JP2022549141A - 即席麺のための高アセチル化エンドウ澱粉 - Google Patents

即席麺のための高アセチル化エンドウ澱粉 Download PDF

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Abstract

本発明は、アセチル化エンドウ澱粉を含有する小麦粉ベースの即席麺であって、当該麺の調製に使用されるアセチル化エンドウ澱粉が高アセチル化エンドウ澱粉であることを特徴とする、麺に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、アセチル化エンドウ澱粉を含有する小麦粉ベースの即席麺であって、アセチル化エンドウ澱粉が高アセチル化エンドウ澱粉である、即席麺に関する。
本発明は、当該麺の関連する作製方法にも関する。
先行技術
アジアの麺の人気は世界中で高まりつつあり、全穀粉から製造された麺製品の導入は、顧客の食事パターンを変更し、高繊維食品消費を促進するための効果的な方法と考えられる。
即席麺は1958年に日本で初めて商品化され、その製品は日本から韓国及び他のアジア諸国に急速に広がった。
現在、即席麺は80を超える国々で消費されており、数多くある麺の種類のうち、即席麺はその作りやすさと利便性から、最も急速に成長している分野である。
即席麺は、蒸す、油で揚げる、又は乾燥するという追加の処理ステップがあることで、他の麺とは異なる。これらの製品は、蒸して乾燥したもの(即席乾燥麺)、又は蒸して揚げたもの(即席油揚げ麺)のいずれかであり得る。
澱粉は、食品及び工業用途において、増粘剤、コロイド安定剤、ゲル化剤、増量剤、及び保水剤として広く使用されている。
望ましい麺のテクスチャーを達成するために、澱粉は、小麦粉重量の5~20%のレベルで組み込まれる。言い換えれば、小麦粉の5~20%が澱粉で置き換えられる。
澱粉には、天然澱粉と加工澱粉という2つの主なカテゴリーがある。
天然澱粉(ポテト及びタピオカ)は、食品加工中に一般的に適用される高温、剪断、pH、及び冷蔵下での安定性に欠けることから、製造業者にあまり好まれない。そのような過酷な条件は、製品のテクスチャーに望ましくない変化をもたらし得る。
これらの問題を克服するために、加工澱粉(例えば、アセチル化澱粉)が広く使用されている。アセチル化澱粉の利点は、低い糊化温度、高い膨潤性及び溶解度、並びに凍結解凍条件下での安定性である。
米澱粉に関する研究は、アセチル化は溶解度、膨潤力、及び粘度を増加させるが、ゼラチン化温度を低下させることを示している。アセチル化されたキャッサバ由来の澱粉についても同様の結論が得られた。
アセチル化ポテト澱粉を使用して、麺の弾力を増進できることも見出された。特に、うどん(日本の麺)の配合では、小麦粉の最大20%をアセチル化ポテト澱粉(ジャガイモ又はサツマイモから調製された)で置き換えたときに、その調理損失(すなわち、調理中の麺の収縮)が減少すると同時に、柔かさ、伸縮性、及びつるみ(slipperinrss)が著しく増加することが観察された。
即席麺にアセチル化澱粉又はヒドロキシプロピル化澱粉を使用することは周知である。現在、即席麺製造業者の大部分は、製造する即席麺の澱粉成分としてアセチル化ポテト澱粉又はアセチル化タピオカ澱粉を使用する。
したがって、優れた弾力のあるテクスチャーを有する小麦粉ベースの麺を調製するために、当業者は、加工ポテト澱粉を使用することとなる。
しかしながら、加工ポテト澱粉で製造された小麦粉ベースの即席麺は、生産工程の間に粘着性のある表面を示す。麺表面の粘着性により、麺線は互いに結着し、乾燥工程の成功を妨げる。細長く切られた麺線の粘着を防止するために、追加の成分又は特異な工程を使用する必要がある。
上記の直面する課題の全てに対処するために、本発明が提案する解決策は、アセチル化エンドウ澱粉、より詳細には高アセチル化エンドウ澱粉を使用することである。
本発明は、高アセチル化エンドウ澱粉を含有する小麦粉ベースの即席麺に関する。
本発明の高アセチル化エンドウ澱粉は、アセチル価が1.5%を超え、好ましくは1.8~2.5%であること、及び置換度が0.07を超え、好ましくは0.07~0.09であることを特徴とする。
そのようにして得られた小麦粉ベースの即席麺は、その調製に使用された高アセチル化エンドウ澱粉が、天然エンドウ澱粉の糊化温度と比較して5.0~6.0℃低下した糊化温度を示すことを特徴とする。
他の特徴、詳細、及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に示される。
