JP2023018357A - メス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネス - Google Patents

Abstract

【課題】基台部の底壁とバネ部材の底板とを確実に溶接して良好な電導性を確保できるメス型端子、メス型コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】メス型端子１０は、電線３に接続される基台部２０と、基台部２０に取り付けられるバネ部材３０とで端子本体１３が設けられている。基台部２０は、オス型端子５が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁２１とそれぞれの側壁２１をつなぐ底壁２２を有し、バネ部材３０は、一対の側壁２１の間に嵌め込まれた状態において底壁２２に対して沿設される底板３２を有している。そして、底壁２２と底板３２とは、当接部３６を介して溶接されたことを特徴としている。【選択図】図３

Description

この発明は、大電流が流れる電気回路のメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスに関する。

従来より、電気機器は、電動装置や電源装置をワイヤーハーネスによって接続することで電気回路を構成している。ワイヤーハーネスと電動装置ならびにワイヤーハーネスと電源装置は、それぞれに装着されたコネクタを介して互いに接続されている。

例えば、特許文献１に示すコネクタは、コネクタハウジングにメス型端子を収容したものである。かかるメス型端子は、基台部とバネ部材によって端子本体が構成されており、基台部を構成する一対の側壁に対してバネ部材の沿設板が沿設されている。

特開２０２０－２０５７１１号公報

ところで、自動車における駆動系等の電気回路においては、大電流が流れることから、良好な導電性を確保する必要がある。しかし、基台部を構成する一対の側壁のそれぞれで溶接を行う場合、少なくとも一方側でひずみ等による隙間が生じ、溶接が不確実になってしまうおそれがあった。つまりは、導電性が不確実になってしまうおそれがあった。

この発明は、基台部の底壁とバネ部材の底板とを確実に溶接して良好な電導性を確保できるメス型端子、コネクタ、端子付き電線、コネクタ付き電線及びワイヤーハーネスを提供することを目的としている。

この発明は、電線に接続される基台部と、前記基台部に取り付けられるバネ部材とで端子本体が設けられ、前記基台部は、オス型端子が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁とそれぞれの前記側壁をつなぐ底壁を有し、前記バネ部材は、一対の前記側壁の間に嵌め込まれた状態において前記底壁に対して沿設される底板を有しており、前記底壁と前記底板とは、当接部を介して溶接されたことを特徴とするメス型端子である。

なお、本発明における当接部とは、底壁と底板とが接触している部分を意味しており、特に断りなき場合はあらゆる態様を含むものとする。

またこの発明には、前述のメス型端子と、前記メス型端子を収容するコネクタハウジングとが備えられたコネクタ、ならびに前述のメス型端子と、前記メス型端子の前記基台部に接続される前記電線とが備えられた端子付き電線が含まれるものとする。

さらにこの発明には、前述の端子付き電線と、前記端子付き電線を収容するコネクタハウジングとが備えられたコネクタ付き電線、ならびに前述の端子付き電線及び前述のコネクタ付き電線のうち少なくとも一方が備えられたワイヤーハーネスが含まれるものとする。

この発明により、基台部の底壁とバネ部材の底板とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。
詳述すると、本願発明に係るメス型端子等において、基台部は、オス型端子が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁とそれぞれの側壁をつなぐ底壁を有し、バネ部材は、一対の側壁の間に嵌め込まれた状態において底壁に対して沿設される底板を有している。そして、底壁と底板とは、当接部を介して溶接されたことを特徴としている。このように、本願発明に係るメス型端子等においては、底壁と底板とが隙間なく当接するよう当接部が設けられており、この当接部を介して溶接が行われるため、隙間に起因した溶接不良の発生を防止できる。したがって、基台部の底壁とバネ部材の底板とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。

加えて、本願発明に係るメス型端子等においては、基台部を構成する一対の側壁のそれぞれで溶接を行うのではなく、基台部の底壁とバネ部材の底板とを溶接するのであるから、溶接箇所を減らすことができる。したがって、一対の側壁のそれぞれで溶接を行うメス型端子に比べて生産性を向上させることが可能となる。また、バネ部材に側壁との溶接箇所となる部分を設ける必要がなくなるため、かかるバネ部材の形状を簡素化でき、より生産性を向上させることが可能となる。さらには、重量を軽減させることも可能となる。

この発明の態様として、前記当接部は、前記底板に設けられた前記底壁の側へ突出する凸形部分又は前記底壁に設けられた前記底板の側へ突出する凸形部分であってもよい。
なお、本発明における凸形部分とは、底板に設けられる場合にあっては、曲げ加工や隆起部の形成によって局所的に底壁の側へ突出している部分を指す。底壁に設けられる場合にあっても、曲げ加工や隆起部の形成によって局所的に底板の側へ突出している部分を指す。但し、その断面形状が円弧状であることに限定するものではない。

