JP2023007501A - 油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法 - Google Patents

油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油剤の内包率が高い、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法を提供する。【解決手段】油剤を含むコアとシリカを構成成分とするシェルとを有する油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法であり、工程1:界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体を含む油剤混合液を、インライン乳化分散機にて乳化し、乳化液を得る工程、及び、工程2:工程1で得られた乳化液を用いて、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する工程、を含む、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法に関する。
従来、香料や薬効成分等の油剤をシリカカプセル粒子に封入して得られる油剤を含有するシリカカプセル粒子を製品中に配合することにより、その効果を持続させる試みがなされている。特に、繊維処理製品や化粧料、洗浄剤等は、衣類や身体に香りを付与することが重要な性能の一つであり、香りの持続性の高い製品が求められている。
このような状況において、ゾル-ゲル法による油剤を含有するシリカカプセル粒子の合成の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、シリカを構成成分として含む第一シェル及び第二シェルと、該第一シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの製造方法が記載されている。
特許文献2には、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部にポリマー微粒子及び1種以上の油溶性液体を含むコアとを有する、マイクロカプセルの製造方法が記載されている。
特開2015-128762号公報 特開2017-114802号公報
しかしながら、特許文献1や2の製造方法では、油剤を含有するシリカカプセル粒子を一度に大量に製造すると、油剤を十分に内包化することができず、油剤の内包率が低下する場合があることが判明した。
本発明は、油剤の内包率が高い、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、油剤を含有するシリカカプセル粒子の製造において、インライン乳化分散機にて乳化し、該乳化液を用いてバッチ式撹拌槽内で油剤を含有するシリカカプセル粒子を形成させることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、油剤を含むコアとシリカを構成成分とするシェルとを有する油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法であり、
工程1:界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体を含む油剤混合液を、インライン乳化分散機にて乳化し、乳化液を得る工程、及び、
工程2:工程1で得られた乳化液を用いて、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する工程、を含む、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法を提供する。
本発明によれば、油剤の内包率が高い、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法を提供することができる。
[油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法]
本発明の製造方法は、油剤を含むコアとシリカを構成成分とするシェルとを有する油剤含有シリカカプセル粒子(以下、単に「シリカカプセル粒子」ともいう)の製造方法であり、
工程1:界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体を含む油剤混合液を、インライン乳化分散機にて乳化し、乳化液を得る工程、及び、
工程2:工程1で得られた乳化液を用いて、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する工程、を含む方法である。
本発明において「シリカ前駆体の反応率」とは、前記乳化液中において、部分的でも反応したシリカ前駆体の割合を意味する。例えば、シリカ前駆体としてテトラアルコキシシランを用いる場合には、テトラアルコキシシランが一部加水分解された物は反応したとして反応率を算出する。シリカ前駆体の反応率の算出方法は、具体的には、実施例で記載する。
また、本発明において「油剤の内包率」とは、油剤の配合量に対する、シリカカプセル粒子に内包される油剤の量の割合を意味し、具体的には実施例に記載の方法で測定及び算出される。
本発明によれば、油剤の内包率が高い、油剤含有シリカカプセル粒子を製造することができる。その理由は、必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
本発明においては、工程1で、インライン乳化分散機にて油剤混合液を乳化して乳化液を得た後、工程2で、該乳化液をバッチ式撹拌槽内でゾル-ゲル反応に供し、油剤含有シリカカプセル粒子を形成する。
工程1で用いるインライン乳化分散機の設置態様としては、例えば、インライン式の乳化分散機が油剤混合液を貯留する貯留槽の外部に取り付けられる態様が挙げられる。この態様の場合には、貯留槽からインライン乳化分散機に油剤混合液を供給し、乳化分散機内の乳化分散室にて油剤混合液の乳化を行うことができる。あるいは、工程1で用いるインライン乳化分散機の他の設置態様として、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体をインラインで混合するインライン混合部を設け、該混合部からのラインに、インライン乳化分散機が取り付けられる態様が挙げられる。この態様の場合には、インライン混合部からインライン乳化分散機に油剤混合液を供給し、乳化分散機内の乳化分散室にて油剤混合液の乳化を行った後、乳化液を貯留槽に供給することができる。いずれの態様においても、乳化分散機内の乳化分散室容積は、貯留槽よりも小さいため、油剤混合液に剪断力を効率的に付与することができる。
このような工程1を含むことにより、大量の油剤混合液を用いる場合であっても、シリカ前駆体のゾル-ゲル反応(シリカ前駆体の反応)よりも、油剤混合液の乳化を進行させ、速やかに乳化液を得ることができ、乳化時のシェルの形成を抑制し、剪断力の付与によるシェルの破壊を抑制することができると考えられる。
そして、工程2において、工程1で得られた乳化液をバッチ式撹拌槽内でゾル-ゲル反応に供することにより、乳化滴の部分的又は全体的な破壊を抑制し、緻密で強固なシェルを有するシリカカプセル粒子が形成され、油剤の内包率が高くなると考えられる。
ここで、「ゾル-ゲル反応」とは、シリカ前駆体が加水分解及び重縮合反応により、ゾル及びゲル状態を経て油剤含有シリカカプセル粒子のシェルの構成成分であるシリカを形成する反応を意味する。ゾル-ゲル反応としては、例えば、シリカ前駆体としてテトラアルコキシシランが加水分解され、シラノール化合物が脱アルコール縮合反応及び脱水縮合反応によりシロキサンオリゴマーを生成し、更に脱水縮合反応が進行することによりシリカが形成される反応が挙げられる。
<工程1>
工程1は、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体を含む油剤混合液を、インライン乳化分散機にて乳化し、乳化液を得る工程である。
工程1で用いる油剤混合液は、界面活性剤及び水を含む水相成分と、油剤及びシリカ前駆体を含む油相成分からなる。
(油剤混合液)
〔界面活性剤〕
工程1で用いる界面活性剤は、油剤の内包率を高める観点から、好ましくはカチオン性界面活性剤である。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩等が挙げられる。アルキルアミン塩及びアルキル第4級アンモニウム塩のアルキル基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
アルキルアミン塩としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン酢酸塩が挙げられる。
アルキル第4級アンモニウム塩としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロライド;ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド等のアルキルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロライド;ジステアリルジメチルアンモニウムブロマイド等のジアルキルジメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩としては、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
前記カチオン性界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を用いることができる。
前記カチオン性界面活性剤は、これらの中でも、好ましくは第4級アンモニウム塩であり、より好ましくは炭素数10以上22以下のアルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩であり、更に好ましくはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、及びセチルトリメチルアンモニウムクロライドから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロライドである。
工程1で用いる界面活性剤の量は、安定な乳化液を得る観点から、工程1で用いる油剤100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.7質量部以下である。
〔水〕
工程1で用いる水としては、例えば、イオン交換水及び蒸留水から選ばれる1種以上が好ましく用いられる。
