JP2015052084A - インクジェットインク組成物、画像記録方法、及び画像記録物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦性及び柔軟性に優れた画像を記録することができるインクジェットインク組成物、並びに、これを用いた画像記録方法及び画像記録物を提供する。
【解決手段】数平均分子量が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子と、下記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物と、着色剤と、水と、を含有するインクジェットインク組成物である〔Q:n価の連結基、R:水素原子又はメチル基、n:2以上の整数〕。

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物、画像記録方法、及び画像記録物に関する。
従来、ガラス、金属、プラスチック等の非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しては、フレキソ印刷等のアナログ印刷が行なわれていたが、近年では、小ロット、多品種、短納期、及び低コストという観点から、インクジェット印刷によるデジタル印刷も行なわれている。
インクジェット印刷、即ち、インクジェット方式による画像記録に用いられるインクジェットインク組成物(以下、適宜「インク」という。)としては、溶媒として溶剤を用いた溶剤系のインクのほか、地球環境や作業環境に配慮する点から、溶媒として水を用いた水系のインクが注目されている。
水系のインクとしては、以下のインクが知られている。
例えば、メンテナンス性及びメンテナンス後の再吐出性に優れたインクとして、特定の構造を有し、かつ、SP値が8.80(cal/cm1/2以上14.0(cal/cm1/2以下の重合性化合物に由来する構造単位から選択される1種以上と、酸性基を有する構造単位及び酸性基の塩を有する構造単位から選択される1種以上と、からなる樹脂粒子、(メタ)アクリルアミド構造を有する重合性化合物、水、顔料、及び重合開始剤を含有するインクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、吐出回復性に優れ、記録した画像の耐溶剤性及び定着性に優れたインクとして、特定の基を有する繰り返し単位と、親水性基を有する繰り返し単位と、を有する重合体、ラジカル重合性化合物、水、及び色材を有するインクが知られている(例えば、特許文献2参照)。
布帛着弾時に滲みが抑制され、連続吐出安定性に優れるインクとして、インクの全量に対して15〜50質量%の多官能重合性モノマーと、沸点が180〜250℃であり、かつ、含有量がインクの全量に対して15〜40質量%である高沸点溶媒と、沸点が180℃未満であり、かつ、含有量が上記高沸点溶媒の含有量以上である低沸点溶媒と、を含み、25℃におけるインク粘度(V1)と、インクから上記低沸点溶媒を除いた残部の25℃における粘度(V2)との比(V2/V1)が20以上であるインクが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、硬化性に優れ、得られる画像の柔軟性及び耐ブロッキング性に優れるインクとして、パーフルオロアルキル基含有ポリマー、重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有し、上記重合性モノマーの80重量%以上が、単官能アクリレート類、単官能メタクリレート類、単官能ビニルオキシ化合物、単官能N−ビニル化合物、単官能アクリルアミド類、及び単官能メタクリルアミド類よりなる群から選択される単官能重合性モノマーであるインクが知られている(例えば、特許文献4参照)。
インク非吸収性又は低吸収性の繊維で形成された不織布等に対して、手触り感等の風合いがよく、優れた耐擦過性を有する画像を形成させる画像形成方法に用いられるインクとして、ポリマー粒子、インク全量に対する比率が0.5質量%以上8質量%未満であるワックス粒子、着色剤、及び水を含有するインクが知られている(例えば、特許文献5参照)。
また、保存安定性及び画像形成後の硬化性に優れたインクとして、分子内に重合性基として4つのアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を有する重合性化合物、及び重合開始剤を含有するインクが知られている(例えば、特許文献6参照)。
特開2013−064074号公報 特開2012−162656号公報 特開2012−158683号公報 特開2009−084419号公報 特開2013−082209号公報 特開2013−018846号公報
ところで、近年、水系のインクでは、画像の耐擦性(耐擦過性や耐摩擦性とも呼ばれている)を向上させるために、水溶性のバインダーや水不溶性のポリマー粒子を含有させる試みがなされているが、十分といえる程度の耐擦性を得るまでには至っていない。
また、光硬化性のモノマーやオリゴマー等を含有する光硬化性のインクを用いて、耐擦性に優れた画像を記録する方法も検討されている。
しかしながら、この方法によれば、記録された画像が硬くなりすぎる場合があり、その結果、画像が記録された記録媒体を曲げ変形させたときに、記録媒体の曲げ変形に画像が追従できず、画像が割れてしまうことがある。このような画像の割れは、例えば、非吸収性又は低吸収性であり、かつ、曲げ変形可能な(例えば、厚さがある程度薄い)記録媒体に対して、大液滴で吐出して画像を記録する場合に、特に問題となりやすい。
そのため、耐擦性だけでなく、画像が記録された記録媒体を変形させたときの画像の割れを抑制すること、即ち、柔軟性(記録媒体の変形に対する追従性)にも優れる画像の記録を実現することができる水系のインクが所望されている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を記録することができるインクジェットインク組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を、高い生産性で記録することができる画像記録方法を提供することである。
さらに、本発明の目的は、上記画像記録方法によって得られ、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を備えた画像記録物を提供することである。
上記課題を解決するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 数平均分子量が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子と、下記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物と、着色剤と、水と、を含有するインクジェットインク組成物である。
式中、Qは、n価の連結基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。
<2> 上記nが、3以上の整数を表す<1>に記載のインクジェットインク組成物である。
<3> 上記多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物の含有量が、3質量%〜20質量%である<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物である。
<4> 30℃における粘度が、10mPa・s〜14mPa・sである<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<5> 上記水溶性高分子の含有量が、1質量%〜16質量%である<1>〜<4>のいずれかに1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<6> 上記水溶性高分子の数平均分子量が、8,000〜20,000である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<7> 上記水溶性高分子と上記多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物との質量比が、1:0.8〜1:6である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<8> 更に、HLBが3〜12であり、かつ、数平均分子量が1,000未満である界面活性剤を含有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドから10pL〜120pLの液滴量で吐出させることにより、記録媒体上に、上記インクジェットインク組成物を付与するインク付与工程を有する画像記録方法である。
<10> 上記記録媒体は、ASTM D570で規定される吸水率(24時間)が0.5%未満である<9>に記載の画像記録方法である。
<11> 上記記録媒体の厚さが、0.1μm〜1,000μmである<9>又は<10>に記載の画像記録方法である。
<12> 上記記録媒体が、プラスチック製の記録媒体である<9>〜<11>のいずれか1つに記載の画像記録方法である。
<13> 上記インクジェットヘッドの吐出面が、金属及びシリコンからなる群より選択される少なくとも一種を含む<9>〜<12>のいずれか1つに記載の画像記録方法である。
<14> 記録媒体上に、<9>〜<13>のいずれか1つに記載の画像記録方法により記録された画像を有する画像記録物である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「吐出性」(又は「吐出安定性」)とは、インクジェットノズルからのインクの吐出性(又は吐出安定性)を指す。
また、本明細書において「吐出性」との語は、ヘッドからインクを連続して吐出する際の「連続吐出性」及びヘッドからインクを間欠的に吐出する際の「間欠吐出性」の両方を包含する意味で用いられる。
本明細書において、「画像の柔軟性」とは、画像が記録媒体の変形に対して追従性を有することを意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を記録することができるインクジェットインク組成物が提供される。
また、本発明によれば、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を、高い生産性で記録することができる画像記録方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記画像記録方法によって得られ、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を備えた画像記録物が提供される。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
〔インクジェットインク組成物〕
本発明のインクジェットインク組成物(以下、適宜「インク」という。)は、数平均分子量が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子と、下記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物と、着色剤と、水と、を含有する。
