JP2023000184A - 移動式防護装置、及び施工足場解体方法 - Google Patents

移動式防護装置、及び施工足場解体方法 Download PDF

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Yoshitaka Soga
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隆史 小西
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【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、橋脚に支持される床版であっても橋軸方向に移動することができる移動式防護装置と、これを用いて足場を解体する施工足場解体方法を提供することにある。【解決手段】本願発明の移動式防護装置は、橋梁の床版に設置され橋軸方向に移動可能な防護装置であって、床版上に載置される上部台車設備と、床版の下方に配置される下部床面構造、下部床面構造を吊り下げる主吊材を備えたものである。左床面構造と右床面構造との間に離隔が生じた状態にすると、移動機構によって支持梁材が橋軸方向に移動する際に、左床面構造と右床面構造との間に生じた離隔を橋脚が通過することができる。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 土木施工管理技術論文報告集(令和元年度第24回)
本願発明は、橋梁建設工事に使用された足場等を解体する際に設置される防護工に関する技術であり、より具体的には、橋脚をかわしながら橋軸方向に移動することができる移動式防護装置と、これを用いて足場を解体する施工足場解体方法に関するものである。
橋梁の建設工事は、橋台や橋脚などの下部工工事と、主に床版を構築する上部工工事に大別され、一般的には下部工工事の完成後に上部工工事が行われる。通常、上部工工事では足場(以下、本設用の足場のことを「施工足場」という。)が設置され、床版工、壁高欄工、塗装工などはこの施工足場を利用して施工される。そして橋梁建設工事としてのいわば最終工程である床版工と壁高欄工が完了すると、それ以上は必要とされないため施工足場の解体が行われる。
施工足場の解体作業は、作業者の墜落事故や工具等の落下といった危険が伴うことから難易度の高い作業とされていた。これまで、きめ細かい作業手順を定めたうえで作業を行ったり、高所作業車など安全な建設機械を導入したうえで作業を行ったりするなど、慎重な安全管理に取り組んできたものの、個人の勘違いや思い込み、あるいは未熟な経験などを原因とする墜落事故は完全に回避することができない。
施工足場を解体するために足場(以下、解体のための足場を「解体用足場」という。)を設置することも考えられるが、渓谷に架設される橋梁など桁下高が大きいケースでは解体用足場の規模が巨大となり現実的ではない。また、床版上に配置されアームを床版の下側に延伸させることができる橋梁点検車の利用も考えられるが、この場合は作業効率が著しく低下するうえに、作業者の墜落や落下物を回避するという点においては十分な安心が得られない。
解体用足場や高所作業車が利用できない場合、施工足場の解体作業において防護工が設置されることがある。施工足場の下方に設置された防護工が、作業者の墜落や工具等の落下をいわば食い止めるわけである。通常、施工足場は概ね全スパンにわたって設置されることから、防護工を利用するケースではやはり概ね全スパンにわたって防護工を設置する必要がある。しかしながら、一度に全スパン分の防護工を設置するのは材料費(損料)や設置と解体にかかるコストが嵩むことから現実的ではない。とはいえ、橋軸方向に進行しながら部分的な防護工の設置を繰り返していくのも、材料費は抑制することができるものの設置と解体にかかるコストを抑えることはできない。
そこで特許文献1では、橋軸方向に移動することができる移動式防護工について提案している。
特開平5-295712号公報
特許文献1に開示される技術によれば、防護工が橋軸方向に移動するため、全スパンのうち一部区間分の防護工を設置すれば足り、また区間ごとに繰り返し防護工を設置する必要もなく、したがって材料費や設置等に掛かるコストを抑えることができて好適である。
ところで、橋梁の主桁は、その両端側に設置された橋台で支持され、スパン長によるものの多くの場合は図11に示すようにスパン途中に設置された橋脚によって支持されている。そして、このようにスパン途中に橋脚がある橋梁に特許文献1の移動式防護工を適用すると、この橋脚が障壁となって橋軸方向に移動することができない。この場合、橋脚を通過するたびに移動式防護工の盛替え作業を行うか、支間(橋台~橋脚、あるいは橋脚~橋脚)ごとに個別の移動式防護工を設置することとなるが、これでは材料費や設置等に掛かるコストを抑制するという長所が大きく減じられる結果となる。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、橋脚に支持される床版であっても橋軸方向に移動することができる移動式防護装置と、これを用いて足場を解体する施工足場解体方法を提供することにある。
本願発明は、床版の下方に配置される下部床面構造を備えることとし、橋脚を通過するときはこの下部床面構造が左右に開く、という点に着目してなされたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の移動式防護装置は、橋梁の床版に設置され橋軸方向に移動可能な防護装置であって、床版上に載置される上部台車設備と、床版の下方に配置される下部床面構造、下部床面構造を吊り下げる主吊材を備えたものである。このうち上部台車設備は、橋軸直角方向に沿って配置される支持梁材と、支持梁材に設置される左巻取装置及び右巻取装置、支持梁材を橋軸方向に移動させる移動機構を含んで構成される。また下部床面構造は、左床面構造と右床面構造を含んで構成されるとともに、左床面構造の右側端(断面中央側)と右床面構造の左側端(断面中央側)は連結ピンによって分離可能に連結される。さらに主吊材は、床版の左外側(橋軸直角方向)に配置される左主吊材と、橋軸直角方向における床版の右外側(橋軸直角方向)に配置される右主吊材を含んで構成される。