JP2013209474A - 樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、および樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、および樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成型加工性を損なうことなく、優れた靭性と取り扱い性を備えるプリプレグおよび該プリプレグの製造に用いる樹脂組成物と該樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子(5)10〜30質量%とを含む樹脂組成物を、強化繊維基材(4)に含浸させてなるプリプレグ(1)。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物とそれを用いたプリプレグ、および樹脂組成物の製造方法に関する。
繊維強化複合材料は、その比強度、比弾性が優れているという特徴を生かして、航空・宇宙用品等の用途に広く適用されている。繊維強化複合材料の用途が広がるにつれ、繊維強化複合材料に対して200℃以上の耐熱性を要求される場合が増えている。
従来、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂が主に用いられている。しかし、エポキシ樹脂を用いて200℃以上の耐熱性を有する繊維強化複合材料を製造することは容易ではない。
他に用いられるマトリックス樹脂としては、ポリイミド樹脂やビスマレイミド樹脂等が挙げられる。しかし、ポリイミド樹脂は耐熱性には優れるものの、繊維強化複合材料の中間材料であるプリプレグの成形加工性が劣るため、マトリックス樹脂としての実用化は遅れている。マトリックス樹脂としてビスマレイミド樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂と比較して、得られる繊維強化複合材料の耐熱性は優れるが、中間材料であるプリプレグの取扱い性や成型加工性が悪い。また、ビスマレイミド樹脂は靭性が乏しいため、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性や靭性が低いという問題がある。
ビスマレイミド樹脂の靱性を改良する方法として、ゴム成分や熱可塑性樹脂を配合する方法や、他のモノマーを共重合する方法が提案されている。しかし、従来提案される方法では、靭性の向上が十分に図られていない。加えて他の物性が大きく低下している。
特開平3−197559(特許文献1)には、芳香族ビスマレイミド系樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノキシ基含有コモノマーと、可溶性の熱可塑性ポリイミド樹脂からなる、耐衝撃特性に優れた繊維強化複合材料が得られるプリプレグが開示されている。しかし、開示されている樹脂組成物では、得られる繊維強化複合材料の耐熱酸化特性や、メチルエチルケトン(MEK)によるソルベントクラックなどの耐溶剤特性が十分ではない。
特開平8−127663(特許文献2)には、50質量%以上が固形で存在する多官能性マレイミド系樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂が樹脂組成物に溶解せず、プリプレグ表面に熱可塑性樹脂が存在する、耐衝撃特性に優れたプリプレグが開示されている。しかし、開示されている樹脂組成物を用いる場合、得られる繊維強化複合材料のガラス転移温度や耐熱酸化特性は十分でない。
特開平3−197559号公報 特開平8−127663号公報
本発明の課題は、成形加工性に優れ、耐熱性や耐衝撃性、層間靱性が高い繊維強化複合材料を得られるプリプレグを提供することにある。更に、かかるプリプレグに用いる樹脂組成物とその製造方法を提供することにある。
本発明者は、ビスマレイミド樹脂を主成分とし、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる樹脂組成物を用いたプリプレグは、成型加工性に優れ、また、該プリプレグを用いて得られる繊維強化複合材料は、耐熱性や耐衝撃性、層間靱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決する本発明の樹脂組成物は、少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを含む混合物であって、混合物中に前記パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物において、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の平均粒子径は、1〜50μmであることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物としては、パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を0.1〜15質量%含んでいることも包含する。パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを、処理温度25〜100℃で混合することにより製造することができる。
本発明のもう一つの態様であるプリプレグは、強化繊維基材に、上記の本発明の樹脂組成物が含有率20〜60質量%で含浸されてなるプリプレグである。本発明のプリプレグに用いる強化繊維基材は、炭素繊維であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いるプリプレグは、取扱い性、成型加工性に優れている。本発明のプリプレグは、タック性、ドレープ性の経時変化が少なく、保存安定性に優れるため、長期間保管後に繊維強化複合材料を作製する場合にも適する。また、本発明のプリプレグを用いて得られる繊維強化複合材料は、耐熱性や靭性、耐衝撃性に優れ、ボイドなどの構造欠陥が生じにくく、さらに、耐熱酸化特性や耐溶剤性も良好である。
本発明の樹脂組成物を強化繊維シートに含浸させて製造したプリプレグの断面概念図である。
以下、本発明の樹脂組成物と該樹脂組成物を用いて得られる本発明のプリプレグの詳細について記載する。
