JP2023031001A - カソードルミネッセンス分光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カソードルミネッセンス分光装置において、カソードルミネッセンスを分光するための分光器の小型化を図ることである。【解決手段】本開示のカソードルミネッセンス分光装置100は、電子銃10と、ミラー20と、エタロン素子30と、検出器40と、制御装置50とを備える。エタロン素子30は、第1ミラーと、第2ミラーとを含む。第2ミラーは、第1ミラーと対向する位置に設けられる。第1ミラーは、ミラー20によって集光されたカソードルミネッセンスCL2の一部を反射し、一部を透過させる。第2ミラーは、第1ミラーを透過したカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させる。第1ミラーおよび第2ミラーは、第1ミラーと第2ミラーとの間のカソードルミネッセンスを干渉させて、特定の波長のカソードルミネッセンスCL3を第2ミラーから透過させる。検出器40は、第2ミラーを透過したカソードルミネッセンスCL3の強度を検出する。【選択図】図1

Description

本開示は、カソードルミネッセンス分光装置に関する。
従来、試料から放射されるカソードルミネッセンスを検出し、試料の格子欠陥または不純物の分布などの情報を得る技術が知られている。
たとえば、特開2000-206046号公報(特許文献1)には、試料に電子線を照射することによりカソードルミネッセンスを発生させ、分光結晶を用いてカソードルミネッセンスを分光するカソードルミネッセンス分光装置が開示されている。
特開2000-206046号公報
特許文献1のカソードルミネッセンス分光装置では、分光器として分光結晶を用いているため、分光結晶自体をカソードルミネッセンス分光装置の内部に配置する必要がある。そのため、カソードルミネッセンス分光装置は、分光結晶を配置するためのスペースを設ける必要があり、分光器が大型化し得る。その結果、カソードルミネッセンス分光装置自体も大型化する懸念がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、カソードルミネッセンス分光装置において、カソードルミネッセンスを分光するための分光器の小型化を図ることである。
本開示のカソードルミネッセンス分光装置は、電子銃と、集光機構と、分光素子と、検出器と、制御装置とを備える。電子銃は、試料に電子線を照射する。集光機構は、試料への電子線の照射によって試料から放射されるカソードルミネッセンスを集光する。分光素子は、集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスを分光可能に構成される。検出器は、分光素子によって分光されたカソードルミネッセンスの強度を検出する。制御装置は、検出器から検出結果を受信し、カソードルミネッセンス分光装置を制御する。分光素子は、第1ミラーと、第2ミラーとを含む。第2ミラーは、第1ミラーと対向する位置に設けられる。第1ミラーは、集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させる。第2ミラーは、第1ミラーを透過したカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させる。第1ミラーおよび第2ミラーは、第1ミラーと第2ミラーとの間のカソードルミネッセンスを干渉させて、特定の波長のカソードルミネッセンスを第2ミラーから透過させる。検出器は、第2ミラーを透過したカソードルミネッセンスの強度を検出する。
本開示に係るカソードルミネッセンス分光装置は、カソードルミネッセンスを分光する分光素子を備える。分光素子は、互いに対向した位置に配置されたミラーでカソードルミネッセンスを複数回反射されることにより、特定波長のカソードルミネッセンスのみを透過させる。このような構成によって、分光結晶を備える場合と比較して、カソードルミネッセンスを分光するための分光器の小型化を図ることができる。
実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置の概略を示す図である。 エタロン素子と検出器とを示す概略図である。 エタロン素子の多重干渉を示す図である。 実施の形態1における試料から放射されるカソードルミネッセンスの発光強度の表示例を示す図である。 実施の形態2におけるカソードルミネッセンス分光装置の概略を示す図である。 電子線が照射されている試料の斜視図である。 エタロン素子とCCDである検出器の斜視図である。 実施の形態2における試料から放射されるカソードルミネッセンスの発光強度の表示例を示す図である。 図8の領域に対応する受光素子のスペクトルの一例を示す図である。 図8の領域に対応する受光素子のスペクトルの一例を示す図である。 図8の領域に対応する受光素子のスペクトルの一例を示す図である。 実施の形態3におけるカソードルミネッセンス分光装置の概略を示す図である。 実施の形態3における電子線の入射角を説明するための図である。 実施の形態4におけるカソードルミネッセンス分光装置の構成を示す図である。 エタロン素子を用いた場合のスペクトルを示す図である。 分光結晶を用いた場合のスペクトルを示す図である。 エタロン素子から分光結晶へと切り替える分析処理を示すフローチャートである。 画像の重ね合わせについて説明する図である。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<カソードルミネッセンス分光装置の全体構成>
図1は、実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置100の概略を示す図である。実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置100は、たとえば、電子線を走査して試料に照射する走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)である。なお、カソードルミネッセンス分光装置100は、電子顕微鏡に限られず、電子線を試料に照射することが可能な装置であればよい。
カソードルミネッセンス分光装置100は、電子銃10と、試料台15と、ミラー20と、集光レンズ25と、エタロン素子30と、検出器40と、制御装置50とを備える。電子銃10は、電子源11と、コンデンサレンズ12と、走査コイル13と、対物レンズ14とを備える。
