JP2000218153A - マイクロカプセルの製造方法及び装置 - Google Patents

マイクロカプセルの製造方法及び装置

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JP2000218153A
JP2000218153A JP11021058A JP2105899A JP2000218153A JP 2000218153 A JP2000218153 A JP 2000218153A JP 11021058 A JP11021058 A JP 11021058A JP 2105899 A JP2105899 A JP 2105899A JP 2000218153 A JP2000218153 A JP 2000218153A
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liquid
stator
cylindrical portion
emulsifier
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JP11021058A
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Mitsuru Kobayashi
満 小林
Takashi Koyama
高史 小山
Hiroshi Iwasaki
浩 岩崎
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粒度分布の狭い粒径の均一なマイクロカプセル
を簡便にしかも安定に製造する方法およびその装置を提
供する。 【解決手段】ロータ(9)とステータ(10、11)が
半径方向外方に広がる同心円状で階段状の段差部を対向
するように形成し、前記段差部のお互いに対向する側が
開いた凹状の歯部(13、14)を放射状に有し、前記
ロータの歯とステータの歯との隙間によって構成される
少なくとも1つ以上からなるせん断隙間(Cr)の各々
の上流側には原料供給口(Rf)に連通するノズル(N
Z)が開口した混合室(MX)を有する分散機を用い
て、疎水性液体を親水性液体中に分散し、続いて前記分
散機を用いて分散した分散液を乳化機を用いてさらに乳
化分散をした後、疎水性液体を内包するカプセル壁膜を
形成するマイクロカプセルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疎水性物質を含む
マイクロカプセルの製造方法に関するものであり、詳し
くは、粒度分布の狭い均一な粒径を有するマイクロカプ
セルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロカプセルは、化学反応性を有す
る物質、不安定な物質、液体状物質等を安定に保持する
ために適しており、感圧複写紙、医薬品、接着剤、色素
カプセル等の各種の用途に用いられている。
【0003】一般に、マイクロカプセルでは、カプセル
の粒径の均一性は品質上重要な因子である。例えば、感
圧複写紙では、通常、顕色剤と接触したときに発色する
無色の発色剤を内包するマイクロカプセルを複写紙の裏
面に存在させているが、このマイクロカプセルの粒径が
不均一で粒径の大きいカプセルが存在する場合には、保
存時や取り扱い時の摩擦などによってカプセルが破壊さ
れやすく、発色汚れの原因となる。一方、平均粒径より
も極端に小さいカプセルが存在すると、カプセルが破壊
され難いために、記録時の発色性が悪くなるという問題
点がある。
【0004】通常、マイクロカプセルは、親水性液体中
に疎水性液体を乳化分散させて乳濁液とした後、壁膜を
形成する方法によって製造されており、均一な粒径のマ
イクロカプセルを得るためには、均一な粒径の乳濁液を
得ることが重要である。マイクロカプセルの製造におい
て、均一な粒径の乳濁液を得る方法としては、水可溶性
溶媒を添加して乳濁液の均一性を良好にする方法(特開
昭56−147627号公報)、特定の乳化剤を用いて
乳濁液の均一性を良好にする方法(特開昭58−401
42号公報、特開昭58−202034号公報等)等が
知られている。
【0005】これらの方法では、いずれも、乳化装置と
しては、ホモミキサーと称される乳化機が用いられてい
る。この乳化機を図11に示すホモミキサーの一例の概
略図に基づいて説明する。この装置は、基本的には、4
〜5枚の羽根を有する高速回転するロータ46、ロータ
46と合致する略円錐状のくぼみを有し羽根と相対する
吐出孔47を数ケ所設けたステータ48、及び整流板4
9から構成されており、シャフト50を介してロータ4
6を高速回転させて、この回転によって生じる吸引作用
を利用して分散液をステータ48の下部より吸引し、ロ
ータ46の羽根とステータ48との間の間隙部分51で
せん断力を発生させて乳化分散させるとともに、ステー
タの吐出孔47から上方に向かって乳濁液を吐出し、こ
の上昇する流れを上部の整流板49によって変流し、タ
ンクの側面にそって下降させて再び容器の底部に帰すも
のである。この様なホモミキサーを用いる乳化方法には
2種類の方法が有り、1つはバッチ式と呼ばれる方法
で、ロータとステータがタンク内にセットされ、ロータ
とステータにより、タンク中の混合液を一定時間分散さ
せることによって乳化を行う方法であり、液の循環を促
進させるために、ステータに渦巻きポンプ内部の羽根と
同様の角度とひねりを加え、循環分散を行うものであ
る。一方、連続式は、ロータとステータをタンク内の液
中に入れるのではなく、別の円筒状の容器中に入れ、配
管により混合液を乳化機に導入して、乳化分散を行う方
法である.この場合、分散効率を上げるために、数段の
ロータとステータのセットを円筒中に入れ、しかもせん
断回数を上げるために循環ラインを設けることも一般に
行われている。さらに、バッチ式と同様に渦巻きポンプ
羽根状のひねりを加え、せん断回数を上げている。
【0006】しかしながら、これらのホモミキサーを用
いる乳化分散方法では、均一なせん断力の作用はロータ
とステータの近傍のごく限られた範囲に限定されるにも
関わらず、この部分への乳化分散液の循環数が乳化分散
