JP2020169276A - 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ - Google Patents

樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ Download PDF

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蔵 藤岡
加藤 哲也
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Abstract

【課題】十分な耐熱性と良好な外観を有しながら、優れた低熱膨張性と、10GHz帯以上の高周波数帯において優れた誘電特性を発現する樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供する。【解決手段】N−置換マレイミド基を少なくとも2個有するマレイミド化合物及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(A)と、ポリフェニレンエーテル及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(B)と、スチレン系化合物由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位及びN−置換マレイミド由来の構造単位を有する共重合体(C)と、を含有する、樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージである。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
携帯電話に代表される移動体通信機器、その基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワークインフラ機器、大型コンピュータなどでは、使用する信号の高速化及び大容量化が年々進んでいる。これに伴い、これらの電子機器に搭載されるプリント配線板には高周波化対応が必要となり、伝送損失の低減を可能とする高周波数帯(例えば、10GHz以上)における誘電特性(低誘電率及び低誘電正接;以下、高周波特性と称することがある。)に優れる基板材料が求められている。近年、このような高周波信号を扱うアプリケーションとして、上述した電子機器のほかに、ITS分野(自動車、交通システム関連)及び室内の近距離通信分野でも高周波無線信号を扱う新規システムの実施計画及び実用化が進んでいる。したがって、今後、これらの機器に搭載するプリント配線板に対しても、低伝送損失基板材料が要求されると予想される。
従来、低伝送損失が要求されるプリント配線板には、高周波特性に優れる耐熱性熱可塑性ポリマーとしてポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂が使用されてきた。例えば、ポリフェニレンエーテルと熱硬化性樹脂とを併用する方法が提案されている。具体的には、ポリフェニレンエーテルとエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ポリフェニレンエーテルと熱硬化性樹脂の中でも誘電率が低いシアネート樹脂を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の樹脂組成物は、GHz領域における高周波特性、導体との接着性、低熱膨張係数、難燃性が総合的に不十分であったり、ポリフェニレンエーテルと熱硬化性樹脂との相容性が低いことにより耐熱性が低下することがあった。
このような状況下、特に相容性が良好で、且つ高周波数帯における誘電特性、導体との高接着性、優れた耐熱性、高ガラス転移温度、低熱膨張係数及び高難燃性を有する樹脂組成物を提供することを課題として、特定のポリフェニレンエーテル誘導体、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる1種以上の熱硬化性樹脂、及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭58−069046号公報 特公昭61−018937号公報 国際公開第2016/175326号
ところで、近年は、6GHzを超える周波数帯の電波が使用される第五世代移動通信システム(5G)アンテナ及び30〜300GHzの周波数帯の電波が使用されるミリ波レーダーにも利用可能な、10GHz帯以上における誘電特性がさらに改善された樹脂組成物の開発が切望されている。特許文献3に記載の樹脂組成物は、高周波数帯における誘電特性に改善が見られるものの、近年要求される高度な誘電特性と、耐熱性及び低熱膨張性の両立という点においては改善の余地がある。また、特許文献3の技術のように、誘電特性を改善するためにポリフェニレンエーテルを用いると、相分離が発生して得られる硬化物の外観及び均質性が悪化する場合があった。
本発明は、このような現状に鑑み、十分な耐熱性と良好な外観を有しながら、優れた低熱膨張性と、10GHz帯以上の高周波数帯において優れた誘電特性を発現する樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記の本発明によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[15]に関するものである。
[1]N−置換マレイミド基を少なくとも2個有するマレイミド化合物及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(A)と、
ポリフェニレンエーテル及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(B)と、
スチレン系化合物由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位及びN−置換マレイミド由来の構造単位を有する共重合体(C)と、
を含有する、樹脂組成物。
[2]前記共重合体(C)におけるN−置換マレイミド由来の構造単位が、N−フェニルマレイミドに由来する構造単位である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記(C)成分の重量平均分子量(Mw)が、80,000〜110,000である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記(C)成分の含有量が、樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜50質量部である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]さらに、無水マレイン酸変性SEBS(C’)を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記(A)成分が、N−置換マレイミド基を少なくとも2個有するマレイミド化合物(a1)由来の構造単位と第1級アミノ基を有するアミン化合物(a2)由来の構造単位とを有するポリイミド化合物である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]前記ポリイミド化合物が、前記(a1)成分が有するマレイミド基と前記(a2)成分が有する第1級アミノ基とが付加反応してなる、下記式(A−1)で表される構造を含む化合物である、上記[6]に記載の樹脂組成物。

(*は他の構造への結合位置を示す。)
[8]前記(B)成分が、下記一般式(B−1)で表される基を有するポリフェニレンエーテル誘導体である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。

(式中、Rb1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
[9]前記(B)成分が、メタクリロイル基を両末端に有するポリフェニレンエーテルである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]さらに、硬化促進剤(D)を含有する、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]前記(D)成分がアミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及びリン系硬化促進剤からなる群から選択される1種以上である、上記[10]に記載の樹脂組成物。
[12]上記[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを含有してなるプリプレグ。
[13]上記[12]に記載のプリプレグと金属箔とを含有してなる積層板。
[14]上記[12]に記載のプリプレグ又は上記[13]に記載の積層板を含有してなる多層プリント配線板。
[15]上記[14]に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
本発明によると、十分な耐熱性と良好な外観を有しながら、優れた低熱膨張性と、10GHz帯以上の高周波数帯において優れた誘電特性を発現する樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージを提供することができる。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。
また、本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書における記載事項を任意に組み合わせた態様も本発明に含まれる。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、
N−置換マレイミド基を少なくとも2個有するマレイミド化合物及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(A)[以下、「マレイミド系樹脂(A)」又は「(A)成分」と略称することがある。]と、
ポリフェニレンエーテル及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(B)[以下、「ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)」又は「(B)成分」と略称することがある。]と、
スチレン系化合物由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位及びN−置換マレイミド由来の構造単位を有する共重合体(C)[以下、「共重合体(C)」又は「(C)成分」と略称することがある。]と、
を含有する、樹脂組成物である。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有することで、十分な耐熱性と良好な外観を有しながら、優れた低熱膨張性と、10GHz帯以上の高周波数帯において優れた誘電特性を発現するものとなる。
<マレイミド系樹脂(A)>
マレイミド系樹脂(A)は、N−置換マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物[以下、単に「マレイミド化合物(a1)」又は「(a1)成分」と略称することがある。]及びその誘導体からなる群から選択される1種以上である。
なお、上記「その誘導体」としては、N−置換マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物と、後述するジアミン化合物等のアミン化合物との付加反応物などが挙げられる。
マレイミド系樹脂(A)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(マレイミド化合物(a1))
マレイミド化合物(a1)としては、N−置換マレイミド基を2個以上有するマレイミド化合物であれば特に限定されないが、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等の芳香族マレイミド化合物;1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ピロリロン酸バインダ型長鎖アルキルビスマレイミド等の脂肪族マレイミド化合物などが挙げられる。これらの中でも、導体との接着性及び機械特性の観点から、芳香族マレイミド化合物が好ましく、芳香族ビスマレイミド化合物がより好ましく、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドがさらに好ましい。
マレイミド化合物(a1)としては、下記一般式(A1−1)で表される化合物が好ましい。

(式中、Xa1は2価の有機基を示す。)
上記一般式(A1−1)中のXa1が示す2価の有機基としては、下記一般式(A1−2)、(A1−3)、(A1−4)又は(A1−5)で表される基が挙げられる。

(式中、Ra1は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。na1は、0〜4の整数を示す。)
a1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。
a1は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na1が2以上の整数である場合、複数のRa1同士は同一であっても異なっていてもよい。

