JP2012149237A - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、および繊維強化複合材料 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、および繊維強化複合材料 Download PDF

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竜治 澤岡
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Hiroshi Taiko
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Abstract

【課題】圧縮強度、引張強度を高いレベルで両立できる繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】下記[A]に[B]がされてなるとともに、[A]に[C]が溶解されてなる熱硬化性樹脂組成物、または、下記[A]に[B’]が分散されてなる熱硬化性樹脂組成物、および強化繊維に、これらいずれかの熱硬化性樹脂組成物を含浸して得られたプリプレグ、ならびに強化繊維とマトリックス樹脂からなり、マトリックス樹脂がかかる熱硬化性樹脂組成物の硬化物である、繊維強化複合材料。
[A]熱硬化性樹脂
[B]粒径が0.5μm以下である無機粒子
[C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤
[B’]表面に[A]と反応しうる官能基を有し、かつ、粒径が0.5μm以下である無機粒子
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、ならびにそれを用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料に関する。さらに詳しくは、高い圧縮強度および曲げ強度を発現し、かつ、高い引張強度、疲労強度を有する繊維強化複合材料を与える熱硬化性樹脂組成物、ならびにその熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂から構成される繊維強化複合材料は、優れた機械特性を有するため、スポーツ用品用途、レジャー用品用途、航空宇宙用途、一般産業用途などに広く用いられている。
近年、ゴルフシャフトや釣竿、バドミントンやテニスのラケット、バットなどのスポーツ用品用途や、自転車などのレジャー用品用途においては、製品の取扱い性の向上や性能向上のため、軽量化が強く求められている。軽量化のためには、シャフトや竿、フレームなどの肉厚を薄くすることが有効であるが、肉厚を薄くすると、負荷される圧縮応力や曲げ応力に対して弱くなることが多く、製品の機械特性の低下や寿命の低下を招きやすい。高い機械特性を有する製品を実現するためには、高い圧縮強度および曲げ強度を有する材料が必要となる。
一方、繊維強化複合材料は、航空機、船舶、車両などの構造材料への適用が進められつつある。構造材料の重要な特性の1つに圧縮強度がある。特に、構造材料として用いる場合、ボルト穴を設けることが多いため、有孔板の圧縮強度(OHC)が重要となる。特に、高温湿熱時、すなわち水分を吸収した状態で、かつ80℃程度の高い温度で測定される圧縮強度が重要となる。
繊維強化複合材料の圧縮強度や曲げ強度を向上させるには、マトリックス樹脂の弾性率を高くすることが有効である。樹脂の弾性率を高くするために、高弾性率の無機粒子を配合する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、カップリング剤で処理した無機粒子樹脂を配合したマトリックス樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、エポキシ樹脂中にコロイド状に分散させた微細粒子、例えばシリカ粒子を添加したエポキシ樹脂組成物が開示されている。
これら開示された先行技術は、確かに圧縮強度や曲げ強度の向上に有効である。しかし、特許文献1では、カップリング剤で処理した無機粒子は凝集が起こりやすいため、マトリックス樹脂に充分に分散させることが困難であり、粒子の凝集箇所が材料の破壊の起点となりやすく、引張強度や疲労強度が低くなることが多い。また、特許文献2では、無機粒子の分散は良好であるが、無機粒子とマトリックス樹脂の接着性が良くないことが多く、粒子とマトリックス樹脂の界面での剥離が破壊の起点となりやすく、引張強度や衝撃強度、疲労強度が低くなることが多い。しかも、高温湿熱時には界面近傍に水分が吸収されやすく、高温湿熱時の圧縮強度が低くなる場合が多い。
以上のように、圧縮強度や曲げ強度といった圧縮系の特性と、引張強度とを、高いレベルで両立させることは困難であった。
特開平8−157620号公報 特開2009−292865号公報
本発明の課題は、上記した従来技術の欠点を改良し、高い圧縮強度および曲げ強度を発現でき、かつ、高い引張強度、疲労強度を有する繊維強化複合材料を与える熱硬化性樹脂組成物、ならびにその熱硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグおよび繊維強化複合材料を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明の熱硬化性樹脂組成物は以下の構成からなる。
すなわち、下記[A]に[B]が分散されてなるとともに、[A]に[C]が溶解されてなる熱硬化性樹脂組成物である。なお、本発明で規定される[A]熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂そのものの他、それと共に用いる硬化剤、硬化助剤を含めて熱硬化性樹脂と称するものとする。
[A]熱硬化性樹脂
[B]粒径が0.5μm以下である無機粒子
[C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は以下の構成からなるものでも良い。
[A]熱硬化性樹脂
[B’]表面に[A]と反応しうる官能基を有し、かつ、粒径が0.5μm以下である無機粒子。
本発明のプリプレグは、強化繊維に、かかる熱硬化性樹脂組成物を含浸して得られたプリプレグである。
本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂からなり、マトリックス樹脂がかかる熱硬化性樹脂組成物の硬化物である繊維強化複合材料である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、高い弾性率を有する無機粒子が均一に分散し、しかも無機粒子と熱硬化性樹脂硬化物が強固に接着したマトリックス樹脂を与える。これを用いることにより、高い圧縮強度および曲げ強度を発現でき、かつ、高い引張強度、疲労強度を有する繊維強化複合材料が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、下記[A]に[B]が分散されてなるとともに、[A]に[C]が溶解されてなる、熱硬化性樹脂組成物である。
[A]熱硬化性樹脂
[B]粒径が0.5μm以下である無機粒子
[C]カップリング剤。
