JP2021187889A - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ Download PDF

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JP2021187889A
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俊希 藤井
Toshiki Fujii
由佳子 大森
Yukako Omori
貴大 瀧
Takahiro Taki
友和 嶌田
Tomokazu Shimada
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Abstract

【課題】十分な難燃性と共に適度な最低溶融粘度を有する熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供すること。
【解決手段】熱硬化性樹脂(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、硬化促進剤(C)及び無機充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%であり、前記無機充填材(D)が、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワークインフラ機器、大型コンピュータなどでは、使用する信号の高速化及び大容量化が年々進んでいる。これに伴い、これらの電子機器に搭載されるプリント配線板には高周波化対応が必要となり、伝送損失の低減を可能とする高周波数帯(例えば、10GHz以上)における誘電特性(低誘電率及び低誘電正接;以下、高周波特性と称することがある。)に優れる基板材料が求められている。近年、このような高周波信号を扱うアプリケーションとして、上述した電子機器のほかに、ITS(Intelligent Transport Systems)分野(自動車、交通システム関連)及び室内の近距離通信分野でも高周波無線信号を扱う新規システムの実施計画及び実用化が進んでいる。従って、今後、これらの機器に搭載するプリント配線板に対しても、低伝送損失基板材料が要求されると予想される。
近年は、6GHzを超える周波数帯の電波が使用される第五世代移動通信システム(5G)アンテナ及び30〜300GHzの周波数帯の電波が使用されるミリ波レーダーにも利用可能な10GHz帯以上における誘電特性がさらに改善された樹脂組成物の開発が切望されている。すなわち、樹脂組成物には、十分な難燃性を有しながらも、従来よりも一層優れた誘電特性を有することが望まれている。
このような状況下、特許文献1には、高周波特性及び難燃性等を改善することを目的として、1分子中にN−置換マレイミド構造含有基及び下記一般式(I)で表される構造単位を有するポリフェニレンエーテル誘導体(A)、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂(B)、及びスチレン系熱可塑性エラストマー(C)を含む樹脂組成物が開示されている。
ところで、プリント配線板に用いる金属張り積層板には、例えば、FC−BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)基板用途等において、少々厚め(例えば、厚み0.8mm程度)の金属張り積層板が採用されることがある。このような厚みの金属張り積層板を使用する場合には、厚みが大きい分、より一層の難燃性が必要となる。このような場合、前記特許文献1に記載の樹脂組成物等を利用しながら高い難燃性を確保するためには、あまり難燃性が優れていないスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量を少なく抑えることが重要である。
国際公開第2016/175326号
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物においてスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量を低減すると、樹脂組成物の最低溶融粘度が大幅に低下して流動性が高まり過ぎるため、それによって成形性が低下して成形不良が発生するおそれがあり、生産性の低下が懸念される。
本発明は、このような現状に鑑み、十分な難燃性と共に適度な最低溶融粘度を有する熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量を、難燃性の観点から熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%としても、硬化促進剤を含有しながら、且つ無機充填材が平均一次粒子径100nm以下の無機充填材を含有することで、十分な難燃性と共に適度な最低溶融粘度を確保し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[13]に関するものである。
[1]熱硬化性樹脂(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、硬化促進剤(C)及び無機充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%であり、前記無機充填材(D)が、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記無機充填材(D)が、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)を、熱硬化性樹脂組成物の総和に対して0.1〜3体積%含有する、上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]前記(D−1)成分のBET比表面積が10〜300m/gである、上記[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4]前記(D−1)成分がフュームドシリカである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5]前記無機充填材(D)が、さらに、平均一次粒子径100nm超〜1,000nmの無機充填材(D−2)を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6]さらにポリフェニレンエーテル誘導体(E)を含有する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7]前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びマレイミド化合物からなる群から選択される1種以上の熱硬化性樹脂である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8]前記(A)成分として、前記マレイミド化合物を含有し、該マレイミド化合物が、N−置換マレイミド基を少なくとも2個以上有するマレイミド化合物(a1)由来の構造単位と第1級アミノ基を有するアミン化合物(a2)由来の構造単位と、を有する変性マレイミド化合物である、上記[7]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9]前記変性マレイミド化合物が、下記一般式(A−2)で表される化合物である、上記[8]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
Figure 2021187889

(式中、Xa1及びXa4は、各々独立に、2価の有機基である。)
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを含有してなるプリプレグ。
[11]上記[10]に記載のプリプレグと金属箔とを含有してなる積層板。
[12]上記[10]に記載のプリプレグ又は上記[11]に記載の積層板を含有してなる多層プリント配線板。
[13]上記[12]に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
本発明によると、十分な難燃性と共に適度な最低溶融粘度を有する熱硬化性樹脂組成物、該熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供することができる。
無機充填材(D)として、無機充填材(D−1)と無機充填材(D−2)を併用したときの粒子径分布について説明するためのイメージ図である。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。
また、本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
なお、本実施形態において、「樹脂成分」とは、樹脂組成物を構成する固形分のうち、後述する無機充填材(D)等の無機化合物を除く、全ての成分と定義する。
また、本実施形態における固形分とは、水分、後述する溶媒等の揮発する物質以外の熱硬化性樹脂組成物中の成分のことをいう。すなわち、固形分は、25℃付近の室温で液状、水飴状又はワックス状のものも含み、必ずしも固体であることを意味するものではない。
[熱硬化性樹脂組成物]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、
熱硬化性樹脂(A)[以下、「(A)成分」と略称することがある。]、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)[以下、「(B)成分」と略称することがある。]、硬化促進剤(C)[以下、「(C)成分」と略称することがある。]及び無機充填材(D)[以下、「(D)成分」と略称することがある。]を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%であり、前記無機充填材(D)が、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
<熱硬化性樹脂(A)>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びマレイミド化合物からなる群から選択される1種以上の熱硬化性樹脂(A)を含有することが好ましい。これらの中でも、高周波特性、導体との接着性及び難燃性の観点から、マレイミド化合物を含有することが好ましい。
熱硬化性樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましい。ここで、エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類され、上記それぞれのタイプのエポキシ樹脂において、さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;脂肪族鎖状エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂などに分類される。
エポキシ樹脂を用いる場合、必要に応じて、エポキシ樹脂の硬化剤、硬化助剤等を併用してもよい。
(シアネート樹脂)
シアネート樹脂としては、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化合物、フェノールノボラック型シアネートエステル化合物、クレゾールノボラック型シアネートエステル化合物等が挙げられる。
シアネート樹脂を用いる場合、必要に応じて、シアネート樹脂の硬化剤、硬化助剤等を併用してもよい。
(マレイミド化合物)
マレイミド化合物としては、N−置換マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物[以下、単に「マレイミド化合物(a1)」又は「(a1)成分」と略称することがある。]及びその誘導体からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
なお、上記「その誘導体」としては、N−置換マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物と、後述するジアミン化合物等のアミン化合物との付加反応物などが挙げられる。
マレイミド化合物(a1)の具体例としては、N−置換マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物であれば特に限定されないが、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等の芳香族マレイミド化合物;1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ピロリロン酸バインダ型長鎖アルキルビスマレイミド等の脂肪族マレイミド化合物などが挙げられる。これらの中でも、導体との接着性及び機械特性の観点から、芳香族マレイミド化合物が好ましく、芳香族ビスマレイミド化合物がより好ましく、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドがさらに好ましい。
マレイミド化合物(a1)としては、下記一般式(A1−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Xa1は2価の有機基を示す。)
上記一般式(A1−1)中のXa1が示す2価の有機基としては、下記一般式(A1−2)、(A1−3)、(A1−4)又は(A1−5)で表される基が挙げられる。
Figure 2021187889

