JP2023009474A - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】空冷型の電動モータおよびコントローラを採用しつつ、走行性能の低下を抑制できる電動車両を提供する。【解決手段】カバー部材20に、電動車両10の前後方向に延び、かつ電動車両10の走行時に走行風(Air)が流通するエア流路100を設け、エア流路100の内部に、コントローラ70およびブラシレスモータ50を設けたので、コントローラ70およびブラシレスモータ50が泥等で汚れることを効果的に抑制することができる。これにより、コントローラ70およびブラシレスモータ50の冷却効率の低下が抑えられ、ひいては空冷型のブラシレスモータ50およびコントローラ70において、長時間に亘って安定した走行性能を得ることが可能となる。【選択図】図1
Description
本発明は、前輪および後輪と、前輪および後輪を支持するフレームと、フレームを覆うカバー部材と、後輪を駆動する電動モータと、電動モータを制御するコントローラと、を備えた電動車両に関する。
従来、前輪および後輪を有する電動車両には、例えば、特許文献1に記載された鞍乗型電動車両(自動二輪車)がある。特許文献1に記載された自動二輪車は、前輪および後輪を支持する車体フレーム(フレーム)と、車体フレームに設けられる電動モータと、車体フレームに設けられるモータ制御ユニット(コントローラ)と、車体フレームに設けられ、かつ電動モータに駆動電流を供給するバッテリと、を備えている。
上述の特許文献1に記載された電動車両では、電動モータおよびコントローラは、何れも走行風が当たることにより冷却される「空冷型」となっている。したがって、「水冷型」のように冷却水が流れる配管やラジエータ等の複雑な構造が不要となり、簡素な駆動システムで構築できる。その一方で、走行性能の低下を抑えるべく、電動モータやコントローラを効率良く冷却する必要がある。
上述の特許文献1に記載された電動モータおよびコントローラは、何れも外部に剥き出しの構造となっており、かつ泥道等を走行し得るオフロード型の電動車両に搭載されている。したがって、電動モータやコントローラに多くの泥が付着する虞があり、泥が付着したまま走行を継続することで、電動モータやコントローラの冷却効率が大幅に低下し、ひいては走行性能が低下し易いという問題があった。
本発明の目的は、空冷型の電動モータおよびコントローラを採用しつつ、走行性能の低下を抑制できる電動車両を提供することにある。
本発明の電動車両では、前輪および後輪と、前記前輪および前記後輪を支持するフレームと、前記フレームを覆うカバー部材と、前記後輪を駆動する電動モータと、前記電動モータを制御するコントローラと、を備えた電動車両であって、前記カバー部材に、前記電動車両の前後方向に延び、かつ前記電動車両の走行時に走行風が流通するエア流路が設けられ、前記エア流路の内部に、前記コントローラおよび前記電動モータが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、カバー部材に、電動車両の前後方向に延び、かつ電動車両の走行時に走行風が流通するエア流路を設け、エア流路の内部に、コントローラおよび電動モータを設けたので、コントローラおよび電動モータが泥等で汚れることを効果的に抑制することができる。これにより、コントローラおよび電動モータの冷却効率の低下が抑えられ、ひいては空冷型の電動モータおよびコントローラにおいて、長時間に亘って安定した走行性能を得ることが可能となる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は電動車両を側方から見た図を、図2(a)は図1のA矢視図、(b)は図1のB矢視図を、図3はブラシレスモータの斜視図を、図4は蓋部材の図示を省略したブラシレスモータの図を、図5は図4のC-C線に沿う断面図を、図6はコントローラを閉塞板側から見た斜視図を、図7はコントローラを冷却フィン側から見た斜視図を、図8はエア流路の形状を説明する図1に対応した図を、図9はエア流路の形状を説明ずる図1のC矢視図をそれぞれ示している。
図1および図2に示される電動車両10は、小型モビリティの一種である一人乗りの電動スクーターである。電動車両10は、1つの前輪11と1つの後輪12とを備えている。前輪11は、運転者のハンドル部13の操作により操舵され、電動車両10の前方に配置されている。これに対し、後輪12は、電動車両10の後方に配置され、ブラシレスモータ(電動モータ)50により駆動される。
電動車両10は、当該電動車両10の骨格をなし、かつ前輪11および後輪12を支持する車体フレーム(フレーム)14を備えている。車体フレーム14は、鋼材製の複数の中空パイプや鋼板等を溶接等により接続して所定形状に形成され、フロント部14aとリア部14bとを備えている。また、フロント部14aとリア部14bとの間には、フロア部14cが設けられている。さらに、フロント部14aとフロア部14cとの間には前方傾斜部14dが設けられ、リア部14bとフロア部14cとの間には、後方傾斜部14eが設けられている。そして、後方傾斜部14eには、ブラシレスモータ50を支持するブラケット14fが一体に設けられている。ここで、フロア部14cは、フロント部14aおよびリア部14bよりも地面Gの近傍に配置されている。
車体フレーム14のフロント部14aには、ハンドル部13の操作に連動するフロントフォーク15が回動自在に設けられている。フロントフォーク15には、前輪11の左右側に配置されるフロントサスペンション15a(図2(a)参照)が設けられている。そして、フロントフォーク15の長手方向先端側(フロントサスペンション側)には、前輪11が回動自在に装着されている。なお、フロントフォーク15には、フロント側泥除け16が取り付けられており、当該フロント側泥除け16は、前輪11の上方側を部分的に覆っている。これにより、前輪11の上方側への泥はね等が抑えられている。
また、フロントフォーク15の長手方向基端側には、ハンドル部13が設けられており、当該ハンドル部13には、左右側で一対のグリップ13a(図2参照)が設けられている。また、ハンドル部13の一対のグリップ13aの近傍には、一対のブレーキレバー13bと一対のバックミラー13cとがそれぞれ設けられている。ここで、右側のグリップ13a(図2(b)の右側)には、アクセルセンサASが電気的に接続されており、右側のグリップ13aの操作に伴い、アクセルセンサASからコントローラ70(図1参照)に操作信号が送出される。これにより、電動車両10は前進される。
