JP2022172241A - 有機電子デバイス及び電荷輸送性膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光吸収性が低い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスの提供。【解決手段】式(1A-1)及び(1A-2)の構造を有する第1の電荷輸送性樹脂、該架橋体、式(1B)の構造を有する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂、並びに該架橋体の少なくとも1種を含有する。JPEG2022172241000068.jpg38160JPEG2022172241000069.jpg80164【選択図】図1

Description

本発明は、有機電子デバイス及び電荷輸送性膜に関する。
近年、電子写真感光体、有機ELデバイス、有機トランジスター、有機太陽電池など、有機化合物を用いた電子デバイスが盛んに開発されている。
特に、耐熱性、強度の点においては、架橋構造とすることが有効であり、例えば、熱硬化又は光硬化した膜を用いた有機ELデバイス(例えば特許文献1参照)、電荷輸送性基を含有するアクリルポリマーを用いた電子写真感光体(例えば特許文献2乃至4参照)、電荷輸送性基と反応性基を含有するアクリルポリマーを、膜形成後に架橋した電子写真感光体(例えば特許文献5参照)、光硬化型アクリル系モノマーを含有する液を塗布し硬化した膜(例えば特許文献6参照)等が開示されている。また、炭素-炭素二重結合を有するモノマー、炭素-炭素二重結合を有する電荷移動材及びバインダー樹脂の混合物を熱又は光のエネルギーによって前記モノマーの炭素-炭素二重結合と前記電荷移動材の炭素-炭素二重結合とを反応させることにより形成された膜が開示され、特に、単官能メタクリル変性した電荷移動材と、電荷輸送性を有さないメタクリルモノマーと、ポリカーボネート樹脂と、に有機過酸化物を用いて硬化したものが開示されている(例えば特許文献7参照)。また、重合性官能基をポリマー主鎖中に有する電荷輸送性ポリエステル樹脂も開示されている(例えば特許文献8参照)。
また、電荷輸送性樹脂の末端に官能基を導入し、硬化した膜からなる有機半導体膜及び電子写真感光体(例えば特許文献9参照)等が開示されている。
さらに、主鎖及び末端の少なくとも一方に重合性不飽和結合を含有する電荷輸送性ポリエステル(特許文献10)が開示されている。
国際公開第1997/033193号 特開平5-202135号公報 特開平6-256428号公報 特開平9-12630号公報 特開2005-2291号公報 特開平5-40360号公報 特開平5-216249号公報 特開2013-73015号公報 特開2001-117252号公報 特開2000-264961号公報
本発明の課題は、電荷輸送性樹脂としてポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]のみを用いた場合に比べ、可視光吸収性が低い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
<1>
下記一般式(1A-1)で表される構造及び下記一般式(1A-2)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂、前記第1の電荷輸送性樹脂の架橋体、下記一般式(1B)で表される構造を有する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂、並びに前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する電荷輸送性膜を有する有機電子デバイス。
Figure 2022172241000002

前記一般式(1A-1)及び前記一般式(1A-2)中、A及びAはそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T及びTはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
Figure 2022172241000003

前記一般式(1B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
<2>
前記重合性官能基は、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つである<1>に記載の有機電子デバイス。
Figure 2022172241000004

前記一般式(P1)~(P5)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、結合位置を示す。
<3>
前記重合性官能基は、下記式(P1-1)で表される基、下記式(P1-2)で表される基、及び下記式(P3-1)で表される基から選ばれる少なくとも1つである<2>に記載の有機電子デバイス。
Figure 2022172241000005

前記式(P1-1)、(P1-2)、及び(P3-1)中、*は、結合位置を示す。
<4>
前記一般式(1A-1)におけるA、前記一般式(1A-2)におけるA、及び前記一般式(1B)におけるAは、正孔輸送能を有する2価の有機基を示す<1>~<3>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<5>
前記一般式(1A-1)におけるA、前記一般式(1A-2)におけるA、及び前記一般式(1B)におけるAは、下記一般式(2)で表される2価の有機基を示す<4>に記載の有機電子デバイス。
Figure 2022172241000006

前記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。
<6>
前記一般式(1A-1)におけるT、前記一般式(1A-2)におけるT、及び前記一般式(1B)におけるTは、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す<1>~<5>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<7>
前記第1の電荷輸送性樹脂及び前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の全体に含まれる水酸基の総数をMとし、前記第1の電荷輸送性樹脂及び前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の全体に含まれる前記重合性官能基の総数をMとしたとき、下記式(A1)を満たす<1>~<6>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
式(A1):0≦M/(M+M)≦0.9
<8>
前記M及び前記Mは、下記式(A2)を満たす<7>に記載の有機電子デバイス。
式(A2):0≦M/(M+M)≦0.6
<9>
前記一般式(1B)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が2以上20以下である<1>~<8>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<10>
前記一般式(1B)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が1以上10以下である<1>~<9>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<11>
前記一般式(1B)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、前記一般式(1B)におけるY中の前記n4の数と、前記一般式(1B)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計が25以下である<1>~<10>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<12>
前記電荷輸送性膜は、前記第1の電荷輸送性樹脂の架橋体及び前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する<1>~<11>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<13>
前記有機電子デバイスが電子写真感光体である<1>~<12>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<14>
前記電子写真感光体の最表面層として、前記第1の電荷輸送性樹脂の架橋体及び前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する電荷輸送性膜を有する<13>に記載の有機電子デバイス。
<15>
前記有機電子デバイスが有機電界発光素子である<1>~<12>のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
<16>
下記一般式(1A-1)で表される構造及び下記一般式(1A-2)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂、前記第1の電荷輸送性樹脂の架橋体、下記一般式(1B)で表される構造を有する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂、並びに前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する電荷輸送性膜。
Figure 2022172241000007

前記一般式(1A-1)及び前記一般式(1A-2)中、A及びAはそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T及びTはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
Figure 2022172241000008

前記一般式(1B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
<1>、<2>、<3>、<4>、<5>、<6>、<7>、<8>、<13>、又は<15>に係る発明によれば、電荷輸送性樹脂としてポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]のみを用いた場合に比べ、可視光吸収性が低い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスが提供される。
<9>に係る発明によれば、一般式(1B)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が20より多い場合に比べ、電荷輸送性が高い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスが提供される。
<10>に係る発明によれば、一般式(1B)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が10より多い場合に比べ、電荷輸送性の高い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスが提供される。
<11>に係る発明によれば、一般式(1B)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、一般式(1B)におけるY中のn4の数と、一般式(1B)におけるY中のLを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計が25より多い場合に比べ、電荷輸送性の高い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスが提供される。
<12>に係る発明によれば、電荷輸送性膜が第1の電荷輸送性樹脂の架橋体及び第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体のいずれも含有しない場合に比べ、耐溶剤性の高い電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスが提供される。
<14>に係る発明によれば、電子写真感光体の最表面層が、第1の電荷輸送性樹脂の架橋体及び第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体のいずれも含有しない電荷輸送性膜である場合に比べ、最表面層の機械的強度が高い有機電子デバイスが提供される。
<16>に係る発明によれば、電荷輸送性樹脂としてポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]のみを用いた場合に比べ、可視光吸収性が低い電荷輸送性膜が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略断面図である。 本実施形態に係るタンデム型画像形成装置の概略断面図である。 (A)(B)(C)はそれぞれゴースト評価の基準を示す説明図である。 本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成の他の一例を示す概略部分断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
[有機電子デバイス]
本実施形態に係る有機電子デバイスは、下記一般式(1A-1)で表される構造及び下記一般式(1A-2)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂、前記第1の電荷輸送性樹脂の架橋体、下記一般式(1B)で表される構造を有する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂、並びに前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する電荷輸送性膜を有する。
以下、第1の電荷輸送性樹脂及び第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種を「特定樹脂」と称する場合があり、特定樹脂の架橋体を「特定樹脂架橋体」と称する場合がある。
Figure 2022172241000009

