JP2022190244A - 蓄電装置用外装材及び蓄電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温下でのシール強度と初期シール強度の両方を十分に高水準で達成できる蓄電装置用外装材を提供すること。【解決手段】基材層、バリア層、及びシーラント層をこの順序で備え、シーラント層が、ポリプロピレン及びβ晶核剤を含む樹脂組成物から形成されるポリプロピレン層Pを含む、蓄電装置用外装材。【選択図】図1

Description

本開示は、蓄電装置用外装材及び蓄電装置に関する。
蓄電装置として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。携帯機器の小型化又は設置スペースの制限等により蓄電装置の更なる小型化が求められており、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材として、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できる多層フィルムが用いられるようになっている。
上記多層フィルムを外装材に用いるリチウムイオン電池は、ラミネート型リチウムイオン電池と称される。外装材が電池内容物(正極、セパレータ、負極、電解液等)を覆っており、内部への水分の浸入を防止する。ラミネート型のリチウムイオン電池は、例えば、外装材の一部に冷間成型によって凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収容し、外装材の残りの部分を折り返して縁部分をヒートシールで封止することによって製造される(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-101765号公報
ところで、リチウムイオン電池の次世代電池として、全固体電池と称される蓄電装置の研究開発がなされている。全固体電池は、電解物質として有機電解液を使用せず、固体電解質を使用するという特徴を有する。リチウムイオン電池は、電解液の沸点温度(80℃程度)よりも高い温度条件で使用することができないのに対し、全固体電池は100℃を越える温度条件で使用することが可能であるとともに、高い温度条件下(例えば100~150℃)で作動させることによってリチウムイオンの伝導度を高めることができる。
しかし、外装材として従来の積層体を使用し、ラミネート型の全固体電池を製造する場合、外装材の耐熱性が不十分であることに起因して全固体電池のパッケージの密封性が不十分になるおそれがある。
本開示は、高温下でのシール強度と初期シール強度の両方を十分に高水準で達成できる蓄電装置用外装材を提供することを目的とする。また、本開示は、上記蓄電装置用外装材を用いた蓄電装置を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る蓄電装置用外装材は、基材層、バリア層、及びシーラント層をこの順序で備え、シーラント層が、ポリプロピレン及びβ晶核剤を含む樹脂組成物から形成されるポリプロピレン層Pを含む。
ポリプロピレンはα、β、γ及びスメクチック型の4種類の結晶構造を取ることが知られている。このうち一般的な条件で形成される構造の多くはα型であるが、発明者らは敢えて添加剤(結晶核剤)を用いてヒートシール時にβ型の構造を形成させることで、課題である高温下及び初期シール強度の両立を図ることに成功した。優れた効果が発現されることにつき、発明者は以下のように推察している。
初期シール強度:室温下(25℃)で測定されるシール強度。
・応力緩和能力が重要(固くて脆いと強度が発現し難い)。
・β型では応力緩和能力が向上し、強度が発現する。
高温下シール強度:高温下(150℃)で測定されるシール強度。
・熱を樹脂に与え難く、また熱が加わっても樹脂が溶け難いことが重要。
・β型は150℃付近で融解(吸熱)するため、樹脂に熱を与え難い。また、β型は一度融解した後直ぐにα型に転移するため、高温に晒されても樹脂が溶け難い。
蓄電装置用外装材の一態様において、樹脂組成物の全量を基準として、β晶核剤の含有量が0.001~15質量%であってよい。
蓄電装置用外装材の一態様において、β晶核剤がアミド系化合物であってよい。
蓄電装置用外装材の一態様において、シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含み、そのうちの少なくとも1層がポリプロピレン層Pであってよい。
蓄電装置用外装材の一態様において、シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含み、そのうち少なくともバリア層側の1層がポリプロピレン層Pであってよい。
蓄電装置用外装材の一態様において、ポリプロピレン層Pが酸変性ポリプロピレンを含んでよい。
蓄電装置用外装材の一態様において、シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含み、そのうちの少なくとも1層が長鎖分岐ポリプロピレンを含んでよい。
本開示の一側面に係る蓄電装置は、蓄電装置本体と、蓄電装置本体と電気的に接続される端子と、端子を挟持し且つ蓄電装置本体を収容する、上記の蓄電装置用外装材と、を備え、蓄電装置用外装材の端部がヒートシールされている。
蓄電装置の一態様において、蓄電装置用外装材のヒートシール部における、ポリプロピレン層Pのβ晶の結晶化度が3~90%であってよい。
蓄電装置の一態様において、蓄電装置用外装材のヒートシール部における、ポリプロピレン層Pの結晶化度比率(β/α)が0.01~50であってよい。
蓄電装置の一態様において、蓄電装置を150℃で1週間静置した後25℃に冷却した際、蓄電装置用外装材のヒートシール部における、ポリプロピレン層Pのα晶の結晶化度が25%以上であってよく、結晶化度比率(β/α)が0~1であってよい。
本開示によれば、高温下でのシール強度と初期シール強度の両方を十分に高水準で達成できる蓄電装置用外装材が提供される。また、本開示によれば、上記蓄電装置用外装材を用いた蓄電装置が提供される。特に限定されるものではないが、本開示の蓄電装置用外装材は、高温環境に晒されることのある全固体電池において好適に用いることができる。
図1は蓄電装置の一例を示す斜視図である。 図2は図1に示すII-II線方向の断面図であって、蓄電装置用外装材のヒートシール部の構成を模式的に示す断面図である。 図3は蓄電装置用外装材の一例を模式的に示す断面図である。 図4は実施例及び比較例で作製した評価用試料を模式的に示す平面図である。
