JP2022172578A - 杭基礎構造、建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工コストの増加を抑制しつつ、地震時に杭頭部に作用する水平方向のせん断力に効率的に抵抗可能な、杭基礎構造及び建物を提供する。【解決手段】杭基礎構造10は、フーチング基礎部11と基礎杭20が接合された杭基礎構造10であって、基礎杭20は、柱材Cの直下に設けられる長尺杭21と、長尺杭21の少なくとも一方の杭側面21sに沿って長尺杭21から離間して設けられる短尺杭22と、を備え、フーチング基礎部11は、角錐台、または円錐台状のフーチング13と基礎スラブ12で構成され、フーチング13に、基礎杭20の杭頭部21t、22tが埋設される。【選択図】図2

Description

本発明は、杭基礎構造、建物に関する。
建物を支持する基礎構造として、基礎杭やフーチングが広く用いられている。
例えば特許文献1には、複数の杭の杭頭に打設されたフーチングコンクリートと、柱との仕口部が前記フーチングコンクリートに埋設された鉄骨基礎梁と、を有する杭基礎構造が開示されている。この杭基礎構造では、フーチングコンクリート上に設けた柱を複数の杭で支持している。
また、特許文献2には、プレキャスト製の柱部材と一体的に製作され、内部に連結梁が埋め込まれるプレキャスト製の基礎フーチングと、基礎フーチングの側面から離した位置に設けられる複数の基礎杭と、基礎杭の杭頭と連結梁とを連結する鉄骨フレームと、を備える基礎構造が開示されている。この基礎構造においても、基礎フーチング上に設けた柱部材を、複数の基礎杭で支持している。
また、特許文献3には、柱直下の構真杭と柱直下以外の中点杭とを設けて、基礎スラブと構真杭と中点杭とを一体化させることにより鉛直荷重を構真杭及び中点杭の両者により負担する構成が開示されている。
特許文献1~3に開示されたような構成では、基礎杭は、いずれも鉛直荷重を支持するものであり、柱に作用する鉛直荷重を、複数の杭に分散させて負担する構成となっている。
ところで、地震時には、杭頭部に水平方向のせん断力が集中的に作用する。この杭頭部に作用する水平方向のせん断力に抗するため、基礎杭の本数をさらに増やすことも考えられる。しかしながら、基礎杭の本数が増えれば、工期の長期化、施工コストの増加を招く。
また、杭頭部に作用する水平方向のせん断力に抗するために基礎杭の本数を増やすと、その結果として、水平方向のせん断力に対する抵抗性能に対し、鉛直荷重の支持性能が過大となってしまう場合がある。このため、鉛直荷重の支持性能と、杭頭部に作用する水平方向のせん断力に抗する性能とを、バランスよく備えることが望まれる。
特開2016-14273号公報 特開2017-122343号公報 特許第3695550号公報
本発明が解決しようとする課題は、施工コストの増加を抑制しつつ、地震時に杭頭部に作用する水平方向のせん断力に効率的に抵抗可能な、杭基礎構造及び建物を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の杭基礎構造は、フーチング基礎部と基礎杭が接合された杭基礎構造であって、前記基礎杭は、柱材の直下に設けられる長尺杭と、前記長尺杭の少なくとも一方の杭側面に沿って前記長尺杭から離間して設けられる短尺杭と、を備え、前記フーチング基礎部は、角錐台、または円錐台状のフーチングと基礎スラブで構成され、前記フーチングに、前記基礎杭の杭頭部が埋設されることを特徴とする。
このような構成によれば、杭基礎構造は、基礎杭として、柱材の直下に設けられた長尺杭と、長尺杭の少なくとも一方の杭側面に沿って長尺杭から離間して設けられる短尺杭と、を備えている。これにより、杭基礎構造上に設けられる上部構造の鉛直荷重は、主に長尺杭によって負担される。
