JP2016104826A - 液体組成物及びその精製方法 - Google Patents

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佳孝 宮島
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Abstract

【課題】色材に由来する異物を発生させにくく保存安定性のよい液体組成物を提供すること。【解決手段】本発明に係る液体組成物は、平板状の骨格を有する分子からなる色材と、デオキシリボ核酸及び修飾デオキシリボ核酸の少なくとも一種が担持されたDNA担体と、溶媒と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物及びその精製方法に関する。
顔料、染料等の色材は、インクや塗料等の液体組成物に多用され、各種の記録、印刷、印捺におけるカラー表現に用いられている。液体組成物のうちでも、インクジェット記録に用いられるインクジェットインクは、微細なノズルからインクの小滴を吐出して飛翔させて使用されるため、高い純度が求められる。インクジェット記録に使用される典型的なインクジェットインクとして、顔料インク、染料インク等があり、いずれも不純物等の濃度をできるだけ低くして提供される。例えば、特許文献1には、インクジェットインクの製造の際に、加熱処理を行うことにより、不純物等を除去する試みが開示されている。
特開2002−030243号公報
しかしながら、顔料や染料等の色材は、その製造(合成)工程において、不純物を完全に除去することは難しく、純度の高いグレードの製品であっても、ある程度の量の不純物が含まれることが通常である。そのような不純物の例としては、色材を構成する色素分子に構造的に類似する色素類似体がある。すなわち、顔料や染料の精製において、構造的に類似している分子を分離することは困難な状況である。
そのような色材を液体(溶媒)中に分散させると、液体中に不純物が溶出して析出することがある。しかもこの現象は経時的に生じる。特に色素分子が平面的な構造を有する色材の場合には、色素分子が互いにスタックした状態で溶媒に分散されており、そのようなスタック状態から色素類似体が徐々に溶媒に溶け出してゆくと考えられる。
平面的な色素分子の構造類似体は、本来の色素分子とは異なる溶解特性や分散特性を示すため、構造類似体が溶媒に溶け出すと、顔料や染料とは異なる析出物を生じ、異物となって溶媒中に析出、分散、浮遊することになる。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、色材に由来する異物を発生させにくく保存安定性のよい液体組成物を提供することにある。また、本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、色材に由来する異物を効果的に除去できる液体の精製方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係る液体組成物の一態様は、
平板状の骨格を有する分子からなる色材と、デオキシリボ核酸及び修飾デオキシリボ核酸の少なくとも一種が担持されたDNA担体と、溶媒と、を含む。
本適用例の液体組成物は、デオキシリボ核酸、及び/又は、修飾デオキシリボ核酸によ
って、平板状の骨格を有する分子をトラップし、DNA担体に捕集することができる。これにより、本適用例の液体組成物は、色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、色材に由来する異物を発生させにくいので、保存安定性が良好である。
[適用例2]適用例1において、
前記色材は、前記溶媒に完全には溶解しないものであってもよい。
このような液体組成物は、平板状の骨格を有する分子がスタックした状態で溶媒中に分散されており、発色性が良好で、スタック状態から溶出した色素分子類似体をDNA担体でトラップすることができる。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、
前記色材は、顔料、分散染料及び昇華染料から選択される少なくとも一種であってもよい。
このような液体組成物は、色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、色材に由来する異物を発生させにくいので、保存安定性が良好である。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記DNA担体は、磁性体を含んでもよい。
このような液体組成物は、DNA担体を磁力を印可することによって収集して固定する、又は、系外に除く(組成物から取り除く)ことができ、DNA担体を除いた組成物として容易に使用することができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記溶媒は、有機溶剤を含み、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクであってもよい。
このような液体組成物は、異物を発生させにくいので、微細な流路やノズルを有するインクジェット記録装置にインクジェットインクとして好適に用いることができる。そして、インクジェット記録装置の吐出安定性を良好にすることができる。
[適用例6]適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記溶媒は、水を含み、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクであってもよい。
このような液体組成物は、異物を発生させにくいので、微細な流路やノズルを有するインクジェット記録装置にインクジェットインクとして好適に用いることができる。そして、インクジェット記録装置の吐出安定性を良好にすることができる。
[適用例7]適用例6において、
前記DNA担体には、さらに包接化合物が担持されていてもよい。
このような液体組成物は、色材に由来する不純物の他にも、樹脂が含まれる際の残モノマー等の不純物、液体組成物に容器等から溶解した疎水性基を有する分子、微量の色素分子、及び/又は、色素類似体等の不純物を包接化合物によってトラップし、DNA担体に捕集することができる。これにより、本適用例の液体組成物は、各種の不純物を除去ない
し低減することができ、異物を発生させにくいので、保存安定性がさらに良好である。
[適用例8]適用例6又は適用例7において、
包接化合物が担持された包接担体をさらに含んでもよい。
このような液体組成物は、色材に由来する不純物の他にも、樹脂が含まれる際の残モノマー等の不純物、液体組成物に容器等から溶解した疎水性基を有する分子、微量の色素分子、及び/又は、色素類似体等の不純物を包接化合物によってトラップし、包接担体に捕集することができる。これにより、本適用例の液体組成物は、各種の不純物を除去ないし低減することができ、異物を発生させにくいので、保存安定性がさらに良好である。
[適用例9]本発明に係る液体の精製方法の一態様は、
平板状の骨格を有する分子からなる色材、及び溶媒を含む液体に、デオキシリボ核酸及び修飾デオキシリボ核酸の少なくとも一種が担持されたDNA担体を混合する混合工程と、前記DNA担体が混合された前記液体から、前記DNA担体を回収する回収工程と、を含む。
本適用例の液体の精製方法によれば、液体に含まれる色材に由来する異物を効果的に除去ないし低減することができる。すなわち、混合工程においてデオキシリボ核酸、及び/又は、修飾デオキシリボ核酸によって、平板状の骨格を有する分子をトラップし、DNA担体に捕集し、回収工程においてDNA担体を回収することができる。これにより、液体から色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、効果的に液体を精製することができる。
[適用例10]適用例9において、
前記色材は、前記溶媒に完全には溶解しないものであってもよい。
このようにすれば、平板状の骨格を有する分子がスタックした状態で溶媒中に分散されており、スタック状態から溶出した色素分子類似体をDNA担体によりトラップすることができ、効果的に液体を精製することができる。
[適用例11]適用例9又は適用例10において、
前記色材は、顔料、分散染料及び昇華染料から選択される少なくとも一種であってもよい。
このようにすれば、色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、効果的に液体を精製することができる。
[適用例12]適用例9ないし適用例11のいずれか一例において、
前記回収工程では、前記DNA担体をフィルターを用いて回収してもよい。
このようにすれば、容易に不純物をトラップしたDNA担体を液体の系外に取り除く又は液体内に固定させることができる。
[適用例13]適用例9ないし適用例12のいずれか一例において、
前記DNA担体は、磁性体を含み、前記回収工程では、磁力によって前記DNA担体を回収してもよい。
このようにすれば、容易に不純物をトラップしたDNA担体を液体の系外に取り除く又は液体内に固定させることができる。
[適用例14]適用例9ないし適用例13のいずれか一例において、
前記溶媒は、有機溶剤を含み、前記液体は、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクであってもよい。
