JP7205066B2 - 高周波焼入れ用非調質鋼 - Google Patents
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Description
fn1=80C2+55C+13Si+4.8Mn+30P+30S+1.5Cr (1)
fn2=C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V (2)
FN1=C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V (1)
FN2=-2C-Si+2.33Mn+0.26Cr+V-1.5Cu-1.5Ni (2)
FN3=Ti-3.4N (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明者は、1250℃以上の加熱温度での高周波焼入れ時の、溶融割れのメカニズムについて調査した。その結果、本発明者は、次の新たな知見を得た。
FN2=-2C-Si+2.33Mn+0.26Cr+V-1.5Cu-1.5Ni (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
FN2が上記要件を満たすことを前提として、高周波焼入れ用非調質鋼の熱間鍛造後の疲労強度及び被削性について、本発明者はさらに検討した。上記のとおり、疲労強度及び被削性は、熱間鍛造後の鋼の硬さと相関関係を有する。具体的には、鋼の硬さが高ければ、疲労強度が高まる。しかしながら、被削性は低下する。したがって、鋼の硬さを適切な範囲とすることにより、疲労強度及び被削性を両立することができる。
FN1=C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
ボロン(B)は、鋼に固溶して鋼の焼入れ性を高める。その結果、高周波焼入れ後の鋼材の面疲労強度を高める。しかしながらBは、鋼材中にNが存在すると、B窒化物を形成する。この場合、Bの焼入れ性を高める効果が有効に得られない。Tiは、Nとの結合力がBよりも強い。そこで、NをTiに結合させれば、Bの焼入れ性を高める効果を有効に得ることができると考え、検討を行った。その結果、本発明者は、式(3)で定義されるFN3が0以上であれば、Bの焼入れ性を高める効果を有効に得ることができ、鋼材の面疲労強度を高められることを見出した。
FN3=Ti-3.4N (3)
FN1=C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V (1)
FN2=-2C-Si+2.33Mn+0.26Cr+V-1.5Cu-1.5Ni (2)
FN3=Ti-3.4N (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼の化学組成は、次の元素を含有する。
炭素(C)は、高周波焼入れされた部分の硬さ、及び、鋼の内部硬さを高める。C含有量が0.50%以下であれば、この効果が得られない。一方、C含有量が0.70%を超えれば、被削性が低下する。したがって、C含有量は0.50超~0.70%である。C含有量の好ましい下限は0.52%である。C含有量の好ましい上限は0.68%である。
シリコン(Si)は、鋼を脱酸する。Siはさらに、フェライトを強化して鋼の内部硬さを高める。Si含有量が0.01%未満であれば、この効果が得られない。一方、Siは粒界C濃度上昇元素である。そのため、Si含有量が0.30%以上であれば、高周波焼入れにおいて加熱温度が1250℃以上となる場合、溶融割れの発生を促進する。したがって、Si含有量は0.01~0.30%未満である。Si含有量の好ましい下限は0.02%である。Si含有量の好ましい上限は0.28%である。
マンガン(Mn)は、粒界C濃度低下元素であり、Cと結合してCを固定する。そのため、Mnは、高周波焼入れにおいて加熱温度が1250℃以上となっても、溶融割れを抑制できる。Mnはさらに、鋼を脱酸する。Mnはさらに、鋼の焼入れを高め、内部硬さを高める。Mn含有量が0.85%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が1.50%を超えれば、内部硬さが高くなりすぎて被削性が低下する。したがって、Mn含有量は0.85~1.50%である。Mn含有量の好ましい下限は0.87%であり、さらに好ましくは0.90%である。Mn含有量の好ましい上限は1.48%である。
燐(P)は不可避に含有される不純物である。つまり、P含有量は0%超である。P含有量が0.030%を超えれば、熱間鍛造性が低下する。さらに、高周波焼入れの加熱時において、溶融割れが発生しやすくなる。したがって、P含有量は0.030%以下である。P含有量の好ましい上限は0.025%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、脱酸処理は時間とコストが掛かるため、工業生産性を考慮すれば、P含有量の好ましい下限は0.003%である。
