JP2023000886A - 情報表示媒体、情報書き込み方法、関連するシステム、及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋内においても移動体の動作制御に用いることができる情報表示媒体、情報書き込み方法、関連するシステム、及び方法を提供すること。【解決手段】セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を少なくとも部分的に含み、近赤外線吸収性材料を含有する対象部分にレーザー光を当てることにより、対象部分の、少なくとも所定の波長範囲における近赤外線吸収性が低下する情報表示部を備え、情報表示部内における近赤外線吸収性の分布が移動体に対する指示情報を示すことを特徴とする、情報表示媒体を提供する。【選択図】図44

Description

本発明は、近赤外線カメラ等で認識できる情報を表示する情報表示媒体、そのような情報を媒体に書き込む情報書き込み方法、及び、関連するシステム、方法に関する。
近年、自動運転車のように人が操縦せずとも自律的に移動する移動体の開発が進められている。
特許文献1においては、予め設定された範囲に向けて検出信号を送信し、反射信号を取得して検出された少なくとも2つの物体を目標物として設定し、これらの位置を通る基準線を設定し、車体と基準線との距離を設定範囲内に維持しつつ、基準線に沿ってステアリング操作を切り替えつつ走行させる自動走行車両が記載されている。
しかしながら、特許文献1の自動走行車両においては2以上の目標物の存在が前提とされており、複雑な経路を自動走行させるためには多数の目標物が必要となるため、屋内のような特徴のない(十分な数の目標物がない)単調な環境下では特許文献1の自動走行車両を使用できない可能性がある。
特開2016-66208号公報 特開2019-159850号公報 特許第4323578号 特表2005-505444号公報 特開2005-246821号公報 特開2008-162233号公報 特許第6443597号 特許第6507096号 特許第6541400号 特許第6160830号 特許第5854329号 国際公開第2018/151238号 特許第6167803号 特表2006-518898号 特許第4391103号 特許第5644896号
以上に鑑み、本発明は、屋内においても移動体の動作制御に用いることができる情報表示媒体、情報書き込み方法、関連するシステム、及び方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するべく、本発明は、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を少なくとも部分的に含み、近赤外線吸収性材料を含有する対象部分にレーザー光を当てることにより、対象部分の、少なくとも所定の波長範囲における近赤外線吸収性が低下する情報表示部を備え、情報表示部内における近赤外線吸収性の分布が移動体に対する指示情報を示すことを特徴とする、情報表示媒体を提供する。
上記情報表示媒体は、近赤外線透過性又は反射性を有する基材層と、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層とを備える積層体として構成されてよく、近赤外線吸収層は情報表示部を含んでよい。
上記情報表示媒体は、有色インキ組成物又は蛍光インキ組成物を含有する印刷層を更に備えてよく、印刷層と情報表示部とが少なくとも一部重なりあっていてよい。
上記印刷層は、情報表示媒体が配置される面の面内模様と同様の面内模様を表示する印刷層であってよい。
上記情報表示媒体は、基材層と、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の近赤外線吸収層と、セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の近赤外線吸収層とを備える積層体として構成されてよく、第1の近赤外線吸収層が情報表示部を含むものであってよい。
上記情報表示媒体は、基材層と、近赤外線吸収層とを備える積層体として構成されてよく、近赤外線吸収層は、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の区域と、セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の区域とを備えてよく、第1の区域が情報表示部を含むものであってよい。
上記第2の近赤外線吸収性材料は、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅のうち1以上を含むものであってよい。
上記情報表示媒体は、基材層と、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層と、近赤外線反射性材料を含む近赤外線反射層とを備える積層体として構成されてよく、近赤外線吸収層は情報表示部を含んでよい。
上記近赤外線反射性材料は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズのうち1以上を含むものであってよい。
また本発明は、上述のいずれかの情報表示媒体と、移動体とを備えたシステムであって、移動体が、情報表示媒体の情報表示部を撮像する近赤外線撮像部と、近赤外線撮像部の撮像により取得される指示情報を用いて移動体の動作を制御する動作制御部とを備えたことを特徴とするシステムを提供する。
また本発明は、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を少なくとも部分的に含み、近赤外線吸収性材料を含有する対象部分にレーザー光を当てることにより、対象部分の、少なくとも所定の波長範囲における近赤外線吸収性が低下する情報表示部を備えた情報表示媒体の情報表示部にレーザー光を当てて、情報表示部内における近赤外線吸収性の分布を変化させることにより、移動体に対する指示情報を情報表示部に書き込むことを特徴とする、情報書き込み方法を提供する。
上記情報表示媒体は、近赤外線透過性又は反射性を有する基材層と、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層とを備える積層体として構成されてよく、近赤外線吸収層が情報表示部を含むものであってよい。
上記情報表示媒体は、有色インキ組成物又は蛍光インキ組成物を含有する印刷層を更に備えてよく、印刷層と情報表示部とが少なくとも一部重なりあっていてよい。
上記印刷層は、情報表示媒体が配置される面の面内模様と同様の面内模様を表示する印刷層であってよい。
上記情報表示媒体は、基材層と、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の近赤外線吸収層と、セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の近赤外線吸収層とを備える積層体として構成されてよく、第1の近赤外線吸収層が情報表示部を含んでいてよい。
上記情報表示媒体は、基材層と、近赤外線吸収層とを備える積層体として構成されてよく、近赤外線吸収層は、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の区域と、セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の区域とを備えてよく、第1の区域が情報表示部を含むものであってよい。
上記第2の近赤外線吸収性材料は、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅のうち1以上を含むものであってよい。
上記情報表示媒体は、基材層と、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層と、近赤外線反射性材料を含む近赤外線反射層とを備える積層体として構成されてよく、近赤外線吸収層が情報表示部を含んでいてよい。
上記近赤外線反射性材料は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズのうち1以上を含むものであってよい。
また本発明は、近赤外線撮像部と動作制御部とを備えた移動体の動作制御方法であって、近赤外線撮像部が、上述のいずれかの情報表示媒体の情報表示部を撮像することと、動作制御部が、近赤外線撮像部の撮像により取得される指示情報を用いて移動体の動作を制御することとを含む方法を提供する。
本発明によれば、無色、或いは有色の赤外吸収材を含有する媒体に対してレーザー光を当てることで赤外吸収性能を変えることにより、バリアブルな不可視識別情報を印字することが可能となる。例えば、車両、ロボット等、移動体に対する指示情報(行動を指示する情報、位置を指示する情報等)を、肉眼では見ることができず目立たない不可視コード情報として媒体に印字すれば、移動体に搭載した近赤外線カメラ等で指示情報を読み取って移動体の動作を制御し、移動体を自律移動させることができる。
本発明の第1実施形態における情報表示媒体の、可視光下による断面(図3等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第1実施形態における情報表示媒体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図(なお、図を見やすくする目的で媒体の外形を描き入れている。他の図においても同様。)。 本発明の第1実施形態における情報表示媒体の、可視光下による表面(図1中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第1実施形態における情報表示媒体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図1等に示す情報表示媒体に矢印L方向でレーザー光を照射し、情報表示媒体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 図5に示すようにレーザー光を照射し、媒体に指示情報(ArUcoマーカー等のマーカー情報)を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)。 図5に示すようにレーザー光を照射し、媒体に指示情報(二次元コード情報)を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)。 本発明の第2実施形態における情報表示媒体(積層体)の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第2実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図8等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、情報表示媒体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 本発明の第3実施形態における積層体の、可視光下による断面(図13等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第3実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 本発明の第3実施形態における積層体の、可視光下による表面(図11中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第3実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図11等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 図15に示すようにレーザー光を照射し、積層体に指示情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)。 本発明の第4実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第4実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図17等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 本発明の第5実施形態における積層体の、可視光下による断面(図22等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第5実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 本発明の第5実施形態における積層体の、可視光下による表面(図20中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第5実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図20等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 図24に示すようにレーザー光を照射し、積層体に指示情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)。 本発明の第6実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第6実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図26等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 本発明の第7実施形態における積層体の、可視光下による断面(図31等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第7実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 本発明の第7実施形態における積層体の、可視光下による表面(図29中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第7実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図29等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 図33に示すようにレーザー光を照射し、媒体に指示情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)。 