以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
(第1の実施形態)
●受発注システムの構成
図1は、本発明第一実施形態に係る受発注システムを示すブロック図である。受発注システムは発注者システム101,102,103と、印刷業者システム104,105,106とを含み、それらはインターネット100によって相互に接続されている。それぞれの発注者システム101,102,103には少なくとも1以上の情報処理装置107が含まれる。
以下、印刷業者システム104,105,106の内部構成について詳細に説明する。なお印刷業者システムをワークフロー制御システムまたは印刷システムとも呼ぶこともある。図1に示す通り複数の装置がネットワーク109によって相互に接続されている。複数の装置の例としては、情報処理装置108、画像形成装置110、111,112、ラミネータ114、CTP(Computer To Plate)113等がある。
画像形成装置110はカットシートタイプのデジタル印刷機である。画像形成装置111は、連帳シート用のデジタル印刷機である。画像形成装置112はオフセットタイプの印刷機である。印刷会社はそれぞれ機能や性能、方式など異なる機器を通常複数有し、受注した内容や成果物の数、成果物の単価、品質等様々な条件を考慮した上で最適な画像形成装置を選択し、生産を行う。
各装置は情報処理装置108上で動作するワークフローソフトウェア群のもと制御され、発注者システム101、102、103より受理した電子取引データ、並びに入稿されたデータ(入稿データ)を処理し、成果物を生産する。成果物は印刷成果物とも呼び、たとえばカット紙に印刷しただけのチラシ、断裁処理やコーティングなどの後処理が施されたシート、ステープルや無線綴じで綴じられた冊子など、種々の印刷物を含む。また、発注者システム101、102、103から印刷業者システム104,105,106に対して為される印刷成果物の受発注に関する要求の送受信は共通化された電子フォーマットをインターネット100経由で相互に送受信することにより達成される。
ここで複数の異なる発注者システム101、102,103が同じく複数の異なる印刷業者システム104、105、106との間で行う受発注処理において、送受信される電子フォーマットが共通化されている事のメリットは次に示す通りである。
第一に、発注者システムは複数の印刷業者システムの何れを選択し、印刷成果物を発注する場合であっても、印刷会社システムが独自に設ける固有のシステム毎に異なる態様によって受発注処理をする必要がない。何故ならば共通化された電子フォーマットによって共通の発注システムを利用することによって達成することが出来るからである。換言すれば異なる印刷会社であっても共通のシステムを発注者システム101、102、103に提供することが出来る。つまり、複数の印刷業者に対して受発注する場合であっても、受発注に伴う各種処理は統一されたものとなる。その効果として、受発注に係る各種業務の効率化・共通化、さらには自動化が促進される。
第二に、印刷業者システム104,105,106の側においても、複数の異なる発注者システム101、102、103から異なる様式によって印刷成果物の製造業務に関する受発注を実施する必要がない。何故ならば共通化された電子フォーマットによって共通の受注システムを利用することが可能となるからである。換言すれば異なる複数の発注者からの業務を受注する場合であっても、受注する側としては統一された手法によって受注処理を実行することが可能となる。その効果として、各種業務を印刷業者システムにおける受注に係る各種業務の効率化・共通化、さらには自動化が促進される。
上述した以外にも、発注者システム101、102、103および印刷業者システム104,105,106が共通化された電子フォーマットによる制御に基づき印刷成果物の受発注システムを統一的に利用する事のメリットは様々あり得る。例えば、従来業務を委託していた印刷業者から、別の印刷業者に同一内容の印刷成果物の製造を新規に依頼する場合を想定する。受発注に伴い送受信される情報は共通化された電子フォーマットであって、かつ受注者、発注者が保有するシステムが該共通化された電子フォーマットに従って受発注業務を電子的に処理するよう構成されている。故に、前述した従来とは異なる印刷業者に新規に印刷成果物の製造依頼をする際においても、製造を請け負う業者が変わることを意識する必要がない。従って、従来とは異なり柔軟に製造を依頼する印刷業者を変更することを可能とする。
また、次に示す様な更なるメリットもある。受発注時に発注者と印刷業者との間で送受信する電子データやコマンドが共通化されたものであるため、旧来のように業界の慣習や会社ごとに異なる業態等の固有要因を極小化することが容易である。すなわち、受発注業務に要求される各種処理の一部もしくは全部を自動化する際に有利なシステム構成を容易に具現化することが可能となる。
さらには、現在はウェブ入稿をはじめとする電子入稿システムを備えていない印刷業者を想定する。これら業者においても共通化された電子データやコマンドを送受信するための発注者システム、もしくは印刷業者システムをライブラリ化する、あるいは標準的なアプリケーションとして頒布されたものを従来と比較し遥かに容易に導入することが考えられる。このようにして印刷成果物の受発注業務を行っている業界全体にメリットをもたらすことをも可能となる。
さらに、印刷業者システム104,105,106がそれぞれ機能や性能、方式などの異なる種類の画像形成装置110,111,112を保有しているような場合、発注者が、有利な条件の印刷業者を選択することも容易に実現出来る。ここで発注者が印刷業者を選択する条件としては、生産数、品質、納期、その他印刷業者が有する画像形成装置の特徴を含む。
図2は、情報処理装置107,108の構成を示すブロック図である。同図において、CPU201は、ROM203のプログラム用ROMに記憶された、或いはHDD211からRAM202にロードされたOSや一般アプリケーションのプログラムを実行する。ROM203はまたフォントROMやデータROMを有している。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)205は、キーボードやポインティングデバイス(不図示)からの入力を制御する。表示コントローラCRTC206は、表示部CRT210への表示を制御する。なおここでは表示部をCRTとしているが、液晶その他の方式のディスプレイを採用してよい。ディスクコントローラ(DKC)207は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ等を記憶するHDD211等とのアクセスを制御する。ネットワークコントローラ(NIC)212は、ネットワークに接続されて、そのネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。バス204は、CPU201とRAM202、ROM203及び各種コントローラ等を接続して、データ信号や制御信号を搬送している。
なお、携帯端末の場合にはキーボードコントローラ(KBC)205の代わりにタッチパネルコントローラ等を構成に含む場合がある。また、HDD211の代わりとなる大容量記憶装置を備える場合もある。さらに、ネットワークコントローラ(NIC)212は、備える装置が有線LAN、無線LAN其々の場合、あるいは双方を備える場合とで、内部構成が異なる。ただし、これらの内部構成による差異は、ネットワークコントローラ(NIC)212内部に隠蔽され、同図に示す他のモジュールには等価なものとしてシステムを制御可能な様、構成される。
●ソフトウェア構成
図3は、発注者システム101,102,103における情報処理装置107が有するプログラムの構成を例示した図である。ブートローダ301は、情報処理装置107の電源投入直後に実行されるプログラムである。これらプログラムには、システムの起動に必要となる各種起動シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。オペレーティングシステム302は、情報処理装置102の機能を実現する各種プログラムの実行環境を提供することを目的としたプログラムである。これは、情報処理装置のメモリ、即ちROM203やRAM202,HDD211等の資源管理等の機能を提供する。
ネットワーク制御プログラム303は、ネットワークを介して接続される機器に対してデータを送受信する際に実行されるプログラムである。すなわち、NIC212を制御し、インターネット100を介して外部とデータやファイルを送受信する際に使われるソフトウェアである。ウェブシステム304は、ネットワーク経由で接続された外部機器に対からのウェブベースのサービスの受付や受理、あるいは外部のウェブサービスへのデータやコマンドの送信を司るプログラムである。
発注情報管理プログラム305は、発注者システム101,102,103において中心的な役割を担うプログラムである。発注情報管理プログラム305は、外部の印刷業者システム104,105,106に対し、発注に係る各種コマンドによる要求やその結果であるレスポンスの受信と解釈を行い、各種コマンドを操作者に実行させるための指示部等を提供する。ここにおける各種コマンドとその実行順序については後述する。
入稿データ管理プログラム306は発注する印刷成果物の元データ、すなわち原稿画像データを管理するためのものである。原稿画像データを送信するまで保持するのみであれば、オペレーティングシステム302が備えるファイルシステムの機能をそのまま利用することも可能である。ただし、当該入稿データ管理プログラム306はデータの加工、コンテンツの作成、編集などを実行する際に利用されるプログラム等も本実施形態においては含まれることを想定している。
JDF管理プログラム307は、印刷業者システム104,105,106に対して印刷成果物を発注する際に、その成果物の形態を電子的に表現されるJDFフォーマットのファイルの作成、編集等を実行する際に利用されるプログラムである。本プログラムによって編集若しくは作成されたJDF情報は前記発注情報管理プログラム305によって、印刷業者システム104,105,106に対して印刷成果物製造の発注時に送信される。
第一の送信プログラム308は発注者システム101、102、103から印刷業者システム104,105,106に対して、受発注処理において送信される各種コマンドの送信処理を行う。第一の送信プログラム308が送信するコマンドについては後述する。
第二の送信プログラム309は、第一の送信プログラム308の送信対象である各種コマンドのうち、発注コマンドが送信されかつ受理された後に、印刷対象データである入稿データを送信する。入稿データ並びに第二の送信プログラムの動作については後述する。
第一の受信プログラム310は、第一の送信プログラム308および第二の送信プログラム309によってコマンド並びにデータが印刷業者システム104,105,106に送信されて処理された結果であるレスポンスデータを受信する。また受信結果を解析する。
図4は、印刷業者システム104,105,106における情報処理装置108が有するプログラムの構成を例示した図である。ブートローダ401、オペレーティングシステム402は、ネットワーク制御プログラム403、ウェブシステム404の処理内容と役割は図3において示したブートローダ部と同じであるため、説明を割愛する。
受注情報管理プログラム405は、印刷業者システム101,102,103において中心的な役割を担うプログラムであり、MISシステムと呼ばれる事もある。受注情報管理プログラム405は、発注者システム101,102,103による印刷成果物の発注に係る各種コマンドによる要求を受信し、実行結果であるレスポンスの送信、前記各種コマンドを操作者に実行させるための指示部等を提供する。ここにおける各種コマンドとその実行順序については後述する。
入稿データ保持プログラム406は、発注者システム101,102,103から入稿された印刷対象画像データを管理するための物である。
JDF解析プログラム407は発注者システム101、102、103から受理した印刷成果物の発注依頼時に成果物の形態を電子的に表現するためのJDFフォーマットファイルを受信およびその内容の解析をするためのプログラムである。JDFファイルに含まれる情報に基づき成果物の形態、部数、メディア等、生産を実施する上で必要となる事前条件、例えばワークフローの事前設定や生産計画立案等を実施する際に利用される。またこの情報に基づき、ワークフローを構成する各工程の処理内容、すなわち工程毎のジョブチケットが生成される。
第二の受信プログラム408は、図3において示した第一の送信プログラム308によって送信される各種コマンドの受信処理を実行するためのプログラムである。第三の受信プログラム409は、図3において示した第二の送信プログラム309によって送信される入稿データを受信するためのプログラムである。第二の受信プログラム408、第三の受信プログラム409が受信するコマンドやデータの例については後述する。