硫黄(S)は硫化物系介在物を生成し、鋼の被削性を高める。S含有量が0.010%以下であれば、この効果が得られない。一方、S含有量が0.095%を超えれば、高周波焼入れの加熱時において、溶融割れが発生しやすくなる。したがって、S含有量は0.010超~0.095%である。なお、Si、Cu、Ni、Mn、Cr、及びV含有量が適正に制御されない場合、S含有量が0.035%を超えれば、溶融割れが発生しやすくなる。しかしながら、本発明の実施の形態では、後述のとおり、FN2を0.90以上とすることにより、粒界C濃度上昇元素(Si、Cu、Ni)及び粒界C濃度低下元素(Mn、Cr、V)の含有量を適正に制御する。そのため、S含有量が0.095%以下であれば、溶融割れの発生を抑制できる。S含有量の好ましい下限は0.015%である。S含有量の好ましい上限は0.070%である。
クロム(Cr)は、粒界C濃度低下元素であり、Cと結合してCを固定する。そのため、Crは、高周波焼入れにおいて加熱温度が1250℃以上となっても、溶融割れの発生を抑制する。Crはさらに、鋼の焼入れ性及び内部硬さを高める。Cr含有量が0.05%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が0.30%を超えれば、内部硬さが高くなりすぎて鋼の被削性が低下する。したがって、Cr含有量は0.05~0.30%である。Cr含有量の好ましい下限は0.07%である。Cr含有量の好ましい上限は0.25%である。
窒素(N)は、本高周波焼入れ用非調質鋼を熱間鍛造した後の冷却過程において、窒化物及び炭窒化物を形成して組織を微細化し、鋼を析出強化する。N含有量が0.0040%未満であれば、これらの効果が得られない。一方、N含有量が0.0200%を超えれば、熱間鍛造性が低下する。したがって、N含有量は0.0040~0.0200%である。N含有量の好ましい下限は0.0060%である。N含有量の好ましい上限は0.0150%である。
ボロン(B)は鋼に固溶して鋼の焼入れ性を高める。その結果、高周波焼入れ後の鋼材の面疲労強度を高める。Bが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、B含有量が高すぎれば、上記効果が飽和する。したがって、B含有量は0.0005~0.0030%である。上記効果をさらに有効に得るためのB含有量の好ましい下限は0.0007%であり、さらに好ましくは0.0009%である。B含有量の好ましい上限は0.0028%であり、さらに好ましくは0.0026%である。
チタン(Ti)は、Nと結合することにより、BがNと結合するのを抑制し、固溶B量を確保する。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ti含有量が高すぎれば、粗大なTi窒化物、Ti炭化物が生成して、疲労時の破壊起点となり疲労強度が低下する場合がある。したがって、Ti含有量は0.002~0.080%である。上記効果をさらに有効に得るためのTi含有量の下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。Ti含有量の好ましい上限は0.078%である。
酸素(O)は不可避に含有される。つまり、O含有量は0%超である。Oは鋼中で酸化物を形成し、特に、粒界C濃度低下元素であるMnと結合してMn酸化物を形成する。この場合、γ粒界のC濃度の低下に寄与する固溶Mnが低下する。O含有量が0.0024%を超えれば、固溶Mnが過剰に低減して、高周波焼入れにおいて加熱温度が1250℃以上となる場合、溶融割れが発生する。O含有量が0.0024%を超えればさらに、粗大な酸化物により疲労強度を低下させる。したがって、O含有量は0.0024%以下である。O含有量の好ましい上限は0.0020%であり、さらに好ましくは0.0017%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、脱酸処理は時間とコストが掛かるため、工業生産性を考慮すれば、O含有量の好ましい下限は0.0003%である。
銅(Cu)は不可避に含有される不純物である。つまり、Cu含有量は0%超である。Cuは粒界C濃度上昇元素であり、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を促進する。具体的には、Cu含有量が0.05%を超えれば、溶融割れが促進される。したがって、Cu含有量は0.05%以下である。Cu含有量の好ましい上限は0.04%である。Cu含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、工業生産性を考慮すれば、Cu含有量の好ましい下限は0.005%である。