本発明の構成では、[A](熱硬化性樹脂)に弾性率の高い[B](粒径が0.5μm以下である無機粒子)が分散されていることにより、硬化後には弾性率の高いマトリックス樹脂を与える。しかも、[C](カップリング剤)が[A](熱硬化性樹脂)に溶解されていることにより、[A](熱硬化性樹脂)と[B](粒径が0.5μm以下である無機粒子)とが良好な接着性を発現できる。
[A]の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが用いられる。
これらの中では、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂とシアネート樹脂を予備反応した樹脂から選ばれる熱硬化性樹脂およびこれらの混合物が、機械特性と耐熱性に優れた硬化物を与えるため、好ましく用いられる。また、機械特性と耐熱性に優れ、靭性や伸度にも優れたマトリックス樹脂が得られる点から、エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂としては、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物が用いられる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンのようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂あるいはこれらの組合わせが用いられる。
エポキシ樹脂と共に用いる硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ノボラック樹脂、ポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
これらの硬化剤には、硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組み合わせることができる。好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)、2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)などの尿素化合物を硬化助剤として組み合わせる例、芳香族アミンに三フッ化ホウ素アミン錯体を組み合わせる例などが挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂は、適宜組み合わせて用いることができる。たとえば、シアネート樹脂とマレイミド樹脂とを予備反応した樹脂とエポキシ樹脂を配合した樹脂は、エポキシ樹脂を配合しないものと比べて硬化温度が低下するため好ましい。
また、これらの熱硬化性樹脂には、モノエポキシ化合物などの反応性希釈剤、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールなどの熱可塑性樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などのエラストマー、コアシェルポリマー粒子などを添加して改質することができる。
[B]の、粒径が0.5μm以下である無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、ガラス、ケイ酸塩鉱物などの高弾性率のものが好ましく用いられる。これらのうちでは、微粒子が容易に得られ、比重のあまり大きくないシリカが好ましい。
なお、本発明で規定される粒径とは、平均粒径を意味する。平均粒径は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物や、硬化後の繊維強化複合材料の断面を走査型電子顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡により観察し、少なくとも50個以上の粒子について、その直径を測定し、その相加平均をとることにより求めるものとする。
[B]の粒径が大きいと、強化繊維の間隙を粒子が移動することができず、粒子が均一に分布しなくなり、粒子の補強効果が十分に発揮できない。また、粒子の補強効果は、粒径が小さいほど大きい傾向にある。そのため、粒径は0.5μm以下であることが必要である。また、粒子の補強効果から、粒径は十分小さいことが好ましい。これらの点から、粒子は、その最大粒径が1μm以下であることが好ましい。
[B]として好ましく用いられるのは、熱硬化性樹脂中にあらかじめコロイド状に分散された無機粒子(コロイド分散型無機微粒子)である。これは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の液中で無機微粒子が凝集することなく分散したものである。無機微粒子の種類としては、微粒子が容易に得られ、比重のあまり大きくないシリカが好ましい。
コロイド分散型無機微粒子の粒径を100nm以下にすることで、熱硬化性樹脂組成物を硬化したマトリックス樹脂の弾性率を大きく高めることができるので好ましい。より好ましくは50nm以下である。コロイド分散型無機微粒子の粒径は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などの電子顕微鏡観察により測定することができる。
上記のコロイド分散型無機微粒子を本発明の熱硬化性樹脂組成物中に配合、分散させる方法としては、コロイド分散型無機微粒子があらかじめ配合・分散されたマスターバッチ型の熱硬化性樹脂を、熱硬化性樹脂組成物中に配合させればよい。
このようなコロイド分散型無機微粒子が配合・分散されたマスターバッチ型の熱硬化性樹脂には、市販品も好ましく使用できる。例えば、無機微粒子がシリカ微粒子、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂のものが、“Nanopox(登録商標)”F400、F430、F440、F520、F630、F640、E400、E430、E440、E520、E630、E640等(以上、ナノレジンス社製)が市販されている。
[C]は、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有するカップリング剤である。[C]は、無機粒子の表面の官能基、および熱硬化性樹脂の両方と化学的に結合する、あるいは強い相互作用をすることにより、熱硬化性樹脂と無機粒子を強固に接着する役割を有する。すなわち、無機粒子とマトリックス樹脂の接着性を高める役割をする。そのために、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有するカップリング剤を使用する。
熱硬化性樹脂と反応しうる官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基は、多くの熱硬化性樹脂と良好な反応性を示し、強固な接着が得られるため、これらの基から選ばれることが好ましい。
また、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基は、熱硬化性樹脂の種類によって適切に選択する必要がある。選択が適切でない場合、無機粒子と、熱硬化性樹脂が硬化して形成されるマトリックス樹脂の接着が不十分になるため、圧縮強度が向上せず、さらに引張強度が低下するという問題がある。
熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂のように、ラジカル重合により硬化する樹脂である場合には、二重結合を有するビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクロイル基、シクロヘキセニル基などの置換基を有するカップリング剤が好ましい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂である場合には、エポキシ基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基あるいは一置換アミノ基を有するカップリング剤が好ましい。
カップリング剤の種類としては、無機粒子との親和性が高く、強固な結合を形成しうる点から、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤が好ましい。無機粒子がシリカ粒子である場合は、シラン系カップリング剤が特に好ましい。
上記のシラン系カップリング剤としては、特に分子内にアミノ基あるいは一置換アミノ基を有するシラン系カップリング剤は、広範囲な樹脂に適用可能で、反応性も高いため、特に好ましい。その具体的な例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。これらの中では、熱硬化性樹脂中での保存安定性に優れ、かつ、熱硬化性樹脂との反応性が適度である芳香族一置換アミノ基を有するシラン系カップリング剤、例えば、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシランがより好ましい。
また、分子内にエポキシ基を有するシラン系カップリング剤も、広範囲な樹脂に適用可能で、反応性も高いため、好ましい。その具体的な例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。これらの中では、熱硬化性樹脂中での保存安定性に優れ、かつ、熱硬化性樹脂との反応性が適度である点から、グリシジル基を有するシラン系カップリング剤、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
次に、各成分の好ましい配合量について説明する。
[B]の配合量は、高い弾性率を与え、かつ、樹脂の伸度や靭性等も高く保持できる点で、[A]の熱硬化性樹脂100質量部に対し、[B]が0.1〜20質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。さらに好ましいのは、3〜15質量部である。0.1質量部より少ない場合は、弾性率の向上幅が小さく、高い圧縮強度や曲げ強度が得られない場合がある。また、20質量部を越えると、マトリックス樹脂が脆くなることがある。
[B]として、先述したコロイド分散型無機微粒子が配合・分散されたマスターバッチ型の熱硬化性樹脂を用いた場合は、マスターバッチ中の無機微粒子分のみを[B]とし、熱硬化性樹脂分は[A]に含めて配合量を計算する。
[C]の配合量は、[A]100質量部に対し、[C]が0.1〜20質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜20質量部、さらに好ましくは、1〜15質量部である。0.5質量部より少ない場合、無機粒子と熱硬化性樹脂を硬化したマトリックス樹脂との接着性が低いことがある。また、20質量部を越えると、マトリックス樹脂の耐熱性が低下したり、カップリング剤の官能基の種類によっては熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
また、[C]の配合量は、[B]100質量部に対し、[C]が10〜150質量部であることが好ましい。より好ましくは、10〜120質量部、さらに好ましくは、15〜120質量部である。10質量部より少ない場合、無機粒子と熱硬化性樹脂を硬化したマトリックス樹脂との接着性が低いことがある。また、150質量部を越えると、マトリックス樹脂の耐熱性が低下したり、カップリング剤の官能基の種類によっては熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
これまで述べてきたように、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、[A]、[B]、[C]からなる熱硬化性樹脂組成物であるが、この構成の代わりに、次の構成を用いることもできる。すなわち、本発明は、下記[A]に[B’]が分散されてなる熱硬化性樹脂組成物であっても良い。
[A]熱硬化性樹脂
[B’]表面に[A]と反応しうる官能基を有し、かつ、粒径が0.5μm以下である無機粒子。
[B’]は、無機粒子の表面に熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を導入するように処理された、あるいは無機粒子を作製する際に官能基が導入されたものである。これにより、熱硬化性樹脂と無機粒子が強固に接着することができる。このような無機粒子は、例えば無機粒子の製造時に、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有する前駆体を用いる等により、得ることができる。
粒径が0.5μm以下である無機粒子の表面に、[A]と反応しうる官能基を導入するように処理する方法としては、無機粒子を分散媒中に分散した分散体に、[A]と反応しうる官能基を有する化合物を添加し、分散媒中で無機粒子の表面の官能基と、この化合物を反応させる方法などが例示される。例えば、無機粒子であるシリカ粒子の表面に、[A]と反応しうる官能基を導入するように処理する方法として、特開2005−162533号公報、特開2009−13033号公報、特開2009−256562号公報などに記載されるような、シリカ粒子を水、アルコール等の分散媒中に分散した分散体に、シラン系カップリング剤を添加し、分散媒中でシリカ粒子表面のシラノール基と、シラン系カップリング剤を反応させる方法が例示される。この場合、熱硬化性樹脂が溶解しうる分散媒ならば、反応後、分散体に熱硬化性樹脂を添加、溶解させ、その後、分散媒を減圧等の方法で除去することにより、[A]中に[B’]が微細分散されたマスターバッチを得ることができる。また、[A]を溶解しない分散媒の場合は、[A]を溶解する溶媒に分散媒を交換する分散媒、[A]ともに溶解できる共通溶媒中に溶解後、分散媒、共通溶媒を除去する等の方法により、同様のマスターバッチを得ることができる。この例で用いられるカップリング剤としては、前記した[C]で好ましいとしたカップリング剤を用いることができる。
また、粒径が0.5μm以下である無機粒子の製造時に、[A]と反応しうる官能基を有する前駆体を用いる方法として、特開平9−239964号公報、特開平8−100107号公報などに記載されるような、エポキシ樹脂中、あるいはエポキシ樹脂と硬化剤を予備反応させた反応物、あるいはその溶液中で、無機粒子の前駆体(例えば、金属アルコキシド)を重合させ、無機粒子を合成する方法が例示される。この方法において、無機粒子の前駆体と反応し、かつ、[A]と反応しうる官能基を有する化合物を、該無機粒子の前駆体と併せて用いることにより、反応時に無機粒子の表面に[A]と反応しうる官能基を導入でき、[A]中に[B’]が微細分散されたマスターバッチを得ることができる。溶液を用いた場合は、溶媒を除去することにより、同様のマスターバッチを得ることができる。無機粒子の前駆体として好ましく用いられる金属アルコキシドとしては、テトラエトキシチタン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。金属アルコキシドと反応し、かつ[A]と反応しうる官能基を有する化合物としては、前記した[C]に示したカップリング剤を用いることができる。