即席麺の吸水率である。 澱粉のテクスチャーの比較である。 最終製品の重量の分布である。
本発明は、小麦粉ベースの即席麺の調製のための高アセチル化エンドウ澱粉の使用に関する。
優れた弾力のあるテクスチャーを有する小麦粉ベースの即席麺を製造するために、麺製造業者は、典型的には、ポテト澱粉、特にアセチル化ポテト澱粉を使用する。実際に、加工ポテト澱粉なしでは、小麦粉ベースの即席麺は、要求される弾力のあるテクスチャーを示さない。例えば、天然又は加工タピオカ澱粉を使用しても、優れた弾力のあるテクスチャーを有する麺を得ることはできない。
しかしながら、前述のように、加工ポテト澱粉を含む小麦粉ベースの即席麺は、その製造工程の間に粘着性のある表面を示す。
乾燥工程の間に観察されるこの粘着性は、ポテト澱粉を含む麺において、他の種類の澱粉を含む麺よりも大きいことも明らかである。
小麦ベースの即席麺の調製において有利にポテト加工澱粉の代替となる新たな澱粉を提案するために、本出願人は多数の実験を実施した。
澱粉の加工は、澱粉の構造を変えるための古典的な方法であり、通常、望ましい物理的特性を大きく変化させる。
しかしながら、加工度が低い場合でも、ペーストの粘度、ゲル化、離水、透明性、付着性及び乳化性等の澱粉の物理的特性を劇的に変えることが可能である。
架橋澱粉は、酸、高温及び剪断に対する安定性を元の天然澱粉に与える。
澱粉の安定化は、例えば、置換基を導入することによって老化を防ぐことを目的としている。置換基を導入することにより澱粉顆粒内のグルカン鎖の相互作用が弱められ、その結果、より低い温度で調理した場合にも澱粉の水和及び糊化を達成することが可能になる。
安定化の効果は、置換基の数及び性質に依存する。アセチル化及びヒドロキシプロピル化は、食品に認可されている主な安定化の種類である。
多様な澱粉エステルの中でも、積極的に販売されているのが酢酸澱粉である。
食品用途のアセチルの最大量である2.5%は、DS値で0.1に対応する。
アセチル基の立体障害は、水素結合によって生成するネットワークのエネルギーレベルを低下させることになり、それによって澱粉の可溶化を促進、改善し、老化を遅らせることになる。
アセチル基を導入することにより、顆粒内の澱粉-澱粉相互作用が弱まり、その結果、低温で調理しても水和及び糊化を達成することが可能となる。
この種の澱粉は、調理が容易であるという利点があり、湿度の低い環境及び共存成分との競合により水分量が制限される用途、例えば押出成形及びコーティングされた軽食、冷凍魚及び調理済み肉製品、穀粉ベースの麺、ベーカリー製品及び冷凍又は冷蔵保存される様々な調理済みの料理において、特に有用である。
アセチル基は、食品産業における酸性pHに耐性を示す結合剤、並びに紙のサイジングにおける接着剤及びすね当て耐性(greave resistance)を含む、特定の用途に適した疎水性構造も生成する。
酢酸澱粉は、澱粉を希水酸化ナトリウムの存在下で無水酢酸と反応させることにより容易に調製される。別の方法として、触媒としての炭酸ナトリウムの存在下で、水性懸濁液中で酢酸ビニルを使用してアセチル化を行うこともできる。
本発明において、本出願人は、ポテト澱粉を効率的に代替することを試みるため、様々なアセチル化度のエンドウ澱粉について試験を行うことにした。
本出願人は、そのために、考慮すべき2つの重要なパラメータとして、
この特殊な澱粉のアミロースの含有量;及び
その糊化温度
が存在することを見出した。
第1の点に関して、ポテト澱粉は20%のアミロースを含有し、アミロース含有量が35%であるエンドウ澱粉が最良の選択肢となる。
第2の点に関して、ポテト澱粉の糊化温度は、エンドウ澱粉の糊化温度よりも低いため、本出願人は、特定の加工エンドウ澱粉、より詳細には高アセチル化加工エンドウ澱粉を選択することを決定した。
実際、全ての課題は、この条件を満たすことができる適切な加工度の選択に基づいている。
本出願人は、加工度は、エンドウ澱粉の糊化温度を低下させる必要があること、及び、特にその値は、有利には、天然エンドウ澱粉の糊化温度と比較して5~6.0℃低下する必要があることも見出した。
このパラメータを決定するために、4種のアセチル化エンドウ澱粉を試験した。4種のアセチル化澱粉は、本出願人によって以下の商標で商品化されていた。
CLEARAM(登録商標)LG0005
アセチル価:0.32
置換度:0.012
糊化温度:72.95℃
CLEARAM(登録商標)LG0008
アセチル価:0.82
置換度:0.031
糊化温度:68.9℃
CLEARAM(登録商標)LG0020
アセチル価:1.9
置換度:0.071
糊化温度:67.9℃
CLEARAM(登録商標)LG0025
