JP2023034053A - パウチ型非水電解質二次電池 - Google Patents

パウチ型非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充電状態で熱分解を起こし易い層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として用いることを可能にしたパウチ型非水電解質二次電池を提供する。【解決手段】二次電池は、ラミネートフィルムにより構成される外装材RFと、外装材内に収納され、正極、負極及びセパレータを含む電極素子と、非水電解液を備え、外装材は、ラミネートフィルムを重ね合わせて周縁を封止した封止部R1を有し、かつ対向する2つの面が矩形状の凹部R2、R3を有し、内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなし、正極合材層は、層状構造のチウム複合酸化物を正極活物質として含み、負極は負極合材層を有し、セパレータは、ポリエチレンからなる基材層と、ポリプロピレン、ポリイミド、アラミドの群から選ばれる表面層とを有し、外装材及び負極のそれぞれの最大面積を平面視したとき、負極合材層の面積を封止部を除く外装材の面積で除した値が0.9以下である。【選択図】図1

Description

本発明はパウチ型非水電解質二次電池に関する。
近年、非水電解質二次電池は、高エネルギー密度を有する等の理由から広く普及し、携帯電話やデジタルカメラ、ノートパソコン等の携帯用小型機器の電源として搭載されている。また、非水電解質二次電池は、エネルギー資源枯渇問題や地球温暖化等の観点から、ハイブリッド自動車や電気自動車、又は太陽光や風力等の自然エネルギー発電による電力貯蔵用等の大型産業用途への開発が進められている。非水電解質二次電池は、これらの電源の利用拡大のために更なる高密度化、長寿命化が求められている。
中でも外装材としてラミネートフィルムを用いたパウチ型非水電解質二次電池は外装材が薄くて軽いため体積エネルギー密度、質量エネルギー密度ともに金属缶を備える非水電解質二次電池よりも優れている。また、パウチ型非水電解質二次電池は組電池として用いる場合の作製手順も簡易であり、生産性にも優れている。これらの特徴から、高エネルギー密度かつ低コストであることが求められる用途ではパウチ型非水電解質二次電池が注目されている。
このようなパウチ型非水電解質二次電池の負極は、負極集電体と、負極集電体の一方の面又は両面に設けられた負極活物質を含む負極層とを備える。負極活物質は、金属リチウム、リチウム合金、黒鉛等の炭素材料、リチウムチタン酸化物(LiTi12)等が用いられる。特に、正極との電位差が大きく高容量の黒鉛が一般に負極活物質として用いられる。
一方、パウチ型非水電解質二次電池の正極には、LiFePO4、或いはその一部をMnで置換したオリビン型構造を有するポリアニオン系化合物、或いはLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNiO、LiCoMO、LiNiMO、これら正極活物質の一部元素が異種元素で置換されたもの、又はCo、Ni或いはMnを含む三成分系の層状構造を有するリチウム複合酸化物等が用いられる。特に、層状構造を有するリチウム複合酸化物は、高容量かつ高電圧であるため、エネルギー密度が重視される用途に適している。
層状構造を有するリチウム複合酸化物は、充電状態における熱安定性が劣るため、当該リチウム複合酸化物を用いた非水電解質二次電池は安全性に問題がある。当該リチウム複合酸化物は、充電状態で200℃以上の温度になると、熱分解を起こす。このため、その温度に達する前に二次電池内部での発熱反応による急激な温度上昇を防ぐことが重要である。例えば、二次電池が短絡又は過充電を起こすと、100~200℃程度まで容易に温度上昇するため、二次電池内部においてそれ以上の温度の発熱反応を防止することによって、層状構造を有するリチウム複合酸化物の熱分解を防ぐことができる。
二次電池内部での発熱反応の要因は、セパレータのメルトダウンによる破膜が挙げられる。温度上昇に伴ってセパレータが破膜すると、二次電池内部で新たな短絡が生じ、発熱反応が起こる。発熱反応は、温度上昇を加速するため、層状構造を有するリチウム複合酸化物の熱分解を誘発する。そのような背景から、層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として用いた非水電解質二次電池において、耐熱性の比較的高い材質からなるセパレータを使用することが提案されている(例えば特許文献1、2)。
特許第6394743号公報 特許第6777737号公報
特許文献1、2に用いられるセパレータの材質は、従来のセパレータと比較して相対的に耐熱性に優れている。しかしながら、本願発明者らの検討結果によると、単に耐熱性に優れたセパレータ用いても200℃程度まで温度上昇した場合に従来のセパレータと同様に破膜して短絡を引き起こし、発熱反応が起こることが究明された。つまり、セパレータの材質的な耐熱性の改善だけでは有意に発熱反応を抑制することができない。
本発明は、短絡又は過充電等で200℃程度まで温度上昇した際のセパレータの破膜を防止し、充電状態で熱分解を起こし易い層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として用いることを可能にしたパウチ型非水電解質二次電池を提供する。
