JP2023022751A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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和之 金本
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Abstract

【課題】優れた耐電圧特性を具備した固体電解コンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を含む前処理剤を用い、誘電体酸化皮膜が形成された陽極金属上にコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させる処理を施し、次いで該陽極金属上に導電性高分子からなる固体電解質を形成することで、優れた耐電圧特性を示す固体電解コンデンサを提供できる。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子は、優れた安定性及び導電性を有することから、固体電解コンデンサ用電解質に適用されている。
これらの導電性高分子は一般に、溶媒に不溶あるいは難溶、かつ、不融であるため成型、加工が困難である。
固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を有する陽極金属上に、陰極として機能する導電性高分子を含有する固体電解質層を形成してなるものが知られている。
固体電解質層の形成方法としては、化学酸化重合法が知られており、例えば、誘電体酸化皮膜が形成された陽極金属上にて、モノマー化合物を含む溶液及び酸化剤を付着、接触させることで重合せしめ、前記陽極金属上に導電性高分子からなる固体電解質層を形成することができる。
しかし、この化学酸化重合法では、化学酸化重合時に使用する酸化剤による誘電体酸化皮膜への損傷があるため、固体電解コンデンサの耐電圧が低下するという問題があった
特許文献1には、固体電解質形成用組成物に、ホウ酸と、3価以上のグリコールを含有しない2価のグリコールを予め添加することで、乾燥固化して固体電解質を形成する際に、該固体電解質中に、誘電体酸化皮膜修復能を有するホウ酸エステルを生成させることで、耐電圧の高いコンデンサを得る手法が開示されている。
特開2017-004986号公報
固体電解質中にホウ酸エステルを生成させる特許文献1の前記固体電解コンデンサでは、耐電圧特性が不十分であることが本発明者らの検討により判明した。
従って、本発明は、耐電圧特性が優れている固体電解コンデンサの製造方法を提供するものである。
本発明者等らが、鋭意検討した結果、以下の内容の本発明を完成した。
[1]コロイダルシリカ及びシリコーン系界面活性剤を含有する前処理剤により、誘電体酸化皮膜が形成された陽極金属上にコロイダルシリカ及びシリコーン系界面活性剤を保持させる工程と(a)、次いで固体電解質層を形成させる工程と(b)、を少なくとも有する固体電解コンデンサの製造方法。
[2]前記前処理剤に含まれるコロイダルシリカに対するシリコーン系界面活性剤の質量比が、0.01~10である[1]に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[3] 前記前処理剤に含まれるシリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーンである[1]又は[2]のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[4]前記前処理剤に含まれるポリエーテル変性シリコーンがペンダント型ポリマー又はABA型ポリマーである[1]~[3]のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[5]前記前処理剤におけるシリコーン系界面活性剤の含有量が、0.01~20質量%である[1]~[4]のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[6]コロイダルシリカ及びシリコーン系界面活性剤を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用前処理剤。
本発明によれば、破壊電圧が大きく向上する固体電解コンデンサの製造方法を提供できる。すなわち、本発明は、優れた耐電圧特性を有する固体電解コンデンサの製造方法を提供するものである。
以下に本発明について説明する。
本発明によって製造される固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を形成させた陽極金属上に固体電解質が形成されてなる固体電解コンデンサである。
[誘電体酸化皮膜を形成させた陽極金属]
陽極金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の陽極金属を例示することができる。陽極金属の形状としては、微細な粒子を焼結させた焼結体、エッチング等により粗面化処理した箔状あるいは板状の形状で用いられる。
これらの陽極金属の中でも、本発明の作用効果を呈し易いという面からエッチング等により粗面化処理した箔状のアルミニウムが極めて好適である。
陽極金属に公知の化成処理を施すことによって陽極金属の表面に誘電体酸化皮膜を形成することができる。例えば、アジピン酸二アンモニウム等の水溶液中で陽極酸化処理を行い、陽極金属上に誘電体酸化皮膜を形成することができる。
本発明の前処理剤は、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を含有する。コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を含有させた前処理剤を陽極金属の前処理に用いることで、固体電解コンデンサの耐電圧特性を向上させることができる。
<コロイダルシリカ>