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<蓄電装置>
蓄電装置は、蓄電装置本体と、蓄電装置本体と電気的に接続される端子と、端子を挟持し且つ蓄電装置本体を収容する蓄電装置用外装材と、を備えている。端子は蓄電装置本体から延在している。蓄電装置における、端子と外装材との間において、端子の一部の外周面が端子用樹脂フィルムで被覆されている。蓄電装置用外装材の端部はヒートシールされており、蓄電装置用外装材により蓄電装置本体は密封されている。
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の概略構成を示す斜視図である。図1では、蓄電装置100の一例として、全固体電池を例に挙げて図示し、以下の説明を行う。なお、図1に示す構成の蓄電装置は、電池パック又は電池セルと呼ばれることがある。
蓄電装置100は、全固体電池であり、蓄電装置本体50と、蓄電装置用外装材10と、一対の金属端子30と、端子用樹脂フィルム40(タブシーラント)とを備える。蓄電装置本体50は、充放電を行う電池本体である。蓄電装置用外装材10は、蓄電装置本体50の表面を覆うとともに、端子用樹脂フィルム40の一部と接触するように配置されている。
図2は図1に示すII-II線方向の断面図であって、蓄電装置用外装材のヒートシール部の構成を模式的に示す断面図である。同図に示すように蓄電装置用外装材10の端部はヒートシールされており、符号Hがヒートシール部を示す。
[蓄電装置用外装材]
蓄電装置用外装材は、基材層、バリア層、及びシーラント層をこの順序で備える。以下、蓄電装置用外装材を単に外装材と言う場合がある。図3は、外装材10の切断面の一例を示す断面図である。外装材10は、外側から内側(蓄電装置本体50側)に向けて、基材層11と、第1の接着剤層12と、バリア層13と、腐食防止処理層14と、第2の接着剤層17と、シーラント層16とをこの順序で備える多層構造を有する。
(シーラント層)
シーラント層16は、外装材10に対し、ヒートシールによる封止性を付与する層であり、蓄電デバイスの組み立て時に内側に配置されてヒートシール(熱融着)される層である。初期シール強度及び高温下シール強度の両立の観点から、ヒートシールは、好ましくは250~300℃、より好ましくは270~290℃で行い、ヒートシール後は好ましくは1~100℃/minの降温速度で冷却する。
シーラント層16は、ポリプロピレン及びβ晶核剤を含む樹脂組成物から形成されるポリプロピレン層Pを含む。ポリプロピレン層Pは、ポリプロピレンのベース樹脂に対してβ晶核剤を添加して混練(ドライブレンド)してシーラント層形成材料を調製し、これをTダイ法やインフレーション法等により成形することで得られる。ベース樹脂に結晶核剤を高濃度に混錬したマスターバッチを調製し、これを希釈して層形成の原料として用いてもよい。
ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)であってもよく、エチレン、ブテン、オクテン等とプロピレンとの共重合体(ランダムポリプロピレン)であってもよく、ホモポリプロピレンにポリエチレン(好ましくはエチレンプロピレンゴム(EPR)で覆われたポリエチレン)が分散したポリプロピレン(ブロックポリプロピレン)であってもよい。初期及び高温下シール強度の両立の観点から、ベース樹脂であるポリプロピレンの融点は150~175℃とすることができ、160℃~170℃であってもよい。この観点から、ポリプロピレンとしてはプロピレンの単独重合体が好適に用いられる。
ポリプロピレンは酸変性ポリプロピレンであってもよい。酸変性ポリプロピレンは、酸性基をポリプロピレンに導入したものである。具体的には、無水マレイン酸、カルボン酸、スルホン酸、それらの誘導体等をポリプロピレンに共重合又はグラフト重合させたものが挙げられる。バリア層や端子用樹脂フィルムとの密着性の観点から、酸変性ポリプロピレンは無水マレイン酸変性ポリプロピレンであってよく、当該密着性及び融点の観点から、重合方法はグラフト重合であってよい。ポリプロピレンの結晶化に当たり、結晶核剤が起点となり結晶核が生じ、これが化学的な3次元ネットワークを形成しながら結晶が成長する。その際、ポリプロピレン中の酸変性成分がネットワーク形成を補助することで、β晶の形成が促進され易いと推察される。
ポリプロピレンは長鎖分岐ポリプロピレンを含んでよい。これにより、樹脂の絡み合いが強固となり、シール強度(耐熱性)がより向上する。ポリプロピレン中の長鎖分岐ポリプロピレンの含有量は、柔軟性及び耐熱性の観点から2~30質量%とすることができ、5~20質量%であってもよい。
樹脂組成物の全量を基準として、β晶核剤の含有量は0.001~15質量%とすることができ、0.005~5質量%であってもよく、0.005~1質量%であってもよく、0.02~0.5質量%であってもよい。β晶核剤の含有量が上記下限値以上であることで、β晶が充分に形成されないことによる初期及び高温下シール強度低下を抑制し易く、上記上限値以下であることで、凝集力の低下による初期及び高温下シール強度低下を抑制し易い。
β晶核剤としては、β晶の形成性の観点から例えばアミド系化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン系化合物などが挙げられる。アミド化合物としては、ナフタレン骨格を有するアミド化合物であってよく、ナフタレン骨格を有し2つのアミド結合を有する化合物であってよく、シクロヘキシル基及びナフタレン骨格を有するアミド化合物であってよい。アミド系化合物は、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキサミド又はその誘導体であってよく、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキサミドであってよい。上記β晶核剤は1種単独で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
β晶核剤の分析は、IR、NMR、各種質量(mass)分析法、X線分析、ラマン分光法などの公知の分析方法にて分析することができる。