本発明の第8実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第8実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図35等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 本発明の第9実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第9実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図38等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 本発明の第10実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図。 本発明の第10実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図。 図41等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)。 屋内の壁面に情報表示媒体が貼り付けられ、移動体(車両)が各情報表示媒体に印字された指示情報を読み取って自律的に移動することを説明する図。 移動体(車両)の機能構成を示すブロック図。 移動体(車両)の動作制御部の機能構成を示すブロック図。 移動体に搭載された近赤外線カメラ(近赤外線撮像部)の装置構成を示すブロック図。 壁に貼り付けられた情報表示媒体を近赤外線カメラで撮影することにより情報表示媒体に書き込まれた情報を読み取って移動体(車両)の動作を制御する制御動作のフローチャート。 壁に貼り付けられた情報表示媒体を近赤外線カメラで撮影することにより情報表示媒体に書き込まれた情報を読み取って移動体(車両)の動作を制御する制御動作のフローチャート(続き)。 屋内の天井に情報表示媒体が貼り付けられ、移動体(車両)が各情報表示媒体に印字された指示情報を読み取って自律的に移動することを説明する図。 天井に貼り付けられた情報表示媒体を近赤外線カメラで撮影することにより情報表示媒体に書き込まれた情報を読み取って移動体(車両)の動作を制御する制御動作のフローチャート。 天井に貼り付けられた情報表示媒体を近赤外線カメラで撮影することにより情報表示媒体に書き込まれた情報を読み取って移動体(車両)の動作を制御する制御動作のフローチャート(続き)。 レーザーマーカー装置の構成を概略的に示す図。 セシウム酸化タングステン含有インキと酸化イッテルビウム含有インキとを赤外線カメラで観測した時の近赤外線画像、及び、それらを基材にオフセット印刷した印刷物を赤外線カメラで観測した時の近赤外線画像を示す図。 さまざまな基材にセシウム酸化タングステン含有インキを用いてオフセット印刷した印刷物における、レーザー印字をする前の印刷面の可視光領域~近赤外線領域の反射率(レーザー印字前)と、印刷物の印刷面に対してレーザー印字をした領域における可視光領域~近赤外線領域の反射率(レーザー印字後)とを測定した結果を示すグラフ(印刷面の側(インキ側)の反射率を測定した結果を示している。他のグラフにおいても同じ。)。 図55のグラフ中、基材としてPC(ポリカーボネート)を用いたときの測定結果を抜き出したグラフ。 図55のグラフ中、基材としてPET-G(非結晶性ポリエステル)を用いたときの測定結果を抜き出したグラフ。 図55のグラフ中、基材としてPVC(ポリ塩化ビニル)を用いたときの測定結果を抜き出したグラフ。 セシウム酸化タングステンの含有量(含有率で表す。単位は重量パーセント;重量%)がさまざまに異なるインキ組成物を用いて基材としての上質紙にオフセット印刷した時の、印刷面の可視光領域~近赤外線領域の反射率を測定した結果を示すグラフ。 基材としてのPC(ポリカーボネート)に6ホウ化ランタン含有インキを用いてオフセット印刷した印刷物における、レーザー印字をする前の印刷面の可視光領域~近赤外線領域の反射率(レーザー印字前)と、印刷物の印刷面に対してレーザー印字をした領域における可視光領域~近赤外線領域の反射率(レーザー印字後)とを測定した結果を示すグラフ。
以下、本発明の例示的実施形態である情報表示媒体、情報書き込み方法、関連するシステム及び方法を、図面を参照しつつ説明する。ただし本発明による情報表示媒体、情報書き込み方法、関連するシステム及び方法が以下に説明する具体的態様に限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能であることに留意する。後述の実施形態に含まれる個々の機能、要素等は本発明の範囲内で適宜削除・変更可能であるし、実施形態に含まれない任意の機能、要素等を本発明の範囲内で追加することも可能であるし、各実施形態を適宜組み合わせて実施することも可能である。例えば、以下の実施形態においては、基材(基材層)は透明基材、或いは近赤外線吸収材料を含有する透明基材であるとして説明するが、有色の基材を基材(基材層)として用いてもよい。媒体は、近赤外線吸収性材料を含有する基材のように単独の層からなる媒体であってもよいし、多層構造を有していてもよい。また本発明の教示する媒体とは、レーザーマーキングによる書き込み等により、近赤外線カメラ等による撮影で認識できる近赤外情報が既に書き込まれた媒体であってもよいし、情報が未だ書き込まれていない情報表示用の、或いは別用途の媒体であってもよい。基材層等の上に近赤外線吸収層を形成する方法は、近赤外線吸収性インキの塗布、近赤外線吸収性インキ層を用いたオフセット印刷、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等、任意の方法であって良い。近赤外線吸収層を複数形成する場合、それらは同じ方法により形成されていても異なった方法により形成されていてもよい。有色印刷層又は蛍光印刷層も任意の方法により形成されてよい。なお、後述の実施例においては、レーザー光として、特に近赤外(線)レーザー光を用いることが効果的であることが示され、また各実施形態においてもレーザー光は近赤外レーザー光であるとして説明するが、本発明において用いることのできるレーザー光がこれに限られるわけではない。すなわち、レーザー光として近赤外線レーザー(例:Nd:YAGレーザー、YVO4レーザー、ファイバーレーザーなど)による近赤外レーザー光を用いることは必須ではなく、紫外線レーザー(例:THGレーザーなど)や可視光レーザー(例:SHGレーザーなど)、遠赤外線レーザー(例:CO2レーザー)などによるレーザー光を用いることも可能である。
なお、以下の実施形態において、「近赤外線」とは、780nm~2000nmの波長を有する電磁波であるとする(「JIS Z 8117:2002遠赤外線用語」より)。「近赤外レーザー光(近赤外線レーザー光)」とは、上記近赤外線の波長範囲内の波長を有するレーザー光であるとする。また「可視光」とは、400nm~780nmの波長を有する電磁波であるとする。また、以下の実施形態において、「近赤外線吸収性」とは、照射された近赤外線の少なくとも一部を吸収する性質を意味し、「近赤外線透過性」とは、照射された近赤外線の少なくとも一部を透過する性質を意味し、「近赤外線反射性」とは、照射された近赤外線の少なくとも一部を反射する性質を意味する。同様に、以下の実施形態において、「可視光吸収性」とは、照射された可視光の少なくとも一部を吸収する性質を意味し、「可視光透過性」とは、照射された可視光の少なくとも一部を透過する性質を意味し、「可視光反射性」とは、照射された可視光の少なくとも一部を反射する性質を意味する。また以下の実施形態において、近赤外レーザー光等のレーザー光による近赤外線吸収層、又は近赤外線吸収性基材への「レーザーマーキング」とは、近赤外線吸収層、又は近赤外線吸収性基材に対してレーザー光を照射して近赤外線に対する近赤外線吸収層、又は近赤外線吸収性基材の吸収特性を変化させることにより、絵柄、文字、その他の情報等、何らかの表示内容を近赤外線吸収層、又は近赤外線吸収性基材に描く(又は書く)ことを意味する。レーザーマーキングは、各図中の矢印Lの方向でレーザー光を対象部分に照射することにより行ってもよいし、対象部分にレーザー光が届く限りにおいては、これと逆の方向で(媒体、積層体1における、矢印Lの側とは逆側の面から、矢印Lと逆方向にレーザー光を照射することにより)行ってもよいし、対象部分にレーザー光が届くのであれば任意の方向でレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。なお、特に断りのない限り、同様の参照符号が付された要素は、異なる図面間で同様の要素を示す。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における情報表示媒体の、可視光下による断面(図3等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図2は、当該情報表示媒体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり、図3は、当該情報表示媒体の、可視光下による表面(図1中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図4は、当該情報表示媒体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図である。なお、図1,図3の可視光画像においては外枠を描いているが、これは図面を見やすくするために便宜上描いたものであり、後述のとおり透明シートを作製する際にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含む近赤外線吸収材料を添加した樹脂を用いて近赤外線吸収性基材2を作製する場合、当該近赤外線吸収性基材2は可視光領域では認識が不可能か少なくとも困難である(他の実施形態の可視光画像、近赤外線画像においても同様に便宜上外枠を描いている)。情報表示媒体1は、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含む近赤外線吸収性材料を含有する近赤外線吸収性基材2からなり、レーザー光を照射するレーザーマーキングにより、近赤外線カメラ等で読み取り可能であるが可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるような情報として、移動体に対する指示情報を情報表示媒体1に書き入れることができる(レーザーマーキング後の、近赤外線吸収性基材2内における近赤外線吸収性の分布が移動体に対する指示情報を示す)。近赤外線吸収性基材2は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET-G(非結晶性ポリエステル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)等の材料を用いて透明シート(可視光透過性、近赤外線透過性を有する)を作製する際に、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含む近赤外線吸収材料を添加した樹脂を使用し、押出成形や、カレンダー成形などシートを作る方法により、そのような近赤外線吸収性基材2を作製することができる。別の一例においては、加熱して溶かした液体状態のPVC(ポリ塩化ビニル)、PET-G(非結晶性ポリエステル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、透明樹脂等の透明材料(可視光透過性、近赤外線透過性を有する)に、セシウム酸化タングステン及び6ホウ化ランタンの一方、又は両方を加えた上で混合し、近赤外線吸収性基材2の形に成形して固めることにより、近赤外線吸収性基材2を作製することができる。近赤外線吸収性基材2は、可視光透過率50%以上、近赤外線透過率50%以上の透過性を有することが好ましいが、この条件を満たさない態様で近赤外線吸収性基材2を作製してもよい。
近赤外線吸収性基材2に含有させるべき近赤外線吸収性材料として、上述のとおりセシウム酸化タングステン、又は6ホウ化ランタンを用いることができる。セシウム酸化タングステンとしては、化学式(一般式)Csxyzで表されるセシウム酸化タングステンを用いることができる(x,y,zは、それぞれ正の実数)。一例においては、特許文献10(特許第6160830号)に記載されている、六方晶構造を持つCs0.33WO3で表される微粒子を用いることができる。6ホウ化ランタンとしては、化学式LaB6で表される微粒子を用いることができる。近赤外線吸収性基材2におけるセシウム酸化タングステンの含有率は任意であるが、後述の実施例で示されるとおり、セシウム酸化タングステン含有インキは、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~6重量%のセシウム酸化タングステン含有率において良好な特性を有するので、近赤外線吸収性基材2におけるセシウム酸化タングステン含有率も0.5重量%(重量パーセント)~6重量%であってよい。近赤外線吸収性基材2における6ホウ化ランタンの含有率も任意であり、一例においては0.05重量%(重量パーセント)~6重量%であってよいが、後述の実施例で示されるとおり、6ホウ化ランタン含有インキは0.3重量%の6ホウ化ランタン含有率において良好な特性を有するので、近赤外線吸収性基材2における6ホウ化ランタン含有率も0.3重量%であってよい。セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの両方を含有する近赤外線吸収性基材2を用いる場合においても、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンのそれぞれの含有率は同様に任意である。なお、ここでいう、近赤外線吸収性基材2中の「セシウム酸化タングステンの含有率(重量%)」とは近赤外線吸収性基材2の全体の重量に占める、当該近赤外線吸収性基材2に含まれるセシウム酸化タングステンの重量の割合であり、
近赤外線吸収性基材2中のセシウム酸化タングステンの含有率(重量%)={(セシウム酸化タングステンの重量)/(近赤外線吸収性基材2全体の重量)}×100
により表される。
同様に、近赤外線吸収性基材2中の「6ホウ化ランタンの含有率(重量%)」は、近赤外線吸収性基材2の全体の重量に占める、当該近赤外線吸収性基材2に含まれる6ホウ化ランタンの重量の割合であり、
近赤外線吸収性基材2中の6ホウ化ランタンの含有率(重量%)={(6ホウ化ランタンの重量)/(近赤外線吸収性基材2全体の重量)}×100
により表される。
