JP2016216542A - 洗浄液及び洗浄方法 - Google Patents

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佳孝 宮島
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Abstract

【課題】インクジェット記録装置のインク流路の異物を効率的に除去することのできる洗浄液を提供すること。【解決手段】本発明に係る洗浄液は、イオン性液体を含む、インクジェット記録装置の洗浄液であって、イオン性液体の含有量が0.5質量%以上50質量%未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録装置の洗浄液及び洗浄方法に関する。
インクジェット記録方法は、微細なノズルからインクの小滴を吐出して飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度かつ高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。
インクジェット記録に使用される典型的なインクとしては、染料インク、顔料インク等がある。顔料インクは、例えば、インク中の水分が蒸発して固化すると、再度分散させにくく、インクジェット記録装置のインク吐出ヘッドのノズル先端部等で目詰まりを起こしやすい。そのため、記録ヘッドを洗浄液、メンテナンス液、又はクリーニング液等と称される液体で洗浄することが試みられている。
例えば、特許文献1には、アルカン−1,2−ジオールモノアルキルエーテルを含むメンテナンス液が開示され、インク組成物と、メンテナンス液と、を含むインクジェット記録用インクセットが開示されている。
特許第5566741号
一般に、顔料や染料等の色材は、その製造(合成)工程において、不純物を完全に除去することは難しく、純度の高いグレードの製品であっても、ある程度の量の不純物が含まれることが通常である。そのような不純物の例としては、色材を構成する色素分子に構造的に類似する色素類似体がある。すなわち、顔料や染料の精製において、構造的に類似している分子を分離することは困難な状況である。そのような色材を液体(溶媒)中に分散させると、液体中に不純物が溶出して析出することがある。しかもこの現象は経時的に生じる。特に色素分子が平面的な構造を有する色材の場合には、色素分子が互いにスタックした状態で溶媒に分散されており、そのようなスタック状態から色素類似体が徐々に溶媒に溶け出してゆくと考えられる。平面的な色素分子の構造類似体は、本来の色素分子とは異なる溶解特性や分散特性を示すため、構造類似体が溶媒に溶け出すと、顔料や染料とは異なる析出物を生じ、異物となって溶媒中に析出、分散、浮遊することになる。
また、顔料インクには、顔料をメディアに定着させるための樹脂が含有される。係る樹脂は、例えば、エマルションの形態で含有され、顔料インク中で安定な分散体あるいは溶液となっている。しかし、特に産業用途向けの顔料インクでは、定着樹脂エマルションを多く含む場合があるが、定着樹脂の含有量の増加に伴い、定着樹脂由来の異物が発生する懸念が高まっている。
さらに、産業用途向けのプリンターでは、稼働時間が比較的長いため、必然的にインクとプリンター内の部材とが接触する時間が増える。その結果、プリンターの部材から、例えば脂肪酸(塩)等の不純物がインク中に溶出して析出することで異物となり、不具合を生じる可能性が従来の汎用プリンターの場合よりも高い。
これらの異物の性格は、分析が進められた結果把握されたものであり、これらの異物を総合的に効率よく洗浄除去することは、従来からある洗浄液(メンテナンス液)では困難であることが分かってきた。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、インクジェット記録装置のインク流路の異物を効率的に除去することのできる洗浄液を提供することにある。また、本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、インクジェット記録装置のインク流路の異物を効率的に除去することのできる洗浄方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]本発明に係る洗浄液の一態様は、
イオン性液体を含む、インクジェット記録装置の洗浄液であって、
前記イオン性液体の含有量が0.5質量%以上50質量%未満である。
このような洗浄液は、イオン性液体が異物を溶解させやすく、インクジェット記録装置のインク流路の異物を効率的に除去することができ、インクジェット記録装置を良好な状態に維持又は洗浄することができる。そして、インク流路での異物が抑制される結果、インクジェット記録装置の記録ヘッドからの吐出安定性や目詰まりといった信頼性が良好となる。
[適用例2]適用例1において、
前記イオン性液体は、150℃未満の温度で液体の状態であるイオン性化合物であってもよい。
このような洗浄液は、インクジェット記録装置のインク流路の異物をさらに効率的に除去することができる。
[適用例3]適用例1又は適用例2において、
アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有してもよい。
このような洗浄液は、保湿性が良好で、インクジェット記録装置をより効率的に良好な状態に維持又は洗浄することができる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
ノニオン性界面活性剤を含有してもよい。
このような洗浄液によれば、イオン性液体の洗浄力をさらに高めることができ、インクジェット記録装置をより効率的に洗浄することができる。
[適用例5]適用例4において、
前記ノニオン性界面活性剤は、アセチレングリコール系界面活性剤であってもよい。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか一例において、
キレート剤を含んでもよい。
このような洗浄液は、キレート剤が金属イオンをトラップすることで、インクに含まれる高分子成分やインクジェット記録装置のインク流路の部材から溶出する高分子成分、脂
肪酸等に由来する異物をより効率的に洗浄することができる。
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれか一例において、
水を含有し、前記イオン性液体は、水溶性であってもよい。
このような洗浄液は、インクジェット記録装置が水性のインクを使用する場合に、洗浄効果をさらに高めることができる。
[適用例8]適用例1ないし適用例6のいずれか一例において、
有機溶剤を含有し、前記イオン性液体は、非水溶性であってもよい。
このような洗浄液は、インクジェット記録装置が油性のインクを使用する場合に、洗浄効果をさらに高めることができる。
[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれか一例において、
前記インクジェット記録装置は、樹脂を含む顔料インクを使用してもよい。
このような洗浄液は、樹脂に由来する異物を効果的に洗浄することができる。
[適用例10]適用例9において、
前記樹脂は、0℃以下のガラス転移温度を有してもよい。
ガラス転移温度が0℃以下の樹脂は、顔料インク中で疎水性部位が絡み合いやすく、その結果として異物が発生しやすいが、このような洗浄液によれば、異物の発生を抑制する効果が高い。
[適用例11]本発明に係るインクジェット記録装置の洗浄方法の一態様は、
適用例1ないし適用例10のいずれか一例に記載の洗浄液を、インクジェット記録装置に導入し、40℃以上の温度で洗浄を行う。
このような洗浄方法によれば、異物が効果的に除去できる結果、記録ヘッドからの吐出安定性や目詰まりを生じにくくすることができ、良好なインクジェット記録を行うことができる。
[適用例12]本発明に係るインクジェット記録装置の洗浄方法の一態様は、
適用例1ないし適用例10のいずれか一例に記載の第1洗浄液、及び、前記第1洗浄液とは異なる種のイオン性液体を含む適用例1ないし適用例10のいずれか一例に記載の第2洗浄液を、インクジェット記録装置に導入して洗浄を行う。
このような洗浄方法によれば、異物が効果的に除去できる結果、記録ヘッドからの吐出安定性や目詰まりを生じにくくすることができ、良好なインクジェット記録を行うことができる。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.洗浄液
本実施形態の洗浄液は、インクジェット記録装置の洗浄液であって、イオン性液体を含
む。洗浄液は、インクジェット記録装置のインクの流路を洗浄することができる。また、洗浄液は、インクジェット記録装置を稼働しない状態で放置する際に、インク流路に充填しておく液体(メンテナンス液)としても用いることができる。洗浄液は、インク充填時の異物の発生を抑制することができる。また、洗浄液は、インク中に存在する異物を可溶化して除去することができる。
ここで、「インク流路」とは、インクジェット記録装置において、インクを流通させるための流路をいう。インク流路としては、例えば、インクを貯留するインク収容容器、インクジェット式記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給路、記録ヘッド内においてインクをノズル開口部まで流通させるための流路、及びノズルの内部等が挙げられる。
洗浄液の充填及び流通は、通常のヘッドクリーニング動作で行われてもよいし、インク収容容器に洗浄液を収容した状態で、記録ヘッドを駆動することによって行われてもよく、さらに記録ヘッドのノズル開口面をキャップにより封止して、キャップと吸引ポンプで接続し、吸引ポンプによりキャップ内に負圧を発生させて、インク又は洗浄液をインク流路内に流通させることで行われてもよい。また、吸引手段によれば、インクと洗浄液との置換を速やかに行うことができ、さらに逆に、洗浄液をインクに置換することも可能である。洗浄液は、インク収容容器又はインク流路内の一部又は全部に充填、流通させることができる。
