JP2022181183A - 活性エネルギー線硬化型水性インク、記録方法及び記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性インクとして使用した場合に、モノマーの水溶性と硬化物の耐水性のいずれもが良好な活性エネルギー線硬化型水性インクを提供する。【解決手段】水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能な活性エネルギー線硬化型水性インクであって、硬化性物質が、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含む活性エネルギー線硬化型水性インクを用いる。TIFF2022181183000015.tif43170一般式(1)中の、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示し、Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。【選択図】図1

Description

本発明は、水溶性のモノマーを含む活性エネルギー線硬化型水性インクに関する。また、本発明は、該活性エネルギー線硬化型水性インクを用いた記録方法及び記録装置に関する。
従来、インクジェット方式の画像形成方法において、活性エネルギー線硬化型液体組成物をインクとして使用する技術が知られている。活性エネルギー線硬化型液体組成物をインクとして使用する場合は、非水性の硬化性物質、又は水性の硬化性物質を用いることが知られている。
非水性の硬化性物質を用いるインクの例として、特許文献1では、エステル側にアミド構造をもつアクリル酸エステル化合物を用い、インクの臭気を抑える方法が提案されている。
また、水性の硬化性物質を用いるインクの例として、水、モノマー・オリゴマー、顔料分散体を含有する硬化型水性インクが挙げられる。硬化型水性インクに用いられるモノマー及びオリゴマーには良好な水溶性と水溶液中での安定性が求められる。特許文献2では、特定の構造を持つアクリルアミド化合物を用いることで、インク組成物が良好な水溶性を有する方法が提案されている。
特開2017-160380号公報 特開2012-214561号公報
特許文献1に記載のアクリル酸エステル化合物は、エステル構造中にアミド結合を有する単官能モノマーとすることで、臭気を抑えている。しかし、このアクリル酸エステル化合物は非水性のインクに適用するものである。したがって、このアクリル酸エステル化合物を水性のインクに用いると、特開2007-099802号公報に記載のようにアクリル酸エステル結合の加水分解により、インクの安定性に課題が生じることが考えられる。
一方で、特許文献2に記載のアクリルアミド構造を有する化合物は、良好な水溶性を持つ。しかし、この化合物は、モノマーでの水溶性が高いため、硬化物の耐水性に課題がある。
したがって、本発明の目的は、水溶性に優れたモノマーを含有し、硬化物とした場合の耐水性にも優れた、活性エネルギー線硬化型水性インクを提供することである。また、本発明の目的は、前記活性エネルギー線硬化型水性インクを用いた、記録方法及び記録装置を提供することである。
本発明にかかる水性インクは、水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能な活性エネルギー線硬化型水性インクであって、
前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型水性インクに関する。
Figure 2022181183000002
前記一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示す。Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。
また本発明は、記録媒体上に活性エネルギー線硬化型水性インクを付与する工程と、
前記記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する工程と、
を少なくとも有する記録方法であって、
前記活性エネルギー線硬化型水性インクは、水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能であり、
前記硬化性物質が、上記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする記録方法に関する。
さらに本発明は、記録媒体上に活性エネルギー線硬化型水性インクを付与するインク付与装置と、
前記記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置と、
を少なくとも有する記録装置であって、
前記活性エネルギー線硬化型水性インクは、水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能であり、
前記硬化性物質が、上記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする記録装置に関する。
本発明によれば、水溶性に優れたモノマーを含有し、硬化物とした場合の耐水性にも優れた、活性エネルギー線硬化型水性インクを提供することができる。
また、前記活性エネルギー線硬化型水性インクを用いた、記録方法及び記録装置を提供することができる。
本発明の一実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示す模式的斜視図である。
<水性インク>
本発明にかかる水性インクは、水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能な活性エネルギー線硬化型水性インクである。以下、好適な実施形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
(硬化性物質)
本発明に係る活性エネルギー線硬化型水性インクは、水と硬化性物質とを含有する。該硬化性物質は、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含む。そして、この活性エネルギー線硬化型水性インクは、活性エネルギー線によって硬化可能である。以下、活性エネルギー線硬化型水性インクを単に水性インクという。
Figure 2022181183000003
前記一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示す。Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。
モノマーを含む水性インクの保存安定性と水性インクの硬化特性の観点から、前記一般式(1)中のRが水素である、アクリルアミド基を官能基として有する重合性モノマーが特に好ましい。