さらに、ハンドル部13には、表示部13dが設けられている。表示部13dは、電動車両10の種々の情報を表示するものであって、表示部13dの表示内容には、例えば、速度(km/h)やバッテリ残量(%)、さらにはコントローラ温度(℃)や走行距離(ODOおよびTRIP)等が含まれる。これにより、運転者は、電動車両10の状況を詳細に把握可能となっている。
車体フレーム14のリア部14bには、後輪12の左右側にそれぞれ配置される一対のリアサスペンション17(図2(b)参照)の長手方向一側が回動自在に取り付けられている。一対のリアサスペンション17の長手方向他側は、後輪12を回転自在に支持する車軸12aにそれぞれ回動自在に取り付けられている。なお、一対のリアサスペンション17の長手方向他側は、車軸12aへの取り付けに限らず、図示しないスイングアーム(リアアーム)に取り付けることもできる。
さらに、車軸12aには、リア側泥除け18が取り付けられており、当該リア側泥除け18は、後輪12の上方側を部分的に覆っている。これにより、後輪12の上方側への泥はね等が抑えられている。
車軸12aの長手方向一側(図1の手前側および図2(b)の左側)には、ドリブンスプロケット12bが固定されている。ドリブンスプロケット12bには、駆動チェーン19(図1参照)が噛み合わされている。また、駆動チェーン19には、ブラシレスモータ50の回転軸57b(図3および図5参照)に固定されたドライブスプロケット57e(図1参照)も噛み合わされている。さらに、ドライブスプロケット57eの方がドリブンスプロケット12bよりも小径となっており、これにより、回転軸57bの高速回転が高トルク化されて、ドリブンスプロケット12bから後輪12に伝達される。
なお、駆動チェーン19に替えて、芯金を内蔵したゴム製の無端ベルトを用いることもできる。この場合、騒音の発生を抑えることができ、かつブラシレスモータ50へ与える振動等の負荷を軽減することが可能となる。
電動車両10は、当該電動車両10の外観(デザイン)を形成するカバー部材20を備えている。カバー部材20は、硬質プラスチック等の樹脂材料により略箱形状に形成され、車体フレーム14の周囲を覆っている。これにより、ワイヤーハーネス等(図示せず)の外部への露出を無くして、電動車両10全体の見栄えを良くしている。そして、カバー部材20は、フロントカバー部21,フロアカバー部22およびリアカバー部23を備えている。
フロントカバー部21は、電動車両10の車高方向(図1の上下方向)に延びており、車体フレーム14のフロント部14aの部分および前方傾斜部14dの部分を覆っている。また、フロントカバー部21の内部には、フロントフォーク15のハンドル部13側の部分が収容されており、当該フロントフォーク15のハンドル部13側の部分は、フロントカバー部21の内部で回動自在となっている。さらに、フロントカバー部21の車両前方側には、ヘッドランプユニット21aが設けられている。
フロアカバー部22は、地面Gに対して水平方向(電動車両10の前後方向)に延びており、車体フレーム14のフロア部14cの部分を覆っている。そして、フロアカバー部22の内部には、ブラシレスモータ50の回転状態を制御するコントローラ70が収容されている。なお、フロアカバー部22の上には、運転者の足(図示せず)が載せられる。
リアカバー部23は、電動車両10の車高方向に延び、かつ地面Gに対して水平方向に延びている。これにより、リアカバー部23の容積は、他の部分に比して大きくなっている。リアカバー部23の開口部分(図1の上方)は、運転者が着座するシート24により開閉自在となっている。ここで、シート24を開くことで、リアカバー部23の内部に収容されたバッテリ90を出し入れすることができる。ここで、バッテリ90は、ブラシレスモータ50に駆動電流を供給するものであって、急速充電が可能な二次電池(リチウムイオンバッテリ等)からなり、略直方体形状となっている。
また、リアカバー部23は、車体フレーム14のリア部14bの部分およびブラケット14fを有する後方傾斜部14eの部分を覆っている。そして、リアカバー部23の内部には、ブラケット14fに固定されたブラシレスモータ50が収容されており、当該ブラシレスモータ50は、バッテリ90の近傍に配置されている。これにより、電動車両10の重心が当該電動車両10の略中央部分に配置されて、電動車両10の重量バランスの適正化が図られている。さらに、リアカバー部23の車両後方側には、ブレーキランプユニット23aが設けられている。
ここで、図1に示されるように、ブラシレスモータ50の地面G側の一部は、リアカバー部23の外部に露出されている。これにより、後述するエア流路100を流通する走行風(Air)によるブラシレスモータ50の冷却効果に加えて、付加的に冷却性能が向上される。なお、ブラシレスモータ50の露出部分は、電動車両10の後方側となっている。これにより、ブラシレスモータ50への泥等の付着が抑えられている。
図3ないし図5に示されるように、ブラシレスモータ50は、当該ブラシレスモータ50の外郭を形成するハウジング51を備えている。ハウジング51は、略有底筒状に形成されたアルミニウム製のハウジング本体52と、略円板状に形成されたアルミニウム製の蓋53とを備えている。ここで、蓋53は、シール部材として機能するガスケット54を介して、ハウジング本体52の開口側を閉塞している。
図5に示されるように、ハウジング51の内部には、モータユニット55が収容されている。モータユニット55は、ハウジング本体52の内側に固定されたステータ56と、当該ステータ56の径方向内側において微小隙間(エアギャップ)を介して回転されるロータ57と、を備えている。
ステータ56は、複数の鋼板(磁性体)を積層することで略筒状に形成されたステータコア56aを有している。ステータコア56aの径方向内側には、複数のティース(図示せず)が設けられ、これらのティースにはプラスチック等の非磁性体からなるインシュレータ56bを介して、U相,V相およびW相に対応したコイル56cがそれぞれ巻装されている。
また、ステータ56の軸方向一側(図5の上側)には、環状のバスバーユニット58が設けられている。バスバーユニット58には、U相用電源ターミナルTU,V相用電源ターミナルTVおよびW相用電源ターミナルTWの基端側が、それぞれ電気的に接続されている。なお、バスバーユニット58は、U相,V相およびW相に対応したそれぞれのコイル56cに対して、駆動電流を分配する機能を有する。