(式中、Ra1は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。na1は、0〜4の整数を示す。)
a1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。
a1は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na1が2以上の整数である場合、複数のRa1同士は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2021187889

(式中、Ra2及びRa3は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa2は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、単結合、又は下記一般式(A1−3−1)で表される2価の基を示す。na2及びna3は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
a2及びRa3が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A1−2)中のRa1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a2が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
a2が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。該アルキリデン基としては、イソプロピリデン基が好ましい。
a2及びna3は、0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は2がより好ましい。na2又はna3が2以上の整数である場合、複数のRa2同士又は複数のRa3同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a2が示す一般式(A1−3−1)で表される2価の基は以下の通りである。
Figure 2021187889

(式中、Ra4及びRa5は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa3は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。na4及びna5は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
a4及びRa5が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A1−2)中のRa1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a3が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、上記一般式(A1−3)中のXa2が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基と同じものが挙げられる。これらの中でも、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
a3が示す基の中でも、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、イソプロピリデン基がより好ましい。
a4及びna5は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na4又はna5が2以上の整数である場合、複数のRa4同士又は複数のRa5同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2021187889

(式中、na6は、1〜10の整数を示す。)
a6は、入手容易性の観点から、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Ra6及びRa7は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示す。na7は、1〜8の整数を示す。)
a6及びRa7が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A1−2)中のRa1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a7は1〜8の整数を示し、1〜3の整数が好ましく、1であることがより好ましい。
a7が2以上の整数である場合、複数のRa6同士又は複数のRa7同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(A1−1)中のXa1としては、高周波特性の観点から、下記式(Xa1−1)〜(Xa1−3)のいずれかで表される2価の基であることが好ましく、下記式(Xa1−3)で表される2価の基であることがより好ましい。
Figure 2021187889

(波線は、マレイミド基中の窒素原子との結合位置を示す。)
マレイミド化合物としては、有機溶媒への溶解性、相容性、導体との接着性及び高周波特性の観点から、マレイミド化合物(a1)の誘導体が好ましい。
マレイミド化合物(a1)の誘導体としては、マレイミド化合物(a1)由来の構造単位と、第1級アミノ基を有するアミン化合物[以下、単に「(a2)成分」と略称することがある。]由来の構造単位と、を有する変性マレイミド化合物[以下、「変性マレイミド化合物(X)」又は「(X)成分」と略称することがある。]であることが好ましい。
なお、変性マレイミド化合物(X)に含まれる(a1)成分由来の構造単位及び(a2)成分由来の構造単位は、各々について、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
変性マレイミド化合物(X)は、(a1)成分が有するマレイミド基と(a2)成分が有する第1級アミノ基とが付加反応してなる、下記式(A−1)で表される構造を含む化合物であることが好ましい。
Figure 2021187889

(*は他の構造への結合位置を示す。)
(a1)成分由来の構造単位としては、例えば、下記一般式(A1−6)で表される基及び下記一般式(A1−7)で表される基からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
Figure 2021187889

(式中、Xa1は上記一般式(A1−1)中のXa1と同じであり、*は他の構造への結合位置を示す。)
変性マレイミド化合物(X)中における(a1)成分由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、50〜95質量%が好ましく、70〜92質量%がより好ましく、85〜90質量%がさらに好ましい。(a1)成分由来の構造単位の含有量が上記範囲内であると、高周波特性がより良好となり、且つ、良好なフィルムハンドリング性が得られる傾向にある。
アミン化合物(a2)は、アミノ基を2個以上有する化合物が好ましく、アミノ基を2個有するジアミン化合物がより好ましい。
アミン化合物(a2)としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス〔1−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等の芳香族ジアミン化合物;第1級アミノ基を有するアミン変性シロキサン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、(a2)成分としては、有機溶媒への溶解性、(a1)成分との反応性、及び耐熱性に優れるという観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、及び4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンが好ましい。また、高周波特性及び低吸水性に優れるという観点からは、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが好ましい。また、導体との高接着性、伸び、破断強度等の機械特性に優れるという観点からは、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましい。さらに、有機溶媒への溶解性、合成時の反応性、耐熱性、導体との高接着性に優れることに加えて、高周波特性及び低吸湿性に優れるという観点からは、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンが好ましい。また、低熱膨張性の観点からは、アミン変性シロキサン化合物が好ましい。
アミン化合物(a2)としては、下記一般式(A2−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Xa4は2価の有機基を示す。)
(a2)成分は、上記一般式(A2−1)中のXa4が、下記一般式(A2−2)で表される2価の基である芳香族ジアミン化合物[以下、「芳香族ジアミン化合物(A2−2)」と略称することがある。]を含有することが好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Ra11及びRa12は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示す。Xa5は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、フルオレニレン基、単結合、又は下記一般式(A2−2−1)若しくは(A2−2−2)で表される2価の基を示す。na8及びna9は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(A2−2)中のRa11及びRa12が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
a5が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
a5が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
a8及びna9は、0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0又は1が好ましい。na8又はna9が2以上の整数である場合、複数のRa11同士又は複数のRa12同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(A2−2)中のXa5が示す一般式(A2−2−1)で表される2価の基は以下の通りである。
Figure 2021187889