洗浄液は、水を主成分とする水性の洗浄液としてもよいし、有機溶剤を主成分とする油性の洗浄液としてもよい。ここで、水が主成分の洗浄液とは、洗浄液全体を100質量%とした場合に、水が20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であるものをいい、有機溶剤が主成分の洗浄液とは、洗浄液全体を100質量%とした場合に、有機溶剤が20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であるものをいう。
以下、本実施形態の洗浄液に含まれるか、又は含まれ得る各成分について詳細に説明する。
1.1.イオン性液体
本実施形態の洗浄液は、イオン性液体を含む。イオン性液体は、イオンのみから成る塩の一種でありながら、分子の大きさ及び弱いイオン間相互作用のため、低い温度で液体の状態をとる物質である。イオン性液体は、一般的な無機塩(例えば、NaCl(融点:約800℃))に比べて非常に低温(典型的には200℃以下)で液体の状態を呈する。
本実施形態の洗浄液に配合されるイオン性液体は、特に限定されず、公知のイオン性液体を用いることができる。イオン性液体の例としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、グアニジニウム塩、イソウロニウム塩及びイソチオウロニウム塩から選択される少なくとも一種を挙げることができる。これらの塩は、複数種を混合して用いてもよい。これらの塩のアニオン種も特に限定されず、例えば、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(CFSO、(CFCFSO、Ph、(C、(CFSO、CFCOO、CFSO 、CSO 、MeO(EtO)SO 等が挙げられる。
イミダゾリウム塩のイオン性液体の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(DMI・CFSO)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス[オキサレート(2−)]ボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMI・BF)、1−エチル−3−メチルイミダゾリ
ウムブロミド(EMI・Br)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(EMI・Cl)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト(EMI・PF)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(EMI・CFSO)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート(BMI・CFSO)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(BMI・Cl)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド(BMI・Br)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(HMI・Cl)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(HMI・BF)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト(HMI・PF)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト(MOI・PF)、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムクロリド(MOI・Cl)、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(MOI・BF)、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、3−メチル−1−テトラデシルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムトリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキサデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド等が挙げられる。
ピリジニウム塩のイオン性液体の具体例としては、N−エチルピリジニウムクロリド(EPY・Cl)、N−エチルピリジニウムブロミド(EPY・Br)、N−ブチルピリジニウムクロリド(BPY・Cl)、N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート(BPY・BF)、N−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト(BPY・PF)、N−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート(BPY・CFSO)、N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、N−ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−オクチルピリジニウムクロリド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムクロリド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、4−メチル−N−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−N−ブチルピリジニウムクロリド、4−メ
チル−N−ブチルピリジニウムブロミド、3,4−ジメチル−N−ブチルピリジニウムクロリド、3,5−ジメチル−N−ブチルピリジニウムクロリド等が挙げられる。
ピロリジニウム塩のイオン性液体の具体例としては、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド(BMP・Cl)、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロアセテート、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムクロリド等が挙げられる。
ホスホニウム塩のイオン性液体の具体例としては、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムクロリド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[オキサレート(2−)]ボレート等が挙げられる。
アンモニウム塩のイオン性液体の具体例としては、メチルトリオクチルアンモニウムトリフルオロアセテート、メチルトリオクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
グアニジニウム塩のイオン性液体の具体例としては、)N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、グアニジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、グアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウムトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
イソウロニウム塩のイオン性液体の具体例としては、O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウムトリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイトが挙げられる。
イソチオウロニウム塩のイオン性液体の具体例としては、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイトが挙げられる。
本実施形態の洗浄液には、150℃未満の温度で液体の状態であるイオン性化合物を用いることが好ましい。すなわち、上記例示したイオン性液体のうち、本実施形態の洗浄液は、融点が150℃未満のものをイオン性液体を用いることが好ましい。なお、イオン性液体は、低揮発性であり、広い液相温度域を有する、という特徴を有している。
粘度が小さく、インク流路に導入しやすいという観点からは、イオン性液体は、融点の低いものが好ましい。イオン性液体の融点は、主に有機イオンの構造や種類によって調節することができる。融点の低い傾向があるイオン性液体の種としては、炭素数が24以下
、好ましくは18以下、より好ましくは12以下の、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、及びホスホニウム塩が挙げられ、また対イオンとしてはCl、BF 、PF 、(CFSOであるものが挙げられる。