この発明により、当接部が底板に設けられている場合は、この当接部の先端部分が底壁に当接する。反対に、当接部が底壁に設けられている場合は、この当接部の先端部分が底板に当接する。したがって、基台部の底壁とバネ部材の底板とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。

加えて、当接部が凸形部分であるため、その先端部分における熱容量が小さくなる。すると、溶接時に先端部分における温度を素早く上昇させることができ、かつ高温にすることができる。したがって、基台部の底壁とバネ部材の底板とをより確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。

またこの発明の態様として、前記当接部に対向する位置に当該当接部（凸形部分）が嵌合する凹形部分を設けてもよい。
なお、本発明における当接部に対向する位置とは、底板に当接部が設けられている場合にあっては底壁における対向する位置であり、底壁に当接部が設けられている場合にあっては底板における対向する位置である。また、本発明における凹形部分とは、底壁に設けられる場合にあっては、曲げ加工や窪み部の形成によって局所的に陥没している部分を指す。底板に設けられる場合にあっても、曲げ加工や窪み部の形成によって局所的に陥没している部分を指す。但し、その断面形状が円弧状であることに限定するものではない。

この発明により、当接部である凸形部分と凹形部分が嵌合し、凸形部分の外側面と凹形部分の内側面とが接するので、接触面積を広く確保できる。したがって、これら端子における電気抵抗を低く抑えることができる。かかる構造は、大電流が流れる電気回路に特に適した構造といえる。

またこの発明の態様として、前記バネ部材は、前記側壁の内側面に沿設される内板を有しており、一方側の前記側壁に沿設された前記内板から対向する前記側壁の開口端側に向かって延設されたアームバネを有していてもよい。
なお、本発明におけるアームバネとは、メス型端子の内側に挿入されたオス型端子の側面に当接する片持ちの接触片を指す。本発明においては、内板に設けられたアームバネの延設方向を限定したものであり、詳細な形状や構造について限定するものではない。

この発明により、比較的に短い経路を通って電流が流れることとなる。すなわち、オス型端子からメス型端子に電流が流れる場合にあっては、オス型端子に当接したアームバネの先端部分からアームバネの基端部分を経由し、これに近い底板の溶接部を通って底壁に電流が流れることとなる。反対に、メス型端子からオス型端子に電流が流れる場合にあっては、底壁から底板の溶接部を通り、これに近いアームバネの基端部分を経由してアームバネの先端部分に当接したオス型端子に電流が流れることとなる。したがって、アームバネが内板から対向する側壁の閉底端側に向かって延設されたメス型端子と比べ、電気抵抗を低く抑えることができる。かかる構造は、大電流が流れる電気回路に特に適した構造といえる。

加えて、側壁の内側面に内板が当接する場合においては、溶接前の組立作業におけるバネ部材のガタつきを抑え、生産性を向上させることが可能となる。さらには、バネ部材がズレたり外れてしまったりすることも防止できる。したがって、溶接前にズレたり外れてしまったバネ部材を再び嵌め込む作業が生じないため、生産性を向上させることが可能となる。

またこの発明の態様として、前記バネ部材は、一方側の前記側壁に近接する前記底板における側方端部から対向する前記側壁の開口端側に向かって延設されたアームバネを有していてもよい。
なお、本発明におけるアームバネも、メス型端子の内側に挿入されたオス型端子の側面に当接する片持ちの接触片を指す。本発明においては、底板に設けられたアームバネの延設方向を限定したものであり、詳細な形状や構造について限定するものではない。

この発明により、さらに短い経路を通って電流が流れることとなる。すなわち、オス型端子からメス型端子に電流が流れる場合にあっては、オス型端子に当接したアームバネの先端部分からアームバネの基端部分を経由し、これに近い底板の溶接部を通って底壁に電流が流れることとなる。反対に、メス型端子からオス型端子に電流が流れる場合にあっては、底壁から底板の溶接部を通り、これに近いアームバネの基端部分を経由してアームバネの先端部分に当接したオス型端子に電流が流れることとなる。したがって、アームバネが内板から対向する側壁の閉底端側に向かって延設されたメス型端子はもちろん、アームバネが内板から対向する側壁の開口端側に向かって延設されたメス型端子と比べ、電気抵抗を低く抑えることができる。かかる構造は、大電流が流れる電気回路に特に適した構造といえる。

またこの発明の態様として、前記バネ部材は、前記側壁の内側面に沿設される内板を有しており、一方側の前記側壁に沿設された前記内板から対向する前記側壁の閉底端側に向かって延設されたアームバネを有していてもよい。
なお、本発明におけるアームバネも、メス型端子の内側に挿入されたオス型端子の側面に当接する片持ちの接触片を指す。本発明においても、内板に設けられたアームバネの延設方向を限定したものであり、詳細な形状や構造について限定するものではない。