以下、数平均分子量が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子は、適宜「特定水溶性高分子」という。
また、下記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物は、適宜「特定多官能(メタ)アクリルアミド」という。
一般式(1)中、Qは、n価の連結基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。
本発明のインクによれば、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を記録することができる。
本発明のインクでは、特定水溶性高分子と、特定多官能(メタ)アクリルアミドと、を併用する。特定多官能(メタ)アクリルアミドは、相溶性が良好で、硬化性に優れるため、インク中に含有させると、画像の耐擦性向上が期待できる。その反面、画像が硬くなり、画像の割れが生じやすくなると考えられる。
本発明のインクにおいては、画像の耐擦性向上を担う特定多官能(メタ)アクリルアミドを、画像の柔軟性向上に寄与(即ち、画像の可塑剤として機能)する特定水溶性高分子とともに含有させることで、優れた耐擦性と柔軟性とが両立した画像の記録が実現できるものと考えられる。
以下、本発明のインクの各成分について説明する。
<水溶性高分子>
本発明のインクは、数平均分子量(Mn)が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子(特定水溶性高分子)を含有する。
ここで、「水溶性高分子」とは、100gの水に対する溶解度(25℃)が1g以上である高分子化合物を意味する。
本発明において、特定水溶性高分子は、画像の柔軟性向上に寄与する成分(即ち、画像の可塑剤として機能する成分)である。また、特定水溶性高分子は、インクの粘度上昇に寄与する成分でもある。
上記水溶性高分子の数平均分子量(Mn)が1,000未満であると、画像のベタつきが生じるため、画像の耐擦性が低下する。また、所望とする粘度のインクを得るために、含有量を多くする必要が生じるため、インクの保存安定性が低下する懸念がある。
上記水溶性高分子の数平均分子量(Mn)が100,000を超えると、インクの吐出性が低下する。また、インクを製造すること自体が困難となる場合がある。
上記水溶性高分子の数平均分子量(Mn)の好ましい下限値は2,000であり、より好ましい下限値は4,000であり、更に好ましい下限値は6,000であり、特に好ましい下限値は8,000である。
一方、上記水溶性高分子の数平均分子量(Mn)の好ましい上限値は80,000であり、より好ましい上限値は60,000であり、更に好ましい上限値は40,000であり、特に好ましい上限値は20,000である。
上記水溶性高分子の数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により測定された値を指す。GPCは、測定装置としてHLC−8020GPC(東ソー(株)製)を、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、及びTSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、カラムオーブンの設定温度40℃の条件にて測定する。数平均分子量(Mn)の算出には、標準ポリスチレンを用いる。
本発明において、特定水溶性高分子は、画像の耐擦性及び画像の柔軟性をより向上させる観点から、標準状態(25℃、1気圧)で固体であることが望ましい。
本発明における水溶性高分子は、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体(以下、「エチレングリコール/プロピレングリコールブロック共重合体」ともいう。)からなる群より選択される少なくとも1種であり、インクの吐出性と保存安定性の観点から、ポリエチレングリコールであることが好ましい。
エチレングリコール/プロピレングリコールブロック共重合体は、好ましくは、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体である。ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体における、プロピレングリコールに由来する構造単位に対するエチレングリコールに由来する構造単位のモル比(以下、「モル比〔PEG/PPG〕」ともいう。)は、インクの吐出性の観点から、3.0以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましい。
なお、モル比〔PEG/PPG〕の上限は、特に制限されない。
特定水溶性高分子としては、市販品を用いてもよい。
特定水溶性高分子であるポリエチレングリコールの市販品の例としては、和光純薬工業社製のポリエチレングリコール2000(Mn:2,000)、ポリエチレングリコール4000(Mn:4,000)、ポリエチレングリコール20000(Mn:20,000)、ポリエチレングリコール100000(Mn:100,000);エムピーバイオメディカル社製のポリエチレングリコール8000(Mn:8,000)等が挙げられる。
特定水溶性高分子である、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体の市販品の例としては、ニューポールPE−68(Mn:8,800、モル比〔PEG/PPG〕=160/30)、ニューポールPE−78(Mn:3,400、モル比〔PEG/PPG〕=150/35)、ニューポールPE−108(Mn:16,500、モル比〔PEG/PPG〕=300/55)、ニューポールPE−128(Mn:25,000、モル比〔PEG/PPG〕=455/86)(以上、いずれも三洋化成工業社製)等が挙げられる。
本発明のインクは、上記特定水溶性高分子を、1種のみ含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。
本発明のインク中における上記特定水溶性高分子の含有量は、1質量%〜16質量%であることが好ましく、1質量%〜14質量%であることがより好ましく、2質量%〜12質量%であることが更に好ましく、3質量%〜9質量%であることが特に好ましい。
上記特定水溶性高分子の含有量が、上記範囲内であると、画像の柔軟性がより向上する。また、所望とする粘度のインクを得ることができるので、吐出安定性がより向上する。
<多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物>
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物(特定多官能(メタ)アクリルアミド)の少なくとも1種を含有する。
ここで、「(メタ)アクリルアミド」とは、メタクリルアミド及びアクリルアミドの少なくとも一方を意味する。
本発明において、特定多官能(メタ)アクリルアミドは、主に、画像の耐擦性向上に寄与する。特定多官能(メタ)アクリルアミドによれば、上述の特定水溶性高分子との相溶性が良く、良好に硬化するので、画像の耐擦性が向上する。
一般式(1)中、Qは、n価の連結基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。
一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物は、不飽和ビニル単量体がアミド結合により基Qに結合したものである。
は、水素原子又はメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
基Qの価数nは、耐擦性及び柔軟性に優れた画像の記録を実現させる観点から、2以上であり、重合効率が高く、画像の耐擦性及び画像の柔軟性をより向上させることができる点において、3以上6以下であることが好ましく、3以上5以下であることがより好ましく、3以上4以下であることが更に好ましい。
基Qとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基等の炭素数4以下の置換又は無置換のアルキレン基、飽和又は不飽和のヘテロ環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等)を有する2価以上の連結基、並びに、オキシアルキレン基(好ましくはオキシエチレン基)を含むポリオール化合物の2価以上の残基、オキシアルキレン基(好ましくはオキシエチレン基)を3以上含むポリオール化合物の2価以上の残基を例示することができる。
一般式(1)で表される化合物については、特開2013−43946号公報の段落[0019]〜[0034]、特開2013−43945号公報の段落[0070]〜[0080]等の記載を適宜参照することができる。
特定多官能(メタ)アクリルアミドの中でも、高い重合能及び硬化能を備える点で、下記一般式(2)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物(以下、単に「一般式(2)で表される化合物」ともいう。)が特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物は、分子内に重合性基として4つのアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を有している。また、一般式(2)で表される化合物は、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線等の活性エネルギー線や熱などのエネルギーの付与による重合反応に基づく硬化性を示す。一般式(2)で表される化合物は、水溶性を示し、水やアルコール等の水溶性溶剤に対して良好に溶解する。
また、一般式(2)で表される化合物は、インクの吐出性(特に、連続吐出性)の観点からみても好ましい。
一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。但し、Rにおいて、Rの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがRの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Rは、2価の連結基を表す。kは、2又は3を表す。x、y、zは、各々独立に、0〜6の整数を表し、x+y+zは、0〜18を満たす。
一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。複数のRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。Rは、水素原子であることが好ましい。
一般式(2)中、Rは、炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。複数のRは、互いに同じであっても異なっていてもよい。Rは、炭素数3〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3の直鎖のアルキレン基であることが特に好ましい。Rのアルキレン基は、更に置換基を有していてもよく、この置換基としては、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