ロータ57は、複数の鋼板(磁性体)を積層することで略筒状に形成されたロータ本体57aを備えている。ロータ本体57aの回転中心には、丸鋼棒からなる回転軸57bが固定されている。すなわち、回転軸57bは、ロータ本体57aとともに回転される。また、ロータ本体57aの内部には、略板状に形成された複数のマグネット57cが設けられている。なお、複数のマグネット57cは、ロータ本体57aの周方向に対して、N極およびS極が交互に現れるように配置されている。
ただし、上述のようにロータ本体57aの内部に複数のマグネット57cを埋め込んだ所謂「IPM(Interior Permanent Magnet)構造」に限らず、ロータ本体57aの表面にマグネット(図示せず)を装着した所謂「SPM(Surface Permanent Magnet)構造」を採用することもできる。
ロータ57を形成する回転軸57bの軸方向一側には、略円板形状に形成されたセンサマグネット57dが固定されている。センサマグネット57dは、ロータ57(回転軸57b)の回転状態を検出するために用いられる。そして、センサマグネット57dは、ロータ57の軸方向において、センサ基板59に設けられた回転センサ59aと対向している。
また、回転軸57bの軸方向一側は、ベアリングホルダ60に装着された第1ボールベアリングBB1により回転自在に支持されている。これに対し、回転軸57bの軸方向他側(図5の下側)は、ハウジング本体52に装着された第2ボールベアリングBB2により回転自在に支持されている。なお、ハウジング本体52から突出された回転軸57bの軸方向他側の部分には、駆動チェーン19が噛み合わされるドライブスプロケット57eが固定される(図1参照)。
ハウジング本体52は、略円板状に形成された底壁部52aを備えている。底壁部52aの中心部分には、略筒状に形成された軸受装着部52bおよびシール装着部52cが一体に設けられている。軸受装着部52bおよびシール装着部52cはそれぞれ同軸上に配置されている。軸受装着部52bはハウジング本体52の内側に設けられ、軸受装着部52bの径方向内側には第2ボールベアリングBB2の外輪が装着されている。これに対し、シール装着部52cはハウジング本体52の外側に設けられ、シール装着部52cの径方向内側にはゴム製のリップシールLSが装着されている。
なお、第2ボールベアリングBB2の内輪は、回転軸57bの軸方向他側に装着され、リップシールLSは、第2ボールベアリングBB2よりもハウジング本体52の外側寄りの部分において、回転軸57bの外周に接触されている。これにより、ハウジング51の内部への雨水や埃等の進入が阻止される。
また、ハウジング本体52の外部で、かつ底壁部52aの径方向外側には、合計4つの固定脚52d(図3および図4参照)が設けられている。これらの固定脚52dは、底壁部52aの周囲に等間隔(90度間隔)となるように一体に設けられ、車体フレーム14を形成する後方傾斜部14eのブラケット14f(図1参照)に、ボルト(図示せず)を介して固定される。
さらに、ハウジング本体52は、略筒状に形成された筒状壁部52eを備えている。筒状壁部52eの軸方向他側は、底壁部52aの径方向外側に一体に設けられている。そして、筒状壁部52eの径方向内側には、ステータコア56aが圧入されて接着剤等により強固に固定されている。また、筒状壁部52eの径方向外側には、ブラシレスモータ50の駆動により発生したモータユニット55の熱を、ハウジング本体52の外部に放熱する複数の冷却フィン52fが一体に設けられている。
ここで、複数の冷却フィン52fは、ハウジング本体52の表面積を増やすためのものであって、その数が多いほどブラシレスモータ50の冷却効率を向上させることが可能となる。ここで、本実施の形態では、合計5つの冷却フィン52fが設けられており、かつハウジング本体52の周囲に環状に設けられている。そして、これらの冷却フィン52fは、ブラシレスモータ50をブラケット14f(図1参照)に固定した状態で、電動車両10の車幅方向(図2参照)に等間隔で並べられる。
すなわち、エア流路100(図1参照)を流通する走行風(Air)は、筒状壁部52eの径方向外側の部分において、隣り合う冷却フィン52fの間にも効率良く流通可能となっている。したがって、エア流路100を流通する走行風(Air)は、筒状壁部52eの径方向外側の部分に満遍なく接触して、効率良く熱を奪いながら流通可能となっている。
さらに、ハウジング本体52は、多角形壁部52gを備えている。多角形壁部52gは、筒状壁部52eの軸方向一側(図5の上側)に、当該筒状壁部52eと同軸となるように一体に設けられている。多角形壁部52gは、図4に示されるように、ハウジング本体52を軸方向一側から見ると、略正六角形形状に形成されている。
多角形壁部52gは、第1辺部E1,第2辺部E2,第3辺部E3,第4辺部E4,第5辺部E5および第6辺部E6を備えている。また、多角形壁部52gには開口部52hが設けられ、当該開口部52hからハウジング本体52の内部に、ステータ56やロータ57が組み付けられる。また、多角形壁部52gの開口部52hは、ガスケット54を介して蓋53により密閉されている。
多角形壁部52gを形成する第1辺部E1には、駆動用コネクタ61が装着され、当該駆動用コネクタ61は、ハウジング51の軸方向一側に設けられている。駆動用コネクタ61は、プラスチック等の樹脂材料からなるコネクタブロック61aを有し、当該コネクタブロック61aは、固定ねじ等(図示せず)により、第1辺部E1に固定されている。
コネクタブロック61aは、ハウジング51の外部に配置され、多角形壁部52gの径方向外側に突出されている。そして、コネクタブロック61aの内部には、U相用電源ターミナルTU,V相用電源ターミナルTVおよびW相用電源ターミナルTWの先端側が露出して設けられている。なお、U相用電源ターミナルTU,V相用電源ターミナルTVおよびW相用電源ターミナルTWの基端側は、それぞれハウジング51の内部に収容されたバスバーユニット58に電気的に接続されている。