また、基礎杭を構成する長尺杭、及び短尺杭の杭頭部は、フーチングに埋設されている。このため、フーチングに接合される基礎杭の上部には、長尺杭の杭頭部と短尺杭の杭頭部とが配置されている。これにより、基礎杭の上部において、長尺杭の杭頭部、および短尺杭の杭頭部が合計された横断面積が大きくなり、水平方向のせん断力に対する抵抗力を高めることができる。
このような、水平方向の力に抵抗する杭の杭頭部には、通常、大規模なフーチングが必要となる。これに対し、上記のような構成においては、短尺杭を長尺杭の少なくとも一方の杭側面に沿って設けたために、これらに接合されるフーチングを一体化し、一のフーチングに対して長尺杭と短尺杭を共に接合することができる。これにより、各杭に対してフーチングを個別に設けた場合よりも、水平方向の力に十分に抗し得る構造としつつも、フーチングの全体の体積を小さくすることができる。
さらに、杭頭部ほど大きなせん断力が作用しない基礎杭の下部側においては、大きな水平抵抗力が不要であるため、長尺杭のみが存在し、短尺杭は存在しない構成としている。このため、基礎杭を構築する工期の長期化、および施工コストの上昇を抑えることができる。このようにして、鉛直荷重の支持性能と、杭頭部に作用する水平方向のせん断力に抗する性能とを、バランスよく備えることができる。
したがって、施工コストの増加を抑制しつつ、地震時に杭頭部に作用する水平方向のせん断力に効率的に抵抗可能な、杭基礎構造を提供することが可能となる。
本発明の一態様においては、一の前記長尺杭の周囲に、複数の前記短尺杭が設けられている。
このような構成によれば、一の長尺杭の周囲に、複数の短尺杭を設けることで、基礎杭の上部における、長尺杭の杭頭部、および短尺杭の杭頭部の合計横断面積を増大させることができる。したがって、水平方向のせん断力に対する抵抗力を、より有効に高めることができる。
本発明の一態様においては、本発明の建物は、上記したような杭基礎構造を備えた建物であって、外周柱の直下には、前記長尺杭と同等の長さの杭のみが配置され、内部柱の直下に、前記杭基礎構造が配置される。
通常、建物の外周に配置される杭では、杭の片側のみにスラブが取り付くのに対して、内部側に配置される杭では杭の両側にスラブが取り付くために、内部側に配置される杭の方が、杭頭部に作用するせん断力に対して、杭と共に負担できるスラブの抵抗力が大きくなることが多い。
そこで、内部柱の直下には、長尺杭と短尺杭とで構成される杭基礎構造を配置して、長尺杭の杭頭部、および短尺杭の杭頭部の合計横断面積を大きくすることで、大きなせん断力に抵抗する。また、外周柱の直下においては、杭頭部の横断面積を内部の杭よりも小さくして、スラブが抵抗できるだけの相応の構成とするために、長尺杭と同等の長さの杭のみを配置して短尺杭と同等の長さの杭を配置しない。これにより、スラブの抵抗力に対して相応以上に、過剰に杭が設けられるのを抑制でき、バランスのよい合理的な構成を実現することができる。
本発明によれば、施工コストの増加を抑制しつつ、地震時に杭頭部に作用する水平方向のせん断力に効率的に抵抗可能な、杭基礎構造及び建物を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係る杭基礎構造における外周柱、内部柱、長尺杭、短尺杭、及び杭の配置例を示す図である。 図1のI―I矢視断面図である。 上記杭基礎構造における、フーチング基礎部に対する長尺杭、および短尺杭の杭頭部の接続構造を示す断面図である。 杭頭を固定とした場合と、杭頭の固定度をピンとした場合における、長尺杭と短尺杭の曲げモーメントの検討結果を示す図である。 杭頭を固定とした場合と、杭頭の固定度をピンとした場合における、長尺杭と短尺杭の水平変位の検討結果を示す図である。 基礎杭の杭頭部の固定方法が異なる解析結果による長尺杭と短尺杭のせん断力分担率を示す比較表である。 地盤の変形係数をE=700Nとした(軟弱地盤に相当する)場合と、Francisの式より求めた(硬質地盤に相当する)場合との、水平地盤バネの初期剛性の比を示す表である。 