JP2023045921A - 高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品及びその製造方法 - Google Patents

高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高周波焼入れ時の溶融割れの抑制することを課題とする。【解決手段】高周波焼入れ用鋼であって、所定の化学組成からなり、下記式(1)~(3)を満たすことにより、溶融割れと被削性を改善できる。さらに、円相当径≧1.0μmの介在物で、式(4)を満たす適正融点酸化物≧0.15個/mm2、式(5)を満たす低融点酸化物≦0.15個/mm2、適正融点酸化物のうちCaS複合介在物≧50%であり円相当径の平均値dと標準偏差σが式(6)を満たすとよい。0.01≦Ca/Al≦0.12:(1)Ca-0.0008×Ln(S)≦0.00493:(2)Al+1091×S3-61.5×S2+1.59×S≦0.0567:(3)805≦10.4×A+1.4×B≦1004:(4)10.4×A+1.4×B≦404:(5)A:Al2O3の含有量(質量%)B:CaOの含有量(質量%)d+3σ≦20:(6)【選択図】なし

Description

本発明は、高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品及びその製造方法に関する。
自動車及び建設車両のクランクシャフト等に利用される機械構造用部品には、高い疲労強度が求められる。そこで、疲労強度の向上のために、機械構造用部品に対して表面硬化処理が施される場合がある。
種々の表面硬化処理のうち、高周波焼入れは、必要な部位のみ硬化させることができる。さらに、高周波焼入れは高温で加熱した後に冷却するため、軟窒化処理等の他の表面硬化処理と比較して、深い硬化層深さ及び高い疲労強度を得ることができる。そのため、機械構造用部品には、高周波焼入れが施される場合が多い。例えば、機械構造用部品の1種であるクランクシャフトの疲労強度を向上させるために、図1に示すフィレットR部1を高周波焼入れする技術が実用化されている。
近年、産業界から、機械構造用部品のさらなる疲労強度の向上が求められている。高周波焼入れを利用して硬化層深さを大きくするためには、高周波焼入れにおいて、高周波電力の出力を増加して加熱温度を高めればよい。しかしながら、高温で高周波焼入れ処理を実施する場合、機械構造用部品のエッジ部(エッジ部とは、例えば図1に示すようなクランクシャフトの場合、符号2で示される部分に相当)で、加熱温度が過剰に高くなりやすい。特に、高周波焼入れ時の昇温速度が速い場合、加熱温度が過剰に高くなりやすい。例えば、高周波焼入れにおける加熱温度が過剰に高くなり、1350℃以上となった場合、鋼材の表層又は内部の一部が溶融して割れが発生する場合がある。以下、このような割れを、本明細書では、「溶融割れ」という。溶融割れが生じた部品は実用に適さない。そのため、溶融割れの抑制が求められる。
高周波焼入れ焼戻しを施す機械構造用部品、つまり高周波焼入れ鋼部品の製造方法としては、例えば次の方法が挙げられる。即ち、初めに、最終製品の粗形状である粗部材を製造し、その後の加工によりさらに製品に近い形状の中間部材を製造する。製造された中間部材に対して、高周波焼入れ焼戻しを施して、素形材を得る。さらに、素形材に対して仕上げ加工(切削又は研削)を施し、高周波焼入れ鋼部品を得る。
通常、高周波焼入れ鋼部品には、優れた疲労強度が要求される。疲労強度を高める技術は、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、高周波焼入れ焼戻しを施して得た素形材に対して特定の条件で切削加工仕上げをすることで耐摩耗性及び曲げ疲労強度を高めることができるとされている。
しかし、高周波焼入れ焼戻しを施して得た素形材に対して切削加工を実施する場合には、高価なCBN工具を用いることが一般的であり、莫大な工具コストが発生する。即ち、高周波焼入れ焼戻しを施して得た素形材は、工具寿命を延長し、工具コストを低減することが喫緊の課題であり、素形材には優れた被削性が要求される。
従って、高周波焼入れ鋼部品の素材となる高周波焼入れ用鋼には、中間部材に高周波焼入れを行い、素形材を製造する際の溶融割れの抑制、高周波焼入れを実施して得た素形材に切削加工を行う際の被削性、及び、高周波焼入れ鋼部品とした場合の高い疲労強度が求められる。
機械構造用鋼材に関する技術は、例えば、特許文献2及び特許文献3に開示されている。
特許文献2に開示された機械構造用鋼は、Caを0.001~0.05%、Pb及びBiを単独又は複合して0.02~0.15%含有し、Bを0.005%以下に規制し、介在物をCaS-CaO、Pb、Bi系介在物とし、かつAl介在物を0.001%未満に抑えることにより、被削性を向上させる。この文献では、溶鋼中にCaを多量に連続的に添加し、溶存しているSをCaSに変化させる。また、Caによる還元反応により、Alをなくすか、又は、極めて少なくする。そのため、介在物はCaS-CaO系となり、かつ、微細に均一に分散する。その後、Pb、Biの1種又は2種を少量添加し、Pb又はBiの単独介在物を生成させたり、CaS-CaOの周辺に微細に析出させたりすることにより、被削性を向上させる。
特許文献3に開示された機械構造用鋼は、質量%で、C:0.05~0.8%、Si:0.01~2.5%、Mn:0.1~3.5%、S:0.01~0.2%、Al:0.001~0.02%、Ca:0.0005~0.02%、O:0.0005~0.01%、及び、N:0.001~0.04%に加えてTi:0.002~0.020%及びZr:0.002~0.040%の1種又は2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。この機械構造用鋼はCaO含有量が0.2~62重量%の酸化物系介在物と接して存在する1.0重量%以上のCaを含有する硫化物系介在物の占有面積が、視野面積3.5mm当たり2.0×10-4mm以上であり、MnS介在物が微細に分散していることにより、被削性と切屑破砕性を向上させる。
特開2017-082299号公報 特開昭57-19366号公報 特開2003-226934号公報
しかしながら、上述の特許文献2及び3では、少なくとも、高周波焼入れ時の溶融割れの抑制及び高周波焼入れを施して得た素形材に対して切削加工を行う際の被削性については検討されていない。
本発明は、高周波焼入れ時の溶融割れの抑制を課題とし、高周波焼入れ後の被削性や、高周波焼入れ鋼部品とした場合での疲労強度を維持した高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品とその製造方法を提供することを目的とする。
高周波焼入れ後の被削性を確保する観点から最も重要な指標である工具摩耗に着目し、切削試験後の工具観察を行ったところ、鋼中の介在物の存在状態を制御することが重要であることが分かった。即ち、切削中の工具と鋼材の切削界面では発熱により温度が上昇するため、鋼中の介在物は温度上昇の影響を受ける。特に、介在物中の酸化物の組成、具体的にはCaOとAl23の含有量を制御し、酸化物の融点を低融点化して最適化することで、切削時の温度上昇の際に酸化物がある程度軟質化して工具上に付着する。付着した酸化物は保護膜となるため工具摩耗を抑制する。さらに、この酸化物がCaSをある程度含む硫化物と複合した形態で鋼中に存在する場合、工具上に付着した際の保護膜作用が高まり、工具摩耗を抑制する効果が大きくなる。
しかしながら、低融点化した酸化物を含む介在物の存在状態とした鋼材では溶融割れが発生する場合がある。そこで溶融割れの原因を調査したところ、高周波加熱で鋼材が高温となった際、低融点化した酸化物を起点として溶融割れが発生することが分かった。即ち、溶融割れを抑制するためには、低融点の酸化物の存在密度を制限し、むしろ酸化物を高融点化するとよい。
以上のように、被削性の向上には介在物中の酸化物の低融点化が望ましいものの、溶融割れの抑制には逆に酸化物の高融点化が好ましい。被削性の向上と溶融割れの抑制を両立させる問題を解決するために発明者は、高周波焼入れ後の鋼材は硬いため、切削時の発熱が軟質鋼の場合よりも大きいことに着目して、種々の検討を行った。その結果、介在物中の酸化物は主にCaO-Al-SiOの3元系酸化物と見なすことができ、酸化物の融点は主にAl23とCaOの含有量で決まることから、Al23とCaOの含有量を制御することにより溶融割れを、そしてCaS含有量を制御することにより被削性を改善できることを見出した。
さらに、被削性や溶融割れに対しては、特に粒径1μm以上の介在物の影響が大きいことを知見し、粒径1μm以上の介在物中の酸化物をCaO-Al-SiOの3元系酸化物と見なし、当該酸化物の融点を示す式を見出し、その融点が適正温度範囲になるよう次の式(4)を満たせばよいことを見出した。
805≦10.4×A+1.4×B≦1004 :式(4)
A:酸化物中のAl23の含有量(質量%)
B:酸化物中のCaOの含有量(質量%)
つまり、被削性の向上と溶融割れの抑制を両立する融点を有するには、式(4)を満たす酸化物を含む介在物を多くすればよい。(以下、式(4)を満たすような組成を有する酸化物を「適正融点酸化物」と呼ぶ場合がある。)