アセチル価:2.23
置換度:0.084
糊化温度:67.45℃
比較として、天然エンドウ澱粉の糊化温度は、約73.4℃(上記のそれぞれの澱粉の標準的なRVAプロファイルの分析により求められた値)である。
本発明において、本出願人は、主に3つの重要な点を観察した。
1.加工エンドウ澱粉は、その弾力のある固有のテクスチャーを変化させることなく、加工ポテト澱粉を代替することができる。
2.加工タピオカ澱粉は、有利に加工ポテト澱粉を代替することができない。
3.加工エンドウ澱粉は、加工ポテト澱粉と比較して、エラー、乾燥工程中の製造工程の問題を低減でき、製造操作を改善する。
このようにして、例示するように、小麦粉ベースの即席麺を調製した。
加工ポテト澱粉を有する小麦粉ベースの麺が、独特の優れた弾力を有すること、加工された小麦粉ベースの麺が同様の弾力を示すことが確認された。
弾力は、典型的には、テクスチャーアナライザのShimadzuEZ-SXを使用して測定する。
対照的に、加工タピオカ澱粉を有する小麦粉ベースの麺は、そのような弾力を示さない。
さらに、最終製品の重量の標準偏差が大きい場合、それは乾燥工程の不安定性(麺線の表面の過剰な粘着性によって引き起こされる不安定性)を示すという事実に基づいて、乾燥工程の成功は、最終製品の重量を検査することによって確認した。
最終的に、高アセチル化エンドウ澱粉の使用、すなわち、
アセチル価が1.5%を超え、好ましくは1.8~2.5%であること、及び
置換度が0.07を超え、好ましくは0.07~0.09であること
を特徴とし、
その糊化温度を約5.0~6℃低下させるために加工された、エンドウ澱粉の使用により、テクスチャーが改善され、乾燥工程の間の安定性が改善された、小麦粉ベースの麺を得ることが可能になることが確認された。
本発明はまた、上記のアセチル化エンドウ澱粉を、特に穀粉重量の5~20%のレベルで添加するステップを含む、小麦ベースの即席麺を製造する方法にも関する。
本発明は、以下に示す実施例に照らし、より十分に理解されることになるが、実施例は、例示のみを目的とし、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
試験した成分は、以下のとおりであった。
タンパク質含有量10~12%、灰分0.32~0.36%を有する、NISHIN flour millsによって商品化されている小麦粉、
澱粉:
UNITED FOODSTUFF CO OTE LTDによって商品化されている天然タピオカ澱粉
以下の商標でMATSUTANIによって商品化されているアセチル化タピオカ澱粉
SAKURA(登録商標)
アセチル価:0.52
置換度:0.020
糊化温度:69.95℃
SAKURA(登録商標)2
アセチル価:1.73
置換度:0.065
糊化温度:67.0℃
以下の商標で本出願人によって商品化されている天然エンドウ澱粉:Pea starch N-735:
糊化温度:73.4℃
以下の商標で本出願人によって商品化されているアセチル化エンドウ澱粉:
CLEARAM(登録商標)LG0005
アセチル価:0.32
置換度:0.012
糊化温度:72.95℃
CLEARAM(登録商標)LG0008
アセチル価:0.82
置換度:0.031
糊化温度:68.9℃
CLEARAM(登録商標)LG0020
アセチル価:1.9
置換度:0.071
糊化温度:67.9℃
CLEARAM(登録商標)LG0025
アセチル価:2.23
置換度:0.084
糊化温度:67.45℃
本出願人によって商品化されている天然ポテト澱粉:
糊化温度:66.5℃
本出願人によって商品化されている天然ポテト澱粉HV。
糊化温度:6645℃
以下の商標で本出願人によって商品化されているアセチル化ポテト澱粉:
CLEARAM(登録商標)PG06
アセチル価:0.67
置換度:0.025
糊化温度:64.5℃
CLEARAM(登録商標)PGHV05
アセチル価:0.63
置換度:0.024
糊化温度:63.95℃
CLEARAM(登録商標)PGHV
アセチル価:1.64
置換度:0.062
糊化温度:60.75℃
試験したレシピは、以下のとおりである。
Figure 2022549141000001
Figure 2022549141000002
調味料レシピ:(上記の全てのレシピに添加)
Figure 2022549141000003
調製条件は以下のとおりである:
調味料レシピ「C」を混合して、調味料を作製する。
調味料を加熱して全ての成分を溶解する。
レシピ「B」を混合して液相を作製する。
