JP7463845B2 - フェノキシ樹脂およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なフェノキシ樹脂およびその用途に関する。
樹脂や化合物をカップリング剤で変性処理し様々な機能を付加する試みがなされてきた。特許文献1~7には、例えば、カップリング剤で変性された2官能以上の重合性化合物が開示されている。これらの文献には、変性された当該化合物で無機粒子間を連結し、放熱性を高めることができると記載されている。
また、これまで放熱絶縁材料において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献8に記載の技術が知られている。特許文献8には、電気・電子機器等を構成する放熱・絶縁材料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、熱伝導性フィラーとして窒化ホウ素粒子を使用した熱硬化性樹脂組成物が記載されている(特許文献8の表1)。
また、特許文献9には、所定の一般式で表されるビフェニル型エポキシ樹脂を含む封止用樹脂組成物が記載されている。
国際公開第2016/031888号 国際公開第2017/150586号 国際公開第2017/150587号 国際公開第2017/150588号 国際公開第2017/150589号 国際公開第2018/0181838号 特開2019-137801号公報 特開2015-193504号公報 特開2019-151691号公報
しかしながら、特許文献1~9には、カップリング剤で変性されたフェノキシ樹脂、特に高熱伝導性フェノキシ樹脂は記載されていない。
また、特許文献1~7に記載のカップリング剤で変性された2官能以上の重合性化合物を用いて無機粒子を処理しても、放熱性の改善は十分ではなかった。
特許文献8に記載のビスフェノールA型エポキシ樹脂において、熱伝導性の点で改善の余地があった。なお、特許文献9には熱伝導性について記載されていない。
本発明者らは、フェノキシ樹脂をカップリング剤で変性した所定の構造を備える樹脂を新たに見出し、さらに当該変性樹脂は熱伝導性に優れることを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
本発明によれば、
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、フェノキシ樹脂が提供される。
Figure 0007463845000001
(一般式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、またはアリル基を示す。
~Qはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を示す。
mは0または1である。*は結合手を示す。
およびXは、水素原子または下記一般式(2)で表される基であり、XおよびXの少なくとも一方は下記一般式(2)で表される基である。
Figure 0007463845000002
(一般式(2)中、Zは炭素数2~10のアルキレン基を示す。
~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルコキシ基または炭素数1~3のアルキル基を示し、少なくとも1つは炭素数1~3のアルコキシ基である。))
本発明によれば、
前記フェノキシ樹脂と、
エポキシ樹脂と、
熱硬化性樹脂(前記フェノキシ樹脂および前記エポキシ樹脂を除く)と、
を含む熱硬化性樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、
前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止された半導体装置が提供される。
本発明によれば、
下記一般式(a):
Figure 0007463845000003
(一般式(a)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、またはアリル基を示し、複数存在するR~Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表される2官能エポキシ化合物(a)と、一般式(b):
Figure 0007463845000004
(一般式(b)中、Q~Qはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を示し、複数存在するQ~Qは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。mは0または1である。)
で表される2官能フェノール化合物(b)と、を反応させ、下記一般式(c)
Figure 0007463845000005
(一般式(c)中、R~Rは一般式(a)と同義であり、m、Q~Qは一般式(b)と同義である。)
で表される繰り返し単位を含むフェノキシ樹脂(c)を合成する工程と、
フェノキシ樹脂(c)と下記一般式(d)
Figure 0007463845000006
(式中、Zは炭素数2~10のアルキレン基を示し、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルコキシ基または炭素数1~3のアルキル基を示し、少なくとも1つは炭素数1~3のアルコキシ基である。)
で表されるイソシアネート化合物(d)と、を溶融混合して、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むフェノキシ樹脂(A)を得る工程と、
を含む、フェノキシ樹脂の製造方法、が提供される。
本発明によれば、熱伝導性および基材等との密着性に優れた、カップリング剤で変性されたフェノキシ樹脂を提供することができる。さらに、当該変性されたフェノキシ樹脂を含む本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導性に優れる硬化樹脂を提供することができる。
本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る金属ベース基板の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
[フェノキシ樹脂(A)]
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む。当該構造を備えることにより、フェノキシ樹脂(A)は熱伝導性に優れる。
Figure 0007463845000007
一般式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、またはアリル基を示す。
~Rは、本発明の効果の観点から、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、またはアリル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~3のアルキル基であることが特に好ましい。
~Qはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を示す。
~Qは、本発明の効果の観点から、水素原子または炭素数1~6のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
mは0または1である。*は結合手を示す。
およびXは、水素原子または下記一般式(2)で表される基であり、XおよびXの少なくとも一方は下記一般式(2)で表される基である。
Figure 0007463845000008
一般式(2)中、Zは炭素数2~10のアルキレン基を示す。
Zは、本発明の効果の観点から、炭素数2~8のアルキレン基が好ましく、炭素数2~5のアルキレン基がより好ましく、炭素数2~3のアルキレン基が特に好ましい。