床版の左外側に(橋軸直角方向)突出した支持梁材の一部に左主吊材の上端が固定され、左床面構造に設けられた左支持点と左主吊材の下端とがヒンジ結合される。同様に、床版の右外側(橋軸直角方向)に突出した支持梁材の一部に右主吊材の上端が固定され、右床面構造に設けられた右支持点と右主吊材の下端とがヒンジ結合される。左巻取装置から垂下する左吊ロープの下端が左支持点より右側(橋軸直角方向)で左床面構造に連結されるとともに、右巻取装置から垂下する右吊ロープの下端が右支持点より左側(橋軸直角方向)で右床面構造に連結される。そして、連結ピンを取り外したうえで、左巻取装置が左吊ロープを巻き出すと左床面構造の左側端(橋軸直角方向)が上昇して右側端(橋軸直角方向)が降下し、右巻取装置が右吊ロープを巻き出すと右床面構造の右側端(橋軸直角方向)が上昇して左側端(橋軸直角方向)が降下し、これにより左床面構造の右側端(橋軸直角方向)と右床面構造の左側端(橋軸直角方向)との間に離隔が生じた「開放状態」となる。この開放状態とすると、移動機構によって支持梁材が橋軸方向に移動する際に、左床面構造と右床面構造との間に生じた離隔を橋脚が通過することができる。
本願発明の移動式防護装置は、上方中間連結梁と下方中間連結梁をさらに備えたものとすることもできる。この場合、左床面構造は、橋軸直角方向に上下2段で配置される上方左連結梁と下方左連結梁を含むトラス構造とされ、右床面構造も、橋軸直角方向に上下2段で配置される上方右連結梁と下方右連結梁を含むトラス構造とされる。そして、上方左連結梁と上方中間連結梁が連結ピンによって分離可能に連結されるとともに、上方右連結梁と上方中間連結梁が連結ピンによって分離可能に連結される。同様に、下方左連結梁と下方中間連結梁が連結ピンによって分離可能に連結されるとともに、下方右連結梁と下方中間連結梁が連結ピンによって分離可能に連結される。
本願発明の移動式防護装置は、左床面構造に左重錘が載置され、右床面構造に右重錘が載置されたものとすることもできる。なお、左重錘は左支持点より左側(橋軸直角方向)に載置し、右重錘は右支持点より右側(橋軸直角方向)に載置するとよい。
本願発明の移動式防護装置は、伸縮可能な補助吊材をさらに備えたものとすることもできる。この場合、主桁(床版を支持する橋梁の主桁)と下部床面構造がこの補助吊材によって連結される。したがって、補助吊材が伸縮することによって下部床面構造の高さを調整することができる。
本願発明の施工足場解体方法は、本願発明の移動式防護装置を用いて施工足場(橋梁を構築する際に設けられた足場)を解体する方法であって、設置工程と移設工程、部分解体工程を備えた方法である。このうち設置工程では、上部台車設備が床版上に載置され、下部床面構造が床版の下方に配置され、主吊材が下部床面構造を吊り下げるように、移動式防護装置を床版に設置する。また移設工程では、移動機構によって支持梁材とともに移動式防護装置を橋軸方向に移動し、部分解体工程では移動後に移動式防護装置が配置された範囲内の施工足場を解体する。そして、部分解体工程で所定区間(橋軸方向)の施工足場を解体すると、再度、移設工程を行う。
本願発明の施工足場解体方法は、開放工程をさらに備えた方法とすることもできる。この開放工程では、連結ピンを取り外したうえで、左巻取装置の左吊ロープを巻き出すとともに、右巻取装置の右吊ロープを巻き出して、移動式防護装置を開放状態にする。なお、橋脚を通過するときの移設工程では、開放工程によって開放状態としたうえで移動式防護装置を橋軸方向に移動する。
本願発明の施工足場解体方法は、復元工程をさらに備えた方法とすることもできる。この復元工程では、移設工程で橋脚を通過した後に、左巻取装置の左吊ロープを巻き上げるとともに、右巻取装置の右吊ロープを巻き上げ、連結ピンによって左床面構造と右床面構造を連結する。
本願発明の施工足場解体方法は、左吊ロープと右吊ロープにそれぞれ第1マークと第2マークを設ける方法とすることもできる。この場合、開放工程では、左吊ロープの第1マークと右吊ロープ第1マークがそれぞれあらかじめ定めた位置になるまで左吊ロープと右吊ロープを巻き出し、復元工程では、左吊ロープの第2マークと右吊ロープの第2マークがそれぞれあらかじめ定めた位置になるまで左吊ロープと右吊ロープを巻き上げる。
本願発明の移動式防護装置、及び施工足場解体方法には、次のような効果がある。
(1)施工足場の解体作業を行う際に、作業者の墜落事故といった労働災害や、特に都市部などにおいて工具等の落下による第三者被害の発生を抑制することができる。
(2)橋梁の全スパンのうち一部区間分の防護工を設置すれば足り、また橋脚を通過するたびに防護工の盛替え作業を行う必要がないことから、従来に比して低コストで解体作業を行うことができる。
(3)タッチアップ作業や本体塗装工事、床版下面型枠解体など、他の作業の足場として利用することができる。
橋梁床版の上に設置された本願発明の移動式防護装置を模式的に示す断面図。 (a)は橋梁床版と主桁を模式的に示す断面図、(b)は主桁の下部に設置された施工足場を模式的に示す断面図。 手摺やタラップ(梯子)などが設けられた本願発明の移動式防護装置示す断面図。 (a)は下部床面構造を示す平面図、(b)は下部床面構造を示す断面図。 中間床面構造を橋軸方向に見た正面図。 (a)は左連結梁と中間連結梁、右連結梁と中間連結梁の連結構造を橋軸方向に見た正面図、(b)は左連結梁と中間連結梁、右連結梁と中間連結梁の連結構造を上方から見た平面図。 移動機構の一例を示す側面図。 移動式防護装置が橋脚を通過する手順を説明するステップ図。 左副支持点と右副支持点がスライド移動する移動式防護装置を模式的に示す断面図。 本願発明の施工足場解体方法の主な工程の流れを示すフロー図。 主桁が橋台と橋脚によって支持された橋梁を模式的に示す側面図。
本願発明の移動式防護装置、及び施工足場解体方法の実施の例を、図に基づいて説明する。なお、本願発明の施工足場解体方法は、本願発明の移動式防護装置を用いて施工足場を解体する方法である。したがって、まずは本願発明の移動式防護装置について説明し、その後に本願発明の施工足場解体方法について説明することとする。また、説明の中で「右」や「左」と表現することがあるが、特に断りがない限り橋軸直角方向における「右」や「左」を意味する。
