JP4318069B2 - インライン型連続混合装置及びマイクロカプセルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインライン型連続混合装置及びマイクロカプセルの製造方法に係り、特に回転翼の回転軸を軸封するメカニカルシールを有するインライン型連続混合装置で反応性薬液を混合するための技術改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロカプセルを利用した感圧紙、感熱紙、写真感光材料、化粧品或いは塗料等の製造においては、予めカプセルの芯物質となる溶質を溶解せしめた油相溶液に多価イソシアネートを含有する薬液などを加えてインライン型連続混合装置で混合し、 さらに該混合薬液に水相溶液を加えた後、攪拌等によって水中油型乳化物に仕上げる操作が広く使われている。更に、適切な助剤を加えた後に加熱等の操作を行うことでポリウレタンやポリウレアの皮膜を形成しマイクロカプセルとするもので、 例えば特開平5−57178号公報に開示されている。
【0003】
これら一連の操作のなかで、油相溶液に多価イソシアネートなどの薬液を混合する混合装置としては、インラインでの長時間の連続混合による生産性向上の目的から、特開平5−57178号公報にも記載されるようにインライン型連続混合装置が使用されている。また、 インライン型連続混合装置としては、高せん断ミキサーなどのインラインミキサー、パイプラインホモミキサー、ホモミックラインフロー、 ファインフローミルなども用いることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インライン型連続混合装置を用いて、プロセス流体としての油相溶液に、多価イソシアネートと該多価イソシアネートと反応するポリオールなどの薬液を連続的に添加して連続混合する場合、インライン型連続混合装置の攪拌流路に黒褐色の極めて固い反応物が生成される。この生成された反応物が攪拌流路に設けられた攪拌翼を支持する回転軸を軸封するメカニカルシールに付着成長してメカニカルシールのシール性能を低下させて、メカニカルシールからの液漏れを誘発させてしまうという問題がある。
【0005】
また、油相溶液に極く微量含まれる水分と多価イソシアネートが反応し、その反応物がメカニカルシールに付着成長してメカニカルシールのシール性能を低下させて、メカニカルシールからの液漏れを誘発させてしまうという問題もある。
【0006】
特に、メカニカルシールは、シール環部材を回転環部材に押し付ける押し付け手段に反応物が固着すると、回転環部材の高速回転により発生する振動に押し付け手段が追従できなくなり、シール環部材の回転環部材に対する押し付け力が低下して液漏れの原因になる。
【0007】
これにより、インライン型連続混合装置による連続混合の本来の長所である長時間にわたる安定的な操業が困難になり、 極めて短時間での操業停止と分解洗浄を余儀なくされてしまうために生産効率の著しい低下を招いていた。
【0008】
本発明は係る問題に鑑みてなされたもので、反応性を有する薬液を混合する場合にも長時間の安定した連続混合を行うことができるインライン型連続混合装置及びマイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、混合装置本体のケーシング内には、注入口と吐出口とを連通する攪拌流路が形成され、攪拌流路の中心線方向に、軸受に支持された回転軸が配設され、前記回転軸の軸受側に該回転軸を軸封するメカニカルシールを設けて前記攪拌流路からの前記薬液の漏出を防止すると共に、前記回転軸に前記注入口から前記攪拌流路に注入された複数の薬液を混合する回転翼を設けたインライン型連続混合装置において、前記メカニカルシールは、前記回転軸に支持され、該回転軸と一緒に回転する回転環部材と、前記ケーシングに、前記回転環部材方向に対して進退移動可能に支持されたシール環部材と、前記攪拌流路とは反対側に設けられ、前記シール環部材を前記回転環部材の方向に付勢して前記シール環部材と前記回転環部材とを当接させることにより、前記回転軸を軸封する押し付け手段と、で構成されると共に、前記進退移動可能なシール環部材と前記ケーシングとの間に形成される隙間を前記攪拌流路に対して遮蔽することにより、前記押し付け手段に前記攪拌流路を流れる薬液を接液させないための接液防止手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、メカニカルシールの回転環部材とシール環部材とを押し付ける押し付け手段に前記攪拌流路を流れる薬液を接液させないための接液防止手段を設けたので、攪拌流路を流れる薬液が押し付け手段まで到達しない。これにより、インライン型連続混合装置で反応性を有する薬液を混合する際に反応物がメカニカルシールの押し付け手段に固着して押し付け力を低下させることがないので、メカニカルシールからの液漏れを効果的に防止することができる。従って、反応性を有する薬液を混合する場合にも長時間の安定した連続混合を行うことができる。