~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルコキシ基または炭素数1~3のアルキル基を示し、少なくとも1つは炭素数1~3のアルコキシ基である。
~Rは、本発明の効果の観点から、少なくとも2つは炭素数1~3のアルコキシ基であることが好ましく、いずれも炭素数1~3のアルコキシ基であることがより好ましい。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、XおよびXの少なくとも一方に一般式(2)で表される基を備えることにより、基材やフィラー等との密着性が改善される。そのため、例えば、放熱が要求される基材等に付着させることにより、異種界面における熱抵抗を下げることができ、さらには一般式(1)で表される構造の放熱性を付与することができ熱伝導性をより改善することができる。例えば半導体の封止材、熱伝導性樹脂シート、樹脂基板、金属ベース基板等の放熱が要求される用途に好適に用いることができる。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、具体的に、その構造中に、
およびXがいずれも一般式(2)で表される基である繰り返し単位a、および
およびXが一般式(2)で表される基と水素原子の組み合わせである繰り返し単位b、から選択される少なくとも1種を含むことができる。
また、本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、XおよびXがいずれも水素原子である繰り返し単位cを含んでいてもよい。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、その両末端に下記一般式(3)で表される構造および/または下記一般式(4)で表される構造から選択される2種を備えることが好ましい。なお、前記一般式(3)および前記一般式(4)で表される構造中のビフェニル骨格は、一般式(1)中のビフェニル骨格であってもよい。
Figure 0007463845000009
一般式(3)中、R~Rは一般式(1)と同義である。ZおよびR~Rは一般式(2)と同義である。*は結合手である。
Figure 0007463845000010
一般式(4)中、R~Rは一般式(1)と同義である。*は結合手である。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、本発明の効果の観点から、その両末端の少なくとも一方に前記一般式(3)で表される構造を備えることが好ましく、その両末端のいずれも前記一般式(3)で表される構造を備えることがより好ましい。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、前記一般式(3)で表される構造を備えることにより、基材等との密着性が改善される。そのため、例えば、放熱が要求される基材等に付着させることにより、一般式(1)で表される構造の放熱性を付与することができ熱伝導性をより改善することができ、例えば半導体の封止材、熱伝導性樹脂シート、樹脂基板、金属ベース基板等の放熱が要求される用途に好適に用いることができる。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、例えば下記一般式(1a)で表すことができる。
Figure 0007463845000011
一般式(1a)中、R~R、Q~Q、XおよびXは一般式(1)と同義であり、複数存在するR~R、Q~Q、XおよびXは各々同一でも異なっていてもよい。
nは平均値で1以上50以下の数であり、好ましくは2以上30以下の数である。
複数存在する繰り返し単位は、上述の繰り返し単位a、上述の繰り返し単位b、から選択される少なくとも1種を含むことができ、その一部に、XおよびXがいずれも水素原子である繰り返し単位cを含んでいてもよい。
、Xは、グリシジルエーテル基または下記一般式(5)で表される基を示す。
Figure 0007463845000012
一般式(5)中、ZおよびR~Rは一般式(2)と同義である。*は結合手である。
フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、2,000以上30,000以下、好ましくは2,000以上20,000以下、より好ましくは2,000~10,000である。Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
Mwを上記範囲とすることで、フェノキシ樹脂の熱伝導性および流動性をより向上させることができる。
本実施形態において、GPC(Gel Permeation Chromatography)を用いて、上記フェノキシ樹脂についての分子量分布曲線を得る。
フェノキシ樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分散度(PDI:Mw/Mn)は、GPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めたポリスチレン換算値を用いて、算出する。
GPCの測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK-GEL GMH、G2000H、SuperHM-M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
フェノキシ樹脂(A)における、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分散度(PDI:Mw/Mn)は、GPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めたポリスチレン換算値を用いて、算出する。
フェノキシ樹脂(A)の分散度(Mw/Mn)は、例えば、1.00~5.00であり、好ましくは1.20~4.00であり、より好ましくは1.30~3.50である。分散度を上記範囲とすることで、フェノキシ樹脂(A)の熱伝導性および流動性をより向上させることができる。
フェノキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、本発明の効果の観点から、300g/eq以上6,000g/eq以下、好ましくは350g/eq以上5,000g/eq以下、より好ましくは400g/eq以上4,500g/eq以下である。
フェノキシ樹脂(A)の180℃の溶融粘度は、50mPa・s以下、好ましくは30mPa・s以下である。これにより、成形性に優れ、封止材、樹脂シートや樹脂フィルムの製造安定性に優れる。
[フェノキシ樹脂(A)の製造方法]
本実施形態の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するフェノキシ樹脂(A)の製造方法は、以下の反応式に示される下記の工程(a)および工程(b)を含む。
工程(a):一般式(a)で表される2官能エポキシ化合物(a)と、一般式(b)で表される2官能フェノール化合物(b)とを反応させ、一般式(c)で表される繰り返し単位を含むフェノキシ樹脂(c)を合成する。
工程(b):得られたフェノキシ樹脂(c)と一般式(d)で表されるイソシアネート化合物(d)と、を溶融混合して反応させて一般式(1)で表される繰り返し単位を有するフェノキシ樹脂(A)(変性フェノキシ樹脂(A))を合成する。
Figure 0007463845000013
一般式(a)および(c)中、R~Rは一般式(1)と同義であり、一般式(b)および(c)中、Q~Q、mは一般式(1)と同義である。
上記の反応は、無溶媒下または反応溶媒の存在下に、反応触媒を用いて行うことができる。
[工程(a)]