本実施形態の洗浄液には、上記のイオン性液体が複数種(二種以上)含まれてもよい。イオン性液体は、その種類によって溶解できる分子のサイズや種類が異なっている。そのため、イオン性液体を2種以上含むことにより、複数種の異物や、異物を構成する化合物が複数種である場合などに、それぞれの化合物を溶解させることができる。したがって、異物の発生をより効果的に抑制することや、発生した異物をより効率的に溶解させることができる。また、2種以上のイオン性液体を添加することで、添加するイオン性液体全体の合計量を少量とすることができる。複数種のイオン性液体を含有させる場合の、種類の数や組み合わせは、特に限定されず、異物の種類や状況に応じて設計できる。なお、イオン性液体は、定法に従って適宜に合成することができ、いわゆるデザインケミストリーの手法により合成することができる。また、イオン性液体は、市販品を入手して用いてもよい。
洗浄液中のイオン性液体の合計の含有量は、イオン性液体が洗浄液中で溶媒と相溶できる範囲とすることができるが、洗浄液の総質量を100質量%としたときに、0.1質量%以上60質量%未満、好ましくは0.3質量%以上55質量%未満、より好ましくは0.5質量%以上50質量%未満、さらに好ましくは1質量%以上40質量%未満、特に好ましくは1.5質量%以上35質量%未満である。イオン性液体の含有量が前記範囲であると、顔料由来の異物、樹脂エマルション由来の異物、及び、インク流路の形成部材に由来する異物の少なくとも一種を溶解する効果を十分に発現でき、その結果、異物の発生を抑制する作用、及び/又は、異物を洗浄して除去する作用が得られる。
粘度が小さくインク流路に導入しやすいという観点からは、洗浄液中のイオン性液体の合計の含有量は、洗浄液の総質量を100質量%としたときに、0.1質量%以上50質量%未満、好ましくは0.3質量%以上50質量%未満、より好ましくは0.5質量%以上50質量%未満である。
本実施形態に係る洗浄液は、イオン性液体を含むことにより、後述の顔料インクに含まれる樹脂の不純物に由来する異物、顔料の不純物(典型的には色素類似体)に由来する異物、インクジェット記録装置の部材(チューブ等)から流路に溶出した不純物(例えば、ステアリン酸(塩)等の炭素数10以上の高級脂肪酸(塩))に由来する異物、及び/又は、これらの不純物が混合してなる異物を、溶解することができる。これにより、インク流路において異物の発生が抑制され、及び/又は、インク流路に発生した異物を減少させる(洗浄する)ことができる。インク流路での異物の発生が抑制された結果、インクの保存安定性及び記録ヘッドからの吐出安定性が向上し目詰まりが抑制され、信頼性が良好となる。
また、洗浄液を水性の洗浄液とする場合(すなわち洗浄液に主溶媒として水が含有される場合)には、イオン性液体は、水溶性であることが好ましい。また、洗浄液を油性の洗浄液とする場合(すなわち洗浄液に主溶媒として疎水性有機溶剤が含有される場合)には、イオン性液体は、非水溶性であることが好ましい。
本発明における「水溶性」とは、25℃の水100gに対して溶質が0.5g以上相溶することができる性質のことをいう。洗浄液を水性とする場合には、イオン性液体は、水に相溶することによって特に良好な異物の溶解効果を発現するため、25℃の水100gに対して0.5g以上50g以下、1g以上100g以下相溶するものを選択することがより好ましい。
また、本発明における「非水溶性」とは、上記「水溶性」でないことを指すが、25℃の疎水性有機溶剤(混合溶媒を含む)100gに対して溶質が0.5g以上相溶することができる性質としてもよい。洗浄液を油性とする場合には、イオン性液体は、疎水性有機溶剤に相溶することによって特に良好な異物の溶解効果を発現するため、25℃の疎水性有機溶剤100gに対して0.5g以上50g以下、1g以上100g以下相溶するものを選択することが好ましい。
なお、本実施形態の洗浄液は、水及び有機溶剤の両者を含むことができ、例えば、水性、油性に分類されない配合とすることもできる。そのような場合においても、イオン性液体は、上述の通り、単数種、複数種を適宜組み合わせて用いることができる。
1.2.溶媒
本実施形態の洗浄液は、溶媒を含む。溶媒としては、特に制限がなく、単一溶媒でも混合溶媒でもよい。本実施形態の洗浄液は、液体として振る舞うことができる限り、あらゆる液体を溶媒として含み得る。溶媒として用い得る液体の極一部の具体例としては、水、有機溶剤等が挙げられる。
例えば、洗浄液を水性の組成物とする場合には、水、水溶性有機溶剤等を溶媒とすることができる。また、洗浄液を油性の組成物とする場合には、油性の有機溶剤を溶媒とすることができる。そして、液体組成物をいずれの系にする場合でも、適宜に添加剤を配合することができる。
1.2.1.水
洗浄液は、水を含むことができる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水の含有量は、洗浄液の総質量を100質量%としたときに、10〜99質量%である。ここで、水の含有量は、添加した水の量に限られず、他の添加剤等を加える場合に添加剤中の水分も含むものである。
洗浄液が水を溶媒として含む場合には、洗浄液を水性の組成物とし、さらに水溶性有機溶剤を含んでもよい。すなわち、洗浄液は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を含んでもよい。なお、洗浄液は、水溶性有機溶剤を主溶媒としてもよく、水を含まない組成物としてもよい。
1.2.2.水溶性有機溶剤
洗浄液は、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール類(例えば、エチルアルコール、1−プロパノール、フッ化アルコール等)や、多価アルコール類を例示することができる。これらのうちでも、水溶性有機溶剤としては、多価アルコールのアルキルエーテル(グリコールエーテル類)及び1、2−アルキルジオールが好ましく使用できる。
グリコールエーテル類としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類が挙げられる。また、上記1、2−アルキルジオールとしては、以下に限定されないが、例えば、1、2−ペンタンジオール及び1、2−ヘキサンジオールが挙げられる。これらの他に、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジオール、及び1、8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類も挙げることができる。
また、水溶性有機溶剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1、4−ジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、数平均分子量2000以下のポリエチレングリコール、1、3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−エチル−2−ピロリドン等も例示できる。
水溶性有機溶剤を使用する場合には、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。洗浄液が上記のような水溶性有機溶剤を含むことにより、例えば、洗浄液が空気に触れている状態で放置しても、より乾燥しにくく洗浄力を高く維持できる洗浄液とすることができる。また、水溶性有機溶剤は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上の標準沸点を有するものを用いるとよい。標準沸点がこの範囲内である場合、洗浄液に良好な保水性及び湿潤性を付与することができ、洗浄効果を向上させることができる場合がある。
洗浄液に水溶性有機溶媒を配合する場合には、水溶性有機溶剤の含有量は、洗浄液の総質量を100質量%としたときに、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上40質量%以下である。洗浄液が水溶性有機溶媒を含有すると、水のみからなる洗浄液と比較して表面張力が低いので、例えば、インクジェット記録装置の各部材(チューブやインクカートリッジ等)への濡れ性が高くなる。これにより、洗浄液の洗浄性を向上させることができる。
1.2.3.疎水性有機溶剤
本実施形態の洗浄液は、溶媒として疎水性有機溶剤(単に有機溶剤ともいう)を含んでもよく、油性の洗浄液としてもよい。なお、溶媒として疎水性有機溶媒を含む場合には、相溶性が得られる範囲で上述の水溶性有機溶剤を含んでもよい。
疎水性有機溶剤としては、グリコールエーテル類(例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル等)、ラクトン(例えばγ−ブチロラクトン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等)、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等の非環状構造のカーボネート化合物や、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、グリセロールカーボネート等の環状構造のカーボネート化合物等を例示することができる。
アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチル
エーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
また、ラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられる。
また、疎水性有機溶剤としては、具体的には、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、エタノール、エチレングリコール、トリエタノールアミン、ペンタンジオール等が挙げられる。また、市販品であるエクアミドM100(商品名、出光興産株式会社製、アミド系溶剤)も第1有機溶剤に分類される。これらの化合物は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