このようにすれば、液体から色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、異物の発生しにくい液体を得ることができ、液体を微細な流路やノズルを有するインクジェット記録装置にインクジェットインクとして好適とすることができる。
[適用例15]適用例9ないし適用例13のいずれか一例において、
前記溶媒は、水を含み、前記液体は、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクであってもよい。
このようにすれば、液体から色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、異物の発生しにくい液体を得ることができ、液体を微細な流路やノズルを有するインクジェット記録装置にインクジェットインクとして好適とすることができる。
[適用例16]適用例15において、
前記DNA担体には、さらに包接化合物が担持されていてもよい。
このようにすれば、色材に由来する不純物の他にも、液体に樹脂が含まれる際の残モノマー等の不純物、液体組成物に容器等から溶解した疎水性基を有する分子、微量の色素分子、及び/又は、色素類似体等の不純物を包接化合物によってトラップし、DNA担体に捕集することができる。これにより、各種の不純物を除去ないし低減することができ、効果的に液体を精製することができる。
[適用例17]適用例15又は適用例16において、
包接化合物が担持された包接担体を混合する工程を含んでもよい。
このようにすれば、色材に由来する不純物の他にも、液体に樹脂が含まれる際の残モノマー等の不純物、液体組成物に容器等から溶解した疎水性基を有する分子、微量の色素分子、及び/又は、色素類似体等の不純物を包接化合物によってトラップし、包接担体に捕集して除去ないし低減することができる。これにより、さらに液体を精製することができる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.液体組成物
本実施形態の液体組成物は、色材と、DNA担体と、溶媒と、を含む。
1.1.色材
本実施形態の液体組成物に含まれる色材は、平板状の骨格を有する分子からなる。ここで、平板状の骨格とは、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゼンが平面的に縮合したナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の縮合多環骨格、ポルフィリンのような多環骨格で窒素、酸素、硫黄、リン等の複素環を含む複素多環骨格、アゾ
ベンゼン、ビシクロペンタジエニリデン等の複数の環系が平面性を保つ結合により連結された環集合骨格、等の、平面的な共役系を有する骨格や共役系により平面性が保たれている骨格のことを指す。
したがって、色材が平板状の骨格を有するとは、色材の色素分子が、上記の骨格を有していればよく、色素分子の全体がそのような骨格となっている必要はない。そのため、例えば、一つの色素分子が平板状の骨格を複数有する場合でも、その色素分子は平板状の骨格を有することとする。さらに、色材の色素分子は、全体が平板状である必要はなく、例えば、平板状の骨格に、各種の置換基等が配置されて、係る置換基が、平板状の骨格の平板の面から外れていても構わない。また、例えば、複数の平板状の骨格が、互いに、同一の平面に沿う必要はなく、平板状の骨格の平板の面が互いに平行である必要もない。
色材の色素分子は、このような平板状の骨格を有するため、複数の分子がスタック(重畳)する性質を有し、溶媒等の周囲の環境によっては、スタックして存在することがエネルギー的に有利である場合が多い。
平板状の骨格を有する分子からなる色材としては、共役系を有し、当該共役系が光のエネルギーを吸収して呈色する有機色素分子を典型例として挙げることができる。さらにそのような有機色素分子からなる顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、ニトロ系顔料、ニトロソ系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、を例示できる。これらの顔料は、溶媒に単分子のレベルで溶解しにくく、溶媒中で複数の色素分子がスタックした状態となっている。
また、平板状の骨格を有する分子からなる色材としては、分散染料及び昇華染料を挙げることができる。分散染料及び昇華染料は、溶媒中で必ずしも一分子ごとに溶解(溶媒和)しておらず、スタック構造を形成することが知られている。
また、色材が溶媒中でスタック構造を有しているか否かについては、例えば、光散乱法を用いた粒径測定等により、粒径が測定できるか否かで判定することができる。すなわち、色素がスタック構造を有して溶媒中で分散構造を採る場合には、粒径を計測することができ、色素が溶媒に溶解して溶液状である場合には、光散乱の波長では粒径を計測できないということから、色材のスタック構造の有無を把握することができる。
色材は、これを構成する色素分子が純物質であることは希であり、一般的に、色材には不純物が含まれる。不純物の典型としては、色素分子の類似体が挙げられる。色素分子の類似体とは、例えば、色素分子と骨格が同一で置換基が異なるものや、色素分子と骨格がある程度異なるものを挙げることができる。このような色素分子の類似体は、例えば、色素分子の合成の際の副生成物として生じたり、色素分子が光(例えば紫外線)を吸収することにより構造変化を起こして生じたりすることがある。
このような色素分子の類似体(本明細書では、色素類似体と称することがある。)は、色素分子と似た化学的性質、光学的性質を示すことが多いが、化学構造が異なるため、完全に同じ性質を示すことはほとんどない。しかし、例えば、抽出等の分離操作での精製は非常に難しく、小さい含有量で色素分子とともに色材中に存在することになる。
上述のとおり、色素分子のスタック構造は、板状の色素分子が重なって形成されるが、
色素類似体は、色素分子のスタック構造に組み込まれてスタックされることがある。また、色素類似体は、色素分子と溶媒への溶解性が異なり、例えば、色素分子よりも溶媒に溶解しやすい場合や溶解しにくい場合がある。また、色素類似体は色素分子のスタック構造とは別に、色素類似体のスタック構造を形成する場合がある。
いずれの場合でも、色材の副成分である色素類似体は、溶媒中で色素分子とは異なる挙動を示すため、例えば、色素類似体のスタック構造を形成したり、溶媒に溶解できずに析出するなどして溶媒中で異物となりやすい。
本実施形態の液体組成物に含まれる色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、例えば、0.01質量%以上80質量%以下、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
1.2.DNA担体
本実施形態の液体組成物は、DNA担体を含有する。DNA担体は、デオキシリボ核酸(DNA)及び修飾デオキシリボ核酸(修飾DNA)の少なくとも一種が、担体に担持された構成を有する。
1.2.1.担体
本実施形態のDNA担体の担体としては、特に限定されず、各種の公知のものを用いることができる。担体としては、液体組成物中で分散させやすい点で、ビーズ状(粒子状)のものが好ましい。担体の材質についても特に限定されない。
また、担体として、フェライト粒子等の磁性体が含まれるものを選択すると、収集や回収が容易化される点でより好ましい。担体の比重については、液体組成物中で分散が容易な限り限定されない。さらに、溶媒担体の大きさ(粒子径)についても、特に限定されない。
担体は、DNAや修飾DNAを担持させるための官能基を有していることが好ましい。このような官能基についても、公知のものでよく、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、チオール基等である。また、担体にDNAや修飾DNAを担持させる場合には、担体が有する官能基にDNAや修飾DNAを直接結合させて担持させてもよいし、カルボジイミド等のカップリング剤を用いてリンカーを介して結合させて担持させてもよい。
1.2.2.デオキシリボ核酸及び修飾デオキシリボ核酸
上記DNA担体の担体には、デオキシリボ核酸(DNA)及び修飾デオキシリボ核酸(修飾DNA)の少なくとも一方が担持される。DNA及び修飾DNAは、特に限定されず、天然のもの、フラグメント、人工のもの、のいずれでも用いることができる。また、DNA、修飾DNAは、通常の2本鎖の二重らせん(ダブルへリックス)構造を有するものであってもよいし、3本鎖の三重らせん(トリプルへリックス)構造、4本鎖の四重らせん(クワドルプルへリックス)構造を有するものであってもよい。
DNA及び修飾DNAは、らせん構造を有しており、そのらせんの内部には、平面的な構造を有する塩基対が密にパッキングしている。このような構造を有するため、DNA及び修飾DNAは、らせんの内部に平板状の構造を有する分子をインターカレートすることができ、平板状の構造を有する分子をトラップすることができる。
DNAは、二重らせんの外側は水との親和性が高く、水溶性であり、例えば水中で分子鎖が広がって存在することができ、平板状の分子をトラップした後、さらにその状態で安
定に存在することができる。