前記一般式(1A-1)及び前記一般式(1A-2)中、A及びAはそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T及びTはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
Figure 2022172241000010

前記一般式(1B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
本実施形態に係る有機電子デバイスが有する電荷輸送性膜は、特定樹脂及び特定樹脂架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有するため電荷輸送能が高い。そのため、上記有機電子デバイスは、電荷輸送能の高い電荷輸送性膜を有することで、電気特性が良好となる。
また、上記有機電子デバイスが有する電荷輸送性膜は、特定樹脂及び特定樹脂架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、可視光を吸収しにくく、可視光の透過性が高い。そのため、例えば有機電子デバイスが有機電界発光素子である場合、可視光の透過性が高い電荷輸送性膜を有することで、光の取り出し効率が向上する。
また、上記有機電子デバイスが有する電荷輸送性膜は、特定樹脂及び特定樹脂架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、電荷輸送性膜形成時における塗膜の平滑性が高い。そのため、上記有機電子デバイスは、平滑性の高い電荷輸送性膜を有することで、電荷輸送性膜の面方向における性能のばらつきが抑制される。
上記有機電子デバイスの中でも特に、特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスは、高い電荷輸送性を得つつ耐溶剤性の高い電荷輸送性膜を有する。そのため、例えば有機電子デバイスが有機電界発光素子である場合、下層(すなわち、最表面層以外の層)として特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜を適用することで、有機電界発光素子の性能及び生産性が向上する。具体的には、特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜の耐溶剤性が高いため、さらに上層を形成する際に「塗布法(すなわち、溶剤を含む塗布液を塗布して層を形成する方法)」を用いても、電荷輸送性膜の溶解に伴う有機電界発光素子の性能が低下しにくい。したがって、特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜を下層として用いることで、有機電界発光素子における性能の低下を抑制しつつ、生産性が向上する。
また、特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜を有する有機電子デバイスは、高い電荷輸送性を得つつ機械的強度に優れた電荷輸送性膜を有する。そのため、例えば有機電子デバイスが電子写真感光体である場合、最表面層として特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜を適用することで、ブレード等との摺擦による膜減少に対する耐性が高く、電子写真感光体の長寿命化が図れる。
なお、上記有機電子デバイスが有する電荷輸送性膜は、特定樹脂に対し更に多官能の重合性官能基を有するモノマーを混合して成膜することで、さらに架橋密度を高め、機械的強度、耐溶剤性を一層高めたものであってもよい。多官能の重合性官能基を有するモノマーを混合して成膜することで得られた電荷輸送性膜は、特定樹脂に含まれる重合性官能基が、主鎖から枝分かれした状態(すなわち、運動自由度の高い状態)で存在することで、効率的に架橋されると推察される。
<第1の電荷輸送性樹脂>
第1の電荷輸送性樹脂は、下記一般式(1A-1)で表される構造及び下記一般式(1A-2)で表される構造を有する。
Figure 2022172241000011

前記一般式(1A-1)及び前記一般式(1A-2)中、A及びAはそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T及びTはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
-一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)における各基の説明-
前記一般式(1A-1)及び前記一般式(1A-2)におけるA及びAは、それぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物などから誘導される2価の有機基が挙げられる。
前記一般式(1A-1)及び前記一般式(1A-2)におけるA及びAは、これらの中でも、正孔輸送能を有する有機基であることが好ましく、さらにその中でも、トリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、スチルベン骨格から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であることがより好ましい。
一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるA及びAは、それぞれ独立に下記一般式(2)で示される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2022172241000012

前記一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。
前記一般式(2)におけるXは、置換又は未置換の2価の有機基を表し、芳香環を有する基であっても有しない基であってもよい。なお、前記一般式(2)におけるXは、芳香環を有する基であることがより好ましく、この中でも、置換若しくは未置換の2価の芳香族基、置換若しくは未置換の芳香環数2以上10以下の2価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の芳香環数2以上10以下の2価の縮合芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の2価の芳香族複素環基であることがより好ましい。
「多核芳香族炭化水素基」とは、炭素と水素とから構成される芳香環が2個以上存在し、環同士が炭素-炭素結合によって結合している炭化水素基を表す。具体的には、芳香環を構成する炭素同士が直接炭素-炭素結合によって結合している炭化水素基、芳香環同士が炭素数1以上18以下の炭化水素基(アルキル鎖又はアルキレン鎖)によって連結されている炭化水素基等が挙げられる。
多核芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン、トリフェニルエチレン等の水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
なお、上記多核芳香族炭化水素基を構成する芳香環は、後述する縮合芳香族炭化水素基であってもよく、芳香族複素環であってもよい。多核芳香族炭化水素基を構成する縮合芳香族炭化水素基及び芳香族複素環の具体例としては、例えば後述する縮合芳香族炭化水素基及び芳香族複素環の具体例の化合物と同様のものが挙げられる。
「縮合芳香族炭化水素基」とは、炭素と水素から構成される芳香環が2個以上存在し、これらの芳香環同士が隣接して結合する1対の炭素原子を共有している炭化水素基を表す。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、フルオレン等の水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
「芳香族複素環」は、炭素と水素以外の元素も含む芳香環を表す。
芳香族複素環の環骨格を構成する原子数(Nr)としては、例えば、Nr=5、又はNr=6等が挙げられる。また、環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は限定されない。異種原子の種類としては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。また芳香族複素環は、環骨格中に2個以上の異種原子が含まれていてもよく、2種以上の異種原子が含まれていてもよい
特に、Nr=5の環骨格構造(すなわち5員環構造)を有する複素環としては、例えば、チオフェン、チオフィン、ピロール、フラン、又はこれらの3位及び4位の炭素をさらに窒素で置換した複素環等が挙げられる。またNr=6の環骨格構造(すなわち6員環構造)を有する複素環としては、例えば、ピリジン環等が挙げられる。
芳香環、多核芳香環及び縮合芳香環の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上20以下のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
置換アリール基、置換アラルキル基の置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる
一般式(2)におけるXとしては、好ましい例として下記式(X1)~(X7)から選択された基が挙げられる。
Figure 2022172241000013