(式中、Ra13及びRa14は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa6は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、m−フェニレンジイソプロピリデン基、p−フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。na10及びna11は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(A2−2−1)中のRa13及びRa14が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A2−2)中のRa11及びRa12が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a6が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基についての説明は、上記一般式(A2−2)中のXa5が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基についての説明と同じである。
a10及びna11は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na10又はna11が2以上の整数である場合、複数のRa13同士又は複数のRa14同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(A2−2)中のXc5が示す一般式(A2−2−2)で表される2価の基は以下の通りである。
Figure 2021187889

(式中、Ra15は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa7及びXa8は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。na12は、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(A2−2−2)中のRa15が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A2−2)中のRa11及びRa12が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a7及びXa8が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、上記一般式(A2−2)中のXa5が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基と同じものが例示される。これらの中でも、Xa7及びXa8としては、炭素数2〜5のアルキリデン基であることが好ましく、イロプロピリデン基であることがより好ましい。
a12は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na12が2以上の整数である場合、複数のRa15同士は同一であっても異なっていてもよい。
また、(a2)成分は、上記一般式(A2−1)中のXa4が、下記一般式(A2−3)で表される構造単位を含有する2価の基であるアミン変性シロキサン化合物を含有することが好ましく、上記一般式(A2−1)中のXa4が、下記一般式(A2−4)で表される2価の基である両末端アミン変性シロキサン化合物[以下、「両末端アミン変性シロキサン化合物(A2−4)」と略称することがある。]を含有することがより好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Ra16及びRa17は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を表す。)
Figure 2021187889

(式中、Ra16及びRa17は、上記一般式(A2−3)中のものと同じであり、Ra18及びRa19は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示す。Xa9及びXa10は、各々独立に、2価の有機基を示し、na13は、2〜100の整数を示す。)
上記一般式(A2−3)及び(A2−4)中のRa16〜Ra19が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
a16〜Ra19が示す置換フェニル基におけるフェニル基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基等が挙げられる。該炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。該炭素数2〜5のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
a9及びXa10が示す2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。該アルケニレン基としては、炭素数2〜10のアルケニレン基が挙げられる。該アルキニレン基としては、炭素数2〜10のアルキニレン基が挙げられる。該アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。
これらの中でも、Xa9及びXa10としては、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
a13は、2〜100の整数を示し、2〜50の整数が好ましく、3〜40の整数がより好ましく、5〜30の整数がさらに好ましい。na13が2以上の整数である場合、複数のRa16同士又は複数のRa17同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記アミン変性シロキサン化合物の官能基当量は、特に限定されないが、300〜3,000g/molが好ましく、400〜2,000g/molがより好ましく、600〜1,000g/molがさらに好ましい。
(a2)成分としては、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、芳香族ジアミン化合物と、アミン変性シロキサン化合物と、を併用することが好ましく、上記芳香族ジアミン化合物(A2−2)と、上記両末端アミン変性シロキサン化合物(A2−4)と、を併用することがより好ましい。
芳香族ジアミン化合物及びアミン変性シロキサン化合物の使用割合(構造単位としては含有量割合)[芳香族ジアミン化合物/アミン変性シロキサン化合物]は、特に限定されないが、質量比で、20/80〜80/20が好ましく、40/60〜70/30がより好ましく、50/50〜65/35がさらに好ましい。
(a2)成分由来の構造単位としては、例えば、下記一般式(A2−5)で表される基及び下記一般式(A2−6)で表される基からなる群から選択される1種以上が挙げられる。
Figure 2021187889