一方、溶融割れを回避する観点から、酸化物の融点が低融点範囲であることを示す式(5)を満たすような組成を有する酸化物(以下、「低融点酸化物」と呼ぶ場合がある。)を含む介在物を制限すればよいことを見出した。
10.4×A+1.4×B≦404 :式(5)
さらに、Ca、Al、Sの含有量の関係を適正化することで、好ましい介在物になるよう制御できることを明らかにした。
加えて、疲労強度を向上させる手段についても検討を行った。疲労強度向上のためには、高周波焼入れ層のミクロ組織と焼戻し後の硬さ、及び非硬化層の硬さを制御するため、鋼中のC、Si、Mn、Vの含有量の関係式を見出した。
以上の知見に基づいて、本発明は完成し、その要旨とするところは以下のとおりである。
[1]
高周波焼入れ用鋼であって、化学組成が、質量%で、
C:0.31~0.60%、
Si:0.51~1.00%、
Mn:0.50~2.00%、
P:0.050%以下、
S:0.006~0.040%、
Cr:0~0.19%、
Ca:0.0006~0.0023%、
Al:0.021~0.050%、
V:0~0.099%、
N:0.0250%以下、及び、
O:0.0050%以下
を含有し、残部はFe及び不純物からなり、
下記式(1)~(3)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
0.01≦Ca/Al≦0.12 ・・・式(1)
Ca-0.0008×Ln(S)≦0.00493 ・・・式(2)
Al+1091×S-61.5×S+1.59×S≦0.0567 ・・・式(3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。
[2]
前記[1]に記載の高周波焼入れ用鋼であって、鋼中に存在する円相当径が1.0μm以上の酸化物を含む介在物で、式(4)を満たす酸化物を含む介在物の個数密度が0.15個/mm以上、式(5)を満たす酸化物を含む介在物の個数密度が0.15個/mm以下であり、式(4)を満たす酸化物を含む介在物のうち、CaS:10質量%以上を含む複合介在物の個数の割合が50%以上であり、当該複合介在物の円相当径の平均値dと標準偏差σが式(6)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
805≦10.4×A+1.4×B≦1004 ・・・式(4)
10.4×A+1.4×B≦404 ・・・式(5)
ただし、式(4)及び式(5)中のA及びBは以下のとおりである。
A:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のAl23の含有量(質量%)
B:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のCaOの含有量(質量%)
d+3σ≦20・・・式(6)
[3]
前記[1]又は[2]に記載の高周波焼入れ用鋼であって、下記式(7)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
60×C+5.5×Si+29Mn-29V≧58 ・・・式(7)
ここで、式(7)中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合は、その元素記号には「0」が代入される。
[4]
前記[1]~[3]のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼であって、下記式(8)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
244≦462×C+102×Si+7×Mn≦316 ・・・式(8)
ここで、式(8)中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合は、その元素記号には「0」が代入される。
[5]
前記[1]~[4]のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼であって、下記式(9)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
149×C+36×Si+70×Mn+76×V≧155 ・・・式(9)
ここで、式(9)中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合は、その元素記号には「0」が代入される。
[6]
前記[1]~[5]のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Ti:0.039%以下、
Nb:0.050%以下、及び、
Zr:0.0019%以下からなる群から選択される1種以上を含有する高周波焼入れ用鋼。
[7]
前記[1]~[6]のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼であって、
前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
Mo:0.095%以下、
Cu:0.50%以下、及び、
Ni:0.50%以下からなる群から選択される1種以上を含有する高周波焼入れ用鋼。
[8]
前記[1]~[7]のいずれか1項に記載の化学組成である鋼からなり、表面から200μm深さまでの領域における最大の圧縮残留応力が300MPa以上である部分を含むことを特徴とする高周波焼入れ鋼部品。
[9]
前記[8]に記載の高周波焼入れ鋼部品の製造方法であって、前記[1]~[7]のいずれか1項に記載の化学組成を有する高周波焼入れ用鋼を加工して部材を製造する工程、前記部材を高周波焼入れする工程、前記高周波焼入れした部材を焼戻しする工程、前記焼戻した部材に表面から厚み方向に0.05~0.40mmの深さを切削加工する切削加工工程を有することを特徴とする高周波焼入れ鋼部品の製造方法。
本発明の高周波焼入れ用鋼は、高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制でき、高周波焼入れ後の被削性に優れ、さらに高周波焼入れ鋼部品とした場合に優れた疲労強度を有する。
図1は、高周波焼入れ鋼部品であるクランクシャフトの一部を示す正面図である。 図2は、従来の高周波焼入れ用鋼を用いて得た、模擬粗部材から採取した試験片を、100℃/秒の昇温速度で1350℃以上まで加熱して10秒間保持し、その後、水冷した後のミクロ組織の模式図である。 図3は、本発明の一例である高周波焼入れ用鋼を用いて得た、模擬粗部材から採取した試験片を、100℃/秒の昇温速度で1350℃以上まで加熱して10秒間保持し、その後、水冷した後のミクロ組織の模式図である。 図4は、各模擬粗部材から採取した後に高周波焼入れ焼戻しを行い、切削加工を行った回転曲げ疲労試験片の模式図である。
以下、本実施形態の高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品、及びその製造方法について詳述する。化学組成の含有量に関する「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。また、元素記号を用いた式の式中の各元素記号は、特に断りのない限り、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、該当する元素を含んでいない場合は0(ゼロ)が代入される。
[化学組成]
本実施形態の高周波焼入れ用鋼の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.31%~0.60%
炭素(C)は、高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を高めるため、0.31%以上含有するとよい。一方、Cは鋼材の融点を低下させるため多量に含有すると、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなるので、C含有量は0.60%以下にするとよい。従って、C含有量は0.31以上0.60%以下である。C含有量の好ましい下限は0.32%、0.33%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、又は0.38%にするとよい。C含有量の好ましい上限は0.59%、0.58%、0.57%、0.56%、0.55%、0.54%、0.53%、0.52%、0.51%、0.50%、0.49%、又0.48%にするとよい。
Si:0.51%~1.00%
シリコン(Si)は、製鋼工程において鋼を脱酸する。Siはさらに固溶強化によりフェライトの強度を高めるため、高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を高めるため、0.51%以上含有するとよい。一方、SiはCとの親和力が弱く、加熱時において、Cは、Siが固溶している粒内よりも、粒界に偏析するため、粒界付近の融点を下げ、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなるので、Si含有量は1.00%以下にするとよい。従って、Si含有量は0.51以上1.00%以下である。Si含有量の好ましい下限は0.52%、0.54%、0.56%、0.58%、又は0.60%にするとよい。Si含有量の好ましい上限は0.95%、0.90%、0.85%、0.80%、0.75%、又は0.70%にするとよい。