修飾DNAは、DNAのらせんの外側を各種の官能基や脂質によって修飾したものであり、DNAの極性(親水性や親油性)を適宜に設定することができる。例えば、修飾DNAが、脂質修飾DNAであって極性が小さい場合には、極性の小さい有機溶剤中で凝集することなく広がって存在することができ、平板状の分子をトラップした後、さらにその状態で安定に存在することができる。
DNAの二重らせんの外側には、リン酸基が位置しており、例えばナトリウムイオンと対イオンを形成している。そのため、DNAは水溶性を有するが、係るリン酸基にカチオン性を有する高分子を結合させる(ナトリウムイオンとの置換)ことができる。このとき、係る高分子がアルキル鎖等の脂質を有している場合には、高分子がDNAを包む形状となるとともに、脂質を外側に向けて配置した状態となる。このような脂質修飾DNAは、修飾の程度に従った疎水性を示すことになり、親水性及び疎水性の程度の調節を行うことができる。
DNA及び修飾DNAの塩基対の数は、平板状の分子をトラップできる限り、特に限定されず、例えば、10塩基対以上100000000塩基対以下とすることができる。また、DNA担体には、DNAのみが担持されてもよいし、DNA及び修飾DNAが担持されてもよい。さらに、担体1個あたりの、DNAが担持される数や修飾DNAか担持される数についても特に限定されない。
DNA担体には、DNA及び修飾DNAのいずれか一方のみが担持されていてもよいし、DNA及び修飾DNAの両者が担持されていてもよい。DNA担体に担持するDNAの種類は、トラップする平板状の分子の種類、溶媒の種類等により適宜に設計することができる。
本実施形態の液体組成物に含まれるDNA担体の含有量は、特に限定されず、インターカレートする対象(例えば色素類似体)の予想される濃度に合わせて配合される。DNA担体の含有量は、例えば、0.00001質量%以上10質量%以下、好ましくは0.0001質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上1質量%以下である。
1.3.溶媒
本実施形態の液体組成物は、溶媒を含む。溶媒としては、特に制限がなく、単一溶媒でも混合溶媒でもよい。本実施形態の液体組成物は、液体として振る舞うことができる限り、あらゆる液体を溶媒として含み得る。溶媒として用い得る液体の極一部の具体例としては、水、有機溶剤、重合性モノマー等が挙げられる。
例えば、液体組成物を水系の組成物とする場合には、水、水溶性有機溶剤等を溶媒とすることができる。また、液体組成物を油系の組成物とする場合には、油性の有機溶剤を溶媒とすることができる。さらに、液体組成物を重合系の組成物とする場合には、モノマーを溶媒とすることができる。そして、液体組成物をいずれの系にする場合でも、適宜に添加剤を配合することができる。
1.3.1.水
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水の含有量は、液体組成物の総質量を100質量%としたときに、10〜99質量%である。ここで、水の含有量は、水を添加した量に限られず、他の添加剤等を加える場合には添加剤中の水分も含むものである。
液体組成物が水を溶媒として含む場合には、液体組成物を水系の組成物とし、さらに水溶性有機溶剤を含んでもよい。すなわち、液体組成物は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を含んでもよい。また、液体組成物は、水溶性有機溶剤を主溶媒としてもよく、水を含まない組成物としてもよい。
1.3.2.水溶性有機溶剤
水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール類(例えば、エチルアルコール、1−プロパノール、フッ化アルコール等)や、多価アルコール類を例示することができる。これらのうちでも、水溶性有機溶剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類)及び1、2−アルキルジオールが好ましく使用できる。
グリコールエーテル類としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類が挙げられる。また、上記1、2−アルキルジオールとしては、以下に限定されないが、例えば、1、2−ペンタンジオール及び1、2−ヘキサンジオールが挙げられる。これらの他に、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジオール、及び1、8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類も挙げることができる。
また、水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1、4−ジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、数平均分子量2000以下のポリエチレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−エチル−2−ピロリドン等も例示できる。
水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。液体組成物が水溶性有機溶剤を溶媒として含むことにより、例えば、液体組成物が空気に触れている状態で放置しても、より乾燥しにくくいという効果がある。
液体組成物に水溶性有機溶媒を配合する場合には、水溶性有機溶剤の含有量は、液体組成物の総質量を100質量%としたときに、好ましくは0.1〜100質量%、より好ましくは0.5〜90質量%である。液体組成物が溶媒として水及び水溶性有機溶媒を含有すると、水のみを溶媒として含む液体組成物と比較して表面張力が低くなるので、例えば、インクジェット記録装置の各部材(チューブやインクカートリッジ等)への濡れ性が高くなる。これにより、DNA単体等による異物のトラップ性能を向上させることができる場合がある。
1.3.3.疎水性有機溶剤
本実施形態の液体組成物は、溶媒として疎水性有機溶剤を含んでもよく、油性の組成物としてもよい。なお、溶媒として疎水性有機溶媒を含む場合には、相溶性が得られる範囲で上述の水溶性有機溶剤を含んでもよい。
疎水性有機溶剤としては、グリコールエーテル類(例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル等)、ラクトン(例えばγ−ブチロラクトン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等の非環状構造のカーボネート化合物や、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、グリセロールカーボネート等の環状構造のカーボネート化合物等を例示することができる。これらのなかでもアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、例えば、液体組成物をインクとする場合に、インク低吸収性の媒体に対して浸透性を高める効果がある。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
また、ラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられる。
液体組成物が溶媒として疎水性有機溶媒を溶媒として含有する場合には、その含有量は、液体組成物の全質量(100質量%)に対して、1質量%以上100質量%以下であることが好ましく、1質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
1.3.4.上記以外の溶媒
また、液体組成物に含まれる溶媒は、反応性のモノマーであってもよい。そのようなモノマーとしては、単官能、2官能および3官能以上の多官能モノマーおよびオリゴマーが使用可能である。モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩またはエステル、ウレタン、アミドおよびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ならびに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)ア
クリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーは、N−ビニル化合物でもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
1.3.5.溶媒の極性等
なお、本明細書では、溶媒が水を主成分(溶媒全体の30質量%以上)として均一系を為す場合を、水系と称することがある。また、本明細書では、溶媒が有機溶剤やモノマーを主成分(溶媒全体の30質量%以上)として均一系を為す場合を、油系と称することがある。
1.4.その他の成分
本実施形態の液体組成物は、上述の色材、DNA担体及び溶媒以外にも、目的に応じて多様な成分を含むことができる。そのような成分の例としては、上述の色材以外の色材、樹脂、界面活性剤、包接担体、重合開始剤、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤、塩化ビニル膨潤剤等が挙げられ、液体組成物の用途に応じて適宜配合することができる。
1.4.1.その他の色材