当該工程は、具体的には、一般式(a)で表される2官能エポキシ化合物(a)と、一般式(b)で表される2官能フェノール化合物(b)と、反応触媒と、必要に応じて反応溶媒とを添加し、攪拌下に溶融混合して、一般式(c)で表される繰り返し単位を有するフェノキシ樹脂(c)を合成することができる。溶融混合する際の加熱温度は90~150℃程度、混合時間は30分間~5時間程度、反応圧力は常圧で行われる。
前記反応溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトフェノン、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンなどを好適に用いることができる。
反応溶媒を用いることで初期の粘度を低減させることができ、モノマーの反応性が向上する。
前記反応触媒としては、従来公知の重合触媒を用いることができ、アルカリ金属水酸化物、第三アミン化合物、第四アンモニウム化合物、第三ホスフィン化合物、及び第四ホスホニウム化合物、イミダゾール化合物が好適に使用される。
溶融混合後、混合溶液を昇温し、所定の反応温度において減圧または常圧下で重合反応を行う。反応温度は140~180℃程度、反応時間は2時間~10時間程度、反応圧力は1~760Torr程度で行われる。
一般式(c)で表される繰り返し単位を有するフェノキシ樹脂(c)は、例えば、末端に下記一般式(4)で表される構造を備えることができる。なお、下記一般式(4)で表される構造中のビフェニル骨格は、一般式(c)の繰り返し単位中のビフェニル骨格であってもよい。
Figure 0007463845000014
一般式(4)中、R~Rは一般式(1)と同義である。*は結合手を示す。
[工程(b)]
当該工程は、具体的には、フェノキシ樹脂(c)を含む反応溶液に、一般式(d)で表されるイソシアネート化合物(d)を添加し、これらを溶融混合して反応させて一般式(1)で表される繰り返し単位を有するフェノキシ樹脂(A)を合成する。
混合時間は1時間~10時間程度である。加熱温度および反応圧力は工程(a)と同様ある。
本工程(b)により、イソシアネート化合物(d)は、フェノキシ樹脂(c)の水酸基と反応して、下記一般式(2)で表される基を一般式(1)のX,Xに含む基を生成することができ、フェノキシ樹脂(c)のグリシジルエーテル基と反応して、下記一般式(5)で表される基を一般式(1)の末端X、Xに生成することができる。
Figure 0007463845000015
一般式(2)中、ZおよびR~Rは一般式(d)と同義である。*は結合手を示す。
Figure 0007463845000016
一般式(5)中、ZおよびR~Rは一般式(2)と同義である。*は結合手である。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、具体的に、その構造中に、
およびXがいずれも一般式(2)で表される基である繰り返し単位a、および
およびXが一般式(2)で表される基と水素原子の組み合わせである繰り返し単位b、
から選択される少なくとも1種を含むことができる。
また、本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、XおよびXがいずれも水素原子である繰り返し単位cを含んでいてもよい。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)において、XおよびXはグリシジルエーテル基または一般式(5)で表される基を示し、少なくとも一部は一般式(5)で表される基である。
反応終了後に溶媒置換などを行なうことで好適な溶媒に溶解したフェノキシ樹脂(A)として得ることもできる。また、溶媒反応で得られたフェノキシ樹脂(A)は、蒸発器等を用いた脱溶媒処理をすることにより、溶媒を含まない固形状の樹脂として得ることもできる。
以上の合成方法により本実施形態の一般式(1)のフェノキシ樹脂(A)を得ることができる。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、イオン性不純物や、低分子量成分等の不純物を含む混合物として得ることができる。フェノキシ樹脂がこれらの成分を含む場合、フェノキシ樹脂組成物と称呼することもできる。
合成後に得られる、不純物を含む粗フェノキシ樹脂(フェノキシ樹脂組成物)を精製することで、フェノキシ樹脂(A)を得ることができるが、以下のように不純物の許容値を設定することで所望のフェノキシ樹脂組成物を得ることができるとともに精製負荷を低減することができ、また、不純物を所定の量で含むことにより所定の効果を得ることもできる。
本明細書中、フェノキシ樹脂は、イオン性不純物や、低分子量成分等の不純物を含み、溶剤は含まないものと定義することができる。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)は、絶縁性の観点から、イオン性不純物を1,500ppm以下、好ましくは1,300ppm以下、より好ましくは1,200ppm以下の量で含むことができる。
前記イオン性不純物としては、F-、Cl、NO 、Br、NO 、PO 3-、SO 2-、(COO) 2-、CHCOO、HCOO等を挙げることができる。
イオン性不純物濃度は、例えば、以下のように測定することができる。まず、フェノキシ樹脂を容器に秤量し、超純水を加えて密栓する。次いで、恒温槽を用いて、温度125℃で20時間熱処理することによって、熱水抽出を行う。次いで、熱水抽出して得られた溶液から、遠心分離、濾過などによってフェノキシ樹脂(A)等を除去して検液を作製する。次いで、検液について、イオンクロマト分析装置を用いて、標準液を用いた検量線法により、検液中のイオン性不純物含有量を測定する。前記検液の作製に用いたフェノキシ樹脂(A)に対する、イオン性不純物含有量をイオン性不純物濃度とした。
前記イオン性不純物としては、加水分解性クロルを含むことができる。
本実施形態のフェノキシ樹脂は、絶縁性の観点から、加水分解性クロルを含むイオン性不純物を上記の量で含むことができる。
加水分解性クロル濃度は、例えば、以下のように測定することができる。
まず、フェノキシ樹脂と、アセトン・メタノール混合溶液と、CHONaのメタノール溶液とを混合し、指示薬としてBTB溶液を加え、次に、この溶液が黄色になるまで硝酸を加え、さらに上記指示薬を加える。この溶液について、自動滴定装置(銀電極使用)を用いた硝酸銀水溶液による電位差滴定を行い、加水分解性クロル量を求める。フェノキシ樹脂(A)に対する、加水分解性クロル量を加水分解性クロル濃度とした。
本実施形態のフェノキシ樹脂に含まれる低分子量成分は、重量平均分子量Mwが1,000以下の成分である。
低分子量成分は、フェノキシ樹脂に含まれるモノマー成分(C)(2官能エポキシ化合物(a)、2官能フェノール化合物(b))を少なくとも1種と、モノマー成分(C)を含まないMwが1k以下の低分子量成分(B)とを含んでもよい。低分子量成分(B)はモノマー成分(C)の1種または2種以上の重合物で構成されてもよい。
フェノキシ樹脂中に含まれる低分子量成分を低減することで、その熱伝導性をより高めることができ、さらに、フェノキシ樹脂の流動性を改善することができる。
フェノキシ樹脂中におけるMwが1k以下の低分子量成分(B+C)に対応するピーク面積は、たとえばGPC測定により得られた分子量に関するデータに基づき、分子量分布全体の全面積100%に占める、重量平均分子量Mwが1,000以下に該当する成分の面積総和の割合から算出される。
このMwが1k以下の低分子量成分(B+C)には、モノマー成分(C)と、モノマー成分(C)を含まないMwが1,000以下の低分子量成分(B)とが含まれる。
全ピーク面積100%とは、フェノキシ樹脂(A)、モノマー成分(C)、モノマー成分(C)を含まないMwが1,000以下の低分子量成分(B)のピーク面積の合計値とする。
