JP6899239B2 - プリプレグ及びその製造方法、並びに繊維強化複合材料 - Google Patents
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Description
また、プリプレグの表面領域に樹脂粒子が存在すると、プリプレグのタック性が低下する傾向があった。
粒子状物質を含む粒子含有樹脂組成物から成り、前記樹脂含浸繊維層(I)の片面又は両面に形成された粒子含有樹脂層(II)と、
熱硬化性樹脂組成物から成り、前記粒子含有樹脂層(II)の表面に形成された樹脂被覆層(III)と、
から成るプリプレグであって、
樹脂含浸繊維層(I)中の強化繊維の平均繊維径(r)と平均繊維間距離(d)とが下記式(1)
0.04 ≦ d/r ≦ 0.25 ・・・式(1)
を満たすことを特徴とするプリプレグ。
次いで、樹脂フィルム(A)の表面に、熱硬化性樹脂組成物から成る樹脂フィルム(B)を積重し、
前記樹脂フィルム(B)を介して前記樹脂フィルム(A)を含浸圧力1〜50kN/cmで加圧することを特徴とするプリプレグの製造方法。
前記樹脂フィルム(A)を構成する粒子含有樹脂組成物の100℃における粘度が、10〜1000Pa・sであるプリプレグの製造方法。
前記強化繊維基材の任意の断面における繊維間距離の変動係数が15%以下であることを特徴とする繊維強化複合材料。
本発明のプリプレグは、強化繊維基材と、前記強化繊維基材内に含浸された熱硬化性樹脂組成物と、から成る樹脂含浸繊維層(I)と;
粒子状物質を含む粒子含有樹脂組成物から成り、前記樹脂含浸繊維層(I)の片面又は両面に形成された粒子含有樹脂層(II)と;
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物から成り、前記粒子含有樹脂層(II)の表面に形成された樹脂被覆層(III)とから成る。
これらの樹脂含浸繊維層(I)10と、粒子含有樹脂層(II)20と、樹脂被覆層(III)30と、はこの順に積層されて一体化されている。
樹脂含浸繊維層(I)は、強化繊維基材と、前記強化繊維基材内に含浸された熱硬化性樹脂組成物と、から成る。樹脂含浸層の厚み、平均繊維間距離は後述の方法でプリプレグを硬化し測定される。
0.04 ≦ d/r ≦ 0.25 ・・・式(1)
を満たす。ここで、下限値は0.08であることが好ましく、0.13であることがより好ましい。上限値は、0.24であることが好ましく、0.20であることがより好ましい。
0.04〜0.25であれば、単繊維同士が接触している比率が低く、単繊維間にマトリクス樹脂が十分に浸透した状態となる。そのため、強化繊維の単繊維表面とマトリクス樹脂との接着面が多くなる。その結果、このプリプレグを用いて作製される繊維強化複合材料に応力がかかった時に、マトリクス樹脂から伝達される応力を各単繊維に均一に分散することができる。したがって、繊維強化複合材料の機械物性を高くすることができる。0.04未満である場合、強化繊維の含有量が少な過ぎるため、このプリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料の機械物性が不十分となる。0.25を超える場合、単繊維同士の接触が多く、このプリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料は、強化繊維の各単繊維にかかる応力を均一に分散することができない。
なお、本発明において繊維間距離とは、単一の強化繊維基材層内において最も近接する繊維同士の距離を意味し、隣接する強化繊維層との距離を意味するものではない。
なお、強化繊維の繊維間距離の変動係数を小さくするには、繊維間距離の変動係数が小さい強化繊維基材を用いて、該繊維間距離をできるだけ変動させず(特に、局所的な変動を生じないように)に樹脂を含浸することが求められる。
本発明で用いる強化繊維基材としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などが挙げられる。
本発明において、樹脂含浸繊維層(I)を構成する熱硬化性樹脂組成物は、特に制限はなく、耐熱性及び機械物性の観点から、熱により架橋反応が進行して、少なくとも部分的に三次元架橋構造を形成する熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
粒子含有樹脂層(II)は、粒子状物質を含む粒子含有樹脂組成物から成る。
本発明において、粒子含有樹脂層(II)を構成する粒子含有樹脂組成物は、上記の熱硬化性樹脂組成物に粒子状物質を含有して成る。粒子状物質としては、繊維強化複合材料に付与する特性に応じて適宜選択されるが、例えば以下に説明する物質が用いられる。
マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、マトリクス樹脂不溶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾールが例示される。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドは、靭性及び耐熱性が高いため好ましい。ポリアミドやポリイミドは、繊維強化複合材料に対する靭性向上効果が特に優れている。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、これらの共重合体を用いることもできる。
樹脂被覆層(III)は、熱硬化性樹脂組成物から成る。
樹脂被覆層(III)を構成する熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、該熱硬化性樹脂100質量部に対して10〜50質量部の熱可塑性樹脂と、を含む樹脂組成物であることが好ましい。樹脂被覆層(III)を構成する熱硬化性樹脂組成物に含まれる各成分は、上述の成分と同一のものを用いることができる。
熱可塑性樹脂の含有量が10質量部未満である場合、プリプレグのタック性を向上する効果が小さい。また、樹脂被覆層(III)が低粘度となるため、粒子含有樹脂層(II)に含まれる粒子状物質がプリプレグの表面に移動し、プリプレグのタック性を低下させる場合がある。50質量部を超える場合、プリプレグのドレープ性が低下し易い。
熱可塑性樹脂の含有量の下限値は、15質量部であることが好ましく、20質量部であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量の上限値は、40質量部であることが好ましく、35質量部であることがより好ましい。
本発明のプリプレグの製造方法は、ホットメルト法により製造される。ホットメルト法は、離型紙の上に、樹脂組成物を薄いフィルム状に塗布して樹脂フィルムを形成し、次いで、該樹脂フィルムを離型紙から剥離して強化繊維基材に積層した後、加圧加熱することにより、樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させる方法である。
樹脂フィルム(A)の目付は20〜45g/m2が好ましく、樹脂フィルム(B)の目付は2〜15g/m2が好ましい。樹脂フィルム(A)と樹脂フィルム(B)の目付の比が2:1〜9:1の範囲とすることが好ましい。フィルム目付をこの範囲とすることで、プリプレグの各層の厚み、平均繊維間距離を所望の範囲としやすい。
なお、樹脂フィルム(A)50が強化繊維基材40内に含浸された後に、その表面に樹脂フィルム(B)60を積層する製造方法は、本発明の製造方法ではない。
なお、本発明のプリプレグは、樹脂被覆層(III)を有する。そのため、樹脂被覆層(III)を有さない従来のプリプレグと比較して、強化繊維基材内に含浸する樹脂組成物における粒子状物質の含有率が相対的に高くなる(粒子状物質の含有率及び樹脂の含有率がそれぞれ同一のプリプレグを作製する場合)。即ち、樹脂フィルム(A)中における粒子状物質の含有率は、プリプレグを構成する全樹脂に対する粒子状物質の含有率よりも高い。したがって、強化繊維基材内に含浸される樹脂組成物の粘度が高くなる傾向があるため、含浸圧力も高くなる傾向がある。含浸圧力が高くなると、含浸操作の際に強化繊維基材の繊維間距離が拡大し易くなる。本発明は、樹脂フィルム(A)を樹脂フィルム(B)を介して加圧するため、含浸圧力を高くしても含浸操作の際に強化繊維基材の繊維間距離が拡大し難い。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、含浸温度は50〜150℃であることが好ましく、60〜145℃であることがより好ましく、70〜140℃であることが特に好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維基材内に熱硬化性樹脂が含浸されて成り、強化繊維基材の層間に粒子状物質が存在する繊維強化複合材料であって、強化繊維基材の任意の断面における繊維間距離の変動係数が15%以下であることを特徴とする。
強化繊維の繊維間距離の変動係数は、14%以下であることが好ましく、13%以下であることがより好ましい。15%を超える場合、繊維間距離のばらつきが大きく、このプリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料は、強化繊維の各単繊維にかかる応力を均一に分散することができない。変動係数の下限値は小さいほど好ましいが、一般に0.1%以上である。
なお、強化繊維の繊維間距離の変動係数を小さくするには、繊維間距離の変動係数が小さい強化繊維基材を用いて、該繊維間距離をできるだけ変動させずに(特に、強化繊維基材の表面付近に局所的な変形を生じないように)繊維強化複合材料を作製することが求められる。このような繊維強化複合材料は、プリプレグの製造時の含浸工程において、強化繊維基材が変形されていない本発明のプリプレグを用いて製造することができる。
0.04 ≦ d2/r2 ≦ 0.25 ・・・式(2)