(式中、Ra2及びRa3は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa2は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、単結合、又は下記一般式(A1−3−1)で表される2価の基を示す。na2及びna3は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
a2及びRa3が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A1−2)中のRa1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a2が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
a2が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。該アルキリデン基としては、イソプロピリデン基が好ましい。
a2及びna3は、0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は2がより好ましい。na2又はna3が2以上の整数である場合、複数のRa2同士又は複数のRa3同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
a2が示す一般式(A1−3−1)で表される2価の基は以下の通りである。

(式中、Ra4及びRa5は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa3は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。na4及びna5は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
a4及びRa5が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A1−2)中のRa1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a3が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、上記一般式(A1−3)中のXa2が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基と同じものが挙げられる。
a3が示す基の中でも、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度、熱膨張係数及び難燃性の観点から、炭素数2〜5のアルキリデン基が好ましく、イソプロピリデン基がより好ましい。
a4及びna5は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na4又はna5が2以上の整数である場合、複数のRa4同士又は複数のRa5同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。

(式中、na6は、1〜10の整数を示す。)
a6は、入手容易性の観点から、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましい。

(式中、Ra6及びRa7は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示す。na7は、1〜8の整数を示す。)
a6及びRa7が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A1−2)中のRa1が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a7は1〜8の整数を示し、1〜3の整数が好ましく、1であることがより好ましい。
a7が2以上の整数である場合、複数のRa6同士又は複数のRa7同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(A1−1)中のXa1としては、高周波特性の観点から、下記式(Xa1−1)〜(Xa1−3)のいずれかで表される2価の基であることが好ましく、下記式(Xa1−3)で表される2価の基であることがより好ましい。

(波線は、マレイミド基中の窒素原子との結合位置を示す。)
マレイミド系樹脂(A)としては、有機溶媒への溶解性、相容性、導体との接着性及び高周波特性の観点から、マレイミド化合物(a1)の誘導体が好ましい。
マレイミド化合物(a1)の誘導体としては、マレイミド化合物(a1)由来の構造単位と、第1級アミノ基を有するアミン化合物[以下、単に「(a2)成分」と略称することがある。]由来の構造単位と、を有するポリイミド化合物[以下、「ポリイミド化合物(a12)」と略称することがある。]であることが好ましい。
なお、ポリイミド化合物(a12)に含まれる(a1)成分由来の構造単位及び(a2)成分由来の構造単位は、各々について、1種類であってもよく、2種類以上の組み合わせであってもよい。
(a1)成分由来の構造単位としては、例えば、下記一般式(A1−6)で表される基及び下記一般式(A1−7)で表される基からなる群から選択される1種以上が挙げられる。

(式中、Xa1は上記一般式(A1−1)中のXa1と同じであり、*は他の構造への結合位置を示す。)
ポリイミド化合物(a12)中における(a1)成分由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、50〜95質量%が好ましく、70〜92質量%がより好ましく、85〜90質量%がさらに好ましい。(a1)成分由来の構造単位の含有量が上記範囲内であると、高周波特性がより良好となり、且つ、良好なフィルムハンドリング性が得られる傾向にある。
(アミン化合物(a2))
アミン化合物(a2)は、第1級アミノ基を有するアミン化合物であり、第1級アミノ基を2個以上有する化合物が好ましく、第1級アミノ基を2個有するジアミン化合物がより好ましい。
アミン化合物(a2)としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス〔1−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等の芳香族ジアミン化合物;第1級アミノ基を有するアミン変性シロキサン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、(a2)成分としては、有機溶媒への溶解性、(a1)成分との反応性、及び耐熱性に優れるという観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、及び4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンが好ましい。また、高周波特性及び低吸水性に優れるという観点からは、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが好ましい。また、導体との高接着性、伸び、破断強度等の機械特性に優れるという観点からは、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましい。さらに、有機溶媒への溶解性、合成時の反応性、耐熱性、導体との高接着性に優れることに加えて、高周波特性及び低吸湿性に優れるという観点からは、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリンが好ましい。また、低熱膨張性の観点からは、アミン変性シロキサン化合物が好ましい。
アミン化合物(a2)としては、下記一般式(A2−1)で表される化合物が好ましい。

(式中、Xa4は2価の有機基を示す。)
(a2)成分は、上記一般式(A2−1)中のXa4が、下記一般式(A2−2)で表される2価の基である芳香族ジアミン化合物[以下、「芳香族ジアミン化合物(A2−2)」と略称することがある。]を含有することが好ましい。

(式中、Ra11及びRa12は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子を示す。Xa5は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、フルオレニレン基、単結合、又は下記一般式(A2−2−1)若しくは(A2−2−2)で表される2価の基を示す。na8及びna9は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(A2−2)中のRa11及びRa12が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
a5が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
a5が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
a8及びna9は、0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0又は1が好ましい。na8又はna9が2以上の整数である場合、複数のRa11同士又は複数のRa12同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(A2−2)中のXa5が示す一般式(A2−2−1)で表される2価の基は以下の通りである。

(式中、Ra13及びRa14は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa6は炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、m−フェニレンジイソプロピリデン基、p−フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。na10及びna11は、各々独立に、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(A2−2−1)中のRa13及びRa14が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A2−2)中のRa11及びRa12が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a6が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基についての説明は、上記一般式(A2−2)中のXa5が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基についての説明と同じである。
a10及びna11は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na10又はna11が2以上の整数である場合、複数のRa13同士又は複数のRa14同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(A2−2)中のXa5が示す一般式(A2−2−2)で表される2価の基は以下の通りである。

(式中、Ra15は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xa7及びXa8は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。na12は、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(A2−2−2)中のRa15が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(A2−2)中のRa11及びRa12が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
a7及びXa8が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基としては、上記一般式(A2−2)中のXa5が示す炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基と同じものが例示される。これらの中でも、Xa7及びXa8としては、炭素数2〜5のアルキリデン基であることが好ましく、イロプロピリデン基であることがより好ましい。
a12は0〜4の整数を示し、入手容易性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。na12が2以上の整数である場合、複数のRa15同士は同一であっても異なっていてもよい。
また、(a2)成分は、上記一般式(A2−1)中のXa4が、下記一般式(A2−3)で表される構造単位を含有する2価の基であるアミン変性シロキサン化合物を含有することが好ましく、上記一般式(A2−1)中のXa4が、下記一般式(A2−4)で表される2価の基である両末端アミン変性シロキサン化合物[以下、「両末端アミン変性シロキサン化合物(A2−4)」と略称することがある。]を含有することがより好ましい。

(式中、Ra16及びRa17は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を表す。)

(式中、Ra16及びRa17は、上記一般式(A2−3)中のものと同じであり、Ra18及びRa19は、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示す。Xa9及びXa10は、各々独立に、2価の有機基を示し、na13は、2〜100の整数を示す。)
上記一般式(A2−3)及び(A2−4)中のRa16〜Ra19が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
a16〜Ra19が示す置換フェニル基におけるフェニル基が有する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基等が挙げられる。該炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。該炭素数2〜5のアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
a9及びXa10が示す2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−O−又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。該アルケニレン基としては、炭素数2〜10のアルケニレン基が挙げられる。該アルキニレン基としては、炭素数2〜10のアルキニレン基が挙げられる。該アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられる。
これらの中でも、Xa9及びXa10としては、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
a13は2〜100の整数を示し、2〜50の整数が好ましく、3〜40の整数がより好ましく、5〜30の整数がさらに好ましい。na13が2以上の整数である場合、複数のRa16同士又は複数のRa17同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記アミン変性シロキサン化合物の官能基当量は、特に限定されないが、300〜3,000g/molが好ましく、400〜2,000g/molがより好ましく、600〜1,000g/molがさらに好ましい。
(a2)成分としては、耐熱性及び低熱膨張性の観点から、芳香族ジアミン化合物と、アミン変性シロキサン化合物と、を併用することが好ましく、上記芳香族ジアミン化合物(A2−2)と、上記両末端アミン変性シロキサン化合物(A2−4)と、を併用することがより好ましい。
芳香族ジアミン化合物及びアミン変性シロキサン化合物の使用割合(構造単位としては含有量割合)[芳香族ジアミン化合物/アミン変性シロキサン化合物]は、特に限定されないが、質量比で、20/80〜80/20が好ましく、40/60〜70/30がより好ましく、50/50〜65/35がさらに好ましい。
(a2)成分由来の構造単位としては、例えば、下記一般式(A2−5)で表される基及び下記一般式(A2−6)で表される基からなる群から選択される1種以上が挙げられる。