第三の送信プログラム410は、第二の受信プログラム408、第三の受信プログラム409が受信した結果をレスポンスとして発注者システム101、102、103における第一の受信プログラム310(図3)に対して送信するためのプログラムである。
なお、第二の受信プログラム408ならびに第三の受信プログラム409が受信したコマンドやデータを、受注情報管理プログラム405、入稿データ保持プログラム406が処理する動作については後述する。また、処理結果となるレスポンスデータを作成し第三の送信プログラム410で送信する処理についても後述する。
ワークフロー制御プログラム411は印刷業者システム104,105,106内部のネットワーク109を介して接続された機器間の処理や制御、工程毎のジョブ実行等を集中的に管理するためのプログラムである。これは印刷業者システム104,105,106の中核をなすものである。複数工程、すなわち複数の装置を用いて成果物を製造する際に、その実行順序やジョブの実行制御等を行う。また、使用する装置の選択、切り替え、リカバリ生産等の制御もワークフロー制御プログラム411が実行する。また、印刷業者システム104,105,106内部で働くオペレータに対し各種の指示を出す処理もワークフロー制御プログラム411が実行する。後述する入稿処理に対する可否判断の処理等もワークフロー制御プログラム411が実行する。
ワークフロー制御プログラム411は、JDF解析プログラムによって保持管理されている発注内容と、第三の受信プログラム410が受信する入稿データ等に基づき、求められた成果物を生産するために必要な工程を定義する。JDF解析プログラムによって保持管理されている発注内容は、印刷業者システム104,105,106が発注者システム101,102,103からの受注を受けた際に送付された発注情報の内容である。その上で、ワークフローにおけるジョブを生成および維持管理する。ワークフローにおけるジョブを工程毎に実行する事によって、発注者が要望する成果物が段階的に生産され、結果的に最終成果物に至る。ワークフロー制御プログラム411は、ワークフロー制御方法を実行し、ワークフロー制御システムとも呼ばれることがある。
プリプレスプログラム412は、第三の受信プログラム409が受信し、入稿データ保持プログラム406が管理する入稿データに対し、面付け、画像加工、データフォーマット変換等のような、印刷の前処理工程を実行するためのプログラムである。プリプレスプログラム412はワークフロー制御プログラム410の制御下で実行される。
生産管理プログラム413は、受注情報管理プログラム405、第二の受信プログラム408が受信するコマンドの内容、あるいは第三の受信プログラム409が受信する入稿データに基づき生産計画を立てる。生産管理プログラム413はさらに、生産計画に基づいて前記ワークフロー制御プログラム411と共にワークフローにおける工程毎のジョブの実行を指示する。
●発注者システムにおける発注情報管理プログラムの操作画面例
図5は、発注者システム101、102、103における情報処理装置107において実行される、図3にて示した発注情報管理プログラム305が表示する操作画面の一例を示したものである。
図5(A)は、本実施形態における発注情報管理プログラム305の主画面500のうち注文設定メインタブ501が選択された状態を示している。同図に示す例においては、印刷業者選択部502が提示され、第一の印刷業者503、第二の印刷業者504、第三の印刷業者505が表示されている。発注者は、所望の印刷業者の何れかから、発注処理を実施する印刷業者を選択することが可能である。また、不図示の印刷業者管理画面によって、発注可能な印刷業者の追加や削除等の管理も可能なよう本実施形態における発注情報プログラム305は構成されている。また、同図に示す例においては第二の印刷業者504が発注先として選択された状態である場合を示している。
コマンド選択部506においては、発注者システム101,102,103が印刷業者システム104,105,106に対して、印刷成果物の受発注に係る各種処理を伝達するコマンドの選択部が複数設けられている。
見積依頼コマンド発行部507は、印刷業者選択部502において選択された印刷業者に対し、成果物作成に要する費用の見積もり依頼コマンドの送信指示を行うための操作部である。見積依頼コマンド発行部507を押下(あるいは接触)すると不図示である見積依頼に必要な各種情報を入力する画面に遷移し、印刷業者は同画面を利用して見積依頼コマンドの発行に必要な情報の入力処理を行う。
発注依頼コマンド発行部508は、見積依頼コマンド発行部507を選択して取得した見積情報ならびに後述するJDF編集部515によって編集された成果物の形態の設定情報を含む発注コマンドを印刷業者に対して送信するための操作部である。送信先の印刷業者は、印刷業者選択部502において選択されたものである。発注依頼コマンド発行部508を選択することによって発注内容を含むコマンドが選択された印刷業者である第二の印刷業者504に送信される。
入稿データ送信部509は、発注者システム101,102,103が印刷業者システム104,105,106に対して印刷対象となる入稿データの送信を指示する際に利用する操作部である。入稿データ送信部509による入稿処理は、発注依頼コマンド発行部508における発注処理以降に、発注処理とは独立した処理として選択実行可能であるよう、本実施形態におけるシステムは構成される。ただし、発注処理と同時に入稿処理を可能とするような構成も当然のことながら取ることが可能である。
ただし、印刷成果物製造業の受発注をめぐる慣習において、発注処理と印刷対象となるデータの入稿処理は必ずしも同時に処理されるとは限らない。発注処理を先行して実施し、印刷業者においては、生産に向けての各種処理を先行させる一方で、発注者は発注処理後に入稿データの制作や更新等を実施し、発注後に入稿データを印刷業者に送付することはしばしば行われている。
また、すべての入稿データが一度に制作され、印刷業者に入稿されるとも限らない。入稿データを構成するコンテンツのうちの、完成した部分から入稿し、すべての入稿データがそろった段階で入稿処理が完了するというケースも存在する。
さらには最初の入稿時点で入稿データの完成度が高いとは限らず、校正処理やプリフライト処理等を複数回経て生産用途に供する入稿データを完成させることも、印刷成果物受発注業務においてはしばしば行われている。
さらなる例として、一度入稿したデータを何らかの理由で差し替える等、予定していなかったコンテンツを追加するなどのケースも実在する。
すなわち、発注処理と入稿処理は印刷業の慣習においては別タイミングとしてなされることがしばしばであり、理由は上述したとおりである。本発明における第一の実施形態において、図5(A)に示す通り、発注依頼コマンド発行部508と入稿データ送信部509とがそれぞれ独立した操作部として供されているのはこのような状況に柔軟に対処することを目的としている。
プルーフ依頼部510は、発注依頼コマンド発行部508ならびに入稿データ送信部509によって送信した印刷成果物の生産に必要となる製造条件や入稿データによって、試し刷りを依頼するコマンドの送信指示を行う操作部である。このコマンドは発注者システム101,102,103から印刷業者システム104,105,106に対して送信される。ただし、試し刷りが物理的なメディアへの入稿データの印刷処理を伴うか、あるいは電子的な手段により画像確認によって達成されるかはシステムもしくは顧客の要件次第であるため、本発明はプルーフの実際の手段や形態については限定するものではない。また、発注者自らがプルーフ処理を実施する場合も想定されるため、その場合においてプルーフ依頼部510は必須ではない。
支払実行部511は、印刷業者システム104,105,106が生産した成果物の対価の支払処理を実施するためのコマンドの送信を指示するための操作部である。その際においては主に見積依頼コマンド発行部507の実行結果として取得される金額情報に基づき金額が計算され、主に電子的な手段によって決済処理がなされることを本実施形態におけるシステムにおいては想定しているものである。
状況確認部513は、コマンド選択部506において実行した発注者システムから印刷業者システムへのコマンド、およびそれを受けた印刷業者システムがコマンドを実行した結果であるレスポンスの内容を表示する領域である。ただし、印刷業者システム104,105,106が発注者システム101,102,103に対して実行するコマンドや通知情報などの表示も同部によって表示可能なよう本実施形態においては構成されている。
同図における例においては、まだ発注者システム101,102,103は第二の印刷業者504を選択したのみであり、コマンド選択部506によって何らコマンドの実行をしていない。従って状況1 514においては、2021年1月14日10時30分時点では何ら処理が行われていない旨が示されている。
図5(B)に示すJDF編集画面520の詳細について以下説明する。JDF編集画面520はJDFフォーマットとして発注依頼コマンド発行部508の選択によって送信される成果物の形態を含む設定情報をJDFフォーマットによって編集するための画面である。同図に含まれる情報によるJDFフォーマットのデータの具体例については後述する。
図6は、図5の状態から、発注者システム101,102,103から第二の印刷業者504に対するコマンド選択部506の各操作部による指示コマンドとそのコマンドに対する第二の印刷業者504からのレスポンスの送受信履歴の一例を説明する図である。以下、状況確認部513によって提示されるコマンドの実行履歴から、本実施形態におけるシステムの挙動の詳細を述べる。ここで説明するシステムの挙動には、発注者システム101,102,103が実行した、印刷業者システム104,105,106との間でなされた成果物受発注におけるコマンドの内容を含む。
状況2 515において、2021年1月14日11時30分に発注依頼コマンド発行部508によって、第二の印刷業者504に対して発注コマンドが送信されたことを同図は示している。発注コマンドの指示は発注依頼コマンド発行部508によってなされることは既述の通りである。図5において述べた通り、この際にJDF編集部520にて編集および作成されたJDFデータも同時に送信される。
状況3 517においては、状況2 515において2021年1月14日12時30分に発注者システム101,102,103が第二の印刷業者504にたいして送信した発注コマンドのレスポンスとして、発注コマンドが受理された旨示されている。
状況4 518において、状況3 517にて第二の印刷業者504に受理された発注に対し、2021年1月15日12時15分に発注者システムが第二の印刷業者504に対し入稿データの送信コマンドを実行したことが示されている。入稿データの送信コマンドは入稿データ送信部509によってなされる。図示の通り"Content3.pdf"という入稿データファイルが入稿処理されたことを同図は示している。
状況5 519において、状況4 518における入稿データの送信コマンドが発注者システム101,102,103から第二の印刷業者504にするレスポンスとして2021年1月14日13時30分に受理された旨示されている。
詳細情報表示指示部516は各々の状況について更なる詳細な情報を必要に応じて表示する際に選択される。
上述の通り、発注者システム101,102,103と印刷業者システム104,105,106間の、印刷成果物の受発注業務に関する、特に発注並びに入稿処理に関するコマンドとレスポンスの一例を示した。
●印刷業者システムにおける受注情報管理プログラムの操作画面例
図18から図20は、印刷業者システム104,105,106における情報処理装置108において実行される図4にて示した受注情報管理プログラム405が表示する操作画面の一例を示したものである。
図18(A)は本実施形態における受注情報管理プログラム405の主画面600のうち受注処理メインタブ601が選択された状態を示している。同図に示す例においては、発注者選択部602が提示され、第一の発注者603、第二の発注業者604、第三の発注者605が表示されている。印刷業者は複数の発注者からの受注をこのような方式によって個別に識別並びに管理可能なよう、本実施形態における受注情報管理プログラム405の操作部は構成されている。複数の発注者の何れかを選択し、その要求であるコマンドの内容に応じて必要な処理を講じることを可能としている。さらには、また、不図示の発注者管理画面によって、受注可能な発注者の追加や削除等の管理も可能なよう本実施形態における受注情報管理プログラム405は構成されている。また、同図に示す例においては第一の発注者603からの要求を処理すべく選択された状態である場合を示している。
コマンド選択部606には、印刷業者システム104,105,106が発注者101,102,103に対して、印刷成果物の受発注に係る印刷業者としての各種処理を伝達するコマンドの選択部が複数設けられている。主な用途は図5において示した発注者システム101,102,103におけるコマンド選択部506によって指示された印刷業者に対する各種要求コマンドに対する応答、すなわちレスポンスを選択することである。
