JP2014177609A - インクジェットインク組成物及び画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩擦性と柔軟性とに優れた画像が得られるインクジェットインク組成物、及び画像記録方法を提供すること。
【解決手段】多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択され、25℃における蒸気圧が1Pa未満であり、且つ融点が25℃未満である化合物と、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む光硬化性ポリマーと、水と、を含有するインクジェットインク組成物〔一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、ポリマーにおける主鎖又は側鎖との結合部位を示す。〕。

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物及び画像記録方法に関する。
従来、ガラス、金属、プラスチック等の非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しては、フレキソ印刷等のアナログ印刷が行なわれていたが、近年では、小ロット、多品種、短納期、及び低コストという観点から、インクジェット印刷によるデジタル印刷も行なわれている。
一方、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対するインクジェット印刷による画像の記録は、インク成分の記録媒体への吸収によらないため、記録された画像には、耐摩擦性の点で問題があった。そのため、インクジェット印刷により画像を記録するにあたり、記録された画像の耐摩擦性をいかに高めるかについて、種々の試みがなされてきた。
このような試みとして、プラスチック基材を記録媒体とするインクジェット印刷に使用するインク中に、ワックス粒子を配合することで、記録された画像の耐摩擦性や滑り性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、インクジェットインク中に、光硬化性ポリマーを配合することで、記録された画像の耐摩擦性を向上させる試みもなされている(例えば、特許文献2参照)。
特表2000−517370号公報 特開2013−6968号公報
ところで、プラスチック基材に画像がインクジェット記録された画像記録物は、量販店等のフロア案内のようなサインやディスプレイ、食品等の軟包装材等にも使用される。そのため、記録された画像に対しては、耐摩擦性等の耐久性だけでなく柔軟性を持たせることも、インクジェット印刷に使用するインクの重要な性能と考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されているインクでは、ワックス粒子が定着剤として配合されているポリマー粒子の定着性を阻害するため、例えば、記録媒体が柔らかいシートの場合、記録された画像の耐摩擦性と柔軟性とが不十分なものとなる。
また、特許文献2に開示されているインクでは、記録媒体が硬いシートの場合には、耐摩擦性を有する画像が得られるが、画像が硬くなり過ぎて柔軟性に劣るため、記録媒体が柔らかいシートの場合には、画像が割れてしまうという問題が発生する。
そのため、耐摩擦性と柔軟性とを兼ね備えた画像を記録することができるインクジェットインクの開発が望まれていた。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、耐摩擦性と柔軟性とに優れた画像が得られるインクジェットインク組成物、及び画像記録方法を提供することにある。
上記課題を達成するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択され、25℃における蒸気圧が1Pa未満であり、且つ融点が25℃未満である化合物と、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む光硬化性ポリマーと、水と、を含有するインクジェットインク組成物である。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、ポリマーにおける主鎖又は側鎖との結合部位を示す。
<2> 上記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位である<1>に記載のインクジェットインク組成物である。
一般式(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**又は−CONR−**を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**は、Xとの結合位置を表す。Xは、アルキレン基又はアラルキレン基を表す。
<3> 更に、ポリマー粒子を含有する<1>又は<2>に記載のインクジェットインク組成物である。
<4> インクジェットインク組成物中における上記化合物の含有量は、インク組成物全質量に対して、1質量%〜10質量%である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<5> 上記化合物と上記光硬化性ポリマーとの含有比率は、質量比で20:1〜1:8である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<6> 上記ポリマー粒子のガラス転移温度Tgは、−40℃〜70℃である<3>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<7> 上記ポリマー粒子は、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、及びポリウレタン構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する<3>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<8> 上記ポリマー粒子は、ポリウレタン構造を有する<3>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<9> 上記ポリウレタン構造は、ジイソシアネートとジオールとから形成される<8>に記載のインクジェットインク組成物である。
<10> 上記ポリウレタン構造を形成するジオールは、ポリカーボネートジオールである<9>に記載のインクジェットインク組成物である。
<11> 上記光硬化性ポリマーと上記ポリマー粒子との含有比率は、質量比で0.5:9.5〜8:2である<3>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物である。
<12> <1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインクジェットインク組成物に光を照射する光照射工程と、を含む画像記録方法である。
<13> <1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインクジェットインク組成物に含まれる水を乾燥して除去するインク乾燥工程と、記録媒体上に付与され、乾燥されたインクジェットインク組成物に光を照射する光照射工程と、を含む画像記録方法である。
<14> 記録媒体上に、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のインクジェットインク組成物により記録された画像を有する画像記録物である。
<15> 記録媒体上に、<12>又は<13>に記載の画像記録方法により記録された画像を有する画像記録物である。
なお、本明細書においては、置換基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、特に断りのない限り、無置換のものとともに更に置換基を有するものを包含する意味で使用される。例えば、「アルキル基」と記載する場合、アルキル基は、無置換のアルキル基、及び置換基を更に有するアルキル基を包含する意味で用いられる。その他の置換基(原子団)も同様である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明によれば、耐摩擦性と柔軟性とに優れた画像が得られるインクジェットインク組成物、及び画像記録方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
〔インクジェットインク組成物〕
本発明のインクジェットインク組成物(以下、「インク組成物」又は「インク」ともいう。)は、少なくとも、多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択され、25℃における蒸気圧が1Pa未満であり、且つ融点が25℃未満である化合物(以下、「特定化合物(i)」ともいう。)と、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む光硬化性ポリマー(以下、「特定共重合体(a)」ともいう。)と、水と、を含有することを特徴とし、更にポリマー粒子を含有することが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、必要に応じて、更に着色剤、水溶性有機溶剤、その他の添加剤等の成分を含有していてもよい。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、ポリマーにおける主鎖又は側鎖との結合部位を示す。
ガラス、金属、プラスチック等の非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対する印刷は、小ロット、多品種、短納期、及び低コストという観点から、インクジェット印刷によるデジタル印刷が多用されている。しかしながら、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対するインクジェット印刷による画像の記録は、インク成分の記録媒体への吸収によるものではないため、十分な耐摩擦性を備えた画像を得ることが困難である。また、例えば、プラスチック基材に画像がインクジェット印刷された画像記録物は、食品等の軟包装材等に用いられるため、画像記録物には耐摩擦性だけでなく柔軟性も求められる。
本発明のインク組成物においては、少なくとも、多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択され、25℃における蒸気圧が1Pa未満であり、且つ融点が25℃未満である化合物と、特定構造を有する光硬化性ポリマーと、水と、を含有する構成とすることにより、非吸収性又は低吸収性の記録媒体に対しても、耐摩擦性と柔軟性とを兼ね備えた画像の記録を実現する。また、本発明のインク組成は、インク組成物自体の保存安定性及び吐出安定性にも優れる。
本発明の作用機構は明確ではないが、本発明者は、以下の如く推測している。
インク中に特定構造を有する光硬化性ポリマーを含有させると、外力に対する膜の耐性が高まり、耐摩擦性に優れた画像の記録が可能となるが、記録された画像が硬くなり過ぎて、画像に割れが生じたり、画像の風合いが悪化したり、更にはインクジェット記録装置の記録ヘッドのノズルからのインクの吐出性が低下する。
しかしながら、このような特性を示す特定構造を有する光硬化性ポリマーと、多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択される特定化合物とを併用すると、特定化合物が保湿剤及び可塑剤としての機能を発揮することで、インク自体の安定性と吐出性が良好となるだけでなく、記録された画像が高い膜強度と柔軟性とを兼ね備えたものとなると考えられる。これは、特に、薄厚の記録媒体(例えば、プラスチックシート等の非吸収性又は低吸収性の基材)に画像を記録する場合において、より効果が奏される。
以下、本発明のインク組成物を構成し得る各成分について、詳細に説明する。
<特定化合物(i)>
本発明のインク組成物は、多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択され、25℃における蒸気圧(P)が1Pa未満であり、且つ融点(mp)が25℃未満である化合物(特定化合物(i))の少なくとも一種を含有する。本発明のインク組成物において、特定化合物(i)は、保湿剤として、また、可塑性として機能するものである。
特定化合物(i)は、25℃における蒸気圧が1Pa未満であるので、蒸発気化し難く、記録された画像中に残存する。これにより、画像の柔軟性が向上する。
また、特定化合物(i)は、融点が25℃未満である。融点が25℃未満であることは、常温(25℃)で液体状態であることを示す。
特定化合物(i)の具体例としては、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されない。なお、括弧内に記載した数値は、それぞれ25℃における蒸気圧及び融点(又は状態)を示す。
多価アルコール化合物としては、例えば、グリセリン(P:0.01Pa、mp:17.8℃)、ジグリセリン(P:0.01Pa以下、25℃で液体)、ポリグリセリン(P:0.01Pa以下、25℃で液体)、アルキレンオキシアルコール、アルキレンオキシアルキルエーテル等が挙げられる。
アルキレンオキシアルコールとしては、下記構造式(1)で表される化合物が挙げられる。
構造式(1)において、l、m、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表し、且つ、l+m+n=3〜15を満たす。l+m+nが3以上であると、画像の耐摩擦性への悪影響が少なく、15以下であると吐出性を良好に保つことができる。l+m+nは、3〜12であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。AOは、エチレンオキシ(EOと略記することがある)及び/又はプロピレンオキシ(POと略記することがある)を表し、中でもプロピレンオキシ基が好ましい。構造式中の(AO)、(AO)、及び(AO)の各AOは、それぞれ同一でも異なってもよい。
構造式(1)で表される化合物の詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0121]〜[0125]に記載されている。構造式(1)で表される化合物の例として、下記の化合物が挙げられる。なお、カッコ内の数値はSP値を示す。