Mn:0.50%~2.00%
マンガン(Mn)は、Cとの親和力が強いため、加熱時において、CはMnが固溶している粒内に留まる。そのため、Cの粒界への偏析が抑制され、高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制できるので、0.50%以上含有するとよい。一方、Mnは鋼材の融点を低下させ、多量に含有すると高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなるため、Mn含有量は2.00%以下にするとよい。従って、Mn含有量は0.50%以上2.00%以下である。Mn含有量の好ましい下限は0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、0.85%、0.90%、0.95%、0.98%、1,00%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、又は1.05%にするとよい。Mn含有量の好ましい上限は1.95%、1.80%、1.85%、1.75%、1.70%、1.65%、1.60%、1.55%、1.50%、1.45%、又は1.40%にするとよい。
P:0.050%以下
燐(P)は不純物であって、鋼材の融点を低下させるだけでなく粒界に偏析するため、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなるので、P含有量は0.050%以下にするとよい。P含有量はできるだけ少ない方が好ましい。P含有量の好ましい上限は0.040%、0.035%、0.030%、0.025%、0.020%、又は0.015%にするとよい。P含有量は望ましくは0%でもよいが、P含有量の過剰な低減は製造コストを高めるため、精錬の経済性を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0%超、0.001%、又は0.002%にしてもよい。
S:0.006%~0.040%
硫黄(S)は硫化物を生成し、被削性を高めるので、0.006%以上含有するとよい。一方、Sは多量に含有すると鋼材の融点を低下させ、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなるので、S含有量は0.040%以下にするとよい。従って、S含有量は0.006%以上0.040%以下である。S含有量の好ましい下限は0.008%、0.010%、0.013%、0.015%、又は0.020%にするとよい。S含有量の好ましい上限は0.035%、0.030%、0.025%、又は0.023%にしてもよい。
Cr:0%~0.19%
クロム(Cr)は、特に含有しなくてもよい。しかし、Mnと同様に、CrはCとの親和力が強いため、加熱時において、CはCrが固溶している粒内に留まる。そのため、Cの粒界への偏析が抑制され、高周波焼入れ時の溶融割れの発生を抑制できる。一方、Crは鋼材の融点を低下させ、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなるため、Cr含有量は0.19%以下にするとよい。従って、Cr含有量は0%以上0.19%以下である。上記効果を得るため、Crを含有するのであれば、Cr含有量は0.01%以上にするとよく、さらに好ましい下限は0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、又は0.10%にするとよい。Cr含有量の好ましい上限は0.18%、0.17%、0.16%、又は0.15%にするとよい。
Ca:0.0006%~0.0023%
カルシウム(Ca)は脱酸元素であり、軟質なCa酸化物を生成する。さらにCaSを生成し、Ca酸化物と複合介在物を形成する。高周波焼入れ後の切削加工において、この複合介在物が工具上に堆積することで保護膜を形成して工具摩耗を軽減するためCa含有量は0.0006%以上にするとよい。一方、Ca含有量が多いと、上記複合介在物が粗大化し、疲労特性を悪化させるので、Ca含有量は0.0023%以下にするとよい。従って、Ca含有量は0.0006%以上0.0023%以下である。Ca含有量の好ましい下限は、0.0007%、0.0008%、0.0009%、又は0.0010%にするとよい。Ca含有量の好ましい上限は0.0022%、0.0021%、0.0020%、0.0019%、0.0018%、0.0017%、0.0016%、又は0.0015%にするとよい。
Al:0.021%~0.050%
アルミニウム(Al)は脱酸元素で鋼中ではAlを形成する。Alを添加しすぎると酸素(O)を消費するため、特に高周波焼入れ後の被削性を向上するのに必要であるCa酸化物が生成しにくくなる場合があるので、Al含有量は0.050%以下にするとよい。一方、Al含有量が少なすぎると、融点が低い酸化物が多く生成し、溶融割れが発生しやすくなるのでAl含有量は0.021%以上にするとよい。従って、Al含有量は0.021%以上0.050%以下である。Al含有量の好ましい下限は0.022%、0.023%、0.024%、又は0.025%にするとよい。Al含有量の好ましい上限は0.048%、0.046%、0.044%、0.042%、0.040%、0.038%、0.037%、0.036%、0.035%、0.031%、又は0.028%にするとよい。
V:0%~0.099%
バナジウム(V)は、Vは熱間鍛造後の冷却過程でV析出物として鋼材中のフェライト中に析出し、フェライトの強度を高めるため、高周波焼入れ鋼部品の疲労強度が高まるが、特に含有しなくてもよい。一方、V含有量が多いと、V窒化物が増加することで粒内のフェライトが増加し、高周波焼入れ後もフェライトが残存して高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を低下させる場合があるので、V含有量は0.099%以下にするとよい。従って、V含有量は0%以上0.099%以下である。上記効果を得るため、Vを含有するのであれば0.001%以上にするとよく、好ましい下限は0.002%、0.003%、0.004%、0.005%、0.006%、0.007%、0.008%、0.009%、又は0.010%にするとよい。V含有量の好ましい上限は0.098%、0.095%、0.090%、0.080%、0.070%、0.060%、0.050%、0.040%、0.030%、又は0.020%にするとよい。
N:0.0250%以下
窒素(N)は、熱間鍛造後の冷却時において、窒化物及び/又は炭窒化物を形成して鋼材を析出強化し、高周波焼入れ後の疲労強度が高まるが、特に含有しなくてもよい。一方、N含有量が多いと、鋼材の熱間加工性が低下するので、N含有量は0.0250%以下含有してもよい。N含有量の過剰な低減は製造コストを高めるため、精錬の経済性を考慮すれば、N含有量の好ましい下限は0.0001%、0.0005%、0.0010%、0.0020%、0.0030%、0.0040%、又は0.0050%にするとよい。N含有量の好ましい上限は0.0230%、0.0200%、0.0180%、0.0150%、0.0120%、0.0100%、又は0.0080%にするとよい。
O:0.0050%以下
酸素(O)は不純物であり、少ないほど望ましい。O含有量が多いと、鋼中で酸化物を形成し、高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を低下するので、O含有量は0.0050%以下にするとよい。O含有量の好ましい上限は0.0030%、又は0.0020%にするとよい。O含有量の過剰な低減は製造コストを引き上げるため経済性を考慮すれば、O含有量の好ましい下限は0.0001%、0.003%、0.0005%、又は0.0008%にするとよい。
なお、Ca酸化物を生成するためには、0.25≦Ca/O≦5.0を満たすことが好ましい。ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
以上の元素の他、残部はFe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は、製造環境などから混入する成分等であって、意図的に含有されたものではない元素も含み、本実施形態による鋼材や高周波焼入れ鋼部品の特性を損なわない範囲であれば許容される。
本実施形態の鋼材はさらに、Feの一部に代えて、以下の元素を含有することができる。ただし、以下に例示される元素を含むことなく、本実施形態に係る部品はその課題を解決することができる。従って、以下に例示される元素は含まなくてもよく、その含有量の下限値は0%である。
Ti:0.039%以下
