JP2023035268A - 塩素発生用電極およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素発生効率が高く、かつ、長期耐久性に優れる塩素発生用電極を提供する。【解決手段】導電性基体と、当該導電性基体の上に設けられた触媒層とを備える塩素発生用電極であって、触媒層が、少なくとも、酸化イリジウム、白金を含んでおり、当該触媒層におけるCuKα線を用いたX線回折法によって測定される、白金の回折ピーク2θ=45°~48°、酸化イリジウムの回折ピーク2θ=34°~36°の範囲において、X線回折ピーク強度の比(白金の回折ピーク強度/酸化イリジウムの回折ピーク強度)に、触媒層中の白金に対するイリジウムのモル比(Ir(mol%)/Pt(mol%))を乗じた値が、0.5以下であることを特徴とする塩素発生用電極。【選択図】図1

Description

本発明は、希薄食塩水や希薄塩酸水溶液など、塩化物イオンを含有する水溶液の電解に使用する塩素発生用電極に関するものであり、特にオンサイトで殺菌用の次亜塩素酸を発生させるのに好適に用いられる、電流効率および耐久性が良好な電極およびその製造方法に関する。
近年、食品分野、医療・歯科分野、介護・福祉分野、農業・畜産分野など、多様な分野における衛生管理を主目的とする殺菌・除菌・消毒剤用途として、次亜塩素酸が幅広く利用されるようになってきた。次亜塩素酸は次亜塩素酸の酸性の水溶液である、強酸性次亜塩素水(強酸性電解水)、弱酸性次亜塩素水(弱酸性電解水)、微酸性次亜塩素水(微酸性電解水)が食品添加剤として認められているなど、利用の幅が多岐に渡っている。
上記のように広い分野で使用できる次亜塩素酸水を製造するための電極としては、例えば、基体金属チタン-酸化チタン被覆層の上に、白金・酸化イリジウム・酸化チタンからなる被覆層を有する電極が開示されている(特許文献1)。
上記電極は脱色、脱臭、除菌、滅菌、殺菌、分解、洗浄、スケール除去・防止、排水処理、害虫・雑草駆除に使用できるとされているが、電流効率および耐久性にはいまだ改善の余地があった。
さらに、次亜塩素酸水を製造するための電極の他の例としては、導電性基板と、白金と酸化イリジウムを含む触媒層と、酸化タンタル層とを備えた電解用電極が開示されている(特許文献2)。
上記電極では、耐久性の向上を図りながら、塩素発生効率を向上させることが可能となったものの、複数の被覆層を導電性基板上に順番に形成させていく工程が必要であり、次亜塩素酸水を効率よく製造し、耐久性に優れ、より簡便に製造できる電極の開発が望まれていた。
特開2004-204328号公報 国際公開WO2021/117311号
以上のような事情に鑑み、本発明は、強酸性次亜塩素水(強酸性電解水)、弱酸性次亜塩素水(弱酸性電解水)、微酸性次亜塩素水(微酸性電解水)をはじめとした、次亜塩素酸水を効率よく製造し、長時間での運転にも対応できる電極を開示する。また、耐久性に優れた電極であって、従来よりも簡便に製造できる電極を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、導電性基体と、当該導電性基体の上に設けられた触媒層とを備える塩素発生用電極であって、触媒層が、少なくとも、白金、酸化イリジウムを含んでおり、当該触媒層におけるCuKα線を用いたX線回折法によって測定される、白金の回折ピーク2θ=45°~48°、酸化イリジウムの回折ピーク2θ=34°~36°の範囲において、X線回折ピーク積分強度の比(白金の回折ピーク積分強度/酸化イリジウムの回折ピーク積分強度)に、触媒層中の白金に対するイリジウムのモル比(Ir(mol%)/Pt(mol%))を乗じた値が、0.5以下である塩素発生用電極は、低濃度の塩化物イオンを含む水溶液の電気分解に使用される場合に、塩素発生効率が高く、かつ、長期耐久性に優れることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 導電性基体と、前記導電性基体の上に設けられた触媒層とを備える塩素発生用電極であって、
前記触媒層におけるCuKα線を用いたX線回折法によって測定される、白金の回折ピーク2θ=45°~48°、酸化イリジウムの回折ピーク2θ=34°~36°の範囲において、X線回折ピーク積分強度の比(白金の回折ピーク積分強度/酸化イリジウムの回折ピーク積分強度)に、触媒層中の白金に対するイリジウムのモル比(Ir(mol%)/Pt(mol%))を乗じた値が、0.5以下であることを特徴とする塩素発生用電極。