グリセリンのアルキレンオキシド付加物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、ポリオキシプロピル化グリセリン(ポリプロピレングリコールとグリセリンとのエーテル)として、サンニックスGP−250(平均分子量250)、同GP−400(平均分子量400)、同GP−600(平均分子量600)〔以上、三洋化成工業社製〕、及び同公報の段落番号[0126]に記載の例が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、ポリエチレンイミン(P:1Pa未満、25℃で液体)等が挙げられる。
これらの中でも、特定化合物(i)としては、画像の耐摩擦性を高めるとともに、硬化された画像の柔軟性をより高めることができる点で、グリセリン、ジグリセリン、及びポリエチレンイミンが好ましく、特に画像の耐摩擦性をより高めることができる点で、ジグリセリン及びポリエチレンイミンがより好ましい。
本発明のインク組成物中における、特定化合物(i)の合計含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、2質量%〜10質量%であることがより好ましい。
特定化合物(i)の合計含有量が1質量%以上であることは、これら化合物が実質的に含まれていることを示す。また、合計の含有量が10質量%以下であると、耐摩擦性の観点で有利である。
<光硬化性ポリマー>
本発明のインク組成物は、光硬化性ポリマーであって、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む単独重合体又は共重合体(特定共重合体(a))を含有する。
本発明のインク組成物においては、特定共重合体(a)を含有することで、耐摩擦性に優れた記録画像を得ることができる。
一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、ポリマーにおける主鎖又は側鎖との結合部位を示す。
一般式(1)において、R又はRで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても、分岐構造であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はt−ブチル基である。これらのアルキル基の中でも、R又はRは、炭素数1〜2のアルキル基、すなわち、メチル基又はエチル基であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることが特に好ましい。
一般式(1)におけるR又はRで表されるアルキル基は、置換基を有していても、有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していてもよい。
及びRとしては、その双方が炭素数1〜4のアルキル基である態様、又は、R及びRが互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成している態様が好ましく、R及びRの双方が炭素数1〜2のアルキル基であることがより好ましく、R及びRの双方が炭素数1のアルキル基であることが更に好ましい。
以下に、一般式(1)で表される部分構造の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
特定共重合体(a)は、一般式(1)で表される部分構造を、側鎖に複数有する態様であってもよい。
一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**又は−CONR−**を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**は、Xとの結合位置を表す。Xは、アルキレン基又はアラルキレン基を表す。
一般式(2)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは互いに結合して4〜6員の環構造を形成してもよい。
一般式(2)におけるR及びRは、一般式(1)におけるR及びRとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、メチル基であることが好ましい。
一般式(2)において、Zは、単結合、−COO−**、又は−CONR−**を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Zは、−COO−**であることが好ましい。
また、−CONR−**におけるRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はt−ブチル基である。Rは、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、すなわち、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。Rがアルキル基を表す場合、このアルキル基は置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
一般式(2)において、Xは、2価の有機基として、アルキレン基、又はアラルキレン基を表す。中でも、Xとしては、炭素数は2〜20のアルキレン基又は炭素数6〜12のアラルキレン基であることが好ましい。Xは、アルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基が更に好ましい。
Xがアルキレン基を表す場合、このアルキレン基は、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが更に好ましい。Xで表されるアルキレン基の炭素数がこの範囲であると、特定共重合体(a)の側鎖末端に存在する一般式(1)で示される部分構造の運動性が向上し、画像の耐水性及び耐溶剤性、及び画像の記録媒体への密着性がより向上する。
Xで表されるアルキレン基は、直鎖構造であっても、アルキレン鎖中に分岐を有するものであっても、環状構造を有するものであってもよい。また、Xで表されるアルキレン基は、−O−、−COO−、−OC(=O)−、及び−CONH−から選択される結合をアルキレン鎖中に含んでいてもよい。さらに、Xで表されるアルキレン基は、炭素数4以下のアルキル基、水酸基、又は塩素原子で置換されていてもよい。
一般式(2)で表される繰り返し単位は、R及びRが、各々独立に、炭素数1〜2のアルキル基であり、Rがメチル基であり、Zが−COO−**であり、且つ、Xが炭素数2〜12のアルキレン基であることが好ましい。
特定共重合体(a)における一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位(好ましくは一般式(2)で表される繰り返し単位)の割合は、インク組成物により形成される硬化膜(画像)が目的とする性質に応じて適宜選択される。すなわち、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、記録された画像の強度(耐久性)及び柔軟性の観点から、特定共重合体(a)の全質量に対して、20質量%〜70質量%であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましく、40質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
特定共重合体(a)に含まれる一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位の含有量が上記範囲内であることで、画像の強度が良好なものとなる。なお、柔軟性に優れた画像を記録する場合には、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位の比率は低い方が好ましい。
特定共重合体(a)は、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位は、一般式(1)で表される部分構造を有する単量体を単独重合させるか、又は共重合成分の一つとして共重合させることにより、特定共重合体(a)に導入することができる。一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位が、一般式(2)で表される繰り返し単位である場合、特定共重合体(a)の合成には、下記一般式(2’)で表される単量体を用いることができる。
また、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位は、高分子反応を用いた方法により導入することもできる。そのような方法としては、例えば、1級アミノ基を有するプレポリマーに、対応する無水物を反応して得る方法や、プレポリマー中の官能基と反応して結合を形成する官能基と、一般式(1)で表される部分構造とを有する化合物を、プレポリマーと反応させる方法などが挙げられる。
一般式(2’)中、R、R、R、Z、及びXは、一般式(2)におけるR、R、R、Z、及びXとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2’)で表される単量体の好ましい例としては、以下に示す単量体(2’−1)〜(2’−11)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
単量体(2’−1)〜(2’−11)に代表される、一般式(1)で表される部分構造を含む単量体は、例えば、特開昭52−988号公報、特開平4−251258号公報等に記載の方法を参考に製造することができる。
(親水性基を有する繰り返し単位)
特定共重合体(a)は、親水性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
親水性基としては、特定共重合体(a)の親水性を高める機能を有する基であれば、特に限定されず、ノニオン性親水性基であってもよいし、イオン性親水性基(例えば、アニオン性親水性基又はカチオン性親水性基)であってもよい。
ノニオン性親水性基は、特に限定されないが、例えば、窒素原子又は酸素原子を含む複素環構造から水素原子を1個除いた残基、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、又はポリアルキレンオキシ構造を有する基等のノニオン性親水性基が挙げられる。
窒素原子又は酸素原子を含む複素環構造から、水素原子を1個除いた残基における複素構造としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;2−ピロリドン、エチレンウレア等の環状ウレア類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
アミド基としては、炭素数2〜10のアミド基が好ましく、アミド基における窒素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
アルキル置換カルバモイル基としては、カルバモイル基が有する窒素原子に結合する水素原子がアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基、又は、カルバモイル基が有する窒素原子に結合する2つの水素原子がアルキル基で置換されたジアルキルカルバモイル基が挙げられる。このアルキル基は、更に水酸基等の置換基を有していてもよい。これらのアルキル置換カルバモイル基の中でも、炭素数1〜8のアルキル基、又は水酸基で置換された炭素数1〜4のアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基が好ましい。
ポリアルキレンオキシ構造を有する基としては、特に限定されないが、炭素数1〜4のアルキレンオキシ基を繰り返し単位に有するポリアルキレンオキシ構造が好ましい。ポリアルキレンオキシ構造中のアルキレンオキシ基は1種であってもよいし、複数種のアルキレンオキシ基が組み合わされていてもよい。ポリアルキレンオキシ構造の末端基としては、水酸基又はアルコキシ基が好ましく、水酸基又はメトキシ基がより好ましい。
イオン性親水性基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、又は4級アンモニウム基等のイオン性親水性基が挙げられる。このイオン性親水性基は塩を形成していてもよい。
イオン性親水性基が塩を形成している場合、対塩としては、アルカリ金属塩(Li、Na、K等)、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属塩(Li、Na、K等)又はアンモニウム塩が好ましい。
これらの親水性基の中でも、アミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、ポリアルキレンオキシ構造を有する基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩が好ましく、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、及びこれらの塩が更に好ましい。また、特に好ましくは、カルボキシル基及びその塩である。
特定共重合体(a)が、更に親水性基を有する繰り返し単位を含む場合、この親水性基を有する繰り返し単位は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(3)中、Rcyは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、−COO−***、−CONRdy−***、又は、単結合を表し、Rdyは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、単結合、アルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基を表す。Aは、親水性基を表す。なお、***は、ZがRに結合する位置を表す。
一般式(3)について詳細に説明する。
一般式(3)において、Rcyは、水素原子又はメチル基を表す。
一般式(3)において、Zは、−COO−***、−CONRdy−***、又は単結合を表し、−COO−***であることが好ましい。なお、「***」は、ZがRに結合する位置である。
dyは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はt−ブチル基である。Rdyは、水素原子、又は炭素数1〜2のアルキル基、すなわち、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
dyは、無置換であっても置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。Rdyが有していてもよい置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
