JP2009254236A - 新規乳酸菌並びに新規乳酸菌を利用した飲食品及び免疫賦活剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、生体のIFN−γ産生増強作用を有する新規の乳酸菌であって、酸度及び酢酸濃度が低い飲食品を提供することができる乳酸菌を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明はラクトバチルス サケイ(Lactobacillus sakei)FERM P−21502菌株を提供する。本発明の乳酸菌は生体内のIFN−γ産生を増強する効果を有するため、これを含有する本発明の飲食品も、IFN−γ産生を増強する効果を有する。また、本発明の乳酸菌は、キムチから分離された菌種であるため、副作用の無い安全な菌種である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明はラクトバチルス サケイ(Lactobacillus sakei)FERM P−21502菌株を提供する。本発明の乳酸菌は生体内のIFN−γ産生を増強する効果を有するため、これを含有する本発明の飲食品も、IFN−γ産生を増強する効果を有する。また、本発明の乳酸菌は、キムチから分離された菌種であるため、副作用の無い安全な菌種である。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規乳酸菌並びにその乳酸菌を利用した飲食品及び免疫賦活剤に関し、更に詳しくは、免疫賦活作用の高い乳酸菌並びにその乳酸菌を利用した飲食品及び免疫賦活剤に関する。
インターフェロン(IFN)は、抗ウイルス活性を有する分子量約20,000の蛋白質の総称である。IFNにはα、β、γの3種の型が存在し、生物活性として、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用、免疫応答調節作用等を有することが知られている。なかでもIFN−γはマクロファージ、ナチュラルキラー細胞、細胞障害性T細胞などの免疫担当細胞の分化誘導・活性化に重要な役割を果たす。
現在、遺伝子組み換え型IFNや精製IFNがウイルス感染、ウイルス性肝炎、癌に対する治療薬等として使用されているが、IFNを生体内へ直接投与するような治療法では多様な副作用が生じる。
そのため、生体内でのIFN−γ産生を増強させることによって、ウイルス感染の防御や、癌等の改善・治療を図るための多くの物質や組成物が開発されている。
特許文献1には、エンテロコッカス属に属する微生物の菌体が、インターフェロン(IFN)の産生を増強させる作用を有することが開示されている。この特許文献1に記載されている菌種は、健常者の腸内およびサイレージから分離された乳酸菌の一種であるため、副作用の無い安全な菌種である。特許文献2にはラクトバチルス・ブレビスによるIFN-γ産生促進能をもつ菌体及び発酵産物が記載されており、特にアスパラガス処理培地において前記促進能が高まることが記載されている。
現在、遺伝子組み換え型IFNや精製IFNがウイルス感染、ウイルス性肝炎、癌に対する治療薬等として使用されているが、IFNを生体内へ直接投与するような治療法では多様な副作用が生じる。
そのため、生体内でのIFN−γ産生を増強させることによって、ウイルス感染の防御や、癌等の改善・治療を図るための多くの物質や組成物が開発されている。
特許文献1には、エンテロコッカス属に属する微生物の菌体が、インターフェロン(IFN)の産生を増強させる作用を有することが開示されている。この特許文献1に記載されている菌種は、健常者の腸内およびサイレージから分離された乳酸菌の一種であるため、副作用の無い安全な菌種である。特許文献2にはラクトバチルス・ブレビスによるIFN-γ産生促進能をもつ菌体及び発酵産物が記載されており、特にアスパラガス処理培地において前記促進能が高まることが記載されている。
しかしながら、特許文献1の菌体がIFN−γの産生を増強させる作用を有することが知られているが、未だ効果が不充分であった。また特許文献2の飲料は酸度、酢酸濃度が高い為、特有の酸味とフレーバーがあり飲みにくいという欠点があった。このため、IFN−γの産生を増強させる作用を有し、かつ酸度及び酢酸濃度が低く飲みやすい飲料を提供できる菌体の開発が望まれている。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、生体のIFN−γ産生増強作用を有する新規の乳酸菌であって、酸度及び酢酸濃度が低い飲食品を提供することができる乳酸菌を提供することを目的とする。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、生体のIFN−γ産生増強作用を有する新規の乳酸菌であって、酸度及び酢酸濃度が低い飲食品を提供することができる乳酸菌を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、特にサケイ(sakei)に分類される菌体又はその処理物がIFN−γの産生増強作用を有し、これを利用して得られる飲食品の酸度及び酢酸濃度が低いことを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明はラクトバチルス サケイ(Lactobacillus sakei)FERM P−21502菌株を提供する。また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有する飲食品を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造される飲食品を提供する。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有するIL−12産生能促進剤を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造されるIL−12産生能促進剤を提供する。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有するIFN−γ産生能促進剤を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造されるIFN−γ産生能促進剤を提供する。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有する免疫賦活剤を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造される免疫賦活剤を提供する。