【0011】
本発明の請求項2は、請求項1において、接液防止手段を、攪拌流路を臨むと共に押し付け手段に至る隙間を攪拌流路から遮断する隔膜部材で構成したもので、押し付け手段を攪拌流路から物理的に隔離することができるので、抜本的な解決を図ることができる。
【0012】
前記目的を達成するために本発明の請求項3は、予めカプセルの芯物質となる溶質を溶解せしめた油相溶液に多価イソシアネートとポリオールを加えてインライン型連続混合装置で混合し、 該混合薬液を乳化剤を含有した水相溶液中に乳化分散し、該乳化分散液に多価アミンを反応させてマイクロカプセルを製造するマイクロカプセルの製造において、前記インライン型連続混合装置として、請求項1〜2の何れか1に記載のインライン型連続混合装置を用いることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3によれば、例えば、感圧紙、感熱紙、写真感光材料、化粧品或いは塗料等に使用されるマイクロカプセルの製造において、油相溶液に多価イソシアネートとポリオールを混合する際に、本発明のインライン型連続混合装置を用いるようにしたので、長時間の安定した連続混合を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面に従って本発明のインライン型連続混合装置及びマイクロカプセルの製造方法の好ましい実施の形態を詳説する。
【0015】
図1は、本発明のインライン型連続混合装置10の外観図である。また、図2は、インライン型連続混合装置10の内部構造を説明する要部断面図である。
【0016】
図1に示すように、インライン型連続混合装置10は、混合装置本体12、軸受14、及びモータ16とで構成され、軸受14及びモータ16は本発明の要部ではないので説明は省略する。
【0017】
図2に示すように、混合装置本体12のケーシング18内には、2つの注入口20、22と1つの吐出口24に連通する円筒状の攪拌流路26が形成され、攪拌流路26の中心線方向に軸受14(図1参照)に支持された回転軸28が配設される。そして、攪拌流路26の軸受14側には、回転軸28を軸封するメカニカルシール30が設けられ、メカニカルシール30の反対側に前記した吐出口24が設けられる。また、2つの注入口20、22は、メカニカルシール30の上流側と下流側とに分散配置され、上流側の注入口(以下、「上流側注入口20」という)から注入した薬液(以下、「プロセス流体」という)により攪拌流路26に該上流側注入口20から吐出口24へ至る流れを形成する。また、下流側の注入口22(以下、「下流側注入口22」という)近傍位置から吐出口24の間に回転翼32が設けられる。回転翼32は、回転軸28に支持されると共に、複数の攪拌羽根32Aを有し、回転軸28の高速回転と一緒に回転翼32が高速回転することにより攪拌流路26の回転翼32位置に薬液同士を混合する混合エリア26Aを形成する。回転翼32としては、プロペラ、パドル、タービン翼などが好適に使用できるが、薬液同士を均一に混合できるものであれば形式や構造に限定されない。
【0018】
更に、攪拌流路26の回転翼32とメカニカルシール30との間には逆流防止機構34が設けられる。
【0019】
逆流防止機構34は、回転軸28に対して垂直なドーナツ板状の堰板36を少なくとも1枚配設することにより構成される。堰板36は、回転軸28よりも大径な中心孔36Aが回転軸28に挿通されると共に、その周縁部がケーシング18の内壁面に固定された堰板支持部材37に支持される。尚、図2では、堰板36をケーシング18に支持する静止型の堰板36で説明したがこれに限定されず、堰板36を回転軸28に支持してケーシング18側を離間するようにし、回転軸28と一緒に回転する回転型の堰板36で構成してもよい。更には、静止型の堰板36と回転型の堰板36とを組み合わせて構成してもよい。
【0020】
また、上流側から下流側へのプロセス流体の流れを阻害しないように、堰板36の周縁部側に開口36Bを適宜形成してもよい。堰板36の開口比率や堰板36自体の大きさは、プロセス流体の粘度や流量、更には攪拌流路26の内部寸法や形状等により適宜設定することが好ましい。特に、堰板36を複数枚で構成する場合には、堰板36の周縁部側に開口36Bを形成したものと、開口36Bが形成されていないものを交互に配列するとよい。これにより、図2に示すように流れが蛇行した迷路状流路が形成され、この迷路状流路を形成することにより、堰板36によるプロセス流体の流れ抵抗を小さくし、且つ混合エリア26Aの薬液がメカニカルシール30側に逆流するのを効果的に防止することができる。また、堰板36の長さ(半径)は攪拌流路26の下流側にいくに従って長く形成されることが好ましい。これにより、混合エリア26Aの薬液がメカニカルシール30側に逆流するのを一層確実に防止することができる。堰板36の枚数としては、枚数が少なすぎると逆流防止機能が不十分になり、多すぎるとプロセス流体の下流側への流れを阻害するので、2〜10枚が好ましく、2〜5枚が更に好ましい。