1.移動式防護装置
図1は、橋梁床版DCに設置された本願発明の移動式防護装置100を模式的に示す断面図である。図2(a)に示すような橋梁床版DCを支持する主桁MGの下部には、本工事に使用された図2(b)に示すような施工足場SFが設置されており、この施工足場SFを解体するときに移動式防護装置100を利用するとよい。なおこれら図1と図2は、橋軸直角方向の鉛直面で切断した断面図である。
図1に示すように本願発明の移動式防護装置100は、橋梁床版DC上に載置される上部台車設備110と、橋梁床版DCの下方に配置される下部床面構造120、この下部床面構造120を吊り下げる主吊材130を含んで構成され、さらに左重錘150L、右重錘150R、補助吊材160などを含んで構成することもできる。上部台車設備110は、橋軸直角方向に沿って配置される支持梁材111と移動機構112、台車用梁材113、左巻取装置140L、右巻取装置140Rを含んで構成される。この左巻取装置140Lと右巻取装置140Rは、ウィンチやホイストといった荷揚げ用の装置であり、それぞれ左吊ロープ141Lと右吊ロープ141Rを巻き出し、かつ巻き上げることができる。左吊ロープ141Lは、左主滑車142Lに巻き回されたうえで下方に垂下し、下部床面構造120(左床面構造121L)に設けられた左副支持点123Lに連結される。同様に、右吊ロープ141Rは、右主滑車142Rに巻き回されたうえで下方に垂下し、下部床面構造120(右床面構造121R)に設けられた右副支持点123Rに連結される。
下部床面構造120は、左床面構造121Lと右床面構造121Rを含んで構成される。この左床面構造121Lには、主吊材130(左主吊材130L)の下端に連結される左支持点122Lと上記した左副支持点123Lが設けられ、一方の右床面構造121Rにも、主吊材130(右主吊材130R)の下端に連結される右支持点122Rと上記した右副支持点123RLが設けられる。なお、左床面構造121Lの右側端(つまり、橋梁断面の中心側の端部)と右床面構造121Rの左側端(つまり、橋梁断面の中心側の端部)は、連結ピンによって連結され、すなわち連結ピンを設置すると左床面構造121Lと右床面構造121Rは図1に示すように略水平(水平を含む)な状態で連結され、他方、連結ピンを抜き取ると連結状態が解消され左床面構造121と右床面構造121Rは分離する。
主吊材130は、左主吊材130Lと右主吊材130Rを含んで構成される。左主吊材130Lは、図1に示すように橋梁床版DCの左側であって橋梁床版DCから外れた位置(左外側)に略鉛直(鉛直を含む)な姿勢で配置され、その上端は支持梁材111のうち左外側(橋梁床版DCの左側であって橋梁床版DCから外れた位置)の一部に固定され、その下端は上記した左床面構造121Lの左支持点122Lと連結される。同様に、右主吊材130Rは、橋梁床版DCの右側であって橋梁床版DCから外れた位置(右外側)に略鉛直(鉛直を含む)な姿勢で配置され、その上端は支持梁材111のうち右外側(橋梁床版DCの右側であって橋梁床版DCから外れた位置)の一部に固定され、その下端は上記した右床面構造121Rの右支持点122Rと連結される。ただし、左主吊材130Lと左支持点122L(つまり、左床面構造121L)、そして右主吊材130Rと右支持点122R(つまり、右床面構造121R)は、それぞれヒンジ結合とされる。つまり主吊材130(左主吊材130L、右主吊材130R)は、下部床面構造120(左床面構造121L、右床面構造121R)の鉛直荷重は支持(鉛直方向の移動を拘束)するが、回転は自由とされる。
左重錘150Lと右重錘150Rは、左巻取装置140Lや右巻取装置140Rにかかる巻き上げ能力や巻き出し能力を軽減するためのいわゆるカウンターウェイトである。なお、左重錘150Lは左支持点122Lよりも左側の位置で左床面構造121Lに設置し、右重錘150Rは右支持点122Rよりも右側の位置で右床面構造121Rに設置するとよい。
補助吊材160は、チェーンブロックやホイスト、ウィンチといった荷揚げ用の装置であって、チェーンやワイヤーロープなどを巻き出しあるいは巻き上げることによって伸縮可能なものである。主桁MGと下部床面構造120(左床面構造121L、右床面構造121R)をこの補助吊材160によって連結することで、下部床面構造120の万一の落下を防ぎ(いわば、フェイルセーフを実現し)、また補助吊材160が伸縮することによって下部床面構造120の高さを調整することができる。また補助吊材160は、左補助吊材160Lと右補助吊材160を含んで構成することもでき、この場合は、左補助吊材160Lによって主桁MG(図1では左側の主桁MG)と左床面構造121Lを連結し、右補助吊材160Rによって主桁MG(図1では右側の主桁MG)と右床面構造121RLを連結するとよい。
図3は、手摺やタラップ(梯子)などが設けられた本願発明の移動式防護装置100を模式的に示す断面図であり、図1と同様、橋軸直角方向の鉛直面で切断した断面図である。図1では移動式防護装置100を模式的に示すため手摺やタラップなどを省略して示しているが、実際には作業の安全を図るため図3に示すように手摺やタラップなどが要所に設けられ、また地覆用の施工足場SFが設置されている場合は中段足場も設けられる。
以下、本願発明の移動式防護装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
(下部床面構造)
図4は、下部床面構造120を示す図であり、(a)は上方から見た平面図、(b)は橋軸直角方向の鉛直面で切断した断面図である。既述したとおり下部床面構造120は、左床面構造121Lと右床面構造121Rを含んで構成される。また、図4(a)に示すように左床面構造121Lと右床面構造121Rは、それぞれ床構造とされる。この床面の橋軸直角方向の寸法は、当然ながら施工足場SFの橋軸直角方向の寸法よりも大きくする必要があり、施工足場SFよりもよりさらに両外側に張り出す程度の寸法にするとよい。一方、床面の橋軸方向の寸法は、部分解体する一回当たりの施工足場SFの延長(橋軸直角方向の寸法)よりも大きくする必要があり、例えば施工足場SFに使用された「おやご」の長さよりも起終点両側にやや張り出す程度の寸法(例えば、おやご長が5.5mであれば6.0mなど)にするとよい。