但し、Rにおいて、Rの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがRの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Rは、酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とを連結する直鎖又は分岐のアルキレン基であり、このアルキレン基が分岐構造をとる場合、両端の酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とがアルキレン基中の同一の炭素原子に結合した、−O−C−N−構造(ヘミアミナール構造)をとることも考えられる。しかし、一般式(2)で表される化合物には、このような構造の化合物は含まれない。これにより、−O−C−N−構造の炭素原子の位置での分解が抑制される結果、インクの保存安定性をより向上させることができる。
一般式(2)中、Rは、2価の連結基を表す。Rの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、複素環基、又はこれらの組み合わせからなる基等が挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。なお、2価の連結基がアルキレン基を含む場合、このアルキレン基中には、更に−O−、−S−、及び−NR−から選ばれる少なくとも一種の基が含まれていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
がアルキレン基を含む場合、アルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。Rのアルキレン基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
のアルキレン基中には、更に−O−、−S−、及び−NR−から選ばれる少なくとも一種が含まれていてもよく、−O−が含まれるアルキレン基の例としては、−C−O−C−、−C−O−C−等が挙げられる。
のアルキレン基は、更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
がアリーレン基を含む場合、アリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる、Rのアリーレン基の炭素数は、6〜14であることが好ましく、6〜10であることが更に好ましく、6であることが特に好ましい。
のアリーレン基は、更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
が複素環基を含む場合、複素環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。Rが複素環基を含む場合、複素環基の具体例としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリン等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、及びチアジアゾールが好ましい。なお、上記で示した複素環基は、置換位置を省略した形で例示しているが、置換位置は限定されるものではなく、例えば、ピリジンであれば、2位、3位、及び4位で置換することが可能で、これらの置換体を全て含み得るものである。上記複素環基は、更に置換基を有していてもよく、置換基の例としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
一般式(2)中、kは、2又は3を表す。複数のkは、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、C2kは、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
一般式(2)中、x、y、zは、各々独立に、0〜6の整数を表し、0〜5の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましい。x+y+zは、0〜18を満たし、0〜15であることが好ましく、0〜9であることがより好ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例(重合性化合物a〜f)を下記に示すが、一般式(2)で表される化合物は、これらに限定されるものではない。
一般式(2)で表される化合物の合成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開2013−18846号公報の段落[0028]〜[0033]及び段落[0123]〜[0139]に記載されている方法によって合成することができる。
本発明のインクは、特定多官能(メタ)アクリルアミドを一種のみ含有していてもよいし、二種以上含有していてもよい。
特定多官能(メタ)アクリルアミドのインク中における含有量は、インクの総質量に対して、3質量%〜20質量%であることが好ましく、5質量%〜18質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
特定多官能(メタ)アクリルアミドの含有量が、上記範囲内であると、硬化反応が良好に進行し、画像全体が良好に硬化するため、画像の耐擦性がより向上する。
本発明のインクにおける上述の特定水溶性高分子と特定多官能(メタ)アクリルアミドとの質量比は、1:0.8〜1:6であることが好ましく、1:0.8〜1:4であることがより好ましく、1:1〜1:4であることが更に好ましい。
インク中における特定水溶性高分子の割合が多すぎると、画像の耐擦性が低下する。一方、特定多官能(メタ)アクリルアミドの割合が多すぎると、画像が硬くなりすぎて、画像が割れてしまう。画像が割れるという現象は、特に、より柔軟な記録媒体に対して画像を記録した場合に顕著となる。
特定水溶性高分子と特定多官能(メタ)アクリルアミドとの質量比が、上記範囲内であると、耐擦性及び柔軟性により優れた画像を記録することができる。また、インクの保存安定性がより良好なものとなる。
(その他の重合性化合物)
本発明のインクは、本発明の効果を損なわない範囲において、特定多官能(メタ)アクリルアミド以外に、その他の重合性化合物を含有していてもよい。
その他の重合性化合物としては、単官能(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられる。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、ジアセトンアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロペンアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−[1,1−ジメチル−2−(ソジオオキシスルホニル)エチル]アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、特開2013−18846号公報の段落[0041]〜[0050]の記載を適宜参照できる。
その他の重合性化合物としては、例えば、特開2011−46872号公報の段落[0149]〜[0169]に記載のノニオン性の重合性モノマー、カチオン性の重合性モノマーも挙げられる。
<着色剤>
本発明のインクは、着色剤を少なくとも1種含有する。
着色剤としては、顔料、染料等が好適であり、中でも画像の耐光性の観点から、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料又は無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか又は難溶であることが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系顔料、カーボンブラック系顔料等が挙げられる。
本発明のインクでは、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても、水相に分散可能であればいずれも使用可能である。顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も使用可能である。
本発明のインクにおいては、上記顔料の中でも、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、及びカーボンブラック系顔料が好ましい。
本発明のインクは、着色剤として水分散性顔料を含有してもよい。
水分散性顔料の具体例としては、下記(1)〜(4)の顔料が挙げられる。
(1)カプセル化顔料:ポリマー粒子に顔料を含有させてなるポリマー分散物、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散可能にしたもの
(2)自己分散顔料:表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラック等を表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたもの
(3)樹脂分散顔料:重量平均分子量50000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料:界面活性剤により分散された顔料
なお、カプセル化顔料は、例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。
また、自己分散顔料も好ましい例の1つである。自己分散顔料とは、多数の親水性官能基及び/又はその塩(以下、「分散性付与基」という。)を、顔料表面に直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、顔料分散用の分散剤を用いずに水性媒体中に分散可能な顔料である。ここで、「分散剤を用いずに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能なことをいう。
自己分散顔料は、市販品を使用してもよく、具体的には、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業社製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(商品名;キャボット社製)等が挙げられる。
−分散剤−
本発明のインクにおいて、着色剤として顔料を用いる場合には、分散剤を用いてもよい。
分散剤としては、ポリマー分散剤及び低分子の界面活性剤型分散剤が挙げられ、本発明のインクにおいては、これらのいずれを用いてもよい。また、ポリマー分散剤としては、水溶性又は非水溶性のいずれの分散剤を用いてもよい。
なお、「非水溶性」とは、分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることをいう。
低分子の界面活性剤型分散剤については、特開2013−82209号公報の段落[0044]〜[0048]の記載を参照することができる。
ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。
ポリマー分散剤のなかでも、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含む高分子化合物が好ましく、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等のようなカルボキシル基を含む高分子化合物が特に好ましい。
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜200,000の範囲が好ましく、5,000〜100,000の範囲がより好ましく、5,000〜80,000の範囲が更に好ましく、10,000〜60,000の範囲が特に好ましい。
ポリマー分散剤は、自己分散性の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、かつ、酸価が100mgKOH/g以下のポリマーであることが好ましく、カルボキシル基を有し、かつ、酸価が25mgKOH/g〜100mgKOH/gのポリマーであることがより好ましい。
顔料と分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)は、1:0.06〜1:3の範囲であることが好ましく、1:0.125〜1:2の範囲であることがより好ましく、1:0.125〜1:1.5の範囲であることが更に好ましい。
また、本発明のインクにおいては、顔料の表面の少なくとも一部が水溶性樹脂を架橋剤で架橋した架橋ポリマーで被覆された樹脂被覆顔料がより好ましい。水溶性樹脂は、顔料を分散させる分散剤として作用する。顔料が架橋ポリマーで被覆されていると、顔料分散物、又はこの顔料分散物を用いて水系インクとしたときに、優れた安定性(pH変動に対する安定性及び温度変動に対する安定性)を付与することができる。水溶性樹脂としては、ポリビニル類、ポリウレタン類、ポリエステル類等が挙げられ、中でもポリビニル類が好ましい。
ここでいう水溶性樹脂は、分子内に、架橋剤により架橋反応を起こす基を有している。このような基は、特に限定されないが、カルボキシル基又はその塩、イソシアナート基、エポキシ基等が挙げられる。本発明のインクにおいては、水溶性樹脂は、分散性向上の観点から、カルボキシル基又はその塩を有していることが好ましい。
水溶性樹脂は、共重合成分としてカルボキシル基含有モノマーを用いて得られる共重合体であることが好ましい。
水溶性樹脂の酸価(水溶性樹脂1gを中和するために必要なKOHのmg数)は、顔料の分散性及び分散安定性の観点から、135mgKOH/g〜250mgKOH/gであることが好ましく、135mgKOH/g〜200mgKOH/gであることがより好ましく、135mgKOH/g〜180mgKOH/gであることが特に好ましい。
水溶性樹脂の顔料に対する量は、10質量%〜250質量%であることが好ましく、10質量%〜200質量%であることがより好ましく、20質量%〜150質量%であることが更に好ましく、30質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
顔料の表面が水溶性樹脂を架橋剤で架橋した架橋ポリマーで被覆された樹脂被覆顔料は、顔料を、水溶性樹脂を用いて分散した後に、架橋剤により架橋する工程を経て、得ることができる。
水溶性樹脂を架橋剤で架橋した架橋ポリマーで被覆された顔料としては、具体的には、Projet Yellow APD1000、Projet Magenta APD1000、Projet Cyan APD1000、Projet Black APD1000(いずれもFUJIFILM Imaging Colorants社製)等が好適に用いられる。
本発明のインクにおいては、顔料に代えて染料を着色剤として用いてもよい。染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを用いることができる。染料としては、公知の染料を制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料が好適に用いられる。担体としては、水に不溶又は難溶であれば、特に制限されるものではなく、無機材料、有機材料、及びこれらの複合材料から選択して用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体が好適に用いられる。
染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては、上述した分散剤を好適に用いることができる。
本発明のインクにおいては、画像の耐擦性、品質等の観点から、顔料と分散剤とを含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含み、かつ、顔料の表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料として含有されることがより好ましい。
また、本発明のインクにおいては、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含み、かつ、顔料表面の少なくとも一部がカルボキシル基を有するポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料として含有されることが特に好ましい。
分散状態での顔料の平均粒子径は、10nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜150nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることが更に好ましい。平均粒子径が200nm以下であると、色再現性が良好になり、また、打滴する際の打滴特性も良好になる。平均粒子径が10nm以上であると、耐光性が良好になる。色材の粒径分布は、特に限定されるものではなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して用いてもよい。
ここで、分散状態での顔料の平均粒子径は、インク化した状態での平均粒子径を示すが、インク化する前段階のいわゆる濃縮インク分散物についても同様である。
なお、分散状態での顔料の平均粒子径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装社製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することで求められるものである。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクが顔料を含有する場合、この顔料のインク中における含有量は、画像濃度の観点から、インクの全量に対して、1質量%〜25質量%であることが好ましく、2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
<水>
本発明のインクは、水を含有する。
即ち、本発明のインクは、いわゆる水系のインクである。
水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水等を用いることが好ましい。
本発明のインクにおける水の含有量は特に限定されるものではないが、保存安定性及び吐出安定性の確保の観点から、10質量%〜95質量%が好ましく、20質量%〜95質量%がより好ましく、30質量%〜90質量%が更に好ましく、40質量%〜90質量%であることが特に好ましい。
<界面活性剤>
本発明のインクは、界面活性剤の少なくとも1種を含有していてもよい。
界面活性剤によれば、インクの表面張力をより効果的に調整することができる。
界面活性剤は、特に限定されるものではなく、公知の界面活性剤の中から適宜選択して用いることができる。
界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤に比べて、表面張力及びインクと接触するインクジェットヘッド部材(ヘッドノズル等)との間の界面張力を適正に保ちやすく、泡立ちが発生し難い。このため、インクがアセチレングリコール系界面活性剤を含有することにより、インクの吐出安定性を高めることができる。また、インクがアセチレングリコール系界面活性剤を含有することにより、記録媒体に対する濡れ性や浸透性が良好となり、インクの濃淡ムラや滲みを抑えることができる。よって、インクがアセチレングリコール系界面活性剤を含有することは、精細な画像記録にとって有利である。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール104、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール2520、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノール61、サーフィノールDF37、サーフィノールDF110D、サーフィノールCT111、サーフィノールCT121、サーフィノールCT131、サーフィノールCT136、サーフィノールTG、サーフィノールGA(以上、いずれもエアープロダクツアンドケミカルズ社製);オルフィンB、オルフィンY、オルフィンP、オルフィンA、オルフィンSTG、オルフィンSPC、オルフィンE1004、オルフィンE1006、オルフィンE1008、オルフィンE1010、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−003、オルフィンPD−004、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4036、オルフィンEXP.4051、オルフィンAF−103、オルフィンAF−104、オルフィンAK−02、オルフィンSK−14、オルフィンAE−3(以上、いずれも日信化学工業社製);アセチレノールE00、アセチレノールE00P、アセチレノールE40、アセチレノールE100(以上、いずれも川研ファインケミカル社製)等が挙げられる。
界面活性剤としては、吐出安定性の観点から、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が3〜12である界面活性剤が好ましい。
界面活性剤のHLBが12以下であると、インクの泡立ちや空気の巻き込みをより効果的に抑制することができ、吐出安定性をより向上させることができる。このような効果は、特に、インクを大液滴(例えば、10pL以上)で吐出できる大滴ヘッドを用いた場合に顕著となる。
界面活性剤のHLBは、3〜10であることがより好ましく、3〜8であることが更に好ましい。
また、界面活性剤としては、数平均分子量(Mn)が1,000未満である界面活性剤が好ましい。
HLBが3〜12である界面活性剤としては、市販品を用いてもよい。
市販品の例としては、日信化学工業社製のオルフィンE1008(Mn:578.78、HLB:10−12)、オルフィンE1006(Mn:490.67、HLB:9−10);エアープロダクツアンドケミカルズ社製のサーフィノール2520(Mn:562.78、HLB:8)、サーフィノール440(Mn:380.54、HLB:8)、サーフィノールSE−F(Mn:不明、HLB:6)、サーフィノール420(Mn:270.41、HLB:4)、サーフィノール104PG−50(Mn:226.36、HLB:4)、サーフィノールDF110D(Mn:不明、HLB:3)等が挙げられる。