上記低分子量成分(B+C)のピーク面積は10%以下、好ましくは7%以下とすることができる。これにより、フェノキシ樹脂の熱伝導性をより向上させることができる。
また、GPC測定で得られるフェノキシ樹脂の分子量分布において、全ピーク面積100%に対する、Mwが1,000以下の低分子量成分(B)のピーク面積は7%以下、好ましくは5%以下とすることができる。これにより、フェノキシ樹脂の熱伝導性をより向上させることができる。
Mwが1,000以下の低分子量成分(B)は、モノマー成分(C)を含まない。このMwが1,000以下の低分子量成分(B)のピーク面積比は、低分子量成分に含まれる低核体成分(低分子量の重合体成分)の含有量割合を表す。
また、GPC測定で得られるフェノキシ樹脂の分子量分布において、全ピーク面積100%に対する、モノマー成分(C)のピーク面積は3%以下、好ましくは2%以下とすることができる。これにより、フェノキシ樹脂の熱伝導性をより向上させることができる。
さらに、フェノキシ樹脂の融点や溶融粘度は、フェノキシ樹脂(A)の分子量および低分子量成分の量により調整することができる。
本実施形態では、たとえばフェノキシ樹脂(A)中に含まれる各成分の種類や配合量、フェノキシ樹脂の調製方法等を適切に選択することにより、フェノキシ樹脂中の低分子量成分(B+C)のピーク面積、低分子量成分(B)のピーク面積、フェノキシ樹脂(A)のMwおよびMw/Mnを制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、反応温度、反応時間、モノマーの除去などのフェノキシ樹脂(A)の合成条件を適切に選択すること等が、上記フェノキシ樹脂中の低分子量成分(B+C)のピーク面積、低分子量成分(B)のピーク面積、フェノキシ樹脂(A)のMwおよびMw/Mnを所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
[熱硬化性樹脂組成物]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述のフェノキシ樹脂(A)またはフェノキシ樹脂組成物と、エポキシ樹脂と、熱硬化性樹脂(前記フェノキシ樹脂および前記エポキシ樹脂を除く)と、を含む。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)を含む熱硬化性樹脂組成物は、熱伝導性に優れる硬化樹脂を提供することができる。さらに、本実施形態のフェノキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物は、流動性に優れることから成形性に優れるとともに、封止樹脂として用いる場合、ワイヤ流れ等が抑制され、半導体装置の歩留まりが改善される。さらに、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、硬化時間が比較的短く生産性が改善されている。言い換えれば、本発明の熱硬化性樹脂組成物はこれらの特性のバランスに優れる。
フェノキシ樹脂(A)の含有量は、各種の用途や他の配合成分を踏まえ、適切に調整できる。例えば、半導体装置の封止材料に用いる熱硬化性樹脂組成物中の上記フェノキシ樹脂(A)の含有量は、後述する無機粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物の不揮発成分(100質量%)に対して、例えば、20~0.1質量%、好ましくは10~0.5質量%、より好ましくは5~1質量%である。
一方、放熱絶縁材料に用いる熱硬化性樹脂組成物中の上記フェノキシ樹脂(A)の含有量は、後述する無機粒子を含まない熱硬化性樹脂組成物の不揮発成分(100質量%)に対して、例えば、1質量%~70質量%、好ましくは2質量%~50質量%、より好ましくは3質量%~45質量%である。
上記熱硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(A)およびエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を含んでもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール誘導体またはこれらの誘導体等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1分子内に反応性官能基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化剤を含んでもよい。
上記硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じて選択され、これと反応するものであれば特に限定されない。
上記硬化剤としては、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等を挙げることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含むことができる。
上記硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、有機リン化合物、3級アミン類、フェノール化合物、有機酸等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、耐熱性を高める観点から、イミダゾール類などの窒素原子含有化合物を用いることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、無機粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ、2次凝集シリカ、微粉シリカなどのシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
より放熱性が要求される用途においては、たとえば、20W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性無機粒子を含むことができる。高熱伝導性無機粒子としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の高熱伝導性無機粒子はフェノキシ樹脂(A)で予め被覆されていてもよい。これにより、高熱伝導性無機粒子と樹脂成分との混合・分散性が向上し高放熱性をより向上させることができる。高熱伝導性無機粒子をフェノキシ樹脂(A)で被覆するには、例えば、エタノール等の有機溶媒に高熱伝導性無機粒子とフェノキシ樹脂(A)とを混合撹拌し、有機溶媒を留去し、次いで加熱乾燥させることで得ることができる。
なお、「被覆」とは、無機粒子の表面全体をフェノキシ樹脂(A)で覆う場合だけでなく、その表面の一部に付着している状態も含む。
上記熱伝導性フィラーである窒化ホウ素は、鱗片状窒化ホウ素の、単分散粒子、凝集粒子またはこれらの混合物を含むことができる。鱗片状窒化ホウ素は顆粒状に造粒されていてもよい。鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子を用いることによって、一層に熱伝導性を高められる。凝集粒子は、焼結粒子であっても、非焼結粒子であってもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。
これにより、熱硬化性樹脂組成物中における熱伝導性フィラーの相溶性を向上させることができる。カップリング剤は、熱硬化性樹脂組成物に添加してもよいし、熱伝導性フィラー表面に処理して使用してもよい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、硬化遅延剤、離型剤、着色剤、低応力剤、酸化防止剤、レベリング剤が挙げられる。