本発明によれば、ラミネートフィルムにより構成される外装材と、外装材内に収納され、正極、負極及びセパレータを含む電極素子と、外装材内に収容され、リチウム塩及び非水溶媒を含む非水電解液とを備えるパウチ型非水電解質二次電池であって、外装材は、ラミネートフィルムを重ね合わせて周縁を封止した封止部を有し、対向する2つの面が矩形状の凹部をそれぞれ有することにより内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなし、正極は、集電体と、集電体の一方又は両方の面に形成された正極合材層とを有し、正極合材層は、層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として含み、負極は、集電体と、集電体の一方又は両方の面に形成された負極合材層とを有し、セパレータは、基材層と、基材層の両面に一体的に配置された表面層とを有し、基材層はポリエチレンからなり、表面層はポリプロピレン、ポリイミド、及びアラミドの群から選ばれる1つ又は2つ以上の材料からなり、外装材及び負極のそれぞれの最大面積を平面視したとき、(負極合材層の面積)を(封止部を除く外装材の面積)で除した値が0.9以下であるパウチ型非水電解質二次電池を提供する。
本発明によれば、短絡又は過充電等で200℃程度まで温度上昇した際のセパレータの破膜を防止し、充電状態で熱分解を起こし易い層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として用いることを可能にし、当該リチウム複合酸化物による高容量及び高電圧を実現し、さらに高い安全性を有するパウチ型非水電解質二次電池を提供することができる。
実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池の平面図及び側面図である。 実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池の電極素子の平面図である。 実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池の断面図である。 実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池の電極素子の分解斜視図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。また、以下で説明するメカニズムは推定を含むがその成否は本発明を何ら制限するものではない。
実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池は、正極1、負極2、及びセパレータ3を備える電極素子10と、リチウム塩及び非水溶媒を含む非水電解液と、前記電極素子10及び前記非水電解液を収容する外装材RFと、を有する。
外装材RFは、扁平形状であり、1枚又は2枚のラミネートフィルムを重ね合わせて封止し、例えば両面を絞り成形することで作製される。ラミネートフィルムが1枚の場合、互いに所望の間隔を開けて絞り成形された矩形状の収容凹部R2、R3を有するラミネートフィルムを用意し、当該ラミネートフィルムをそれらの収納凹部R2,R3の開口が互いに対向するように折り曲げ、重ね合わせて周縁を封止して封止部R1を形成することにより外装材RFを作製することができる。ラミネートフィルムが2枚の場合、絞り成形された矩形状の収容凹部R2,R3をそれぞれ有する2枚のラミネートフィルムを用意し、2枚のラミネートフィルムをそれらの収納凹部R2,R3の開口が互いに対向するように重ね、周縁を封止して封止部R1を形成することにより外装材RFを作製することができる。なお、外装材RFの内部には2つの収納凹部R2,R3からなる矩形状の密閉空間が形成される。絞り成形は、例えば深絞り加工又はプレス加工等の公知の手法によって行うことができる。収容凹部R2、R3の深さD1、D2は、絞り成形時にラミネートフィルムに加える圧力及び/又は加圧時間などを制御することによって調整することが可能である。
なお、外装材RFは、深絞り加工又はプレス加工等による絞り成形によって作製される場合を説明したが、例えば真空成形又は圧空成形による絞り成形によって作製されてもよい。また、外装材RFは合成樹脂を射出成型することによって作製してもよい。射出成型により作製する場合、通常、ガスバリア層はスパッタリング等によって形成される。
外装材RFの凹部R2、R3の深さD1及びD2は、同じであることが好ましいが、パウチ型非水電解質二次電池が組電池として用いられる場合の設計の都合上、D1及びD2は必ずしも等しくなくてもよい。収容凹部R2、R3の深さの合計値D1+D2は、製造時の作業性の観点から電極素子10の厚さの50%以上であることが好ましく、電極素子10への拘束圧の観点から電極素子10の厚さの150%以下であることが好ましい。
ラミネートフィルムは、例えば保護層、金属層、及び熱融着樹脂層を含む。各層の間には、接着層が形成されてもよい。
保護層は、特に限定されず公知又は市販のものを使用できる。そのような保護層は、例えばナイロン、又はポリエチレンテレフタラート等で形成される。
金属層は、特に限定されず公知又は市販のものを使用できる。そのような金属層は、例えば鉄、ニッケル、銅、スズ、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属箔で形成される。金属層は、アルミニウム箔又はステンレス箔で形成されることが好ましい。
熱融着樹脂層は、特に限定されず公知又は市販のものを使用できる。そのような熱融着樹脂層は、例えばポリプロピレン、又はポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂で形成される。
また、実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池は、外装材RF及び負極2の最大面積を平面視したとき(負極合材層の面積)を(封止部R1を除く外装材の面積)で除した値が0.9以下である。好ましい値は、0.8以下である。また、エネルギー密度の観点から、前記値は0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
正極1は、図3に示すように集電体1aと、集電体1aの一方の面又は両面に形成された正極合材層1bとを備える。
正極合材層1bが形成される集電体1aは特に限定はされないが、金属を用いることが好ましい。そのような金属は、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、又はその他合金等である。これらの中でも、電子伝導性や電池作動電位の観点からアルミニウムが好ましい。集電体1aの厚さは1~50μmであることが好ましい。