を満たすことが好ましい。ここで、下限値は0.08であることが好ましく、0.13であることがより好ましい。上限値は、0.24であることが好ましく、0.20であることがより好ましい。
0.04〜0.25であれば、強化繊維基材の繊維間距離が適切な範囲内にあり、強化繊維の単繊維表面とマトリクス樹脂との接着面が多くなる。その結果、繊維強化複合材料に応力がかかった時に、マトリクス樹脂から伝達される応力を各単繊維に均一に分散することができる。0.04未満である場合、単繊維同士の接触が多く、強化繊維の各単繊維にかかる応力を均一に分散することができない。0.25を超える場合、単繊維同士の接触が多く、強化繊維の各単繊維にかかる応力を均一に分散することができない。
本発明のプリプレグを用いて本発明の繊維強化複合材料を成形する場合、プリプレグを目的に応じて積層して成形及び硬化させる。プリプレグの積層方法としては、例えば、マニュアルレイアップ、自動テープレイアップ(ATL)、自動繊維配置法などが挙げられる。
(エポキシ樹脂)
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂
ハンツマン・ジャパン株式会社製 「アラルダイト MY600」 (以下、MY600)
・グリシジルアミン型エポキシ樹脂
ハンツマン・ジャパン株式会社製 「アラルダイト MY721」 (以下、MY721)
(エポキシ樹脂硬化剤)
・芳香族アミン系硬化剤
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(小西化学工業株式会社製)(以下、3,3’−DDS)
(粒子状物質)
・ポリアミド12(エポキシ樹脂に不溶な熱可塑性樹脂)(ダイセル・エボニック社製 MSP−A6496(以下、PA12)
・ポリエーテルスルホン(エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂)(以下、PES)
住友化学工業株式会社製 「PES−5003P」(平均粒子径15μm)
(1)平均粒子径(レーザー回折法)
粒子状物質および熱可塑樹脂の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式の粒度分析計(マイクロトラック法:MT3300(日機装株式会社製))を用いて、粒度分布の測定を実施し、その50%粒子径(D50)を平均粒子径とした。
プリプレグを100mm×100mmにカットし、温度25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に保管後、プリプレグ同士を積層して貼り合わせる。その後、積層したプリプレグを垂直に立てたアルミ板に貼り付けて、積層したプリプレグが剥がれないか評価する。
プリプレグを100×100mmにカットし、質量(W1)を測定した。その後、デシケーター中でプリプレグを水中に沈めた。デシケーター内を、10kPa以下に減圧し、プリプレグ内部の空気と水を置換させた。プリプレグを水中から取り出し、表面の水を拭き取り、プリプレグの質量(W2)を測定した。これらの測定値から下記式
吸水率(%)=[(W2−W1)/W1]×100
W1:プリプレグの質量(g)
W2:吸水後のプリプレグの質量(g)
を用いて吸水率を算出した。
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、プリプレグを100mm×100mmの大きさにカットし、積層し、積層構成[0]6の積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.49MPaで、温度180℃で、120分間であった。得られた成形物を繊維軸の断面方向にカットし、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製 VK−8710)を用いて、倍率100倍(視野の大きさ:106μm×142μm)にて樹脂層が視野に入らないように、繊維層を中心に撮影した。その後、旭化成エンジニアリング株式会社の提供する画像解析ソフト(A像くん(商品名))を用いて各繊維間の壁間距離を測定し、繊維間距離及びその変動係数を求めた。
測定試料は、オートクレーブ成形法を用いて製造した。即ち、プリプレグをカットし、積層し、積層構成[+45/−45]2Sの積層体を得た。この積層体を、通常のオートクレーブ成形法で成形した。成形条件は、圧力0.49MPaで、温度180℃で、120分間であった。得られた成形物を幅25mm×長さ230mmの大きさに切断し、EN6031に則って測定し、降伏点応力の強度をIPS降伏点強度とした。
得られたプリプレグを一辺が30mmの正方形にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを発生させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]20のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(FRP)を幅 12.7 mm × 長さ 304.8 mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードI(GIc)の試験片を得た。