一般式(3)において、Rは、単結合、又は、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基を表し、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数7〜20のアラルキレン基であることが好ましい。
が、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基である場合、これらの基は、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよい。また、Rで表されるアルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基は、その構造中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、又はウレタン結合が存在していてもよい。
一般式(3)において、Rは、単結合であることが好ましい。
が、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基からなる群から選ばれる基である場合、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
が炭素数1〜20のアルキレン基である場合、このアルキレン基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。Rがアルキレン基である場合の炭素数は、2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが更に好ましい。Rのアルキレン基の具体例としては、−CH−、−C−、−C(CH−CH−、−CHC(CHCH−、−C12−、−C(C)C−、C1836−、1,4−trans−シクロヘキシレン基、−C−OCO−C−、−C−OCO−、−C−O−C10−、−CH−O−C(C11)−、−C−CONH−C−、−C−OCONH−C12−、−CH−OCONHC1020−、−CHCH(OH)CH−等が挙げられる。
が炭素数6〜20のアリーレン基である場合、このアリーレン基の炭素数は、6〜18であることが好ましく、6〜14であることが更に好ましく、6〜10であることが特に好ましい。Rで表されるアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、−C−CO−C−、ナフチレン基等が挙げられる。
が炭素数7〜20のアラルキレン基である場合、このアラルキレン基の炭素数は、7〜18であることが好ましく、7〜14であることが更に好ましく、7〜10であることが特に好ましい。Rで表されるアラルキレン基の具体例としては、−C−C−、−C−C−C−、−CH−C−C−C−、−C−OCO−C−等が挙げられる。
一般式(3)において、Aで表される親水性基としては、既述の親水性基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
特定共重合体(a)が、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する場合、特定共重合体(a)における一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、以下の通りである。
一般式(3)中の親水性基Aがイオン性親水性基である場合、一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、特定共重合体(a)全体に対して、5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%が更に好ましく、1質量%〜20質量%が特に好ましい。
一般式(3)中の親水性基Aがノニオン性親水性基である場合、一般式(3)で表される繰り返し単位の割合は、特定共重合体(a)全体に対して、20質量%〜95質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%が更に好ましく、30質量%〜70質量%が特に好ましい。
一般式(3)で表される繰り返し単位は、下記一般式(3’)で表される単量体に由来するものであり、これら単量体を共重合成分として含むことで、特定共重合体(a)中に親水性基を有する繰り返し単位が導入される。
一般式(3’)における、Rcy、Z、R、及びAは、一般式(3)におけるRcy、Z、R、及びAとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3’)で表される単量体の好ましい例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。但し、本発明においては、これらに限定されない。
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート(メタ)アクリロイロキシエチルエチエンウレア、ビニルピロリドン、3−(メタ)アクリロイロキシ−γ―ブチロラクトン、アクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸テトラブチルアンモニウム、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸ナトリウム、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸ナトリウム、(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸等が挙げられる。
一般式(3’)で表される単量体としては、市販の化合物を用いることができる他、一般的に知られている公知慣用の方法により製造することができる。
また、本発明においては、一般式(3’)で表される単量体の他に、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその無水物、更にこれらより誘導されるジカルボン酸塩も好ましく用いることができる。
特定共重合体(a)における、親水性基を有する繰り返し単位の割合は、親水性基の種類により好ましい割合が異なるが、特定共重合体(a)が水溶性を示す割合とすることが好ましい。
ここで、特定共重合体(a)が「水溶性を示す」とは、特定共重合体(a)が、25℃の水に対して3質量%以上溶解できることを意味する。
特定共重合体(a)における、親水性基を有する繰り返し単位の割合は、特定共重合体(a)全体に対して、8質量%〜25質量%であることが好ましく、10質量%〜23質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
特定共重合体(a)における親水性基を有する繰り返し単位の割合が、上記範囲内であると、特定共重合体(a)の極性が適切に維持され、好適な耐水性が得られる。
特定共重合体(a)は、親水性基を有する繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
(疎水性基を有する繰り返し単位)
特定共重合体(a)は、疎水性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。疎水性の官能基を有する繰り返し単位を含むことで、特定共重合体(a)の極性が適切に維持され、インク組成物により形成されたインク画像は、耐水性に優れるとともに、非吸収性の記録媒体への密着性に優れるものとなる。
疎水性基を有する繰り返し単位としては、この繰り返し単位のみのホモポリマーとしたときの重量平均分子量が10,000以上となり、25℃の水への溶解度が1.0質量%未満であるビニルモノマー由来の繰り返し単位が好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル及びアラルキルエステルから選ばれるモノマー由来の繰り返し単位が好適に用いられる。
また、特定共重合体(a)の極性を適切な範囲に調整するという観点から、疎水性基としては、総炭素数が5〜22のアルキル基が好ましく、炭素数8〜22のアルキル基がより好ましく、炭素数8〜14のアルキル基が更に好ましい。すなわち、アルキルアクリレートの場合には、炭素数4〜19のアルキル基を有するエステルであり、炭素数4〜13のアルキル基を有するエステルが好ましい。アルキルメタクリレートの場合には、炭素数4〜18のアルキル基を有するエステルであり、炭素数4〜10のアルキル基を有するエステルが好ましい。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖を有するものであって、環状であってもよい。また、ベンジル基、フェノキシエチル基等のアラルキルエステルであってもよい。
疎水性基を有する繰り返し単位を以下に例示する。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
疎水性基を有する繰り返し単位としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の繰り返し単位、スチレンやα−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン系化合物に由来の繰り返し単位、クロロエチルビニルエーテル等のビニルエーテル系化合物に由来の繰り返し単位等が挙げられる。
これらの中でも、疎水性基を有する繰り返し単位は、総炭素数が5〜22のアルキル基で置換された(メタ)アクリル酸エステル(例えば、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなど)に由来の繰り返し単位が好ましく、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等に由来の繰り返し単位がより好ましく、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来の繰り返し単位が特に好ましい。
特定共重合体(a)は、疎水性基を有する繰り返し単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
特定共重合体(a)における、疎水性基を有する繰り返し単位の割合は、共重合体の極性を低下させる観点から、5質量%〜72質量%であることが好ましく、20質量%〜65質量%であることがより好ましく、25質量%〜60質量%であることが最も好ましい。
特定共重合体(a)は、SP値が20.7MPa1/2〜23.0MPa1/2であることが好ましく、21.2MPa1/2〜22.8MPa1/2より好ましく、21.5MPa1/2〜22.5MPa1/2が特に好ましい。
なお、SP値とは、沖津法(接着38巻6号6頁(1994年)高分子刊行会)によって算出される溶解性パラメータであり、分子構造中のユニット毎にモル引力定数及びモル体積を与え得られる、沖津により提唱された推算値を示す。なお、ポリマーのSP値を算出する際には、(メタ)アクリル酸におけるカルボン酸は、未中和の状態で計算を行うものとし、本明細書におけるSP値は、この方法で算出した値を用いている。
以下、特定共重合体(a)に用いられる代表的なモノマー単位のSP値を記載する。モノマー名の後の括弧内に記載した数値がSP値であり単位はMPa1/2である。
下記モノマー1(24.41)、下記モノマー2(23.22)、下記モノマー3(22.75)、メタクリル酸(24.02)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.89)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(32.87)メチルメタクリレート(19.5)、n−ブチルメタクリレート(18.33)、イソブチルメタクリレート(17.76)、tert−ブチルメタクリレート(17.97)、2−エチルヘキシルメタクリレート(17.30)、ステアリルメタクリレート(17.08)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.89)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(21.29)、シクロヘキシルメタクリレート(18.79)、ベンジルメタクリレート(20.21)、2−フェノキシエチルメタクリレート(20.23)、イソボロニルメタクリレート(18.09)
本発明のインク組成物に含まれる特定共重合体(a)の重量平均分子量は、耐水性の観点から、5,000〜150,000の範囲であることが好ましく、耐水性と吐出性とを高める観点から、5,000〜100,000の範囲であることがより好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー社製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、カラムオーブンの設定温度を40℃として測定した。分子量の算出には、標準ポリスチレンを用いた。
以下、本発明における特定共重合体(a)の具体例〔例示化合物(A−1)〜(A−24)、(P−1)〜(P−10)〕を示す。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。なお、SP値は、共重合体のSP値を示し、それぞれ既述の測定方法又は算出方法により得た値である。
なお、表1中、の略称は以下の通りである。
MAA:メタクリル酸(和光純薬工業社製)
MAA−Na:メタクリル酸ナトリウム塩(メタクリル酸を共重合したポリマーを中和することで生成する。)
BMA:n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
HEAA:ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬工業社製)
iBMA:イソブチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
tBMA:tert−ブチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
IBOMA:イソボロニルメタクリレート(和光純薬工業社製)
C18MA:オクタデシルメタクリレート(和光純薬工業社製)
CyHMA:シクロヘキシルメタクリレート(和光純薬工業社製)
PEMA:フェノキシエチルメタクリレート(NKエステルPHE−1G、新中村化学社製)
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート(和光純薬工業社製)
BnMA:ベンジルメタクリレート(和光純薬工業社製)