(1)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、少なくともビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを含む。パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外の熱可塑性樹脂を含むことも好ましい。
(1−1)ビスマレイミド樹脂
ビスマレイミド樹脂は本発明の樹脂組成物の主成分である。その含有量は、樹脂組成物の全重量に対して20〜80質量%であり、35〜65質量%であることが好ましい。ビスマレイミド樹脂が20質量%より少ない樹脂組成物は、ビスマレイミド樹脂の特性である耐熱性が十分に発揮されない。そのため、この樹脂組成物を用いて最終的に得られる繊維強化複合材料の耐熱性が十分ではない。一方、ビスマレイミド樹脂が80質量%を超える場合、得られる繊維強化複合材料の靭性が不十分となり、適切な強度を得ることができない。
本発明に用いるビスマレイミド樹脂としては、公知のビスマレイミド樹脂を用いることができる。公知のビスマレイミド樹脂は、対応するジアミンと無水マレイン酸とを反応させる公知の方法により得ることができる。公知のビスマレイミド樹脂の中でも芳香族ビスマレイミド系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれる芳香族ビスマレイミド系樹脂としては、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-(3,3’−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン等を挙げることができる。
芳香族ビスマレイミド系樹脂の中でも、プリプレグの加熱硬化処理後の耐熱性の観点から、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4− マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ベンゾフェノンビスマレイミド等が好ましく、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミドが特に好ましい。上記の芳香族ビスマレイミド系樹脂は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。
本発明においては、芳香族ビスマレイミド系樹脂の他に、プリプレグの取扱い性を向上させるために、脂肪族ビスマレイミド系樹脂を併用することが出来る。脂肪族ビスマレイミド系樹脂としては、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミド、N,N’−1,2−エチレンビスマレイミド、N,N’−1,3−プロピレンビスマレイミド、N,N’−1,4−テトラメチレンビスマレイミドが挙げられる。中でも、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミドが好ましい。これらの脂肪族ビスマレイミド系樹脂は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いるビスマレイミド樹脂としては、芳香族ビスマレイミド系樹脂と脂肪族ビスマレイミド系樹脂を併用することが好ましい。
(1−2)アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物
アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物は、ビスマレイミド樹脂の重合開始剤である。樹脂組成物の粘度を調整し、良好な成形加工性を得る場合に有用である。また、樹脂組成物と強化繊維基材との接着性向上に寄与する。本発明の樹脂組成物における含有量は、10〜70質量%であり、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれるアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物としては、O,O’−ジアリルビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリルジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジアリルフェニル)プロパン、2,2’−ジアリルビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリルジフェニルエーテル、4,4’−ビス−o−プロペニルフェノキシ−ベンゾフェノン等を挙げることができる。中でも、加熱硬化後の樹脂のガラス転移点が高いため、O,O’−ジアリルビスフェノールA、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジアリルフェニル)プロパン、2,2’−ジアリルビスフェノールF等が好ましい。樹脂組成物の粘度を抑制する観点から、O,O’−ジアリルビスフェノールAは、特に好ましい。
(1−3)パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子
パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、これを樹脂組成物中に分散させることにより樹脂組成物の靱性を向上させることができる。
パラ系芳香族ポリアミド樹脂の分解温度は、450〜550℃である。本発明の樹脂組成物がおかれる温度条件の一般的な例を挙げると、プリプレグの製造時の温度条件は、加圧下、処理温度100〜220℃である。繊維強化複合材料の製造時の温度条件は、処理温度150〜300℃である。従って、本発明のパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、プリプレグや繊維強化複合材料の製造時の温度条件下で樹脂組成物中に溶解することなく粒子形を維持する。これによりパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、マトリックス樹脂中で層間粒子として分散する。パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子からなる層間粒子は、繊維強化複合材料が外部から受ける衝撃を吸収し、衝撃時におけるクラック伝播を抑制する。すなわち、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子が樹脂組成物中に分散する構造は、繊維強化複合材料の耐衝撃性向上に寄与する。
パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、好ましくは、パラ系芳香族ポリアミド繊維の粉砕物から得ることができる。パラ系芳香族ポリアミド樹脂の形状は、樹脂組成物中に均質に分散させ、成型加工性を維持することができれば、粒子形状と異なる形状でもよい。
パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の平均粒子径は、1〜50μmの範囲であることが好ましく、3〜30μmがより好ましい。1μmより小さいと嵩密度が高くなり、樹脂組成物が著しく増粘したり、十分な量を添加することが困難となったりする場合がある。50μmより大きいと、樹脂組成物をシート状にする場合に均質な厚みのシートを得にくくなることがある。
本発明の樹脂組成物に含有されるパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、繊維強化複合材料中において層間粒子としての役割を果たすため、樹脂組成物中に10〜30質量%存在することが好ましい。10質量%未満の場合は、十分な耐衝撃性の改善効果が得られず、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性が不十分となる場合がある。また30質量%を超える場合、樹脂組成物の粘度が著しく高くなるため、樹脂製造工程や、プリプレグの製造工程での取扱い性が著しく悪化する場合がある。
本発明の樹脂組成物に含有させるパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子としては、選択されたアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な熱可塑性樹脂であれば、従来公知のいずれのパラ系芳香族ポリアミド樹脂も用いることができる。好ましくは、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維を粉体にしたものを挙げることができる。中でも、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維を粉体にしたものが、耐衝撃性、耐熱性、耐溶剤性において好ましい。
コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維としては、例えば、帝人テクノプロダクツ社製の「テクノーラ(登録商標)」を挙げることができる。ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維としては、例えば、帝人アラミド社製の「トワロン(登録商標)」、デュポン社製の「ケブラー(登録商標)」を挙げることができる。
(1−4)パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂」という場合がある。)を含有しても良い。パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を添加することで、本発明の樹脂組成物の粘度を調整することができる。この他、得られる繊維強化複合材料の靱性向上にも作用する。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性樹脂の含有量は、0.1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。0.1質量%未満の場合は、樹脂組成物の粘度が低くなり、樹脂組成物のフローを招くおそれがある。また15質量%を超える場合、粘度が著しく高くなり取扱い性が著しく悪化する場合がある。
本発明の樹脂組成物に該熱可塑性樹脂を含有させる場合、ビスマレイミド樹脂、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有量は、上記の各成分の含有量の範囲内で適宜調整される。
本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂は、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外の熱可塑性樹脂から、公知の熱可塑性樹脂を選択することができる。
好ましくは、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂が用いられる。アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド等を挙げることができる。アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂を挙げることができる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。
なお、本発明において「アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶」とは、コンポジットを成形する温度又はそれ以下の温度において、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に一部又は全部が溶解し得ることを意味する。繊維強化複合材料の製造過程において、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂は、樹脂組成物が加熱されることにより樹脂組成物中に溶解し、樹脂組成物の粘度を増加させる。これにより樹脂組成物のフローを防止することができる。一方、少なくともコンポジットを成形する温度において、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に溶解しない熱可塑性樹脂を、本発明においては「アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な熱可塑性樹脂」という。