ニッケル(Ni)は不可避に含有される不純物である。つまり、Ni含有量は0%超である。Niは粒界C濃度上昇元素であり、高周波焼入れ時における溶融割れの発生を促進する。具体的には、Ni含有量が0.05%を超えれば、溶融割れが促進される。したがって、Ni含有量は0.05%以下である。Ni含有量の好ましい上限は0.04%である。Ni含有量はなるべく低い方が好ましい。ただし、工業生産性を考慮すれば、Ni含有量の好ましい下限は0.005%である。
上記化学組成ではさらに、式(1)で定義されたFN1が0.65~1.10である。
FN1=C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V (1)
ここで、式(1)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成ではさらに、式(2)で定義されたFN2が0.90以上である。
FN2=-2C-Si+2.33Mn+0.26Cr+V-1.5Cu-1.5Ni (2)
ここで、式(2)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記化学組成ではさらに、式(3)で定義されたFN3が0以上である。
FN3=Ti-3.4N (3)
ここで、式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明の実施の形態による高周波焼入れ用非調質鋼ではさらに、鋼中において、20.0質量%以上の酸素を含有する酸化物の個数に対する、20.0質量%以上の酸素及び10.0質量%以上のMnを含有するMn酸化物の個数の割合(Mn酸化物個数比NR=Mn酸化物の個数/酸化物の個数×100)が、10.0%以下である。
本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼はさらに、Feの一部に代えて、V、Al、Nb、Pb、Ca、及び、Moからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
バナジウム(V)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Vは、本高周波焼入れ用非調質鋼を熱間鍛造した後の冷却過程において、V炭窒化物としてフェライト中に析出する。V炭窒化物はフェライトの硬さを高め、その結果、内部硬さが高まる。V含有量が0.050%以上であれば、内部硬さが高くなり、被削性が低下する。そのため、V含有量は0~0.050%未満である。一方、Vは、Cと結合してCを固定することにより、粒界C濃度を低下させる。その効果を得るためのV含有量の好ましい下限は0.010%である。V含有量の好ましい上限は0.045%である。なお、本明細書において、V含有量が0.003%以下の場合、Vは不純物(積極添加ではない)と解釈する。
アルミニウム(Al)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Alは鋼を脱酸する。Al含有量が少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Al含有量が0.040%を超えれば、粗大な酸化物を形成し、疲労強度の低下を誘発する懸念がある。したがって、Al含有量は0~0.040%である。上記効果をさらに有効に得るためのAl含有量の好ましい下限は0.005%である。Al含有量の好ましい上限は0.030%である。本明細書において、Al含有量は全Alの含有量を意味する。
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Nbは、高周波焼入れ用非調質鋼を熱間鍛造した後の冷却過程において、炭窒化物を形成して、オーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する。そのため、熱間鍛造後の鋼材の靭性が高まる。しかしながら、Nb含有量が0.020%を超えれば、上記効果が飽和する。さらに、製造コストが嵩む。したがって、Nb含有量は0~0.020%である。上記効果をさらに有効に得るためのNb含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.008%である。Nb含有量の好ましい上限は0.015%である。