(式中、Xa4は上記一般式(A2−1)中のXa4と同じであり、*は他の構造への結合位置を示す。)
ポリイミド化合物(a12)中における(a2)成分由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、5〜50質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。(a2)成分由来の構造単位の含有量が上記範囲内であると、高周波特性に優れ、且つより良好な耐熱性、難燃性及びガラス転移温度が得られる傾向にある。
ポリイミド化合物(a12)中における(a1)成分由来の構造単位と、(a2)成分由来の構造単位の合計含有量は、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%(すなわち、(a1)成分由来の構造単位及び(a2)成分由来の構造単位のみからなるもの)であることが特に好ましい。
ポリイミド化合物(a12)中における(a1)成分由来の構造単位と、(a2)成分由来の構造単位との含有比率は、特に限定されないが、(a2)成分の−NH基由来の基(−NHも含む)の合計当量(Ta2)に対する、(a1)成分に由来するマレイミド基由来の基(マレイミド基も含む)の合計当量(Ta1)の当量比(Ta1/Ta2)が、好ましくは0.05〜10、より好ましくは1〜5となる含有比率である。当量比(Ta1/Ta2)が上記範囲内であると、高周波特性に優れ、且つより良好な耐熱性、難燃性及びガラス転移温度が得られる傾向にある。
ポリイミド化合物(a12)は、高周波特性、有機溶媒への溶解性、導体との高接着性、成形性等の観点から、(a1)成分が有するマレイミド基と(a2)成分が有する第1級アミノ基とが付加反応してなる、下記式(A−1)で表される構造を含む化合物であることが好ましい。

(*は他の構造への結合位置を示す。)
ポリイミド化合物(a12)は、高周波特性、有機溶媒への溶解性、導体との高接着性、成形性等の観点から、下記一般式(A−2)で表される化合物を含有することが好ましい。

(式中、Xa1及びXa4は、上記一般式(A1−1)及び(A2−1)における説明の通りである。)
(ポリイミド化合物(a12)の製造方法)
ポリイミド化合物(a12)は、例えば、(a1)成分と(a2)成分とを有機溶媒中で反応させることで製造することができる。
具体的には、(a1)成分、(a2)成分、必要によりその他の成分を合成釜に所定量仕込み、(a1)成分と(a2)成分とをマイケル付加反応[以下、「プレ反応」と略称することがある。]を行うことにより、ポリイミド化合物(a12)が得られる。
プレ反応における反応条件は特に限定されないが、ゲル化を抑制しつつ、良好な反応性及び作業性が得られるという観点からは、反応温度は50〜160℃、反応時間は1〜10時間が好ましい。
プレ反応では、必要に応じて反応触媒を使用してもよい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒;トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、反応触媒の配合量に特に制限はないが、(a1)成分及び(a2)成分の合計量100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部である。
また、プレ反応では、必要に応じて有機溶媒を追加又は濃縮して反応原料の固形分濃度及び溶液粘度を調整してもよい。反応原料の固形分濃度は、特に限定されないが、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。反応原料の固形分濃度が上記下限値以上であると、十分な反応速度が得られ、製造コストの面で有利となる傾向にあり、上記上限値以下であると、より良好な溶解性が得られ、撹拌効率が良くなり、ゲル化し難くなる傾向にある。
ポリイミド化合物(a12)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、400〜10,000が好ましく、1,000〜5,000がより好ましく、1,500〜4,000がさらに好ましく、2,000〜3,000が特に好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した値であり、より詳細には実施例に記載の測定方法により求めた値である。
((A)成分の含有量)
本実施形態の樹脂組成物中におけるマレイミド系樹脂(A)の含有量は、特に限定されないが、高周波特性、耐熱性及び成形性の観点から、樹脂成分の総和100質量部に対して、10〜95質量部が好ましく、30〜90質量部がより好ましく、50〜85質量部がさらに好ましく、60〜80質量部が特に好ましい。
なお、本実施形態において、「樹脂成分」とは、樹脂組成物を構成する固形分のうち、後述する無機充填材等の無機化合物、難燃剤及び難燃助剤を除く、すべての成分と定義する。
また、本実施形態における固形分とは、水分、後述する溶媒等の揮発する物質以外の樹脂組成物中の成分のことをいう。すなわち、固形分は、25℃付近の室温で液状、水飴状又はワックス状のものも含み、必ずしも固体であることを意味するものではない。
<ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)>
ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)は、ポリフェニレンエーテル及びその誘導体からなる群から選択される1種以上である。本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)を含有することで、高周波特性に優れたものとなる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)としては、特に限定されないが、ポリフェニレンエーテル誘導体が好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を有するポリフェニレンエーテル誘導体がより好ましい。以下、エチレン性不飽和結合含有基を有するポリフェニレンエーテル誘導体を「ポリフェニレンエーテル誘導体(B1)」と称する場合がある。
なお、本明細書において、「エチレン性不飽和結合含有基」とは、付加反応が可能な炭素−炭素二重結合を含有する置換基を意味し、芳香環の二重結合は含まないものとする。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、アリル基、1−メチルアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、スチリル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;マレイミド基、下記一般式(B−1)で表される基等のヘテロ原子とエチレン性不飽和結合とを含む基などが挙げられる。これらの中でも、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性、導体との接着性及び相分離状態の観点から、下記一般式(B−1)で表される基が好ましい。

(式中、Rb1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
b1が示す炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基又は環状アルキル基のいずれであってもよく、直鎖状アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。
上記一般式(B−1)で表される基は、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性、導体との接着性及び相分離状態の観点から、(メタ)アクリロイル基(すなわち、上記一般式(B−1)におけるRb1が、水素原子又はメチル基である基)であることが好ましく、メタクリロイル基であることがより好ましい。なお、本実施形態において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
なお、本明細書において、マレイミド基、上記一般式(B−1)で表される基等のように、一部に不飽和脂肪族炭化水素基を有しているが、その基全体として見たときに不飽和脂肪族炭化水素基とは言えない基は、上記「不飽和脂肪族炭化水素基」に含まれないものとする。
ポリフェニレンエーテル誘導体(B1)が1分子中に有するエチレン性不飽和結合含有基の数は、特に限定されないが、2〜5個が好ましく、2〜3個がより好ましく、2個がさらに好ましい。エチレン性不飽和結合含有基の数が上記下限値以上であると、優れた耐熱性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、優れた流動性及び成形性が得られる傾向にある。
ポリフェニレンエーテル誘導体(B1)は、エチレン性不飽和結合含有基を片末端又は両末端に有していることが好ましく、両末端に有していることがより好ましい。また、両末端以外にもエチレン性不飽和結合含有基を有していてもよいが、両末端のみにエチレン性不飽和結合含有基を有することがさらに好ましい。ポリフェニレンエーテル誘導体(B)は、メタクリロイル基を両末端に有するポリフェニレンエーテルであることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)は、フェニレンエーテル結合を有するものであり、下記一般式(B−2)で表される構造単位を有することが好ましい。