工程1で用いる水の量は、安定な乳化液を得る観点から、工程1で用いる油剤100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは130質量部以上、更に好ましくは150質量部以上であり、そして、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは200質量部以下である。
〔油剤〕
工程1で用いる油剤は、得られるシリカカプセル粒子の内包成分となる。
前記油剤は、好ましくは、香料、香料前駆体、保湿剤、酸化防止剤、抗菌剤、肥料、繊維、皮膚、及び毛髪等の表面変性剤、冷感剤、染料、色素、シリコーン、及び、油溶性ポリマーから選ばれる1種以上、より好ましくは香料、香料前駆体、保湿剤、酸化防止剤、抗菌剤、肥料、及び、表面変性剤から選ばれる1種以上、更に好ましくは、香料、香料前駆体、保湿剤、及び、酸化防止剤から選ばれる1種以上、より更に好ましくは香料、香料前駆体及び保湿剤から選ばれる1種以上、より更に好ましくは香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上である。
前記油剤は、1種を単独で又は2種以上を用いることができる。
前記香料前駆体としては、水に反応して香料成分を放出する化合物、光に反応して香料成分を放出する化合物等が挙げられる。
水に反応して香料成分を放出する化合物としては、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するケイ酸エステル化合物、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有する脂肪酸エステル化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分とアルコール化合物の反応で得られるアセタール化合物もしくはヘミアセタール化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分と1級アミン化合物との反応で得られるシッフベース化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分とヒドラジン化合物との反応で得られるヘミアミナール化合物又はヒドラゾン化合物が挙げられる。
光に反応して香料成分を放出する化合物としては、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有する2-ニトロベンジルエーテル化合物、香料アルデヒドや香料ケトン由来のカルボニル成分を有するα-ケトエステル化合物、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するクマリン酸エステル化合物が挙げられる。これらの香料前駆体は、例えばポリアクリル酸の一部のカルボキシ基と香料アルコールとの反応生成物等のポリマーとして用いてもよい。
前記油剤のn-オクタノールと水との間の分配係数P(n-オクタノール/水)の常用対数「LogP」の計算値(以下、「cLogP値」ともいう)は、安定な乳化液を得る観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
前記油剤が複数の構成成分から構成される場合、該油剤のcLogP値は、各構成成分のcLogP値に各構成成分の体積比を乗じ、それらの和とすることで求めることができる。
前記油剤のcLogP値が1以上であることにより、シリカ前駆体のゾル-ゲル反応において、得られるシリカカプセル粒子内への油剤の内包率が高めることができる。また、前記油剤が、複数の香料成分から構成される香料組成物のような場合であっても同様に、香料組成物のcLogP値が1以上であることによって、得られるシリカカプセル粒子内への香料組成物の内包率を高めることができる。
ここで、cLogP値は、A.Leo Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4 C.Hansch, P.G.Sammens, J.B Taylor and C.A.Ramsden, Eds., P.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算した″LogP (cLogP)″であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したcLogP値を用いることができる。
〔シリカ前駆体〕
工程1で用いるシリカ前駆体は、工程1においてシリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくはテトラアルコキシシランを含み、より好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランであり、更に好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラエトキシシランである。
前記シリカ前駆体がテトラアルコキシシランを含む場合、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン等のトリアルコキシシランが含まれていてもよいが、該シリカ前駆体中のテトラアルコキシシランの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
工程1で用いるシリカ前駆体の量は、油剤を含む乳化滴の周囲を取り囲めるシェルを形成させる観点から、工程1で用いる油剤100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、そして、ゾル-ゲル反応において、シリカ前駆体の乳化滴内部の残留を抑制し、効率的にシェルへの転化を進行させる観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、より更に好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下である。
工程1で用いる油剤混合液は、油剤及びシリカ前駆体以外の油相成分として、乳化助剤、粒径安定化剤等を含んでもよい。
〔乳化助剤〕
前記乳化助剤としては、炭素数6以上の高級脂肪族アルコール、炭素数6以上の高級脂肪酸、炭素数6以上のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテル、及び炭素数8以上のアルキル基を有するアミド化合物から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
これらの乳化助剤は、長鎖脂肪族炭化水素基と極性基を有するため、工程1における油剤混合液の乳化の際に、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高めることができると考えられる。
前記乳化助剤は、1種を単独で又は2種以上を用いることができる。
前記乳化助剤の分子量は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは500以下、より好ましくは450以下、更に好ましくは400以下、より更に好ましくは350以下であり、そして、好ましくは150以上である。
前記高級脂肪族アルコールの炭素数は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
前記高級脂肪族アルコールは、前記と同様の観点から、好ましくは直鎖又は分岐鎖の高級脂肪族アルコールであり、より好ましくは直鎖の高級脂肪族1級アルコールである。
前記高級脂肪族アルコールは、取り扱い容易性の観点から、常温、常圧で固体状(例えば、融点が30℃以上)であるものが好ましい。前記高級脂肪族アルコールの融点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、より更に好ましくは45℃以上である。
前記高級脂肪族1級アルコールとしては、例えば、2-エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。中でも、好ましくは2-エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上であり、より好ましくはセチルアルコール及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上、更に好ましくはセチルアルコールである。
前記高級脂肪酸の炭素数は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、より更に好ましくは14以上、より更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは26以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下である。
前記高級脂肪酸としては、例えば、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。中でも、好ましくは分岐鎖飽和脂肪酸であり、より好ましくはイソステアリン酸である。
前記モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基の炭素数は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、より更に好ましくは16以上であり、そして、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下である。
前記モノアルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、モノ2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、モノデシルグリセリルエーテル、モノラウリルグリセリルエーテル、モノミリスチルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル、モノステアリルグリセリルエーテル、モノベヘニルグリセリルエーテル等が挙げられる。中でも、好ましくはモノセチルグリセリルエーテル、モノステアリルグリセリルエーテル、及びモノベヘニルグリセリルエーテルから選ばれる1種以上であり、より好ましくはモノステアリルグリセリルエーテルである。なお、前記モノアルキルグリセリルエーテルは、通常α体である。
前記アミド化合物のアルキル基の炭素数は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
前記アミド化合物としては、飽和又は不飽和の脂肪酸由来のアルキル基を有するアミド化合物が好ましい。具体的には、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
前記乳化助剤のcLogP値は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。