地盤バネの初期剛性をE=700Nとした(軟弱地盤に相当する)場合と、地盤バネをFrancisの式より求めた(硬質地盤に相当する)場合とにおける、長尺杭と短尺杭の曲げモーメントの検討結果を示す図である。 地盤バネの初期剛性をE=700Nとした(軟弱地盤に相当する)場合と、地盤バネをFrancisの式より求めた(硬質地盤に相当する)場合とにおける、長尺杭と短尺杭の水平変位の検討結果を示す図である。 杭周辺の地盤特性が異なる解析結果による長尺杭と短尺杭のせん断力分担率を示す比較表である。
以下、添付図面を参照して、本発明による杭基礎構造、建物を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る杭基礎構造における外周柱、内部柱、長尺杭、短尺杭、及び杭の配置例を図1に示す。図2は、図1のI―I矢視断面図である。図3は、上記杭基礎構造における、フーチング基礎部に対する長尺杭、および短尺杭の杭頭部の接続構造を示す断面図である。
建物1は、地盤G中に構築された下部構造2と、下部構造2上に設けられた上部構造3と、を有している。
上部構造3は、上下方向に延びる複数本の柱30と、互いに隣り合う柱30間に架設された梁34と、を有している。上部構造3は、複数本の柱30として、建物1の外周部1sに沿って配置される複数本の外周柱31と、建物1の外周部1sよりも内側に配置される複数本の柱材Cとしての内部柱32と、を備えている。
下部構造2は、建物1の内部側に設けられる杭基礎構造10と、建物1の外周側に設けられる杭25と、を備えている。
図2、図3に示すように、杭基礎構造10は、上部構造3の内部柱32の下方に配置されている。杭基礎構造10は、基礎杭20と、フーチング基礎部11と、を備えている。
フーチング基礎部11は、基礎スラブ12と、フーチング13と、を一体に備えている。基礎スラブ12は、例えば鉄筋コンクリート造のマットスラブである。本実施形態において、基礎スラブ12は、基礎梁を備えていない。フーチング13は、例えば鉄筋コンクリート造であり、基礎スラブ12において、内部柱32の直下を含む一部の領域に設けられている。つまり、フーチング13は、下部構造2に設けられた基礎スラブ12の一部に設けられている。フーチング13は、基礎スラブ12の下面から下方に突出するように形成されている。フーチング13は、上方から見て、矩形状、又は円形状に形成されている。フーチング13は、上方から下方に向かって、その径寸法が漸次縮小している。つまり、フーチング13は、角錐台状、または円錐台状に形成されており、これが、面積の大きい下底面が上側に、面積の小さい上底面が下側に位置づけられて、上下が逆となるように設けられている。フーチング基礎部11は、フーチング13が設けられることで、フーチング13が設けられていない部分における基礎スラブ12の厚さよりも、上下方向のコンクリート厚が大きくなっている。
基礎杭20は、長尺杭21と、短尺杭22と、を備えている。長尺杭21は、柱材Cとしての内部柱32の直下に設けられている。短尺杭22は、長尺杭21の少なくとも一方の杭側面21sに沿って設けられている。杭基礎構造10は、一の長尺杭21の周囲に、複数の短尺杭22が設けられている。本実施形態において、短尺杭22は、長尺杭21を挟んだ両側に設けられている。図1に示すように、上方から見ると、長尺杭21に対し、2本の短尺杭22が、一直線上に配置されている。なお、短尺杭22は、例えば、長尺杭21の四方に配置されていてもよい。
図3に示すように、長尺杭21の杭頭部21t、短尺杭22の杭頭部22tは、それぞれ、フーチング13が設けられたフーチング基礎部11に埋設されている。杭頭部21t、22tには、それぞれ、上方に向かって延びる杭頭定着筋21m、22mが設けられている。杭頭定着筋21m、22mは、フーチング基礎部11を構成するコンクリートに定着されている。