なお、以降の説明においては、試料台15の法線方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面をX軸およびY軸と規定する。また、各図におけるZ軸の正方向を上面側、負方向を下面側と称する場合がある。
電子銃10は、試料台15に載置された試料Sp1に対して電子線EB1を照射する。試料台15に載置されている試料Sp1のZ軸の正方向側の面は、試料台15の面と平行である。電子銃10と試料Sp1との間には、ミラー20が配置されている。電子線EB1は、ミラー20に形成された開口20aを通過した後に、試料Sp1に入射する。
電子源11は、電子線EB1の励起源であって、電圧が印加されることにより電子線EB1を出射する。コンデンサレンズ12は、電子線EB1を集束させる。走査コイル13は、電子線EB1を試料Sp1上で走査させる。対物レンズ14は、電子線EB1を微小径に絞る。
電子銃10は、電子源11が電子線EB1を発生させることが可能であるように、真空排気機構が接続された筐体内に収容されている。すなわち、筐体内は、電子源11が電子を発生させることができる真空度に保たれている。
試料Sp1に電子線EB1が照射されることにより、試料Sp1の価電子帯の電子は、伝導帯へと励起される。これにより生じた正孔と電子とが再結合することにより、発光が生じる。当該発光は、カソードルミネッセンス(Cathodoluminescence)と呼称される。カソードルミネッセンスは、試料Sp1から全方位に向けて放射される。また、カソードルミネッセンスは、複数の波長を含む。図1におけるカソードルミネッセンスCL1は、全方位に放射されたカソードルミネッセンスのうちミラー20に向かって放射されるカソードルミネッセンスである。すなわち、カソードルミネッセンスCL1は、試料Sp1からミラー20までの間のカソードルミネッセンスである。
ミラー20は、試料Sp1から放射されるカソードルミネッセンスCL1を反射する。ミラー20は、カソードルミネッセンスCL1をカソードルミネッセンスCL2として反射する。カソードルミネッセンスCL2は、集光レンズ25によってエタロン素子30に集光される。すなわち、カソードルミネッセンスCL2は、ミラー20によって反射された後、エタロン素子30に集光されるまでのカソードルミネッセンスである。なお、ミラー20および集光レンズ25は、本開示における「集光機構」に対応する。集光機構であるミラー20および集光レンズ25は、ミラーレンズとして一体的に設けられてもよい。
エタロン素子30は、ミラー20および集光レンズ25によって集光されたカソードルミネッセンスCL2を分光可能であるように構成されている。すなわち、エタロン素子30は、複数の波長を含むカソードルミネッセンスCL2のうち、特定波長のカソードルミネッセンスCL2のみをカソードルミネッセンスCL3として透過させる分光器である。以下では、カソードルミネッセンスCL3の波長を「分光後の波長」と称する場合がある。エタロン素子30は、ファブリペロー干渉計と呼称される。エタロン素子30は、本開示における「分光素子」に対応する。
エタロン素子30の長さ方向の寸法は5mm~15mm程度であり、幅方向の寸法は1mm~5mm程度である。一方で、カソードルミネッセンスを分光するための一般的な分光結晶のサイズは、エタロン素子のサイズよりも大きい。さらに、分光結晶を備えるカソードルミネッセンス分光装置は、分光結晶で分光するための光学系を備える必要がある。光学系および分光結晶を格納する分光器の長さ方向の寸法は1500mm~2500mm程度であり、幅方向の寸法は1500mm~2500mm程度である。すなわち、エタロン素子30を配置する場合に必要となるスペースは、分光結晶を配置する場合に必要となるスペースよりも小さい。
検出器40は、エタロン素子30によって分光された後のカソードルミネッセンスCL3の強度を検出する。実施の形態1における検出器40は、フォトマルチプライヤ(PMT)である。すなわち、検出器40は、いわゆる光電子増倍管である。検出器40は、内部に設けられた複数のダイノードを用いて光電子を増倍し、微小な光の強度を検出する。
制御装置50は、主たる構成要素として、CPU51(Central Processing Unit)と、メモリ52とを備える。制御装置50は、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)による構成であってもよい。メモリは、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、またはHDD(Hard Disk Drive)によって実現される。
制御装置50は、ディスプレイ60および入力装置70に電気的に接続される。制御装置50は、たとえば、カソードルミネッセンス分光に関する情報をディスプレイ60に表示させる。カソードルミネッセンス分光に関する情報とは、たとえば、検出器40の検出結果、分析装置に生じたエラー情報などを含む。制御装置50は、ユーザーが入力装置70を用いて入力した命令を受信する。入力装置70は、たとえば、キーボードである。ディスプレイ60および入力装置70は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
制御装置50が備える構成のうち少なくとも一部分、ディスプレイ60、または入力装置70は、カソードルミネッセンス分光装置100とは別体として構成し、カソードルミネッセンス分光装置100との間で双方向に通信を行うように構成してもよい。
制御装置50は、カソードルミネッセンス分光装置100を統括的に制御する。制御装置50は、検出器40から検出値を受信する。制御装置50は、走査コイル13へ印加する電圧値と検出器40から受信した検出値とに基づいて、試料Sp1のうちの任意の位置におけるカソードルミネッセンスの発光強度を算出する。これにより、制御装置50は、試料Sp1におけるカソードルミネッセンスの発光強度の分布を示す画像を形成することができる。制御装置50は、形成した画像をディスプレイ60に表示させる。エタロン素子30は、分光後の波長を任意の波長に変更することが可能であるように構成されている。
<エタロン素子の構成>
