JP2023042381A - 菓子用ペーストの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】風味素材を含有し、該風味素材の風味の出やすさが良好な、菓子用ペーストを容易に製造する方法の提供。【解決手段】水中油型乳化油脂組成物全体中、澱粉の含量が3~6重量%、糖類の含量が20~40重量%、及び、水の含量が25~60重量%となるように、澱粉、糖類、水を混合し、40~60℃に加熱して水相を得、SFCが10℃で50~60%、30℃で8.5~21.5%である油脂の含量が5~35重量%となるように、前記油脂を前記水相に添加して、乳化処理し、95~105℃で2~3分間加熱殺菌してから5~35℃まで冷却して前記組成物を得、前記組成物の含量が30~70重量%、20℃における粘度が90~150Pa・sであるペースト状風味素材の含量が70~30重量%となるように、5~35℃にて、130~150rpmで5~20秒間、前記組成物と前記ペースト状風味素材とを混合する。【選択図】なし

Description

本発明は、風味素材を含有する、菓子用ペーストの製造方法に関する。
消費者の嗜好の多様化によって、様々な風味を持つパンや菓子が製造されている。大量生産においては、フィリングやトッピングに使用される菓子用ペーストに風味素材を含有させることで、パンや菓子に風味を付与する場合が多い。そのため、該菓子用ペーストには風味の出やすさが求められる。
風味素材を含有する菓子用ペーストは、各種風味素材を他の原料と混合してから乳化され、その後加熱することで、製造されることが一般的である。しかし、そのように製造された菓子用ペーストでは、風味素材の風味の出やすさが十分ではなく、喫食の際に風味を十分に感じられない場合があった。
また、様々な風味素材を含有する菓子用ペーストの工業的生産において、多種類の菓子用ペーストそれぞれを、全ての原料を混ぜて製造しようとすると、手間もかかり、1種類あたりの製造量が多過ぎて廃棄を増やすことにも繋がりやすい。
特許文献1には、風味・香気成分の熱劣化及び蒸発を防止でき、風味及び香気が良好で、保存性の優れた水中油型乳化脂を製造することを目的に、油脂1~30重量%、澱粉1~10重量%、糖類5~60重量%、及び水を含有する水中油型乳化脂を加熱処理した後、果汁、香気成分、又はアルコール類を0.01~20重量%添加することによる、水中油型乳化脂の製造方法が開示されている。該文献では、水中油型乳化脂の製造ライン上で風味素材を添加し、混合することで、風味素材含有水中油型乳化脂を製造したことが記載されている。
特開平7-135900号公報
特許文献1に開示された方法で製造された風味素材含有水中油型乳化脂では、必ずしも風味素材の風味の出やすさが十分ではなかった。
本発明の目的は、風味素材を含有し、該風味素材の風味の出やすさが良好な、菓子用ペーストを容易に製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のSFC(固体脂含量)を有する油脂、澱粉、糖類、及び水をそれぞれ特定量含有する水中油型乳化油脂組成物と、特定の粘度を有するペースト状の風味素材を、特定条件下で混合することで菓子用ペーストを製造すると、風味素材の風味の出やすさが良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、水中油型乳化油脂組成物全体中、澱粉の含量が3~6重量%、糖類の含量が20~40重量%、及び、水の含量が25~60重量%となるように、澱粉、糖類、及び、水を混合し、40~60℃に加熱して水相を得る工程、SFC(固体脂含量)が10℃で50~60%で、且つ30℃で8.5~21.5%である油脂の含量が水中油型乳化油脂組成物全体中5~35重量%となるように、前記油脂を前記水相に添加して混合物を得る工程、該混合物を乳化処理し、95~105℃で2~3分間加熱殺菌してから5~35℃まで冷却して水中油型乳化油脂組成物を得る工程、及び、菓子用ペースト全体中、水中油型乳化油脂組成物の含量が30~70重量%、20℃における粘度が90~150Pa・sであるペースト状風味素材の含量が70~30重量%となるように、5~35℃にて、130~150rpmで5~20秒間、前記水中油型乳化油脂組成物と前記ペースト状風味素材とを混合する工程、を含む、菓子用ペーストの製造方法に関する。