鉛(Pb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Pbは鋼の被削性を高める。Pbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Pb含有量が0.30%を超えれば、鋼の熱間鍛造性が低下する。したがって、Pb含有量は0~0.30%である。上記効果をさらに有効に得るためのPb含有量の好ましい下限は0.10%であり、さらに好ましくは0.15%である。Pb含有量の好ましい上限は0.27%である。
カルシウム(Ca)は、任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Caは、被削性を高める。Caが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ca含有量が0.0100%を超えれば、粗大酸化物を形成し、鋼の疲労強度が低下する。したがって、Ca含有量は0~0.0100%である。上記効果をさらに有効に得るためのCa含有量の好ましい下限は0.0010%であり、さらに好ましくは0.0015%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0085%である。
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Moは鋼の疲労強度を高める。Moが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が0.20%を超えれば、熱間鍛造性が低下する。したがって、Mo含有量は0~0.20%である。上記効果をさらに有効に得るためのMo含有量の好ましい下限は0.05%である。Mo含有量の好ましい上限は0.17%である。
本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼の製造方法の一例は次のとおりである。なお、本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼の製造方法はこれに限定されない。しかしながら、下記に説明する製造方法は、本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼の製造方法の好適な例である。
精錬工程では、上記の化学組成を有する溶鋼を製造する。具体的には、転炉を用いて溶銑に酸素を吹き付けて精錬し、Si及びMnが添加されていない溶鋼を製造する(一次精錬)。一次精錬後の溶鋼に対して、二次精錬を実施して、溶鋼を脱酸する。このとき、二次精錬において、溶鋼に対してSiをMn源よりも先に添加して脱酸する。そして、Siを添加した後、溶鋼に対して、Mn源を添加する。Mn源は、Fe-Mn合金及び/又は純メタリックマンガンである。Mn源中のMn含有量はat%で60~100%であり、かつ、Mn源中の酸素(O)含有量は1.0at%以下である。
鋳造工程では、溶鋼を用いて、周知の鋳造方法により鋳片(スラブ又はブルーム)又は鋼塊(インゴット)を製造する。鋳造方法はたとえば、連続鋳造法や造塊法である。
熱間加工工程では、上記鋳造工程で製造された鋳片又は鋼塊に対して、熱間加工を実施して、本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼を製造する。本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼はたとえば、棒鋼である。熱間加工工程はたとえば、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを含む。粗圧延工程はたとえば、分塊圧延である。仕上げ圧延工程はたとえば、連続圧延機を用いた仕上げ圧延である。連続圧延機ではたとえば、一対の水平ロールを有する水平スタンドと、一対の垂直ロールを有する垂直スタンドとが交互に一列に配列される。粗圧延工程及び仕上げ圧延工程での加熱温度はたとえば、1000~1300℃である。
本発明の実施の形態の高周波焼入れ用非調質鋼を用いた機械構造用部品の製造方法の一例は次のとおりである。上記の高周波焼入れ用非調質鋼材(鋳片、インゴット、鋼片又は棒鋼)を熱間鍛造して、機械構造用部品(たとえば歯車)の粗形状の中間品を製造する。製造された中間品を大気中で放冷する。中間品を機械加工により所定の形状に切削する。切削後の中間品に対して、高周波焼入れを実施する。以上の工程により、機械構造用部品が製造される。
[高周波焼入れ用非調質鋼の製造]
70トン転炉での一次精錬及び二次精錬を実施して、表1及び表2に示す化学組成の溶鋼を製造した。