(式中、Xa4は上記一般式(A2−1)中のXa4と同じであり、*は他の構造への結合位置を示す。)
変性マレイミド化合物(X)中における(a2)成分由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、5〜50質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。(a2)成分由来の構造単位の含有量が上記範囲内であると、高周波特性に優れ、且つより良好な耐熱性、難燃性及びガラス転移温度が得られる傾向にある。
変性マレイミド化合物(X)中における(a1)成分由来の構造単位と、(a2)成分由来の構造単位の合計含有量は、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%(すなわち、(a1)成分由来の構造単位及び(a2)成分由来の構造単位のみからなるもの)であることが特に好ましい。
変性マレイミド化合物(X)中における(a1)成分由来の構造単位と、(a2)成分由来の構造単位との含有比率は、特に限定されないが、(a2)成分の−NH基由来の基(−NHも含む)の合計当量(Ta2)に対する、(a1)成分に由来するマレイミド基由来の基(マレイミド基も含む)の合計当量(Ta1)の当量比(Ta1/Ta2)が、好ましくは0.05〜10、より好ましくは1〜5となる含有比率である。当量比(Ta1/Ta2)が上記範囲内であると、高周波特性に優れ、且つより良好な耐熱性、難燃性及びガラス転移温度が得られる傾向にある。
マレイミド化合物は、高周波特性、有機溶媒への溶解性、導体との高接着性、成形性等の観点から、下記一般式(A−2)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Xa1及びXa4は、上記一般式(a1−1)及び(a2−1)における説明の通りである。)
(変性マレイミド化合物(X)の製造方法)
(X)成分は、例えば、(a1)成分と(a2)成分とを有機溶媒中で反応させることで製造することができる。
具体的には、(a1)成分、(a2)成分、必要によりその他の成分を合成釜に所定量仕込み、(a1)成分と(a2)成分とをマイケル付加反応[以下、「プレ反応」と略称することがある。]を行うことにより、変性マレイミド化合物(X)が得られる。
プレ反応における反応条件は特に限定されないが、ゲル化を抑制しつつ、良好な反応性及び作業性が得られるという観点からは、反応温度は50〜160℃、反応時間は1〜10時間が好ましい。
プレ反応では、必要に応じて反応触媒を使用してもよい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒;トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、反応触媒の配合量に特に制限はないが、(a1)成分及び(a2)成分の合計量100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部である。
また、プレ反応では、必要に応じて有機溶媒を追加又は濃縮して反応原料の固形分濃度及び溶液粘度を調整してもよい。反応原料の固形分濃度は、特に限定されないが、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。反応原料の固形分濃度が上記下限値以上であると、十分な反応速度が得られ、製造コストの面で有利となる傾向にあり、上記上限値以下であると、より良好な溶解性が得られ、撹拌効率が良くなり、ゲル化し難くなる傾向にある。
変性マレイミド化合物(X)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、400〜10,000が好ましく、1,000〜5,000がより好ましく、1,500〜4,000がさらに好ましく、2,000〜3,000が特に好ましい。
((A)成分の含有量)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂(A)の含有量は、特に限定されないが、高周波特性、耐熱性及び成形性の観点から、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和100質量部に対して、10〜95質量部が好ましく、30〜90質量部がより好ましく、50〜85質量部がさらに好ましく、65〜85質量部が特に好ましく、75〜85質量部が最も好ましい。
<スチレン系熱可塑性エラストマー(B)>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含有することにより、高周波特性、成形性、導体との接着性、はんだ耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性のバランスが良くなる傾向にある。
スチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマー(B)としては、下記一般式(B−1)で表されるスチレン系化合物由来の構造単位を有する熱可塑性エラストマーが挙げられ、スチレン由来の構造単位(すなわち、下記一般式(B−1)においてRb1が水素原子であり、nb1が0である構造単位)を有する熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Rb1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rb2は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。nb1は、0〜5の整数を示す。)
b1が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
b1が示す基の中でも、水素原子が好ましい。
b2が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられ、該アルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
b1は、0〜5の整数を示し、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。
b1が2以上の整数である場合、複数のRb1同士は同一であっても異なっていてもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマー(B)が有するスチレン系化合物由来の構造単位以外の構造単位としては、ブタジエン由来の構造単位、イソプレン由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位等が挙げられる。
上記ブタジエン由来の構造単位及び上記イソプレン由来の構造単位は、水素添加されていることが好ましい。水素添加されている場合、ブタジエン由来の構造単位はエチレン単位とブチレン単位とが混合した構造単位となり、イソプレン由来の構造単位はエチレン単位とプロピレン単位とが混合した構造単位となる。
スチレン系熱可塑性エラストマー(B)としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物等が挙げられる。これらの中でも、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度及び熱膨張係数の観点から、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物が好ましい。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物としては、ブタジエンブロック中の炭素−炭素二重結合を完全水添してなるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)と、ブタジエンブロック中の1,2−結合部位の炭素−炭素二重結合を部分水添してなるスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)が挙げられる。なお、SEBSにおける完全水添とは、通常、全体の炭素−炭素二重結合に対して90%以上であり、95%以上であってもよく、99%以上であってもよく、実質的に100%であってもよい。また、SBBSにおける部分水添率は、例えば、全体の炭素−炭素二重結合に対して60〜85%である。
SEBSにおいて、スチレン由来の構造単位の含有率[以下、「スチレン含有率」と略称することがある。]は、特に限定されないが、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度及び熱膨張係数の観点から、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜60質量%がさらに好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
SEBSのメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、230℃、荷重2.16kgf(21.2N)の測定条件において、0.1〜20g/10minが好ましく、1〜15g/10minがより好ましく、2〜10g/10minがさらに好ましく、3〜7g/10minが特に好ましい。
SBBSにおいて、スチレン含有率は、特に限定されないが、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度及び熱膨張係数の観点から、40〜80質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましく、55〜75質量%がさらに好ましい。
SBBSのMFRは、特に限定されないが、190℃、荷重2.16kgf(21.2N)の測定条件において、0.1〜10g/10minが好ましく、0.5〜8g/10minがより好ましく、1〜6g/10minがさらに好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、無水マレイン酸等によって酸変性されたものであってもよい。酸変性されたスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の酸価は、特に限定されないが、2〜20mgCHONa/gが好ましく、5〜15mgCHONa/gがより好ましく、7〜13mgCHONa/gがさらに好ましい。
((B)成分の含有量)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%である。スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1質量%未満であると、高周波特性及び耐吸湿性に乏しくなり、10質量%超であると、難燃性に乏しくなる。同様の観点から、熱硬化性樹脂組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して2〜8質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましく、2〜6質量%がさらに好ましい。
<硬化促進剤(C)>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤(C)を含有することにより、硬化性が向上し、より優れた高周波特性、耐熱性、導体との接着性、弾性率及びガラス転移温度が得られる傾向にある。使用する熱硬化性樹脂(A)成分の種類に合わせて好適な硬化促進剤(C)を適宜選択すればよい。
硬化促進剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)成分としては、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、有機金属塩、酸性触媒、有機過酸化物等が挙げられる。なお、本実施形態において、イミダゾール系硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤に分類しないものとする。
アミン系硬化促進剤としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン、ジシアンジアミド等の第1級〜第3級アミンを有するアミン化合物;第4級アンモニウム化合物などが挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、イソシアネートマスクイミダゾール(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物等)等のイミダゾール化合物が挙げられる。
リン系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン;p−ベンゾキノンのトリ−n−ブチルホスフィン付加反応物等の第4級ホスホニウム化合物などが挙げられる。
有機金属塩としては、マンガン、コバルト、亜鉛等のカルボン酸塩などが挙げられる。
酸性触媒としては、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
これらの中でも、より優れた高周波特性、耐熱性、導体との接着性、弾性率及びガラス転移温度が得られるという観点から、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、リン系硬化促進剤が好ましく、リン系硬化促進剤がより好ましく、第4級ホスホニウム化合物がより好ましい。
((C)成分の含有量)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤(C)の含有量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、0.05〜0.90質量部がより好ましく、0.1〜0.85質量部がさらに好ましく、0.5〜0.85質量部が特に好ましい。硬化促進剤(C)の含有量が上記下限値以上であると、より良好な高周波特性、耐熱性、保存安定性及び成形性が得られる傾向にある。硬化促進剤(C)の含有量が上記上限値以下であると、急激な硬化による成形性の低下が抑制される。特に、急激な硬化による成形性の低下を抑制する観点から、熱硬化性樹脂(A)100質量部に対する硬化促進剤(C)の含有量の上限値は、0.90質量部以下であることが好ましい。