[B’]の配合量は、高い弾性率を与え、かつ、樹脂の伸度や靭性等も高く保持できることに加え、無機粒子と熱硬化性樹脂を硬化したマトリックス樹脂との接着性を良好にできる点で、[A]の熱硬化性樹脂100質量部に対し、[B’]が0.2〜40質量部が好ましく、2〜40質量部がより好ましい。さらに好ましいのは、6〜30質量部である。0.2質量部より少ない場合は、弾性率の向上幅が小さく、高い圧縮強度や曲げ強度が得られない場合や、無機粒子と熱硬化性樹脂を硬化したマトリックス樹脂との接着性が低いことがある。また、40質量部を越えると、マトリックス樹脂が脆くなることや、マトリックス樹脂の耐熱性が低下したりすることがある。
また、[B’]が、上記のように、[B]粒径が0.5μm以下である無機粒子の表面に、[C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤を反応させて得られたものや、[B]粒径が0.5μm以下である無機粒子が、[C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤とともに用いて合成されたものである場合、[B’]は、[B]100質量部に対し[C]を10〜150質量部用いて得られたものであることが好ましい。より好ましくは、10〜120質量部、さらに好ましくは、15〜120質量部である。10質量部より少ない場合、無機粒子と熱硬化性樹脂を硬化したマトリックス樹脂との接着性が低いことがある。また、150質量部を越えると、マトリックス樹脂の耐熱性が低下したり、カップリング剤の官能基の種類によっては熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下することがある。
[B’]としては、[B]の場合と同様に、コロイド分散型無機微粒子が配合・分散されたマスターバッチ型のものを用いることも好ましい。
無機粒子が、その表面に熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有することは、例えば吸収スペクトル等の分析法により確認、定量ができる。例えば、赤外吸収スペクトル分析により、官能基の種類、量の定量ができる。
本発明のプリプレグは、強化繊維に、上記した本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸したものである。
強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが用いられる。これらのうちでは、強度、弾性率に優れ機械特性に優れた繊維強化複合材料を与える点から、炭素繊維が好ましい。
強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、たとえば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐などが用いられる。
プリプレグの製造には、通常のプリプレグ製造プロセスを適用することができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維に含浸させるウェット法、熱硬化性樹脂組成物を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法等が適用できる。
また、プリプレグの積層により作製される複合材料を構造材料として用いる場合は、圧縮強度や曲げ強度とともに重要になる物性として、衝撃後圧縮強度(CAI)がある。これは、工具落下、小石などの衝突による部材への衝撃で、複合材料の層間に剥離が生じ圧縮強度が低下する現象があり、これが著しいと構造材料として用いることができないためである。
衝撃後圧縮強度(CAI)を高めるためには、プリプレグの片面または両面の表面近傍に高靱性材料を存在させ、積層、硬化して得られた複合材料の層間に高靱性材料を分布させることが有効なことが知られている。
このようなプリプレグとして、例えば特開昭63−162732号公報に示されるポリアミド、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂の粒子が表面に存在するプリプレグが、エラストマーを用いた例としては、特開平4−268361号公報に示されるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのエラストマーの粒子が表面に存在するプリプレグ、米国特許3472730号明細書に示されるアクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのエラストマーで変性したエラストマー変性熱硬化性樹脂のフィルムが表面に存在するプリプレグ等が知られている。エラストマー、エラストマー変性熱硬化性樹脂を用いた場合、高温時の物性が低下することがあるため、本発明には、熱可塑性樹脂の適用が好ましい。
プリプレグの片面または、表面に存在させる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが好ましい。このなかでも、靱性およびマトリックス樹脂との接着性にすぐれるポリアミドが特に好ましい。ポリアミドは、特開平1−104624号公報に示されるように、エポキシ樹脂で変性したものを用いることも可能である。
上記の熱可塑性樹脂の形態としては、フィルム、粒子、繊維の形態をとることができる。フィルム形態の場合、米国特許4604319号明細書に示されるように完全にプリプレグ表面を覆うと表面タックを失ってしまうが、特開昭63−97635号公報に示されるように通孔を設ける、特開平5−138785号公報に示されるように多孔質にする、特開平5−287091号公報に示されるようにテープ状フィルムを配列するなどの方法を採ることにより、表面タックを保持することができる。
粒子形態の場合、粒子の形状は、特開平1−110537号公報に示されるような球状粒子でも、特開平1−110536号公報に示されるような非球状粒子でも、特開平5−1159号公報に示されるような多孔質粒子でもよい。
繊維形態としては、特開平2−69566号公報に示されるような短繊維、特開平4−292634号公報に示されるような長繊維の平行配列、特開平2−32843号公報に示されるような織物、特許第3387100号公報に示されるような不織布、特開平7−252372号公報に示されるような編物などを用いることができる。
上記のように、熱可塑性樹脂をプリプレグ表面近傍に存在させる方法としては、通常の方法で作製したプリプレグの片面または両面に単に熱可塑性樹脂を貼着または散布する方法、通常の方法で作製したプリプレグの片面または両面に、熱可塑性樹脂にマトリックス樹脂を含浸させたフィルムまたはマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を分散させたフィルムを貼着する方法などを用いることができる。