この発明により、メス型端子の内側にオス型端子を挿入することが容易となる。すなわち、一方側の側壁に沿設された内板から対向する側壁の閉底端側に向かってアームバネが延設されるため、オス型端子の挿入通路が開口端側で広く閉底端側で狭くなる。そのため、このアームバネがオス型端子の案内板として機能し、オス型端子を所定の挿入完了位置に導くことが可能となる。具体的には、オス型端子の挿入通路における開口端側が広く確保され、アームバネの傾斜に沿ってオス型端子を案内することができるので、オス型端子を所定の挿入完了位置に導くことが可能となる。

加えて、側壁の内側面に内板が当接する場合においては、溶接前の組立作業におけるバネ部材のガタつきを抑え、生産性を向上させることが可能となる。さらには、バネ部材がズレたり外れてしまったりすることも防止できる。したがって、溶接前にズレたり外れてしまったバネ部材を再び嵌め込む作業が生じないため、生産性を向上させることが可能となる。

またこの発明の態様として、複数の前記アームバネが前記側壁に沿って所定間隔を隔てて配置されており、前記底壁と前記底板との溶接部が隣接する前記アームバネと前記アームバネの間に設けられてもよい。

この発明により、アームバネの基端部分に沿う線溶接が行われない。そのため、アームバネの基端部分に溶接熱の影響が及びにくく、メス型端子の内部にオス型端子が挿入された際のアームバネの倒伏（内板又は底板から曲げ起こされたアームバネが基端部分から容易に寝てしまう変形）を抑制することができる。ひいてはアームバネの先端部分にてオス型端子を押し付けることができる。したがって、オス型端子に対してアームバネを密着させてより良好な電導性を確保することができる。

コネクタを示す全体斜視図。 メス型端子の分解斜視図。 メス型端子の斜視図。 メス型端子の側面図。 メス型端子の正面図。 メス型端子の平面図。 図６におけるＡ－Ａ矢視断面図。 図６におけるＢ－Ｂ矢視断面図及びＣ－Ｃ矢視断面図。 メス型端子の内側にオス型端子を挿入した状態の断面図。 メス型端子の組立説明図。 他の実施形態に係るメス型端子の断面図。 他の実施形態に係るメス型端子の断面図。 他の実施形態に係るメス型端子の断面図。 他の実施形態に係るメス型端子の溶接態様を示す平面図。

この発明の一実施形態を図面に基づいて詳述する。
図１はコネクタ１を示す全体斜視図である。図１においては、メス型端子１０を収容するコネクタハウジング４を破線にて表している。

図２はメス型端子１０の分解斜視図である。図３はメス型端子１０の斜視図である。図４はメス型端子１０の側面図であり、図５はメス型端子１０の正面図であり、図６はメス型端子１０の平面図である。また、図７は図６におけるＡ－Ａ矢視断面図であり、図８は図６におけるＢ－Ｂ矢視断面図及びＣ－Ｃ矢視断面図である。さらに、図９はメス型端子１０の内側にオス型端子５を挿入した状態の断面図であり、図１０はメス型端子１０の組立説明図である。

図１に示すように、コネクタ１は、ワイヤーハーネス２を構成する電線３の先端部分に取り付けられている。コネクタ１は、コネクタハウジング４に二つのメス型端子１０を平行に収容したものである。

ワイヤーハーネス２は、複数の電線３を束ねることで構成されている。電線３は、電導体である芯線３ａを絶縁被覆３ｂで覆ったものであり、その先端部分にて露出した芯線３ａがメス型端子１０の基台部２０に接続されている。

コネクタハウジング４は、電線３が挿通される電線挿通部４１と、メス型端子１０を収容する端子収容部４２とを有している。メス型端子１０が収容される収容空間４Ｓは、略四角形状に開口されており、この開口にオス型端子５（図９参照）を収容するコネクタハウジングの突出部分が嵌合される。その際、メス型端子１０の内側にオス型端子５が挿入され、端子同士が電気的に接続されることとなる。

図２から図９に示すように、メス型端子１０は、電線接続部１１と端子接続部１２とで構成されている。電線接続部１１と端子接続部１２は、電線３の延長線上に直列に設けられている。本願においては、かかる方向を長手方向Ｌとして説明する。また、オス型端子５（図９参照）を挿入する方向に対して平行となる方向を高さ方向Ｈとし、長手方向Ｌ及び高さ方向Ｈに対して直行する方向を幅方向Ｗとして説明する。