【0021】
図3は、メカニカルシール30を説明する要部断面の拡大図である。
【0022】
図3に示すように、メカニカルシール30は、主として、回転軸28に支持されて回転軸28の高速回転と一緒に回転する回転環部材38と、ケーシング18側の支持部材40に回転環部材38方向に対して進退移動可能に支持されるシール環部材42と、シール環部材42を回転環部材38方向に付勢する押し付け手段44とで構成される。そして、回転環部材38に設けた先端が尖鋭な尖鋭リング46と、シール環部材42に設けた端面が平坦なシールリング48とが押付け手段44に押圧された状態で当接する。このとき、押し付け手段44の付勢力によりシールリング48は尖鋭リング46に対して常に適切な圧力で押し付けられる。押し付け手段44としては、スプリングタイプやベローズタイプのものを好適に使用することができるが、シールリング48を尖鋭リング46に対して常に適切な押し付け力で押し付けられるものであれば特に限定されない。このように構成されたメカニカルシール30は、回転軸28が高速回転しても攪拌流路26を流れる液が漏出しないようにでき、回転環部材38の高速回転により発生する振動を押し付け手段44で吸収する。
【0023】
また、回転軸28と回転環部材38との間、支持部材40とシール環部材42との間、支持部材とケーシング18との間をシールするために、それぞれ第1のOリング50、第2のOリング52、第3のOリング54が設けられる。
【0024】
更に、メカニカルシール30の回転環部材38とシール環部材42とを押し付ける押し付け手段44に、攪拌流路26を流れる薬液を接液させない接液防止手段が設けられる。接液防止手段としては、攪拌流路26に面するケーシング18とシール環部材42との隙間56入口を遮蔽するようにケーシング18とシール環部材42との間に渡設された円筒状の隔膜部材58を好適に使用することができる。隔膜部材58の渡設位置としては、隙間56入口に限定するものではなく、攪拌流路26を流れる薬液が押し付け手段44に到達しないようにできる位置であれば良い。隔膜部材58をケーシング18とシール環部材42とに取り付ける方法としては、隔膜部材58の上に金属環60を嵌め込み、金属環60の上からボルト62止めする方法や、隔膜部材58を接着剤(図示せず)でケーシング18とシール環部材42に固着するようにしてもよい。隔膜部材58を確実に取り付けることができる方法であれば何でも良い。この隔膜部材58は、回転環部材38の高速回転による振動を吸収するシール環部材42の進退移動を阻害しないように、例えばゴムシートやフッ素樹脂シートなどの比較的柔らかく薄いものを使用することが好ましい。隔膜部材58の厚みとしては、5mm以下、より好ましくは3mm以下がよい。更に、隔膜部材58は、隙間56の幅よりも幅広なものを使用して隔壁部材58の中央部に曲がり部58Aを形成して余裕をもたせておくとよい。これにより、攪拌流路26に面するケーシング18とシール環部材42との隙間56を塞ぐことができるだけでなく、図3の矢印方向に伸縮可能なのでシール環部材42の進退移動を阻害することもない。尚、接液防止手段は、前記した隔膜部材58に限定されるものではなく、押し付け手段44を攪拌流路26から物理的に隔離でき、且つシール環部材42の進退移動を妨げないものであればどんなものでもよい。例えば、アコーデオンカーテンのように折り畳むことで長さを調節できるものでもよい。
【0025】
また、インライン型連続混合装置10を構成する部材のうち、薬液に接液する部分については、撥水性や撥油性に優れたフッ素系樹脂を予めコーティングしたりライニングしたりしておくことが好ましい。また、インライン型連続混合装置10には、その軸封の冷却のために冷却水やエチレングリコールなどの冷却液が供給されてもいてもよい。
【0026】
図4は、上記の如く構成されたインライン型連続混合装置10を、感圧紙、感熱紙、写真感光材料、化粧品或いは塗料等に使用される本発明のマイクロカプセルの製造方法に適用した一例である。
【0027】
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、予めカプセルの芯物質となる溶質を溶解せしめた油相溶液に多価イソシアネートとポリオールを加えてインライン型連続混合装置で混合し、 該混合薬液を乳化剤を含有した水相溶液中に乳化分散し、該乳化分散液に多価アミンを反応させて液滴界面でマイクロカプセルを製造するものであるが、図4には、マイクロカプセルの製造ラインのうちのインライン型連続混合装置10前後のフローのみを示した。
【0028】