本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂からなり、マトリックス樹脂が本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物である、繊維強化複合材料である。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを用いて製造することができる。例えば、プリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら、熱硬化性樹脂を加熱硬化することにより、繊維強化複合材料が得られる。熱と圧力を付与する方法としては、プレス成形、オートクレーブ成形、真空圧成形、シートワインディング法および内圧成形法などを用いることができる。
また、プリプレグを用いずに本発明の繊維強化複合材料を製造することも可能である。例えば、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)法を用いる場合は、型内に織物形態、編み物形態等、強化繊維でできたプリフォームを配置し、本発明の熱硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させた後、硬化させ、繊維強化複合材料を製造する方法を用いることもできる。
実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
まず、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンを硬化剤とするエポキシ樹脂組成物を用いた例を説明する。
1.原料
[A]熱硬化性樹脂
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン:“スミエポキシ(登録商標)”ELM434、住友化学工業(株)製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)(株)製
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)、三井化学ファイン(株)製。
[B]無機粒子
・コロイド分散型シリカ粒子が配合されたエポキシ樹脂:“Nanopox(登録商標)” F400、ナノレジンス社製、平均粒径:30nmのシリカ粒子と、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂とからなる。シリカ粒子含有量:40質量%。
[C]カップリング剤
・3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、KBM573、信越化学工業(株)製
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM403、信越化学工業(株)製。
[A]〜[C]以外の成分
・ポリエーテルスルホン:PES5003P、住友化学(株)製
・下記のとおりにカップリング剤で処理されたシリカ粒子
シリカ粒子の処理方法:溶融シリカ粒子(FB01、電気化学工業(株)製、平均粒径0.1μm)100質量部に、上記[C]の3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン2質量部をミキサーで撹拌しながら噴霧し、次いで100℃で12時間熱処理した(特開平8−157620号で使用されるシリカ粒子)。
・下記の製造方法で得られたエポキシ変性ポリアミド粒子
ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”TR55、エムスケミー社製)96質量部、エポキシ樹脂(商品名“jER(登録商標)”828、三菱化学(株)(株)製)3質量部および硬化剤(商品名“トーマイド(登録商標)”#296、富士化成工業(株)製)1質量部を、クロロホルム300重量部とメタノール100重量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、よく撹拌して3000質量部のn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、平均粒径16μmの真球状のエポキシ変性ポリアミド粒子を得た。
2.プリプレグの作製
表1に記載される配合割合のエポキシ樹脂組成物を、リバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。一方向に引き揃えた炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T800HB−24K−40B、東レ(株)製)を両側から前記樹脂フィルムではさみ、加熱加圧して樹脂を含浸させ、炭素繊維目付190g/m、炭素繊維含有率65質量%の一方向プリプレグを得た。
3.樹脂硬化板の作製と物性評価
(1)曲げ弾性率と曲げたわみ量の測定
表1に記載される配合割合のエポキシ樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、180℃の熱風乾燥機中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製した。次に、樹脂硬化板から幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171(2008年)に従って曲げ弾性率と曲げたわみ量を求めた。
(2)無機粒子の分散性評価
(1)で作製した樹脂硬化板の目視観察により、無機粒子の分散性を評価した。硬化板が透明な場合は無機粒子の分散性が良好であるので○とし、硬化板が濁っている場合は、無機粒子の分散性が悪いため×とした。
(3)無機粒子と樹脂の接着性評価
(1)で3点曲げ試験を行った後の破断試験片の破断面を倍率1000〜5000倍でSEM観察し、無機粒子と樹脂の接着性を評価した。破断面に存在する無機粒子表面に樹脂の付着がある場合は接着性が良好であるので○とし、無機粒子表面が露出している場合は接着性が悪いので×とした。
4.繊維強化複合材料(積層体)の作製と物性評価
(1)有孔板圧縮強度(OHC)の測定
上記2.の方法で製造された一方向プリプレグを、(+45°/0°/−45°/90°)2S構成で16枚積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して積層体を作製した。この積層体から、縦305mm×横25.4mmのサンプルを切り出し、中央部に直径6.35mmの孔を穿孔して有孔板に加工した。この有孔板をSACMA SRM 3R−94に従い、室温における圧縮強度を求めた。
また、この有孔板を72℃の温度の温水中に2週間浸漬し、同様にしてSACMA SRM 3R−94に従い、82℃の温度の雰囲気下で高温湿熱時の圧縮強度を求めた。
(2)0°引張強度の測定
上記2.の方法で製造された一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて6枚積層し、オートクレーブにて180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して積層体を作製した。この積層体について、JIS K7165(2008年)に従って、タブを接着した幅15mm×長さ250mmのA型試験片を作製し、試験速度1mm/分で引張試験をおこない、0゜引張強度を求めた。
(3)衝撃後圧縮強度(CAI)の測定
上記2.の方法で製造された一方向プリプレグを、(+45°/0°/−45°/90°)3S構成で24枚積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して積層体を作製した。この積層体から、縦150mm×横100mmのサンプルを切り出し、JIS K 7089(1996年)に従い、サンプルの中心部に6.67J/mmの落錘衝撃を与え、衝撃後圧縮強度を求めた。
