遺伝子発現を高める作用を示すエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物が得られる限り、エンテロコッカス属細菌の培養条件、有効成分である培養物又は処理物の採取、処理方法は特に限定されない。
本発明の製造方法において、エンテロコッカス属細菌は、エンテロコッカス・キャセリフラバス(Enterococcus casseliflavus)であることが好ましい。特に、エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株であることが好ましい。
3-1 培養工程
本発明の製造方法は、エンテロコッカス属細菌を培養する工程を有する。培養工程の一例として、例えば、MRS培地にエンテロコッカス属細菌を植菌し、当該細菌の最適温度である30~37℃にて20~24時間培養して培養液を得る手段をとり得る。
3-2 加工工程
本発明の製造方法は、エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を得る工程を含む。より具体的には、培養工程で得られた培養液を加工して、組成物として使用可能な培養物又は処理物を得るための、加工工程を含む。
加工工程の一例として、以下の手法をとり得る。培養工程で得られた培養液から、菌体を集菌して、滅菌処理した水や生理食塩水などで洗浄する。得られた菌体を、熱殺菌処理後又は無処理の状態で乾燥処理に供して乾燥殺菌体粉末又は乾燥粉末を有効成分として得る。なお、有効成分は、粉末に限られず、水溶液、凍結品としてもよい。
加工工程における乾燥処理手段は、特に限定されないが、自然乾燥、風乾、凍結乾燥等の手段を用いることができる。殺菌処理手段も、特に限定さないが、例えば、熱殺菌、加圧殺菌、浸透圧殺菌等の手段を用いることができる。
本発明の製造方法により得られた組成物は、対象に経口摂取等により投与することで、対象のIFN-λ産生を促進することが可能である。また、IFNに関連して、対象において抗ウイルス効果、免疫賦活効果、抗感染症効果、抗B型肝炎効果、抗C型肝炎効果、抗腫瘍増殖効果、抗腫瘍効果、抗癌効果を有し得る。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1.エンテロコッカス属乳酸菌によるWiDr細胞のIFN-λ産生促進の評価試験]
[1-1]試験試料の調製
凍結保存されたエンテロコッカス属細菌(エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株)の菌液を、MRS液体培地(Thermo Fisher Scientific)に添加した後、30℃、24時間培養した。
24時間培養後の培養液を再度MRS液体培地に添加し、30℃、24時間さらに培養した。その後、50mL容遠沈管中のMRS液体培地40mLへ接種し、30℃で20~24時間静置培養した。その後、2,590×g、4℃、10分間遠心分離して上清を除去した。菌体に生理食塩水を加え、ボルテックス処理により懸濁した後、同様の条件にて遠心分離し上清を除去した。超純水を3mL加え、菌体をボルテックス処理により懸濁した。この懸濁液の全量を15mL容遠沈管に移し、100℃、30分間加熱殺菌し、流水で冷却した後、-80℃ディープフリーザーで一晩凍結させた。凍結した懸濁液の入った15mL容遠沈管の蓋をとり、121℃、15分滅菌したベンコットで遠沈管の口を覆った後、真空凍結乾燥機(AGC TECHNO GLASS、FREEZE-DRYER、SRG-40M)を用いて、6日間乾燥させた。乾燥が終了した殺菌体の入った15mL容遠沈管からベンコットを取り除き、マイクロスパーテルを用いて乾燥したサンプルを細かく粉砕した後、菌末10mgを1.5mLチューブに移した。ここに、10%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン・ストレプトマイシン100μg/mLを添加したDMEM(高グルコース)(Thermo Fisher Scientific)培地(以下、「完全培地」とも称する)を1mL加えてボルテックス処理により懸濁し、10mg/mL濃度の殺菌体懸濁液とした。殺菌体懸濁液を完全培地を用いて段階希釈して1、3、10、30μg/mL濃度の殺菌体懸濁液を調製し、試験試料とした。
[1-2]細胞培養試験