式(X1)~(X7)中、R13は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、置換若しくは未置換のフェニル基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を示し、R14~R19は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を示し、aは0又は1を示し、Vは下記の式(V8)~(V17)から選択された少なくとも1つの基を示す。
Figure 2022172241000014

上記式(V8)~(V17)中、bは1以上10以下の整数を示し、cは1以上3以下の整数を示す。
なお、一般式(2)におけるXとしては、以下に示す群(A)から選択される2価の有機基が好ましく、更には以下に示す群(B)から選択される2価の有機基が特に好ましい。
Figure 2022172241000015

Figure 2022172241000016

一般式(2)におけるR及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記R及びRの中でも、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基が特に好ましい。
尚、R及びRが置換する位置としては、窒素(N)が結合する位置に対し、メタ位又はパラ位が好ましい。
なお、一般式(1A-1)におけるAと一般式(1A-2)におけるAとは、同じであっても異なっていてもよい。また、第1の電荷輸送性樹脂が一般式(1A-1)で表される構造を複数有する場合、複数のAは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。第1の電荷輸送性樹脂が一般式(1A-2)で表される構造を複数有する場合、複数のAは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるT及びTはそれぞれ独立に、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分枝状の2価の炭化水素基を示す。一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるT及びTは、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分枝状の2価の炭化水素基であることが好ましい。なお、2価の炭化水素基が直鎖状である場合は、炭素数は1以上6以下の範囲がより好ましく、2以上6以下の範囲がさらに好ましい。また、2価の炭化水素基が分枝状である場合には、炭素数は2以上10以下の範囲がより好ましく、3以上7以下の範囲がさらに好ましい。
以下に、Tで表される基及びTで表される基の具体的な構造の例(炭化水素基T-1~炭化水素基T-32)を示す。但し、一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるA又はAは、下記炭化水素基のどちらの側と結合してもよく、例えば、T-5rと記すと構造T-5の右側に、T-5lと記すと構造T-5の左側に、一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるA又はAが結合していることを示す。
Figure 2022172241000017

Figure 2022172241000018

一般式(1A-1)において、pが1である場合、カルボニル基に隣接するTとしては、上記構造T-1、T-2、及びT-4が好ましい。同様に、一般式(1A-2)において、qが1である場合、カルボニル基に隣接するTとしては、上記構造T-1、T-2、及びT-4が好ましい。
なお、一般式(1A-1)におけるTと一般式(1A-2)におけるTとは、同じであっても異なっていてもよい。また、第1の電荷輸送性樹脂が一般式(1A-1)で表される構造を複数有する場合、複数のTは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。第1の電荷輸送性樹脂が一般式(1A-2)で表される構造を複数有する場合、複数のTは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
以下、上記一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)のA及びAが上記一般式(2)で表される2価の有機基を示す場合における、AとTとpとの組み合わせ(すなわち、一般式(2)中のX、R、R、k、及びm、並びに一般式(1A-1)中のT及びpの組み合わせ)又はAとTとqとの組み合わせ(すなわち、一般式(2)中のX、R、R、k、及びm、並びに一般式(1A-2)中のT及びqの組み合わせ)の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において「R」及び「R」の欄に記載された数字は、結合の位置を表す。また、「T又はT」の欄に記載された番号は、上記に具体的に示した炭化水素基の構造式に付した番号(T-1)~(T-32)を意味する。尚、「T又はT」の欄において、たとえば「T-5r」と記す場合には構造T-5の右側に、「T-5l」と記す場合には構造T-5の左側にアリールアミン骨格(即ち、一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるA又はA)が結合していることを示すものとする。また、下記表において、「結合位置」に示される値は、前記一般式(2)におけるベンゼン環に記載されている数値の箇所に結合していることを示し、更にkが1の場合、( )内のベンゼン環も数字が記載されているベンゼン環と同様の箇所に結合していることを示す。
Figure 2022172241000019

Figure 2022172241000020

Figure 2022172241000021

Figure 2022172241000022

Figure 2022172241000023

Figure 2022172241000024

一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるY及びYはそれぞれ独立に、水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示す。
重合性官能基としては、例えば、炭素-炭素二重結合、エポキシ基、及びオキセタン基から選択される少なくとも1種を含む基が挙げられる。重合性官能基の具体例としては、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、下記一般式(P5)で表される基等が挙げられる。
重合性官能基は、これらの中でも、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 2022172241000025

前記一般式(P1)~(P5)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、結合位置を示す。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
一般式(P3)で表される基の置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよく、その中でもメタ位及びパラ位から選択される少なくとも一方が好ましく、パラ位がより好ましい。なお、第1の電荷輸送性樹脂が一般式(P3)で表される基を複数有する場合、それらの置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位から選択される少なくとも2種以上が混在していてもよい。
一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるY及びYが重合性官能基を有する基を示す場合としては、例えば、さらに置換基を有する前記重合性官能基が酸素原子に結合する場合のほか、置換又は無置換の前記重合性官能基が連結基を介して酸素原子に結合する場合等が挙げられる。
重合性官能基がさらに有する置換基としては、例えば、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アリール基としては、炭素数6以上20以下のものが好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7以上20以下のものが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体例は前述の通りである。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
重合性官能基と酸素原子との間を連結する連結基としては、例えば、炭素原子及び酸素原子から選択される少なくとも1種の原子により構成される2価の連結基(以下、これをL1とも称する)を示す。L1としては、例えば、アルキレン、-O-、及び-C(=O)-を任意に組み合わせて構成された基が挙げられる。L1を構成する水素原子以外の原子の合計数は、例えば1以上15以下が挙げられ、1以上10以下が好ましく、1以上6以下が最も好ましい。L1を構成する水素原子以外の原子の合計数が上記範囲であることにより、上記範囲よりも多すぎる場合に比べ、電荷輸送性骨格の比率が高く、電気特性が良好となる。
以下に、Yで表される基及びYで表される基のうち、重合性官能基又は重合性官能基を有する基の具体的な構造の例(基Y-1~基Y-22)を示す。但し、下記式中、Meはメチル基を意味し、Etはエチル基を意味する。
Figure 2022172241000026

なお、一般式(1A-1)におけるYと一般式(1A-2)におけるYとは、同じであっても異なっていてもよい。また、第1の電荷輸送性樹脂中における複数のYは、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。同様に、第1の電荷輸送性樹脂中における複数のYは、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。
つまり、第1の電荷輸送性樹脂の分子中に、一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)におけるY及びYとして、水素原子と重合性官能基及び重合性官能基を有する基から選択される少なくとも1種の基とが混在してもよい。また、複数のY及び複数のYのすべてが水素原子であってもよく、複数のY及び複数のYのすべてが重合性官能基及び重合性官能基を有する基から選択される少なくとも1種であってもよい。
第1の電荷輸送性樹脂が有する一般式(1A-1)で表される構造の数としては、例えば5以上5000以下が挙げられ、好ましくは5以上2000以下であり、さらに好ましくは10以上1000以下である。なお、複数の前記一般式(1A-1)で表される構造は、隣り合っていなくてもよい。
また、第1の電荷輸送性樹脂が有する一般式(1A-2)で表される構造の数としては、例えば5以上5000以下が挙げられ、好ましくは5以上2000以下であり、さらに好ましくは10以上1000以下である。同様に、複数の前記一般式(1A-2)で表される構造は、隣り合っていなくてもよい。
なお、第1の電荷輸送性樹脂は、一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造をそれぞれ5以上有し、かつ、重量平均分子量が20万以下であることが好ましい。
第1の電荷輸送性樹脂は、例えば、前記一般式(1A-1)で表される構造と前記一般式(1A-2)で表される構造とが交互に隣り合って結合した領域を有していてもよい。すなわち、第1の電荷輸送性樹脂は、下記一般式(1A-3)で表される構造を有する樹脂であってもよい。第1の電荷輸送性樹脂中に含まれる下記一般式(1A-3)で表される構造の数は、例えば5以上5000以下が挙げられ、5以上2000以下が好ましく、10以上1000以下がより好ましい。また、第1の電荷輸送性樹脂全体に対する下記一般式(1A-3)で表される構造の割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
Figure 2022172241000027