中でも、好ましくは、サーフィノール2520、サーフィノール440、サーフィノールSE−F、サーフィノール420、サーフィノール104PG−50、及びサーフィノールDF110Dであり、特に好ましくは、サーフィノールSE−F、サーフィノール420、サーフィノール104PG−50、及びサーフィノールDF110Dである。
上記市販品の中には、数平均分子量が非開示のものがあるが、いずれも、界面活性剤の物性より数平均分子量が1,000以上の化合物ではないことが明らかである。
なお、「界面活性剤」の数平均分子量は、明確に構造がわかる場合は、計算で算出することも可能であるが、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定することもできる。GPCは、測定装置としてHLC−8020GPC(東ソー社製)を、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、及びTSKgel SuperHZ200(東ソー社製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、カラムオーブンの設定温度40℃の条件にて測定する。数平均分子量の算出には、標準ポリスチレンを用いる。
本発明のインクが界面活性剤を含有する場合、含有される界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のインクが界面活性剤を含有する場合、その含有量は、インクの表面張力を考慮して適宜選択することができるが、インクの全質量に対して、0.1質量%〜2質量%であることが好ましく、0.1質量%〜1.5質量%であることがより好ましく、0.2質量%〜1質量%であることが更に好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインクは、水溶性有機溶剤を少なくとも1種含有していてもよい。
ここで、水溶性有機溶剤とは、25℃の水100gに対して1g以上溶解する有機溶剤を指す。
水溶性有機溶剤としては特に制限はなく、例えば、特開2013−82209号公報の段落[0130]〜[0134]に記載された公知の水溶性有機溶剤を用いることができる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、2−ピロリドン、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
<その他の添加剤>
本発明のインクは、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、重合開始剤、固体湿潤剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インクの調製後に直接添加してもよく、また、インクの調製時に添加してもよい。
その他の添加剤については、特開2010−65205号公報の段落[0088]〜[0096]の記載や、特開2010−70669号公報の段落[0083]〜[0090]の記載を適宜参照することができる。
<インクの物性>
(粘度)
本発明のインクは、30℃における粘度が10mPa・s〜14mPa・sであることが好ましく、11mPa・s〜13mPa・sであることがより好ましい。なお、通常、水系のインクの粘度は、数mPa・sである。
本発明のインクの上記粘度が、上記範囲内であると、インクの吐出安定性がより向上する。インクの粘度が低すぎると、例えば、インクがノズルから溢れてノズル面(吐出面)に固着し、その結果、インクの不吐出が生じる場合がある。このような不吐出は、ヘッドの吐出面(ノズル面)が、金属及びシリコンからなる群から選択される少なくとも1種を含む場合に、より生じやすい傾向がある。また、このような不吐出は、インクを大液滴(例えば、10pL以上)で吐出できる大滴ヘッドを用いた場合に、顕著に生じやすい。
なお、インクの粘度は高すぎても、インクの吐出安定性は低下する。
本発明のインクの上記粘度は、振動式粘度計(BROOKFIELD社製、DV−II+VISCOMETER)及びコーンプレート(φ35mm)を用い、温度30℃、相対湿度50%の環境下で測定された、液温30℃のインクの粘度を指す。
また、本発明のインクの粘度は、主として、特定水溶性高分子の種類、数平均分子量、及び含有量によって調整することができる。
(表面張力)
本発明のインクの表面張力は、特に制限されるものではないが、20mN/m〜40mN/mであることが好ましく、より好ましくは30mN/m〜38mN/mであり、特に好ましくは、35mN/m〜37mN/mである。
上記インクの表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の温度条件下で測定された値を指す。
インクの表面張力は、例えば、界面活性剤の種類や量によって調整することができる。
〔画像記録方法〕
本発明の画像記録方法は、上記本発明のインクを、インクジェットヘッドから10pL〜120pLの液滴量で吐出させることにより、記録媒体上に、上記インクジェットインク組成物を付与するインク付与工程を有する。本発明の画像記録方法は、必要に応じて、その他の工程を有していてもよい。
本発明の画像記録方法によれば、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を記録することができる。
また、本発明の画像記録方法によれば、例えば、従来よりも高速で記録媒体を搬送しつつ、高周波数で、かつ、比較的大液滴でインクの吐出を行なっても、インクの吐出性が優れるので、高品質の画像を有する画像記録物を生産性よく得ることができる。
<インク付与工程>
インク付与工程は、本発明のインクを、インクジェットヘッドから10pL〜120pLの液滴量で吐出させることにより、記録媒体上に付与し、画像を記録する工程である。
インクジェットヘッド(ヘッド)としては、10pL〜120pLの液滴で吐出できるヘッドであること以外は特に制限はなく、公知のヘッドを用いることができる。
ヘッドの耐久性をより向上させる観点から、ヘッドの吐出面(ノズル面)は、金属及びシリコンからなる群から選択される少なくとも1種を含む材質であることが好ましい。
ヘッドの吐出面の材質としては、銅、銀、パラジウム、ニッケル、金等の金属;ニッケル/金合金、ステンレス、真鍮等の合金;酸化チタン等の金属酸化物;シリコン;シリコンの酸化皮膜(SiO膜)などが挙げられる。
本工程における画像の記録方式は、マルチパスでも1パスでもよいが、高速記録の観点からは1パス又は2パスが好ましい。
ここで、1パスとは、記録媒体の搬送方向と交差する方向(記録素子の配列方向)について、1回の吐出でその方向における走査領域に形成すべきドット(インク滴)の全てを形成して記録する記録方式を意味する。1パスは、ライン方式とも呼ばれており、記録時に搬送される記録媒体の搬送方向と交差する記録媒体の幅方向に、該記録媒体の幅に対応した長さのヘッド(記録素子が配列されているラインヘッド)が用いられ、該ヘッドに設けられた複数の吐出孔から記録素子の配列方向に同時にインクを吐出する。1パスでは、記録素子の配列方向と交差する方向に記録媒体を走査することで記録媒体の全面に画像の記録が行なえる。したがって、短尺のシリアルヘッドを記録媒体の幅方向に走査しながら記録するシャトル方式とは異なり、キャリッジ等の搬送系が不要である。
また、2パスとは、走査領域に形成するドットを2回の吐出により形成して記録する方法である。
本工程において、ヘッドから吐出されるインクの液滴量は、上述のとおり、10pL〜120pLである。
液滴量が10pL以上であることは、前述のとおり、画像記録を高速に行なえる点で有利である。さらに、液滴量が10pL以上であると、記録媒体上に付与されたインクの領域がより広く確保されるため、画像の耐擦性をより高めることができる。
一方、液滴量が120pL以下であると、記録媒体上に付与されたインクの乾燥をより良好に行なうことができるため、画像の滲みをより抑制することができる。
ヘッドから吐出されるインクの液滴量は、30pL〜120pLであることがより好ましく、60pL〜120pLであることが更に好ましく、70pL〜110pLであることが特に好ましい。
また、記録媒体に着弾する前におけるインクの液滴の直径は、48μm〜61μmであることが好ましく、51μm〜59μmであることがより好ましい。なお、インクの液滴の直径は、高速度カメラ(例えば、島津製作所製のHyper Vision HPV−2A)による液滴観察により直接、測定することができる。
本発明の画像記録方法によって記録された画像において、各色あたりの解像度は、100dpi(dot per inch)以上であることが好ましく、高画質の観点から200dpi以上であることがより好ましい。
インクジェットヘッドの例としては、SapphireQS256/10、SapphireQS256/30、SapphireQS256/80、EmeraldQE256/30、EmelraldQE256/80、Galaxy256/30、Galaxy256/50、Galaxy256/80、Polaris512/15、Polaris512/35、Polaris512/85、SG−1024(いずれもFUJIFILM DIMATIX社製)が挙げられる。
<記録媒体>
本発明の画像記録方法では、記録媒体上に、本発明のインクが吐出(付与)されることによって画像が記録される。
記録媒体としては、特に制限はなく、支持体や記録材料として公知の記録媒体を用いることができる。
記録媒体の材質としては、例えば、紙、ガラス、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)などが挙げられる。
記録媒体の形状は、シート状(フィルム状)又は板状が好適である。
かかる形状の記録媒体としては、紙、ガラス板、金属板、プラスチックシート(プラスチックフィルム)、プラスチックがラミネートされた紙、金属がラミネート又は蒸着された紙、金属がラミネート又は蒸着されたプラスチックシート(プラスチックフィルム)、等が挙げられる。
本発明では、特に、記録媒体として、非吸収性又は低吸収性の記録媒体(例えば、プラスチック製の記録媒体)を用いた場合に、画像の耐擦性向上の効果がより効果的に発揮される。
即ち、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に画像を記録する場合には、インクが記録媒体に浸透しないため、通常は、記録された画像の耐擦性が低下し易い。しかしながら、上述の本発明のインクを用いた本発明の画像記録方法によれば、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に画像を記録する場合でも、画像の耐擦性の低下を抑制することができる。
ここで、「非吸収性又は低吸収性の記録媒体」とは、ASTM D570に準拠して測定された24時間での吸水率が0.5%未満である記録媒体を指す。
より詳細には、「非吸収性の記録媒体」とは、上記吸水率が0.2%未満である記録媒体を指し、「低吸収性の記録媒体」とは、上記吸水率が0.2%以上0.5%未満である記録媒体を指す。