また、前記高級脂肪酸及び前記高級脂肪族アルコールは、乳化助剤としての機能に加えて、乳化滴の粒径を安定化させる粒径安定化剤としての機能を有すると考えられる。当該観点からは、工程1で用いる油剤混合液は、油剤及びシリカ前駆体以外の油相成分として、好ましくは、炭素数6以上の高級脂肪酸、及び、炭素数6以上の高級脂肪族アルコールから選ばれる1種以上を含み、より好ましくは炭素数6以上の高級脂肪酸を含む。
工程1で用いる油剤混合液が油相成分として更に前記乳化助剤を含む場合、該乳化助剤の量は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、工程1で用いる油剤100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
〔粒径安定化剤〕
粒径安定化剤としては、例えば、総炭素数が6以上である脂肪酸エステルが挙げられる。
前記粒径安定化剤は、乳化滴中の油相成分として比較的親水的な成分が連続相である水相へ分子拡散するオストワルド熟成による乳化滴の不安定化の抑制に寄与し、乳化滴の経時での粗大化を抑制し、乳化滴の粒径を安定化することができると考えられる。そのため、前記粒径安定化剤を前記乳化助剤と併用することにより、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、シリカカプセル粒子の鋳型として適切なシェル形成場を提供することができ、油剤の内包率を高めることができると考えられる。当該観点から、粒径安定化剤のclogP値は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、より更に好ましくは7以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。
前記脂肪酸エステルの総炭素数は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは18以上であり、そして、好ましくは50以下である。
前記脂肪酸エステルは、脂肪酸と1価アルコールとの脂肪酸モノエステル、脂肪酸と2価アルコールとの脂肪酸ジエステル、ジカルボン酸と1価アルコールとのジカルボン酸ジエステル、トリカルボン酸と1価アルコールとのトリカルボン酸トリエステル、グリセリン脂肪酸トリエステル等が挙げられる。中でも、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、脂肪酸モノエステルが好ましい。
前記脂肪酸モノエステルは、好ましくは炭素数8以上22以下の脂肪酸と炭素数1以上24以下の1価アルコールとからなるものが好ましい。
前記脂肪酸モノエステルを構成する脂肪酸としては、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガデリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の、炭素数8以上22以下の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。
前記脂肪酸モノエステルを構成する1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキシルアルコール、ノナノール、イソノニルアルコール、デカノール、イソデシルアルコール、ドデカノール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール等の、炭素数1以上24以下の脂肪族1価アルコールが挙げられる。
前記脂肪酸モノエステルとしては、2-エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキサデシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。中でも、好ましくはパルミチン酸イソプロピルである。
工程1で用いる油剤混合液が油相成分として更に前記粒径安定化剤を含む場合、該粒径安定化剤の量は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、工程1で用いる油剤100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
工程1で用いる油剤混合液の界面活性剤及び水を含む水相成分と油剤及びシリカ前駆体を含む油相成分との質量比(水相成分/油相成分)は、安定な乳化液を得る観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは53/47以上、更に好ましくは57/43以上であり、そして、製造効率の観点から、好ましくは99/1以下、より好ましくは95/5以下、更に好ましくは90/10以下、より更に好ましくは80/20以下、より更に好ましくは70/30以下である。
(油剤混合液の乳化)
工程1における乳化方法としては、予め調製した水相成分及び油相成分を貯留槽内で混合して油剤混合液を調製した後、該油剤混合液を該貯留槽の外部に設けられたインライン乳化分散機に供給して乳化を行う方法が好ましく挙げられる。この方法の場合の油剤混合液の調製においては、水相成分及び油相成分の貯留槽への投入順序は特に限定されないが、製造容易性の観点から、貯留槽内で水相成分を調製した後、別途調製した油相成分を添加することが好ましい。
前記貯留槽は、撹拌翼を有する撹拌装置を備えていることが好ましい。
撹拌翼としては、パドル翼、タービン翼、アンカー翼、リボン翼、プロペラ等が挙げられる。この場合、製造効率の観点から、工程2で用いるバッチ式撹拌槽を前記貯留槽として用いることが好ましい。
あるいは、工程1における他の乳化方法として、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体をインラインで混合して油剤混合液を調製した後、該油剤混合液をインライン乳化分散機に供給して乳化を行う方法も好ましく挙げられる。前記油剤混合液をインラインで混合して調製する場合は、界面活性剤及び水を含む水相成分と、油剤及びシリカ前駆体を含む油相成分とを単一のライン(配管内)で混合して油剤混合液を得ることが好ましい。
インライン混合に供する水相成分の調製は、撹拌翼を有する撹拌装置を用いて行うことが好ましい。撹拌翼としては、前述の貯留槽で用いる撹拌翼と同様のものが挙げられる。また、インライン混合に供する油相成分の調製は、撹拌翼を有する撹拌装置を用いて行ってもよいが、油剤及びシリカ前駆体をインラインで混合して行ってもよい。
上記のインライン混合には、静止型混合器(スタティックミキサー)等のインラインミキサーを用いることが好ましい。
前記撹拌装置を用いて水相成分を調製する場合、水相成分の調製における撹拌回転数は、先端周速を考慮して、好ましくは20r/min以上、より好ましくは30r/min以上、更に好ましくは50r/min以上であり、そして、撹拌による温度上昇を抑制する観点から、好ましくは120r/min以下、より好ましくは100r/min以下、更に好ましくは90r/min以下である。
本発明における「先端周速」とは、撹拌翼を用いる場合、撹拌装置内の最も大きな撹拌翼(主撹拌翼)の外周部の周速を意味する。
前記撹拌装置を用いる水相成分の調製における撹拌時の液温は、好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下である。
前記撹拌装置を用いる水相成分の調製における撹拌時間は、製造規模、撹拌速度、温度条件等にもよるが、好ましくは3分間以上、より好ましくは5分間以上、更に好ましくは10分間以上であり、そして、好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下、更に好ましくは20分間以下である。
工程1で用いる油剤混合液の量は、生産性の観点からは、好ましくは10kg以上、より好ましくは100kg以上、更に好ましくは300kg以上、より更に好ましくは500kg以上、より更に好ましくは1,000kg以上であり、そして、設備上の観点から、好ましくは100,000kg以下、より好ましくは10,000kg以下である。
なお、本発明において、大量の油剤混合液の量とは、工程1で用いる油剤混合液の量が100kg以上であることをいう。
前記油剤混合液を貯留槽内で調製する場合、工程1において貯留槽内の油剤混合液は、前述の撹拌翼にて循環混合しながら、インライン乳化分散機へ供給することが好ましい。このときの撹拌回転数は、先端周速を考慮して、好ましくは20r/min以上、より好ましくは30r/min以上、更に好ましくは50r/min以上であり、そして、撹拌による温度上昇を抑制する観点から、好ましくは120r/min以下、より好ましくは100r/min以下、更に好ましくは90r/min以下である。
また、前記油剤混合液を貯留槽内で調製する場合、工程1で用いる油剤混合液は、インライン乳化分散機へ供給する前に、前述の撹拌翼にて予備乳化してもよい。このときの撹拌回転数の好ましい範囲は、上記の循環混合時の撹拌回転数の好ましい範囲と同様である。
予備乳化に供する油剤混合液の液温は、好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下である。
予備乳化における撹拌時間は、製造規模、撹拌速度、温度条件等にもよるが、好ましくは3分間以上、より好ましくは5分間以上、更に好ましくは10分間以上であり、そして、好ましくは60分間以下、より好ましくは30分間以下、更に好ましくは20分間以下である。
工程1の乳化は、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、インライン乳化分散機を用いて行う。
工程1における乳化は、油剤混合液をインライン乳化分散機に1回のみ通過させる「ワンパス式」であってもよく、油剤混合液をインライン乳化分散機に通過させて得られる乳化液を少なくとも一部又は全量を再度インライン乳化分散機に通過させる操作を複数回行う「マルチパス式」であってもよい。
ワンパス式の方法としては、インライン式が挙げられる。
マルチパス式の方法としては、「外部循環式」、「キャッチボール式」、「液戻し式」、又は「インライン式」が挙げられる。
外部循環式とは、インライン乳化分散機を介設した外部循環ラインを備えた貯留槽から油剤混合液を外部循環ラインで排出し、インライン乳化分散機により乳化した後、外部循環ラインにより貯留槽に乳化液を戻して、インライン乳化分散機と貯留槽との間で乳化液を循環させる方式である。
キャッチボール式とは、2つの貯留槽間にインライン乳化分散機を介設したラインを設けて、そのラインを通じて貯留槽間で乳化液を往復させる方式である
液戻し式とは、2つの貯留槽とインライン乳化分散機との間を液が循環するようにラインで結び、液の全量がインライン乳化分散機を通過した後、元の貯留槽に液を戻す操作を繰り返す方式である。