液全体についてみると不均一であり、乳化分散液中のせ
ん断回数が少ない部分では粗大粒子が存在し、反対にせ
ん断回数が多い部分では非常に小さい粒径の粒子が生
じ、このため粒度分布が広く、目標粒径に対して、数%
〜数百%の広い範囲で粒径が分布するエマルジョンしか
得られない。その結果、得られるマイクロカプセルも粒
度分布が広くなり、粒径の均一性の点では満足のいくも
のではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
粒度分布の狭い粒径の均一なマイクロカプセルを簡便に
しかも安定に製造する方法およびその装置を提供するこ
とである。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明は、ロータとステ
ータが半径方向外方に広がる同心円状で階段状の段差部
を対向するように形成し、前記段差部のお互いに対向す
る側が開いた凹状の歯部を放射状に有し、前記ロータの
歯とステータの歯との隙間によって少なくとも一つのせ
ん断隙間を構成し、前記せん断隙間の少なくとも一つの
上流側には原料供給口に連通するノズルが開口した混合
室を有する分散機を用いて、疎水性液体を親水性液体中
に分散し、続いて前記分散機を用いて分散した分散液を
乳化機を用いてさらに乳化分散をした後、疎水性液体を
内包するカプセル壁膜を形成することを特徴とするマイ
クロカプセルの製造方法である。
【0009】また、本発明は、乳化機が、円周方向に沿
って複数個の透孔を設けた円筒部を有するステータと、
円周方向に沿って複数個の透孔を設けた円筒部を有する
ロータを、ステータの円筒部とロータの円筒部がせん断
作用を生じるために必要な一定間隔を有し且つ同心的に
位置するように設置した装置を用い、前記ステータを固
定し、前記ロータをステータに対して同心的に回転さ
せ、被処理液をロータの円筒部の中心方向から供給し、
ステータの円筒部の透孔とロータの円筒部の透孔を通過
させて円筒部の外方に排出する乳化機であるマイクロカ
プセルの製造方法に係わる。この透孔の形状については
任意であるが、中でもステータ及びロータの円筒部が、
それぞれスリット状の透孔を有する櫛歯型リングは粒径
の均一なマイクロカプセルを特に安定して得ることが出
来る。
【0010】また、本発明は、乳化機が、疎水性液体及
び親水性液体からなる被処理液を入れた攪拌容器内で、
攪拌体を回転させて遠心力により前記被処理液を膜状態
で容器内壁に沿って旋回させ、疎水性液体を親水性液体
中に乳化分散する乳化機を用いたマイクロカプセルの製
造方法に係わる。また、本発明は乳化機が、ロータとス
テータが半径方向外方に広がる同心円状で階段状の段差
部を対向するように形成し、前記段差部のお互いに対向
する側が開いた凹部を放射状に有する乳化機であるマイ
クロカプセルの製造方法に係わる。
【0011】また、本発明は、カプセル壁膜の形成方法
が界面重合法又はインサイチュ(in−situ)法で
ある前記記載のマイクロカプセルの製造方法に係わる。
さらに、本発明は、ロータとステータが半径方向外方に
広がる同心円状で階段状の段差部を対向するように形成
し、前記段差部のお互いに対向する側が開いた凹状の歯
部を放射状に有し、前記ロータの歯とステータの歯との
隙間によって構成される少なくとも1つ以上からなるせ
ん断隙間の各々の上流側には原料供給口に連通するノズ
ルが開口した混合室を有し、疎水性液体を親水性液体中
に分散する分散機と、前記分散機で分散した分散液をさ
らに乳化分散する乳化機を連結したことを特徴とするマ
イクロカプセルの製造装置に係わる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、ロータとステータが半
径方向外方に広がる同心円状で階段状の段差部を対向す
るように形成し、前記段差部のお互いに対向する側が開
いた凹状の歯部を放射状に有し、前記ロータの歯とステ
ータの歯との隙間によって少なくとも一つのせん断隙間
を構成し、前記せん断隙間の少なくとも一つの上流側に
は原料供給口に連通するノズルが開口した混合室を有す
る分散機を用いて、疎水性液体を親水性液体中に分散
し、続いて前記分散機を用いて分散した分散液を乳化機
を用いてさらに乳化分散をした後、疎水性液体を内包す
るカプセル壁膜を形成するマイクロカプセルの製造方法
およびその装置である。
【0013】上記製造方法およびその装置により、粒度
分布の狭い粒径の均一なマイクロカプセルを簡便にしか
も安定に製造することができることを見出し本発明を完
成するに至った。本発明の前段階で用いられる分散機に
ついて、以下に図面を参照しつつ、より詳細に説明す
る。
【0014】図1において、出力軸7の端部にはロータ
9が固定され、そのロータ9に対向して2分割式のステ
ータ10,11がケーシング12に固定されている。こ
れらロータ9とステータ10、11には、それぞれ歯1
3a、13b、13c及び14a、14b、14cが環
状に3列設けられている。これらの溝の間にはせん断隙
間Cr1,Cr2,Cr3が形成され、ここを通過する
混合された液体原料をせん断して混合・分散させる。こ
の歯13a、13b、13c、14a、14b、14c
(あるいは歯列)の構造は、第2図及び第3図に詳細に
示されている。
【0015】再び第1図において、環状に列を成した歯
13a、13b、13c、14a、14b、14cの上
流側には比較的広い空間が形成され混合室MX1,MX
2,MX3を成している。これら混合室MX1,MX
2,MX3には、複数のノズルNZ1,NZ2,NZ3
が均等の間隔にて開口している。ノズルNZ1,NZ
2,NZ3は細孔を介して、ステータ10,11の外周
に環状に設けられた溝GV1,GV2,GV3に連通し
ている。溝GV1,GV2,GV3は液体(原料)R
2,R3,R4の供給口Rf2,Rf3,Rf4と連通
しているので、液体R2,R3,R4はそれぞれノズル
NZ1,NZ2,NZ3より混合室MX1,MX2,M
X3に噴出し、前段(上流側)から流入してくる液と激
しく衝突して混合する。
【0016】第1の液体R1は供給口Rf1から通路1