項2. 前記触媒層におけるイリジウム(Ir)と白金(Pt)の組成比率(mol%)が、イリジウム(Ir):白金(Pt)=90:10~50:50であることを特徴とする、項1に記載の塩素発生用電極。
項3. 濃度が3質量%以下の塩化物イオン含有水溶液の電気分解に用いられる、項1または項2に記載の塩素発生用電極。
項4. 前記塩素発生用電極が次亜塩素酸発生用であることを特徴とする、項1~3のいずれか1項に記載の塩素発生用電極。
本発明によれば、低濃度の塩化物イオンを含む水溶液の電気分解に使用される場合に、塩素発生効率が高く、かつ、長期耐久性に優れる塩素発生用電極を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該塩素発生用電極の製造方法を提供することもできる。
実施例1、比較例1、および比較例2で得られた各電極の触媒層について、X線回折を測定して得られた2θ(°)とピーク強度(cps)との関係のグラフである。
本発明の塩素発生用電極は、導電性基体と、当該導電性基体の上に設けられた触媒層とを備える。また、本発明の塩素発生用電極において、触媒層は、少なくとも、白金、酸化イリジウムを含んでおり、かつ、前記触媒層におけるCuKα線を用いたX線回折法によって測定される、白金の回折ピーク2θ=45°~48°、酸化イリジウムの回折ピーク2θ=34°~36°の範囲において、X線回折ピーク積分強度の比(白金の回折ピーク積分強度/酸化イリジウムの回折ピーク積分強度)に、触媒層中の白金に対するイリジウムのモル比(Ir(mol%)/Pt(mol%))を乗じた値が、0.5以下であることを特徴とする。本発明の塩素発生用電極は、このような特定のX線回折ピークの特徴を有する触媒層を備えていることにより、低濃度の塩化物イオン含有水溶液の電気分解に使用される場合に、塩素発生効率が高く、かつ、長期耐久性に優れた効果を発揮することができる。以下、本発明の塩素発生用電極について、詳述する。
なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
1.塩素発生用電極
本発明の塩素発生用電極は、導電性基体と触媒層とを備えている。さらに、当該触媒層は、少なくとも、イリジウム酸化物、白金を含む。
導電性基体の材質としては、特に制限されず、公知の塩素発生用電極に用いられているものが挙げられる。導電性基体の材質の具体例としては、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ等のバルブ金属や、バルブ金属2種以上の合金を挙げることができる。また、導電性基体の形状としては、特に制限されず、例えば、板状、円板状、棒状、円筒状、エキスパンドメタル、パンチングメタルなどが挙げられる。
導電性基体の表面には、触媒層に対するアンカー効果を発揮することなどを目的として、必要に応じて、サンドブラスト処理(粗面化処理)などが施されていてもよい。サンドブラスト処理は、砂状の粒子を含む高圧ガスを材料の表面に吹き付ける表面処理方法である。サンドブラスト処理は、公知の方法で行うことができる。例えば、使用する研磨剤の種類、処理時間などを調整することにより、導電性基体の表面粗さを制御することができる。砂状の粒子の材質としては、例えば、アルミナ、ガラス、鉄等が挙げられる。さらに、サンドブラスト処理の後に、必要に応じて、脱脂処理などを行ってもよい。
サンドブラスト処理に用いる粒子サイズ等にもよるが、粗面化処理が施された導電性基体表面の表面粗さRa(算術平均粗さ)としては、例えば、0.5~10μm程度の範囲が挙げられる。サンドブラスト処理に用いる粒子サイズを変更することにより、表面粗さRaをこの範囲外に設定することもできる。
また、導電性基体の表面には、酸などによる表面処理が施されていてもよい。酸としては、特に制限されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、シュウ酸、フッ酸等を挙げることができる。
