JP2022180746A - 複合材料およびプリプレグ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐熱性と耐衝撃性を併せもつ複合材料を提供する。【解決手段】強化繊維および樹脂組成物の硬化物からなる複合材料であって、前記樹脂組成物は粒子1、粒子2および熱硬化性樹脂を含有し、粒子1と粒子2の平均粒子径の比(粒子2の平均粒子径/粒子1の平均粒子径)が10~1000であり、粒子1と粒子2とは相互に接触する態様で前記硬化物中に含有されていることを特徴とする複合材料。【選択図】なし

Description

本発明は、複合材料およびその製造に用いられるプリプレグに関する。詳しくは、耐熱性と耐衝撃性に優れた複合材料および硬化させることで複合材料の製造に用いられるプリプレグに関する。
近年、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維等を強化剤として用いた複合材料は、その高い比強度、比剛性を利用して、航空機等の構造材として多く用いられてきている。エポキシ樹脂系のプリプレグにおいても、マトリックス樹脂として芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂とジアミノジフェニルスルホン硬化剤系との組み合わせにより、優れた耐熱性、機械的特性、寸法安定性、耐薬品性、対候性を与える複合材料を提供してきた。
耐熱性を高めるためにマトリックス樹脂として、ビスマレイミド樹脂等が検討され、航空機一次構造材の用途に適用されつつある。
このような熱硬化性樹脂系のプリプレグから作られた複合材料は、良好な性能を示すことが認められていたが、反面、マトリックス樹脂の伸度が低く脆いために複合材料の靭性、耐衝撃性に劣ることが指摘され、その改善が求められてきた。特に、これらの複合材料を航空機一次構造材用に使用した場合、離着陸時の小石の跳ね上げ、整備時の工具の落下等により外部からの衝撃を受けることがあり、その対策として耐熱性を落とさずに耐衝撃性を改善することが必要であるが、このことは、解決困難な重要課題となっていた。
特許文献1には、マトリックス樹脂として均一な熱硬化性樹脂/熱硬化性樹脂成分から得られるプリプレグによって、熱硬化性樹脂の耐熱性を損ねることなく、耐衝撃性の改善された成形物を与えると記載されている。特許文献2には、ビスマレイミド樹脂を主成分として、多数の粒子を含有して成るプリプレグによって、高温で長時間機能し得る丈夫な複合材料が得られると記載されている。しかしながら、これらの方法では、依然として耐衝撃性の改善が必要である。
特公平4-3770号公報 特許第5746689号公報
本発明の課題は、高い耐熱性と耐衝撃性を併せもつ複合材料を提供することにある。
すなわち本発明は、強化繊維および樹脂組成物の硬化物からなる複合材料であって、前記樹脂組成物は粒子1、粒子2および熱硬化性樹脂を含有し、粒子1と粒子2の平均粒子径の比(粒子2の平均粒子径/粒子1の平均粒子径)が10~1000であり、粒子1と粒子2とは相互に接触する態様で前記硬化物中に含有されていることを特徴とする複合材料である。
本発明によれば、高い耐熱性と耐衝撃性を併せもつ複合材料を提供することができる。
以下、本発明の複合材料、およびプリプレグの詳細について説明する。
〔1.強化繊維〕
本発明の複合材料を樹脂組成物とともに構成する強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維およびスラッグ繊維を例示することができる。これらの強化繊維の中でも、好ましくは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維を用いる。これらを用いると、比強度、比弾性率が良好で軽量かつ高強度の繊維強化複合材料を得ることができる。炭素繊維の中でも、引張強度に優れるポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下、PAN系炭素繊維という)が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、好ましくは170~600GPa、さらに好ましくは220~450GPaである。また、引張強度は、好ましくは3920MPa(400kgf/mm)以上である。この引張弾性率および引張強度を備えるPAN系炭素繊維を用いることにより、繊維強化複合材料の機械的性質を向上することができる。
強化繊維はシート状にして、シ-ト状強化繊維基材として用いることが加工性の点から好ましい。このシート状強化繊維基材として、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシ-ト状強化繊維基材や、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を例示することができる。
シート状強化繊維基材の厚さは、好ましくは0.01~3mm、さらに好ましくは0.1~1.5mmである。シート状強化繊維基材の目付は、好ましくは70~400g/m、さらに好ましくは100~300g/mである。
〔2.樹脂組成物〕
本発明に用いる樹脂組成物は、粒子1、粒子2および熱硬化性樹脂を含んでなる。
粒子1と粒子2の平均粒子径の比(粒子2の平均粒子径/粒子1の平均粒子径)は、10~1000、好ましくは50~700、さらに好ましくは100~500である。この比が10未満であると粒子1と粒子2との接触がなくなり、1000を超えると耐衝撃性が低下する。
〔2.1.粒子1〕
粒子1の平均粒子径は、粒子1と粒子2との接触を得る観点から、好ましくは1nm~10μm、さらに好ましくは10nm~1μm、特に好ましくは10~500nmである。
粒子1の平均粒子径は、樹脂組成物の硬化物の断面を走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡により観察し、少なくとも50個の粒子1の直径を測定して求めた平均粒子径である。観察において粒子が真円状でない場合には粒子の最大径を粒子径とした。例えば粒子が楕円状である場合には長径を粒子径とした。