<無機充填材(D)>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材(D)として、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)[以下、(D−1)成分と称することがある。]を含有することにより、優れた低熱膨張性、高弾性率性、耐熱性及び難燃性と共に、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度を効率的に高めることができる。ここで、最低溶融粘度とは、硬化開始前に熱硬化性樹脂組成物が溶融したときの粘度である。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物では、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量を、難燃性の観点から熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%としても、前記硬化促進剤(C)と共に平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)を含有することで、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度が効率的に高められ、適度な最低溶融粘度を有することとなる。特に、前記硬化促進剤(C)の含有量が前述の様に少量であっても、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度が効率的に高められる点で優れている。
(D−1)成分の平均一次粒子径は、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度の向上効果の観点から、好ましくは5〜100nm、より好ましくは5〜75nm、さらに好ましくは5〜50nm、特に好ましくは5〜20nmである。
無機充填材(D)としては、さらに、平均一次粒子径100nm超〜1,000nmの無機充填材(D−2)[以下、(D−2)成分と称することがある。]を含有する態様が好ましい。(D−2)成分の平均一次粒子径は、熱硬化性樹脂組成物の低熱膨張性、高弾性率性、耐熱性及び難燃性の観点から、好ましくは200〜800nm、より好ましくは300〜700nm、さらに好ましくは350〜600nmである。
本発明において、平均一次粒子径は、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置で行なった値である。
無機充填材(D)において、前記(D−1)成分と前記(D−2)成分とを含有する場合、無機充填材(D)の粒子径分布のピークの極大が、100nm以下と100nm超〜1,000nmの両方に存在することとなる。該粒子径分布は、体積基準の頻度分布である。また、粒子径分布のピークの極大とは、頻度として表した粒子径分布(体積基準)におけるピークにおいて、山になっているピークにおいて頻度が極大値となる位置のことであり、図1を用いて説明すると、極大(D1)[(D−1)成分由来]及び極大(D2)[(D−2)成分由来]のことである。前記粒子径分布の測定は、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置で行なう。
前記(D−1)成分の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の総和に対して0.1〜3体積%である。(D−1)成分の含有量が熱硬化性樹脂組成物の総和に対して0.1体積%未満であると、最低溶融粘度の向上効果が不足し、3体積%超であると、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度が高まり過ぎる。同様の観点から、前記(D−1)成分の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の総和に対して、好ましくは0.1〜2.5体積%、より好ましくは0.1〜1.5体積%、さらに好ましくは0.2〜1.2体積%、特に好ましくは0.4〜1.0体積%である。
また、無機充填材(D)において、前記(D−1)成分と前記(D−2)成分とを含有する場合、前記(D−2)成分の含有量は、低熱膨張性、高弾性率性、耐熱性及び難燃性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の総和に対して、好ましくは20〜45体積%、より好ましくは25〜40体積%、さらに好ましくは30〜40体積%である。
平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)の形状としては、不定形であることが好ましい。平均一次粒子径100nm超〜1,000nmの無機充填材(D−2)の形状としては、特に制限はないが、球形であることが好ましい。
前記(D−1)成分のBET比表面積は、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度の向上効果の観点から、好ましくは10〜300m/g、より好ましくは80〜250m/g、さらに好ましくは80〜200m/g、特に好ましくは80〜140m/gである。該BET比表面積は、ドイツ工業規格「DIN66 131」に準拠して測定した値である。
(D)成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー(焼成クレー等)、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。これらの中でも、熱膨張係数、弾性率、耐熱性及び難燃性の観点から、シリカ、アルミナ、マイカ、タルクが好ましく、シリカ、アルミナがより好ましく、シリカがさらに好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられる。乾式法シリカとしては、製造法の違いにより、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融シリカ(溶融球状シリカ)等が挙げられる。これらの中でも、(D−1)成分としては、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度の向上効果の観点から、フュームドシリカが好ましく、(D−2)成分としては、溶融シリカ(溶融球状シリカ)が好ましい。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(D)は、カップリング剤で表面処理されたものであってもよい。カップリング剤による表面処理の方式は、配合前の無機充填材に対して乾式又は湿式で表面処理する方式であってもよく、表面未処理の無機充填材を、他の成分に配合して組成物とした後、該組成物にシランカップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよい。
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオリゴマー等が挙げられる。これらの中でも、シラン系カップリング剤が好ましい。該シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、ビニルシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤、アルキルシラン系カップリング剤、アルケニルシラン系カップリング剤、アルキニルシラン系カップリング剤、ハロアルキルシラン系カップリング剤、シロキサン系カップリング剤、ヒドロシラン系カップリング剤、シラザン系カップリング剤、アルコキシシラン系カップリング剤、クロロシラン系カップリング剤、(メタ)アクリルシラン系カップリング剤、イソシアヌレートシラン系カップリング剤、ウレイドシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、スルフィドシラン系カップリング剤、イソシアネートシラン系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、シランカップリング剤としてはアミノシラン系カップリング剤が好ましい。
また、無機充填材(D)は、必要に応じて、予め有機溶媒中に分散させたスラリーとして用いてもよい。
<ポリフェニレンエーテル誘導体(E)>
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、両末端にエチレン性不飽和結合含有基を有するポリフェニレンエーテル誘導体である。
なお、本明細書において、「エチレン性不飽和結合含有基」とは、付加反応が可能な炭素−炭素二重結合を含有する置換基を意味し、芳香環の二重結合は含まないものとする。
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、アリル基、1−メチルアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、スチリル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;マレイミド基、下記一般式(E−1)で表される基等のヘテロ原子とエチレン性不飽和結合とを含む基などが挙げられる。これらの中でも、高周波特性、導体との接着性及び難燃性の観点から、下記一般式(E−1)で表される基が好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Re1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
e1が示す炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基又は環状アルキル基のいずれであってもよく、直鎖状アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。
上記一般式(E−1)で表される基は、高周波特性、導体との接着性及び難燃性の観点から、(メタ)アクリロイル基(すなわち、上記一般式(E−1)におけるRe1が、水素原子又はメチル基である基)であることが好ましく、メタクリロイル基であることがより好ましい。なお、本実施形態において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
なお、本明細書において、マレイミド基、上記一般式(E−1)で表される基等のように、一部に不飽和脂肪族炭化水素基を有しているが、その基全体として見たときに不飽和脂肪族炭化水素基とは言えない基は、上記「不飽和脂肪族炭化水素基」に含まれないものとする。
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、上記一般式(E−1)で表される基を、片末端又は両末端に有するものであることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)が1分子中に有するエチレン性不飽和結合含有基の数は、特に限定されないが、2〜5個が好ましく、2〜3個がより好ましく、2個がさらに好ましい。エチレン性不飽和結合含有基の数が上記下限値以上であると、優れた耐熱性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、優れた流動性及び成形性が得られる傾向にある。
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、エチレン性不飽和結合含有基を両末端に有していればよく、さらに、両末端以外にもエチレン性不飽和結合含有基を有していてもよいが、両末端のみにエチレン性不飽和結合含有基を有することが好ましい。ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、両末端にメタクリロイル基を有するポリフェニレンエーテルであることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、フェニレンエーテル結合を有するものであり、下記一般式(E−2)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Re2は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。ne1は、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(E−2)中のRe2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
e1は0〜4の整数を示し、1又は2が好ましく、2であることがより好ましい。なお、ne1が1又は2である場合、Re2はベンゼン環上のオルト位(但し、酸素原子の置換位置を基準とする。)に置換していることが好ましい。また、ne1が2以上の整数である場合、複数のRe2同士は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(E−2)で表される構造単位は、下記一般式(E−2’)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2021187889
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)は、高周波特性、導体との接着性及び難燃性の観点から、下記一般式(E−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021187889