導電性基体の厚みとしては、特に制限されず、塩素発生用電極が設置される電解槽の大きさなどに応じて適宜設定されるが、例えば、0.5~10mm程度が挙げられる。
本発明の塩素発生用電極において、触媒層は、CuKα線を用いたX線回折法によって測定され、下記のような特徴を持つ。すなわち、白金の回折ピーク2θ=45°~48°、酸化イリジウムの回折ピーク2θ=34°~36°の範囲において、X線回折ピーク積分強度の比(白金の回折ピーク積分強度/酸化イリジウムの回折ピーク積分強度)に、触媒層中の白金に対するイリジウムのモル比(Ir(mol%)/Pt(mol%))を乗じた値は、0.5以下であることが好ましく0.45以下であることがより好ましく、0.2以下であることが特に好ましい。当該数値が0.5以下であると、安定な塩素発生効率を好適に維持することができる。また、当該数値が小さいほど、白金の結晶性が低く、触媒層の表面構造が非結晶性(アモルファス)となるため、触媒としての機能を好適に発揮することができる。
本発明の塩素発生用電極において、触媒層のX線回折の測定は、0052段落に記載の条件で行う。
本発明の塩素発生用電極において、導電性基体の上には、触媒層が設けられている。触媒層は、少なくとも、酸化イリジウム、白金を含んでいる。より具体的には、導電性基体の表面には、当該触媒層によって構成された被膜が形成されている。
本発明において、触媒層に含まれる金属換算でのイリジウムの割合としては特に制限されないが、本発明の塩素発生用電極の塩素発生効率をさらに高めつつ、電極の長期耐久性をさらに高める観点からは、触媒層に含まれる他の金属元素を含む合計モル数を100%とした場合に、触媒層に含まれるイリジウム金属の割合は、50モル%以上であることが好ましく、50~90モル%であることがより好ましく、60~85モル%であることがさらに好ましく、70~85モル%であることが特に好ましい。
同様の観点から、触媒層に含まれる白金金属の割合は、10モル%以上であることが好ましく、15~50モル%であることがより好ましく、15~45モル%であることがさらに好ましく、15~40モル%であることが特に好ましい。
触媒層に含まれるイリジウム化合物(Ir)と白金化合物(Pt)の組成比率(mol%)は、イリジウム化合物(Ir):白金化合物(Pt)=50:50~90:10が好ましく、55:45~85:15がより好ましく、60:40~85:15がさらに好ましく、65:35~85:15が特に好ましい。
触媒層に含まれる、金属の組成比率について別の表現を用いると、白金化合物(Pt)に対するイリジウム化合物(Ir)のモル比(Ir(mоl%)/Pt(mоl%))は1.0~9.0が好ましく、1.2~6.0がより好ましく、1.5~6.0がさらに好ましく、1.8~6.0が最も好ましい。
本発明において、触媒層には、酸化イリジウム、白金に加えて、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、白金族金属または白金族金属酸化物が挙げられ、具体例としては、酸化ルテニウム、酸化パラジウム、酸化ロジウムが挙げられる。また、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化クロム等の遷移金属酸化物、バルブ金属酸化物として酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化チタン等が含まれていてもよい。他の成分の割合としては、触媒層に含まれる金属の割合として、60モル%以下であることが好ましく、0~50モル%であることがより好ましく、0~40モル%であることがさらに好ましく、0~10モル%であることが特に好ましい。なお、本発明の塩素発生用電極は、食品の殺菌用の次亜塩素酸発生用電極としても好適に用いられることから、JIS B 8701で食品衛生上での安全が確認されている、酸化イリジウム、白金を含む触媒層が最も好適に用いられる。
本発明の塩素発生用電極において、触媒層の厚みとしては、特に制限されず、塩素発生用電極が設置される電解槽の大きさなどに応じて適宜設定されるが、例えば、0.1~10μm程度が挙げられる。
本発明の塩素発生用電極においては、塩化物イオン含有水溶液を電気分解することにより、次亜塩素酸等を好適に製造することができる。なお、塩化物イオン含有水溶液としては、好ましくは食塩水(例えば、バラスト水、海水など)、塩化カリウム水溶液、塩酸水溶液などが挙げられる。