5、16を通って貯蔵室Bに流入し、メカニカルシール
8のスリーブ16aとステータ10との間の環状隙間1
7を通って混合室MX1へ均等に流入する。ケーシング
12の第1図中右方には、乳化分散処理されたPrの吐
出口OLを有する吐出カバー18が取付けられている。
次に、液体R1ないしR4の流通の順にその処理系を追
うことにより、本発明による混合・分散処理を説明す
る。液体R1は供給口Rf1より供給され、通路15、
16を通って貯蔵室Bに流入する。貯蔵室Bを充満させ
た後、環状隙間17を通って混合室MX1へ均等に流れ
込む。一方、第2の液体R2は供給口Rf2より供給さ
れて溝GV1に流れ込み、溝GV1の全周に行き渡った
後ノズルNZ1より混合室MX1に噴出する。そして、
前段(上流側)より供給されてきた液体R1と激しく衝
突し攪拌されてR1とR2の混合液となり、第1の13
aと14aの間のせん断隙間Cr1を通過する際に分散
される。分散された混合液体R1+R2は直ぐ下流にあ
る第2の混合室MX2に流れ込む。ここで、供給口Rf
3より供給された第3の液体R3が第2の液体R2と同
様にしてノズルNZ2から混合室MX2に噴出し、上流
からの液体のR1とR2の分散液と衝突し攪拌されて混
合液R1+R2+R3となる。その混合液は第2の歯1
3bと14bとの間のせん断隙間Cr2へ進み、ここを
通過する際に分散される。そして混合液体R1+R2+
R3の分散液は混合室MX3に流入する。一方、第4の
液体R4が供給ロRf4から供給され、ノズルNZ3か
ら混合室MX3に噴出して混合液体R1+R2+R3と
攪拌混合し、第3の歯13c、14cの間のせん断隙間
Cr3に進み、ここを通過する際時分散が行われて、全
原料の分散処理が終了する。処理された分散液は吐出カ
バー18の吐出口Rdから矢印Prで示すように吐出さ
れる。
【0017】本発明の分散機は多液混合式になってお
り、数種類の試料を混合する際に有利である。例えば、
感圧複写紙用マイクロカプセルの製造においては、電子
供与性有機発色剤を溶解したオイルに1種ないしはそれ
以上のマイクロカプセル壁膜材料成分を添加することが
できる。疎水性液体が十分に混合され均一になった後、
親水性液体に分散させることで、プレ分散としての役割
は大きく、これにより、後段において粒度分布の狭い、
均一な粒径のマイクロカプセルが安定して得られる。
【0018】次に、本発明における乳化機の縦断面図を
図4に示し、そのロータの正面図を図5に示す。
【0019】この乳化機において、15はケーシングで
あり、吸込カバー16により、ステータ17が固定され
ている。吸込カバー16には、吸込口18が設けられ、
ケーシング15には吐出口19が設けられている。ケー
シング15に設けられた軸封装置20を貫通して主軸2
1が回転可能に設けられ、その先端にロータ22がナッ
ト23により固定されている。
【0020】ロータ22には、円筒部24がシュラウド
25に支えられて設けられ、該円筒部24には、円周方
向に沿って複数個の透孔28が設けられている。ステー
タ17には、ロータの円筒部24を両側から同心的に、
半径方向にS1 及びS2 の間隔を隔てて挟むように二つ
の円筒部26,27が設けられ、円筒部26,27に
も、円周方向に沿って複数個の透孔(図示せず)が設け
られている。ロータ円筒部24とステータ円筒部26の
間隔S1 、及びロータ円筒部24とステータ円筒部27
の間隔S2 は、ロータ22の回転により、ロータ円筒部
24とステータ円筒部26との間隙部分、及びロータ円
筒部24とステータ円筒部27との間隙部分のそれぞれ
で、被処理液にせん断作用が生じるような範囲内で適宜
設定する。
【0021】ロータ及びステータの透孔の形状は、特に
限定的ではなく、例えば、スリット状、円形、楕円形、
星形、菱形等の任意の形状とすることができる。ロータ
とステータでは、透孔の形状、個数等は一致していて
も、異なっていても良い。又、透孔は、等間隔でも不等
間隔でもよい。透孔の個数、間隔等を適宜選ぶことによ
って、せん断作用が一時に起こらず、振動、騒音を防ぐ
ことができる。図4の乳化分散装置は、ロータ円筒部2
4とステータ円筒部26,27に、スリット状の透孔を
設けたものであり、ロータ円筒部24とステータ円筒部
26,27は、いずれも、櫛歯型リング形状である。
【0022】ロータ22の円筒部24にスリット状の透
孔28を設ける場合には、透孔28は適当な長さに選ば
れる。この透孔28は、平行に限らず、一方又は両方が
半径方向に対して傾いていても良い。端部29,30は
鋭利な形とするのが好ましい。
【0023】この様な乳化機では、主軸21の駆動によ
りロータ22が回転するとロータ22のポンプ作用で被
処理液が吸込口18から吸込まれ、ステータ円筒部26
の透孔、ロータ円筒部24の透孔28、ステータ円筒部
27の透孔を通って外方に流出し、吐出口19から排出
される。
【0024】この様な方法によれば、ステータ17の円
筒部26,27とロータ22の円筒部24との間のそれ
ぞれの隙間において、被処理液が旋回流れを生じて均一
な高速せん断力が作用し、又、ロータとステータの透孔
では半径方向に遠心流れが生じ、この半径方向の流れ
が、旋回流れとの衝突を連続的に繰り返す。更に、透孔
を設けたロータ22が高速回転することによって、高周
波が発生し、破砕、分散等の効果が得られる。被処理液
は、これらの作用によって、混合、せん断、破砕等の作
用を連続的に受け、短時間に粒度分布の狭い均一な乳化
分散液を得ることができる。
【0025】図4に示す乳化機では、ステータ17に
は、ロータ22の円筒部24を両側から同心的に挟むよ
うに、2ケ所の円筒部26,27が設けられているが、
ステータ17の円筒部は1ケ所だけでもよい。この場
合、ステータ17の円筒部と、ロータ22の円筒部は、
どちらが外側にあってもよい。更に、ロータ22には2
ケ所以上、ステータ17には3ケ所以上の円筒部を設け
ることもできる。
【0026】図4の乳化機は、ステータとロータの組み
合わせ部分を一組有するものであるが、本発明では、二
組以上のステータとロータの組み合わせ部分を有する乳
化機を用いることもできる。