図4に示すように、予めカプセルの芯物質となる溶質を溶解せしめたプロセス流体としての油相溶液が第1の貯蔵タンク64に貯蔵され、多価イソシアネートとポリオールは、 第2、第3の貯蔵タンク66、68に貯蔵されている。油相溶液、多価イソシアネート及びポリオールは、 それぞれの貯蔵タンク64、66、68で攪拌されて均質化が図られると共に適切な温度に温度調整される。また、貯蔵タンク64、66、68の液面上の空間を窒素などの不活性ガスやドライエアでシールすると、貯蔵薬液の品質変化及び濃度変化を防止できるので好ましい。更に、貯蔵タンク64、66、68内の液量が減った場合に自動的に補給されるシステムを具備すると、品質維持に好ましい。
【0029】
各貯蔵タンク64、66、68に貯蔵された各貯蔵薬液のうち、プロセス流体である油相溶液は、第1の定量送液ポンプ70によりインライン型連続混合装置10の上流側注入口20に連続注入される。一方、多価イソシアネートとポリオールは、それぞれの第2、第3の定量送液ポンプ72、74によりインライン型連続混合装置10の下流側注入口22に連続注入される。ここで、 定量送液ポンプ70、72、74としては、ギアポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどの定量送液性能に優れたポンプであれば良い。
【0030】
次に、インライン型連続混合装置10の上流側注入口20に注入された油相溶液は、 混合エリア26Aにおいて下流側注入口22から注入された多価イソシアネート、ポリオールと回転翼32により均一に混合されて吐出口24から吐出される。この混合操作において、上流側注入口20に注入された油相溶液は、 上流側注入口20から吐出口24に至る流れを攪拌流路26に形成する。また、回転翼32は、メカニカルシール30よりも下流側に設けられている。この流れと回転翼の位置により、下流側注入口22から注入された多価イソシアネートとポリオールは、回転翼32の回転流による乱れが生じてもメカニカルシール30側に逆流しにくくできる。更には、メカニカルシール30と回転翼32との間に配設された複数枚の堰板36により、メカニカルシール30への逆流を一層抑制することができる。このように、下流側注入口22から注入された多価イソシアネートとポリオールは、上流側にあるメカニカルシールまで逆流して到達することができない。従って、多価イソシアネートとポリオールとの反応物であるポリウレアレジンや、油相溶液に微量含まれる水分と多価イソシアネートとの反応物であるポリウレタンレジンが、メカニカルシール30に付着成長しにくくなるので、メカニカルシール30のシール性能が低下しにくくなる。これによりメカニカルシール30からの液漏れを誘発させてしまうのを効果的に抑制できる。
【0031】
また、メカニカルシール30のうち、攪拌流路26に面するケーシング18とシール環部材42との隙間56を遮断する隔膜部材58を設けたので、下流側注入口22から注入された多価イソシアネートとポリオール、及び上流側注入口20から注入された油相溶液のいずれもメカニカルシール30の押し付け手段44に接液することはない。これにより、多価イソシアネートとポリオールとの反応物であるポリウレアレジンや、油相溶液に微量含まれる水分と多価イソシアネートとの反応物であるポリウレタンレジンが、押し付け手段44に固着することがない。これにより、回転環部材38の高速回転により発生する振動に押し付け手段44が精度良く追従するので、シール環部材42の回転環部材38に対する押し付け圧を常に適正に維持することができる。従って、押し付け圧が低下して液漏れを生じることがない。
【0032】
次に、図4のように、インライン型連続混合装置10で混合された油相溶液、多価イソシアネート及びポリオールの混合薬液は連続乳化タンク76に送液される。連続乳化タンク76では、混合薬液に水相溶液配管78から水相溶液を加えた後、攪拌機80によって水中油型乳化物の乳化分散液に仕上げられる。そして、該乳化分散液に多価アミンを反応させて液滴界面でポリウレタンウレア樹脂壁であるマイクロカプセルを製造する。
【0033】
ここで、本発明の実施の形態において、上流側注入口20から注入される油相溶液中の溶質としては、例えば感圧複写紙用のカプセルで常用されている各種の塩基性無色染料、その他各種の記録材料、医薬品、香料、 農薬、 化成品、接着材、液晶、塗料、食品、 洗剤、溶剤、触媒、酵素、防錆剤等が目的とするカプセルの用途に併せて用いられる。 