正極合材層1bは、層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として含む。当該リチウム複合酸化物は、例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNiO、LiCoMO、及びLiNiMO(Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、又はBのうち少なくとも1種)、これらリチウム複合酸化物の一部元素が異種元素で置換されたもの、並びにCo、Ni及びMnを含む三成分系のものからなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。正極活物質は、これらの群から選ばれる2つ以上を組み合わせて用いてもよい。また、サイクル特性向上及び熱安定性向上のために、当該リチウム複合酸化物の表面に酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化ニオビウム、酸化チタン或いは酸化タングステン等の無機物質、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、又はこれらの誘導体或いは塩等のイオン伝導性ポリマーを被覆してもよい。当該リチウム複合酸化物の粒子は、平均粒子径(D50)が1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。
また、正極合材層1bは熱安定性向上のために、さらにオリビン型構造を有するポリアニオン系化合物を正極活物質として含んでいてもよい。当該ポリアニオン系化合物は、例えばLiFePO又はそのFeの一部をMnで置換したもの等である。電気伝導性の向上を目的としてオリビン型構造を有するポリアニオン系化合物の表面が炭素材料で被覆されていてもよい。当該ポリアニオン系化合物は、エネルギー密度の観点から正極活物質の総重量に対して40重量%以下、熱安定性を十分に向上させる観点から10重量%以上であることが好ましい。オリビン型構造を有するポリアニオン系化合物の粒子は、平均粒子径(D50)が充填性やイオン伝導性などの観点から層状構造を有するリチウム複合酸化物の粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。
正極合材層1bは、電極中の導電パス確保のために、更に導電材を含むことが好ましい。導電材は、特に限定されないが例えば黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、活性炭、又はカーボンファイバー等である。導電材は、これらの材料から1つ、又は2つ以上の混合物として用いてもよい。
正極合材層1bは、さらに結着材を含んでもよい。結着材は、特に限定されないが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ニトリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂、又はそれらの共重合体等である。結着材は、これらの材料から1つ、又は2つ以上の混合物として用いてもよい。また、例えば分散材やpH調整材、水分捕集材などの公知の他の添加物を更に含んでいてもよい。
正極合材層1bは、集電体1aの一方の面又は両面に形成されるが、一方の面当たりの塗工量は75g/m以上150g/m以下であることが好ましい。正極合材層1bの量を前記範囲にすることによって、十分なエネルギー密度を確保でき、かつ出力特性及びサイクル特性を良好に保つことが可能になる。また、集電体1a上には正極集電リード11を形成するために、正極合材層1bの未形成領域を残しておくことが好ましい。
正極合材層1bの密度は、エネルギー密度の観点から2.3g/cm以上であることが好ましく、2.5g/cm以上であることがよりに好ましい。また、正極合材層1b内部に適切な空隙を確保して電解液含侵性を良好に保ち、かつ高いサイクル特性を得るために、3.5g/cm以下であることが好ましく、2.9g/cm以下であることがより好ましい。
負極2は、図3に示すように集電体2aと、集電体2aの一方の面又は両面に形成された負極層2bとを備える。
集電体2aは、特に限定されないが、金属を用いることが好ましい。そのような金属は、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、又はその他合金等である。なかでも、電子伝導性や電池作動電位の観点から銅が好ましい。また、集電体2aの厚さは1~50μmであることが好ましい。また、集電体2a上には負極集電リード12を形成するために、負極層2bの未形成領域を残しておくことが好ましい。
負極活物質は、特に制限されるものではなく、金属リチウム、リチウム合金、或いは黒鉛、非晶質炭素、遷移金属複合酸化物(例えばLiTi12、又はTiNb等)、又はリチウムを吸蔵・放出可能な合金等である。これらの中でも、黒鉛は金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧で充放電を行うことが可能であり、更にサイクル特性に優れるため、好ましい。また、黒鉛と他の負極活物質を組み合わせて用いてもよい。
前記負極活物質が金属リチウムまたはリチウム合金である場合、当該金属リチウムまたはリチウム合金の箔を集電体の一方の面または両面に貼り付けることにより負極層を形成して負極を作製することができる。
一方、負極活物質が金属リチウムまたはリチウム合金以外の、例えば黒鉛である場合、当該負極活物質を結着材、必要に応じて導電材と共に、溶媒に分散させて負極スラリーを調製する。負極スラリーを集電体の一方の面または両面に塗工、乾燥し、必要に応じてローラなどで加圧して負極活物質および結着材を含む負極層を形成し、負極を作製することができる。