見積依頼応答コマンド発行部607は、見積依頼コマンド発行手段507による発注者システム101,102,103からの見積もり依頼コマンドに対する応答を発注者システム101,102,103に送信するための操作部である。この応答は、指定された見積もり対象に対する見積、たとえば金額や納期等の提示を含む。
発注依頼応答コマンド発行部608は図5における発注依頼コマンド発行部508による発注者システム101,102,103からの発注コマンドに対する応答、すなわち受注の可否を発注者システム101,102,103に送信するための操作部である。
入稿データ受理部609は、図5における入稿データ送信部509による発注者システム101,102,103からのデータ入稿依頼コマンドに対する応答を発注者システム101,102,103に送信するための操作部である。この応答には、入稿データの受理の可否を含む。
ワークフロー実行指示部610は、発注者システム101,102,103との印刷成果物受発注業務において、印刷業者システム104,105,106からワークフロー制御プログラム411に指示を与えるための操作部である。その指示は、生産に必要な条件が整った段階における生産の指示を含む。前述の通り、印刷業者システム104,105,106は発注を受けた段階で事前準備のためにワークフローの処理を開始するが、その際にワークフロー実行指示部610は利用される。図4において示したワークフロー制御プログラム411が実行対象とするワークフローの構成ならびにその動作については後述する。
支払依頼実行部611は、印刷業者システム104,105,106が発注者システム101,102,103から依頼された印刷成果物の生産に係る費用を依頼主に対し請求する際に選択および実行されるコマンドの指示部である。図5において示した支払実行部511に先んじて実行されるか、若しくは前後して実行指示されるべく設けられている。
状況確認部613は、コマンド選択部606において対応した発注者システム101,102,103から受信したコマンド、もしくは印刷業者システム104,105,106が該コマンドを実行した結果であるレスポンスの内容を表示する領域である。ただし、印刷業者システム104,105,106が発注者システム101,102,103に対して実行するコマンドや通知情報などの表示も状況確認部613によって表示可能なよう本実施形態においては構成されている。
同図に示す例は、状況1 614において図6における状況2 515、すなわち2021年1月14日11時30分に発注依頼コマンド発行部508によって第二の印刷業者504である自社に対する発注コマンドが受信されたことを示している。
図18(B)は、発注依頼応答コマンド発行部608を選択した際に表示される操作部の一例を示している。発注者システム101,102,103からの発注依頼コマンドを受理する場合には受理許容部618を、受理しない場合には受理拒否部619をそれぞれ選択可能なよう構成されている。また、単なる受理ないしは拒否のみの応答ではなく、発注を依頼した発注者システム101,102,103に対しその理由を付するための付随情報入力部617を設けた例を示している。なお、付随情報入力部617にて入力した情報は図6における状況3 517に反映されている。ただし、本実施形態において示した付随情報入力部617は印刷業者システム104,105,106の操作担当者が裁量に基づき入力を可能とする場合の例を示したものである。これに限らず、同等の情報を、発注者システム101,102,103と印刷業者システム104,105,106との間で交されたコマンドの内容や受発注の状態等諸条件に基づき自動的に生成又は選択し保管する形態も採用してよい。
図19(A)は図18(A)の状態からさらに操作が進んだ状態の一例を示したものである。図19(A)には、図18(B)における受理許容部618を選択した結果として状況2 620が2021年1月14日12時30分に、印刷業者システム104,105,106から発注者に対しレスポンスとして送信された旨表示されている。
さらに、図19(A)の状況確認部613は、図6における状況4 518で為されたコンテンツデータの入稿処理依頼を自社である第二の印刷業者504が状況3 621として2021年1月15日12時15分に受信したことを示している。
なお図18(B)には、図6の状況4 518において入稿データ受理部609を選択したのちに表示される制御部622の一例をも示している。
手動プリフライト実行部623は、当該システムの利用者である印刷業者のオペレータが、手動により入稿されたデータの検証を実施する際に選択する操作部である。同部が選択された場合には不図示の手動によるプリフライト処理に遷移し、オペレータが入稿データに対して目視を含む手作業によってプリフライト処理を実行する。手作業のプリフライト処理は所謂赤入れ等による手作業の入稿データの補正等、電子化されていない従来の慣習による印刷成果物作成業務の業態にも対応しうる。
自動プリフライト実行部624は、印刷業者システムに、入稿されたデータの検証を自動的に実施させる際に選択する選択部である。同部が選択された場合には不図示の自動によるプリフライト処理が起動し、入稿されたデータの妥当性検証がプログラムによって処理される。自動によるプリフライト処理では、たとえばデータの一貫性が主に検証される。具体的には、フォントデータが入稿データに埋め込まれていないこと等である。このような場合には入稿者、すなわち発注者が要望する成果物に利用されるフォントとは異なるフォントデータが適用され、結果的に印刷結果が要望と異なる結果になるなどの不具合が生じうる。そこでこのような検査が行われる。
入稿受領部625は、手動プリフライト実行部623若しくは自動プリフライト実行部624により実行されたプリフライト処理の結果が良好であった場合に選択する選択部である。具体的には図6における状況4 519のような情報を印刷業者システム104,105,106から発注者システム101,102,103に対して伝達する際に用いられる。
一方で入稿非受領部626は、手動プリフライト実行部623若しくは自動プリフライト実行部624によるプリフライト処理の結果が良好ではなかった場合に選択する選択部である。
入稿データ自動応答部627は、上述した各部による実行結果を含め、発注者システム101,102,103から印刷業者システム104,105,106に対する入稿処理の応答をさらに自動的に実行する際に利用される操作部である。同部が選択されている場合、発注者システム101,102,103から印刷業者システム104,105,106に対してなされる入稿処理、すなわち入稿データ送信部509による入稿データの受信の応答を、条件を判別した結果に基づき自動的に行う。
入稿データ自動応答部627を選択しておくことで、手動プリフライト実行部623、自動プリフライト実行部624、入稿受領部625、入稿非受領部626等に対応する処理が、条件に応じて自動的に行われる。すなわちこれら操作部を選択することによって実行されるのと同等の処理が、入稿データの受信に応じて行われる。これにより印刷業者システム104,105,106は、入稿処理に対する各種判別処理と、印刷業者システム104-106で印刷成果物製造のために実行されるワークフローとを考慮しつつ最適な応答処理内容の判別並びに応答情報の送信が可能となる。
以下、本実施形態における入稿データ自動応答部627にて達成される入稿処理に対する応答処理の自動化内容の詳細について述べる。
第一に、入稿されたデータに対して実行されるプリフライト処理は自動応答部627が選択されている場合には自動で実行される。すなわち、自動プリフライト実行部624が選択された状態と同等の効果を得ることが可能なよう構成される。
第二に、印刷業者システム104,105,106で構築並びに処理される受注成果物に関するワークフロー内のジョブの実行状況に基づく入稿処理の可否の判別を行うことが可能なよう構成される。ジョブの実行状況には、処理されているワークフローの工程に関する情報を含む。具体的には、発注者システム101,102,103から入稿依頼された際に、印刷業者印刷業者システム104,105,106内のワークフローの各工程のうち何れかの特定工程もしくは該特定工程以降の工程によって処理されているかを判別する。特定工程もしくはそれ以降によって処理されている際に入稿の可否判断がなされることの理由については後述する。
同図において示した例では、本実施形態におけるシステムでプリプレス工程629又はそれ以降の工程が実行済みの状態で入稿がされた場合、当該入稿処理が受理されないようシステムが制御される設定を選択指示する。また、同図を印刷業者システム104,105,106の操作者が操作している段階においては、現在処理されている工程が第一の保持工程630であることを示している。第一の保持工程は前記プリプレス工程629よりも前に処理される工程であることは後述するが、プリプレス工程629および以降の工程には当たらない。従って同図に示した条件において入稿された場合には当該入稿処理は受理されるよう、本実施形態におけるシステムは制御される。
このように、発注依頼された印刷成果物の製造に係るワークフロー処理の進捗に応じて、発注とは別処理で行われる入稿処理の受領可否を自動的に判別するよう、本実施形態におけるシステムは制御することを可能としている。
図20は、図19において述べた操作部の操作の結果の一例を示す。状況4 628は、発注者システム101,102,103から入稿されたコンテンツデータが印刷業者システム側で受理されたことを示している。一方、同様の入稿状況は、図6における状況4 518のように発注者システム101,102,103でも表示されている。
本実施形態における図示の通り、発注と受注という相対する処理の画面であるために、図5、6および図18、図19、図20の操作部の構成は必然的に対を為したものとなっている。また、図1について述べた通り、受発注業務における効率化、電子化を達成するための、互いに送受信される電子フォーマットの共通化によって、受発注業者間で共通のシステムに基づく受発注業務を成立することを可能としている。尤も操作部の構成方法は電子化の一要素に過ぎない。本実施形態は、共通仕様に基づくシステムの共通化が高度に達成された一例を示したものであり、必ずしも相対する操作部が提供されなければならないとは限らない。
図7は図6において説明した操作から、更なる入稿処理を、発注者システム101,102,103を選択した印刷業者システム104,105,106に対して実施した場合の一例を説明するための図である。
図7Aに示す通り、状況確認部513に表示された状況1 701は、2021年1月16日12時00分に入稿データ送信部509によって更なるデータが入稿された例を示している。すなわち、図示の通り"Content4.pdf"という入稿データファイルが入稿処理された場合を示している。"Content4.pdf"という入稿データは以前に入稿されていないため、新規入稿データ、すなわち追加データの入稿処理に相当する。
状況1 701においてなされた追加入稿依頼は、第二の印刷業者504によって、状況2 702によって受理された旨の状況が同図の例においては示されている。さらに、状況3 703には、2021年1月17日08時00分に、状況1 701で追加入稿されたものと同じ入稿データである"Content4.pdf"が入稿されていることが示されている。これはすなわち以前に入稿されたデータを差し替える差換入稿であることを意味する。
しかしながら状況4 704には、状況3 703に示される発注者システム101、102,103による第二の印刷業者504に対する差替入稿依頼は拒絶されたことが示されている。
図5に示した通り、印刷成果物製造の受発注においては、慣習的に、発注処理と入稿処理は分離して行われていることが広く知られている。加えて、すでに入稿したデータを差し替える差し替え入稿も、同じく図5において示した各種理由によって広く実施されている。一方で、印刷業者は請け負った生産を納期内に達成するための時間的制約が一般的に存在する。また、複数の発注者から請け負った複数の生産依頼を効率的に処理するために生産計画を立てたうえで印刷業者内に構築されたワークフローシステムをワークフロー制御プログラム411ならびに生産管理プログラム413が処理することによって達成される。
すなわち、発注者は、発注者の都合によって入稿データの差し替えを発注後でも可能な限り遅くまで受け入れてもらいたいという要望を有する。一方で、印刷業者は、発注後に速やかに入稿データが最終稿として入稿され、生産管理プログラム413並びにワークフロー制御プログラム411配下において遅滞なく処理されることが生産性の観点から重要視される。