(式中、Rb2は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。nb1は、0〜4の整数を示す。)
上記一般式(B−2)中のRb2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
b1は0〜4の整数を示し、1又は2が好ましく、2であることがより好ましい。なお、nb1が1又は2である場合、Rb2はベンゼン環上のオルト位(但し、酸素原子の置換位置を基準とする。)に置換していることが好ましい。また、nb1が2以上の整数である場合、複数のRb2同士は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(B−2)で表される構造単位は、下記一般式(B−2’)で表される構造単位であることが好ましい。
ポリフェニレンエーテル誘導体(B1)は、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性及び導体との接着性の観点から、下記一般式(B−3)で表される化合物であることが好ましい。

(式中、Rb2及びnb1は、上記一般式(B−2)における説明の通りである。Rb3及びRb4は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。nb2及びnb3は、各々独立に、0〜4の整数を示す。nb4及びnb5は、各々独立に、0〜20の整数を示し、nb4及びnb5の合計は、1〜30の整数である。Xb1は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。Yb1及びYb2は、各々独立に、上記エチレン性不飽和結合含有基を示す。)
上記一般式(B−3)中のRb3及びRb4が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(B−2)中のRb2が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
b2及びnb3は、0〜4の整数を示し、0〜3の整数が好ましく、2又は3が好ましい。nb2又はnb3が2以上の整数である場合、複数のRb3同士又はRb4同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
b4及びnb5は、0〜20の整数を示し、1〜20の整数が好ましく、2〜15の整数がより好ましく、3〜10の整数がさらに好ましい。nb4又はnb5が2以上の整数である場合、複数のnb1同士は、同一であっても異なっていてもよい。
b4及びnb5の合計は、1〜30の整数であり、2〜25の整数が好ましく、5〜20の整数がより好ましく、7〜15の整数がさらに好ましい。
上記一般式(B−3)中のXb1が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
b1が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
b1が示す基の中でも、イソプロピリデン基が好ましい。
b1及びYb2が示すエチレン性不飽和結合含有基の好ましい態様については上記した通りである。
上記一般式(B−3)で表される化合物は、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性及び導体との接着性の観点から、下記一般式(B−4)で表される化合物であることが好ましい。

(式中、nb4及びnb5は、上記一般式(B−3)における説明の通りである。Rb5及びRb6は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。Xb2は、メチレン基又はイソプロピリデン基を示す。)
〔ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)〕
ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、500〜7,000が好ましく、800〜5,000がより好ましく、1,000〜3,000がさらに好ましく、1,200〜2,500が特に好ましい。(B)成分の重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であると、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性を有し、かつ耐熱性に優れる硬化物が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、優れた成形性が得られる傾向にある。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)の合成方法は、公知のポリフェニレンエーテルの合成方法及び変性方法を適用することができ、特に限定されるものではない。
((B)成分の含有量)
本実施形態の樹脂組成物中におけるポリフェニレンエーテル系樹脂(B)の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、2〜80質量部が好ましく、4〜45質量部がより好ましく、6〜30質量部がさらに好ましく、8〜20質量部が特に好ましい。(B)成分の含有量が、上記下限値以上であると、より優れた高周波特性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より優れた耐熱性、成形性及び加工性が得られる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物中における、ポリフェニレンエーテル系樹脂(B)とマレイミド系樹脂(A)との含有割合[(B)/(A)]は、特に限定されないが、質量比で、5/95〜80/20が好ましく、6/94〜60/40がより好ましく、8/92〜40/60がさらに好ましく、10/90〜20/80が特に好ましい。上記含有割合[(B)/(A)]が、上記下限値以上であると、より優れた高周波特性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より優れた耐熱性、成形性及び加工性が得られる傾向にある。
<共重合体(C)>
共重合体(C)は、スチレン系化合物由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位及びN−置換マレイミド由来の構造単位を有する共重合体である。
共重合体(C)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、共重合体(C)を含有することにより、優れた耐熱性、外観、低熱膨張性及び誘電特性を両立することができる。その理由は定かではないが、次のように推測される。
共重合体(C)が有するスチレン系化合物由来の構造単位及び無水マレイン酸由来の構造単位は、(B)成分が有するポリフェニレンエーテル骨格との親和性が高く、また、共重合体(C)が有するN−置換マレイミド由来の構造単位は、(A)成分が有するマレイミド骨格と親和性が高い。そのため、共重合体(C)は、(A)成分及び(B)成分の相溶化剤として機能し、これによって樹脂成分の相分離が抑制されたと考えられる。さらに、共重合体(C)は、それ自体が高い耐熱性と、エラストマーとしての性質を兼ね揃えたものであるため、硬化物の耐熱性を悪化させることなく、低熱膨張化を可能にしたと推測される。
なお、上記の作用機序は推測であって、本実施形態に係る樹脂組成物が本発明の効果を奏する機序を限定するものではない。
共重合体(C)としては、特に限定されないが、下記一般式(C−1)で表されるスチレン系化合物に由来する構造単位と、下記式(C−2)で表されるに無水マレイン酸に由来する構造単位と、下記一般式(C−3)で表されるN−置換マレイミドに由来する構造単位と、を有するものが好ましい。