以下では、図2および図3を用いてエタロン素子30における分光、および分光後の波長を任意の波長に変更する具体例について説明する。図2は、エタロン素子30と検出器40とを示す概略図である。エタロン素子30は、ハーフミラー31と、ハーフミラー32と、駆動装置33とを含む。ハーフミラー31とハーフミラー32とは、距離dだけ離間して互いに対向する位置に配置されている。距離dは、エアギャップと呼称される。
ハーフミラー31は、ミラー20が反射したカソードルミネッセンスCL2の一部を反射し、一部を透過させる。ハーフミラー32は、ハーフミラー31を透過したカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させる。検出器40は、ハーフミラー32を透過したカソードルミネッセンスCL3を検出する。
図2に示されるように、エタロン素子30は、ハーフミラー32とハーフミラー31とを囲むようにして配置された駆動装置33を備える。駆動装置33は、ハーフミラー32の位置またはハーフミラー31の位置を移動させることができるように構成される。
実施の形態1における駆動装置33は、ピエゾ素子を含んで形成される。ピエゾ素子は、圧電効果を利用して駆動する素子である。駆動装置33に含まれるピエゾ素子に電圧が印加されて、ハーフミラー31およびハーフミラー32が押圧されることにより、距離dは変化する。すなわち、制御装置50は、駆動装置33に含まれるピエゾ素子へ印加する電圧値を調整することにより距離dを変化させることができる。
これにより、制御装置50はエタロン素子30を通過するカソードルミネッセンスCL3の波長を調整することができる。なお、駆動装置33は、ピエゾ素子を用いずに距離dを変化させてもよい。たとえば、駆動装置33はモーターまたは電磁アクチュエーターなどを含む構成であってもよい。
図3は、エタロン素子30の多重干渉を示す図である。図3に示されているように、ミラー20によって反射されたカソードルミネッセンスCL2は、ハーフミラー31へ入射する。カソードルミネッセンスCL2の一部は、ハーフミラー31を透過する。図3では、ハーフミラー31を透過したカソードルミネッセンスCL2がカソードルミネッセンスCLgとして示されている。
カソードルミネッセンスCLgは、ハーフミラー31とハーフミラー32との間で反射を繰り返す。ハーフミラー31およびハーフミラー32は、波長の整数倍が距離dとなるカソードルミネッセンスCLgを複数回反射させることにより、干渉を発生させる。干渉が発生したことで特定波長のカソードルミネッセンスCLgは強め合う。これにより、エタロン素子30は、特定波長のカソードルミネッセンスCL3のみがハーフミラー32から透過させることができる。
図4は、実施の形態1における試料Sp1から放射されるカソードルミネッセンスの発光強度の表示例を示す図である。上述の通り、制御装置50は、試料Sp1のうちの電子線EB1が照射されている位置のカソードルミネッセンスの発光強度を算出する。制御装置50は、電子線EB1を試料Sp1の全体に走査することで試料Sp1の全体におけるカソードルミネッセンスの発光強度の分布を示す画像を形成する。
図4では、制御装置50が形成した画像Im1がディスプレイ60に表示されている例が示されている。図4に示されるように、ディスプレイ60には、Z軸の正方向側から平面視した試料Sp1が表示されている。
実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置100において、電子線EB1は、走査コイル13へ印加される電圧値が調整され、磁界が変化することによって走査される。これにより、電子線EB1はZ軸の正方向側から平面視したときの試料Sp1の全体に入射する。
制御装置50は、電子線EB1が入射した位置およびその位置におけるカソードルミネッセンスの発光強度を用いて画像Im1を形成する。図4では、画像Im1には、実線で示される領域Ar1および破線で示される領域Ar2が示されている。領域Ar1は、領域Ar2よりもカソードルミネッセンスの発光強度が高い領域である。また、画像Im1のうち領域Ar1および領域Ar2ではない領域は、走査がされなかった領域もしくはカソードルミネッセンスの発光が検出されなかった領域である。制御装置50は、カソードルミネッセンスの発光強度を示す画像Im1を、2次電子の検出をすることにより得られる試料Sp1の画像に重ね合わせて表示してもよい。
このように、実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置100では、エタロン素子30を用いて試料Sp1に電子線EB1を照射したときに発生するカソードルミネッセンスの発光強度を視覚的に表示することができる。上述の通り、エタロン素子30を配置する場合に必要となるスペースは、分光結晶を配置する場合に必要となるスペースよりも小さい。
これにより、実施の形態1のカソードルミネッセンス分光装置100においては、カソードルミネッセンスを分光するための分光器の小型化を図ることができる。その結果、カソードルミネッセンス分光装置100の小型化またはカソードルミネッセンス分光装置100の内部に他の機器等を配置することが可能となる。また、エタロン素子30のコストは、分光結晶のコストと比較して安価であるため、カソードルミネッセンス分光装置100全体のコストの低減することができる。
分光結晶を用いて分光をする場合、分光結晶によって分光されるカソードルミネッセンスの波長は、分光結晶にカソードルミネッセンスが入射する角度によって変化する。そのため、各波長のスペクトルを得るためには、検出の度に分光結晶の角度を変える動作を行う必要がある。分光結晶の角度を変える動作を正確に行うためには、適宜零点補正が必要であるため、分光を行うためのトータル時間は長時間となり得る。
一方で、実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置100では、駆動装置33が含むピエゾ素子に印加する電圧を調整するだけで分光後の波長を容易に変えることができる。すなわち、実施の形態1におけるカソードルミネッセンス分光装置100では、分光結晶を用いる場合と比較してカソードルミネッセンスを分析するために要する時間を削減することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1のカソードルミネッセンス分光装置100では、電子線EB1を走査することにより、試料Sp1の全面におけるカソードルミネッセンスの発光強度を検出する構成を説明した。実施の形態2においては、電子線EB1を走査させずにカソードルミネッセンスの発光強度を示す画像を形成する構成について説明する。なお、実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aにおいて実施の形態1のカソードルミネッセンス分光装置100と重複する構成についての説明は繰り返さない。