特定共重合体(a)は、例えば、一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を形成するための単量体と、親水性基を有する繰り返し単位を形成するための単量体と、疎水性基を有する繰り返し単位を形成するための単量体とを、公知の重合方法により重合し、必要に応じて酸性基をアルカリ金属の水酸化物等により中和することにより得ることができる。具体的には、例えば、特開昭52−988号公報、特開昭55−154970号公報、Langmuir 18巻14号5414〜5421頁(2002年)等に記載の重合方法準じた方法で、特定共重合体(a)を製造することができる。
本発明のインク組成物中における特定化合物(i)と特定共重合体(a)との含有比率は、質量比で20:1〜1:8であることが好ましく、10:1〜1:5であることがより好ましく、8:1〜1:5であることが更に好ましい。
特定化合物(i)と特定共重合体(a)との含有比率(質量比)が上記範囲内であると、形成された画像は、擦過に対して良好な耐性を有しながら、記録基材の可撓性を大きく損なわない良好な柔軟性をも兼ねそなえたものとなる。
<水>
本発明のインク組成物は、水を含有する水系のインク組成物である。
水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水等を用いることが好ましい。
本発明のインク組成物における水の含有量は、特に限定されるものではないが、保存安定性及び吐出安定性の確保の観点から、10質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜60質量%であることがより好ましく、30質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
<ポリマー粒子>
本発明のインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。本発明においては、ポリマー粒子を含有することで、インクの保存安定性及び吐出安定性が良好となるとともに、光硬化性ポリマーを含有して得られる画像強度を和らげる効果を得ることができ、画像の擦過に対する耐性と柔軟さとの両立が可能となる。
ポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性、又は変性の、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等)、アルキド樹脂、ポリエステル系樹脂(例:フタル酸樹脂等)、アミノ系材料(例:メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等)、それらの共重合体又は混合物等の樹脂の粒子が挙げられる。
ポリマー粒子としては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、2種以上のポリマーを混合して構成されたポリマー粒子あるいは2種以上のモノマーが結合して構成されたポリマー粒子を使用してもよい。
本発明においては、インクの保存安定性及び吐出安定性がより良好となる点において、ポリマー粒子は、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、及びポリウレタン構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有するポリマー粒子であることが好ましく、耐摩擦性及び柔軟性により優れた記録画像が得られる点において、ポリウレタン構造を有するポリマー粒子(以下、「ポリウレタン粒子」と称する場合がある。)がより好ましく、特に、ポリウレタン構造のみを有するポリマー粒子であることが更に好ましい。
ポリウレタン粒子は、下記の観点から好ましいと推測される。すなわち、ポリウレタン粒子を形成するポリウレタン系樹脂は、ポリマー間で水素結合のような強固な相互作用が可能なウレタン部位と、ポリマー間での相互作用が比較的弱い非ウレタン部位とから形成されており、インクの膜が形成される際に、ミクロな構造として、相互作用が比較的強い部位と比較的弱い部位とがそれぞれ寄り集まって海−島構造を構築しており、この海−島構造の構築により、ポリウレタンが柔軟性を有するものと推定される。ポリウレタンは、このように本質的に柔軟性を有するため、従来知られているような低Tgのポリマー粒子を使用した例に比べて、高いTgのものの使用が可能であり、柔軟性と強度とを有し、耐擦過性に優れたインク膜(インク画像)を形成できるものと推察される。
したがって、特に耐擦過性が得られ難い、非吸収性又は低吸収性の記録媒体を用いた場合に、より有利である。
ポリマー粒子は、自己分散性を有する自己分散性ポリマーの粒子が好適である。自己分散性ポリマーの粒子は、界面活性剤の不存在下、分散状態(特に、転相乳化法による分散状態)としたとき、ポリマー自身が有する官能基(特に、酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
自己分散性ポリマーの粒子は、吐出安定性及び顔料を含む系の液安定性(特に、分散安定性)の観点から好ましく、中でも、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマーの粒子がより好ましい。
分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
水不溶性ポリマーは、液体組成物としたときの定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマーの乳化又は分散状態、すなわち自己分散性ポリマーの水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性ポリマーを溶媒(例えば、親水性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性ポリマーが有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
自己分散性ポリマーの粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、混合液から有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在していることを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶媒を含んでいてもよい。本発明においては、水性媒体は、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶媒とから構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。
水不溶性ポリマーの主鎖骨格は、ポリウレタンであることが好ましい。
縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例は、特開2001−247787号公報に記載されている。ポリウレタンは、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とを原料として重付加反応により合成される。ジオール化合物及びジイソシアネート化合物の詳細については、特開2001−247787号公報の段落番号[0031]〜[0036]の記載を参照することができる。
また、本発明においては、ポリマー粒子は、下記一般式(PU−1)で表される構造を有するポリウレタン粒子を含むことが好ましい。
一般式(PU−1)において、Rは、脂肪族基、又は芳香族基を表し、Rは、ジオール化合物の残基を表す。
で表される脂肪族基としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化m−キシレンジイソシアネート(H6XDI)、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等に由来する2価の基が挙げられる。
で表される芳香族基としては、m−キシレンジイソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等に由来する2価の基が挙げられる。
このうち、Rとしては、記録画像の耐久性の観点から、脂肪族基であることが好ましい。これは、比較的柔らかい構造を選択することで、インクが記録媒体に定着した後のインク膜の柔軟性が向上し、記録画像の耐久性が向上するためと推察される。
としては、ジオール化合物の残基を表し、この残基としては、アルキレン基、ポリエーテル基、ポリエステル基、ポリカーボネート基、及びポリカプロラクトン基から選ばれる基が好ましく、より好ましくは、アルキレン基、ポリエーテル基、ポリエステル基、及びポリカプロラクトン基から選ばれる基であり、特に好ましくは、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜60のアルキルエーテル基、及び炭素数1〜30のアルキルエステル基から選ばれる基である。これは、比較的柔らかい構造を選択することで、インクが記録媒体に定着した後のインク膜の柔軟性が向上し、記録画像の耐久性が向上するためと推察される。
また、mは、整数を表し、後述の分子量を満たす範囲で適宜選択すればよい。
さらに、本発明においては、ポリマー粒子は、耐摩擦性の観点から、ジイソシアネートとジオールとから形成されるポリウレタン構造を有するポリウレタン粒子であることが好ましく、インクの保存安定性及び吐出安定性の観点も考慮すると、ジイソシアネートとポリカーボネートジオールとから形成されるポリウレタン構造を有するポリウレタン粒子であることがより好ましい。
ポリウレタン粒子としては、内部に架橋構造を有するもの又は有さないもののいずれでもよいが、画像定着性の観点からは、架橋構造を有していないものがより好ましい。
本発明においては、ポリマー粒子として、上市されている市販品を用いてもよく、ポリウレタン系の市販品の例としては、大成ファインケミカル社製のアクリットWBR−016U(Tg:20℃)、同WEM−321U(Tg:20℃)、同WBR−2018(Tg:20℃)、同WBR−2000U(Tg:45℃)、同WBR−601U(Tg:−30℃)、村山化学研究所社製のPUE−1000、同PUE−1020A、同PUE−1370、同PUE−800、第一工業製薬社製のスーパーフレックス650、同860、同210、東亞合成社製のネオタンUE−1100、三洋化成工業社製のユーコートUX−150、同UWS−145、バーマリンUA−150、同UA−368、ユーピレンUXA−307、住化バイエルウレタン社製のインプラニールDLP−R(Tg:21℃)、同DLN(Tg:−55℃)、同DLC−F(Tg:−42℃)、バイヒドロール(UH XP2648(Tg:−51℃)、ディスパコールU−53(Tg:−58℃)、三洋化成社製のパーマリンUA−150(Tg:36℃)、宇部興産社製のUW−1005−E(Tg:−30℃)、UW−5101−E(Tg:69℃)等を挙げることができる。
ポリマー粒子としては、(メタ)アクリル構造を有するアクリル系樹脂で形成された粒子、すなわち、アクリル系樹脂の粒子も好適である。
アクリル系樹脂としては、アニオン性基を有するものが好ましい。このようなアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)と、必要に応じて、このアニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーとを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基から選ばれる1つ以上の基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
アクリル系樹脂の粒子として、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例として、東亜合成社製のアロンHD−5(Tg:45℃、アクリル系)、ニチゴー社製のモビニール742N(Tg:37℃、アクリル系)等が挙げられる。
ポリマー粒子としては、スチレン構造を有するスチレン系樹脂で形成された粒子、すなわち、スチレン系樹脂の粒子も好適である。
スチレン系樹脂としては、スチレン単独重合体のほか、スチレンとアクリルモノマー等の他のモノマーとの共重合体が挙げられる。アクリルモノマーとしては、上記のアクリル系樹脂と同様のアニオン性基含有アクリルモノマーが挙げられる。
スチレン系樹脂の粒子として、上市されている市販品を使用してもよく、市販品の例としては、ジョンソンポリマー社製のジョンクリル741(Tg:15℃、スチレン/アクリル系樹脂)、同775(Tg:37℃、スチレン/アクリル系樹脂)、同537(Tg:49℃、スチレン/アクリル系樹脂)、同538(Tg:66℃、スチレン/アクリル系樹脂)等が挙げられる。
ポリマー粒子の分子量は、重量平均分子量で3,000〜300,000の範囲であることが好ましく、5,000〜200,000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算値として測定された値である。測定条件は下記の通りである。
<条件>
・GPC:HLC−8220 GPC〔東ソー社製〕
・カラム:TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(いずれも東ソー社製)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準試料:標準ポリスチレン
・流速:0.35ml/min
・カラム温度:40℃
ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの製造方法には、特に制限はない。例えば、重合性界面活性剤の存在下に乳化重合を行ない、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法で共重合させる方法が挙げられる。重合法の中でも、インクとしたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶媒を用いた溶液重合法がより好ましい。
ポリマー粒子は、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、このポリマーはカルボキシル基を有し、好ましくは酸価が1〜50であって、このポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明におけるポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌する工程
工程(2):混合物から有機溶媒を除去する工程