電線接続部１１には、幅方向Ｗに対して垂直となる接続板１１１が設けられている。また、接続板１１１の上方側端部ならびに下方側端部が折り曲げられて案内片１１２が設けられている。それぞれの案内片１１２は、接続板１１１に対して接続される芯線３ａの広がりを抑える役割を有している。

端子接続部１２には、オス型端子５と電気的に接続される端子本体１３が設けられている。本実施形態に係るメス型端子１０において、端子本体１３は、電線接続部１１を含んで一体的に形成された基台部２０と、基台部２０に取り付けられるバネ部材３０とで構成されている。以下に、基台部２０とバネ部材３０について詳しく説明するものとする。

基台部２０は、オス型端子５が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁２１を有している。より詳しく説明すると、基台部２０は、それぞれが幅方向Ｗに対して垂直となる所定間隔を隔てた一対の側壁２１を有している。また、基台部２０は、それぞれの側壁２１における下方側端部をつなぐ底壁２２を有している。そのため、基台部２０は、長手方向Ｌから視て略Ｕ字状となっている（図４参照）。

また、基台部２０における一方側の側壁２１は、接続板１１１を長手方向Ｌに延設することによって形成されている。他方側の側壁２１は、案内片１１２が形成された側に板材（基台部２０の基材）を折り返すことで形成されている。そのため、基台部２０は、高さ方向Ｈから視て略矩形状となっている（図６参照）。このように、基台部２０は、案内片１１２が形成された側に他方側の側壁２１を形成することで、メス型端子１０のコンパクト化を実現している。

さらに、基台部２０における上方側の案内片１１２は、接続板１１１の上方側端部を折り曲げることによって形成されているところ、かかる案内片１１２を形成する際に側壁２１が歪まないよう切欠部１１ａが設けられている。同様に、基台部２０における下方側の案内片１１２も、接続板１１１の下方側端部を折り曲げることによって形成されているところ、かかる案内片１１２を形成する際に側壁２１が歪まないよう切欠部１１ｂが設けられている。なお、切欠部１１ｂにてバネ部材３０の一部が露出しており、バネ部材３０を下方側から押し出して取り外すことを可能としている（図５参照）。

加えて、基台部２０は、銅合金やアルミ合金等の導電性を有する板材から切り出され、かつ折り曲げられることによって形成されている。基台部２０は、その表面にメッキ処理を施したものではないが、これに限定するものではない。そのため、その表面に導電性を向上させる銀メッキ又は錫メッキ等のメッキ処理を施したものであってもよい。あるいは部分的にメッキ処理を施したものであってもよい。部分的にメッキ処理を施したものとは、例えば、電線接続部１１や端子接続部１２の一面にメッキ処理を施したものが考えられる。あるいは電線接続部１１にのみメッキ処理を施したものや端子接続部１２にのみメッキ処理を施したものが考えられる。

バネ部材３０は、一対の側壁２１の各内側面２１ａに沿って配置される内板３１を有している。また、バネ部材３０は、それぞれの内板３１における下方側端部をつなぐ底板３２を有している。そのため、底板３２は、底壁２２の内側面２２ａに沿って配置されることとなる。すなわち、バネ部材３０は、一対の側壁２１の間に嵌め込まれた状態において底壁２２に対して沿設される底板３２を有している。

また、バネ部材３０における一方側の内板３１は、側壁２１に沿って長手方向Ｌに延びており、この内板３１から対向する側壁２１に向かって六つのアームバネ３５が延設されている（図７参照）。これらアームバネ３５は、全て同じ形状とされており、具体的には、長手方向Ｌから視て対向する側壁２１に近づくように斜め上方側に延び、かつその先端縁を含む一部が折り返された形状となっている（図８参照）。なお、アームバネ３５の基端部分３５Ｐは、側壁２１に沿って延びる内板３１の上端部に設けられている（図９参照）。

さらに、バネ部材３０における他方側の内板３１も、側壁２１に沿って長手方向Ｌに延びており、この内板３１から対向する側壁２１に向かって六つのアームバネ３５が延設されている（図７参照）。これらアームバネ３５は、全て同じ形状とされており、具体的には、長手方向Ｌから視て対向する側壁２１に近づくように斜め上方側に延び、かつその先端縁を含む一部が折り返された形状となっている（図８参照）。なお、アームバネ３５の基端部分３５Ｐは、側壁２１に沿って延びる内板３１の上端部に設けられている（図９参照）。

加えて、バネ部材３０は、底板３２に底壁２２側へ突出する当接部３６が設けられている。より詳しく説明すると、底板３２における幅方向Ｗの中央部分に底壁２２の内側面２２ａ側へ突出する当接部３６が設けられている。当接部３６は、長手方向Ｌに沿って設けられており、その断面形状が下方側に湾曲した円弧状の凸形部分である。そのため、当接部３６の頂点が底壁２２の内側面２２ａに当接（線接触）する。そして、この当接（線接触）している線に沿って溶接が行われるのである。このような構成により、当接（線接触）している線に沿って溶接部３６Ｗが形成されることとなる（図６から図９参照）。