【0027】ステータとロータの組合せ部分を三組有す
る乳化分散機の一例の縦断面図を図6に示す。
【0028】図6の分散機では、ロータ22が回転する
と被処理液が吸込口18から吸い込まれ、一段目のステ
ータ17の円筒部26の透孔、ロータ22の円筒部24
の透孔、ステータ17の円筒部27の透孔を通って外方
に流出し、次いで、この被処理液が二段目のロータ2
2'の回転によリ、二段目のステータ17'の円筒部2
6'の透孔、ロータ22'の円筒部24'の透孔、ステー
タ円筒部27'の透孔を通って外方に流出し、更に、こ
の被処理液が三段目のローター22"の回転により、三
段目のステータ17"の円筒部26"の透孔、ロータ2
2"の円筒部24"の透孔、ステータ17"の円筒部27"
の透孔を通って外方に流出し、吐出口19から排出され
る。
【0029】この様な二組以上のステータとロータの組
合せを有する乳化機を用いる場合には、それぞれのステ
ータとロータの組合せ部分でせん断作用が働くので、よ
り短時間に粒度分布の狭い均一な乳化分散液を得ること
ができる。
【0030】乳化分散して乳濁液とする際の乳化機の運
転条件については、乳化分散機におけるロータ及びステ
ータの円筒部の直径、ロータ及びステータの数、透孔の
形状や個数、被処理液の種類等に応じて変わり得るため
に一様ではないが、短時間で均一な乳化分散液が得られ
る様に、被処理液の流量、ロータの回転数等を適宜設定
すればよい。また、必要に応じて、乳化機から排出した
乳濁液を、再度乳化機に供給して繰り返し乳化分散させ
ることもできる。尚、乳濁液における分散粒子の粒径
は、ロータの回転数等を変えることによって容易に制御
できる。
【0031】次に、本発明における別の乳化機の縦断面
図を図7に示す。図7の装置では、攪拌容器31内に被
処理液32を連続的に導入し、シャフト33を介して、
モーター34により攪拌体35を高速回転させて遠心力
により被処理液を膜状態で攪拌容器31の内壁に沿って
旋回させることにより、攪拌容器の内壁部分で被処理液
に均一なズリ応力が加わり、疎水性液体が親水性液体中
で乳化分散されて均一な粒径の乳濁液となる。ここで、
膜状態とは、被処理液32が遠心力によって壁面に押し
やられて膜状或いは層状となって容器内壁に沿って旋回
している状態をいう。攪拌体35は、その先端部分のみ
で、膜状態となって旋回している被処理液32と接触し
ている。被処理液32は、膜状態となって容器内壁を旋
回するが、被処理液32の一部は攪拌体35と接触して
いなければ、攪拌容器31の底部で渦状となって存在し
ていても良い。
【0032】尚、攪拌容器31の内壁の上部には堰板3
6を設けることが好ましい。堰板36を設けることによ
って、被処理液32が膜状態で旋回する際に厚さがほぼ
一定の膜状となり、容器内壁との間で均一なズリ応力が
加わって非常に粒度分布の狭い均一な粒径の乳濁液を得
ることができる。堰板36からあふれた被処理液31を
排出口37から排出することにより、連続的に乳濁液を
得ることができる。排出口から排出された乳濁液をさら
に別の図7で示される装置に通して繰り返し乳化するこ
ともできる。
【0033】攪拌体35の形状は特に限定はなく、多数
のワイヤを放射状に配列して中心部を結束してなるワイ
ヤホイール状の攪拌体、板状の攪拌体、リング状の攪拌
体等を用いることができるが、特に、ワイヤホイール状
の攪拌体を用いる場合に均一性が非常に良好な乳濁液が
得られる。攪拌体の数は複数であってもよい。攪拌体3
5の回転速度は、攪拌体の先端部の周速度が10〜10
0m/秒の範囲となることが好ましい。攪拌体35の周
速度が遅すぎると、被処理液が液膜状で旋回せず、乳化
の機構が液体と攪拌体の局所的なせん断力によるため
か、得られるエマルションの粒度分布が不均一になる。
【0034】攪拌に要する時間は、特に限定的では無い
が、通常、0.1秒〜5分程度、好ましくは、0.5秒
〜2分程度の攪拌時間で均一な粒径の乳濁液が得られ
る。攪拌体の大きさ、攪拌容器の容量、被処理液の量等
は、上述した様に被処理液が膜状態で容器の内壁を旋回
できるように適宜設定すればよい。例えば、攪拌容器の
大きさと比べて攪拌体が小さすぎる場合には、被処理液
を膜状態で容器内壁に沿って旋回させることは難しく、
また被処理液量が多すぎる場合にも、攪拌体が被処理液
に浸漬することなく、被処理液を膜状態で容器内壁に沿
って旋回させることは難しいので、被処理液が膜状態で
容器の内壁を旋回できる様に、これらを適宜設定する。
【0035】特に、本発明の方法では、乳化時の液温を
30〜80℃の範囲とすることが好ましい。この範囲の
液温とすることによって、凝集物が生成することなく、
粒度分布の狭い均一性の非常に良好なマイクロカプセル
を容易に得ることができる。本発明方法では、被処理液
を膜状態で攪拌容器の内壁に沿って旋回させることによ
り、処理液が攪拌容器内で高速運動を行って内部発熱を
生じ、瞬時に所定の温度範囲まで加熱することができ
る。乳化時の液温は、攪拌体の周速や処理液の流量など
を調整することによって制御可能であり、この際、必要
に応じて、容器外部より加熱又は冷却を行うことによっ
て、任意の温度へのコントロールすることができる。
【0036】さらに、乳化機として図8に示すような分
散機が挙げられる。軸線方向に移動可能なロータとステ
ータとの間に設けられたせん断隙間に、液体の流れ方向
に半径方向外方に広がる同心円状で階段状の段差部を対
向するように形成し、段差部に互いに対向する側が開い
た歯状の凹部を放射状に設けて半径方向に滞留室を形成
することによって高速せん断力や超音波等が発生し、そ
れにより被処理液がせん断、破砕、混合等の作用を連続
的に受けて粒度分布の狭い均一な乳化分散液を短時間に
得ることができる。
【0037】さらに、段差部の少なくとも軸線方向の周
面に段差の広がる側に傾く勾配を設けることによって、
より効率的に乳化が行われる。
【0038】この乳化方法について、以下に図面を参照
しつつ、より詳細に説明する。図8において、分散室の
内部には3個のステータSが直列に設けられており、各
ステータSにはそれぞれロータRがステータSとの間に