(実施例1)
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(実施例2、3)
[C]のカップリング剤の量を変えた以外は実施例1と同様である。
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(実施例4〜6)
[C]のカップリング剤を、3−グリシドキシプロピルトリメトキシに変えた以外は実施例1〜3と同様に実験を行った。
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(比較例1)
[B]、[C]を添加しない以外は実施例1〜3と同様に評価を行った。室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度は実施例1〜3より低かった。
(比較例2)
実施例1の[B]、[C]の代わりに、シラン系カップリング剤で処理したシリカ粒子を使用した。
樹脂の曲げ弾性率は高いが、曲げたわみは実施例1〜6より低かった。また、樹脂硬化物は白濁しており、無機粒子の分散性は良くなかった。但し、無機粒子と樹脂の接着性は良好であった。
室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。しかし、0°引張強度が実施例1〜6と比べて非常に低い値にとどまった。
(比較例3)
実施例1の樹脂組成物から[C]を除いた以外は実施例1と同様に評価を行った。
樹脂の曲げ弾性率は高いが、曲げたわみは実施例1〜6より低かった。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好であったが、破断面観察では無機粒子の表面が露出しており、無機粒子と樹脂の接着性は良くなかった。
室温での有孔板圧縮強度は高いが、高温湿熱時の有孔板圧縮強度は低かった。また、衝撃後圧縮強度は少し低い値であった。さらに、0°引張強度は、比較例2よりは高いが実施例1〜6と比べて低い値にとどまった。
(実施例7)
プリプレグの作製に以下の方法を用いた以外は、実施例1〜3と同様に積層板を作製し、物性評価を行った。
・プリプレグの作製方法
表2のエポキシ樹脂組成物について、エポキシ変性ポリアミド粒子以外の成分を混合してベース樹脂組成物を作製し、リバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して目付31g/mの樹脂フィルム(一次樹脂フィルム)を作製した。一方向に引き揃えた炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T800HB−24K−40B、東レ(株)製)を両側から一次樹脂フィルムではさみ、加熱加圧して樹脂を含浸させ、炭素繊維目付190g/mの一次プリプレグを得た。
次に、プリプレグ中のエポキシ樹脂組成物の組成が表2の配合になるように、エポキシ変性ポリアミド粒子を加えた熱硬化性樹脂組成物を、リバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂目付21g/mの樹脂フィルム(二次樹脂フィルム)を作製した。二次樹脂フィルムを、一次プリプレグの両側に貼りあわせることにより、炭素繊維目付190g/m、炭素繊維含有率65質量%の一方向プリプレグを得た。
積層体の物性評価では、室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(実施例8,9)
[C]のカップリング剤の量を変えた以外は実施例7と同様である。室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。さらに、0°引張強度も高い値を得た。
(比較例4)
[B]、[C]を添加しない以外は実施例7〜9と同様に評価を行った。室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度は実施例7〜9より低かった。
(比較例5)
実施例7の[B]、[C]の代わりに、シラン系カップリング剤で処理したシリカ粒子を使用した。室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。しかし、0°引張強度が実施例7〜9と比べて非常に低い値にとどまった。
(比較例6)
実施例1の樹脂組成物から[C]を除いた以外は実施例1と同様に評価を行った。室温での有孔板圧縮強度は高いが、高温湿熱時の有孔板圧縮強度は低かった。また、衝撃後圧縮強度も低い値であった。また、0°引張強度は、比較例2よりは高いが実施例7〜9に比べて低い値にとどまった。
Figure 2012149237
Figure 2012149237
次に、硬化剤をジシアンジアミド、硬化促進剤を3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(DCMU)としたエポキシ樹脂組成物を用いた実施例を説明する。
1.原料
[A]熱硬化性樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:“jER(登録商標)”828、三菱化学(株)製
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:“jER(登録商標)”1007、三菱化学(株)製
・イソシアネート変性エポキシ樹脂:“AER(登録商標)”4152、旭化成イーマテリアルズ(株)製
・ジシアンジアミド:DICY7、三菱化学(株)製
・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素:DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製。
[B]無機粒子
・コロイド分散型シリカ粒子が配合されたエポキシ樹脂:“Nanopox(登録商標)” F400、ナノレジンス社製、平均粒径:30nmのシリカ粒子と、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂とからなる。シリカ粒子含有量:40質量%。
[C]カップリング剤
・3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、KBM573、信越化学工業(株)製
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM403、信越化学工業(株)製。
[A]〜[C]以外の成分
・ポリビニルホルマール:“ビニレック(登録商標)”K、チッソ(株)製
・下記のとおりにカップリング剤で処理されたシリカ粒子
シリカ粒子の処理方法:溶融シリカ粒子(FB01、電気化学工業(株)製、平均粒径0.1μm)100質量部に、上記[C]の3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン2質量部をミキサーで撹拌しながら噴霧し、次いで100℃で12時間熱処理した(特開平8−157620号で使用されるシリカ粒子)。
2.プリプレグの作製
