JP2014105317A - 樹脂組成物、該樹脂組成物を用いるプリプレグ、及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、該樹脂組成物を用いるプリプレグ、及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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肇 坂元
Takaya Suzuki
貴也 鈴木
Toyoaki Ishiwatari
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Abstract

【課題】高耐熱性、高耐衝撃性の繊維強化複合材料の製造に適した、保存安定性が高く、取り扱い性の良いプリプレグを提供する。
【解決手段】少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5が10〜30質量%との混合物であって、混合物中にメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5を分散させてなる樹脂組成物を、強化繊維基材に含浸させてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリプレグの製造等に好適な樹脂組成物、その製造方法、及び該樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させてなる、成型加工性に優れるプリプレグに関する。本発明のプリプレグは、耐熱性、耐衝撃性、層間靱性に優れる繊維強化複合材料の製造に好適なプリプレグである。
繊維強化複合材料は、その比強度、比弾性が優れているという特徴を生かして、航空・宇宙用品等に広く適用されている。繊維強化複合材料の用途が広がるにつれ、繊維強化複合材料は200℃以上の耐熱性を要求される場合が増えている。そのため、繊維強化複合材料を製造する際の中間材料であるプリプレグにおいても、繊維強化複合材料の製造工程における処理温度に耐えうる耐熱性が求められている。
プリプレグは、マトリックス樹脂を強化繊維基材に含浸させた構造を有する。従来、耐熱性を備えるマトリックス樹脂として、ポリイミド樹脂やビスマレイミド樹脂が用いられている。しかし、ポリイミド樹脂を含浸しているプリプレグは成型加工性が劣るため、マトリックス樹脂としての実用化が遅れている。ビスマレイミド樹脂を用いるプリプレグは、エポキシ樹脂を用いるプリプレグの場合と比較すると、取扱い性や成型加工性が悪い。またビスマレイミド樹脂は靭性が乏しいため、ビスマレイミドをマトリックス樹脂とするプリプレグを用いて製造される繊維強化複合材料は、耐衝撃性や靭性が低い。
ビスマレイミド樹脂の靱性を改良する方法として、ビスマレイミド樹脂にゴム成分や熱可塑性樹脂を配合する方法や、他のモノマーを共重合する方法が提案されている。しかし、従来提案される方法では、靭性の向上効果が十分に発揮されていない。加えて他の物性が大きく低下している。
特開平3−197559号公報(特許文献1)には、芳香族ビスマレイミド系樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノキシ基含有コモノマーと、可溶性の熱可塑性ポリイミド樹脂とをマトリックス樹脂とするプリプレグが開示されている。このプリプレグを用いることにより耐衝撃特性に優れた繊維強化複合材料が得られるが、得られる繊維強化複合材料の耐熱酸化特性や、メチルエチルケトン(MEK)によるソルベントクラックなどの耐溶剤特性は、十分でない。
特開平8−127663号公報(特許文献2)には、50質量%以上が固形で存在する多官能性マレイミド系樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と熱可塑性樹脂とからなる樹脂組成物を含浸させたプリプレグが開示されている。このプリプレグは、熱可塑性樹脂が樹脂組成物に溶解せずプリプレグ表面に熱可塑性樹脂が存在している。このプリプレグを用いて製造される繊維強化複合材料は耐衝撃特性に優れるが、ガラス転移温度や耐熱酸化特性の点では、十分ではない。
特開2011−102345号公報(特許文献3)には、ポリフェニルメタンマレイミド、1,6−ビスマレイミド(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ジアリルビスフェノールAを必須成分とするプリプレグが開示されている。このプリプレグは、ジアリルビスフェノールAに溶解しているフェニルメタンマレイミドオリゴマーの結晶が樹脂組成物中に析出し難いため、プリプレグのタック性・ドレープ性といった取扱い性は優れている。しかし、耐衝撃性は低い。
そのため、取扱い性及び成形加工性が優れ、耐熱性や耐衝撃性が高い繊維強化複合材料を作製することができるプリプレグが求められている。
特開平3−197559号公報 特開平8−127663号公報 特開2011−102345号公報
本発明の課題は、成型加工性が良く、耐熱性や耐衝撃性が高い繊維強化複合材料を得ることができるプリプレグを提供することにある。更に、かかるプリプレグの製造に用いる樹脂組成物とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ビスマレイミド樹脂に、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる樹脂組成物がプリプレグ製造用のマトリックス樹脂として好適なことを見いだした。
さらに本発明者らは、該樹脂組成物を用いて製造されるプリプレグが保存安定性に優れていること、このプリプレグを中間材料として用いて製造する繊維強化複合材料が、耐熱性や耐衝撃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明の樹脂組成物は、少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを含む混合物である。この混合物中には、前記メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子が分散されている。
上記樹脂組成物は、含まれるメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の平均粒子径が、1〜50μmである樹脂組成物を包含する。
上記の本発明の樹脂組成物は、メタ系芳香族ポリアミド樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を必要に応じて含んでも良い。その他の熱可塑性樹脂の含有量は、0.1〜15質量%が好ましい。該メタ系芳香族ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを、処理温度25〜100℃で混合することにより製造することができる。
本発明のプリプレグは、強化繊維を含む強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に積層された強化繊維を含まない表面樹脂層とからなるプリプレグであって、このプリプレグは、前記樹脂組成物を強化繊維に含有率が20〜60質量%で含浸させてなるプリプレグであり、表面樹脂層中のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有率が、前記強化繊維樹脂層中のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子含有率よりも高いプリプレグである。
本発明のプリプレグに用いる強化繊維基材は、炭素繊維であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いて製造するプリプレグは、取扱い性、成型加工性に優れる。
本発明のプリプレグは、タック性、ドレープ性の経時変化が少なく、保存安定性に優れるため、長期間保管後に繊維強化複合材料を製造する場合に適する。また、本発明のプリプレグを用いて製造される繊維強化複合材料は、耐熱性や靭性、耐衝撃性に優れ、ボイドなどの構造欠陥が生じにくく、さらに、耐熱酸化特性や耐溶剤性も良好である。
本発明の樹脂組成物を強化繊維シートに含浸させて製造したプリプレグの断面概念図である。
1 プリプレグ
2 強化繊維樹脂層
3 樹脂層
4 強化繊維
5 メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子
6 表面樹脂層
以下、本発明の樹脂組成物と該樹脂組成物を用いて製造される本発明のプリプレグの詳細について記載する。
(1)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、少なくともビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを含む。メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外の熱可塑性樹脂を含むことも好ましい。