本発明の塩素発生用電極は、例えば濃度が3質量%以下という低濃度の塩化物イオン水溶液の電気分解に好適に用いることができる。本発明の塩素発生電極を用いる塩化物イオン水溶液の濃度としては、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が最も好ましい。
電気分解時の温度としては、特に制限されないが、低濃度の塩化物イオン水溶液の電気分解に使用される場合であっても、塩素発生効率が高く、かつ、長期耐久性を向上させる観点からは、好ましくは2~45℃程度、より好ましくは25~45℃程度が挙げられる。
電気分解時の電流密度としては、特に制限されないが、低濃度の塩水の電気分解に使用される場合であっても、塩素発生効率が高く、かつ、長期耐久性を向上させる観点からは、好ましくは1~20A/dm程度、より好ましくは1~15A/dm程度が挙げられる。
ここで、本発明の塩素発生用電極における、塩化物イオン含有水溶液の電気分解による次亜塩素酸の生成メカニズムについて簡単に説明する。
本発明で用いる塩化物イオン含有水溶液中に含まれる塩化物イオンは、電極表面で酸化されて塩素を発生する(化1)。発生した塩素は一部水と反応して次亜塩素酸を生成する(化2)。
(化1) 2Cl → Cl+2e
(化2) Cl + HO → HCl + HClO
よって、生成される次亜塩素酸(HClO)は、電解液中の塩化物イオン濃度によって濃度が変化し、これらは殺菌力を有するものになる。
本発明の塩素発生用電極における塩素発生効率の好ましい範囲は60%以上であり、より好ましい範囲は65%以上であり、最も好ましい範囲は70%以上である。
2.塩素発生用電極の製造方法
本発明の塩素発生用電極の製造方法は、少なくとも、イリジウム酸化物及び白金を含む触媒層を形成する工程を備える。当該触媒層の形成方法としては、特に制限されず、熱分解法、粉末焼結法、電気めっき法、分散めっき法、溶射法、アークイオンプレーティング法など、イリジウム酸化物及び白金を含む触媒層を導電性基材の上に形成することができる、公知の方法を採用することができる。
これらの触媒層の形成方法の中でも、熱分解法が好ましい。熱分解法においては、例えば、少なくとも、イリジウム化合物及び白金化合物を含む溶液を、導電性基材上に塗布して、導電性基材上に溶液の塗膜を形成する工程と、導電性基材上の塗膜を焼成して、導電性基材上に、少なくとも、イリジウム酸化物、白金を含む触媒層を形成する工程とを備える。
イリジウム化合物としては、塗膜の焼成によって熱分解して触媒層にイリジウム酸化物が含まれるものであれば特に制限されず、例えば、硝酸イリジウム、硫酸イリジウム、炭酸イリジウム、塩化イリジウム、酢酸イリジウムなどが挙げられる。イリジウム化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
また、白金化合物としては、塗膜の焼成によって熱分解して触媒層に白金が含まれるものであれば特に制限されず、例えば、ジニトロジアンミン白金、塩化白金酸、硝酸テトラアンミン白金、ヘキサアンミン白金水酸塩、ビス(アセチルアセトナト)白金などが挙げられる。白金化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
溶液に含まれるイリジウム元素、白金元素のモル比(Ir/Pt)としては、特に制限されず、前述の触媒層におけるモル比となるように調整することができる。
溶液に含まれる溶媒としては、特に制限されないが、イリジウム化合物、白金化合物を溶解できるものが好ましい。溶媒の具体例としては、水や、硝酸、塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、ヘキサノールなどの低級アルコール、またはこれらのうち少なくとも2種を含む混合溶液などが挙げられる。また、導電性基材の溶解を抑制する観点などから、溶液にはpH調整剤などを配合してもよく、また、イリジウム、白金を錯化させて表面積を大きくする観点などから、リシン、クエン酸などを添加してもよい。