インライン式としては、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体をインラインで混合して油剤混合液を調製した後、該油剤混合液をインライン乳化分散機に供給して該インライン乳化分散機により乳化する方式が好ましく挙げられる。
これらの方式の中でも、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点、及び設備設計の容易性の観点から、工程1における乳化は、インライン乳化分散機を用いて外部循環式又はインライン式で行うことが好ましい。
外部循環式の場合には、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点、及び設備設計の容易性の観点から、インライン乳化分散機と1つの貯留槽との間を外部循環ラインにより乳化液を循環させることが好ましい。
なお、外部循環式の場合であっても、油剤混合液を、貯留槽から外部循環ラインで排出し、インライン乳化分散機により乳化した後、外部循環ラインにより元の貯留槽と同じ貯留槽に戻してもよく、あるいは、ラインにより元の貯留槽とは異なる貯留槽に移動させることも可能である。
インライン式の場合には、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体をインラインで混合するインライン混合部からのラインに、インライン乳化分散機が取り付けて該インライン乳化分散機により乳化させることが好ましい。
インライン式の場合には、インライン混合された油剤混合液をインライン乳化分散機に1回以上通過させればよい。すなわち、インライン式の場合には、パス回数は1回(ワンパス式)であってもよく、複数回(マルチパス式)であってもよい。
インライン式において、油剤混合液をインライン乳化分散機に複数回通過させる場合には、インライン混合部から排出される油剤混合液をインライン乳化分散機に通過させて得られる乳化液を貯留槽に貯留し、貯留槽とインライン乳化分散機との間を液が循環するようにラインで結び、乳化液の少なくとも一部又は全量を更にインライン乳化分散機に通過させる操作を行うことが好ましい。
上記のいずれの方式においても、インライン乳化分散機を2つ以上連結させてもよい。
インライン乳化分散機は、油剤混合液に剪断力を効率的に付与し、シリカ前駆体の反応を抑制しつつ、乳化を速やかに進行させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくはローター及びステーターを有する。
ローター及びステーターを有する乳化分散機とは、乳化分散室内におけるローター(回転部)とステーター(非回転部)との間で生じる剪断場を利用する任意の分散機である。すなわち、ローターとステーターとのクリアランスとローターの回転数を種々変化させることで剪断速度を調整し、乳化分散室内で回転するローターとステーターとの間を油剤混合液が通過することにより、該油剤混合液に剪断力を付与して乳化を行うことができる。
インライン乳化分散機としては、キャビトロン(株式会社ユーロテック製)、マイルダー(大平洋機工株式会社製)等が挙げられる。これらの中でも、所望の剪断力を油剤混合液に付与できる観点から、キャビトロン(株式会社ユーロテック製)又はマイルダー(大平洋機工株式会社製)が好ましく、キャビトロン(株式会社ユーロテック製)が特に好ましく例示される。
工程1の乳化において油剤混合液に付与される剪断力は、インライン乳化分散機の乳化分散室容積あたりのローターの回転エネルギーQを指標として調整することが好ましい。
インライン乳化分散機の乳化分散室容積あたりのローターの回転エネルギーQは、下記の計算式(I)に基づいて求められる。
回転エネルギーQ(W/m3)=〔ローターの回転所要動力P(W)〕/〔インライン乳化分散機の乳化分散室容積(m3)〕 (I)
式(I)中、ローターの回転所要動力P(W)は下記の(実験式1)により算出する。
ローターの回転所要動力P(W)=n3×d5×ρ (実験式1)
n:ローターの回転数(s-1
d:ローターの外径(m)
ρ:油剤混合液の密度(kg/m3
ここで、ρは、1000(kg/m3)の近似値を用いる。
前記回転エネルギーQは、油剤混合液への剪断効果を高め、シリカ前駆体の反応率を抑制しつつ、平均粒子径が10μm以下の微細な乳化液を速やかに製造する観点から、好ましくは1×107W/m3以上、より好ましくは1×108W/m3以上、更に好ましくは1×109W/m3以上である。また、製造効率の観点から、前記回転エネルギーQは、好ましくは1×1012W/m3以下であってもよい。
また、工程1の乳化において油剤混合液に付与される剪断力は、インライン乳化分散機の乳化分散室容積あたりのローターの回転エネルギーQに乳化時間を考慮した回転エネルギーQ’を指標として調整してもよい。
前記回転エネルギーQ’は、下記の計算式(II)に基づいて求められる。
回転エネルギーQ’(W・h/m3)=[〔ローターの回転所要動力P(W)〕×〔乳化時間(h)〕]/〔インライン乳化分散機の乳化分散室容積(m3)〕 (II)
式(II)中、ローターの回転所要動力P(W)、n、d、ρは、前記式(I)と同じである。
ここで、ρは、1000(kg/m3)の近似値を用いる。
前記回転エネルギーQ’は、油剤混合液への剪断効果を高め、シリカ前駆体の反応率を抑制しつつ、平均粒子径が10μm以下の微細な乳化液を速やかに製造する観点から、好ましくは1×106W・h/m3以上、より好ましくは1×107W・h/m3以上、更に好ましくは1×108W・h/m3以上である。また、製造効率の観点から、前記回転エネルギーQ’は、好ましくは1×1012W・h/m3以下であってもよい。
なお、複数のインライン乳化分散機を直列で用いた場合やマイルダー(大平洋機工株式会社製)のように乳化分散室内にローターとステーターとを複数段で具備するインライン乳化分散機を用いる場合、前記ローターの回転所要動力P(W)は、各インライン乳化分散機で算出される回転所要動力P(W)の合計又は各段で算出される回転所要動力P(W)の合計を意味する。
また、工程1の乳化途中で、ローターの回転数等の条件を変更した場合は、前記回転エネルギーQ’(W・h/m3)は、各条件と該条件で行った各乳化時間から算出される回転エネルギーQ’(W・h/m3)の合計として求める。
さらに、上記の回転エネルギーQ’(W・h/m3)を工程1で用いる油剤混合液の量(kg)で除した、油剤混合液の量(kg)あたりの回転エネルギーQ’(W・h/m3)(すなわち、乳化分散室容積及び油剤分散液の量あたりのローターの回転エネルギーQ’’(W・h/(m3・kg)))は、油剤混合液への剪断効果を高め、シリカ前駆体の反応率を抑制しつつ、平均粒子径が10μm以下の微細な乳化液を速やかに製造する観点から、好ましくは1×104W・h/(m3・kg)以上、より好ましくは1×105W・h/(m3・kg)以上、更に好ましくは0.5×106W・h/(m3・kg)以上である。また、製造効率の観点から、前記回転エネルギーQ’’は、好ましくは1×1012W・h/(m3・kg)以下であってもよい。
インライン乳化分散機の処理流量は、シリカ前駆体の反応が進行する前に平均粒子径が10μm以下の微細な乳化液を速やかに製造する観点から、好ましくは0.1L/min以上、より好ましくは0.5L/min以上、更に好ましくは1L/min以上、より更に好ましくは3L/min以上である。また、製造容易性の観点から、前記処理流量は、好ましくは1000L/min以下であってもよい。
インライン乳化分散機のローターの最外周周速は、所望の回転エネルギーを付与する観点から、好ましくは3m/s以上、より好ましくは5m/s以上、更に好ましくは10m/s以上、より更に好ましくは15m/s以上、より更に好ましくは20m/s以上であり、そして、乳化分散室内での液温上昇を抑制する観点から、好ましくは50m/s以下、より好ましくは45m/s以下である。
工程1における乳化をインライン乳化分散機を用いて行う際の、工程1におけるインライン乳化分散機のパス回数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、上限は特にないが、製造効率上、好ましくは100,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは5,000以下、より更に好ましくは3,000以下、より更に好ましくは2,000以下、より更に好ましくは1,500以下、より更に好ましくは1,300以下である。
パス回数は、油剤混合液がローターにより受ける剪断回数を示すものであり、下記の計算式(III)に基づいて求められる。
パス回数=[〔乳化時間(h)×60〕×〔循環流量(kg/min)〕]/〔工程1で用いる油剤混合液の量(kg)〕 (III)
工程1の乳化に供する油剤混合液の液温は、シリカ前駆体の反応を抑制する観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下、より更に好ましくは30℃以下である。また、製造効率の観点から、工程1の乳化に供する油剤混合液の液温は、好ましくは0℃以上であってもよい。
工程1の乳化時間は製造規模等によって適宜調整することができるが、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは6.5時間以下、より更に好ましくは6時間以下、より更に好ましくは5時間以下、より更に好ましくは4時間以下であり、そして、製造容易性の観点から、好ましくは0.003時間以上、より好ましくは0.01時間以上、更に好ましくは0.1時間以上である。工程1の乳化時間を短くすることにより、油水接触時間を短くすることができ、シリカ前駆体の反応を抑制することができる。
例えば、工程1で用いる油剤混合液の量が100kg以上である場合、工程1の乳化時間は、シリカ前駆体の反応を抑制する観点から、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは8時間以下、より更に好ましくは6.5時間以下、より更に好ましくは6時間以下、より更に好ましくは5時間以下、より更に好ましくは4時間以下、より更に好ましくは3時間以下であり、そして、製造容易性の観点から、好ましくは0.1時間以上である。
工程1で得られる乳化液の乳化滴のメジアン径D50は、得られるシリカカプセル粒子外環境に対する比表面積を低減し、油剤の保持性を向上させる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上、より更に好ましくは0.7μm以上であり、そして、得られるシリカカプセル粒子の分散安定性の観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、更に好ましくは5μm以下、より更に好ましくは3μm以下、より更に好ましくは2μm以下、より更に好ましくは1.5μm以下である。
前記乳化滴のメジアン径D50は、実施例に記載の方法により測定することができる。