本実施形態のフェノキシ樹脂(A)を含む熱硬化性樹脂組成物は、基材等への密着性や高熱伝導性に優れることから、様々な用途に用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物からなる硬化物で封止された半導体装置や当該硬化物を用いた熱伝導性樹脂シート等を挙げることができる。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物により半導体素子等が封止されたものである。フェノキシ樹脂(A)は半導体素子や基板等の表面に強固に密着し、さらにフィラーや樹脂成分とのなじみに優れ熱伝導性にも優れることから、半導体素子や基板等の熱を好適に放熱することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を封止用樹脂組成物として用いる場合、その製造方法は、フェノキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂と、熱硬化性樹脂(前記フェノキシ樹脂および前記エポキシ樹脂を除く)と硬化剤と、さらに必要に応じて無機粒子、低応力剤などを混合する工程と、混練機で溶融混練する工程と、その後、冷却した後に粉砕する工程と、を有する。
混合方法としては特に限定されないが、樹脂、硬化剤、充填材などの材料混合物を溶融させることなく、ヘンシェルミキサー、プラネタリミキサー等の装置を用いて混合することにより調製することができる。
本実施形態においては、エタノール等の有機溶媒に、フェノキシ樹脂(A)を分散して分散液を調製し、無機粒子等の他の成分を混合して混合物を調製し、次いで得られた混合物と前記分散液を混合して熱硬化性樹脂組成物を調製することもできる。これにより、無機粒子として高熱伝導性無機粒子を用いた場合には、簡便な方法で高熱伝導性無機粒子をフェノキシ樹脂(A)で被覆することができる。
混練機で溶融混練する工程は、前述の樹脂、無機粒子、低応力剤を、ロール、ニーダーまたは押出機等により溶融混練するものである。溶融混練条件は、公知の条件とすることができる。
その後、冷却した後に粉砕することによって、顆粒状またはタブレット状の熱硬化性樹脂組成物(封止用樹脂組成物)を得ることができる。得られた顆粒状またはタブレット状の熱硬化性樹脂組成物により、トランスファー成形、射出成形、および圧縮成形等の公知の成型方法を用いて封止成形することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、一般的な半導体素子やパワー半導体などの半導体素子封止用樹脂組成物、ウェハ封止用樹脂組成物、疑似ウェハ形成用樹脂組成物、車載用電子制御ユニット形成用封止用樹脂組成物、配線基板形成用封止用樹脂組成物、ローター固定部材用封止用樹脂組成物などの各種の用途に用いることができる。
本実施形態にかかる熱硬化性樹脂組成物は、半導体装置において、基板上に搭載された半導体素子を封止する封止部材に用いることができる。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、基板上に搭載された半導体素子と、前記半導体素子を封止する封止部材と、を備える半導体装置であって、封止部材が、上述した封止樹脂組成物の硬化物で構成されるものである。
封止部材を形成する方法は限定されないが、例えば、トランスファー成形法、圧縮成形法、インジェクション成形などが挙げられる。これらの方法により、熱硬化性樹脂組成物を、成形し、硬化させることにより封止部材を形成することができる。
半導体素子としては、限定されず、半導体装置の用途に応じて、公知の半導体素子を選択することができる。半導体素子としては、具体的には、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子などが挙げられる。
基板としては、限定されず、半導体装置の用途に応じて、公知の半導体装置を選択することができる。基板としては、具体的には、インターポーザ等の配線基板、リードフレームなどが挙げられる。
半導体素子と、基材との電気的な接続が必要な場合、適宜接続してもよい。電気的に接続する方法は、限定されるものではないが、具体的には、ワイヤボンディング、フリップチップ接続などが挙げられる。
本実施形態において、有用な電気的な接続方法は、上記具体例のうち、ワイヤボンディングである。すなわち、本実施形態に係る半導体装置は、半導体素子がボンディングワイヤを介して基板と接続されており、封止部材によりボンディングワイヤを封止する場合、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は流動性に優れるため、ワイヤ流れ等が抑制され、半導体装置の歩留まりが改善される。
本実施形態にかかる半導体装置の種類としては、具体的には、MAP(Mold Array Package)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)、LF-BGA(Lead Flame BGA)、FCBGA(Flip Chip BGA)、MAPBGA(Molded Array Process BGA)、eWLB(Embedded Wafer-Level BGA)、Fan-In型eWLB、Fan-Out型eWLBなどが挙げられる。
以下に、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る半導体装置100の一例を示す断面図である。ここで、基材30は、例えば、リードフレームである。
本実施形態の半導体装置100は、半導体素子20と、半導体素子20に接続されるボンディングワイヤ40と、封止部材50と、を備えるものであり、当該封止部材50は、上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される。
より具体的には、半導体素子20は、基材30上にダイアタッチ材10を介して固定されており、半導体装置100は、半導体素子20上に設けられた電極パッド22からボンディングワイヤ40を介して接続されるアウターリード34を有する。ボンディングワイヤ40は用いられる半導体素子20に応じて設定することができるが、たとえばCuワイヤを用いることができる。
なお、半導体素子20は、基材30が備えるダイパッド32の上にダイアタッチ材10を介して固定されてもよい。
図2は、図1に示す半導体装置100の変形例を示す断面図である。
ここで、基材30は、例えば、インターポーザである。基材30において、半導体素子20が固定される面と反対の面には、例えば、複数の半田ボール52が形成される。
(熱伝導性樹脂シート)
本実施形態の熱伝導性樹脂シートは、キャリア基材と、キャリア基材上に設けられた、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備えるものである。本実施形態のフェノキシ樹脂(A)はキャリア基材の表面に強固に密着し、さらに樹脂成分やフィラーとのなじみに優れるとともに熱伝導性にも優れることから、キャリア基材等の熱を好適に放熱することができる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を熱伝導性樹脂シートの樹脂層として用いる場合、熱硬化性樹脂組成物の製造方法として、例えば、次のような方法がある。
前述のフェノキシ樹脂(A)と、エポキシ樹脂と、熱硬化性樹脂(前記フェノキシ樹脂および前記エポキシ樹脂を除く)と、無機粒子と、さらに必要に応じて低応力剤等を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調製することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