図5は、実施の形態2におけるカソードルミネッセンス分光装置100Aの概略を示す図である。実施の形態2の試料台15には、実施の形態1と同一の試料Sp1が載置されている。図5に示されるように、実施の形態2におけるカソードルミネッセンス分光装置100Aにおいて、カソードルミネッセンスCL3を検出する検出器40Aは、CCD(Charge Coupled Device)として実現される。CCDである検出器40Aは、複数の受光素子を有する。検出器40Aおよびエタロン素子30は一体として設けられてもよい。
また、実施の形態2においては、電子源11から出射される電子線EB2は、対物レンズ14によって微小径に絞られることなく幅Wdを有した状態で試料Sp1に入射する。これにより、電子線EB2は、試料Sp1のZ軸の正方向側の表面における一定の領域に照射される。以下では、電子線EB2が照射される領域を「照射領域」と称する。照射領域の面積は、電子銃光学系により光学集光系に応じた大きさに制御できる。照射領域は、たとえば、0.16ミリ平方メートル程度の面積を有する。
図6は、電子線EB2が照射されている試料Sp1の斜視図である。図6において、電子線EB2は試料Sp1の表面における照射領域Fc1に対して照射される。照射領域Fc1は直径が幅Wdである円形状を有する。点Cpは、円形状である照射領域Fc1の中心を示す。
図6に示されるように、照射領域Fc1は領域Fa1と領域Fa2と領域Fa3とを含む。電子線EB2が照射されることによって、領域Fa1,Fa2,Fa3からカソードルミネッセンスCL11,CL12,CL13がそれぞれ放射される。カソードルミネッセンスCL11,CL12,CL13は、ミラー20によりカソードルミネッセンスCL21,CL22,CL23として反射されエタロン素子30へと集光される。
図7は、エタロン素子30とCCDである検出器40Aの斜視図である。図7に示されるように、カソードルミネッセンスCL21,CL22,CL23は、エタロン素子30のハーフミラー31に入射する。多重干渉により特定波長のカソードルミネッセンスCL31,CL32,CL33はハーフミラー32から透過する。CCDである検出器40Aは、受光素子LE1,LE2,LE3を含む複数の受光素子を有する。
カソードルミネッセンスCL31は受光素子LE1によって検出される。カソードルミネッセンスCL32は受光素子LE2によって検出される。カソードルミネッセンスCL33は受光素子LE3によって検出される。受光素子LE1の検出値は領域Fa1のカソードルミネッセンスの発光強度を示す。受光素子LE2の検出値は領域Fa2のカソードルミネッセンスの発光強度を示す。受光素子LE3の検出値は領域Fa3のカソードルミネッセンスの発光強度を示す。このように、実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、電子銃10を走査させずとも試料Sp1の全体におけるカソードルミネッセンスの発光強度を示す画像を形成することができる。
図8は、実施の形態2における試料Sp1から放射されるカソードルミネッセンスの発光強度の表示例を示す図である。ディスプレイ60は画像Im2を表示する。画像Im2は、CCDである検出器40Aの検出結果を用いて制御装置50によって形成された画像である。画像Im2のうち、領域Fd1は図6における照射領域Fc1に対応する領域である。また、画像Im2のうち、領域Fb1,Fb2,Fb3は、図6における領域Fa1,Fa2,Fa3にそれぞれ対応する。
図8における領域Ar1は、図4における領域Ar1と対応する。図8における領域Ar2は、図4における領域Ar2と対応する。すなわち、領域Ar1は、最も発光強度が高い領域であり、領域Ar2は領域Ar1よりも発光強度が低い領域である。さらに、領域Fd1のうち、領域Ar1および領域Ar2ではない領域Ar3は、カソードルミネッセンスの発光が検出されなかった領域である。これにより、ユーザーは、画像Im2を見て受光素子LE1,LE2,LE3の順で検出するカソードルミネッセンスの発光強度が高くなることを把握することができる。
このように、実施の形態2においても、エタロン素子30を用いて分光することにより、カソードルミネッセンス分光装置100Aにおいて、カソードルミネッセンスを分光するための分光器の小型化を図り、コストを低減することができる。また、上述で説明したように、エタロン素子30は、ピエゾ素子を含む駆動装置33を用いて光の波長スキャンを行う。そのため、エタロン素子30を用いる場合の分析時間は、分光結晶の位置を変更する必要がある分光器を用いる場合の分析時間よりも短くなる。すなわち、実施の形態2においても、分析時間を短縮することができる。さらに、実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、複数の受光素子を備えるCCDと、複数のカソードルミネッセンスを同時に分光することが可能なエタロン素子30を用いて画像Im2を形成する。これにより、制御装置50は、電子銃10を走査させずとも試料Sp1から放射されたカソードルミネッセンスの発光強度を示す画像Im2を形成することができ、画像形成に要する時間を削減することができる。また、CCDである検出器40Aとエタロン素子30が一体として形成されることにより、カソードルミネッセンス分光装置100Aをより小型化することができる。
さらに、電子線EB2を走査させる必要がないため、エネルギー分散型特性X線分析(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)または波長分散型特性X線分析(Wavelength Dispersive X-ray Spectroscopy)と、カソードルミネッセンス分析とを同時に行うことができる。また、CCDである検出器40Aに含まれる受光素子ごとにスペクトルを検出することが可能となる。すなわち、実施の形態2におけるカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、発光強度のみならず、波長に応じて領域Ar1~Ar3を区別して表示することができる。