下部床面構造120(左床面構造121L、右床面構造121R)は、床梁とその上に敷設される床材によって形成される。この床材としては、木製の足場板など従来用いられている種々の板材を使用することができ、特に軽量なアルミ材を使用したパネル構造であるCUSA(株式会社横河ブリッジ製)は下部床面構造120の床材として好適である。もちろん床材は、作業員や工具の落下を防ぐためできるだけ隙間が生じないように床面全体に敷設される。また、これにより本願発明の移動式防護装置100は、タッチアップ作業や本体塗装工事、床版下面型枠解体など、他の作業の足場として利用することができる。
床梁はH型鋼や角鋼管などを用いた梁材であり、床材全体を支持するため橋軸方向に所定の間隔で複数の床梁を配置し、また橋軸直角方向にも所定の間隔で複数の床梁を配置するとよい。既述したように、左床面構造121Lと右床面構造121Rは、連結ピンによって分離可能に連結される。そのため、左床面構造121Lの床梁のうち橋軸直角方向に配置される床梁(以下、「主床梁」という。)の一部(以下、「左連結梁124L」という。)と、右床面構造121Rの主床梁の一部(以下、「右連結梁124R」という。)とは、連結ピンによって分離可能に連結するとよい。例えば、主床梁のうち起終点側(橋軸方向における両端)の主床梁をそれぞれ左連結梁124Lと右連結梁124Rとして分離可能に連結したり、主床梁のうち起点側(あるいは終点側)の主床梁をそれぞれ左連結梁124Lと右連結梁124Rとして分離可能に連結したりすることができる。なお、左連結梁124Lや右連結梁124Rとされない他の主床梁については、左右で連結しない構造にするとよい。
左連結梁124Lや右連結梁124Rは、1段の水平梁として構成することもできるし、上下2段に配置することもでき、この場合は斜材を含むトラス構造とするとよい。より詳しくは、上段の左連結梁124L(以下、「上方左連結梁124LA」という。)と下段の左連結梁124L(以下、「下方左連結梁124LB」という。)、そして上方左連結梁124LAと下方左連結梁124LBの間に配置される斜材によるトラス構造を左床面構造121Lとし、同様に、上段の右連結梁124R(以下、「上方右連結梁124RA」という。)と下段の右連結梁124R(以下、「下方右連結梁124RB」という。)、そして上方右連結梁124RAと下方右連結梁124RBの間に配置される斜材によるトラス構造を右床面構造121Rとするわけである。
また、左床面構造121Lと右床面構造121Rは、直接、連結する構造とすることもできるし、図4に示すように中間床面構造121Cを介して連結する構造とすることもできる。図5は、中間床面構造121Cを橋軸方向に見た正面図である。なお、この図に示す中間床面構造121Cは、上下2段の左連結梁124L(上方左連結梁124LAと下方左連結梁124LB)で構成された左床面構造121Lと、同じく上下2段の右連結梁124R(上方右連結梁124RAと下方右連結梁124RB)で構成された右床面構造121Rとを連結する場合に用いられるものである。したがって、この場合の中間床面構造121Cは、上下2段の中間連結梁124C、すなわち上方中間連結梁124CAと下方中間連結梁124CBを含んで構成される。
左床面構造121Lと右床面構造121Rとの間に中間床面構造121Cを配置する場合、左床面構造121Lの右側端(つまり、橋梁断面の中心側の端部)と中間床面構造121Cの左側端が連結ピンによって分離可能に連結され、右床面構造121Rの左側端(つまり、橋梁断面の中心側の端部)と中間床面構造121Cの右側端が連結ピンによって分離可能に連結される。より詳しくは、左連結梁124Lの右側端と中間連結梁124Cの左側端が連結ピンによって連結され、右連結梁124Rの左側端と中間連結梁124Cの右側端が連結ピンによって連結される。さらに、連結梁を上下2段で配置した場合は、図5に示すように、上方右連結梁124RAの右側端と上方中間連結梁124CAの左側端、下方右連結梁124RBの右側端と下方中間連結梁124CBの左側端、上方右連結梁124RAの左側端と上方中間連結梁124CAの右側端、下方右連結梁124RBの左側端と下方中間連結梁124CBの右側端がそれぞれ連結ピンによって連結される。
左連結梁124Lと右連結梁124R、あるいは左連結梁124L(右連結梁124R)と中間連結梁124Cを連結ピンで連結するにあたっては、図6に示すような構造とすることができる。図6は左連結梁124Lと中間連結梁124C、右連結梁124Rと中間連結梁124Cの連結構造を示す図であり、(a)は橋軸方向に見た正面図、(b)は上方から見た平面図である。この図では、それぞれ連結梁のうち連結端部に挿通孔を設け、この挿通孔の位置を合わせたうえで連結ピンを挿通する構造としている、例えば、上方左連結梁124LAの右端に設けられた挿通孔と、上方中間連結梁124CAの左端に設けられた挿通孔との位置を合わせたうえで連結ピンを挿通したり、下方右連結梁124RBの左端に設けられた挿通孔と、下方中間連結梁124CBの右端に設けられた挿通孔との位置を合わせたうえで連結ピンを総数したりすることによって、左連結梁124Lと中間連結梁124C(つまり、左床面構造121Lと中間床面構造121C)を分離可能に連結することができ、右連結梁124Rと中間連結梁124C(つまり、右床面構造121Rと中間床面構造121C)を分離可能に連結することができる。この場合、連結ピンは、挿通孔に挿入しやすいように、先細りとなるような形状(端側が縮径するテーパー形状)に加工するとよい。
図5に示すような中間床面構造121Cを使用した場合、4箇所の挿通孔に連結ピンを挿入することによって左床面構造121Lと中間床面構造121C、右床面構造121Rを連結することができ、4箇所の挿通孔から連結ピンを抜き取ることによって左床面構造121Lと中間床面構造121C、右床面構造121Rを分離(連結解除)することができる。ところで、この図に示すように中間床面構造121Cには、その補強のために斜材を設置することもできる。斜材の両端を添接板にボルト(例えば、高力ボルト)固定することで、左床面構造121Lと床面構造121Rを強固に連結するわけである。ただしこの場合は、連結ピンを抜き取るだけでは左床面構造121Lと中間床面構造121C、右床面構造121Rを分離することができず、斜材の両端のボルトを外す作業も必要になるため、斜材の配置は現場に応じて適宜選択するとよい。あるいは、斜材の取り外しを容易にするため、斜材としてジャッキ(例えば、油圧ジャッキ)や鋼棒、ターンバックルなどを利用することもできる。