前記一般式(1A-3)中、A及びAはそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T及びTはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Y及びYはそれぞれ独立に水素原子、重合性官能基、又は重合性官能基を有する基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
すなわち、前記一般式(1A-3)中、A、A、T、T、Y、Y、p、及びqは、それぞれ、一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)中のA、A、T、T、Y、Y、p、及びqと同じである。
-第1の電荷輸送性樹脂の説明-
第1の電荷輸送性樹脂は、少なくとも一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造を分子内に有していればよく、一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造に加えて他の構造を分子内に有していてもよい。例えば、一般式(1A-1)で表される構造の末端に1価の置換基又は1価の他の構造単位が結合した形態、一般式(1A-2)で表される構造の末端に1価の置換基又は1価の他の構造単位が結合した形態等が挙げられる。また、第1の電荷輸送性樹脂の主鎖中に一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造以外の他の構造を有する形態としては、例えば、一般式(1A-1)で表される構造の単位と一般式(1A-2)で表される構造の単位が、他の構造を介して結合した形態が挙げられる。
第1の電荷輸送性樹脂が他の構造を分子内に有する場合、第1の電荷輸送性樹脂全体に対する一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造の合計の割合としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
なお、上記一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造の合計の割合は、NMRスペクトル又は赤外吸収スペクトルにおける各ピークの面積比などから算出される。また、重合せずに残存したモノマー(例えば、後述する一般式(3A)で表される化合物及び一般式(4A)で表される化合物)の量を定量することで算出してもよい。
第1の電荷輸送性樹脂全体に含まれる水酸基の総数をMとし、第1の電荷輸送性樹脂全体に含まれる重合性官能基の総数をMとしたとき、下記式(A1)を満たすことが好ましく、下記式(A2)を満たすことがより好ましく、下記式(A3)を満たすことがさらに好ましい。
式(A1):0≦M/(M+M)≦0.9
式(A2):0≦M/(M+M)≦0.6
式(A3):0≦M/(M+M)≦0.3
なお、上記M/(M+M)の値は、NMRスペクトル又は赤外吸収スペクトルにおける各ピークの面積比から算出される。
第1の電荷輸送性樹脂の重量平均分子量としては、例えば2000以上50万以下が挙げられ、3000以上20万以下が好ましく、4000以上10万以下がより好ましい。
上記重量平均分子量の測定は、測定対象の化合物の0.1質量%THF(テトラヒドロフラン)溶液を調製し、示差屈折率検出器(RI)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてスチレンポリマーを用いて行う。
以下、上記一般式(1A-1)におけるA及び上記一般式(1A-2)におけるAが上記一般式(2)である第1の電荷輸送性樹脂の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において、「A,T,p」及び「A,T,q」の欄に記載された番号は、一般式(1A-1)のAとTとpとの組み合わせ又は一般式(1A-2)のAとTとqとの組み合わせの具体例に付した番号(2-1)~(2-102)を意味する。また、「Y又はY」の欄に記載された番号のうち、Hは水素原子を意味し、その他の番号は前記重合性官能基又は重合性官能基を有する基の具体的な構造の例に付した番号(Y-1)~(Y-22)を意味する。また、下記表において、「n1」は第1の電荷輸送性樹脂が有する一般式(1A-1)で表される構造の数を意味し、「n2」は第1の電荷輸送性樹脂が有する一般式(A1-2)で表される構造の数を意味する。
Figure 2022172241000028

-合成方法(第1の電荷輸送性樹脂の製造方法)-
ついで第1の電荷輸送性樹脂の合成方法について説明する。
第1の電荷輸送性樹脂のうち、複数のY及び複数のYのすべてが水素原子である電荷輸送性樹脂(以下「特定電荷輸送性樹脂(AI)」ともいう)は、例えば、下記一般式(3A)で表される化合物と下記一般式(4A)で表される化合物との重合により得られる(重合工程)。
具体的には、例えば、下記一般式(3A)で表される化合物と下記一般式(4A)で表される化合物とを当量用い、溶剤中において触媒を用いて合成を行う。
Figure 2022172241000029