WiDr細胞(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 JCRB細胞バンク、No.JCRB0224)は、直径100mmディッシュ(AGC TECHNO GLASS)で37℃、5%COの環境下で維持した。培地は2-3日おきに1回交換した。継代培養は週に2回行った。培地を除去し、10mLのPBSで細胞を洗浄した後、0.25%(w/v)トリプシン-1mM EDTA溶液を2mL加え、37℃、5%COで3分間反応させ、細胞をシャーレ底面から剥離した。そこに完全培地を8mL加えて反応を停止させ、剥離した細胞を回収した。トリパンブルー染色法で細胞数を計測後、完全培地で生細胞数が1.1×10細胞/ディッシュになるように調製し、100mmディッシュに継代した。継代したWiDr細胞が80~90%コンフルエント状態になったことを確認した後、WiDr細胞を6ウェルプレート(AGC TECHNO GLASS)に1×10細胞/ウェルとなるよう播種し、37℃、5%CO環境下で培養した。培養開始から48時間後、培地を除去し、0.5mLのPBSを加えて細胞を洗浄した。PBSを除去した後、0.5mLのPBSを加えて細胞を再度洗浄した。PBSを除去し、各ウェルに各濃度の殺菌体懸濁液をそれぞれ1,000μL添加し、48時間反応させた。対照として、殺菌体を含まない完全培地を同様に添加し反応させた。反応後、細胞上清を1.5mLチューブに回収し、遠心分離(1,500×g、4℃、5分間)した。遠心後に上清を1.5mLチューブに回収し、-80℃で保管した。細胞上清中のIFN-λ1濃度及びIFN-λ3濃度を測定した。IFN-λ1濃度は、IL-29 Human ELISA Kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて、キット付属のプロトコルに準じて測定した。IFN-λ3濃度は、M. Sugiyama, et al., Hepatology Research, 42(11) pp. 1089-1099 (2012)に記載の測定方法に準じて、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)により測定した。
[1-3]結果
各殺菌体懸濁液を添加した際のWiDr細胞培養液中のIFN-λ1及びIFN-λ3の濃度を、それぞれ図1及び2に示す。殺菌体の添加により、WiDr細胞のIFN-λ1及びIFN-λ3の産生量が有意に増加することが確認された。
[実施例2.エンテロコッカス属乳酸菌により高まる抗ウイルスタンパク遺伝子発現量の評価試験]
[2-1]試験試料の調製
実施例1と同様の条件にて、10μg/mL濃度の殺菌体懸濁液を調製し、試験試料とした。
[2-2]細胞培養試験
WiDr細胞は、直径100mmディッシュ(AGC TECHNO GLASS)で37℃、5%COの環境下で維持した。培地は2-3日おきに1回交換し、継代培養は週に2回行った。培地を除去し、10mLのPBSで細胞を洗浄した後、0.25%(w/v)トリプシン-1mM EDTA溶液を2mL加え、37℃、5%COで3分間反応させ、細胞をシャーレ底面から剥離した。そこに完全培地を8mL加え反応を停止させ、剥離した細胞を回収した。トリパンブルー染色法で細胞数を計測後、完全培地で生細胞数が1.1×10細胞/ディッシュになるように100mmディッシュに継代した。継代したWiDr細胞が80~90%コンフルエント状態になったことを確認した後、WiDr細胞を35mmディッシュ(AGC TECHNO GLASS)に1×10細胞/ディッシュとなるように播種し、37℃、5%CO環境下で培養した。培養開始から48時間後、培地を除去し、0.5mLのPBSを加えて細胞を洗浄した。PBSを除去した後、もう1度0.5mLのPBSを加え、細胞を再度洗浄した。PBSを除去、各ウェルに10μg/mLの殺菌体懸濁液1,000μLを添加して、0、4、8、24、48時間反応させた。各反応後、培地を除去し、0.5mLのPBSを加えて細胞を洗浄した。PBSを除去した後、もう1度0.5mLのPBSを加え、細胞を再度洗浄した。上清を除去した35mmディッシュを-80℃で保存した。
[2-3]totalRNA抽出
TRIzol(商標)(Thermo Fisher Scientific)900μLを用いて各ウェルの細胞を剥がしてピペッティングして、細胞抽出液を1.5mLリングロックチューブに回収した。サンプルを氷上で静置し、180μLのクロロホルムを加え、ボルテックスで攪拌後、室温で3分以上静置した。12,000×g、4℃、15分間の条件で遠心分離を行い、上清250μLを1.5mLチューブに取り、200μLのイソプロパノールを加えてボルテックスで攪拌した。室温で10分間静置した後、12,000×g、4℃、10分間の条件で遠心分離を行った。上清を除去して、チューブを10分程度風乾させた。沈殿物に75%エタノールを加え、12,000×g、4℃、5分間、遠心分離を行い、上清を取り除いた。同様の作業を2回繰り返した。RNAを室温で乾燥させた後、RNase Free蒸留水30-50μLに溶解し、RNA抽出溶液を作製した。RNA抽出溶液の0.1倍量の3M酢酸ナトリウム水溶液と2.5倍量のエタノールを加え、軽く混和した後、-80℃で一晩静置した。12,000×g、4℃、10分間の条件で遠心分離を行った。上清を除去して、チューブを10分程度風乾させた。沈殿物に75%エタノールを加え、12,000×g、4℃、5分間、遠心分離を行った。上清を除き、RNAを室温で乾燥させた後、RNase Free蒸留水30μLに溶解し、RNA溶液を作製した。