(上記一般式(C−1)中、Rc1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rc2は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。nc1は、0〜5の整数を示す。上記一般式(C−3)中、Rc3は、炭素数1〜20の炭化水素基を示す。)
上記一般式(C−1)中のRc1が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
c1が示す基の中でも、水素原子が好ましい。
c2が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられ、該アルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
c1は、0〜5の整数を示し、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。
c1が2以上の整数である場合、複数のRc1同士は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(C−3)中のRc3が示す炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
c3が示す炭素数1〜20の炭化水素基として挙げられる炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基等が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル、ブテニル基等が挙げられる。炭素数2〜20のアルキニル基としては、2−プロピニル基、3−ブチニル基等が挙げられる。
炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。該置換基としては、水酸基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、シアノ基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、これらの置換基が連結した基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、上記炭素数には置換基の炭素数も含まれる。
c3が示す炭素数1〜20の炭化水素基として挙げられる炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜15が好ましく、6〜10がより好ましい。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラニル基等が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。該置換基としては、水酸基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、シアノ基、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、これらの置換基が連結した基等が挙げられる。芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、上記炭素数には置換基の炭素数も含まれる。
c3が示す基の中でも、耐熱性、低熱膨張性、高周波特性及び相分離状態の観点から、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基がより好ましい。すなわち、上記一般式(C−3)で表される構造単位は、N−フェニルマレイミドに由来する構造単位であることが好ましい。
共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、80,000〜110,000が好ましく、85,000〜95,000がより好ましく、87,500〜92,500がさらに好ましい。
共重合体(C)中における、スチレン系化合物由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、65〜77質量%が好ましく、67〜75質量%がより好ましく、69〜73質量%がさらに好ましい。
共重合体(C)中における、無水マレイン酸由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、また、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
共重合体(C)中における、N−置換マレイミド由来の構造単位の含有量は、特に限定されないが、24〜30質量%が好ましく、25〜29質量%がより好ましく、26〜28質量%がさらに好ましい。
共重合体(C)中におけるスチレン系化合物由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位及びN−置換マレイミド由来の構造単位の合計含有量は、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
共重合体(C)のガラス転移温度は、特に限定されないが、170〜200℃好ましく、175〜195℃がより好ましく、180〜190℃がさらに好ましい。共重合体(C)のガラス転移温度は、熱機械測定装置(TMA)を用いて測定することができる。
((C)成分の含有量)
本実施形態の樹脂組成物中における共重合体(C)の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましく、8〜15質量部が特に好ましい。共重合体(C)の含有量が上記範囲内であると、高周波特性、熱膨張係数及び相分離状態に一層優れたものとなる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、共重合体(C)以外のスチレン系熱可塑性エラストマー[以下、「その他のスチレン系熱可塑性エラストマー」と略称する場合がある。]を含有していてもよい。
その他のスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系化合物由来の構造単位と、スチレン系化合物由来の構造単位以外の構造単位として、ブタジエン由来の構造単位、イソプレン由来の構造単位、マレイン酸由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位等を含有するものが挙げられる。
上記ブタジエン由来の構造単位及び上記イソプレン由来の構造単位は、水素添加されていることが好ましい。水素添加されている場合、ブタジエン由来の構造単位はエチレン単位とブチレン単位とが混合した構造単位となり、イソプレン由来の構造単位はエチレン単位とプロピレン単位とが混合した構造単位となる。
その他のスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物等が挙げられる。これらの中でも、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度及び熱膨張係数の観点から、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物が好ましい。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物としては、ブタジエンブロック中の炭素−炭素二重結合を完全水添してなるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)と、ブタジエンブロック中の1,2−結合部位の炭素−炭素二重結合を部分水添してなるスチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)が挙げられる。なお、SEBSにおける完全水添とは、通常、全体の炭素−炭素二重結合に対して90%以上であり、95%以上であってもよく、99%以上であってもよく、実質的に100%であってもよい。また、SBBSにおける部分水添率は、例えば、全体の炭素−炭素二重結合に対して60〜85%である。
SEBSにおいて、スチレン由来の構造単位の含有率[以下、「スチレン含有率」と略称することがある。]は、特に限定されないが、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度及び熱膨張係数の観点から、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜60質量%がさらに好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
SEBSのメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、230℃、荷重2.16kgf(21.2N)の測定条件において、0.1〜20g/10minが好ましく、1〜15g/10minがより好ましく、2〜10g/10minがさらに好ましく、3〜7g/10minが特に好ましい。
SBBSにおいて、スチレン含有率は、特に限定されないが、高周波特性、導体との接着性、耐熱性、ガラス転移温度及び熱膨張係数の観点から、40〜80質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましく、55〜75質量%がさらに好ましい。
SBBSのMFRは、特に限定されないが、190℃、荷重2.16kgf(21.2N)の測定条件において、0.1〜10g/10minが好ましく、0.5〜8g/10minがより好ましく、1〜6g/10minがさらに好ましい。
その他のスチレン系熱可塑性エラストマーは、無水マレイン酸等によって酸変性されたものが好ましく、無水マレイン酸変性SEBS[以下、「無水マレイン酸変性SEBS(C’)」又は「(C’)成分」と称する場合がある。]がより好ましい。
酸変性されたスチレン系熱可塑性エラストマーの酸価は、特に限定されないが、2〜20mgCHONa/gが好ましく、5〜15mgCHONa/gがより好ましく、7〜13mgCHONa/gがさらに好ましい。
((C’)成分の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が、無水マレイン酸変性SEBS(C’)を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、2〜60質量部が好ましく、6〜40質量部がより好ましく、8〜30質量部がさらに好ましく、10〜20質量部が特に好ましい。無水マレイン酸変性SEBS(C’)の含有量が上記下限値以上であると、より優れた高周波特性及び耐吸湿性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、良好な耐熱性、成形性、加工性及び難燃性が得られる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物が、共重合体(C)及び無水マレイン酸変性SEBS(C’)を含有する場合、その合計含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、15〜35質量部がさらに好ましく、20〜30質量部が特に好ましい。上記合計含有量が、上記範囲内であると、より一層優れた高周波特性、低熱膨張性及び相分離状態が得られる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物が、共重合体(C)及び無水マレイン酸変性SEBS(C’)を含有する場合、その含有量比[(C)/(C’)]は、特に限定されないが、質量比で、10/90〜80/20が好ましく、20/80〜70/30がより好ましく、30/70〜60/40がさらに好ましい。上記含有量比が、上記範囲内であると、より一層優れた高周波特性、低熱膨張性及び相分離状態が得られる傾向にある。
<硬化促進剤(D)>
本実施形態の樹脂組成物は、硬化促進剤(D)を含有することにより、硬化性が向上し、より優れた高周波特性、耐熱性、導体との接着性、弾性率及びガラス転移温度が得られる傾向にある。
硬化促進剤(D)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(D)成分としては、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、有機金属塩、酸性触媒、有機過酸化物等が挙げられる。なお、本実施形態において、イミダゾール系硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤に分類しないものとする。
アミン系硬化促進剤としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン、ジシアンジアミド等の第1級〜第3級アミンを有するアミン化合物;第4級アンモニウム化合物などが挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、イソシアネートマスクイミダゾール(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物等)等のイミダゾール化合物が挙げられる。
リン系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン等の第3級ホスフィン;p−ベンゾキノンのトリ−n−ブチルホスフィン付加反応物等の第4級ホスホニウム化合物などが挙げられる。
有機金属塩としては、マンガン、コバルト、亜鉛等のカルボン酸塩などが挙げられる。
酸性触媒としては、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
これらの中でも、より優れた高周波特性、耐熱性、導体との接着性、弾性率及びガラス転移温度が得られるという観点から、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、リン系硬化促進剤が好ましく、ジシアンジアミド、イミダゾール系硬化促進剤、第4級ホスホニウム化合物がより好ましく、これらを併用することがさらに好ましい。このとき、有機過酸化物も併用してもよいが、硬化物物性の観点から、有機過酸化物を含有しないことが好ましい。
((D)成分の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が硬化促進剤(D)を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、(A)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、0.1〜3質量部がさらに好ましく、0.5〜2質量部が特に好ましい。硬化促進剤(D)の含有量が上記範囲内であると、より良好な高周波特性、耐熱性、保存安定性及び成形性が得られる傾向にある。
<無機充填材(E)>
本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(E)を含有することにより、より優れた低熱膨張性、高弾性率性、耐熱性及び難燃性が得られる傾向にある。
無機充填材(E)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機充填材(E)としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー(焼成クレー等)、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。これらの中でも、熱膨張係数、弾性率、耐熱性及び難燃性の観点から、シリカ、アルミナ、マイカ、タルクが好ましく、シリカ、アルミナがより好ましく、シリカがさらに好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられる。乾式法シリカとしては、製造法の違いにより、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融シリカ(溶融球状シリカ)等が挙げられる。これらの中でも、溶融球状シリカが好ましい。
無機充填材(E)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.2〜1μmがさらに好ましく、0.3〜0.8μmが特に好ましい。
ここで、本実施形態における平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことである。平均粒子径は、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物が無機充填材(E)を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、熱膨張係数、弾性率、耐熱性及び難燃性の観点から、樹脂成分の総和100質量部に対して、10〜250質量部が好ましく、50〜200質量部がより好ましく、80〜180質量部がさらに好ましく、100〜160質量部がよりさらに好ましく、120〜150質量部が特に好ましい。
無機充填材(E)を用いる場合、無機充填材(E)の分散性及び無機充填材(E)と樹脂組成物中の有機成分との密着性を向上させる目的で、必要に応じて、カップリング剤を併用してもよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カップリング剤を用いる場合、その処理方式は、樹脂組成物中に無機充填材(E)を配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいが、予め乾式又は湿式でカップリング剤によって表面処理した無機充填材を使用する方式が好ましい。この方式を採用することで、より効果的に無機充填材(E)の特長を発現させることができる。
また、無機充填材(E)は、必要に応じて、予め有機溶媒中に分散させたスラリーとして用いてもよい。
<難燃剤(F)>
本実施形態の樹脂組成物は、難燃剤(F)を含有することにより、より優れた難燃性が得られる傾向にある。
難燃剤(F)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
難燃剤(F)としては、無機系のリン系難燃剤;有機系のリン系難燃剤;水酸化アルミニウムの水和物、水酸化マグネシウムの水和物等の金属水和物などが挙げられる。なお、金属水酸化物は無機充填材にも該当し得るが、難燃性を付与し得る材料の場合には難燃剤に分類する。
無機系のリン系難燃剤としては、赤リン;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム;リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物;リン酸;ホスフィンオキシドなどが挙げられる。
有機系のリン系難燃剤としては、芳香族リン酸エステル、1置換ホスホン酸ジエステル及び2置換ホスフィン酸エステル;2置換ホスフィン酸の金属塩、有機系含窒素リン化合物、環状有機リン化合物等が挙げられる。ここで、「金属塩」としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、チタン塩、亜鉛塩等が挙げられる。これらの中でも、難燃性及び高周波特性の観点から、芳香族リン酸エステルが好ましい。
芳香族リン酸エステルとしては、例えば、下記一般式(F−1)で表される芳香族リン酸エステル等が挙げられる。