表3に記載される配合割合のエポキシ樹脂組成物を、リバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。一方向に引き揃えた炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T800HB−24K−40B、東レ(株)製)を両側から前記樹脂フィルムではさみ、加熱加圧して樹脂を含浸させ、炭素繊維目付125g/m、炭素繊維含有率75質量%の一方向プリプレグを得た。
3.樹脂硬化板の作製と物性評価
(1)曲げ弾性率と曲げたわみ量の測定
表3に記載される配合割合のエポキシ樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、135℃の熱風乾燥機中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製した。次に、樹脂硬化板から幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171(2008年)に従って曲げ弾性率と曲げたわみ量を求めた。
(2)無機粒子の分散性評価
表3に記載される配合割合のエポキシ樹脂組成物を用いる以外は実施例1〜6と同様の方法で行った。
(3)無機粒子と樹脂の接着性評価
表3に記載される配合割合のエポキシ樹脂組成物を用いる以外は実施例1〜6と同様の方法で行った。
4.繊維強化複合材料(積層体)の作製と物性評価
(1)0°圧縮強度の測定
上記2.の方法で製造された一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて10枚積層して、オートクレーブにて135℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して積層体を作製した。この積層体について、JIS K7076(1991年)に従って、タブを接着した幅12.5mm、長さ78mmのA法試験片を作製し、試験速度1.3mm/分で圧縮試験を行い、0°圧縮強度を求めた。
(2)シャルピー衝撃値の測定
上記2.の方法で製造された一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて30枚積層して、オートクレーブにて135℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して積層体を作製した。この積層体について、JIS K7077(1991年)に従い、幅10mm、長さ80mmの試験片を作製し、秤量300kg・cmでフラットワイズ衝撃、すなわち積層体の面に垂直な方向から衝撃を与えてシャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃値を求めた。なお、試験片にはノッチ(切り欠き)は導入していない。
(3)0°引張強度の測定
上記2.の方法で製造された一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて10枚積層し、オートクレーブにて135℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して積層体を作製した。この積層体について、JIS K7165(2008年)に従って、タブを接着した幅15mm×長さ250mmのA型試験片を作製し、試験速度1mm/分で引張試験を行い、0°引張強度を求めた。
(実施例10)
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、0°圧縮強度、シャルピー衝撃強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(実施例11,12)
[C]のカップリング剤の量を変えた以外は実施例10と同様である。
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、0°圧縮強度、シャルピー衝撃強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(実施例13〜15)
[C]のカップリング剤を、3−グリシドキシプロピルトリメトキシに変えた以外は実施例10〜12と同様に実験を行った。
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、0°圧縮強度、シャルピー衝撃強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(比較例7)
[B]、[C]を添加しない以外は実施例10〜15と同様に評価を行った。0°圧縮強度は実施例10〜15より低かった。
(比較例8)
実施例7の[B]、[C]の代わりに、シラン系カップリング剤で処理したシリカ粒子を使用した。
樹脂の曲げ弾性率は高いが、曲げたわみは実施例10〜15より低かった。また、樹脂硬化物は白濁しており、無機粒子の分散性は良くなかった。但し、無機粒子と樹脂の接着性は良好であった。
0°圧縮強度は高い値を得た。しかしシャルピー衝撃強度は実施例10〜15と比べて低かった。また、0°引張強度が実施例10〜15に比べて非常に低い値にとどまった。
(比較例9)
実施例7の樹脂組成物から[C]を除いた以外は実施例7と同様に評価を行った。
樹脂の曲げ弾性率は高いが、曲げたわみは実施例10〜15より低かった。また、樹脂中の無機粒子の分散性は良好であったが、破断面観察では無機粒子の表面が露出しており、無機粒子と樹脂の接着性は良くなかった。
0°圧縮強度は高い値を得た。しかしシャルピー衝撃強度は実施例10〜15と比べて低かった。0°引張強度は、比較例8よりは高いが実施例10〜15と比べて低い値にとどまった。
Figure 2012149237
次に、[B’]表面に[A]と反応しうる官能基を有し、かつ、粒径が0.5μm以下である無機粒子を用いた例を示す。
1.原料の製造
(1)エポキシ樹脂/硬化剤予備反応物の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)(株)製)100質量部、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン((3,3’−DDS)、三井化学ファイン(株)製)10質量部を、N−メチルピロリドン100重量部に溶解し、還流冷却器を有する反応容器中で撹拌しながら130℃で3時間反応させた。
反応後、150℃に昇温して減圧下で攪拌し、N−メチルピロリドンを除去し、エポキシ樹脂/硬化剤予備反応物を製造した。
(2)エポキシ樹脂/硬化剤予備反応物中に無機粒子が分散したマスターバッチの製造(M1)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)(株)製)100質量部、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン((3,3’−DDS)、三井化学ファイン(株)製)10質量部を、N−メチルピロリドン100重量部に溶解し、還流冷却器を有する反応容器中で撹拌しながら130℃で3時間反応させた。
40℃まで冷却後、テトラメトキシシラン36質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業(株)製)4質量部、エタノール20質量部、水20質量部を添加し、40℃に保ったまま30時間攪拌して反応させ、予備反応物中でシリカ粒子を合成した。