洗浄液が溶媒として疎水性有機溶媒を溶媒として含有する場合には、その含有量は、洗浄液の全質量(100質量%)に対して、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、1質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
1.3.界面活性剤
本実施形態に係る洗浄液は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、さらにこれらは併用してもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤のうち少なくとも一種が好ましい。洗浄液がこれらの界面活性剤を含むことにより、洗浄性が一層良好となる。
上記のアセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤としては、以下に限定されないが、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される一種以上を例示できる。また、アセチレングリコール系界面活性剤及びアセチレンアルコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、メガファックF−479(DIC株式会社製)、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン系界面活性剤としては、市販されているものを用いることができ、例えば、オルフィンPD−501、オルフィンPD−502、オルフィンPD−570(いずれも、日信化学工業株式会社製)、BYK−315、BYK−347、BYK−348(いずれも、ビックケミー株式会社製)等が挙げられる。
さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル、しょ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等を用いてもよい。
また、ノニオン系界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系界面活性剤は、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ気泡性がほとんどないという特性を有する点から、より好ましく用いることができる。すなわち、気泡性が小さいため、インク流路の段差部に気泡がトラップされにくく、洗浄の際の洗浄液の流速を小さくしても高い洗浄効果を得やすい。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、石けん、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム系としてアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩およびアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アミン塩系としてN−メチルビスヒドロキエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸系としてアルキルアミノ脂肪酸塩、ベタイン系としてアルキルカルボキシルベタイン、アミンオキシド系としてアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。両性界面活性剤は、これらに限定されるものではない。
なお、界面活性剤がチャージ(電荷)を有すると、イオン性液体の異物の溶解能を阻害する場合がある。そのため、上記例示した界面活性剤のうちでも、ノニオン系界面活性剤、より好ましくはアセチレングリコール系界面活性剤を選択することが好ましい。
洗浄液に界面活性剤を配合する場合、界面活性剤の合計の含有量は、洗浄液の総質量を100質量%としたときに、0.1〜3質量%であることが好ましい。
1.4.キレート剤
本実施形態の洗浄液は、キレート剤を含んでもよい。キレート剤は、イオンを捕獲する性質を有する。例えば、Mg2+、Ca2+等の二価の金属イオンが洗浄液中又はインク中に存在するとインク流路を構成する部材から溶け出した高分子成分、脂肪酸等が凝集して固化する場合がある。また、洗浄液にアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を配合した場合には、その電荷(チャージ)がイオン性液体の異物を溶解させる能力を阻害する場合がある。このような場合に、キレート剤を配合することにより、チャージをトラップできるため、イオン性液体の能力をより発揮させやすくすることができる。
そのようなキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)や、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、又はメタリン酸塩等が挙げられる。
1.5.防腐剤
本実施形態の洗浄液は、防腐剤を含有してもよい。防腐剤を含有することにより、カビや細菌の増殖を抑制することができ、洗浄液の保存性がより良好となる。これにより、例えば、洗浄液を、長期的にプリンターを使用せず保守する際のメンテナンス液として使用しやすくなる。防腐剤の好ましい例としては、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルIB、又はプロキセルTNなどを挙げることができる。
1.6.pH調整剤
本実施形態の洗浄液は、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤を含有することにより、例えば、インク流路を形成する部材からの不純物の溶出を抑制したり、促進したりすることができ、洗浄液の洗浄性を調節することができる。pH調整剤としては、例えば、モルホリン類、ピペラジン類、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類、を例示できる。
1.7.その他の成分
本実施の形態に係る洗浄液は、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤などの、種々の添加剤を適宜添加することができる。
1.8.作用効果等
本実施形態の洗浄液は、イオン性液体を含有するため、後述の顔料インクに含まれる樹脂の不純物、顔料の不純物(典型的には色素類似体)、インクジェット記録装置の部材から流路に溶出した不純物(例えば、高分子化合物やステアリン酸(塩))、及び、これらの不純物の混合物に由来する異物の少なくとも一種を溶解させやすい。そのため、インク流路に異物を発生させにくく、また、発生した異物を効率的に除去することができる。これにより、インクジェット記録装置を良好な状態に維持又は洗浄することができる。そして、インク流路での異物が抑制される結果、インクジェット記録装置の記録ヘッドからの吐出安定性や目詰まりといった信頼性が良好となる。
なお、本実施形態の洗浄液は、インクジェット記録装置が顔料インクを使用する場合に極めて良好な洗浄効果が得られるが、インクジェット記録装置が、顔料を含まない染料インクやクリアインクを用いる場合であっても、インクに含まれる樹脂の不純物に由来する異物、インクジェット記録装置の部材から流路に溶出した不純物(例えば、ステアリン酸
(塩))に由来する異物、及び、これらの不純物の混合物に由来する異物の少なくとも一種を溶解させやすいため、良好な洗浄効果を奏することができる。
2.洗浄方法
本実施形態に係るインクジェット記録装置の洗浄方法は、上述の洗浄液を、インクジェット記録装置に導入し洗浄を行う。具体的には、インク流路の洗浄は、インク流路に洗浄液を流入させて、インク流路に洗浄液を流すこと、及び/又は、インク流路のインクを洗浄液で置き換えることにより行われる。こうすることで、インク流路内の異物が洗浄液に溶解し、洗浄液と共にノズルから排出されて除去される。インク流路内におけるインクの置換は、例えば、上述したヘッドクリーニング動作により行うことができる。
また、インク流路の洗浄後、インクジェット記録装置を用いた画像の記録を長期間行わない場合には、インク流路を洗浄液で満たしたままにすることができる。これにより、流路中に残存する異物を溶解させたり、インク流路を構成する部材からの溶出物に起因する異物の発生を防止することができる。
一方、インクジェット記録装置を用いて画像の記録を行う場合には、洗浄液で満たされたインク流路にインクを流入させて、洗浄液をノズルから排出させることで、再度インク流路を適宜のインクで満たせばよい。
また、洗浄操作(例えば、ヘッドクリーニング動作)は、複数回行ってもよく、その場合には、例えば、水性の洗浄液での洗浄操作及び油性の洗浄液での洗浄操作を組み合わせることにより、洗浄効率を高めることができる。水性の洗浄液での洗浄操作及び油性の洗浄液での洗浄操作は、交互に行うこともできるし、同時にインク流路に導入して行うこともできる。また、洗浄を開始する際、及び、洗浄を終了する際に導入する洗浄液の油性、水性の選択も任意である。このような洗浄の順序や回数は、プリンターで用いるインクの種類を考慮して適宜に設計することができる。
2.1.顔料インク
上述の洗浄液は、インクジェット記録装置が顔料インクを用いて記録を行う場合に、当該インクジェット記録装置を洗浄又はメンテナンスする際に極めて好適に用いられる。すなわち、以下に述べる顔料インクを用いる場合において、上記洗浄液の効果が特に顕著に現れる。
