JP2023009966A - 熱硬化性樹脂組成物、樹脂シート、金属ベース基板、および電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い熱伝導性を有する熱伝導性シートを製造するために用いることができる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂と、(B)熱硬化性樹脂(前記エポキシ樹脂(A)を除く)と、(C)フェノキシ樹脂と、(D)熱伝導性フィラーと、を含む熱硬化性樹脂組成物であって、前記フェノキシ樹脂(C)は、2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)と、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)とを、反応させて得られる、フェノキシ樹脂である、熱硬化性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、当該熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シート、当該樹脂シートの硬化物を熱伝導性シートとして備える電子装置、当該樹脂シートの硬化物を備える金属ベース基板、および当該金属ベース基板を備える電子装置に関する。
半導体の高集積化や電子機器の処理能力の急速な向上に伴い、処理能力の高い電子部品からは多くの熱が発生する。そのため電子部品から熱を効果的に外部へ放散させる熱対策が非常に重要な課題になっている。このような放熱対策として、プリント配線基板、半導体パッケージ、筐体、ヒートパイプ、放熱板、熱拡散板等の放熱部材には、金属、セラミックス、高分子組成物等の放熱材料からなる熱伝導性部材が適用されている。
これらの放熱部材の中でも、エポキシ樹脂組成物から成形される熱伝導性エポキシ樹脂成形体は、電気絶縁性、機械的性質、耐熱性、耐薬品性、接着性等に優れているため、注型品、積層板、封止材、熱伝導性シート、接着剤等として電気電子分野を中心に広く使用されている。
この種の技術として、たとえば、特許文献1には、エポキシ樹脂としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂に、熱伝導性粒子として鱗片状または球形状の窒化ホウ素粒子を配合した熱伝導性エポキシ樹脂組成物およびその成形体が提案されている。また、エポキシ樹脂自体の熱伝導率や耐熱性を向上させることも提案されている(たとえば、特許文献2)。特許文献2では、メソゲン基を有する液晶性エポキシ樹脂等を重合することにより、熱伝導性を向上させた絶縁組成物を得ている。
しかしながら、本発明者が検討した結果、従来の樹脂組成物は、熱伝導性の点においてさらなる改善の余地を有することが判明した。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、特定の構造を有する新規なフェノキシ樹脂が高熱伝導性を有することを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)熱硬化性樹脂(前記エポキシ樹脂(A)を除く)と、
(C)フェノキシ樹脂と、
(D)熱伝導性フィラーと、を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記フェノキシ樹脂(C)は、
2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)と、
3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、
少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)とを、反応させて得られる、フェノキシ樹脂であり、
前記2官能エポキシ化合物(c1)は、式(d-EP)で表される化合物を含み、
前記式(d-EP)中のXは、式(2)で表されるメソゲン骨格を有する2価の有機基であり、
式(2)において、R1~R8は、独立して、水素原子または炭素数1~4の直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、*は、連結位置を表し、
前記多官能フェノール化合物(c3)は、式(p1)~式(p17)で表される化合物から選択される少なくとも1つを含み、
式(p1)~式(p17)において、Rは、独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、または炭素数1~6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表す、熱硬化性樹脂組成物が提供される。
(A)エポキシ樹脂と、
(B)熱硬化性樹脂(前記エポキシ樹脂(A)を除く)と、
(C)フェノキシ樹脂と、
(D)熱伝導性フィラーと、を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記フェノキシ樹脂(C)は、
2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)と、
3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、
少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)とを、反応させて得られる、フェノキシ樹脂であり、
前記2官能エポキシ化合物(c1)は、式(d-EP)で表される化合物を含み、
前記多官能フェノール化合物(c3)は、式(p1)~式(p17)で表される化合物から選択される少なくとも1つを含み、
また本発明によれば、上記熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シートが提供される。
また本発明によれば、
発熱部材と、
放熱部材と、
前記発熱部材と前記放熱部材との間に設けられた熱伝導性シートと、を備える電子装置であって、
前記熱伝導性シートは、上記樹脂シートの硬化物からなる、電子装置が提供される。
発熱部材と、
放熱部材と、
前記発熱部材と前記放熱部材との間に設けられた熱伝導性シートと、を備える電子装置であって、
前記熱伝導性シートは、上記樹脂シートの硬化物からなる、電子装置が提供される。
また本発明によれば、
金属基板と、
熱伝導性シートと、
金属層と、をこの順で備える金属ベース基板であって、
前記熱伝導性シートは、上記樹脂シートの硬化物からなる、金属ベース基板が提供される。
金属基板と、
熱伝導性シートと、
金属層と、をこの順で備える金属ベース基板であって、
前記熱伝導性シートは、上記樹脂シートの硬化物からなる、金属ベース基板が提供される。
さらにまた本発明によれば、上記金属ベース基板を備える、電子装置が提供される。
本発明によれば、高い熱伝導性を有する熱伝導性シートを製造するために用いることができる熱硬化性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
[熱硬化性樹脂組成物]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、以下の成分(A)~(D)を含む。
(A)エポキシ樹脂と、
(B)熱硬化性樹脂(前記エポキシ樹脂(A)を除く)と、
(C)フェノキシ樹脂と、
(D)熱伝導性フィラー。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上記組成を有することにより、高い熱伝導性を有し、たとえば、電子装置の熱伝導性シートとして好適に使用することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、以下の成分(A)~(D)を含む。
(A)エポキシ樹脂と、
(B)熱硬化性樹脂(前記エポキシ樹脂(A)を除く)と、
(C)フェノキシ樹脂と、
(D)熱伝導性フィラー。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上記組成を有することにより、高い熱伝導性を有し、たとえば、電子装置の熱伝導性シートとして好適に使用することができる。
以下に、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に用いられる成分について説明する。
(エポキシ樹脂(A))
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含む。エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型等のグリシジルエーテル、水素添加したビスフェノールA型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック型のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型のグリシジルエーテル、ビスフェノールA型のノボラック型のグリシジルエーテル、ナフタレン型のグリシジルエーテル、ビフェノール型のグリシジルエーテル、ジヒドロキシペンタジエン型のグリシジルエーテル、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型のグリシジルエーテルなどが挙げられ、少なくとも1種用いることができる。
エポキシ樹脂(A)としては、本発明の効果の観点から、ナフタレン型のグリシジルエーテル、ビフェノール型のグリシジルエーテル、ジヒドロキシペンタジエン型のグリシジルエーテル、ハイドロキノン型のグリシジルエーテルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含む。エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型、F型、S型、AD型等のグリシジルエーテル、水素添加したビスフェノールA型のグリシジルエーテル、フェノールノボラック型のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型のグリシジルエーテル、ビスフェノールA型のノボラック型のグリシジルエーテル、ナフタレン型のグリシジルエーテル、ビフェノール型のグリシジルエーテル、ジヒドロキシペンタジエン型のグリシジルエーテル、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型のグリシジルエーテルなどが挙げられ、少なくとも1種用いることができる。
エポキシ樹脂(A)としては、本発明の効果の観点から、ナフタレン型のグリシジルエーテル、ビフェノール型のグリシジルエーテル、ジヒドロキシペンタジエン型のグリシジルエーテル、ハイドロキノン型のグリシジルエーテルから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂(A)は、好ましくはメソゲン骨格を含むエポキシ樹脂を含むことができる。これにより、樹脂硬化物の熱伝導性(放熱性)を一層高めることができる。
メソゲン骨格を含むエポキシ樹脂は、硬化時に、そのメソゲン骨格により高次構造(液晶相または結晶相)が形成されると考えられる。そして、その高次構造を熱が伝わることで熱伝導性(放熱性)が一層高まると考えられる。硬化物中の高次構造の存在は、偏光顕微鏡による観察によって確認することができる。