粒子1としては、シリカ粒子、カーボンナノチューブ、コア-シェルゴム粒子を例示することができ、粒子1と粒子2との接触を得る観点から、コア-シェルゴム粒子が好ましい。
コア-シェルゴム粒子の具体的な例を、以下に例示する。
コア-シェル(デンドリマー)粒子(その組成はUS20100280151A1(Nguyenら、東レ株式会社,2010)に記載されており、不飽和炭素-炭素結合を有する重合性モノマーから重合されたコアポリマーに、アミン分岐ポリマーがシェルとしてグラフトされている)、コア-シェルゴム状粒子(その組成は株式会社カネカによるEP1632533A1およびEP2123711A1に記載されている)、およびそのような粒子/エポキシブレンドの「カネエース MX」製品系列であって、その粒子は、重合性モノマー、例えば、ブタジエン、スチレン、他の不飽和炭素-炭素結合モノマーまたはそれらの組合せから重合されたポリマーコア、およびエポキシと適合性のポリマーシェル、一般に、ポリメチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリロニトリルまたは同等物および類似物を有する。
JSR株式会社によって製造されているカルボキシル化ポリスチレン/ポリジビニルベンゼンの「JSR SX」シリーズ。「クレハ Paraloid」EXL-2655(株式会社クレハによって製造)であって、これはブタジエンアルキルメタクリレートスチレンコポリマーであり;「Stafiloid」AC-3355およびTR-2122(両方とも武田薬品工業株式会社によって製造)であって、それぞれアクリレートメタクリレートコポリマーであり;「PARALOID」EXL-2611およびEXL-3387(両方ともロームアンドハース社によって製造)であって、それぞれ、ブチルアクリレートメチルメタクリレートコポリマーである。
株式会社カネカによるカネエ-ス MX製品系列に見出すことができるコア-シェルゴム粒子(例えば、MX416、MX125、MX156、MX150)、カネエ-ス MX材料に類似したシェル組成または表面化学を有する材料、粒子2の表面と適合性を示す(これは、樹脂組成物の硬化時に、粒子2の周囲に材料が凝集した構造をとることを可能にする)材料。
以上が、コア-シェルゴム粒子の具体的な例である。
粒子1がコア-シェルゴム粒子である場合、その含有量は樹脂組成物の全質量あたり、好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは0.1~20質量%、特に好ましくは0.5~10質量%である。含有量が0.1質量%未満であると、耐衝撃性における効果が小さくなり好ましくなく、30質量%を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が著しく悪化する場合があり好ましくない。
〔2.2.粒子2〕
粒子2の平均粒子径は、耐衝撃性の発現の観点から、好ましくは10nm~100μm、さらに好ましくは100nm~100μm、特に好ましくは1μm~50μmである。この粒子2の平均粒子径は、粒子径計測装置を用いてレーザ回折・散乱法により体積基準で測定を行い、測定されたメジアン径である。
粒子2としては、熱可塑性樹脂粒子を用いる。熱可塑性樹脂粒子として、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂粒子を例示することができ、なかでもポリイミドが好ましい。
熱可塑性樹脂粒子の含有量は、樹脂組成物の全質量あたり、好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは0.5~20質量%、特に好ましくは1~20質量%である。含有量が0.1質量%未満であると、耐衝撃性における効果が小さくなり好ましくなく、含有量が30質量%を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が著しく悪化する場合があり好ましくない。
〔2.3.熱硬化性樹脂〕
熱硬化性樹脂として、熱硬化性の樹脂を用い、なかでもビスマレイミド樹脂、シアネ-トエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。これらは単一で用いてもよく、混合物で用いてもよく、予備反応物の状態で用いてもよい。
〔2.3.1.ビスマレイミド樹脂〕
ビスマレイミド樹脂(以下、「BMI」ともいう)として、例えば、下記化学式(1)で表されるビスマレイミド樹脂を例示することができる。
Figure 2022180746000001
化学式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、-H、-CH、-C、-C、-F、-Cl、-BrおよびIからなる群から選ばれる基を表す。Xについては後述する。化学式(1)中のXは、-CHー、-CH(CH)-、-C(CH-からなる群から選ばれる基を表す。
本発明においては、ビスマレイミド樹脂は、芳香族ビスマレイミドおよび脂肪族ビスマレイミドの何れであってもよい。本発明において、樹脂組成物に含まれるビスマレイミド樹脂全体に対する芳香族ビスマレイミドの量は、好ましくは70質量%以上である。70質量%未満であると耐熱性が低下する。
また、本発明において、樹脂組成物の全質量あたりの全ビスマレイミド樹脂の量は、好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは0.1~20質量%、特に好ましくは1~10質量%である。0.1質量%未満であると耐熱性が低下し、30質量%を超えると耐衝撃性が低下する。
〔2.3.1.1.芳香族ビスマレイミド樹脂〕
ビスマレイミド樹脂が芳香環構造を含む(以下、「芳香族ビスマレイミド化合物」ともいう)場合、化学式(1)中のXは、以下の化学式(2)~(8)に記載する構造であることが好ましい。
Figure 2022180746000002
Figure 2022180746000003
Figure 2022180746000004
Figure 2022180746000005