[2-4]cDNA合成
Prime Script RT reagent Kit(タカラバイオ)を用い、使用説明書に準じて、RNAからcDNAへの逆転写反応を行った。具体的には、キット中の酵素ミックス、抽出したRNA溶液及び水をマイクロチューブに入れ、サーマルサイクラ―により37℃で15分、85℃で5秒加熱することで逆転写反応を行った。調製したcDNA溶液は-80℃で保管した。
[2-5]定量PCR
SYBR PremixExTaqII(タカラバイオ)を用い、7500 Fast Real-time PCR system(Applied biosystems)によるリアルタイムPCRにより各cDNA溶液中のMx1、OAS1、ISG15及びGAPDHの遺伝子量を測定した(mRNA量に相当)。96ウェルのPCR用プレートに、SYBR Premix Ex Taq II、PCRプライマー(フォワードプライマー(F)及びリバースプライマー(R))、各cDNAサンプル、RNase Free蒸留水を加え、PCR装置にセットしPCRを行った。PCRの温度条件は、初期変性(95℃30秒)の後、95℃5秒-60℃30秒の温度変化を40サイクル繰り返した。使用したプライマーの配列を表1に配列番号8~15として示す。各遺伝子の発現量は、内部標準遺伝子であるグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現量で補正した後、同条件の0時間反応時の遺伝子発現量を1とした相対値として解析した。
Figure 2023053719000001
[2-6]結果
殺菌体懸濁液を添加した際の、WiDr細胞のMx1、OAS1及びISG15の遺伝子発現量を、それぞれ図3、4及び5に示す。殺菌体懸濁液を添加することで、各種IFN誘導性の抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現が促進されることが確認された。

Claims (10)

  1. エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を有効成分として含有する、対象のインターフェロン-λの産生を高めるための組成物。
  2. 前記エンテロコッカス属細菌が、エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株(受領番号 NITE AP-03535)である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記エンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物が殺菌済みである、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 対象の抗ウイルスタンパク質遺伝子の発現量を高める、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記抗ウイルスタンパク質遺伝子が、Mxダイナミン様GTPアーゼ1(Mx1)遺伝子、2’-5’-オリゴアデニル酸合成酵素1(OAS1)遺伝子及びインターフェロン刺激遺伝子15(ISG15)遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子である、請求項4に記載の組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を含む、医薬組成物。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を含む、食用組成物。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を含む、外用組成物。
  9. エンテロコッカス属細菌を培養する工程、及びエンテロコッカス属細菌の培養物又は処理物を得る工程、を含む、対象のインターフェロン-λの産生を高めるための組成物の製造方法。
  10. 前記エンテロコッカス属細菌が、エンテロコッカス・キャセリフラバスKB1733株(受領番号 NITE AP-03535)である、請求項9に記載の製造方法。

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