シーラント層16は、フィルムの物性を調整し易い観点から、2層以上のポリプロピレン層を含むことができる。ポリプロピレン層の層数は、加工性の観点から2~10層とすることができ、2~3層であってもよい。ただし、そのうちの少なくとも1層が上記ポリプロピレン層Pである。ポリプロピレン層P以外のポリプロピレン層は、ポリプロピレンを含む樹脂組成物から形成される。各層を構成するベース樹脂としてのポリプロピレンは同一であってもよく、異なっていてもよい。
シーラント層16が2層以上のポリプロピレン層を含む場合、そのうちの少なくともバリア層側の1層がポリプロピレン層Pであってよい。シーラント層16において、シール強度に大きく影響を与えるのが、最も負荷が掛かり易い(割れ易い)、バリア層に接する層である。そのため、ポリプロピレン層Pを少なくともバリア層に接するように配置することで、初期及び高温下でのシール強度を向上し易い。
シーラント層16が2層以上のポリプロピレン層を含む場合、バリア層との密着性及びコストの観点から、そのうちの少なくともバリア層側の1層に含まれるポリプロピレンが酸変性ポリプロピレンであってよいが、全ての層に含まれるポリプロピレンが酸変性ポリプロピレンであってよい。
シーラント層16が2層以上のポリプロピレン層を含む場合、柔軟性及び耐熱性の観点から、そのうちの少なくともバリア層側の1層に含まれるポリプロピレンが長鎖分岐ポリプロピレンを含んでよいが、全ての層に含まれるポリプロピレンが長鎖分岐ポリプロピレンを含んでいてもよい。
ポリプロピレン層を形成する樹脂組成物には、酸化防止剤、スリップ剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、脱水剤、硫化水素吸着剤、粘着付与剤等のその他成分が含まれていてもよい。ポリプロピレン層を形成する樹脂組成物には、例えば、硫化水素耐性を付与するために酸化亜鉛や酸化第二銅等を、水分バリア性を付与するためにゼオライト等が含まれていてもよい。
シーラント層16の厚さは、封止性の観点から5μm以上とすることができ、またセル容積の観点から300μm以下とすることができる。この観点から、シーラント層16の厚さは、25~200μmであってもよく、50~150μmであってもよい。
シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含む場合、各層の層厚比は、例えば2層の場合1:2、1:1、2:1等とすることができ、3層の場合1:2:1、2:4:4、2:3:5、4:4:2、5:3:2等とすることができる。
シーラント層16が2層のポリプロピレン層を含む場合、複数の樹脂組成物を調製してTダイ法やインフレーション法により積層してもよく、1層を製膜した後その上にもう1層を押し出すことで積層してもよく、各層をTダイ法やインフレーション法にて作製した後に接着剤にて貼り合わせて積層してもよい。使用する接着剤としては、界面密着性の観点から酸変性ポリプロピレン及び硬化剤(例えばイソシアネート等)を含む剤を用いることができる。
シーラント層16のバリア層13への積層は、上記のとおりシーラント層を予め準備し、第2の接着剤層17を用いてドライラミネートにより行うことができるが、第2の接着剤層17を用いずに熱ラミネートにより行ってもよい。シーラント層形成材料に熱をかけ、Tダイ法による熱ラミネートにより、バリア層13上に直接シーラント層を積層してもよい。
ヒートシールにより生じる外装材のヒートシール部における、室温(25℃)でのポリプロピレン層P(ヒートシール後のポリプロピレン層P)のβ晶の結晶化度は3~90%とすることができ、15~80%であってもよく、30~70%であってもよい。β晶の結晶化度が上記下限値以上であることで、初期シール強度を確保し易くなる。β晶の結晶化度が上記上限値以下であることで、高温下シール強度を確保し易い(β晶が多く残存すると高温下シール強度が低下し易い)。結晶化度や結晶化度比率は、広角X線回折によって測定することができる。
ヒートシールにより生じる外装材のヒートシール部における、室温(25℃)でのポリプロピレン層Pの結晶化度比率(β/α:α晶に対するβ晶の比率)は、0.01~50とすることができ、0.5~30であってもよく、1~25であってもよい。結晶化度比率が上記下限値以上であることで、初期シール強度を確保し易くなる。結晶化度比率が上記上限値以下であることで、高温下シール強度を確保し易い(β晶が多く残存すると高温下シール強度が低下し易い)。
蓄電装置を150℃で1週間静置した後25℃に冷却した際、ヒートシールにより生じる外装材のヒートシール部における、室温(25℃)でのポリプロピレン層Pのα晶の結晶化度は25%以上とすることができ、結晶化度比率(β/α)は0~1とすることができる。当該結晶化度及び結晶化度比率(β/α)は、それぞれ35%以上、0~0.8であってよく、50%以上、0~0.5であってよい。150℃で1週間静置した後のα晶の割合が充分に多い(β晶の割合が少ない)ということは、β晶からα晶への転移が充分に生じているということであり、高温下シール強度に優れることを意味する。
ポリプロピレン層が、上記のシーラント層16として好適に使用できるかどうか、以下の方法にて判別することができる。
ポリプロピレン層について、下記条件にてDSC測定を行い、1st runにて160~170℃に融解メインピークを、2nd runにて140~160℃に融解メインピークを有する層であるか確認する。そのような層(ポリプロピレン層P)は、上記のシーラント層16として好適に使用できると判別できる。1st runは、徐々に加熱することでα晶を形成し、かつ徐々に冷却することでβ晶に転移をさせることを意図したプロファイルである。2nd runは、素早く加熱してα晶に転移させないことを意図したプロファイルである。
<測定条件>
1st run:昇温25℃→290℃(速度:1.5℃/min、ホールド:290℃-10min)、降温290℃→25℃(1.5℃/min,25℃-10min)
2nd run:昇温25℃→290℃(150℃/min,290℃-10min)
シーラント層16の融解ピーク温度は、用途によって異なるが、全固体電池向けの外装材の場合、耐熱性が向上することから、160~280℃であることが好ましい。
(基材層)
基材層11は、蓄電装置を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、成型加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制する役割を果たす。特に大型用途の蓄電デバイスの外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