メソゲン骨格を含むエポキシ樹脂は、硬化時に、そのメソゲン骨格により高次構造(液晶相または結晶相)が形成されると考えられる。そして、その高次構造を熱が伝わることで熱伝導性(放熱性)が一層高まると考えられる。硬化物中の高次構造の存在は、偏光顕微鏡による観察によって確認することができる。
メソゲン骨格としては、分子間相互作用の働きにより、液晶性や結晶性を発現しやすくする骨格全般を挙げることができる。メソゲン骨格は、好ましくは共役構造を含む。メソゲン骨格として具体的には、ビフェニル骨格、フェニルベンゾエート骨格、アゾベンゼン骨格、スチルベン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、カルコン骨格、フェナントレン骨格などが挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、特に好ましくは縮合多環芳香族炭化水素骨格を含み、とりわけ好ましくはナフタレン骨格を含む。
ここで、例えば、ビフェニル骨格(-C6H4-C6H4-)は、高温下では、熱運動により左記構造の中心の炭素-炭素の単結合部分が「回転」し、液晶性が低下する可能性がある。フェニルベンゾエート骨格(-C6H4-COO-C6H4-)も、同様に、高温下ではエステル結合が回転する可能性がある。しかし、ナフタレン骨格のような縮合多環芳香族炭化水素骨格では、原理的にはそのような回転による液晶性の低下は無い。つまり、エポキシ樹脂が縮合多環芳香族炭化水素骨格を含むことで、得られる樹脂硬化物の高温環境下での放熱性を一層高めることができる。
また、多環芳香族炭化水素骨格として特にナフタレン骨格を採用することで、前記メリットを得つつ、エポキシ樹脂が剛直になりすぎることを抑制することもできる。これは、ナフタレン骨格はメソゲン骨格としては比較的小さいためである。エポキシ樹脂が剛直になりすぎないことは、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の硬化時の応力が緩和されやすくなることによるクラック等の抑制、などの点で好ましい。
エポキシ樹脂(A)は、2官能以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。つまり、エポキシ樹脂1分子中には2以上のエポキシ基が含まれることが好ましい。エポキシ樹脂の官能基数は、好ましくは2~6、より好ましくは2~4である。
本実施形態におけるエポキシ樹脂(A)は、本発明の効果の観点から、下記式で表される化合物から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
本実施形態におけるエポキシ樹脂(A)は、本発明の効果の観点から、下記式で表される化合物から選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、例えば100~200g/eq、好ましくは105~190g/eq、より好ましくは110~180g/eqである。適度なエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を用いることで、硬化性の制御、硬化物の物性の最適化などを図ることができる。
一実施形態において、エポキシ樹脂(A)は、室温(23℃)で液状または半固形状である他のエポキシ樹脂をさらに含むことが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂の一部または全部は、23℃で液体状または半固形状であることが好ましい。
液状または半固形状エポキシ樹脂を用いることにより、所望の形状の硬化物を形成しやすくなる。
液状または半固形状エポキシ樹脂を用いることにより、所望の形状の硬化物を形成しやすくなる。
一実施形態において、エポキシ樹脂(A)は、室温で液状のエポキシ樹脂と、室温で半固形または固形のエポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。これにより、得られる熱硬化性樹脂組成物の成形性が改善される。
エポキシ樹脂(A)は、熱伝導性粒子(D)を含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば5質量%~40質量%、好ましくは7質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%である。これにより、十分な硬化性を担保することができ、高熱伝導性および絶縁性により優れた樹脂シートを得ることができる。
(熱硬化性樹脂(B))
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)を含む。ここで、熱硬化性樹脂(B)は、上述のエポキシ樹脂(A)を含まない。
熱硬化性樹脂(B)として、分子内にメソゲン構造(メソゲン骨格)を含有する熱硬化性化合物や、分子内にメソゲン構造を含有しない熱硬化性化合物が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)を含む。ここで、熱硬化性樹脂(B)は、上述のエポキシ樹脂(A)を含まない。
熱硬化性樹脂(B)として、分子内にメソゲン構造(メソゲン骨格)を含有する熱硬化性化合物や、分子内にメソゲン構造を含有しない熱硬化性化合物が挙げられる。
熱硬化性樹脂(B)としては、例えば、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、またフェノール誘導体これらの誘導体等が挙げられ、少なくとも1種含むことができる。
本実施形態においては、熱硬化性樹脂(B)は、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、およびベンゾオキサジン樹脂から選択される少なくとも1種含むことが好ましく、中でもシアネート樹脂を含むことがより好ましい。
これらの熱硬化性樹脂は、1分子内に反応性官能基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
これらの熱硬化性樹脂は、1分子内に反応性官能基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
<シアネート樹脂>
シアネート樹脂としては、本発明の効果を奏する範囲で公知のものを用いることができる。シアネート樹脂は、例えばノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型シアネート樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、ノボラック型シアネート樹脂およびナフトールアラルキル型シアネート樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、ノボラック型シアネート樹脂を含むことが特に好ましい。
シアネート樹脂としては、本発明の効果を奏する範囲で公知のものを用いることができる。シアネート樹脂は、例えばノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型シアネート樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、ノボラック型シアネート樹脂およびナフトールアラルキル型シアネート樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、ノボラック型シアネート樹脂を含むことが特に好ましい。
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示されるものを使用することができる。
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは任意の整数である。平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。平均繰り返し単位nが上記下限値以上であると、ノボラック型シアネート樹脂の耐熱性が向上し、加熱時に低量体が脱離、揮発することをより一層抑制できる。また、平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。nが上記上限値以下であると、溶融粘度が高くなるのを抑制でき、樹脂シートの成形性を向上させることができる。
また、シアネート樹脂としては、下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂も好適に用いられる。下記一般式(II)で表わされるナフトールアラルキル型シアネート樹脂は、例えば、α-ナフトールあるいはβ-ナフトール等のナフトール類とp-キシリレングリコール、α,α'-ジメトキシ-p-キシレン、1,4-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを縮合させて得られるものである。一般式(II)の繰り返し単位nは10以下の整数であることが好ましい。繰り返し単位nが10以下であると、より均一な樹脂シートを得ることができる。また、合成時に分子内重合が起こりにくく、水洗時の分液性が向上し、収量の低下を防止できる傾向がある。
上記一般式(II)中、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、nは1以上10以下の整数を示す。
シアネート樹脂は、熱伝導性粒子(D)を含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば10質量%~70質量%、好ましくは15質量%~60質量%、より好ましくは20質量%~50質量%である。これにより、十分な硬化性を担保することができ、さら高熱伝導性および絶縁性により優れた樹脂シートを得ることができる。
<マレイミド樹脂>
マレイミド樹脂は、例えば分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド樹脂が好ましい。
マレイミド樹脂は、例えば分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド樹脂が好ましい。
分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド樹脂としては、例えば、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N'-エチレンジマレイミド、N,N'-ヘキサメチレンジマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等の分子内に2つのマレイミド基を有する樹脂、ビフェニルアラルキル型マレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド等の分子内に3つ以上のマレイミド基を有する樹脂等が挙げられる。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、およびレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。フェノール樹脂の中でも、フェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。