このような近赤外線吸収性基材2は、可視光透過性と近赤外線透過性を有しつつも、近赤外線吸収性材料を含有することにより或る程度の近赤外線吸収性も有することとなるため、近赤外線カメラ等により近赤外線吸収性基材2を撮影すれば、透明材料のみからなる部材に比べて近赤外線画像として暗い画像が得られることとなる。また後に実験結果を用いて説明するとおり、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとは、(近赤外)レーザー光を照射することにより近赤外線に対する吸収性が低下する性質を有しているため、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの少なくとも一方を含有する近赤外線吸収性基材2に対してレーザーマーキングで画像、文字、コード情報等を描く(書く)ように近赤外レーザー光を当てることにより、描かれた部分の近赤外線吸収特性が変化し(近赤外線吸収性が低下することにより、レーザー光を照射する前と比べてレーザーマーキングの対象部分における近赤外線の透過性が上昇し、近赤外線カメラで撮影した時には(近赤外線カメラ光源からの、或いは周辺からの)近赤外線の一部が対象部分を透過して、対象部分の後ろにある物体等から反射することにより、対象部分についてはレーザーマーキング前よりも明るい近赤外線画像が得られる)、これにより、肉眼や可視光カメラでは認識することが少なくとも困難であるが近赤外線カメラ等により認識可能な、画像、文字、コード情報等の情報を近赤外線吸収性基材2に表示させることができる。
図5は、図1等に示す情報表示媒体に矢印L方向でレーザー光を照射し、情報表示媒体におけるレーザー光が当たった部分(「レーザー光を照射した部分3」とする。他の図においても同様)の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である。レーザーマーカー装置等を用いるレーザーマーキングにより、近赤外線吸収性基材2に任意の情報を書き込むことができる。書き込むことができる情報の例を図6~図7に示す。図6は、図5に示すようにレーザー光を照射し、媒体に指示情報(ArUcoマーカー等のマーカー情報)を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)であり、図7は、図5に示すようにレーザー光を照射し、媒体に指示情報としてQRコード(登録商標)等の二次元コード情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)である。なお、後述の図55~図58、図60の実験結果に示されるとおり、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収インキの印刷による近赤外線吸収層においては、近赤外レーザー光の照射により近赤外領域での反射率が大きく変化する一方、可視光領域での反射率は近赤外レーザー光の照射前後で大きく変わらない。したがって、(近赤外)レーザー光の照射により図6,図7のように近赤外線画像として認識可能な情報が書き込まれたとしても、情報表示媒体1の可視光画像においてはマーカー情報、二次元コード情報等の情報は認識が不可能であるか少なくとも困難である(他の実施形態においても同様)。すなわち、これらの情報は肉眼や可視光カメラでは認識が不可能か少なくとも困難であるが近赤外線カメラによる撮影で取得することが可能であり、壁、天井、物品等に対してこのような指示情報(移動体に対する指示情報)が書き込まれた情報表示媒体を付着させることにより、デザイン性を損なうことなく移動体の動作を制御することが可能となる。後述の各実施形態においても、レーザーマーキングにより(第1の)近赤外線吸収層4に、移動体に対する指示情報を書き込むことができる。
なお、近赤外線吸収性基材2は紙基材にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの少なくとも一方を含有させたものであってもよく、この場合、抄紙工程に使用するパルプ(原料)に事前に近赤外線吸収材料を添加し、抄紙工程に入れることや、抄紙工程に紙の表側に塗る塗料に事前に近赤外線吸収材料を添加すること(そのように塗料に添加する場合、断面図は後述の第2実施形態として示す図8~図10と同様となる。)などにより、そのような近赤外線吸収性基材2を作製することができる。後に説明する実験結果に鑑みれば、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含有する近赤外線吸収性インキ組成物を用いて基材に印刷したときと同様に、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含有する近赤外線吸収性基材2の対象部分に対してレーザー光を当てることによっても、対象部分の、少なくとも所定の波長範囲(セシウム酸化タングステンを含有する基材であれば、例えば780nm~2000nmの近赤外領域であり、6ホウ化ランタンを含有する基材であれば、例えば780nm~1400nmの近赤外領域である)における近赤外線吸収性が低下すると考えられる。したがって、近赤外線吸収性基材2に対して、画像、文字、コード情報等を書く(描く)よう(近赤外)レーザー光を照射してレーザーマーキングを行った上で、近赤外線カメラで撮影する等して近赤外線画像を観察すれば、レーザーマーキングにより書いた(描いた)画像、文字、コード情報等を確認できると考えられる。なお、図1中の矢印Lの方向(媒体1における赤外線吸収性基材2の上側から)ではなく、近赤外線吸収性基材2の下側からレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態における情報表示媒体(積層体)の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図であり(表面図は図3と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)、図9は、本発明の第2実施形態における積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり(表面図は図4と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)、図10は、図8等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、情報表示媒体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である。第1実施形態の媒体1とは異なり、第2実施形態の積層体1は、基材層2と近赤外線吸収層4とを備える。
基材層2は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET-G(非結晶性ポリエステル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)等の材料を用いて作製される透明シート(可視光透過性、近赤外線透過性を有する)であってよいし、紙基材(上質紙、コード紙など)であってもよい(可視光反射性、近赤外線反射性を有する)。近赤外線吸収層4は、上述のセシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層であり、一例においてはセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方、又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを基材層2に塗布するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを用いて基材層2に印刷を行うことにより形成することができる。
後に実験結果を示して説明するとおり、セシウム酸化タングステン、又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性インキ組成物は、近赤外レーザー光を当てることにより少なくとも所定の波長範囲の近赤外線に対する吸収率が低下(反射率が上昇)するという性質を有しており、そのような近赤外線吸収性インキ組成物を用いた塗布、印刷等により形成される近赤外線吸収層に対して、文字、画像(絵、図形等)、コード情報等を描くように近赤外レーザー光を当てることにより(レーザーマーキング)、描かれた部分の近赤外線吸収特性が変化し、したがって近赤外線吸収層には赤外線カメラ等を用いて認識可能であり、肉眼や可視光カメラでは認識が不可能か少なくとも困難である文字、画像、コード情報等が形成されることとなる(レーザーマーキング後の、近赤外線吸収層4内における近赤外線吸収性の分布が移動体に対する指示情報を示す。後述の実施形態においても同様。)。近赤外線吸収層4に対して、例えばバーコード、二次元コード、数字情報、ArUcoマーカー等のマーカー情報を描くようにレーザーマーキングを行えば、上述の図6~図7等(マーカー情報と二次元コード情報を例示的に図示したが、バーコード、数字等、任意の情報を書き込むことができる)と同様の情報を近赤外線吸収層4に書き込むことができる(図6~図7の参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える)。なお、基材層2が透明基材等の近赤外線透過性を有する基材層である場合は、図8中の矢印Lの方向(積層体1における第1の近赤外線吸収層4の側から)ではなく、基材層2の側から近赤外線吸収層4にレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。
セシウム酸化タングステン含有インキ組成物としては、化学式(一般式)Csxyzで表されるセシウム酸化タングステンを含有するインキを用いることができる(x,y,zは、それぞれ正の実数)。一例においては、特許文献10(特許第6160830号)に記載されている、六方晶構造を持つCs0.33WO3で表される微粒子を含有するインキを用いることができる。6ホウ化ランタン含有インキ組成物としては、化学式LaB6で表される微粒子を含有するインキを用いることができる。近赤外線吸収性インキは、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンに加えて、分散剤、モノマー、合成樹脂類、助剤などを含む。セシウム酸化タングステン含有インキにおけるセシウム酸化タングステンの含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~6重量%の含有率において良好な特性を有することが後述の実施例で示される。6ホウ化ランタン含有インキにおける6ホウ化ランタンの含有率も任意であり、一例においては0.05重量%(重量パーセント)~6重量%であってよいが、0.3重量%の含有率において良好な特性を有することが後述の実施例で示される。セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いる場合においても、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンのそれぞれの含有率は同様に任意である。いずれの場合においても印刷濃度(盛量)等によって好ましい含有率を変更することができる。なお、ここでいう「セシウム酸化タングステンの含有率(重量%)」とはインキの全体の重量に占める、当該インキに含まれるセシウム酸化タングステンの重量の割合であり、
インキ中のセシウム酸化タングステンの含有率(重量%)={(セシウム酸化タングステンの重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
同様に、「6ホウ化ランタンの含有率(重量%)」は、インキの全体の重量に占める、当該インキに含まれる6ホウ化ランタンの重量の割合であり、
インキ中の6ホウ化ランタンの含有率(重量%)={(6ホウ化ランタンの重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態における積層体の、可視光下による断面(図13等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図12は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり、図13は、当該積層体の、可視光下による表面(図11中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図14は、当該積層体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図である。
第3実施形態の積層体1は、基材層2と、(第1の)近赤外線吸収層4との間に、有色印刷層又は蛍光印刷層5を備える。基材層2は、第2実施形態と同様の透明シート、或いは紙基材等であってよく、第1の近赤外線吸収層4は、第2実施形態と同様にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて形成される層であるが、有色印刷層又は蛍光印刷層5は、有色インキ、又は蛍光インキを用いた印刷により形成される印刷層である。
一例において、有色印刷層又は蛍光印刷層5は、UV SOYBI SG 黄(DICグラフィックス製)、UV SOYBI SG 紅(DICグラフィックス製)、UV SOYBI SG 藍(DICグラフィックス製)、UV 161 黄 S(T&K TOKA製)、UV 161 紅 S(T&K TOKA製)、UV 161 藍 S(T&K TOKA製)等、近赤外線透過性の有色インキ(可視光吸収性の有色インキ)を用いて、及び/又は、UV蛍光メジウムB(T&K TOKA製)、UV蛍光メジウムY(T&K TOKA製)、UV蛍光メジウムR(T&K TOKA製)等、近赤外線透過性の蛍光インキを用いて、基材層2上に印刷を行うことにより形成される。有色インキ、蛍光インキの印刷においては、積層体1が貼り付けられる面、例えば壁面や天井面の面内模様と同様の面内模様(壁紙の模様等)を印刷することにより、積層体1を目立たなくすることができる。
図11等に示す積層体1は、基材層2の上に、上記有色インキ及び/又は蛍光インキ用いて印刷して有色印刷層又は蛍光印刷層5を形成し、有色印刷層又は蛍光印刷層5の上に、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを有色印刷層又は蛍光印刷層5上に塗布して近赤外線吸収層4を形成することにより作製できる。