基材層11は、絶縁性を有する樹脂により形成された樹脂フィルムからなる層であることが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム等の延伸又は未延伸フィルム等が挙げられる。基材層11は、これらいずれかの樹脂フィルムで構成された単層フィルムであってもよく、これらの樹脂フィルムの二種以上で構成された積層フィルムであってもよい。
これらの中でも、基材層11としては、成型性に優れることから、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムが好ましく、ポリアミドフィルムがより好ましい。これらのフィルムは二軸延伸フィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリアミドフィルムを構成するポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、突刺強度及び衝撃強度に優れる観点から、ナイロン6(ONy)が好ましい。
二軸延伸フィルムにおける延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、チューブラー二軸延伸法、同時二軸延伸法等が挙げられる。二軸延伸フィルムは、より優れた深絞り成型性が得られる観点から、チューブラー二軸延伸法により延伸されたものであることが好ましい。
基材層11の厚さは、6~40μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であることにより、外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。基材層11の厚さが40μmを超えると外装材10の総厚が大きくなる傾向がある。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層12は、基材層11とバリア層13とを接着する層である。第1の接着剤層12を構成する材料としては、具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、外装材に求められる機能や性能に応じて、単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、接着剤に求められる性能に応じて、上述したポリウレタン樹脂に、その他の各種添加剤や安定剤を配合してもよい。
第1の接着剤層12の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、例えば、1~10μmが好ましく、3~7μmがより好ましい。
(バリア層)
バリア層13は、水分が蓄電装置の内部に浸入することを防止する水蒸気バリア性を有する。また、バリア層13は、深絞り成型をするために延展性を有する。バリア層13としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の各種金属箔、及び金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどを用いることができる。質量(比重)、防湿性、加工性及びコストの面から、金属箔が好ましく、アルミニウム箔がより好ましい。
アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、特に焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔を好ましく用いることができるが、更なる耐ピンホール性、及び成型時の延展性を付与させる目的で、鉄を含むアルミニウム箔を用いるのがより好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量は、アルミニウム箔100質量%中、0.1~9.0質量%が好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。未処理のアルミニウム箔を用いてもよいが、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。アルミニウム箔に脱脂処理する場合は、アルミニウム箔の片面のみに脱脂処理を施してもよく、両面に脱脂処理を施してもよい。
バリア層13の厚さは、特に限定されるものではないが、バリア性、耐ピンホール性、加工性を考慮して9~200μmとすることが好ましく、15~100μmとすることがより好ましい。
(腐食防止処理層)
腐食防止処理層14はバリア層13の腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層14としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
脱脂処理としては、酸脱脂又はアルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸の単独、又はこれらの混合液を使用する方法などが挙げられる。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを使用する方法が挙げられる。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、浸漬型、塗布型が挙げられる。浸漬型の化成処理としては、例えばクロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理が挙げられる。一方、塗布型の化成処理としては、腐食防止性能を有するコーティング剤をバリア層13上に塗布する方法が挙げられる。
これら腐食防止処理のうち、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理のいずれかで腐食防止処理層の少なくとも一部を形成する場合は、事前に上述した脱脂処理を行うことが好ましい。なお、バリア層13として焼鈍工程を通した金属箔など脱脂処理済みの金属箔を用いる場合は、腐食防止処理層14の形成において改めて脱脂処理する必要なはい。
塗布型の化成処理に用いられるコーティング剤は、好ましくは三価クロムを含有する。また、コーティング剤には、後述するカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種のポリマーが含まれていてもよい。