また、一般式(1)中のRは、炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基であれば限定されるものではない。モノマーの水溶性と硬化物の耐水性の両立の観点から、炭素数2~4の二価の飽和炭化水素基であることが特に好ましい。具体的にはエチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基などが挙げられる。
また、一般式(1)中のLは、エーテル結合(-O-)、アミド結合(-C(=O)-NH-)、カルボニル結合(-C(=O)-)、スルホン結合(-SO-)、又はスルホンアミド結合(-SO-NH-)を含んでもよい二価の飽和炭化水素基であれば限定されるものではない。ここで、前記各結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基とは、二価の飽和炭化水素基の中の少なくとも一つの炭素原子が、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合に置き換えられた官能基を意味する。
モノマーの水溶性の向上の観点から、Lは、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、及びスルホンアミド結合からなる群から選択される少なくとも一つの結合を含む二価の飽和炭化水素基であることが好ましい。ここで、Lがこれらの結合を含む二価の飽和炭化水素基である二官能の重合性モノマーを第1の重合性モノマーと呼び、Lがこれらの結合を有さない二価の飽和炭化水素基である二官能の重合性モノマーを第2の重合性モノマーと呼ぶ。第1の重合性モノマーは、Lがエーテル結合を含む二価の飽和炭化水素基であることがより好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などのオキシアルキレン基を含むことが特に好ましい。また、エーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、及びスルホンアミド結合からなる群から選択される少なくとも一つの結合を含む二価の飽和炭化水素基は、それぞれが、上記結合を1個含む繰り返し単位を複数含むことができる。上記結合を含む繰り返し単位の繰り返し数は、硬化物の耐水性の観点から、1~10であることが好ましく、1~5であることがさらに好ましい。オキシアルキレン基を含む場合、硬化物の耐水性の観点からは繰り返し数は1~5であることが好ましい。
また、モノマーの水溶性と硬化物の耐水性の両立の観点から、硬化性物質は、第1の重合性モノマーと、第2の重合性モノマーの両方を含むことが好ましい。インク中における前記第1の重合性モノマーの含有量は、インク中における前記第1の重合性モノマーと前記第2の重合性モノマーの合計の含有量に対して、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、25質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。
一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーの具体的な構造を以下の表1に示すが、一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーはこれらの構造に限られるものではない。
Figure 2022181183000004
Figure 2022181183000005
一般式(1)の二官能の重合性モノマーを含む硬化性物質の含有量は特に限定されるものではないが、インクジェット方式に用いた場合の吐出性能の観点から、水性インクの総量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。また、画像の光沢均一性の観点から、20質量%以下であることも好ましい。一方、硬化物の安定性の観点からは一般式(1)の二官能の重合性モノマーを含む硬化性物質の含有量は水性インクの総量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
一般式(1)の二官能の重合性モノマーの合成方法は特に限定されるものではないが、例えばアミン化合物に(メタ)アクリル酸クロリド、無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸などを縮合反応させる方法、アミン化合物とエステル化合物を交換反応させる方法が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」または「メタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」等においても同義である。
本発明の活性エネルギー線硬化型水性インクは、必要に応じて、前記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを複数組み合わせてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化性物質として、前記一般式(1)に該当しないモノマーを含んでもよい。前記一般式(1)に該当しないモノマーとしては、一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーと重合し得るモノマーであればよく、同様の反応性を有するビニル系モノマーが好ましい。例えば、単官能モノマーとして、アクロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、オリゴエチレンオキシドのモノアクリル酸エステル、及び2塩基酸のモノアクリル酸エステル等を挙げることができる。また、多官能モノマーとして、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、1,2-ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、多官能のアクリルアミド等を挙げることができる。この多官能モノマーの市販品としては、FOM-03006(水溶性4官能アクリルアミド)、FOM-03007(水溶性3官能アクリルアミド)、FOM-03009(水溶性4官能アクリルアミド)(いずれも商品名、富士フイルム和光純薬社製)等を挙げることができる。前記一般式(1)に該当しないモノマーも、官能基として(メタ)アクリルアミド基、特にアクリルアミド基を一つ以上有することが好ましい。また、水性インクは、前記式(1)で表される二官能モノマーと共に、単官能モノマーを含むことが好ましい。これにより、前記式(1)で表される二官能モノマーの水溶性をさらに向上させることができる。
前記一般式(1)に該当しないモノマーを含有する場合、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合は、硬化性物質の総量に対して、5質量%以上、100質量%未満であることが好ましく、10質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が、硬化性物質の総量に対して、5質量%以上であれば、本発明の効果が十分に発揮される。