工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率は、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下、より更に好ましくは55%以下、より更に好ましくは50%以下、より更に好ましくは40%以下、より更に好ましくは35%以下、より更に好ましくは30%以下であり、そして、0%以上であり、製造容易性の観点から、好ましくは1%以上である。
前記シリカ前駆体の反応率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<工程2>
(シリカカプセル粒子の形成)
工程2は、工程1で得られた乳化液を用いて、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する工程である。
工程2において、前記乳化液をバッチ式撹拌槽内で撹拌することにより、工程1で形成した乳化滴の部分的又は全体的な破壊を抑制し、緻密で強固なシェルを有するシリカカプセル粒子が形成され、油剤の内包率を高めることができると考えられる。
工程2において、工程1で得られた乳化液に水を添加して希釈した後、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成することが好ましい。この希釈操作を含むことにより、工程1において乳化処理に供する油剤混合液の量を低減させて、油剤混合液に剪断力を効率的に付与することができ、乳化時間を短縮させることができ、工程1で形成する乳化滴の部分的又は全体的な破壊を抑制し、油剤の内包率を高めることができる。
工程2における希釈は、工程1で用いる油剤及びシリカ前駆体の合計量が、希釈後の乳化液の総量100質量部に対して、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは27質量部以下であり、そして、製造効率の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上となるように行う。
希釈倍率は、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.4倍以上、更に好ましくは1.5倍以上であり、そして、製造効率の観点から、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、より好ましくは1.8倍以下である。
なお、本発明において「希釈倍率」とは、工程2に供する工程1で得られた乳化液の希釈前の総量に対する、希釈後の乳化液の総量の質量比〔(希釈後の乳化液の総量)/(工程2に供する工程1で得られた乳化液の希釈前の総量)〕である。
工程2においてシリカカプセル粒子の形成に供する乳化液のpHは、シリカ前駆体の加水分解反応と重縮合反応のバランスを保つ観点、及び、親水性の高いゾルの生成を抑制し、油剤の内包化を促進させ、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.3以上、更に好ましくは3.5以上であり、そして、シリカシェルの形成と乳化滴の凝集の併発を抑制し、油剤の内包率を高める観点から、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.3以下、更に好ましくは4.0以下である。
工程2において、乳化液を所望のpHに調整する観点から、工程1で得られる乳化液のpHに応じて、工程1で得られた乳化液にpH調整剤を添加し、該乳化液のpHを調整した後、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成してもよい。
pH調整剤は、工程1で得られる乳化液のpHに応じて、酸性のpH調整剤及びアルカリ性のpH調整剤を適宜選択して用いることができる。
酸性のpH調整剤としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液などが挙げられ、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、及びクエン酸から選ばれる1種以上である。
アルカリ性のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタンなどが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上である。
また、油剤の種類によっては、工程1で得られる乳化液のpHが所望の値以下となることもある。その場合には、上記のアルカリ性のpH調整剤を用いて調整することが好ましい。
工程2における油剤含有シリカカプセル粒子の形成は、工程1で形成する乳化滴の部分的又は全体的な破壊を抑制し、油剤の内包率を高める観点から、撹拌翼を用いた分散機にて撹拌しながら行うことが好ましい。
前記撹拌翼としては、例えば、パドル翼、タービン翼、アンカー翼、リボン翼、及びプロペラから選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
工程2における撹拌速度は、工程1で形成する乳化滴の部分的又は全体的な破壊を抑制し、油剤の内包率を高める観点から、先端周速で、好ましくは200r/min以下、より好ましくは100r/min以下、更に好ましくは90r/min以下であり、そして、粒径分布の狭いシリカカプセル粒子を得る観点から、好ましくは10r/min以上、より好ましくは15r/min以上、更に好ましくは20r/min以上である。
工程2における液温は、好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下である。
工程2における撹拌時間は、製造規模、撹拌速度、温度条件等にもよるが、好ましくは6時間以上、より好ましくは12時間以上、更に好ましくは18時間以上であり、そして、好ましくは48時間以下、より好ましくは36時間以下、更に好ましくは30時間以下である。
工程2においては、油剤の内包率を高める観点から、工程1で得られた乳化液を用いて油剤含有シリカカプセル粒子(この場合の油剤含有シリカカプセル粒子を「油剤含有シリカカプセル粒子(1)」ともいう)形成した後、更にシリカ前駆体を添加して、油剤含有シリカカプセル粒子を形成してもよい。これにより、油剤含有シリカカプセル粒子(1)の第1のシェルを包接する第2のシェルが形成され、得られる油剤含有シリカカプセル粒子のシェルをより緻密で強固なものとすることができる。
工程2において更にシリカ前駆体を添加する場合に用いるシリカ前駆体は、ゾル-ゲル反応を促進させ、油剤の内包率を高める観点から、前述のシリカ前駆体と同様に、好ましくはテトラアルコキシシランを含み、より好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランであり、更に好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラエトキシシランである。
前記シリカ前駆体がテトラアルコキシシランを含む場合、該シリカ前駆体中のテトラアルコキシシランの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
工程2において更にシリカ前駆体を添加する場合に用いるシリカ前駆体の量は、油剤の内包率を高める観点から、工程1で用いる油剤100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
工程2において更にシリカ前駆体を添加する場合において、工程2の第2のシェル形成における撹拌速度、液温、及び撹拌時間の好ましい範囲は、前述の油剤含有シリカカプセル粒子(1)の第1のシェル形成における撹拌速度、液温、及び撹拌時間の好ましい範囲と同様である。
本発明の製造方法により得られる油剤含有シリカカプセル粒子は、好ましくは油剤含有シリカカプセル粒子が水中に分散された水分散体として得られる。用途によっては該水分散体をそのまま用いることもできるが、場合によっては、油剤含有シリカカプセル粒子を分離して用いることもできる。分離方法としては、ろ過法、遠心分離法等を採用することができる。
本発明の製造方法により得られる油剤含有シリカカプセル水分散体には、必要に応じて、pH調整剤、色素、防腐剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シェル表面変性剤、分散剤、無機塩、増粘剤、沈着助剤、レオロジー調整剤等の他の成分を更に添加してもよい。
本発明に係る油剤含有シリカカプセル粒子のメジアン径D50は、シリカカプセル粒子外環境に対する比表面積を低減し、油剤の保持性を向上させる観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上、より更に好ましくは0.7μm以上、より更に好ましくは1.0μm以上であり、そして、シリカカプセル粒子の分散安定性の観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、更に好ましくは5μm以下、より更に好ましくは3μm以下である。
油剤含有シリカカプセル粒子のメジアン径D50は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明に係る油剤含有シリカカプセル粒子は、種々の用途に用いることができる。本発明に係る油剤含有シリカカプセル粒子は、例えば、乳液、化粧液、化粧水、美容液、クリーム、ジェル製剤、毛髪処理剤、医薬部外品等の香粧品;洗浄剤、柔軟剤、しわ防止スプレー等の繊維処理剤;紙おむつ等の衛生用品;芳香剤等の各種用途に好適に用いることができる。
本発明に係る油剤含有シリカカプセル粒子は、洗浄剤組成物、繊維処理剤組成物、香粧品組成物、芳香剤組成物、消臭剤組成物等の組成物に配合して用いることができる。該組成物としては、好ましくは粉末洗浄剤組成物、液体洗浄剤組成物等の洗浄剤組成物;柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物などから選ばれる1種以上であり、より好ましくは繊維処理剤組成物、更に好ましくは柔軟剤組成物である。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法を開示する。
<1> 油剤を含むコアとシリカを構成成分とするシェルとを有する油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法であり、
工程1:界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体を含む油剤混合液を、インライン乳化分散機にて乳化し、乳化液を得る工程、及び、
工程2:工程1で得られた乳化液を用いて、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する工程、を含む、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