(式中、Re2及びne1は、上記一般式(E−2)における説明の通りである。Re3及びRe4は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。ne2及びne3は、各々独立に、0〜4の整数を示す。ne4及びne5は、各々独立に、0〜20の整数を示し、ne4及びne5の合計は、1〜30の整数である。Xe1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。Ye1及びYe2は、各々独立に、上記エチレン性不飽和結合含有基を示す。)
上記一般式(E−3)中のRe3及びRe4が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(E−2)中のRb2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
e2及びne3は、0〜4の整数を示し、0〜3の整数が好ましく、2又は3が好ましい。ne2又はne3が2以上の整数である場合、複数のRe3同士又は複数のRe4同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
e4及びne5は、0〜20の整数を示し、1〜20の整数が好ましく、2〜15の整数がより好ましく、3〜10の整数がさらに好ましい。ne4又はne5が2以上の整数である場合、複数のne1同士は、同一であっても異なっていてもよい。
e4及びne5の合計は、1〜30の整数であり、2〜25の整数が好ましく、5〜20の整数がより好ましく、7〜15の整数がさらに好ましい。
上記一般式(E−3)中のXe1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
e1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
e1が示す基の中でも、高周波特性、導体との接着性及び難燃性の観点から、イソプロピリデン基が好ましい。
e1及びYe2が示すエチレン性不飽和結合含有基の好ましい態様については上記した通りである。
上記一般式(E−3)で表される化合物は、高周波特性、導体との接着性及び難燃性の観点から、下記一般式(E−4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021187889