また、硬化性物質が前記一般式(1)に該当しない単官能モノマーを硬化性物質の総量に対して50質量%以上含有する場合、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合は、硬化性物質の総量に対して、25質量%以上であることが好ましい。前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が、硬化性物質の総量に対して、25質量%以上であれば、硬化物に十分な耐水性が付与できる。
さらに、硬化性物質が前記一般式(1)に該当しない二官能以上の多官能モノマーを硬化性物質の総量に対して10質量%以上含有する場合、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合は、前記一般式(1)に該当しない二官能以上の多官能モノマーの総量に対して、25質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が、前記一般式(1)に該当しない二官能以上の多官能モノマーの総量に対して25質量%以上の場合、硬化物に割れが生じることを抑制できる。
(重合開始剤)
本発明に係る水性インクは、さらに重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により硬化性物質の重合を開始させる活性種を生成するものであれば、特に限定されるものではない。本発明の硬化性物質はラジカルにより硬化反応が進行するため、ラジカルを生成する重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の構造は、水性インクとして使用する場合には親水性の官能基を有することが好ましい。親水性の官能基としては、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基、エーテル基、アミド基が挙げられる。
重合開始剤の好ましい例として以下の化合物A~Cを挙げることができるが、本発明の重合開始剤はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022181183000006
重合開始剤は、必要に応じて、2種類以上の重合開始剤を組み合わせてもよい。また、重合開始剤と増感剤を組み合わせてもよい。2種類以上の重合開始剤、又は重合開始剤と増感剤を組み合わせることで、1種類の重合開始剤では有効に利用できなかった波長の活性エネルギー線を利用して、さらなるラジカルを発生させることができる。
重合開始剤の含有量は、水性インクの総量(100質量%)に対して、0.01~20質量%の範囲が好ましく、0.01~10質量%の範囲がより好ましく、0.01~5質量%の範囲がさらに好ましい。重合開始剤の含有量が多すぎると未反応の重合開始剤が硬化物中に残存し、硬化物の強度が低下する場合がある。
(色材)
本発明に係る水性インクは、必要に応じて色材を含有することができる。色材は特に限定されるものではなく、一般的に染料や顔料、またこれらの分散体が好適に用いられる。
なお、色材を含有しない水性インクは、いわゆるクリアインクと称されるもので、別途印刷した印刷面に光沢を付与する等の目的で使用できるものである。
染料としては限定を受けず、一般的に使われる染料であれば問題なく用いることができる。例としては、C.Iダイレクトブルー6,8,22,34,70,71,76,78,86,142,199、C.Iアシッドブルー9,22,40,59,93,102,104,117,120,167,229、C.Iダイレクトレッド1,4,17,28,83,227、C.Iアシッドレッド1,4,8,13,14,15,18,21,26,35,37,249,257,289、C.Iダイレクトイエロー12,24,26,86,98,132,142、C.Iアシッドイエロー1,3,4,7,11,12,13,14,19,23,25,34,44,71、C.Iフードブラック1,2、C.Iアシッドブラック2,7,24,26,31,52,112,118等が挙げられる。
顔料としては限定を受けず、一般的に使われる顔料であれば問題なく用いることができる。例としては、C.Iピグメントブルー1,2,3,15:3,16,22、C.Iピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn)57(Ca),112,122、C.Iピグメントイエロー1,2,3,13,16,83、カーボンブラックNo2300,900,33,40,52、MA7,8,MCF88(三菱ケミカル社製)、RAVEN1255(コロンビア社製)、REGAL330R、660R、MOGUL(キャボット社製)、Color Black FW1,FW18,S170,S150,Printex35(デグッサ社製)等が挙げられる。
このような色材を使用する場合、前記染料及び顔料を水中に分散する分散樹脂を含有することが好ましい。分散樹脂としては、水溶性で重量平均分子量が1000~15000程度のものが好ましい。例としては、以下のモノマーからなるブロック共重合体、ランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。
・スチレン及びその誘導体
・ビニルナフタレン及びその誘導体
・α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル
・アクリル酸及びその誘導体
・マレイン酸及びその誘導体
・イタコン酸及びその誘導体
・フマル酸及びその誘導体
また、分散樹脂を用いず、前記硬化性物質で分散させることもできる。
また本発明は、インクの形態としての限定を受けず、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等のいずれの形態での使用も可能である。
(溶媒)
本発明に係る水性インクは、溶媒として少なくとも水を含み、必要に応じて、インク付与性や乾燥性を制御するために、有機溶剤を含んでもよい。使用する有機溶剤は高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料が好ましい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン等が挙げられる。また、粘度、表面張力等を調整する成分としてエチルアルコールやイソプロピルアルコール等のアルコール類や各種界面活性剤を添加することもできる。