また、本実施形態の液体組成物は、DNA担体によってトラップされにくい上述の色材以外の色材を含んでもよい。そのような色材としては、中空樹脂粒子、及び高分子粒子などの有機顔料;コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、及びニッケル等の金属類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫化亜鉛、及び酸化ジルコニウム等の金属酸化物及び硫化物、並びにファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、さらには黄土、群青、及び紺青等の無機顔料を用いることができる。なお、平板状の骨格を有する色素分子からなる染料は、上述のDNA担体にトラップされやすい場合があり、DNA担体の機能を損なう可能性があるため、染料については、平板状の骨格を有しない色素分子からなる染料を用いることが好ましい。
1.4.2.樹脂
液体組成物は、樹脂を含有してもよい。樹脂は、例えば、上述の色材を分散させる目的で含有されてもよいし、液体組成物がインクである場合に上述の色材を媒体に定着させたり画像の堅牢性を高めたりする目的で含有されてもよい。樹脂は、水溶性、ディスパーション、エマルションの形態で供給されることが好ましい。
樹脂成分としては、これらに限定されないが、ウレタン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分のうち1種以上を含む樹脂を使用することもできる。
ウレタン樹脂としては、分子中にウレタン結合を有するものであれば特に制限されないが、ウレタン結合に加えて、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等も使用することができる。
樹脂成分は、自己反応型の、ウレタン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂を使用してもよい。このような自己反応型の樹脂としては、親水性基を有するブロック剤でブロック化したウレタン樹脂、親水性セグメントを付与したブロック化ウレタン樹脂、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、メチロール基等の官能基を有するアクリルモノマーを共重合して得られるアクリル樹脂等が挙げられる。
ウレタン樹脂エマルションの市販品としては、例えばサンキュアー2710(日本ルーブリゾール社製)、パーマリンUA−150(三洋化成工業株式会社製)、スーパーフレックス150、420、460、470、610、700(以上、第一工業製薬株式会社
製)、NeoRez R−9660、R−9637、R−940(以上、楠本化成株式会社製)、アデカボンタイター HUX−380,290K(以上、株式会社ADEKA製)、タケラック(R) W−605、W−635、WS−6021(以上、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
スチレンアクリル樹脂やアクリル樹脂の市販品としては、例えばモビニール966A、モビニール7320(日本合成化学株式会社製)、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上、株式会社DIC製)、SAE1014(日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上、BASF社製)、NKバインダー R−5HN(新中村化学工業株式会社製)、パラロイドB60(ローム・アンド・ハース社製)等が挙げられる。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、日信化学工業株式会社製、商品名「ソルバインCL」等が挙げられる。
1.4.3.界面活性剤
本実施形態に係る液体組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、さらにこれらは併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤のうち少なくとも一種が好ましい。洗浄液がこれらの界面活性剤を含むことにより、洗浄性が一層良好となる。
上記のアセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤としては、以下に限定されないが、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上を例示できる。また、アセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノー
ルE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、メガファックF−479(DIC株式会社製)、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系界面活性剤としては、市販されているものを用いることができ、例えば、オルフィンPD−501、オルフィンPD−502、オルフィンPD−570(いずれも、日信化学工業株式会社製)、BYK−347、BYK−348(いずれも、ビックケミー株式会社製)等が挙げられる。
さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル、しょ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等を用いてもよい。
また、ノニオン系界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤は、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ気泡性がほとんどないという特性を有する点から、より好ましく用いることができる。すなわち、気泡性が小さいため、例えば、液体組成物をインクジェットインクとする場合には、インク流路の段差部に気泡が固定されにくく望ましい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、石けん、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム系としてアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩およびアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アミン塩系としてN−メチルビスヒドロキエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸系としてアルキルアミノ脂肪酸塩、ベタイン系としてアルキルカルボキシルベタイン、アミンオキシド系としてアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。両性界面活性剤は、これらに限定されるものではない。
なお、液体組成物に界面活性剤を配合する場合であって、下記の包接担体を含む場合には、界面活性剤がチャージ(電荷)を有すると、包接化合物の包接能を阻害する場合がある。そのため、上記例示した界面活性剤のうちでも、ノニオン系界面活性剤を選択することがより好ましい。
1.4.4.包接担体
本実施形態の液体組成物は、包接担体を含有してもよい。包接担体は、包接化合物が、担体に担持された構成を有する。
包接担体の担体としては、上述のDNA担体の担体と同様であるため、詳細な説明を省略する。包接担体の担体としては、液体組成物中で分散させやすい点で、ビーズ状(粒子状)のものが好ましい。担体の材質についても特に限定されない。また、担体として、フェライト粒子等の磁性体が含まれるものを選択すると、収集や回収が容易化される点でより好ましい。担体の比重については、液体組成物中で分散が容易な限り限定されない。さらに、溶媒担体の大きさ(粒子径)についても、特に限定されない。担体には、包接化合物を担持させるための官能基を有していることが好ましい。このような官能基についても、公知のものでよい。
包接担体の担体には、包接化合物が担持される。包接担体の担体に担持される包接化合物としては、例えば、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、シクロファン誘導体、カリックスアレーン誘導体、クラウンエーテル誘導体、カーボンナノチューブ誘導体、シクロトリフォスファゼン誘導体、クリプタンド誘導体、ポタンド誘導体等が挙げられる。これらの中でも、疎水性の分子又は疎水基を有する基を内包する効果が高いことから、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
シクロデキストリンは、グルコピラノース単位からなるα−1,4結合によって繋がれた環状オリゴ糖である。シクロデキストリン1分子中に含まれるグルコピラノース単位の数により、6量体のα−シクロデキストリン、7量体のβ−シクロデキストリン、8量体のγ−シクロデキストリンに分類することができる。シクロデキストリンの環状構造の内部には、疎水的環境にある空孔が形成されている。そして、シクロデキストリンの環状構造の外部は親水的であるため、疎水性の物質を包接させることで水中に可溶化させることができる。本実施形態に係る洗浄液では、環員数は特に限定されず、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、あるいはそれらの変性体のいずれも用いることができる。