前記一般式(3A)及び(4A)中、A及びAはそれぞれ独立に電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、T及びTはそれぞれ独立に炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0又は1を示す。
なお、前記一般式(3A)及び(4A)中のA及びA、T及びT、並びにp及びqは、前記一般式(1A-1)及び一般式(1A-2)中のA及びA、T及びT、並びにp及びqと同じである。
特定電荷輸送性樹脂(AI)の合成は、例えば、一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物とを当量用い、溶剤中において触媒を用いることで行う。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒としては、例えば、4級アンモニウム塩、3級アミン、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩、ハロゲン化リチウム、トリフルオロホウ素錯塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムブロマイド、エチルトリオクチルアンモニウムクロライド、エチルトリオクチルアンモニウムブロマイド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリス(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(N,N-ジエチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルアミノメチルフェノール、N,N-ジメチルベンジルアミン等が挙げられる。
3級ホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
4級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヨーダイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリブチルホスホニウムヨーダイド、メチルトリオクチルホスホニウムクロライド、メチルトリオクチルホスホニウムブロマイド、エチルトリオクチルホスホニウムクロライド、エチルトリオクチルホスホニウムブロマイド、デシルトリブチルホスホニウムクロライド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド、エチルトリオクチルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
ハロゲン化リチウムとしては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等が挙げられる。
トリフルオロホウ素錯塩としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等が挙げられる。
触媒の添加量としては、例えば、モノマー総質量(すなわち、一般式(3A)で表される化合物の質量と一般式(4A)で表される化合物の質量との合計)1質量部に対して、1/10000質量部以上1/10質量部以下が挙げられ、好ましくは1/1000質量部以上1/50質量部以下である。
溶剤の添加量としては、例えば、生成する電荷輸送性樹脂の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。
反応温度(すなわち、一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物との重合温度)は特に限定されるものではなく、例えば30℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物との重合反応が終了した後は、例えば、得られた電荷輸送性樹脂が溶解しにくい貧溶剤(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトンなど)に反応溶液を滴下することで、電荷輸送性樹脂を析出させ、分離した後、水、有機溶剤等により洗浄し、乾燥させる。
さらに、必要に応じて有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性樹脂を析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理は、メカニカルスターラー等により撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性樹脂を溶解させる溶剤の添加量としては、例えば、電荷輸送性化合物3質量部に対して、1質量部以上100質量部以下の範囲が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。また、貧溶剤の量としては、例えば、電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1質量部以上1000質量部以下が挙げられ、好ましくは10質量部以上500質量部以下の範囲である。
また、一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物との重合反応が終了した後、例えば、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶剤で抽出、水洗し、さらに必要に応じて活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土等の吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
このようにして、一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物とを重合することで、一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂の中でも、一般式(1-3)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂が得られる。
第1の電荷輸送性樹脂のうち、複数存在するY及び複数存在するYの少なくとも一部として、重合性官能基及び重合性官能基を有する基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送性樹脂(以下「特定電荷輸送性樹脂(AII)」ともいう)は、例えば、前記一般式(3A)で表される化合物と前記一般式(4A)で表される化合物とを重合した後(すなわち、前記重合工程の後)に、得られた重合体と重合性官能基を有する化合物とを反応させ、重合体に重合性官能基を導入することで得られる。
このようにして、一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物とを重合した後に重合性官能基を有する化合物と反応させることで、一般式(1A-1)で表される構造及び一般式(1A-2)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂の中でも、一般式(1-3)で表される構造を有する第1の電荷輸送性樹脂が得られる。
なお、一般式(3A)で表される化合物と下記一般式(4A)で表される化合物とを重合する工程(重合工程)については、前記特定電荷輸送性樹脂(AI)の合成方法に記載した通りである。
得られた重合体に重合性官能基を導入する工程(すなわち、導入工程)では、具体的には、例えば、得られた重合体と重合性官能基を有する化合物とを溶剤に添加し、必要に応じて触媒を用いて反応を行う。
重合性官能基を有する化合物としては、例えば、Y-1~Y-4、Y-13~Y-14、及びY-16~Y-18に脱離基(例えば、OH基、ハロゲン原子、又は他のカルボン酸等)が置換したカルボン酸誘導体、Y-5~Y-12、Y-15、及びY-19~Y-22に脱離基(例えば、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、又はp-トルエンスルホニルオキシ基等)が置換して求電子剤となった化合物が挙げられる。これらに、必要に応じて公知の触媒又は縮合剤等を添加して反応を行うことで、重合性官能基が導入される。
得られた重合体に重合性官能基を導入する工程において用いる溶剤としては、例えば、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、クロロベンゼン、1-クロロナフタレン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記溶剤の添加量としては、例えば、得られる電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。
なお、重合性官能基を有する化合物としてカルボキシ基を有する化合物を用いる場合、触媒として、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸等を用いてもよい。
また、重合性官能基を有する化合物としてカルボン酸無水物及びハロゲン化物の少なくとも1種を用いる場合、触媒として、例えば、ピリジン、ピペリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、トリエチルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;などを用いてもよい。
触媒の添加量としては、例えば、重合性官能基を有する化合物に対し1当量以上10当量以下が挙げられ、好ましくは2当量以上5当量以下である。
反応温度(すなわち、重合体と重合性官能基を有する化合物との反応温度)は特に限定されるものではなく、例えば30℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
重合体と重合性官能基を有する化合物との反応が終了した後は、前記一般式(3A)で表される化合物と一般式(4A)で表される化合物とを重合した後と同様に、再沈殿処理及び精製を行ってもよい。
<第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂>
第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂は、下記一般式(1B)で表される構造を有する。
Figure 2022172241000030

前記一般式(1B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
-一般式(1B)における各基の説明-
前記一般式(1B)におけるAは、電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、アゾベンゼン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、キノン系化合物、フルオレノン系化合物などから誘導される2価の有機基が挙げられる。
前記一般式(1B)におけるAは、これらの中でも、正孔輸送能を有する有機基であることが好ましく、さらにその中でも、トリアリールアミン骨格、ベンジジン骨格、スチルベン骨格から選ばれる少なくとも1種を有する有機基であることがより好ましい。
一般式(1B)におけるAは、下記一般式(2)で示される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2022172241000031

前記一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。
なお、一般式(2)における各基の詳細は、前述の通りである。
第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が一般式(1B)で表される構造を複数有する場合、複数のAは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1B)におけるTは、炭素数1以上10以下の直鎖状又は分枝状の2価の炭化水素基を示す。一般式(1B)におけるTは、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分枝状の2価の炭化水素基であることが好ましい。なお、2価の炭化水素基が直鎖状である場合は、炭素数は1以上6以下の範囲がより好ましく、2以上6以下の範囲がさらに好ましい。また、2価の炭化水素基が分枝状である場合には、炭素数は2以上10以下の範囲がより好ましく、3以上7以下の範囲がさらに好ましい。
なお、Tで表される基の具体的な構造の例としては、例えば、前述のTで表される基及びTで表される基の具体的な構造の例として挙げた「炭化水素基T-1~炭化水素基T-32」が挙げられる。
なお、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が一般式(1B)で表される構造を複数有する場合、複数のTは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
以下、上記一般式(1B)のAが上記一般式(2)で表される2価の有機基を示す場合における、AとTとの組み合わせ(すなわち、一般式(2)中のX、R、R、k、及びm、並びに一般式(1B)中のTの組み合わせ)の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において「R」及び「R」の欄に記載された数字は、結合の位置を表す。また、「T」の欄に記載された番号は、上記に具体的に示した炭化水素基の構造式に付した番号(T-1)~(T-32)を意味する。尚、「T」の欄において、たとえば「T-5r」と記す場合には構造T-5の右側に、「T-5l」と記す場合には構造T-5の左側にアリールアミン骨格(即ち、一般式(1B)におけるA)が結合していることを示すものとする。また、下記表において、「結合位置」に示される値は、前記一般式(2)におけるベンゼン環に記載されている数値の箇所に結合していることを示し、更にkが1の場合、( )内のベンゼン環も数字が記載されているベンゼン環と同様の箇所に結合していることを示す。
Figure 2022172241000032