工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体とを徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。混合物の攪拌方法には特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。これらの有機溶媒の詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0109]の記載を適用することができる。中でも、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒とが好ましく、油系から水系への転相時の極性変化を穏和にする観点から、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンとの併用が好ましい。これらの溶剤の併用により、凝集沈降や粒子同士の融着がなく、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては、有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。これら中和剤の詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0110]の記載を適用することができる。中でも、自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5モル%〜120モル%用いることが好ましい。ここでの比率の詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0111]に記載されている。
工程(2)においては、工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することでポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は、実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
ポリマー粒子(B)(特に、自己分散性ポリマー粒子)の平均粒子径は、体積平均粒子径で10nm〜400nmの範囲であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲であることがより好ましく、10nm〜100nmの範囲であることが更に好ましく、特に好ましくは10nm〜50nmの範囲である。平均粒子径が10nm以上であると、製造適性が向上する。また、平均粒子径が400nm以下であると、保存安定性が向上する。また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置(日機装社製、UPA−EX150)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することで求められるものである。
ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)は、インクの保存安定性の観点から、−60℃〜70℃の範囲であることが好ましく、−40℃〜70℃の範囲であることがより好ましく、20℃〜50℃の範囲であることが更に好ましい。
ポリマー粒子のガラス転移温度が上記範囲内にあると、画像に硬さ又は粘つきが生じ難く、手触り感等の風合い(例えば、記録画像に硬さや粘つきがない等)が良好になるとともに、記録画像の耐擦過性をより向上させることができる。
ポリマー粒子(特に、自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。ポリマー粒子として2種以上を含んでもよく、また2種以上を混合あるいは結合したポリマーで構成された粒子を使用してもよい。
本発明のインク組成物において、ポリマー粒子を含有する場合には、インク組成物中におけるポリマー粒子の含有量は、画像の耐擦過性の観点から、インク全量に対して、1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜15質量%であることがより好ましい。
また、本発明においては、上述した光硬化性ポリマーとポリマー粒子との含有比率は、柔軟性の観点から、質量比で0.5:9.5〜8:2であることが好ましく、0.5:9.5〜5:5であることがより好ましく、1:9〜4:6であることが更に好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインク組成物は、水、及び特定化合物(i)を溶媒として含むとともに、既述の特定化合物(i)に該当しない水溶性有機溶剤を含有することができる。水溶性有機溶剤をポリマー粒子と共に含有することにより、インク中ではポリマー粒子の最低像膜温度を低めに維持することができ、吐出性などを良好に保つことができる。ここで、水溶性とは、20℃の水に1質量%以上溶解することをいう。
本発明のインク組成物における水溶性有機溶剤としては、既述の特定化合物(i)に該当しない、多価アルコール類(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブタンジール、1,2−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール等)、多価アルコール類のモノエーテル(ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、多価アルコール類のジエーテル(テトレエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等)等が挙げられる。また、アミド類(例えば、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等)等も挙げられる。
本発明のインク組成物において、水溶性有機溶剤を含有する場合には、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を単独で含有してもよいし、複数種を組み合わせて含有してもよい。
<着色剤>
本発明のインク組成物は、着色剤を含有していてもよい。本発明のインク組成物は、着色剤を含有することにより、着色インク組成物となる。着色剤としては、顔料、染料等が好適であり、中でも画像の耐光性の観点から、顔料が好ましい。顔料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料又は無機顔料のいずれであってもよい。インク着色性の観点から、顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶であることが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系顔料、カーボンブラック系顔料等が挙げられる。
本発明のインク組成物では、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても、水相に分散可能であればいずれも使用可能である。顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も使用可能である。
本発明のインク組成物においては、上記顔料の中でも、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、及びカーボンブラック系顔料が好ましい。
本発明のインク組成物は、着色剤として水分散性顔料を含有してもよい。
水分散性顔料の具体例としては、下記(1)〜(4)の顔料が挙げられる。
(1)カプセル化顔料:ポリマー粒子に顔料を含有させてなるポリマー分散物、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散可能にしたもの
(2)自己分散顔料:表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラック等を表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたもの
(3)樹脂分散顔料:重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料:界面活性剤により分散された顔料
カプセル化顔料について詳述する。
カプセル化顔料において、顔料を被覆する樹脂は、特に限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、且つ、アニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であることが好ましい。樹脂は、通常、数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量が上記範囲内であると、顔料における被覆膜として、又はインクとした際の塗膜として、その機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられることが好ましい。
カプセル化顔料における樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性、又は変性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、これらの共重合体、混合物等のアニオン性基を有する材料等が挙げられる。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」と称する。)と、必要に応じて、このアニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーとを溶媒中で重合することにより得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。カルボキシキル基を有するアクリルモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
カプセル化顔料は、上記の成分を用いて、従来の物理的又は化学的方法により製造することができる。例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法、酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の観点から転相乳化法が好ましい。転相乳化法については後述する。
また、自己分散顔料も好ましい例の1つである。自己分散顔料とは、多数の親水性官能基及び/又はその塩(以下、「分散性付与基」と称する。)を、顔料表面に直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、顔料分散用の分散剤を用いずに水性媒体中に分散可能な顔料である。ここで、「分散剤を用いずに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能なことをいう。
自己分散顔料を着色剤として含有するインクは、通常、顔料を分散させるために含有させる分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。自己分散顔料の表面に結合される分散性付与基には、−COOH、−CO、−OH、−SOH、−PO及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩を例示することができ、分散性付与基は、顔料に物理的処理又は化学的処理を施して、分散性付与基又は分散性付与基を有する活性種を顔料表面に結合(グラフト)させることにより結合される。物理的処理としては、例えば、真空プラズマ処理等が例示できる。また、化学的処理としては、例えば、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
本発明のインク組成物においては、例えば、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、又はオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散顔料は、市販品を使用してもよく、具体的には、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業社製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(商品名;キャボット社製)等が挙げられる。
顔料としては、顔料分散剤のうち水不溶性樹脂を用い、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性樹脂で被覆されたカプセル化顔料、例えば、水不溶性樹脂粒子に顔料が含有されているポリマーエマルジョンが好ましく、より詳しくは、水不溶性樹脂で顔料の少なくとも一部を被覆し、顔料表面に樹脂層を形成して水に分散させ得る水分散性顔料が好ましい。このような水不溶性樹脂で被覆されたカプセル化顔料の使用は、顔料の凝集性の観点から好ましく、また、高速記録する場合に高解像度な画像を形成できる点で好ましい。
転相乳化法について説明する。
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。この混合溶融物は、硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
なお、上記の転相乳化法及び酸析法のより具体的な方法については、特開平9−151342号、及び特開平10−140065号の各公報に記載を参照することができる。
−分散剤−
本発明のインク組成物において、着色剤として顔料を用いる場合には、分散剤を用いてもよい。分散剤としては、ポリマー分散剤及び低分子の界面活性剤型分散剤が挙げられ、本発明のインク組成物においては、これらのいずれを用いてもよい。また、ポリマー分散剤としては、水溶性又は非水溶性のいずれの分散剤を用いてもよい。
なお、「非水溶性」とは、分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることをいう。
低分子の界面活性剤型分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、顔料を水溶媒に安定に分散させることができる。低分子の界面活性剤型分散剤とは、分子量2,000以下の低分子分散剤をいう。低分子の界面活性剤型分散剤の分子量は、100〜2,000の範囲であることが好ましく、200〜2,000の範囲であることがより好ましい。
低分子の界面活性剤型分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。親水性基と疎水性基とは、それぞれ独立に、1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基と疎水性基とを有していてもよい。親水性基と疎水性基とを連結するための連結基も適宜、有していてもよい。