せん断隙間Cを形成して組み合わされている。3個のロ
ータRは駆動軸38に固定され、その駆動軸38は軸線
方向に自由に移動できるよう連結されている。
【0039】前記ケーシング1の図面上の左端には、液
体の吸込口39が設けられ、吸込口39より吸込まれた
液体は、せん断隙間C〜Cを通って右方上部の吐出口4
0から吐出されるようになっている。
【0040】図9及び図10において、ステータSの段
差部42aないし42cには、ロータRの段差部44a
ないし44c側、すなわちせん断隙間C側が開き、半径
方向外方側が半円形で、軸線方向左側が直線形で閉じて
いるそれぞれ勾配Tsa、Tsrに平行な放射状の歯状
凹部43が設けられている。他方、ロータRの段差部4
4aないし44cには、歯状凹部43に対称で実質的に
同形状の歯状凹部45が設けられている。そして、ステ
ータS及びロータRの対向する段差部の歯状凹部43、
45により半径方向せん断隙間Crをはさんで半径方向
に長い滞留室Gが形成されている。
【0041】乳化分散すべき液体は、吸込口より図9に
矢印で示すようにステータSの内周壁に沿って流れ、第
1の滞留室G1に導かれる。滞留室G1においては図1
0に示すように、液体にはロータRの回転による遠心力
による半径方向外方へ向かう放射状流れJと歯状凹部4
3の半円状周面で強制される環状流れKとが発生する。
そして、放射状流れJは半径方向せん断隙間Crにより
せん断され、また滞留室G1内の放射状流れJ、環状流
れKとの相乗作用による圧力変動により乳化分散が効果
的に行われる。次いで、ロータRの回転による遠心力に
より液体は第1の滞留室G1から第2の滞留室G2に導
かれる際、軸線方向せん断隙間Caによりせん断され
る。なお、この際、滞留室G1の底面の半径方向勾配T
srは半円状周面の軸線方向勾配Tsaと協働して液体
の流れを軸線方向へ、すなわち滞留室G2側へ付勢す
る。第2の滞留室G2においては、第1の滞留室G1と
同様に乳化分散が行われる。次いで、第3の滞留室G3
に導かれる際及び第3の滞留室G3内で前記と同様に乳
化分散が行われる。このように、ステータSとロータR
とによって5回のせん断と3回の圧力変動によって乳化
分散が行われ、さらに図8に示すように、3組のステー
タSとロータRの組み合わせにより乳化分散が行われ
る。従って、本発明に用いられる乳化機の乳化分散能力
は極めて増大される。
【0042】さらに、歯状凹部43、45は、せん断隙
間Cr、Caに対向する側が閉じているので強度的に有
利で、滞留室Gの個数を比較的自由に選択でき、乳化分
散能力は大幅に増大する。また、図9において駆動軸3
8を介してロータRをステータSに対して軸線方向に移
動し、勾配Tra及びTsaの相対位置を変えて半径方
向せん断隙間Caを変えてせん断力を調整することがで
きるというのもこの乳化機の特徴である。このせん断隙
間を変えることによりカプセルの平均粒径をコントロー
ルすることができ、所望するカプセル粒径を得ることが
可能である。さらに、図12に本発明の製造装置の構成
図を示す。
【0043】本発明では、疎水性液体は、マイクロカプ
セルの芯物質となるものであり、マイクロカプセルの使
用目的に応じた各種の内包成分に、必要に応じてカプセ
ル壁膜形成のために必要な成分等を加えたものを使用で
きる。
【0044】例えば、感圧複写紙用のマイクロカプセル
として用いる場合には、マイクロカプセルの芯物質とな
る疎水性液体としては、オイルに電子供与性有機発色剤
を溶解したものに、更に、採用するマイクロカプセル化
法に応じて必要な壁膜成分を添加したものを用いること
ができる。オイルとしては、天然又は合成油を単独又は
混合して用いることができ、その例としては、綿実油、
灯油、パラフィン、ナフテン油、アルキル化ビフェニ
ル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アル
キル化ナフタレン、ジアリールアルカン、フタル酸エス
テルなどの二塩基酸エステル類等を挙げることができ
る。
【0045】電子供与性有機発色剤としては、所望の色
調に応じた公知の材料を使用でき、その具体例として、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
メチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルア
ミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフ
ェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イ
ル)フタリド等のトリアリルメタン系化合物;4,4'
−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテ
ル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,
4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等のジフ
ェニルメタン系化合物;7−ジメチルアミノ−3−クロ
ロフルオラン、7−ジメチルアミノ−3−クロロ−2−
メチルフルオラン、2−フェニルアミノ−3−メチル−
6−(N−エチル−N−p−トリルアミノフルオラン等
のフルオラン系化合物;ベンゾイルロイコメチレンブル
ー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等のチア
ジン系化合物;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、
3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−
スピロ−ジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベ
ンゾピラン等のスピロ系化合物等が挙げられる。
【0046】親水性液体としては通常、水に必要に応じ
て、界面活性剤、保護コロイド、カプセル壁膜の形成の
ために必要な成分等を溶解した水溶液が用いられる。界