(上部台車設備)
既述したとおり上部台車設備110は、支持梁材111と移動機構112、台車用梁材113、左巻取装置140L、右巻取装置140Rを含んで構成される。支持梁材111は、H型鋼や角鋼管などの梁材を利用することができ、橋軸方向に沿って配置される。ただし、支持梁材111の左端が橋梁床版DCの左外側(橋梁床版DCの左側であって橋梁床版DCから外れた位置)となり、支持梁材111の右端が橋梁床版DCの右外側(橋梁床版DCの右側であって橋梁床版DCから外れた位置)となるように、支持梁材111は配置される。支持梁材111の下方には、H型鋼や角鋼管などの梁材を井桁に組んだ台車用梁材113が配置されており、この台車用梁材113の下部には移動機構112が取り付けられ、この移動機構112は橋梁床版DC上に載置されている。換言すれば、橋梁床版DC上に載置された移動機構112には、台車用梁材113を介して支持梁材111が取り付けられている。
支持梁材111には、左巻取装置140Lと右巻取装置140Rが設置される。この左巻取装置140Lから送り出される左吊ロープ141Lは、左主滑車142Lに巻き回されたうえで下方に垂下し、左床面構造121Lに設けられた左副支持点123Lに連結され、一方の右巻取装置140Rから送り出される右吊ロープ141Rは、右主滑車142Rに巻き回されたうえで下方に垂下し、右床面構造121Rに設けられた右副支持点123Rに連結される。ただし、左吊ロープ141Lは橋梁床版DCの左端と左主吊材130Lとの間で垂下し、右吊ロープ141Rは橋梁床版DCの右端と右主吊材130Rの間で垂下する。これにより、左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き出すと左副支持点123Lは降下し、逆に左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き上げると左副支持点123Lが上昇し、同様に、右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き出すと右副支持点123Rは降下し、逆に右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き上げると右副支持点123Rが上昇する。なお、左吊ロープ141Lや右吊ロープ141Rは、左主滑車142Lや右主滑車142Rに巻き回された後、下端側に配置した動滑車に巻き回され、さらに上方で支持梁材111に固定された定滑車に巻き回されたうえで、その下端を左副支持点123Lや右副支持点123Rに連結する構造とすることもできる。
移動機構112は、橋梁床版DC上を、橋軸方向に移動することができるものである。上記したとおり移動機構112には台車用梁材113を介して支持梁材111が取り付けられており、また後述するように支持梁材111には主吊材130を介して下部床面構造120が取り付けられていることから、移動機構112が橋軸方向に移動すると、これに伴って上部台車設備110と下部床面構造120、主吊材130(つまり、移動式防護装置100)が一体となって橋軸方向に移動する。
図7は、移動機構112の一例を示す側面図である。この図では、台車用梁材113の下部に取り付けられた車輪WHを移動機構112としており、橋軸方向に沿って敷設された軌条RLを利用して橋軸方向に移動する機構としている。具体的には、軌条RLの上に車輪WHを載置したうえで、上部台車設備110に連結されたワイヤーロープ等を牽引手段で牽引することによって移動式防護装置100を橋軸方向に移動するわけである。軌条RLは、角鋼管やH型鋼などの梁材の上に平鋼(フラットバー)を設置した構成とすることができ、牽引手段としては、チルホールやチェーンブロック、ホイスト、ウィンチなどを利用することができる。なお、軌条RLの適所には、移動式防護装置100の脱落を防止するためのストッパを設けるとよい。移動機構112は、図7に示す構成に限らず、動力とタイヤ(あるいはクローラ)の組み合わせからなる自走式とするなど、従来用いられてきたあらゆる技術を利用することができる。
(主吊材)
既述したとおり主吊材130は、左主吊材130Lと右主吊材130Rを含んで構成される。そして、左主吊材130Lは、橋梁床版DCの左外側に配置され、その上端は支持梁材111のうち左外側の一部に固定され、その下端は左床面構造121Lの左支持点122Lとヒンジ結合される。同様に、右主吊材130Rは、橋梁床版DCの右外側に配置され、その上端は支持梁材111のうち右外側の一部に固定され、その下端は右床面構造121Rの右支持点122Rとヒンジ結合される。
左主吊材130Lの下端と左支持点122Lを回転自由なヒンジ結合とし、図1に示すように左副支持点123L(左吊ロープ141Lの下端)を左支持点122Lよりも右側(つまり、橋梁断面の中心側)に配置したことによって、左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き出すと、左床面構造121Lのうち左支持点122Lよりも左側が上昇してその右側(つまり、橋梁断面の中心側)が降下するが、左支持点122Lは昇降することなくその高さが維持される。換言すれば、左床面構造121Lは左支持点122Lを支点とした天秤構造であり、左支持点122Lの一方側が上昇すればその他方側が降下し、左支持点122Lの一方側が降下すればその他方側が上昇するわけである。同様に、右主吊材130Rの下端と右支持点122Rを回転自由なヒンジ結合とし、右副支持点123R(右吊ロープ141Rの下端)を右支持点122Rよりも左側(つまり、橋梁断面の中心側)に配置したことによって、右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き出すと、右床面構造121Rのうち左支持点122Lよりも右側が上昇してその左側(つまり、橋梁断面の中心側)が降下するが、右支持点122Rは昇降することなくその高さが維持される。