水を含む溶媒の含有量は、用途により適宜選択されるが、水性インクの総量に対して、10質量%以上が好ましく、特にインクジェット記録方式に適応する場合には、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。水を含む溶媒の含有量の上限については特に制限はないが、水性インクの総量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。また、水の含有量は、水性インクの総量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。水の含有量の上限については特に制限はないが、水性インクの総量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
さらに、水性インクは、界面活性剤、硬化促進剤、架橋剤、水溶性助剤、粘度調整剤等を含んでいてもよい。なお、上記界面活性剤等については、公知のものを適宜選択して用いることができる。
<記録方法及び記録装置>
本発明の水性インクは、インクジェット方式、グラビア方式、フレキソ方式など各種公知の記録方式に適用できるが、特にインクジェット記録方式に適用した場合に優れた効果をもたらすものである。
本発明に係る記録方法は、記録媒体上に、上記の本発明に係る活性エネルギー線硬化型水性インクを付与する工程と、記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する工程とを少なくとも有する。特にインクを付与する工程は、本発明に係る水性インクを記録媒体に付与できるインクジェット方式、グラビア方式、フレキソ方式などいかなる記録方式であってもよいが、インクジェット記録方式にて行うことが好ましい。
(記録媒体)
記録媒体としては、本発明に係る水性インクを保持できる限り、どのような媒体でも使用することができる。特にインクジェット記録方式では、シート状やフイルム状の厚みの薄い媒体が好ましい。また、記録媒体は、付与されたインクを吸収し得る紙等の吸収性媒体、オフセット印刷用光沢紙などの難吸収性媒体、PET、PC、PVC、PMMAなどの非吸収性媒体など様々な吸収性の媒体に適用できる。
本発明に係る記録装置は、記録媒体上に、上記の本発明に係る活性エネルギー線硬化型水性インクを付与するインク付与装置と、記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置を少なくとも有する。インク付与装置としては本発明に係る水性インクを記録媒体に付与できるいかなる記録方式のインク付与装置であってよい。インクジェット記録方式でインクを吐出する記録ヘッドを備えることが好ましい。インクジェット記録方式としては、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解像度及び高品質の画像を高速で記録できる、熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式が好ましい。
熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式の記録ヘッドとしては、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を採用したものが好ましい。このような方式は、いわゆるオンデマンド型及びコンティニュアス型のいずれにも適用可能である。オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置された電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える、少なくとも一つの駆動信号を印加することが好ましい。これにより、電気熱変換体に熱エネルギーを発生させ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。その結果、駆動信号に一対一で対応し、インク内に気泡を形成することができるため、有効である。
気泡の成長及び収縮により吐出口からインクを吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡が成長収縮することができる。そのため、特に応答性よくインクを吐出することができ、好ましい。パルス形状の駆動信号は、米国特許第4,463,359号明細書、同第4,345,262号明細書に記載されているものが適している。なお、米国特許第4,313,124号明細書に記載されている、熱作用面の温度上昇率に関する条件を採用することが好ましい。
記録ヘッドの構成は、上述の各明細書に開示されている、吐出口、液路、及び電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)が適している。その他に、米国特許第4,558,333号明細書、米国特許第4,459,600号明細書に開示された、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成も適している。さらに、特許第2962880号公報、特許第3246949号公報、及び特開平11-188870号公報に記載されている大気連通方式の吐出方式も有効である。加えて、共通する吐出口を電気熱変換体の吐出部とする構成(特開昭59-123670号公報など)も有効である。
記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、以下のものを用いることができる。例えば、上述の明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。さらに、記録装置に装着することで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドや、記録ヘッドに一体的に設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドも有効である。
記録ヘッドの回復手段や予備的な補助手段などを付加することも好ましい。具体的には、記録ヘッドのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧又は吸引手段、電気熱変換体、加熱素子、予備加熱手段、及び予備吐出モードなどが挙げられる。
図1は、インクジェット記録装置の構成の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図1に示すインクジェット記録装置は、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録するシャトル方式を採用した記録装置である。キャリッジ100は、無端ベルト101に連結され、ガイドシャフト102に沿って移動可能となっている。無端ベルト101は、プーリ103及び104の間に架け渡されている。プーリ103には、モータ105の駆動軸が連結されている。このため、キャリッジ100は、モータ105の回転駆動により、ガイドシャフト102に沿って矢印Aの主走査方向に往復移動する。