面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン
酸、ポリオキシエチレン硫酸塩、ロート油等のイオン性
界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレン、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニ
オン性界面活性剤等が挙げられる。保護コロイドとして
は、例えば、ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポ
リビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴム、カルボ
キシメチルセルロース、カゼイン、デンプン、スチレン
−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸等が挙げら
れる。
【0047】疎水性液体と親水性液体の混合比率につい
ては、特に限定はなく、使用する成分の種類に応じて、
安定な水中油型の乳濁液が得られる割合で用いればよ
い。通常は、疎水性液体と親水性液体の重量比が、前
者:後者=10:90〜60:40程度の範囲で用いら
れる。
【0048】上記した方法によって均一な粒径の乳濁液
を製造した後、乳化分散した疎水性液体と親水性液体と
の界面にカプセル壁膜を形成することによってマイクロ
カプセルを得ることができる。
【0049】カプセル壁膜の形成方法としては、従来公
知の各種方法、例えば、コアセルベーション法、インサ
イチュ(in−situ)法、界面重合法等を適用でき
る。カプセル壁膜の形成条件自体は、公知の方法に従え
ばよい。これらの場合、採用するカプセル化方法に応じ
て、必要な成分を予め疎水性液体及び/又は親水性液体
中に存在させておけばよい。
【0050】例えば、コアセルベーション法では、代表
的には、ゼラチンを含有する水溶液を用いて乳濁液を形
成し、これにアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテ
ル−無水マレイン酸共重合体、デンプンのフタル酸エス
テル、ポリアクリル酸等のアニオン性物質を添加し、濃
度、pHなどを調整することによって、カプセル壁膜を
形成することができる。
【0051】インサイチュ法は、分散媒体に分散した芯
物質の内側又は外側の一方のみから壁膜となるモノマ
ー、低重合物又は縮合物を重合触媒と共に供給して芯物
質の表面で重合又は縮合反応を行わせるカプセル化法で
あり、代表的な壁膜としては、メラミン−ホルマリン樹
脂等がある。メラミン−ホルマリン樹脂カプセルは、乳
化分散液を得た後、部分的に縮合したメラミン−ホルマ
リンプレポリマーの水溶液を添加し、pH調整し、昇温
して、疎水性液体の周囲に樹脂を析出硬化させてカプセ
ル壁膜を形成することにより得ることができる。又、疎
水性液体中からインサイチュ法によりメラミン−ホルマ
リン樹脂カプセルを形成する方法として、疎水性液体中
にメラミン−ホルマリンプレポリマーを溶解させ、親水
性液体中に乳化分散させた後、疎水性液体の周囲に樹脂
を析出させ硬化させてカプセル壁膜を形成する方法があ
る。
【0052】界面重合法は、疎水性液体と親水性液体の
界面において、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン、ポリ尿素などの壁膜を形成させる方法であり、ポリ
アミン、グリコール、多価フェノールなどの親水性モノ
マーと、多塩基酸ハライド、ビスハロホルメール、多価
イソシアネートなどの疎水性モノマーを、それぞれ、親
水性液体と疎水性液体に溶解し、界面において重合反応
を生じさせることによって、カプセル壁膜を形成でき
る。界面重合法の好ましい膜材料として、多価イソシア
ネートが用いられるが、これらの多価イソシアネートと
しては、例えばm−フェニレンジイソシアネート、p−
フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフ
タレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン
−4,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフ
ェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、キシリレ
ン−1,3−ジイソシアネート、4,4'−ジフェニル
プロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネ
ート、へキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−
1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソ
シアネート、エチリジンジイソシアネート、シクロヘキ
シレン−1,2−ジイソシアネート、シクロへキシレン
−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレ
ン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソ
チオシアネートなどのジイソシアネート又はジイソチオ
イソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタント
リイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシ
アネート、へキサメチレンジイソシアネートの3量体等
のトリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソ
シアネート、4,4'−ジメチルジフェニルメタン−
2,2',5,5'−テトライソシアネート等の多価イソ
シアネート、及びこれらの多価イソシアネート類を多価
アミン、多価カルボン酸、多価チオール、多価ヒドロキ
シ化合物、エポキシ化合物等の親水性基を有する化合物