本発明の第二は、菓子用ペースト全体中、水中油型乳化油脂組成物の含有量が30~70重量%、及び、20℃における粘度が90~150Pa・sであるペースト状風味素材の含有量が70~30重量%である、菓子用ペーストであって、水中油型乳化油脂組成物全体中、澱粉の含量が3~6重量%、糖類の含量が20~40重量%、及び、水の含量が25~60重量%となるように、澱粉、糖類、及び、水を混合し、40~60℃に加熱して水相を得、SFC(固体脂含量)が10℃で50~60%で、且つ30℃で8.5~21.5%である油脂の含量が水中油型乳化油脂組成物全体中5~35重量%となるように、前記油脂を前記水相に添加して混合物を得、該混合物を乳化処理し、95~105℃で2~3分間加熱殺菌してから5~35℃まで冷却された水中油型乳化油脂組成物と、前記ペースト状風味素材とが、5~35℃にて、130~150rpmで5~20秒間混合された、菓子用ペーストに関する。
本発明の第三は、前記菓子用ペーストを含む菓子又はパンに関する。
本発明に従えば、風味素材を含有し、該風味素材の風味の出やすさが良好な、菓子用ペーストを容易に製造する方法を提供することができる。
本発明によれば、水中油型乳化油脂組成物に対し、様々な風味素材を添加することによって、様々な菓子用ペーストを製造できるので、消費者が求める多種類の菓子用ペーストを容易に製造することが可能となる。
以下、本発明の実施形態につき、さらに詳細に説明する。
本実施形態に係る菓子用ペーストの製造方法は、特定の水中油型乳化油脂組成物と、特定のペースト状風味素材を、特定条件下で混合することによる。前記菓子用ペーストにおけるペーストとは、例えば5~35℃程度の温度で、高い粘性がありながら、絞り出し成形やスプレッド等の成形が可能な程度の流動性を有することを意味する。前記菓子用ペーストは、前記風味素材に由来する風味を持つものである。
(水中油型乳化油脂組成物)
前記水中油型乳化油脂組成物とは、水及び水溶性原料(後述する澱粉、糖類を含む)とを含む水相と、油脂と必要に応じて油脂以外の油溶性原料とを含む、水中油型の乳化物である。本実施形態において、前記水中油型乳化油脂組成物は、少なくとも、油脂、澱粉、糖類、及び、水を含有する。
前記油脂としては、前記水中油型乳化油脂組成物に含まれる油脂の総体として、SFC(固体脂含量)が10℃で50~60%、且つ30℃で8.5~21.5%を満足する油脂を使用することが好ましい。より好ましくは、SFCが10℃で50.5~58.5%、且つ、30℃で9.5~20.5%を満足する油脂であり、さらに好ましくは、SFCが10℃で51.5~57.5%、且つ、30℃で10.5~19.5%を満足する油脂である。10℃におけるSFCが50%未満であると、菓子用ペーストの成形性又は保形性が悪くなる場合があり、60%を超えると、菓子用ペーストが硬くなりすぎて成形がしにくくなる場合がある。また、30℃におけるSFCが8.5%未満であると、菓子用ペーストの成形性又は保形性が悪くなる場合があり、21.5%を超えると、菓子用ペーストが硬くなりすぎて成形がしにくくなる場合がある。
前記SFCは、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)」の測定方法に従って測定することができる。前記SFCの要件は、前記水中油型乳化油脂組成物に含まれる油脂全体として満足すればよく、複数種の油脂を使用した場合、個々の油脂が示すSFCは特に限定されない。
前記油脂の種類としては、食用油脂であれば特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、ハイエルシン菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油等の植物性油脂や、乳脂肪、牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂が例示でき、これらを硬化、分別、エステル交換等の加工処理を行ったものも用いることができる。
特に、前述したSFCの数値を満足するように、複数種の油脂を適宜組み合わせて使用することが好ましい。好適な油脂の組合せの一例として、パーム油とハイエルシン菜種極度硬化油の組合せを挙げることができる。前記ハイエルシン菜種極度硬化油とは、菜種の中でもエルシン酸(エルカ酸)含量が概ね40%以上の品種から搾油した油脂を極度硬化したものをいう。また、前記油脂の組合せに、パーム油とヤシ油のエステル交換油を併用しても良い。
前記油脂の含有量は、水中油型乳化油脂組成物全体中、5~35重量%であることが好ましい。より好ましくは8~32重量%であり、更に好ましくは10~20重量%である。油脂の含有量が5重量%より少ないと、風味素材の風味が出にくくなったり、菓子用ペーストの成形性又は保形性が悪くなる場合があり、35重量%より多いと、風味素材の風味が出にくくなったり、水中油型乳化油脂組成物を作製する時の乳化が不十分となる場合がある。