GIcの試験方法として、双片持ちはり層間破壊靱性試験法(DCB法)を用い、離型シートの先端から12.7mmの予亀裂(初期クラック)を発生させた後に、さらに亀裂を進展させる試験を行った。予亀裂の先端から、亀裂進展長さが127mmに到達した時点で試験を終了させた。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは12.7mm/分とし、n=5で測定を行った。
亀裂進展長さは顕微鏡を用いて試験片の両端面から測定し、荷重、及び亀裂開口変位を計測することにより、GIc算出した。
前駆体繊維であるPAN繊維(フィラメント数24000)を、空気中250℃で、繊維比重1.35になるまで耐炎化処理を行い、次いで窒素ガス雰囲気下、最高温度650℃で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1500℃で高温炭素化させて製造した炭素繊維を、10質量%の硫酸アンモニウム水溶液を用い、40C/gの電気量で電解酸化により表面処理を行い、乾燥して炭素繊維束(引張強度5800MPa、引張弾性率290GPa、フィラメント数24000、平均繊維直径5μm)を得た。その後、炭素繊維束を一方向に引き揃え、炭素繊維基材(目付:190g/m2)を作製した。
(A) 50質量部のMY600と、50質量部のMY721と、20質量部のPESと、を混合し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し完全溶解させた後、樹脂温度を80℃以下に冷却した。その後、35質量部の粒子状物質(平均粒子径20μmのPA12)を混練し、さらに硬化剤である3,3’-DDSを45質量部混練して、粒子含有熱硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。
調製した粒子含有熱硬化性エポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して、40(g/m2)の樹脂フィルム(A)を、2枚作製した。
(B) 次いで、100質量部のMY600と、10質量部のPESと、を混合し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し完全溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の100℃における粘度は32Pa・sであった。
調製したエポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して、10(g/m2)の樹脂フィルム(B)を2枚作製した。
炭素繊維基材の両面に、樹脂フィルム(A)及び樹脂フィルム(B)をこの順で貼り合わせ、ローラーを用いて温度130℃、含浸線圧30(kN/cm)で加圧及び加熱してプリプレグを得た。このプリプレグの樹脂含有率は35(質量%)であり、タック保持日数は33(日間)、吸水率は2.3(%)であった。得られたプリプレグの平均繊維間距離を表1に示した。
このプリプレグを用いて作製した繊維強化複合材料の繊維間距離は1.1(μm)であり、IPS降伏点強度は87(MPa)であり、GIcは660(J/m2)であった。
含浸圧力を表1記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。含浸圧力を変更したことで、得られたプリプレグの平均繊維間距離が表1に記載の値に変化したが、いずれも、式(1)の要件を満たすものであった。樹脂フィルム(A)が樹脂フィルム(B)を介して含浸された実施例2,3のプリプレグは、タック保持日数が高く、このプリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料はその機械強度が優れていた。
前駆体繊維であるPAN繊維(フィラメント数24000)を、空気中250℃で、繊維比重1.35になるまで耐炎化処理を行い、次いで窒素ガス雰囲気下、最高温度650℃で低温炭素化させた。その後、窒素雰囲気下1500℃で高温炭素化させて製造した炭素繊維を、10質量%の硫酸アンモニウム水溶液を用い、40C/gの電気量で電解酸化により表面処理を行い、乾燥して炭素繊維束(引張強度5800MPa、引張弾性率290GPa、フィラメント数24000、平均繊維直径5μm)を得た。その後、炭素繊維束を一方向に引き揃え、炭素繊維基材(目付:190g/m2)を作製した。
(A) 50質量部のMY600と、50質量部のMY721と、20質量部のPESと、を混合し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し完全溶解させた後、樹脂温度を80℃以下に冷却した。その後、35質量部の粒子状物質(平均粒子径12μmのPA12)を混練し、さらに硬化剤である3,3’-DDSを45質量部混練して、粒子含有熱硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。