本発明の樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂は、加熱硬化処理における溶解安定性、靭性付与、耐薬品性、耐熱性、耐湿熱性の観点から、反応性を有する反応基を含有しているものが好ましい。熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されないが、平均粒径0.1〜100μmの粒子状であることが好ましい。
(1−5)その他の成分
本発明の樹脂組成物は、必須成分として、ビスマレイミド樹脂、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物、パラ系芳香族ポリアミド樹脂を所定の含有量で含むほか、パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。その他、耐熱性、成型加工性および靱性を損なわない他の成分を含有させることができる。
本発明の耐熱性、成形加工性を阻害しないものとして、導電性粒子、導電性フィラー、無機フィラー、ゴム状成分、靭性付与剤、安定剤や離型剤、着色剤等が配合されていても良い。
(2)強化繊維基材
本発明のプリプレグにおいて、樹脂組成物を含浸させる基材として用いられる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などを挙げることができる。これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、比強度、比弾性率が良好で軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる炭素繊維がより好ましく、炭素繊維の中でも、引っ張り強度に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、引張り弾性率は、170〜600GPaであることが好ましく、220〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は3920MPa(400kgf/mm)以上であることが好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、プリプレグの機械的性質を向上できる。
強化繊維基材の形状は限定されないが、シート状物であることが加工性の点から好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシート状物や、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙などを挙げることができる。強化繊維シートの厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。また強化繊維シートの目付は、70〜400g/mが好ましく、100〜300g/mがより好ましい。
(3)プリプレグ
本発明のプリプレグは、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる本発明の樹脂組成物を、強化繊維に含浸させたプリプレグである。本発明のプリプレグにおいて、本発明の樹脂組成物に含まれるパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の一部は、強化繊維基材の内部まで入り込まず、強化繊維基材の表面近傍に分散する。
図1はプリプレグ1の断面概念図である。2は強化繊維樹脂層で、強化繊維4と、前記強化繊維4に含浸される樹脂層3と、強化繊維4間に比較的少量分散されるパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5からなる。6は表面樹脂層で、強化繊維樹脂層2の表面に形成されている。表面樹脂層6中には、比較的多量のパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5を有する。表面樹脂層6に分散するパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5は、本発明のプリプレグ1の積層体を加熱成形して得られる繊維強化複合材料において、層間粒子として機能する。すなわちパラ系芳香族ポリアミド粒子は、外部からの衝撃を吸収し、クラックの伝播を抑制する。従って、本発明のプリプレグを材料とする繊維強化複合材料は、優れた耐衝撃性を有する。
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物の含有量が20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。樹脂組成物の含有量が20質量%より少ない場合、プリプレグに十分な靱性を付与できず、このプリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料にボイド等を発生させる。樹脂組成物の含有量が60質量%を超える場合、強化繊維の含有量の減少につながるため、繊維強化複合材料の強度の低下を招く。
本発明のプリプレグを用いて製造される繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度(CAI)は、220〜350MPaであることが好ましく、250〜330MPaであることがより好ましい。
(4)樹脂組成物およびプリプレグの製造方法
本発明のプリプレグは、本発明の樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させることにより製造することができる。
(4−1)樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物は、ビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを混練することにより得られる。パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外の熱可塑性樹脂を混練することも好ましい。パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、混練される過程で、混合物中に均質に分散される。加熱しながら混練することにより本発明の樹脂組成物を製造することができる。加熱条件は、混合物や、樹脂組成物の所望の粘度に応じて適宜調整される。一例として、ビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外の熱可塑性樹脂とを、処理温度25〜100℃で混練する方法を挙げることができる。かかる方法により得られる樹脂組成物を含有するプリプレグは、耐熱性、成型加工性、靱性に優れる繊維強化複合材料を与える。