前記澱粉としては特に限定されず、例えば、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、及び、化学的及び/又は物理的処理が施された加工澱粉等が挙げられる。前記澱粉としては、食感に悪影響を与えない範囲で、小麦、コーン、米、甘藷、馬鈴薯、キャッサバ、サゴヤシ等の澱粉性植物の粉状製品を使用してもよい。前記加工澱粉における澱粉の由来は、口溶けが良好で滑らかな食感を得る上で、タピオカ澱粉由来、サゴ澱粉由来、又は、甘藷澱粉由来であることが好ましく、タピオカ澱粉由来であることがより好ましい。
前記加工澱粉は、一般的な化学修飾が施された澱粉をいい、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、酸化澱粉、酸処理澱粉、油脂加工澱粉、酵素処理澱粉などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記加工澱粉の中でも、リン酸架橋澱粉が好ましい。リン酸架橋澱粉とは、澱粉にトリメタリン酸塩やオキシ塩化リンなどを作用させ、澱粉の分子内または分子間の水酸基が架橋して、澱粉粒の膨潤や糊化が抑制された澱粉を言う。前記リン酸架橋澱粉としては、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉などが挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。特に、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉は老化しにくく、保存性の観点から好ましい。
前記澱粉の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、3~6重量%が好ましく、より好ましくは3.5~5.5重量%であり、更に好ましくは4~5重量%である。澱粉の含有量が3重量%より少ないと、風味素材の風味が出にくくなったり、菓子用ペーストの成形性又は保形性が悪くなる場合があり、6重量%より多いと、風味素材の風味が出にくくなったり、水中油型乳化油脂組成物又は菓子用ペーストの粘度が高くなりすぎて、生産時のライン適正が悪くなる場合がある。
前記糖類としては特に限定されず、上白糖、グラニュー糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化糖、オリゴ糖、水あめ、糖アルコール類等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。中でも、上白糖、グラニュー糖が味の観点で好ましい。
前記糖類の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、20~40重量%が好ましい。より好ましくは20~30重量%であり、更に好ましくは22~25重量%である。糖類の含有量が20重量%より少ないと、増菌したり、風味素材の風味が出にくくなる場合があり、40重量%より多いと、菓子用ペーストの甘みが強くなりすぎたり、風味素材の風味が出にくくなる場合がある。
水の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、25~60重量%であることが好ましい。より好ましくは30~55重量%であり、更に好ましくは46.5~54.5重量%である。水の含有量が25重量%より少ないと、水溶性原料の溶解性が悪くなる場合があり、60重量%より多いと、水中油型乳化油脂組成物において離水が発生する場合がある。
前記水中油型乳化油脂組成物は、前記澱粉、糖類以外の水溶性原料を含有しても良い。前記水溶性原料としては、発明の効果を阻害しない範囲において、一般的に水中油型乳化油脂組成物に配合される成分を使用することができる。そのような成分としては、例えば、増粘剤、乾燥卵白などを挙げることができる。
前記増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉等などが挙げられる。その含有量は、発明の効果を阻害しない範囲において適宜設定することができる。
前記水中油型乳化油脂組成物は、油脂以外の油溶性原料を含有しても良い。前記油溶性原料としては、発明の効果を阻害しない範囲において、一般的に水中油型乳化油脂組成物に配合される成分を使用することができる。そのような成分としては、例えば、乳化剤、着色料、香料、乳製品などを挙げることができる。
前記乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。その含有量は、発明の効果を阻害しない範囲において適宜設定することができる。
前記着色料としては、例えば、カロテノイド色素などが挙げられる。その含有量は、発明の効果を阻害しない範囲において適宜設定することができる。
前記香料としては、例えば、ミルク香料、バター香料などが挙げられる。その含有量は、発明の効果を阻害しない範囲において適宜設定することができる。