結着材は、特に限定はされないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリファスファゼン、ポリアクリロニトリル、それらの共重合体などのうちの1つ、又は2つ以上の混合物を用いることができる。
導電材は、例えばアセチレンブラックなどの導電性カーボン粉やカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェンなどを用いることができる。
負極活物質、結着材等を含む負極層2bは、必要に応じて増粘材を更に含んでいてもよい。増粘材は、例えばカルボキシメチルセルロース、又はポリビニルアルコール等である。また、例えば分散材など他の添加物を更に含んでいてもよい。
負極活物質、結着材等を含む負極層2bは、集電体2aの一方の面又は両面に形成されるが、一方の面当たりの塗工量は40g/m以上95g/m以下であることが好ましい。当該負極層2bの量を前記範囲にすることによって、十分なエネルギー密度を確保でき、かつ出力特性及びサイクル特性を良好に保つことが可能になる。また、充電時のリチウム金属デンドライト析出抑制の観点から、負極層2bの量は(正負極容量比)=(一方の面における面積当たりの負極容量)/(一方の面における面積当たりの正極容量)が1.01以上になるように規定することが好ましく、1.1以上になるように規定することがより好ましい。ただし、正負極容量比の値が大きすぎると充放電反応に寄与しない負極層2bの量が増加し、エネルギー密度が減少するため、正負極容量比の値は1.3以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましい。
負極活物質、結着材等を含む負極層2bの密度は、エネルギー密度の観点から1.0g/cm以上であることが好ましく、1.2g/cm以上であることがより好ましい。また、負極層2b内部に適切な空隙を確保し、電解液含侵性を良好に保つことで良好なサイクル特性を得るために、1.7g/cm以下であることが好ましく、1.5g/cm以下であることがより好ましい。
セパレータ3は、シャットダウン効果の発現と耐熱性の両立の観点から、基材層と、その両面に配置された表面層を有する。基材層には、ポリエチレンが用いられる。ポリエチレンは、短絡や過充電によって二次電池内部の温度が上昇したときにシャットダウン効果により絶縁する機能を有する。表面層には、圧力がかけられたときに軟化や収縮が抑制される材料を用いることが好ましい。そのような材料は、例えば基材層よりも高い軟化点を有するポリプロピレン、ポリイミド、及びアラミド等の群から選ばれる少なくとも1種以上の材料が用いられる。これらの中でもポリプロピレンを用いることが好ましい。
表面層は正極合材層に対向する基材層の表面、及び負極層に対向する基材層の表面に配置されている。表面層は、ポリプロピレン、ポリイミド、及びアラミド以外の樹脂を含有していた場合、温度上昇時の熱収縮によってセパレータ3の熱耐性が損なわれ破膜してしまう虞がある。また、熱収縮はそれらの樹脂が無機フィラーと混合されて被覆されている場合にも同様に起こり得る。
また、セパレータ3の厚さは破膜に対する耐性の観点から10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。エネルギー密度の観点からは、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましい。セパレータ3の透気度は破膜に対する耐性の観点から100sec/100mL以上であることが好ましく、200sec/100mL以上であることがより好ましい。イオン伝導性による出力特性への影響の観点からは、600sec/100mL以下であることが好ましい。同様に、セパレータ3の空孔率は破膜に対する耐性の観点から60%以下であることが好ましく、イオン伝導性の観点からは30%以上であることが好ましい。
電極素子10は、図4に示すように複数枚の正極1と負極2とがセパレータ3を介して積層された構造を有する。積層された正極1、負極2及びセパレータ3の最大面積を平面視したとき、セパレータ3は正極1と負極2を物理的に絶縁するために、正極1及び負極2よりも面積が大きいことが好ましい。セパレータ3は、つづら折り状に繋がった状態で積層されていてもよいし、1枚1枚が独立した状態の枚葉形式で積層されていてもよい。また、積層された電極素子10は図2に示すような状態で外装材RFに収納されていてもよく、図2の状態から更に巻回又は折り曲げをした状態で収納されていてもよい。
正極1及び負極2は、例えば正極集電リード11及び負極集電リード12が延出され、これらの収電リード11,12に正極端子13及び負極端子14がそれぞれ電気的に接続されている。例えば、正極端子13は正極集電リード11にスポット溶接部15で接続され、負極端子14は負極集電リード12にスポット溶接部16で接続されている。正極端子13及び負極端子14は、外装材RFの封止部R1を通して外部に延出している。正極端子13及び負極端子14の延出箇所は、例えば外装材RFの同一の側面の封止部R1でもよいし、又は外装材RFの対向する側面の封止部R1でもよい。正極端子13及び負極端子14の材質は特に限定されないが、接続性の観点などから、それぞれ集電体1a、2aと同じ材質で構成されていることが好ましい。また、封止性の観点から各端子13、14は外装材RFの封止部R1に位置する部分に熱融着樹脂部6を有することが好ましい。
非水電解液は、リチウム塩と、添加材と、非水溶媒とを含む。
リチウム塩は、特に限定されないが、例えばLiBF、LiPF、Li(FSON、又はLi(CFSON等から選ばれる1種又は2種以上の混合物である。リチウム塩の濃度は、0.5mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.8mol/L以上1.5mol/L以下であることがより好ましい。