本発明の乳酸菌は生体内のIFN−γ産生及びIL−12産生を増強する効果(免疫賦活効果)を有するため、これを含有する本発明の飲食品も、IFN−γ産生及びIL−12産生を増強する効果(免疫賦活効果)を有する。また、本発明の乳酸菌は、キムチから分離された菌種であるため、副作用の無い安全な菌種である。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有するIL−12産生能促進剤を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造されるIL−12産生能促進剤を提供する。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有するIFN−γ産生能促進剤を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造されるIFN−γ産生能促進剤を提供する。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有する免疫賦活剤を提供する。さらに、前記ラクトバチルス サケイが発酵して製造される免疫賦活剤を提供する。
本発明の乳酸菌は生体内のIFN−γ産生及びIL−12産生を増強する効果(免疫賦活効果)を有するため、これを含有する本発明の飲食品も、IFN−γ産生及びIL−12産生を増強する効果(免疫賦活効果)を有する。また、本発明の乳酸菌は、キムチから分離された菌種であるため、副作用の無い安全な菌種である。
本発明によれば、生体内のIFN−γ産生増強作用を有する新規の乳酸菌を提供し、更に、感染防御、アレルギー改善作用を有する飲食品を提供することができる。
本発明のラクトバチルス サケイFERM P−21502菌株の分離手段及び菌学的、生理学的性質を示す。
キムチ10gに生理食塩水90mlを加え混合し、更に生理食塩水で段階的に希釈して乳酸菌選択培地(5%馬脱繊維素血液添加BL寒天培地、1.5%寒天含有MRS培地、PES培地、M−E培地、Mma−LBS培地)に塗末し培養した。培養条件は嫌気条件下にて20℃〜37℃とした。菌の集落が形成されたら、別の同種の平板培地に画線塗布し同様に培養した。更に同じ操作を繰り返し、単一集落を形成する乳酸菌を分離した。
本発明のラクトバチルス サケイFERM P−21502菌株の16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号1に示す。既知微生物の塩基配列のデータベース上で、これらの16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列について相同性検索を行ったところ、受託番号がFERM P−21475である乳酸菌株は、既知のラクトバチルス サケイに属する微生物の塩基配列と99.6%の相同性を有していた。これにより、本発明の乳酸菌はラクトバチルス サケイに属する微生物と同定された。また、相同性が99.6%であり、完全に一致している既知微生物が検索されなかったことから、新規な乳酸菌であることが確認された。本発明のラクトバチルス サケイ菌株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、平成20年2月5日付で寄託された(受領番号:FERM P−21502)。
本発明の飲食品は前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含む。ここで、処理物には、培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、また菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分等が含まれる。
本発明の前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含む飲食品は、野菜、果実、野菜または果実の果汁、乳製品、豆乳、水等の原料を所定量調合したものに、前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有させることによって製造することができる。前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物は、好ましくは飲食品1gあたり104〜109個であり、より好ましくは飲食品1gあたり107〜109個である。また、本発明は前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される飲食品であってもよい。
前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される飲食品は、野菜、果実、野菜または果実の果汁、乳製品、豆乳などを発酵させて製造される。これらの原料は、単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、発酵前に混合してもよく、又は発酵後に混合してもよい。また、原料の一部を混合し、発酵させた後、残りの原料を混合することもできる。さらに、前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される飲食品に前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を添加してもよい。