前記乳製品としては、例えば、バター、脱脂粉乳、ホエイタンパク、バターミルクパウダーなどが挙げられる。その含有量は、発明の効果を阻害しない範囲において適宜設定することができる。
前記水中油型乳化油脂組成物の含有量は、前記菓子用ペースト全体中、30~70重量%であることが好ましい。より好ましくは40~60重量%であり、更に好ましくは45~55重量%である。水中油型乳化油脂組成物の含有量が30重量%より少ないと、菓子用ペーストが硬くなりすぎて、成形性又は保形性に劣る場合があり、70重量%より多いと、風味素材の風味が十分に感じられなかったり、菓子用ペーストが柔らかくなりすぎて、成形性又は保形性に劣る場合がある。
(ペースト状風味素材)
前記ペースト状風味素材とは、特定粘度を有するペースト状を呈する風味素材を指す。風味素材とは、食品に風味を与え得るものであれば特に限定されないが、例えば、栗、サツマイモ、カボチャ等の、野菜、果実類、種実類、チョコレート、乳製品等が挙げられる。ペースト状風味素材の具体例として、マロンペースト、甘藷ペースト、カボチャペースト、フルーツペースト、野菜ペースト、ナッツペースト、練乳、ジャム、フルーツソース等が挙げられる。
前記ペースト状風味素材は、20℃における粘度が90~150Pa・sであることが好ましい。より好ましくは100~140Pa・sであり、更に好ましくは120~140Pa・sである。ペースト状風味素材の20℃における粘度が90Pa・sより低いと、風味素材の風味が出にくくなったり、菓子用ペーストの成形性又は保形性に劣る場合があり、150Pa・sより高いと、ペースト状風味素材が水中油型乳化油脂組成物と混ざりにくい場合がある。
なお、前記粘度は、円筒型回転式粘度計(東機産業株式会社製「TV-35形粘度計」)により測定することができる。
前記特定の粘度を示すペースト状風味素材は、例えば、風味素材を必要に応じて細かく裁断した後、十分に練ることで作製することができる。また、このようにして作製されたペースト状風味素材に対し、必要に応じ、水や液糖、牛乳、生クリーム等の液性成分を混合したり、あるいは、加熱して水分を蒸発させてもよい。
前記ペースト状風味素材の含有量は、前記菓子用ペースト全体中、70~30重量%であることが好ましい。より好ましくは60~40重量%であり、更に好ましくは55~45重量%である。ペースト状風味素材の含有量が70重量%より多いと、菓子用ペーストが硬くなりすぎて、成形性又は保形性に劣る場合があり、30重量%より少ないと、風味素材の風味が十分に感じられなかったり、菓子用ペーストが柔らかくなりすぎて、成形性又は保形性に劣る場合がある。
[菓子用ペーストの製造方法]
本実施形態に係る菓子用ペーストの製造方法を以下に例示する。
(水中油型乳化油脂組成物の作製)
水に、澱粉や糖類などの水溶性原料を混合し、40~60℃に加熱して水相を得る。その際、各成分の含量が、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、澱粉3~6重量%、糖類20~40重量%、水25~60重量%となるように調整する。前記加熱に際しては、各成分を混合してから昇温してもいいし、昇温しながら各成分を混合してもよい。
得られた前記水相を、好ましくは40~60℃に保って、撹拌しながら、油脂の含量が水中油型乳化油脂組成物全体中5~35重量%となるように、SFCが10℃で50~60%で、且つ30℃で8.5~21.5%である油脂を前記水相に添加して混合物を得る。前記水相を添加する時の油脂は、40~60℃に保持されていることが好ましい。また、必要に応じて、前記油脂に前記油溶性原料を溶解してから、前記水相に添加してもよい。
得られた前記混合物を予備乳化し、ホモゲナイザーを用いて5~15MPaの圧力で乳化する。得られた乳化液をコンサーム掻き取り式熱交換機で95~105℃で2~3分間加熱殺菌してから、60℃以下になるまで冷却して、ペーストを得る。前記加熱殺菌の時間が2分間より短いと、殺菌が十分でない場合があり、3分間より長いと、加熱によって焦げが生じてしまう場合がある。また、前記加熱殺菌の温度が95℃より低いと、殺菌が十分でない場合があり、105℃より高いと、加熱によって焦げが生じてしまう場合がある。
得られたペーストをピロー包装に充填し、2~7℃の冷水にて室温以下(具体的には5~35℃)に冷却することで、前記水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。ここで、ピロー包装とは、包装フィルムを、開口部を有する袋状に加工した後、内容物を充填し、前記開口部を閉じて該内容物を包装するものをいう。
(ペースト状風味素材の調製)
ペースト状風味素材に関しては、20℃における粘度が90~150Pa・sであるペースト状風味素材を入手できればそのまま使用しても良い。また、入手したペースト状風味素材の20℃における粘度が高い場合には、水、液糖、牛乳、生クリームなどの液性成分を適宜混合して粘度を下げてから使用しても良い。一方、入手したペースト状風味素材の20℃における粘度が低い場合には、加熱により水分を蒸発させたりして粘度を上げてから使用しても良い。