「A」をよく混合し、「B」を粉末混合物「A」に添加し、139rpmで10分間混合する。
圧延機を使用することにより、生地を8mmの間隔で3回成形する。
シート状にした生地を室温で30分間熟成させる。
下記の条件で延ばして、麺シートを作る。
8mm→6.5mm→4mm→3mm→2mm→1.3mm→1.1mm
1.25mm幅に切る。[No.24カッター]
70gの小分けにした麺を、水切りざるの中に入れる。
98℃で2分15秒間蒸す。
25gの予熱した調味料「C」とよく混合する。
麺を型に詰めて、150℃で2分30秒間、たっぷりの油で揚げる。
分析方法
吸水性
吸水性の差を確認するために、試料の重量及び初期含水量の変化を測定する。
1.即席麺の重量及び含水量を測定する。
2.即席麺の湯戻しを開始する。
3.指定されたタイミングで即席麺重量を測定し、重量の変化を計算する。
テクスチャーアナライザ
1.麺をカップに入れ、500mLの熱湯を注ぐ。
2.3分間待つ。
3.食感を、テクスチャーアナライザのShimadzu EZ-SXを使用して測定する。
試験は2つの方法により実施した。
[試験1]
条件:プランジャー:ナイフ形チップ
速度:3mm/分 試料サイズ:1ストリング
[試験2]
条件:プランジャー:プル型アタッチメント
速度:3mm/秒 試料サイズ:4cm 1ストリング
結果
即席麺調理中の吸水率に対する加工エンドウ澱粉の効果
結果を、図1に示す。
アセチル化エンドウ澱粉の吸水率は、対照CTRよりもわずかに良好である。しかしながら、エンドウ澱粉のアセチル化のレベルは、吸水率にプラスの影響を有することがわかる。実際、CLEARAM(登録商標)LG0025(アセチル価:2.23%、及び置換度:0.084)は、通常使用される参照、すなわち、アセチル化がより少ないポテト澱粉、すなわちCLEARAM(登録商標)PG06(アセチル価:0.67%、及び置換度:0.025)と比較して、優れた吸水能力を示した。
テクスチャーに対する澱粉の加工の効果
「ナイフ形チップ」を使用したテクスチャーの比較を以下の表に示す。
Figure 2022549141000004
Figure 2022549141000005
「ナイフ形チップ」を使用したテクスチャーの比較を以下の表に示す。
Figure 2022549141000006
Figure 2022549141000007
澱粉のテクスチャーの比較を、図2及び以下の表に示す。
Figure 2022549141000008
Figure 2022549141000009
LG0020及びLG0025を用いた麺のテクスチャーは、PGHV05、PG06、及びPGHVと同様であると思われる。
最終製品の重量の分布
結果を図3及び以下の表(グラム(g)単位の値に示す。
Figure 2022549141000010
Figure 2022549141000011
Figure 2022549141000012
Figure 2022549141000013
最終製品の重量分布は、即席麺製造にとって重要である。
工場では、包装機の前に設置された重量チェッカーが、非乾燥製品を除外するための門番である。
したがって、一定重量の製品を製造することは、高収率の生産に関連する。
この研究では、製品CLEARAM(登録商標)LG0020及びCLEARAM(登録商標)LG0025は、同様のテクスチャーを示すCLEARAM(登録商標)PGHV05及びCLEARAM(登録商標)PGHVと比較して、優れた最終製品の重量安定性を示すことが観察される。
したがって、小麦粉ベースの即席麺を作製するために、このようなアセチル化エンドウ澱粉は、アセチル化ポテト澱粉と同様のテクスチャーをもたらすこと、及び生産効率の改善の点から好ましくなり得ることが示されている。

Claims (4)

  1. アセチル化エンドウ澱粉を含有する小麦粉ベースの即席麺であって、前記麺の調製に使用される前記アセチル化エンドウ澱粉が高アセチル化エンドウ澱粉であることを特徴とする、麺。
  2. 前記高アセチル化エンドウ澱粉のアセチル価は、1.5%を超えることを特徴とする、請求項2に記載の麺。
  3. 前記高アセチル化エンドウ澱粉のアセチル価は、1.8~2.5%であることを特徴とする、請求項2に記載の麺。
  4. 前記高アセチル化エンドウ澱粉は、天然エンドウ澱粉の糊化温度と比較して5.0~6.0℃低下した糊化温度を示すことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の麺。

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