図15は、図11等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)であり、図16は、図15に示すようにレーザー光を照射し、積層体に指示情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)である。第2実施形態と同様に、近赤外線吸収層4に対して、例えば移動体に対する指示情報を書き込むようレーザーマーキングを行うことにより、肉眼や可視光カメラでは認識が不可能か少なくとも困難であるが、近赤外線カメラで読み取り可能な情報表示媒体1が得られる。なお、基材層2が透明基材等の近赤外線透過性を有する基材層であり、有色印刷層又は蛍光印刷層5が少なくとも一部近赤外線を透過する場合は、図11中の矢印Lの方向(積層体1における第1の近赤外線吸収層4の側から)ではなく、基材層2の側から第1の近赤外線吸収層4にレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図であり(表面図は図13と同様)、図18は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり(表面図は図14と同様)、図19は、当該積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である(表面図は図16と同様)。
第4実施形態の積層体1においては、第3実施形態の積層体1と比べて、近赤外線吸収層4と有色印刷層又は蛍光印刷層5との積層順序が逆となっているが、それ以外の構成は第3実施形態と同様であってよく、図19に示すとおり近赤外線吸収層4にレーザーマーキングを行うことにより、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報を書き込むことができる。基材層2が透明基材等の近赤外線透過性を有する基材層である場合は、図19中の矢印Lの方向(積層体1における有色印刷層又は蛍光印刷層5の側から)ではなく、基材層2の側から第1の近赤外線吸収層4にレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。図17等に示す積層体1は、基材層2上にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを基材層2に塗布して近赤外線吸収層4を形成し、更に基材層2の近赤外線吸収層4側の面上に、近赤外線吸収層4と少なくとも一部重なるように有色インキ又は蛍光インキを用いた印刷(一例においては、壁面や天井面等、情報表示媒体1が貼り付けられる面の模様と同様の模様を印刷する)により有色印刷層又は蛍光印刷層5を形成することにより作製できる。
(第5実施形態)
図20は、本発明の第5実施形態における積層体の、可視光下による断面(図22等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図21は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり、図22は、当該積層体の、可視光下による表面(図20中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図23は、当該積層体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図である。なお、図23の表面図に関し、第1の近赤外線吸収層4の区域を近赤外線カメラで撮影すると、第1の近赤外線吸収層4だけでなく、その下にある第2の近赤外線吸収層6によっても近赤外線が吸収されるため、実際には第1の近赤外線吸収層4を単独で撮影した時よりも暗い近赤外線画像が得られる(後述の図25の表面図中、第1の近赤外線吸収層4の区域においても同様)。
第5実施形態の積層体1は、基材層2と、(第1の)近赤外線吸収層4との間に、第2の近赤外線吸収層6を備える。基材層2は、第2実施形態と同様の透明シート、或いは紙基材等であってよく、第1の近赤外線吸収層4は、第2実施形態と同様にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて形成される層であるが、第2の近赤外線吸収層6は、セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層である。
一例において、第2の近赤外線吸収層6は、アンチモン酸化スズ(ATO)、酸化インジウムスズ(ITO)、ピロ燐酸銅(Cu227)等、近赤外線の吸収効果が近赤外線レーザーを当てても顕著には影響されない近赤外線吸収性材料のうち1以上を含み、第2の近赤外線吸収層6を、このような近赤外線吸収性材料を含有する近赤外線吸収性インキを用いて基材層2上に印刷するか、或いは基材層2にこのような近赤外線吸収性インキを塗布して形成することができる。第2の近赤外線吸収層6に用いられる近赤外線吸収性インキは、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅等の近赤外線吸収性材料(粉末等)に加えて、分散剤、モノマー、合成樹脂類、助剤などを含む。アンチモン酸化スズ含有インキにおけるアンチモン酸化スズの含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~6重量%の含有率であってよい。酸化インジウムスズ含有インキにおける酸化インジウムスズの含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~6重量%の含有率であってよい。ピロ燐酸銅含有インキにおけるピロ燐酸銅の含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~6重量%の含有率であってよい。アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅のうち2以上を含有する近赤外線吸収性インキを用いる場合においても、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅のそれぞれの含有率は同様に任意である。いずれの場合においても印刷濃度(盛量)等によって好ましい含有率を変更することができる。なお、ここでいう「アンチモン酸化スズの含有率(重量%)」とはインキの全体の重量に占める、当該インキに含まれるアンチモン酸化スズの重量の割合であり、
インキ中のアンチモン酸化スズの含有率(重量%)={(アンチモン酸化スズの重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
同様に、「酸化インジウムスズの含有率(重量%)」は、インキの全体の重量に占める、当該インキに含まれる酸化インジウムスズの重量の割合であり、
インキ中の酸化インジウムスズの含有率(重量%)={(酸化インジウムスズの重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
同様に、「ピロ燐酸銅の含有率(重量%)」は、インキの全体の重量に占める、当該インキに含まれるピロ燐酸銅の重量の割合であり、
インキ中のピロ燐酸銅の含有率(重量%)={(ピロ燐酸銅の重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
図20等に示す積層体1は、基材層2の上に、上記アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅等を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを基材層2上に塗布して第2の近赤外線吸収層6を形成し、第2の近赤外線吸収層6の上に、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを第2の近赤外線吸収層6上に塗布して第1の近赤外線吸収層4を形成することにより作製できる。
図24は、図20等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)であり、図25は、図24に示すようにレーザー光を照射し、積層体に指示情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)である。セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含有する第1の近赤外線吸収層4は、近赤外レーザー光を当てられることにより近赤外線吸収性が低下する性質を有するため、例えばマーカー情報、二次元コード情報を描くように近赤外線吸収層4にレーザーマーキングを行うことにより、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報を書き込むことができる。なお、基材層2が透明基材等の近赤外線透過性を有する基材層であり、第2の近赤外線吸収層6が少なくとも一部近赤外線を透過する場合は、図20中の矢印Lの方向(積層体1における第1の近赤外線吸収層4の側から)ではなく、基材層2の側から第1の近赤外線吸収層4にレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。
(第6実施形態)
図26は、本発明の第6実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図であり(表面図は図22と同様だが参照符号「6」を参照符号「2」と読み替える。)、図27は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり(表面図は図23と同様だが参照符号「6」を参照符号「2」と読み替え、その部分の斜線は基材層2の下にある第2の近赤外線吸収層6を示すものである。)、図28は、当該積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である(表面図は図25と同様だが参照符号「6」を参照符号「2」と読み替え、その部分の斜線は基材層2の下にある第2の近赤外線吸収層6を示すものである。)。
第6実施形態の積層体1においては、第5実施形態の積層体1と比べて、基材層2と第2の近赤外線吸収層6との積層順序が逆となっているが、それ以外の構成は第5実施形態と同様であってよく、図28に示すとおり第1の近赤外線吸収層4にレーザーマーキングを行うことにより、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報を書き込むことができる。基材層2が透明基材等の近赤外線透過性を有する基材層であり、第2の近赤外線吸収層6が少なくとも一部近赤外線を透過する場合は、図28中の矢印Lの方向(積層体1における第1の近赤外線吸収層4の側から)ではなく、第2の近赤外線吸収層6の側から第1の近赤外線吸収層4にレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。図26等に示す積層体1は、基材層2の上に、上記アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅等を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを基材層2上に塗布して第2の近赤外線吸収層6を形成し、基材層2における第2の近赤外線吸収層6を形成した面とは逆側の面に、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを基材層2における第2の近赤外線吸収層6を形成した面とは逆側の面に塗布して第1の近赤外線吸収層4を形成することにより作製できる。
(第7実施形態)
図29は、本発明の第7実施形態における積層体の、可視光下による断面(図31等におけるA-A’線で切断したA-A’断面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図30は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり、図31は、当該積層体の、可視光下による表面(図29中、矢印Lの方向で見える面。他の図においても同様。)の観察画像(可視光画像)を示す図であり、図32は、当該積層体の、近赤外線カメラによる表面の観察画像(近赤外線画像)を示す図である。
第7実施形態の積層体1においては、基材層2(第2実施形態と同様の透明シート、或いは紙基材等であってよい)の上の近赤外線吸収層が、第1の近赤外線吸収区域7と第2の近赤外線吸収区域8の2つの区域に分けられている。第1の近赤外線吸収区域7は、第2実施形態における近赤外線吸収層4と同様にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキ組成物を含む層として形成され、近赤外レーザー光を照射することにより近赤外線吸収性が低下する。第2の近赤外線吸収区域8は、第5実施形態における第2の近赤外線吸収層6と同様に、セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅等、近赤外線の吸収効果が近赤外線レーザーを当てても顕著には影響されない近赤外線吸収性材料のうち1以上を含む層として形成される。図29等に示す積層体1は、基材層2の上の、第1の近赤外線吸収区域7に対応する部分に、上記セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを塗布して近赤外線吸収層のうち第1の近赤外線吸収区域7を形成し、基材層2の上の、第2の近赤外線吸収区域8に対応する部分に、上記アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅等を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを塗布して近赤外線吸収層のうちの第2の近赤外線吸収区域8を形成することにより作製できる。
図33は、図29等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)であり、図34は、図33に示すようにレーザー光を照射し、媒体に指示情報を書き入れた時の表面の観察画像を示す図(近赤外線画像、表面図)である。基材層2が透明基材等の近赤外線透過性を有する基材層である場合は、図33中の矢印Lの方向(積層体1における近赤外線吸収層の側から)ではなく、基材層2の側から第1の近赤外線吸収区域7にレーザー光を照射してレーザーマーキングを行ってもよい。レーザー光を照射した場合でも、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報を書き込むことができる。
(第8実施形態)
図35は、本発明の第8実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図であり(表面図は図3と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)、図36は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり(表面図は図4と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)、図37は、図35等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である(表面図は図6~図7と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)。