反応後、150℃に昇温して減圧下で攪拌し、N−メチルピロリドンなどを除去し、エポキシ樹脂/硬化剤予備反応物中に無機粒子が分散したマスターバッチ(M1)を製造した。マスターバッチは透明であり、無機粒子の分散性は良好であった。
また、マスターバッチ30mgを採取し、JIS K7120(1987年)に従い、窒素を流しながら800℃まで昇温して熱重量測定を行い、残存固型分の質量との比をシリカ粒子量とした。シリカ粒子量は、マスターバッチの14質量%であった。
2.原料
[A]熱硬化性樹脂
・上記1.(1)で製造したエポキシ樹脂/硬化剤予備反応物
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン:“スミエポキシ(登録商標)”ELM434、住友化学工業(株)製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)(株)製
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)、三井化学ファイン(株)製。
[B’]無機粒子
・上記1.(2)で製造したマスターバッチ(M1)
[A]、[B’]以外の成分
・ポリエーテルスルホン:PES5003P、住友化学(株)製
2.プリプレグの作製
実施例1〜6と同様に行った。
3.樹脂硬化板の作製と物性評価
(1)曲げ弾性率と曲げたわみ量の測定
実施例1〜6と同様に行った。
(2)無機粒子の分散性評価
実施例1〜6と同様に行った。
(3)無機粒子と樹脂の接着性評価
実施例1〜6と同様に行った。
それに加えて、破断面に存在する無機粒子100個について、粒子径を計り、その算術平均を、無機粒子の平均粒子径とした。平均粒子径は、35nmであった。
4.繊維強化複合材料(積層体)の作製と物性評価
実施例1〜6と同様に行った。
(実施例16)
樹脂の曲げ弾性率、曲げたわみともに高い値を得た。また、樹脂中の無機粒子は分散性が良好であり、その平均粒子径は35nmであった。また、無機粒子と樹脂の接着性も良好であった。さらに、室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度、衝撃後圧縮強度ともに高い値を得た。かつ、0°引張強度も高い値を得た。
(比較例10)
室温および高温湿熱時の有孔板圧縮強度は実施例16より低かった。
Figure 2012149237
高い圧縮強度および曲げ強度を発現し、かつ、高い引張強度、疲労強度とを有する繊維強化複合材料を与えるため、スポーツ用品用途、レジャー用品用途、航空宇宙用途、一般産業用途などに有用である。

Claims (16)

  1. 下記[A]に[B]が分散されてなるとともに、[A]に[C]が溶解されてなる熱硬化性樹脂組成物。
    [A]熱硬化性樹脂
    [B]粒径が0.5μm以下である無機粒子
    [C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤
  2. 下記[A]に[B’]が分散されてなる熱硬化性樹脂組成物。
    [A]熱硬化性樹脂
    [B’]表面に[A]と反応しうる官能基を有し、かつ、粒径が0.5μm以下である無機粒子
  3. [A]が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂とシアネート樹脂を予備反応した樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂である、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. [B]の無機粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、ガラス、ケイ酸塩鉱物からなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子である、請求項1または3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. [C]の、[A]と反応しうる官能基が、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、ビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基である、請求項1、3または4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. [C]が、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のカップリング剤である、請求項1、または3〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. [A]100質量部に対し[B]が0.1〜20質量部である、請求項1、または3〜6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. [A]100質量部に対し[C]が0.1〜20質量部である、請求項1、または3〜7のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. [B]100質量部に対し[C]が10〜150質量部である、請求項1、または3〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. [B’]が、[B]粒径が0.5μm以下である無機粒子の表面に、[C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤を反応させて得られたものである、請求項2または3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  11. [B’]は、その無機粒子の前駆体が、[C][A]と反応しうる官能基を有するカップリング剤とともに用いて合成されたものである、請求項2または3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  12. [B’]は、その合成が[A]中で行われ、かつ[A]中に微細分散されたマスターバッチに存在するものである、請求項11に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  13. [A]100質量部に対し[B’]が0.2〜40質量部である、請求項2、3、または10〜12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  14. [B’]が、[B]100質量部に対し[C]を10〜150質量部用いて得られたものである、請求項10〜13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  15. 強化繊維に、請求項1〜14のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含浸して得られたプリプレグ。
  16. 強化繊維とマトリックス樹脂からなり、マトリックス樹脂が請求項1〜14のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物である、繊維強化複合材料。
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