上記溶剤としては特に限定されないが、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等が挙げられる。
上記樹脂シートは、たとえばワニス状の熱硬化性樹脂組成物をキャリア基材上に塗布して得られた塗布膜(樹脂層)に対して、溶剤除去処理を行うことにより得ることができる。上記樹脂シート中の溶剤含有率が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して10重量%以下とすることができる。たとえば80℃~200℃、1分間~30分間の条件で溶剤除去処理を行うことができる。
また、本実施形態において、上記キャリア基材としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。
(樹脂基板)
本実施形態の樹脂基板は、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備えるものである。この樹脂基板は、例えば、LED、パワーモジュールなどの電子部品を搭載するためのプリント基板の材料として用いることができる。
(金属ベース基板)
本実施形態の一例として、金属ベース基板60について図3に基づいて説明する。
図3は、金属ベース基板60の構成の一例を示す断面図である。
上記金属ベース基板60は、図3に示すように、金属基板70と、金属基板70上に設けられた絶縁層80と、絶縁層80上に設けられた金属層90と、を備えることができる。この絶縁層80は、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層、熱硬化性樹脂組成物の硬化物および積層板からなる群から選択される一種で構成することが可能である。これらの樹脂層、積層板のそれぞれは、金属層90の回路加工の前では、Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物で構成されていてもよく、回路加工の後では、それを硬化処理されてなる硬化体であってもよい。
金属層90は絶縁層80上に設けられ、回路加工されるものである。この金属層90を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫等から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中でも、金属層90は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、金属層90の回路加工性を良好なものとすることができる。金属層90は、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
金属層90の厚みの下限は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.035mm以上であれば、高電流を要する用途に適用できる。
また、金属層90の厚みの上限は、例えば、10.0mm以下であり、好ましくは5mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
金属基板70は、金属ベース基板60に蓄積された熱を放熱する役割を有する。金属基板70は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、金属基板70の放熱性を良好なものとすることができる。
金属基板70の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
金属基板70の厚さの上限は、例えば、20.0mm以下であり、好ましくは5.0mm以下である。この数値以下の金属基板70を用いることで、金属ベース基板60の外形加工や切り出し加工等における加工性を向上させることができる。
また、金属基板70の厚さの下限は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.6mm以上である。この数値以上の金属基板70を用いることで、金属ベース基板60全体としての放熱性を向上させることができる。
本実施形態において、金属ベース基板60は、各種の基板用途に用いることが可能であるが、熱伝導性及び耐熱性に優れることから、LEDやパワーモジュールを用いるプリント基板として用いることが可能である。
金属ベース基板60は、パターンにエッチング等することによって回路加工された金属層90を有することができる。この金属ベース基板60において、最外層に不図示のソルダーレジストを形成し、露光・現像により電子部品が実装できるよう接続用電極部が露出されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例(合成例)で用いた原料は以下の通り。
(エポキシ化合物)
・YX4000:下記化学式で表されるテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(2官能エポキシ化合物、メソゲン構造あり、三菱ケミカル社製、YX4000)
Figure 0007463845000017
・下記化学式で表される4,4'-ビフェニルジグリシジルエーテル(メソゲン構造あり、住友ベークライト社合成品)
Figure 0007463845000018
(フェノール化合物)
・HQHBA:下記化学式で表されるエステル基含有ビスフェノール(HQHBA、2官能フェノール化合物、メソゲン構造あり、上野製薬社製)
Figure 0007463845000019
・下記化学式で表されるハイドロキノン(東京化成社製)
Figure 0007463845000020
(実施例1 合成例)
<フェノキシ樹脂(c-1)の合成>
エポキシ化合物(YX4000)69.2重量部、フェノール化合物(HQHBA)24.9重量部、およびトリフェニルホスフィン(TPP)0.1重量部を反応器に投下し、150℃で1時間溶融混合して反応させた。GPCで目的の分子量となることを確認し、下記化学式で表されるフェノキシ樹脂(c-1)(繰り返し単位数nの平均値は4.4)を得られたことを確認した。
Figure 0007463845000021
GPCの測定条件は、以下の通りである。
・東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8320GPC
・カラム:東ソー(株)社製TSK-GEL GMH、G2000H、SuperHM-M
・検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
・測定温度:40℃
・溶媒:THF
・試料濃度:2.0mg/ミリリットル
<変性フェノキシ樹脂(A-1)の合成>
フェノキシ樹脂(c-1)を含む溶融混合物に、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランを5.8重量部加え、さらに7時間反応を継続した。反応後、得られた溶融樹脂を室温まで冷却した。冷却後、粉砕して褐色固体の下記化学式で表される変性フェノキシ樹脂(A)(化学式中の繰り返し単位数nの平均値は8.3)を100重量部得た。
得られた変性フェノキシ樹脂(A-1)分子量はポリスチレン屈折率換算で4500mol/g、エポキシ当量は534g/eqであった。
Figure 0007463845000022
上記化学式において、XおよびXは水素原子または以下の基を示し、少なくとも一部は以下の基である。
Figure 0007463845000023
上記化学式において、XおよびXはグリシジルエーテル基または以下の基を示し、少なくとも一部は以下の基である。
Figure 0007463845000024
H-NMRの測定結果を以下に示す。H-NMRよりSi成分混入量はエポキシ化合物(YX4000)のエポキシ基のモル量に対して約6mol%であり、仕込み重量と一致することが確認された。