発酵温度は、好ましくは20〜40℃であり、より好ましくは25〜37℃である。また、発酵時間は、好ましくは5〜120時間であり、より好ましくは12〜60時間である。
本発明において、飲食品は固形物(粉状、薄片状、塊状など)、半固形物(ゼリー状、水飴状など)又は液状物等のいずれであってもよい。液状物には清涼飲料水、アルコール類、果汁飲料、野菜汁飲料、乳飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、アルコール類等が挙げられる。
本発明の前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含む飲食品は、野菜、果実、野菜または果実の果汁、乳製品、豆乳、水等の原料を所定量調合したものに、前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有させることによって製造することができる。前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物は、好ましくは飲食品1gあたり104〜109個であり、より好ましくは飲食品1gあたり107〜109個である。また、本発明は前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される飲食品であってもよい。
前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される飲食品は、野菜、果実、野菜または果実の果汁、乳製品、豆乳などを発酵させて製造される。これらの原料は、単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、発酵前に混合してもよく、又は発酵後に混合してもよい。また、原料の一部を混合し、発酵させた後、残りの原料を混合することもできる。さらに、前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される飲食品に前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を添加してもよい。
発酵温度は、好ましくは20〜40℃であり、より好ましくは25〜37℃である。また、発酵時間は、好ましくは5〜120時間であり、より好ましくは12〜60時間である。
本発明において、飲食品は固形物(粉状、薄片状、塊状など)、半固形物(ゼリー状、水飴状など)又は液状物等のいずれであってもよい。液状物には清涼飲料水、アルコール類、果汁飲料、野菜汁飲料、乳飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、アルコール類等が挙げられる。
本発明で用いる野菜としては、特に限定されないが、人参、カボチャ、キャベツ、セロリ、ブロッコリー、ケール、トマト、ピーマン、アスパラガス、ホウレンソウ、カリフラワーなどを挙げることができる。特に、官能的に相性がよいため、人参、カボチャ、キャベツ、ケール、トマトが好ましく用いられる。これらは、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
また、本発明で用いる果実としては、特に限定されないが、オレンジ、みかん、グレープフルーツ、レモン、ポンカン、デコポン、リンゴ、ぶどう、メロン、キウイ、イチゴ、ブルーベリー、パイナップル、バナナ、マンゴー、洋ナシ、桃などを挙げることができる。特に、オレンジ、みかん、グレープフルーツ、レモン、リンゴ、洋ナシ、桃が好ましく用いられる。また、これらは、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。また、発酵を促進するため、発酵前にpH調整剤を添加することもある。
また、本発明で用いる果実としては、特に限定されないが、オレンジ、みかん、グレープフルーツ、レモン、ポンカン、デコポン、リンゴ、ぶどう、メロン、キウイ、イチゴ、ブルーベリー、パイナップル、バナナ、マンゴー、洋ナシ、桃などを挙げることができる。特に、オレンジ、みかん、グレープフルーツ、レモン、リンゴ、洋ナシ、桃が好ましく用いられる。また、これらは、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。また、発酵を促進するため、発酵前にpH調整剤を添加することもある。
また、本発明で用いる乳製品としては、特に限定されないが、牛乳、低脂肪乳、脱脂乳、濃縮乳、加工乳、脱脂粉乳、全粉乳、生クリーム、バター、乳蛋白濃縮物、ホエー、植物性クリームなどを挙げることができる。特に、牛乳、低脂肪乳、脱脂乳、濃縮乳、加工乳、脱脂粉乳、全粉乳、生クリームが好ましく用いられる。また、これらは、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
また、本発明の飲食品には、前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物が、充分なIFN−γ産生を増強させる効果を奏するために、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤、ビタミン類などの添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。例えば、甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、スクラロース、アセスルファムカリウム、水あめ等が挙げられる。酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。クエン酸もしくはリンゴ酸を飲食品中に0.1〜5g/L、好ましくは0.5〜2g/L含有するのがよい。酸化防止剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムが挙げられる。飲食品中に、0.005〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%含有するのがよい。