さらに加えて、本実施形態に係るメス型端子１０においては、底板３２に当接部３６が設けられており、この当接部３６が長手方向Ｌに沿って設けられた下方側に湾曲した凸形部分であることから、底板３２の内側面には、長手方向Ｌに沿った直線状の窪み部３６Ｄが形成されている。かかる窪み部３６Ｄは、溶融金属（溶接時に底壁２２や底板３２の一部が溶融して生じる液体状の金属）の受け皿として機能する。つまり、溶接時に生じる溶融金属が広がらないように受け止める受け皿として機能する。したがって、溶融金属が底板３２上に広がって溶接部３６Ｗから離れた場所で冷え固まることを防止できる。

さらに加えて、本実施形態に係るメス型端子１０においては、バネ部材３０がオス型端子５の側面に当接するアームバネ３５を有しており、このアームバネ３５が一方側の側壁２１に沿設された内板３１から対向する側壁２１の開口端側に向かって斜めに延設されている。すると、オス型端子５からメス型端子１０に電流が流れる場合にあっては、オス型端子５に当接したアームバネ３５の先端部分３５Ｔからアームバネ３５の基端部分３５Ｐを経由し、これに近い底板３２の溶接部３６Ｗを通って底壁２２に電流が流れることとなる（図９における矢印Ａ参照）。反対に、メス型端子１０からオス型端子５に電流が流れる場合にあっては、底壁２２から底板３２の溶接部３６Ｗを通り、これに近いアームバネ３５の基端部分３５Ｐを経由してアームバネ３５の先端部分３５Ｔに当接したオス型端子５に電流が流れることとなる（図９における矢印Ａ参照）。

なお、本実施形態に係るメス型端子１０においては、一方側の側壁２１から他方側の側壁２１までの幅寸法をｄ（図１０参照）とし、一方側の内板３１から他方側の内板３１までの幅寸法をＤ（図１０参照）とした場合、ｄ≦Ｄの関係が成り立つように構成されている。このような構成とすれば、溶接前の組立作業におけるバネ部材３０のガタつきを抑え、生産性を向上させることが可能となる。さらには、バネ部材３０がズレたり外れてしまったりすることも防止できる。

ところで、かかるメス型端子１０は、以下のように組み立てられる。すなわち、図１０に示すように、基台部２０の上方側にバネ部材３０を配置し（図１０（ａ）参照）、基台部２０を構成する一対の側壁２１の間にバネ部材３０を嵌め込んで（図１０（ｂ）参照）、底壁２２の内側面２２ａに底板３２を当接させた状態で溶接して組み立てられる（図１０（ｃ）参照）。なお、本実施形態に係るメス型端子１０においては、底板３２に当接部３６が設けられているため、底壁２２の内側面２２ａには当接部３６の頂点が必ず当接することとなる。そのため、これらが互いに当接して隙間が生じていない部分を溶接することが可能となる。

また、本実施形態に係るメス型端子１０においては、当接部３６に対向する位置に当接部３６（凸形部分）が嵌合する凹形部分３７を設けてもよい（図１０参照）。凹形部分３７とは、底壁２２の内側面２２ａに形成された窪み部であって、具体的には、当接部３６である凸形部分の形状を転写して形成された、その断面形状が下方側に湾曲した円弧状の窪み部である。このような構成とすれば、底板３２を底壁２２の内側面２２ａに当接させた際に、凸形部分（当接部３６）と凹形部分３７が嵌合するので、接触面積を広く確保できる。但し、凸形部分（当接部３６）はもちろん、凹形部分３７も有しておらず、単に底板３２が底壁２２の内側面２２ａに面接触してもよい。

以上のように、本実施形態に係るメス型端子１０は、電線３に接続される基台部２０と、基台部２０に取り付けられるバネ部材３０とで端子本体１３が設けられている。基台部２０は、オス型端子５が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁２１とそれぞれの側壁２１をつなぐ底壁２２を有し、バネ部材３０は、一対の側壁２１の間に嵌め込まれた状態において底壁２２に対して沿設される底板３２を有している。そして、底壁２２と底板３２とは、当接部３６を介して溶接されたことを特徴としている。