フーチング基礎部11には、フーチング基礎部11の上面から上方に突出する柱接合部15が一体に設けられている。柱接合部15は、内部柱32の直下に配置されている。柱接合部15は、例えばコンクリート造で、フーチング基礎部11の上面から上方に延びる延出部15aと、延出部15aの上端から水平面内に沿って拡径した拡径部15bと、を一体に有している。
拡径部15bの上面には、免震滑り支承16が固定されている。免震滑り支承16は、上側フランジ16a、下側フランジ16b、及び積層ゴム部16cを備えている。下側フランジ16bは、拡径部15bの上面に設けられている。下側フランジ16bの上面には、図示されない滑り板が固定されている。積層ゴム部16cは、上側フランジ16aの下側に固定されており、下端には、図示されない滑り材が設けられている。積層ゴム部16cの滑り材が、下側フランジ16bの滑り板に対向、当接して設けられることにより、上側フランジ16aを含む上側の構造体は、地震等により水平方向に力が作用した際に、下側フランジ16bを含む下側の構造体に対して、摺動する。
内部柱32の下端32bは、上側フランジ16aの上面に接合されている。
図2に示すように、長尺杭21は、短尺杭22よりも上下方向の長さが大きい。短尺杭22は、長尺杭21よりも上下方向の長さが小さい。長尺杭21の杭先端21bは、地盤Gの上層部G1よりもN値が、例えば50以上と高い、強固な下層部G2に根入れされている。これにより、長尺杭21は、鉛直荷重に対する支持力が確保される支持杭とされている。長尺杭21は、支持層としての下層部G2に、鉛直荷重を伝達する。
短尺杭22の杭先端22bは、N値が高い下層部G2に到達しておらず、下層部G2よりもN値が、例えば30より小さく低い値となる、上層部G1に留まっている。短尺杭22は、地盤Gの上層部G1のみに、全体が上層部G1に位置するように設置されており、杭先端22bは、N値が30より小さい上層部G1に根入れされている。これにより、短尺杭22は、主に水平力に抵抗する水平抵抗杭として機能する。
本実施形態においては、短尺杭22は、支持杭としては機能しない。短尺杭22の自重は、短尺杭22の杭頭部22tが接合されたフーチング基礎部11を介して、隣接する長尺杭21によって支持されている。このように、短尺杭22は長尺杭21によって支持されるため、上層部G1が、埋土や、液状化が生じる可能性のある細砂層、あるいはN値が3以下の緩いシルト系の地層等、短尺杭22の自重を支持できないような地層であっても構わない。
本実施形態では、長尺杭21の長さは、例えば、66~68mであり、短尺杭22の長さは、例えば、15mである。なお、長尺杭21、短尺杭22の長さは、建物1が設置される地盤Gの構成(上層部G1の土質、N値が高い下層部G2の深さ等)によって異なり、上記の数値は一例に過ぎない。
図3に示すように、フーチング基礎部11と内部柱32の最下端面との接合位置Jからフーチング基礎部11の下方に向かって拡大するように、押し抜きせん断破壊面Bが設定される。押し抜きせん断破壊面Bは、フーチング基礎部11と内部柱32の最下端面との接合位置Jから下方に向かって、45度広がる方向に傾斜している。
押し抜きせん断破壊面Bよりも内側の、フーチング基礎部11が設けられる高さ位置においては、その水平方向の全域にわたって、フーチング13が延在して設けられている。すなわち、押し抜きせん断破壊面Bよりも内側においては、その外側の、基礎スラブ12のみの部分と比べると、コンクリートの断面が厚く形成されている。これにより、基礎梁を有さないフーチング基礎部11においても、押し抜きせん断破壊が抑制される。
短尺杭22の杭頭部22tは、押し抜きせん断破壊面Bで囲まれた範囲内で、フーチング基礎部11に接合されている。