各試験番号の高周波焼入れ用非調質鋼のMn酸化物個数比NRを次の方法で測定した。各試験番号の棒鋼のR/2位置(棒鋼の長手方向に垂直な断面における、棒鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)を中心とした、10mm×15mmの矩形状の観察面を含むサンプルを採取した。採取されたサンプルの観察面を鏡面研磨した。エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を備えた走査型電子顕微鏡を用いて、鏡面研磨された観察面内の複数の介在物の成分を分析した。そして、観察面内の酸化物、及び、Mn酸化物を特定した。具体的には、観察面内の介在物のうち、酸素を質量%で20.0%以上含有するものを、「酸化物」と特定した。また、酸化物のうち、Mnを質量%で10.0%以上含有するものを、「Mn酸化物」と特定した。特定された酸化物の個数の、Mn酸化物の個数に対する割合(=Mn酸化物の個数/酸化物の個数×100)を、Mn酸化物個数比NR(%)と定義した。
製造された棒鋼の長手方向に対して垂直な断面のR/2位置(棒鋼の長手方向に垂直な断面における、棒鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置)から、幅10mm、厚さ3mm、長さ10mmの試験片を機械加工により作製した。試験片の長さ方向は、棒鋼の長手方向と平行であった。また、試験片の長手方向に平行な中心軸が、R/2位置と一致した。
製造された棒鋼に対して、次の方法により高周波焼入れの模擬試験を実施した。富士電波工機株式会社製の試験装置(商品名「熱サイクル試験装置」)を用いて、棒鋼を100℃/秒の昇温速度で1300℃まで加熱した。そして、棒鋼を1300℃で10秒間保持した。その後、試験片を水冷した。
2009)に準拠して、4点のビッカース硬さを荷重300gで測定した。そして、求めた4点の硬さの平均値を、「Hv硬さ」と定義した。
製造された棒鋼に対して、熱間鍛造後の冷却を模擬する熱処理を実施した。具体的には、棒鋼を1100℃に加熱して30分保持した。その後、棒鋼を大気中で放冷した。
試験結果を表1及び表2に示す。試験番号1~36では、化学組成が適切であり、FN1~FN3も適切であった。さらに、製造条件が適切であったため、Mn酸化物個数比NRが10.0%以下であった。そのため、溶融割れは観察されなかった。さらに、高周波焼入れ後のHv硬さは650以上であり、高周波焼入れ後に十分な面疲労強度が得られると予想できた。さらに、熱間鍛造後冷却模擬熱処理試験後のロックウェル硬さHRCが20~28の範囲内であり、十分な疲労強度及び被削性が得られることが予想できた。
10 溶融割れ
Claims (2)
- 高周波焼入れ用非調質棒鋼であって、
質量%で、
C:0.50超~0.70%、
Si:0.01~0.30%未満、
Mn:0.85~1.50%、
P:0.030%以下、
S:0.010超~0.095%、
Cr:0.05~0.30%、
N:0.0040~0.0200%、
B:0.0010~0.0030%、
Ti:0.015~0.080%、
O:0.0024%以下、
Cu:0%超0.05%以下、
Ni:0%超0.05%以下、
V:0~0.050%未満、
Al:0~0.040%、
Nb:0~0.020%、
Pb:0~0.30%、
Ca:0~0.0100%、
Mo:0~0.20%、及び、
残部:Fe及び不純物、
からなり、
式(1)で定義されるFN1が0.65~1.10であり、
式(2)で定義されるFN2が0.90以上であり、
式(3)で定義されるFN3が0以上である、
化学組成を有し、
棒鋼の長手方向に垂直な断面における、前記棒鋼の中心軸と外表面とを結ぶ直線(半径R)の中央位置において、20.0質量%以上の酸素を含有する酸化物の個数に対する、20.0質量%以上の酸素及び10.0質量%以上のMnを含有するMn酸化物の個数の割合は、10.0%以下である、
前記長手方向に垂直な断面が円形の高周波焼入れ用非調質棒鋼。
FN1=C+(Si/10)+(Mn/5)-(5S/7)+(5Cr/22)+1.65V (1)
FN2=-2C-Si+2.33Mn+0.26Cr+V-1.5Cu-1.5Ni (2)
FN3=Ti-3.4N (3)
ここで、式(1)~式(3)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。 - 請求項1に記載の高周波焼入れ用非調質棒鋼であって、
前記化学組成は、
V:0.010~0.050%未満、
Al:0.005~0.040%、
Nb:0.005~0.020%、
Pb:0.10~0.30%、
Ca:0.0010~0.0100%、及び、
Mo:0.05~0.20%、
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、
高周波焼入れ用非調質棒鋼。
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