(1−1)ビスマレイミド樹脂
本発明の樹脂組成物に含有されるビスマレイミド樹脂としては、公知のビスマレイミド樹脂を用いることができる。ビスマレイミド樹脂は、対応するジアミンと無水マレイン酸とを反応させる公知の製造方法により製造される。公知のビスマレイミド樹脂の中でも芳香族ビスマレイミド系樹脂が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、芳香族ビスマレイミド系樹脂と脂肪族ビスマレイミド系樹脂とを併用することができる。芳香族ビスマレイミド系樹脂と脂肪族ビスマレイミド系樹脂との配合割合は、芳香族ビスマレイミド系樹脂100質量部に対して脂肪族ビスマレイミド系樹脂 5 質量部が好ましく、 10 質量部がより好ましい。芳香族ビスマレイミド系樹脂と脂肪族ビスマレイミド系樹脂とを併用することにより、得られるプリプレグの取扱い性を向上させることができる。
(1−1)ビスマレイミド樹脂
本樹脂組成物に配合されるビスマレイミド樹脂(以下、BMIともいう)としては、従来公知のビスマレイミド化合物を用いることができる。例えば、下記式(1)で表されるビスマレイミド化合物が挙げられる。
Figure 2014105317
[式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、−H、−CH、−C、−C、−F、−Cl、−Br及び−Iからなる群から選ばれる基を表す。Xについては後述する。]
本発明においては、ビスマレイミド樹脂としては、芳香環構造を含むビスマレイミド化合物と芳香環構造を含まないビスマレイミド化合物とを併用することが好ましい。これらを併用することにより、得られるプリプレグの取扱い性を向上させることができる。
(1−1−1)芳香族ビスマレイミド化合物
ビスマレイミド化合物が芳香環構造を含む(以下、「芳香族ビスマレイミド化合物」ともいう)場合、式(1)中のXは、以下の式(2)〜(8)に記載する構造であることが好ましい。
Figure 2014105317
Figure 2014105317
Figure 2014105317
Figure 2014105317
[式(5)中、Rは、−CH−、−C(CH−、−O−、−SO−を表す。]
Figure 2014105317
[式(6)中、Rは、−CH−、−C(CH−、−O−、−SO−を表す。また、R6〜R9は、それぞれ独立に、−H、−CH、−C、−C、−F、−Cl、−Br及び−Iからなる群から選ばれる基を表す。]
Figure 2014105317
[式(7)中、Rは、−CH−、−C(CH−、−O−、−SO−を表す。]
Figure 2014105317
[式(8)中、R10〜R11は、それぞれ独立に、−CH−、−C(CH−、−O−、−SO−を表す。式(8)中、nは0〜0.5である。]

本発明の樹脂組成物に含有される芳香族ビスマレイミド系樹脂の具体例としては、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−(3,3’−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’−ジメチル-5,5’−ジエチル-4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ベンゾフェノンビスマレイミド等を挙げることができる。
加熱硬化後の繊維強化複合材料の耐熱性の観点からは、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ベンゾフェノンビスマレイミドが好ましく、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミドが特に好ましい。これらの芳香族ビスマレイミド化合物は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。
(1−1−2)脂肪族ビスマレイミド化合物
ビスマレイミド化合物が芳香環構造を含まない(以下、「脂肪族ビスマレイミド化合物」ともいう)場合、式(1)中のXは、以下の式(9)〜(11)に記載する構造であることが好ましい。
Figure 2014105317
[式(9)中、nは10以下の整数であり、1、2、3、4、6が好ましい。]
Figure 2014105317
Figure 2014105317
脂肪族ビスマレイミド系樹脂の好ましい具体例としては、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミド、N,N’−1,2−エチレンビスマレイミド、N,N’−1,3−プロピレンビスマレイミド、N,N’−1,4−テトラメチレンビスマレイミドを挙げることができる。1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミドが好ましい。脂肪族ビスマレイミド系樹脂は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物におけるビスマレイミド樹脂の含有量は、樹脂組成物の全重量に対して20〜80質量%であり、好ましくは35〜65質量%、より好ましくは40〜50質量%である。ビスマレイミド樹脂が20質量%より少ない場合、本発明の樹脂組成物を用いて最終的に得られる繊維強化複合材料において、ビスマレイミド樹脂の特性である耐熱性が十分に発揮されない。ビスマレイミド樹脂が80質量%を超える場合、得られる繊維強化複合材料の靭性が低くなり、強度が不十分となる。
(1−2)アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物
アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物は、ビスマレイミド樹脂の重合開始剤として機能する。本発明の樹脂組成物における含有量は、10〜70質量%であり、好ましくは20〜50質量%であり、より好ましくは25〜40質量%である。本発明の樹脂組成物は、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物を上記の所定の範囲内で適宜含有することにより、粘度が調整され、良好な成型加工性を得ることができ、また、強化繊維基材と樹脂組成物とを良好に接着させることができる。
本樹脂組成物に配合されるアルケニルフェノールエーテルは、フェノール系化合物とアルケニルハライドとの反応により得られ、アルケニルフェノールエーテルをクライゼン転移することによりアルケニルフェノールが得られる(特開昭52―994号公報)。
本発明においては、アルケニルフェノール及び/又はアルケニルフェノールエーテル化合物には、その転移構造体が含まれていてもよい。
アルケニルフェノール及び/又はアルケニルフェノールエーテルとしては、アリルフェノール、メタリルフェノール又はそれらのエーテルが好ましい。より好ましくは、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテルは以下の式(12)〜(16)の化合物である。
Figure 2014105317
[式(12)中、R12、R13、R14はそれぞれ独立して水素又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、好ましくはアリル基又はプロペニル基である。ただし、R12、R13、R14の少なくとも1個は炭素数2〜10のアルケニル基である。]
Figure 2014105317
[式(13)中、R15は、直接結合、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−又は−SO−である。R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立して水素又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、好ましくはアリル基又はプロペニル基である。ただし、R16、R17、R18、R19の少なくとも1個は炭素数2〜10のアルケニル基である。]
式(13)のうち、以下の式(14)の化合物は特に好ましい。
Figure 2014105317
[式(14)中、R15は、直接結合、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−又は−SO−を表す。]
Figure 2014105317