添加材は、特に限定されないが、例えばビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3,2-ジオキサチオラン2,2-ジオキシド、1,5,2,4-ジオキサジチアン2,2,4,4-テトラオキシド、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、1-プロペン1,3-スルトン、又はLiPO等である。また、これ以外の公知の添加材を用いてもよく、複数の添加材を組み合わせて用いてもよい。これらの添加材を用いることで、初期充放電時に正負極上に良好な被膜を形成することができ、サイクル特性が良好になる。
非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、プロピオン酸メチル、酢酸メチル、ギ酸メチル、酪酸メチル、ジオキソラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ―ブチロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニトリルから選ばれる1つ又は2つ以上の混合溶媒である。特に、DMC、DEC、DPC、EMC、EC、PCが好ましく、負極活物質への良好な被膜形成の点から、ECを含むことが好ましい。
非水電解液の量は、少なすぎると液枯れを起こしてイオン伝導性が低下し充放電反応の妨げとなることから、二次電池の容量1Ahあたり3.5g以上であることが好ましく、4g以上であることがより好ましい。また、非水電解液の量が多すぎると重量あたりのエネルギー密度が低下するのみでなく、二次電池の内圧が大きくなり特にガスが発生した場合に外装材RFによって電極素子10を適切に加圧することができなくなり、セパレータ3の破膜による短絡が発生しやすくなる。このような理由から、非水電解液の量は二次電池の容量1Ahあたり8g以下であることが好ましく、7g以下であることがより好ましい。
実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池の定格容量は、エネルギー密度の観点から1Ah以上であることが好ましい。1Ahより定格容量が小さいと、充放電に関与する電極素子10に対して外装材RFなどの他の部材が占める体積や重量が大きくなってしまい、エネルギー密度が低下してしまう。また、短絡や過充電、異常昇温が発生した場合の安全性の観点から定格容量は30Ah以下であることが好ましく、25Ah以下であることがより好ましい。30Ahより定格容量が大きくなると、パウチ型非水電解質二次電池の放熱性が悪化するため、実施形態における構成を適用した場合でも安全性を保つことが難しくなる。
なお、ここで指す「定格容量」とは、任意の方法で数サイクルの活性化工程を行ったパウチ型非水電解質二次電池を、開回路電圧が4.2Vに到達するまで定電流充電を行うとともに電流値が0.05C(電極素子の設計から予想される容量を1Cとする)に減少するまで4.2Vの定電圧充電を行った後に、0.2Cの電流値で定電流放電したときの放電容量のことである。
実施形態に係るパウチ型非水電解質二次電池によれば、1)ラミネートフィルムを重ね合わせて周縁を封止した封止部を有し、かつ対向する2つの面が矩形状の凹部をそれぞれ有することにより内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなす外装材を備えること、2)基材層および基材層の両面に一体的に配置された表面層を有し、基材層がポリエチレンからなり、表面層がポリプロピレン、ポリイミド、及びアラミドの群から選ばれる1つ又は2つ以上の材料からなるセパレータを備えること、3)外装材及び負極のそれぞれの最大面積を平面視したとき、負極合材層の面積を外装材の面積(封止部を除く)で除した値が0.9以下であること、によって、短絡又は過充電等で200℃程度まで温度上昇した際のセパレータの破膜を防止し、充電状態で熱分解を起こし易い層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として用いた場合でも高い安全性を確保することを可能にした。その結果、当該リチウム複合酸化物による高容量及び高電圧を実現し、さらに高い安全性を確保できる。
すなわち、ラミネートフィルムを重ね合わせて周縁を封止した封止部を有し、かつ対向する2つの面が矩形状の凹部をそれぞれ有することにより内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなす外装材は、対向する2つの面の機械的剛性を向上できるため、密閉空間内に収納した電極素子10に適切な拘束圧を加えることが可能になる。電極素子10に適切な拘束圧を加えることによって、電極素子10を構成するセパレータ3に加えられる圧力を増大できる。一般的に、固体は圧力が加えられると軟化点が上がり液体又は流動状態へと相変化が起こり難いことが知られている。更に、圧力を加えることによりセパレータ3の熱収縮も抑制される。
従って、セパレータ3に圧力を加えることによって、短絡または過充電により温度が上昇し、セパレータの材質自体の軟化点より高い温度となっても、セパレータ3の軟化又は収縮による破膜を防ぐことができる。
なお、外装材RFの対向する2つの面のうち、片方の面のみに凹部が形成されている場合は、凹部が成形されていない面の機械的剛性が低いことから電極素子10に対する拘束圧が弱くなる。このため、上述のようなセパレータ3への作用が十分に発揮されずセパレータ3の破膜が起こり易くなる。
また、上述の拘束圧による軟化や収縮の抑制効果は一律ではなく、セパレータ3の材質によってその効果の程度は変わり得る。例えば、セパレータ3を構成する高分子のポリマー鎖にアルキル基又は芳香族環などの官能基が側鎖として含まれている場合は、それらの官能基によってポリマー鎖が圧力で圧縮されたときに比べて強力な分子間相互作用が発生して分子の流動性が抑制されるため、軟化点が増大する。
従って、基材層および基材層の両面に一体的に配置された表面層を有し、基材層がポリエチレンからなり、表面層が高分子のポリマー鎖にアルキル基又は芳香族環などの官能基が側鎖として含まれるポリプロピレン、ポリイミド、及びアラミドの群から選ばれる1つ又は2つ以上の材料からなるセパレータを備えることによって、表面層において前述した強力な分子間相互作用が発生して分子の流動性が抑制され、軟化点が増大するため、短絡又は過充電により温度が上昇し、セパレータの材質自体の軟化点より高い温度となっても、セパレータ3の軟化又は収縮による破膜を防ぐことができる。