尚、 塩基性無色染料としては、 例えばクリスタルバイオレットラクトン、8,8-ビス(p- ジメチルアミノフエニル) フタリド、3-(p- ジメチルアミノフエニル)-3-(1,2- ジメチルインドール -3-イル) フタリドなどのトリアリールメタン系化合物、4,4'- ビス- ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル、N-ハロフエニルーロイコオーアミン、N-2,4,5-トリクロロフエニルロイコオーアミンなどのジフエニルメタン系化合物、ローダミンB-アニリノラクタム、3-ジエチルアミノ- 7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノー6,8-ジメチルフルオラン、8,7-ジメチルアミノフルオラン、 3-ジエチルアミノ- 7-クロロエチルメチルアミノフルオランなどのキサンテン系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、P - ニトロベンジルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物、 3- メチル- スピロ- ジナフトビラン、3-エチル- スピロ- ジナフトビラン、3-プロピル- スピロ- ジベンゾビランなどのスピロ系化合物などが単独或いは組み合わせて使用される。
【0034】
一方、これら溶質を溶解せしめる溶媒としては、例えば魚油、 ラード油などの動物油、ひまし油、 大豆油、菜種油などの植物油、 グロシン, ナフサなどの鉱物油、 アルキル化ナフタレン、アルキル化ビフエニール、水素化ターフエニール、アルキル化ジフエニールメタン、 アルキル化ベンゼンなどの合成油等が単独或いは混合して用いられる。
【0035】
下流側注入口22から注入される多価イソシアネートとしては、例えばm-フエニレンジイソシアネート、p-フエニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、 2,4-トリレンジイソシアネート、 ナフタレン- 1,4-ジイソシアネート、 ジフェニルメタン- 4,4'- ジイソシアネート、 3,3'- ジメトキシ- 4,4'- ビフエニルジイソシアネート、3,3'- ジメチルジフェニルメタン- 4,4'- ジイソシアネート、キシリレン- 1,4-ジイソシアネート、4,4'- ジフエニルプロパンジイソシアネート、 トリメチレンジイソシアネート、 ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン- 1,2-ジイソシアネート、 ブチレン- 1,2-ジイソシアネート、エチリジンジイソシアネート、 シクロヘキシレン- 1, 2- ジイソシアネート、シクロヘキシレン- 1,4-ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4'4'' トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン- 2,4,6-トリイソシアネートの如きトリイソシアネート、4,4'-ジメチルジフエニルメタン- 2,2',5,5'-テトライソシアネート等が使用できる。 多価イソシアネートが固体の場合には、 例えばアセトン、テトラヒドロフラン、 ジメチルホルムアルデヒド、 酢酸エチル、酢酸ブチル、 フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどの溶剤の一種以上に溶解して用いられる。 多価イソシアネートには必要により前記の油性物質を加えて溶解しておくことができる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
発色剤としてクリスタルバイオレットラクトンを10重量部、ベンゾイルロイコメチレンブルーを1重量部、 3-[4-(ジエチルアミノ)-2-トキシルフエニル]-3-(2- メチル- 1-エチル- 3-インドリル)-4-アザフタリドを4重量部の比率で溶解せしめた油相溶液を第1の貯蔵タンクにて6 5 ℃で貯蔵した。また、多価イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネートのビューレツト体( 住友バイエルウレタン製「 スミジュールN3200」) を第2の貯蔵タンクに30℃で貯蔵した。 また、 ポリオールとして大日本インキ化学工業製「ハイブロックスODX-1316A 」 を第3の貯蔵タンクに同じく30℃で貯蔵した。
【0037】
そして、 油相溶液と多価イソシアネートとポリオールとを、定量送液ポンプを用いてそれぞれ毎分47重量部、3重量部、1重量部で、本発明のインライン型連続混合装置に連続的に送液した。
【0038】
実施例1のインライン型連続混合装置は、攪拌流路に面するケーシングとシール環部材との隙間を遮断する隔膜部材を設け、逆流防止機構としての堰板は設けないように構成したものを使用した。
【0039】
その結果、インライン型連続混合装置に連続的に1500時間送液しても押し付け手段への反応物の固着は認められず、回転環部材の高速回転により発生する振動に対して押し付け手段が精度良く追従した。また、メカニカルシールからの漏液も認められなかった。
(実施例2)