Figure 2022172241000033

Figure 2022172241000034

Figure 2022172241000035

Figure 2022172241000036

Figure 2022172241000037

一般式(1B)におけるYは、(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示す。ジオール残基は、酸素原子と酸素原子とを連結する連結基であり、炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された連結基であることが好ましい。
で示される連結基は、炭化水素基、又は炭化水素基と酸素原子とを組み合わせた連結基であることが好ましく、炭化水素基、又は炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせた連結基であることがより好ましい。上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれでもよく、これらのうち2以上の炭化水素基を組み合わせた基でもよい。2以上の炭化水素基は、同種の炭化水素基でもよく、異種の炭化水素基でもよい。
飽和炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよく、これらの組み合わせでもよい。飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数1以上10以下の直鎖状アルキレン基、炭素数2以上10以下の分岐状アルキレン基、炭素数5以上8以下の環状アルキレン基、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよく、これらの組み合わせでもよい。不飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数2以上10以下の直鎖状アルケニル基、炭素数3以上10以下の分岐状アルケニル基、炭素数5以上8以下の環状アルケニル基、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、少なくとも芳香環を含む環状の連結基であり、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、フルオレン等の水素原子を除いた2価の基等が挙げられる。
2以上の炭化水素基を組み合わせた基としては、例えば、2以上の芳香族炭化水素基を組み合わせた基のほか、芳香族炭化水素基に、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基が結合した基が挙げられる。
で示される連結基は、これらの中でも、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を2以上組み合わせた炭化水素基、並びにこれらの炭化水素基と酸素原子とを組み合わせた基が好ましく、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選ばれる少なくとも1種の基を2以上組み合わせた炭化水素基、並びにこれらの炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせた基がより好ましく、飽和炭化水素基、及び飽和炭化水素基とエーテル結合とを組み合わせた基が更に好ましい。
また、Yで示される連結基が酸素原子を含む場合、Yで示される連結基は、酸素原子を介して複数の炭化水素基が連結した基でもよい。複数の炭化水素基は、同種の炭化水素基であってもよく、異種の炭化水素基であってもよい。
ただし、Yで示される連結基の主鎖の末端の原子(すなわち、Yで示される連結基を構成する原子のうち、一般式(1B)中の酸素原子に直接結合する原子)は、いずれも炭素原子であることがよい。
また、Yで示される連結基を構成する原子のうち、Yで示される基に直接結合する原子は、炭素原子であることがよく、その中でもYで示される連結基の主鎖を構成する炭素原子であることがより好ましい。
で示される連結基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数としては、例えば2以上32以下が挙げられ、2以上22以下が好ましく、2以上20以下がより好ましく、2以上15以下がさらに好ましい。Yで示される連結基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より多い場合に比べて、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂に対する電荷輸送性骨格の割合が多く、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の電荷特性が良好となる。また、Yで示される連結基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より少ない場合に比べて、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の合成時に分子量の調整がしやすくなる。
なお、上記Yで示される連結基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、連結に直接関与する原子だけでなく、連結に直接関与していない原子(例えば、分岐鎖、芳香環等)も含む数である。例えば、下記具体例Y-12を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、31である。
以下に、Yで示される連結基とその両端の酸素原子を含めた構造の具体的な例(すなわち、O-Y-O)を示す。但し、下記構造中の「*」は、Yで示される基との結合位置を示す。
Figure 2022172241000038

なお、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が一般式(1B)で表される構造を複数有する場合、複数のYは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1B)におけるYは、「*-(CHn4-L-Z」で表される基を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
まず、「*-(CHn4-L-Z」で表される基におけるLで示される連結基について説明する。
Lで示される連結基は、炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基である。Lで示される連結基としては、例えば、アルキレン基、エーテル結合(すなわち「-O-」)、カルボニル基(すなわち「-C(=O)-」)、及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
また、これらを組み合わせた基(すなわち、アルキレン基、エーテル結合、及びカルボニル基から選択される少なくとも2以上を組み合わせた基)としては、例えば、エーテル結合とアルキレン基との組み合わせ、エーテル結合とカルボニル基との組み合わせ(例えばエステル結合)、エーテル結合とカルボニル基とアルキレン基との組み合わせ(例えばエステル結合とアルキレン基との組み合わせ)等が挙げられる。
Lで示される連結基は、エーテル結合を少なくとも含むことが好ましい。
Lで示される基(Lで示される連結基又はLで示される単結合)を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数としては、例えば0以上16以下が挙げられ、1以上11以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上7以下がさらに好ましい。Lで示される基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より多い場合に比べて、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂に対する電荷輸送性骨格の割合が多く、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の電荷特性が良好となる。また、Lで示される基を構成する水素原子以外の原子の数が前記範囲であることにより、前記範囲より少ない場合に比べて、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋反応が起こりやすく、耐溶剤性及び機械的強度の優れた膜が得られやすくなる。
なお、上記Lで示される基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、連結に直接関与する原子だけでなく、連結に直接関与していない原子(例えば、カルボニル基の酸素原子等)も含む数である。例えば、下記具体例L-9を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数は、11である。
以下に、Lで表される連結基の具体的な例を示す。なお、下記構造中における2つの「*」のうち、左側に示された「*」が「-(CHn4-」との結合位置を示し、右側に示された「*」がZで示される重合性官能基との結合位置を示す。
Figure 2022172241000039

次に、「*-(CHn4-L-Z」で表される基におけるZで示される重合性官能基について説明する。
重合性官能基としては、例えば、炭素-炭素二重結合、エポキシ基、及びオキセタン基から選択される少なくとも1種を含む基が挙げられる。重合性官能基の具体例としては、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、下記一般式(P5)で表される基等が挙げられる。
重合性官能基は、これらの中でも、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 2022172241000040

前記一般式(P1)~(P5)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、結合位置を示す。
アルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
アルコキシル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1以上5以下のものがより好ましく、炭素数1以上3以下のものがさらに好ましく、炭素数1以上2以上のものが特に好ましい。
一般式(P3)で表される基の置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれであってもよく、その中でもメタ位及びパラ位から選択される少なくとも一方が好ましく、パラ位がより好ましい。なお、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が一般式(P3)で表される基を複数有する場合、それらの置換位置は、オルト位、メタ位、及びパラ位から選択される少なくとも2種以上が混在していてもよい。
以下に、Zで示される重合性官能基の具体的な構造の例を示す。なお、下記構造中、*は、Lで表される基との結合位置を示す。
Zで示される重合性官能基は、下記具体例の中でも特に、下記式(P1-1)で表される基、下記式(P1-2)で表される基、及び下記式(P3-1)で表される基が好ましい。
また、Zで示される重合性官能基が下記式(P1-1)で表される基又は下記式(P1-2)で表される基である場合、Lで表される基が連結基であり、かつ、Lで表される連結基を構成する原子のうちZで表される重合性官能基と直接結合する原子が酸素原子である(つまり、アクリル酸エステル構造又はメタクリル酸エステル構造を有する)ことが好ましい。
Figure 2022172241000041

なお、一般式(1B)におけるY中のn4が2である場合、2つのYは同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が一般式(1B)で表される構造を複数有する場合、複数のYは、全て同一でもよく、一部同一でもよく、互いに異なっていてもよいが、全体の80%以上が同一であることが好ましく、全体の90%以上が同一であることがより好ましく、全て同一であることがさらに好ましい。
一般式(1B)におけるYで示される連結基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、一般式(1B)におけるY中のn4の数と、一般式(1B)におけるY中のLで示される基を構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計としては、例えば30以下が挙げられ、25以下が好ましく、15以下がより好ましい。前記合計が前記範囲であることにより、前記範囲より多い場合に比べて、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂に対する電荷輸送性骨格の割合が多く、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の電荷特性が良好となる。また、前記合計が前記範囲であることにより、前記範囲より少ない場合に比べて、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋反応が起こりやすく、耐溶剤性及び機械的強度の優れた膜が得られやすくなる。
以下、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ(すなわち、O-Y-O、n3、n4、L、及びZの組み合わせ)の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において「O-Y-O」の欄における「*」は、Yで表される基との結合位置を示す。また、記載された数字は、結合の位置を表す。また、「L」の欄における2つの「*」のうち、左側に示された「*」は、Yで表される基における「-(CHn4-」との結合位置を示し、右側に示された「*」は、Zで示される重合性官能基との結合位置を示す。また、「Z」の欄における「*」は、Lで表される基との結合位置を示す。また、下記具体例においては、n3が2である例については、2つのYが同じである例を示している。
Figure 2022172241000042