化学式(5)中、Rは、-CH-、-C(CH-、-O-、-SO-を表す。
Figure 2022180746000006
化学式(6)中、Rは、-CH-、-C(CH-、-O-、-SO-を表す。また、R~Rは、それぞれ独立に、-H、-CH、-C、-C、-F、-Cl、-BrおよびIからなる群から選ばれる基を表す。
Figure 2022180746000007
化学式(7)中、Rは、-CH-、-C(CH-、-O-、-SO-を表す。
Figure 2022180746000008
化学式(8)中、R10およびR11は、それぞれ独立に、-CH-、-C(CH-、-O-、-SO-を表す。化学式(8)中、nは0~0.5である。
このような芳香族ビスマレイミド化合物としては、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-(3,3’-ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ベンゾフェノンビスマレイミド等を挙げることができる。
加熱硬化後の耐熱性の観点からは、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ベンゾフェノンビスマレイミドが好ましく、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミドが特に好ましい。これらの芳香族ビスマレイミド化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
〔2.3.1.2.脂肪族ビスマレイミド化合物]
ビスマレイミド化合物が芳香環構造を含まない(以下、「脂肪族ビスマレイミド化合物」ともいう)場合、化学式(1)中のXは、以下の化学式(9)~(11)に記載する構造であることが好ましい。
Figure 2022180746000009
化学式(9)中、nは10以下の整数であり、1、2、3、4、6が好ましい。
Figure 2022180746000010
Figure 2022180746000011
このような脂肪族ビスマレイミド樹脂としては、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミド、N,N’-1,2-エチレンビスマレイミド、N,N’-1,3-プロピレンビスマレイミド、N,N’-1,4-テトラメチレンビスマレイミドを挙げることができる。1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミドは特に好ましい。脂肪族ビスマレイミド樹脂は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用してもよい。
脂肪族ビスマレイミド樹脂を含有する場合、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは3~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%、特に好ましくは7~15質量%である。脂肪族ビスマレイミド樹脂の配合量が3質量%未満であると取扱い性が低下しやすく好ましくない。他方、30質量%を超えると耐熱性が低下しやすく好ましくない。
〔2.3.2.シアネートエステル樹脂〕
シアネートエステル樹脂としては、例えば、下記化学式で表されるシアネートエステル樹脂が挙げられる。
NC-O-A-Y-A-O-CN
上記の化学式中、Yは非置換またはフッ素原子、若しくはメチル基、若しくはシアナト基で置換された2価の炭化水素基、-O-、-S-、または単結合を表し、AおよびAは、それぞれ独立して、非置換またはその環状の水素原子1~4個がアルキル基で置換されているフェニレン基を表す。
シアネートエステル樹脂を含有する場合、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは1~80質量%、さらに好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%、特に好ましくは30~60質量%である。1質量未満であると耐熱性が低下し、80質量%を超えると耐衝撃性が低下する。
〔2.3.3.エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂としては、以下に例示されるものを用いることができる。これらの中でも芳香族基を含有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン構造、グリシジルエーテル構造のいずれかを含有するエポキシ樹脂が好ましい。また、脂環族エポキシ樹脂も好適に用いることができる。
グリシジルアミン構造を含有するエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,O-トリグリシジル-p-アミノフェノール、N,N,O-トリグリシジル-m-アミノフェノール、N,N,O-トリグリシジル-3-メチル-4-アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体などが例示される。
グリシジルエーテル構造を含有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が例示される。
また、これらのエポキシ樹脂は、必要に応じて、芳香族環構造などに、非反応性置換基を有していても良い。非反応性置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基やフェニルなどの芳香族基やアルコキシル基、アラルキル基、塩素や臭素などの如くハロゲン基などが例示される。
熱硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の全質量に対して好ましくは1~30質量%、さらに好ましくは3~25質量%、特に好ましくは5~20質量%である。含有量が1質量%未満であると、複合材料の製造に用いるプリプレグの取扱い性が低下しやすく好ましくない。他方、30質量%を超えると耐熱性が低下しやすく好ましくない。