に付加させたものが挙げられる。また、これらの多価イ
ソシアネート化合物は、所望するカプセル品質に応じ、
2種以上組み合わせて用いることができる。更に、芳香
族系多価イソシアネートと脂肪族系多価イソシアネート
を併用するのがより好ましい。この芳香族系多価イソシ
アネートと脂肪族系多価イソシアネートとの併用割合が
1:0.01〜100、更に好ましくは1:0.1〜1
0である場合、粒度分布が均一で、かつ、更に発色性と
耐摩擦性、耐圧力性に優れたマイクロカプセルを得るこ
とが可能である。
【0053】さらに、耐熱保存性等に優れたカプセル壁
膜を得るために、多価アミン等が加えられる。具体的に
は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3
−プロピレンジアミン、へキサメチレンジアミン等の脂
肪族アミンや、ポリ(1〜5)アルキレン(C2
6 )ポリアミン・アルキレン(C2 〜C18)オキシド
付加物等の脂肪族多価アミンのエポキシ化合物付加物、
フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、キシリレン
ジアミン等の芳香族多価アミン、ピペラジン等の脂環式
多価アミン、3,9−ビス−アミノプロピル2,4,
8,10−テトラオキサスピロ−〔5,5〕ウンデカン
等の複素環状ジアミン等が挙げられ、これらを単独、又
は併用して使用することができる。
【0054】本発明方法によれば、界面重合法又はイン
サイチュ法による壁膜形成用成分を添加した疎水性液体
を用いた場合に、従来のホモミキサーを用いる乳化方法
では、カプセルの粒径が特に不均一になりやすく、また
形成されるマイクロカプセルの強度が低くなり易かった
ものが、粒径が均一で適度な強度を有するマイクロカプ
セルを容易に形成することができる。この理由は明確で
はないが、ホモミキサーを用いる乳化方法では、乳化時
に発熱して疎水性液体中のモノマー成分の一部が反応
し、表面に薄い膜が形成されて均一な粒径となり難く、
しかも乳化時にこの薄膜が破壊されることがあるために
カプセル壁膜を形成した際に壁膜の強度が低くなること
があるのに対して、本発明の方法によれば、短時間で目
標の平均粒径が得られるために乳化時間が短く、疎水性
液体中のモノマー成分の反応による薄膜が形成され難い
ことによるものと推測される。
【0055】本発明方法によれば、疎水性液体と親水性
液体からなる被処理液を簡単に短時間に粒度分布の狭い
均一な粒径の乳濁液とすることができる。また、ロータ
の回転速度を変えることにより、粒径を容易に制御で
き、目標粒径への調整は簡単である。そして、この乳化
分散した疎水性液体を内包するカプセル壁膜を形成する
ことによって、得られるマイクロカプセルは、粒度分布
の狭い均一な粒径を有するものとなる。
【0056】この様にして得られるマイクロカプセル
は、感圧複写紙、医薬品、接着剤、色素カプセル等の従
来からマイクロカプセルが用いられている各種の分野に
おいて有効に用いることができる。例えば、電子供与性
有機発色剤を内包するマイクロカプセルを用いた感圧複
写紙は、マイクロカプセルの粒径の均一性が良好である
ことから、保存時や取り扱い時に一部のマイクロカプセ
ルが破壊することによる発色汚れが生じ難く、又、均一
に発色することからマイクロカプセルの使用量を低減す
ることが可能である。
【0057】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明するが、これらに限定されるものではない。なお、特
に断らない限り、例中の部及び%はそれぞれ重量部及び
重量%を示す。
【0058】実施例1 ジイソプロピルナフタレン(KMC−113、呉羽化学
工業社製)100部に電子供与性有機発色剤としてクリ
スタルバイオレットラクトン5部を溶解した。この溶液
を、図1に示す多液混合型分散機の供給口Rf1から供
給し、供給口Rf2からマイクロカプセル壁膜材料とし
て、脂肪族系多価イソシアネートであるイソシアヌレー
ト環を有するへキサメチレンジイソシアネートの三量体
(コロネートEH、日本ポリウレタンエ業社製)5部を
供給し、混合した。さらに、供給口Rf3からマイクロ
カプセル壁膜材料として、芳香族系多価イソシアネート
であるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ミリ
オネートMR−300、日本ポリウレタン工業社製)5
部を供給し混合して疎水性液体を調製した。続いて、供
給口Rf4からポリビニルアルコール(PVA−21
7,クラレ社製)の2%水溶液を供給して、該疎水性液
体を分散させ、図6に示す乳化機に連続的に供給した。
疎水性液体とポリビニルアルコール水溶液の重量比は1
00:100とした。図6に示す連続式の乳化機には、
流速250g/分で送液し、ローターの回転数6,00
0rpm/分で処理攪拌し、排出口から乳濁液を得た。
【0059】得られた乳濁液の粒度分布を、市販の粒径
測定装置(コールターマルチサイザー、コールター社
製)で測定したところ、平均粒径は7.3μm、粒径差
が±20%以内に収まる割合は78%であリ、均一性に
優れたものであった。
【0060】この乳濁液100部(不揮発分)に、多価
アミンであるジエチレントリアミン1部を加え、ミキサ
ーで攪拌しながら、80℃まで加温し、界面重合法によ
り3時間反応させた後、カプセル壁膜を形成してマイク
ロカプセルを製造した。
【0061】得られたマイクロカプセルは、上記乳濁液
とほぼ同様の平均粒径及び粒度分布を有し、均一性が良
好であった。
【0062】実施例2 乳化機として図7に示す連続式の乳化機を用い、流速4
30g/分で送液し、ワイヤーホイール状攪拌体の周速
33m/分で処理を行った他は実施例1と同様に実施し
て平均粒径7.2μm、粒径差が±20%以内に収まる
割合が79%のマイクロカプセル分散液を得た。 実施例3 乳化機として図8に示す連続式の乳化機を用い、流速2
70g/分で送液し、ローターの回転数6,500rp
m/分で処理を行った他は実施例1と同様に実施して平
均粒径7.5μm、粒径差が±20%以内に収まる割合