このようなメス型端子１０によれば、基台部２０の底壁２２とバネ部材３０の底板３２とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。
詳述すると、本願発明に係るメス型端子１０において、基台部２０は、オス型端子５が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁２１とそれぞれの側壁２１をつなぐ底壁２２を有し、バネ部材３０は、一対の側壁２１の間に嵌め込まれた状態において底壁２２に対して沿設される底板３２を有している。そして、底壁２２と底板３２とは、当接部３６を介して溶接されたことを特徴としている。このように、本願発明に係るメス型端子１０においては、底壁２２と底板３２とが隙間なく当接するよう当接部３６が設けられており、この当接部３６を介して溶接が行われるため、隙間に起因した溶接不良の発生を防止できる。したがって、基台部２０の底壁２２とバネ部材３０の底板３２とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。

加えて、本願発明に係るメス型端子１０においては、基台部２０を構成する一対の側壁２１のそれぞれで溶接を行うのではなく、基台部２０の底壁２２とバネ部材３０の底板３２とを溶接するのであるから、溶接箇所を減らすことができる。したがって、一対の側壁２１のそれぞれで溶接を行うメス型端子１０に比べて生産性を向上させることが可能となる。また、バネ部材３０に側壁２１との溶接箇所となる部分（後述する鍔板３３等）を設ける必要がなくなるため、かかるバネ部材３０の形状を簡素化でき、より生産性を向上させることが可能となる。さらには、重量を軽減させることも可能となる。

また、本願発明に係るメス型端子１０において、当接部３６は、底板３２に設けられた底壁２２（詳細には底壁２２の内側面２２ａ）の側へ突出する凸形部分である。凸形部分とは、曲げ加工によって局所的に突出している部分である。

このようなメス型端子１０によれば、当接部３６が底板３２に設けられているため、この当接部３６の先端部分が底壁２２（詳細には底壁２２の内側面２２ａ）に当接する。したがって、基台部２０の底壁２２とバネ部材３０の底板３２とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。

加えて、当接部３６が凸形部分であるため、その先端部分における熱容量が小さくなる。すると、溶接時に先端部分における温度を素早く上昇させることができ、かつ高温にすることができる。したがって、基台部２０の底壁２２とバネ部材３０の底板３２とをより確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。

また、本願発明に係るメス型端子１０において、当接部３６に対向する位置に当接部３６（凸形部分）が嵌合する凹形部分３７を設けてもよい。当接部３６に対向する位置とは、底壁２２における対向する位置である。凹形部分３７とは、窪み部の形成によって局所的に陥没している部分である。但し、その断面形状が円弧状であることに限定するものではない。

このようなメス型端子１０によれば、当接部３６である凸形部分と凹形部分３７が嵌合し、凸形部分（当接部３６）の外側面と凹形部分３７の内側面とが接するので、接触面積を広く確保できる。したがって、これら端子における電気抵抗を低く抑えることができる。かかる構造は、大電流が流れる電気回路に特に適した構造といえる。

また、本願発明に係るメス型端子１０において、バネ部材３０は、側壁２１の内側面２１ａに沿設される内板３１を有しており、一方側の側壁２１に沿設された内板３１から対向する側壁２１の開口端側に向かって延設されたアームバネ３５を有している。アームバネ３５とは、メス型端子１０の内側に挿入されたオス型端子５の側面に当接する片持ちの接触片である。

このようなメス型端子１０によれば、比較的に短い経路を通って電流が流れることとなる。すなわち、オス型端子５からメス型端子１０に電流が流れる場合にあっては、オス型端子５に当接したアームバネ３５の先端部分３５Ｔからアームバネ３５の基端部分３５Ｐを経由し、これに近い底板３２の溶接部３６Ｗを通って底壁２２に電流が流れることとなる（図９における矢印Ａ参照）。反対に、メス型端子１０からオス型端子５に電流が流れる場合にあっては、底壁２２から底板３２の溶接部３６Ｗを通り、これに近いアームバネ３５の基端部分３５Ｐを経由してアームバネ３５の先端部分３５Ｔに当接したオス型端子５に電流が流れることとなる（図９における矢印Ａ参照）。したがって、アームバネ３５が内板３１から対向する側壁２１の閉底端側に向かって延設されたメス型端子１０と比べ、電気抵抗を低く抑えることができる。かかる構造は、大電流が流れる電気回路に特に適した構造といえる。

加えて、側壁２１の内側面２１ａに内板３１が当接するため、溶接前の組立作業におけるバネ部材３０のガタつきを抑え、生産性を向上させることが可能となる。さらには、バネ部材３０がズレたり外れてしまったりすることも防止できる。したがって、溶接前にズレたり外れてしまったバネ部材３０を再び嵌め込む作業が生じないため、生産性を向上させることが可能となる。

なお、本実施形態に係るメス型端子１０においては、ファイバーレーザー溶接機を用いて底壁２２と底板３２の溶接を行うものとしているが、アーク溶接機等を用いて溶接を行うとしてもよい。また、超音波溶接や抵抗溶接、摩擦溶接、その他の溶接を可能とする溶接機を用いて溶接を行うとしてもよい。さらに、ろう付けやはんだ付け等のろう接も溶接の概念に含むものとする。