[式(15)中、R20、R21は、直接結合、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−又は−SO−である。R22、R23、R24、R25、R26、R27は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、好ましくはアリル基又はプロペニル基である。ただし、R10、R11、R12、R13、R14、R15の少なくとも1個は炭素数2〜10のアルケニル基である。Pは0〜10の整数である。]
Figure 2014105317
[式(16)中、R15は、直接結合、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−又は−SO−を表す。R28、R29は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、好ましくはアリル基又はプロペニル基である。ただし、R28、R29の少なくとも1個は炭素数2〜10のアルケニル基である。]
本発明の樹脂組成物に含まれるアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物の好ましい具体例としては、O,O’−ジアリルビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリルジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジアリルフェニル)プロパン、2,2’−ジアリルビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリルジフェニルエーテル、4,4’−ビス−O−プロペニルフェノキシ−ベンゾフェノン等を挙げることができる。
中でも、加熱硬化後の樹脂組成物のガラス転移点が高いため、O,O’−ジアリルビスフェノールA、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジアリルフェニル)プロパン、2,2’−ジアリルビスフェノールF等が好ましい。樹脂組成物の粘度を低くする場合に有用な、O,O’−ジアリルビスフェノールAは、特に好ましい。本樹脂組成物では、アルケニルフェノール及び/又はアルケニルフェノールエーテルは単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いてもよい。
(1−3)メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子
本発明で用いるメタ系芳香族ポリアミド樹脂は、本発明の樹脂組成物の製造方法において、ビスマレイミド樹脂やアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物等の他の成分と混合されるときに混合物中に溶解せず、混合物からなる本発明の樹脂組成物中に分散する粒子として存在する。メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子樹脂組成物の硬化体中に分散することにより、靱性が良好な繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明の樹脂組成物に含有させるメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な従来公知の熱可塑性樹脂の何れも用いることができる。
メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、好ましくは、メタ系芳香族ポリアミド繊維の粉砕物から得ることができる。メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の形状は、樹脂組成物中に均質に分散させ、成型加工性を維持することができれば、どのような形状でもよい。例えば、球形、円柱形、直方体形、立方体形、繊維形、薄片形、不定形等が挙げられる。
得られる繊維強化複合材料に耐衝撃性、耐熱性、耐溶剤性を付与する観点から、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子としては、ポリメタフェニレンイソフタラミド繊維を粉体にしたものを用いることが好ましい。ポリメタフェニレンイソフタラミド繊維としては、帝人テクノプロダクツ社製の「コーネックス(登録商標)」、デュポン社製の「ノーメックス(登録商標)」を例示することができる。
メタ系芳香族ポリアミド樹脂の分解温度は、400〜430℃である。本発明の樹脂組成物がおかれる温度条件の一般的な例として、プリプレグの製造時の温度条件がある。この温度条件は、加圧下、処理温度100〜220℃である。繊維強化複合材料の製造時の温度条件は、処理温度150〜300℃である。従って、本発明の樹脂組成物中に分散するメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、プリプレグや繊維強化複合材料の製造時の温度条件下において分解することなく粒子形を維持する。
メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、繊維強化複合材料が、150〜250℃の耐熱条件が要求される用途で用いられる場合にも、繊維強化複合材料中で粒子として分散する。
上記のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子が分散する本発明の樹脂組成物を用いて製造される繊維強化複合材料は、耐衝撃性が良好である。繊維強化複合材料における本発明の樹脂組成物中のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の寄与について以下に説明する。
本発明の樹脂組成物から最終的に得られる繊維強化複合材料において、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、マトリックス樹脂中に層間粒子として分散して存在する。メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子からなる層間粒子は、繊維強化複合材料が外部から受ける衝撃を吸収し、衝撃時のクラック伝播を抑制する。そのため、該繊維強化複合材料は、耐衝撃性が良好である。
メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の平均粒子径は、1〜50μmの範囲であることが好ましく、3〜30μmがより好ましい。平均粒子径が1μmより小さいと嵩密度が高くなり、樹脂組成物が著しく増粘し、必要な量を添加することが困難となる場合がある。平均粒子径が50μmより大きいと、後述するように樹脂組成物をシート状にする場合に均質な厚みのシートを得にくくなることがある。
樹脂組成物に含有されるメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、樹脂組成物中に10〜30質量%含有することが好ましく、10〜25質量%含有することが好ましく、15〜25質量%含有することが特に好ましい。上記所定の範囲内の含有量で樹脂組成物中に均質に分散されたプリプレグを用いることにより、得られる繊維強化複合材料において、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子からなる層間粒子がクラック伝播を抑制する作用効果を有効に奏する。すなわち、靱性の良好な繊維強化複合材料を得ることができる。
メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有量が10質量%未満の樹脂組成物を含むプリプレグ用いる場合、得られる繊維強化複合材料中の、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子からなる層間粒子は、繊維強化複合材料が受ける衝撃を十分に吸収することができない。そのため、繊維強化複合材料の耐衝撃性が低くなる。30質量%を超える場合、樹脂組成物の粘度が著しく高くなる。そのため、樹脂組成物の製造工程やプリプレグの製造工程における取扱い性が著しく悪化する場合がある。
(1−4)その他の熱可塑性樹脂
樹脂組成物は、必要に応じて、メタ系芳香族ポリアミド樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を含有しても良い。(以下、「その他の熱可塑性樹脂」という場合がある。)
本発明の樹脂組成物に含有されるその他の熱可塑性樹脂としては、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外の公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。