フェノール樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、およびレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。フェノール樹脂の中でも、フェノールノボラック樹脂を用いることが好ましい。
<ベンゾオキサジン樹脂>
ベンゾオキサジン樹脂としては、具体的には、o-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、m-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、p-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-メチルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-シクロヘキシルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-m-トルイジン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-3,5-ジメチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アミン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールS-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルスルホン-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾフェノン型ベンゾオキサジン樹脂、ビフェニル型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールAF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-メチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-ジアミノジフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、トリフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、およびフェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。
ベンゾオキサジン樹脂としては、具体的には、o-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、m-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、p-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-メチルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-シクロヘキシルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-m-トルイジン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-3,5-ジメチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アミン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールS-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルスルホン-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾフェノン型ベンゾオキサジン樹脂、ビフェニル型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールAF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-メチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-ジアミノジフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、トリフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、およびフェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂(B)の含有量は、本発明の効果の観点から、熱伝導性粒子(D)を含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、0.1質量%~70質量%が好ましく、0.5質量%~65質量%がより好ましく、1質量%~60質量%がさらに好ましい。
(フェノキシ樹脂(C))
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(C)を含む。このフェノキシ樹脂(C)は、
2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)と、
3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、
少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)と、を反応させて得られる、フェノキシ樹脂である。
より詳細には、フェノキシ樹脂(C)は、2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)由来の構造単位と、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)由来の構造単位と、少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)由来の構造単位とを含む、フェノキシ樹脂である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(C)を含む。このフェノキシ樹脂(C)は、
2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)と、
3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、
少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)と、を反応させて得られる、フェノキシ樹脂である。
より詳細には、フェノキシ樹脂(C)は、2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)由来の構造単位と、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)由来の構造単位と、少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)由来の構造単位とを含む、フェノキシ樹脂である。
本実施形態で用いられるフェノキシ樹脂(C)を構成する2官能エポキシ化合物(c1)は、式(d-EP)で表される化合物を含む。
式(d-EP)中のXは、式(2)で表されるメソゲン骨格を有する2価の有機基である。
式(2)において、R1~R8は、独立して、水素原子または炭素数1~4の直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、*は、連結位置を表す。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に用いられるフェノキシ樹脂(C)は、式(d-EP)中のXが式(2)で表されるメソゲン骨格である2官能エポキシ化合物(A)由来の構造単位を含むことにより、その硬化物が高い熱伝導性を有する。
また、フェノキシ樹脂(C)は、2官能エポキシ化合物(c1)と2官能である場合の多官能フェノール化合物(c3)との重合反応により得られる、下記式(1)で表される構造に加え、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と多官能フェノール化合物(c3)との重合反応により得られる三次元網目構造を有する。これにより、フェノキシ樹脂(C)は、高い熱伝導性を有するとともに、高い耐熱性を有し得る。以下に、フェノキシ樹脂(C)を構成する各モノマー成分について説明する。
式(1)において、Xは、2官能エポキシ化合物(c1)由来の基を表し、Yは、2官能である場合の多官能フェノール化合物(c3)由来の基を表す。
本実施形態において、2官能エポキシ化合物(c1)は、式(d-EP)で表される化合物を含む。
式(d-EP)中のXは、式(2)で表されるメソゲン骨格を有する2価の有機基である。
式(2)において、R1~R8は、独立して、水素原子または炭素数1~4の直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、*は、連結位置を表す。
一実施形態において、式(d-EP)中のXである式(2)で表される基は、好ましくは、R1、R4、R5、およびR8が炭素数1~6のアルキル基であり、R2、R3、R6、およびR7が水素原子である基である。中でも、式(2)においてR1、R4、R5、およびR8が炭素数1のアルキル基であり、R2、R3、R6、およびR7が水素原子である基(「テトラメチルビフェニル基」と称する)が、得られるフェノキシ樹脂(C)の熱伝導性と耐熱性とを優れたバランスで両立できる点で好ましい。
一実施形態において、式(d-EP)中のXである式(2)で表される基は、R1、R4、R5、およびR8が炭素数1のアルキル基であり、R2、R3、R6、およびR7が水素原子である基(「ビフェニル基」と称する)であってもよい。このような基を有することにより、フェノキシ樹脂(C)は優れた熱伝導性と耐熱性とを有する。
一実施形態において、式(d-EP)中のXは、テトラメチルビフェニル基とビフェニル基とを含むことが好ましい。これらの基を組み合わせて含むフェノキシ樹脂(C)は、熱伝導性と耐熱性とを優れたバランスで有し得る。
一実施形態において、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)は、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ化合物、およびトリアジン型エポキシ化合物から選択される少なくとも1つを含む。
一実施形態において、多官能エポキシ化合物(c2)は、そのエポキシ当量が、50~300g/eqであり、好ましくは、100~250g/eqである。
一実施形態において、多官能エポキシ化合物(c2)は、式(m1)で表されるトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、式(m2)または式(m3)で表されるナフタレン型エポキシ化合物、または式(m4)で表されるトリアジン型エポキシ化合物である。
式(m1)において、n1は、0~4の整数であり、好ましくは、0または1であり、より好ましくは、1である。
式(m1)~(m3)において、R11~R13は、独立して、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基を表す。一実施形態において、R11~R13は、すべて水素原子である。