また、本発明の飲食品には、前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物が、充分なIFN−γ産生を増強させる効果を奏するために、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤、ビタミン類などの添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。例えば、甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、スクラロース、アセスルファムカリウム、水あめ等が挙げられる。酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。クエン酸もしくはリンゴ酸を飲食品中に0.1〜5g/L、好ましくは0.5〜2g/L含有するのがよい。酸化防止剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムが挙げられる。飲食品中に、0.005〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%含有するのがよい。
本発明のIL−12産生能促進剤、IFN−γ産生能促進剤及び免疫賦活剤を調製する際には、製剤化の常法が適宜使用することができ、前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物に賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、風味改善剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの常用される補助剤を加えて、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤などの形態で製剤化してもよい。製剤1gあたりの前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物の含有量は、104〜109個(菌数)であることが望ましい。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造されるIL−12産生能促進剤、IFN−γ産生能促進剤及び免疫賦活剤であってもよい。前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造されるIL−12産生能促進剤、IFN−γ産生能促進剤及び免疫賦活剤は、野菜、果実、野菜または果実の果汁、乳製品、豆乳などを発酵させて製造される。これらの原料は、単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、発酵前に混合してもよく、又は発酵後に混合してもよい。また、原料の一部を混合し、発酵させた後、残りの原料を混合することもできる。さらに、前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される発酵物に前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を添加してもよい。また、さらに賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、風味改善剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの常用される補助剤を加えて、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤などの形態で製剤化してもよい。
発酵温度は、好ましくは20〜40℃であり、より好ましくは25〜37℃である。また、発酵時間は、好ましくは5〜120時間であり、より好ましくは12〜60時間である。製剤1gあたりの前記発酵物の含有量は、10μg〜1g(乾燥重量)であることが望ましい。
また、本発明は前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造されるIL−12産生能促進剤、IFN−γ産生能促進剤及び免疫賦活剤であってもよい。前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造されるIL−12産生能促進剤、IFN−γ産生能促進剤及び免疫賦活剤は、野菜、果実、野菜または果実の果汁、乳製品、豆乳などを発酵させて製造される。これらの原料は、単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、発酵前に混合してもよく、又は発酵後に混合してもよい。また、原料の一部を混合し、発酵させた後、残りの原料を混合することもできる。さらに、前記ラクトバチルス サケイを発酵させて製造される発酵物に前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物を添加してもよい。また、さらに賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、風味改善剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの常用される補助剤を加えて、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤などの形態で製剤化してもよい。
