JP2023032302A - 包餡ドーナツ用ミックス及び包餡ドーナツの製造方法 - Google Patents

包餡ドーナツ用ミックス及び包餡ドーナツの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外観及び食感に優れる包餡ドーナツを、イースト発酵の工程を経ずに安定的に製造し得る技術を提供すること。【解決手段】本発明の包餡ドーナツ用ミックスは、穀粉類と、該穀粉類に対して5~10質量%の膨張剤と、該穀粉類に対して0.2~1質量%の有機酸モノグリセライドとを含有する。前記穀粉類は、ファリノグラフによる吸水率が52~60%である第1の小麦粉と、該吸水率が65~70%である第2の小麦粉とを、第1の小麦粉/第2の小麦粉=0~0.43の質量比で含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、餡を内包する包餡ドーナツの生地の原料として有用なミックス及びそれを用いた包餡ドーナツの製造方法に関する。
ドーナツは、小麦粉、砂糖などを原料にして生地を調製し、調製した生地を油ちょうすることにより製造される揚げ菓子の一種である。ドーナツには、フラワーペースト等の餡(フィリング)とこれを包む生地とを含む包餡ドーナツがある。一般的に包餡ドーナツとしては、ボリュームのある外観で、生地がふんわりとして口どけのよい食感であるものが好まれる。
特許文献1には、口どけのよいドーナツを製造可能なドーナツ用ミックスとして、国内産麦小麦粉と、国内産麦小麦粉を熱処理してなる熱処理国内産麦小麦粉とを含有するものが記載されている。特許文献2には、熟練を要するイースト発酵の工程が不要であるにもかかわらず、イーストを使用した場合と同様のソフトな食感のドーナツの製造方法として、小麦由来の蛋白質及び膨張剤を含有する原料を用いて調製した生地を、20~50℃で20~180分ねかせた後、油ちょうする工程を有するものが記載されている。
特開2018-117616号公報 特開2006-25705号公報
一般に、ドーナツの食感及び外観は、主原料である小麦粉の性質に大きな影響を受ける。従来、ドーナツの製造に使用される小麦粉は、薄力粉、中力粉、強力粉のような、蛋白質含有量の違いによる小麦粉の分類の中から、ドーナツに要求される品質に応じて選択されている。しかしながら、このような蛋白質含有量の違いによる分類に基づいてドーナツ製造用小麦粉を選択しても、食感及び外観に優れるドーナツを安定的に製造することができない場合がある。例えば、薄力粉に分類される小麦粉どうしで小麦粉の性質が大きく異なり、結果として、薄力粉を用いて製造したドーナツどうしで品質に差が生じる場合がある。外観及び食感に優れる包餡ドーナツを、多大な時間と労力がかかり熟練を要するイースト発酵の工程を経ずに、安定的に製造し得る技術は未だ提供されてない。
本発明の課題は、外観及び食感に優れる包餡ドーナツを、イースト発酵の工程を経ずに安定的に製造し得る技術を提供することである。
本発明者らは、前回課題を解決し得る技術について種々検討した結果、小麦粉をファリノグラフによる吸水率で分類し、該吸水率が異なる複数種類の小麦粉を特定割合で混合した穀粉類と、該穀粉類に対して特定量の膨張剤及び有機酸モノグリセライドとを含有するミックスが、包餡ドーナツの生地原料として有用であるとの知見を得た。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、餡とこれを包む生地とを含む包餡ドーナツにおける該生地の原料として使用される包餡ドーナツ用ミックスであって、穀粉類と、該穀粉類に対して5~10質量%の膨張剤と、該穀粉類に対して0.2~1質量%の有機酸モノグリセライドとを含有し、前記穀粉類は、ファリノグラフによる吸水率が52~60%である第1の小麦粉と、該吸水率が65~70%である第2の小麦粉とを、第1の小麦粉/第2の小麦粉=0~0.43の質量比で含有する、包餡ドーナツ用ミックスである。
また本発明は、前記知見に基づきなされたもので、前記の本発明のミックスを用い且つイーストを使用せずに生地を調製する工程と、該生地を油ちょうする工程とを有し、前記生地の調製後から油ちょうする迄の間における該生地のねかせ時間が0~20分である、包餡ドーナツの製造方法である。
また本発明は、前記知見に基づきなされたもので、前記の本発明のミックスを用いて製造された、ドーナツ生地又は包餡ドーナツである。
本発明によれば、外観及び食感に優れる包餡ドーナツを、イースト発酵の工程を経ずに安定的に製造し得る、包餡ドーナツ用ミックス及び包餡ドーナツの製造方法が提供される。
本発明の包餡ドーナツ用ミックス(以下、単に「ミックス」とも言う。)は、少なくとも穀粉類、膨張剤及び有機酸モノグリセライドを含有する。