親水性基としては、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基、これらを組み合わせたベタイン型等が挙げられる。アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば、特に限定されるものではないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基又はカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであれば、特に限定されるものではないが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましく、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが更に好ましい。ノニオン性基としては、ポリエチレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有しており、特に炭化水素系の構造を有していることが好ましい。また、疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また、疎水性基は、1本鎖状構造、又は2本鎖以上の鎖状構造でもよく、2本鎖以上の鎖状構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基であることが好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基であることが更に好ましい。
ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物としては、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
また、天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
さらに、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含む高分子化合物が好ましく、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等のようなカルボキシル基を含む高分子化合物が特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち、非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜200,000の範囲が好ましく、5,000〜100,000の範囲がより好ましく、5,000〜80,000の範囲が更に好ましく、10,000〜60,000の範囲が特に好ましい。
ポリマー分散剤は、自己分散性の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が100mgKOH/g以下のポリマーであることが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25mgKOH/g〜100mgKOH/gのポリマーであることがより好ましい。
顔料と分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)は、1:0.06〜1:3の範囲であることが好ましく、1:0.125〜1:2の範囲であることがより好ましく、1:0.125〜1:1.5の範囲であることが更に好ましい。
また、本発明のインク組成物においては、顔料の表面の少なくとも一部が水溶性樹脂を架橋剤で架橋した架橋ポリマーで被覆された樹脂被覆顔料がより好ましい。水溶性樹脂は、顔料を分散させる分散剤として作用する。顔料が架橋ポリマーで被覆されていると、顔料分散物、又はこの顔料分散物を用いて水系インクとしたときに、優れた安定性(pH変動に対する安定性及び温度変動に対する安定性)を付与することができる。水溶性樹脂としては、ポリビニル類、ポリウレタン類、ポリエステル類等が挙げられ、中でもポリビニル類が好ましい。
ここでいう水溶性樹脂は、分子内に、架橋剤により架橋反応を起こす基を有している。このような基は、特に限定されないが、カルボキシル基又はその塩、イソシアナート基、エポキシ基等が挙げられる。本発明のインク組成物においては、水溶性樹脂は、分散性向上の観点から、カルボキシル基又はその塩を有していることが好ましい。
水溶性樹脂は、共重合成分としてカルボキシル基含有モノマーを用いて得られる共重合体であることが好ましい。カルボキシル基含有モノマーとしては、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、中でも、架橋性及び分散安定性の観点から、メタクリル酸及びβ−カルボキシエチルアクリレートが好ましい。また、カルボキシル基含有モノマーのほか、任意に選択した親水性モノマー及び疎水性モノマーから選択される少なくとも一種を共重合成分として用いてもよい。親水性モノマーは、イオン性でもノニオン性でもよい。疎水性モノマーは、特に制限されるものではないが、炭素数1〜20のアルキルメタクリレート又は炭素数1〜20のアルキルアクリレートであることが好ましい。
水溶性樹脂は、ランダムポリマー、又はブロック若しくはグラフトポリマーのいずれでもよい。
水溶性樹脂の酸価(水溶性樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、顔料の分散性及び分散安定性の観点から、135mgKOH/g〜250mgKOH/gであることが好ましく、135mgKOH/g〜200mgKOH/gであることがより好ましく、135mgKOH/g〜180mgKOH/gであることが特に好ましい。
水溶性樹脂としてのポリマーの合成法は、特に限定されるものではないが、分散安定性の観点から、ビニルモノマーのランダム重合が好ましい。
架橋剤としては、架橋反応を起こす部位を2つ以上有する化合物を用いることができ、中でもカルボキシル基との反応性に優れる点で、2官能以上のエポキシ化合物が好ましい。2官能以上のエポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられ、中でも、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル及びジエチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
架橋剤の架橋部位と水溶性樹脂の被架橋部位とのモル比は、架橋反応速度、及び架橋後の分散液の安定性の観点から、1:1.1〜1:10の範囲であることが好ましく、1:1.1〜1:5の範囲であることがより好ましく、1:1.1〜1:3の範囲であることが最も好ましい。
水溶性樹脂の顔料に対する量は、10質量%〜250質量%であることが好ましく、10質量%〜200質量%であることがより好ましく、20質量%〜150質量%であることが更に好ましく、30質量%〜100質量%であることが特に好ましい。
顔料の表面が水溶性樹脂を架橋剤で架橋した架橋ポリマーで被覆された樹脂被覆顔料は、顔料を、水溶性樹脂を用いて分散した後に、架橋剤により架橋する工程を経て得ることができる。好ましい調製方法の一例として、下記工程(1)〜(3)を経て行なう方法を示す。
(1)顔料及び前記水溶性樹脂を、水又は極性溶媒の水溶液中に分散して顔料分散液を得る分散工程
(2)上記の(1)で得られた顔料分散液に架橋剤を加えて加熱し、架橋反応させて顔料の表面を架橋されたポリマーで被覆する架橋工程
(3)架橋されたポリマーで被覆された樹脂被覆顔料を精製する工程
これら工程のほか、必要に応じて、他の工程を適宜設けてもよい。工程(1)において、極性溶媒等は、公知のものを適宜用いることができる。
水溶性樹脂を架橋剤で架橋した架橋ポリマーで被覆された顔料としては、具体的には、Projet Yellow APD1000、Projet Magenta APD1000、Projet Cyan APD1000、Projet Black APD1000(いずれもFUJIFILM Imaging Colorants社製)等が好適に用いられる。
本発明のインク組成物においては、顔料に代えて染料を着色剤として用いてもよい。染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを用いることができる。染料としては、公知の染料を制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料が好適に用いられる。担体としては、水に不溶又は難溶であれば、特に制限はなく、無機材料、有機材料、及びこれらの複合材料から選択して用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体が好適に用いられる。
染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
本発明のインク組成物においては、画像の耐摩擦性、品質等の観点から、顔料と分散剤とを含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含み、顔料の表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料として含有されることがより好ましい。
また、本発明のインク組成物においては、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含み、顔料表面の少なくとも一部がカルボキシル基を有するポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料として含有されることが特に好ましい。
分散状態での顔料の平均粒子径は、10nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜150nmであることがより好ましく、10nm〜100nmであることが更に好ましい。平均粒子径が200nm以下であると、色再現性が良好になり、また、打滴する際の打滴特性も良好になる。平均粒子径が10nm以上であると、耐光性が良好になる。色材の粒径分布は、特に限定されるものではなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
ここで、分散状態での顔料の平均粒子径は、インク化した状態での平均粒子径を示すが、インク化する前段階のいわゆる濃縮インク分散物についても同様である。
なお、分散状態での顔料の平均粒子径、並びに後述するポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装社製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することで求められるものである。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物が顔料を含有する場合、この顔料のインク組成物中における含有量は、画像濃度の観点から、インク組成物の全量に対して、1質量%〜25質量%であることが好ましく、2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤>
本発明におけるインクジェットインク組成物においては、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有することで、表面張力を調整することができる。界面活性剤の含有量としては、インク組成物の表面張力が30mN/m〜40mN/mの範囲、より好ましくは33mN/m〜38mN/mの範囲に調整し得る量とすることができる。インク組成物の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
界面活性剤の具体例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社製)やオルフィンシリーズ(日信化学工業社製)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
<その他の添加剤>
本発明におけるインクジェットインク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させることができる。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から、インク組成物がpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
消泡剤としては、例えば、BYK−024のようなBYKシリーズ(BYK社)のような化合物が好ましく使用できる。
〔画像記録方法〕
本発明の画像記録方法は、上記のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に光を照射する光照射工程とを含むことを特徴とする。また、本発明の画像記録方法は、インク付与工程後であって光照射工程前に、記録媒体上に付与されたインク組成物中の液媒体(具体的には、水であり、水溶性有機溶剤を含む場合には、水及び水溶性有機溶剤)を乾燥して除去するインク乾燥工程を有することが望ましい。
(インク付与工程)
本発明の画像記録方法におけるインク付与工程について説明する。
本発明におけるインク付与工程では、上記のインク組成物をインクジェット法により記録媒体上に付与する。
本発明の画像形成方法において、上記のインク組成物を記録媒体上に付与するインクジェット記録装置は、特に限定されるものではなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を、任意に選択して用いることができる。
−記録媒体−
本発明においては、記録媒体は、特に限定されるものではなく、支持体や記録材料として公知の記録媒体を用いることができる。記録媒体としては、例えば、紙、ガラス、金属(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)の板、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)のフィルム又はシート、上記のプラスチックがラミネートされた紙、上記の金属がラミネート又は蒸着された紙又はプラスチックのフィルム等が挙げられる。
本発明のインク組成物によれば、耐摩擦性及び柔軟性に優れた画像を記録することができるので、記録媒体としては、インクに対して非吸収性又は低吸収性のものが、本発明の効果がより有利に奏される点において好ましい。このような観点から、本発明における記録媒体は、上記の中でも、プラスチックのフィルム又はシートが好ましく、更に汎用性の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル樹脂のフィルム又はシートがより好ましい。