<2> 工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率が0%以上80%以下である、<1>に記載の製造方法。
<3> 工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率が0%以上60%以下である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4> 工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率が0%以上55%以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5> 工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率が0%以上50%以下である、<1>~<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6> 工程1で用いるインライン乳化分散機がローター及びステーターを有する、<1>~<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7> 工程1で用いるインライン乳化分散機が、キャビトロン又はマイルダーである、<1>~<6>のいずれかに記載の製造方法。
<8> 工程1の乳化において、インライン乳化分散機の乳化分散室容積あたりのローターの回転エネルギーQが1×107W/m3以上1×1012W/m3以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9> 工程1の乳化において、インライン乳化分散機の乳化分散室容積あたりのローターの回転エネルギーQ’が1×106W・h/m3以上1×1012W・h/m3以下である、<1>~<8>のいずれかに記載の製造方法。
<10> 工程1の乳化において、インライン乳化分散機の乳化分散室容積及び油剤分散液の量あたりのローターの回転エネルギーQ’’が1×104W・h/(m3・kg)以上1×1012W・h/(m3・kg)以下である、<1>~<9>のいずれかに記載の製造方法。
<11> 工程1の乳化において、インライン乳化分散機の処理流量が、0.1L/min以上1000L/min以下である、<1>~<10>のいずれかに記載の製造方法。
<12> 前記インライン乳化分散機のローターの最外周周速が3m/s以上50m/s以下である、<1>~<11>のいずれかに記載の製造方法。
<13> 前記インライン乳化分散機のローターの最外周周速が5m/s以上45m/s以下である、<1>~<12>のいずれかに記載の製造方法。
<14> 工程1で用いる油剤混合液の量が100kg以上である、<1>~<13>のいずれかに記載の製造方法。
<15> 工程1で用いる油剤混合液の量が300kg以上100,000kg以下である、<1>~<14>のいずれかに記載の製造方法。
<16> 工程1で用いる油剤混合液の量が500kg以上100,000kg以下である、<1>~<15>のいずれかに記載の製造方法。
<17> 工程1で用いる油剤混合液の量が1,000kg以上100,000kg以下である、<1>~<16>のいずれかに記載の製造方法。
<18> 工程1の乳化時間が12時間以下である、<1>~<17>のいずれかに記載の製造方法。
<19> 工程1の乳化時間が0.1時間以上10時間以下である、<1>~<18>のいずれかに記載の製造方法。
<20> 工程1の乳化時間が0.1時間以上8時間以下である、<1>~<19>のいずれかに記載の製造方法。
<21> 工程1の乳化時間が0.1時間以上6.5時間以下である、<1>~<20>のいずれかに記載の製造方法。
<22> 工程1の乳化時間が0.1時間以上6時間以下である、<1>~<21>のいずれかに記載の製造方法。
<23> 工程1の乳化に供する油剤混合液の液温が0℃以上50℃以下である、<1>~<22>のいずれかに記載の製造方法。
<24> 工程1の乳化に供する油剤混合液の液温が0℃以上40℃以下である、<1>~<23>のいずれかに記載の製造方法。
<25> 工程1の乳化に供する油剤混合液の液温が0℃以上35℃以下である、<1>~<24>のいずれかに記載の製造方法。
<26> 前記シリカ前駆体が、テトラアルコキシシランを含む、<1>~<25>のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
<27> 前記シリカ前駆体が、炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランである、<1>~<26>のいずれかに記載の製造方法。
<28> 前記シリカ前駆体が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上である、<1>~<27>のいずれかに記載の製造方法。
<29> 工程2において、工程1で得られた乳化液にpH調整剤を添加し、該乳化液のpHを4.5以下に調整した後、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する、<1>~<28>のいずれかに記載の製造方法。
<30> 前記乳化液のpHが3.0以上4.5以下である、<29>に記載の製造方法。
<31> 前記乳化液のpHが3.3以上4.3以下である、<29>又は<30>に記載の製造方法。
<32> 工程2において、工程1で得られた乳化液に水を添加して希釈した後、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する、<1>~<31>のいずれかに記載の製造方法。
<33> 工程2における希釈を、希釈後の乳化液の総量100質量部に対する工程1で用いる油剤及びシリカ前駆体の合計量が35質量部以下となるように行う、<32>に記載の製造方法。
<34> 工程1で用いる油剤混合液の界面活性剤及び水を含む水相成分と油剤及びシリカ前駆体を含む油相成分との質量比(水相成分/油相成分)が50/50以上99/1以下である、<1>~<33>のいずれかに記載の製造方法。
<35> 工程1で用いる油剤混合液の界面活性剤及び水を含む水相成分と油剤及びシリカ前駆体を含む油相成分との前記質量比(水相成分/油相成分)が53/47以上90/10以下である、<1>~<34>のいずれかに記載の製造方法。
<36> 工程1における乳化を、前記インライン乳化分散機を用いて外部循環式で行う、<1>~<35>のいずれかに記載の製造方法。
<37> 工程1における乳化を、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体をインラインで混合して前記油剤混合液を調製した後、該油剤混合液を前記インライン乳化分散機に供給して行う、<1>~<35>のいずれかに記載の製造方法。
<38> 工程1におけるインライン乳化分散機のパス回数が1以上100,000以下である、<36>又は<37>に記載の製造方法。
<39> 工程1におけるインライン乳化分散機のパス回数が1以上10,000以下である、<36>~<38>のいずれかに記載の製造方法。
<40> 工程1におけるインライン乳化分散機のパス回数が2以上5,000以下である、<36>~<39>のいずれかに記載の製造方法。
<41> 工程1におけるインライン乳化分散機のパス回数が3以上3,000以下であり、<36>~<40>のいずれかに記載の製造方法。
<42> 工程1で得られる乳化液の乳化滴のメジアン径D50が10μm以下である、<1>~<41>のいずれかに記載の製造方法。
<43> 工程1で得られる乳化液の乳化滴のメジアン径D50が0.1μm以上7μm以下である、<1>~<42>のいずれかに記載の製造方法。
<44> 工程1で得られる乳化液の乳化滴のメジアン径D50が0.3μm以上5μm以下である、<1>~<43>のいずれかに記載の製造方法。
<45> 工程1で得られる乳化液の乳化滴のメジアン径D50が0.5μm以上3μm以下である、<1>~<44>のいずれかに記載の製造方法。
<46> 工程2において、撹拌翼を用いた分散機を用いる、<1>~<45>のいずれかに記載の製造方法。
<47> 前記撹拌翼が、パドル翼、タービン翼、アンカー翼、リボン翼、及びプロペラから選ばれる1種以上である、<46>に記載の製造方法。
<48> 工程2における撹拌速度が10r/min以上200r/min以下である、<46>又は<47>のいずれかに記載の製造方法。
<49> 工程2における撹拌速度が15r/min以上100r/min以下である、<46>~<48>のいずれかに記載の製造方法。
<50> 工程2における撹拌速度が20r/min以上90r/min以下である、<46>~<49>のいずれかに記載の製造方法。
実施例で用いた各種測定及び算出は、以下の方法により行った。
[メジアン径D50
乳化滴のメジアン径D50及び油剤含有シリカカプセル粒子のメジアン径D50は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-960」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定はフローセルを使用し、媒体は水、分散質の屈折率は1.45-0iに設定した。乳化液又は油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、体積基準でメジアン径D50を求めた。
[シリカ前駆体の反応率]
工程1の乳化に供する油剤混合液100mgを、内部標準としてドデカンを10μg/mLの濃度で含むメタノール10gで希釈した後、この希釈液を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、油剤混合液100mg中のシリカ前駆体の量βを測定した。
続いて工程1で得られた乳化液100mgを、内部標準としてドデカンを10μg/mLの濃度で含むメタノール10gで希釈した後、この希釈液を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、乳化液100mg中に含まれる未反応のシリカ前駆体の量αを測定した。以下の式によりシリカ前駆体の反応率を算出した。
シリカ前駆体の反応率(%)=100-〔(乳化液100mg中に含まれる未反応のシリカ前駆体の量α)/(油剤混合液100mg中のシリカ前駆体の量β)〕×100
<モデル香料>
シリカカプセル粒子に内包する油剤として、表1に示す組成を有するモデル香料A(体積平均cLogP:3.7、比重:0.96)を用いた。なお、前記モデル香料の体積平均cLogP値は、モデル香料に含まれる香料成分のcLogP値にそれぞれモデル香料中における体積比率を乗じ、それらの和として算出した。
Figure 2023007501000001
実施例1
(工程1)