式(m1)~(m3)において、R11~R13は、独立して、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基を表す。一実施形態において、R11~R13は、すべて水素原子である。
本実施形態において、多官能フェノール化合物(c3)は、少なくとも2つのフェノール性水酸基を有するフェノール化合物であり、好ましくは、2つのフェノール性水酸基を有する2官能のフェノール化合物、または3つのフェノール性水酸基を有する3官能のフェノール性化合物であり、具体的には、式(p1)~式(p17)で表される化合物から選択される少なくとも1つを含む。
式(p1)~式(p17)において、Rは、独立して、水素原子、炭素数1~4のアルコキシ基、または炭素数1~6の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基を表し、好ましくは水素原子またはメトキシ基である。本実施形態で用いられるフェノキシ樹脂(C)は、式(p1)~(p17)で表される化合物由来の構造単位を含むことにより、フェノキシ樹脂(C)を含む樹脂組成物の硬化物が高い熱伝導性を有し得る。
なお、本実施形態において、式(P12)、(p13)、(p16)および(p17)で表されるフラバノン骨格を有する多官能フェノール化合物は、立体異性体を含む。具体的には、式(p12)および式(p16)のイソフラバノン化合物は、そのC2炭素が不斉炭素原子である立体異性体を含み、式(p13)および式(p17)のイソフラバノン化合物は、そのC3原子が不斉炭素原子である立体異性体を含む。
なお、本実施形態において、式(P12)、(p13)、(p16)および(p17)で表されるフラバノン骨格を有する多官能フェノール化合物は、立体異性体を含む。具体的には、式(p12)および式(p16)のイソフラバノン化合物は、そのC2炭素が不斉炭素原子である立体異性体を含み、式(p13)および式(p17)のイソフラバノン化合物は、そのC3原子が不斉炭素原子である立体異性体を含む。
上述の2官能エポキシ化合物(c1)と、多官能エポキシ化合物(c2)と、多官能フェノール化合物(c3)と、を反応させて得られるフェノキシ樹脂(C)は、2官能エポキシ化合物(c1)由来の構造単位と、多官能エポキシ化合物(c2)由来の構造単位と、多官能フェノール化合物(c3)由来の構造単位とを含み、フェノキシ樹脂(C)の構成は、その合成に使用する各原料(c1)、(c2)および(c3)の量を調整することにより制御することができる。好ましい実施形態において、フェノキシ樹脂(C)中の2官能エポキシ化合物(c1)に由来する構造単位と、多官能エポキシ化合物(c2)に由来する構造単位とのエポキシ当量比(c1:c2)は、例えば、99:1~90:10であり、好ましくは、98:2~91:9であり、より好ましくは、97:3~92:8である。多官能フェノール化合物(c3)由来の構造単位のエポキシ当量比が上記範囲を超えると、得られるフェノキシ樹脂(C)の溶剤溶解性が低下する場合がある。本実施形態のフェノキシ樹脂(C)は、上記範囲内のエポキシ当量比(c1:c2)を有することにより、溶剤溶解性に優れ、よってワニス状の取扱い性に優れた熱硬化性樹脂組成物を好適に製造することができる。
本実施形態で用いられるフェノキシ樹脂(C)は、当該フェノキシ樹脂が有する特性に影響を与えない範囲で、上記の2官能エポキシ化合物(c1)、多官能エポキシ化合物(c2)、および多官能フェノール化合物(c3)に加え、他の成分(c4)由来の構造単位を含んでもよい。成分(c4)としては、ナフタレン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、Bis-A型エポキシ化合物、Bis-E型エポキシ化合物、Bis-F型エポキシ化合物、Bis-S型エポキシ化合物、およびこれらの前駆体であるビスフェノール化合物等が挙げられる。フェノキシ樹脂(C)が、成分(c4)由来の構造単位を含む場合、その含有量は、フェノキシ樹脂(C)を構成する全構造単位に対して、例えば、10モル%以下であり、好ましくは、5モル%以下である。
ナフタレン型エポキシ化合物としては、例えば、式(EP1)で表される2官能エポキシ化合物が挙げられる。
式(EP1)において、R14は、独立して、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基を表す。
一実施形態において、フェノキシ樹脂(C)は、2官能エポキシ化合物(c1)としての、4,4'-ジグリシジルビフェニル、及び/又は4,4'-ジグリシジル-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルと、多官能エポキシ化合物(c2)としての、式(m1)で表される5官能のトリスフェノールメタン型エポキシ化合物(n1=1、R11=H)と、多官能フェノール化合物(c3)としての、2官能の2,7-ジヒドロキシナフタレン及び/または2,6-ジヒドロキシナフタレンとの反応により得られる樹脂である。
一実施形態において、フェノキシ樹脂(C)は、2官能エポキシ化合物(c1)としての、4,4'-ジグリシジルビフェニル、及び/又は4,4'-ジグリシジル-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルと、多官能エポキシ化合物(c2)としての、4官能の式(m2)または3官能の式(m3)で表されるナフタレン型エポキシ化合物(R12=H、R13=H)と、その他のエポキシ化合物としての、式(EP1)で表される2官能エポキシ化合物(R14=H)と、多官能フェノール化合物(C)としての、2官能の2,7-ジヒドロキシナフタレン及び/又は2,6-ジヒドロキシナフタレンとの反応により得られる樹脂である。
一実施形態において、フェノキシ樹脂(C)は、2官能エポキシ化合物(c1)としての、4,4'-ジグリシジルビフェニル、及び/又は4,4'-ジグリシジル-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルと、多官能エポキシ化合物(c2)としての、式(m4)で表される3官能のトリアジン型エポキシ化合物と、多官能フェノール化合物(c3)としての、2官能の2,7-ジヒドロキシナフタレン及び/又は2,6-ジヒドロキシナフタレンとの反応により得られる樹脂である。
本実施形態で用いられるフェノキシ樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、たとえば、1,000~10,000であり、好ましくは、2,000~8,000であり、より好ましくは、3,000~7,000であり、さらにより好ましくは、3,500~6,500である。Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。Mwを上記範囲とすることで、フェノキシ樹脂(C)の熱伝導性をより向上することができる。
本実施形態において、フェノキシ樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて分子量分布曲線を得ることにより測定できる。フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分散度(PDI:Mw/Mn)は、GPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めたポリスチレン換算値を用いて、算出する。
GPCの測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK-GEL GMH、G2000H、SuperHM-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK-GEL GMH、G2000H、SuperHM-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
フェノキシ樹脂(C)の分散度(Mw/Mn)は、例えば、1.00~7.00であり、好ましくは2.00~6.00であり、より好ましくは3.50~5.50である。分散度を上記範囲とすることで、フェノキシ樹脂(C)の熱伝導性および流動性をより向上させることができる。
フェノキシ樹脂(C)は、重量平均分子量(Mw)が1000以下の低分子量フェノキシ樹脂を含んでもよい。フェノキシ樹脂が低分子量フェノキシ樹脂を含む場合、低分子量フェノキシ樹脂は、GPC測定により得られた分子量分布全体の全面積100%に占める、重量平均分子量Mwが1,000以下に該当する成分の面積総和の割合として、例えば、5%以上60%以下、好ましくは、5%以上50%以下の量である。上記範囲の量で、低分子量フェノキシ樹脂を含むフェノキシ樹脂は、流動性が改善され、取り扱い性に優れる。よって、たとえば、フェノキシ樹脂をシートまたはフィルムの形態に加工する場合の加工安定性が改善される。
フェノキシ樹脂(C)のエポキシ当量は、本発明の効果の観点から、例えば、300~6,000g/eqであり、好ましくは、350~5,000g/eqであり、より好ましくは、400~4,500g/eqである。
フェノキシ樹脂(C)は、上述の特定の構成を備えることにより、その硬化物の熱伝導性を向上することができる。フェノキシ樹脂(C)の硬化物の熱伝導率は、例えば、0.3W/(m・K)以上であり、好ましくは、0.35W/(m・K)以上であり、より好ましくは、0.4W/(m・K)以上である。フェノキシ樹脂(C)自体が高い熱伝導性を有することにより、これを含む熱硬化性樹脂組成物の硬化物もまた、高い熱伝導性を有し得る。
フェノキシ樹脂(C)は、上述の特定の構造を有することにより、その硬化物が高い1%重量減少温度を有する。フェノキシ樹脂(C)の硬化物の1%重量減少温度は、300℃以上であり、好ましくは、310℃以上であり、より好ましくは、320℃以上であり、さらにより好ましくは、330℃以上である。フェノキシ樹脂(C)の硬化物の1%重量減少温度の上限値は、例えば、400℃以下である。
(フェノキシ樹脂(C)の製造)
本実施形態で用いられるフェノキシ樹脂(C)は、式(d-EP)で表される2官能エポキシ化合物(c1)と、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)とを反応させることで合成することができる。なお、フェノキシ樹脂(C)は、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの2官能エポキシ化合物(c1)、多官能エポキシ化合物(c2)および多官能フェノール化合物(c3)に加え、上述の成分(c4)を用いて合成してもよい。
本実施形態で用いられるフェノキシ樹脂(C)は、式(d-EP)で表される2官能エポキシ化合物(c1)と、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)とを反応させることで合成することができる。なお、フェノキシ樹脂(C)は、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの2官能エポキシ化合物(c1)、多官能エポキシ化合物(c2)および多官能フェノール化合物(c3)に加え、上述の成分(c4)を用いて合成してもよい。
式(d-EP)中のXは、上記のとおりである。