(式中、Rf1〜Rf4は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xf1は、下記一般式(F−2)で表される2価の基又は2個以上の芳香環構造を含む2価の縮合多環式芳香族炭化水素基を示す。nf1〜nf4は、各々独立に、0〜5の整数を示し、nf5は、1〜5の整数を示す。)

(式中、Rf5及びRf6は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。Xf2は、炭素数1〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合を示す。nf6及びnf7は、各々独立に、0〜4の整数を示す。nf8は、0〜3の整数を示す。)
上記一般式(F−1)中のRf1〜Rf4が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
f1〜nf4は、0〜2の整数が好ましく、0又は2であることがより好ましい。nf1〜nf4が2以上の整数である場合、複数のRf1同士、Rf2同士、Rf3同士又はRf4同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
f5は、1〜5の整数を示し、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。nf5が2以上の整数である場合、複数のXf1同士及び複数のnf4同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(F−2)中のRf5及びRf6が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明は、上記一般式(F−1)中のRf1〜Rf4が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基についての説明と同じである。
f6及びnf7は、0〜4の整数を示し、0〜2の整数が好ましく、0であることがより好ましい。nf6又はnf7が2以上の整数である場合、複数のRf5同士又は複数のRf6同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
f2が示す炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、1,2−ジメチレン基、1,3−トリメチレン基、1,4−テトラメチレン基、1,5−ペンタメチレン基等が挙げられる。
f2が示す炭素数2〜5のアルキリデン基としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。
f2が示す基の中でも、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性、導体との接着性及び相分離状態の観点から、メチレン基、イソプロピリデン基、単結合が好ましく、単結合がより好ましい。
f2は、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性、導体との接着性及び相分離状態の観点から、下記式(F−2−1)で表される2価の基又は下記式(F−2−2)で表される2価の基であることが好ましく、下記式(F−2−2)で表される2価の基であることがより好ましい。
上記一般式(F−2)中のnf8は0〜3の整数を示し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。nf8が2以上の整数である場合、複数のXf2同士及び複数のnf7同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(F−1)中のXf1が示す2個以上の芳香環構造を含む2価の縮合多環式芳香族炭化水素基としては、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の縮合多環式芳香族炭化水素から2個の水素原子を除いてなる2価の基が挙げられる。これらの縮合多環式芳香族炭化水素基は、置換基によって置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。縮合多環式芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
芳香族リン酸エステルとしては、1,3−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、4,4’−ビフェノール−ジフェニルホスフェート、ビスフェノールA−ジフェニルホスフェート、4,4’−ビフェノール−ジクレジルホスフェート、ビスフェノールA−ジクレジルホスフェート、4,4’−ビフェノール−ジ(2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールA−ジ(2,6−キシレニルホスフェート)、4,4’−ビフェノール−ポリフェニルホスフェート、ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェート、4,4’−ビフェノール−ポリクレジルホスフェート、ビスフェノールA−ポリクレジルホスフェート、4,4’−ビフェノール−ポリ(2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールA−ポリ(2,6−キシレニルホスフェート)等が挙げられる。これらの中でも、高周波特性、耐熱性、低熱膨張性、導体との接着性及び相分離状態の観点から、4,4’−ビフェノール−ジ(2,6−キシレニルホスフェート)が好ましい。
なお、上記例示化合物における「ポリ」とは、芳香族リン酸エステルを構成する2価のフェノール化合物由来の構造とリン酸由来構造とからなる繰り返し単位(例えば、上記一般式(F−1)中でいうと、nf5でその構造単位数が示される構造単位)数が2以上である化合物を意味し、該化合物を含有することで上記繰り返し単位の平均値が1を超えるものを意味する場合もある。
芳香族リン酸エステルの平均粒子径は、特に限定されないが、0.1〜10μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましく、0.8〜2.5μmが特に好ましい。芳香族リン酸エステルの平均粒子径が上記下限値以上であると、優れたハンドリング性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、樹脂組成物中における芳香族リン酸エステルの分散性が良好となり、優れた難燃性が得られる傾向にある。
芳香族リン酸エステルの平均粒子径は、公知の乾式又は湿式粉砕法を適用することで上記範囲に調整することができる。
上記2置換ホスフィン酸の金属塩としては、例えば、下記一般式(F−3)で表される2置換ホスフィン酸の金属塩が挙げられる。