δ[ppm](400MHz,DMSO-d6):
8.1(1H,d,8.8Hz,Ar-H),7.2(7H,m,Ar-H),5.4(1H,m,CH-CH(OH)-CH),4.2-3.5(7H,m,O-CH-CH,O-CH2-CH,Si-OCH,OCHCHCH),2.8(1H,m,OCHCH),2.7(1H,m,OCHCH),2.3(12H,s,CH),1.7(0.1H,m,SiCHCHCH),1.4(0.1,m,SiCHCH),1.1(0.6H,m,SiOCHCH),0.5(0.1H,m,SiCH
FT-IR測定の結果、3500cm-1付近にOH基、NH基由来のブロードピークが確認された。さらに、原料(3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン)のイソシアネート基由来のピーク(2200cm-1付近)は検出されなかった。1720cm-1付近にエステル基、オキサゾリドン環、ウレタン結合由来のピークが確認された。1100~1210cm-1付近にエステル基由来のピークが確認された。1105,950cm-1付近にアルコキシシラン由来のピークが確認された。
(実施例2 合成例)
<フェノキシ樹脂(c-2)の合成>
エポキシ化合物(4,4'-ビフェニルジグリシジルエーテル)81.1重量部、フェノール化合物(ハイドロキノン)14.5重量部、トリフェニルホスフィン(東京化成社製)0.1重量部を反応器に投下し、150℃で1時間溶融混合して反応させた。GPCで目的の分子量となることを確認し、下記化学式で表されるフェノキシ樹脂(c-2)(繰り返し単位数nの平均値は3.8)を得られたことを確認した。
Figure 0007463845000025
<変性フェノキシ樹脂(A-2)の合成>
フェノキシ樹脂(c-2)を含む溶融混合物に、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシランを4.3重量部加え、さらに7時間反応を継続した。反応後、得られた溶融樹脂を室温まで冷却した。冷却後、粉砕して白色固体の下記化学式で表される変性フェノキシ樹脂(A-2)(化学式中の繰り返し単位数nの平均値は13.2)を100重量部得た。
得られた変性フェノキシ樹脂(A-2)の分子量はポリスチレン屈折率換算で5600mol/g、エポキシ当量は562g/eqであった。
Figure 0007463845000026
上記化学式において、XおよびXは水素原子または以下の基を示し、少なくとも一部は以下の基である。
Figure 0007463845000027
上記化学式において、XおよびXはグリシジルエーテル基または以下の基を示し、少なくとも一部は以下の基である。
Figure 0007463845000028
H-NMRの測定結果を以下に示す。H-NMRよりSi成分混入量はエポキシ化合物(4,4'-ビフェニルジグリシジルエーテル)のエポキシ基のモル量に対して約6mol%であり、仕込み重量と一致することが確認された。
δ[ppm](400MHz,DMSO-d6):
7.5(8H,m,Ar-H),7.0(8H,m,Ar-H),6.9(4H,m,Ar-H),5.4(3H,m,CH-CH(OH)-CH),5.4-3.7(27H,m,CH-CH-O-CH,CH-CH-O,Si-OCH),2.8-2.6(4H,m,CHOCHCH),1.7(0.1H,m,CHCHCHSi),1.4(0.1H,m,CHCHSi),1.1(0.6H,m,SiOCHCH),0.5(0.1H,m,SiCH
FT-IR測定の結果、3500cm-1付近にOH基、NH基由来のブロードピークが確認された。さらに、原料(3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン)のイソシアネート基由来のピーク(2200cm-1付近)は検出されなかった。1701cm-1にオキサゾリドン環、ウレタン結合由来のピークが確認された。1105,950cm-1付近にアルコキシシラン由来のピークが確認された。
上記の合成例(実施例および参考例)で得られたフェノキシ樹脂を用いて、フィラーを処理し、得られた処理フィラーを用いて熱硬化性樹脂組成物を調製した。以下、実施例で用いた原料は以下の通り。
・エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂(YX-4000K、三菱化学社製)
・フェノール硬化剤1:以下構造のノボラック型フェノール樹脂、重量平均分子量500(ポリスチレン換算))
Figure 0007463845000029
・フェノール硬化剤2:4,4'-ビフェノール
・フィラー1(未処理):アルミナフィラー(DAB-30FC、デンカ株式会社製、平均粒径13μm)
・アミン系カップリング剤:CF-4083(N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製)
・硬化触媒:PP―360(ケイ・アイ化成社製)
・硬化遅延剤:2,3-ジヒドロキシナフタレン(エア・ウォーター株式会社製)
・離型剤:合成ワックス(WE-4、クラリアントケミカルズ株式会社製)
・着色剤:カーボンブラック(カーボン#5、三菱ケミカル社製)
・低応力剤:シリコーン(FZ-3730、東レ・ダウコーニング社製)
・シリカ微粉:DAW-02、デンカ社製、平均粒径2.7μm)
(実施例3 処理フィラーAおよび熱硬化性樹脂組成物の調製)
<処理フィラーAの調製>
フィラー1(アルミナフィラー)を68.9重量部、エタノールを31重量部、実施例1で得られた変性フェノキシ樹脂(A-1)を0.05重量部はかり取り、12時間攪拌し分散させた。撹拌後、溶媒を留去し、120℃/3時間で加熱乾燥を行い、処理フィラーAを得た。
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
表1に記載された各種原料を所定重量はかりとり、温度 80℃で20分間溶融混練した後、室温に戻し、得られた固形物を粉砕して複合材パウダー(熱硬化性樹脂組成物)を作製した。得られた複合材パウダーを用いて以下の方法で物性を測定した。結果を表1に示す。
・スパイラルフロー(流動性)の測定
実施例および比較例の複合材パウダーを用いてスパイラルフロー試験を行った。
試験は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS-15」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で複合材パウダーを注入し、流動長を測定することにより行った。数値が大きいほど、流動性が良好であることを示す。
・ゲルタイムの測定
175℃に設定されたホットプレート上に、粉体状の複合材パウダーを置いた。複合材パウダーが溶融した後、ヘラで練りながら、硬化するまでの時間(ヘラで練ることができなくなるまでの時間)を測定した。この硬化時間がある程度短いことは、成形性に優れることを意味する。結果を表1に示す。
・熱伝導率の測定
実施例および比較例の複合材パウダーを180℃/2MPa/15分間で圧縮成形した後、オーブンにて180℃/3時間加熱処理を行い、硬化物を作製した。得られた硬化物を直径10mm×厚さ1mmに加工し、熱拡散率測定サンプルとして用いた。
ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD-1RTVを用いて、非定常法により板状の熱拡散率測定サンプルの厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。
熱拡散率測定サンプルについて、得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、比重(SP)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。結果を表1に示す。