実施例2は、実施例1のインライン型連続混合装置に4枚の堰板で構成した逆流防止機構も備えたものを使用し、その他の条件は実施例1と同じにした。
【0040】
その結果、インライン型連続混合装置に連続的に1800時間送液しても押し付け手段への反応物の固着、或いは押し付け手段以外のメカニカルシール部分にも反応物の付着成長が認められなかった。これにより、メカニカルシールからの漏液も全くなかった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1のインライン型連続混合装置から隔膜部材を取り除いたものを使用し、その他の条件は実施例1と同じにした。
【0041】
その結果、連続的に350時間送液した時点で押し付け手段への反応物の固着が認められ始め、500時間送液した時点で回転環部材の高速回転により発生する振動に対する押し付け手段の追従精度が低下した。
(比較例2)
比較例2は、比較例1のインライン型連続混合装置に、比較例1と同一の薬液を比較例1と異なる比率で連続的に送液した場合である。薬液の比率は、油相溶液、多価イソシアネート、ポリオールをそれぞれ毎分50重量部、 3重量部、1重量部の割合とした。その結果、500時間連続送液した時点で回転環部材の高速回転により発生する振動に対する押し付け手段の追従精度が低下した。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインライン型連続混合装置によれば、反応性を有する薬液を混合する場合にも長時間の安定した連続混合を行うことができるインライン型連続混合装置を提供することができる。従って、本発明のインライン型連続混合装置は、例えば、感圧紙、感熱紙、写真感光材料、化粧品或いは塗料等に利用されるマイクロカプセルの製造において特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のインライン型連続混合装置の外観図である。
【図2】図2は、インライン型連続混合装置の内部構造を説明する要部断面図である。
【図3】図3は、本発明のインライン型連続混合装置のメカニカルシールを説明する要部断面の拡大図である。
【図4】図4は、本発明のインライン型連続混合装置を、感圧紙等に使用されるマイクロカプセルの製造ラインに適用した一例であり、マイクロカプセルの製造ラインのうちのインインライン型連続混合装置前後のフローを示した説明図である。
【符号の説明】
10…インライン型連続混合装置、12…連続混合装置本体、18…ケーシング、20…上流側注入口、22…下流側注入口、24…吐出口、26…攪拌流路、28…回転軸、30…メカニカルシール、32…回転翼、34…逆流防止機構、36…堰板、38…回転環部材、42…シール環部材、44…押し付け手段、46…尖鋭リング、48…シールリング、50、52、54…Oリング、56…隙間、58…隔膜部材
Claims (3)
- 混合装置本体のケーシング内には、注入口と吐出口とを連通する攪拌流路が形成され、攪拌流路の中心線方向に、軸受に支持された回転軸が配設され、前記回転軸の軸受側に該回転軸を軸封するメカニカルシールを設けて前記攪拌流路からの前記薬液の漏出を防止すると共に、前記回転軸に前記注入口から前記攪拌流路に注入された複数の薬液を混合する回転翼を設けたインライン型連続混合装置において、
前記メカニカルシールは、
前記回転軸に支持され、該回転軸と一緒に回転する回転環部材と、
前記ケーシングに、前記回転環部材方向に対して進退移動可能に支持されたシール環部材と、
前記攪拌流路とは反対側に設けられ、前記シール環部材を前記回転環部材の方向に付勢して前記シール環部材と前記回転環部材とを当接させることにより、前記回転軸を軸封する押し付け手段と、で構成されると共に、
前記進退移動可能なシール環部材と前記ケーシングとの間に形成される隙間を前記攪拌流路に対して遮蔽することにより、前記押し付け手段に前記攪拌流路を流れる薬液を接液させないための接液防止手段を設けたことを特徴とするインライン型連続混合装置。 - 前記接液防止手段は、前記攪拌流路を臨むと共に前記押し付け手段に至る隙間を前記攪拌流路から遮断する隔膜部材であることを特徴とする請求項1のインライン型連続混合装置。
- 予めカプセルの芯物質となる溶質を溶解せしめた油相溶液に多価イソシアネートとポリオールを加えてインライン型連続混合装置で混合し、 該混合薬液を乳化剤を含有した水相溶液中に乳化分散し、該乳化分散液に多価アミンを反応させてマイクロカプセルを製造するマイクロカプセルの製造方法において、
前記インライン型連続混合装置として、請求項1〜2の何れか1に記載のインライン型連続混合装置を用いることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
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