溶液中のイリジウム、白金の合計濃度としては、特に制限されないが、触媒層に含まれる白金触媒の担持量が所定量となるように、触媒層を好適に形成する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5~50質量%程度、さらに好ましくは1~30質量%程度が挙げられる。
また、触媒層を形成する工程において、少なくともイリジウム化合物を含む溶液と、白金化合物を含む溶液を用意し、それぞれの溶液を導電性基材の上に塗布することで、塗膜を形成してもよい。なお、このとき、イリジウム化合物を含む溶液に白金化合物が含まれていてもよいし、別々の溶液を準備していてもよい。また、各溶液を塗布した後、他の溶液を塗布する前に、後述の乾燥、さらには焼成を行って、組成の異なる多層構造の触媒層としてもよい。
溶液を導電性基材上に塗布する方法としては、特に制限されず、刷毛による塗布する方法、スプレー法、ディップコート法など公知の方法を採用することができる。なお、前述のとおり、導電性基材の表面は、粗面化してもよいし、エッチング、水洗、乾燥などの処理を行ってもよい。
溶液を導電性基材上に塗布した後、塗膜を焼成させる前に、塗膜を乾燥させることが好ましい。乾燥は、溶媒が蒸発する程度の条件で行えばよく、例えば200℃以下の温度で10分間程度行えばよく、150℃以下の温度で行うことがより好ましい。
次に、得られた塗膜を焼成し、導電性基材上に、少なくとも、イリジウム酸化物、白金を含む触媒層を形成して、塩素発生用電極を得る。焼成は、例えば、空気中等の酸化性雰囲気中(例えば大気中)において行うことができる。
焼成は、塗膜中のイリジウム化合物、白金化合物が熱分解して、得られる触媒層中にイリジウム酸化物、白金が含まれる条件で行えばよい。焼成温度としては、好ましくは400~600℃程度、より好ましくは450~550℃程度、最も好ましくは480~520℃程度が挙げられる。また、焼成時間としては、好ましくは5~60分間程度、より好ましくは10~30分間程度が挙げられる。
以上の塗布、乾燥、及び焼成の一連の工程を1回以上、好ましくは複数回繰り返して行い、導電性基材の上に触媒層を形成する。当該一連の工程の回数としては、特に制限されず、白金触媒の担持量が所定量となるまで繰り返すことが好ましい。また、一連の工程を繰り返す場合、塗布する溶液の組成は同一であってもよいし、異なっていてもよいが、通常は同一とする。
以上の方法により、本発明の塩素発生用電極を好適に製造することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、X線回折測定は、下記の条件で行った。
<X線回折の測定>
測定機器:(株)リガク製、Ultima IV
測定方法:測定サンプルを設置して、測定機器本体からX線が照射可能な状態にする。電流、電圧を印加してエージングを実施後、X線を照射して測定する。
X線源:CuKα線
出力設定:40kV、40mA
測定時光学条件:
発散スリット=2/3°
散乱スリット=8mm
受光スリット 開放
回折ピークの位置:2θ≒34°、46°
測定範囲:10°~90°
スキャン速度:3°/min
試料の調製:10mm×10mm×1mmに電極を切断する。
実施例及び比較例において使用した各材料の詳細は、以下の通りである。
・塩化イリジウム酸(田中貴金属工業社製)
・塩化白金酸(田中貴金属工業社製)
・n-ブタノール(KHネオケム社製)
[実施例1]
チタニウム製平板からなる導電性基体(厚み1mm)の表面を#100のアルミナでサンドブラスト処理した。このようにして粗面化された導電性基体の表面に、触媒層の原料として、塩化イリジウム酸、塩化白金酸を所定料含むn-ブタノール溶液を塗布し、120℃で10分間の乾燥処理を行った後、490℃で10分間の焼成処理を行った。この時の触媒層における、イリジウム(Ir)と白金(Pt)の組成比率(mol%)は70:30であった。この塗布-乾燥-焼成のプロセスを繰り返して、導電性基体の表面に触媒層が設けられた陽極を作製した。
[比較例1、比較例2]
実施例1と同様の触媒層の組成で、焼成温度が520℃のもの(比較例1)、焼成温度が550℃のもの(比較例2)をそれぞれ作製した。
[実施例2]
実施例1とは、触媒層の組成が異なる塩化イリジウム酸、塩化白金酸を所定料含むn-ブタノール溶液を塗布し、120℃で10分間の乾燥処理を行った後、490℃で10分間の焼成処理を行った。この時の触媒層における、イリジウム(Ir)と白金(Pt)の組成比率(mol%)は80:20であった。この塗布-乾燥-焼成のプロセスを繰り返して、導電性基体の表面に触媒層が設けられた陽極を作製した。