キャリッジ100上には、複数のインク吐出ノズルが並設された記録ヘッド(不図示)と、インクを収納する容器としてのインクタンクITが搭載されている。矢印Aの主走査方向におけるキャリッジ100の少なくとも一端に活性エネルギー線照射部20を備える。このため、記録媒体上にインクを付与した直後に、活性エネルギー線照射部20から記録面に活性エネルギー線を照射することが可能である。活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、X線などを挙げられる。特に、紫外線が好ましい。この活性エネルギー線照射部20が記録媒体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置である。なお、図1ではキャリッジ100の両端に活性エネルギー線照射部20を設けている。活性エネルギー線照射は、同図に示すようにインク付与直後に行ってもよく、インク付与からある程度間隔をあけて行ってもよい。また、1回の照射に限定されず、多段階に照射してもよい。
記録ヘッドには、記録媒体としての用紙Pと対向する吐出口面に、用紙Pの搬送方向(矢印Bの副走査方向)に並ぶ複数のインク吐出口が形成されている。記録ヘッドには、複数の吐出口のそれぞれに連通するインク路が設けられている。それぞれのインク路に対応して、インクを吐出するための熱エネルギーを発生する電気熱変換体が設けられている。
電気熱変換体は、駆動データに応じた電気パルスが印加されることによって熱を発生し、その熱によってインクに膜沸騰を生じさせ、気泡の生成に伴って吐出口からインクを吐出させる。各インク路には、それらに共通の共通液室が連通しており、共通液室はインクタンクITに接続されている。
図1に示すインクジェット記録装置には、キャリッジ100の移動位置を検出するためのリニアエンコーダ106が設けられている。すなわち、キャリッジ100の移動方向に沿って設けられたリニアスケール107には、1インチ間に、例えば等間隔で1,200個のスリットが形成される。一方、キャリッジ100側には、例えば、発光部と受光センサを有するスリット検出系108及び信号処理回路が設けられている。したがって、リニアエンコーダ106からは、キャリッジ100の移動に応じて、インクの吐出タイミングを示す吐出タイミング信号、及びキャリッジ100の移動位置の情報が出力される。リニアスケール107のスリットの検出毎にインクを吐出することにより、主走査方向に1,200dpiの解像度の画像を記録することができる。
記録媒体としての用紙Pは、キャリッジ100の操作方向と直交する矢印Bの副走査方向に間欠的に搬送される。用紙Pは、搬送方向上流側の一対のローラユニット109及び110と、搬送方向下流側の一対のローラユニット111及び112とにより支持される。そして、一定の張力が印加され、記録ヘッドに対する平面性が確保された状態で搬送される。ローラユニット111及び112に対する駆動力は、図示しない用紙搬送モータから供給される。
図1に示すインクジェット記録装置では、キャリッジ100を移動させつつ、記録ヘッドの吐出口の配列幅に対応した幅の記録と用紙Pの送りとを交互に繰り返すことで、用紙P全体に画像を記録することができる。キャリッジ100は、記録開始時又は記録中に、必要に応じてホームポジションに停止する。このホームポジションには、各記録ヘッドの吐出面側をキャッピングするキャップ部材113が設けられている。このキャップ部材113には、吐出口から強制的にインクを吸収して、吐出口の目詰まりを防止するための吸引回復手段(不図示)が接続されている。
上述のシャトル方式の他に、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いるライン方式がある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで、記録媒体の全面に画像記録を行うことができる。このため、短尺ヘッドを走査するキャリッジなどの搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要となり、記録媒体のみが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本発明の実施例は、二官能の重合性モノマーとして表2で示される硬化性物質1~4、12を用いた。また、比較例は二官能の重合性モノマーとして表2で示される比較化合物1、2を用いた。さらに、前記一般式(1)に該当せず、水性インクに混合するその他のモノマーとして表3で示されるものを用いた。なお、表2に記載の比較化合物1は商品名:FOM-3008(富士フイルム和光純薬社製)である。また、表3に記載の単官能モノマー1は商品名:HEAA(KJケミカルズ社製)であり、単官能モノマー2は商品名:ACMO(KJケミカルズ社製)であり、単官能モノマー3は商品名:DAAM(KJケミカルズ社製)であり、表3に記載の二官能モノマーはN,N’-エチレンビスアクリルアミド(東京化成社製)であり、表3に記載の三官能モノマーは商品名:FOM-03007(富士フイルム和光純薬社製)である。また、表2に記載の比較化合物2は、以下の方法で合成した。
[合成例A:比較化合物2の合成方法]
1,2-ビス(2-アミノエトキシ)メタン200g(1.35mol)とアセトニトリル4Lを混合し、氷冷下で8℃以下に保ち撹拌しながらアクリル酸クロリド256g(2.83mol)を滴下した。その後、20℃に昇温し、さらに2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過した。濾過によって分離された反応生成物をアセトニトリルで洗浄し、比較化合物2を176.3g得た。
Figure 2022181183000007
Figure 2022181183000008
(硬化性物質の合成)
以下に、硬化性物質1~4、12の合成方法を示す。
[合成例1:硬化性物質1の合成方法]
3-アクリルアミドプロパン酸35.0g(0.24mol)、メタノール1Lを混合した。室温(20℃)で1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン14.8g(0.10mol)を加え、30分撹拌した。4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)55.0g(0.20mol)を加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応液を濾過した。得られた濾液を濃縮したのち、カラムクロマトグラフィーで精製し、硬化性物質1を27.5g得た。なお、3-アクリルアミドプロパン酸は、3-アミノプロパン酸にアクリル酸クロリドを反応させる方法で用意したが、これに限定されるものではない。
[合成例2:硬化性物質2の合成方法]