ワークフローシステムは方式によってさまざまな工程から構成されることが一般的である。発注を受けて印刷業者システムに生成されるワークフローの特定の工程を完了した後には、当該ジョブに関連付けた入稿データの差し替えや追加の処理依頼は生産管理の都合上許容できないケースが実システムにおいては存在する。具体的には図19において示した通り、ワークフローが処理する工程がプリプレス工程629もしくは以降であった場合に入稿された状況に相応する。
従って印刷成果物の受発注業務の業界の慣習を許容した、受発注業務の電子化さらには共通仕様に基づく実用的な自動化システムを成立させる上で、発注者と印刷業者の両者にとって利点のある入稿可否判断処理が求められる。両者にとっての利点とは、発注者にとっては許容される追加入稿または訂正や差し替え時期の遅延であり、印刷業者にとっては後戻りのない効率的な作業である。製品に反映される原稿データを最終稿または決定稿と呼ぶなら、追加入稿または訂正や差し替え時期とは、最終稿または決定稿の入稿時期とよぶこともできる。本実施形態に係る発明はこのような課題に対して現実的な解決策を提供することを目的としてなされたものであった。ワークフローの特定の工程とその工程間に入稿可否の判別処理が為されることの妥当性の理由に関する詳細については後述する。
図7(B)は図7(A)における詳細表示指示部705を選択した状態の表示状態の一例を示す。すなわち"Content4.pdf"の差し替え入稿要求が図7(A)における状況4 704において受理されなかった理由等に関する詳細要因の情報提示を参照するために表示される。
詳細要因情報提示部707には、差し替え入稿処理依頼を受信した第二の印刷業者504からの、差し替え入稿処理の受理が行えなかったことに関する理由が記載されている。すなわち第二の印刷業者504においては、発注者システム101,102,103から発注および入稿された印刷成果物の製造依頼に係る印刷業者内ワークフローの工程がプリプレス工程629まで進行していることが理由として提示されている。プリプレス処理中の入稿データに対する差し替え入稿は許容できない(許容しない)ためである。
●コマンドレスポンスのシーケンス例
図8は、図5および図18、図19、図20において示した通り、発注者システム101、102,103と印刷業者システム104、105、106との間でやり取りされるコマンドおよびレスポンスのシーケンスを説明するためのものである。
まず発注者システム101、102,103から印刷業者システム104、105、106へと見積依頼コマンド801が送信される。同コマンド送信の指示は図5にて述べた通り、見積依頼コマンド発行部507によって指示される。
印刷業者システム104、105、106は見積依頼コマンド801に対するレスポンス802として、見積もり情報802を発注者システム101、102,103に対し送信する。レスポンス802の送信は、図18(A)にて示した見積頼応答コマンド発行部607によって指示される。
レスポンス802に含まれる見積もり情報に基づき、発注者システム101、102,103は発注依頼コマンド803を印刷業者システム104、105、106に対して送信する。発注依頼コマンド803は、図5にて述べた注依依頼コマンド発行部508によって指示される。
発注依頼コマンド803を受信した印刷業者システム104、105、106は、発注内容を受理し、生産体制の準備を実施する(804)。具体的には後述するワークフローのセットアップに必要となる処理を実施する。
発注者システム101、102,103が発注依頼コマンド803を受理した場合、そのレスポンス805を発注者システム101、102,103に対し送信する。レスポンス805の送信は、図18にて示した発注依頼応答コマンド発行部608によって指示される。
以後、発注者システム101、102,103は、印刷依頼する対象である入稿データを制作し、準備ができた段階で入稿コマンド806を印刷業者システム104、105、106に対し送信し入稿処理を実行する。入稿コマンド806は図5にて述べた入稿データ送信部509によって指示される。なお注文と入稿データとは、たとえば発注に対して注文IDを付与し、入稿時には注文IDを付して入稿させることで紐づければよい。たとえば、発注依頼コマンド803を受信した印刷業者システムでは当該発注に対して注文IDを付与してレスポンス805により発注者システムに応答する。発注者システムは、当該注文に関するコマンドには注文IDを付することで、注文とコマンドあるいはコマンドに付随するデータとを関連付けることができる。
入稿データを受信した印刷業者システム104、105、106は、受信したデータに対するプリフライト処理807を実行し、終了後にレスポンス808を発注者システム101、102,103に対して送信する。レスポンス808の送信は入稿データ受理部609によって指示される。
なお、図5にて示した通り、印刷成果物製造の受発注をめぐる慣習に本実施形態におけるシステムは対応するために、発注依頼コマンド803と、入稿コマンド806が分離されたコマンドとして実行されるよう構成される。
発注者システム101、102,103は必要に応じて更なる入稿コマンド809を印刷業者システム104、105、106に対して送信する。更なる入稿コマンド809が必要となるケースとして考えられるのは、図7において述べた通り、追加入稿や差し替え入稿等の要求に本実施形態におけるシステムが対応するためである。
ただし、同図に示す通り、発注者システム101、102,103から依頼された成果物作成業務に係るワークフロー処理がプリプレス工程816に進行している。
図19および図7において示した通り本実施形態におけるシステムにおいては、印刷業者システムは、ある注文に関するワークフロー処理が、特定工程であるプリプレス工程629に進んだ以降は、その注文に関する入稿データを受理しない。
この状態で更なる入稿コマンド809を印刷業者システム104、105、106が受理したとする。その際には、プリフライト処理806と同様に、プリフライト処理810が実行され、その後にレスポンス811が印刷業者システム104、105、106から発注者システム101、102,103に送信される。ただし、このレスポンスは図7(B)で示した通り、入稿処理が受理されなかった旨の(あるいは拒否の)通知となる。
その後に、印刷業者システム104、105、106は、セットアップされたワークフローの設定に基づき、発注依頼コマンド803並びに入稿コマンド806、809に基づいて印刷成果物の生産812を実行する。ここでワークフローの設定は、発注依頼コマンド803を受信することを契機として開始される生産体制の準備804でセットアップされている。本実施形態における例では図18におけるワークフロー実行指示部610によって指示される。
要求された印刷成果物の生産812が終了した然るべきタイミングで、生産に要した諸費用の請求コマンド813が印刷業者システム104、105、106から発注者システム101、102,103に対して送信される。同コマンドの送信は図18における支払依頼実行部611により指示される。
請求コマンド813を受理した発注者システム101、102,103は相応する支払処理を実行するために支払いを実施するためのレスポンス814を印刷業者システム104、105、106に対して送信する。同レスポンスの送信の過程において電子的な決済処理が本実施形態におけるシステムにおいては為される。
決済処理が完了したのち、若しくは決済処理を前後して、印刷業者システム104、105、106から発注者システム101、102,103に対して製造された印刷成果物が送付される(815)。同送付処理の実行は不図示の指定部によって本実施形態におけるシステムにおいては為される。なお成果物は印刷物であり、電子的に送付することは困難であるので、送付ステップ815では、運送会社等を介して成果物を発送した日付や時刻等を送信してもよい。
●コマンド/レスポンスの例
図9A-図9Cは、発注者システム101,102,103と印刷業者システム104,105,106間で送受信されるコマンドやレスポンスの実際のデータの例を説明するためのものである。
図9Aは発注依頼コマンド803とそのレスポンス805のデータの一例を示すためのものである。発注情報部901には、当該データが発注依頼コマンドであることを示すコマンド文字列、一連の取引されている電子データを識別するBusinessID、本発注に関与している発注者と印刷会社を識別する情報が含まれる。
発注内容記載部902は、成果物の商品名称、成果物の形態や部数等の生産内容、使用するメディア等の情報である。図5に示した設定部によって作成された情報に相当する。
レスポンス805は、発注情報部901および発注内容記載部902に基づき発注者システム101,102,103が印刷業者システム104,105,106に依頼した発注依頼の返信データから構成される。
受注応答記載部903には、発注依頼の返信データとして、発注情報部901と同様に当該データが発注依頼コマンドの応答であることを示すコマンド文字列、BusinessID、本発注に関与している発注者と印刷会社を識別する情報が含まれる。BusinessIDは、一連の取引されている電子データを識別するための情報である。また発注が受理されたことを示すOrderStatus(Accepted),印刷業者システム104,105,106から発注者システム101,102,103に返信する任意形式のコメント情報が含まれている。
図9Bは入稿コマンド806とそのレスポンス808のデータの一例を示すためのものである。入稿情報部904には、当該データが入稿コマンドであることを示すコマンド文字列、一連の取引されている電子データを識別するBusinessID、本発注に関与している発注者と印刷会社を識別する情報が含まれる。さらに、本入稿処理が追加入稿であることを示すUpdateMethodの場合の例を同図では示している。
入稿データ指定部905においては、入稿対象である電子データのファイルを指定している。すなわち"Content3.pdf"というファイルを追加データとして入稿する場合の例を同図においては示している。
レスポンス808は、入稿情報部904および入稿データ指定部905に基づき発注者システム101,102,103が印刷業者システム104,105,106に依頼した入稿処理の返信データから構成される。
入稿応答記載部906には、入稿依頼の返信データとして入稿情報部904と同様に当該データが入稿コマンドの応答であることを示すコマンド文字列、BusinessID、本入稿に関与している発注者と印刷会社を識別する情報が含まれる。BusinessID一連の取引されている電子データを識別するための情報である。また依頼された入稿データは受理され更なる入稿処理も可能であることを示すResult(AcceptedWaiting)の場合の例を同図では示している。
プリフライト結果記載部907には、印刷業者システムによるプリフライトの結果が含まれる。例えば、プリフライトを実施した入稿データのファイル名、プリフライトの結果である。
図9Cは入稿コマンド809とそのレスポンス811のデータの別の例を示すためのものである。図9Bにおいて示した入稿コマンド806との差異は、入稿コマンド809を発注者システム101,102,103が発行、もしくは印刷業者システム104,105,106が受信した入稿情報部904における日時情報のみである。
図8のプリプレス工程816は、図9Bの例で示した入稿コマンド806を受信した後であって、図9Cの例で示す入稿コマンド809を受信するまでの期間に、印刷業者システム104,105,106内のワークフロー処理で実行される。この場合には、既述の通り印刷業者システム104,105,106は更なる入稿処理を受理することはできない。従ってレスポンス811における入稿応答記載部906に、依頼された入稿データは受理され更なる入稿処理が不可であることを示すResult(Accepted)の場合の例を同図では示している。
●ワークフローの例
図10は、印刷業者システム104,105,106内で構築されかつ運用並びに発注者システム101,102,103から依頼された印刷成果物の製造を担うワークフローの構成並びに動作の仕組みの一例を説明するための図である。
図1で述べた通り、に発注者システム101,102,103と印刷業者システム104,105,106はインターネット100で接続されている。また、その様に接続された状態で印刷成果物の受発注に係る各種コマンドやレスポンスを互いのシステム間で送受信している。
発注者システム101,102,103からの発注依頼803を印刷業者システム104,105,106が受信した場合の動作の詳細を以下述べる。