〔2.3.4.エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂〕
樹脂組成物は、上記の熱硬化性樹脂のほかに、さらにエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
このエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整するとともに、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させる。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とは、繊維強化複合材料を成形する温度またはそれ以下の温度において、エポキシ樹脂に一部または全部が溶解し得る熱可塑性樹脂である。ここで、エポキシ樹脂に一部が溶解するとは、エポキシ樹脂100質量部に対して、平均粒子径が10~50μmの熱可塑性樹脂10質量部を混合して190℃で1時間撹拌した際に粒子が消失するか、粒子の大きさが10%以上変化することを意味する。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合は、エポキシ樹脂の硬化過程で加熱されることによりエポキシ樹脂に溶解し、エポキシ樹脂組成物の粘度を増加させることができる。これにより、硬化過程における粘度低下に起因するエポキシ樹脂組成物のフロー(プリプレグ内から樹脂組成物が流出する現象)を防止することができる。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、190℃でエポキシ樹脂に80質量%以上溶解する樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の具体的例としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、重量平均分子量(Mw)が8000~40000の範囲のポリエーテルスルホン、ポリスルホンが特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が8000よりも小さいと、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性が不十分となり、また40000よりも大きいと粘度が著しく高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の分子量分布は均一であることが好ましい。特に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が1~10の範囲であることが好ましく、1.1~5の範囲であることがより好ましい。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂と反応性を有する反応基または水素結合を形成する官能基を有していることが好ましい。このようなエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂の硬化過程中における溶解安定性を向上させることができる。また、硬化後に得られる繊維強化複合材料に靭性、耐薬品性、耐熱性および耐湿熱性を付与することができる。
エポキシ樹脂との反応性を有する反応基としては、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。水酸基末端のポリエーテルスルホンを用いると、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性、破壊靭性および耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、5~90質量部が好ましく、10~70質量部がより好ましく、20~50質量部がさらに好ましい。5質量部未満の場合は、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性が不十分となる場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量が高くなると、粘度が著しく高くなり、プリプレグの取扱性が著しく悪化する場合がある。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。粒子状のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中に均一に配合することができる。また、得られるプリプレグの成形性が高い。
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の平均粒子径は、1~50μmであることが好ましく、3~30μmであることが特に好ましい。1μm未満である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が著しく増粘する。そのため、エポキシ樹脂組成物に十分な量のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を添加することが困難となる場合がある。50μmを超える場合、エポキシ樹脂組成物をシート状に加工する際、均質な厚みのシートが得られ難くなる場合がある。また、エポキシ樹脂への溶解速度が遅くなり、得られる繊維強化複合材料が不均一となるため、好ましくない。
〔2.3.5.他の添加剤〕
樹脂組成物には、硬化促進剤や難燃剤、無機系充填剤、内部離型剤が配合されていてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、ジクロロフェニルジメチルウレア、ジシアンアミドが挙げられる。
難燃剤としては、リン系難燃剤が例示される。リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されず、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ポリリン酸塩などの有機リン化合物や赤リンが挙げられる。