シクロデキストリン誘導体としては、シクロデキストリン環の少なくとも一つのヒドロキシル基全体またはヒドロキシル基の水素原子が置換基によって置換された化合物が挙げられる。置換基としては、シクロデキストリン誘導体の水溶性を高めることのできる置換基であることが好ましい。置換基の具体例としては、例えば1個以上のヒドロキシル基を、−CHOH、−CHCHOH等で置換するヒドロキシアルキル基;1個以上のヒドロキシル基を−OAc,−OC(O)CHCH,−OC(O)(CHCH、−OC(O)(CHCH、−OC(O)CF、−OC(O)Ph等のような基で置換するアシル基;1個以上のヒドロキシル基を−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−OC(CH,−OPh等のようなアルコキシル基あるいはアリールオキシ基で置換するアルキル基及びアリール基;1個以上のヒドロキシル基を−OTs等で置換するトシル(4−メチルベンゼンスルホニル)又はその関連基;1個以上のヒドロキシル基を−OMs又は同種の基で置換するメシル(メタンスルホニル、Ms)又はその関連基;1個以上のヒドロキシル基を環式アミン及び芳香族アミンを含む第一、第二又は、第三アミン基のような基で置換するアミノ基;1個以上のヒドロキシル基を−N又は同種の基で置換するアジド基;1個以上のヒドロキシル基を−F,−Cl,−Br又は−Iで置換するハロ置換基;1個以上のヒドロキシル基を−ONOで置換するニトロ基;1個以上のヒドロキシル基を−OPO、−OPO(ここでRはアルキル又はアリールである)、−OPOHRのような基で置換するか、または2個の隣接するヒドロキシル基が−OP(O)(CH)O−又は同種の基で置換するリン含有基
;イミダゾール基及びその誘導体;ピリジン基及びその誘導体;1個以上のヒドロキシル基が−SCH、−SCHCH、−S(CHCH、−SC(CH、−OSO Na、−OCHSO Na、−OCHCHSO Na、−O(CHSO Na等のような基で置換する含硫官能基;アルコール、アルデヒド、ケトン、又はオキシム基;カルボン酸基及びその誘導体;カーボネート及びカルバメート基;1個以上のヒドロキシル基が−OSi(CH、−OSi(CHH、−CHOSi(CH、−CHOSi(CHH、−OB(CHCH、−CHOB(CHCH、−CHOSn((CHCH等のような基で置換するケイ素、ホウ素又はスズ含有基;ヒドロキシルエチル基、ヒドロキシルプロピル基等のようなヒドロキシルアルキル基;または任意の適当な置換基を挙げることができる。置換基によるシクロデキストリン環のヒドロキシル基あるいは水素原子の置換量(置換基モル数/グルコース1モル)は、特に制限されないが、1モル以上2.5モル以下であることが好ましい。
また、包接担体には、2種以上の包接化合物が担持されてもよい。包接化合物は、その種類によって内包できる分子のサイズや種類が異なっている。そのため、包接化合物を2種以上含むことにより、内包させたい化合物又は基が複数種である場合などにそれぞれの化合物を分担して内包することができる。
このような複数種の包接化合物を担持させる場合の好ましい具体例としては、α−シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンとの組合せ、α−シクロデキストリンとγ−シクロデキストリンとの組合せ、β−シクロデキストリンとγ−シクロデキストリンとの組合せ、α−シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンとγ−シクロデキストリンの組合せ等が挙げられる。
なお、包接担体は、シクロデキストリンポリマービーズ(例えば、株式会社:環境工学社製)のように、包接化合物自体が担体と一体となっていてもよい。このようなシクロデキストリンポリマービーズは、例えば、特許第4888879号等の公知文献に記載された方法により得ることができる。係る方法によって合成された、シクロデキストリンポリマービーズは、エピクロロヒドリンで架橋された構造を有する。
包接担体は、担持している包接化合物により、疎水性の分子又は疎水性の基等をトラップできるため、例えば、樹脂成分の残モノマー等の不純物、液体組成物に容器等から溶解した疎水性基を有する分子、微量の色素分子、及び/又は、色素類似体等をトラップすることができる。
本実施形態の液体組成物に包接担体を配合する場合の含有量は、特に限定されず、包接する対象(例えば疎水性分子)の予想される濃度に合わせて配合される。包接担体の含有量は、例えば、0.00001質量%以上10質量%以下、好ましくは0.0001質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上1質量%以下である。
1.4.5.その他の化合物
重合開始剤、キレート剤、防腐剤、pH調整剤(例えば、モルホリン類、ピペラジン類、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類等)、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤等については、公知の物質を用いることができる。
1.5.DNA担体の変形
上述のDNA担体には、上述の包接化合物が担持されていてもよい。DNA担体に包接化合物を担持させる手法は、上述の包接担体で説明した方法に準じる。DNA担体に包接化合物を担持させた場合には、DNA担体によって、液体組成物に含まれる平板状の骨格
を有する分子及び疎水性の分子又は疎水性の基等をトラップすることができる。また、DNA担体に包接化合物を担持させた場合でも、液体組成物に上述の包接担体を含有させることは妨げられない。DNA担体に包接化合物を担持させる場合の、DNA、修飾DNA、包接化合物の比率は、特に限定されず、目的に応じて設定され得る。
1.6.用途等
本実施形態の液体組成物の用途は、特に限定されないが、塗料、インキ、インクジェットインク等として用いられてもよい。係る用途に使用される際には、適宜に希釈、濃縮等を行って用いてもよい。さらに、液体組成物から、DNA担体や包接担体を除去して用いてもよい。
例えば、本実施形態の液体組成物は、溶媒として水を含む(水系の)インクジェットインクとして用いることができる。また、本実施形態の液体組成物は、溶媒として有機溶剤を含む(油系の)インクジェットインクとして用いることができる。
本実施形態の液体組成物をインクジェットインクとして用いる場合には、例えば、組成や配合を調節することで、粘度を好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは3〜15mPa・sとする。また、本実施形態の液体組成物をインクジェットインクとして用いる場合には、そのまま用いてもよいが、液体組成物から適宜の手段によりDNA担体や包接担体を除去(回収)して用いてもよい。このような除去手段としては、フィルターによる捕集や、担体が磁性体を含む場合には磁力の印可による捕集が挙げられる。また、このようなDNA担体や包接担体の除去(回収)手段は、インクジェット記録装置に設けられてもよく、インクジェット記録装置のノズルから吐出されるまでの任意の段階で行われるようにしてもよい。
1.7.作用効果等
本実施形態の液体組成物は、デオキシリボ核酸、及び/又は、修飾デオキシリボ核酸によって、平板状の骨格を有する分子をトラップし、DNA担体に捕集することができる。これにより、色材に由来する異物(例えば色素分子類似体)を除去ないし低減することができ、色材に由来する異物を発生させにくいので、保存安定性が良好である。
このような本実施形態の液体組成物の効果は、溶媒が水系である場合、DNA担体がDNAを担持していると顕著となる。また、本実施形態の液体組成物の効果は、溶媒が油系である場合、DNA担体が修飾DNAを担持していると顕著となる。さらに本実施形態の液体組成物の効果は、DNA担体がDNA及び修飾DNAを担持している場合には、溶媒が水系である場合でも油系である場合でも顕著となる。
一方、本実施形態の液体組成物のDNA担体に包接化合物が担持された場合、及び、本実施形態の液体組成物に包接担体が含有された場合には、上述の効果に加えて、樹脂に由来する不純物、液体組成物に容器等から溶解した疎水性基を有する分子、微量の色素分子、及び/又は、色素類似体等を、包接化合物によってトラップすることができ、包接担体に捕集することができる。
なお、上述の有機溶剤は、疎水基を有しているため、溶媒の疎水基を包接化合物がトラップする場合もあるが、包接化合物の内部空洞の大きさを選択する等により、液体組成物が油系である場合でも係る効果を得ることができる。またそのため、係る効果は、液体組成物が水系である場合により得られ易い。
また、本実施形態の液体組成物をインクジェットインクとして用いる場合には、色素類似体に由来する異物、顔料のスタック構造から脱離した微量の色素分子に由来する異物、
樹脂の不純物に由来する異物、インクジェット記録装置の部材から液体組成物(インク)に溶出した不純物(例えば、ステアリン酸(塩))に由来する異物、及び/又は、これらの不純物が混合してなる異物をDNA担体や包接担体によってトラップすることができ、インクジェット記録装置内で異物を発生しにくくすることができる。さらに、係る不純物をトラップしたDNA担体や包接担体は、容易に回収することができる。そのため、本実施形態の液体組成物(インクジェットインク)によれば、保存安定性がよいとともに、インクジェット記録における吐出安定性を良好に保ち、高品質の記録を行うことができる。