(Rf7及びRf8は、各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示す。Mは、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、カルシウム原子、マグネシウム原子、アルミニウム原子、チタン原子又は亜鉛原子を示す。yは、1〜4の整数を示す。)
上記一般式(F−3)中のRf7及びRf8が示す炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
f7及びRf8が示す炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基等が挙げられる。
yは金属イオンの価数を表しており、つまり、Mの種類に対応して1〜4の範囲内で変化する。yが2以上の整数である場合、複数のRf7同士又は複数のRf8同士は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
((F)成分の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が難燃剤(F)を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、3〜50質量部が好ましく、5〜45質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましく、15〜35質量部がよりさらに好ましく、20〜30質量部が特に好ましい。難燃剤の含有量が上記下限値以上であると、高周波特性の悪化を抑制しつつも、より良好な難燃性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より良好な成形性、導体との接着性、より優れた耐熱性及び高周波特性が得られる傾向にある。
また、本実施形態の樹脂組成物が、難燃剤(F)として、芳香族リン酸エステルを含有する場合、芳香族リン酸エステル由来のリン原子の含有量は、特に限定されないが、無機充填材を除く樹脂組成物の固形分中、0.2〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましく、0.6〜2.5質量%がさらに好ましく、1.0〜2.2質量%がよりさらに好ましく、1.2〜2.0質量%が特に好ましい。芳香族リン酸エステルの含有量が上記下限値以上であると、高周波特性の悪化を抑制しつつも、より良好な難燃性が得られる傾向にあり、上記上限値以下であると、より良好な成形性、導体との接着性、より優れた耐熱性及び高周波特性が得られる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃剤(F)と共に難燃助剤を含有していてもよい。難燃助剤としては、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機系難燃助剤などが挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物が難燃助剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。難燃助剤の含有量が上記範囲内であると、より良好な耐薬品性が得られる傾向にある。
<有機溶媒>
本実施形態の樹脂組成物は、取り扱いを容易にするという観点及び後述するプリプレグを製造し易くする観点から、有機溶媒を含有するワニス状の樹脂組成物であってもよい。
有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒;γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物が有機溶媒を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、本実施形態の樹脂組成物の固形分濃度が、30〜90質量%となる量が好ましく、40〜80質量%となる量がより好ましく、50〜70質量%となる量がさらに好ましい。有機溶媒の含有量が上記範囲内であると、樹脂組成物の取り扱い性が容易となり、基材への含浸性及び製造されるプリプレグの外観が良好となる。さらに、後述するプリプレグ中の樹脂の固形分濃度の調整が容易となり、所望の厚みを有するプリプレグの製造がより容易となる傾向にある。
<その他の成分>
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記各成分以外の樹脂材料、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤及び滑剤からなる群から選択される1種以上[以下、「その他の成分」と略称することがある。]を含有していてもよい。これらの成分は、各々について、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、本実施形態の樹脂組成物は、これらの成分を含有しないものであってもよい。
本実施形態の樹脂組成物が上記その他の成分を含有する場合、その各々の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上であってもよく、0.1質量部以上であってもよく、また、10質量部以下であってもよく、5質量部以下であってもよく、1質量部以下であってもよい。
また、本実施形態の樹脂組成物が含有する樹脂成分中における(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計含有量は、特に限定されないが、樹脂成分の総和100質量部に対して、80質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上がさらに好ましい。
<誘電特性>
本実施形態の樹脂組成物を、後述する実施例に記載の方法によって試験片とした際の10GHzにおける誘電率(Dk)は、特に限定されないが、4.04以下が好ましく、4.00以下がより好ましく、3.96以下がさらに好ましく、3.93以下が特に好ましい。上記誘電率(Dk)は小さい程好ましく、その下限値に特に制限はないが、他の物性とのバランスを考慮して、例えば、3.50以上であってもよく、3.80以上であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物を、後述する実施例に記載の方法によって試験片とした際の10GHzにおける誘電正接(Df)は、特に限定されないが、0.0060以下が好ましく、0.0058以下がより好ましく、0.0055以下がさらに好ましく、0.0053以下が特に好ましい。上記誘電正接(Df)は小さい程好ましく、その下限値に特に制限はないが、他の物性とのバランスを考慮して、例えば、0.0040以上であってもよく、0.0050以上であってもよい。
なお、誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)は、空洞共振器摂動法に準拠した値であり、より詳細には、実施例に記載の方法によって測定された値である。また、本明細書において、単に誘電率というとき、比誘電率を意味する。
<熱膨張係数>
本実施形態の樹脂組成物を、後述する実施例に記載の方法によって試験片とした際の熱膨張係数は、特に限定されないが、13.0ppm/℃以下が好ましく、11.0ppm/℃以下がより好ましく、9.0ppm/℃以下がさらに好ましく、7.4ppm/℃以下が特に好ましい。上記熱膨張係数は小さい程好ましく、その下限値に特に制限はないが、他の物性とのバランスを考慮して、例えば、4.0ppm/℃以上であってもよく、6.0ppm/℃以上であってもよい。
熱膨張係数は実施例に記載の方法によって測定することができる。
<ガラス転移温度>
本実施形態の樹脂組成物を、後述する実施例に記載の方法によって試験片とした際のガラス転移温度は、特に限定されないが、250℃以上が好ましく、270℃以上がより好ましく、290℃以上がさらに好ましく、300℃以上が特に好ましい。上記ガラス転移温度は高い程好ましく、その下限値に特に制限はないが、他の物性とのバランスを考慮して、例えば、400℃以下であってもよく、350℃以下であってもよい。
ガラス転移温度は実施例に記載の方法によって測定することができる。
<ドメインサイズ>
本実施形態の樹脂組成物を、後述する実施例に記載の方法によって試験片とした際の平均ドメインサイズは、特に限定されないが、10μm以下であることが好ましい。
ドメインサイズは実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じて併用される任意成分を公知の方法で混合することで製造することができる。この際、各成分は、上記有機溶媒中で撹拌しながら溶解又は分散させてもよい。混合順序、温度、時間等の条件は、特に限定されず任意に設定することができる。
[プリプレグ]
本実施形態のプリプレグは、本実施形態の樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを含有してなるものである。
該プリプレグは、本実施形態の樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを用いて形成することができ、例えば、本実施形態の樹脂組成物を、シート状繊維補強基材に含浸又は塗工し、乾燥炉中で、80〜200℃の温度で1〜30分間加熱乾燥し、樹脂組成物を半硬化(Bステージ化)させることにより製造することができる。
本実施形態のプリプレグ中における樹脂組成物由来の固形分含有量は、特に限定されないが、30〜90質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましく、45〜60質量%が特に好ましい。固形分濃度が上記範囲内であると、積層板とした際により良好な成形性が得られる傾向にある。
プリプレグのシート状繊維補強基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている公知のものが用いられる。シート状繊維補強基材の材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等の無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらのシート状繊維補強基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。また、シート状繊維補強基材の厚みは特に制限されず、例えば、0.02〜0.5mmのものを用いることができる。また、樹脂組成物の含浸性、積層板とした際の耐熱性、耐吸湿性及び加工性の観点から、カップリング剤等で表面処理したもの、機械的に開繊処理を施したもの等を使用できる。
樹脂組成物をシート状繊維補強基材に含浸又は塗工させる方法としては、次のホットメルト法又はソルベント法を採用できる。
ホットメルト法は、樹脂組成物に有機溶媒を含有させず、(1)該樹脂組成物との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維補強基材にラミネートする方法、又は(2)ダイコーターによりシート状繊維補強基材に直接塗工する方法である。
一方、ソルベント法は、樹脂組成物に有機溶媒を含有させ、得られた樹脂組成物にシート状繊維補強基材を浸漬して、樹脂組成物をシート状繊維補強基材に含浸させ、その後、乾燥させる方法である。
[積層板]
本実施形態の積層板は、本実施形態のプリプレグと金属箔とを含有してなる積層板である。
本実施形態の積層板は、本実施形態のプリプレグ1枚の片面若しくは両面に金属箔を配置するか、又は本実施形態のプリプレグを2枚以上重ねたものの片面若しくは両面に金属箔を配置し、次いで加熱加圧成形することによって積層板を得ることができる。金属箔を有する積層板は、金属張積層板と称されることもある。
金属箔の金属としては、電気絶縁材料用途で用いられるものであれば特に制限されないが、導電性の観点から、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、又はこれらの金属元素を1種以上含有する合金であってもよく、銅、アルミニウムが好ましく、銅がより好ましい。
加熱加圧成形の条件は特に制限されるものではなく、例えば、温度が100〜300℃、圧力が0.2〜10.0MPa、時間が0.1〜5時間の範囲で実施することができる。また加熱加圧成形は真空プレス等を用いて真空状態を0.5〜5時間保持する方法を採用できる。
[多層プリント配線板]
本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態のプリプレグ又は本実施形態の積層板を含有してなるものである。本実施形態の多層プリント配線板は、本実施形態のプリプレグ又は積層板を用いて、公知の方法によって、穴開け加工、金属めっき加工、金属箔のエッチング等による回路形成加工及び多層化接着加工を行うことによって製造することができる。
[半導体パッケージ]
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなるものである。
本実施形態の半導体パッケージは、例えば、本実施形態の多層プリント配線板の所定の位置に半導体チップ、メモリ等の半導体素子を公知の方法によって搭載し、封止樹脂等によって半導体素子を封止することによって製造できる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、各例において、重量平均分子量は以下の方法によって測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した。検量線は、標準ポリスチレン:TSKstandard POLYSTYRENE(Type;A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40)[東ソー株式会社製、商品名]を用いて3次式で近似した。GPCの測定条件を、以下に示す。
装置:
ポンプ:L−6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L−3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L−655A−52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラム:ガードカラム;TSK Guardcolumn HHR−L+カラム;TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR(すべて東ソー株式会社製、商品名)
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
流量:1.00mL/分
測定温度:40℃
[製造例1:ポリイミド化合物A−1の製造]
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン100質量部と、両末端にアミノ基を有するシロキサン化合物(官能基当量750g/mol)5.6質量部と、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン7.9質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル171質量部と、を投入し、還流させながら2時間反応させた。これを還流温度にて3時間かけて濃縮し、固形分濃度が65質量%のポリイミド化合物A−1溶液を製造した。得られたポリイミド化合物A−1の重量平均分子量(Mw)は、約2,700であった。
[実施例1、比較例1、参考例1]
表1に記載の各成分を表1に記載の配合組成に従って、トルエン58質量部及びメチルイソブチルケトン10質量部と共に、室温で撹拌及び混合して、固形分濃度55〜65質量%の樹脂組成物を調製した。
各例で得た樹脂組成物を、厚さ0.10mmのガラス布(Eガラス、日東紡績株式会社製)に塗工した後、150℃で5分間加熱乾燥して、樹脂組成物由来の固形分含有量が約47質量%のプリプレグを作製した。このプリプレグの上下に、厚さ18μmのロープロファイル銅箔(BF−ANP18、M面のRz:1.5μm、CIRCUIT FOIL社製)を、M面がプリプレグに接するように配置し、温度230℃、圧力3.0MPa、時間90分間の条件で加熱加圧成形して、両面銅張積層板(厚さ:0.02mm)を作製した。
[評価方法]
各例で得られた両面銅張積層板を用いて、下記方法に従って各評価を行った。結果を表1に示す。
(誘電特性の評価;誘電率及び誘電正接の測定)
誘電特性である誘電率及び誘電正接は、両面銅張積層板の外層銅箔を、銅エッチング液(過硫酸アンモニウムの10質量%溶液、三菱ガス化学株式会社製)に浸漬することにより除去し、長さ60mm、幅2mmに切り出したものを試験片として、空洞共振器摂動法により測定した。測定器にはアジレントテクノロジー社製のベクトル型ネットワークアナライザ「E8364B」、空洞共振器には株式会社関東電子応用開発製の「CP129」(10GHz帯共振器)、測定プログラムには「CPMA−V2」をそれぞれ使用した。測定は、周波数10GHz、測定温度25℃の条件下で行った。
(耐熱性・信頼性の評価;熱膨張係数及びガラス転移温度の測定)
熱膨張係数(板厚方向、温度範囲:30〜120℃)とガラス転移温度(Tg)は、両面銅張積層板の外層銅箔を、銅エッチング液(過硫酸アンモニウムの10質量%溶液、三菱ガス化学株式会社製)に浸漬することにより除去した5mm角の試験片を用いて、熱機械測定装置(TMA)(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、Q400(型番))により、IPC(The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits)規格に準拠して測定した。
(相分離状態の評価;ドメインサイズの測定)
ドメインサイズは、両面銅張積層板の樹脂絶縁層の断面をミクロトームにて平滑化した後、過硫酸塩溶液でエッチングして得たサンプルを、SEM(装置名:JSM−6010PLUS/LA、日本電子株式会社製)を用いて、加速電圧15KV、倍率1,000倍の条件で観察して、任意のドメイン50個の最大径を計測し、その平均値を求め、以下の基準に基づいて評価した。
AA:平均ドメインサイズが5μm以下
A:平均ドメインサイズが10μm以下5μm越え
B:平均ドメインサイズが10μm超え
なお、表1における各材料の略号等は、以下の通りである。
[(A)成分]
・ポリイミド化合物A−1:製造例1で調製したポリイミド化合物A−1。
[(B)成分]
・ポリフェニレンエーテル系樹脂B−1:両末端にメタクリロイル基を有するポリフェニレンエーテル、重量平均分子量(Mw)1,700。
[(C)成分]
・共重合体C−1:スチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸共重合体、スチレン含有率(71質量%)、N−フェニルマレイミド含有率(27質量%)、無水マレイン酸含有率(1質量%)、重量平均分子量(Mw)90,000、ガラス転移温度185℃
[(C’)成分]
・共重合体C’−1:無水マレイン酸変性のSEBS、酸価10mgCHONa/g、スチレン含有率30%、MFR5.0g/10min(MFRの測定条件:ISO1133に準拠して、230℃、荷重2.16kgにて測定。)。
・共重合体C’−2:スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂、スチレン含有率89%。
[(D)成分]
・リン系硬化促進剤:p−ベンゾキノンのトリ−n−ブチルホスフィン付加反応物。
・イミダゾール系硬化促進剤。
・ジシアンジアミド。
[(E)成分]
・溶融球状シリカ;平均粒子径0.5μm、メチルイソブチルケトン70質量%スラリー。
[(F)成分]
・難燃剤:4,4’−ビフェノール−ビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)。
[(G)成分]
・酸化防止剤:4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール。
表1に示した結果から明らかなように、本実施形態の樹脂組成物を用いて作製した実施例1の積層板は、(C)成分を含有しない比較例1及び参考例1の積層板と比べると、ガラス転移温度を良好に維持しながら、誘電率、誘電正接及び熱膨張係数が低減し、かつ、相分離状態も向上していることが分かる。
このことから、本実施形態の樹脂組成物が、十分な耐熱性と良好な外観を有しながら、優れた低熱膨張性と、10GHz帯以上の高周波数帯において優れた誘電特性を発現するものであることが分かる。
本発明の樹脂組成物は、十分な耐熱性と良好な外観を有しながら、優れた低熱膨張性と、10GHz帯以上の高周波数帯において優れた誘電特性を発現するものであるため、該樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、積層板、多層プリント配線板、半導体パッケージ等は、高周波信号を扱う電子部品用途に好適である。