無機系充填材としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸塩鉱物が挙げられる。特に、ケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の市販品としては、THIXOTROPIC AGENT DT 5039(ハンツマン・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
内部離型剤としては、例えば、金属石鹸類、ポリエチレンワックスやカルバナワックス等の植物ワックス、脂肪酸エステル系離型剤、シリコンオイル、動物ワックス、フッ素系非イオン界面活性剤を挙げることができる。これら内部離型剤の配合量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~2質量部であることがさらに好ましい。この範囲内においては、金型からの離型効果が好適に発揮される。
内部離型剤の市販品としては、MOLD WIZ(登録商標)INT1846(AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)、Licowax S、Licowax P、Licowax OP、Licowax PE190、Licowax PED(クラリアントジャパン社製)、ステアリルステアレート(SL-900A;理研ビタミン(株)製が挙げられる。
〔3.プリプレグ〕
本発明のプリプレグ(以下「本プリプレグ」ということがある)は、上記樹脂組成物が強化繊維基材に含浸しているプリプレグである。
本プリプレグ中の上記樹脂組成物の含有量は、強化繊維基材と上記樹脂組成物の合計質量に対して20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。上記樹脂組成物の含有量が20質量%未満である場合、このプリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料の内部にボイド等が発生する場合がある。上記樹脂組成物の含有量が60質量%を超える場合、強化繊維の含有量が不足し、得られる繊維強化複合材料の強度が低下し易い。
本プリプレグの吸水率は、2~40%が好ましく、4~25%がより好ましい。本発明において吸水率は、プリプレグ中の空隙率を示す指標であり、吸水率が高いほどプリプレグ中の空隙率が高いことを示す。吸水率が高い場合、プリプレグ中に空隙が多いため、成形時の取扱い性が悪化する。また、製造される繊維強化複合材料に空隙が残りやすいため、その機械特性に悪影響を及す場合がある。吸水率が低い場合、プリプレグ中の空隙が少ないため、ドレープ性が低くなる。そのため、良好な成形加工性(形状追従性)が得られなくなる。
〔3.1.プリプレグの製造方法〕
本プリプレグは、上記樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させることにより製造することができる。樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させる方法としては、公知の湿式法や乾式法を用いることができる。湿式法は有機溶媒を用いるため、樹脂組成物を含浸した後、有機溶媒を除去する必要がある。したがって、有機溶媒が残存することがない乾式法であるホットメルト法を用いることが好ましい。
ホットメルト法は、樹脂組成物と積重した強化繊維基材とを加圧下で加熱することにより、樹脂組成物の粘度を低下させ、樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させる。強化繊維基材がシート状物の場合、フィルム状に成形した樹脂組成物を強化繊維基材に積重することが好ましい。
上記樹脂組成物は、公知の方法でフィルム状に成形できる。例えば、樹脂組成物をダイコーター、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどを用いて、離型紙、離型フィルムなどの支持体上に流延させることによりフィルム状に成形することができる。フィルムを製造する温度は、樹脂組成物の粘度に応じて適宜設定される。通常、温度は60~130℃が好ましく、80~110℃がより好ましい。
樹脂組成物のフィルムの厚さは、8~350μmとすることが好ましく、10~200μmとすることがより好ましい。
強化繊維基材に上記樹脂組成物を含浸させる際の加圧条件は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜調整される。通常、線圧0.98~245N/cmであり、より好ましくは19.6~147N/cmである。線圧が0.98N/cm未満である場合、樹脂組成物を強化繊維シート内に十分に含浸させるのが困難である。加圧は、1回で行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。
強化繊維基材に上記樹脂組成物を含浸させる際の加熱温度は、樹脂組成物の粘度に応じて適宜調整される。通常、70~160℃であり、80~120℃が好ましい。加熱温度が低過ぎる場合、樹脂組成物の粘度が低くならず、樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させ難くなる。加熱温度が高過ぎる場合、樹脂組成物中の硬化反応が進行し、プリプレグのタック性やドレープ性が悪化し易い。
プリプレグの工業的生産速度は特に限定されないが、生産性や経済性などを考慮すると、連続生産の場合、0.1m/min以上であることが好ましく、1~50m/minであることがより好ましく、2~20m/minであることが特に好ましい。
〔3.2.プリプレグの使用方法〕
本プリプレグは公知の手法により硬化させることにより繊維強化複合材料を作製することができる。本プリプレグを用いて繊維強化複合材料を作製する方法としては、従来公知の方法、例えば、マニュアルレイアップ、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置、真空バギング、オートクレーブ硬化、オートクレーブ以外の硬化、流体援用加工、圧力支援プロセス、マッチモールドプロセス、単純プレス硬化、プレスクレーブ硬化、または連続バンドプレスを使用する方法が挙げられる。