本発明において、「穀粉類」には穀粉及び澱粉が含まれる。後述する第1及び第2の小麦粉は穀粉の一種である。また、ここで言う「澱粉」は、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を意味し、穀粉中に含有されている澱粉とは区別される。
本発明で用いる穀粉類は、ファリノグラフによる吸水率(以下、「ファリノ吸水率」とも言う。)が異なる複数種類の小麦粉を含有する。本発明において「ファリノグラフ」とは、水を加えた小麦粉(生地)をミキサーで攪拌し、その攪拌中にミキサーの羽(ブレード)にかかる生地の抵抗をトルクとしてロードセルで計測するなどして経時的に記録する装置である。ファリノ吸水率は、所定の硬さの生地を調製するのに必要な加水量を、該生地の調製に用いた小麦粉の質量に対する比率で表したものであり、下記方法により測定される。
<ファリノグラフによる吸水率の測定方法>
ファリノグラフ(例えば、Brabender社製、「Farinograph-TS」)が備えるミキサーに、測定対象の小麦粉300g(含水率13.5質量換算)を投入し、小麦粉の品温を30℃に調整してミキサーで攪拌しつつ、小麦粉に30℃の水を加え、小麦粉と水との混合物である生地の品温30℃における抵抗を経時的に記録してファリノグラムを得る。小麦粉に対する加水量は、品温30℃の生地の最高粘度(ファリノグラムにおけるカーブのピーク)が500B.U.(ブラベンダーユニット)となるように調整する。常法に従って、小麦粉の質量(300g)に対する、最高粘度500B.U.の生地を調製するのに必要な水の質量の割合(%)を算出し、当該小麦粉のファリノグラフによる吸水率(%)とする。
本発明のミックスは、ファリノ吸水率が52~60%である第1の小麦粉と、ファリノ吸水率が65~70%である第2の小麦粉とを含有する。
第1の小麦粉のファリノ吸水率は、好ましくは52~58%、より好ましくは53~57%である。
第2の小麦粉のファリノ吸水率は、好ましくは65~68%、より好ましくは66~68%である。
第1の小麦粉及び第2の小麦粉としては、ドーナツの製造に使用可能な各種の小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉等)の中から選択することができる。本発明では、第1の小麦粉及び第2の小麦粉それぞれから1種以上を選択することができる。
第1の小麦粉及び第2の小麦粉は、それぞれ、典型的には、熱処理等の加工処理が施されていないものであるが、熱処理が施されていてもよい。
本発明のミックスにおいて、第1の小麦粉と第2の小麦粉との含有質量比は、第1の小麦粉/第2の小麦粉として0~0.43であり、好ましくは0.12~0.43、より好ましくは0.12~0.25である。本発明のミックスにおいて、第1の小麦粉は任意成分であり、含有しなくてもよい。両小麦粉の含有質量比が前記特定範囲から外れると、後述する比較例のように、本発明の所定の効果が奏されないおそれがある。
本発明のミックスは、第1の小麦粉及び第2の小麦粉以外の他の穀粉類を含有してもよい。他の穀粉類としては、食品の製造に使用可能な穀粉、澱粉を特に制限なく用いることができ、例えば、大豆粉、そば粉、米粉、コーンフラワー、大麦粉、ライ麦粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉等の穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉;澱粉にα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した加工澱粉が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のミックスにおける穀粉類(第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含む)の含有量は、該ミックスの全質量に対して、好ましくは65~90質量%、より好ましくは75~90質量%である。
第1の小麦粉及び第2の小麦粉による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、本発明のミックス中の全ての穀粉類における第1の小麦粉及び第2の小麦粉の総含有量は、該穀粉類の全質量に対して、好ましくは65質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
本発明のミックスにおける第1の小麦粉の含有量は、該ミックスの全質量に対して、好ましくは0~24質量%、より好ましくは8~16質量%である。
本発明のミックスにおける第2の小麦粉の含有量は、該ミックスの全質量に対して、好ましくは55~78質量%、より好ましくは63~70質量%である。