45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を備えた内容積300Lの球底円筒撹拌槽(内径0.70m)にて、0.7kgのコータミン60W(商品名、花王株式会社製;セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効成分30質量%)と89.4kgのイオン交換水とを温度15℃下、撹拌回転数80r/minで10分間混合し水相成分を調製した。この水相成分に、油剤として47.9kgのモデル香料Aとシリカ前駆体として12.0kgのテトラエトキシシラン(以下、「TEOS」とも表記する)とを内容積200Lドラム缶内で予備混合して調製した油相成分を加えて油剤混合液を得た。
得られた油剤混合液150.0kgを温度15℃下、前記パドル翼を用いて撹拌回転数80r/min、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて40L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:40m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1010」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて20分間循環して乳化し、乳化液を得た。得られた乳化液の乳化滴のメジアン径D50及びシリカ前駆体の反応率を表2に示す。
(工程2)
工程1で得られた乳化液に89.4kgのイオン交換水を添加して希釈し、pH調整剤として1質量%硫酸水溶液を添加してpH3.7に調整した後、液温を30℃に昇温して保持しつつ、前記パドル翼を用いて前記撹拌槽内にて80r/minで24時間撹拌し、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
なお、実施例1において、乳化生産性の指標として乳化液を100kg製造するために必要な時間は0.2時間であった。この時間は短いほど乳化生産性に優れることを表す。
実施例2
(工程1)
45°傾斜パドル翼(翼径1.3m)を備えた内容積6.5m3の球底円筒撹拌槽(内径1.9m)にて、6.9kgのコータミン60Wと879.1kgのイオン交換水とを温度15℃下、撹拌回転数35r/minで10分間混合し水相成分を調製した。この水相成分に、油剤として471.0kgのモデル香料Aとシリカ前駆体として118.0kgのテトラエトキシシランとを内容積6.5m3球底円筒槽内で予備混合して調製した油相成分を加えて油剤混合液を得た。
得られた油剤混合液1475.0kgを温度15℃下、前記パドル翼を用いて撹拌回転数35r/min、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて50L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:40m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1010」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて150分間循環して乳化し、乳化液を得た。得られた乳化液の乳化滴のメジアン径D50及びシリカ前駆体の反応率を表2に示す。
(工程2)
工程1で得られた乳化液に879.1kgのイオン交換水を添加して希釈し、pH調整剤として1質量%硫酸水溶液を添加してpH3.7に調整した後、液温を30℃に昇温して保持しつつ、前記パドル翼を用いて前記撹拌槽内にて35r/minで24時間撹拌し、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
なお、実施例2において、乳化生産性の指標として乳化液を100kg製造するために必要な時間は0.2時間であった。
実施例3
(工程1)
45°傾斜パドル翼(翼径1.9m)を備えた内容積15m3の球底円筒撹拌槽(内径2.5m)にて、42.2kgのコータミン60Wと5384.3kgのイオン交換水とを温度15℃下、撹拌回転数27r/minで10分間混合し水相成分を調製した。この水相成分に、油剤として2884.9kgのモデル香料Aとシリカ前駆体として722.7kgのテトラエトキシシランとを内容積15m3の球底円筒槽内で予備混合して調製した油相成分を加えて油剤混合液を得た。
得られた油剤混合液9034.0kgを温度15℃下、前記パドル翼を用いて撹拌回転数27r/min、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて300L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:23m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1030」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて140分間循環して乳化し、乳化液を得た。得られた乳化液の乳化滴のメジアン径D50及びシリカ前駆体の反応率及びを表2に示す。
(工程2)
工程1で得られた乳化液に5384.3kgのイオン交換水を添加して希釈し、pH調整剤として1質量%硫酸水溶液を添加してpH3.7に調整した後、液温を30℃に昇温して保持しつつ、前記パドル翼を用いて前記撹拌槽内にて27r/minで24時間撹拌し、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
なお、実施例3において、乳化生産性の指標として乳化液を100kg製造するために必要な時間は0.03時間であった。
実施例4
(工程1)
45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を備えた内容積5Lの球底円筒撹拌槽にて、9.3gのコータミン60Wと1192.0gのイオン交換水とを温度15℃下、撹拌回転数80r/minで10分間混合し水相成分を調製した。この水相成分に、油剤として638.7gのモデル香料Aとシリカ前駆体として160.0gのテトラエトキシシランとを内容積2Lのプラスチック容器内で予備混合して調製した油相成分を加えて油剤混合液を得た。
得られた油剤混合液2kgを温度15℃下、前記パドル翼を用いて撹拌回転数27r/min、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて7L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:5m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて3時間59分間循環して乳化した。続いて、ローターの最外周周速23m/sで1分間循環して乳化し、乳化液を得た。得られた乳化液の乳化粒子のメジアン径D50及びシリカ前駆体の反応率及びを表2に示す。
(工程2)
工程1で得られた乳化液に1192.0gのイオン交換水を添加して希釈し、pH調整剤として1質量%硫酸水溶液を添加してpH3.7に調整した後、液温を30℃に昇温して保持しつつ、前記パドル翼を用いて前記撹拌槽内にて27r/minで24時間撹拌し、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例5
実施例4の工程1において、ローターの最外周周速:5m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて5時間59分間循環して乳化し、続いてローターの最外周周速23m/sで1分間循環して乳化した以外は実施例4と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例6
実施例4の工程1において、油剤混合液の液温を30℃下で乳化を行った以外は実施例4と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例7
実施例5の工程1において、油剤混合液の液温を30℃下で乳化を行った以外は実施例5と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例8
実施例5の工程1において、ローターの最外周周速:5m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて9時間59分間循環して乳化し、続いてローターの最外周周速23m/sで1分間循環して乳化した以外は実施例5と同様の方法で、油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例9
実施例7の工程1において、ローターの最外周周速:5m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて6時間59分間循環して乳化し、続いてローターの最外周周速23m/sで1分間循環して乳化した以外は実施例7と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例10
実施例4の工程1において、油剤混合液2kgを温度15℃下、45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を用いて撹拌回転数27r/minで10分間撹拌して予備乳化した後、得られた予備乳化液をローターの最外周周速40m/sでインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)に1回のみ通過させる「ワンパス式」で乳化した以外は実施例4と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例11
実施例1の工程1において、油剤混合液150.0kgを温度15℃下、45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を用いて撹拌回転数80r/minで10分間撹拌して予備乳化した後、得られた予備乳化液をローターの最外周周速40m/sでインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1010」、株式会社ユーロテック製)に1回のみ通過させる「ワンパス式」で乳化した以外は実施例1と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例12
実施例3の工程1において、油剤混合液9034.0kgを温度15℃下、45°傾斜パドル翼(翼径1.9m)を用いて撹拌回転数27r/minで10分間撹拌して予備乳化した後、得られた予備乳化液をローターの最外周周速40m/sでインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1030」、株式会社ユーロテック製)に1回のみ通過させる「ワンパス式」で乳化した以外は実施例3と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例13