2.液体の精製方法
本実施形態の液体の精製方法は、混合工程と、回収工程と、を含む。本実施形態の精製方法によって精製される液体は、平板状の骨格を有する分子からなる色材、及び溶媒を含む。係る色材及び溶媒は、上述の「1.液体組成物」の項で説明したと同様であり、詳細な説明を省略する。
また、本実施形態の精製方法によって精製される液体は、平板状の骨格を有する分子からなる色材以外の色材、樹脂、界面活性剤、重合開始剤、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤等が挙げられ、液体組成物の用途に応じて適宜配合することができる。本実施形態の精製方法によって精製される液体は、例えば、上述の「1.液体組成物」の項で述べた液体組成物から、DNA担体や包接担体を除いたものに相当する。
2.1.混合工程
混合工程では、精製する対象である液体に対して、DNA担体、又は、DNA担体及び包接担体を混合する。DNA担体及び包接担体は、「1.2.DNA担体」、「1.4.4.包接担体」、「1.5.DNA担体の変形」で説明したと同様であり、詳細な説明を省略する。なお、「2.液体の精製方法」項では、DNA担体及び包接担体を合わせてDNA担体等と称することがある。
混合工程は、DNA担体等が液体に接触すればよく、液体と、DNA担体等とを混合できれば、いかなる態様で行われてもよい。例えば、容器に液体を入れた状態で、DNA担体を粉体又は分散体として該容器に入れて、必要に応じて振とう、撹拌をして行ってもよい。また、DNA担体等をカラムに充填して固定相とし、液体を流動相として、係るカラムに流通させることによって混合工程としてもよい。さらに、DNA担体等が磁性体を含む場合には、液体を入れた容器にDNA担体等を入れて、外部から磁力を印可してDNA担体等を揺動させることで混合してもよい。なお、DNA担体等を分散体として混合する場合には、液体の溶媒と相溶する分散溶媒を用いることが好ましい。
混合工程を行うことにより、液体中の不純物をDNA担体にトラップすることができる。具体的なトラップの態様は、DNA担体により、色素類似体等がトラップされ、液体に樹脂の残モノマー等が含まれている場合であって、DNA担体に包接化合物が担持されているか、混合工程で包接担体を混合する場合には、DNA担体及び/又は包接担体によって残モノマー等がトラップされる。
混合工程は、加熱及び/又は冷却されて行われてもよい。混合工程における温度を変化させることで、DNAや包接化合物と不純物とがトラップ(インターカレート又は包接)された状態と、DNAや包接化合物と不純物とがリリース(脱インターカレート又は放出)された状態との間の平衡定数を変化させることができるため、不純物を除去する効率を調節することができる。また、混合工程の温度と、回収工程の温度とを異なる温度としてもよく、平衡定数等を考慮して適宜に設計され得る。
混合工程においてトラップされた不純物は、DNA担体等からリリース(放出)されにくく、液体とDNA担体等とが分離する際には不純物は、DNA担体等とともに液体中から取り除かれることになる。
2.2.回収工程
回収工程では、DNA担体等が混合された液体から、DNA担体等を回収する。回収工程は、混合工程の後に行われる。ここで回収とは、DNA担体等を、液体から取り出した状態と、液体中で集める状態の両者を含む。したがって、回収工程では、必ずしも液体とDNA担体等とを分離する必要はない。
回収工程は、例えば、DNA担体等をフィルターにより捕集することで行うことができる。フィルターとしては、DNA担体等を捕集できる程度の目開きを有するものであれば何ら限定されない。また、回収工程は、DNA担体等が磁性体を含む場合には、混合工程で得られた混合物に対して磁力を印可することにより行われてもよい。磁力は、例えば永久磁石、電磁石等により印可することができ、必要に応じて、磁力の揺動等を行ってもよい。
より具体的な例として、回収工程は、管(チューブ)等の流路にフィルターを設け、係る流路に混合工程で得られた混合物を流すことにより行うことができる。また、例えば、回収工程は、混合工程で得られた混合物を流す流路に、流路の外側から磁力を印可することで行うことができる。これにより、DNA担体等は少なくとも液体内で固定され回収される。
このようにして回収されたDNA担体等は、適宜の方法によって液体から分離されてもよく、必要に応じて、再生して利用することができる。
2.3.作用効果等
本実施形態の液体の精製方法によれば、液体に含まれる色材に由来する異物を効果的に除去ないし低減することができる。すなわち、混合工程においてデオキシリボ核酸、及び/又は、修飾デオキシリボ核酸によって、平板状の骨格を有する分子をトラップし、DNA担体に捕集し、回収工程においてDNA担体を回収することができる。これにより、液体から色材に由来する異物(例えば色素分子の類似体)を除去ないし低減することができ、効果的に液体を精製することができる。
また、混合工程において、DNA担体に包接化合物が担持されているか、混合工程で包接担体を混合する場合には、色材に由来する不純物の他にも、液体に樹脂が含まれる際の残モノマー等の不純物、及び/又は、液体に容器等の外部から溶解した疎水性基を有する分子等の不純物をトラップでき、DNA担体等を回収することができる。これにより、各種の不純物を除去ないし低減することができ、効果的に液体を精製することができる。
2.4.インクジェットインクの精製方法
本実施形態の液体の精製方法は、液体がインクジェットインクである場合にも好適に適用できる。液体がインクジェットインクである場合においても混合工程や回収工程は上記と同様に行うことができるが、さらに、インクジェット記録装置において、本実施形態の精製方法を行うこともできる。
インクジェット記録装置としては、特に限定されないが、例えば、所定の画像に対応してノズルからのインクの吐出タイミング及びノズルと媒体との相対位置を制御して、媒体の所定の位置にインクを付着させることができるものである。ノズルからのインクの吐出方式も限定されず、例えば、静電吸引方式、ピエゾ方式、サーマルジェット方式等であれ
ばよい。また、ノズルと媒体の相対位置を変化させる方式として、いわゆるシリアル型であってもライン型であってもよい。なお典型的なインクジェット記録装置としては、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、及びキャリッジを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルを有しており、ノズルは付属又は別体のインクカートリッジ(インク収容容器)に連通して、係るカートリッジのインクを吐出する。
このようなインクジェット記録装置において、液体(インクジェットインク)を精製する場合、精製方法における混合工程は、カートリッジに液体を導入する前、カートリッジに液体を入れた状態、インク流路の途中、等において行うことができる。そして、このようなインクジェット記録装置において、液体(インクジェットインク)を精製する場合、精製方法における回収工程は、インクカートリッジ、インク流路等において行うことができる。
なお、ここで「インク流路」とは、インクジェット記録装置において、インクを流通させるための流路をいう。インク流路としては、例えば、インクを貯留するインク収容容器からインクジェット式記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給路や、記録ヘッド内においてインクをノズル開口部まで流通させるための流路が挙げられる。
一例として、インクジェットインクの精製方法の混合工程をインクカートリッジで行い、インクカートリッジのインク排出口にフィルターを設けるか、外部から磁力を印可して回収工程を行ってもよい。また、一例として、インクジェットインクの精製方法の混合工程をインクカートリッジで行い、インクカートリッジから記録ヘッドまでのインク流路にフィルターを設けるか、外部から磁力を印可して回収工程を行ってもよい。
インクジェットインクは、微細な記録ヘッドから吐出されて用いられるため、異物の生成を抑制する要請が非常に強い。そのため、インク流路の終端であるノズルの近傍まで異物が発生しにくくすることが望ましい。既に述べたが、色素類似体は、色素分子のスタックから経時的に遊離するため、インクジェットインクにおいては、DNA担体等を回収するタイミングは、できるだけ吐出に近い方が好ましい。したがって、精製方法における回収工程のタイミングは、記録ヘッドの機能を損なわない範囲で遅いほどよい。
同様の観点から、インクジェット記録装置にインクジェットインクを充填した状態で長期間使用せずに放置する場合においても、回収工程は、インクジェット記録装置による記録を再開する直前に行うことが好ましい。このようにすれば、装置を使用しない期間は混合工程を経た状態で経過するため、経時的に増加する不純物をトラップし続けることができ、異物の発生を抑制することができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.水性インクの調製
表1に示す水性インクは、下記に従って作製した。表1に示す材料を、表1に示す含有量(単位:質量%)で、それぞれ混合し十分に撹拌した。この混合液を孔径5μmの金属フィルターでろ過した後、真空ポンプを用いて脱気処理して、実施例及び比較例で用いる各水性インクを得た。なお、表1に示す各成分の略称は以下の通りである。
・ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、商品名「スーパーフレックス150」
・BYK348(ビックケミージャパン株式会社製)
Figure 2016104826
また、表2に示す水性インクは、下記に従って作製した。まず、分散染料としてC.I.ディスパースレッド60(DR60)と、アニオン性界面活性剤としてのリグニンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(日本製紙ケミカル社製、商品名「パールレックスDP」)と、イオン交換水とからなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散処理を行った。分散処理後、イオン交換水を用いて希釈し、次いで、該分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルター孔径0.5μm)でろ過し、粒子サイズの大きい成分を除去することで水性分散体を得た。次に、上記のようにして得られた水性分散体と、表2に示す材料とを所定の割合で混合することにより、各水性インクを得た。
Figure 2016104826
3.2.油性インクの調製
表3に示す油性インクを、下記に従って作製した。まず容器に、表3に示す含有量(単位:質量%)で、有機溶剤を混合し、スターラーを用いて30分間撹拌した。次に、得られた混合溶剤の一部を取り分けて、Solsperse37500(LUBRIZOL社製)およびシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、クラリアント社製)を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて粉砕処理した。その後、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルで分散処理を行うことにより、顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液に、有機溶剤の残部よび表3に記載の材料を所定量添加し、さらに1時間混合撹拌してから、5μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過することで、表3に記載の各油性インクを得た。なお、表3に示す各成分の略称は以下の通りである。
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(日信化学工業株式会社製、商品名「ソルバインCL」)
・BYK315(ビックケミージャパン株式会社製)
・パラロイドB60(ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)
・エクアミドM100(出光興産株式会社製、塩化ビニル膨潤剤)
Figure 2016104826
3.3.水性インクの精製用DNA担体の調製
機能性ナノ磁性粒子FG beads(多摩川精機株式会社製:型式TAS8848N1010)に二本鎖DNAを固定化(担持)した。固定化は、多摩川精機株式会社が提唱する実験プロトコルに従って行った。この操作により、2μg/mg beadsの濃度で二本鎖DNAが固定化される。
このようにして作製したDNA担体(DNAビーズ)を水性インクに加えると、インク中に溶解している微量の色素分子及び色素類似体分子が、担体上に固定化された二本鎖DNA中にインターカレートするため、インクから除去できる。
3.4.油性インクの精製用脂質修飾DNA担体の調製
パラトルエンスルホン酸−水和物の存在下で、n−ドデカノールとL−アラニンから人工脂質を合成した。生成物は赤外線分析、核磁気共鳴の機器分析結果および元素分析値に基づき同定した。次に、上記で作製した水性インク精製用DNA担体(DNAビーズ)中のリン酸アニオンに対して、1.2当量の人工脂質を反応させた。反応はDNAビーズを含む水溶液に人工脂質水溶液を滴下することで行った。反応後、DNAビーズを反応液中から取り出し、イオン交換水を用いてDNAビーズを洗浄することで、脂質が修飾されたDNAビーズを得た。
このようにして作製した脂質修飾DNA担体(脂質修飾DNAビーズ)を油性インクに加えると、インク中に溶解している微量の色素分子ならびに色素類似体分子が、ビーズ上に固定化された二本鎖DNA中にインターカレートするため、インクから除去できる。
3.5.水性インクの精製用シクロデキストリンポリマー担体の調製)
α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンのそれぞれから成る3種類のシクロデキストリンポリマービーズ(株式会社:環境工学社製)を用いた。シクロデキストリンポリマービーズを水性インクに加えると、インク中に溶解している微量の色素分子ならびに色素類似体分子がシクロデキストリンに包接されるため除去できる。
3.6.水性インクの評価
以下(1)、(2)の評価(不純物評価/保存安定性評価)を行う前に、各水性インク100gに対し、10mgのDNAビーズ、又はα−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、β−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、γ−シクロデキストリンポリマービーズ10mgの合計30mgを各水性インクに加え、12時間撹拌した後、ビーズを取り除くことで各水性インクを精製した。
(1)不純物の評価
上記ビーズ処理により精製した各水性インクを超遠心分離機(日立工機株式会社製 CP80NX)により、80000rpm、1時間の条件で超遠心分離し、インク中の色素分散体を沈降させた後、上澄み溶液を回収した。次に、上澄み溶液を希釈溶液(純水94%、アセトニトリル1%、100mM酢酸アンモニウム5%)で1000倍に希釈した後、高速液体クロマトグラフィーUPLC(日本ウォーターズ株式会社製:ACQITY UPLC H−Class)を用いてグラジエント解析を行った。解析は2998 PDA(日本ウォーターズ株式会社製)を用いて行い、不純物に由来するピークが検出されるかどうかで不純物の有無を判定し、結果を表に記載した。なお、UPLCのカラムは日本ウォーターズ社製のODSカラムBEH−C18(1.7μm)を用いた。
(2)保存安定性の評価
上記ビーズ処理により精製した各インク組成物40gを50cc容のガラス瓶に入れ密栓した後に、これらのガラス瓶を60℃の恒温槽内に入れ、7日間放置した。7日後に取
り出し、室温に戻した後、DVM−E型回転粘度計(東京計器株式会社製)を用いて25℃での粘度を測定した。そして、事前に測定した初期粘度に対する、7日間放置後の粘度の変動率を計算した。評価基準は以下の通りであり、結果を表に記載した。
A:±3%未満
B:±3%以上±5%未満
C:±5%以上
D:±10%以上
(3)目詰まり放置回復性の評価
各水性インク100gに対し、10mgのDNAビーズ、又はα−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、β−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、γ−シクロデキストリンポリマービーズ10mgの合計30mgを各水性インクに加え、12時間撹拌した後、ビーズを取り除いていない各水性インク(液体組成物)を、インクジェットプリンターの専用カートリッジにそれぞれ充填した。そして、該カートリッジをインクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に装着し、10分間連続して印刷し、全てのノズルから正常にインクが吐出していることを確認した。
次に、インクカートリッジを取り外し、記録ヘッドをヘッドキャップから外した状態で、50℃の環境下に3ヶ月間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまで、クリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により回復性を評価した。なお、液体に含まれる各種ビーズは、プリンター内で回収され、印刷に影響を与えない。評価基準は以下の通りであり、結果を表に記載した。
A:ヘッドクリーニング2回以内で初期と同等に印刷できる
B:ヘッドクリーニング3回以上4回以下で初期と同等に印刷できる
C:ヘッドクリーニング5回以上10回以下で初期と同等に印刷できる
D:ヘッドクリーニング10回以内では初期と同等の印刷ができない
(4)吐出安定性の評価
各水性インク100gに対し、10mgのDNAビーズ、又はα−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、β−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、γ−シクロデキストリンポリマービーズ10mgの合計30mgを各水性インクに加え、12時間撹拌した後、ビーズを取り除いていない各水性インク(液体組成物)を、インクジェットプリンターの専用カートリッジにそれぞれ充填した。そして、該カートリッジをプリンターPX−G930に装着して、35℃で湿度35%RHの雰囲気下において、A4版のXerox P(商品名、富士ゼロックス株式会社製)に、マイクロソフトワード文章(文字サイズ11、標準、MSPゴシック)を4000字/頁の割合で、500頁印刷を行った。500頁目の文章に関して、下記評価基準に従って吐出安定性の評価を行った。なお、インクと共にカートリッジに充填した各種ビーズはプリンター内で回収されるため印字に影響を与えない。評価基準は以下の通りであり、結果を表に記載した。