その他の熱可塑性樹脂としては、好ましくは、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂が用いられる。本発明において「アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶」とは、繊維強化複合材料を成型する温度条件下で、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に一部又は全部が溶解することを意味する。繊維強化複合材料の成型過程において、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂は、樹脂組成物が加熱されることにより樹脂組成物中に溶解し、樹脂組成物の粘度を増加させる。これにより成型中における樹脂組成物のフローを防止することができる。
アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な熱可塑性樹脂を用いることもできる。そのようなアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂を挙げることができる。
本発明において「アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶な熱可塑性樹脂」とは、少なくとも繊維強化複合材料を成型する温度条件下で、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に溶解しない熱可塑性樹脂をいう。これらは、単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。
その他の熱可塑性樹脂は、必要に応じて本発明の樹脂組成物に配合される。その他の熱可塑性樹脂の好ましい配合量は、樹脂組成物の全量を基準として、0.1〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。0.1質量%未満の場合は、樹脂組成物の粘度が低くなり、樹脂組成物のフローを招くおそれがある。また15質量%を超える場合、粘度が著しく高くなり取扱い性が著しく悪化する場合がある。
本発明の樹脂組成物にその他の熱可塑性樹脂を含有させる場合、ビスマレイミド樹脂、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有量は、上記の各成分の含有量の範囲内で適宜減少される。
樹脂組成物に含有されるその他の熱可塑性樹脂は、加熱硬化処理における溶解安定性、靭性付与、耐薬品性、耐熱性、耐湿熱性の観点から、マレイミド末端基との反応性を有する反応基を含有しているものが好ましい。反応基としては、フェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。その他の熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されないが、平均粒径0.1〜100μm、特に1〜50μmの粒子であることが好ましい。
(1−5)その他の成分
本発明の樹脂組成物は、必須成分として、ビスマレイミド樹脂、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物、メタ系芳香族ポリアミド樹脂を所定の含有量で含むほか、耐熱性、成型加工性および靱性を損なわない限り、他の成分を含有させることができる。
他の成分としては、導電性粒子、導電性フィラー、無機フィラー、ゴム状成分、靭性付与剤、安定剤や離型剤、着色剤等が例示される。
(2)強化繊維基材
本発明のプリプレグの製造において、樹脂組成物を含浸させる基材として用いられる強化繊維基材としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などを挙げることができる。これらの強化繊維基材の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、比強度、比弾性率が良好で軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる炭素繊維がより好ましく、炭素繊維の中でも、引っ張り強度に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、引張り弾性率は、170〜600GPaであることが好ましく、220〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は3920MPa(400kgf/mm)以上であることが好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、繊維強化複合材料の機械的性質を向上できる。
強化繊維基材の形状は限定されないが、シート状であることが加工性の点から好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシートや、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙などを挙げることができる。強化繊維シートの厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。また強化繊維シートの目付は、70〜400g/mが好ましく、100〜300g/mがより好ましい。
(3)プリプレグ
図1は本発明のプリプレグ1の断面を示す概念図である。2は強化繊維樹脂層で、強化繊維4と、前記強化繊維4に含浸されている樹脂層3と、強化繊維4間に比較的少含有率で分散されるメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5からなる。6は表面樹脂層で、強化繊維樹脂層2の表面に形成されている。表面樹脂層6中には、強化繊維4間に分散されている粒子量よりも比較的高含有率でのメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5が分散している。
本発明のプリプレグは、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる本発明の樹脂組成物を、強化繊維基材に含浸させることにより製造したプリプレグである。
本発明のプリプレグにおいて、本発明の樹脂組成物に含まれるメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の一部は、強化繊維基材の内部まで入り込まず、強化繊維基材の内部の表面近傍に、内部よりも高含有率で分散している。プリプレグ1中に分散しているメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5の分散含有率の違いは、プリプレグ1の製造中に自然に生じる。強化繊維基材に樹脂組成物を含浸させる際に、強化繊維基材がメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5の強化繊維基材内部への侵入を妨げるからである。
更に、表面樹脂層6内のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有率(密度)は、強化繊維樹脂層2内のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有率(密度)よりも高い。その理由は、上記と同様の理由による。
表面樹脂層6の厚みは、通常 5 〜 30 μmで、 10 〜 20 μmが好ましい。強化繊維樹脂層2の厚みは、通常 80 〜 700 μmで、 150 〜 500 μmが好ましい。
本発明のプリプレグ1の積層体を加熱成形することにより、繊維強化複合材料が得られる。積層体中の表面樹脂層6に分散するメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子5は、該繊維強化複合材料内において層間粒子になる。この層間粒子は、外部から複合材料に与えられる衝撃を吸収し、繊維強化複合材料内に生じるクラックの伝播を抑制する。従って、本発明のプリプレグを用いる繊維強化複合材料は、優れた耐衝撃性を備える。
本発明のプリプレグにおいて、樹脂組成物の含有量は、強化繊維基材と樹脂組成物の合計質量を基準として20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。樹脂組成物の含有量が20質量%より少ない場合、このプリプレグを用いて製造される繊維強化複合材料内部に、樹脂層が存在しない空隙部分(ボイド等)を発生させる。樹脂組成物の含有量が60質量%を超える場合、強化繊維基材の含有量が不足し、得られる繊維強化複合材料の強度の低下を招く。
本発明のプリプレグを用いて製造される繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度(CAI)は、通常220〜350MPaであり、好ましくは250〜330MPaである。
(4)樹脂組成物およびプリプレグの製造方法
プリプレグは、樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させることにより製造することができる。