図1、図2に示すように、杭25は、外周柱31の直下に配置されている。杭25は、長尺杭21と同等の長さを有している。杭25の杭先端25bは、強固な下層部G2に根入れされている。これにより、杭25は、外周柱31に作用する鉛直荷重に対する支持力が確保される支持杭とされている。杭25は、支持層としての下層部G2に、鉛直荷重を伝達する。
上述したような杭基礎構造10によれば、フーチング基礎部11と基礎杭20が接合された杭基礎構造10であって、基礎杭20は、柱材Cの直下に設けられる長尺杭21と、長尺杭21の少なくとも一方の杭側面21sに沿って設けられる短尺杭22と、を備え、フーチング基礎部11は、角錐台、または円錐台状のフーチング13と基礎スラブ12で構成され、フーチング13に、基礎杭20の杭頭部21t、22tが埋設される。
このような構成によれば、杭基礎構造10は、基礎杭20として、柱材Cの直下に設けられた長尺杭21と、長尺杭21の少なくとも一方の杭側面21sに沿って長尺杭21から離間して設けられる短尺杭22と、を備えている。これにより、杭基礎構造10上に設けられる上部構造3の鉛直荷重は、主に長尺杭21によって負担される。
また、基礎杭20を構成する長尺杭21、及び短尺杭22の杭頭部21t、22tは、フーチング13に埋設されている。このため、フーチング13に接合される基礎杭20の上部には、長尺杭21の杭頭部21tと短尺杭22の杭頭部22tとが配置されている。これにより、基礎杭20の上部において、長尺杭21の杭頭部21t、および短尺杭22の杭頭部22tが合計された横断面積が大きくなり、水平方向のせん断力に対する抵抗力を高めることができる。
このような、水平方向の力に抵抗する杭の杭頭部には、通常、大規模なフーチングが必要となる。これに対し、上記のような構成においては、短尺杭22を長尺杭21の少なくとも一方の杭側面21sに沿って設けたために、これらに接合されるフーチング13を一体化し、一のフーチングに対して長尺杭21と短尺杭22を共に接合することができる。これにより、各杭21、22に対してフーチングを個別に設けた場合よりも、水平方向の力に十分に抗し得る構造としつつも、フーチング13の全体の体積を小さくすることができる。
さらに、杭頭部21t、22tほど大きなせん断力が作用しない基礎杭20の下部側においては、大きな水平抵抗力が不要であるため、長尺杭21のみが存在し、短尺杭22は存在しない構成としている。このため、基礎杭20を構築する工期の長期化、および施工コストの上昇を抑えることができる。このようにして、鉛直荷重の支持性能と、杭頭部21t、22tに作用する水平方向のせん断力に抗する性能とを、バランスよく備えることができる。
したがって、施工コストの増加を抑制しつつ、地震時に杭頭部21t、22tに作用する水平方向のせん断力に効率的に抵抗可能な、杭基礎構造10を提供することが可能となる。
特に本実施形態においては、既に説明したように、短尺杭22は、フーチング基礎部11を介して、長尺杭21によって支持されている。このため、短尺杭22が根入れされた上層部G1が、埋土や、液状化が生じる可能性のある細砂層、あるいはN値が3以下の緩いシルト系の地層等であっても、短尺杭22を支持することができる。
また、フーチング13は、フーチング基礎部11と柱材Cとの接合位置Jからフーチング基礎部11の下方に向かって拡大するように設定される押し抜きせん断破壊面Bで囲まれた領域の、フーチング基礎部11が設けられる高さ位置における、水平方向の全域にわたって、設けられている。このため、押し抜きせん断破壊面Bよりも内側においては、コンクリートの断面が厚く形成され、これにより、基礎梁を有さないフーチング基礎部11においても、押し抜きせん断破壊が抑制される。特に本実施形態においては、基礎スラブ12を、基礎梁を有さないマットスラブとしており、これによって、基礎梁12を施工する際の採掘量が削減されるため、施工期間及び施工コストが低減される。