A:全く印字乱れがない
B:1〜3カ所の印字乱れがある
C:3〜9カ所の印字乱れがある
D:10カ所以上の印字乱れがある
(5)画質の評価
表1に示す各水性インク100gに対し、10mgのDNAビーズ、又はα−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、β−シクロデキストリンポリマービーズ10mg、γ−シクロデキストリンポリマービーズ10mgの合計30mgを各水性インクに加え、12時間撹拌した後、ビーズを取り除いていない各水性インク(液体組成物)を、インクジェットプリンターの専用カートリッジにそれぞれ充填した。そして、該カートリッジを
プリンターPX−G930に装着して、所定の印刷パターンでA4版のXerox P用紙(商品名、富士ゼロックス株式会社製)に印刷した。その後、得られた印刷物のOD値をX−rite eye−one(X−rite社製)で測定した。各色の評価基準を以下に示す。なお、インクと共にカートリッジに充填した各種ビーズはプリンター内で回収されるため印字に影響を与えない。評価基準は以下の通りであり、結果を表に記載した。
A:OD値が1.0以上
B:OD値が0.95以上1.0未満
C:OD値が0.9以上0.95未満
D:OD値が0.9未満
3.7.油性インクの評価
以下(1)、(2)の評価(不純物評価/保存安定性評価)を行う前に、各油性インク100gに対し、10mgの脂質修飾DNA担体(資質修飾DNAビーズ)を油性インクに加え、12時間撹拌した後、ビーズを取り除くことで各油性インクを精製した。
(1)不純物の評価
インクの上澄み溶液の希釈にメタノールを用いた以外は、水性インクと同様の方法でHPLC解析を行い不純物の有無を判定し、結果を表に記載した。
(2)保存安定性の評価
水性インクと同様の方法でインクの保存安定性を評価した。
(3)吐出安定性の評価
各インク組成物ならびに脂質修飾DNAビーズ(10mg)を、インクジェットプリンターの専用カートリッジに充填した。そして、該カートリッジをインクジェットプリンターSP−300V(ローランドDG社製)に装着して、10時間特定パターンの印刷を連続して行った。この際、印刷時のヒーター設定温度は50℃とし、Duty200%の条件で光沢ポリ塩化ビニルシートSV−G−1270G(ローランドDG社製)上に印刷を行った。10時間後に印刷した特定パターンに関して、下記評価基準に従って吐出安定性の評価を行った。なお、インクと共にカートリッジに充填した脂質修飾DNAビーズはプリンター内で回収されるため印字に影響を与えない。評価基準は以下の通りであり、結果を表に記載した。
A:印字パターンに乱れがない
B:1〜3カ所、印字パターンに乱れがある
C:3〜9カ所、印字パターンに乱れがある
D:10カ所以上、印字パターンに乱れがある
なお、本明細書において「Duty値」とは、下式で算出される値である。
Duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
3.8.評価結果
各表の結果から明らかなように、本発明に係る液体組成物(ビーズが混合された状態の各インク)及び液体(各インク)の精製方法によれば、インク流路における異物の発生を効果的に抑制できることが判った。また、異物の発生を抑制することにより、記録ヘッドからの吐出安定性を高く、安定した印字パターンを長期にわたって得られることが判明した。
なお、実施例1、2をみると、顔料濃度を高くすると、顔料表面から溶解する不純物が
多くなることが予想できるが、DNAビーズによる精製処理により、十分に異物の発生が抑制できていることがわかる。また、実施例2、3をみるとインク中の溶剤成分の量が増えることで、顔料表面から溶解する不純物が多くなると予想できるが、溶剤の添加量を上げることで、インク中に含まれる遊離の分散樹脂成分の溶解性が向上し、分散樹脂由来の異物を抑制することができることがわかる。そのため実施例2、5、8のB評価は、実施例3、6、9ではA評価に変わったものと考えられる。なお、溶剤量の増加に伴い、顔料表面から溶解する色素分子や色素類似体といった不純物の量が多くなると予想できるが、増加分についてもDNAビーズにより低減されるため、色素由来の異物の発生を抑制することができる。また、ビーズ処理がない場合(各比較例)には、不純物の溶解量が増えるため、インクの相溶性が向上する効果を打ち消してしまいインクの信頼性が悪化することが分かった(比較例3、4)。
また、実施例2と3とを比較すると、溶剤量の増加により、顔料表面から溶け出す色素分子や色素類似体の量は、実施例2よりも3の方が多くなると考えられるが、そのような場合でも、DNAビーズにより、増加分が除去できることが示された。加えて、もともと顔料インク中に浮遊している遊離の分散樹脂や顔料表面からはがれた分散樹脂の溶解性が溶剤量の増加により向上し、これらの分散樹脂の凝集が抑制されていると考えられる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (17)

  1. 平板状の骨格を有する分子からなる色材と、
    デオキシリボ核酸及び修飾デオキシリボ核酸の少なくとも一種が担持されたDNA担体と、
    溶媒と、
    を含む、液体組成物。
  2. 請求項1において、
    前記色材は、前記溶媒に完全には溶解しない、液体組成物。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記色材は、顔料、分散染料及び昇華染料から選択される少なくとも一種である、液体組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記DNA担体は、磁性体を含む、液体組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記溶媒は、有機溶剤を含み、
    インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクである、液体組成物。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記溶媒は、水を含み、
    インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクである、液体組成物。
  7. 請求項6において、
    前記DNA担体には、さらに包接化合物が担持されている、液体組成物。
  8. 請求項6又は請求項7において、
    包接化合物が担持された包接担体をさらに含む、液体組成物。
  9. 平板状の骨格を有する分子からなる色材、及び溶媒を含む液体に、デオキシリボ核酸及び修飾デオキシリボ核酸の少なくとも一種が担持されたDNA担体を混合する混合工程と、
    前記DNA担体が混合された前記液体から、前記DNA担体を回収する回収工程と、
    を含む、液体の精製方法。
  10. 請求項9において、
    前記色材は、前記溶媒に完全には溶解しない、液体の精製方法。
  11. 請求項9又は請求項10において、
    前記色材は、顔料、分散染料及び昇華染料から選択される少なくとも一種である、液体の精製方法。
  12. 請求項9ないし請求項11のいずれか一項において、
    前記回収工程では、前記DNA担体をフィルターを用いて回収する、液体の精製方法。
  13. 請求項9ないし請求項12のいずれか一項において、
    前記DNA担体は、磁性体を含み、
    前記回収工程では、磁力によって前記DNA担体を回収する、液体の精製方法。
  14. 請求項9ないし請求項13のいずれか一項において、
    前記溶媒は、有機溶剤を含み、
    前記液体は、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクである、液体の精製方法。
  15. 請求項9ないし請求項13のいずれか一項において、
    前記溶媒は、水を含み、
    前記液体は、インクジェット記録装置に用いられるインクジェットインクである、液体の精製方法。
  16. 請求項15において、
    前記DNA担体には、さらに包接化合物が担持されている、液体の精製方法。
  17. 請求項15又は請求項16において、
    包接化合物が担持された包接担体を混合する工程を含む、液体の精製方法。
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JP2019156874A (ja) * 2018-03-07 2019-09-19 セイコーエプソン株式会社 圧着被記録媒体用インクジェットインク組成物及び形成方法
JP2022067107A (ja) * 2020-03-18 2022-05-02 ダイキン工業株式会社 非フッ素共重合体組成物および紙用耐油剤

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