そして、図4に示されるように、U相用電源ターミナルTUの先端側には、一端側がコントローラ70に電気的に接続されたU相用電線EUの他端側が電気的に接続されている。また、V相用電源ターミナルTVの先端側には、一端側がコントローラ70に電気的に接続されたV相用電線EVの他端側が電気的に接続されている。さらに、W相用電源ターミナルTWの先端側には、一端側がコントローラ70に電気的に接続されたW相用電線EWの他端側が電気的に接続されている。これにより、ステータ56のそれぞれのコイル56cに、駆動電流が供給される。
そして、ハウジング51の外部に配置されたコネクタブロック61aは、ハウジング51の軸方向と交差する方向(図4の上側)を向いている。すなわち、駆動用コネクタ61のコネクタブロック61aに対するU相用,V相用およびW相用電線EU,EV,EWの他端側の接続方向は、それぞれハウジング51の軸方向と交差する方向となっている。
なお、駆動用コネクタ61を形成するコネクタブロック61aは、ゴム製のシール部材SM(図5参照)を介して、多角形壁部52gの第1辺部E1に固定されている。これにより、コネクタブロック61aの部分からハウジング51の内部に雨水や埃等が進入することが阻止される。
図4に示されるように、多角形壁部52gには、ハウジング51の径方向外側に突出された突出部52kが一体に設けられている。突出部52kは、第1辺部E1の隣に設けられた第2辺部E2からハウジング51の径方向外側に突出されている。突出部52kは、ハウジング51を軸方向一側から見ると略三角形形状に形成されており、開口部52mおよび底壁52nを備えている。また、突出部52kは、底壁52nからハウジング51の軸方向一側に起立した第1側壁52pおよび第2側壁52qを有している。
このように、突出部52kは、底壁52n,第1側壁52p,第2側壁52qおよび第2辺部E2により囲まれて形成され、その内側には、接続用スペースSPが形成されている。接続用スペースSPは、基板用ワイヤーハーネス62の長手方向におけるコントローラ側コネクタ部62a側が入り込む部分となっている。接続用スペースSPは、コントローラ側コネクタ部62aを基板用コネクタ63に接続する際に、コントローラ側コネクタ部62aを基板用コネクタ63に誘導する機能を有する(組み立て性の向上)。
突出部52kを形成する第1側壁52pは、多角形壁部52gを形成する第1辺部E1の略延長線上に配置されている。また、突出部52kを形成する第2側壁52qは、多角形壁部52gを形成する第3辺部E3の略延長線上に配置されている。これにより、突出部52kがハウジング51の径方向外側に大きく突出することが抑えられている(小型化の実現)。また、突出部52kの開口部52mにおいても、ガスケット54を介して蓋53により密閉されている。
ここで、蓋53は、図3ないし図5に示されるように、多角形壁部52gの開口部52hを閉塞するメイン部53aと、突出部52kの開口部52mを閉塞するサブ部53bとを備えている。メイン部53aおよびサブ部53bは一体となっており、メイン部53aは略円板状に形成され、サブ部53bは略三角形の板状に形成されている。
そして、蓋53は、その周方向に分散配置された合計7個の固定ボルトBTにより、ハウジング本体52に強固に固定されている。なお、蓋53をハウジング本体52に固定する際に、両者間にガスケット54を挟み込むようにする。
突出部52kを形成する第1側壁52pには、ハウジング51の径方向外側に突出するようにして、コネクタ固定部52rが一体に設けられている。そして、コネクタ固定部52rには、基板用コネクタ63が装着されている。ここで、基板用コネクタ63においても、駆動用コネクタ61と同様にハウジング51の軸方向一側に設けられている。
基板用コネクタ63は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成され、略平板状に形成された固定板部63aを備えている。固定板部63aは、一対の第1ねじS1によりコネクタ固定部52rに固定されている。なお、固定板部63aとコネクタ固定部52rとの間には、ゴム製のシール部材(図示せず)が設けられている。これにより、基板用コネクタ63の部分からハウジング51の内部に雨水や埃等が進入することが阻止される。
また、基板用コネクタ63は、略箱形状に形成された内側接続部(図示せず)および外側接続部63bを備えている。内側接続部は、固定板部63aのコネクタ固定部52r側に設けられ、ハウジング51の内部に配置される。これに対し、外側接続部63bは、固定板部63aのコネクタ固定部52r側とは反対側に設けられ、ハウジング51の外部に配置される。
ここで、基板用コネクタ63の内側接続部には、突出部52kの内側の接続用スペースSPにおいて、基板用ワイヤーハーネス62のコントローラ側コネクタ部62aが接続される。これに対し、基板用コネクタ63の外側接続部63bには、一端側がコントローラ70に電気的に接続された基板用電線SEの他端側が、コネクタ接続部(図示せず)を介して接続される。
そして、図3および図5に示されるように、ハウジング51の外部に配置されたコネクタブロック61aと、同じくハウジング51の外部に配置された外側接続部63bとは、それぞれハウジング51の軸方向と交差する方向でかつ同じ方向(図4の上方)を向いている。また、駆動用コネクタ61および基板用コネクタ63は、ハウジング51をその軸方向と交差する方向から見たときに、ハウジング51の軸方向と交差する方向に横一列で並んで近接配置されている。これにより、U相用,V相用,W相用電線EU,EV,EWおよび基板用電線SEを、駆動用コネクタ61および基板用コネクタ63に対して、それぞれ容易に接続可能となっている。
さらに、駆動用コネクタ61および基板用コネクタ63は、ハウジング51をその軸方向と交差する方向から見たときに、それぞれロータ57の軸方向寸法の範囲内、つまり回転軸57bの軸方向寸法の範囲内に設けられている(図5参照)。これにより、ブラシレスモータ50の軸方向寸法を詰めて、当該ブラシレスモータ50の小型化を実現している。
このように、駆動用コネクタ61および基板用コネクタ63は、ハウジング51をその軸方向と交差する方向から見たときに、それぞれハウジング51の軸方向における同じ位置に設けられ、かつロータ57の軸方向寸法の範囲内に収められている。これにより、ブラシレスモータ50の軸方向寸法(軸長)を短縮化しつつ、ブラシレスモータ50へのそれぞれの電線EU,EV,EW,SEの取り回し性を向上させている。