顔料インクは、少なくとも、溶媒と、顔料と、樹脂と、を含む。そして、顔料インクがインクジェット記録装置内で長期間保存されることにより、顔料インク中の樹脂エマルションの一部(不純物)、顔料に含まれる不純物(色素類似体等)、インクジェット記録装置の顔料インクに接触する部材からの溶出物(脂肪酸(塩):ステアリン酸等)に由来する異物が生じた場合に、本実施形態の洗浄液によって効率的に異物を洗浄除去することができる。なお、顔料インクを洗浄液に置き換えた状態でインクジェット記録装置内で長期間保存される場合には、インクジェット記録装置の洗浄液に接触する部材からの溶出物が洗浄液に溶解しやすいため異物を生じにくい。
顔料インクに含まれ得る溶媒としては、特に制限がなく、単一溶媒でも混合溶媒でもよい。本実施形態の顔料インクは、液体として振る舞うことができる限り、あらゆる液体を溶媒として含み得る。溶媒として用い得る液体の極一部の具体例としては、水、有機溶剤、重合性モノマー等が挙げられる。
例えば、顔料インクを水性のインクとする場合には、水、水溶性有機溶剤等を溶媒とすることができる。また、顔料インクを油性のインクとする場合には、疎水性有機溶剤を溶
媒とすることができる。さらに、顔料インクを硬化型インクとする場合には、モノマーを溶媒としてもよい。そして、顔料インクをいずれの系にする場合でも、適宜に添加剤を配合することができる。以下、典型的な顔料インクに含まれ得る各成分を説明する。
2.1.1.顔料
顔料インクに含まれる顔料は、平板状の骨格を有する分子からなる。ここで、平板状の骨格とは、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゼンが平面的に縮合したナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等の縮合多環骨格、ポルフィリンのような多環骨格で窒素、酸素、硫黄、リン等の複素環を含む複素多環骨格、アゾベンゼン、ビシクロペンタジエニリデン等の2つの環系が平面性を保つ結合により連結された環集合骨格、等の、平面的な共役系を有する骨格や共役系により平面性が保たれている骨格のことを指す。
したがって、顔料が平板状の骨格を有するとは、顔料の色素分子が、上記の骨格を有していればよく、色素分子の全体がそのような骨格となっている必要はない。そのため、例えば、一つの色素分子が平板状の骨格を複数有する場合でも、その色素分子は平板状の骨格を有することとする。さらに、顔料の色素分子は、全体が平板状である必要はなく、例えば、平板状の骨格に、各種の置換基等が配置されて、係る置換基が、平板状の骨格の平板の面から外れていても構わない。また、例えば、複数の平板状の骨格が、互いに、同一の平面に沿う必要はなく、平板状の骨格の平板の面が互いに平行である必要もない。
顔料の色素分子は、このような平板状の骨格を有するため、複数の分子がスタック(重畳)する性質を有し、溶媒等の周囲の環境によっては、スタックして存在することがエネルギー的に有利である場合が多い。
平板状の骨格を有する分子からなる色材としては、共役系を有し、当該共役系が光のエネルギーを吸収して呈色する有機色素分子を典型例として挙げることができる。さらにそのような有機色素分子からなる顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、ニトロ系顔料、ニトロソ系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、を例示できる。これらの顔料は、溶媒に単分子のレベルで溶解しにくく、溶媒中で複数の色素分子がスタックした状態となっている。
また、平板状の骨格を有する分子からなる色材としては、分散染料及び昇華染料を挙げることができる。分散染料及び昇華染料は、溶媒中で必ずしも一分子ごとに溶解(溶媒和)しておらず、スタック構造を形成することが知られている。したがって本実施形態では、分散染料及び昇華染料は顔料の一種として扱う。
顔料が溶媒中でスタック構造を有しているか否かについては、例えば、光散乱法を用いた粒径測定等により、粒径が測定できるか否かで判定することができる。すなわち、色素がスタック構造を有して溶媒中で分散構造を採る場合には、粒径を計測することができ、色素が溶媒に溶解して溶液状である場合には、光散乱の波長では粒径を計測できないということから、顔料のスタック構造の有無を把握することができる。
顔料は、これを構成する色素分子が純物質であることは希であり、一般的に、顔料には不純物が含まれる。不純物の典型としては、色素分子の類似体が挙げられる。色素分子の類似体とは、例えば、色素分子と骨格が同一で置換基が異なるものや、色素分子と骨格が
ある程度異なるものを挙げることができる。このような色素分子の類似体は、例えば、色素分子の合成の際の副生成物として生じたり、色素分子が光(例えば紫外線)を吸収することにより構造変化を起こして生じたりすることがある。
このような色素分子の類似体(本明細書では、色素類似体と称することがある。)は、色素分子と似た化学的性質、光学的性質を示すことが多いが、化学構造が異なるため、完全に同じ性質を示すことはほとんどない。そのため、例えば、抽出等の分離操作での精製は非常に難しく、小さい含有量で色素分子とともに顔料中に存在することになる。
上述のとおり、色素分子のスタック構造は、板状の色素分子が重なって形成されるが、色素類似体は、色素分子のスタック構造に組み込まれてスタックされることがある。また、色素類似体は、色素分子と溶媒への溶解性が異なり、例えば、色素分子よりも溶媒に溶解しやすい場合や溶解しにくい場合がある。また、色素類似体は色素分子のスタック構造とは別に、色素類似体のスタック構造を形成する場合がある。
いずれの場合でも、顔料の副成分である色素類似体は、溶媒中で色素分子とは異なる挙動を示すため、例えば、色素分子のスタック構造から外れて分離すること、色素類似体のスタック構造を形成すること、溶媒に溶解できずに析出すること、などの現象が生じて顔料インク中あるいは溶媒中で異物となりやすい。
平板状の骨格を有する顔料の具体例を例示すると、イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、及びC.I.ピグメント ヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、及びC.I.バットブルー 4、60等が挙げられる。
ブラック、ホワイト、イエロー、マゼンタ及びシアン以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、及びC.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、及びC.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
顔料インクは、上記顔料の複数種を含有してもよく、また、平板状骨格を有する顔料のみ、平板状骨格を有する顔料及びその他の顔料の両者、並びに平板状骨格を有しない顔料のみを含有してもよい。
平板状骨格を有しない顔料の具体例としては、例えばニトロ系、ニトロソ系、中空樹脂
粒子、及び高分子粒子などの有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、及びニッケル等の金属類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫化亜鉛、及び酸化ジルコニウム等の金属酸化物及び硫化物、並びにファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、さらには黄土、群青、及び紺青等の無機顔料が挙げられる。
カーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学株式会社製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black
FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ社製)等が挙げられる。
ホワイト顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 1(塩基性炭酸鉛)、4(酸化亜鉛)、5(硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物)、6(酸化チタン),6:1(他の金属酸化物を含有する酸化チタン)、7(硫化亜鉛)、18(炭酸カルシウム),19(クレー)、20(雲母チタン)、21(硫酸バリウム)、22(天然硫酸バリウム)、23(グロスホワイト)、24(アルミナホワイト)、25(石膏)、26(酸化マグネシウム・酸化ケイ素)、27(シリカ)、28(無水ケイ酸カルシウム)等が挙げられる。
顔料インクが、平板状骨格を有しない顔料のみを含有する場合であっても、インク流路には、色素類似体に由来する異物は発生しにくいが、インクに含まれる樹脂の不純物に由来する異物、インクジェット記録装置の部材から流路に溶出した不純物(例えば、ステアリン酸(塩))に由来する異物、及び、これらの不純物の混合物に由来する異物の少なくとも一種は生じ得るため、上述のクリアインクや染料インクを用いる場合と同様に、洗浄液によってこれらの異物を溶解させやすいため、良好な洗浄効果を奏することができる。
顔料インクは、上述の顔料を複数種含有してもよい。顔料インクに含まれる顔料の合計の含有量は、特に限定されない。顔料の合計の含有量は、顔料インクを全体を100質量%とした場合、例えば、0.01質量%以上80質量%以下、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
2.1.2.樹脂
顔料インクは、樹脂を含有する。樹脂は、水溶性、ディスパーション、エマルション等の形態で供給されてもよい。顔料インクが樹脂を含むことにより、インク(顔料)の定着性が得られ、印刷の堅牢性が良好となる。
このような樹脂に含まれる樹脂成分としては、以下に限定されないが、ウレタン樹脂、
スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。顔料インクでは、これらの樹脂成分のうち1種以上を含む樹脂を使用することができる。これらの中でも、画像の堅牢性の点では、ウレタン樹脂が好ましいが、ウレタン樹脂は樹脂合成時の不純物や樹脂の原料となるモノマー等に由来する異物が発生しやすい。しかしながら、本実施形態の洗浄液によれば、ウレタン樹脂を使用した場合であっても、イオン性液体が異物を溶解することによって、インク中での異物の発生を効果的に抑制することができる。
ウレタン樹脂としては、分子中にウレタン結合を有するものであれば特に制限されないが、ウレタン結合に加えて、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂等も使用することができる。
樹脂に含まれる樹脂成分としては、自己反応型の、ウレタン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂を使用してもよい。このような自己反応型の樹脂としては、親水性基を有するブロック剤でブロック化したウレタン樹脂、親水性セグメントを付与したブロック化ウレタン樹脂、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、メチロール基等の官能基を有するアクリルモノマーを共重合して得られるアクリル樹脂等が挙げられる。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、画像の堅牢性を優れたものとする観点から、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−15℃以下であることが特に好ましい。しかし、Tgが低いほど樹脂合成時の不純物や樹脂の原料となるモノマー等に由来する異物が発生しやすいことが分かってきており、洗浄液による洗浄の条件等を考慮して適宜はTgを有するものを選択することが好ましい。例えば、ガラス転移温度が0℃以下の樹脂は、顔料インク中で疎水性部位が絡み合いやすく、その結果として異物が発生しやすいが、本実施形態の洗浄液によれば、そのような樹脂を使用しても異物の発生を抑制する効果が高い。なお、Tgの下限は特に限定されないが、画像の堅牢性を優れたものとする観点では、−50℃以上であることが好ましい。
樹脂のD50(体積平均粒子径)は、10nm以上500nm以下が好ましく、40nm以上100nm以下がより好ましい。D50が上記範囲内であると、顔料インク中で樹脂を均一に分散させることができる。また、印刷物の耐擦性が一層優れたものとなる。
ウレタン樹脂エマルションの市販品としては、例えばサンキュアー2710(日本ルーブリゾール社製)、パーマリンUA−150(三洋化成工業株式会社製)、スーパーフレックス150、420、460、470、610、700(以上、第一工業製薬株式会社製)、NeoRez R−9660、R−9637、R−940(以上、楠本化成株式会社製)、アデカボンタイター HUX−380,290K(以上、株式会社ADEKA製)、タケラック(R) W−605、W−635、WS−6021(以上、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
スチレンアクリル樹脂やアクリル樹脂の市販品としては、例えばモビニール966A、モビニール7320(日本合成化学株式会社製)、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上、株式会社DIC製)、SAE1014(日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンク
リル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上、BASF社製)、NKバインダー R−5HN(新中村化学工業株式会社製)、パラロイドB60(ロームアンドハース社製)等が挙げられる。
また、顔料インクに含有され得る樹脂の市販品としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製「ソルスパース」)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
顔料インク中の樹脂の固形分換算での含有量は、顔料インクの総質量を100質量%としたときに、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。樹脂エマルションの固形分換算での含有量が前記範囲であると、画像の堅牢性が良好なものとなる。また、顔料インクの長期安定性にも優れたものとなる。
なお、顔料インクを調製する際には、あらかじめ顔料を分散させた顔料分散液を調製して、その顔料分散液を顔料インクに添加してもよい。このような顔料分散液を得る方法としては、分散剤を使用せずに自己分散顔料を分散媒中に分散させる方法、ポリマー分散剤を使用して顔料を分散媒に分散させる方法、表面処理した顔料を分散媒に分散させる方法などがある。
2.1.3.モノマー
顔料インクの溶媒は反応性のモノマー(重合性化合物)であってもよい。すなわち、顔料インクは、重合性組成物(硬化型インク)であってもよい。
モノマーの例としては、限定されないが、例えば、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーも使用可能である。そのようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。さらに、モノマーとして、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イ
ソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルメタアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(PEA)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートが挙げられる。これらの中では、強靭な塗膜が得られ、かつ低粘度であるため、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸2
−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、メタアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
また、モノマーとして、従来公知の、単官能及び多官能の種々のモノマー及びオリゴマーもさらに使用可能である。そのようなモノマーとしては、例えば、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。
以上のモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。顔料インクを光重合性とする場合において、顔料インクにおけるモノマーの配合量は、合計で60質量%以上95質量%以下、好ましくは70質量%以上90質量%以下程度である。また、モノマーの組成(単官能、多官能の割合等)については、任意であり適宜に設定することができる。
顔料インクがモノマーを含有する場合には、顔料インクには、重合開始剤が配合されてもよい。重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケター
ル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE
OXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)、Speedcure DETX(Lambson社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びトリフェニルアミン等のアミン化合物等を含んでもよい。
上記重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の配合量は、合計で5質量%以上30質量%以下、好ましくは10質量%以上
20質量%以下程度である。また、重合開始剤の組成(複数種を使用する場合の配合比等)については、任意であり適宜に設定することができる。
さらに、顔料インクにモノマーを配合する場合には、重合禁止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が配合されてもよい。重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えばフェノール系重合禁止剤が挙げられる。当該フェノール系重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
フェノール系重合禁止剤の市販品としては、例えば、p−メトキシフェノール(東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、p−メトキシフェノール)、ノンフレックスMBP(精工化学社(Seiko Chemical Co.,Ltd.)製商品名、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール))、BHTスワノックス(精工化学社製商品名、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)が挙げられる。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合禁止剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の呼称で知られる物質を挙げることができる。具体的なトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。市販品としては、トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン,チバ・ジャパン株式会社製)、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)等が存在する。