ところで、左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き出したときに左床面構造121Lの左側端が降下するためには、左床面構造121Lのうち左支持点122Lより右側の重量をその左側よりも大きくする必要があり、右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き出したときに右床面構造121Rの左側端が降下するためには、右床面構造121Rのうち右支持点122Rより左側の重量をその右側よりも大きくする必要がある。このとき、左床面構造121Lの右側や右床面構造121Rの左側が相当に重くなった場合、左巻取装置140Lや右巻取装置140Rにかかる負担が大きくなり、相当の規模の能力を有するウィンチ等を用意しなければならない。そこで、左巻取装置140Lや右巻取装置140Rにかかる巻き上げ能力や巻き出し能力を軽減するため、左支持点122Lよりも左側の位置で左床面構造121Lに左重錘150Lを設置し、右支持点122Rよりも右側の位置で右床面構造121Rに右重錘150Rを設置するとよい。左重錘150Lや右重錘150Rは、適切な重量を有するものであれば種々の材料を利用することができ、橋軸方向にわたって配置できるH型鋼や角鋼管などの梁材などを特に好適に利用することができる。
(使用例)
ここまで説明したように、本願発明の移動式防護装置100は移動機構112によって橋軸方向に移動することができるものの、橋脚を通過するときは下部床面構造120などが障壁となってしまう。しかしながら本願発明の移動式防護装置100は、図8に示すように橋脚PRをかわしながら円滑に移動することができる。以下、図8を参照しながら移動式防護装置100が橋脚PRを通過する手順について説明する。
はじめに、連結ピンを抜き取ることによって、下部床面構造120から中間床面構造121Cを取り外し、左床面構造121Lと右床面構造121Rを分離する。図8(a)に左床面構造121Lと右床面構造121Rが分離した状態を示す。このとき、下部床面構造120の万一の落下を防ぐため、左補助吊材160Lによって主桁MGと左床面構造121Lを連結しておくとともに、右補助吊材160Rによって主桁MGと右床面構造121RLを連結しておくとよい。
左床面構造121Lと右床面構造121Rを分離すると、図8(b)に示すように左床面構造121Lと右床面構造121Rとの間に離隔が生じた状態(以下、便宜上「開放状態」という。)とする。具体的には、左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き出すとともに右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き出す。これにより、左支持点122L周りに回転(図8では時計回りに回転)するように左床面構造121Lの左側が上昇して右側が降下するとともに、右支持点122R周りに回転(図8では反時計回りに回転)するように右床面構造121Rの右側が上昇して左側が降下し、その結果、左床面構造121Lの右側端と右床面構造121Rの左側端との間には相当の離隔が生じ、すなわち橋脚PRを通過させることができる開放状態となる。このとき、下部床面構造120の万一の落下を防ぐため、左補助吊材160Lと右補助吊材160Rによって主桁MGと左床面構造121Lや右床面構造121RLを連結しておくこともできるし、この時点でこの連結を解除することもできる。ただし、少なくとも橋脚PRに向けて移動する直前までには、左補助吊材160Lと右補助吊材160Rは、左床面構造121Lや右床面構造121RLから切り離しておく必要がある。
移動式防護装置100を開放状態とすると、図8(b)に示すようにその開放状態を維持したまま橋脚PRをかわしながら移動する。脚PRを越えるまで移動式防護装置100が移動すると、移動式防護装置100を開放状態にした手順とは逆の手順で左床面構造121Lと右床面構造121Rを連結する。具体的には、左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き上げるとともに右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き上げる。これにより、左支持点122L周りに回転(図8では反時計回りに回転)するように左床面構造121Lの左側が降下して右側が上昇するとともに、右支持点122R周りに回転(図8では時計回りに回転)するように右床面構造121Rの右側が降下して左側が上昇し、その結果、左床面構造121Lと右床面構造121Rはそれぞれ略水平(水平を含む)な姿勢となり、連結ピンを挿入することで左床面構造121Lと右床面構造121Rが連結される。
ところで、左床面構造121Lは左支持点122L周りに回転するように移動し、右床面構造121Rは右支持点122R周りに回転するように移動する。そのため、図8(a)と図8(b)を見比べると分かるように、左吊ロープ141Lと右吊ロープ141Rは、鉛直方向からやや傾斜した状態で垂下するようになる。この場合、左吊ロープ141Lや右吊ロープ141Rが、左主滑車142Lや右主滑車142Rなど途中の滑車に想定しない力を与えることも考えられる。このような状態を回避したいときは、図9に示すように、左副支持点123Lが左連結梁124L上を橋軸直角方向にスライドし、右副支持点123Rが右連結梁124R上を橋軸直角方向にスライドする機構にするとよい。左床面構造121Lが左支持点122L周りに回転するときに左副支持点123Lが右側にスライド移動することによって左吊ロープ141Lは鉛直方向が維持され、右床面構造121Rが左支持点122L周りに回転するときに右副支持点123Rが左側にスライド移動することによって右吊ロープ141Rは鉛直方向が維持されるわけである。
2.施工足場解体方法