(4−1)樹脂組成物の製造方法
樹脂組成物は、ビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを混練することにより得られる。メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外のその他の熱可塑性樹脂を混練することが好ましい。その他の熱可塑性樹脂は、その粉体を樹脂組成物中に供給し、混合することにより分散粒子としてもよい。
メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、混練される過程で樹脂組成物中に均質に分散される。加熱しながら混練することが好ましい。加熱条件は、混練中の樹脂組成物の所望の粘度に応じて適宜調整される。一例として、ビスマレイミド樹脂と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子と、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度25〜100℃で混練する方法を挙げることができる。
混練は、一段で行ってもよいし、多段で行ってもよい。また、樹脂組成物の各成分の混合順序は限定されないが、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子は、樹脂組成物中の他の成分が均質に混練された後に添加することが好ましい。この混合順序を採用することにより、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を樹脂組成物中に均質に分散させやすくなる。混練時間は混練温度により相違するが、 30 〜 60 分が好ましい。
その他の熱可塑性樹脂を混練する場合、その全量又は一部を予めアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に溶解して配合することが好ましい。
その他の熱可塑性樹脂をアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に溶解する場合は、ビスマレイミド樹脂と混練する前に行うことが好ましい。溶解温度は、80〜130℃が好ましい。
アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物にその他の熱可塑性樹脂を溶解時に、同時にビスマレイミド樹脂を溶解させると、ビスマレイミド樹脂とアルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物との反応が進む。その結果、得られる樹脂組成物、及びこれを用いて製造されるプリプレグの保存安定性が乏しくなる場合がある。
混練機械装置としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー等、従来公知のものを用いることができる。
上記の方法により、樹脂組成物を製造することができる。
(4−2)プリプレグの製造方法
本発明の樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させることにより、本発明のプリプレグを製造することができる。
樹脂組成物を強化繊維基材の内部に含浸させる方法としては、公知の湿式法や乾式法を用いることができる。湿式法は有機溶媒を用いるため、含浸後、有機溶媒を除去する必要がある。従って、製造物に有機溶媒が残存するおそれがない乾式法を用いてプリプレグを製造することが好ましい。
乾式法においては、本発明の樹脂組成物を積重させた強化繊維基材を加圧下で加熱することにより、樹脂組成物の粘度を低下させ、樹脂組成物を強化繊維基材に含浸させる。強化繊維基材がシート状物の場合、樹脂組成物は樹脂フィルムの形態で、強化繊維基材に積重することが好ましい。
樹脂組成物は、公知の方法で樹脂フィルムに成形できる。例えば、樹脂組成物を、ダイコーター、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ナイフコーターなどを用いて、離型紙、フィルムなどの支持体上に流延させる方法により、樹脂組成物を樹脂フィルムに成形できる。樹脂フィルムを製造する処理温度は、樹脂組成物の粘度に応じて設定することができる。通常、処理温度は60〜140℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
樹脂組成物のフィルムの厚さは、概ね8〜350μmとすることが好ましく、10〜200μmとすることがより好ましい。
強化繊維基材に樹脂組成物を含浸させる際の加圧条件は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜調整される。加圧は、1回で行ってもよく、複数回行ってもよい。樹脂組成物の粘度は、プリプレグに使用される通常の樹脂組成物の粘度と同等であればよい。加圧する圧力は、 0.98 〜 245 N/cm が好ましい。
加熱温度は概ね70〜160℃で、80〜120℃が好ましく、樹脂組成物の粘度に応じて調節される。加熱温度が70℃未満である場合、樹脂組成物の粘度が低くならず、樹脂組成物を強化繊維基材内に十分に含浸させることができない。加熱温度が140℃を超える場合、樹脂組成物中のビスマレイミド樹脂とアルケニルフェノールが反応して、プリプレグの硬化反応が起こる。その結果、プリプレグのタック性やドレープ性が悪化しやすい。
上記の方法により、本発明の樹脂組成物を用いるプリプレグを製造することができる。
工業生産的には、加圧は、熱ローラーを用いて連続生産をすることが好ましい。熱ローラーを用いる熱加圧の際のローラーの線圧は、19.6 〜 147 N/cmが好ましい。 プリプレグの工業的生産速度は特に限定しないが、生産性や経済性などを考慮すると、連続生産の場合、好ましくは0.1m/min以上である。より好ましくは、1〜50m/minであり、さらに好ましくは、5〜20m/minである。加熱温度は、すでに述べた。
(5)本発明のプリプレグの使用方法
本発明のプリプレグは公知の手法により硬化させることにより繊維強化複合材料を作製することができる。本発明のプリプレグを用いて繊維強化複合材料を作製する方法としては、従来公知の方法、例えば、マニュアルレイアップ、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置、真空バギング、オートクレーブ硬化、オートクレーブ以外の硬化、流体援用加工、圧力支援プロセス、マッチモールドプロセス、単純プレス硬化、プレスクレーブ硬化、又は連続バンドプレスを使用する方法が挙げられる。
例えば、本発明のプリプレグを積層して、オートクレーブ中で0.2〜1MPaに加圧し、150〜204℃で1〜8時間加熱することによって、成形された繊維強化複合材料を作製することができる。ポストキュアとして180〜280℃の温度範囲で温度を段階的に上昇させながら2〜20時間処理することにより、耐熱性をさらに向上させることができる。
本発明のプリプレグは、高耐熱性の樹脂組成物を用いている。したがって、本発明のプリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料は、少なくとも200℃以上の耐熱性を有する。
本発明のプリプレグは保存安定性に優れ、プリプレグの製造後、常温で少なくとも10日間を経過しても、製造直後の成型加工性を維持する。従ってプリプレグの保存期間が比較的長くなっても、高耐熱性と高耐衝撃性とを有する繊維強化複合材料を製造することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではない。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物の原材料として、以下のものを用いた。
[芳香族ビスマレイミド化合物]
・Matrimid 5292 A(商品名)(N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、 ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・BMI−1100H(商品名)(N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、 大和化成工業(株)社製)
・BMI−2300(商品名)(フェニルメタンマレイミドオリゴマー、 大和化成工業(株)社製)
・BMI−80(商品名)(2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、 ケイ・アイ化成(株)社製)
・BMI−4000H(商品名)(ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド、 大和化成工業(株)社製)