発注依頼コマンド803は情報処理装置108上で動作するワークフロー制御プログラム411が最初に受信する。図9A-図9Cに示した通り、発注依頼コマンド803には発注内容記載部902が含まれている。発注内容記載部902には発注者が依頼する印刷成果物を製造するに際し、必要となる各種情報やパラメタが含まれている。発注内容記載部902の内容を解析することで、印刷業者システム104,105,106内に構築されるワークフローの工程の種別および順序の決定、工程毎のジョブに対する指示情報として如何様なジョブチケットをセットすべきかの決定が行える。また、ワークフロー制御プログラム411は、その管理下にある各工程の実現手段をも同様に管理する。具体的には工程が手動によって為されるのか自動的に為されるのか、プログラムによって為されるのか、画像形成装置等の装置によって為されるのか、等の情報である。これら情報が、ワークフロー制御プログラム411が内部に備える管理テーブルによって保持および必要に応じて変更可能なように構成されるシステムを、第一実施形態においては採用している。本実施形態において、ジョブチケットはJDF1011形式で作成され、ワークフロー制御プログラム411から各工程の実行部に対してセットもしくは送信される。工程毎の処理開始指示、および終了ステータスの通知等もJDF1011によって実現されるシステムを本実施形態では採用している。
各工程の実行部はこのようにJDF1011によって、ワークフロー制御プログラム411と制御的な接続関係にある。一方で、各工程同士も、その前後の工程間で出力データ1012を送受信することによる別系統の制御的な接続関係にある。
入稿データを受理していない状態であっても、入稿データ受理後およびその後に実行される生産処理の事前準備としてこのようなワークフローの各工程に対する指示はあらかじめ行われ、かつ各工程においてはジョブという形態で処理がキューイングされる。
ただし、ワークフローの工程毎のジョブの生成のタイミング並びに制御方法は本実施形態に示した以外にもさまざま存在しうる。例えば次の工程への実行が必要となった段階で当該次工程のジョブを生成するなどの方法も考えられる。ただしその様な場合であってもワークフロー制御システム411は発注内容記載部902に記載される内容に応じて予め如何様な工程がどのような順序で実行されることによって最終成果物が得られるかを掌握している必要がある。したがって本実施形態はあらかじめ必要な工程並びに当該工程によって実行されるジョブが初期状態に生成され、処理待ち状態としてキューイングされる形態の場合を一例として示している。
印刷業者システム104,105,106が入稿コマンド806を受信した以降の動作を以下説明する。以下の説明本発明による効果を説明するものであるため、は図19における入稿データ自動応答部627が選択された状態における動作の例である。
入稿コマンド806を受信した後においては、入稿工程1002に入稿コマンド806と同時に発注者システム101,102,103から送信される入稿データを受信する。入稿工程1002においては、受信した入稿コマンド806に対応する発注依頼コマンド803の有無を検査する。正当な入稿データ、すなわち対応する発注依頼コマンドが存在すると同工程の処理の結果判明した場合、次工程であるプリフライト工程1003に入稿データが送信される。
プリフライト工程1003においては次に示すような処理が実行される。すなわち入稿されたデータのフォーマットの検証が実施される。具体的にはPDFにフォントデータが埋め込まれているか、オブジェクトやIDの参照不正が無いか等の検証処理が相当する。
プリフライト工程1003の処理の結果、入稿されたデータに不正が無いと判別された場合に次工程である第一の保持工程630、1004に当該入稿データが送信される。第一の保持工程においては、発注依頼コマンド803に含まれる各種発注情報と入稿データが関連付けられた状態で然るべきタイミングまで保持される。発注者システム101,102,103が追加入稿や差し替え入稿を同一の発注依頼コマンド803に対して実施した場合にも、入稿データは、入稿工程1002、プリフライト工程1003を経て第一の保持工程630、1004で更新され、保持される。この場合でも入稿データは、発注依頼コマンド803に含まれる各種発注情報と関連付けられて更新され、保持される。
第一の保持工程630、1004は発注情報と入稿データを関連付けて保持するのみであるが、本実施形態によって課題を解決する上で重要な役割を担っている。それは、第一の保持工程630、1004の次工程は本実施形態における同図に示すシステムにおいてはプリプレス工程629,1006であることに由来する。
第一の保持工程630、1004の後段の工程であるプリプレス工程629,1006の処理について以下説明する。
プリプレス工程629,1006は、入稿されたデータの面付け処理やデータ変換処理、さらにプリプレス工程629,1006以降の工程で必要となる、色管理用のパッチ画像の付加、トンボやレジマーク等の画像付加処理が行われる工程である。図1に示した通り、印刷業者システム104,105,106は、印刷成果物生産に供する様々な機能や性能、方式などを有し、かつ仕組みも異なる画像形成装置を備えている。例えば、オフセット印刷機のように刷版が必要となる画像形成装置の場合には版を制作するためのPDFからTIFFフォーマットへのデータ変換なども実施される。刷版が不要なデジタル枚葉印刷機においても、印刷処理時の所要時間低減の為RIP処理をプリプレス工程629,1006において実施し、RIP済画像への変換処理が実施されるケースも存在する。また、デジタル連帳機においては印刷処理を開始すると、連続したロール状のシートに対する印刷を途中で一時停止もしくは再開することは仕組み上困難である。そのため、版を連帳状に合成するなどの特殊な面付け処理もしくは相応する処理がプリプレス工程で実行される。このようなプリプレス工程でなされる各種データ変換もしくは加工処理には多大な時間や労力、人的/機械的な工数を要することが一般的である。
上述した何れのケースでも示した通り、プリプレス工程629,1006においては、入稿されたデータに対して多大なデータ加工処理が実施される事が一般的である。プリプレス工程629,1006を実行した後に生成される加工後データは、入稿データと画像情報的にはほぼ等価と言える場合であっても、データフォーマットおよびデジタルデータコンテンツ的には入稿データとは全く別のデータへ変換されている。すなわち、プリプレス工程により新規にデータが作成されるともいえる。このため、プリプレス処理後に入稿データの追加もしくは差し替えがあった場合には、プリプレス工程629,1006で生成されたデータを破棄し、プリプレス工程の処理をやり直さねばならない。これは印刷業者システム104,105,106において、生産性低下の多大なる妨げ要因となる。
そこで第一の保持工程630、1004において、可能な限り遅い時期まで、発注者システム101,102,103から入稿されたデータを無加工状態のまま保持しておく。更なる追加もしくは差し替えを目的とする入稿依頼があった場合には、入稿データの単純な差し替えもしくは追加という生産性低下要因を伴わない処理によって、入稿データの追加や差し替えの反映を実現可能とする。
図7で述べた通り、本実施形態では、印刷成果物の受発注業務の業界の慣習を許容した、受発注業務の電子化さらには共通仕様に基づく実用的な自動化システムを成立させる上で、発注者と印刷業者の両者にとって利点のある入稿可否判断処理を実現する。両者にとっての利点とは、発注者にとっては、納期を変えることなく、許容される追加入稿または訂正や差し替えの時期を遅くすることであり、印刷業者にとっては後戻りのない効率的な作業である。このような入稿可否判断処理を実現することを第一の保持工程630、1004は可能としている。
第一の保持工程630、1004は、生産計画工程1005からの指示によって保持されているジョブおよびデータを次工程であるプリプレス工程629,1006に送付する。
生産計画工程1005は、同図に示す工程の一部であるが、やや特殊な責務を担う工程である。すなわち工程間の制御、より具体的には第一の保持工程630、1004からプリプレス工程629,1006に制御を進める判別およびその実行指示をも本実施形態のシステムでは担っている。換言すればワークフロー制御に関する処理の一部とも考えられ、ワークフロー制御プログラム411に担わせる事も可能である。
ただし、本実施形態においては、第一の保持工程630、1004から後段の工程であるプリプレス工程629,1006に処理を進めるための明示的な指示を担当する独立した工程として規定された例を示している。ワークフローにおける工程には、このように明確な処理を実施する工程に加え、工程の制御自体を担う工程も等価な工程として規定され、かつワークフローの一部を担う。
本実施形態における第一の保持工程630、1004は、更なる印刷業者システム104,105,106における処理の効率化のための責務をも生産計画工程1005と協調することによって担う。以下に示す例によって説明する。
印刷業者は、自社が有する画像形成装置110,111,112等の高額資産を効率的に活用する一方で同装置を操作する操作者の人件費を低水準に抑制することで結果的に高い生産性を維持することが達成目標となっている。すなわち、プリプレス工程629,1006以降の工程はデータやジョブ情報の保持という低費用負担の処理ものではなく、生産性、採算性に直接的に関連する工程となる。これらの工程では、装置の稼働率の向上並びに該装置の操作に携わる操作者の関与時間を凝縮させることによってこそ高生産性を達成することが可能であるという事情がある。
すなわち、装置を一度稼働させた以上、集中的に装置を稼働させ続け高生産性を維持させるという運用も印刷業者システム104,105,106におけるワークフローの運用上重要な条件である。このような条件を満たすには、第一の保持工程630、1004と生産計画工程1005が連携し、プレス工程1008で処理すべきジョブが、同工程で使用される画像形成装置110,111,112の稼働率を高く維持するように計画されることが肝要である。
従って、第一の保持工程630、1004は、後段のプリプレス工程629,1006で処理される各種データ加工量又はジョブ量が、プレス工程1008で使用する画像形成装置の稼働率を極力高め、かつ処理許容量を超えないように入稿データを保持する。なおかつ、第一の保持工程630、1004は、例えば翌日もしくは予定した日時の生産可能量に占める生産予定量の割合が高くなるように、入稿データを保持するよう維持かつ制御されることが重要である。
第一の保持工程630、1004がこのような目的を達成するために一定量のしかも生産者都合の事情により保持される処理量が制御されることは、発注者システム101、102、103にとっても都合がよい。なぜならば上述した通り追加入稿や差し替え入稿処理が、プリプレス工程629,1006および以降の工程に進む前の段階で留め置かれることによって可能な限り柔軟に受理可能なシステムを実現可能であることを意味するからである。また同時に印刷業者システム104,105,106にとっても発注者からの追加並びに差し替え入稿を負荷が生じない様式によって許容しつつ、自社の生産体制の内的事情を加味し影響を最低限にとどめるという両立したシステムの実現が可能となる。
なお、プレス工程1008は図1において示した画像形成装置110,111,112によって処理される。また、後加工処理を実行するポストプレス工程1009は画像形成装置110,111,112に付随した後加工ユニットによってなされる場合と、ラミネータ114等、非付随状態の独立した装置によってなされる場合等様々である。いずれにせよ、プレス工程1008以降の工程は成果物製造に係る物理的な加工処理を伴うものである。従ってプリプレス工程629,1006と同様の理由によって、入稿データの追加や差し替え処理に伴って生じる後戻り処理による生産性低下の程度は著しく顕著である。そのため、生産性並びに採算性の観点から、プレス工程以降の工程からの後戻り処理も許容しがたいという事情がある。
最終的に生産ならびに加工された印刷成果物は出荷工程1010を経て依頼者である発注者に対して送付、すなわち納品1013される。同送付処理においては図8において述べた通り請求依頼813や、支払814等も同時に処理される。
以上述べたような本実施形態におけるシステムが提供する仕組みによって、発注とは別の1乃至複数回にわたる入稿処理と、印刷業者における高生産性の維持との両立という課題が解消可能であることが示される。
●ワークフロー制御プログラムによる処理手順
図11はワークフロー制御プログラム411の動作であって、発注者からの入稿処理の受理・非受理の処理判断の動作の仕組みを主に説明するためのフロー図である。同フロー図はワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。
ステップS1101において、ワークフロー制御プログラム411は発注者システム101,102,103から送付されてくる、図9A-図9Cにおいて例を示したようなコマンド実行依頼を受理する。
発注者システム101,102,103から何らかのコマンドもしくはデータを受信した場合ステップS1102に進み、受信したコマンドの種別を判別する。
ステップS1103においては、ステップS1102にて判別した、ステップS1101にて受信したコマンドの種別が入稿コマンド806であるか否かを判断する。すなわち行うべき処理が入稿処理であるか判定する。同ステップの判別の結果が偽である場合、ステップS1105に進み、ステップS1101にて受信した、図8において示したような入稿コマンド806以外の各種コマンドを実行する。