続いて、本願発明の施工足場解体方法ついて図10を参照しながら説明する。なお、本願発明の施工足場解体方法は、ここまで説明した移動式防護装置100を用いて施工足場を解体する方法である。したがって、移動式防護装置100について説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の施工足場解体方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.移動式防護装置」で説明したものと同様である。
図10は、本願発明の施工足場解体方法の主な工程の流れを示すフロー図である。この図に示すように、まずは橋軸方向の所定位置(例えば、起点側)で本願発明の移動式防護装置100を橋梁床版DCに設置する(図10のStep10)。そして、移動式防護装置100を橋軸方向に移動するが、予定する移動区間に橋脚PRがあるとき(図10のStep20のYes)は開放工程(図10のStep20)に進み、一方、橋脚PRがないとき(図10のStep20のNo)はそのまま後述する移設工程(図10のStep40)と部分解体工程(図10のStep60)に進む。
開放工程(図10のStep20)では、移動式防護装置100を開放状態とする。具体的には、既述したとおり左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き出すとともに右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを巻き出し、左床面構造121Lの右側端と右床面構造121Rの左側端との間に離隔が生じた状態を形成する。このとき、左吊ロープ141Lと右吊ロープ141Rに設けられた「第1マーク」を利用したうえで、左吊ロープ141Lを巻き出し、右吊ロープ141Rを巻き出すとよい。この第1マークは、事前に試験施工を行うことによって移動式防護装置100が適切に開放状態となったときの吊ロープ(左吊ロープ141Lと右吊ロープ141R)の位置を示すものであり、例えば、第1マークが橋梁床版DCから1m上方に位置するときに開放状態となったことを知らせるものである。したがって、開放工程(図10のStep20)においても、例えば第1マークが橋梁床版DCから1m上方に位置したときに、左吊ロープ141Lと右吊ロープ141Rの巻き出し操作を停止すれば、移動式防護装置100が適切に開放状態となるわけである。この第1マークは、赤色など特に目立つ色でペンキ着色したり、赤色テープを巻き付けたりすることで左吊ロープ141Lや右吊ロープ141Rに付すことができる。
移動式防護装置100を開放状態とすると、その開放状態のまま移動機構112によって移動式防護装置100を橋軸方向における前方に移動する(図10のStep40)。そして、橋脚PRを越えるまで移動式防護装置100が前進すると、左床面構造121Lと右床面構造121Rを連結する(図10のStep50)。具体的には、既述したとおり左巻取装置140Lが左吊ロープ141Lを巻き上げるとともに右巻取装置140Rが右吊ロープ141Rを上げ、左床面構造121Lと右床面構造121Rを略水平な姿勢としたうえで、連結ピンを挿入して左床面構造121Lと右床面構造121Rを連結する。このとき、左吊ロープ141Lと右吊ロープ141Rに設けられた「第2マーク」を利用したうえで、左吊ロープ141Lを巻き上げ、右吊ロープ141Rを巻き上げるとよい。この第2マークは、事前に試験施工を行うことによって左床面構造121Lや右床面構造121Rが略水平な姿勢(連結可能な状態)となったときの吊ロープ(左吊ロープ141Lと右吊ロープ141R)の位置を示すものであり、例えば、第2マークが橋梁床版DCから1m上方に位置するときに連結可能な状態となったことを知らせるものである。したがって、復元工程(図10のStep50)においても、例えば第2マークが橋梁床版DCから1m上方に位置したときに、左吊ロープ141Lと右吊ロープ141Rの巻き上げ操作を停止すれば、床面構造121Lと右床面構造121Rが連結可能な状態となるわけである。この第2マークは、第1マークと同様、赤色など特に目立つ色でペンキ着色したり、赤色テープを巻き付けたりすることで左吊ロープ141Lや右吊ロープ141Rに付すことができる。
移動式防護装置100が所定位置まで前進し、さらに床面構造121Lと右床面構造121Rを連結すると、移動後に移動式防護装置100が配置された範囲内の施工足場SFを解体する(図10のStep60)。まだ解体すべき施工足場SFが残っているとき(図10のStep70のNo)はStep10~Step60を繰り返し行い、一方、すべての施工足場SFが解体されたときは移動式防護装置100を解体して橋梁床版DCから取外す(図10のStep80)。
本願発明の移動式防護装置、及び施工足場解体方法は、道路橋や鉄道橋といったあらゆる用途の橋梁に利用でき、河川を跨ぐ橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。本願発明によれば、作業者の墜落災害や工具落下などによる第三者被害を従前より回避することができ、すなわち本願発明がより安全な作業を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 本願発明の移動式防護装置
110 (移動式防護装置の)上部台車設備
111 (上部台車設備の)支持梁材
112 (上部台車設備の)移動機構
113 (上部台車設備の)台車用梁材
120 (移動式防護装置の)下部床面構造
121L (下部床面構造の)左床面構造
122L (左床面構造の)左支持点
123L (左床面構造の)左副支持点
124L (左床面構造の)左連結梁
124LA (左連結梁の)上方左連結梁
124LB (左連結梁の)下方左連結梁
121R (下部床面構造の)右床面構造
122R (右床面構造の)右支持点
123R (右床面構造の)右副支持点
124R (右床面構造の)右連結梁
124RA (右連結梁の)上方右連結梁
124RB (右連結梁の)下方右連結梁
121C (下部床面構造の)中間床面構造
124C (中間床面構造の)中間連結梁
124CA (中間連結梁の)上方中間連結梁
124CB (中間連結梁の)下方中間連結梁
130 (移動式防護装置の)主吊材
130L (主吊材の)左主吊材
130R (主吊材の)右主吊材
140L (移動式防護装置の)左巻取装置
141L (左巻取装置の)左吊ロープ