(菓子用ペーストの作製)
菓子用ペースト全体中、前記水中油型乳化油脂組成物の含量が30~70重量%、及び、前記ペースト状風味素材の含量が70~30重量%となるように両者を混合することで、本実施形態に係る菓子用ペーストを得ることができる。混合する時の温度は、例えば、5~35℃であることが好ましい。
前記水中油型乳化油脂組成物と前記ペースト状風味素材を混合する時の撹拌混合速度は、130~150rpmであることが好ましい。より好ましくは、135~145rpmである。前記撹拌混合速度が130rpmより遅いと、両者が十分に混合されておらず、風味素材の風味が十分に感じられない場合があり、150rpmより速いと、両者が均一に分散してしまい、風味素材の風味が出にくい場合がある。
前記混合時の撹拌混合時間は、5~20秒間であることが好ましい。より好ましくは10~18秒間であり、さらに好ましくは11~15秒間である。前記撹拌混合時間が10秒間より短いと、両者が十分に混合されておらず、風味素材の風味が十分に感じられない場合があり、20秒間より長いと、両者が均一に分散してしまい、風味素材の風味が出にくい場合がある。
(菓子用ペーストの用途)
本実施形態に係る菓子用ペーストは、ケーキやカップデザート等の菓子において使用することができる。具体的には、モンブランを代表とするケーキや、スイートポテトなどの菓子において、口金から絞り出しながら造形する絞り出し成形によりトッピングすることで好適に使用できる。また、本実施形態に係る菓子用ペーストは、ケーキ等の菓子やパンにおいて、フィリングやサンド、スプレッドすることによっても使用することができる。さらに、本実施形態に係る菓子用ペーストを透明なカップに充填してカップデザートとすることもできる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)松谷化学工業(株)製「ファリネックスVA70TJ」
2)日新製糖(株)製「上白糖」
3)キユーピータマゴ(株)製「乾燥卵白Kタイプ」
4)日本新薬(株)製「Wheyco W80」
5)エー・ディー・エム・ジャパン(株)製「ノヴァザン200メッシュ」
6)三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「CESAGUM LN-1/200」
7)(株)カネカ製「パーム油(10℃のSFC:50.9%、30℃のSFC:9.8%)」
8)横関油脂工業(株)製「ハイエルシン菜種極度硬化油(10℃のSFC:99.4%、30℃のSFC:98.8%)」
9)(株)京まろん製「マロンペーストアマーロ(20℃における粘度:131Pa・s)」
10)(株)カネカ製「ストロベリーソース100(20℃における粘度:20Pa・s)」
<風味の出やすさの評価>
各実施例及び比較例で作製した菓子用ペーストを、熟練した10名のパネラーが食して、以下の基準で評価した。各人の評価値の平均値を、評価値として各表に記載した。
5点:実施例7と比較して風味を非常に強く感じる。
4点:実施例7と比較して風味を強く感じる。
3点:実施例7と同等に風味を感じる。
2点:実施例7と比較して風味をあまり感じない。
1点:実施例7と比較して風味を感じない。
(製造例1)水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従って、次のように水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、ヒドロキシルプロピル化リン酸架橋デンプン4.4重量部、上白糖24.4重量部、乾燥卵白0.1重量部、ホエイタンパク1.9重量部、キサンタンガム0.07重量部、ローカストビーンガム0.02重量部、及び水54.1重量部が均一になるよう攪拌、及び混合しながら当該混合物を50℃まで昇温し、ここに60℃に温調したパーム油13.5重量部及びハイエルシン菜種極度硬化油1.5重量部を添加し、充分に攪拌して原料混合物を予備乳化した。その後、ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ製)を用い10MPaの圧力で原料混合物を乳化した。得られた乳化液をコンサーム掻き取り式熱交換機(ノリタケカンパニーリミテッド社製、ノリタケクッカー・スチームミキサー)で100℃、2分間の条件で殺菌した後、60℃まで冷却し、ピロー袋に充填した。その後、5℃の冷水にて室温以下に冷却し、水中油型乳化油脂組成物を得た。
パーム油とハイエルシン菜種極度硬化油の混合物から構成される油脂は、SFCが10℃で53.4%、30℃で17.6%であった。