受信したコマンドが入稿コマンド806であるとステップS1103で判定した場合には、ステップS1104に進み、入稿コマンド受信時の処理モードの設定内容を判別する。そして判別したモードが自動モードか手動モードかを判定する(ステップS1106)。設定内容の判別とは具体的には、図19にて示した自動応答部627が選択状態にあるか否かの判別を意味する。
ステップS1106の判別の結果が偽である場合には自動応答部627が選択されていないことを意味する。その場合には、図19にて示した入稿受領部625、入稿非受領部626等によってシステムの操作者が手動による方法によって入稿可否を処理するためにステップS1107に進む。
ステップS1106の判別の結果が真である場合には自動応答部627が選択されていることを意味する。その場合には、図10にて述べた処理を実行するためにステップS1108以降に進む。
ステップS1108において、まず入稿コマンド806に対応する発注コマンドおよびそれに含まれる情報を特定する。特定は例えば発注コマンドに対して発行した注文IDと、入稿コマンド806に付随する注文IDを照合して行えばよい。そしてそこで特定された発注コマンドに対応するワークフローが、ワークフロー制御プログラム411により何れの工程まで処理されているかを判定する。
ステップS1109において、ステップS1108で判別された発注コマンドに係るワークフローが現在処理されている工程を判別する。そしてその工程がプリプレス工程もしくは以降の工程であるか否かを判断する(ステップS1110)。
図10において示した通りワークフロー制御プログラム411が各工程の順序並びに工程毎の処理進捗を管理している。たとえば、ワークフロー制御プログラム411は、注文IDと、その注文IDに係るワークフローの実行中の工程の識別情報とを関連付けて管理する。その場合、注文IDから対応する実行中の工程の識別情報を特定する。そしてその識別情報が、特定の工程(本例ではプリプレス)か、またはそれ以降の工程を示している場合には、ステップS1110の判定結果は真である。このように、本実施形態におけるシステムでは、ワークフロー制御プログラム411が、実行処理されている工程が何れであるかをステップS1109およびS1110で判別する。
ステップS1110における判断の結果が偽であるとは、プリプレス工程まで発注に係るワークフローのジョブは進行していない事を意味する。その場合には図10にて説明した理由によって、入稿コマンド806は受理することが可能である。従ってステップS1111に進み依頼された入稿コマンド806を受理する。具体的には入稿データを受理するとともに、受理されたことを示すレスポンス808を発注者システム101、102,103に応答する。
一方で、ステップS1110における判断の結果が真である場合には、プリプレス工程もしくはそれ以降の工程にまで発注に係るワークフローのジョブは進行している事を意味する。このような場合には図10において説明した理由によって入稿コマンドを受理することはできない。従ってステップS1112に進み依頼された入稿コマンド808を受理せずに、受理できなかったことを示すレスポンス811を発注者システム101、102,103に応答する。
なお、上記実施形態において、特定工程であるプリプレスの開始時刻を、発注依頼に対する応答または最初の入稿に対する応答により注文者に伝えておけば、注文者は入稿可能な期限を予め知ることができる。
あるいは、ステップS1111において、入稿が許容される予想時刻を加えて応答してもよい。予想時刻は、入稿データに係る注文のワークフローを開始できる時刻に、特定の工程までの工程を完了するための所要時間を加算することで決定してよい。あるいは入稿データに係る注文のワークフローの処理が既に開始されていれば、現在時刻に、現在の工程を完了するまでの所要時間と、現在の工程の次の工程から特定工程までの工程を完了するための所要時間とを加算して予想時刻を決定してよい。各工程の所要時間は、たとえば入稿データのデータ量に工程ごとの所定の係数を乗じるなどして決定してよい。
なお、入稿処理が自動化されていることを前提とすれば、図11のS1104とS1106とをスキップしてもよい。
以上の構成及び処理により、入稿が許容されるタイミングを自動的に決定でき、そのタイミングに基づいて、元の入稿データに対する新たな入稿データを受け付け付けるか否かが決定できる。さらに注文者に対して、新たな入稿が受け入れられたか否かを通知できる。決定される入稿可能なタイミングは、印刷業者にとっては、手間のかかる作業のやり直しを引き起こさないタイミングであり、再入稿を許容しつつ生産性の低下を抑制できる。
以上が本発明に関する第一の実施形態に関する説明である。
[第二の実施形態]
第一の実施形態では、入稿コマンドを受理した段階で、入稿コマンドに紐づく発注に応じた製品を作成するワークフローの工程がプリプレス工程若しくはそれ以降であるかによって入稿の可否を自動的に判別する技術について説明した。本発明の第二の実施形態においては、入稿コマンド受理のタイミングで該当する受注処理に係るワークフローの工程が仮にプリプレス工程もしくは以降の工程であっても、さらなる入稿処理を受理可能とする。なおかつ、印刷業者システムにおいても生産性の低減を招くことのないシステムを提供する。
第二の実施形態においても、入稿の受理可否の判断をプリプレス工程629,1006に基づき実施する。プリプレス工程は第一の実施形態における図10において示した通り、データ変換や加工処理を伴う工程である。従ってプリプレス工程が実行されている発注について、再入稿や追加入稿が生じた場合には印刷業者システム104、105、106において、入稿データの単純な差し替えでは済まされない再処理が生じる。それに伴い、印刷成果物の生産性が大幅に低減してしまう可能性があった。
また一般的にプリプレス工程は、データの加工や変換に際し、高いスキルを有した操作者がデスクトップ作業によって作業を遂行することが従来システムもしくは本実施形態におけるシステムにおいても実在する。何故ならば、成果物の完成度や品質維持、並びに成果物受領者にとっての観点による人的なミスの検出等では、プログラムに依存することのできない領域がプリプレス工程においては多分に存在するからである。
しかしながら、プリプレス工程のために、必ずしも高スキルを有する操作者が必要であるとは限らない。例えば、フォーマットが定型化した成果物を周期的に受発注するケースが相当する。この場合には、受注に応じた操作者の人手によるプリプレス工程における処理は、前回の注文のための処理時の操作内容をそのまま適用可能である。また、プリプレス処理をプログラムによって自動的に処理するシステムも存在する。これらの場合には、第一実施形態において述べたように、プリプレス工程によって実施される各種データの変換、加工処理のやり直しに伴う入稿処理の生産性低下を招きかねない多大な負荷が印刷業者システム104、105、106に生じるとは限らない。
本発明の第二の実施形態は上述のような状況を鑑み、更なる効率化をシステムに達成させることを目的としたものである。すなわち、本実施形態では、原則的には第一実施形態と同様に、入稿データの処理が、プリプレス工程またはそれ以降まで進行している場合には、その発注に関する入稿は締め切られる。ただし、プリプレス工程がプログラム等によって自動的に処理される、若しくは定型的な業務態様によって前回の処理内容が自動的に適用されると判断される場合は例外である。これらのいずれかに該当する場合には、発注された成果物生産のワークフロー上の工程がプリプレス工程に達していた場合であっても、追加入稿および差し替え入稿を許容する。一方で、前記のように自動化されることなく、人力による処理によってプリプレス工程がなされる場合にはプリプレス工程に達した場合になされる追加入稿も差し替え入稿も許容されないように制御される。本実施形態はそのようなシステムの提供を目的としたものである。
図12Aは本発明の第二の実施形態におけるワークフロー制御プログラム411の動作であって、発注者からの入稿処理の受理・非受理の処理判断の動作の仕組みを主に説明するためのフロー図である。同フロー図はワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。以下、第一実施形態における図11との差異の部分に着目して説明する。
ステップS1201において現在の処理工程がプリプレス工程629,1006以前の工程であると判別される場合に、更なる判別処理をステップS1202にて行う。すなわちプリプレス工程629,1006以前の各工程における処理が自動化された処理であるか否かの判別である。ワークフローの各工程の処理が自動化されているか否かに関しては、本実施形態においてはワークフロー制御プログラム411に、予めワークフローの設定情報の一部として記憶されている。そこでステップS1202では、その情報を参照することによって、実行中のワークフローにおける現在の工程以前の各工程が自動化されているか否かを判定する。
ステップS1202の判別結果により、現在の工程以前の各工程が自動化されていると判定される場合、第一実施形態における図10で述べたような、各種データ変換もしくは加工処理には多大な時間や労力、人的/機械的な工数は生じない。若しくは、自動化されたシステムによって、現在の処理工程以前の各工程に要する時間、工数は低減されている。従ってこのような場合には、たとえば現在の処理工程がプリプレス工程629,1006であっても、新たな入稿による印刷業者システム104、105、106の生産性低下は低いと看做すことが可能である。そのため、追加入稿や差し替え入稿を許容することが可能であるためステップS1111に進む。
一方でステップS1202の判別の結果、プリプレス工程629,1006が自動化されてない、すなわち人的な部によって実行される場合には、各種データ変換もしくは加工処理には多大な時間や労力、人的/機械的な工数が発生する。従ってこの場合には、現在の処理工程がプリプレス工程629,1006であると、新たな入稿による印刷業者システム104、105、106の生産性低下は大きいと判断される。そのため、追加入稿や差し替え入稿を許容することは出来ないためステップS1112に進む。以上が本発明における第二の実施形態に関する説明である。
なお、第二実施形態においては、現在の処理工程以前の工程が自動化されている例を示した。しかし図10に示したように、プリプレス工程629、1006より前の工程がすべて自動化されていることを前提とすれば、現在の処理工程がプリプレス工程であるかを判定し、そうであれば、プリプレス工程が自動化されているか否かを判定してもよい。その判定は図12のS1201、S1202で行えばよい。その場合には、現在の処理工程がプリプレス工程より前であれば、新たな入稿を受け付け、プリプレス工程より後であれば入稿を拒否するものとしてよい。
図12Bは、ワークフロー制御プログラム411が内部に備える管理テーブルの一例を示すためのものである。図10において示した通り、管理テーブルには、各工程が手動によって為されるのか自動的に処理されるのかを示す情報を持つ。加えて、管理テーブルには、各工程がプログラムによって為されるのか、画像形成装置等装置によって為されるか等、工程の実現手段と処理手段に関する情報が管理されている。図12Bに示す通り、管理テーブルは3つのフィールドから構成されている。すなわち、工程識別フィールド1202、実行手段識別フィールド1203、自動手動判別フィールド1204である。
同図において示したのは第二実施形態の場合におけるワークフロー制御プログラム411が内部に備える管理テーブルの一例である。図示の通り管理テーブルのプリプレス工程1006の自動手動判別フィールド1204の値が手動1205となっている。図12Aにおけるステップ1201はワークフロー制御プログラム411が同フィールドの値を参照することによって判別処理を実施する構成を本実施形態においては採用している。管理テーブルの構成方法としては図示したもの以外にも様々な形態のものが存在しうる。ただし、判別すべき情報が管理され、参照可能な様式でワークフロー制御プログラム411に提供されていれば、あらゆる構成であっても本発明実施形態は適用可能であることは言うまでもない。なお管理テーブルは、ワークフローの作成時などに印刷業者が設定する。