コロイダルシリカとは、SiO又はその水和物のコロイドで、粒径が1~300nmで一定の構造をもたないものである。ケイ酸塩に希塩酸を作用させた後に、透析で得ることができる。粒径が小さくなるほどゲル化は進行しやすくなるが、粒径が大きくなるほどゲル化しにくくなる。本発明に用いるコロイダルシリカの粒径は、10~50nmが好ましく挙げられ、より好ましくは10~30nmが好ましく挙げられる。該粒径のコロイダルシリカを用いることで、ゲル状になりにくく、前処理剤使用時にも安定に分散した状態を維持することができる。
コロイダルシリカは、水又は有機溶媒にほとんど溶解せず、一般に適当な分散溶媒中に分散させたコロイド溶液として前処理剤に添加した状態で用いることができる。
本発明に用いるコロイダルシリカは、ナトリウム安定型コロイダルシリカでも、酸性コロイダルシリカでも、アンモニア安定型コロイダルシリカでもよい。
ナトリウム安定型コロイダルシリカは、コロイダルシリカの表面がONa基となっている。酸性コロイダルシリカは、コロイダルシリカの表面が、Naを除去したOH基となっているコロイダルシリカであり、アンモニア安定型コロイダルシリカは、Naを除去してOH基にした後、アンモニアを含有させて安定化させたコロイダルシリカである。
これらの中でも、ナトリウムイオンの含有量が少ない酸性コロイダルシリカ又はアンモニア安定型コロイダルシリカが好ましく挙げられる。
前処理剤中におけるコロイダルシリカの含有量は、0.01~20質量%、より好ましくは0.05~15質量%が挙げられ、特に好ましくは0.1~10質量%が挙げられる。該範囲では、前処理剤を用いた陽極金属の前処理により、電解コンデンサの耐電圧特性が向上する。
コロイダルシリカの平均粒径は、いずれのものでもよく、好ましくは1~100nmであり、より好ましくは10~50nmであり、特に好ましくは10~30nmである。前記平均粒径にすることで、溶媒における分散性に優れた前処理剤を得ることができる。
コロイダルシリカの形状は、球状タイプ、鎖状タイプ、コロイダルシリカが環状に凝集して溶媒に分散した環状タイプのいずれであってもよい。
<シリコーン系界面活性剤>
シリコーン系界面活性剤は、シロキサン結合(Si-O-Si)を主骨格にもつとともにSi-Cの結合をも有する化合物を含み、具体的には、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、クロロフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の分子量は、100~100000が好ましく挙げられる。該範囲の分子量のシリコーン系界面活性剤を用いることで、コロイダルシリカの電荷バランスが崩れるのを防止することができるため、より高い耐電圧特性を有した固体電解コンデンサを得ることができる。
アルキル変性シリコーンとは、炭素数6以上のアルキル基や2-フェニルプロピル基等を有する変性シリコーンであり、アルコール変性シリコーンとは、アルコール性水酸基を有する変性シリコーンであり、エポキシ変性シリコーンとは、グリシジル基又は脂環式エポキシ基等を有する変性シリコーンであり、アミノ変性シリコーンとは、アミノプロピル基やN-(2-アミノエチル)アミノプロピル基等のアミノ基を有する変性シリコーンであり、脂肪酸エステルシリコーンとは、脂肪酸のエステル基を有する変性シリコーンであり、ポリエーテル変性シリコーンとは、ポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレンオキシプロピレン基等)を有する変性シリコーンである。
シリコーン系界面活性剤は、単独又は2種類以上併用して用いることができる。これらの中でも特に、前処理剤のゲル化を防止する点より、ポリエーテル変性シリコーンが好ましく挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンには、ペンダント型ポリマー、ABA型ポリマー、(AB)n型ポリマー、枝分かれ型ポリマー等が挙げられるが、これらの中でもペンダント型ポリマー又はABA型ポリマーが好ましく挙げられる。
ペンダント型は典型的には一般式(A)で表される化合物であり、ABA型は典型的には一般式(B)で表される化合物である。
Figure 2023022751000001
上記一般式(A)、(B)で表される化合物中のR又はRは、炭素数1~20のアルキル基を示し、Y又はZは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を示す。mは0から1000の整数であり、n又はPは1~1000の整数である。a、b、c、dはそれぞれ独立に0~100の整数である。
前処理剤中のコロイダルシリカとシリコーン系界面活性剤の含有比(質量比)は、任意の質量比でよいが、コロイダルシリカ1に対し、シリコーン系界面活性剤を0.01~10含有させることが好ましく挙げられ、0.05~5.0含有させることがより好ましく挙げられ、0.1~2.0含有させることが特に好ましく挙げられる。該範囲にすることで、耐電圧性、等価直列抵抗、静電容量、tanδ及び漏れ電流特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
前処理剤におけるシリコーン系界面活性剤の含有量は、0.01~20質量%が好ましく挙げられ、0.05~15質量%がより好ましく挙げられ、0.1~10質量%が特に好ましく挙げられる。該範囲の前処理剤を用いた陽極金属の前処理により、耐電圧性、等価直列抵抗、静電容量、tanδ及び漏れ電流特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
[前処理剤の溶媒]