非吸収性又は低吸収性は、記録媒体に対するインクの吸収度合を示すものであるが、本発明のインク組成物は水系であるため、下記のように水の吸収性にて評価することができる。すなわち、本発明において、「非吸収性の記録媒体」とは、ASTM試験法のASTM D570で吸水率(質量%、24hr.)が0.2未満の組成のものを意味し、「低吸収性の記録媒体」とは、ASTM試験法のASTM D570で吸水率(質量%、24hr.)が0.2以上0.5未満の組成のものをいう。
記録媒体の厚みは、0.1μm〜1000μmであることが好ましく、0.1μm〜800μmであることがより好ましく、1μm〜500μmであることが更に好ましい。記録媒体の厚みが0.1μm〜1000μmの範囲内であると、柔軟性に優れた画像を記録できるという本発明の効果がより有利に奏される。
記録媒体には、親水化処理が施されてもよい。インクが付与される前の記録媒体に、親水化処理を施すことで、水系に調整されたインクのハジキを防止することができ、また、画像の耐摩擦性をより向上させることができる。
親水化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、熱処理、摩耗処理、光照射処理(UV処理)、火炎処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、インクを付与して画像を記録する前に、予め記録媒体の表面にコロナ処理を施すと、記録媒体の表面エネルギーが増大し、記録媒体の表面の湿潤及び記録媒体へのインクの接着が促進される。コロナ処理は、例えば、コロナマスター(信光電気計社製、PS−10S)等を用いて行なうことができる。コロナ処理の条件は、記録媒体の種類、インクの組成等、場合に応じて適宜選択すればよい。例えば、下記の処理条件としてもよい。
・処理電圧:10〜15.6kV
・処理速度:30〜100mm/s
本発明における親水化処理としては、コストや作業性の点で、コロナ処理を施す態様が好ましい。
(光照射工程)
本発明の画像記録方法における光照射工程について説明する。
本発明における光照射工程は、記録媒体上に付与されたインク組成物に光を照射する工程である。光照射工程において照射する光としては、紫外線(以下、「UV光」という場合がある。)等を挙げることができる。
UV光のピーク波長は、必要に応じて用いられる増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜350nmであることが更に好ましい。本発明のインク組成物が増感色素や光重合開始剤を含まない場合、UV光のピーク波長は、200nm〜310nmであることが好ましく、200nm〜280nmであることがより好ましい。
UV光は、露光面の照度が、例えば、10mW/cm〜2,000mW/cm、好ましくは、20mW/cm〜1,000mW/cmとなるように照射されるとよい。
UV光源としては、水銀ランプ、ガスレーザー、固体レーザー等が主に利用されており、水銀ランプ、メタルハライドランプ、及びUV蛍光灯が広く知られている。また、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは、産業的及び環境的にも非常に有用であり、LED(UV−LED)及びLD(UV−LD)は、小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、UV光源として期待されている。本発明のインク組成物が増感色素や光重合開始剤を含む場合には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、又はUV−LEDが好ましく、本発明のインク組成物が増感色素や光重合開始剤を含まない場合には、中圧水銀ランプ又は低圧水銀ランプが好ましく、特に低圧水銀ランプが好ましい。
光照射工程においては、記録媒体上に付与された本発明のインク組成物が、このようなUV光に、例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.1秒間〜90秒間照射されることが適当である。
照射条件及び照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている照射条件及び照射方法を本発明においても同様に適用することができる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源とを走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって照射する方式が好ましい。光照射は、インクが記録媒体に着弾し、加熱乾燥された後、一定時間(例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.01秒間〜60秒間)を経て行なわれる。
(インク乾燥工程)
本発明の画像記録方法においては、インク付与工程後であって光照射工程前に、更にインク乾燥工程を経ることが好ましい。
インク乾燥工程を経ることで、インク組成物中の液媒体(水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤)が蒸発し、画像のムラや滲みの少ない高画質な画像、及び耐摩擦性に優れた記録物を短時間で得ることができる。また、インク乾燥工程を経ることで、記録媒体のシワやカールを防止することができる。さらに、インク乾燥工程を経ると、乾燥時の加熱によりインク組成物に含まれるポリマー粒子の融着が促され、良好な皮膜が形成されるため、画像の耐摩擦性がより一層向上する。
乾燥温度は、インク組成物中に存在する液媒体が蒸発し、且つ、ポリマー粒子による皮膜が形成されるという観点から、40℃以上が好ましい。中でも、乾燥温度は、40℃〜150℃であることが好ましく、40℃〜80℃であることがより好ましい。乾燥温度が80℃以下であると、記録媒体の変形を防ぐことができる。
なお、乾燥時間は、インク組成物中の液媒体が蒸発し、且つ、ポリマー粒子による皮膜が形成できれば、特に制限はなく、液媒体種、ポリマー種、記録速度等を考慮して、適宜選択することができる。
乾燥方式としては、インク組成物中に含まれる液媒体の揮発を促進させる方法であれば、特に限定されるものではない。乾燥方式としては、例えば、記録前後の記録媒体に熱を加える方法、記録後の記録媒体に風を吹き付ける方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。具体的には、強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥、乾燥空気送風等が挙げられる。
〔画像記録物〕
本発明の画像記録物は、本発明のインク組成物により記録された画像を有するか、又は、本発明の画像記録方法によって記録された画像を有することを特徴とする。
本発明の画像記録物は、耐摩擦性及び柔軟性に優れる画像を有しているので、例えば、量販店等のフロア案内のようなサインやディスプレイ、食品等の軟包装材等として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
[特定共重合体P−1の合成]
特開昭52−988号公報及び特開2009−138172号公報を参考に、下記の特定共重合体P−1を合成した。
上記特定共重合体P−1(1.5質量部)と、酢酸エチルエステル(10質量部)と、イソプロピルエーテル(3g)とを混合し、混合液を調製した。別途、イオン交換水(18質量部)と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製、エマール 20C)とを混合し、混合液を調製した。これら2種の混合液を混合した後、ホモジナイザー(日本精機社製)を用いて、9分間混合し乳化させた。得られた乳化液を60℃で撹拌し濃縮させて、酢酸エチルエステルの除去を行ない、固形分17質量%の特定共重合体P−1の分散液を得た。また、同様にして、固形分30質量%の特定共重合体P−1の分散液も得た。これらの分散液中の特定共重合体P−1の体積平均粒子径を、動的光散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LB−500)を用いて測定したところ、60nmであった。
[特定共重合体P−2の合成]
特開昭52−988号公報及び特開2009−138172号公報を参考に、下記の特定共重合体P−2を合成した。
上記特定共重合体P−2を用いて、上記特定共重合体P−1と同様の方法により、固形分17質量%の特定共重合体P−2の分散液を得た。この分散液中の特定共重合体P−2の体積平均粒子径を、動的光散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LB−500)を用いて測定したところ、110nmであった。
[特定共重合体P−3の合成]
特開昭52−988号公報及び特開2009−138172号公報を参考に、下記の特定共重合体P−3を合成した。
上記特定共重合体P−3を用いて、上記特定共重合体P−1と同様の方法により、固形分17質量%の特定共重合体P−3の分散液を得た。この分散液中の特定共重合体P−3の体積平均粒子径を、動的光散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LB−500)を用いて測定したところ、260nmであった。
[インクの調製]
<実施例1>
下記の組成に従い、各成分を混合した。得られた混合液を、プラスチック製のディスポーザルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmのフィルタ(ミリポア社製、Millex−SV、直径:25mm)にてろ過することにより、実施例1のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 31.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 2.9質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例2>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 31.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 2.9質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 10質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例3>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子)) ・・・ 16.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 29.4質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例4>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 6質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 6.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 47.1質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例5>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 6.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 47質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 1質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例6>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 6.7質量部
・上記特定共重合体P−2
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 47質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 1質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例7>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 6.7質量部
・上記特定共重合体P−3
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 47質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 1質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例8>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・アロンHD−5
〔東亜合成社製、アクリル樹脂粒子(Tg:45℃、体積平均粒子径:約10nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 16.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 29.4質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例9>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・ジョンクリル741
〔ジョンソンポリマー社製、スチレン/アクリル樹脂微粒子(Tg:15℃、体積平均粒子径:約100nm)の49質量%分散液〕(ポリマー粒子)・・・ 10.2質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 29.4質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例10>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 16.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 29.4質量部
・ジグリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa未満、25℃で液体〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例11>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 16.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔17質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 29.4質量部
・ポリエチレンイミン(PEI)
〔日本触媒社製、エポミンSP−006、25℃における蒸気圧:0.01Pa未満、25℃で液体〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<実施例12>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例12のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・上記特定共重合体P−1
〔30質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 33.3質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例1>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 16.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔30質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 29.4質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例2>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 16.7質量部
・上記特定共重合体P−1
〔30質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 33.3質量部
・エチレングリコール
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:7Pa〕 ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例3>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・上記特定共重合体P−1
〔30質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 33.3質量部
・尿素〔東京化成社製、固体〕 ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例4>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 33.3質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例5>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・WBR−016U
〔大成ファインケミカル社製、ポリウレタン樹脂粒子(Tg:20℃、体積平均粒子径:約30nm)の30質量%分散液〕(ポリマー粒子) ・・・ 23.3質量部
・ポリエチレングリコール8000
〔MPケミカル社製、非硬化性ポリマー〕 ・・・ 3質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例6>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・上記特定共重合体P−1
〔30質量%分散液〕(光硬化性ポリマー) ・・・ 33.3質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<比較例7>
実施例1において、インクの組成を以下に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7のインクを調製した。
〜インクの組成〜
・Projet Magenta APD1000〔FUJIFILM Imaging Colorants 社製、マゼンタ顔料分散液、顔料濃度:14質量%〕 ・・・ 28.57質量部
・2−ピロリドン〔東京化成社製〕(水性有機溶媒) ・・・ 12質量部
・ジプロピレングリコール〔東京化成社製〕(水性有機溶媒)・・・ 2質量部
・トリプロピレングリコールモノメチルーテル
〔東京化成社製、TPGmME〕(水性有機溶媒) ・・・ 2質量部
・オルフィンE1010
〔日信化学工業社製〕(アセチレングリコール系界面活性剤)・・・ 1質量部
・O−106〔中京油脂社製、水性光硬化性ポリマー〕 ・・・ 5質量部
・イルガキュア2959
〔東京化成社製、光重合開始剤〕・・・ 1質量部
・グリセリン
〔東京化成社製、25℃における蒸気圧:0.01Pa、融点:17.8℃〕(特定化合物(i)) ・・・ 5質量部
・BYK−024〔ビックケミー社製〕(消泡剤) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・インク総量を100質量部とした場合の残分(質量部)
<評価>
上記にて調製した実施例1〜実施例12、及び比較例1〜比較例7の各インクについて、保存安定性、吐出安定性、画像耐摩擦性、及び画像柔軟性の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
1.保存安定性
上記にて調製したインクをインクジェットヘッド(FUJIFILM Dimatix社製、Polaris PQ512/85)に充填し、30分間連続で吐出(液滴量:85pl)させた。
また、上記にて調製した各インクを60℃で1週間保存し、その保存後のインクをインクジェットヘッド(FUJIFILM Dimatix社製、Polaris PQ512/85)に充填し、30分間連続で吐出(液滴量:85pl)させた。
そして、保存前後の各インクを吐出させた際の不吐出ノズルの数を測定し、保存後の不吐出ノズルの数の増加率(%)を求め、下記の評価基準に従ってインクの保存安定性を評価した。なお、実用上許容できるものは、[A]以上である。
(評価基準)
A:保存後の不吐出ノズルの数の増加率が10%以内である。
B:保存後の不吐出ノズルの数の増加率が10%を超えて30%以内である。
C:保存後の不吐出ノズルの数の増加率が30%を超える。
2.吐出安定性
上記にて調製したインクをインクジェットヘッド(FUJIFILM Dimatix社製、Polaris PQ512/85)に充填し、30分間連続で吐出(液滴量:85pl)させ、最後まで吐出できたノズル数を測定した。そして、この測定値を用い、下記式により残ノズル率を求め、下記の評価基準に従ってインクの吐出安定性を評価した。 なお、実用上許容できるものは、[A]以上である。
残ノズル率(%)=(最後まで吐出できたノズル数)/(吐出初期に吐出が確認されたノズル数)×100
(評価基準)
A:残ノズル率が70%以上である。
B:残ノズル率が50%以上70%未満である。
C:残ノズル率が50%未満である。
3.画像耐摩擦性
ポリプロピレンシート(積水成型工業社製、ポリセームP−8134)に対して、コロナマスター(信光電気計社製、PS−10S)を用いて、処理電圧:15kV、処理速度:50mm/secの条件で2回コロナ処理を行なった。コロナ処理を施したポリプロピレンシートに対して、上記にて調製したインクをインクジェットヘッド(FUJIFILM Dimatix社製、Polaris PQ512/85)に充填し、85plの液滴量で吐出し、200dpi(dot per inch)の100%ベタ画像を記録した。このベタ画像をナイロンメッシュ台上に密着させ、ポリプロピレンシートの画像非形成面側からドライヤで風速7m/s、温度40℃の温風を120秒間あて、乾燥させた。次いで、乾燥させたベタ画像を低圧水銀灯で500mJ/cmのエネルギーとなる条件で露光した。このようにして、画像サンプルを得た。
得られた画像サンプルの画像部を、学振式摩擦試験機(安田精機社製、No.428)を用い、水0.05mLで湿らせた白綿(湿らせる面積:約20mm×約20mm)で、約2Nの力をかけ、規定の往復回数擦った。そして、白綿に移った色を目視により観察し、下記の評価基準に従って画像の耐摩擦性を評価した。
なお、実用上許容できるものは、[B]以上である。
(評価基準)
A:白綿を10回往復させて画像部を擦っても、白綿への色移りは僅かであった。
B:白綿を10回往復させて画像部を擦ると、白綿に色移りが僅かに観られたが、実用上支障をきたさない。
C:白綿を10回往復させて画像部を擦ると、白綿に色移りが観られ、実用上支障をきたす。
D:白綿を2回往復させて画像部を擦ると、白綿に顕著に色移りが観られる。
4.画像柔軟性
画像柔軟性を評価する一試験法として、折り曲げ試験を行なった。評価には、上記画像耐摩擦性の評価に用いた画像サンプルと同様の方法により作製した画像サンプルを用いた。画像サンプルを画像が記録された面方向に折り曲げ、次いで、折り曲げた箇所を画像が記録された面とは逆方向に折り曲げた。この操作を1回の折り曲げとし、画像が割れるまで繰り返し、下記の評価基準に従って画像の柔軟性を評価した。画像が割れたかどうかは、折り曲げた箇所を、光学顕微鏡(キーエンス社製、VK−9700、倍率:対物10倍)を用いて観察することにより確認した。
なお、実用上許容できるものは、[B]以上である。
(評価基準)
A:画像が割れるまでの折り曲げ回数が8回以上である。
B:画像が割れるまでの折り曲げ回数が5回以上7回以下である。
C:画像が割れるまでの折り曲げ回数が2回以上4回以下である。
D:画像が割れるまでの折り曲げ回数が1回である。
表2に示すように、光硬化性ポリマーと、特定化合物(i)とを含有するインク(実施例1〜実施例12)は、いずれも保存安定性及び吐出安定性に優れ、また、これらのインクを用いて記録された画像は、優れた耐摩擦性と柔軟性とを示した。
これに対して、光硬化性ポリマーと、特定化合物(i)との両方を含有しないインク(比較例1〜比較例7)は、いずれも吐出安定性が劣っており、また、互いに相反する性質である耐摩擦性と柔軟性とを両立させることは困難であった。

Claims (12)

  1. 多価アルコール化合物及びアミン化合物からなる群より選択され、25℃における蒸気圧が1Pa未満であり、且つ融点が25℃未満である化合物と、下記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位を含む光硬化性ポリマーと、水と、を含有するインクジェットインク組成物。

    〔一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。*は、ポリマーにおける主鎖又は側鎖との結合部位を示す。〕
  2. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(2)で表される繰り返し単位である請求項1に記載のインクジェットインク組成物。

    〔一般式(2)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R及びRは、互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Zは、単結合、−COO−**又は−CONR−**を表し、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**は、Xとの結合位置を表す。Xは、アルキレン基又はアラルキレン基を表す。〕
  3. 更に、ポリマー粒子を含有する請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. インクジェットインク組成物中における前記化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%〜10質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記化合物と前記光硬化性ポリマーとの含有比率は、質量比で20:1〜1:8である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記ポリマー粒子のガラス転移温度Tgは、−40℃〜70℃である請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記ポリマー粒子は、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、及びポリウレタン構造からなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 前記ポリマー粒子は、ポリウレタン構造を有する請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  9. 前記ポリウレタン構造は、ジイソシアネートとジオールとから形成される請求項8に記載のインクジェットインク組成物。
  10. 前記ポリウレタン構造を形成するジオールは、ポリカーボネートジオールである請求項9に記載のインクジェットインク組成物。
  11. 前記光硬化性ポリマーと前記ポリマー粒子との含有比率は、質量比で0.5:9.5〜8:2である請求項3〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインクジェットインク組成物に光を照射する光照射工程と、を含む画像記録方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016112824A (ja) * 2014-12-17 2016-06-23 コニカミノルタ株式会社 モデル材インク、インクセットおよび3d造形物を製造する方法
JP2016112823A (ja) * 2014-12-17 2016-06-23 コニカミノルタ株式会社 3d造形物の製造方法、モデル材インクおよびインクセット
JP2017114991A (ja) * 2015-12-22 2017-06-29 株式会社リコー インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
WO2024058251A1 (ja) * 2022-09-16 2024-03-21 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法

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