本発明のミックスにおいて、膨張剤は主として、生地の膨張性を高めて包餡ドーナツのボリュームを向上させる役割を担う。膨張剤としては、食品の製造に使用可能なものを特に制限なく用いることができ、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等のアルカリ性剤;該アルカリ性剤(ガス発生基剤)と酸性剤とを含有するいわゆるベーキングパウダーが挙げられる。前記酸性剤としては、例えば、酒石酸水素カリウム(特にL-体)、リン酸二水素カルシウム、焼ミョウバン、フマル酸、酒石酸、リン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトンが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の所定の効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、膨張剤としてはベーキングパウダーが好ましく、酸性剤としてグルコノデルタラクトンを用いたベーキングパウダーが特に好ましい。
本発明のミックスにおける膨張剤の含有量は、該ミックス中の穀粉類に対して5~10質量%であり、好ましくは6~8質量%である。膨張剤の含有量がミックス中の穀粉類に対して5質量%未満では、膨張剤の使用意義に乏しく、10質量%を超えると、膨張剤に起因する苦みを顕著になってドーナツの食味が低下するおそれがある。
本発明のミックスにおいて、有機酸モノグリセライドは主として、生地の伸展性及びドーナツのボリュームを向上させる役割を担う。有機酸モノグリセライドは、有機酸とモノグリセライドとのエステル化であり、本発明では、有機酸モノグリセライドとして、食品の製造に使用可能なものを特に制限なく用いることができ、また、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。有機酸モノグリセライドを構成する有機酸としては、例えば、乳酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸が挙げられる。有機酸モノグリセライドを構成するモノグリセライドとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、硬化大豆油脂肪酸モノグリセライド、硬化パーム油脂肪酸モノグリセライド、硬化なたね油脂肪酸モノグリセライドが挙げられる。
本発明の所定の効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、有機酸モノグリセライドとしてはコハク酸モノグリセライドが特に好ましい。
本発明のミックスにおける有機酸モノグリセライドの含有量は、該ミックス中の穀粉類に対して0.2~1質量%であり、好ましくは0.2~0.8質量%、より好ましくは0.3~0.6質量%である。有機酸モノグリセライドの含有量がミックス中の穀粉類に対して0.2質量%未満では、有機酸モノグリセライドの使用意義に乏しく、1質量%を超えると、ドーナツの食感が悪くなるおそれがある。
本発明のミックスには、甘味や風味付け、あるいは口どけのさらなる向上等の観点から、穀粉類に加えてさらに、糖類を含有させることができる。糖類としては、広く食用に用いられる糖類を特に制限なく用いることができ、例えば、砂糖、ぶどう糖、オリゴ糖、麦芽糖、トレハロース、果糖が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のミックスにおける糖類の含有量は、該ミックス中の穀粉類に対して、好ましくは5~15質量%、より好ましくは8~12質量%である。
本発明のミックスは、前述の穀粉類、膨張剤、有機酸モノグリセライド及び糖類以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、動物油脂、植物油脂等の油脂類;食塩、粉末醤油、果実由来の発酵物等の発酵物、粉末味噌、アミノ酸その他の調味料;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤;グルテン、グリアジン、グルテニン(以上、小麦蛋白質)、全卵、卵白、卵黄(以上、卵蛋白質)、脱脂粉乳、ホエー蛋白(以上、乳蛋白質)、大豆蛋白質、ゼラチン等の蛋白素材;卵粉等の乾燥卵、増粘多糖類等、乳原料、香料、酵素、色素等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて適宜の量で用いることができる。
本発明のミックスは、イーストを含有してもよいが、典型的には、イーストを含有していない。本発明のミックスは、前述した特徴的な組成を有しているため、イーストを含有していなくても、イーストを用いた場合と比べて遜色のない外観及び食感を有する包餡ドーナツを、多大な時間と労力がかかるイースト発酵の工程無しで効率よく製造することができる。