以下では、図9~図11を用いて、波長に応じて領域Ar1~Ar3を区別して表示する例について説明する。制御装置50は、エタロン素子30のハーフミラー31とハーフミラー32との間の距離dを変化させながら、検出器40AにカソードルミネッセンスCL3を検出させる。これにより、検出器40Aの各受光素子は、複数の波長のカソードルミネッセンスCL3の発光強度を検出する。複数の波長とは、たとえば、波長200nmから1300nmまでの間の波長であり得る。図9は、図8の領域Ar1に対応する受光素子LE3のスペクトルの一例を示す図である。図9に示されるように、受光素子LE3では、400nm近傍の波長において閾値Thを超える発光強度のカソードルミネッセンスCL3が検出されている。
続いて、図10は、図8の領域Ar2に対応する受光素子LE2のスペクトルの一例を示す図である。図10に示されるように、受光素子LE2では、1000nm近傍の波長において閾値Thを超える発光強度のカソードルミネッセンスCL3が検出されている。さらに、図11は、図8の領域Ar3に対応する受光素子LE1のスペクトルの一例を示す図である。図11に示されるように、受光素子LE1では、波長200nmから1300nmのまでの間において、閾値Thを超える発光強度のカソードルミネッセンスCL3が検出されていない。閾値Thは、CCDである検出器40Aの感度などに応じて、予め定められ得る。
このように、実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、検出器40Aが有する受光素子ごとに、カソードルミネッセンスCL3のスペクトルを検出することができる。そのため、実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、画像Im2を表示する際に、各受光素子に対応する領域Ar1~Ar3を発光強度だけではなく波長に応じて異ならせて、表示させることができる。具体的には、制御装置50は、図8に示すディスプレイ60上の画像Im2に、検出された波長に対応する色を付して表示する。
たとえば、制御装置50は、400nm近傍の波長において高い発光強度を検出した受光素子LE3に対応する領域には、青色を付して表示し、1000nmの波長において高い発光強度を検出した受光素子LE2に対応する領域には、赤色を付して表示する。また、制御装置50は、同一の波長において閾値Thを超えるカソードルミネッセンスを検出した受光素子を区別するため、発光強度に応じて、表示する色の濃淡を変更してもよい。このように、発光強度および波長に応じて、受光素子に対応する領域の表示方法を変化させることにより、実施の形態2におけるカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、試料Sp1上の位置ごとの発光強度および波長の差異を容易にユーザーに把握させることができる。
[実施の形態3]
実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aにおいては、電子線EB2を走査することなく複数の受光素子を含む検出器40Aを用いてカソードルミネッセンスの発光強度を検出する構成を説明した。実施の形態3においては、電子銃10の配置を変更した構成について説明する。なお、実施の形態3のカソードルミネッセンス分光装置100Bにおいて、実施の形態2のカソードルミネッセンス分光装置100Aと重複する構成についての説明は繰り返さない。
図12は、実施の形態3におけるカソードルミネッセンス分光装置100Bの概略を示す図である。図12に示されるように、電子銃10は試料Sp1とX軸方向に離間した位置に配置される。実施の形態2では、電子線EB2を試料Sp1に入射する入射角は0度であったが、実施の形態3では、電子線EBは試料Sp1に入射角が0度よりも大きい角度で入射する。図12では、集光レンズ25がミラー20と試料Sp1との間に配置される。
図13は、実施の形態3における電子線EB2の入射角を説明するための図である。実施の形態2および実施の形態3において、試料台15に載置されている試料Sp1のZ軸の正方向側の面は試料台15の面と平行である。図6に示されるように、実施の形態2における電子線EB2は、照射領域Fc1に対して入射する。実施の形態2において照射領域Fc1の点Cpを通過する電子線EB2は、試料台15の法線方向から垂直に入射する。すなわち、入射角は0度である。
一方で、図13に示されるように、照射領域Fc1の中心である点Cpに照射される電子線EB2は入射角θで試料Sp1に入射する。入射角θは0度よりも大きく90度より小さい角度である。
このように、実施の形態3においても、エタロン素子30を用いて分光することにより、カソードルミネッセンス分光装置100Bにおいて、カソードルミネッセンスを分光するための分光器の小型化を図り、コストを低減し、分析時間を短縮することができる。さらに、電子線EB2を走査しない場合、電子線EB2は試料台15に対して垂直に照射される必要がない。そのため、実施の形態3においては、電子銃10は電子線EB2が試料Sp1に入射する角度が0度よりも大きく90度より小さい角度となるように照射する。これにより、電子銃10の配置の自由度は向上する。また、ミラー20は、開口20aが形成される必要がない。
[実施の形態4]
実施の形態1~3のカソードルミネッセンス分光装置100,100A,100Bにおいては、エタロン素子30を用いてカソードルミネッセンスの発光強度を検出する構成を説明した。実施の形態4においては、エタロン素子30に加えて、分光器をさらに備える構成について説明する。なお、実施の形態4のカソードルミネッセンス分光装置100Cにおいて、実施の形態1のカソードルミネッセンス分光装置100と重複する構成の説明については繰り返さない。
図14は、実施の形態4におけるカソードルミネッセンス分光装置100Cの構成を示す図である。図14(A)は、エタロン素子30を用いて分光する例を示す、図14(B)は、分光結晶35を用いて分光する例を示す。
図14(A)に示されるように、カソードルミネッセンス分光装置100Cは、分光器として、エタロン素子30に加えて分光結晶35をさらに備える。分光結晶35は、ミラー20によって集光されたカソードルミネッセンスCL2のうちの特定波長のカソードルミネッセンスCL3を反射可能に構成されている。