更に、外装材RF及び負極2のそれぞれの最大面積を平面視したとき、負極合材層の面積を外装材の面積(封止部を除く)で除した値が0.9以下にすることによって、充放電又は温度上昇に伴って発生したガスが電子素子10内部に留まらず、電子素子10外部の外装材RFの内部のガスポケット領域に移動させることが可能になる。ここで、外装材RFの最大面積を平面視したときの封止部R1を除く外装材の面積(例えば図1の場合ではW1×L1で算出される面積)は電極素子10と比較して十分に大きくする。また、負極2周縁部へのデンドライト析出抑制の観点から、負極2は正極1よりも大きく設計される。なお、負極2の面積は負極合材層2bが形成される面積のことを指し、例えば図2の場合では、網掛け部分の面積に相当するW2×L2で算出される面積のことを指す。従って、(負極合材層2bの面積W2×L2)/(封止部R1を除く外装材の面積W1×L1)が0.9以下である。これらの寸法を勘案して負極合材層の面積を外装材の面積(封止部を除く)で除した値が0.9以下にすることによって、外装材RFの内部に十分な容積の前記ガスポケット領域を形成できる。
このようなガスポケット領域は、次のような作用をなす。充放電又は温度上昇に伴って電子素子10内部にガスは発生する。発生したガスは、電子素子10内部からガスポケット領域に円滑に移動し、結果として電子素子10内部のガスはそこに留まることなく逃散される。このような状態で、前述したラミネートフィルムの外装材RFによりその密閉空間内に収納した電極素子10に適切な拘束圧を加えると、電極素子10内部にガスが殆ど存在しないため、電極素子10のセパレータ3に均一な拘束圧を印加することが可能になる。その結果、短絡または過充電により温度が上昇し、セパレータの材質自体の軟化点より高い温度となっても、セパレータ3の軟化又は収縮による破膜を防ぐことができる。
以上、前記1)~3)の要素の相乗作用によって、短絡又は過充電等で200℃程度まで温度上昇した際のセパレータの破膜を防止でき、充電状態で熱分解を起こし易い層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として用いることを可能にし、当該リチウム複合酸化物による高容量及び高電圧を実現し、さらに高い安全性を有するパウチ型非水電解質二次電池を提供できる。
以下に、実施例を例示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の形態に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(正極の作製)
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM)を90重量%、第1の導電材として黒鉛を3重量%、第2の導電材としてアセチレンブラックを3重量%、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を4重量%、及び粘度調整溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量混合して、正極スラリーを調製した。
調製した正極スラリーを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗工、乾燥して正極合材層を形成し、正極を作製した。このときの正極合材層の片面あたりの塗工量は96g/mとした。続いて、正極にプレス加工を施して正極合材層の密度を2.5g/cmとした。その後に、正極合材層が形成されている部分の長方形の一辺から矩形状に突出するように切断した。突出部は、正極合材層が形成されず、正極集電リードとして機能する。また、この切断は正極合材層の面積(正極合材層が形成されている部分の面積)が10.90cm×16.00cm=187.42cmとなるように行った。
(負極の作製)
負極活物質として黒鉛を96.7重量%、導電材としてアセチレンブラックを0.3重量%、結着材としてスチレンブタジエンゴムを1.5重量%、増粘材としてカルボキシメチルセルロースを1.5重量%、及び粘度調整溶媒としてイオン交換水を適量混合して、負極スラリーを調製した。
調製した負極スラリーを、負極集電体である厚さ10μmの銅箔の両面に塗工、乾燥して負極合材層を形成し、負極を作製した。このときの負極合材層の片面あたりの塗工量は58g/mとした。続いて、正極にプレス加工を施して負極合材層の密度を1.2g/cmとした。その後に、負極合材層が形成されている部分の長方形の一辺から矩形状に突出するように切断した。突出部は、負極合材層が形成されず、負極集電リードとして機能する。また、この切断は負極合材層の最大面積を平面視したときの面積(負極合材層が形成されている部分の面積)が11.35cm(図2のW2)×16.30cm(図2のL2)=196.44cmとなるように行った。
(非水電解液の調製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比2:5:3の割合で混合した混合溶媒に、リチウム塩としてLiPFを1.3mol/L、添加材としてビニレンカーボネートを3重量%の割合で溶解させたものを非水電解液として用いた。
(電極素子の作製)
次に、正極集電リードを有する正極10枚と負極集電リードを有する負極11枚とを、つづら折り状に繋がったセパレータに交互に積層することにより電極素子を作製した。セパレータは、ポリエチレンからなる基材層の両面にポリプロピレンからなる表面層が配置されているもの(PE/PP/PE)を用いた。セパレータは、厚さが17μmで、透気度が200sec/100mL、空孔率が51%である。続いて、正極集電リード及び負極集電リードをそれぞれ集束して、集束した正極集電リードに正極端子を超音波溶接により接続し、集束した負極集電リードに負極端子を超音波溶接により接続した。作製した電極素子は、厚さが3.0mm、定格容量が4.8Ahであった。