本発明の前処理剤には、溶媒として水又は有機溶媒を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、セロソルブ類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、スルホン類等を用いることができる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、n-アミルアルコール、s-アミルアルコール、t-アミルアルコール、アリルアルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-オクタノール、n-オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチル-n-プロピルケトン等が挙げられる。
エステル類としては、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、蟻酸イソブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸メチル、酢酸イソブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸メチル、サリチル酸メチル、シュウ酸ジエチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、フタル酸エチル、フタル酸メチル、フタル酸ブチル、γ-ブチロラクトン、マロン酸エチル、マロン酸メチル等が挙げられる。
セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
前記溶媒は単独で用いる他、混合して用いることができる。
スルホン類としては、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、3-メチルスルホラン等が挙げられる。
前記溶媒の中でも特に、水、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ガンマブチロラクトン、スルホランからなる群から選ばれる少なくとも一つであることが、好ましく挙げられる。
[コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を溶媒にて所定濃度に希釈した前処理剤]
溶媒にて所定濃度に希釈した前記前処理剤は、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤の合計1重量部に対し、溶媒0.1~10000重量部で希釈したものが好ましく、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤の合計1重量部に対し、溶媒0.5~5000重量部であることがより好ましく、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤の合計1重量部に対し、溶媒1.0~1000重量部であることが特に好ましく挙げられる。該範囲にすることで、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を陽極金属に効率よく保持させることができ、特に高耐電圧と低漏れ電流特性を有する固体電解コンデンサを製造することができる。
[コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させる工程]
上述したコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させる工程を次に述べる。上述したコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を溶媒にて所定濃度に希釈した前処理剤を、陽極金属誘電体酸化皮膜を有する陽極金属に接触させた後、乾燥し溶媒除去させることで、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させることができる。接触させる方法は、任意の方法でよいが、好ましくは、誘電体酸化皮膜を有する陽極金属を前処理剤中に浸漬させる方法が挙げられる。
つまり、誘電体酸化皮膜を有する陽極金属を上述したコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を溶媒にて所定濃度に希釈した前処理剤に浸漬し引き上げた後乾燥して、誘電体酸化皮膜を有する陽極金属上にコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を付着させる工程を有することが好ましく挙げられる。
誘電体酸化皮膜を有する陽極金属を、上記前処理剤に浸漬し、引き上げた後、乾燥する工程を複数回繰り返してもよい。
乾燥は室温での自然乾燥から加熱乾燥までのいずれでもよいが、80℃以上に加熱して乾燥させるのが好ましく挙げられる。
より具体的な工程の一例として、前処理剤中に誘電体酸化皮膜を有する陽極金属を30秒間浸漬後、155℃にて30分乾燥する工程を例示することができる。
[固体電解質]
前記固体電解質層を形成させる工程に用いられる導電性高分子は、好ましくはドーパントをドープした重合体である。重合体を製造するのに用いるモノマー化合物としては、特に制限されるものではなく、例えば、ピロール類、チオフェン類、アニリン類等を用いることができるが、導電性に優れることから、下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物であることがより好ましい。
Figure 2023022751000002
上記一般式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1~6の直鎖又は分岐状のアルキル基を示し、Xはそれぞれ同一でも異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。
上記一般式(1)で表されるチオフェン化合物として、具体的には、3,4-エチレンジオキシチオフェン、メチル-3,4-エチレンジオキシチオフェン、エチル-3,4-エチレンジオキシチオフェン、プロピル-3,4-エチレンジオキシチオフェン、3,4-プロピレンジオキシチオフェン、メチル-3,4-プロピレンジオキシチオフェン、エチル-3,4-プロピレンジオキシチオフェン、プロピル-3,4-プロピレンジオキシチオフェン、3,4-エチレンジチアチオフェン、メチル-3,4-エチレンジチアチオフェン、エチル-3,4-エチレンジチアチオフェン、プロピル-3,4-エチレンジチアチオフェン、3,4-プロピレンジチアチオフェン、メチル-3,4-プロピレンジチアチオフェン、エチル-3,4-プロピレンジチアチオフェン、プロピル-3,4-プロピレンジチアチオフェン等が挙げられる。