また、ヒンダードアミン系光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)などが挙げられる。市販品としては、ヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)等が存在する。
紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。な
お、紫外線吸収剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
2.1.4.その他の成分
顔料インクは、水、水溶性有機溶剤、疎水性有機溶剤、界面活性剤、染料、防腐剤、キレート剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤など、を含むことができる。これらのうち、水、水溶性有機溶剤、疎水性有機溶剤、界面活性剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤は、上記洗浄液の項で説明したと同様であるため、説明を省略する。また、染料、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤などは、インクジェットインクに一般的に使用されるものを適宜に用いることができる。
2.2.その他
洗浄液をインク流路に導入するあるいはインク流路に保持する際の温度は、特に限定されないが、異物の除去性能をより高める観点では、室温(23℃)以上であることが好ましく、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上、特に好ましくは45℃である。インク流路における洗浄液の温度を高めることにより、イオン性液体への異物の溶解度や溶解速度を高めることができる。また、インク流路における洗浄液の温度を高めることにより、より低いTgを有する樹脂が顔料インクに含まれる場合でも洗浄能力を高く維持することができる。例えば、インクが、0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂を含む場合に、洗浄液をインク流路に導入する際の温度を、30℃以上、好ましくは35℃、より好ましくは40℃、さらに好ましくは45℃とすることで、非常に効率よく樹脂に由来する異物を洗浄除去することができる。
また、インクが水性インクである場合には、イオン性液体として、カチオン部位がイミダゾリウム骨格を有するイオン性液体を使用し、インクが油性インク又は硬化型インクである場合には、カチオン部位がイミダゾリウム骨格を有するイオン性液体及びカチオン部位がピリジニウム骨格を有するイオン性液体を併用すると、洗浄性を向上させることができる。
また、上述の特定のイオン性液体を含む洗浄液を第1洗浄液とし、第1洗浄液とは異なる種のイオン性液体を含む洗浄液を第2洗浄液とした場合に、第1洗浄液で洗浄操作(例えば、ヘッドクリーニング動作)を行い、その後、第2洗浄液で洗浄操作を行うようにしてもよい。例えば、カチオン部位がイミダゾリウム骨格を有するイオン性液体を含む洗浄液を第1洗浄液とし、カチオン部位がピリジニウム骨格を有するイオン性液体含む洗浄液を第2洗浄液とすることができる。このようにすれば、第1洗浄液によって溶解しにくい異物を第2洗浄液によって溶解させることができるため、洗浄性を向上させることができる。さらに、洗浄操作(例えば、ヘッドクリーニング動作)は、複数回行ってもよい。また、洗浄を開始する際、及び、洗浄を終了する際に導入する第1洗浄液及び第2洗浄液の選択も任意である。
さらに、例えば、水性の洗浄液での洗浄操作及び油性の洗浄液での洗浄操作を組み合わせることにより、洗浄効率を高めることができる。水性の洗浄液での洗浄操作及び油性の洗浄液での洗浄操作は、交互に行うこともできるし、同時にインク流路に導入して行うこともできる。また、洗浄を開始する際、及び、洗浄を終了する際に導入する洗浄液の油性、水性の選択も任意である。
2.3.作用効果
本実施形態に係る洗浄方法は、上述の洗浄液を使用する。そのため、インクの成分由来の異物や、インク流路から溶出する物質を除去することが容易であり、これらの異物に起因するノズル詰まり等の不具合の発生を抑制できるので、特に顔料インクを使用する場合において、顔料に由来する異物を溶解させやすいため、インク流路を非常に効率よく洗浄
することができる。このような洗浄方法によれば、異物が効率よく除去できる結果、記録ヘッドからの吐出安定性や目詰まりを生じにくくすることができ、インクジェット記録におけるメンテナンスを容易かつ効率よく行うことができる。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
4.1.洗浄液の調製
表1、表2に示す材料を各表に示す含有量(単位:質量%)となるように、それぞれ混合し十分に撹拌した後、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いて2kg/cmの圧力で加圧濾過し、実施例・比較例で用いる洗浄液を作製した。なお、各表で使用したイオン性液体の略称は以下の通りである。
EMI・CFSO(1-Ethyl-3-Methylimidazolium Trifluoromethanesulfonate、液体、和光純薬工業株式会社)
EMI・Cl(1-Ethyl-3-Methylimidazolium Chloride、固体(融点78℃)、和光純薬工業株式会社)
BMI・Cl(1-Butyl-3-Methylimidazolium Chloride、固体(融点67℃)、和光純薬工業株式会社)
BPY・Cl(1-Butyl Pyridinium Chloride、固体(融点132℃)、和光純薬工業株式会社)
4.2.インクの調製
(水性顔料インクAの調製)
水性顔料インクAの組成を以下に示す。
・イエロー顔料(ピグメントイエロー74) :5%
・スチレン−アクリル系分散樹脂A(固形分) :3%
・ウレタン樹脂A(固形分) :5%
(商品名:スーパーフレックス420(アニオン性)、第一工業製薬株式会社製:Tg=−20℃)
・グリセリン :8%
・トリエチレングリコール :1%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル :1%
・2−ピロリドン :1%
・BYK−348 :0.3%
(ビックケミージャパン株式会社製)
・イオン交換水 :残部
上記材料を混合し十分に撹拌した。その後、この混合液を孔径5μmの金属フィルターでろ過し、真空ポンプを用いて脱気処理することで、実施例・比較例で用いる水性顔料インクAを作製した。
(水性顔料インクBの調製)
水性顔料インクBの組成を以下に示す。
・イエロー顔料(ピグメントイエロー74) :5%
・スチレン−アクリル系分散樹脂A(固形分) :3%
・ウレタン樹脂B(固形分) :5%
(商品名:スーパーフレックス470(アニオン性)、第一工業製薬株式会社:Tg=−31℃)
・グリセリン :8%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル :1%
・2−ピロリドン :1%
・BYK−348 :0.3%
(ビックケミージャパン株式会社製)
・イオン交換水 :残部
上記材料を混合し十分に撹拌した。その後、この混合液を孔径5μmの金属フィルターでろ過し、真空ポンプを用いて脱気処理することで、実施例・比較例で用いる水性顔料インクBを作製した。
(油性顔料インクCの調製)
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用意した。次に、イオン交換水を用いてC.I.ピグメントブルー15:3を30質量%、ソルスパース37500(商品名、LUBRIZOL社製、分散樹脂)を30質量%含む水溶液を調製し混合撹拌を行った。この混合物を、サンドミル(安川製作所株式会社製)を用いてジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレーターで分離することにより、顔料分散液を得た。
次いで、上記で得られた顔料分散液に、極性溶媒、界面活性剤、樹脂を下記の組成となるように添加した。その後、常温で1時間混合撹拌し、さらに孔径5μmのメンブランフィルターでろ過した後、真空ポンプを用いて脱気処理して、実施例及び比較例で用いる油性顔料インクCを得た。
油性顔料インクCの組成を以下に示す。
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) :6%
・Solsperse 37500(LUBRIZOL社製) :4%
・BYK315(ビックケミージャパン株式会社製) :0.1%
・パラロイドB60(ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂):1.5%
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 :1%
(日信化学工業株式会社製、商品名「ソルバインCL」)
・γ‐ブチロラクトン :5%
・エクアミドM100 :5%
(出光興産株式会社製、塩化ビニル膨潤剤)
・ジエチレングリコールエチルメチルエーテル :20%
・ジエチレングリコールジエチルエーテル :残部
(UV硬化型顔料インクDの調製)
UV硬化型顔料インクの組成を以下に示す。