第8実施形態の積層体1においては、基材層2(第2実施形態と同様の透明シート、或いは紙基材等であってよい)の上に近赤外線反射層9が形成され、近赤外線反射層9の上に近赤外線吸収層4(第2実施形態の近赤外線吸収層4と同様の層であり、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する)が形成されている。
一例において、近赤外線反射層9は、酸化チタン(酸化チタン(IV):TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化スズ(酸化スズ(IV):SnO2)等、近赤外線反射性を有する近赤外線反射性材料のうち1以上を含み、近赤外線反射層9を、このような近赤外線反射性材料を含有する近赤外線反射性インキを用いて基材層2上に印刷するか、或いは基材層2にこのような近赤外線反射性インキを塗布して形成することができる。近赤外線反射層9に用いられる近赤外線反射性インキは、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ等の近赤外線反射性材料(粉末等)に加えて、分散剤、モノマー、合成樹脂類、助剤などを含む。酸化チタン含有インキにおける酸化チタンの含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~30重量%の含有率であってよい。酸化ケイ素含有インキにおける酸化ケイ素の含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~30重量%の含有率であってよい。酸化スズ含有インキにおける酸化スズの含有率は任意であるが、一例においては0.5重量%(重量パーセント)~30重量%の含有率であってよい。酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズのうち2以上を含有する近赤外線反射性インキを用いる場合においても、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズのそれぞれの含有率は同様に任意である。いずれの場合においても印刷濃度(盛量)等によって好ましい含有率を変更することができる。なお、ここでいう「酸化チタンの含有率(重量%)」とはインキの全体の重量に占める、当該インキに含まれる酸化チタンの重量の割合であり、
インキ中の酸化チタンの含有率(重量%)={(酸化チタンの重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
同様に、「酸化ケイ素の含有率(重量%)」は、インキの全体の重量に占める、当該インキに含まれる酸化ケイ素の重量の割合であり、
インキ中の酸化ケイ素の含有率(重量%)={(酸化ケイ素の重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。
同様に、「酸化スズの含有率(重量%)」は、インキの全体の重量に占める、当該インキに含まれる酸化スズの重量の割合であり、
インキ中の酸化スズの含有率(重量%)={(酸化スズの重量)/(インキ全体の重量)}×100
により表される。なお、図35等における近赤外線反射層9は、有色(可視光吸収性)であっても無色(可視光透過性)であってもよい(他の図においても同様)。
図35等に示す積層体1は、基材層2の上に、上記酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ等を含有する近赤外線反射性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線反射性インキを基材層2上に塗布して近赤外線反射層9を形成し、近赤外線反射層9の上に、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを近赤外線反射層9上に塗布して近赤外線吸収層4を形成することにより作製できる。
第2実施形態等と同様に、セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含有する近赤外線吸収層4は、近赤外レーザー光を当てられることにより近赤外線吸収性が低下する性質を有するため、例えばArUcoマーカー等のマーカー情報、QRコード(登録商標)等の二次元コード情報を描くように近赤外線吸収層4にレーザーマーキングを行うことにより(近赤外線反射層9が存在するため、図36に矢印Lで示すとおり積層体1における近赤外線吸収層4の側から近赤外レーザー光を照射することが好ましい)、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報を書き込むことができる。
(第9実施形態)
図38は、本発明の第9実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図であり(表面図は図3と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)、図39は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり(表面図は図4と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)、図40は、図38等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である(表面図は図6~図7と同様だが参照符号「2」を参照符号「4」と読み替える。)。
第9実施形態の積層体1においては、第8実施形態の積層体1と比べて、基材層2と近赤外線反射層9との積層順序が逆となっているが、それ以外の構成は第8実施形態と同様であってよく、図40に示すとおり近赤外線吸収層4にレーザーマーキングを行うことにより、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報(移動体に対する指示情報。他の実施形態においても同様。)を書き込むことができる(近赤外線反射層9が存在するため、図40に矢印Lで示すとおり積層体1における近赤外線吸収層4の側から近赤外レーザー光を照射することが好ましい)。図38等に示す積層体1は、基材層2の上に、上記酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ等を含有する近赤外線反射性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線反射性インキを基材層2上に塗布して近赤外線反射層9を形成し、基材層2における近赤外線反射層9を形成した面とは逆側の面に、セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを基材層2における近赤外線反射層9を形成した面とは逆側の面に塗布して近赤外線吸収層4を形成することにより作製できる。
(第10実施形態)
図41は、本発明の第10実施形態における積層体の、可視光下による断面の観察画像(可視光画像)を示す図であり(表面図は図3と同様だが参照符号「2」を参照符号「10」と読み替える。)、図42は、当該積層体の、近赤外線カメラによる断面の観察画像(近赤外線画像)を示す図であり(表面図は図4と同様だが参照符号「2」を参照符号「10」と読み替え、その部分の斜線は耐摩耗性ハードコート層10の下にある近赤外線吸収層4を示すものである。)、図43は、図41等に示す積層体に矢印L方向でレーザー光を照射し、積層体におけるレーザー光が当たった部分の近赤外線吸収性が低下したことを示す図(近赤外線画像、断面図)である(表面図は図6~図7と同様だが参照符号「2」を参照符号「10」と読み替え、その部分の斜線は耐摩耗性ハードコート層10の下にある近赤外線吸収層4を示すものである。)。
第10実施形態の積層体1は、図41の紙面内、上から順に、耐摩耗性ハードコート層10、近赤外線吸収層4、近赤外線反射層9、基材層2、粘着層11、剥離フィルム12を備えている。
耐摩耗性ハードコート層10(可視光透過性、近赤外線透過性を有する)は、一例においてはアクリル樹脂を塗布することにより形成された摩耗への耐性に優れた層である。近赤外線吸収層4は、第2実施形態と同様にセシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを用いて形成される層である。近赤外線反射層9は、第8実施形態と同様に、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ等の近赤外線反射性材料を含有する層である。基材層2は、第2実施形態と同様に、可視光透過性と近赤外線透過性とを有する透明シート等の透明基材、或いは任意の非透明基材として形成される。粘着層11は、一例においては特許文献15中、段落[0046]に記載のとおり、天然ゴム、再生ゴム、SBR等のエラストマーと低分子量あるいは中程度の分子量の粘着付与剤、酸化防止剤などの混合物を溶液状態で用いた粘着剤により形成される。熱可塑性エラストマーの場合は溶融状態での塗布が可能である。光および酸化に対する抵抗性が必要な場合は、アクリレートコポリマーやポリイソブチレン等の材料を使用することができる。ホットメルト型のヒートシール剤を用いても良い。剥離フィルム12は、一例においては特許文献16中、段落[0072]-[0073]に記載のとおり、例えば、水溶性樹脂、親水性樹脂、ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の剥離剤を、ポリエステル系樹脂やポリカーボネート系樹脂を用いたフィルムに塗布することにより作製することができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは、取り扱い易さ、コスト等の観点から好ましい。一例においては、積層体1から剥離フィルム12を剥がした後、積層体1(剥離フィルム12を含まないものも「積層体1」と呼ぶ。)の粘着層11を壁面、天井等に貼付することにより、積層体1を屋内の面に付着させることができる。耐摩耗性ハードコート層10は傷がつきにくい効果があるが、必ずしも必要とは限らない。
第10実施形態の積層体1においても、第2実施形態の積層体1等と同様に、近赤外線吸収層4にレーザーマーキングを行うことにより、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような情報を書き込むことができる(近赤外線反射層9が存在するため、図43に矢印Lで示すとおり積層体1における耐摩耗性ハードコート層10の側から近赤外レーザー光を照射することが好ましい)。図41等に示す積層体1は、一例において、
(1)基材層2の上に、上記酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ等を含有する近赤外線反射性インキを用いて印刷するか、或いはそのような近赤外線反射性インキを基材層2上に塗布して近赤外線反射層9を形成し、
(2)セシウム酸化タングステンと6ホウ化ランタンとの一方、又は両方を含有する近赤外線吸収性インキを近赤外線反射層9の上に塗布するか、或いはそのような近赤外線吸収性インキを用いて近赤外線反射層9に印刷を行うことにより近赤外線吸収層4を形成し、
(3)近赤外線吸収層4の、近赤外線反射層9とは逆側の面に、耐摩耗性樹脂を塗布して耐摩耗性ハードコート層10を形成し、
(4)基材層2の、近赤外線反射層9を形成した側とは逆側の面に上記粘着材を塗布して粘着層11を形成し、
(5)粘着層11の、基材層2とは逆側の面に上記剥離フィルム12を貼付する
という方法で作製することができる。
(第11実施形態)
次に、上述の各実施形態における情報表示媒体1を近赤外線カメラで撮像して情報を取得するシステムの具体例として、屋内において、車両等、移動体の動作制御をするためのシステムを説明する。
図44は、屋内の壁面に情報表示媒体が貼り付けられ、移動体(車両)が各情報表示媒体に印字された指示情報を読み取って自律的に移動することを説明する図である。屋内の壁面13~15には、上述のいずれかの実施形態の情報表示媒体1として、移動体に対する指示情報がレーザーマーキングにより書き込まれた情報表示媒体A1~D1が粘着材等により貼り付けられている。車両等の移動体17は、近赤外線カメラ19により、まず情報表示媒体A1を撮影し、撮影画像から指示情報を読み取って指示情報に従い移動等の動作をし、引き続き情報表示媒体B1~D1を順次読み取って、それぞれの情報表示媒体に書き込まれた指示情報に従い動作する。このとき情報表示媒体A1~D1の外観は、可視光カメラや肉眼では認識が少なくとも困難であるが近赤外線カメラによって認識することができるような状態である。また、情報表示媒体A1~D1におけるレーザーマーキングした領域である指示情報の各サイズ(大きさ)は、限定されないが、正方形状の場合は一辺の長さが5cmが好ましく、より好ましくは正方形状における一辺の長さが10cmのサイズであってよいし、正方形状における一辺の長さが20cmのサイズでもよい。また、指示情報の形状は正方形状を例示したが、長方形状やひし形状、台形状など適宜形状を変えることができる。
図45は、移動体(車両)の機能構成を示すブロック図であり、図46は、移動体(車両)の動作制御部の機能構成を示すブロック図であり、図47は、移動体に搭載された近赤外線カメラ(近赤外線撮像部)の装置構成を示すブロック図である。
移動体17は、移動体本体部18と、近赤外線カメラ19と、車輪20~23と、距離センサ部24とを備え、移動体本体部18は、動作制御部25と、動力伝達機構、向き制御機構等26と、通信部27と、電源系28とを備える。近赤外線カメラ19は、図47に示すとおりの構成を備えた、近赤外線の動画又は静止画を撮影する近赤外線カメラであり、赤外線カメラレンズ32と、センサ部33と、メモリ34と、処理回路35と、ケーブル37によって動作制御部25と通信可能に接続された通信部36と、電源系38とを備える。