6-アクリルアミドヘキサン酸45.0g(0.24mol)、メタノール1Lを混合した。室温(20℃)で1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン14.8g(0.10mol)を加え、30分撹拌した。DMT-MM55.0g(0.20mol)を加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応液を濾過した。得られた濾液を濃縮したのち、カラムクロマトグラフィーで精製し、硬化性物質2を32.7g得た。なお、6-アクリルアミドヘキサン酸は、6―アミノヘキサン酸にアクリル酸クロリドを反応させる方法で用意したが、これに限定されるものではない。
[合成例3:硬化性物質3の合成方法]
3-アクリルアミドプロパン酸35.0g(0.24mol)、メタノール1Lを混合した。室温(20℃)で1,3-ジアミノプロパン7.4g(0.10mol)を加え、30分撹拌した。DMT-MM55.0g(0.20mol)を加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応液を濾過した。得られた濾液を濃縮したのち、カラムクロマトグラフィーで精製し、硬化性物質3を22.9g得た。なお、3-アクリルアミドプロパン酸は、3-アミノプロパン酸にアクリル酸クロリドを反応させる方法で用意したが、これに限定されるものではない。
[合成例4:硬化性物質4の合成方法]
3-アクリルアミドブタン酸37.7g(0.24mol)、メタノール1Lを混合した。室温(20℃)で1,3-ジアミノプロパン7.4g(0.10mol)を加え、30分撹拌した。DMT-MM55.0g(0.20mol)を加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応液を濾過した。得られた濾液を濃縮したのち、カラムクロマトグラフィーで精製し、硬化性物質4を24.6g得た。なお、3-アクリルアミドブタン酸は、3-アミノブタン酸にアクリル酸クロリドを反応させる方法で用意したが、これに限定されるものではない。
[合成例5:硬化性物質12の合成方法]
6-アクリルアミドヘキサン酸45.0g(0.24mol)、メタノール1Lを混合した。室温(20℃)でエチレンジアミン6.0g(0.10mol)を加え、30分撹拌した。DMT-MM55.0g(0.20mol)を加え、一晩撹拌した。反応終了後、反応液を濾過した。得られた濾液を濃縮したのち、カラムクロマトグラフィーで精製し、硬化性物質12を20.1g得た。なお、6-アクリルアミドヘキサン酸は、6-アミノヘキサン酸にアクリル酸クロリドを反応させる方法で用意したが、これに限定されるものではない。
<実施例1>
(水性インクの調製)
表2に記載の硬化性物質を用いて水性インクを以下の組成で調製した。
硬化性物質1 5質量%
単官能モノマー1 15質量%
重合開始剤(化合物A) 2質量%
界面活性剤 「アセチレノールE100」(商品名、川研ファインケミカル社製)
1質量%
イオン交換水 77質量%
(硬化物の作製)
前記水性インクをPETフィルム(易接着白PET、帝人社製)へバーコートで10g/m塗布した。続いてUV-LED(商品名、L60II 波長395nm、ウシオ電機社製)を用いて、1J/cmを照射しインクを硬化させることで、硬化物を作製した。
<実施例2>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1の代わりに硬化性物質2を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例3>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1の代わりに硬化性物質3を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例4>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1の代わりに硬化性物質4を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例5>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1を10質量%、単官能モノマー1を10質量%とを用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例6>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1を20質量%、単官能モノマー1を含まないインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例7>
単官能モノマーとして、単官能モノマー2を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例8>
単官能モノマーとして、単官能モノマー3を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例9>
単官能モノマーの代わりに表3の二官能モノマーを用いてインクを調製したこと以外は、実施例5と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例10>
単官能モノマーの代わりに表3の三官能モノマーを用いてインクを調製したこと以外は、実施例5と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<実施例11>
(水性マゼンタインクの調製)
顔料(C.I.ピグメントレッド122)、及び分散剤(スチレン/アクリル酸/エチルアクリレートのランダムコポリマー、重量平均分子量=3,500、酸価=150mgKOH/g)、イオン交換水を混合した後、ビーズミルにて分散処理した。これにより、顔料固形分10質量%、顔料:分散剤(質量比率)=3:1であるマゼンタ顔料分散体を得た。次いで、以下に示す各成分を混合して十分撹拌した後、混合物をポアサイズ0.5μmのフィルタで加圧濾過し、水性マゼンタインクを得た。
マゼンタ顔料分散体 40質量%
硬化性物質1 5質量%
単官能モノマー1 15質量%
重合開始剤(化合物A) 2質量%
界面活性剤 「アセチレノールE100」(商品名、川研ファインケミカル社製)
1質量%
イオン交換水 36質量%
(硬化物の作製)
実施例11で調製した水性マゼンタインクを、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与して吐出するオンデマンド型インクジェット記録装置(商品名、Pro-10、キヤノン社製)におけるマゼンタインクとして搭載した。この記録装置の記録ヘッドに隣接する部分に、UV-LED照射装置(商品名、M30、ウシオ電機社製、波長395nm)を搭載した。具体的には、図1に示すように、キャリッジ100に活性エネルギー線照射部20として上記装置を搭載した。このインクジェット記録装置を用い、PETフィルム(易接着白PET、帝人社製)へ、100%デューティのベタ画像を1パス印字し、2J/cmを照射しインクを硬化させることで、硬化物を作製した。このインクジェット記録装置を用い、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.8ngのインクを8滴付与する条件で記録した画像が100%デューティであると定義する。