142L 左主滑車
140 (移動式防護装置の)右巻取装置R
141R (左巻取装置の)右吊ロープ
142R 右主滑車
150L (移動式防護装置の)左重錘
150R (移動式防護装置の)右重錘
160 (移動式防護装置の)補助吊材
160L (補助吊材の)左補助吊材
160R (補助吊材の)右補助吊材
DC 橋梁床版
MG 主桁
PR 橋脚
RL 軌条
SF 施工足場
WH 車輪

Claims (8)

  1. 橋梁の床版に設置され、橋軸方向に移動可能な防護装置であって、
    前記床版上に載置される上部台車設備と、
    前記床版の下方に配置される下部床面構造と、
    前記下部床面構造を吊り下げる主吊材と、を備え、
    前記上部台車設備は、橋軸直角方向に沿って配置される支持梁材と、該支持梁材に設置される左巻取装置及び右巻取装置と、該支持梁材を橋軸方向に移動させる移動機構と、を含んで構成され、
    前記下部床面構造は、左床面構造と右床面構造を含んで構成されるとともに、該左床面構造の右側端と該右床面構造の左側端は連結ピンによって分離可能に連結され、
    前記主吊材は、橋軸直角方向における前記床版の左外側に配置される左主吊材と、橋軸直角方向における該床版の右外側に配置される右主吊材と、を含んで構成され、
    橋軸直角方向における前記床版の左外側に突出した前記支持梁材に前記左主吊材の上端が固定されるとともに、前記左床面構造に設けられた左支持点と該左主吊材の下端とがヒンジ結合され、
    橋軸直角方向における前記床版の右外側に突出した前記支持梁材に前記右主吊材の上端が固定されるとともに、前記右床面構造に設けられた右支持点と該右主吊材の下端とがヒンジ結合され、
    前記左巻取装置から垂下する左吊ロープの下端が前記左支持点より右側で前記左床面構造に連結されるとともに、前記右巻取装置から垂下する右吊ロープの下端が前記右支持点より左側で前記右床面構造に連結され、
    前記連結ピンを取り外したうえで、前記左巻取装置が前記左吊ロープを巻き出すと前記左床面構造の左側端が上昇して右側端が降下し、前記右巻取装置が前記右吊ロープを巻き出すと前記右床面構造の右側端が上昇して左側端が降下し、該左床面構造の右側端と該右床面構造の左側端との間に離隔が生じる開放状態となり、
    前記開放状態としたうえで、前記移動機構によって前記支持梁材が橋軸方向に移動すると、前記左床面構造と前記右床面構造との間に生じた前記離隔を橋脚が通過し得る、
    ことを特徴とする移動式防護装置。
  2. 前記左床面構造は、橋軸直角方向に配置される上方左連結梁と下方左連結梁を含んで構成され、
    前記右床面構造は、橋軸直角方向に配置される上方右連結梁と下方右連結梁を含んで構成され、
    上方中間連結梁と下方中間連結梁を、さらに備え、
    前記上方左連結梁と前記上方中間連結梁が前記連結ピンによって分離可能に連結されるとともに、前記上方右連結梁と該上方中間連結梁が前記連結ピンによって分離可能に連結され、
    前記下方左連結梁と前記下方中間連結梁が前記連結ピンによって分離可能に連結されるとともに、前記下方右連結梁と該下方中間連結梁が前記連結ピンによって分離可能に連結された、
    ことを特徴とする請求項1記載の移動式防護装置。
  3. 前記左支持点より左側で前記左床面構造に左重錘が載置されるとともに、前記右支持点より右側で前記右床面構造に右重錘が載置された、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動式防護装置。
  4. 伸縮可能な補助吊材を、さらに備え、
    前記床版を支持する主桁と、前記下部床面構造と、が前記補助吊材によって連結され、
    前記補助吊材が伸縮することで、前記下部床面構造の高さを調整することができる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の移動式防護装置。
  5. 橋梁を構築する際に設けられた施工足場を、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の前記移動式防護装置を用いて解体する方法であって、
    前記上部台車設備が前記床版上に載置され、前記下部床面構造が該床版の下方に配置され、前記主吊材が該下部床面構造を吊り下げるように、前記移動式防護装置を前記床版に設置する設置工程と、
    前記移動機構によって前記支持梁材とともに前記移動式防護装置を橋軸方向に移動する移設工程と、
    移動後に前記移動式防護装置が配置された範囲内の前記施工足場を解体する部分解体工程と、を備え、
    前記部分解体工程で前記施工足場を解体すると、再度、前記移設工程を行う、
    ことを特徴とする施工足場解体方法。
  6. 前記連結ピンを取り外したうえで、前記左巻取装置の前記左吊ロープを巻き出すとともに、前記右巻取装置の前記右吊ロープを巻き出して、前記移動式防護装置を前記開放状態とする開放工程を、さらに備え、
    前記橋脚を通過するときの前記移設工程では、前記開放工程によって前記開放状態としたうえで前記移動式防護装置を橋軸方向に移動する、
    ことを特徴とする請求項5記載の施工足場解体方法。
  7. 前記移設工程で前記橋脚を通過した後に、前記左巻取装置の前記左吊ロープを巻き上げるとともに、前記右巻取装置の前記右吊ロープを巻き上げ、前記連結ピンによって前記左床面構造と前記右床面構造を連結する復元工程を、さらに備えた、
    ことを特徴とする請求項6記載の施工足場解体方法。
  8. 前記左吊ロープと前記右吊ロープには、それぞれ第1マークと第2マークが設けられ、
    前記開放工程では、前記左吊ロープの前記第1マークと前記右吊ロープの前記第1マークが、それぞれあらかじめ定めた位置になるまで該左吊ロープと該右吊ロープを巻き出し、
    前記復元工程では、前記左吊ロープの前記第2マークと前記右吊ロープの前記第2マークが、それぞれあらかじめ定めた位置になるまで該左吊ロープと該右吊ロープを巻き上げる、
    ことを特徴とする請求項7記載の施工足場解体方法。
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