混練は、一段で行ってもよいし、多段で行ってもよい。また、樹脂組成物の各成分の混合順序は限定されないが、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、樹脂組成物の他の成分が均質に混練された後に添加することが好ましい。これにより、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を樹脂組成物中に均質に分散させやすくなる。
熱可塑性樹脂をアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に溶解させる場合には、その全量又は一部を予めアルケニルフェノールに溶解して配合することが好ましい。ビスマレイミド樹脂と混練する前に、処理温度80〜130℃でアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に熱可塑性樹脂を溶解させることも好ましい。アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に熱可塑性樹脂を溶解させる場合に、同時にビスマレイミド樹脂を添加すると、ビスマレイミド樹脂とアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物との反応が進む結果、保存安定性が乏しくなる場合がある。熱可塑性樹脂は、粉体などの状態で樹脂組成物中に分散粒子として混合してもよい。
混練機械装置には、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー等、従来公知のものを用いることができる。
(4−2)プリプレグの製造方法
上記のようにして得られた本発明の樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させることにより本発明のプリプレグを製造することができる。
樹脂組成物を基材である強化繊維の内部に含浸させる方法としては、公知の湿式法や乾式法を用いることができる。湿式法は有機溶媒を用いるため、含浸後、有機溶媒を除去する必要がある。従って本発明のプリプレグは、製造物に有機溶媒が残存するおそれがない乾式法を用いて製造することが好ましい。
乾式法では、本発明の樹脂組成物を積重させた強化繊維基材を加圧下で加熱することにより、樹脂組成物の粘度を低下させ、樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させる。この際、パラ系芳香族ポリアミド粒子は、強化繊維基材の内部に入り込みにくいため、強化繊維基材の表面近傍に、その内部よりも高い濃度で分散する。
強化繊維基材がシート状物の場合、樹脂組成物は樹脂フィルムとして、強化繊維基材に積重することが好ましい。本発明の樹脂組成物は、公知の方法で樹脂フィルムとすることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を、ダイコーター、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどを用いて、離型紙、フィルムなどの支持体上に流延させる方法がある。樹脂フィルムを製造する処理温度は、本発明の樹脂組成物の粘度に応じて設定することができる。通常、処理温度は100〜250℃が好ましく、150〜220℃がより好ましい。
樹脂組成物のフィルムの厚さは、概ね8〜350μmとすることが好ましく、10〜200μmとすることがより好ましい。
強化繊維基材に樹脂組成物を含浸させる加圧条件は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜調整され、1回で行ってもよく、複数回行ってもよい。樹脂組成物の粘度は、プリプレグに使用される通常の樹脂組成物の粘度と同等であればよい。
加熱温度は概ね70〜160℃とし、80〜120℃とすることが好ましく、樹脂組成物の粘度に応じて調節される。70℃未満である場合、樹脂組成物の粘度が低くならず、樹脂組成物を強化繊維基材内に十分に含浸させることができない。加熱温度が160℃を超える場合、樹脂組成物中のビスマレイミド樹脂とアルケニルフェノールが反応して、プリプレグに過度の粘着性が生じ、タック性やドレープ性が悪化しやすい。
上記の樹脂組成物の製造および含浸工程を経ることにより、本発明の樹脂組成物およびこれを用いたプリプレグを製造することができる。プリプレグの生産速度は特に限定しないが、生産性や経済性などを考慮すると、連続生産の場合、好ましくは0.1m/min以上である。より好ましくは、1〜50m/minであり、さらに好ましくは、5〜20m/minである。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではない。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物の原材料として、以下のものを用いた。
[ビスマレイミド樹脂]
N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド
・Matrimid 5292 A(商品名)(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・BMI−1100H(商品名)(大和化成工業(株)社製)
4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド
・BMI−7000H(商品名)(大和化成工業(株)社製)
1,6'−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン
・BMI−TMH(商品名)(大和化成工業(株)社製)
2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン
・BMI−80(商品名)(ケイ・アイ化成(株)社製)
[アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物]