この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明のコネクタはコネクタ１に対応し、
以下同様に、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネス２に対応し、
電線は電線３に対応し、
コネクタハウジングはコネクタハウジング４に対応し、
オス型端子はオス型端子５に対応し、
メス型端子はメス型端子１０に対応し、
端子本体は端子本体１３に対応し、
基台部は基台部２０に対応し、
側壁は側壁２１に対応し、
底壁は底壁２２に対応し、
バネ部材はバネ部材３０に対応し、
内板は内板３１に対応し、
底板は底板３２に対応し、
アームバネはアームバネ３５に対応し、
当接部は当接部３６に対応し、
凹形部分は凹形部分３７に対応するも、この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。

例えば、図９に示すように、前述したメス型端子１０においては、一方側の側壁２１に沿設された内板３１から対向する側壁２１の開口端側に向かって延設されたアームバネ３５を有している。しかし、図１１に示すように、バネ部材３０が内板３１を有するか否かに関わらず、一方側の側壁２１に近接する底板３２における側方端部から対向する側壁２１の開口端側に向かって延設されたアームバネ３５を有していてもよい。

このようなメス型端子１０によれば、さらに短い経路を通って電流が流れることとなる。すなわち、オス型端子５からメス型端子１０に電流が流れる場合にあっては、オス型端子５に当接したアームバネ３５の先端部分３５Ｔからアームバネ３５の基端部分３５Ｐを経由し、これに近い底板３２の溶接部３６Ｗを通って底壁２２に電流が流れることとなる。反対に、メス型端子１０からオス型端子５に電流が流れる場合にあっては、底壁２２から底板３２の溶接部３６Ｗを通り、これに近いアームバネ３５の基端部分３５Ｐを経由してアームバネ３５の先端部分３５Ｔに当接したオス型端子５に電流が流れることとなる。したがって、アームバネ３５が内板３１から対向する側壁２１の閉底端側に向かって延設されたメス型端子１０はもちろん、アームバネ３５が内板３１から対向する側壁２１の開口端側に向かって延設されたメス型端子１０と比べ、電気抵抗を低く抑えることができる。かかる構造は、大電流が流れる電気回路に特に適した構造といえる。

さらに、図１２に示すように、側壁２１における開口端側に内板３１を延ばし、一方側の側壁２１に沿設された内板３１から対向する側壁２１の閉底端側に向かって延設されたアームバネ３５を有していてもよい。

このようなメス型端子１０によれば、メス型端子１０の内側にオス型端子５を挿入することが容易となる。すなわち、一方側の側壁２１に沿設された内板３１から対向する側壁２１の閉底端側に向かってアームバネ３５が延設されるため、オス型端子５の挿入通路が開口端側で広く閉底端側で狭くなる。そのため、このアームバネ３５がオス型端子５の案内板として機能し、オス型端子５を所定の挿入完了位置に導くことが可能となる。具体的には、オス型端子５の挿入通路における開口端側が広く確保され、アームバネ３５の傾斜に沿ってオス型端子５を案内することができるので、オス型端子５を所定の挿入完了位置に導くことが可能となる。

加えて、側壁２１の内側面２１ａに内板３１が当接するため、溶接前の組立作業におけるバネ部材３０のガタつきを抑え、生産性を向上させることが可能となる。さらには、バネ部材３０がズレたり外れてしまったりすることも防止できる。したがって、溶接前にズレたり外れてしまったバネ部材３０を再び嵌め込む作業が生じないため、生産性を向上させることが可能となる。

なお、側壁２１の開口端側に向かって内板３１を延長したメス型端子１０においては、図１２及び図１３に示すように、アームバネ３５の延設方向に関わらず、側壁２１の先端面２１ｂに沿設される鍔板３３を形成してもよい。さらには、側壁２１の外側面２１ｃに沿設される外板３４を形成してもよい。このようにすれば、バネ部材３０の剛性を高めることができ、かつ基台部２０に対してより安定的にバネ部材３０を固定することが可能となる。したがって、例えば、メス型端子１０の内側にオス型端子５を挿入する際に、バネ部材３０を変形させてしまったり破損させてしまったりすることを防止できる。

以上に説明した全てのメス型端子１０においては、底壁２２の内側面２２ａと当接部３６の頂点とが線接触するため、この線に沿う直線状の溶接が施されている（図６及び図７参照）。しかし、図１４に示すように、幅方向Ｗに対向して配置されたアームバネ３５の間を通る点線状の溶接が施されるとしてもよい。この場合、それぞれの溶接部３６Ｗは、幅方向Ｗに対向して配置されたアームバネ３５の間を通る直線Ｌｃと、長手方向Ｌに隣接して配置されたアームバネ３５の間を通る直線Ｌｖとが交差する位置に設けられる。この点、それぞれの溶接部３６Ｗは、直線Ｌｃの方向に所定の長さで延びていてもよいし、直線Ｌｖの方向に所定の長さで延びていてもよい。