[実施例3、比較例3]
実施例2と同様の触媒層の組成で、焼成温度が520℃のもの(実施例3)、焼成温度が550℃のもの(比較例3)をそれぞれ作製した。
[比較例4、比較例5]
実施例1とは、触媒層の組成が異なる塩化イリジウム酸、塩化白金酸を所定料含むn-ブタノール溶液を塗布し、120℃で10分間の乾燥処理を行った後、490℃または550℃で10分間の焼成処理を行った。この時の触媒層における、イリジウム(Ir)と白金(Pt)の組成比率(mol%)は30:70であった。この塗布-乾燥-焼成のプロセスを繰り返して、導電性基体の表面に触媒層が設けられた陽極をそれぞれ作製した。
上記で得られた実施例1~3、比較例1~5の電極を陽極とし、陰極として白金板を使用し、電流密度0.08A/dm2、電解温度25℃で、塩化物イオン濃度が0.6質量%のHCl水溶液を電気分解し、有効塩素濃度から塩素発生効率を求めた。実施例1~3、比較例1~5で得られた電極の触媒組成と焼成温度、及び各種測定結果を表1に示す。
また、実施例1、比較例1、比較例2で得られた各電極の触媒層について、X線回折を測定して得られた2θ(°)とピーク強度(cps)との関係のグラフを図1に示す。
なお、グラフを見やすくするために、比較例1のピーク強度は実測値に50000、比較例2のピーク強度は実測値に100000を加算している。
Figure 2023035268000002
※X線回折ピーク積分強度の比=B:(白金の回折ピーク積分強度)/A:(酸化イリジウムの回折ピーク積分強度)
表1より、X線回折ピーク積分強度の比にPtに対するIrのモル比を乗じた値が0.149(実施例1)、0.108(実施例2)、0.420(実施例3)となる電極において、他の電極に比べて塩素発生効率が極めて良好だった(実施例1:71%、実施例2:73%、実施例3:69%)。
さらに、実施例1と同様の触媒層の組成であって電極製造時の触媒の焼成温度が違う、比較例1~2(Ir:Pt=70:30)や、実施例2~3と同様の触媒層の組成であって電極製造時の触媒の焼成温度が違う、比較例3(Ir:Pt=80:20)、及び、触媒層の組成が異なる比較例4~5(Ir:Pt=30:70)では実機での使用に耐えられるレベルの塩素発生効率は得られなかった。
上記より、触媒層の組成において、イリジウムがリッチな条件、かつ焼成温度が低温(490~520℃)である場合に好ましいことが分かった。これは、電極作製時に低い温度で焼成することにより、電極の触媒層表面の白金の結晶性が低くなり、結果として非結晶性(アモルファス状)の白金触媒が電極表面に形成されるためだと考えられる。
本発明に係る塩素発生用電極は、低濃度でも高い塩素発生効率を有するため塩化物イオン含有水溶液の電気分解による次亜塩素酸の製造に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 導電性基体と、前記導電性基体の上に設けられた触媒層とを備える塩素発生用電極であって、
    前記触媒層におけるCuKα線を用いたX線回折法によって測定される、白金の回折ピーク2θ=45°~48°、酸化イリジウムの回折ピーク2θ=34°~36°の範囲において、X線回折ピーク積分強度の比(白金の回折ピーク積分強度/酸化イリジウムの回折ピーク積分強度)に、触媒層中の白金に対するイリジウムのモル比(Ir(mol%)/Pt(mol%))を乗じた値が、0.5以下であることを特徴とする塩素発生用電極。
  2. 前記触媒層におけるイリジウム(Ir)と白金(Pt)の組成比率(mol%)が、イリジウム(Ir):白金(Pt)=90:10~50:50であることを特徴とする、請求項1に記載の塩素発生用電極。
  3. 濃度が3質量%以下の塩化物イオン含有水溶液の電気分解に用いられる、請求項1または請求項2に記載の塩素発生用電極。
  4. 前記塩素発生用電極が次亜塩素酸発生用であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の塩素発生用電極。
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