O,O’−ジアリルビスフェノールA
・Matrimid 5292 B(商品名)(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
2、2’−ジアリルビスフェノールA
・DABPA(商品名)(大和化成工業(株)社製)
[パラ系芳香族ポリアミド樹脂]
コポリパラフェニレン・3、4'オキシジフェニレンテレフタラミドパウダー
・テクノーラ(登録商標)(帝人テクノプロダクツ社製)の粉体(平均粒子径1〜50μm)
[熱可塑性樹脂]
ポリエーテルイミド
・Ultem1000−1000(商品名)(SABIC社製、平均粒子径1〜50μm)
ポリエーテルスルホン
・スミカエクセル5003P(商品名)(住友化学(株)社製、平均粒子径3〜40μm)
上記のポリエーテルイミドとポリエーテルスルホンは、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶である。
ポリイミド樹脂
・AURUM PL450C(商品名)(三井化学(株)社製、平均粒子径1〜50μm)
上記のポリイミド樹脂は、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶である。
[炭素繊維基材]
炭素繊維
・IMS 65 E 23 24K 830tex(東邦テナックス(株)社製)
上記の高強度・中弾性炭素繊維の引張り強度と引張り弾性率は下記のとおりである。
引張り強度:5800MPa
引張り弾性率:290GPa
[樹脂組成物の物性測定方法]
本発明の樹脂組成物の物性を以下の方法により測定した。
[平均粒子径]
パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の粒子径は、日機装株式会社製 レーザー回折・散乱式の粒度分析計(マイクロトラック法)MT3300を用いて、粒度分布の測定を実施し、そのD50を平均粒子径とした。
[プリプレグの物性測定方法]
本発明のプリプレグの物性を以下の方法により測定した。
[吸水率]
本発明のプリプレグを一辺が100mmの正方形にカットし、質量(W1)を測定した。その後、デシケーター中で、プリプレグを水中に沈めた。デシケーター内を、10KPa以下に減圧し、プリプレグ内部の空気と水を置換させた。プリプレグを水中から取り出し、表面の水を拭き取り、プリプレグの質量(W2)を測定した。これらの測定値から下記式
吸水率(%)=[(W2−W1)/W1]×100
W1:プリプレグの質量(g)
W2:吸水後のプリプレグの質量(g)
を用いて吸水率を算出した。吸水率は、プリプレグ中の空隙率を示す指標であり、2〜40%が好ましく、4〜25%がより好ましい。プリプレグ中の空隙率が高い場合、成形時の取扱いが困難になる。また、このプリプレグを用いて得られる繊維強化複合材料には、空隙が残りやすいため、その機械特性に悪影響が出る。空隙率が低い場合、ドレープ性が低くなるため、良好な成形加工性が得られなくなる。
[室温保存安定性]
本発明のプリプレグを温度26.7℃、湿度65%に10日間保存した後に、プリプレグを一辺が100mmの正方形にカットし、金型に積層することにより評価した。金型表面形状は、半球(r=12.7mm)であった。評価結果は以下の基準(○、△、×)で表した。
○:金型へ積層しても金型表面形状に十分追従し、製造直後とほとんど変わらない取扱い性である。
△:プリプレグの硬化反応が進行し、タック性・ドレープ性が低下しているが、金型へ積層しても、使用するには問題の無いレベルである。
×:プリプレグの硬化反応が進行し、タック性・ドレープ性が著しく低下しており、金型へ積層する場合、表面形状に追従ができないレベルである。
[タック性保持率]
プリプレグのタック性は、タッキング試験装置 TAC−II(RHESCA CO.,LTD.)を用いて以下の方法により測定した。27℃に保持された試験ステージに本発明のプリプレグをセットし、27℃に保持されたφ5のタックプローブで初期荷重100gfの荷重をかけて、10mm/secの試験速度で引き抜いた際の最大の荷重を求めた。
製造直後のプリプレグと、温度26.7℃、湿度65%に10日間保存したプリプレグに、それぞれタックプローブ試験を実施した。製造直後のプリプレグのタックを100%とした場合の10日間保存したプリプレグのタックをタック保持率とした。評価結果は以下の基準(○、△、×)で表した。
○:製造直後の荷重が100gf以上で、10日間保存後のタック保持率が100〜50%
△:製造直後の荷重が100gf以上で、10日間保存後のタック保持率が50〜25%
×:製造直後の荷重が100gf以上で、10日間保存後のタック保持率が25〜0%
[強化繊維複合材料の物性の測定方法]
本発明の強化繊維複合材料の物性を以下の方法により測定した。
[ガラス転移温度]
TMAにより炭素繊維強化複合材料の曲げモードによりTgを測定した。測定条件は、窒素雰囲気中で、昇温速度10℃/minで400℃まで昇温した。
[衝撃後圧縮強度(CAI)]
本発明のプリプレグを一辺が360mmの正方形にカットし、積層して、積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、200℃の条件で3時間成形した。得られた成形物を取り出し、熱風循環乾燥機を用いて、200℃の条件下で12時間、フリースタンドでポストキュアーを実施した。得られた成形物を幅101.6mm×長さ152.4mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強度(CAI)試験の試験片を得た。この試験片を用いて、SACMA SRM 2R−94に従い、30.5J衝撃後のCAIを測定した。試験片圧縮試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、n=5で測定を行った。
[面内せん断弾性率(IPSM)]
本発明のプリプレグを一辺が360mmの正方形にカットし、積層して、積層構成[+45/−45]1Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、200℃の条件で3時間成形した。得られた成形物を取り出し、熱風循環乾燥機を用いて、200℃の条件下で12時間、フリースタンドでポストキュアーを実施した。得られた成形物を幅12.7mm×長さ228.6mmの寸法に切断し、23℃のメチルエチルケトン溶液に6日間浸漬し、浸積後の面内せん断弾性率を測定した。