図4および図5に示されるように、ハウジング本体52の軸方向一側(図5の上側)には、略正六角形の板状に形成されたアルミニウム製のベアリングホルダ60が設けられている。ベアリングホルダ60は、略正六角形に形成された多角形壁部52gの径方向内側に配置され、第1ボールベアリングBB1を保持している。第1ボールベアリングBB1は、ベアリングホルダ60の中央部分に形成された保持筒60aに装着されている。保持筒60aは、ハウジング本体52の軸方向他側(図5の下側)に向けて突出され、かつバスバーユニット58の径方向内側に入り込んでいる。これによっても、ブラシレスモータ50の軸方向寸法が詰められている。
ベアリングホルダ60は、ハウジング本体52の軸方向一側に、合計6つの第1固定ボルトB1により強固に固定されている。なお、合計6つの第1固定ボルトB1は、ベアリングホルダ60の角部近傍に位置するように分散配置され、かつハウジング本体52の軸方向一側から締め付けられている。これにより、ベアリングホルダ60の歪みが効果的に抑えられて第1ボールベアリングBB1の位置精度が確保される。よって、ロータ57のスムーズな回転が可能となる。また、第1固定ボルトB1はハウジング51の内部に設けられるが、仮に締め付けが緩んで外れたとしても、ロータ57側に脱落することがなく、回転部分の損傷が確実に防止される。
また、ベアリングホルダ60のロータ57側とは反対側で、かつ突出部52kの近傍には、略板状に形成されたクリップ固定部60bが設けられている。クリップ固定部60bは、隣り合う第1固定ボルトB1の間に配置され、かつハウジング51の軸方向一側に突出されている。そして、クリップ固定部60bには、基板用ワイヤーハーネス62に設けられたクリップ部材62bが固定されている。
さらに、ベアリングホルダ60のロータ57側とは反対側で、かつ中央部分には、第1ボールベアリングBB1が保持筒60aから脱落するのを防止する環状の支持プレート60cが設けられている。支持プレート60cは、その径方向内側の部分で第1ボールベアリングBB1の外輪を押さえている。よって、第1ボールベアリングBB1のスムーズな動作が確保される。
支持プレート60cは、当該支持プレート60cの周方向に等間隔(90度間隔)で配置された合計4つの第2固定ボルトB2により、ベアリングホルダ60に固定されている。ここで、第2固定ボルトB2においてもハウジング51の内部に設けられるが、仮に締め付けが緩んで外れたとしても、ロータ57側に脱落することがなく、回転部分の損傷が確実に防止される。
また、ベアリングホルダ60のロータ57側とは反対側で、かつ第1ボールベアリングBB1の周囲には、合計4つの支持柱60dが設けられている。これらの支持柱60dは、ハウジング51の軸方向一側に、それぞれ所定高さで突出されており、その先端部分にはセンサ基板59が固定されている。つまり、合計4つの支持柱60dは、センサ基板59を支持している。
具体的には、それぞれの支持柱60dは、第1ボールベアリングBB1の周囲に等間隔(90度間隔)で配置され、対角線上に配置された一対の支持柱60dに、一対の第2ねじS2によりセンサ基板59が固定されている。なお、第2ねじS2においてもハウジング51の内部に設けられるが、仮に締め付けが緩んで外れたとしても、ロータ57側に脱落することがなく、回転部分の損傷が確実に防止される。
合計4つの支持柱60dに支持されるセンサ基板59は、ハウジング51の軸方向一側に設けられ、略正方形形状に形成されたプリント基板(PCB)となっている。センサ基板59の中央部分には、磁気抵抗素子からなる回転センサ59aが設けられている。回転センサ59aは、ハウジング51の軸方向において、回転軸57bの軸方向一側に固定されたセンサマグネット57dに対して、微小隙間を介して対向している(図5参照)。これにより、回転センサ59aは、回転軸57bの回転状態(回転方向や回転速度等)を検出する。
また、センサ基板59には、基板用ワイヤーハーネス62の基板側コネクタ部62cが接続される基板側接続部59bが設けられている。センサ基板59の基板側接続部59bは、図4に示されるように、接続作業性向上のために、突出部52kの接続用スペースSPに向けられている。
ここで、基板用ワイヤーハーネス62は、センサ基板59と基板用コネクタ63との間に設けられ、コントローラ70とセンサ基板59とを電気的に接続する機能を有している。これにより、回転センサ59aの検出信号は、基板用ワイヤーハーネス62および基板用電線SEを介して、コントローラ70に送出される。
図6および図7に示されるように、コントローラ70は、扁平の略箱形状に形成されており、アルミニウム製のケース本体71と、ステンレス製の蓋部72と、を備えている。蓋部72は、合計9個の固定ボルトBLにより、防水パッキン(図示せず)を介してケース本体71に固定されている。よって、ケース本体71の内部に雨水や埃等が進入することが阻止される。
ケース本体71は、底壁71aと、当該底壁71aから起立された一対の短辺壁71bおよび一対の長辺壁71cと、を備えている。底壁71aの外側には、図7に示されるように、複数の大型冷却フィン71dが設けられ、これらの大型冷却フィン71dは、短辺壁71bが延びる方向に延在されている。すなわち、大型冷却フィン71dの長手方向と、長辺壁71cの長手方向とは、互いに直交している。
また、一対の短辺壁71bの外側には、大型冷却フィン71dよりも小さいサイズの複数の小型冷却フィン71eがそれぞれ設けられている。これにより、コントローラ70の冷却効率が高められている。ここで、コントローラ70は、電動車両10を統括的に制御するものであって、ブラシレスモータ50よりも発熱し易く、かつ十分に冷却する必要がある。
よって、コントローラ70の大型および小型冷却フィン71d,71eは、ブラシレスモータ50の冷却フィン52f(図3参照)に比して、数が多くなっている。また、図1に示されるように、コントローラ70は、エア流路100の内部においてブラシレスモータ50よりも上流側に配置されている。これにより、コントローラ70は、エア流路100を流通するより冷たい走行風(Air)によって、十分に冷却可能となっている。
コントローラ70の複数の大型冷却フィン71d(メインの冷却フィン)は、コントローラ70を車体フレーム14のフロア部14c(図1参照)に固定した状態で、電動車両10の車幅方向(図2参照)に等間隔で並べられる。つまり、エア流路100を流通する走行風(Air)は、底壁71aの外側の部分において、隣り合う大型冷却フィン71dの間にも効率良く流通可能となっている。
したがって、エア流路100を流通する走行風(Air)は、底壁71aの外側の部分に満遍なく接触しつつ、小型冷却フィン71eにも接触して、効率良く熱を奪いながら流通可能となっている。