2官能エポキシ化合物(c1)、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)、および少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)は、上述のフェノキシ樹脂(C)について記載したものと同様である。
2官能エポキシ化合物(c1)、3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)、および少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)は、上述のフェノキシ樹脂(C)について記載したものと同様である。
上記の反応は、無溶媒下または反応溶媒の存在下で、反応触媒を用いて行うことができる。
使用できる反応溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトフェノン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンなどを好適に用いることができる。反応溶媒を用いることで初期の粘度を低減させることができ、モノマーの反応性が向上する。
上記反応触媒としては、従来公知の重合触媒を用いることができ、アルカリ金属水酸化物、第三アミン化合物、第四アンモニウム化合物、第三ホスフィン化合物、および第四ホスホニウム化合物、イミダゾール化合物が好適に使用される。
具体的には、2官能エポキシ化合物(c1)と、多官能エポキシ化合物(c2)と、多官能フェノール化合物(c3)と、反応触媒と、必要に応じて反応溶媒とを添加し、攪拌下に溶融混合する。溶融混合する際の加熱温度は90~120℃程度、混合時間は30分間~2時間程度、反応圧力は常圧で行われる。溶融混合後、混合溶液を昇温し、所定の反応温度において減圧または常圧下で重合反応を行う。反応温度は140~180℃程度、反応時間は2時間~20時間程度、反応圧力は1~760Torr程度で行われる。
反応終了後に溶媒置換などを行なうことで好適な溶媒に溶解した樹脂として得ることが可能である。また、溶媒反応で得られたフェノキシ樹脂(C)は、蒸発器等を用いた脱溶媒処理をすることにより、溶媒を含まない固形状の樹脂として得ることもできる。
上記の合成方法における、出発物質の使用量、反応温度、反応時間等の反応条件を適宜選択して重合度を調整することにより、所望の重量平均分子量を有するフェノキシ樹脂を得ることができる。
(熱伝導性フィラー(D))
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導性粒子(D)を含む。
熱伝導性粒子(D)は、たとえば、20W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性無機粒子を含むことができる。高熱伝導性無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素及び酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導性粒子(D)を含む。
熱伝導性粒子(D)は、たとえば、20W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性無機粒子を含むことができる。高熱伝導性無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素及び酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素の、単分散粒子、凝集粒子またはこれらの混合物を含むことができる。鱗片状窒化ホウ素は顆粒状に造粒されていてもよい。鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子を用いることによって、一層に熱伝導性を高められる。凝集粒子は、焼結粒子であっても、非焼結粒子であってもよい。
熱伝導性粒子(D)(100質量%)は、前記窒化ホウ素を60質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含むことができる。上限値は特に限定されないが、100質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下とすることができる。
熱伝導性粒子(D)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、100質量%~400質量%であり、好ましくは150質量%~350質量%であり、より好ましくは200質量%~330質量%である。前記下限値以上とすることにより、熱伝導性を向上させることができる。前記上限値以下とすることにより、プロセス性の低下を抑制することができる。
(硬化促進剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含むことができる。
硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含むことができる。
硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、有機リン化合物、3級アミン類、フェノール化合物、有機酸等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、耐熱性を高める観点から、イミダゾール類などの窒素原子含有化合物を用いることが好ましい。
前記イミダゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジエチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられる。
前記3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等が挙げられる。
前記フェノール化合物としては、例えば、フェノール樹脂、ビスフェノールA、ノニルフェノール、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、アリルフェノール等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂の合計100質量%に対して、0.01質量%~10質量%でもよく、0.02質量%~5質量%でもよく、0.05質量%~1.5質量%でもよい。
(シランカップリング剤)
上記熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。これにより、熱硬化性樹脂組成物中における熱伝導性フィラーの相溶性を向上させることができる。カップリング剤は、熱硬化性樹脂組成物に添加してもよいし、熱伝導性フィラー表面に処理して使用してもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。これにより、熱硬化性樹脂組成物中における熱伝導性フィラーの相溶性を向上させることができる。カップリング剤は、熱硬化性樹脂組成物に添加してもよいし、熱伝導性フィラー表面に処理して使用してもよい。
(その他の添加剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レベリング剤が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レベリング剤が挙げられる。
[熱硬化性樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、熱伝導性フィラー以外の上記の各成分を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調整することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、熱伝導性フィラー以外の上記の各成分を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調整することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
上記溶剤としては特に限定されないが、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等が挙げられる。
当該樹脂ワニスに、熱伝導性フィラーを添加し、三本ロール等を用いて混練することにより、Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。混練時に添加することにより、熱硬化性樹脂中に無機フィラーをより均一に分散させることが可能であるが、これに限定されない。熱伝導性フィラーは、混練時に添加してもよいが、樹脂ワニスの混合時に添加してもよい。なお、分散性の観点から、ナノ粒子は、例えば、所定の溶剤に分散させもの(ナノ粒子分散液)を樹脂ワニス中に添加することが好ましい。混練後に冷却固化し、混練物を、顆粒状、タブレット状、またはシート状に加工してもよい。
[樹脂シート]
本実施形態の樹脂シートは、前記熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる。樹脂シートの具体的な形態は、キャリア基材と、キャリア基材上に設けられた、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備えるものである。
本実施形態の樹脂シートは、前記熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる。樹脂シートの具体的な形態は、キャリア基材と、キャリア基材上に設けられた、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備えるものである。
上記樹脂シートは、たとえばワニス状の熱硬化性樹脂組成物をキャリア基材上に塗布して得られた塗布膜(樹脂層)に対して、溶剤除去処理を行うことにより得ることができる。上記樹脂シート中の溶剤含有率が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して10質量%以下とすることができる。たとえば80℃~200℃、1分間~30分間の条件で溶剤除去処理を行うことができる。
本実施形態の樹脂シート(樹脂層)は、Bステージ状態であり、バインダーとなる熱伝導性粒子(D)を含まない熱硬化性樹脂組成物は好ましくは以下の硬化挙動を有する。
具体的には、熱伝導性粒子(D)を含有しない熱硬化性樹脂組成物を115℃下で12分間の予備乾燥にてBステージ状態のシートを作成し、コーンプレート式レオメータを用いて、測定温度180℃で、Bステージ状態の前記シートの硬化トルクを経時的に測定する。測定開始から最大トルクまでに要する時間Tmaxとしたとき、測定開始から最大トルク値の50%の値に達した時間T50との比(T50/Tmax)は、好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.2~0.8、さらに好ましくは0.25~0.75である。
具体的には、熱伝導性粒子(D)を含有しない熱硬化性樹脂組成物を115℃下で12分間の予備乾燥にてBステージ状態のシートを作成し、コーンプレート式レオメータを用いて、測定温度180℃で、Bステージ状態の前記シートの硬化トルクを経時的に測定する。測定開始から最大トルクまでに要する時間Tmaxとしたとき、測定開始から最大トルク値の50%の値に達した時間T50との比(T50/Tmax)は、好ましくは0.1~1.0、より好ましくは0.2~0.8、さらに好ましくは0.25~0.75である。