(式中、ne4及びne5は、上記一般式(E−3)における説明の通りである。Re5及びRe6は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。Xe2は、メチレン基又はイソプロピリデン基を示す。)
〔ポリフェニレンエーテル誘導体(E)の重量平均分子量(Mw)〕
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、500〜7,000が好ましく、800〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000がさらに好ましく、1,200〜2,500が特に好ましい。(E)成分の重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であると、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性を有し、且つ耐熱性に優れる硬化物が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、優れた成形性が得られる傾向にある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した値であり、より詳細には実施例に記載の測定方法により求めた値である。
ポリフェニレンエーテル誘導体(E)の合成方法は、公知のポリフェニレンエーテルの合成方法及び変性方法を適用することができ、特に限定されるものではない。
((E)成分の含有量)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物がポリフェニレンエーテル誘導体(E)を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜80質量部が好ましく、6〜45質量部がより好ましく、7〜30質量部がさらに好ましく、8〜20質量部が特に好ましい。(E)成分の含有量が、上記下限値以上であると、より優れた高周波特性及び低吸湿性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より優れた耐熱性、成形性及び加工性が得られる傾向にある。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物がポリフェニレンエーテル誘導体(E)を含有する場合、熱硬化性樹脂(A)とポリフェニレンエーテル誘導体(E)との含有割合[(A)/(E)]は、特に限定されないが、質量比で、95/5〜20/80が好ましく、95/5〜60/40がより好ましく、90/10〜70/30がさらに好ましく、90/10〜75/25が特に好ましい。上記含有割合[(A)/(E)]が、上記下限値以上であると、より優れた耐熱性、成形性及び加工性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より優れた高周波特性及び低吸湿性が得られる傾向にある。
<難燃剤、難燃助剤、有機溶媒>
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤及び有機溶媒からなる群から選択される1種以上を含有していてもよい。これらの成分は、各々について、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、これらの成分を含有しないものであってもよい。
難燃剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、塩素系難燃剤、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、水和金属化合物系難燃剤等が挙げられる。環境への適合性の観点からは、リン系難燃剤、水和金属化合物系難燃剤が好ましい。
該難燃剤としては、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塩素系難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン等が挙げられる。
前記臭素系難燃剤としては、例えば、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂;トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化スチレン等の不飽和二重結合基含有臭素化難燃剤;ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン、2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
前記リン系難燃剤としては、一般的に難燃剤として使用されるもののうち、リン原子を含有するものであれば特に制限はなく、無機系のリン系難燃剤であってもよいし、有機系のリン系難燃剤であってもよい。なお、環境への適合性の観点から、ハロゲン原子を含有しないものを選択できる。銅箔及び無電解めっきとの接着強度、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、有機系のリン系難燃剤であってもよい。
無機系のリン系難燃剤としては、例えば、赤リン;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム;リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物;リン酸;ホスフィンオキシドなどが挙げられる。
有機系のリン系難燃剤としては、例えば、芳香族リン酸エステル、1置換ホスホン酸ジエステル、2置換ホスフィン酸エステル、2置換ホスフィン酸の金属塩、有機系含窒素リン化合物、環状有機リン化合物等が挙げられる。ここで、金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、チタン塩、亜鉛塩等が挙げられ、アルミニウム塩であってもよい。また、有機系のリン系難燃剤の中では、芳香族リン酸エステルを選択できる。
前記水和金属化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。該水和金属化合物は前記無機充填材(D)にも該当し得るが、難燃性を付与し得る材料は難燃剤に分類することとする。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その含有量は、難燃性の観点から、樹脂成分の総和100質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましく、1.5〜2.5質量部がさらに好ましい。
(難燃助剤)
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機系難燃助剤などが挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が難燃助剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。難燃助剤の含有量が上記範囲内であると、より良好な耐薬品性が得られる傾向にある。
(有機溶媒)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、取り扱いを容易にするという観点及び後述するプリプレグを製造し易くする観点から、有機溶媒を含有するワニス状の熱硬化性樹脂組成物であってもよい。
有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒;γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が有機溶媒を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の固形分濃度が、30〜90質量%となる量が好ましく、40〜80質量%となる量がより好ましく、50〜70質量%となる量がさらに好ましい。有機溶媒の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物の取り扱い性が容易となり、基材への含浸性及び製造されるプリプレグの外観が良好となる。さらに、後述するプリプレグ中の樹脂の固形分濃度の調整が容易となり、所望の厚みを有するプリプレグの製造がより容易となる傾向にある。
<その他の成分>
さらに、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記各成分以外の樹脂材料、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤及び滑剤からなる群から選択される1種以上[以下、「その他の成分」と略称することがある。]を含有していてもよい。これらの成分は、各々について、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、これらの成分を含有しないものであってもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が上記その他の成分を含有する場合、その各々の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上であり、また、10質量部以下であってもよく、5質量部以下であってもよく、1質量部以下であってもよい。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物が含有する樹脂成分中における(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、80質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上がさらに好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分〜(D)成分及び必要に応じて併用される任意成分を公知の方法で混合することで製造することができる。この際、各成分は、上記有機溶媒中で撹拌しながら溶解又は分散させてもよい。混合順序、温度、時間等の条件は、特に限定されず任意に設定することができる。
[プリプレグ]
本実施形態のプリプレグは、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを含有してなるものである。
該プリプレグは、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを用いて形成することができ、例えば、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を、シート状繊維補強基材に含浸又は塗工し、乾燥炉中で、80〜200℃の温度で1〜30分間加熱乾燥し、樹脂組成物を半硬化(Bステージ化)させることにより製造することができる。
本実施形態のプリプレグ中における熱硬化性樹脂組成物由来の固形分含有量は、特に限定されないが、30〜90質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましく、45〜60質量%が特に好ましい。固形分濃度が上記範囲内であると、積層板とした際により良好な成形性が得られる傾向にある。
プリプレグのシート状繊維補強基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている公知のものが用いられる。シート状繊維補強基材の材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等の無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらのシート状繊維補強基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。また、シート状繊維補強基材の厚みは特に制限されず、例えば、0.02〜0.5mmのものを用いることができる。また、熱硬化性樹脂組成物の含浸性、積層板とした際の耐熱性、耐吸湿性及び加工性の観点から、カップリング剤等で表面処理したもの、機械的に開繊処理を施したもの等を使用できる。
熱硬化性樹脂組成物をシート状繊維補強基材に含浸又は塗工させる方法としては、次のホットメルト法又はソルベント法を採用できる。
ホットメルト法は、熱硬化性樹脂組成物に有機溶媒を含有させず、(1)該熱硬化性樹脂組成物との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維補強基材にラミネートする方法、又は(2)ダイコーターによりシート状繊維補強基材に直接塗工する方法である。
一方、ソルベント法は、熱硬化性樹脂組成物に有機溶媒を含有させ、得られた樹脂組成物にシート状繊維補強基材を浸漬して、熱硬化性樹脂組成物をシート状繊維補強基材に含浸させ、その後、乾燥させる方法である。
[積層板]
本実施形態の積層板は、本実施形態のプリプレグと金属箔とを含有してなる積層板である。
本実施形態の積層板は、本実施形態のプリプレグ1枚の片面若しくは両面に金属箔を配置するか、又は本実施形態のプリプレグを2枚以上重ねたものの片面若しくは両面に金属箔を配置し、次いで加熱加圧成形することによって積層板を得ることができる。金属箔を有する積層板は、金属張積層板と称されることもある。
金属箔の金属としては、電気絶縁材料用途で用いられるものであれば特に制限されないが、導電性の観点から、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素を1種以上含有する合金であってもよく、銅、アルミニウムが好ましく、銅がより好ましい。
積層板及び金属張り積層板を製造する際の成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、積層板を製造することもできる。
本発明の積層板及び金属張積層板は、厚みが大きいものであっても十分な難燃性を有するものであるため、積層板及び金属張積層板の厚みは、いずれも、0.3〜1.2mmとすることもできるし、0.5〜1.2mmとすることもできし、0.7〜1.0mmとすることもできる。なお、いうまでもなく、積層板及び金属張積層板の厚みは前記数値範囲よりも小さくすることもできるため、本発明の積層板及び金属張積層板の厚みが前記下限値よりも小さいものであっても本発明に含まれる。
[多層プリント配線板]
本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態のプリプレグ又は本実施形態の積層板を含有してなるものである。本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態のプリプレグ又は積層板を用いて、公知の方法によって、穴開け加工、金属めっき加工、金属箔のエッチング等による回路形成加工及び多層化接着加工を行うことによって製造することができる。
[半導体パッケージ]
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなるものである。
本実施形態の半導体パッケージは、例えば、本実施形態の多層プリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を公知の方法によって搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、各例において、重量平均分子量(Mw)は以下の方法によって測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した。検量線は、標準ポリスチレン:TSKstandard POLYSTYRENE(Type;A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40)[東ソー株式会社製、商品名]を用いて3次式で近似した。GPCの測定条件を、以下に示す。
装置:
ポンプ:L−6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L−3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L−655A−52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラム:ガードカラム;TSK Guardcolumn HHR−L+カラム;TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR(全て東ソー株式会社製、商品名)
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
流量:1.00mL/分
測定温度:40℃
[製造例1:変性マレイミド化合物(X−1)の製造]
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン100質量部と、両末端にアミノ基を有するシロキサン化合物(官能基当量750g/mol)5.6質量部と、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン7.9質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル171質量部と、を投入し、還流させながら2時間反応させた。これを還流温度にて3時間かけて濃縮し、固形分濃度が65質量%の変性マレイミド化合物(X−1)溶液を製造した。得られた変性マレイミド樹脂(X−1)の重量平均分子量(Mw)は、約2,700であった。
[実施例1〜6、比較例1〜3]
表1に記載の各成分を表1に記載の配合組成に従って、トルエン58質量部及びメチルイソブチルケトン10質量部と共に、室温で撹拌及び混合して、固形分濃度55〜65質量%の熱硬化性樹脂組成物を調製した。
各例で得た樹脂組成物を、厚さ0.08mmのガラス布(Eガラス、日東紡績株式会社製)に塗工した後、150℃で5分間加熱乾燥して、熱硬化性樹脂組成物由来の固形分含有量が約47質量%のプリプレグを作製した。
さらに、このプリプレグの上下に、厚さ18μmのロープロファイル銅箔(BF−ANP18、M面のRz:1.5μm、CIRCUIT FOIL社製)を、M面がプリプレグに接するように配置し、温度230℃、圧力3.0MPa、時間90分間の条件で加熱加圧成形して、両面銅張積層板(厚さ:0.10mm)を作製した。
[最低溶融粘度の測定方法]
各例で作製したプリプレグをポリ袋に入れて揉みほぐし、樹脂組成物の粉末(以下、樹脂粉と称する。)のみを採取した。次いで、採取した樹脂粉を乳鉢で粉砕して約0.6gを秤量し、錠剤成形器により直径20mmの円盤状のタブレットに成形した。続いて、このタブレットを、レオメータ(レオメトリック社製、装置名:ARES−2K STD−FCO−STD)を用いて、昇温速度3℃/min、荷重0.2N、測定温度範囲50〜200℃の条件で最低溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2021187889
なお、表1における各材料の略号等は、以下の通りである。
[(A)成分:熱硬化性樹脂]
・製造例1で調製した変性マレイミド化合物(X−1)
[(B)成分:スチレン系熱可塑性エラストマー]
・無水マレイン酸変性水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、酸価10mgCHONa/g、スチレン含有率30%、MFR5.0g/10min(MFRの測定条件:ISO1133に準拠して、230℃、荷重2.16kgにて測定。)
[(E)成分:ポリフェニレンエーテル誘導体]
・両末端にメタクリロイル基を有するポリフェニレンエーテル(重量平均分子量(Mw)1,700)
[(C)成分:硬化促進剤]
・p−ベンゾキノンのトリ−n−ブチルホスフィン付加反応物
[(D−1)成分]
・疎水性フュームドシリカ、「アエロジル(登録商標)R972」、平均一次粒子径:16nm、BET比表面積:110±20m/g
[(D−2)成分]
・球状溶融シリカ:平均一次粒子径:500nm、メチルイソブチルケトン70質量%スラリー
表1に示した結果から明らかなように、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を用いて作製した実施例1〜6のプリプレグは、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量を5質量%に抑えることによって難燃性を十分なものとしており、その上、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度が向上して適度なものとなっており、成形性が高まった。その効果は、無機充填材(D−1)を0.3体積%含有させた実施例4〜6においてより一層顕著であることがわかる。
なお、硬化促進剤(C)を(A)熱硬化性樹脂100質量部に対して1質量部含有させると、保存安定性が低くなる傾向にあると共に、プリプレグの硬化時に硬化速度が早くなり過ぎて成形性が悪化する傾向にあるため、硬化促進剤(C)の含有量が(A)熱硬化性樹脂100質量部に対して0.9質量部以下である熱硬化性組成物である実施例2及び実施例5の態様がより好ましいと言え、最低溶融粘度の観点からは、実施例5の態様がさらに好ましいと言える。
また、実施例1〜6のプリプレグはポリフェニレンエーテル誘導体(E)を含有しており、高周波特性にも優れると考えられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、十分な難燃性と共に、適度な最低溶融粘度を有するものであって成形性に優れるため、該熱硬化性樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、半導体パッケージ等は、例えば、高周波信号を扱う電子部品用途等にも好適である。