また、杭基礎構造10においては、一の長尺杭21の周囲に、複数の短尺杭22が設けられている。
このような構成によれば、一の長尺杭21の周囲に、複数の短尺杭22を設けることで、基礎杭20の上部における、長尺杭21の杭頭部21t、および短尺杭22の杭頭部22tの合計横断面積を増大させることができる。したがって、水平方向のせん断力に対する抵抗力を、より有効に高めることができる。
また、建物1は、上記したような杭基礎構造10を備えた建物1であって、外周柱31の直下には、長尺杭21と同等の長さの杭25のみが配置され、内部柱32の直下に、杭基礎構造10が配置される。
通常、建物1の外周に配置される杭では、杭の片側のみにスラブが取り付くのに対して、内部側に配置される杭では杭の両側にスラブが取り付くために、内部側に配置される杭の方が、杭頭部に作用するせん断力に対して、杭と共に負担できるスラブの抵抗力が大きくなることが多い。
そこで、内部柱32の直下には、長尺杭21と短尺杭22とで構成される杭基礎構造10を配置して、長尺杭21の杭頭部21t、および短尺杭22の杭頭部22tの合計横断面積を大きくすることで、大きなせん断力に抵抗する。また、外周柱31の直下においては、杭頭部の横断面積を内部の杭よりも小さくして、スラブが抵抗できるだけの相応の構成とするために、長尺杭21と同等の長さの杭25のみを配置して短尺杭22と同等の長さの杭を配置しない。これにより、スラブの抵抗力に対して相応以上に、過剰に杭が設けられるのを抑制でき、バランスのよい合理的な構成を実現することができる。
(実施形態の変形例)
なお、本発明の杭基礎構造、建物は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、フーチング基礎部11は、基礎スラブ12とフーチング13とを備え、基礎梁を備えない構成とした。フーチング基礎部11上に設けられる内部柱32に作用する応力(曲げモーメント)に対し、基礎スラブ12のみで抵抗できない場合には、基礎スラブ12に加えて基礎梁を設けるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、基礎杭を構成する長尺杭21は下層部G2に支持されているが、下層部G2に埋設されることなく、地盤G中に摩擦杭として設けても良い。基礎杭を構成する短尺杭22は、長尺杭21の両側に各1箇所が設けられ、合計2箇所に設置されているが、長尺杭21の片側のみに1箇所設置される場合、或いは、長尺杭21に対して、水平2方向に各2箇所ずつ設置され、合計4箇所に設置しても良い。
また、上記の実施形態では、基礎スラブ12にはマットスラブを採用しているが、マットスラブに限定することなく、基礎梁を備えたスラブであっても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
(検討例)
上記実施形態で示した構成において、短尺杭(水平抵抗杭)の負担せん断力に対する杭頭固定度、及び杭周辺の地盤特性の影響について検討を行ったので、その結果を以下に示す。杭周辺の地盤特性として、軟弱地盤と硬質地盤の違いについて、杭に接合される地盤バネの値を変化させて検討を行った。
上記構成を有した建物では、柱直下において支持層まで到達させた支持杭(長尺杭)と、地震力に対して水平抵抗する水平抵抗杭(短尺杭)と、を用いている。本検討では、杭頭固定度や地盤バネの値により、支持杭と水平抵抗杭とで、水平抵抗杭のせん断力分担率が大きく変わらないことを確認した。
(1)杭頭固定度の影響
まず、杭頭を固定とした場合(以下の各図中、「杭頭固定」と示される)と、杭頭の固定度をピンとした場合(以下の各図中、「杭頭ピン」と示される)とで、それぞれ応力解析を行い、支持杭および水平抵抗杭における、曲げモーメント、変形、負担せん断力割合を算出した。