コーンプレート式レオメータとしては、例えば、アントンパール社製のレオメータ「MCR-301」などを用いることができる。また測定時の周波数は1Hz、振り角1%とすることができる。
本実施形態のフィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の硬化挙動(比(T50/Tmax))が上記範囲であることにより、プレス時のサイクルタイムを適正範囲に保つことができ、かつボイドなどの成形不良の発生を抑えることができるため後述する金属ベース基板等の生産性が向上する。
本実施形態のフィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の硬化挙動(比(T50/Tmax))が上記範囲であることにより、プレス時のサイクルタイムを適正範囲に保つことができ、かつボイドなどの成形不良の発生を抑えることができるため後述する金属ベース基板等の生産性が向上する。
また、本実施形態において、上記キャリア基材としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。
本実施形態の樹脂基板は、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備えるものである。この樹脂基板は、LED、パワーモジュールなどの電子部品を搭載するためのプリント基板の材料として用いることができる。
[電子装置]
樹脂シートの硬化物は、発熱体と、放熱体との間に介在する熱伝導性シートとして使用される。
樹脂シートの硬化物は、発熱体と、放熱体との間に介在する熱伝導性シートとして使用される。
発熱体としては、半導体素子、LED素子、半導体素子やLED素子等が搭載された基板、Central Processing Unit(CPU)、パワー半導体、リチウムイオン電池、燃料電池等を挙げることができる。
放熱体としては、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、放熱(冷却)フィン等を挙げることができる。
放熱絶縁部材は、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物で一部が構成されていればよく、具体的には、当該熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる放熱シート、当該放熱シートと基板とが積層された積層体(例えば、図1の金属ベース基板100)等を挙げることができる。前記基板は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、放熱絶縁部材の放熱性を良好なものとすることができる。
前記放熱絶縁部材は、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物で一部が構成されており、その熱伝導率は、好ましくは12W/m・K以上、さらに好ましくは15W/m・K以上である。
放熱絶縁部材および放熱体は、発熱体の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。また、前記発熱体と前記放熱絶縁部材との間、または前記放熱絶縁部材と前記放熱体との間には、放熱性に影響を与えない範囲で、各種基材や層が設けられていてもよい。
放熱体としては、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、放熱(冷却)フィン等を挙げることができる。
放熱絶縁部材は、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物で一部が構成されていればよく、具体的には、当該熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる放熱シート、当該放熱シートと基板とが積層された積層体(例えば、図1の金属ベース基板100)等を挙げることができる。前記基板は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、放熱絶縁部材の放熱性を良好なものとすることができる。
前記放熱絶縁部材は、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物で一部が構成されており、その熱伝導率は、好ましくは12W/m・K以上、さらに好ましくは15W/m・K以上である。
放熱絶縁部材および放熱体は、発熱体の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。また、前記発熱体と前記放熱絶縁部材との間、または前記放熱絶縁部材と前記放熱体との間には、放熱性に影響を与えない範囲で、各種基材や層が設けられていてもよい。
本実施形態において、前記発熱体と、前記放熱絶縁部材と、前記放熱体とは、前述のものから適宜組み合わせて、積層構造体を得ることができる。当該積層構造体は、放熱絶縁性が要求される各種用途に用いることができ、半導体装置、スマートフォン、LED電球・ライト、パワーモジュール、リチウムイオン電池、燃料電池、無線基地局、無停電電源装置等の各種用途に用いることができる。
以下、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
以下、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
[金属ベース基板]
本実施形態の金属ベース基板(放熱樹脂部材)100について図1に基づいて説明する。
図1は、金属ベース基板100の構成の一例を示す概略断面図である。
本実施形態の金属ベース基板(放熱樹脂部材)100について図1に基づいて説明する。
図1は、金属ベース基板100の構成の一例を示す概略断面図である。
上記金属ベース基板100は、図1に示すように、金属基板101と、金属基板101上に設けられた絶縁層102と、絶縁層102上に設けられた金属層103と、を備えることができる。この絶縁層102は、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層、熱硬化性樹脂組成物の硬化物および積層板からなる群から選択される一種で構成することが可能である。これらの樹脂層、積層板のそれぞれは、金属層103の回路加工の前では、Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物(樹脂シート)で構成されていてもよく、回路加工の後では、それを硬化処理されてなる硬化体であってもよい。
金属層103は絶縁層102上に設けられ、回路加工されるものである。この金属層103を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫等から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中でも、金属層103は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、金属層103の回路加工性を良好なものとすることができる。金属層103は、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
金属層103の厚みの下限値は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.035mm以上であれば、高電流を要する用途に適用できる。
また、金属層103の厚みの上限値は、例えば、10.0mm以下であり、好ましくは5mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
また、金属層103の厚みの上限値は、例えば、10.0mm以下であり、好ましくは5mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
金属基板101は、金属ベース基板100に蓄積された熱を放熱する役割を有する。金属基板101は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、金属基板101の放熱性を良好なものとすることができる。
金属基板101の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
金属基板101の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
金属基板101の厚さの上限値は、例えば、20.0mm以下であり、好ましくは5.0mm以下である。この数値以下の金属ベース基板100の外形加工や切り出し加工等における加工性を向上させることができる。
また、金属基板101の厚さの下限値は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.6mm以上である。この数値以上の金属基板101を用いることで、金属ベース基板100全体としての放熱性を向上させることができる。
本実施形態において、金属ベース基板100は、各種の基板用途に用いることが可能であるが、熱伝導性及び耐熱性に優れることから、LEDやパワーモジュールを用いるプリント基板として用いることが可能である。
金属ベース基板100は、パターンにエッチング等することによって回路加工された金属層103を有することができる。この金属ベース基板100において、最外層に不図示のソルダーレジストを形成し、露光・現像により電子部品が実装できるよう接続用電極部が露出されていてもよい。
[半導体装置]
実施形態の金属ベース基板(放熱絶縁部材)100は、放熱絶縁性が要求される各種用途に用いることができ、例えば半導体装置等の電子装置に用いることができる。
図2は、金属ベース基板100を用いた半導体装置の一例を示す概略断面図である。
金属ベース基板100の金属層103上に接着層202(ダイアタッチ材)を介して半導体素子201が搭載されている。半導体素子201は、ボンディングワイヤ203を介して金属ベース基板100に形成された接続用電極部に接続されており、金属ベース基板100に実装されている。
そして、半導体素子201は、金属ベース基板100上に封止樹脂層205により一括封止されている。
実施形態の金属ベース基板(放熱絶縁部材)100は、放熱絶縁性が要求される各種用途に用いることができ、例えば半導体装置等の電子装置に用いることができる。
図2は、金属ベース基板100を用いた半導体装置の一例を示す概略断面図である。
金属ベース基板100の金属層103上に接着層202(ダイアタッチ材)を介して半導体素子201が搭載されている。半導体素子201は、ボンディングワイヤ203を介して金属ベース基板100に形成された接続用電極部に接続されており、金属ベース基板100に実装されている。
そして、半導体素子201は、金属ベース基板100上に封止樹脂層205により一括封止されている。
金属ベース基板100の金属基板101側には、熱伝導層206(サーマル・インターフェース材(TIM))を介してヒートシンク207が設けられている。ヒートシンク207は熱伝導性に優れた材料から構成されており、アルミニウム、鉄、銅などの金属が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1、比較例1(熱硬化性樹脂組成物(ワニス状)の製造)>