図14(A)に示されるように、カソードルミネッセンス分光装置100Cは、切替機構80をさらに備える。切替機構80は、ミラー20の集光先をエタロン素子30と分光結晶35との間で切り替えることが可能であるように構成される。切替機構80は、たとえば、エタロン素子30と分光結晶35の位置を入れ替えるモーターなどであってもよいし、ミラー20の角度を変えるモーターなどであってもよい。切替機構80は、制御装置50に電気的に接続される。制御装置50は、切替機構80を制御してミラー20の集光先を切り替える。
図14(A)では、ミラー20の集光先がエタロン素子30である状態が示されている。検出器40は、エタロン素子30によって分光されたカソードルミネッセンスCL3の発光強度を検出する。制御装置50は、検出器40の検出結果に基づいて画像を形成する。エタロン素子30を用いて分光したカソードルミネッセンスCL3に基づいて形成された画像は、本開示の「第1画像」に対応する。
図14(B)では、ミラー20の集光先がエタロン素子30から分光結晶35に切り替えられた後の状態が示されている。検出器40は、分光結晶35によって分光されたカソードルミネッセンスCL3の強度を検出する。制御装置50は、検出器40の検出結果に基づいて画像を形成する。分光結晶35を用いて分光したカソードルミネッセンスCL3に基づいて形成される画像は、本開示の「第2画像」に対応する。制御装置50は、ミラー20の集光先が分光結晶35からエタロン素子30へと切り替えることも可能である。
<波長分解能について>
図15は、エタロン素子30を用いた場合のスペクトルを示す図である。図16は、分光結晶35を用いた場合のスペクトルを示す図である。図15および図16では、同一の試料に対してカソードルミネッセンスの分析を行った結果が示されている。
図15および図16に示されるように、領域Ar3として示されるスペクトルを示す波形の形状が異なる。具体的には、エタロン素子30を用いた場合は、領域Rg1内において広い波長の範囲で高い強度が示されている。一方で、分光結晶35を用いた場合は、領域Rg2内において、エタロン素子30を用いた場合よりも狭い波長の範囲で高い強度が示されている。すなわち、分光結晶35の波長分解能は、エタロン素子30の波長分解能よりも高い。
ようするに、エタロン素子30による分析では、分光結晶35による分析と比較して短時間で分析を行うことができるが、エタロン素子30の方が分光結晶35よりも波長分解能が低いことから正確な検出結果を得られない場合がある。
そのため、実施の形態4において、制御装置50は、エタロン素子30を用いて分析を行った後に、分光結晶35を用いて分析を行う。図17は、エタロン素子30から分光結晶35へと切り替える分析処理を示すフローチャートである。図14(A)に示すように、制御装置50はエタロン素子30を用いて分光する(ステップS1)。上述の通り、カソードルミネッセンス分光装置100Cは、エタロン素子30を用いた場合、短時間で分析を行うことが可能である。
制御装置50は、エタロン素子30を用いて分光したカソードルミネッセンスCL3に基づいて画像を形成し、当該画像をディスプレイ60に表示する(ステップS2)。このとき、ディスプレイ60に表示された画像を確認したユーザーが、カソードルミネッセンスの発光強度をより正確に検出することを望む場合が想定される。実施の形態4のカソードルミネッセンス分光装置100Cは、ユーザーが発光強度をより正確に検出することを望む場合、分光結晶35に切り替えて検出する命令を入力装置70から受信することができる。
カソードルミネッセンス分光装置100Cは、分光結晶35に切り替えて検出する命令に加えて、電子線EB1を照射または走査する領域を変更する命令を受け付けてもよい。すなわち、ステップS2で表示した画像のうち、一部分のみに対して分光結晶35による検出を望む場合、ユーザーは試料Sp1の表面から検出領域を選択することができる。
制御装置50は、ユーザーから分光結晶35に切り替える命令を受信したか否かを判断する(ステップS3)。制御装置50は、切り替える命令を受信していないと判断する場合(ステップS3でNO)、分析処理を終了する受信したか否かを判断する(ステップS4)。制御装置50は、分析処理を終了する受信したと判断する場合(ステップS4でYES)、分析処理を終了する。制御装置50は、分析処理を終了する受信していないと判断する場合(ステップS4でNO)、ステップS3の処理を繰り返す。
制御装置50は、切り替える命令を受信したと判断する場合(ステップS3でYES)、ミラー20の集光先を分光結晶35に切り替える(ステップS5)。すなわち、制御装置50は、切替機構80を制御する。このとき、検出領域を受信している場合、制御装置50は、走査コイル13による電子線EB1の角度と、対物レンズ14による絞りを制御して、電子線EB1が試料Sp1に入射する領域を変更する。
図14(B)に示すように、制御装置50は、分光結晶35を用いて分光する(ステップS6)。分光結晶35を用いた場合、高い波長分解能による分光を行うことができる。制御装置50は、分光結晶35を用いて分光したカソードルミネッセンスCL3に基づいて画像を形成し、当該画像をディスプレイ60に表示する(ステップS7)。
このように、実施の形態4においても、エタロン素子30を用いて分光することにより、カソードルミネッセンス分光装置100Aにおいて、分析時間を短縮することができる。さらに、実施の形態4では、分光結晶35をさらに備え、用途に応じてミラー20の集光先を切り替えることができる。すなわち、実施の形態4では、短時間で分析をすることが可能なエタロン素子30を用いて分析を行った後に、より正確な分析が必要な箇所に対して、高い波長分解能の分光結晶35を用いて分析を行うことができるため、効率的な分析を行うことができる。
[変形例]
(1) 実施の形態1では、エタロン素子30が駆動装置を備える例について説明した。しかしながら、カソードルミネッセンス分光装置100は、ハーフミラー31とハーフミラー32との間の距離dが固定されているエタロン素子30を備える構成であってもよい。カソードルミネッセンス分光装置100は、距離dが異なるエタロン素子30を複数備え、切替機構80により、集光先を複数のエタロン素子30の間で切り替えてもよい。
(2) 実施の形態2では、CCDである検出器40Aが検出したカソードルミネッセンスCL3の発光強度または波長に基づいて、画像Im2を表示する例について説明した。変形例においては、制御装置50が画像Im2に他の画像を重ね合わせてディスプレイ60に表示させる構成について説明する。