チタン(Ti)は、熱間鍛造工程の冷却過程において炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、高周波焼入れ鋼部品の靱性を高めることができる。この効果を得るためにTi含有量を好ましくは0.001%以上、0.002%以上、0.003%以上、0.005%以上、0.007%以上、0.009%以上、0.010%以上、0.011%以上、0.015%以上、0.020%以上、又は0.021%以上にしてもよい。一方、Ti含有量を多くしても上記効果が飽和して、製造コストが高くなるので、Ti含有量は0.039%以下にするとよい。Ti含有量のさらに好ましい上限は0.038%、0.035%、又は0.030%にするとよい。
Nb:0.050%以下
ニオブ(Nb)は、熱間鍛造工程の冷却過程において炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、高周波焼入れ鋼部品の靱性が高まる。Nbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。上記効果を得るためのNb含有量の好ましい下限は0.001%、0.002%、0.003%、0.005%、0.007%、0.010%、0.013%、0.016%、又は0.020%にするとよい。一方、Nb含有量を多くしても上記効果が飽和して、製造コストが高くなるので、Nb含有量は0.050%以下にするとよい。Nb含有量のさらに好ましい上限は0.040%、又は0.030%にするとよい。
Zr:0.0019%以下
ジルコニウム(Zr)は、熱間鍛造工程の冷却過程において、炭化物及び/又は炭窒化物を形成して、結晶粒を微細化する。これにより、高周波焼入れ鋼部品の靱性を高めることができる。Zrが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。上記効果を得るためのZr含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0003%、0.0005%、0.0007%、又は0.0008%にするとよい。一方、Zr含有量を多くしても上記効果が飽和して、製造コストが高くなるので、Zr含有量は0.0019%以下にするとよい。Zr含有量のさらに好ましい上限は0.0017%、又は0.0015%にするとよい。
Mo:0.095%以下
モリブデン(Mo)は高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。上記効果を得るためのMo含有量の好ましい下限は0.001%、0.005%、0.010%、0.015%、又は0.020%にするとよい。一方、Mo含有量が多くなると、熱間加工性が低下する場合があるので、Mo含有量は0.095%以下にするとよい。Mo含有量のさらに好ましい上限は0.090%、0.080%、0.070%、0.060%、又は0.050%にするとよい。
Cu:0.50%以下
銅(Cu)は高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を高める。Cuが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。上記効果を得るためのCu含有量の好ましい下限は0.01%、又は0.02%にするとよい。一方、Cu含有量が多くなると、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる場合があるので、Cu含有量は0.50%以下にするとよい。Cu含有量のさらに好ましい上限は0.40%、0.30%0.20%、0.17%、0.13%、0.10%、0.07%、又は0.05%にするとよい。
Ni:0.50%以下
ニッケル(Ni)は高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を高める。Niが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。上記効果を得るためのNi含有量の好ましい下限は0.01%、又は0.02%にするとよい。一方、Ni含有量が多くなると、高周波焼入れ時に溶融割れが発生しやすくなる場合があるので、Ni含有量は0.50%以下にするとよい。Ni含有量のさらに好ましい上限は0.40%、0.30%、0.20%、0.10%、又は0.05%にするとよい。
次に、介在物を制御するために、Ca、Al、Sの含有量の関係が式(1)~(3)を満たすようにする。
[0.01≦Ca/Al≦0.12]
上記化学組成はさらに、式(1)を満たす。
0.01≦Ca/Al≦0.12 :式(1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。ここで、以下Ca/AlをF1として説明する。
F1=Ca/Al
高周波焼入れ後の切削加工において、工具上に酸化物を含む介在物を堆積させることで保護膜を形成して工具摩耗を軽減するためには、融点がある程度低く、切削時に軟質となるCa酸化物を鋼中に生成させるとよい。一方、Alが存在するとAlを形成するため、適正融点酸化物を多く生成させるには、Al含有量に対して、十分なCaを含有するとよい。一方、Al含有量に対してCa含有量が多すぎると、低融点酸化物が多く生成して溶融割れが発生してしまう。そのため、酸化物の組成を適正に制御するためには、F1を0.01~0.12の範囲にするとよい。F1の好ましい下限は0.02、又は0.03にするとよい。F1の好ましい下限は0.11、0.10、又は0.09にするとよい。
[Ca-0.0008×Ln(S)≦0.00493]
上記化学組成はさらに、式(2)を満たす。
Ca-0.0008×Ln(S)≦0.00493 :式(2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。ここで、以下Ca-0.0008×Ln(S)をF2として説明する。なお、Lnは自然対数を意味する。
F2=Ca-0.0008×Ln(S)
高周波焼入れ後の切削加工において、工具上に酸化物を含む介在物を堆積させることで保護膜を形成して工具摩耗を軽減するためには、CaSを生成し、適正融点酸化物とCaSを複合介在物として所定の割合で生成させるとよい。S含有量に対し、Ca含有量が多すぎる場合、CaSが凝集して粗大化し、上記複合介在物が少なくなってしまう。さらに、複合介在物の大きさが大きくなり過ぎて疲労特性を悪化させる。このため、CaとSはF2が0.00493以下になるように含有するとよい。F2の上限は、好ましくは0.00483にするとよい。
[Al+1091×S-61.5×S+1.59×S≦0.0567]
上記化学組成ではさらに、式(3)を満たす。
Al+1091×S-61.5×S+1.59×S≦0.0567 :式(3)
ここで、式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。ここで、以下Al+1091×S-61.5×S+1.59×SをF3として説明する。
F3=Al+1091×S-61.5×S+1.59×S
上述のようにAlは脱酸元素であり、Alを形成するため、Alが高いとCa酸化物は生成しにくくなる。またSはCaと結合してCaSを生成するため、Sが高いとCa酸化物は生成しにくくなる。F3の値が大きい場合は、適正融点酸化物が十分な量で得られないことに加え、CaSが凝集して複合介在物の大きさが大きくなり過ぎて疲労特性を悪化させる。そのため、適正融点酸化物を十分な量で生成させるには、AlとSはF3が0.0567以下になるように含有するとよい。F3の好ましい上限は0.0517、又は0.0467にするとよい。
[適正融点酸化物を含む介在物の個数密度:0.15個/mm以上]
鋼中に含まれる酸化物は主にCaO-Al-SiOの3元系酸化物と見なすことができ、酸化物の融点は主にAl23とCaOの含有量で決まる。特に粒径1μm以上の介在物の影響が大きい。高周波焼入れ後の切削加工において、工具上に酸化物を含む介在物を堆積させることで保護膜を形成して工具摩耗を軽減するためには、粒径1μm以上の大きさの介在物が、ある程度軟化するとよい。そこで、粒径1μm以上の介在物であって、適正融点酸化物を含む介在物の個数密度が0.15個/mm以上であるとよい。
805≦10.4×A+1.4×B≦1004 :式(4)
ただし、式(4)中のA及びBは以下のとおりである。
A:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のAl23の含有量(質量%)
B:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のCaOの含有量(質量%)
ここで、以下10.4×A+1.4×BをF4として説明する。
F4=10.4×A+1.4×B
F4の値が大きい場合、酸化物の融点が高くなり、高周波焼入れ後の切削時の発熱でも軟化せずに、工具上の保護膜を形成しない。一方、F4の値が小さい場合、酸化物の融点が低くなり、高周波焼入れ後の切削時の発熱で軟化しすぎて、工具上に付着しにくい。発明者らは、F4の値が805~1004の範囲となる組成を有する適正融点酸化物を十分な個数(0.15個/mm以上)で存在させるとよいことを確認した。
この酸化物が多いほど、工具上に介在物が十分に堆積し、工具摩耗の抑制効果が得られる。適正融点酸化物を含む介在物の個数密度の好ましい下限は0.20個/mm、0.30個/mm、0.40個/mm、0.50個/mm、0.60個/mm、0.70個/mm、又は0.75個/mmにするとよい。