吸水率の単位である「%」は、質量基準である。
また、記録媒体の厚みは、0.1μm〜1,000μmであることが好ましく、0.1μm〜800μmであることがより好ましく、1μm〜500μmであることが更に好ましい。
記録媒体の厚みが0.1μm〜1,000μmの範囲内であると、記録媒体を曲げ変形させることがより容易となるため、画像の柔軟性(記録媒体の曲げ変形に対する画像の追従性)向上の効果がより効果的に発揮される。
以上のように、特に、記録媒体が、厚さ0.1μm〜1,000μmの非吸収性又は低吸収性の(即ち、ASTM D570で規定される吸水率(24時間)が0.5%未満の)記録媒体であると、画像の耐擦性向上及び画像の柔軟性向上の効果がより効果的に発揮される。
かかる記録媒体として、具体的には、プラスチック製の記録媒体が好ましい。
プラスチックの例については前述のとおりであるが、汎用性の点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。
プラスチック製の記録媒体としては、プラスチックシート(プラスチックフィルム)が挙げられ、より具体的には、食品等を包装する軟包装材、量販店のフロア案内用のパネルなどが挙げられる。
記録媒体には、親水化処理が施されてもよい。インクが付与される前の記録媒体に、親水化処理を施すことで、水系のインクである本発明のインクのハジキを防止することができる。更に、画像の耐擦性をより向上させることができる。
親水化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、熱処理、摩耗処理、光照射処理(UV処理)、火炎処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、インクを付与して画像を記録する前に、予め記録媒体の表面にコロナ処理を施すと、記録媒体の表面エネルギーが増大し、記録媒体の表面の湿潤及び記録媒体へのインクの接着が促進される。コロナ処理は、例えば、コロナマスター(信光電気計社製、PS−10S)等を用いて行なうことができる。コロナ処理の条件は、記録媒体の種類、インクの組成等、場合に応じて適宜選択すればよい。例えば、下記の処理条件としてもよい。
・処理電圧:10〜15.6kV
・処理速度:30〜100mm/s
本発明における親水化処理としては、コストや作業性の点で、コロナ処理を施す態様が好ましい。
<乾燥工程>
本発明の画像記録方法は、上記インク付与工程におけるインクの付与により記録媒体上に記録された画像(インク)を乾燥させる乾燥工程を有していてもよい。
乾燥工程を後述の硬化工程の前に設けると、インク中に含まれる液体(少なくとも水)の量を減らすことで、硬化工程において、特定多官能(メタ)アクリルアミド等の重合性化合物の硬化反応が良好に進行し、耐擦性及び柔軟性に優れた画像をより短時間で得ることができる。更に、記録媒体のシワやカールをより効果的に抑制することができる。
上記乾燥の温度(乾燥温度)は、20℃以上が好ましい。
中でも、乾燥温度は、20℃〜150℃であることが好ましく、20℃〜80℃であることがより好ましい。乾燥温度が80℃以下であると、加熱による記録媒体の変形をより抑制することができる。
なお、乾燥の時間は、インクの組成、記録速度等を考慮して、適宜選択することができる。
乾燥の方法は、インク中に含まれる液体(少なくとも水)の揮発を促進させる方法であれば、特に限定されるものではない。
乾燥の方法としては、例えば、記録前後の記録媒体に熱を加える方法、記録後の記録媒体に風(温風を含む)を吹き付ける方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。
乾燥の方法として、より具体的には、強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥、乾燥空気送風等が挙げられる。
記録媒体に温風を吹き付ける方法の場合、温風の温度の好ましい範囲は、上記乾燥温度として示したとおりである。
また、温風の風速は、風速5m/s〜30m/sが好ましい。
本工程における乾燥は、記録媒体の変形抑制と乾燥の効率とをより効果的に両立させる観点から、記録媒体上のインクに、温度20℃〜80℃の温風を、風速5m/s〜30m/sで吹き付ける方法により行なうことが特に好ましい。
<硬化工程>
本発明の画像記録方法は、記録媒体上に付与されたインクに活性エネルギー線を照射して、インクを硬化させる硬化工程を有していてもよい。
インクの付与により記録媒体上に記録された画像(インク)に対して、活性エネルギー線を照射すると、インク中の特定多官能(メタ)アクリルアミドが重合し、硬化膜が形成される。本発明のインクに含まれる特定多官能(メタ)アクリルアミドは、活性エネルギー線の照射により画像を硬化させる際の重合性及び重合効率が高いので、硬化工程を経ることで、画像の耐擦性をより向上させることができる。
活性エネルギー線としては、特定多官能(メタ)アクリルアミドを重合可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、紫外線、電子線等が挙げられる。中でも、汎用性の観点から、紫外線(以下、適宜「UV光」という。)が好ましい。
UV光のピーク波長は、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜350nmであることが更に好ましく、200nm〜310nmであることが更に好ましく、200nm〜280nmであることが特に好ましい。
UV光は、露光面の照度が、例えば、10mW/cm〜2,000mW/cm、好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmとなるように照射されるとよい。
UV光源としては、水銀ランプ、ガスレーザー、固体レーザー等が主に利用されており、水銀ランプ、メタルハライドランプ、及びUV蛍光灯が広く知られている。また、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは、産業的及び環境的にも非常に有用であり、LED(UV−LED)及びLD(UV−LD)は、小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、UV光源として期待されている。
UV光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、又はUV−LEDが好ましく、中圧水銀ランプ又は低圧水銀ランプがより好ましく、低圧水銀ランプが特に好ましい。
硬化工程において、UV光の照射時間は、0.01秒間〜120秒間とすることができ、好ましくは0.1秒間〜90秒間である。
照射条件及び照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている照射条件及び照射方法を本発明においても同様に適用することができる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源とを走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって照射する方式が好ましい。 UV光の照射は、インクが記録媒体に着弾し、加熱乾燥された後、一定時間(例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.01秒間〜60秒間)を経て行なわれることが好ましい。
〔画像記録物〕
本発明の画像記録物は、本発明の画像記録方法によって記録された画像を有する。
本発明の画像記録物は、耐擦性及び柔軟性に優れた画像を有するため、例えば、食品等を包装するための軟包装材、量販店のフロア案内用のパネル、紙製又はプラスチック製の手提げ袋などとして、好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[多官能アクリルアミドB−1の合成]
−第一工程−
スターラーバーを備えた1L容の三口フラスコに、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(東京化成工業社製)121g(1当量)、50質量%の水酸化カリウム水溶液84ml、及びトルエン423mlを加えて攪拌し、水浴下、反応系中を20℃〜25℃に維持し、アクリロニトリル397.5g(7.5当量)を2時間かけて滴下した。滴下後、1.5時間攪拌した。トルエン540mlを反応系中に追加した後、反応混合物を分液漏斗へ移し、水層を除いた。残った有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、セライトろ過を行ない、次いで減圧下で溶媒留去することによりアクリロニトリル付加体を得た。得られた物質のH−NMR、MSによる分析結果が既知物と良好な一致を示したため、更に精製することなく、次の還元反応に用いた。
−第二工程−
容積1Lのオートクレーブに、上記にて得られたアクリロニトリル付加体24g、Ni触媒48g(ラネーニッケル2400、W.R.Grace&Co.社製)、及び25質量%アンモニア水溶液(水:メタノール=1:1)600mlを入れ、懸濁させて反応容器を密閉した。反応容器に10Mpaの水素を導入し、反応温度25℃で16時間反応させた。
原料の消失をH−NMRにて確認した後、反応混合物をセライト濾過し、セライトをメタノールで数回洗浄した。濾液を減圧下で溶媒留去することにより、ポリアミン体を得た。得られたポリアミン体は、更に精製することなく、次の反応に用いた。
−第三工程−
攪拌機を備えた容積2Lの三口フラスコに、上記にて得られたポリアミン体30g、NaHCO120g(14当量)、ジクロロメタン1L、及び水50mlを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド92.8g(10当量)を3時間かけて滴下した。その後、室温で3時間攪拌した。原料の消失をH−NMRにて確認した後、反応混合物を減圧下で溶媒留去した。続いて、硫酸マグネシウムを用いて反応混合物を乾燥させ、セライトろ過を行ない、次いで減圧下で溶媒留去した。最後に、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=4:1)にて精製することにより、常温下、多官能アクリルアミドB−1(上述の一般式(2)において、R=H R=C=CH、X=Y=Z=0)の固体を得た。上記3つの工程を経て得られた多官能アクリルアミドB−1の収率は、40質量%であった。
[多官能アクリルアミドB−2、B−3、B−4、及びB−5の合成]
上述の多官能アクリルアミドB−1の合成手順に準じて、下記構造の多官能アクリルアミドB−2、B−3、B−4、及びB−5を合成した。

[インクの調製]
〔実施例1〕
下記組成の成分を混合し、インクを得た。
−組成−
・Projet Magenta APD1000(FUJIFILM Imaging Colorants社製のマゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%) ・・・28.57質量部
・ポリエチレングリコール2000(和光純薬工業社製のポリエチレングリコール、数平均分子量:2,000) ・・・11.6質量部
・多官能アクリルアミドB−1 ・・・10質量部