赤外線カメラレンズ32は、少なくとも近赤外線を屈折させて赤外線センサ部33に導くことができるレンズである。赤外線センサ部33は、ボロメータ型等の熱型赤外線センサであってもInGaAs型等の量子型赤外線センサであっても、別の型の赤外線センサであってもよく、必要に応じて冷却器等も備える。メモリ34は、RAM(Random Access Memory:ランダム アクセス メモリ)等のメモリデバイスであり、近赤外線カメラ19内に撮影動画、画像を保存するのであれば、更にフラッシュメモリ等のメモリカード、或いはハードディスク、SSD(Solid State Drive)等も適宜備える。処理回路35は、赤外線センサ部33が検出した近赤外線像をアナログ情報からデジタルデータに変換するA/D(アナログ/デジタル)コンバータ、各種データ処理を行うプロセッサ等を含む処理回路である。通信部36は、処理回路35のA/Dコンバータによる変換により得られたデジタルデータ(適宜メモリ34に記憶(記録)される)を、一例においてはケーブル37を通じて動作制御部25へと送信する通信回路(及び、無線通信する場合等、必要に応じて通信アンテナ)を備える。電源系38は、リチウムイオン電池等のバッテリーと、電力を処理回路35等に供給するための回路等を含む。近赤外線カメラ19は、その他にも各種ボタン等の要素を含むが、近赤外線カメラ自体は周知であるためこれ以上詳しく説明しない(その他の装置等についても、公知、周知の要素については適宜説明を省略する)。
車輪20~23は、動作制御部25からの制御信号により制御される動力伝達機構、向き制御機構等(モーター、ESC(Electric Speed Controller)、向き制御用の機構等、各種の制御機構等を含む)26の制御により回転したり向きを変えたりして、移動体17を前進、後退させたり旋回等により移動体17に向きを変えさせたりする。距離センサ部24は、レーザー距離センサ、超音波センサ等の距離センサを備え、移動体17と前方の障害物等との距離を示す信号を動作制御部25に送信する。動作制御部25は、動力伝達機構、向き制御機構等26に制御信号を送信することにより移動体17の動作を制御する処理回路等を備える。動作制御部25は、ASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)、組み込みシステム、マイクロコンピュータ等、或いはCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を備え、近赤外線カメラ19から受信した撮影画像データ、距離センサ部24から受信した障害物等との距離を示すデータ、通信部27(通信回路、通信アンテナ等を備える)を介して外部から受信した命令信号等のデータを処理する(移動体17は外部からの制御信号により動作を制御されてもよいし、動作制御部25の制御により完全に自律移動してもよい。)。動作制御部25は、RAM等のメモリデバイス、及び、必要に応じてハードディスク、SSD等も適宜備える。電源系28は、リチウムイオン電池等のバッテリーと、電力を動作制御部25、動力伝達機構、向き制御機構等26等に供給するための回路等を含む。
動作制御部25は、図46に示すとおり、画像処理部29、コード情報処理部30、制御信号生成部31を備える。一例において、動作制御部25はCPUと記憶装置とを備え、記憶装置に記憶された画像処理プログラムをCPUが実行することにより動作制御部25は画像処理部29として機能し、記憶装置に記憶されたコード情報処理プログラムをCPUが実行することにより動作制御部25はコード情報処理部30として機能し、記憶装置に記憶された制御信号生成プログラムをCPUが実行することにより動作制御部25は制御信号生成部31として機能する。動作制御部25は、必要に応じて更にD/Aコンバータ(Digital-to-Analog Converter)を備え、デジタル信号としての制御信号をアナログ信号に変換した上で動力伝達機構、向き制御機構等26に送信する。
画像処理部29は、近赤外線カメラ19から受信した近赤外線カメラの撮像画像データを処理して近赤外線画像中の情報表示媒体1の近赤外線画像を台形補正したり、台形補正された情報表示媒体1の近赤外線画像からマーカー情報、二次元コード情報等を抽出したりする。コード情報処理部30は、抽出したマーカー情報、二次元コード情報等を処理して、抽出した情報から、移動体17に対する指示情報を読み取る。一例において、マーカー情報は、「ID=1」,「ID=2」等のID(Identification)番号を示す情報を図6等に示すパターンに変換したものであり、コード情報処理部は、図6等に示すようなパターンを対応するID番号に変換した上で、得られたID番号に対応する具体的動作を指示する情報として、移動体17に対する指示情報を読み取る。この場合、コード情報処理プログラムは、図6等に示すパターン情報をID番号に変換するためのプログラム、及び、得られたID番号から具体的動作の指示情報を特定するプログラムを含むものとし、また動作制御部25の記憶装置には、図6等に示すパターンとID番号との対応関係を示すテーブル形式等のデータ、及び、各ID番号と各具体的動作との対応関係を示すテーブル形式等のデータが、データベース等の態様で記憶されているとする。また近赤外線画像から抽出した情報が二次元コード情報である場合、コード情報処理部30は、二次元コード情報を復号して、移動体17に対する具体的動作の指示情報を読み取る。この場合、コード情報処理プログラムは、図7等に示す二次元コード情報を復号して具体的動作の指示情報に変換するためのプログラムを含み、復号に必要なデータも動作制御部25の記憶装置に記憶されているものとする。制御信号生成部31は、コード情報処理部30により特定された、移動体17に対する具体的動作の指示情報を示す制御信号を生成し、必要に応じてD/Aコンバータによりデジタル信号からアナログ信号に変換した上で、動力伝達機構、向き制御機構等26に送信する。また制御信号生成部31は、旋回等のマーカー探索動作、及びその他の各種動作を制御するための制御信号も生成し、必要に応じてD/Aコンバータによりデジタル信号からアナログ信号に変換した上で、動力伝達機構、向き制御機構等26に送信する。
図48,図49は、壁に貼り付けられた情報表示媒体を近赤外線カメラで撮影することにより情報表示媒体に書き込まれた情報を読み取って移動体(車両)の動作を制御する制御動作のフローチャートである。まず移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する(ステップS101)。このとき、近赤外線カメラ19は動画として前方の斜め上方向を撮影し続ける(図44参照。図48~図49、図51~図52の例において、近赤外線カメラ19は動画を常に撮影しているとする。)。近赤外線カメラ19によって情報表示媒体A1(以下、マーカーA1と呼ぶ。情報表示媒体B1~D1、A2~D2においても同様。なお、図48~図49、図51~図52の例において、マーカーA1~D1、或いはマーカーA2~D2の順にマーカーを読み込むことは必須ではなく、認識できたマーカーから読み込んで移動体17を動作させてよい)を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーA1を抽出できる)場合(ステップS102の「Yes」)、移動体17は、距離センサ部24から動作制御部25に送信される距離信号を用いた制御信号生成部31の制御を受けつつ、マーカーA1を正面から撮影できるようにマーカーA1に接近した後、マーカーA1の指示どおりに動作する(ステップS103)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報(二次元コード情報等、他の任意の形式の情報でもよい。以下においては省略する。)を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーA1に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「右に90°だけ旋回することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は右に90°旋回する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーA1を認識できない場合(ステップS102の「No」)、処理はステップS101へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
ステップS103において移動体17が右に90°旋回した後、ステップS104において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。近赤外線カメラ19によってマーカーB1を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーB1を抽出できる)場合(ステップS105の「Yes」)、移動体17は、距離センサ部24から動作制御部25に送信される距離信号を用いた制御信号生成部31の制御を受けつつ、マーカーB1を正面から撮影できるようにマーカーB1に接近した後、マーカーB1の指示どおりに動作する(ステップS106)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーB1に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「右に90°だけ旋回し、所定距離だけ前進することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は右に90°旋回し、所定距離前進する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーB1を認識できない場合(ステップS105の「No」)、処理はステップS104へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
ステップS106において移動体17が右に90°旋回して所定距離前進した後、ステップS107において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。近赤外線カメラ19によってマーカーC1を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーC1を抽出できる)場合(ステップS108の「Yes」)、移動体17は、距離センサ部24から動作制御部25に送信される距離信号を用いた制御信号生成部31の制御を受けつつ、マーカーC1を正面から撮影できるようにマーカーC1に接近した後、マーカーC1の指示どおりに動作する(ステップS109)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーC1に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「左に90°だけ旋回することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は左に90°旋回する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーC1を認識できない場合(ステップS108の「No」)、処理はステップS107へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
ステップS109において移動体17が左に90°旋回した後、ステップS110において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。近赤外線カメラ19によってマーカーD1を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーD1を抽出できる)場合(ステップS111の「Yes」)、移動体17は、距離センサ部24から動作制御部25に送信される距離信号を用いた制御信号生成部31の制御を受けつつ、マーカーD1を正面から撮影できるようにマーカーD1に接近した後、マーカーD1の指示どおりに動作する(ステップS112)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーD1に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「所定距離だけ後退して停止することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は所定距離だけ後退して停止する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーD1を認識できない場合(ステップS111の「No」)、処理はステップS110へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
図50は、屋内の天井に情報表示媒体が貼り付けられ、移動体(車両)が各情報表示媒体に印字された指示情報を読み取って自律的に移動することを説明する図である。情報表示媒体を貼り付ける場所は壁面、天井、床面等、任意である。また図51,図52は、天井に貼り付けられた情報表示媒体を近赤外線カメラで撮影することにより情報表示媒体に書き込まれた情報を読み取って移動体(車両)の動作を制御する制御動作のフローチャートである。天井に情報表示媒体(ここではマーカーA2~D2とする。)を貼り付ける場合は、図50に示すとおり、近赤外線カメラ19のレンズ32を上に向けておくか、或いは広角レンズを用いる等して天井面を撮影できるようにしておく。
ステップS201において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。このとき、近赤外線カメラ19は動画として上方向を撮影し続ける(図50参照。)。近赤外線カメラ19によってマーカーA2を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーA2を抽出できる)場合(ステップS202の「Yes」)、移動体17は、制御信号生成部31の制御を受けつつマーカーA2を正面から撮影できるように位置調整した後、マーカーA2の指示どおりに動作する(ステップS203)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーA2に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「次のマーカー方向である、移動体17から見て右斜め前方向に所定距離だけ移動することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は右斜め前方向に所定距離だけ移動する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーA2を認識できない場合(ステップS202の「No」)、処理はステップS201へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