このようなメス型端子１０によれば、アームバネ３５の基端部分３５Ｐに沿う線溶接が行われない。そのため、アームバネ３５の基端部分３５Ｐに溶接熱の影響が及びにくく、メス型端子１０の内部にオス型端子５が挿入された際のアームバネ３５の倒伏（内板３１又は底板３２から曲げ起こされたアームバネ３５が基端部分３５Ｐから容易に寝てしまう変形）を抑制することができる。ひいてはアームバネ３５の先端部分３５Ｔにてオス型端子５を押し付けることができる。したがって、オス型端子５に対してアームバネ３５を密着させてより良好な電導性を確保することができる。

最後に、本願の発明には、前述のメス型端子１０と、メス型端子１０を収容するコネクタハウジング４とが備えられたコネクタ１（図１参照）、ならびに前述のメス型端子１０と、メス型端子１０の基台部２０に接続される電線３とが備えられた端子付き電線６（図１参照）が含まれるものとする。

さらには、本願の発明には、前述の端子付き電線６と、端子付き電線６を収容するコネクタハウジング４とが備えられたコネクタ付き電線７（図１参照）、ならびに前述の端子付き電線６及び前述のコネクタ付き電線７のうち少なくとも一方を備えたワイヤーハーネス２（図１参照）が含まれるものとする。

これらにおいても、本願発明に係るメス型端子１０と同様の効果を奏する。すなわち、基台部２０の底壁２２とバネ部材３０の底板３２とを確実に溶接して良好な電導性を確保することができる。その他にも、メス型端子１０の実施形態に応じた効果を得ることができる。

１…コネクタ
２…ワイヤーハーネス
３…電線
４…コネクタハウジング
５…オス型端子
６…端子付き電線
７…コネクタ付き電線
１０…メス型端子
１３…端子本体
２０…基台部
２１…側壁
２２…底壁
３０…バネ部材
３１…内板
３２…底板
３５…アームバネ
３６…当接部
３７…凹形部分

Claims (11)

1. 電線に接続される基台部と、
   前記基台部に取り付けられるバネ部材とで端子本体が設けられ、
   前記基台部は、オス型端子が挿入可能な所定間隔を隔てて配置された一対の側壁とそれぞれの前記側壁をつなぐ底壁を有し、
   前記バネ部材は、一対の前記側壁の間に嵌め込まれた状態において前記底壁に対して沿設される底板を有しており、
   前記底壁と前記底板とは、当接部を介して溶接された
   メス型端子。
2. 前記当接部は、前記底板に設けられた前記底壁の側へ突出する凸形部分又は前記底壁に設けられた前記底板の側へ突出する凸形部分である
   請求項１に記載のメス型端子。
3. 前記当接部に対向する位置に当該当接部が嵌合する凹形部分を設けた
   請求項２に記載のメス型端子。
4. 前記バネ部材は、前記側壁の内側面に沿設される内板を有しており、一方側の前記側壁に沿設された前記内板から対向する前記側壁の開口端側に向かって延設されたアームバネを有している
   請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のメス型端子。
5. 前記バネ部材は、一方側の前記側壁に近接する前記底板における側方端部から対向する前記側壁の開口端側に向かって延設されたアームバネを有している
   請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のメス型端子。
6. 前記バネ部材は、前記側壁の内側面に沿設される内板を有しており、一方側の前記側壁に沿設された前記内板から対向する前記側壁の閉底端側に向かって延設されたアームバネを有している
   請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のメス型端子。
7. 複数の前記アームバネが前記側壁に沿って所定間隔を隔てて配置されており、
   前記底壁と前記底板との溶接部が隣接する前記アームバネと前記アームバネの間に設けられている
   請求項４乃至請求項６のいずれかに記載のメス型端子。
8. 請求項１乃至請求項７のいずれかに記載のメス型端子と、
   前記メス型端子を収容するコネクタハウジングとが備えられた
   コネクタ。
9. 請求項１乃至請求項７のいずれかに記載のメス型端子と、
   前記メス型端子の前記基台部に接続される前記電線とが備えられた
   端子付き電線。
10. 請求項９に記載の端子付き電線と、
    前記端子付き電線を収容するコネクタハウジングとが備えられた
    コネクタ付き電線。
11. 請求項９に記載の端子付き電線及び請求項１０に記載のコネクタ付き電線のうち少なくとも一方を備えた
    ワイヤーハーネス。

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