(パウチ型非水電解質二次電池の組立て)
ポリオレフィンからなる熱融着樹脂層と、アルミニウム箔からなる金属層と、ナイロン樹脂及びポリエステル樹脂からなる保護層とがこの順番で積層した構造を有するラミネートフィルムを2枚用意した。2枚のラミネートフィルムの厚さは、それぞれ153μmであった。各ラミネートフィルムには、それぞれプレス加工による絞り成形により深さ(図1のD1、D2)が2mm、面積が12.0cm(図1のW1)×17.0cm(図1のL1)=204.00cmの凹部が形成されている。
2枚のラミネートフィルムの熱融着樹脂層を互いに対向して配置して、2つの凹部内に電極素子を収納した後、ラミネートフィルムを鏡合わせで重ね合わせた。2枚のラミネートフィルムの周縁に矩形枠状をなす別の熱融着樹脂層を形成した。2つの凹部内への電極素子の収納にあたっては、正極端子及び負極端子が2枚のラミネートフィルムの同じ側面か別の熱融着樹脂層を通過して外部に延出するように配置した。この状態で、それらラミネートフィルムの各端子が延出する辺を含む3辺において、ラミネートフィルムの熱融着樹脂層及び枠状の別の熱融着樹脂層を互いに熱融着して幅10mmの矩形枠状の封止部を形成した。
次いで、非水電解液を2枚のラミネートフィルムの熱融着していない1辺から内部に注入した。続いて、減圧環境下で、2枚のラミネートフィルムの残りの1辺を熱融着して電極素子が2つの凹部(密閉空間)内に気密に収納された外装材を形成し、パウチ型非水電解質二次電池を組立てた。注入した非水電解液は、32g(1Ahあたり6.7g)であった。また、外装材の最大面積を平面視したときの封止部を除く外装材の面積は17.4cm×14.3cm=248.82cmであり、(負極合材層の面積)/(封止部を除く外装材の面積)=(W2×L2)/(W1×L1)=0.744であった。
(実施例2)
正極活物質としてNCMを72重量%、LiMn0.7Fe0.3PO(LMFP)を18重量%用いたこと以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。このとき、電極素子の厚さは3.1mmであり、定格容量は5.0Ahであった。
(実施例3)
外装材の一方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D1)を3.6mm、他方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D2)を0.4mmとした以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例4)
外装材の一方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D1)を0.4mm、他方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D2)を3.6mmとした以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。
(実施例5)
外装材の一方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D1)を2.4mm、他方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D2)を1.6mmとした以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例1)
外装材の一方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D1)を4mm、他方のラミネートフィルムの凹部の深さ(D2)を0mm、つまり凹部のない平坦なものとした以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。
(比較例2)
セパレータとしてポリエチレンのみからなり、厚さ25μm、透気度260sec/100mL,空孔率47%のもの(PE)を用いた以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。このとき、電極素子の厚さは3.2mmであった。
(比較例3)
セパレータとして実施例1と同様なセパレータの片面にさらに厚さ3μmの無機フィラーを含む樹脂を被覆したもの(PE/PP/PE/無機フィラー)を用いた以外、実施例1と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。なお、セパレータの無機フィラーを含む樹脂が被覆された面は正極と対向して積層した。セパレータは、厚さが20μmであり、透気度及び空孔率は実施例1で用いたセパレータと同様であった。また、電極素子の厚さは3.1mmであった。
(比較例4)
セパレータの無機フィラーを含む樹脂が被覆された面を負極と対向して積層(無機フィラー/PE/PP/PE)した以外、比較例3と同様な方法によりパウチ型非水電解質二次電池を組立てた。
(加熱試験による評価)
実施例1~5及び比較例1~4のパウチ型非水電解質二次電池について、まず上限電圧4.2V、0.2C、カットオフ電流0.05Cの定電流定電圧充電を行った。その後、25℃に設定された恒温槽内にパウチ型非水電解質二次電池を静置した。恒温槽の温度を10℃/分で200℃まで上昇させて発火の有無を確認した。この時点で発火が見られた場合は安全性の判定を「×」、発火が見られなかった場合は「〇」とした。判定が「〇」となったパウチ型非水電解質二次電池は、恒温槽の温度を200℃の状態でさらに1時間保持して試験を継続し、この時点でも発火が見られなければ判定を「◎」とした。これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2023034053000002