一対の短辺壁71bの外側には、一対のボルト挿通部71fがそれぞれ設けられている。これらの合計4つのボルト挿通部71fには、コントローラ70をフロア部14cに固定するためのボルト(図示せず)が挿通されるようになっている。なお、コントローラ70をフロア部14cに固定するには、コントローラ70の蓋部72側を、フロア部14cに向けるようにする。これにより、複数の大型冷却フィン71dに多くの走行風(Air)を行き渡らせることができ、冷却効率が向上する。
一対の長辺壁71cのうちの一方の長辺壁71c(図6および図7の右側)には、プラスチック等の樹脂材料よりなる電源コネクタ73が、合計4つの第3ねじS3により固定されている。電源コネクタ73は、コネクタブロック73aを備えており、コネクタブロック73aの内部には、U相用供給ターミナルSU,V相用供給ターミナルSVおよびW相用供給ターミナルSWの先端側が露出されている。
U相用供給ターミナルSU,V相用供給ターミナルSVおよびW相用供給ターミナルSWには、U相用,V相用およびW相用電線EU,EV,EW(図4参照)の一端側がそれぞれ電気的に接続されている。ここで、コネクタブロック73aの内部には、プラス側電源ターミナルPTおよびマイナス側電源ターミナルMTの先端側も露出されている。そして、プラス側電源ターミナルPTには、バッテリ90からのプラス側電源線L1(図4参照)が電気的に接続され、マイナス側電源ターミナルMTには、バッテリ90からのマイナス側電源線L2(図4参照)が電気的に接続されている。
さらに、一対の長辺壁71cのうちの一方の長辺壁71cには、プラスチック等の樹脂材料よりなるモータセンサコネクタ74が、合計2つの第4ねじS4により固定されている。モータセンサコネクタ74は、一対の長辺壁71cのうちの一方の長辺壁71cにおいて、電源コネクタ73と並んで設けられている。そして、モータセンサコネクタ74には、基板用電線SE(図4参照)の一端側が、コネクタ接続部(図示せず)を介して接続される。
ここで、電源コネクタ73およびモータセンサコネクタ74は、コントローラ70をフロア部14cに固定した状態において、ブラシレスモータ50側(車両後方側)に向けられている。これにより、ブラシレスモータ50とコントローラ70との間のそれぞれの電線EU,EV,EW,SEの取り回し性を向上させている。
また、一対の長辺壁71cのうちの他方の長辺壁71c(図6および図7の左側)には、プラスチック等の樹脂材料よりなる補器類接続用コネクタ75が、合計2つの第5ねじS5により固定されている。補器類接続用コネクタ75には、ワイヤーハーネスL3(図4参照)を介して、アクセルセンサASや表示部13d等が電気的に接続されている。なお、他方の長辺壁71cには、補器類接続用コネクタ75のみが固定されているが、他方の長辺壁71cのその他の部分には、上述した小型冷却フィン71eと略同じ大きさの複数の小型冷却フィン71gが設けられている。
なお、補器類接続用コネクタ75は、コントローラ70をフロア部14cに固定した状態において、アクセルセンサASや表示部13d側(車両前方側)に向けられている。これにより、アクセルセンサASや表示部13dとコントローラ70との間のワイヤーハーネスL3の取り回し性を向上させている。
コントローラ70のケース本体71の内部には、制御基板76が収容されている。制御基板76は、センサ基板59(図5参照)と同様にプリント基板(PCB)からなり、略長方形形状に形成されている。制御基板76には、複数のキャパシタやスイッチング素子等の電子部品(図示せず)が実装されている。
これにより、アクセルセンサAS等からの入力信号に応じて、バッテリ90からの駆動電流がU相用,V相用およびW相用電線EU,EV,EWを介してブラシレスモータ50に供給され、ブラシレスモータ50が駆動される。また、ブラシレスモータ50の回転状態を示す信号が、基板用電線SEおよびモータセンサコネクタ74を介してコントローラ70に入力され、これによりコントローラ70は、ブラシレスモータ50を最適な状態で制御可能となっている。
なお、補器類接続用コネクタ75には、アクセルセンサASや表示部13dの他にも、例えば、イグニッションスイッチやブレーキスイッチ等(図示せず)が電気的に接続される。
図1および図8に示されるように、カバー部材20の内部には、電動車両10の走行時に走行風(Air)が流通するエア流路100が設けられている。エア流路100は、カバー部材20に囲まれて形成されており、電動車両10の前後方向に延びている。そして、図2(a)に示されるように、エア流路100の上流側(車両前方側)には、走行風(Air)を導入する一対の走行風導入口INが設けられている。一方、図2(b)に示されるように、エア流路100の下流側(車両後方側)には、走行風(Air)を排出する一対の走行風排出口EXが設けられている。
エア流路100は、電動車両10の前方から後方に亘って、5つの区間に分けられている。具体的には、図8および図9に示されるように、エア流路100は、電動車両10の前方側から、一対の第1流路101,一対の第2流路102,1つの第3流路103,一対の第4流路104および一対の第5流路105を備えている。なお、図8および図9の一点鎖線は、それぞれの流路101ないし105の境界部分を示している。
図1,図2(a)および図9に示されるように、一対の第1流路101は、フロントカバー部21の内部に設けられ、車高方向における上方から見たときに、前輪11およびフロントフォーク15を跨ぐようにして配置されている。また、一対の第1流路101は、車体フレーム14のフロント部14aに沿うように設けられている。
ここで、一対の第1流路101は、電動車両10の車高方向において、フロント部14aとフロント側泥除け16との間に配置されている。これにより、一対の走行風導入口INが前輪11に対して地面Gとは反対側、具体的には前輪11またはフロント側泥除け16よりも上方で、地面Gから離れた位置に配置されて、一対の第1流路101(エア流路100)への泥水等の進入が抑制される。なお、泥水等の進入をより一層抑えるべく、一対の走行風導入口INに粗目のフィルター(走行風の流入を妨げない程度)を装着しても良い。