上記処理のうち、特に熱水変成処理、陽極酸化処理では、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔を用いたバリア層13から腐食防止処理層14まで共連続構造を形成した形態になるので、上記処理は化成処理の定義に包含される。一方、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層14を形成することも可能である。この方法としては、例えば、アルミニウムの腐食防止効果(インヒビター効果)を有し、且つ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素酸化物のゾルを用いる方法が挙げられる。この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔などの金属箔に腐食防止効果を付与することが可能となる。
上記希土類元素酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系などの各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。中でも、水系のゾルが好ましい。上記希土類元素酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸又はその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材10において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用したバリア層13との密着性の向上、(3)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層14(酸化物層)の凝集力の向上、などが期待される。
上記希土類元素酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層14は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマー、又はカチオン性ポリマーにより複合化されていることが好ましい。
腐食防止処理層は、前述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノールなど)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成してもよい。この処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類元素酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーあるいはポリアニオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層の単位面積当たりの質量は、多層構造、単層構造いずれであっても、0.005~0.200g/mが好ましく、0.010~0.100g/mがより好ましい。上記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、バリア層13に腐食防止機能を付与しやすい。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能はあまり変らない。一方、希土類元素酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不十分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層14の厚みについては、その比重から換算できる。
腐食防止処理層は、シーラント層とバリア層の密着性の観点から、例えば、酸化セリウムと、該酸化セリウム100質量部に対して1~100質量部のリン酸又はリン酸塩と、カチオン性ポリマーと、を含む態様であってもよく、バリア層13に化成処理を施して形成されている態様であってもよく、バリア層に化成処理を施して形成されており、且つ、カチオン性ポリマーを含む態様であってもよい。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層17は、腐食防止処理層14が形成されたバリア層13とシーラント層16とを接着する層である。第2の接着剤層17には、バリア層13とシーラント層16とを接着するための一般的な接着剤を用いることができる。
腐食防止処理層14が上述したカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種のポリマーを含む層を有する場合、第2の接着剤層17は、腐食防止処理層14に含まれる上記ポリマーと反応性を有する化合物(以下、「反応性化合物」とも言う)を含む層であることが好ましい。
例えば、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。腐食防止処理層14がアニオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層17はアニオン性ポリマーと反応性を有する化合物を含む。また、腐食防止処理層14がカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを含む場合、第2の接着剤層17はカチオン性ポリマーと反応性を有する化合物と、アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物とを含む。ただし、第2の接着剤層17は必ずしも上記2種類の化合物を含む必要はなく、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの両方と反応性を有する化合物を含んでいてもよい。ここで、「反応性を有する」とは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーと共有結合を形成することである。また、第2の接着剤層17は、酸変性ポリオレフィン樹脂を更に含んでいてもよい。
カチオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物が挙げられる。
これら多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、カチオン性ポリマーとの反応性が高く、架橋構造を形成しやすい点で、多官能イソシアネート化合物が好ましい。