表1に示す結果から明らかなように、実施例1~5のパウチ型非水電解質二次電池は短絡や過充電等で200℃程度まで温度上昇した際にも直ちに発火することはなく、高い安全性を有することが判明した。特に、実施例2のパウチ型非水電解質二次電池はオリビン型構造を有するポリアニオン系化合物を混合した正極合材層を用いることによって、熱安定性が向上し、連続的に200℃の状態を保持しても発火が見られなかったことから、一層高い安全性を有していた。また、実施例3~5のパウチ型非水電解質二次電池は外装材の2枚のラミネートフィルムに絞り成形により凹部をそれぞれ形成する際、凹部の深さの比率に拘わらず、熱安定性が向上することがわかる。
これに対し、比較例1~4のパウチ型非水電解質二次電池は200℃に到達する前に発火が見られたことから安全性が劣っていた。
比較例1のパウチ型非水電解質二次電池は、外装材の一方のラミネートフィルムのみに絞り成形により凹部が形成されている。このため、比較例1のパウチ型非水電解質二次電池は実施例1のように外装材の2枚のラミネートフィルムに絞り成形により凹部をそれぞれ形成することにより2つの凹部(密閉空間)内に収納した電極素子に適切な拘束力が印加することができず、パウチ型非水電解質二次電池の熱安定性が低下する。
比較例2のパウチ型非水電解質二次電池は、セパレータがポリエチレンで形成されているため、ポリエチレンからなる基材層の両面にポリプロピレンからなる表面層が配置されたセパレータを備える実施例1~5のパウチ型非水電解質二次電池に比べて熱安定性が著しく低下する。
比較例3のパウチ型非水電解質二次電池は、セパレータの正極と対向する面に無機フィラーを含む樹脂層が被覆されている。このような二次電池は、温度上昇時に無機フィラーが熱収縮し、セパレータの熱安定性が損なわれたため、熱安定性が低下する。
比較例4のパウチ型非水電解質二次電池は、セパレータの負極と対向する面に無機フィラーを含む樹脂層が被覆されている。このような二次電池は、比較例3と同様に温度上昇時に無機フィラーが熱収縮し、セパレータの熱安定性が損なわれたため、熱安定性が低下する。比較例3及び4の結果から、セパレータの正極又は負極と対向する面に無機フィラーを含む樹脂層が被覆されていると、セパレータの熱安定性が低下することが明らかである。
これらの結果から、外装材の2枚のラミネートフィルムに凹部をそれぞれ形成すること、ポリエチレンからなる基材層上に高い軟化点を有する表面層が形成されたセパレータを用いること、外装材及び負極のそれぞれの最大面積を平面視したとき、負極合材層の面積を前記封止部を除く外装材の面積で除した値、つまり(W2×L2)/(W1×L1)が0.9以下にすること、の3つの要素を全て満たすことによって、それらの相乗作用により安全性の高いパウチ型非水電解質二次電池が得られることを実証できる。
なお、いくつかの実施形態について、具体的に説明したが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく種々の変更が可能である。
1…正極板、2…負極板、3…セパレータ、6…熱融着樹脂部、10…電極素子、11…正極集電リード、12…負極集電リード、13…正極端子、14…負極端子、15,16…スポット溶接部、RF…外装材、R1…封止部、R2、R3…凹部。

Claims (7)

  1. ラミネートフィルムにより構成される外装材と、
    前記外装材内に収納され、正極、負極及びセパレータを含む電極素子と、
    前記外装材内に収容され、リチウム塩及び非水溶媒を含む非水電解液と
    を備えるパウチ型非水電解質二次電池であって、
    前記外装材は、前記ラミネートフィルムを重ね合わせて周縁を封止した封止部を有し、かつ対向する2つの面が矩形状の凹部をそれぞれ有することにより内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなし、
    前記正極は、集電体と、前記集電体の一方又は両方の面に形成された正極合材層とを有し、
    前記正極合材層は、層状構造を有するリチウム複合酸化物を正極活物質として含み、
    前記負極は、集電体と、前記集電体の一方又は両方の面に形成された負極合材層とを有し、
    前記セパレータは、基材層と、前記基材層の両面に一体的に配置された表面層とを有し、前記基材層はポリエチレンからなり、前記表面層はポリプロピレン、ポリイミド、及びアラミドの群から選ばれる1つ又は2つ以上の材料からなり、
    前記外装材及び前記負極のそれぞれの最大面積を平面視したとき、前記負極合材層の面積を前記封止部を除く前記外装材の面積で除した値が0.9以下であるパウチ型非水電解質二次電池。
  2. 前記正極合材層は、オリビン型構造を有するポリアニオン系化合物を正極活物質としてさらに含む請求項1に記載のパウチ型非水電解質二次電池。
  3. 前記負極合材層は、黒鉛を負極活物質として含む請求項1又は2に記載のパウチ型非水電解質二次電池。
  4. 前記外装材は、1枚のラミネートフィルムを折り曲げ、重ね合わせて周縁を封止した封止部を有し、かつ対向する2つのラミネートフィルム部分が矩形状の凹部をそれぞれ有することにより内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなす請求項1から3いずれか1項に記載のパウチ型非水電解質二次電池。
  5. 前記外装材は、2枚のラミネートフィルムを互いに対向させて周縁を封止した封止部を有し、かつ対向する2枚のラミネートフィルムが矩形状の凹部をそれぞれ有することにより内部に矩形状の密閉空間を形成した扁平形状をなす請求項1から3いずれか1項に記載のパウチ型非水電解質二次電池。
  6. 前記電極素子は、複数枚の正極と負極とがセパレータを介して積層された構造を有する請求項1から5いずれか1項に記載のパウチ型非水電解質二次電池。
  7. 前記パウチ型非水電解質二次電池は、定格容量が1Ah以上25Ah以下である請求項1から6いずれか1項に記載のパウチ型非水電解質二次電池。
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