例えば、本プリプレグを積層して、オートクレーブ中で0.2~1MPaに加圧し、150~204℃で1~8時間加熱することによって、成形された繊維強化複合材料を作製することができる。
本プリプレグは、高耐熱性の樹脂組成物を用いている。したがって、本プリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料は、少なくとも150℃以上の耐熱性を有する。繊維強化複合材料を構成している硬化後の樹脂組成物は、ASTM D7028に準拠した測定方法で得られるガラス転移温度が180~400℃であることが好ましく、200~350℃であることがより好ましい。
本プリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料の損傷後圧縮強度(CAI)は、100~500MPaであり、より好ましくは150~400MPaである。なお、損傷後圧縮強度(CAI)は、SACMA SRM 2R-94に準拠した測定方法で得られる、30.5Jの衝撃を与えた後に圧縮する損傷後圧縮強度(CAI)を意味する。
本プリプレグに使用される樹脂の樹脂曲げ弾性率は2.5~5.0GPaであることが好ましく、3.0~4.0GPaであることがより好ましい。なお、樹脂曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠した測定方法で得られる値を意味する。
本プリプレグに使用される樹脂の樹脂曲げ強度は30~300MPaであることが好ましく、50~300MPaであることがより好ましい。なお、樹脂曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠した測定方法で得られる値を意味する。
本プリプレグに使用される樹脂の樹脂曲げ伸度は1~30%であることが好ましく、3~20%であることがより好ましい。なお、樹脂曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠した測定方法で得られる値を意味する。
本プリプレグは保存安定性に優れ、本プリプレグの製造後、少なくとも10日間を経過しても、製造直後の成形加工性を維持する。したがって、所定の時間が経過した後も、耐熱性および耐衝撃性が高い繊維強化複合材料を作製することができる。
〔4.複合材料〕
本発明の複合材料は、前述の本プリプレグを硬化させたものである。
本発明の複合材料において、粒子1と粒子2とは相互に接触する態様で熱化硬化性樹脂の硬化物中に含有されている。
本発明における接触とは、粒子2の表面近傍5μm以内に粒子1の成分が分布していることである。粒子2の表面近傍において粒子1は凝集していてもよい。本発明において、粒子2に対する粒子1の接触状態はマイクロスコープによって観察され、粒子1が接触している割合は次のように求められる。まず、マイクロスコープでの観察画像において、任意の10個の粒子2を抽出し、各粒子2の外周を、画像処理によって円と近似させる。次いで、各粒子2の近似円の外周長に対する、粒子1の成分が接触している接触長の割合(別の言い方をすると、粒子2の近似円の外周長全体に対して、粒子2の外表面から5μmの範囲内に粒子1が存在する外周長の割合)を求め、その平均値を平均接触率とする。本発明においては、粒子1が平均5%以上接触していることが好ましく、7%以上接触していることがより好ましく、10%以上接触していることが特に好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
1.原材料
樹脂組成物の原材料として、以下のものを用いた。
(1)粒子1、コア-シェルゴム粒子
・KANE ACE MX-150(商品名)(ポリブタジエンゴム系コア-シェルゴム粒子を40質量%の割合で含むマスターバッチ、主剤:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、カネカ(株)製、粒子1の平均粒子径80nm)
(2)粒子2、熱可塑性樹脂
・AURUM PD450M(商品名)(ポリイミド、三井化学(株)製、平均粒子径11μm(11000nm))
・VESTOSINT Terra 9158(商品名)(ポリアミド、ダイセル・エボニック(株)製、平均粒子径20μm)
(3)エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂
・スミカエクセル5003P(商品名)粉砕物(ポリエーテルスルホン、住友化学工業(株)製、平均粒子径15μm)
(4)シアネートエステル樹脂
・BT2160RX(商品名)(シアネートエステル樹脂、三菱ガス化学(株)製)
・BT2170(商品名)(シアネートエステル樹脂とビスマレイミド樹脂の混合物(質量比9:1)、三菱ガス化学(株)製)
(5)ビスマレイミド樹脂
・BT2170(商品名)(シアネートエステル樹脂とビスマレイミド樹脂の混合物(質量比9:1)、三菱ガス化学(株)製)
・BMI-1100H(商品名)(N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、大和化成工業(株)製)
(6)エポキシ樹脂
・YD-8125(商品名)(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)
(7)硬化促進剤
・プリベントール A6(商品名)(ジクロロフェニルジメチルウレア)ランクセス社製(以下、「DCMU」と略記する)
(8)炭素繊維基材
・炭素繊維ストランド テナックス(登録商標)IMS 65 E 23 24K 830tex(帝人(株)製、引張強度:5800MPa、引張弾性率:290GPa)を、単位面積当たりの繊維質量が190g/mとなるように炭素繊維を一方向に整列させて作製したシート状の強化繊維基材
2.評価方法