アニオン性ポリマーと反応性を有する化合物としては、グリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物が挙げられる。これらグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物としては、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示したグリシジル化合物、オキサゾリン基を有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性ポリマーとの反応性が高い点で、グリシジル化合物が好ましい。
第2の接着剤層17が酸変性ポリオレフィン樹脂を含む場合、反応性化合物は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基とも反応性を有する(すなわち、酸性基と共有結合を形成する)ことが好ましい。これにより、腐食防止処理層14との接着性がより高まる。加えて、酸変性ポリオレフィン樹脂が架橋構造となり、外装材10の耐溶剤性がより向上する。
反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基に対し、等量から10倍等量であることが好ましい。等量以上であれば、反応性化合物が酸変性ポリオレフィン樹脂中の酸性基と十分に反応する。一方、10倍等量を超えると、酸変性ポリオレフィン樹脂との架橋反応としては十分飽和に達しているため、未反応物が存在し、各種性能の低下が懸念される。したがって、例えば、反応性化合物の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して5~20質量部(固形分比)であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物基などが挙げられ、無水マレイン酸基や(メタ)アクリル酸基などが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、シーラント層16に用いる変性ポリオレフィン樹脂と同様のものを用いることができる。
第2の接着剤層17には、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
第2の接着剤層17を形成する接着剤として、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂やエポキシ基を有する主剤にアミン化合物などを作用させたエポキシ樹脂等が挙げられ、耐熱性の観点から好ましい。
第2の接着剤層17の厚さは、特に限定されるものではないが、所望の接着強度、及び加工性等を得る観点から、1~10μmが好ましく、2~7μmがより好ましい。
[金属端子(端子)]
一対の金属端子30,30のうち、一方の金属端子30は、蓄電装置本体50の正極と電気的に接続されており、他方の金属端子30は、蓄電装置本体50の負極と電気的に接続されている。一対の金属端子30,30は、蓄電装置本体50から外装材10の外部まで延びている。一対の金属端子30,30の形状は、例えば、平板形状とすることができる。
金属端子30の材料としては、金属を用いることができる。金属端子30の材料となる金属は、蓄電装置本体50の構造やその構成要素の材料等を考慮して決めればよい。例えば、蓄電装置100が全固体電池の場合、蓄電装置本体50の正極と接続される金属端子30の材料としては、アルミニウムを用いることができる。蓄電装置本体50の負極と接続される金属端子30の材料としては、表面にニッケルめっき層が形成された銅、もしくはニッケルを用いることができる。
金属端子30の厚さは、電池のサイズや容量に依存する。電池が小型の場合、金属端子30の厚さは、例えば、50μm以上にすることができる。また、蓄電・車載用途等の大型の電池の場合、金属端子30の厚さは、例えば、100~500μmの範囲内で適宜設定することができる。
[端子用樹脂フィルム]
端子用樹脂フィルムは、蓄電装置本体と、蓄電装置本体と電気的に接続される端子とを備える蓄電装置において端子の一部の外周面を被覆するためのフィルムである。
端子用樹脂フィルム40は、金属端子30の一部の外周面を覆うように配置されている。具体的には、金属端子30と外装材10との間において、金属端子30の一部の外周面が、ヒートシールにより端子用樹脂フィルム40で被覆される。金属端子30と外装材10との間に端子用樹脂フィルム40を配置することで、蓄電装置100の密封性及び絶縁性をより一層高度に達成することができる。端子用樹脂フィルム40は、上述のシーラント層16及び基材層11と同等又はこれを越える耐熱性を有する。
端子用樹脂フィルム40としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド, ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂を用いることができ、耐熱性及びシール適正の観点から、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルを用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度及び高密度のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;並びに、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。これらポリエステル系樹脂は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。また、任意の酸とグリコールを共重合させたものを使用してもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6及びナイロン6,6が挙げられる。
シール性や耐熱性及びその他機能性を付与するために、例えば酸化防止剤、スリップ剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、脱水剤、粘着付与剤、結晶核剤、可塑剤等を端子用樹脂フィルム40に添加してもよい。例えば、硫化水素耐性を付与するために酸化亜鉛や酸化第二銅等を、水分バリア性を付与するためにゼオライト等を端子用樹脂フィルムに添加してもよい。