本実施形態では、現在の処理工程がプリプレス工程である場合について、自動化されているか否かに応じて、新たな入稿を受けるか否かを決定している。これに加えて、たとえば現在の処理工程がプレス工程より前であり、かつ、現在の処理工程まで(現在の処理工程を含めて)がすべて自動化されていれば、新たな入稿を受け付ける構成としてもよい。図10のワークフローの例では、プリプレス工程とプレス工程との間には第二の保持工程のみが存在しているが、更に他の工程が含まれる場合にも適用できる。プレス工程では、シートへの印刷が実行されるので、現在の処理工程がプレス工程あるいはそれ以降の工程であるなら新たな入稿を拒絶してよい。この場合には、図12AのステップS1110においては現在の処理工程がプレス工程より前の工程であるか否かを判定する。プレス工程より前の工程であれば、S1201において、現在の処理工程以前の工程がすべて自動化されているか判定する。該当する場合には、新たな入稿を受け付ける。このような処理を行う場合、入稿工程の自動化についてはS1106で判定済みなので、ステップS1201では、入稿工程の自動化についての判定は省いてもよい。このようにすることで、プレス工程の実行前であれば、条件によっては新たな入稿を受け付けることができる。
以上説明した第二実施形態の構成及び手順により、現在の処理工程がプレス工程より前の工程であれば、現在の工程及びそれ以前の工程がすべて自動化されていることを条件として、元の入稿データに対する新たな入稿データの受け付けが許容される。これにより、発注者にとっては、再入稿の時期をより遅らせることができる。また、印刷業者にとっても、工程の後戻りに起因する労力や他の資源の浪費を抑制することができる。
[第三の実施形態]
以下、本発明の第三の実施形態について説明する。図10において、生産計画工程1005が、プレス工程1008において使用される画像形成装置110,111,112の使用効率が高くなるように生産計画を作成することを述べた。一方で、プレス工程でのジョブ数が、画像形成装置110,111,112が本来達成すべきジョブ数、若しくは達成することを目的としてなされた生産計画のジョブ数を下回る場合もあり得る。このような場合においては、プレス工程における画像形成装置の実際の稼働率は想定あるいは計画を下回る結果となる。換言すれば、生産能力に基づいて生産計画工程1005が計画した単位時間当たりの生産量に現実の生産量が達せず、生産能力に余裕があることを意味する。あるいは、納期に余裕があれば、生産計画の段階で生産能力をすべて使わず、余力を残していることもあり得るし、生産能力をすべて使うことで、納期に対して余裕をもって生産を完了するような生産計画が立てられていることもあり得る。
このような条件下において、仮に差し替え入稿や追加入稿依頼を受理した場合であっても、入稿工程に遡り処理を実施しても生産計画、特に納品期限に支障をきたさない場合が存在しうる。支障をきたさない場合とは、新たな入稿の受け付けによる各工程のやり直しに要する処理時間を、プレス工程で吸収できる場合である。
本発明の第三の実施形態においては、追加入稿、差し替え入稿依頼を受理した際に、生産計画工程1005が、プレス工程1008の現在の生産余力を判別する。そして、生産能力に余裕があると判別される場合にはこれら入稿を受理し、そうではないと判別される場合には入稿を受理しないよう制御可能とする。特にその生産余力により、新たな入稿データについてワークフローを入稿処理からやり直すことに要する時間を吸収できる場合に入稿を受理することが望ましい。
図13は本発明の第三の実施形態におけるワークフロー制御プログラム411の動作であって、発注者からの入稿処理の受理・非受理の処理判断を生産余力に基づき判別する動作の仕組みを主に説明するためのフロー図である。同フロー図はワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。以下、第一実施形態における図11との差異の部分に着目して説明する。ただし、図11、もしくは図12Aにおいて説明が為されているステップについては説明を省略するか、若しくは同図からそれら重複説明相当分のステップは省略されている。
ステップS1301において、入稿処理コマンドを受理する。入稿処理コマンドに対応した発注とその発注に係るワークフローの現在の処理工程とを特定する(S1108-S1109)。ステップS1110において、入稿処理コマンドに対応した発注に係るワークフローの処理工程がプリプレス工程もしくはそれ以降であるか否かを判別する。
ステップS1110の判別の結果が偽である場合は、現在の処理工程が、図10において示したワークフローの工程における、第一の保持工程1004かもしくはそれ以前の場合である。この場合は、処理のやり直しに要する時間は短く、プレス工程以降の生産余力を考慮する必要がそもそも無い。従ってステップS1301において、入稿コマンドは受理され(ステップS1111)、受理された入稿データに対する入稿処理が行われる。
一方でステップS1110の判別の結果が真で有る場合とは、プリプレス工程若しくはそれ以降の工程にワークフローの処理が進行している場合に相当する。この場合にはプリプレス工程に時間を要することがあるため、さらにステップS1302に進みプレス工程における生産余力を判別(あるいは推定)する。この判別処理は、現在の処理対象の入稿データに対する図10における生産計画工程1005もしくはワークフロー制御プログラム411が管理するプレス工程1008の生産予定量と画像形成装置の最大生産能力との差異などの情報から導かれる。
ステップS1303において、ステップS1302の判別結果を評価し、生産余力があると判別された場合にはステップS1301にて受理した入稿処理コマンドを受理するためステップS1111に進む。すなわち、プリプレス工程までワークフローの処理が進行した場合であっても更なる情報である生産余力を考慮に入れる。こうすることで、印刷業者もしくは発注者双方に不利益を与えることなく、追加入稿や差し替え入稿をさらに柔軟に実施できるシステムを本発明第三の実施形態によって提供することが可能である。
ステップS1303の判別の結果、生産余力が既にないと判断される場合には、ステップS1112に進み、ステップS1301にて受理した入稿処理コマンドを拒否する。
なお、ステップS1303では単にプレス工程の生産余力の有無ではなく、新たな入稿の受け付けによる処理のやり直しに要する時間を吸収できる程度の生産余力の有無を判定してもよい。本実施形態では、プリプレス工程以降の工程のやり直しに要する時間を処理のやり直しに要する時間とみなしている。そのためやり直しに要する時間を推定し、推定時間が、生産余力により短縮される時間以下であればS1301において余力ありと判定してよい。ここでプリプレス工程に時間を要するのはプリプレス工程を手作業で行う場合に限定してもよい。
この場合には手作業の作業時間を、予め定めておいた単位データ量(たとえば1ページ)当たりの標準作業時間×データ量などの式で推定してもよい。さらに生産余力により短縮される時間を、たとえば現在の生産計画では使用しない画像形成装置に生産の一部を割り振ったとして予想してよい。たとえば現在1台の装置で生産しているところを、使用していない1台の装置をもちいたとすれば、プレス工程に要する時間は半減するので、その時間を短縮される時間として推定できる。
また、S1301では、ワークフローのやり直しに要する時間を、新たな入稿前の元の入稿データに対する作業終了時刻に加算して新たな作業終了時刻を推定し、その時刻が納品作業を開始する時刻より速いか否かを判定してもよい。この場合には、新たな作業終了時刻が納品作業を開始する時刻より速ければ、S1301では余力ありと判定される。
また、図13では、現在の処理工程がプリプレス工程またはそれ以降の工程であるか判定している(S1110)が、該当する場合には、現在の処理工程がプレス工程より前の工程であることを判定し、該当する場合にS1302に分岐してもよい。この場合、現在の処理工程がプレス工程以降であれば、S1112に分岐して入稿を拒否する。プレス工程が開始されれば、そのやり直しには印刷済みの印刷物の廃棄を伴うためである。
以上が本発明による第三の実施形態によるシステムに関する説明である。上記構成及び手順により、ある注文に関するワークフローがプリプレス工程以降まで進行していても、プレス工程の余力があると判定した場合には、新たな入稿を受け付けることができる。あるいは、ある注文に関するワークフローがプリプレス工程以降まで進行していても、ワークフローを完了する時期が納期に間に合うと判定した場合には、新たな入稿を受け付けることができる。これにより、発注者は入稿時期を遅らせることができ、印刷業者は工程の後戻りによる損失を抑制することができる。
[第四の実施形態]
以下、本発明の第四の実施形態について説明する。第三の実施形態において生産計画工程1005によって計画されるプレス工程の生産余剰能力に応じて追加入稿、差し替え入稿の可否を判別し実行するシステムについて述べた。生産計画工程1005が更なる判別処理を実施することによって、プリプレス工程629,1006に遡り処理を実施した場合であっても生産に支障をきたさない場合が存在しうる。
例えば印刷業者システム104,105,106が保有する画像形成装置110,111,112は常に稼働状態にあるとは限らない。画像形成装置のメンテナンスや非営業日等の事情によって非稼働状態であることがあらかじめ判明している場合が存在する。そのような場合にはプリプレス工程629,1006が終了した段階で追加入稿や差し替え入稿が為された場合であっても、結果的に生産計画に影響を与えることなく再処理することでこれら入稿を受理することが可能である。
従って第四の実施形態においては、画像形成装置110,111,112の稼働計画すなわちプレス工程の非稼働時期の有無に応じてプリプレス工程629,1006が終了した状態であっても追加入稿、差し替え入稿を受理するか否かを判別する。
図14は本発明の第四の実施形態におけるワークフロー制御プログラム411の動作であって、発注者からの入稿処理の受理・非受理の処理判断をプレス工程の非稼働時期の有無に基づき判別する動作の仕組みを主に説明するためのフロー図である。同フロー図はワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。以下、第一実施形態における図11との差異の部分に着目して説明する。ただし、図11、図12Aもしくは図13において説明が為されているステップについては説明を省略するか、若しくは同図からそれら重複説明相当分のステップは省略されている。
ステップS1301において、入稿処理コマンドを受理する。ステップS1110において、入稿処理コマンドに対応した発注に係るワークフローの処理工程がプリプレス工程もしくは以降であるか否かを判別する。
ステップS1110の判別の結果が偽である場合には図13にて説明したのと同じ理由によりステップS1111に進む。
ステップS1110の判別の結果が真である場合にはプリプレス工程若しくはそれ以降の工程に処理が進行している場合に相当する。この場合にはさらにステップS1401に進みプレス工程における画像形成装置の非稼働時期を特定し、その有無を判別する(S1402)。この判別処理は図10におけるワークフロー制御プログラム411によって管理されるプレス工程1008における生産計画情報から判別される。例えばステップS1301にて入稿処理コマンド受理した翌日にプレス工程における生産が計画されていない場合には、少なくとも次の生産は翌々日となる。すなわちプリプレス工程まで進んだ場合であっても、再入稿されたデータを再度プリプレス工程に進めて再処理したとしてもプレス工程の生産性に与える影響は実施的にないと判断される。
従って、ステップS1111に進みステップS1301で受理した入稿処理コマンドを受理する。一方でステップS1402の判別の結果、翌日にプレス工程における生産が計画されている場合にはプリプレス工程のやり直しは生産性の低下要因となりうる。従ってステップS1112に進みこの場合には入稿依頼コマンドを受理しない。
なお、図14では、現在の処理工程がプリプレス工程またはそれ以降の工程であるか判定している(S1110)。そのところをさらに、S1110において該当する場合には、現在の処理工程がプレス工程より前の工程であることを判定し、該当する場合にS1401に分岐してもよい。この場合、現在の処理工程がプレス工程以降であれば、S1112に分岐して入稿を拒否する。
以上が本発明による第四の実施形態によるシステムに関する説明である。この構成及び手順によれば、画像形成装置に非稼働時期があれば、現在の処理工程がプリプレス以降であっても、新たな入稿を受けつけることができる。なお画像形成装置の非稼働時期があることは、生産能力の余力があることに含まれると考えることもできる。そのように考えると、本実施形態は第三実施形態のバリエーションとも言える。これにより、発注者は入稿時期を遅らせることができ、印刷業者は工程の後戻りによる損失を抑制することができる。[第五の実施形態]
以下、本発明の第五の実施形態について説明する。第一実施形態における図1でも述べた通り、印刷業者システム104,105,106は様々な様式による画像形成装置画像形成装置110,111,112を有し、発注の条件や成果物の内容に応じて使い分けて使用することが知られている。例えば、カットシートタイプのデジタル式の画像形成装置110はPDF等の入稿データをそのまま解析およびRIPし、印刷処理を遂行することが可能である。一方でオフセットタイプの画像形成装置112はCTPによる刷版処理がプリプレス工程の一部として実行する必要がある。換言すれば、オフセットタイプの画像形成装置112は前記カットシートタイプのデジタル式の画像形成装置110とは異なり、入稿されたデータを直接処理することはできない。