ステップS203において移動体17が右斜め前方向に所定距離だけ移動した後、ステップS204において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。近赤外線カメラ19によってマーカーB2を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーB2を抽出できる)場合(ステップS205の「Yes」)、移動体17は、制御信号生成部31の制御を受けつつマーカーB2を正面から撮影できるように位置調整した後、マーカーB2の指示どおりに動作する(ステップS206)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーB2に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「次のマーカー方向である、移動体17から見て左斜め前方向に所定距離だけ移動することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は左斜め前方向に所定距離だけ移動する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーB2を認識できない場合(ステップS205の「No」)、処理はステップS204へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
ステップS206において移動体17が左斜め前方向に所定距離だけ移動した後、ステップS207において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。近赤外線カメラ19によってマーカーC2を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーC2を抽出できる)場合(ステップS208の「Yes」)、移動体17は、制御信号生成部31の制御を受けつつマーカーC2を正面から撮影できるように位置調整した後、マーカーC2の指示どおりに動作する(ステップS209)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーC2に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「次のマーカー方向である、移動体17から見て右斜め前方向に所定距離だけ移動することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は右斜め前方向に所定距離だけ移動する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーC2を認識できない場合(ステップS208の「No」)、処理はステップS207へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
ステップS209において移動体17が右斜め前方向に所定距離だけ移動した後、ステップS210において移動体17は、制御信号生成部31の制御により旋回等してマーカーを探索する。近赤外線カメラ19によってマーカーD2を認識できる(近赤外線カメラ19の撮影画像から、画像処理部29がマーカーD2を抽出できる)場合(ステップS211の「Yes」)、移動体17は、制御信号生成部31の制御を受けつつマーカーD2を正面から撮影できるように位置調整した後、マーカーD2の指示どおりに動作する(ステップS212)。具体的には、上述のとおり、画像処理部29が近赤外線カメラ19の撮影した近赤外線画像からマーカー情報を抽出し、コード情報処理部30が、上述のとおり、抽出したマーカー情報を処理して移動体17に対する指示情報を読み取る。現在の例においては、マーカーD2に書き込まれている移動体17に対する指示情報は、「停止することを指示する情報」であり、この指示情報をコード情報処理部30が読み取り、制御信号生成部31がこの指示情報を示す制御信号を生成して動力伝達機構、向き制御機構等26に送信し、動力伝達機構、向き制御機構等26により車輪20~23の動作が制御されて、移動体17は停止する。他方、近赤外線カメラ19によってマーカーD2を認識できない場合(ステップS211の「No」)、処理はステップS210へと戻り、移動体17は再びマーカー探索を行う。
図53は、これまでに説明したレーザーマーキング(描画、印字等)を行うためのレーザーマーカー装置の構成を概略的に示す図である。レーザーマーカー装置39は、制御部40,記憶部41,駆動(走査)部42,レーザー光照射部43等を備える。駆動部42によりレーザー光照射部43のヘッドが駆動されつつ、ヘッドから近赤外線吸収層へと、或いはレーザー発色層へと近赤外レーザー光が照射されることにより、近赤外線吸収性基材2、(第1の)近赤外線吸収層4に対する、或いはその他にもレーザーマーキングすべき基材、層等がある場合はそれらに対する、上述のレーザーマーキングが行われる。このようなレーザーマーカー装置39の動作においては、CPU、或いは組み込み式の制御回路等、各種の制御回路等を備えた制御部40(レーザーマーカー装置39の外部にある別個のコンピュータが制御部40として機能することもできる。)により制御された、モーター等を備える駆動装置である駆動部42が、既に説明したとおり近赤外線吸収性基材2、(第1の)近赤外線吸収層4等に向けてレーザー光照射部43のヘッドを駆動しつつ(ヘッドを動かす(走査する))、レーザー光照射部43(一例においては、レーザー波長:1064nmのレーザー光を発生させる装置であるNd:YAGレーザーを備え、ヘッド等、レーザー光を目標に照射するための各種機器を備えるレーザー光照射装置。)がヘッドから近赤外線吸収性基材2、(第1の)近赤外線吸収層4等に向けて近赤外レーザー光(近赤外レーザービームであってよい)を照射する。なお、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶装置を備える記憶部41には、レーザーマーキングで描くべき文字、画像等、レーザーマーカー装置39の動作を制御するために制御部40が適宜読み出して用いるための各種データが記憶されており、レーザーマーカー装置39は、その記憶部41に記憶された文字、画像等を近赤外線吸収性基材2、(第1の)近赤外線吸収層4等に描く。レーザーマーカー装置としては公知のものが多数存在するため、ここではこれ以上詳しく説明しない。
(近赤外線吸収性インキの実施例)
以下、本発明に用いることのできる近赤外線吸収性インキとしてセシウム酸化タングステン含有インキ、及び6ホウ化ランタン含有インキを用いて作製したさまざまな積層体(オフセット印刷物)における実験結果を、比較例として酸化イッテルビウム含有インキを用いて作製したオフセット印刷物における実験結果と比較しつつ説明する。
(比較例1)
酸化イッテルビウム(III),3N5粉末と、モノマーや合成樹脂、その他の非赤外線吸収材料を含むインキメジウムとを、酸化イッテルビウムとインキメジウムとの重量比が25:75となるよう混合することにより、酸化イッテルビウムの含有率が25重量%であるインキを作製した。このようにして作製した酸化イッテルビウム含有インキを用いて、基材である上質紙の一部の区域に、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた印刷物を比較例1の積層体とし、赤外線可視化装置であるVSC8000(Foster and Freeman製)により、当該装置のカメラレンズに925nm以下の波長の光をカットするフィルターを付けた状態で撮影した。
(実施例1)
セシウム酸化タングステンCs0.33WO3を含有する分散液と、モノマーや合成樹脂、その他の非赤外線吸収材料を含む比較例1と同様のインキメジウムとを、セシウム酸化タングステンとそれ以外の全成分との重量比が2:98となるよう混合することにより、セシウム酸化タングステンの含有率が2重量%であるインキを作製した。このようにして作製したセシウム酸化タングステン含有インキを用いて、基材である上質紙の一部の区域に、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた印刷物を実施例1の積層体とし、赤外線可視化装置であるVSC8000(Foster and Freeman製)により、当該装置のカメラレンズに925nm以下の波長の光をカットするフィルターを付けた状態で撮影した。
比較例1と実施例1とにおいて作製した酸化イッテルビウム含有インキとセシウム酸化タングステン含有インキとを上記赤外線カメラによりそれぞれ撮影した赤外線写真と、それぞれのインキを用いて上述のとおりオフセット印刷したそれぞれの印刷物を上記赤外線カメラにより撮影した赤外線写真とを、図54に示す。それぞれインキの写真から、酸化イッテルビウム含有インキとセシウム酸化タングステン含有インキとが、ともに近赤外線吸収性を示すことが理解できるが、酸化イッテルビウム含有インキをオフセット印刷した印刷物において近赤外線吸収性を視認することはできなかった。一方、含有量が少ないセシウム酸化タングステン含有インキをオフセット印刷した印刷物においては、印刷しなかった区域と印刷した区域との間に明暗の差を視認することができ、印刷した区域が近赤外線吸収性を有することが認められた。
以上の実験結果を以下の表にまとめる。
Figure 2023000886000002
なお、上記表中、「膜厚」とはオフセット印刷により形成された酸化イッテルビウム含有インキ層、又はセシウム酸化タングステン含有インキ層の膜厚であるが、これらは測定された値ではなく、オフセット印刷において形成される典型的な膜厚を仮定した参考値である。後述の各実施例におけるオフセット印刷において形成される膜厚も、約1μm~約3μmであると推定される。なお、本明細書中の全ての実施例に関して印刷濃度などの条件は同様とした状態で実験を行っており、理論上、膜厚は同様であると考えられる。また、実施例1における「赤外線吸収率」とはJASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した反射率(照射した光が印刷物の表面で反射されるときの反射光の強度の割合であり、基準となる基材表面(基準部分)からの反射光の強度に対する対象印刷物表面からの反射光の強度の比である。)を用いて得られた値である(吸収率(%)=100-反射率(%))。
次に、さまざまな基材シート上にセシウム酸化タングステン(Cs0.33WO3)含有量(含有率)が2重量%の近赤外線吸収性インキを用いてオフセット印刷を行い、作製されたそれぞれの印刷物に対してレーザーマーカー装置によりレーザー印字を行い、印字された部分と印字されていない部分とにおける可視光~近赤外線の波長域における電磁波の反射率をそれぞれ測定した。なお、以下の実施例における「反射率」とは、実施例1と同様に、照射した光が印刷物の表面で反射されるときの反射光の強度の割合であり、基準となる基材表面(基準部分)からの反射光の強度に対する対象印刷物表面からの反射光の強度の比である(JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いた測定により得られた値である。)。
上述の実施例1、及び以下の実施例2~11における「反射率」を、以下の式で一般的に定義することができる。
対象部分(対象面)の反射率(%)={(対象部分(対象面)からの反射光の強度)/(基準部分(基準面)からの反射光の強度)}×100
(実施例2)
セシウム酸化タングステンCs0.33WO3を含有する分散液と、モノマー、合成樹脂類、助剤などとを、セシウム酸化タングステンとそれ以外の全成分との重量比が2:98となるよう混合することにより、セシウム酸化タングステンの含有率が2重量%であるインキを作製した。このようにして作製したセシウム酸化タングステン含有インキを用いて、基材であるPC(ポリカーボネート)シートに、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた印刷物を実施例2の積層体とし、レーザー印字前の印刷面の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。さらに、レーザーマーカー装置として、
Figure 2023000886000003
を用い、波長1064nmのNd:YAGレーザーによるレーザー光によって上記印刷面にレーザー印字を行った。 レーザー印字された部分の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
(実施例3)
セシウム酸化タングステンCs0.33WO3を含有する分散液と、モノマー、合成樹脂類、助剤などとを、セシウム酸化タングステンとそれ以外の全成分との重量比が2:98となるよう混合することにより、セシウム酸化タングステンの含有率が2重量%であるインキを作製した。このようにして作製したセシウム酸化タングステン含有インキを用いて、基材であるPET-G(コポリエステル)シートに、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた印刷物を実施例3の積層体とし、レーザー印字前の印刷面の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。さらに、レーザーマーカー装置として、
Figure 2023000886000004
を用い、波長1064nmのNd:YAGレーザーによるレーザー光によって上記印刷面にレーザー印字を行った。 レーザー印字された部分の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
(実施例4)
セシウム酸化タングステンCs0.33WO3を含有する分散液と、モノマー、合成樹脂類、助剤などとを、セシウム酸化タングステンとそれ以外の全成分との重量比が2:98となるよう混合することにより、セシウム酸化タングステンの含有率が2重量%であるインキを作製した。このようにして作製したセシウム酸化タングステン含有インキを用いて、基材であるPVC(ポリ塩化ビニル)シートに、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた印刷物を実施例4の積層体とし、レーザー印字前の印刷面の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。さらに、レーザーマーカー装置として、
Figure 2023000886000005
を用い、波長1064nmのNd:YAGレーザーによるレーザー光によって上記印刷面にレーザー印字を行った。 レーザー印字された部分の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
上記実施例2~4において行われた反射率の測定結果を、図55に示す。また、実施例2において行われた反射率の測定結果を図56に、実施例3において行われた反射率の測定結果を図57に、実施例4において行われた反射率の測定結果を図58に、それぞれ図55のグラフから抜き出して示す。図55~図58のグラフにおいて、横軸の値は電磁波の波長(nm)であり、縦軸の値は、横軸の値が示す波長の電磁波の印刷面又はレーザー印字された部分における反射率(%)である。