これらの中でも特に固体電解コンデンサにおける電気特性に優れる点より、3,4-エチレンジオキシチオフェン、メチル-3,4-エチレンジオキシチオフェン、エチル-3,4-エチレンジオキシチオフェンが特に好ましく挙げられる。
本発明に用いることができる導電性高分子は、上記一般式(1)で表されるチオフェン化合物等のモノマー化合物を、上記ドーパントの存在下で化学酸化重合することによって得ることができる。化学酸化重合のための酸化剤は例えば特開2010-31160号公報記載の公知の酸化剤を用いることができる。
該ドーパントとしては、高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基を有していればよく、硫酸エステル基、リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシル基、スルホ基等が好ましく挙げられる。これらの中でも、ドープ効果の点より、硫酸エステル基、カルボキシル基、スルホ基がより好ましく挙げられ、スルホ基が特に好ましく挙げられる。
ドーパントとして、例えば、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン、ヘキサフルオロヒ素、ヘキサフルオロアンチモン、テトラフルオロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物イオン、又はメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン等の環状スルホン酸イオン、又はベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンモノもしくはジスルホン酸イオン、2-ナフタレンスルホン酸、1,7-ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を1~4個置換したナフタレンスルホン酸のアルキル置換もしくは無置換イオン、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸イオン、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸イオン等、またはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸イオン、メトキシベンゼンスルホン酸、エトキシベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸が挙げられる。これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、エトキシベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸から選ばれる少なくとも一種がより好ましく挙げられ、パラトルエンスルホン酸が特に好ましく挙げられる。
[固体電解質層を形成させる工程]
前記固体電解質層を形成させる工程を次に述べる。上述したモノマー化合物とドーパント及び酸化剤を含む混合溶液を、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持した陽極金属に接触させた後、重合させることで、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持した陽極金属に、導電性高分子を形成させたコンデンサ素子を作製する。接触させる方法は、任意の方法でよいが、好ましくは、上述したモノマー化合物とドーパント及び酸化剤を含む混合溶液に浸漬させる方法が挙げられる。
つまり、コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持した陽極金属を、上述したモノマー化合物とドーパントを含む溶液に浸漬し引き上げた後加熱して、誘電体酸化皮膜を有する陽極金属上で化学酸化重合し導電性高分子を形成させる工程を有することが好ましく挙げられる。
誘電体酸化皮膜を有する陽極金属を、上述したモノマー化合物とドーパント及び酸化剤を含む混合溶液に浸漬し、引き上げた後、乾燥する工程を複数回繰り返してもよい。
固体電解質を形成させる工程は、モノマー化合物とドーパントを含む酸化剤溶液を交互に接触させる化学重合法や、電解重合法や、導電性高分子分散液を前記陽極金属に接触させる方法も挙げられる。
乾燥は室温での自然乾燥から加熱乾燥までのいずれでもよいが、導電性高分子分散液に高沸点有機溶媒を含有させている場合には、150℃以上に加熱して乾燥させるのが好ましく挙げられる。
[固体電解コンデンサ]
用いる陽極金属の種類、形状により、固体電解コンデンサはチップ型、巻回型とすることができる。
(実施例1)
陽極金属として大きさが7×100mmのアルミニウム陽極箔を準備し、セパレータ紙を介して対向させた陰極箔とともに巻回し、陽極箔、陰極箔にそれぞれリードを取り付けることでコンデンサ素子を準備した。なお、アルミニウム陽極箔には誘電体酸化皮膜を形成するために予め化成処理を施した。
(前処理剤の製造)
コロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスN-40、水分散液、固形分40%、平均粒径20~30nm、pH9.0~10)2.5質量部、シリコーン系活性剤としてポリエーテル変性シリコーン(ペンダント型:モメンティブ社製、「SilwetL-7657」、分子量5000)0.01質量部、エチレングリコール5重量部と水92.5重量部で希釈し前処理剤を得た。
(導電性高分子モノマーとドーパント及び酸化剤を含む混合溶液の製造)