[低融点酸化物を含む介在物の個数密度:0.15個/mm以下]
一方、高周波加熱で鋼材が高温となった際、低融点の酸化物は加熱中に溶融することで、溶融割れの起点になる。そのため、酸化物の融点の指標となるF4が404以下となるような低融点酸化物の個数を制限すればよい。即ち、溶融割れを抑制するためには、粒径1μm以上の介在物であって、式(5)を満たす低融点酸化物を含む介在物の個数を0.15個/mm以下にするとよい。
10.4×A+1.4×B≦404 :式(5) ただし、式(5)中のA及びBは以下のとおりであり、式(4)と同じである。
A:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のAl23の含有量(質量%)
B:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のCaOの含有量(質量%)
即ち、F4≦404である。
低融点酸化物を含む介在物の個数密度の好ましい上限は、0.12、0.10個/mmであり、さらに好ましくは、0.08個/mm、0.06個/mm、0.05個/mm、0.04個/mm、0.03個/mm、0.02個/mm、又は0.01個/mmである。
[適正融点酸化物のうち、CaS:10質量%以上を含む複合介在物の個数の割合が50%以上]
適正融点酸化物は、切削時の温度上昇の際に酸化物がある程度軟質化して工具上に付着し、保護膜となるため工具摩耗を抑制する。さらに、この酸化物がCaSを含む硫化物と複合して存在する複合介在物の場合、工具上に付着した際の保護膜作用が高まり、工具摩耗を抑制する効果が大きくなる。特にCaSを10質量%以上含んだ複合介在物(以下、CaS複合介在物と呼ぶ場合がある。)の個数の割合が、適正融点酸化物を含む介在物のうち50%以上であるとよい。CaS複合介在物の個数割合は、好ましくは55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、又は80%以上であるとよい。
[CaS複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たす]
上述のように、高周波焼入れ後の被削性を高めるためには、CaS複合介在物が重要である。一方、これらのCaS複合介在物が粗大化すると高周波焼入れ鋼部品の疲労特性に悪影響を及ぼす。疲労特性を高めるためには、CaS複合介在物の大きさを式(6)を満たすように制限することが効果的である。
d+3σ≦20:式(6)
ただし、式(6)中のd及びσは以下のとおりである。
d:円相当径(μm)が1.0μm以上で、CaS複合介在物として存在するものの円相当径の平均値
σ:CaS複合介在物の円相当径の標準偏差(μm)
d+3σの値は、後述する介在物の測定法の観察視野の範囲内で観察されるCaS複合介在物の円相当径及び円相当径の標準偏差から導かれ、観察可能なCaS複合介在物のほとんどが、この値の円相当径より小さいことを示している。すなわち、d+3σの値が20(μm)以下であれば、鋼中に円相当径で20μmを超える粗大なCaS複合介在物は極めて少ないことを示している。式(6)を満足することにより、高周波焼入れ鋼部品の疲労強度を高めることができる。d+3σの値の好ましい上限は18μm、16μm、15μm、14μm、又は13μmにするとよい。
本明細書において酸化物とは、Al、CaO及びSiOから主になり、硫化物とはMnS及びCaSから主になるものである。そこで、後述する測定方法において、エネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X-ray spectrometry:EDX)により、次のように酸化物と硫化物の判定を行う。まず、EDXで検出されたMnの分析値をMnSに換算する。次に、Sの分析値からMnSに消費された分のSを差し引き、その残分のSをCaSに換算する。次にCaの分析値からCaSに消費された分のCaを差し引き、Caの残分をCaOに換算する。次に、Al、Siの分析値をそれぞれAlとSiOに換算する。このような判定から、各介在物のAl、CaO、SiO、MnS及びCaSの質量%での含有量を求めることができる。
式(4)と(5)のA、及びBを求めるには、Al、CaO、SiOの質量%の合計が100%になるように換算し、換算後のAl23の含有量(%)をA、換算後のCaOの含有量(%)をBとする。
適正融点酸化物を含む介在物のうちCaS:10質量%以上を含む複合介在物(CaS複合介在物)とは、適正融点酸化物を含む介在物のうち、Al、CaO、SiO、MnS及びCaSの質量%の合計を100%とした際に、CaSが10%以上となる介在物を指す。
介在物の個数密度は、次の方法で測定できる。鋼材(棒鋼)の縦断面(鋼材の中心軸に垂直な断面)のうち、R/2位置(鋼材の縦断面における、鋼材の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)からサンプルを採取する。採取したサンプルの表面のうち、上記鋼材の縦断面に相当する表面を観察面とする。観察面を鏡面研磨した後、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、500倍の倍率で、鏡面研磨後の観察面を観察する。観察面積は32mm以上であるとよい。
SEM観察により得られた反射電子像に基づいて、周知の画像解析式の粒子解析方法を用いて、個数密度を調べる。具体的には、鋼材の母相と介在物及び/又は析出物との界面に基づいて、画像解析を行い、介在物及び/又は析出物の円相当径を算出する。ここで、円相当径とは、各介在物及び/又は析出物の面積を、同じ面積を有する円に換算した場合の円の直径を意味する。観察対象とした介在物の円相当径を1.0μm以上としたのは、これより小さな介在物を制御しても被削性、溶融割れ、疲労強度に与える影響が少ないためである。
さらにSEMに備えられたEDXを用いて、介在物及び/又は析出物の成分を分析する。本実施形態において、加速電圧は20kVでEDXによる成分分析を行う。
上記の方法で介在物を特定し、特定された個数と測定面積とに基づいて、単位面積当たりの個数(個/mm)を求める。
高周波焼入れ鋼部品とした場合にさらに優れた疲労強度を得る必要がある場合には、C、Si、Mn、Vの含有量の関係を式(7)~(9)を満たすようにするとよい。
[60×C+5.5×Si+29Mn-29V≧58]
60×C+5.5×Si+29Mn-29V≧58 :式(7)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。ここで、60×C+5.5×Si+29Mn-29VをF7として以下説明する。
高周波焼入れは急速・短時間の加熱焼入れであるために、焼入れ後の硬さに、硬さむらや、硬さ不足が生じ易く、これらが生じた場合は高周波焼入れ鋼部品の疲労強度が低下する場合がある。高周波加熱は短時間であるため、初析フェライト領域が大きいと、高周波加熱時にフェライトのすべての部分にC原子が拡散できない。その結果、硬さの低いマルテンサイト組織が生成して硬さむらや硬さ不足の原因となる。本発明者らは、組織に及ぼすC、Si、MnとVの含有量と、焼入れ性に影響する初析フェライト面積率の関係を、種々の化学成分を有する鋼材のミクロ組織観察により調査した。その結果、F7を58以上にすることで、高周波焼入れ用鋼、及び高周波焼入れ前の中間部材の初析フェライト面積率を約25%以下にでき、高周波焼入れ鋼部品の硬さむらや硬さ不足を防ぎやすくなることが分かった。よって、F7は58以上とすることが好ましい。
[244≦462×C+102×Si+7×Mn≦316]
244≦462×C+102×Si+7×Mn≦316 :式(8)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。ここで、462×C+102×Si+7×MnをF8として以下説明する。
高周波焼入れ後に焼戻しが行われ、多くの場合焼戻し温度は150~200℃程度であるが、例えばクランクシャフトなどの部品では300℃程度の比較的高温で焼戻しされる場合がある。よって、高い疲労強度を得るためには焼戻し硬さが重要である。本発明者らは、高周波焼入れ後の300℃焼戻し硬さとC、Si、MnとVの含有量の関係を調査し、両者を定量的に関連付けた。その結果、F8を244以上とすることで、高周波焼入れ焼戻しを受けた高周波焼入れ鋼部品の表層部の硬さが約510HV以上となり、高い疲労強度が得られることが分かった。一方、F8が316を超えると高周波焼入れ鋼部品の表層部の硬さが約580HV以上となり、硬くなり過ぎるため、高周波焼入れ後の切削時の被削性を低下させる傾向があった。よって、F8は244~316とすることが好ましい。
[149×C+36×Si+70×Mn+76×V≧155]
149×C+36×Si+70×Mn+76×V≧155 :式(9)
ここで、式中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。ここで、149×C+36×Si+70×Mn+76×VをF9として以下説明する。