(製造例2~13)水中油型乳化油脂組成物の作製
表1及び表2の配合に従って各成分の配合量を変更した以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物を作製した。
(製造例14~15)水中油型乳化油脂組成物の作製
表2の記載に従って水中油型乳化油脂組成物を製造する際のコンサーム掻き取り式熱交換機での加熱温度又は加熱時間を変更した以外は、製造例1と同様にして水中油型乳化油脂組成物の作製を試みた。製造例14は加熱温度が115℃と高く、また、製造例15は加熱時間が5秒間と長いものであるが、いずれの製造例でも、加熱によって焦げが発生してしまい、得られた乳化油脂組成物は、菓子用ペーストの作製に使用できないものであった。
Figure 2023042381000001
Figure 2023042381000002
(実施例1)菓子用ペーストの作製
表3の配合に従って、製造例1で作製した水中油型乳化油脂組成物50重量部と、ペースト状風味素材である栗ペースト50重量部をボールに入れ、縦型ミキサー(HOBART CANADA社製「ホバートミキサー MODEL N-50」)にビーターを取り付けて、25℃にて、139rpmで14秒間撹拌混合して菓子用ペーストを得た。得られた菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、その評価結果を表3に記載した。
(実施例2~7)菓子用ペーストの作製
表3の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物の種類(製造例番号)を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた各菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、それらの評価結果を表3に記載した。
(実施例8~9)菓子用ペーストの作製
表3の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物及び風味素材の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた各菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、それらの評価結果を表3に記載した。
(実施例10~11)菓子用ペーストの作製
表3の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物と風味素材の撹拌混合時間を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた各菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、それらの評価結果を表3に記載した。
(比較例1~6)菓子用ペーストの作製
表4の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物の種類(製造例番号)を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた各菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、それらの評価結果を表4に記載した。
(比較例7)菓子用ペーストの作製
表4の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物及び風味素材の配合量と、風味素材の種類を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、その評価結果を表4に記載した。
(比較例8)菓子用ペーストの作製
表4の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物及び風味素材の配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、その評価結果を表4に記載した。
(比較例9~10)菓子用ペーストの作製
表4の配合に従って、水中油型乳化油脂組成物と風味素材の撹拌混合時間を変更した以外は、実施例1と同様にして菓子用ペーストを得た。得られた各菓子用ペーストについて、風味の出やすさの評価を行い、それらの評価結果を表4に記載した。
Figure 2023042381000003
Figure 2023042381000004
表3より、実施例1~11で得た菓子用ペーストはいずれも、発明の要件を満足するものであり、風味の出やすさが良好な評価であったことが分かる。