図18は、画像の重ね合わせについて説明する図である。実施の形態1で説明したように、制御装置50は、画像Im1に2次電子の検出により得られる試料Sp1の画像を重ね合わせて表示してもよい。また、実施の形態2においても、同様に、制御装置50は、画像Im2に対して、2次電子の検出により得られる画像を重ね合わせて表示させてもよい。
実施の形態2では、検出器40AとしてCCDが用いられている。CCDは、カソードルミネッセンスの反射のみならず、一般的な可視光が照明として用いられた場合においても、試料Sp1からの反射光を検出することが可能である。実施の形態2における制御装置50は、画像Im2に対して、一般的な可視光が照明として用いられたときの反射光の検出により得られる試料Sp1の画像を重ね合わせて表示してもよい。
図18(A)に示される画像Im3は、2次電子の検出により得られる画像または一般的な可視光が照明として用いられたときの反射光の検出により得られる画像である。すなわち、図18(A)に示される画像Im3は、カソードルミネッセンスを用いることなく、取得される。
続いて、図18(B)では、CCDである検出器40Aがエタロン素子30によって分光される前のカソードルミネッセンスCL2を検出したときの画像Im4が表示されている。換言すれば、図18(B)の画像Im4は、図5においてエタロン素子30が取り除かれた状態において、検出器40AがカソードルミネッセンスCL2を検出することにより取得される。画像Im4には、検出器40AがカソードルミネッセンスCL2の発光を検出した領域Ar4が示されている。
エタロン素子30によって分光される前のカソードルミネッセンスCL2は、エタロン素子30によって分光された後のカソードルミネッセンスCL3よりも、多くの波長のカソードルミネッセンスを含む。たとえば、図9では、エタロン素子30を用いて、200nm~1300nmごとのカソードルミネッセンスCL3に分光した際のスペクトルについて説明したが、カソードルミネッセンスCL2は、200nm~1300nm以外の波長のカソードルミネッセンスも含み得る。そのため、領域Ar4は、領域Ar1,Ar2を包括する領域となる。
制御装置50は、画像Im3と画像Im4とを、図8の画像Im2に重ねることができる。図18(C)における画像Im5は、図8の画像Im2に対して、図18(A)の画像Im3と図18(B)の画像Im4とを重ねた後の画像である。このように、図18(C)では、カソードルミネッセンスを用いることなく取得される画像Im3とカソードルミネッセンスCL3を検出することにより得られる画像Im2とが重ね合わせられている。これにより、カソードルミネッセンス分光装置100Aでは、2次電子または可視光の反射から得られた試料Sp1の画像を用いて、試料Sp1のいずれの箇所で分光後のカソードルミネッセンスCL3が発光しているかをユーザーに容易に把握させることができる。
さらに、図18(C)では、分光前のカソードルミネッセンスCL2を検出することにより得られる画像Im4と、分光後のカソードルミネッセンスCL3を検出することにより得られる画像Im2とが重ね合わせられている。これにより、分光前のカソードルミネッセンスCL2と分光後のカソードルミネッセンスCL3との発光強度の差を容易にユーザーに把握させることができる。
たとえば、分光後のカソードルミネッセンスCL3の発光強度が低く、かつ、分光後のカソードルミネッセンスCL3のみがディスプレイ60に表示されている場合、ユーザーは、カソードルミネッセンス自体の発光がされていないと認識する可能性がある。しかしながら、変形例におけるカソードルミネッセンス分光装置100Aでは、画像Im4と画像Im2とが重ね合わせられていることにより、分光前のカソードルミネッセンスCL2が発光している領域Ar4がディスプレイ60に表示され、ユーザーがカソードルミネッセンス自体の発光がされていることを見逃すことを防止できる。なお、画像Im5は、画像Im2と画像Im3とだけが重ね合わせられた画像であってもよいし、画像Im2と画像Im4とだけが重ね合わせられた画像であってもよい。
(3) 実施の形態4では、切替機構80がミラー20の集光先を分光結晶35とエタロン素子30との間で切り替える構成について説明した。しかしながら、ミラー20によって反射されたカソードルミネッセンスは、分光結晶35とエタロン素子30とに同時に集光されてもよい。たとえば、ミラー20の集光先にさらにハーフミラーが設けられ、当該ハーフミラーによってミラー20からのカソードルミネッセンスが分光結晶35とエタロン素子30とに分岐して、同時に集光されるように構成されてもよい。
[態様]
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項) 一態様に係るカソードルミネッセンス分光装置は、試料に電子線を照射する電子銃と、試料への電子線の照射によって試料から放射されるカソードルミネッセンスを集光する集光機構と、集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスを分光可能に構成された分光素子と、分光素子によって分光されたカソードルミネッセンスの強度を検出する検出器と、検出器から検出結果を受信し、カソードルミネッセンス分光装置を制御する制御装置とを備える。分光素子は、第1ミラーと、第1ミラーと対向する位置に設けられた第2ミラーとを含む。第1ミラーは、集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させる。第2ミラーは、第1ミラーを透過したカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させる。第1ミラーおよび第2ミラーは、第1ミラーと第2ミラーとの間のカソードルミネッセンスを干渉させて、特定の波長のカソードルミネッセンスを第2ミラーから透過させる。検出器は、第2ミラーを透過したカソードルミネッセンスの強度を検出する。
第1項に記載の分析装置によれば、エタロン素子30を用いて分光することにより、カソードルミネッセンス分光装置100Aにおいて、分析時間を短縮することができる。
(第2項) 検出器は、第1受光素子および第2受光素子を含む。電子銃は、試料の表面における照射領域に電子線を照射する。分光素子は、照射領域のうちの第1領域から放射された第1カソードルミネッセンスを分光し、照射領域のうちの第1領域と異なる第2領域から放射された第2カソードルミネッセンスを分光する。第1受光素子は、分光素子によって分光された第1カソードルミネッセンスを受光する。第2受光素子は、分光素子によって分光された第2カソードルミネッセンスを受光する。