端子用樹脂フィルム40の厚さは、封止性の観点から25μm以上とすることができ、また生産性の観点から500μm以下とすることができる。この観点から、端子用樹脂フィルム40の厚さは、50~300μmであってもよく、80~200μmであってもよい。
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
上記実施形態においては、バリア層13の一方の表面(第2の接着剤層17側)上のみに腐食防止処理層14が設けられた態様を例示したが、バリア層13のもう一方の表面(第1の接着剤層12側)上にも腐食防止処理層14を設けてもよい。
ドライラミネーションに代えて熱ラミネーションによってバリア層13にシーラント層16を貼り付ける場合は第2の接着剤層17を設けなくてもよい。
塗工により基材層11を設ける場合は第1の接着剤層12を設けなくてもよい。
上記実施形態においては、外装材10が適用される蓄電装置として電固体電池を例示したが、外装材10をその他の蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池)に適用してもよい。
以下、実施例に基づいて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
・基材層(厚さ25μm):一方の面にコロナ処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
・第1の接着剤層(厚さ4μm):ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ社製)を用いた。
・腐食防止処理層:以下の溶液を用いた。
(CL-1):溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」を用いた。なお、ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルは、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸のNa塩を10質量部配合して得た。
(CL-2):溶媒として蒸留水を用い固形分濃度5質量%に調整した「ポリアリルアミン(日東紡社製)」90質量%と、「ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)」10質量%からなる組成物を用いた。
・バリア層(厚さ40μm):焼鈍脱脂処理した軟質アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、「8079材」)を用いた。
・第2の接着剤層(厚さ3μm):エポキシ樹脂(アデカ社製、商品名:EP4100)100質量部及びポリアミドアミン系硬化剤(アデカ社製、商品名:EH4602)25質量部の混合物を酢酸エチルで固形分30質量%に希釈したエポキシ系接着剤を用いた。
・シーラント層(層(1)の厚さ53.3μm、層(2)の厚さ26.7μm、合計厚さ80μm):表1に示すベース樹脂及び結晶核剤を準備した。表2及び表3に従いベース樹脂に対して結晶核剤を添加し、ドライブレンドにて混錬した(表中の配合割合は「質量%」)。この混練物(シーラント層形成材料)を用いてシーラント層を形成した。層(2)側をバリア層側とした。
Figure 2022190244000002
[外装材の作製]
(実施例1)
バリア層の両方の面に、(CL-1)を、ドライ塗布量として70mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布し、乾燥ユニットにおいて200℃で焼き付け処理を施した。次いで、得られた層上に(CL-2)を、ドライ塗布量として20mg/mとなるようにマイクログラビアコートにより塗布することで、(CL-1)と(CL-2)からなる複合層を腐食防止処理層として形成した。この複合層は、(CL-1)と(CL-2)の2種を複合化させることで腐食防止性能を発現させたものである。
腐食防止処理層を設けたバリア層を、ドライラミネート手法により、ポリウレタン系接着剤(第1の接着剤層)を用いて基材層に貼りつけた。バリア層と基材層との積層は、バリア層の一方の面上にポリウレタン系接着剤を、硬化後の厚さが4μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥した後、基材層とラミネートし、60℃で5日間エージングすることで行った。
シーラント層形成材料に270℃の温度を掛けながら、Tダイ方式による熱ラミネートにより、バリア層の基材層とは反対側にシーラント層を積層した。
以上の方法で、外装材(基材層/第1の接着剤層/腐食防止処理層/バリア層/腐食防止処理層/シーラント層の積層体)を作製した。
(実施例2~9)
シーラント層の層構成を表2のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にして外装材を作製した。
(実施例10)
シーラント層の積層方法を熱ラミネートに代えてドライラミネートとしたこと以外は、実施例1と同様にして外装材を作製した。
具体的には、バリア層の基材層とは反対側を、ドライラミネート手法により、エポキシ系接着剤(第2の接着剤層)を用いて、シーラント層に貼り付けた。シーラント層は、表2に従い事前にTダイ方式により作製した。バリア層とシーラント層との積層は、バリア層の基材層とは反対側の面上にエポキシ系接着剤を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗布し、80℃で1分間乾燥した後、シーラント層とラミネートし、120℃で3時間エージングすることで行った。
以上の方法で、外装材(基材層/第1の接着剤層/腐食防止処理層/バリア層/腐食防止処理層/第2の接着剤層/シーラント層の積層体)を作製した。
(実施例11~12)
シーラント層の層構成を表2のとおり変更したこと以外は、実施例10と同様にして外装材を作製した。
(比較例1~4)
シーラント層の層構成を表3のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にして外装材を作製した。
(比較例5)
シーラント層の層構成を表3のとおり変更したこと以外は、実施例10と同様にして外装材を作製した。
[ヒートシール後の結晶化度の測定]