・サーフィノール104PG50(エアープロダクツアンドケミカルズ社製の界面活性剤、HLB:4、数平均分子量:226.36) ・・・0.41質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
実施例1における水溶性高分子は、ポリエチレングリコール2000(下記表1では、「PEG2000」と表記)であり、上記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミドは、上記多官能アクリルアミドB−1(下記表1では、「B−1」と表記)である。
下記表1では、「サーフィノール104PG−50」を「SFN104」と表記する。
〔実施例2〕
実施例1において、水溶性高分子として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール2000」(11.6質量部)を用いたところを、数平均分子量4,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール4000(和光純薬工業社製)」(9.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「ポリエチレングリコール4000」を「PEG4000」と表記する。
〔実施例3〕
実施例1において、水溶性高分子として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール2000」(11.6質量部)を用いたところを、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール8000(エムピーバイオメディカル社製)」(6.3質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「ポリエチレングリコール8000」を「PEG8000」と表記する。
〔実施例4〕
実施例1において、水溶性高分子として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール2000」(11.6質量部)を用いたところを、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール8000(エムピーバイオメディカル社製)」(4.2質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
〔実施例5〕
実施例1において、水溶性高分子として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール2000」(11.6質量部)を用いたところを、数平均分子量2,0000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール20000(和光純薬工業社製)」(3.1質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「ポリエチレングリコール20000」を「PEG20000」と表記する。
〔実施例6〕
実施例1において、水溶性高分子として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール2000」(11.6質量部)を用いたところを、数平均分子量100,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール100000(和光純薬工業社製)」(1.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「ポリエチレングリコール100000」を「PEG100000」と表記する。
〔実施例7〕
実施例1において、水溶性高分子として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール2000」(11.6質量部)を用いたところを、数平均分子量16,500の、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体である「PE−108(三洋化成工業社製)」(2.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクを得た。
〔実施例8〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から6.1質量部に変更するとともに、上記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物として、「多官能アクリルアミドB−1」(10質量部)を用いたところを、「多官能アクリルアミドB−2」(10質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「多官能アクリルアミドB−2」を「B−2」と表記する。
〔実施例9〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から5.9質量部に変更するとともに、上記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物として、「多官能アクリルアミドB−1」(10質量部)を用いたところを、「多官能アクリルアミドB−3」(10質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「多官能アクリルアミドB−3」を「B−3」と表記する。
〔実施例10〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から6.2質量部に変更するとともに、上記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物として、「多官能アクリルアミドB−1」(10質量部)を用いたところを、「多官能アクリルアミドB−4」(10質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「多官能アクリルアミドB−4」を「B−4」と表記する。
〔実施例11〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から6.5質量部に変更するとともに、上記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物として、「多官能アクリルアミドB−1」(10質量部)を用いたところを、「多官能アクリルアミドB−5」(10質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「多官能アクリルアミドB−5」を「B−5」と表記する。
〔実施例12〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から3質量部に変更するとともに、「多官能アクリルアミドB−1」の量を、10質量部から20質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
〔実施例13〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から7.2質量部に変更するとともに、「多官能アクリルアミドB−1」の量を、10質量部から4質量部に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
〔比較例1〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から11.5質量部に変更するとともに、「多官能アクリルアミドB−1」を用いなかったこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
〔比較例2〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」を用いなかったこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
〔比較例3〕
実施例3において、「ポリエチレングリコール8000」の量を、6.3質量部から6.7質量部に変更するとともに、「多官能アクリルアミドB−1」(10質量部)を、単官能のアクリルアミドである「アクリルアミド(東京化成工業社製)」(10質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、上記「アクリルアミド」を「C−1」と表記する。
〔比較例4〕
実施例3において、「多官能アクリルアミドB−1」(10質量部)を、上記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物以外の重合性化合物である「N−エチルアクリルアミド(東京化成工業社製)」(10質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、上記「N−エチルアクリルアミド」を「D−1」と表記する。
〔比較例5〕
実施例3において、水溶性高分子として、「ポリエチレングリコール8000」(6.3質量部)を用いたところを、ポリビニルピロリドンである「PVP K15(東京化成工業社製)」(11.2質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
〔比較例6〕
実施例3において、水溶性高分子として、「ポリエチレングリコール8000」(6.3質量部)を用いたところを、数平均分子量600のポリエチレングリコールである「ポリエチレングリコール600(東京化成工業社製)」(12.9質量部)に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、インクを得た。
下記表1では、「ポリエチレングリコール600」を「PEG600」と表記する。
<測定及び評価>
得られたインクについて、以下の測定及び評価を行なった。
結果を下記表1に示す。
1.インクの粘度
上記インクを30℃に温度調整し、振動式粘度計(BROOKFIELD社製、DV−II+VISCOMETER)及びコーンプレート(φ35mm)を用い、温度30℃、相対湿度50%の環境下で、液温30℃でのインクの粘度を測定した。
詳細には、上記測定条件の下、トルク20%〜90%、且つ、回転数0.5rpm〜100rpmの条件で測定された測定値(粘度)の平均値を、インクの粘度(単位:mPa・s)とした。
2.インクの保存安定性
上記インクを60℃で1週間放置し、この放置の前後においてインクの粘度を測定した。得られた測定結果に基づき、下記評価基準に従ってインクの保存安定性を評価した。
インクの粘度は、上記と同様にして測定した。
−評価基準−
A:60℃での1週間の放置の前後において、粘度変化量が0.3mPa・s未満であり、実用上問題ない。
B:60℃での1週間の放置の前後において、粘度変化量が0.3mPa・s以上0.5mPa・s未満であり、実用上問題ない。
C:60℃での1週間の放置の前後において、粘度変化量が0.5mPa・s以上0.8mPa・s未満であり、実用上懸念がある。
D:60℃での1週間の放置の前後において、粘度変化量が0.8mPa・s以上であり、実用上問題になる。
3.インクの連続吐出性