Claims (15)

  1. N−置換マレイミド基を少なくとも2個有するマレイミド化合物及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(A)と、
    ポリフェニレンエーテル及びその誘導体からなる群から選択される1種以上(B)と、
    スチレン系化合物由来の構造単位、無水マレイン酸由来の構造単位及びN−置換マレイミド由来の構造単位を有する共重合体(C)と、
    を含有する、樹脂組成物。
  2. 前記共重合体(C)におけるN−置換マレイミド由来の構造単位が、N−フェニルマレイミドに由来する構造単位である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分の重量平均分子量(Mw)が、80,000〜110,000である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分の含有量が、樹脂成分の総和100質量部に対して、1〜50質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. さらに、無水マレイン酸変性SEBS(C’)を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(A)成分が、N−置換マレイミド基を少なくとも2個有するマレイミド化合物(a1)由来の構造単位と第1級アミノ基を有するアミン化合物(a2)由来の構造単位とを有するポリイミド化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記ポリイミド化合物が、前記(a1)成分が有するマレイミド基と前記(a2)成分が有する第1級アミノ基とが付加反応してなる、下記式(A−1)で表される構造を含む化合物である、請求項6に記載の樹脂組成物。

    (*は他の構造への結合位置を示す。)
  8. 前記(B)成分が、下記一般式(B−1)で表される基を有するポリフェニレンエーテル誘導体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。

    (式中、Rb1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
  9. 前記(B)成分が、メタクリロイル基を両末端に有するポリフェニレンエーテルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. さらに、硬化促進剤(D)を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記(D)成分がアミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤及びリン系硬化促進剤からなる群から選択される1種以上である、請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物とシート状繊維補強基材とを含有してなるプリプレグ。
  13. 請求項12に記載のプリプレグと金属箔とを含有してなる積層板。
  14. 請求項12に記載のプリプレグ又は請求項13に記載の積層板を含有してなる多層プリント配線板。
  15. 請求項14に記載の多層プリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体パッケージ。
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