一対の第1流路101の下流側には、それぞれ第2流路102の上流側が接続されている。一対の第2流路102は、フロントカバー部21の内部に設けられ、かつ車体フレーム14の前方傾斜部14dに沿うように設けられている。これにより、一対の第1流路101に流入した走行風(Air)が、地面G寄りに設けられた1つの第3流路103に向けて流れる。
また、一対の第2流路102の下流側には、1つの第3流路103の上流側が接続されている。1つの第3流路103は、フロアカバー部22の内部に設けられ、かつ車体フレーム14のフロア部14cに沿うように設けられている。そして、第3流路103の内部の略中央部に、コントローラ70が配置されている。ここで、コントローラ70は、第3流路103の車高方向における上側に配置され、コントローラ70の複数の大型冷却フィン71dは、第3流路103の車高方向における下側に向けられている。よって、複数の大型冷却フィン71dの部分に、より多くの走行風(Air)が流通するようになっている(冷却効率の向上)。
さらに、1つの第3流路103の下流側には、一対の第4流路104の上流側が接続されている。一対の第4流路104は、リアカバー部23の内部に設けられ、かつ車体フレーム14の後方傾斜部14eに沿うように設けられている。そして、一対の第4流路104のうちの一方の第4流路104(図9の下側)の内部に、ブラシレスモータ50の車両前方側が配置されている。なお、ブラシレスモータ50は、エア流路100の内部においてコントローラ70の下流側に配置され、かつ電動車両10の車高方向においてコントローラ70よりも地面Gから離れた所に配置されている。
このように、ブラシレスモータ50をコントローラ70よりも地面Gから離れた所に配置することで、ブラシレスモータ50の地面G側の一部を、リアカバー部23の外部に露出させつつ、当該露出部への泥等の付着が抑えられるようにしている。言い換えれば、コントローラ70の下流側に設けられるブラシレスモータ50の一部を外部に露出させることで、ブラシレスモータ50の十分な冷却性能を確保している。
また、第3流路103と一方の第4流路104との間には、プラスチック等の樹脂材料からなる整流板(整流部材)106が設けられている。整流板106は、電動車両10を側方から見たときに、略V字形状に形成されており、第3流路103を流れる走行風(Air)を、一方の第4流路104に設けられるブラシレスモータ50に向ける機能を有している。つまり、整流板106は、エア流路100の内部のコントローラ70とブラシレスモータ50との間に配置されている。
これにより、車高方向において下方に配置されたコントローラ70の部分を通過した走行風(Air)を、車高方向において上方に配置されたブラシレスモータ50に向けてスムーズに流せるようになっている。ここで、整流板106は、略V字形状に限らず、略半円形状(略円弧形状)に形成しても良い。また、カバー部材20(図1参照)に一体成型により設けることもできる。
さらに、一対の第4流路104のうちの他方の第4流路104(図9の上側)にバッテリ90の車高方向における下方側が配置されている。そして、バッテリ90の下方側の一部が、他方の第4流路104の内部に露出されている。これにより、第3流路103から他方の第4流路104に流れた走行風(Air)により、バッテリ90も冷却可能となっている。なお、図9の破線矢印に示されるように、第3流路103と他方の第4流路104との間に、整流板106と同様の他の整流板を設けても良い。
また、一対の第4流路104の下流側には、一対の第5流路105の上流側が接続されている。一対の第5流路105は、リアカバー部23の内部に設けられ、かつ車体フレーム14のリア部14bに沿うように設けられている。そして、一対の第5流路105のうちの一方の第5流路105(図9の下側)の内部にブラシレスモータ50の車両後方側が配置されている。これにより、一方の第5流路105には、ブラシレスモータ50の部分を通過した走行風(Air)が流通する。
これに対し、他方の第5流路105(図9の上側)には、バッテリ90の部分を通過した走行風(Air)が流通する。よって、一対の第5流路105の下流側の一対の走行風排出口EXから、コントローラ70の部分、ブラシレスモータ50の部分およびバッテリ90の部分を通過した走行風(Air)が、エア流路100の外部に排出される。
これにより、走行風(Air)は、図8および図9の矢印Airに示されるように、エア流路100の内部を流通して、コントローラ70,ブラシレスモータ50およびバッテリ90が効率良く冷却(空冷)される。なお、第1流路101および第2流路102と、第4流路104および第5流路105とを、それぞれ2つずつ設けるに限らず、電動車両10のデザインや構造等に応じて、それぞれ1つずつ設けるようにしても良い。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、カバー部材20に、電動車両10の前後方向に延び、かつ電動車両10の走行時に走行風(Air)が流通するエア流路100を設け、エア流路100の内部に、コントローラ70およびブラシレスモータ50を設けたので、コントローラ70およびブラシレスモータ50が泥等で汚れることを効果的に抑制することができる。これにより、コントローラ70およびブラシレスモータ50の冷却効率の低下が抑えられ、ひいては空冷型のブラシレスモータ50およびコントローラ70において、長時間に亘って安定した走行性能を得ることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、エア流路100の上流側にコントローラ70が設けられ、エア流路100の下流側にブラシレスモータ50が設けられているので、ブラシレスモータ50よりも発熱し易くかつ十分に冷却する必要があるコントローラ70を、優先的に素早く冷却することができる。
さらに、本実施の形態によれば、エア流路100に、コントローラ70の部分を通過した走行風(Air)をブラシレスモータ50に向ける整流板106が設けられているので、エア流路100を流通する走行風(Air)を、ブラシレスモータ50に向けてスムーズに流すことが可能となる。よって、ブラシレスモータ50の冷却効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、エア流路100の上流側に走行風導入口INが設けられ、走行風導入口INが前輪11に対して地面Gとは反対側に配置されているので、エア流路100に泥水等が進入することを抑制することができる。よって、コントローラ70やブラシレスモータ50が汚れて冷却効率が低下することが抑えられる。