熱伝導率[W/m・K]=α[m/s]×Cp[J/kg・K]×Sp[g/cm
(実施例4 処理フィラーBおよび熱硬化性樹脂組成物の調製)
変性フェノキシ樹脂(A-1)の量を0.1重量部とした以外は実施例3と同様にして処理フィラーBおよび熱硬化性樹脂組成物の調製し、物性を測定した。
(実施例5処理フィラーCおよび熱硬化性樹脂組成物の調製)
変性フェノキシ樹脂(A-1)の量を0.2重量部とした以外は実施例3と同様にして処理フィラーCおよび熱硬化性樹脂組成物の調製し、物性を測定した。
(実施例6 処理フィラーDおよび熱硬化性樹脂組成物の調製)
変性フェノキシ樹脂(A-1)の量を0.25重量部とした以外は実施例3と同様にして処理フィラーDおよび熱硬化性樹脂組成物の調製し、物性を測定した。
(実施例7 処理フィラーEおよび熱硬化性樹脂組成物の調製)
変性フェノキシ樹脂(A-1)0.05重量部に変えて、実施例2で得られた変性フェノキシ樹脂(A-2)0.1重量部用いた以外は実施例3と同様にして処理フィラーEおよび熱硬化性樹脂組成物の調製し、物性を測定した。
(実施例8 処理フィラーFおよび熱硬化性樹脂組成物の調製)
変性フェノキシ樹脂(A-1)0.05重量部に変えて、変性フェノキシ樹脂(A-2)0.2重量部用いた以外は実施例3と同様にして処理フィラーFおよび熱硬化性樹脂組成物の調製し、物性を測定した。
Figure 0007463845000030
実施例のフェノキシ樹脂は、比較例のものと比較して熱伝導性に優れる結果が示された。このような新規なフェノキシ樹脂は、樹脂材料に用いることができ、さらに、半導体装置の封止材、放熱絶縁基板やシートなどの放熱絶縁材料に好適に用いることができる。
また、実施例の熱硬化性樹脂組成物は、流動性に優れるとともに硬化時間が比較的短く生産性が改善されていた。言い換えれば、実施例の熱硬化性樹脂組成物はこれらの特性のバランスに優れていた。
100 半導体装置
10 ダイアタッチ材
20 半導体素子
22 電極パッド
30 基材
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ボンディングワイヤ
50 封止部材
52 半田ボール
60 金属ベース基板
70 金属基板
80 絶縁層
90 金属層

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む、フェノキシ樹脂。
    Figure 0007463845000031
    (一般式(1)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、またはアリル基を示す。
    ~Qはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を示す。
    mは0または1である。*は結合手を示す。
    およびXは、水素原子または下記一般式(2)で表される基であり、XおよびXの少なくとも一方は下記一般式(2)で表される基である。
    Figure 0007463845000032
    (一般式(2)中、Zは炭素数2~10のアルキレン基を示す。
    ~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルコキシ基または炭素数1~3のアルキル基を示し、少なくとも1つは炭素数1~3のアルコキシ基である。))
  2. 末端に下記一般式(3)で表される構造を備える、請求項1に記載のフェノキシ樹脂。
    Figure 0007463845000033
    (一般式(3)中、R~Rは一般式(1)と同義であり、ZおよびR~Rは一般式(2)と同義である。*は結合手である。)
  3. 重量平均分子量が2,000以上30,000以下である、請求項1に記載のフェノキシ樹脂。
  4. エポキシ当量が300g/eq以上6,000g/eq以下である、請求項1~3のいずれかに記載のフェノキシ樹脂。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のフェノキシ樹脂と、
    エポキシ樹脂と、
    熱硬化性樹脂(前記フェノキシ樹脂および前記エポキシ樹脂を除く)と、
    を含む熱硬化性樹脂組成物。
  6. さらに無機粒子を含む、請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 顆粒またはタブレット形状である、請求項5または6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項5~7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により半導体素子が封止された半導体装置。
  9. 下記一般式(a):
    Figure 0007463845000034
    (一般式(a)中、R~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、またはアリル基を示し、複数存在するR~Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
    で表される2官能エポキシ化合物(a)と、下記一般式(b):
    Figure 0007463845000035
    (一般式(b)中、Q~Qはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を示し、複数存在するQ~Qは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。mは0または1である。)
    で表される2官能フェノール化合物(b)と、を反応させ、下記一般式(c)
    Figure 0007463845000036
    (一般式(c)中、R~Rは一般式(a)と同義であり、m、Q~Qは一般式(b)と同義である。)
    で表される繰り返し単位を含むフェノキシ樹脂(c)を合成する工程と、
    フェノキシ樹脂(c)と下記一般式(d)
    Figure 0007463845000037
    (式中、Zは炭素数2~10のアルキレン基を示し、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルコキシ基または炭素数1~3のアルキル基を示し、少なくとも1つは炭素数1~3のアルコキシ基である。)
    で表されるイソシアネート化合物(d)と、を溶融混合して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むフェノキシ樹脂(A)を得る工程と、
    を含む、フェノキシ樹脂の製造方法。
    Figure 0007463845000038
    (一般式(1)中、R~Rは一般式(a)と同義であり、m、Q~Qは一般式(b)と同義であり、*は結合手を示す。
    およびXは、水素原子または下記一般式(2)で表される基であり、XおよびXの少なくとも一方は下記一般式(2)で表される基である。
    Figure 0007463845000039
    (一般式(2)中、ZおよびR~Rは一般式(d)と同義である。*は結合手を示す。)
  10. フェノキシ樹脂(A)は末端に下記一般式(3)で表される構造を備える、請求項9に記載のフェノキシ樹脂の製造方法。
    Figure 0007463845000040
    (一般式(3)中、R~Rは一般式(a)と同義であり、ZおよびR~Rは一般式(d)と同義である。*は結合手である。)
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