発酵温度は、好ましくは20〜40℃であり、より好ましくは25〜37℃である。また、発酵時間は、好ましくは5〜120時間であり、より好ましくは12〜60時間である。製剤1gあたりの前記発酵物の含有量は、10μg〜1g(乾燥重量)であることが望ましい。
本発明で用いる前記ラクトバチルス サケイ又はその処理物又は前記発酵物は、安全性には問題ないため、これを経口投与する場合の投与量に制限はない。一般的には飲食品に使用される投与量に設定し、具体的には1日当たりの総投与量 10〜100mg(乾燥重量)/kg体重の量、好ましくは 100〜200mg(乾燥重量)/kg体重の量を1日に1〜数回に分けて経口投与する。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(発酵野菜汁の調製)
人参混濁濃縮汁(湘南香料株式会社製、商品名「キャロット混濁濃縮汁BX42」、Bx42、濃縮率7倍)を、水を用いてBx20になるように調製した。この調整液を、105℃で30分間処理した後、FERM P−20500、FERM P−20501及びFERM P−21502並びにその他の乳酸菌によりそれぞれ発酵させた。菌種名を表1に示す。この発酵は、乳酸菌培養用培地で培養したものをスターターとした。106〜108cells/mlとなるように接種した後、静置培養して(発酵温度は30℃、発酵時間は48時間)、発酵野菜汁を得た。
人参混濁濃縮汁(湘南香料株式会社製、商品名「キャロット混濁濃縮汁BX42」、Bx42、濃縮率7倍)を、水を用いてBx20になるように調製した。この調整液を、105℃で30分間処理した後、FERM P−20500、FERM P−20501及びFERM P−21502並びにその他の乳酸菌によりそれぞれ発酵させた。菌種名を表1に示す。この発酵は、乳酸菌培養用培地で培養したものをスターターとした。106〜108cells/mlとなるように接種した後、静置培養して(発酵温度は30℃、発酵時間は48時間)、発酵野菜汁を得た。
(乳酸菌発酵野菜汁の免疫賦活作用の検討)
6週齢の雄・Balb/cマウスを用いて検討した。上記「発酵野菜汁の調製」で調製した発酵野菜汁をそれぞれマウスに10mL/kgの用量で経口投与した。発酵野菜汁の投与期間は2回/日の頻度で1週間行った。投与終了後、免疫抑制処理として12時間の拘束ストレスをマウスに負荷した後、脾細胞のIFN−γ産生量をELISA法により測定した。結果を図1に示す。なお、未発酵野菜汁のみを投与した対照群を100%とした。また、図1中の相対IFN−γ産生量は、下記式(1)により計算した。
相対IFN−γ産生量=(各乳酸菌発酵野菜汁投与区のIFN−γ産生量)/(対照区のIFN−γ産生量)
対照群と比較し、FERM P−20500、FERM P−20501及びFERM P−21502により発酵させた発酵野菜汁を投与したマウスは、IFN−γ産生能が有意に増強されていることが確認できる。
6週齢の雄・Balb/cマウスを用いて検討した。上記「発酵野菜汁の調製」で調製した発酵野菜汁をそれぞれマウスに10mL/kgの用量で経口投与した。発酵野菜汁の投与期間は2回/日の頻度で1週間行った。投与終了後、免疫抑制処理として12時間の拘束ストレスをマウスに負荷した後、脾細胞のIFN−γ産生量をELISA法により測定した。結果を図1に示す。なお、未発酵野菜汁のみを投与した対照群を100%とした。また、図1中の相対IFN−γ産生量は、下記式(1)により計算した。
相対IFN−γ産生量=(各乳酸菌発酵野菜汁投与区のIFN−γ産生量)/(対照区のIFN−γ産生量)
対照群と比較し、FERM P−20500、FERM P−20501及びFERM P−21502により発酵させた発酵野菜汁を投与したマウスは、IFN−γ産生能が有意に増強されていることが確認できる。
(発酵野菜汁の酸度及び酢酸濃度)
上記「発酵野菜汁の調製」で調製した発酵野菜汁の酸度及び酢酸濃度を測定した結果を表2に示す。なお、酸度の測定は水酸化ナトリウムによる中和滴定法(電位差滴定)によった(使用機器:平沼産業社製 自動滴定装置COMTITE−450)。また、酢酸濃度の測定はHPLC法によった(使用機器:島津製作所社製 LC−10)。
上記「発酵野菜汁の調製」で調製した発酵野菜汁の酸度及び酢酸濃度を測定した結果を表2に示す。なお、酸度の測定は水酸化ナトリウムによる中和滴定法(電位差滴定)によった(使用機器:平沼産業社製 自動滴定装置COMTITE−450)。また、酢酸濃度の測定はHPLC法によった(使用機器:島津製作所社製 LC−10)。
上記発酵野菜汁を訓練されたパネリスト5人による官能評価に供した。結果を表3に示す。評点はいずれも大きい方が香り/酸味が強い/好みであること、評価が高いことを示す。
表1に示した通り、FERM P−20500、FERM P−20501及びFERM P−21502により発酵させた発酵野菜汁はいずれもIFN−γを有意に増強するが、FERM P−20500及びFERM P−20501によるものに比べ、FERM P−21502により発酵させた発酵野菜汁の酸度及び酢酸濃度は低く、これまでの課題であった飲みにくさを改善した飲料が得られた。
(乳酸菌死菌体が及ぼす免疫賦活性作用)
<乳酸菌死菌体の調製>
表4に示す各菌種を代表的培地としてMRS培地に接種し、20〜37℃で一夜培養(前培養)した。この前培養した溶液を波長660nmでの吸光度(OD660)が1.0となるように調製し、MRS培地に1/100(V/V)(菌数:106個/ml)の割合で接種した。20〜37℃で10時間以上培養(本培養)し、生菌数約107〜109個/mlの培養液を得た。得られた培養液を8,000rpm(約10,000×g)で20分間の遠心分離をして集菌し、これを蒸留水で2回洗浄して菌体を得た。この菌体を、用いた液体培地量の1/100量の蒸留水で懸濁し、110℃で10分間加熱して死菌体懸濁液を得た。死菌体懸濁液を凍結乾燥により乾燥処理し、死菌体菌末を得た。
<乳酸菌死菌体の調製>