本発明のミックスは、第1の小麦粉及び第2の小麦粉を含む穀粉類、膨張剤、有機酸モノグリセライドをはじめとする各種成分を混合することによって得られる。本発明のミックスの常温常圧下での形態は、典型的には、粉末状、顆粒状などの粉体である。
本発明のミックスは、餡(フィリング)とこれを包む生地とを含む包餡ドーナツの製造に使用することができ、具体的には、該生地の原料として使用される。本発明において「ドーナツ」とは、小麦粉を含む生地を油ちょうすることにより製造される食品を指し、ドーナツと呼ばれる食品の他、チュロス等も含まれる。包餡ドーナツに内包される餡は特に制限されず、例えば、フラワーペースト、ジャム、チョコレートクリーム、カスタードクリーム、カレーペースト、あんこが挙げられる。
次に、本発明の包餡ドーナツの製造方法について説明する。
本発明の包餡ドーナツの製造方法は、前述の本発明のミックスを用い且つイーストを使用せずに生地を調製する工程(生地調製工程)と、該生地を油ちょうする工程(油ちょう工程)とを有する。前記生地調製工程で用いる本発明のミックスは、イーストを含有しない。前記生地調製工程で調製された生地は、本発明のドーナツ生地の一実施形態である。
前記生地調製工程は、典型的には、ミックスに液体を添加して混合物を得、該混合物をミキサーによって攪拌(ミキシング)することで実施される。調製する生地は、液体の含有量が比較的少ない粘土状の生地(いわゆるドウ)でもよく、液体の含有量が比較的多いペースト状の生地(いわゆるバッター)でもよく、製造する包餡ドーナツの種類等に応じて適宜選択できる。ミックスに添加する液体としては、水、油、調味料、卵液(全卵、卵白、卵黄)、牛乳等を含んだ水性液体を例示できる。また、ミックスに対する液体の添加量は特に制限されないが、一般的にはミックス100質量部に対して、好ましくは15~60質量部、より好ましくは20~55質量部である。なお、生地に対する液体の添加量を計算する場合、該液体として使用する全卵の含水率は76質量%、該液体として使用する牛乳の含水率は88質量%とする。
前記生地調製工程で調製された生地は、前記油ちょう工程に供される前に、所定形状に成形される(成形工程)。本発明では、前記成形工程において生地で餡を包む包餡作業を行ってもよく、あるいは前記油ちょう工程の後に油ちょうされた生地に餡を充填する作業を行ってもよい。
前記油ちょう工程において、生地を油ちょうする際の油温は、製造する包餡ドーナツの種類等に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、好ましくは150~220℃、より好ましくは165~200℃である。
本発明の包餡ドーナツの製造方法は、生地の調製後(前記生地調製工程の直後)から油ちょうする迄(前記油ちょう工程の実施直前迄)の間における該生地のねかせ時間(生地の発酵時間)が0~20分である点で特徴づけられる。斯かる特徴は、前述した本発明のミックスを用いることによってもたらされるものである。このような特徴を有する本発明の包餡ドーナツの製造方法によれば、熟練を要し従来多大な時間と労力がかかっていた生地の発酵工程を省略又は大幅に短縮することができ、外観及び食感に優れる包餡ドーナツを効率よく製造することができる。
本発明の包餡ドーナツの製造方法において、生地のねかせ時間を0分としない場合、すなわち、前記生地調製工程の後で前記油ちょう工程の前にねかせ工程を実施する場合、そのねかせ工程の条件は、ミックスに含有される膨張剤の種類及びその含有量、ねかせ工程を実施する環境の雰囲気温度等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば、雰囲気温度23~30℃の環境でねかせ時間20分以下とすることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1~9及び比較例1~10〕
下記表1の「ミックス組成」の欄に記載の配合で原材料を混合して、包餡ドーナツ用ミックスを製造した。使用した原材料の詳細は下記のとおりである。
・小麦粉A1、A2、A3:薄力粉
・小麦粉B1、B3:準強力粉
・小麦粉B2:強力粉
・膨張剤:ベーキングパウダー、オリエンタル酵母工業株式会社製、商品名「ベーキングパウダーデルトン」
・有機酸モノグリセライド:コハク酸モノグリセライド、理研ビタミン株式会社製、商品名「パンマック(登録商標)200V」
・乳化剤:グリセリン脂肪酸エステル、理研ビタミン株式会社製、商品名「エマルジー(登録商標)MM-100」
・糖類:グラニュ糖、三井製糖株式会社製、商品名「スプーン印 グラニュ糖」
・油脂:ショートニング、ミヨシ油脂株式会社製、商品名「クローネショートニング」
〔製造例:カレードーナツの製造〕