Figure 2022172241000043

Figure 2022172241000044

Figure 2022172241000045

-第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の説明-
第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂は、少なくとも一般式(1B)で表される構造を分子内に有していればよく、一般式(1B)で表される構造に加えて他の構造を分子内に有していてもよい。第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が他の構造を分子内に有する場合、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂全体に対する一般式(1B)で表される構造の割合としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
また、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が有する一般式(1B)で表される構造の数としては、例えば5以上5000以下が挙げられ、好ましくは5以上2000以下であり、さらに好ましくは10以上1000以下である。
第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、2000以上50万以下が好ましく、3000以上20万以下がより好ましく、4000以上10万以下がさらに好ましい。
上記重量平均分子量の測定は、測定対象の化合物の0.1質量%THF(テトラヒドロフラン)溶液を調製し、示差屈折率検出器(RI)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準サンプルとしてスチレンポリマーを用いて行う。
以下、前記一般式(1B)におけるAが前記一般式(2)で表される2価の有機基を示す場合における第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例を示すが、これら具体例に限定されるわけではない。
なお、下記表において、「組み合わせAT」及び「組み合わせY」の欄に記載された番号は、それぞれ、AとTとの組み合わせの具体例に付した番号AT-1~AT-102及びO-Y-Oとn3とYと組み合わせの具体例に付した番号Y-1~Y-63を意味する。また、「構造の数」の欄に記載された数字は、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂が有する一般式(1B)で表される構造の数を意味する。
Figure 2022172241000046

-合成方法(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の製造方法)-
ついで合成方法について説明する。
第2の電荷輸送性樹脂は、例えば、下記一般式(3B)で表される化合物(以下、「電荷輸送性モノマー」ともいう)と下記一般式(4B)で表される化合物(以下、「非電荷輸送性モノマー」ともいう)との重縮合により得られる。
Figure 2022172241000047