表1に記載の配合割合に従い、各成分と溶媒を撹拌してワニス状の熱硬化性樹脂組成物を得た。表1中、熱伝導性粒子の含有量は、熱伝導性フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分に対する体積%である。
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。なお、表1中の各成分の量の単位は質量部である。
表1に記載の配合割合に従い、各成分と溶媒を撹拌してワニス状の熱硬化性樹脂組成物を得た。表1中、熱伝導性粒子の含有量は、熱伝導性フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分に対する体積%である。
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。なお、表1中の各成分の量の単位は質量部である。
・エポキシ樹脂2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON HP-7200L、室温で固形)
(シアネート樹脂)
・シアネート樹脂1:Lonza社製、Primaset「PT-30S」
・シアネート樹脂1:Lonza社製、Primaset「PT-30S」
(フェノール樹脂)
・フェノール樹脂1:アリル基含有フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、製品名「MEH-8000H」)
・フェノール樹脂1:アリル基含有フェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社製、製品名「MEH-8000H」)
(フェノキシ樹脂)
・フェノキシ樹脂1:以下の手順で得られたフェノキシ樹脂。
エポキシ化合物(YL6121:TEPIC-S=95:5(エポキシ当量比))64重量部、2,7-ジヒドロキシナフタレン30重量部、トリフェニルホスフィン(TPP)0.05重量部、及び溶剤(シクロヘキサノン)7重量部を反応器に投下し、100℃~110℃で1時間溶融混合した。そして、混合液を150℃に昇温し、当該温度で減圧下にて溶剤を除去しながら反応させ、GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させ、フェノキシ樹脂を得た。反応は6時間行った。反応後、ジメチルホルムアミドを樹脂に対して100重量部添加して樹脂を溶解し室温まで冷却した。冷却後、メタノールを用いた再沈殿法により精製して、フェノキシ樹脂(GPCによる重量平均分子量Mwは5300であり、分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は4.28である)を100重量部得た。
・フェノキシ樹脂1:以下の手順で得られたフェノキシ樹脂。
エポキシ化合物(YL6121:TEPIC-S=95:5(エポキシ当量比))64重量部、2,7-ジヒドロキシナフタレン30重量部、トリフェニルホスフィン(TPP)0.05重量部、及び溶剤(シクロヘキサノン)7重量部を反応器に投下し、100℃~110℃で1時間溶融混合した。そして、混合液を150℃に昇温し、当該温度で減圧下にて溶剤を除去しながら反応させ、GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させ、フェノキシ樹脂を得た。反応は6時間行った。反応後、ジメチルホルムアミドを樹脂に対して100重量部添加して樹脂を溶解し室温まで冷却した。冷却後、メタノールを用いた再沈殿法により精製して、フェノキシ樹脂(GPCによる重量平均分子量Mwは5300であり、分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は4.28である)を100重量部得た。
・フェノキシ樹脂2:以下の手順で得られたフェノキシ樹脂。
エポキシ化合物(YL-6121:YL-6677=97.5:2.5(エポキシ当量比))64重量部、2,7-ジヒドロキシナフタレン30重量部、トリフェニルホスフィン(TPP)0.05重量部、及び溶剤(シクロヘキサノン)7重量部を反応器に投下し、100℃~110℃で1時間溶融混合した。そして、混合液を150℃に昇温し、当該温度で減圧下にて溶剤を除去しながら反応させ、GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させ、フェノキシ樹脂を得た。反応は15時間行った。反応後、ジメチルホルムアミドを樹脂に対して100重量部添加して樹脂を溶解し室温まで冷却した。冷却後、メタノールを用いた再沈殿法により精製して、フェノキシ樹脂(GPCによる重量平均分子量Mwは5100であり、分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は4.19である)を100重量部得た。
エポキシ化合物(YL-6121:YL-6677=97.5:2.5(エポキシ当量比))64重量部、2,7-ジヒドロキシナフタレン30重量部、トリフェニルホスフィン(TPP)0.05重量部、及び溶剤(シクロヘキサノン)7重量部を反応器に投下し、100℃~110℃で1時間溶融混合した。そして、混合液を150℃に昇温し、当該温度で減圧下にて溶剤を除去しながら反応させ、GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させ、フェノキシ樹脂を得た。反応は15時間行った。反応後、ジメチルホルムアミドを樹脂に対して100重量部添加して樹脂を溶解し室温まで冷却した。冷却後、メタノールを用いた再沈殿法により精製して、フェノキシ樹脂(GPCによる重量平均分子量Mwは5100であり、分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は4.19である)を100重量部得た。
・フェノキシ樹脂3:以下の手順で得られたフェノキシ樹脂。
エポキシ化合物(YL-6121)を64重量部、2,7-ジヒドロキシナフタレン30重量部、トリフェニルホスフィン(TPP)0.05重量部、及び溶剤(シクロヘキサノン)7重量部を反応器に投下し、100℃~110℃で1時間溶融混合した。そして、混合液を150℃に昇温し、当該温度で減圧下にて溶剤を除去しながら反応させ、GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させ、フェノキシ樹脂を得た。反応は15時間行った。反応後、ジメチルホルムアミドを樹脂に対して100重量部添加して樹脂を溶解し室温まで冷却した。冷却後、メタノールを用いた再沈殿法により精製して、フェノキシ樹脂(GPCによる重量平均分子量Mwは5600であり、分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は4.34である)を100重量部得た。
エポキシ化合物(YL-6121)を64重量部、2,7-ジヒドロキシナフタレン30重量部、トリフェニルホスフィン(TPP)0.05重量部、及び溶剤(シクロヘキサノン)7重量部を反応器に投下し、100℃~110℃で1時間溶融混合した。そして、混合液を150℃に昇温し、当該温度で減圧下にて溶剤を除去しながら反応させ、GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させ、フェノキシ樹脂を得た。反応は15時間行った。反応後、ジメチルホルムアミドを樹脂に対して100重量部添加して樹脂を溶解し室温まで冷却した。冷却後、メタノールを用いた再沈殿法により精製して、フェノキシ樹脂(GPCによる重量平均分子量Mwは5600であり、分散度(重量平均分子量Mw)/(数平均分子量Mn)は4.34である)を100重量部得た。
なお、上記フェノキシ樹脂1およびフェノキシ樹脂2の合成で使用した原料化合物は、以下のとおりである。
(2官能エポキシ化合物(c1))
・YL-6121:下記式(3)で表されるテトラメチルビフェニル型エポキシ化合物50質量%と下記式(4)で表されるビフェニル型エポキシ化合物50質量%との混合物。エポキシ当量171。三菱ケミカル(株)社製。
(2官能エポキシ化合物(c1))
・YL-6121:下記式(3)で表されるテトラメチルビフェニル型エポキシ化合物50質量%と下記式(4)で表されるビフェニル型エポキシ化合物50質量%との混合物。エポキシ当量171。三菱ケミカル(株)社製。
・YL-6677:式(4)で表されるビフェニル型エポキシ化合物25質量%と、式(5)で表されるトリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(n1=0~4)75質量%との混合物。エポキシ当量163。三菱ケミカル(株)社製。
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:ノボラック型フェノール化合物(PR-51470、住友ベークライト社製)
・硬化促進剤1:ノボラック型フェノール化合物(PR-51470、住友ベークライト社製)
(熱伝導性粒子)
・熱伝導性粒子1:凝集窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP40)
・熱伝導性粒子1:凝集窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP40)
<熱硬化性樹脂組成物の樹脂成形体の物性測定>
熱硬化性樹脂組成物の硬化物(樹脂成形体)について、以下の物性について測定した。結果を表1に示す。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物(樹脂成形体)について、以下の物性について測定した。結果を表1に示す。
(熱伝導率)
・樹脂成形体の作製
得られた熱伝導性フィラーを含有する熱硬化性樹脂組成物を用い、0.018mmの銅箔で挟みセットし、コンプレッション成形を10MPaで180℃、90minを行い、樹脂成形体(熱伝導率測定用サンプル1)を得た。得られた成形体から直径10mmの熱拡散率測定用サンプルを切り出し、熱拡散率測定に用いた。
・樹脂成形体の作製
得られた熱伝導性フィラーを含有する熱硬化性樹脂組成物を用い、0.018mmの銅箔で挟みセットし、コンプレッション成形を10MPaで180℃、90minを行い、樹脂成形体(熱伝導率測定用サンプル1)を得た。得られた成形体から直径10mmの熱拡散率測定用サンプルを切り出し、熱拡散率測定に用いた。
・樹脂成形体の密度(比重)
密度(比重)測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、上記の樹脂成形体から、縦2cm×横2cmに切り出したものを用いた。密度(比重)(ρ)の単位をg/cm3とする。結果を表1に示す。
密度(比重)測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、上記の樹脂成形体から、縦2cm×横2cmに切り出したものを用いた。密度(比重)(ρ)の単位をg/cm3とする。結果を表1に示す。
・樹脂成形体の比熱
得られた上記の樹脂成形体について、DSC法により比熱(Cp)を測定した。
得られた上記の樹脂成形体について、DSC法により比熱(Cp)を測定した。