第2項に記載の分析装置によれば、電子銃10を走査させずとも、試料Sp1の全体におけるカソードルミネッセンスの発光強度を示す画像を形成することができる。
(第3項) 電子線が前記試料に入射するときの入射角は、0度より大きく、90度より小さい。
第3項に記載の分析装置によれば、電子銃10の配置の自由度が向上する。
(第4項) 分光素子は、第1ミラーと第2ミラーとの間の距離を変化させる駆動装置をさらに備える。
第4項に記載の分析装置によれば、単一の分光素子を用いて、複数の波長に分光させることができる。
(第5項) 駆動装置は、ピエゾ素子を含んで形成される。
第5項に記載の分析装置によれば、ピエゾ素子により第1ミラーと第2ミラーとの間の距離を正確かつ短時間で変化させることができる。
(第6項) 集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスのうちの特定波長のカソードルミネッセンスを反射可能に構成された分光結晶と、集光機構の集光先を分光結晶または分光素子に切り替える切替機構とをさらに備える。
第6項に記載の分析装置によれば、用途に応じて分光器を容易に切り替えることができる。
(第7項) 制御装置は、分光素子によって分光されたカソードルミネッセンスに基づいて第1画像を形成し、分光結晶に切り替える命令を受信した場合、分光結晶によって分光されたカソードルミネッセンスに基づいて第2画像を表示する。
第7項に記載の分析装置によれば、分析時間が短い分光素子で分光をした後に、波長分解能の高い分光結晶での分光を行うことができる。
なお、上述した実施の形態および変更例について、明細書内で言及されていない組み合わせを含めて、不都合または矛盾が生じない範囲内で、実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 電子銃、11 電子源、12 コンデンサレンズ、13 走査コイル、14 対物レンズ、15 試料台、20 ミラー、20a 開口、30 エタロン素子、31,32 ハーフミラー、33 駆動装置、35 分光結晶、40,40A 検出器、50 制御装置、52 メモリ、60 ディスプレイ、70 入力装置、80 切替機構、100,100A,100B,100C カソードルミネッセンス分光装置、Ar1~Ar4,Fa1~Fa3,Fb1~Fb3,Fd1,Rg1,Rg2 領域、CL1~CL3,CL11~CL13,CL21~CL23,CL31~CL33,CLg カソードルミネッセンス、Cp 点、EB1,EB2 電子線、Fc1 照射領域、Im1~Im5 画像、LE1~LE3 受光素子、Sp1 試料、Wd 幅、d 距離、Th 閾値。

Claims (7)

  1. カソードルミネッセンス分光装置であって、
    試料に電子線を照射する電子銃と、
    前記試料への前記電子線の照射によって前記試料から放射されるカソードルミネッセンスを集光する集光機構と、
    前記集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスを分光可能に構成された分光素子と、
    前記分光素子によって分光されたカソードルミネッセンスの強度を検出する検出器と、
    前記検出器から検出結果を受信し、前記カソードルミネッセンス分光装置を制御する制御装置とを備え、
    前記分光素子は、
    第1ミラーと、前記第1ミラーと対向する位置に設けられた第2ミラーとを含み、
    前記第1ミラーは、前記集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させ、
    前記第2ミラーは、前記第1ミラーを透過したカソードルミネッセンスの一部を反射し、一部を透過させ、
    前記第1ミラーおよび前記第2ミラーは、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの間のカソードルミネッセンスを干渉させて、特定波長のカソードルミネッセンスを前記第2ミラーから透過させ、
    前記検出器は、前記第2ミラーを透過したカソードルミネッセンスの強度を検出する、カソードルミネッセンス分光装置。
  2. 前記検出器は、第1受光素子および第2受光素子を含み、
    前記電子銃は、前記試料の表面における照射領域に電子線を照射し、
    前記分光素子は、
    前記照射領域のうちの第1領域から放射された第1カソードルミネッセンスを分光し、
    前記照射領域のうちの前記第1領域と異なる第2領域から放射された第2カソードルミネッセンスを分光し、
    前記第1受光素子は、前記分光素子によって分光された前記第1カソードルミネッセンスを受光し、
    前記第2受光素子は、前記分光素子によって分光された前記第2カソードルミネッセンスを受光する、請求項1に記載のカソードルミネッセンス分光装置。
  3. 前記電子線が前記試料に入射するときの入射角は、0度より大きく、90度より小さい、請求項2に記載のカソードルミネッセンス分光装置。
  4. 前記分光素子は、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの間の距離を変化させる駆動装置をさらに備える、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のカソードルミネッセンス分光装置。
  5. 前記駆動装置は、ピエゾ素子を含んで形成される、請求項4に記載のカソードルミネッセンス分光装置。
  6. 前記集光機構によって集光されたカソードルミネッセンスのうちの特定波長のカソードルミネッセンスを反射可能に構成された分光結晶と、
    前記集光機構の集光先を前記分光結晶または前記分光素子に切り替える切替機構とをさらに備える、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のカソードルミネッセンス分光装置。
  7. 前記制御装置は、
    前記分光素子によって分光されたカソードルミネッセンスに基づいて第1画像を形成し、
    前記分光結晶に切り替える命令を受信した場合、前記分光結晶によって分光されたカソードルミネッセンスに基づいて第2画像を表示する、請求項6に記載のカソードルミネッセンス分光装置。
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