高周波焼入れ鋼部品の疲労強度は、高周波焼入れによって硬化される部位の硬さのみでなく、高周波焼入れで硬化されない内部の硬さによっても影響される。そこで疲労強度を向上させるには素材である鋼材の硬さを大きくする必要がある。そこで、本発明者らは素材である鋼材の硬さとC、Si、MnとVの含有量の関係を調査し、両者を定量的に関連付けた。その結果、F9を155以上にすることで、素材である鋼材の硬さ、つまり高周波焼入れ鋼部品の内部硬さが約210HV以上となり、高い疲労強度が得られる傾向があることが分かった。よってF9は155以上とすることが好ましい。
[製造方法]
本実施形態の鋼材の製造方法の一例は次のとおりである。本実施形態の高周波焼入れ用鋼の製造方法は、精錬工程と、鋳造工程と、熱間加工工程とを備える。熱間加工工程は任意の工程であり、実施しなくてもよい。以下、各工程について説明する。
[精錬工程]
精錬工程では、上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。精錬工程は既存の方法を適用することができる。例えば、次のとおりである。精錬工程は、一次精錬工程と二次精錬工程とを含む。一次精錬工程では、周知の方法で製造された溶銑に対して転炉での精錬を実施する。具体的には、溶銑に酸素を吹き付けて、炭素を除去する。二次精錬工程では、成分調整の合金元素を添加して、溶鋼の化学組成が、本実施形態の鋼材の化学組成を有する溶鋼を製造する。具体的には、一次精錬工程後、転炉から出鋼した溶鋼に対して脱酸処理を実施する。脱酸処理後、除滓処理を実施する。除滓処理後、二次精錬を実施する。二次精錬は例えば、複合精錬を実施する。例えば、初めにLF(Ladle Furnace)又はVAD(Vacuum Arc Degassing)を用いた精錬処理を実施する。さらに、RH(Ruhrstahl-Hausen)真空脱ガス処理を実施する。その後、合金成分の最終調整を行う。
[鋳造工程]
鋳造工程では、溶鋼を用いて、周知の鋳造方法により鋳片(スラブ又はブルーム)又は鋼塊(インゴット)を製造する。鋳造方法も既存の方法を適用することができ、例えば連続鋳造法や造塊法である。
[熱間加工工程]
熱間加工工程は、任意の工程である。つまり、熱間加工工程は実施してもよいし、実施しなくてもよい。熱間加工工程は、既存の熱間加工法を適用することができる。例えば次の通りである。熱間加工工程を実施する場合、熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片又は鋼塊に対して、熱間加工を実施して、高周波焼入れ用鋼(例えば棒鋼)を製造する。熱間加工工程は、例えば粗圧延工程のみであってもよいし、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを含んでもよい。粗圧延工程は、例えば分塊圧延である。仕上げ圧延工程は、例えば連続圧延機を用いた仕上げ圧延である。連続圧延機では、例えば一対の水平ロールを有する水平スタンドと、一対の垂直ロールを有する垂直スタンドとが交互に一列に配列される。粗圧延工程及び仕上げ圧延工程での加熱温度は、例えば1000~1300℃である。
上述の熱間加工工程では、熱間圧延により鋼材を製造する。しかしながら、熱間圧延に代えて、熱間鍛造により鋼材を製造してもよい。また、熱間圧延後に熱間鍛造を実施して鋼材を製造してもよい。熱間加工工程において熱間鍛造を実施する場合においても、加熱温度は1000~1300℃である。
以上の製造工程により、高周波焼入れ用鋼が製造される。なお、上述のとおり、本製造方法は熱間加工工程を省略してもよい。つまり、本実施形態の高周波焼入れ用鋼は、鋳造品(鋳片又はインゴット)であってもよい。
高周波焼入れ用鋼(素材である鋼材)の硬さは、高周波焼入れ用鋼を用いた高周波焼入れ鋼部品の内部硬さに相当する。ここでいう内部硬さとは、高周波焼入れにより硬化されていない領域の硬さを指す。内部硬さが低いと疲労強度を低下させる場合がある。そのため、高周波焼入れ用鋼の硬さは210HV以上が好ましい。なお、高周波焼入れにより硬化されていない領域とは、例えば、JIS0559鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法に記載の、全硬化層深さ以上の領域を指す。
[高周波焼入れ鋼部品の製造方法]
本実施形態の高周波焼入れ用鋼を用いた高周波焼入れ鋼部品の製造方法の一例は次のとおりである。上述の高周波焼入れ用鋼(鋳片、インゴット又は棒鋼)を熱間鍛造して、大気中で放冷し、高周波焼入れ鋼部品(例えばクランクシャフト)の粗部材を製造する。粗部材を機械加工することにより中間部材を得る。中間部材を高周波焼入れすることにより、素形材を得る。さらに、素形材に対して仕上げ加工(切削、研削)を施す。以上の工程により、高周波焼入れ鋼部品が製造される。
[高周波焼入れ処理]
高周波焼入れ処理は、初めに高周波加熱を施し、その後焼入れを施す。高周波加熱及び焼入れは次の条件で行うことが好ましい。
高周波加熱時の周波数:10~300kHz
周波数が低過ぎれば、加熱範囲が広がり、焼入れ時の歪みが大きくなる場合がある。一方、周波数が高過ぎれば、加熱範囲が表層のみに集中する。この場合、硬化層が薄くなり、疲労強度が低下する場合がある。従って、高周波加熱時の周波数は10~300kHzが好ましい。
高周波加熱時の加熱時間:0.5~60s
加熱時間とは、中間部材の加熱が開始されてから水冷が開始されるまでの時間である。高周波加熱時の加熱時間が長過ぎれば、オーステナイト粒が粗大化し、疲労強度が低下する場合がある。一方、加熱時間が短過ぎれば、セメンタイトが十分に固溶せず、フェライトが残存する場合がある。従って、高周波加熱時の加熱時間は0.5~60s(秒)が好ましい。
高周波加熱後の焼入れは水冷、あるいはポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどの高分子化合物系の水溶性焼入冷却材を使用して行う。液温は20~40℃の範囲とするのが好ましい。
[焼戻し]
高周波焼入れ後の焼戻しは、例えば150~350℃で0.5~3時間の条件で行うことが好ましい。この高周波焼入れ焼戻しによって、表面から0.05~0.40mmの深さにおける硬さを450~800HV程度とした素形材を得ることができる。
[切削加工]
高周波焼入れ焼戻し後に、前記素形材の表層を切削加工することで表面の硬さが450~800HV程度に調整された高周波焼入れ鋼部品を得ることができる。なお、切削加工は部品表層のすべてに施す必要はなく、寸法精度や強度が求められる部分に選択的に施すことができる。また、部位によっては必要に応じて研削を行っても良い。
切削加工は次の条件で行うことが好ましい。
切削工具のすくい角α:-30°<α≦-5°
切削工具のすくい角αが-5°よりも大きければ、切削加工時に工具が欠損しやすくなる場合がある。一方、すくい角が-30°以下であれば、切削抵抗が大きくなり過ぎ、工具摩耗が増大する場合がある。従って、すくい角αは、-30°<α≦-5°であることが好ましい。
工具のノーズR:0.4~1.2mm
工具のノーズRが小さすぎれば表面粗さが大きくなり過ぎ、部品の疲労強度が低下する場合がある。一方、工具のノーズRが大きすぎれば、切削抵抗が大きくなり、工具摩耗が増大する場合がある。従って、工具のノーズRは0.4~1.2mmであることが好ましい。
送り:0.1~0.4mm/rev(回転)
送りが小さすぎれば、切削能率が低下し製造効率が低下する場合がある。一方、送りが大きすぎれば、切削抵抗が大きくなり、工具摩耗が大きくなる場合がある。従って、送りは0.1~0.4mm/revであることが好ましい。
切削速度:50~500m/分
切削速度が大きすぎれば、切削温度が上昇し、工具摩耗が発生する場合がある。一方、切削速度が小さすぎれば、切削能率が低下し製造効率が低下することに加え、切削温度が低く、鋼中の介在物の付着による工具上の保護膜が生成しない場合がある。従って、切削速度は50~500m/分が好ましい。
切込み:0.05~0.40mm
切込みが小さすぎれば、切削能率が低下し製造効率が低下する場合がある。一方、切込みが大きすぎれば、切削抵抗が大きくなり、工具摩耗が大きくなる場合がある。従って、切込みは0.05~0.40mmが好ましく、その上限は0.20mmであるとさらに好ましい。
本実施形態で得られた高周波焼入れ鋼部品の断面において、表面から厚さ方向(円柱形の場合は表面から中心方向)に50μm深さ位置の硬さを表面硬さとする。優れた疲労強度を得るためには表面硬さを510HV以上にすることが好ましい。
高周波焼入れ後に切削加工を行うと、加工面に大きな圧縮残留応力が付与できる。よって、本実施形態で得られた高周波焼入れ鋼部品の表面には大きな圧縮残留応力が得られる。具体的には表面から200μm以下の深さ領域における最大の圧縮残留応力が300MPa以上である。これにより、高周波焼入れ鋼部品の疲労強度が高まる。圧縮残留応力は、例えば次の通り測定できる。部品の表面の2mm×2mmの範囲が測定できるようマスキングし、2mm×2mmの範囲に対して、理学電気製Automate(Cr管球使用)を用い、コリメータφ1mmとして2θ・sin2ψ法で圧縮残留応力を測定する。さらに電解研磨を施すことで深さ方向の圧縮残留応力を測定する。11.6%の塩化アンモニウムと、35.1%のグリセリンと、53.3%の水とを含有する電解液を準備する。この電解液を用いて、表面を+20Vの電圧で電解研磨を実施する。電解研磨の時間を変化させることで研磨量を調整する。続いて、電解研磨された底面の残留応力を測定する。表面から10μmピッチで200μm深さまで測定し、最大の圧縮残留応力を求める。