・BMI−7000H(商品名)(4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、 大和化成工業(株)社製)
[脂肪族ビスマレイミド化合物]
・BMI−TMH(商品名)(1,6'−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、 大和化成工業(株)社製)
・GP−207−R(商品名)(1,6'−ヘキサメチレンジアミンビスマレイミド(HMDA−BMI)、 Cymer社製)。
[アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物]
・Matrimid 5292 B(商品名)(O,O’−ジアリルビスフェノールA、 ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・DABPA(商品名)(2,2’−ジアリルビスフェノールA、 大和化成工業(株)社製)。
[メタ系芳香族ポリアミド樹脂]
ポリメタフェニレンイソフタラミドパウダー
・コーネックス(登録商標)(帝人テクノプロダクツ社製)の粉体(平均粒子径12μm)。
[その他の熱可塑性樹脂]
ポリエーテルイミド
・Ultem1000−1000(商品名)粉砕物(SABICイノベーティブプラスチック社製、平均粒子径15μm)。
ポリエーテルスルホン
・スミカエクセル5003P(商品名)粉砕物(住友化学(株)社製、平均粒子径15μm)
上記のポリエーテルイミドとポリエーテルスルホンは、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶である。
ポリイミド樹脂
・AURUM PL450C(商品名)粉砕物(三井化学(株)社製、平均粒子径12μm)
・P84(商品名)(ポリイミド樹脂、 HP Polymers社製、 平均粒子径15μm)
上記のポリイミド樹脂は、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に不溶である。
(強化繊維基材)
炭素繊維
・IMS 65 E 23 24K 830tex(東邦テナックス(株)社製)
引張り強度:5800MPa
引張り弾性率:290GPa
上記の炭素繊維は、高強度・中弾性炭素繊維である。
(樹脂組成物の物性測定方法)
[平均粒子径]
メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の粒子径は、日機装株式会社製 レーザー回折・散乱式の粒度分析計(マイクロトラック法)MT3300を用いて、粒度分布の測定を実施し、そのD50を平均粒子径とした。
(プリプレグの物性測定方法)
[吸水率]
プリプレグを一辺が100mmの正方形にカットし、質量(W1)を測定した。その後、デシケーターに入れた水中に、プリプレグを沈めた。デシケーター内を、10KPa以下に減圧した後、常圧に戻すことにより、プリプレグ内部の空気と水を置換させた。プリプレグを水中から取り出し、表面の水を拭き取り、プリプレグの質量(W2)を測定した。これらの測定値から下記式
吸水率(%)=[(W2−W1)/W1]×100
W1:プリプレグの質量(g)
W2:吸水後のプリプレグの質量(g)
を用いて吸水率を算出した。
吸水率は、プリプレグ中の空隙率を示す指標であり、2〜30%が好ましく、4〜15%がより好ましい。吸水率が高いほど、プリプレグ中の空隙率が高いことを示す。吸水率が30%を超える場合、プリプレグ中に空隙が多く、成形時の取扱いが困難になる。 更に、製造される繊維強化複合材料内に空隙が残り易くなるので、複合材料の物性に悪影響を与える。吸水率が2%未満の場合、プリプレグ中の空隙が少ないので、ドレープ性が低くなる。その結果、良好な成型加工性が得られなくなる。
[室温保存安定性]
プリプレグを、温度26.7℃、湿度65%の雰囲気下で10日間保存した後、一辺が100mmの正方形にカットし、後述する金型の折曲げ部を覆って積層した。金型表面形状は、曲率r=12.7mmで金属板をその中央で角度90度に折曲げると共に、折曲げ部を上方に突出した形状であった。プリプレグの金型に対する積層状態を評価した。評価結果は以下の基準(○、△、×)で表した。
○:金型へ積層しても金型表面形状に十分追従し、取扱い性が製造直後とほとんど変わらない。
△:プリプレグの硬化反応が進行し、タック性・ドレープ性が低下しているが、金型へ積層しても、使用するには問題がない。
×:プリプレグの硬化反応が進行し、タック性・ドレープ性が著しく低下しており、金型へ積層する場合、金型の表面形状に追従ができない。
[タック性]
プリプレグのタック性は、タッキング試験装置 TAC−II(RHESCA CO.,LTD.)を用いる、以下のタックプローブ試験により測定した。
27℃に保持された試験ステージにプリプレグをセットし、27℃に保持されたφ5のタックプローブで初期荷重100gfの荷重をプリプレグに付荷した。その後、10mm/secの試験速度で引き抜き、その際の最大の荷重(最大引抜荷重)を求めた。製造直後のプリプレグと、温度26.7℃、湿度65%に10日間保存したプリプレグに、それぞれタックプローブ試験を実施した。製造直後のプリプレグの最大引抜荷重に対する10日間保存した後のプリプレグの最大引抜荷重の割合を%表示し、これをタック保持率とした。タック性の評価結果は以下の基準(○、△、×)で表した。
○:製造直後の最大引抜荷重が100gf以上で、10日間保存後のタック保持率が100〜50%
△:製造直後の最大引抜荷重が100gf以上で、10日間保存後のタック保持率が50〜25%
×:製造直後の最大引抜荷重が100gf以上で、10日間保存後のタック保持率が25〜0%
(強化繊維複合材料の物性の測定方法)
本発明のプリプレグを用いて、以下に記載する方法で強化繊維複合材料の試験片を成形し、物性を以下の方法により測定した。
[ガラス転移温度]
プリプレグを一辺が100mmの正方形にカットし、これを2枚積層して、積層構成[0]の積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃で6時間成形した。得られた成形物を取り出し、熱風循環乾燥機を用いて、200℃の条件下で12時間、フリースタンドでポストキュアを実施した。
得られた成形物を幅2.54mm×長さ10.2mmの寸法に切断し、TMA(熱機械分析装置、Bruker社製)を用いて曲げモードにより炭素繊維強化複合材料のTgを測定した。測定は、窒素雰囲気中で、昇温速度10℃/minで400℃まで昇温して行った。
[衝撃後圧縮強度(CAI)]
プリプレグを一辺が360mmの正方形にカットし、これを24枚積層して、積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、200℃で3時間成形した。得られた成形物を取り出し、熱風循環乾燥機を用いて、200℃で12時間、フリースタンドでポストキュアーを実施した。
得られた強化繊維複合材料の成形物を幅101.6mm×長さ152.4mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強度(CAI)試験の試験片を得た。この試験片を用いて、SACMA SRM 2R−94に従い、30.5J衝撃後のCAIを測定した。試験片圧縮試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、繰返し測定試料数n=5で測定を行った。
[面内せん断弾性率(IPSM)]
本発明のプリプレグを所定の寸法にカットし、積層して、積層構成[+45/−45]1Sの積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、200℃で3時間成形した。得られた成形物を取り出し、熱風循環乾燥機を用いて、200℃で12時間、フリースタンドでポストキュアーを実施した。
強化繊維複合材料を幅12.7mm×長さ228.6mmの寸法に切断し、23℃のメチルエチルケトン溶液に6日間浸漬し、浸積後の面内せん断弾性率を測定した。
即ち、メチルエチルケトン(MEK)溶液浸漬前の面内せん断弾性率(G1)、及び23℃のメチルエチルケトン溶液に6日間浸漬後の面内せん断弾性率(G2)を測定し、下記計算式
保持率(%)=(G2 ÷ G1)×100
を用いて、せん断弾性率保持率を算出した。面内せん断弾性率の測定は、JIS K 7019に従った。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは1.27mm/分とし、n=5で測定を行った。面内せん断弾性率の保持率が90%以上ある場合を耐MEK特性が良好と判断した。
(実施例1)