図55~図58のグラフから明らかなとおり、いずれの基材を用いた場合においても、レーザー印字することにより近赤外領域において反射率が上昇(吸収率が低下)することがわかる。上昇幅は横軸の波長によって異なるが、780nm~2000nmの近赤外領域においては、少なくとも5%以上、概ね10%~15%、又はそれ以上、レーザー印字により反射率が上昇していることが読み取れる。また全体的な傾向として、可視光の波長域におけるレーザー印字前後の反射率の変化は、近赤外領域におけるレーザー印字前後の反射率の変化と比較して小さいため、レーザー印字により、肉眼や一般的なカメラによっては視認が比較的困難な文字、画像等を描くことができると考えられる。
次に、基材シートとしての上質紙に、0.5重量%~6重量%までの、互いに異なるセシウム酸化タングステン(Cs0.33WO3)含有量(含有率)を有する、6種類の近赤外線吸収性インキを用いてそれぞれオフセット印刷を行い、作製されたそれぞれの印刷物における印刷面(近赤外線吸収性インキ層)の、可視光~近赤外線の波長域における電磁波の反射率をそれぞれ測定した。なお、反射率の定義や反射率測定に用いた機器は、上述の実施例1~4におけるものと同じである。
(実施例5~10)
セシウム酸化タングステンCs0.33WO3を含有する分散液と、モノマー、合成樹脂類、助剤などとを、セシウム酸化タングステンとそれ以外の全成分との重量比が:
(実施例5)0.5:99.5
(実施例6) 1:99
(実施例7)1.3:98.7
(実施例8) 2:98
(実施例9) 3:97
(実施例10) 6:94
となるよう混合することにより、セシウム酸化タングステンの含有率が、0.5重量%~6重量%である6種類のインキを作製した。このようにして作製したセシウム酸化タングステン含有インキの1つ1つを用いて、基材である上記の上質紙シートに、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた6種類の印刷物を実施例5~10の積層体とし、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
上記実施例5~10において行われた反射率の測定結果を、図59に示す。図59のグラフにおいて、横軸の値は電磁波の波長(nm)であり、縦軸の値は、横軸の値が示す波長の電磁波の印刷面における反射率(%)である。少なくとも近赤外の波長域においては、セシウム酸化タングステンの含有量が大きくなるほど、同じ波長における反射率が低くなっていることがわかる。可視光の波長域においても同様の傾向が読み取れる。すなわち、インキにおけるセシウム酸化タングステンの含有量を多くするほど、当該インキを用いてオフセット印刷された画像等は、近赤外線カメラ等を用いて認識しやすいものとなるものの、この場合には可視光反射率も低くなることから肉眼、一般的なカメラ等により視認できる可能性も高まるのであり、セキュリティ性を考えれば適切なセシウム酸化タングステン含有量を選択することが好ましいと考えられる。
次に、基材シートとしてのPC(ポリカーボネート)上に6ホウ化ランタン(LaB6)含有量(含有率)が0.3重量%の近赤外線吸収性インキを用いてオフセット印刷を行い、作製された印刷物に対してレーザーマーカー装置によりレーザー印字を行い、印字された部分と印字されていない部分とにおける可視光~近赤外線の波長域における電磁波の反射率をそれぞれ測定した。この実施例においても、反射率とは、照射した光が印刷物の表面で反射されるときの反射光の強度の割合であり、基準となる基材表面(基準部分)からの反射光の強度に対する対象印刷物表面からの反射光の強度の比である(JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いた測定により得られた値である。)。
(実施例11)
6ホウ化ランタン(LaB6)を含有する分散液と、モノマー、合成樹脂類、助剤などとを、6ホウ化ランタンとそれ以外の全成分との重量比が0.3:99.7となるよう混合することにより、6ホウ化ランタンの含有率が0.3重量%であるインキを作製した。このようにして作製した6ホウ化ランタン含有インキを用いて、基材であるPC(ポリカーボネート)シートに、オフセット印刷機(オフセット用印刷適性試験機IGT C1(IGT Testing Systems製))により印刷を行った。得られた印刷物を実施例11の積層体とし、レーザー印字前の印刷面の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。さらに、レーザーマーカー装置として、
Figure 2023000886000006
を用い、波長1064nmのNd:YAGレーザーによるレーザー光によって上記印刷面にレーザー印字を行った。 レーザー印字された部分の、波長400nm~2000nmにおける可視光~近赤外線の反射率を、JASCO V-670 紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
上記実施例11において行われた反射率の測定結果を、図60に示す。図60のグラフにおいて、横軸の値は電磁波の波長(nm)であり、縦軸の値は、横軸の値が示す波長の電磁波の印刷面又はレーザー印字された部分における反射率(%)である。
図60のグラフから明らかなとおり、レーザー印字することにより近赤外領域において反射率が上昇(吸収率が低下)することがわかる。上昇幅は横軸の波長によって異なるが、780nm~1400nmの近赤外領域においては、概ね5%~14%程度、レーザー印字により反射率が上昇していることが読み取れる。また全体的な傾向として、可視光の波長域におけるレーザー印字前後の反射率の変化は、800nm~1200nm程度の近赤外領域におけるレーザー印字前後の反射率の変化と比較して小さいため、レーザー印字により、肉眼や一般的なカメラによっては視認が比較的困難な文字、画像等を描くことができると考えられる。
(用途の一例)
上記各実施形態においては、本発明の媒体、積層体の具体例、及び、本発明の媒体、積層体を用いるシステム、方法として、移動体の動作制御を行うためのシステム、方法を説明したが、本発明の媒体、積層体はこれまで説明した具体例に限られるわけではなく、また本発明の媒体、積層体は、説明した具体的用途以外の用途にも用いることができる。
本発明は、ロボット、車両、自動化製品等を、例えば屋内警備、点検、棚卸等の自動化のために屋内で自律移動させるべく用いることができるが、これに限らず任意の用途に利用できる。
1 積層体、又は媒体
2 基材層又は近赤外線吸収性基材
3 レーザー光を照射した部分
4 (第1の)近赤外線吸収層
5 有色印刷層又は蛍光印刷層
6 第2の近赤外線吸収層
7 第1の近赤外線吸収区域
8 第2の近赤外線吸収区域
9 近赤外線反射層
10 耐摩耗性ハードコート層
11 粘着層
12 剥離フィルム
13~15 壁面
16 天井
A1~D1 情報表示媒体
A2~D2 情報表示媒体
17 移動体(車両)
18 移動体本体部
19 近赤外線カメラ(撮像部)
20~23 車輪
24 距離センサ部
25 動作制御部
26 動力伝達機構、向き制御機構等
27 通信部
28 電源系(電池、電源回路等)
29 画像処理部
30 コード情報処理部
31 制御信号生成部
32 赤外線カメラレンズ
33 赤外線センサ部(冷却器等も含む)
34 メモリ(記憶デバイス)
35 処理回路(A/Dコンバータ等)
36 通信部
37 ケーブル(通信信号線)
38 電源系(電池、電源回路等)
39 レーザーマーカー装置
40 制御部
41 記憶部
42 駆動(走査)部
43 レーザー照射部

Claims (20)

  1. セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を少なくとも部分的に含み、該近赤外線吸収性材料を含有する対象部分にレーザー光を当てることにより、該対象部分の、少なくとも所定の波長範囲における近赤外線吸収性が低下する情報表示部
    を備え、
    前記情報表示部内における近赤外線吸収性の分布が移動体に対する指示情報を示すことを特徴とする、
    情報表示媒体。
  2. 近赤外線透過性又は反射性を有する基材層と、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層と
    を備える積層体として構成され、前記近赤外線吸収層が前記情報表示部を含む、請求項1に記載の情報表示媒体。
  3. 有色インキ組成物又は蛍光インキ組成物を含有する印刷層を更に備え、該印刷層と前記情報表示部とが少なくとも一部重なりあう、請求項1又は2に記載の情報表示媒体。
  4. 前記印刷層は、前記情報表示媒体が配置される面の面内模様と同様の面内模様を表示する印刷層である、請求項3に記載の情報表示媒体。
  5. 基材層と、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の近赤外線吸収層と、
    セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の近赤外線吸収層と
    を備える積層体として構成され、前記第1の近赤外線吸収層が前記情報表示部を含む、請求項1に記載の情報表示媒体。
  6. 基材層と、
    近赤外線吸収層と
    を備える積層体として構成され、
    前記近赤外線吸収層は、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の区域と、
    セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の区域と
    を備え、前記第1の区域が前記情報表示部を含む、請求項1に記載の情報表示媒体。
  7. 前記第2の近赤外線吸収性材料は、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅のうち1以上を含む、請求項5又は6に記載の情報表示媒体。
  8. 基材層と、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層と、
    近赤外線反射性材料を含む近赤外線反射層と
    を備える積層体として構成され、前記近赤外線吸収層が前記情報表示部を含む、請求項1に記載の情報表示媒体。
  9. 前記近赤外線反射性材料は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズのうち1以上を含む、請求項8に記載の情報表示媒体。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報表示媒体と、
    前記移動体と
    を備えたシステムであって、前記移動体が、
    前記情報表示媒体の前記情報表示部を撮像する近赤外線撮像部と、
    前記近赤外線撮像部の撮像により取得される前記指示情報を用いて前記移動体の動作を制御する動作制御部と
    を備えたことを特徴とする、システム。
  11. セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む近赤外線吸収性材料を少なくとも部分的に含み、該近赤外線吸収性材料を含有する対象部分にレーザー光を当てることにより、該対象部分の、少なくとも所定の波長範囲における近赤外線吸収性が低下する情報表示部
    を備えた情報表示媒体の前記情報表示部にレーザー光を当てて、該情報表示部内における近赤外線吸収性の分布を変化させることにより、移動体に対する指示情報を該情報表示部に書き込むことを特徴とする、情報書き込み方法。
  12. 前記情報表示媒体は、
    近赤外線透過性又は反射性を有する基材層と、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層と
    を備える積層体として構成され、前記近赤外線吸収層が前記情報表示部を含む、請求項11に記載の情報書き込み方法。
  13. 前記情報表示媒体は、有色インキ組成物又は蛍光インキ組成物を含有する印刷層を更に備え、該印刷層と前記情報表示部とが少なくとも一部重なりあう、請求項11又は12に記載の情報書き込み方法。
  14. 前記印刷層は、前記情報表示媒体が配置される面の面内模様と同様の面内模様を表示する印刷層である、請求項13に記載の情報書き込み方法。
  15. 前記情報表示媒体は、
    基材層と、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の近赤外線吸収層と、
    セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の近赤外線吸収層と
    を備える積層体として構成され、前記第1の近赤外線吸収層が前記情報表示部を含む、請求項11に記載の情報書き込み方法。
  16. 前記情報表示媒体は、
    基材層と、
    近赤外線吸収層と
    を備える積層体として構成され、
    前記近赤外線吸収層は、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料である第1の近赤外線吸収性材料を含む第1の区域と、
    セシウム酸化タングステンとも6ホウ化ランタンとも異なる第2の近赤外線吸収性材料を含む第2の区域と
    を備え、前記第1の区域が前記情報表示部を含む、請求項11に記載の情報書き込み方法。
  17. 前記第2の近赤外線吸収性材料は、アンチモン酸化スズ、酸化インジウムスズ、ピロ燐酸銅のうち1以上を含む、請求項15又は16に記載の情報書き込み方法。
  18. 前記情報表示媒体は、
    基材層と、
    前記セシウム酸化タングステン又は6ホウ化ランタンを含む前記近赤外線吸収性材料を含む近赤外線吸収層と、
    近赤外線反射性材料を含む近赤外線反射層と
    を備える積層体として構成され、前記近赤外線吸収層が前記情報表示部を含む、請求項11に記載の情報書き込み方法。
  19. 前記近赤外線反射性材料は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズのうち1以上を含む、請求項18に記載の情報書き込み方法。
  20. 近赤外線撮像部と動作制御部とを備えた移動体の動作制御方法であって、
    前記近赤外線撮像部が、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報表示媒体の前記情報表示部を撮像することと、
    前記動作制御部が、前記近赤外線撮像部の撮像により取得される前記指示情報を用いて前記移動体の動作を制御することと
    を含む方法。
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