・PV19(C.I.ピグメントヴァイオレット19) :5%
・VEEA :50%
(アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製)
・PEA :10%
(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社製)
・DPGDA :24.6%
(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製)
・イルガキュア819(BASF社製、商品名、固形分100%):4%
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、固形分100%) :4%
・Speedcure DETX(Lambson社製商品名、固形分100%) :2%
・MEHQ(p−メトキシフェノール) :0.2%
・BYK−UV3500(ビックケミージャパン株式会社製) :0.2%
上記材料を所定の含有量で十分に混合撹拌した後、真空ポンプで脱気することで、実施例・比較例に用いる各UV硬化型顔料インクDを得た。
4.3.洗浄性の評価
(水性顔料インクA、B又は油性顔料インクCを使用した場合の評価)
4.3.1.洗浄性評価
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に、調製した各インクを充填した状態で、該プリンターを50℃、3ヶ月間放置した。次に、プリンターに充填したインクを抜き取り、洗浄液をインク流路・ヘッド内部に充填した。その後、一定温度で一定時間、インク流路ならびにヘッド内部を洗浄液と接触させた後、洗浄液をプリンターから抜き取り回収した。回収した洗浄液20mLを孔径10μmのSUSフィルターでろ過し、以下の評価基準に従って洗浄液の洗浄性を評価した。洗浄液の洗浄性が高い場合は、洗浄液に含まれる不純物が多いため、洗浄液をSUSフィルターでろ過した場合に、少量の液量でSUSフィルターが詰まる結果となる。また各実施例において、洗浄後の洗浄液に含まれる内容物を分析・確認したところ、インク化時に顔料から溶出したと推定される色素由来の異物(色素類似体)、樹脂由来の異物、部材から溶出したステアリン酸由来の異物を含むことが分かった。なお、表中、常温と記載したものは、23℃〜25℃であることを意味する。
A:10mL未満でSUSフィルターが詰まる
B:10mL以上20mL未満でSUSフィルターが詰まる
C:SUSフィルターが詰まることなく、20mLろ過できる
4.3.2.吐出安定性評価
上記洗浄性評価と同様にして流路・ヘッド内部の洗浄を行った後、再度、インクを充填し、テストパターンでA4用紙500頁印刷を行った。500頁目の印字パターンに関して、以下の評価基準に従って、吐出安定性の評価を行った。
A:印字パターンに乱れがない
B:1〜3箇所、印字パターンに乱れがある
C:4箇所以上、印字パターンに乱れがある
4.3.3.保守性評価
上記洗浄性評価と同様の方法で洗浄液を用いてインク流路およびヘッド内部を洗浄した。次に、洗浄液を充填した状態でプリンターを50℃環境下でさらに3ヶ月間放置した。その後、再度、インクを充填し、テストパターンでA4用紙500頁印刷を行い、500頁目の印字パターンに関して、以下の評価基準に従って吐出安定性を評価した。保守性が高い場合は、印字パターンに乱れがなく適切な印字が可能となる。
A:印字パターンに乱れがない
B:1〜3箇所、印字パターンに乱れがある
C:4箇所以上、印字パターンに乱れがある
(UV硬化型顔料インクDを利用した場合の評価)
4.3.4.洗浄性評価
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)に、調製したUV硬化型顔料インクDを充填した状態でプリンターを50℃、3ヶ月間放置した。次に、下記洗浄方法に従い、実施例・比較例で用いる洗浄液を用いて、プリンター流路・ヘッド内部を洗浄した。
<洗浄方法A:実施例16、17及び比較例7>
プリンターに充填したインクを抜き取り、使用する洗浄液(1種類)でインク流路・ヘッド内部を充填した。次に、常温で一定時間、インク流路ならびにヘッド内部を洗浄液と接触させた後、洗浄液をプリンターから抜き取り回収した。
<洗浄方法B:実施例18>
プリンターに充填したインクを抜き取り、実施例11で用いた洗浄液をインク流路・ヘッド内部に充填した。その後、常温で4分間、インク流路ならびにヘッド内部を洗浄液と接触させ、充填した洗浄液(実施例11)をプリンターから抜き取り回収した。次に、実施例15で用いた洗浄液をインク流路・ヘッド内部に充填し、同様の操作を繰り返した後、洗浄液(実施例15)を回収した。
上記洗浄方法により回収した洗浄液20mL(但し実施例18では、各洗浄液10mLずつを混合し20mLの溶液とした)の洗浄性、吐出安定性、及び保守性を、上述の水性顔料インクA、B又は油性顔料インクCと同様の方法で評価した。ただし、保守性評価に関しては、実施例18では、2種類の洗浄液を用いてインク流路およびヘッド内部を洗浄した後、実施例11で利用した洗浄液のみをプリンターに充填し50℃環境下で3ヶ月間放置して行った。
4.4.評価結果
表1〜表3に、各洗浄液の組成及び評価試験の結果を示す。
Figure 2016216542
Figure 2016216542
表1、表2中に示す成分の略称は、以下の通りである。
<界面活性剤>
・オルフィンE1010(商品名、日信化学工業株式会社製、ノニオン系界面活性剤)
<防腐剤>
・プロキセルXL2(商品名、アビシア社製)
Figure 2016216542
表1〜3の結果から明らかなように、実施例1〜15の洗浄液(本発明に係る洗浄液)によれば、水性インク、油性インク、及び、UVインクのいずれを用いるインクジェット記録装置においても、インクを長期間装置内に保存した後でもインク流路を効率的に洗浄できることが分かった。また、これらの洗浄液は、保守性についても良好であった。
また、実施例3〜5をみると、洗浄液に複数種のイオン性液体が配合されることにより、イオン性液体の全体の量が少なくても良好な結果が得られることが分かる。これは、配合されたイオン性液体の種類が増えることにより、構造や溶解性においてより広い範囲の
異物を溶解しやすくなったためと考えられる。
また、実施例8、9、12をみると、洗浄時の温度を常温よりも高くすることで、洗浄時間を短縮できることが分かった。これは、洗浄温度を上げることで、イオン性液体を含む洗浄液に対する異物の溶解性が向上したためと考えられる。
一方、実施例10、11をみると、キレート剤の存在により、保守性が向上することが分かった。これは、カルシウムイオンのような2価金属イオンをキレート剤がトラップすることで、部材から徐々に溶出するステアリン酸のような高級脂肪酸が、2価金属イオンと金属塩を形成し異物化しないためと考える。
さらに、UV顔料インクを用いるプリンターの場合には、カチオン部位がイミダゾリウム骨格を有するイオン性液体及びカチオン部位がピリジニウム骨格を有するイオン性液体を併用することで非常に短時間で良好な結果が得られることが判明した。これは、イオン性液体の種類が増えることで、イオン性液体と異物との相互作用が増し、イオン性液体を含む洗浄液に対する異物の溶解性が向上したためと考えられるが、詳細なメカニズムは定かでない。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (12)

  1. イオン性液体を含む、インクジェット記録装置の洗浄液であって、
    前記イオン性液体の含有量が0.5質量%以上50質量%未満である、洗浄液。
  2. 請求項1において、
    前記イオン性液体は、150℃未満の温度で液体の状態であるイオン性化合物である、洗浄液。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有する、洗浄液。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    ノニオン性界面活性剤を含有する、洗浄液。
  5. 請求項4において、
    前記ノニオン性界面活性剤は、アセチレングリコール系界面活性剤である、洗浄液。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    キレート剤を含む、洗浄液。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    水を含有し、
    前記イオン性液体は、水溶性である、洗浄液。
  8. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    有機溶剤を含有し、
    前記イオン性液体は、非水溶性である、洗浄液。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
    前記インクジェット記録装置は、樹脂を含む顔料インクを使用する、洗浄液。
  10. 請求項9において、
    前記樹脂は、0℃以下のガラス転移温度を有する、洗浄液。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の洗浄液を、インクジェット記録装置に導入し、40℃以上の温度で洗浄を行う、インクジェット記録装置の洗浄方法。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の第1洗浄液、及び、前記第1洗浄液とは異なる種のイオン性液体を含む請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の第2洗浄液を、インクジェット記録装置に導入して洗浄を行う、インクジェット記録装置の洗浄方法。
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