一方、表4より以下のことが分かる。比較例1で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物中の油脂含量が4重量%と少ないものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例2で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物中の油脂含量が36重量%と多いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例3で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物中の澱粉含量が2重量%と少ないものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例4で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物中の澱粉含量が7重量%と多いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例5で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物中の糖類含量が19重量%と少ないものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例6で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物の糖類含量が41重量%と多いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例7で得た菓子用ペーストは、使用した風味素材の20℃における粘度が20Pa・sと低いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例8で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物の含有量が75重量%と多いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例9で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物と風味素材の撹拌混合時間が3秒間と短いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。
比較例10で得た菓子用ペーストは、水中油型乳化油脂組成物と風味素材の撹拌混合時間が25秒間と長いものであり、風味の出やすさが低い評価であった。

Claims (3)

  1. 水中油型乳化油脂組成物全体中、澱粉の含量が3~6重量%、糖類の含量が20~40重量%、及び、水の含量が25~60重量%となるように、澱粉、糖類、及び、水を混合し、40~60℃に加熱して水相を得る工程、
    SFC(固体脂含量)が10℃で50~60%で、且つ30℃で8.5~21.5%である油脂の含量が水中油型乳化油脂組成物全体中5~35重量%となるように、前記油脂を前記水相に添加して混合物を得る工程、
    該混合物を乳化処理し、95~105℃で2~3分間加熱殺菌してから5~35℃まで冷却して水中油型乳化油脂組成物を得る工程、及び、
    菓子用ペースト全体中、水中油型乳化油脂組成物の含量が30~70重量%、20℃における粘度が90~150Pa・sであるペースト状風味素材の含量が70~30重量%となるように、5~35℃にて、130~150rpmで5~20秒間、前記水中油型乳化油脂組成物と前記ペースト状風味素材とを混合する工程、
    を含む、菓子用ペーストの製造方法。
  2. 菓子用ペースト全体中、水中油型乳化油脂組成物の含有量が30~70重量%、及び、20℃における粘度が90~150Pa・sであるペースト状風味素材の含有量が70~30重量%である、菓子用ペーストであって、
    水中油型乳化油脂組成物全体中、澱粉の含量が3~6重量%、糖類の含量が20~40重量%、及び、水の含量が25~60重量%となるように、澱粉、糖類、及び、水を混合し、40~60℃に加熱して水相を得、SFC(固体脂含量)が10℃で50~60%で、且つ30℃で8.5~21.5%である油脂の含量が水中油型乳化油脂組成物全体中5~35重量%となるように、前記油脂を前記水相に添加して混合物を得、該混合物を乳化処理し、95~105℃で2~3分間加熱殺菌してから5~35℃まで冷却された水中油型乳化油脂組成物と、前記ペースト状風味素材とが、5~35℃にて、130~150rpmで5~20秒間混合された、菓子用ペースト。
  3. 請求項1に記載の菓子用ペーストを含む菓子又はパン。
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