実施例1では、表1に示すアルケニルフェノールと、ビスマレイミド樹脂と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを、処理温度85℃で30分間攪拌機を用いて混合し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/mの樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム上に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成した。炭素繊維基材の上に樹脂組成物フィルムを積層し、樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維シートを挟み込んだ積層体を得た。この積層体を、加熱ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら110℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。実施例1の物性の評価結果を表1に示す。
実施例1は、得られる複合材料の物性は優れたものであったが、固形成分が多いため、取り扱いの面で、他の実施例と比較して、劣る結果であった。
(実施例2−4)
実施例2―4では、表1に示すアルケニルフェノールと、熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。その後、攪拌機の温度を85℃にして、上記混合物にビスマレイミド樹脂と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、加熱ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら110℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。実施例2−4の物性の評価結果を表1に示す。
実施例2−4では、得られる複合材料の物性は優れたものであったが、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミドをアルケニルフェノールに多量に混合させたため、時間経過とともにプリプレグ表面に徐々に析出し、他の実施例と比較し、取り扱い性の面で劣る結果となった。
(実施例5、6)
実施例5、6では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、BMI−80とTMH−BMIを加えて、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、BMI−1100H、BMI−7000H、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、加熱ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら120℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。実施例5−6の物性の評価結果を表1に示す。
実施例5、6で得られる複合材料は、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。
(実施例7)
実施例7では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、BMI−2300とGP−207−Rを加えて、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、BMI−1100Hと、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、実施例5,6と同様の方法でプリプレグを得た。
実施例7で得られる複合材料は、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。
(実施例8)
実施例8では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、GP−207−Rを加えて、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、BMI−1100H、BMI−7000Hとメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、実施例5,6と同様の方法でプリプレグを得た。
実施例8で得られる複合材料は、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。
(実施例9)
実施例9では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、TMH−BMIを加えて、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、BMI−1100H、BMI−7000Hとメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、実施例5,6と同様の方法でプリプレグを得た。
実施例9で得られる複合材料は、脂肪族ビスマレイミドを多量に添加したことにより、ガラス転移温度Tgが若干低下したものの、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。
(実施例10)
実施例10では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、TMH−BMIを加えて、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、Matrimid 5292Aとメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、実施例5,6と同様の方法でプリプレグを得た。
実施例10で得られる複合材料は、ビスマレイミド樹脂の添加量が少なくなったことにより、ガラス転移温度Tgが若干低下したものの、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。
(実施例11)
実施例11では、プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率を40質量%にする以外は実施例6と同様にして、プリプレグを製造した。実施例11の物性の評価結果を表1に示す。
実施例11で得られる複合材料は、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。
(実施例12)
実施例12では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、BMI−2300、BMI−80、TMH−BMIを加えて、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、Matrimid 5292A、BMI−7000Hとメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、実施例5,6と同様の方法でプリプレグを得た。
実施例12で得られる複合材料は、取り扱い性、機械物性の両方に優れたものであった。

(実施例13)
実施例13では、表1に示すアルケニルフェノールと、その他の熱可塑性樹脂とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、Matrimid 5292Aと、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えてさらに混合し、本発明の樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、実施例5,6と同様の方法でプリプレグを得た。
実施例12で得られる複合材料は、樹脂が高粘度となり取り扱い性の点で若干劣るものの、機械物性に優れたものであった。
Figure 2014105317
(比較例1)
比較例1では、表2に示すアルケニルフェノールと、BMI−80、TMH−BMIとを、処理温度100℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。その後、攪拌機の温度を85℃にして、上記混合物にビスマレイミド樹脂と、その他の熱可塑性樹脂とを混合して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/mの樹脂組成物フィルムを得た。
樹脂組成物フィルム2枚の間に炭素繊維ストランドを一方向に均一に配列させて、目付け190g/mのシート状の炭素繊維基材を形成し、樹脂組成物フィルムと炭素繊維シートからなる積層体を得た。得られた積層体を、ローラーを用いて線圧30N/cmで加圧しながら120℃で加熱し、プリプレグを得た。プリプレグ全体に対する樹脂組成物の含有率は35質量%であった。比較例1の物性の評価結果を表2に示す。