調製した粒子含有熱硬化性エポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して、40(g/m2)の樹脂フィルム(A)を、2枚作製した。
(B) 次いで、100質量部のMY600と、10質量部のPESと、を混合し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し完全溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の100℃における粘度は32Pa・sであった。
調製したエポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して、10(g/m2)の樹脂フィルム(B)を2枚作製した。
炭素繊維基材の両面に、樹脂フィルム(A)を貼り合わせ、ローラーを用いて温度130℃、含浸線圧30(kN/cm)で加圧及び加熱した後、樹脂フィルム(B)を貼り合わせてプリプレグを得た。このプリプレグの樹脂含有率は35(質量%)であり、タック保持日数は33(日間)、吸水率は1.2(%)、平均繊維間距離(d)は0.5(μm)であった。
このプリプレグを用いて作製した繊維強化複合材料の繊維間距離は0.5(μm)であり、IPS降伏点強度は79(MPa)であり、GIcは560(J/m2)であった。
実施例1と同一の炭素繊維基材を作製した。
(A) 50質量部のMY600と、50質量部のMY721と、20質量部のPESと、を混合し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し完全溶解させた後、樹脂温度を80℃以下に冷却した。その後、35質量部の粒子状物質(平均粒子径20μmのPA12)を混練し、さらに硬化剤である3,3’-DDSを45質量部混練して、粒子含有熱硬化性エポキシ樹脂組成物を調製した。
(B) 次いで、100質量部のMY600と、10質量部のPESと、を混合し、120℃で30分間攪拌機を用いて撹拌し完全溶解させ、エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の100℃における粘度は32Pa・sであった。上記2種類の樹脂組成物を(A):(B)が4:1になるように混合し、樹脂組成物を作製した。
調製した粒子含有熱硬化性エポキシ樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙上に塗布して、50(g/m2)の樹脂フィルム(A)を2枚作製した。
炭素繊維基材の両面に、樹脂フィルム(A)を貼り合わせ、ローラーを用いて温度130℃、含浸線圧30(kN/cm)で加圧及び加熱してプリプレグを得た。このプリプレグの樹脂含有率は35(質量%)であり、タック保持日数は4(日間)、吸水率は6.8(%)、平均繊維間距離(d)は0.9(μm)であった。
このプリプレグを用いて作製した繊維強化複合材料の繊維間距離は0.9(μm)であり、IPS降伏点強度は85(MPa)であり、GIcは590(J/m2)であった。
含浸圧力を表1記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。
含浸圧力を高くしたことで、得られたプリプレグの平均繊維間距離が表1に記載のように、式(1)の要件を満たさないものとなった。また、層間粒子に変形が見られた。そのため、このプリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料はその機械強度が低いものとなった。
10・・・樹脂含浸繊維層(I)
11・・・強化繊維基材
13・・・熱硬化性樹脂組成物
20・・・粒子含有樹脂層(II)
21・・・粒子状物質
23・・・熱硬化性樹脂組成物
30・・・樹脂被覆層(III)
31・・・樹脂組成物
40・・・強化繊維基材層
41・・・強化繊維
50・・・樹脂フィルム(A)
51・・・粒子状物質
53・・・熱硬化性樹脂組成物
60・・・樹脂フィルム(B)
61・・・樹脂組成物
Claims (2)
- 強化繊維基材の片面又は両面に、熱硬化性樹脂と粒子状物質とを含む粒子含有樹脂組成物から成る樹脂フィルム(A)を積重し、
次いで、樹脂フィルム(A)の表面に、熱硬化性樹脂組成物から成る樹脂フィルム(B)を積重し、
前記樹脂フィルム(B)を介して前記樹脂フィルム(A)を含浸圧力1〜50kN/cmで加圧することを特徴とするプリプレグの製造方法。 - 請求項1に記載のプリプレグの製造方法であって、
前記樹脂フィルム(A)を構成する粒子含有樹脂組成物の100℃における粘度が、10〜1000Pa・sであるプリプレグの製造方法。
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