複合材料を以下の方法により評価した。
(1)粒子1の平均粒子径
粒子1(コアシェルポリマー粒子)の平均粒子径は、樹脂硬化物の断面を透過型電子顕微鏡により観察し、無作為に抽出した50個の粒子の最大径を測定し、各粒子の最大径を粒子径として、それを平均することにより求めた。
(2)粒子2の平均粒子径
粒子径計測装置によってレーザ回折・散乱法によって、体積基準で測定を行い、メジアン径を平均粒子径とした。
(3)耐衝撃性
プリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/-45/90]3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。供試体(サンプル)は各試験片の寸法測定後、衝撃試験は落錘型衝撃試験機(インストロン社製 Dynatup)を用いて、30.5Jの衝撃エネルギーを与えた。衝撃後、供試体の損傷面積は、超音波探傷試験機(クラウトクレーマー社製 SDS3600、HIS3/HF)にて測定した。
(4)粒子2に対する粒子1の接触
プリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/-45/90]3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。成形物を適当な寸法(50mm×50mm程度)に切断し、切断面を研磨し、観察用の試験片を得た。試験片の研磨された面を、マイクロスコープ(KEYENCE社製 VHX-5000)により観察し、得られた画像を処理し、粒子2に対する粒子1の接触を、以下の基準で評価した。なお、粒子2に対する粒子1の接触率は、ランダムに10個の粒子2を抽出し、各粒子2の外周の近似円の外周長に対する、粒子1の成分が接触している接触長の割合を求め、その平均値を算出した。
〇:粒子2の外周長に対して5%以上の接触長で粒子1が接触しているもの
×:粒子2の外周長に対して粒子1が接触している接触長が5%に満たないもの
〔実施例1〕
混練装置で、エポキシ樹脂であるYD-8125(20質量部)およびコア-シェルゴム粒子(粒子1)含有エポキシ樹脂であるMX-150(4質量部)に、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂であるスミカエクセル5003P粉砕品(5質量部)を添加し、120℃で60分間、プラネタリーミキサーを用いて撹拌し、スミカエクセル5003Pをエポキシ樹脂に完全溶解させた後、樹脂温度を80℃以下に冷まして、エポキシ樹脂組成物を調製した。その後、ロールミルを用いて、シアネートエステル樹脂であるBT-2160RX(60質量部)、シアネートエステル樹脂とビスマレイミド樹脂の混合物であるBT-2170(20質量部)、スミカエクセル5003P粉砕品(35質量部)、AURUM PD450M(15質量部 粒子2)、硬化促進剤であるDCMU(0.4質量部)を上記エポキシ樹脂組成物に添加混練して、樹脂組成物を調製した。
調製した樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して50g/mの樹脂フィルムを2枚作製した。次に、炭素繊維束を一方向に配列させたIMS65炭素繊維シートに、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維シート両面に重ねた。加熱、加圧することにより、樹脂組成物を炭素繊維シートに含浸させ、炭素繊維の目付が190g/mでマトリクス樹脂の質量分率が35.0%の一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積511mmであり、優れた耐衝撃性を示した。
上記の複合材料における粒子2に対する粒子1の接触について評価を行ったところ、得られた複合材料は、粒子2の外周長の20%に粒子1が接触している様子が観察された。
〔実施例2〕
シアネートエステル樹脂の量およびビスマレイミド樹脂の種類を、それぞれ表1記載の量および種類に変えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、実施例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積509mmであり、優れた耐衝撃性を示した。上記の複合材料における粒子2に対する粒子1の接触について評価を行ったところ、得られた複合材料は、粒子2の外周長の20%に粒子1が接触している様子が観察された。
〔実施例3〕
粒子2の量を表1記載の量に変えた以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、実施例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積511mmであり、優れた耐衝撃性を示した。上記の複合材料における粒子2に対する粒子1の接触について評価を行ったところ、得られた複合材料は、粒子2の外周長の20%に粒子1が接触している様子が観察された。
〔実施例4〕
粒子2の量を表1記載の量に変えた以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、実施例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積511mmであり、優れた耐衝撃性を示した。上記の複合材料における粒子2に対する粒子1の接触について評価を行ったところ、得られた複合材料は、粒子2の外周長の10%に粒子1が接触している様子が観察された。
〔実施例5〕
粒子1の量を表1記載の量に変えた以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、実施例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積520mmであり、優れた耐衝撃性を示した。上記の複合材料における粒子2に対する粒子1の接触について評価を行ったところ。得られた複合材料は、粒子2の外周長の15%に粒子1が接触している様子が観察された。