図4は、杭頭を固定とした場合と、杭頭の固定度をピンとした場合における、支持杭と水平抵抗杭の曲げモーメントの検討結果を示す図である。図5は、杭頭を固定とした場合と、杭頭の固定度をピンとした場合における、支持杭と水平抵抗杭の変形の検討結果を示す図である。また、図6に、杭頭を固定とした場合と、杭頭の固定度をピンとした場合における、支持杭と水平抵抗杭のせん断力分担率を示す。
図4~図6に示すように、水平抵抗杭のせん断力分担率は、杭頭の固定度をピンとしても、杭頭固定の場合と大きく変わらず、杭頭固定度の影響が小さいことを確認した。
また、硬質地盤を模擬して、地盤バネを次式(1)のFrancisの式より求めた場合の長尺杭(支持杭)および短尺杭(水平抵抗杭)の負担せん断力割合を算出した。
Figure 2022172578000002
上式(1)において、kは水平地盤バネ定数(kN/m)、Bは杭径(cm)、Eは地盤の変形係数(kg/cm)、νはポアソン比、EIは杭の曲げ剛性(kg・cm)である。
地盤バネの初期剛性を、上式(1)のFrancisの式より求め、杭水平変位による剛性低下については、杭の変形の1/2乗に比例して低減するモデルとした。
地盤の変形係数をE=700Nとした(軟弱地盤を模擬した)場合と、上式(1)より求めた(硬質地盤を模擬した)場合との、水平地盤バネの初期剛性の比を、図7に示す。上式(1)により求めた地盤バネの初期剛性は、軟弱地盤を模擬した解析条件による地盤の変形係数をE=700Nとした場合の1.4~21.7倍となっている。
また、図8は、地盤バネの初期剛性をE=700Nとした場合と、地盤バネをFrancisの式より求めた場合とにおける、長尺杭(支持杭)および短尺杭(水平抵抗杭)の曲げモーメントの検討結果を示す図である。図9は、地盤バネの初期剛性をE=700Nとした場合と、地盤バネをFrancisの式より求めた場合とにおける、長尺杭(支持杭)および短尺杭(水平抵抗杭)の水平変位の検討結果を示す図である。図10は、地盤バネの初期剛性をE=700Nとした場合と、地盤バネをFrancisの式より求めた場合とにおける、長尺杭(支持杭)および短尺杭(水平抵抗杭)のせん断力分担率を示す。
図8~図10に示すように、短尺杭(水平抵抗杭)のせん断力分担率は、地盤バネの値を大きくしても大きく変わらず、地盤バネの影響が小さいことを確認した。
上述のように、長尺杭(支持杭)と短尺杭(水平抵抗杭)が組み合わされた基礎杭は、杭頭部の固定方法、及び杭周辺の地盤特性が異なる場合であっても、共に一定割合でせん断力を負担している。また、杭頭部での水平変位について、共に一定割合が発生しており、安定した構造性能を実現できる点が確認された。
1 建物 21s 杭側面
2 下部構造 21t、22t 杭頭部
3 上部構造 22 短尺杭
10 杭基礎構造 25 杭
11 フーチング基礎部 30 柱
12 基礎スラブ 31 外周柱
13 フーチング 32 内部柱
20 基礎杭 34 梁
21 長尺杭 C 柱材

Claims (3)

  1. フーチング基礎部と基礎杭が接合された杭基礎構造であって、
    前記基礎杭は、柱材の直下に設けられる長尺杭と、前記長尺杭の少なくとも一方の杭側面に沿って前記長尺杭から離間して設けられる短尺杭と、を備え、
    前記フーチング基礎部は、角錐台、または円錐台状のフーチングと基礎スラブで構成され、前記フーチングに、前記基礎杭の杭頭部が埋設されることを特徴とする杭基礎構造。
  2. 一の前記長尺杭の周囲に、複数の前記短尺杭が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の杭基礎構造。
  3. 請求項1または2に記載の杭基礎構造を備えた建物であって、
    外周柱の直下には、前記長尺杭と同等の長さの杭のみが配置され、
    内部柱の直下に、前記杭基礎構造が配置されることを特徴とする建物。
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