上記インクを、Polarisヘッド(FUJIFILM Dimatix社製)の全ノズル256chから10kHzの周波数にて連続吐出した。この連続吐出において、インクの液滴量は85pLとした。
上記連続吐出の開始から20分経過後において、不吐出を生じることなく吐出できている残存ノズル数を、ストロボ写真撮影によって計測した。
計測結果に基づき、全ノズル数に対する残存ノズル数の割合を求め、下記評価基準に従ってインクの連続吐出性を評価した。
−評価基準−
A:連続吐出の開始から20分経過後における残存ノズル数の全ノズル数に対する割合が98%以上であり、実用上問題ない。
B:連続吐出の開始から20分経過後における残存ノズル数の全ノズル数に対する割合が95%以上98%未満であり、実用上問題ない。
C:連続吐出の開始から20分経過後における残存ノズル数の全ノズル数に対する割合が90%以上95%未満であり、実用上懸念がある。
D:連続吐出の開始から20分経過後における残存ノズル数の全ノズル数に対する割合が90%未満であり、実用上問題になる。
4.インクの間欠吐出性
上記インクを、Polarisヘッド(FUJIFILM Dimatix社製)の全ノズル256chから10kHzの周波数にて、1分間連続吐出した。この連続吐出において、インクの液滴量は85pLとした。
上記1分間の連続吐出の後、規定の時間、インクの吐出を停止した。
その後、上記と同様の条件で連続吐出を再開し、この2回目の連続吐出の開始から1分経過後において、不吐出を生じることなく吐出できている残存ノズル数を、ストロボ写真撮影によって計測した。
計測結果に基づき、全ノズル数に対する残存ノズル数の割合を求め、下記評価基準に従ってインクの間欠吐出性を評価した。
−評価基準−
A:2回目の連続吐出の開始から1分経過後における残存ノズル数の、全ノズル数に対する割合が98%以上であり、実用上問題ない。
B:2回目の連続吐出の開始から1分経過後における残存ノズル数の、全ノズル数に対する割合が95%以上98%未満であり、実用上問題ない。
C:2回目の連続吐出の開始から1分経過後における残存ノズル数の、全ノズル数に対する割合が90%以上95%未満であり、実用上懸念がある。
D:2回目の連続吐出の開始から1分経過後における残存ノズル数の、全ノズル数に対する割合が90%未満であり、実用上問題になる。
5.画像品質
上記インクを、上記連続吐出性の評価と同様にして、上質紙上に連続吐出し、上質紙上に100%ベタ画像(200x200dpi(dot per inch)、印刷方向平行60cm×印刷方向垂直5cm)を記録した。
画像の記録は、30m/分(1kHz)、50m/分(2kHz)、100m/分(4kHz)、150m/分(6kHz)、200m/分(8kHz)、250m/分(10kHz)の条件(搬送速度及び周波数)で行なった。これらの条件において、画像間隔が60秒となるようにして、連続で10回、画像の記録を繰り返した。
得られた画像の品質を目視で確認し、下記評価基準に従って画像品質を評価した。
−評価基準
A:画像の全体において、濃度ムラやスジが目立たず、実用上問題ない。
B:画像の全体において、濃度ムラやスジがわずかに確認されるが、実用上問題ない。
C:画像の全体において、濃度ムラやスジが確認され、実用上懸念がある。
D:画像の全体において、濃度ムラやスジが確認され、実用上問題になる。
6.画像の耐擦性
記録媒体として、ポリプロピレンシート(積水成型工業社製、ポリセームP−8134、厚さ:200μm)を準備した。このポリプロピレンシートについて、ASTM D570に従って吸水率(24時間)を測定したところ、0.5%未満であった。
上記ポリプロピレンシートに対し、コロナマスター(信光電気計社製、PS−10S)を用い、処理電圧:15kV、処理速度:50mm/secの条件で2回コロナ処理を行なった。
次に、上記インクをインクジェットヘッド(FUJIFILM Dimatix社製、Polaris PQ512/85)に充填した。そして、このヘッドからインクを、85pLの液滴量で、上記ポリプロピレンシートのコロナ処理を施された側の面に吐出し、200dpiの100%ベタ画像を記録した。
得られたベタ画像を、ドライヤを用い、風速7m/s、温度40℃の温風を120秒間吹き付けることによって乾燥させた。
次いで、乾燥させたベタ画像に、低圧水銀灯を用い、500mJ/cmのエネルギーとなる条件でUV光を照射し、ベタ画像を硬化させた。
以上により、画像サンプルを得た。
得られた画像サンプルの画像部を、学振式摩擦試験機(安田精機社製、No.428)を用い、水0.05mLで湿らせた白綿(湿らせる面積:約20mm×約20mm)で、約2Nの力をかけ、規定の往復回数擦った。そして、白綿に移った色を目視により観察し、下記の評価基準に従って画像の耐擦性を評価した。
−評価基準−
A:白綿を20回往復させて画像部を擦っても、白綿への色移りは僅かであり、実用上問題ない。
B:白綿を10回往復させて画像部を擦ると、白綿に色移りが僅かに観られたが、実用上問題ない。
C:白綿を10回往復させて画像部を擦ると、白綿に色移りが観られ、実用上懸念がある。
D:白綿を2回往復させて画像部を擦ると、白綿に顕著に色移りが観られ、実用上問題になる。
7.画像の柔軟性
画像の柔軟性を評価する一試験法として、折り曲げ試験を行なった。
評価には、上記画像の耐擦性の評価に用いた画像サンプルと同様の方法により作製した画像サンプルを用いた。
画像サンプルを画像が記録された面方向に折り曲げ、次いで、折り曲げた箇所を画像が記録された面とは逆方向に折り曲げた。この操作を1回の折り曲げとし、画像が割れるまで繰り返し、下記の評価基準に従って画像の柔軟性を評価した。
画像が割れたかどうかは、折り曲げた箇所を、光学顕微鏡(キーエンス社製、VK−9700、倍率:対物10倍)を用いて観察することにより確認した。
−評価基準−
A:画像が割れるまでの折り曲げ回数が8回以上であり、実用上問題ない。
B:画像が割れるまでの折り曲げ回数が5回以上7回以下であり、実用上問題ない。
C:画像が割れるまでの折り曲げ回数が2回以上4回以下であり、実用上懸念がある。
D:画像が割れるまでの折り曲げ回数が1回であり、実用上問題になる。
表1に示すように、数平均分子量が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される水溶性高分子(「特定水溶性高分子」)と、一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド化合物(「特定多官能(メタ)アクリルアミド」)と、を含有するインクを用いた実施例1〜実施例13では、画像の耐擦性及び画像の柔軟性に優れていた。
これに対して、上記特定多官能(メタ)アクリルアミドを含有しないインクを用いた比較例1では、保存安定性、間欠吐出性、画像品質、及び画像の耐擦性(特に、保存安定性及び間欠吐出性)に劣っていた。
上記特定水溶性高分子を含有しないインクを用いた比較例2では、保存安定性、間欠吐出性、画像品質、画像の耐擦性、及び画像の柔軟性(特に、保存安定性)に劣っていた。
上記特定多官能(メタ)アクリルアミドの代わりに単官能(メタ)アクリルアミドを含有するインクを用いた比較例3では、保存安定性、画像の耐擦性、及び画像の柔軟性(特に、画像の耐擦性及び柔軟性)に劣っていた。
上記特定多官能(メタ)アクリルアミドの代わりに(メタ)アクリルアミド以外の重合性化合物を含有するインクを用いた比較例4では、保存安定性、画像の耐擦性、及び画像の柔軟性(特に、画像の耐擦性及び柔軟性)に劣っていた。
特定水溶性高分子以外の水溶性高分子を含有するインクを用いた比較例5では、保存安定性、吐出性(連続及び間欠)、画像品質、画像の耐擦性、及び画像の柔軟性のいずれも劣っていた(特に、間欠吐出性、画像品質、及び画像の耐擦性)。
特定水溶性高分子以外の水溶性高分子として、数平均分子量が600のポリエチレングリコールを含有するインクを用いた比較例6では、画像品質が良好であったが、保存安定性、吐出性(連続及び間欠)、画像の耐擦性、及び画像の柔軟性に劣っていた(特に、間欠吐出性及び画像の耐擦性)。

Claims (14)

  1. 数平均分子量が1,000〜100,000である、ポリエチレングリコール、及び、エチレングリコールとプロピレングリコールとのブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性高分子と、下記一般式(1)で表される多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物と、着色剤と、水と、を含有するインクジェットインク組成物。

    〔式中、Qは、n価の連結基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す。nは、2以上の整数を表す。〕
  2. 前記nが、3以上の整数を表す請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物の含有量が、3質量%〜20質量%である請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 30℃における粘度が、10mPa・s〜14mPa・sである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記水溶性高分子の含有量が、1質量%〜16質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記水溶性高分子の数平均分子量が、8,000〜20,000である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記水溶性高分子と前記多官能(メタ)アクリルアミド型重合性化合物との質量比が、1:0.8〜1:6である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 更に、HLBが3〜12であり、かつ、数平均分子量が1,000未満である界面活性剤を含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を、インクジェットヘッドから10pL〜120pLの液滴量で吐出させることにより、記録媒体上に、前記インクジェットインク組成物を付与するインク付与工程を有する画像記録方法。
  10. 前記記録媒体は、ASTM D570で規定される吸水率(24時間)が0.5%未満である請求項9に記載の画像記録方法。
  11. 前記記録媒体の厚さが、0.1μm〜1,000μmである請求項9又は請求項10に記載の画像記録方法。
  12. 前記記録媒体が、プラスチック製の記録媒体である請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の画像記録方法。
  13. 前記インクジェットヘッドの吐出面が、金属及びシリコンからなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載の画像記録方法。
  14. 記録媒体上に、請求項9〜請求項13のいずれか1項に記載の画像記録方法により記録された画像を有する画像記録物。
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