表4に示す各菌種を代表的培地としてMRS培地に接種し、20〜37℃で一夜培養(前培養)した。この前培養した溶液を波長660nmでの吸光度(OD660)が1.0となるように調製し、MRS培地に1/100(V/V)(菌数:106個/ml)の割合で接種した。20〜37℃で10時間以上培養(本培養)し、生菌数約107〜109個/mlの培養液を得た。得られた培養液を8,000rpm(約10,000×g)で20分間の遠心分離をして集菌し、これを蒸留水で2回洗浄して菌体を得た。この菌体を、用いた液体培地量の1/100量の蒸留水で懸濁し、110℃で10分間加熱して死菌体懸濁液を得た。死菌体懸濁液を凍結乾燥により乾燥処理し、死菌体菌末を得た。
<マウス腹腔マクロファージからのIL−12産生能促進活性評価試験>
マウス(BALB/c、雄、11週齢)の腹腔内より細胞浮遊液を得た。細胞数を自動血球計測装置で測定した後、RPMI 1640培地で細胞数を1×106細胞数/ml濃度に調製し、96穴細胞培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。5%炭酸ガス培養器内で1時間培養後、浮遊細胞を除去した。最終濃度100μg/mlに調整した乳酸菌死菌体溶液をそれぞれ1穴当たり200μl加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で1日間培養した。培養後の培養上清のIL−12量をELISA法で測定した。(各乳酸菌添加区のIL−12産生量)/(全乳酸菌添加区の平均IL−12産生量)を相対IL−12産生能とした。結果を図2に示す。
マウス(BALB/c、雄、11週齢)の腹腔内より細胞浮遊液を得た。細胞数を自動血球計測装置で測定した後、RPMI 1640培地で細胞数を1×106細胞数/ml濃度に調製し、96穴細胞培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。5%炭酸ガス培養器内で1時間培養後、浮遊細胞を除去した。最終濃度100μg/mlに調整した乳酸菌死菌体溶液をそれぞれ1穴当たり200μl加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で1日間培養した。培養後の培養上清のIL−12量をELISA法で測定した。(各乳酸菌添加区のIL−12産生量)/(全乳酸菌添加区の平均IL−12産生量)を相対IL−12産生能とした。結果を図2に示す。
<マウス脾臓リンパ球のIFN-γ産生促進効果評価試験>
マウス(BALB/c、雄、11週齢)から無菌的に脾臓を摘出し、RPMI 1640培地中で脾臓を押し潰し、#200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を1×107細胞数/ml濃度にRPMI 1640培地で調製し、96穴細胞培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。さらに乳酸菌死菌体を200μg/mlの濃度でRPMI 1640培地に溶解した液をそれぞれ1穴当たり100μl加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で1日間培養した。培養後の培養上清のIFN−γ量をELISA法で測定した。(各乳酸菌添加区のIFN−γ産生量)/(全乳酸菌添加区の平均IFN−γ産生量)を相対IFN−γ産生能とした。結果を図3に示す。
マウス(BALB/c、雄、11週齢)から無菌的に脾臓を摘出し、RPMI 1640培地中で脾臓を押し潰し、#200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を1×107細胞数/ml濃度にRPMI 1640培地で調製し、96穴細胞培養プレートに1穴当たり100μlを播種した。さらに乳酸菌死菌体を200μg/mlの濃度でRPMI 1640培地に溶解した液をそれぞれ1穴当たり100μl加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で1日間培養した。培養後の培養上清のIFN−γ量をELISA法で測定した。(各乳酸菌添加区のIFN−γ産生量)/(全乳酸菌添加区の平均IFN−γ産生量)を相対IFN−γ産生能とした。結果を図3に示す。
Claims (9)
- ラクトバチルス サケイ(Lactobacillus sakei)FERM P−21502菌株。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有する飲食品。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイが発酵して製造される飲食品。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有するIL−12産生能促進剤。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイが発酵して製造されるIL−12産生能促進剤。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有するIFN−γ産生能促進剤。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイが発酵して製造されるIFN−γ産生能促進剤。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイ又はその処理物を含有する免疫賦活剤。
- 請求項1記載のラクトバチルス サケイが発酵して製造される免疫賦活剤。
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- 2008-04-11 JP JP2008103630A patent/JP2009254236A/ja active Pending
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