<実施例12>
硬化性物質1を5質量%用いる代わりに、硬化性物質1を2質量%と硬化性物質12を3質量%用いてインクを調製したこと以外は、実施例11と同様に水性マゼンタインクを調製し、実施例11と同様に硬化物を作製した。
<比較例1>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1の代わりに比較化合物1を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<比較例2>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1の代わりに比較化合物2を用いてインクを調製したこと以外は、実施例1と同様に水性インクを調製し、硬化物を作製した。
<比較例3>
二官能の重合性モノマーとして、硬化性物質1の代わりに比較化合物1を用いてインクを調製したこと以外は、実施例11と同様に水性マゼンタインクを調製し、実施例11と同様に硬化物を作製した。
(評価)
上記条件で作製した水性インク、硬化物について、以下の評価法により評価を行った。
評価結果を表に示す。本開示においては、下記の各評価項目の評価基準A~Cを許容できるレベルとし、Dを許容できないレベルとした。
<水溶性>
二官能の重合性モノマーを25℃においてイオン交換水と混合し、目視で観察した場合に不溶分が見られない濃度を水溶性として示す。水溶性が高いほど好ましく、評価基準は以下の通りである。
A:20質量%において、不溶分が見られなかった。
B:5質量%において、不溶分が見られなかった。
C:1質量%において、不溶分が見られなかった。
D:1質量%において、不溶分が見られた。
<耐水性>
硬化物を作製してから24時間後に、硬化物上に0.2mlのイオン交換水を滴下し、1分後にシルボン紙を乗せ、40g/cmの荷重をかけた状態でシルボン紙を引っ張った。硬化物に剥がれが生じるか否かを目視で観察した。さらにシルボン紙に、硬化物の擦れによって汚れが生じるか否かを目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
A:擦れによる硬化物の剥がれが3%未満であり、汚れが全く見られない領域がシルボン紙の面積中90%以上である。
B:擦れによる硬化物の剥がれが10%未満であり、汚れが全く見られない領域がシルボン紙の面積中70%以上である。
C:擦れによる硬化物の剥がれが30%未満であり、汚れが全く見られない領域がシルボン紙の面積中50%以上である。
D:擦れによる硬化物の剥がれが30%以上であり、汚れが全く見られない領域がシルボン紙の面積中20%未満である。
表4に、実施例で用いた硬化性物質1~4、12、比較例で用いた比較化合物1~2の水溶性の結果を示す。
Figure 2022181183000009
表5に、実施例1~12、比較例1~3の水性インク及び水性マゼンタインクの構成、及び耐水性の評価結果を示す。
Figure 2022181183000010
なお、本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能な活性エネルギー線硬化型水性インクにおいて、
前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型水性インク。
Figure 2022181183000011
前記一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示し、Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。
(構成2)前記Lがエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、及びスルホンアミド結合からなる群から選択される少なくとも一つの結合を含む二価の飽和炭化水素基であって、前記結合を含む繰り返し単位の繰り返し数が1~5である、構成1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成3)水を含む溶媒の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型水性インクの総量に対して、50質量%以上である、構成1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成4)活性エネルギー線の照射により硬化性物質の重合を開始させる活性種を生成する重合開始剤を含有する、構成1~3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成5)色材を含有する、構成1~4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成6)前記硬化性物質は、前記一般式(1)に該当しないモノマーをさらに含有し、前記硬化性物質の総量に対する、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が20質量%以上80質量%以下である、構成1~5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成7)前記一般式(1)に該当しないモノマーは、官能基として(メタ)アクリルアミド基を一つ以上有するモノマーである、構成6に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成8)前記一般式(1)に該当しないモノマーとして単官能モノマーを前記硬化性物質の総量に対して50質量%以上含有し、前記硬化性物質の総量に対する、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が25質量%以上である、構成6又は7に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(構成9)前記一般式(1)に該当しないモノマーとして多官能モノマーを硬化性物質の総量に対して10質量%以上含有し、前記一般式(1)に該当しない多官能モノマーの総量に対する、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が40質量%以上である、構成6又は7に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
(方法1)記録媒体上に、構成1~9のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型水性インクを付与する工程と、