さらに、本実施の形態によれば、ブラシレスモータ50に駆動電流を供給するバッテリ90が設けられ、バッテリ90の一部がエア流路100に露出されているので、バッテリ90も冷却することができる。よって、バッテリ90の過熱による寿命の短縮化を抑制することが可能となる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。上記実施の形態においては、電動車両10にブラシレスモータ50を適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、ブラシ付きの電動モータを電動車両10に適用することもできる。
また、上記実施の形態においては、電動車両10が、1つの前輪11および1つの後輪12を有する電動スクーターであるものを示したが、本発明はこれに限らず、小型の電気自動車(三輪や四輪等を問わない)や電動の車椅子等の他の小型モビリティにも適用することができる。
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
10:電動車両,11:前輪,12:後輪,12a:車軸,12b:ドリブンスプロケット,13:ハンドル部,13a:グリップ,13b:ブレーキレバー,13c:バックミラー,13d:表示部,14:車体フレーム(フレーム),14a:フロント部,14b:リア部,14c:フロア部,14d:前方傾斜部,14e:後方傾斜部,14f:ブラケット,15:フロントフォーク,15a:フロントサスペンション,16:フロント側泥除け,17:リアサスペンション,18:リア側泥除け,19:駆動チェーン,20:カバー部材,21:フロントカバー部,21a:ヘッドランプユニット,22:フロアカバー部,23:リアカバー部,23a:ブレーキランプユニット,24:シート,50:ブラシレスモータ(電動モータ),51:ハウジング,52:ハウジング本体,52a:底壁部,52b:軸受装着部,52c:シール装着部,52d:固定脚,52e:筒状壁部,52f:冷却フィン,52g:多角形壁部,52h:開口部,52k:突出部,52m:開口部,52n:底壁,52p:第1側壁,52q:第2側壁,52r:コネクタ固定部,53:蓋,53a:メイン部,53b:サブ部,54:ガスケット,55:モータユニット,56:ステータ,56a:ステータコア,56b:インシュレータ,56c:コイル,57:ロータ,57a:ロータ本体,57b:回転軸,57c,マグネット,57d:センサマグネット,57e:ドライブスプロケット,58:バスバーユニット,59:センサ基板,59a:回転センサ,59b:基板側接続部,60:ベアリングホルダ,60a:保持筒,60b:クリップ固定部,60c:支持プレート,60d:支持柱,61:駆動用コネクタ,61a:コネクタブロック,62:基板用ワイヤーハーネス,62a:コントローラ側コネクタ部,62b:クリップ部材,62c:基板側コネクタ部,63:基板用コネクタ,63a:固定板部,63b:外側接続部,70:コントローラ,71:ケース本体,71a:底壁,71b:短辺壁,71c:長辺壁,71d:大型冷却フィン,71e:小型冷却フィン,71f:ボルト挿通部,71g:小型冷却フィン,72:蓋部,73:電源コネクタ,73a:コネクタブロック,74:モータセンサコネクタ,75:補器類接続用コネクタ,76:制御基板,90:バッテリ,100:エア流路,101:第1流路,102:第2流路,103:第3流路,104:第4流路,105:第5流路,106:整流板(整流部材),AS:アクセルセンサ,B1:第1固定ボルト,B2:第2固定ボルト,BB1:第1ボールベアリング,BB2:第2ボールベアリング,BL:固定ボルト,BT:固定ボルト,E1:第1辺部,E2:第2辺部,E3:第3辺部,E4:第4辺部,E5:第5辺部,E6:第6辺部,EU:U相用電線,EV:V相用電線,EW:W相用電線,EX:走行風排出口,G:地面,IN:走行風導入口,L1:プラス側電源線,L2:マイナス側電源線,L3:ワイヤーハーネス,LS:リップシール,MT:マイナス側電源ターミナル,PT:プラス側電源ターミナル,S1:第1ねじ,S2:第2ねじ,S3:第3ねじ,S4:第4ねじ,S5:第5ねじ,SE:基板用電線,SM:シール部材,SP:接続用スペース,SU:U相用供給ターミナル,SV:V相用供給ターミナル,SW:W相用供給ターミナル,TU:U相用電源ターミナル,TV:V相用電源ターミナル,TW:W相用電源ターミナル
Claims (5)
- 前輪および後輪と、
前記前輪および前記後輪を支持するフレームと、
前記フレームを覆うカバー部材と、
前記後輪を駆動する電動モータと、
前記電動モータを制御するコントローラと、
を備えた電動車両であって、
前記カバー部材に、前記電動車両の前後方向に延び、かつ前記電動車両の走行時に走行風が流通するエア流路が設けられ、
前記エア流路の内部に、前記コントローラおよび前記電動モータが設けられていることを特徴とする、
電動車両。 - 請求項1に記載の電動車両において、
前記エア流路の上流側に前記コントローラが設けられ、前記エア流路の下流側に前記電動モータが設けられていることを特徴とする、
電動車両。 - 請求項2に記載の電動車両において、
前記エア流路に、前記コントローラの部分を通過した前記走行風を前記電動モータに向ける整流部材が設けられていることを特徴とする、
電動車両。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記エア流路の上流側に走行風導入口が設けられ、前記走行風導入口が前記前輪に対して地面とは反対側に配置されていることを特徴とする、
電動車両。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記電動モータに駆動電流を供給するバッテリが設けられ、前記バッテリの一部が前記エア流路に露出されていることを特徴とする、
電動車両。
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JP2021112792A JP2023009474A (ja) | 2021-07-07 | 2021-07-07 | 電動車両 |
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-
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