外装材を2枚用意し、それらをシーラント層同士が対向するように積層し、290℃、0.5MPa、15秒間、シール幅5mmの条件でヒートシールした。その後、50℃/分の速度で25℃まで冷却した。ヒートシール部の断面を切り出し、シーラント層中の各層に対して、広角X線回折を用いて結晶化度の測定を行った。
広角X線回折の条件は以下のとおりとした。
・フィルター:Ni(Cu-Kα 線下)
・出力:40kv,40mA
・解析:α晶ピーク(040,060,110,130)面の回析ピークおよびβ晶(300)面の回析ピークより算出。
表中の各結晶化度の測定条件は以下のとおりとした。
・β結晶化度:ヒートシール後25℃にて測定。
・β/α:ヒートシール後25℃にて測定。
・α結晶化度、β/α:ヒートシール後150℃環境下で1週間静置した後25℃にて測定。
Figure 2022190244000003
Figure 2022190244000004
[室温ヒートシール強度の測定]
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで290℃、0.5MPa、15秒の条件でヒートシールした。ヒートシール後の外装材を150℃の環境下で60分間エージングさせた後、室温まで冷却した。ヒートシールした箇所を15mm幅にカットし(図4を参照)、シール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。試験は、JIS K6854に準じて、25℃、50%RH雰囲気下、剥離速度50mm/分で行った。測定されたシール強度(バースト強度)の値に基づき、以下の判定基準に基づいて評価した。評価結果がC以上であれば合格とした。
A:シール強度が90N/15mm以上
B:シール強度が80N/15mm以上、90N/15mm未満
C:シール強度が70N/15mm以上、80N/15mm未満
D:シール強度が70N/15mm未満
[高温ヒートシール強度の測定]
外装材を60mm×120mmにカットしたサンプルを2つに折り畳み、1辺を10mm幅のシールバーで290℃、0.5MPa、15秒の条件でヒートシールした。その後、ヒートシールした箇所を15mm幅にカットし(図4を参照)、150℃環境下において5分間静置した後、150℃環境下で、剥離速度50mm/分の条件でのシール強度(T形はく離強さ)を、試験機(INSTRON社製)を用いて測定した。測定されたシール強度(バースト強度)の値に基づき、以下の判定基準に基づいて評価した。評価結果がC以上であれば合格とした。
A:シール強度が35N/15mm以上
B:シール強度が30N/15mm以上、35N/15mm未満
C:シール強度が20N/15mm以上、30N/15mm未満
D:シール強度が20N/15mm未満
Figure 2022190244000005
[ポリプロピレン層の使用適否の判別]
一部のシーラント層について下記条件にてDSC測定を行い、1st runにて160~170℃に融解メインピークを、2nd runにて140~160℃に融解メインピークを有する層であるかを確認した。融解メインピークを表5に示す。表4の結果に鑑み、そのようなポリプロピレン層は、シーラント層として好適に用いることができることが分かる。
<測定条件>
1st run:昇温25℃→290℃(速度:1.5℃/min、ホールド:290℃-10min)、降温290℃→25℃(1.5℃/min,25℃-10min)
2nd run:昇温25℃→290℃(150℃/min,290℃-10min)
Figure 2022190244000006
10…蓄電装置用外装材、11…基材層、12…第1の接着剤層、13…バリア層、14…腐食防止処理層、16…シーラント層、17…第2の接着剤層、30…金属端子、40…端子用樹脂フィルム、50…蓄電装置本体、100…蓄電装置、H…ヒートシール部。

Claims (11)

  1. 基材層、バリア層、及びシーラント層をこの順序で備え、
    前記シーラント層が、ポリプロピレン及びβ晶核剤を含む樹脂組成物から形成されるポリプロピレン層Pを含む、蓄電装置用外装材。
  2. 前記樹脂組成物の全量を基準として、前記β晶核剤の含有量が0.001~15質量%である、請求項1に記載の蓄電装置用外装材。
  3. 前記β晶核剤がアミド系化合物である、請求項1又は2に記載の蓄電装置用外装材。
  4. 前記シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含み、そのうちの少なくとも1層が前記ポリプロピレン層Pである、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  5. 前記シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含み、そのうちの少なくとも前記バリア層側の1層が前記ポリプロピレン層Pである、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  6. 前記ポリプロピレン層Pが酸変性ポリプロピレンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  7. 前記シーラント層が2層以上のポリプロピレン層を含み、そのうちの少なくとも1層が長鎖分岐ポリプロピレンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材。
  8. 蓄電装置本体と、
    前記蓄電装置本体と電気的に接続される端子と、
    前記端子を挟持し且つ前記蓄電装置本体を収容する、請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材と、を備え、
    前記蓄電装置用外装材の端部がヒートシールされている、蓄電装置。
  9. 前記蓄電装置用外装材のヒートシール部における、前記ポリプロピレン層Pのβ晶の結晶化度が3~90%である、請求項8に記載の蓄電装置。
  10. 前記蓄電装置用外装材のヒートシール部における、前記ポリプロピレン層Pの結晶化度比率(β/α)が0.01~50である、請求項8又は9に記載の蓄電装置。
  11. 前記蓄電装置を150℃で1週間静置した後25℃に冷却した際、前記蓄電装置用外装材のヒートシール部における、前記ポリプロピレン層Pのα晶の結晶化度が25%以上であり、結晶化度比率(β/α)が0~1である、請求項8~10のいずれか一項に記載の蓄電装置。
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