前記記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする記録方法。
(方法2)前記インクを付与する工程は、インクジェット記録方式にて行う、方法1に記載の記録方法。
(構成10)記録媒体上に構成1~9のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型水性インクを付与するインク付与装置と、
前記記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置と、
を少なくとも有することを特徴とする記録装置。
(構成11)前記インク付与装置がインクジェット記録方式でインクを吐出する記録ヘッドを備える構成10に記載の記録装置。
100 キャリッジ
101 無端ベルト
102 ガイドシャフト
103 プーリ
104 プーリ
105 モータ
106 リニアエンコーダ
107 リニアスケール
108 スリット検出系
109 上流側ローラユニット
110 上流側ローラユニット
111 下流側ローラユニット
112 下流側ローラユニット
113 キャップ部材
20 活性エネルギー線照射部
IT インクタンク

Claims (13)

  1. 水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能な活性エネルギー線硬化型水性インクにおいて、
    前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型水性インク。
    Figure 2022181183000012
    前記一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示し、Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。
  2. 前記Lがエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、及びスルホンアミド結合からなる群から選択される少なくとも一つの結合を含む二価の飽和炭化水素基であって、前記結合を含む繰り返し単位の繰り返し数が1~5である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  3. 水を含む溶媒の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型水性インクの総量に対して、50質量%以上である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  4. 活性エネルギー線の照射により硬化性物質の重合を開始させる活性種を生成する重合開始剤を含有する、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  5. 色材を含有する、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  6. 前記硬化性物質は、前記一般式(1)に該当しないモノマーをさらに含有し、前記硬化性物質の総量に対する、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が20質量%以上80質量%以下である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  7. 前記一般式(1)に該当しないモノマーは、官能基として(メタ)アクリルアミド基を一つ以上有するモノマーである、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  8. 前記一般式(1)に該当しないモノマーとして単官能モノマーを前記硬化性物質の総量に対して50質量%以上含有し、前記硬化性物質の総量に対する、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が25質量%以上である、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  9. 前記一般式(1)に該当しないモノマーとして多官能モノマーを硬化性物質の総量に対して10質量%以上含有し、前記一般式(1)に該当しない多官能モノマーの総量に対する、前記一般式(1)の二官能の重合性モノマーの割合が40質量%以上である、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型水性インク。
  10. 記録媒体上に、活性エネルギー線硬化型水性インクを付与する工程と、
    前記記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する工程と、
    を少なくとも有する記録方法であって、
    前記活性エネルギー線硬化型水性インクは、水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能であり、
    前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする記録方法。
    Figure 2022181183000013
    前記一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示し、Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。
  11. 前記インクを付与する工程は、インクジェット記録方式にて行う、請求項10に記載の記録方法。
  12. 記録媒体上に活性エネルギー線硬化型水性インクを付与するインク付与装置と、
    前記記録媒体上に付与された前記活性エネルギー線硬化型水性インクに対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置と、
    を少なくとも有する記録装置であって、
    前記活性エネルギー線硬化型水性インクは、水と硬化性物質とを含有し、活性エネルギー線によって硬化可能であり、
    前記硬化性物質が、下記一般式(1)で表される二官能の重合性モノマーを含むことを特徴とする記録装置。
    Figure 2022181183000014
    前記一般式(1)中の、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~5の二価の飽和炭化水素基を示し、Lはエーテル結合、アミド結合、カルボニル結合、スルホン結合、又はスルホンアミド結合を含んでもよい二価の飽和炭化水素基である。
  13. 前記インク付与装置がインクジェット記録方式でインクを吐出する記録ヘッドを備える請求項12に記載の記録装置。
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