が77%のマイクロカプセル分散液を得た。
【0063】比較例1 ジイソプロピルナフタレン(KMC−113、呉羽化学
工業社製)100部に電子供与性有機発色剤としてクリ
スタルバイオレットラクトン5部を溶解した。ついで脂
肪族系多価イソシアネートであるイソシアヌレート環を
有するへキサメチレンジイソシアネートの三量体(コロ
ネートEH、日本ポリウレタンエ業社製)5部および芳
香族系多価イソシアネートであるポリメチレンポリフェ
ニルイソシアネート(ミリオネートMR−300、日本
ポリウレタン工業社製)5部を溶解させて調製した疎水
性液体を同量のポリビニルアルコール(PVA−21
7,クラレ社製)の2%水溶液と混合した後に、実施例
1同様の乳化機を用いて乳化を行い、以降同様に処理し
て平均粒径は7.3μm、粒径差が±20%以内に収ま
る割合が69%のマイクロカプセル分散液を得た。
【0064】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、本発明
方法によって粒子径の均一性に優れたマイクロカプセル
が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散機の縦断面図。
【図2】図1の分散機のステータの部分拡大断面図。
【図3】図1の分散機のロータの部分拡大斜視図。
【図4】ロータ及びステータを備えた乳化機の縦断面
図。
【図5】図4の乳化機のロータの縦断面図。
【図6】図4のロータ及びステータを三組備えた乳化機
の縦断面図。
【図7】連続式の膜乳化機の縦断面図
【図8】ロータ及びステータを備えた乳化機の縦断面
図。
【図9】図8のステータ及びロータの段差部、凹部の側
断面図。
【図10】図8の滞留室及び半径方向剪断隙間を示す正
面図。
【図11】ホモミキサーの概略図。
【図12】分散機と乳化機との連結図。
【符号の説明】
1…駆動モータ 2…回転子 3…固定子 4…モータハ
ウジング 5、6…軸受 7…出力軸 8…メカニカルシール 9…ロータ 10、11…ステータ 12…ケーシン
グ 13a、13b、13c、14a、14b、14c…歯 Cr1、Cr2、Cr3…せん断隙間 MX1、MX
2、MX3…混合室 R1、R2、R3、R4…原料 Rf1、Rf2、Rf3、Rf4…原料供給口 NZ1、NZ2、NZ3、NZ4…ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H085 AA07 BB01 CD02 CD07 CD09 CD11 DD36 4G005 AA01 AB14 BA02 BA03 BB05 BB06 CA07 DC09X DC32X DC42X DC42Y DC46Y DD04Z DD08Z DD12Z DD15Z DD38Z DD39Z DD57Y EA03 EA06 EA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロータとステータが半径方向外方に広がる
    同心円状で階段状の段差部を対向するように形成し、前
    記段差部のお互いに対向する側が開いた凹状の歯部を放
    射状に有し、前記ロータの歯とステータの歯との隙間に
    よって少なくとも一つのせん断隙間を構成し、前記せん
    断隙間の少なくとも一つの上流側には原料供給口に連通
    するノズルが開口した混合室を有する分散機を用いて、
    疎水性液体を親水性液体中に分散し、続いて前記分散機
    を用いて分散した分散液を乳化機を用いてさらに乳化分
    散をした後、疎水性液体を内包するカプセル壁膜を形成
    することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
  2. 【請求項2】乳化機が、円周方向に沿って複数個の透孔
    を設けた円筒部を有するステータと、円周方向に沿って
    複数個の透孔を設けた円筒部を有するロータを、ステー
    タの円筒部とロータの円筒部がせん断作用を生じるため
    に必要な一定間隔を有し且つ同心的に位置するように設
    置した装置を用い、前記ステータを固定し、前記ロータ
    をステータに対して同心的に回転させ、被処理液をロー
    タの円筒部の中心方向から供給し、ステータの円筒部の
    透孔とロータの円筒部の透孔を通過させて円筒部の外方
    に排出する乳化機である請求項1記載のマイクロカプセ
    ルの製造方法。
  3. 【請求項3】乳化機が、疎水性液体及び親水性液体から
    なる被処理液を入れた攪拌容器内で、攪拌体を回転させ
    て遠心力により前記被処理液を膜状態で容器内壁に沿っ
    て旋回させることにより乳化を行う乳化機である請求項
    1記載のマイクロカプセルの製造方法。
  4. 【請求項4】乳化機が、ロータとステータが半径方向外
    方に広がる同心円状で階段状の段差部を対向するように
    形成し、前記段差部のお互いに対向する側が開いた凹部
    を放射状に有する乳化機である請求項1記載のマイクロ
    カプセルの製造方法。
  5. 【請求項5】カプセル壁膜の形成方法が界面重合法又は
    インサイチュ(in−situ)法である請求項1〜4
    のいずれか一項に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  6. 【請求項6】ロータとステータが半径方向外方に広がる
    同心円状で階段状の段差部を対向するように形成し、前
    記段差部のお互いに対向する側が開いた凹状の歯部を放
    射状に有し、前記ロータの歯とステータの歯との隙間に
    よって構成される少なくとも1つ以上からなるせん断隙
    間の各々の上流側には原料供給口に連通するノズルが開
    口した混合室を有し、疎水性液体を親水性液体中に混合
    ・分散する分散機と、前記分散機で分散した分散液をさ
    らに乳化分散する乳化機を連結したことを特徴とするマ
    イクロカプセルの製造装置。
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