4部の2-エチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン(2-エチル-EDOT)と10部の50%パラトルエンスルホン酸第二鉄/エタノール溶液を混合し、導電性高分子モノマーとドーパント及び酸化剤を含む混合溶液を得た。
(コロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させる工程)
次に、上記前処理剤に、上記コンデンサ素子を30秒間浸漬し、素子をゆっくり引き上げた後、155℃で30分送風乾燥させた。
(固体電解質層を形成する工程)
次に、上記で得られた導電性高分子モノマーとドーパント及び酸化剤を含む混合溶液に、上記コンデンサ素子を30秒間浸漬し、85℃で30分乾燥させる工程を行った後、さらに230℃で3分間熱処理を行って固体電解質層を形成させ、コンデンサ素子を製造し、評価に供した。
(実施例2)
ポリエーテル変性シリコーンを0.1質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(実施例3)
ポリエーテル変性シリコーンを0.5質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(実施例4)
ポリエーテル変性シリコーンを1.0質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(実施例5)
ポリエーテル変性シリコーンを2.0質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(実施例6)
ポリエーテル変性シリコーンを5.0質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(実施例7)
ポリエーテル変性シリコーンを10.0質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(実施例8)
シリコーン系活性剤としてポリエーテル変性シリコーン(ABA型:モメンティブ社製、「SilwetL-8500」、分子量2800)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(比較例1)
実施例1に記載のコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させる工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
(比較例2)
導電性高分子モノマーとドーパント及び酸化剤を含む混合溶液にホウ酸エステル化合物を含有させた重合液を用いて固体電解コンデンサを製造した。すなわち、4部の2-エチル-2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ジオキシン(2-エチル-EDOT)と10部の50%パラトルエンスルホン酸第二鉄/エタノール溶液及び1.4部のホウ酸トリブチル(東京化成工業株式会社製)を混合し、導電性高分子モノマー、ドーパント、酸 化剤及びホウ酸エステル化合物を含む混合溶液を得た。 実施例1に記載のコロイダルシリカ及びシリコーン系活性剤を保持させる工程を行なわず、当該混合溶液を用いること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
<固体電解コンデンサの評価>
実施例1~8及び比較例1~2より得られた固体電解コンデンサについて、アジレント・テクノロジー株式会社製プレシジョンLCRメーターE4980Aを使用して、120Hzにおける静電容量(μF)およびtanδを測定し、100kHzにおける等価直列抵抗(ESR)を測定した。また、株式会社アドバンテスト製直流電圧・電流源/モニタR6243を使用して、固体電解コンデンサの両電極に直流電圧を印加し、0.2V/秒の速度で昇圧させて、60秒経過後の電流値を測定し、その電流を漏れ電流値、電流が0.5Aになったときの電圧を測定し、その電圧を耐電圧とした。
測定結果を表1に示す。
Figure 2023022751000003
上記のとおり、実施例においては、優れた耐電圧性を有する固体電解コンデンサを得ることができた。
本発明の固体電解コンデンサは耐電圧性に優れるため、高周波数のデジタル機器等に適用できる。

Claims (6)

  1. コロイダルシリカ及びシリコーン系界面活性剤を含有する前処理剤により、誘電体酸化皮膜が形成された陽極金属上にコロイダルシリカ及びシリコーン系界面活性剤を保持させる工程と(a)、次いで固体電解質層を形成させる工程と(b)、を少なくとも有する固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記前処理剤に含まれるコロイダルシリカに対するシリコーン系界面活性剤の質量比が、0.01~10である請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記前処理剤に含まれるシリコーン系界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーンである請求項1又は2のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記前処理剤に含まれるポリエーテル変性シリコーンがペンダント型ポリマー又はABA型ポリマーである請求項1~3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記前処理剤におけるシリコーン系界面活性剤の含有量が、0.01~20質量%である請求項1~4のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. コロイダルシリカ及びシリコーン系界面活性剤を含む、請求項1~5のいずれかに記載の固体電解コンデンサ用前処理剤。

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