実施例により本実施形態の高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品及びその製造方法の効果をさらに具体的に説明する。以下の実施例での条件は、本実施形態の高周波焼入れ用鋼、高周波焼入れ鋼部品及びその製造方法の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。従って、本実施形態の鋼材はこの一条件例に限定されない。
表1の化学組成を有する鋼を溶製し、熱間鍛造して、直径55mmの鋼材(棒鋼)を製造した。表1中の「化学組成」欄の「-」は、対応する元素含有量が、実施形態に規定の有効数字(最小桁までの数値)において、0%であることを意味する。換言すれば、対応する元素含有量において、上述の実施形態で規定の有効数字(最小桁までの数値)での端数を四捨五入した場合に0%であることを意味する。
[適正融点酸化物、及び低融点酸化物の個数密度、適正融点酸化物のうちCaS:10%以上を含む複合介在物として存在する個数割合、及びd+σの値の測定]
製造された高周波焼入れ用鋼の縦断面のR/2位置(高周波焼入れ用鋼の縦断面における、高周波焼入れ用鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)からサンプルを採取した。採取したサンプルの表面のうち、上記高周波焼入れ用鋼の縦断面に相当する表面を観察面とした。観察面を鏡面研磨した後、SEMを用いて、上述の方法により介在物、酸化物の各測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[高周波焼入れ用鋼のフェライト面積率、及び硬さの測定]
上記の鏡面研磨した観察面をナイタール液でエッチングし、光学顕微鏡でミクロ組織を観察した。光学顕微鏡の400倍(約0.32mm×0.24mmの視野)で20視野撮影し、画像解析によりフェライト域の面積を測定し、全撮影面積に占めるフェライト域の面積の割合を算出することで求めた。硬さは上記の観察面を研磨したサンプルを用いてビッカース硬さを測定した。得られた結果を表2に示す。
[模擬粗部材の製造]
製造された高周波焼入れ用鋼に対して、高周波焼入れ用鋼から高周波焼入れ鋼部品を製造する工程における熱間鍛造を模擬する熱処理を実施した。具体的には、鋼材を1100℃に加熱して30分保持した。その後、鋼材を大気中で放冷し、模擬粗部材を製造した。模擬粗部材は、直径55mmの棒鋼であった。
[溶融割れ評価試験]
模擬粗部材の長手方向に対して垂直な断面のR/2位置から、幅10mm、厚さ3mm、長さ10mmの試験片を機械加工により作製した。試験片の長さ方向は、模擬粗部材の長手方向と平行であった。また、試験片の長手方向に平行な中心軸が、R/2位置と一致した。この試験片は模擬中間部材に相当する。
富士電波工機株式会社製の試験装置(商品名「熱サイクル試験装置」)を用いて、上記試験片に対して、高周波焼入れの模擬試験を実施した。具体的には、高周波コイルを用いて試験片を100℃/秒の昇温速度で1370℃まで加熱した。そして、試験片を1370℃で15秒間保持した。その後、試験片を水冷した。
水冷後の試験片の長手方向に対して垂直な断面(観察面)を機械研磨した。機械研磨後の観察面をピクラール試薬にて腐食した。腐食された観察面を400倍の光学顕微鏡で観察し、溶融割れの有無を目視で確認した。観察面は、250μm×400μmであった。
観察面の組織の粒界において、幅が5μm以上の明瞭に腐食されている領域(腐食領域)が観察される場合、溶融割れが発生したと判断した。粒界において幅が5μm以上の明瞭に腐食されている領域とは、例えば、図2中の溶融割れ10のような領域を意味する。一方、図3のように、粒界に腐食領域が観察されない場合、溶融割れが発生しなかったと判断した。溶融割れの評価結果を表2の「溶融割れ」欄に示す。溶融割れが発生した場合を「×」とし、溶融割れが発生しなかった場合を「〇」とした。
[模擬素形材の製造]
直径55mmの模擬粗部材から、機械加工を実施して、直径35mm長さ300mmの円柱形状の丸棒試験片を製造した。丸棒試験片に対して、周波数100kHz、加熱時間2.0秒の条件で高周波加熱を実施し、その後5~15%の希釈濃度の水溶性焼入冷却材を試験片に噴射することによって、前記高周波加熱後の試験片を焼入れし、その後、300℃で2時間の条件で焼戻しをすることにより、被削性試験片(模擬素形材)を作製した。
[被削性評価試験(高周波焼入れ後の旋削工具摩耗評価)]
被削性試験は、切削工具の逃げ面摩耗量(μm)によって評価した。高周波焼入れ焼戻し後の模擬素形材について、汎用旋盤による旋削加工を実施した。切削工具は、4NC-DNGA150412-BNC200:住友電工ハードメタル(株)製)の工具を利用した。切削条件は、切込み0.15mm、切削速度400m/分、送り0.2mm/revとし、乾式で行った。試験片1本あたり1パスの切削加工を行い、複数の試験片について切削加工を繰り返し、合計の切削時間が9分となるまで切削加工した後に、切削工具の逃げ面摩耗量を測定した。逃げ面摩耗量の測定には、マイクロスコープを用いた。工具逃げ面が測定物台と平行になるように工具を設置し、倍率200倍で摩耗部を観察した。この時の、摩耗部中心付近で摩耗が最大となる部分の切れ刃から摩耗先端部までの距離を測定し、逃げ面摩耗量とした。本測定において逃げ面摩耗量が100μm以下の場合が合格である。被削性評価の結果を表2の「工具摩耗」欄に示す。逃げ面摩耗量は90μm以下が好ましい。
[疲労強度評価試験(回転曲げ疲労試験)]
製造された模擬粗部材から、回転曲げ疲労試験片を採取した。回転曲げ疲労試験片の中心軸の方向が模擬粗部材の中心軸の方向と一致するように、回転曲げ疲労試験片を作製した。回転曲げ疲労試験片に対し、有効硬化層深さが1mm±0.2mmとなるように高周波焼入れを行い、その後300℃で90分間の焼戻しを行った。その後、4NC-VNGA160404-BNC200:住友電工ハードメタル(株)製)の工具を用い、回転曲げ疲労試験片の切欠部を切削速度が50m/分、切込みが0.1mmで、水溶性切削油を用いて切削加工を行った。図4は疲労試験に供した切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片の模式図である。切欠底での直径は6.72mmであるが、高周波焼入れ前の段階では切欠底での直径を6.92mmとして試験片を作製し、高周波焼入れ後の切削加工で切込み0.1mmで加工することで、図4の形状とした。
室温(23℃)、大気雰囲気にて、回転数3600rpmの両振りの条件で小野式回転曲げ疲労試験を行った。複数の試験片に対して加える応力を変えて疲労試験を実施し、10サイクル後に破断しなかった最も高い応力を疲労強度(MPa)とした。
疲労強度評価の結果を表2の「疲労強度」欄に示す。疲労強度が500MPa以上の場合は合格とした。疲労強度は530MPa以上が好ましく、560MPa以上がさらに好ましく、590MPa以上がさらに好ましい。
[高周波焼入れ鋼部品の硬さの測定]
上記の小野式回転曲げ疲労試験片で、疲労試験を行っていない試験片を用い、切欠底を試験片の長手方向に対して垂直な断面で切断して樹脂に埋め込み、表層を研磨した後、表層から50μmの位置で、ビッカース硬度を測定した。結果を表2に示す。
[高周波焼入れ鋼部品の残留応力の測定]
上記の小野式回転曲げ疲労試験片で、疲労試験を行っていない試験片を用い、切欠底において、表面から200μm以下の深さ領域における最大の圧縮残留応力を測定した。本実施例ではいずれの場合も最大の圧縮残留応力は300MPa以上であった。
[試験結果]
表2に試験結果を示す。表2を参照して、試験番号1~16の鋼材は、化学組成が適切であり、かつ、式(1)~(3)を満たした。そのため、各試験番号の鋼材は、CaOとAlの含有量が適正融点酸化物の個数密度が0.15個/mm以上、低融点酸化物の個数密度が0.15個/mm以下であり、適正融点酸化物のうち平均組成における質量%での含有量でCaS:10%以上を含む複合介在物として存在する個数の割合が50%以上であり、当該の複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たした。そのため、溶融割れが発生しなかった。さらに、工具摩耗量は100μm以下であり、被削性は高かった。さらに、回転曲げ疲労試験の疲労強度は500MPa以上であり、疲労強度は高かった。
一方、試験番号17では、C含有量が高過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号18では、C含有量が低過ぎた。そのため、疲労強度が低かった。
試験番号19では、Si含有量が高過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号20では、Si含有量が低過ぎた。そのため、疲労強度が低かった。