即ち、メチルエチルケトン(MEK)溶液浸漬前の面内せん断弾性率(G1)、23℃のメチルエチルケトン溶液に6日間浸漬後の面内せん断弾性率(G2)を測定し、下記計算式で、せん断弾性率保持率を測定した。面内せん断弾性率の測定は、JIS K 7019に従った。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、n=5で測定を行った。面内せん断弾性率の保持率が90%以上ある場合を耐MEK特性が良好と判断した。
保持率(%)=(G2 ÷ G1)×100
(実施例1)
実施例1では、表1に示すアルケニルフェノールと、ビスマレイミド樹脂、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を、攪拌機を用いて、温度85℃にて混合し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら110℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。実施例1の物性の評価結果を表1に示す。
(実施例2−11)
実施例2―11では、表1に示すアルケニルフェノールと、熱可塑性樹脂とを攪拌機を用いて120℃で30分間攪拌して、完全に溶解させた。その後、攪拌機の温度を85℃にして、ビスマレイミド樹脂、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を混合し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら110℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。実施例2−11の物性の評価結果を表1に示す。
Figure 2013209474
(参考例1)
参考例1は、表2に示すビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノールと、熱可塑性樹脂とを攪拌機を用いて120℃で60分間攪拌して、完全に溶解させた。その後、攪拌機の温度を85℃にしてパラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を混合し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら120℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。参考例1の物性の評価結果を表2に示す。参考例1は、十分な耐衝撃性を得られたが、ビスマレイミド樹脂をアルケニルフェノールに完全に溶解させたため、室温保存安定性で劣っていた。
(比較例1−3)
比較例1−3では、表2に示すアルケニルフェノールと、熱可塑性樹脂とを攪拌機を用いて120℃で30分間攪拌して、完全に溶解させた。その後、攪拌機の温度を85℃にして、ビスマレイミド樹脂、熱可塑性樹脂 AURUM PL450Cを混合させた。比較例3では、熱可塑性樹脂としてAURUM PL450Cに加えて、スミカエクセル5003Pも混合させた。得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら120℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。比較例1−3の物性の評価結果を表2に示す。
Figure 2013209474
実施例1−11と、比較例1−3とを比較すると、吸水率、室温保存安定性、タック性、ガラス転移温度に大きな差異は認められない。しかし、各実施例から得られた繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度は高くなっている。すなわち、本発明の樹脂組成物を用いた本発明のプリプレグは、本来の耐熱性および成形加工性を維持し、加えて繊維強化複合材料の靱性の向上を実現している。
1 プリプレグ
2 強化繊維樹脂層
3 樹脂層
4 強化繊維
5 パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子
6 表面樹脂層

Claims (7)

  1. 少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを含む混合物であって、混合物中に前記パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる樹脂組成物。
  2. 前記パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の平均粒子径が、1〜50μmである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂0.1〜15質量%を含む請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記パラ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、前記アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂である請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 強化繊維基材に、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物が含有率20〜60質量%で含浸されてなるプリプレグ。
  6. 前記強化繊維基材が炭素繊維である請求項5に記載のプリプレグ。
  7. 少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、パラ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを、処理温度25〜100℃で混合する、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
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