各実施例及び比較例のミックスを用いて、包餡ドーナツの一種であるカレードーナツを製造した。具体的には、市販のミキサーに、ミックス1500gと、水及び全卵(表1に示す量)とを投入し、低速で2分攪拌した後、ミキサーの攪拌翼に付着した生地をかき落としてから中高速で12分攪拌して生地を調製した(生地調製工程)。前記生地(品温27℃)を、ねかせ時間をとらずに速やかに、ドーナツ1個当たり45gに分割して丸め、その丸めた生地の内部にカレー餡を35g注入して成形生地を得(成形工程)、該成形生地の全体を油温180℃の油中に6分間沈めて(油ちょう工程)、カレー餡とこれを包む生地とからなるカレードーナツを製造した。使用したカレー餡は、オリエンタル酵母工業株式会社製の「コク旨欧風ビーフカレー」であった。
〔評価試験〕
製造したカレードーナツについて、油ちょう後に粗熱をとった後、その外観及び食感を下記評価基準(5点満点)に従って評価した。また、カレードーナツの製造時の作業安定性を下記評価基準(5点満点)に従って評価した。評価は10名の専門パネラーが実施した。10名の専門パネラーの評価点の算術平均値を表1に示す。
<外観の評価基準>
5点:ボリュームがよく出ており、極めて良好。
4点:ボリュームが出ており、良好。
3点:ボリュームがやや出ている。
2点:ボリュームがほとんど出ておらず、破裂気味であり、不良。
1点:ボリュームが全く出ておらず、破裂しており、極めて不良。
<食感の評価基準>
5点:ふんわりとしていて口溶けが良く、極めて良好な食感。
4点:ふんわりとしていて口溶けが良く、良好な食感。
3点:ふんわり感と口溶けがやや良い食感。
2点:ふんわりとしておらず口溶けが悪い、不良な食感。
1点:ふんわりとしておらず口溶けが悪い、極めて不良な食感。
<作業安定性の評価基準>
5点:生地の伸展性に優れており、包餡作業が容易で、極めて良好。
4点:生地に伸展性があり、包餡作業が容易で、良好。
3点:生地に伸展性がやや良く、包餡作業がやや良好。
2点:生地に伸展性がかなり不足しており、包餡作業が難しく、不良。
1点:生地に伸展性がなく、包餡が困難で、極めて不良。
Figure 2023032302000001
表1に示すとおり、各実施例のミックスは、1)ファリノ吸水率が52~60%である第1の小麦粉と、ファリノ吸水率が65~70%である第2の小麦粉とを、第1の小麦粉/第2の小麦粉=0~0.43の質量比で含有し、2)穀粉類に対して5~10質量%の膨張剤を含有し、且つ3)穀粉類に対して0.2~1質量%の有機酸モノグリセライドとを含有していたため、前記1)~3)を満たさない各比較例のミックスに比べて、包餡ドーナツ(カレードーナツ)の外観、食感、作業安定性に優れていた。
比較例1、2は、ファリノ吸水率が前記特定範囲から外れた小麦粉を使用した点で前記1)を満たさないため、比較例3、4、9は前記2)を満たさないため、比較例5~8は前記3)を満たさないため、比較例10は、第1の小麦粉/第2の小麦粉が前記特定範囲から外れている点で前記1)を満たさないため、それぞれ、各実施例に劣る結果になった。
また、有機酸モノグリセライドは種々の食品において乳化剤として使用されているところ、有機酸モノグリセライドに代えて乳化剤として従来使用されているグリセリン脂肪酸エステルを用いた比較例7が、実施例7に比べて低評価であったことから、包餡ドーナツ用ミックスにおいては単に乳化作用を持つ成分を使用すればよい訳ではなく、有機酸モノグリセライドの有用性が明白である。

Claims (5)

  1. 餡とこれを包む生地とを含む包餡ドーナツにおける該生地の原料として使用される包餡ドーナツ用ミックスであって、
    穀粉類と、該穀粉類に対して5~10質量%の膨張剤と、該穀粉類に対して0.2~1質量%の有機酸モノグリセライドとを含有し、
    前記穀粉類は、ファリノグラフによる吸水率が52~60%である第1の小麦粉と、該吸水率が65~70%である第2の小麦粉とを、第1の小麦粉/第2の小麦粉=0~0.43の質量比で含有する、包餡ドーナツ用ミックス。
  2. 前記ミックス中の全ての穀粉類における前記第1の小麦粉及び前記第2の小麦粉の総含有量が65質量%以上である、請求項1に記載の包餡ドーナツ用ミックス。
  3. 請求項1又は2に記載のミックスを用い且つイーストを使用せずに生地を調製する工程と、該生地を油ちょうする工程とを有し、
    前記生地の調製後から油ちょうする迄の間における該生地のねかせ時間が0~20分である、包餡ドーナツの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のミックスを用いて製造された、ドーナツ生地。
  5. 請求項1又は2に記載のミックスを用いて製造された、包餡ドーナツ。
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