・樹脂成形体の熱伝導率の測定
得られた樹脂成形体から、厚み方向測定用として、直径10mmに切り出したものを試験片とした。次に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD-1RTVを用いて非定常法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。
樹脂成形体について、得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、密度(ρ)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。結果を表1に示す。
熱伝導率[W/m・K]=α[m2/s]×Cp[J/kg・K]×ρ[g/cm3]
表1中、樹脂成形体の熱伝導率を「熱伝導率」とした。
得られた樹脂成形体から、厚み方向測定用として、直径10mmに切り出したものを試験片とした。次に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD-1RTVを用いて非定常法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。
樹脂成形体について、得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、密度(ρ)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。結果を表1に示す。
熱伝導率[W/m・K]=α[m2/s]×Cp[J/kg・K]×ρ[g/cm3]
表1中、樹脂成形体の熱伝導率を「熱伝導率」とした。
(吸湿率)
得られた樹脂成形体からエッチングにより銅箔を除去し、30℃/90%RH条件で48時間放置したときの処理前後の重量変化から吸湿率(%)を算出した。
得られた樹脂成形体からエッチングにより銅箔を除去し、30℃/90%RH条件で48時間放置したときの処理前後の重量変化から吸湿率(%)を算出した。
(半田耐熱性)
得られた樹脂成形体を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/2だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して評価した。評価は、300℃の半田槽に5分間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。評価基準は以下のとおりである。
<評価基準>
○:異常なし
×:異常あり(全体的に膨れの箇所がある)
得られた樹脂成形体を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/2だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して評価した。評価は、300℃の半田槽に5分間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。評価基準は以下のとおりである。
<評価基準>
○:異常なし
×:異常あり(全体的に膨れの箇所がある)
(吸湿半田耐熱性)
得られた樹脂成形体を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、JIS C 6481に従い半面エッチングを行って試料を作製した。温度40℃、湿度90%の環境下に2日間静置した後、297℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、1分後の外観異常の有無を調べた。評価基準は以下のとおりである。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:異常なし
×:膨れあり(全体的に膨れの箇所がある)
得られた樹脂成形体を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、JIS C 6481に従い半面エッチングを行って試料を作製した。温度40℃、湿度90%の環境下に2日間静置した後、297℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、1分後の外観異常の有無を調べた。評価基準は以下のとおりである。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:異常なし
×:膨れあり(全体的に膨れの箇所がある)
Claims (30)
- (A)エポキシ樹脂と、
(B)熱硬化性樹脂(前記エポキシ樹脂(A)を除く)と、
(C)フェノキシ樹脂と、
(D)熱伝導性フィラーと、を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
前記フェノキシ樹脂(C)は、
2つのエポキシ基を有する2官能エポキシ化合物(c1)と、
3つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物(c2)と、
少なくとも2つのフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物(c3)とを、反応させて得られる、フェノキシ樹脂であり、
前記2官能エポキシ化合物(c1)は、式(d-EP)で表される化合物を含み、
前記多官能フェノール化合物(c3)は、式(p1)~式(p17)で表される化合物から選択される少なくとも1つを含み、
熱硬化性樹脂組成物。 - 前記多官能エポキシ化合物(c2)は、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ化合物、およびトリアジン型エポキシ化合物から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記式(2)で表される基において、R1、R4、R5、およびR8が炭素数1~6のアルキル基であり、R2、R3、R6、およびR7が水素原子である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記式(2)で表される基において、R1、R4、R5、およびR8がメチル基であり、R2、R3、R6、およびR7が水素原子である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記式(2)で表される基において、R1~R8のすべてが水素原子である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記式(d-EP)におけるXの少なくとも1つが、R1、R4、R5、およびR8がメチル基であり、R2、R3、R6、およびR7が水素原子である前記式(2)で表される2価の基であり、かつ
前記式(d-EP)におけるXの少なくとも1つが、R1~R8のすべてが水素原子である前記式(2)で表される2価の基である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。 - 前記多官能エポキシ化合物(c2)のエポキシ当量が、50g/eq以上300g/eq以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フェノキシ樹脂(C)は、前記2官能エポキシ化合物(c1)に由来する構造単位と、前記多官能エポキシ化合物(c2)に由来する構造単位と、前記多官能フェノール化合物(c3)に由来する構造単位と、を含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フェノキシ樹脂(C)中の前記2官能エポキシ化合物(c1)に由来する構造単位と、前記多官能エポキシ化合物(c2)に由来する構造単位とのエポキシ当量比(c1:c2)が、99:1~90:10である、請求項10に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フェノキシ樹脂(C)の重量平均分子量は、1,000以上10,000以下である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フェノキシ樹脂(C)の硬化物の熱伝導率が、0.3W/(m・K)以上である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 有機溶剤(E)をさらに含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(A)は、室温で液状のエポキシ樹脂を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(A)は、室温で固形のエポキシ樹脂をさらに含む、請求項15に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱伝導性フィラー(D)の含有量は、当該熱硬化性樹脂組成物の固形分全体に対して、60質量%以上98%以下である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱伝導性フィラー(D)は、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素および酸化マグネシウムから選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱伝導性フィラー(D)は、窒化ホウ素を含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素の、単分散粒子、顆粒状粒子、凝集粒子またはこれらの混合物である、請求項18または19に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂(B)は、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂、およびベンゾオキサジン樹脂から選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂(B)は、シアネート樹脂を含む、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 硬化促進剤をさらに含む、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至23のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シート。
- Bステージ状態である、請求項24に記載の樹脂シート。
- 発熱部材と、
放熱部材と、
前記発熱部材と前記放熱部材との間に設けられた熱伝導シートと、を備える電子装置であって、
前記熱伝導シートは、請求項24または25に記載の樹脂シートの硬化物からなる、電子装置。 - 前記熱伝導シートの熱伝導率が12W/m・K以上である、請求項26に記載の電子装置。
- 金属基板と、
熱伝導性シートと、
金属層と、をこの順で備える金属ベース基板であって、
前記絶縁層は、請求項24または25に記載の樹脂シートの硬化物からなる、金属ベース基板。 - 前記熱伝導性シートの熱伝導率が12W/m・K以上である、請求項28に記載の金属ベース基板。
- 請求項29に記載の金属ベース基板を備える、電子装置。
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