表2に於いて、wは、本発明の範囲外であることを示す。
(比較例2)
比較例2では、表2に示すアルケニルフェノールと、Ultem1000−1000とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を100℃まで降温させたのち、BMI−80、TMH−BMIとを加えて、処理温度100℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させて、Matrimid 5292A、BMI−7000HとAURUM PL450Cとを加えてさらに混合し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、比較例1と同様の方法でプリプレグを得た。比較例2の物性の評価結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例3では、表2に示すアルケニルフェノールと、スミカエクセル5003Pとを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させたのち、Matrimid 5292A、AURUM PL450Cとを加えて、処理温度80℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、比較例1と同様の方法でプリプレグを得た。
比較例3の物性の評価結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例4では、表2に示すアルケニルフェノールと、Ultem1000−1000とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させたのち、Matrimid 5292A、P84とを加えて、処理温度80℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、比較例1と同様の方法でプリプレグを得た。比較例4の物性の評価結果を表2に示す。
(比較例5)
比較例5では、表2に示すアルケニルフェノールと、Ultem1000−1000とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させたのち、Matrimid 5292A、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を加えて、処理温度80℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、比較例1と同様の方法でプリプレグを得た。比較例5の物性の評価結果を表2に示す。
(比較例6)
比較例6では、表2に示すアルケニルフェノールと、Ultem1000−1000とを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させたのち、Matrimid 5292Aと、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えて、処理温度80℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物は、固相成分が多く、粘度が高くなりすぎて、樹脂フィルムを製造することが出来なかった。
(比較例7)
比較例7では、表2に示すアルケニルフェノールと、TMH−BMI、GP−207−R、BMI−2300とを処理温度100℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させたのち、Matrimid 5292A、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを加えて、処理温度80℃で攪拌機を用いて混練したが、固相成分が多いため、樹脂混練が困難となったため、中止した。
(比較例8)
比較例8では、表2に示すアルケニルフェノールと、Matrimid 5292A、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを処理温度80℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型フィルム上に塗布し、目付 50.2 g/cmの樹脂組成物フィルムを得、比較例1と同様の方法でプリプレグを得た。比較例8の物性の評価結果を表2に示す。
比較例8は、プリプレグの取り扱い性は良好であるが、ビスマレイミド樹脂に対する共反応物となるアルケニルフェノールの割合が多すぎるため、完全に硬化することが出来なかった。
(比較例9)
比較例9では、表2に示すアルケニルフェノールと、Ultem1000−1000、スミカエクセル5003Pとを、処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
その後、上記、樹脂組成物を80℃まで降温させたのち、Matrimid 5292A、BMI−7000H、P84、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を加えて、処理温度80℃で攪拌機を用いて撹拌し、樹脂組成物を得た。
比較例9は、プリプレグの取り扱い性は良好であるが、比較例8と同様、ビスマレイミド樹脂に対する共反応物となるアルケニルフェノールの割合が多すぎるため、完全に硬化することが出来なかった。
(比較例10)
比較例10では、表2に示すアルケニルフェノールと、Matrimid 5292A、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子とを処理温度120℃で攪拌機を用いて30分間攪拌したが、固相成分が多いため、樹脂混練りが困難なため、製造を中止した。
Figure 2014105317
実施例1−13は、いずれも得られた繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度が、比較例1−5から得られる繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度よりも高い。上記のとおり、本発明の樹脂組成物を用いた本発明のプリプレグは、耐熱性および成型加工性に優れ、高い耐衝撃性を備える繊維強化複合材料を製造することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを含む混合物からなる樹脂組成物であって、混合物中に前記メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子を分散させてなる樹脂組成物。
  2. 前記メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の平均粒子径が、1〜50μmである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子以外のその他の熱可塑性樹脂0.1〜15質量%を含む請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記メタ系芳香族ポリアミド樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂は、前記アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物に可溶な熱可塑性樹脂である請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 強化繊維を含む強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に積層された強化繊維を含まない表面樹脂層とからなるプリプレグであって、このプリプレグは、請求項1〜4の何れかに記載の樹脂組成物を強化繊維に含有率が20〜60質量%で含浸させてなるプリプレグであり、表面樹脂層中のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子の含有率が、前記強化繊維樹脂層中のメタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子含有率よりも高いプリプレグ。
  6. 前記強化繊維基材が炭素繊維である請求項5に記載のプリプレグ。
  7. 少なくとも、ビスマレイミド樹脂20〜80質量%と、アルケニルフェノール又はアルケニルフェノールエーテル化合物10〜70質量%と、メタ系芳香族ポリアミド樹脂粒子10〜30質量%とを、処理温度25〜100℃で混合する、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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