本発明の第五実施形態においては、MISシステム411は、プレス処理する画像形成装置110,111,112の方式によって、プリプレス工程629,1006が終了した状態で、追加入稿、差し替え入稿の可否を判別する。すなわち、刷版処理を要する方式の画像形成装置112の場合にはプリプレス工程629,1006における追加入稿や差し替え入稿は受理しない。一方、刷版処理を不要とする方式の画像軽視絵装置110の場合には追加入稿や差し替え入稿を受理する。
図15は本発明の第五の実施形態におけるワークフロー制御プログラム411の動作であって、発注者からの入稿処理の受理・非受理の判断をプレス工程において使用されるプレス機の種別に基づき行う仕組みを主に説明するためのフロー図である。同フロー図はワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。以下、第一実施形態における図11との差異の部分に着目して説明する。ただし、図11、図12Aもしくは図13において説明が為されているステップについては説明を省略するか、若しくは同図からそれら重複説明相当分のステップは省略されている。
ステップS1301において、入稿処理コマンドを受理する。ステップS1110において、入稿処理コマンドに対応した発注に係るワークフローの処理工程がプリプレス工程もしくは以降であるか否かを判別する。
ステップS1110の判別の結果が偽である場合には図13にて説明したのと同じ理由によりステップS1111に進む。ステップS1110の判別の結果が真である場合にはプリプレス工程若しくはそれ以降の工程に処理が進行している場合に相当する。この場合にはさらにステップS1501に進みプレス工程にいて使用されるプレス機の種別を判別する。プレス機の種類は、図10におけるワークフロー制御プログラム411によって管理されるプレス工程1008における生産計画情報から判別される。具体的には刷版処理を必要としないデジタルプレス110,111か、もしくは刷版処理を要するオフセットタイプの印刷機112の何れを用いて生産が行われるかを判別する。
すなわち刷版処理を要しないデジタルプレス110,111であれば、プリプレス処理は不要もしくは必要な場合であっても作業量は軽微である一方で、オフセットタイプの印刷機112の場合には刷版を要する。版はひとたび作成された場合に、再度作り直すことは費用的にも時間的にも好ましくない。
従ってステップS1502において、プレス工程で使用される装置の種別に応じてフローを切り替えている。ステップS1501の判別の結果、プレス工程で使用されるプレス機がデジタルプレスであった場合には、プリプレス工程は上述した通り不要もしくは、やり直しても軽微であると判断される。そのためステップS1111に進みステップS1301における入稿処理コマンドは受理される。一方で、デジタルプレスではない、刷版を要するプレス機の場合にはプリプレス処理のやり直しは多大な労力を要するためステップS1112に進みステップS1301における入稿処理コマンドは拒否される。
なお図15では、現在の処理工程がプリプレス工程またはそれ以降の工程であるか判定している(S1110)。そのところをさらに、S1110において該当する場合には、現在の処理工程がプレス工程より前の工程であることを判定し、該当する場合にS1501に分岐してもよい。この場合、現在の処理工程がプレス工程以降であれば、S1112に分岐して入稿を拒否する。
以上が本発明による第五の実施形態によるシステムに関する説明である。この構成及び手順によれば、刷版の要不要の別に基づいてプリプレス工程の処理の負荷を判定し、簡易な判定により新たな入稿を受け付けるか否かを決定できる。これにより、発注者は入稿時期を遅らせることができ、印刷業者は工程の後戻りによる損失を抑制することができる。
[第六の実施形態]
以下、本発明の第五の実施形態について説明する。上述した各実施形態においては、印刷業において入稿されるデータ形式として広くそして一般的に用いられているPDF形式のデータフォーマットを想定したものであった。PDFデータはプリプレス工程629,1006において例えばTIFFなど画像形成装置112が処理するにおいてCTPで処理する際に好適なフォーマットに変換されることが一般的である。
入稿データがPDFではなくTIFF形式によるものであった場合には上述したプリプレス工程629,1006における変換処理が不要である。換言すれば、追加入稿、差し替え入稿に伴うデータ変換処理や加工処理が不要な形式で入稿された場合にはプリプレス工程629、1006の再処理が不要となるため、生産性の低下を招くことはない。
したがって、本発明の第六の実施形態は、入稿データの種別を判別し、データの種別に応じてプリプレス工程629,1006の処理が完了したジョブに対する追加入稿、差し替え入稿の受理の可否を判別するよう制御可能とするシステムである。
図16は本発明の第六の実施形態におけるワークフロー制御プログラム411の動作を示すフロー図である。図16では、発注者からの入稿処理の受理・非受理の処理判断を入稿データ種別およびプレス工程で使用されるプレス機のサポートデータ種別に基づき判別する。同フロー図はワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。以下、第一実施形態における図11との差異の部分に着目して説明する。ただし、図11、図12Aもしくは図13において説明が為されているステップについては説明を省略するか、若しくは同図からそれら重複説明相当分のステップは省略されている。
ステップS1301において、入稿処理コマンドを受理する。ステップS1110において、入稿処理コマンドに対応した発注に係るワークフローの処理工程がプリプレス工程もしくは以降であるか否かを判別する。
ステップS1110の判別の結果が偽である場合には図13にて説明したのと同じ理由によりステップS1111に進む。
ステップS1110の判別の結果が真である場合にはプリプレス工程若しくはそれ以降の工程に処理が進行している場合に相当する。
この場合にはさらにステップS1601に進み、ステップS1301において入稿処理されたデータの種別、すなわちデータフォーマットを識別する。さらに、ステップS1602に進み、プレス工程で利用されるプレス機が直接的に扱う事の可能なデータフォーマットの種別を判別する。ステップS1601およびステップS1602における判別処理は、図10において示したワークフロー制御プログラム411によって為されることを同実施形態における例では示している。
ステップS1603においては、ステップS1601およびステップS1602において判別した情報に基づくさらなる判別を実施する。すなわちステップS1601で受理した入稿データのデータフォーマットは、プレス工程で利用されるプレス機が直接的に扱う事が可能なデータフォーマットに相当するか否かの判別を行う。さらに換言すれば、画像形成装置の種別が、入稿データを処理可能であるか否かを判定する。同ステップにおける判別の結果が真である場合、入稿されたデータはプリプレス工程においてデータ種の変換処理が行われない。この場合にはプリプレス工程におけるデータ変換処理は不要である。換言すれば追加入稿や差し替え入稿が、プリプレス工程処理が完了した後になされた場合であっても生じるやり直し処理は軽微もしくは皆無である。従ってこの場合にはステップS1111に進みステップS1301における入稿処理コマンドを受理する。
一方でステップS1603の判別の結果が偽である場合、入稿されたデータはプリプレス工程においてデータ種の変換処理が行われる。この場合にはプリプレス工程が完了したあとに為される追加入稿や差し替え入稿はプリプレス工程のやり直しを招き、かつそのやり直しに要する処理は軽微とは言えないものとなる。従って、この場合にはステップS1112に進みステップS1301における入稿処理コマンドを拒否する。
なお、図16では、現在の処理工程がプリプレス工程またはそれ以降の工程であるか判定している(S1110)。そのところをさらに、S1110において該当する場合には、現在の処理工程がプレス工程より前の工程であることを判定し、該当する場合にS1601に分岐してもよい。この場合、現在の処理工程がプレス工程以降であれば、S1112に分岐して入稿を拒否する。
以上が本発明による第五の実施形態によるシステムに関する説明である。この構成及び手順によれば、刷版の要不要の別に基づいてプリプレス工程の処理の負荷を判定し、簡易な判定により新たな入稿を受け付けるか否かを決定できる。これにより、発注者は入稿時期を遅らせることができ、印刷業者は工程の後戻りによる損失を抑制することができる。
[第七の実施形態]
以下、本発明の第七の実施形態について説明する。上述した各実施形態においては、諸条件に基づき、追加入稿や差し替え入稿の受理の可否を自動的に判別するシステムに関するものであった。しかしながら自動的ではない判別手法によっても同等の効果を得ることが可能であり、第七実施形態はそのような手法によるシステムである。
すなわち、発注依頼803のレスポンス805として、再入稿、追加入稿、差し替え入稿の期限に関する情報を印刷業者システム104、105、106が発注者システム101、102,103に送信する。そして、その期限を境界として入稿を受け付けるか否かを判別する。また、同様に発注者システム101、102,103が発注依頼803に入稿期限に関する情報を印刷業者システム104、105、106に送信する構成をとることも可能である。
いずれの場合であっても、これらの期限に関する情報は生産計画工程1005によって保持され、前期保持された情報に基づき入稿処理がなされた場合の判別並びに制御が為される。以上が本発明の第七実施形態に関するシステムである。
図17は本発明の第七の実施形態におけるワークフロー制御プログラム411の動作であって、発注者からの発注時に指定される入稿期限の情報に基づき、入稿処理が為された時点の可否判断を行う動作の仕組みを説明するためのフロー図である。同フロー図は前記ワークフロー制御プログラム411をCPU201がHDD211から読みだして実行することによって動作する。以下、第一実施形態における図11との差異の部分に着目して説明する。ただし、図11、図12Aもしくは図13において説明が為されているステップについては説明を省略するか、若しくは同図からそれら重複説明相当分のステップは省略されている。
ステップS1301において、入稿処理コマンドを受理する。さらに、ステップS1108において、ステップS1301にてなされた入稿処理の元となっている発注情報を特定し、該発注情報に含まれる、発注者が設定した入稿期限に関する情報を判別する。入稿期限に関する情報とは例えば特定の日時や、発注時を起算とした期限等、表現方法はさまざまであるが如何様な表現方法によるものであっても構わない。
ステップS1702において、ステップS1301にて為された入稿処理コマンドの受信が、ステップS1701で判別した期限の以降であるかを判別する。
同判別の結果が偽である場合、ステップS1301にて為された入稿処理コマンドはまだ期限を超えていない状態でなされたことを意味する。従ってステップS1111に進みステップS1301にて為された入稿処理コマンドを受理する。一方で、ステップS1702の判別の結果が偽である場合、ステップS1301にて為された入稿処理コマンドは期限を超えて為されたものであるから、ステップS1112に進み当該入稿処理コマンドを拒否する。
以上説明した実施形態に依れば、ユーザ、すなわち発注者と受注者双方にとって利便性の高い受発注業務の仕組みを提供することができる。すなわち、発注処理と異なるタイミングでしかも複数回に及ぶ入稿処理を実施する発注者の都合と、請け負った印刷成果物の生産を効率的に進める印刷業者のワークフロー処理の効率的な実行を両立するための仕組み、並びにシステムを提供することが可能となる。これによって、発注者の要望および印刷業者の要望の双方を可能な限り満足しつつも現実的かつ効率的な印刷成果物の電子的な受発注システムの実現を可能とする。
なお本実施形態では、印刷業者システムは、入稿元である発注者システムに対して注文の際に入稿期限を通知するほか、新たな入稿の都度、次の入稿期限を通知してもよい。印刷業者システムでは、新たな入稿があるとステップS1702で、最後に通知した期限と比較すればよい。期限に変更がない場合には、通知を省略してもよい。またこれ以上受け付けることができないことがわかっている場合には、その旨あるいは現在の日時を期限として通知してよい。さらにこの通知に関しては、第一の実施形態乃至第六の実施形態それぞれに対して組み合わせてもよい。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路例えば、ASICによっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。