試験番号21では、Mn含有量が高過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号22では、Mn含有量が低過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号23では、P含有量が高過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号24では、S含有量が高過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。さらに、式(3)を満たさなかったため、CaOとAlの含有量が適正融点酸化物の個数密度が少なく、且つ、複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たさなかった。そのため、被削性、及び疲労強度が低かった。
試験番号25では、S含有量が低過ぎた。そのため、被削性が低かった。
試験番号26では、Cr含有量が高過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号27では、Ca含有量が高過ぎた。そのため、疲労強度が低かった。さらに、式(2)を満たさなかったため、適正融点酸化物のうち平均組成における質量%での含有量でCaS:10%以上を含む複合介在物として存在する個数の割合が少なく、且つ、複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たさなかった。そのため、被削性、及び疲労強度が低かった。
試験番号28では、Ca含有量が低過ぎた。そのため、被削性が低かった。
試験番号29では、Ca含有量が低過ぎた。そのため、被削性が低かった。さらに、式(1)を満たさなかった、具体的にはF1が低過ぎたため、CaOとAlの含有量が適正融点酸化物の個数密度が少なかった。そのため、被削性が低かった。
試験番号30では、Al含有量が高過ぎた。そのため、被削性が低かった。さらに、式(3)を満たさなかったため、CaOとAlの含有量が適正融点酸化物の個数密度が少なく、且つ、複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たさなかった。そのため、被削性、及び疲労強度が低かった。
試験番号31では、Al含有量が低過ぎた。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号32では、Al含有量が低過ぎた。さらに、式(1)を満たさなかった、具体的にはF1が高過ぎたため、CaOとAlの含有量が低融点酸化物の個数密度が多かった。そのため、溶融割れが発生した。
試験番号33では、V含有量が高過ぎた。そのため、疲労強度が低下した。
試験番号34では、O含有量が高過ぎた。そのため、疲労強度が低かった。
試験番号35では、式(2)を満たさなかったため、適正融点酸化物のうち平均組成における質量%での含有量でCaS:10%以上を含む複合介在物として存在する個数の割合が少なく、且つ、複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たさなかった。そのため、被削性、及び疲労強度が低かった。
試験番号36では、式(3)を満たさなかったため、CaOとAlの含有量が適正融点酸化物の個数密度が少なく、且つ、複合介在物の円相当径の平均値と標準偏差が式(6)を満たさなかった。そのため、被削性、及び疲労強度が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を
実施するための例示に過ぎない。従って、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。


























Figure 2023045921000001
Figure 2023045921000002
本発明は、高周波焼入れ用鋼を製造する鉄鋼産業及び高周波焼入れ鋼部品を製造し使用する自動車産業などの機械製造業などにおいて利用することができる。
1 フィレットR部
2 クランクシャフトのエッジ部
10 溶融割れ

Claims (9)

  1. 高周波焼入れ用鋼であって、化学組成が、質量%で、
    C:0.31~0.60%、
    Si:0.51~1.00%、
    Mn:0.50~2.00%、
    P:0.050%以下、
    S:0.006~0.040%、
    Cr:0~0.19%、
    Ca:0.0006~0.0023%、
    Al:0.021~0.050%、
    V:0~0.099%、
    N:0.0250%以下、及び、
    O:0.0050%以下
    を含有し、残部はFe及び不純物からなり、
    下記式(1)~(3)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
    0.01≦Ca/Al≦0.12 ・・・式(1)
    Ca-0.0008×Ln(S)≦0.00493 ・・・式(2)
    Al+1091×S-61.5×S+1.59×S≦0.0567 ・・・式(3)
    ここで、式中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。
  2. さらに、鋼中に存在する円相当径が1.0μm以上の酸化物を含む介在物で、式(4)を満たす酸化物を含む介在物の個数密度が0.15個/mm以上、式(5)を満たす酸化物を含む介在物の個数密度が0.15個/mm以下であり、式(4)を満たす酸化物を含む介在物のうち、CaS:10質量%以上を含む複合介在物の個数の割合が50%以上であり、当該複合介在物の円相当径の平均値dと標準偏差σが式(6)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入れ用鋼。
    805≦10.4×A+1.4×B≦1004 ・・・式(4)
    10.4×A+1.4×B≦404 ・・・式(5)
    ただし、式(4)及び式(5)中のA及びBは以下のとおりである。
    A:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のAl23の含有量(質量%)
    B:酸化物をCaO-Al23-SiOの3元系酸化物と見なしたとき、酸化物中のCaOの含有量(質量%)
    d+3σ≦20・・・式(6)
  3. さらに、下記式(7)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波焼入れ用鋼。
    60×C+5.5×Si+29Mn-29V≧58 ・・・式(7)
    ここで、式中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。
  4. さらに、下記式(8)を満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼。
    244≦462×C+102×Si+7×Mn≦316 ・・・式(8)
    ここで、式中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。
  5. さらに、下記式(9)を満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼。
    149×C+36×Si+70×Mn+76×V≧155 ・・・式(9)
    ここで、式中の各元素記号には、それぞれ対応する元素の含有量(質量%)が代入され、対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。
  6. 前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Ti:0.039%以下、
    Nb:0.050%以下、及び、
    Zr:0.0019%以下からなる群から選択される1種以上を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼。
  7. 前記化学組成はさらに、前記Feの一部に代えて、
    Mo:0.095%以下、
    Cu:0.50%以下、及び、
    Ni:0.50%以下からなる群から選択される1種以上を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載の高周波焼入れ用鋼。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の化学組成であり、表面から200μm深さまでの領域における最大の圧縮残留応力が300MPa以上であることを特徴とする高周波焼入れ鋼部品。
  9. 請求項8に記載の高周波焼入れ鋼部品の製造方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の化学組成を有する高周波焼入れ用鋼を加工して部材を製造する工程、前記部材を高周波焼入れする工程、前記高周波焼入れした部材を焼戻しする工程、前記焼戻した部材に表面から厚み方向に0.05~0.40mmの深さを切削加工する切削加工工程を有することを特徴とする高周波焼入れ鋼部品の製造方法。
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