〔比較例1〕
混練装置で、エポキシ樹脂であるYD-8125(20質量部)に、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂であるスミカエクセル5003P粉砕品(5質量部)を添加し、120℃で60分間、プラネタリーミキサーを用いて撹拌しスミカエクセル5003Pをエポキシ樹脂に完全溶解させた後、樹脂温度を80℃以下に冷まして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
その後、ロールミルを用いて、シアネートエステル樹脂であるBT-2160RX(60質量部)、シアネートエステル樹脂とビスマレイミド樹脂の混合物であるBT-2170(20質量部)、スミカエクセル5003P粉砕品(45質量部)、硬化促進剤であるDCMU(0.4質量部)を上記樹脂に添加混練して、樹脂組成物を調製した。
調製した樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して50g/mの樹脂フィルムを2枚作製した。次に、炭素繊維束を一方向に配列させたIMS65炭素繊維シートに、上記作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維シート両面に重ねた。加熱、加圧することにより、樹脂組成物を炭素繊維シートに含浸させ、炭素繊維の目付が190g/mで、マトリクス樹脂の質量分率が35.0%の一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積727mmであった。
〔比較例2〕
スミカエクセル5003P粉砕品の量、コア-シェルゴム粒子(粒子1)の量を表1記載の量に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、比較例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積1533mmであった。
〔比較例3〕
粒子2の量および熱可塑性樹脂の量を表1記載の量に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、比較例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造し、その耐衝撃性を評価した。得られた複合材料は、衝撃後損傷面積575mmであった。
〔比較例4〕
粒子2の種類と量を表1記載のとおり変更した以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を調製した。さらに、比較例1と同様の方法で、一方向プリプレグを作製した。
作製した一方向プリプレグを用いて複合材料を製造した。得られた複合材料における粒子2に対する粒子1の接触について評価を行ったところ。得られた複合材料は、粒子2の外周長に対して、粒子1が接触している割合が5%未満であった。また、得られた複合材料にはボイドが多く発生しており、衝撃試験後の試験片は全面的に損傷を受けていた。
Figure 2022180746000012
本発明の複合材料は、例えば自動車や航空機の部材として利用することができる。

Claims (13)

  1. 強化繊維および樹脂組成物の硬化物からなる複合材料であって、前記樹脂組成物は粒子1、粒子2および熱硬化性樹脂を含有し、粒子1と粒子2の平均粒子径の比(粒子2の平均粒子径/粒子1の平均粒子径)が10~1000であり、粒子1と粒子2とは相互に接触する態様で前記硬化物中に含有されていることを特徴とする複合材料。
  2. 粒子1がコアーシェルゴム粒子である、請求項1に記載の複合材料。
  3. 粒子2が熱可塑性樹脂粒子である、請求項1に記載の複合材料。
  4. 粒子1と粒子2との接触が、粒子2の任意の断面の全周囲長あたり平均5%以上の接触長である、請求項1に記載の複合材料。
  5. 粒子2がポリイミド粒子である、請求項1~4のいずれかに記載の複合材料。
  6. コアーシェルゴム粒子が、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和酸誘導体、(メタ)アクリルアミド誘導体およびマレイミド誘導体からなる群から選ばれる1種以上の成分を重合または共重合して得られる重合体または共重合体であるシェル層を有する、請求項2~5のいずれかに記載の複合材料。
  7. 樹脂組成物にさらにエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有する、請求項1~6のいずれかに記載の複合材料。
  8. 熱硬化性樹脂がシアネートエステル樹脂を含む、請求項1~7のいずれかに記載の複合材料。
  9. 熱硬化性樹脂がさらにビスマレイミド樹脂および/またはエポキシ樹脂を含む、請求項8に記載の複合材料。
  10. 熱硬化性樹脂100質量部に対するエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量が1~50質量部である、請求項7~9のいずれかに記載の複合材料。
  11. エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が180℃以上のガラス転移温度を有する、請求項7~10のいずれかに記載の複合材料。
  12. 熱硬化性樹脂100質量部に対する粒子1の含有量が0.1~10質量部である、請求項1~11いずれかに記載の複合材料。
  13. 請求項1に記載の複合材料の製造に用いられるプリプレグであり、該プリプレグは、強化繊維および樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物は粒子1、粒子2および熱硬化性樹脂を含有し、粒子1と粒子2の平均粒子径の比(粒子2の平均粒子径/粒子1の平均粒子径)が10~1000であり、粒子1と粒子2とは相互に接触する態様で前記硬化物中に含有されていることを特徴とするプリプレグ。
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