Claims (13)

  1. 熱硬化性樹脂(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、硬化促進剤(C)及び無機充填材(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の総和に対して1〜10質量%であり、前記無機充填材(D)が、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)を含有する、熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記無機充填材(D)が、平均一次粒子径100nm以下の無機充填材(D−1)を、熱硬化性樹脂組成物の総和に対して0.1〜3体積%含有する、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(D−1)成分のBET比表面積が10〜300m/gである、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(D−1)成分がフュームドシリカである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記無機充填材(D)が、さらに、平均一次粒子径100nm超〜1,000nmの無機充填材(D−2)を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. さらにポリフェニレンエーテル誘導体(E)を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びマレイミド化合物からなる群から選択される1種以上の熱硬化性樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 前記(A)成分として、前記マレイミド化合物を含有し、該マレイミド化合物が、N−置換マレイミド基を少なくとも2個以上有するマレイミド化合物(a1)由来の構造単位と第1級アミノ基を有するアミン化合物(a2)由来の構造単位と、を有する変性マレイミド化合物である、請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 前記変性マレイミド化合物が、下記一般式(A−2)で表される化合物である、請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    Figure 2021187889

    (式中、Xa1及びXa4は、各々独立に、2価の有機基である。)
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを含有してなるプリプレグ。
  11. 請求項10に記載のプリプレグと金属箔とを含有してなる積層板。
  12. 請求項10に記載のプリプレグ又は請求項11に記載の積層板を含有してなる多層プリント配線板。
  13. 請求項12に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
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WO2024038848A1 (ja) * 2022-08-16 2024-02-22 株式会社レゾナック マレイミド変性スチレン系エラストマー及びマレイミド変性スチレン系エラストマーの製造方法
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