実施例4の工程1において、油剤混合液2kgを温度15℃下、45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を用いて撹拌回転数27r/minで10分間撹拌して予備乳化した後、予備乳化の温度及び撹拌回転数を維持したまま、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて7L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:40m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて1.5分間循環して乳化した以外は実施例4と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例14
実施例4の工程1において、油剤混合液2kgを温度15℃下、45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を用いて撹拌回転数27r/minで10分間撹拌して予備乳化した後、予備乳化の温度及び撹拌回転数を維持したまま、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて7L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:40m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて4分間循環して乳化した以外は実施例4と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例15
実施例4の工程1において、油剤混合液2kgを温度15℃下、45°傾斜パドル翼(翼径0.35m)を用いて撹拌回転数27r/minで10分間撹拌して予備乳化した後、予備乳化の温度及び撹拌回転数を維持したまま、エアー駆動ダイヤフラムポンプにて7L/minの流量で循環混合しながら、ローターの最外周周速:40m/sに設定したインライン乳化分散機(商品名「キャビトロン CD1000」、株式会社ユーロテック製)を用いて外部循環式にて12.5分間循環して乳化した以外は実施例4と同様の方法で、表2に示す油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体を得た。
実施例で得られた油剤含有シリカカプセル粒子に内包される油剤の内包率を以下の方法により算出して評価した。結果を表2に示す。
[油剤の内包率]
工程2で得られた油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体100mgを、内部標準としてドデカンを10μg/mLの濃度で含むメタノール10gで希釈した後、超音波照射装置(Branson社製、型式「5510」)を用いて出力180W、発振周波数42kHzの条件で超音波は60分照射して該シリカカプセル粒子内の油剤を溶出させた希釈液を得た。続いてこの希釈液に含まれるメチルジヒドロジャスモネ-トを、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体100mg中のメチルジヒドロジャスモネ-トの量yを油剤の配合量として測定した。
別途、工程2で得られた油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体100mgを、イオン交換水10gで希釈した後、メンブレンフィルター(Millipore社製、製品名「Omnipore」、型番「JAWP04700」)に通すことにより、メンブレンフィルター上に油剤含有シリカカプセル粒子を回収した。
更に、メンブレンフィルター上で、イオン交換水10mL、次いでヘキサン10mLにより油剤含有シリカカプセル粒子を洗浄後、該シリカカプセル粒子を、内部標準としてドデカンを10μg/mLの濃度で含むアセトニトリル2mLに浸漬し、超音波照射装置(Branson社製、型式「5510」)を用いて出力180W、発振周波数42kHzの条件で超音波は60分照射して該シリカカプセル粒子内の油剤を溶出させた。この溶液をもう一度メンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、製品名「DISMIC」、型式「13JP020AN」)に通液後、この溶液に含まれるメチルジヒドロジャスモネ-トを、ガスクロマトグラフィーを用いて測定し、該シリカカプセル粒子に内包されていたメチルジヒドロジャスモネ-トの量xとした。以下の式により油剤の内包率を算出した。
油剤の内包率(%)={(油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体100mg中の油剤含有シリカカプセル粒子に内包されていたメチルジヒドロジャスモネ-トの量x)/(油剤含有シリカカプセル粒子を含む水分散体100mg中のメチルジヒドロジャスモネ-トの量y)}×100
Figure 2023007501000002
表2より、実施例の方法は、油剤の内包率が高いことがわかる。
また、実施例1~3,11,12は、工程1において大量の油剤混合液を用いるにもかかわらず、前述のとおり乳化液を100kg製造するために必要な時間が短く、乳化生産性に優れていることがわかる。
本発明によれば、油剤の内包率が高い、油剤含有シリカカプセル粒子を製造することができる。また、本発明は、乳化生産性が高いため、大量の油剤混合液を用いる工業的な規模での油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法として有用である。

Claims (17)

  1. 油剤を含むコアとシリカを構成成分とするシェルとを有する油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法であり、
    工程1:界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体を含む油剤混合液を、インライン乳化分散機にて乳化し、乳化液を得る工程、及び、
    工程2:工程1で得られた乳化液を用いて、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する工程、を含む、油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  2. 工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率が80%以下である、請求項1に記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  3. 工程1で用いるインライン乳化分散機がローター及びステーターを有する、請求項1又は2に記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  4. 工程1の乳化において、前記インライン乳化分散機の乳化分散室容積及び油剤分散液の量あたりのローターの回転エネルギーQ’’が1×104W・h/(m3・kg)以上である、請求項3に記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  5. 工程1で用いる油剤混合液の量が100kg以上である、請求項1~4のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  6. 工程1の乳化時間が12時間以下である、請求項1~5のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  7. 前記シリカ前駆体が、テトラアルコキシシランを含む、請求項1~6のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  8. 工程2において、工程1で得られた乳化液にpH調整剤を添加し、該乳化液のpHを4.5以下に調整した後、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する、請求項1~7のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  9. 工程2において、工程1で得られた乳化液に水を添加して希釈した後、バッチ式撹拌槽内で油剤含有シリカカプセル粒子を形成する、請求項1~8のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  10. 工程2における希釈を、希釈後の乳化液の総量100質量部に対する工程1で用いる油剤及びシリカ前駆体の合計量が35質量部以下となるように行う、請求項9に記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  11. 工程1で用いる油剤混合液の界面活性剤及び水を含む水相成分と油剤及びシリカ前駆体を含む油相成分との質量比(水相成分/油相成分)が50/50以上99/1以下である、請求項1~10のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  12. 工程1における乳化を、前記インライン乳化分散機を用いて外部循環式で行う、請求項1~11のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  13. 工程1における乳化を、界面活性剤、水、油剤、及びシリカ前駆体をインラインで混合して前記油剤混合液を調製した後、該油剤混合液を前記インライン乳化分散機に供給して行う、請求項1~11のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  14. 工程1におけるインライン乳化分散機のパス回数が1以上である、請求項1~13のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  15. 工程1で得られる乳化液の乳化滴のメジアン径D50が10μm以下である、請求項1~14のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  16. 工程2において、撹拌翼を用いた分散機を用いる、請求項1~15のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
  17. 工程1で得られる乳化液のシリカ前駆体の反応率が55%以下である、請求項1~16のいずれかに記載の油剤含有シリカカプセル粒子の製造方法。
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