前記一般式(3B)及び(4B)中のA、T、Y、n3、及びYは、前記一般式(1B)中のA、T、Y、n3、及びYと同じである。
つまり、前記一般式(3B)及び(4B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。
また、前記一般式(3B)及び(4B)中、Z及びZは、互いに重縮合反応し得る組み合わせとなる基を示す。
具体的には、Zで示される基が水酸基である場合、Zで示される基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基、p-トルエンスルホン酸エステル基等が挙げられる。
また、Zで示される基が水酸基である場合、Zで示される基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、他の有機酸との混合無水物の残基等が挙げられる。なお、上記他の有機酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸イソブチル、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。
上記電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重縮合反応においては、その反応形式に応じて、公知の添加剤、触媒等(具体的には、例えば、酸触媒、縮合剤、縮合で副生する水、アルコール、酸などを捕捉する捕捉剤等)を用いてもよい。
前記の通り、非電荷輸送性モノマーは、重合性官能基を含有する。そのため、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重縮合反応中に、非電荷輸送性モノマーが有する重合性官能基(すなわち、Yで示される「*-(CHn4-L-Z」中のZで示される基)が反応しないよう、重縮合反応条件を選択してもよい。具体的には、例えば、必要に応じて、公知の重合禁止剤を添加して重縮合反応を実施してもよい。
また、上記非電荷輸送性モノマーの代わりに、Zで示される重合性官能基を有さないモノマーを用いて、電荷輸送性モノマーとの重縮合反応を実施することでポリエステルを得た後に、公知の反応により前記ポリエステル(すなわち、重合性官能基を有さないポリエステル)にZで示される重合性官能基を導入してもよい。
上記Zで示される重合性官能基を有さないモノマーと電荷輸送性モノマーとの重縮合反応を実施する場合、後からZで示される重合性官能基を導入するための官能基が重縮合中に反応しないよう、該官能基を適宜保護して重縮合を行ってもよい。
後からZで示される重合性官能基を導入する方法としては、重合性官能基を有さないポリエステルと、重合性官能基を有する化合物と、を反応させる方法が挙げられる。
重合性官能基を有する化合物としては、例えば、導入する重合性官能基に脱離基(例えば、水酸基、ハロゲン原子、他のカルボン酸等)が置換したカルボン酸誘導体、導入する重合性官能基に脱離基(例えば、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等)が置換して求電子剤となった化合物等が挙げられる。
電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーは、それぞれ、公知の方法で合成することで得られる。また、Zで示される重合性官能基を有する非電荷輸送性モノマーとして、市販品を使用してもよい。非電荷輸送性モノマーとして、重縮合の反応部位となるZで示される基が水酸基であるジオールモノマーをそのまま使用してもよく、重縮合反応条件によっては、該ジオールモノマーの水酸基を、公知の方法でハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、メタンスルホン酸エステル基、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基、p-トルエンスルホン酸エステル基等に変換して使用してもよい。
Zで示される重合性官能基を有する非電荷輸送性モノマーのうち、Zで示される基が水酸基であるジオールモノマーを合成する方法としては、例えば、エポキシ基又はオキセタン基を含有する市販の重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン誘導体等)に、水を付加させ、エポキシ基又はオキセタン基を開環させることで得る方法が挙げられる。
また、前記ジオールモノマーを合成する方法として、グリシドールに代表される、水酸基を含有するエポキシド又は水酸基を含有するオキセタンに対して、カルボキシ基又は水酸基を有する重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ置換スチレン、ヒドロキシメチル置換スチレン、ビニル安息香酸等)を付加させ、エポキシ基又はオキセタン基を開環させて得る方法も挙げられる。
その他、前記ジオールモノマーを合成する方法として、3-クロロ-1,2-プロパンジオールに代表されるハロゲン含有ジオールに対して、カルボキシ基又は水酸基を有する重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ置換スチレン、ヒドロキシメチル置換スチレン、ビニル安息香酸等)を反応させ、置換反応させることによって得る方法も挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも一方を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも一方を意味する。
一分子中に2つの重合性官能基を有する非電荷輸送性のジオールモノマーについては、市販の2官能エポキシ(メタ)アクリレートに代表される、重合性官能基を2つ有する重合性官能基含有化合物をそのまま使用してもよい。
一分子中に2つの重合性官能基を有する非電荷輸送性のジオールモノマーを合成する方法としては、例えば、2官能のエポキシド又は2官能のオキセタン化合物に対して、カルボキシ基又は水酸基を有する重合性官能基含有化合物(例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ置換スチレン、ヒドロキシメチル置換スチレン、ビニル安息香酸等)を付加させ、エポキシ基又はオキセタン基を開環させて得る方法が挙げられる。
前記電荷輸送性モノマー及び非電荷輸送性モノマーを用いた第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の合成は、例えば、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとを当量用い、溶剤中において、公知の添加剤や触媒(例えば、酸触媒、縮合剤、縮合で副生する水、アルコール、酸などを捕捉する捕捉剤等)等を用いることで行う。
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、モノクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・第二の電荷輸送性ポリエステル樹脂の合成(重縮合)の例
上記電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合方法については、第4版実験化学講座28巻等に記載された公知の種々の方法を採用してもよい。例えば、以下の様な方法が挙げられる。
(1)触媒を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合
触媒を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合では、二価のアルコールと二価のカルボン酸とを、ほぼ当量混合し、酸触媒を用いて重合する。
酸触媒としては、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等、通常のエステル化反応に用いるものが使用され、モノマー1質量部に対して、1/10000~1/10質量部、好ましくは1/1000~1/50質量部の範囲で用いられる。重合中に生成する水を除去するために、水と共沸可能な溶剤を用いることが好ましく、トルエン、クロロベンゼン等が有効であり、モノマー1質量部に対して、1~100質量部、好ましくは2~50質量部の範囲で用いられる。反応温度は任意に設定されるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。反応終了後、溶剤を用いなかった場合には、可溶な溶剤に溶解させる。溶剤を用いた場合には、反応溶液をそのまま、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のポリマーが溶解しにくい貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリエステル樹脂を析出させ、電荷輸送性ポリエステル樹脂を分離した後、水、有機溶剤等で十分洗浄し、乾燥させる。さらに、必要であれば適当な有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性ポリエステル樹脂を析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理の際には、メカニカルスターラー等で効率よく撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性ポリエステル樹脂を溶解させる溶剤は、電荷輸送性ポリエステル樹脂1質量部に対して、1~100質量部、好ましくは2~50質量部の範囲で用いられる。また、貧溶剤は電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1~1000質量部、好ましくは10~500質量部の範囲で用いられる。
また、酸性度の高い二価のアルコール類をモノマーとして用いる場合には、界面重合法を用いてもよい。すなわち、二価アルコール類を水に加え、当量の塩基を加えて溶解させた後、激しく撹拌しながら2価アルコール類と当量の電荷輸送性モノマーの溶液を加えることによって重合する。この際、水は2価アルコール類1質量部に対して、1~1000質量部、好ましくは2~500質量部の範囲で用いられる。もう一方のモノマーを溶解させる溶剤としては、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、1-クロロナフタレン等が有効である。反応温度は任意に設定され、反応を促進するために、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の相間移動触媒を用いることが効果的である。相間移動触媒は、モノマー1質量部に対して、0.1~10質量部、好ましくは0.2~5質量部の範囲で用いられる。
(2)縮合剤を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合
縮合剤を用いた二価のアルコールと二価のカルボン酸の重合では、二価のアルコールと二価のカルボン酸とを、ほぼ当量混合し、縮合剤を用いて重合する。縮合剤としては公知のものが使用され、具体的には、カルボジイミド系、イミダゾール系、トリアジン系、ホスホニウム系、ウロニウム系、ハロウロニウム系、光延反応試剤(アゾジカルボン酸ジエチルとトリフェニルホスフィン)等が挙げられる。
縮合剤の添加量は、二価のアルコールと二価のカルボン酸を当量使用する場合、二価のアルコールに対して1~5モル当量、好ましくは1.05~3モル当量、最も好ましくは1.1~2モル当量である。
必要に応じ、塩基を添加してもよい。塩基としては有機塩基が好ましい。具体的には、ピリジン、トリエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾールなどが挙げられる。これらの使用量は縮合剤に対して0.05~2モル当量、好ましくは0.1~1.5モル当量、最も好ましくは0.15~1.3モル当量である。
(3)二価のアルコールと二価のカルボン酸エステルの重合
二価のアルコールと二価のカルボン酸エステルの重合では、二価のアルコールを二価のカルボン酸エステルに加え、硫酸、リン酸等の無機酸、チタンアルコキシド、カルシウムおよびコバルト等の酢酸塩または炭酸塩、亜鉛または鉛の酸化物を触媒に用いて加熱し、エステル交換により合成する。
特に二価のカルボン酸エステルとして、沸点の高い電荷輸送性モノマーを用いる場合は、比較的沸点の低い二価のアルコールを、カルボン酸エステルに対し過剰に用いることが好ましい。二価のアルコールは、電荷輸送性モノマー1当量に対して、2~100当量、好ましくは3~50当量の範囲で用いられる。触媒は電荷輸送性モノマー1質量部に対して、1/1000~1質量部、好ましくは1/1000~1/2質量部の範囲で用いられる。反応温度200~300℃で行い、エステル交換終了後は、二価のアルコールの脱離による重合を促進するため、減圧下で反応させることが好ましい。また、二価のアルコールと共沸する1-クロロナフタレン等の高沸点溶剤を用いて、常圧下で二価のアルコールを共沸で除きながら反応させてもよい。
(4)二価のアルコール誘導体と二価のカルボン酸の重合
二価のアルコール誘導体と二価のカルボン酸の重合では、二価のアルコール誘導体として、二価のハロゲン化合物が好ましく用いられる。この場合には、二価のハロゲン化合物と二価のカルボン酸をほぼ当量になるように混合し、塩基性触媒を用いて重合すればよい。塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、ピペリジン等の一般の有機塩基、KCO、NaCO等の無機塩基が使用され、モノマー1molに対して1~100mol、好ましくは1~10molの範囲で用いられる。反応に使用する溶剤は特に制限はないが、塩基として無機塩基を用いる場合はN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤が特に好ましい。反応温度は特に制限はなく自由に設定されるが、0度~反応溶剤の沸点に設定することが望ましい。
触媒の添加量としては、例えば、モノマー総質量(すなわち、電荷輸送性モノマーの質量と非電荷輸送性モノマーの質量との合計)1質量部に対して、1/10000質量部以上1/10質量部以下が挙げられ、好ましくは1/1000質量部以上1/50質量部以下である。
溶剤の添加量としては、例えば、生成する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の1質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。
反応温度(すなわち、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合温度)は特に限定されるものではなく、例えば30℃以上100℃以下の範囲が挙げられる。
電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合反応が終了した後は、例えば、得られた電荷輸送性樹脂が溶解しにくい貧溶剤(例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトンなど)に反応溶液を滴下することで、電荷輸送性樹脂を析出させ、分離した後、水、有機溶剤等により洗浄し、乾燥させる。
さらに、必要に応じて有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、電荷輸送性樹脂を析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理は、メカニカルスターラー等により撹拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際に電荷輸送性樹脂を溶解させる溶剤の添加量としては、例えば、電荷輸送性化合物3質量部に対して、1質量部以上100質量部以下の範囲が挙げられ、好ましくは2質量部以上50質量部以下である。また、貧溶剤の量としては、例えば、電荷輸送性樹脂1質量部に対して、1質量部以上1000質量部以下が挙げられ、好ましくは10質量部以上500質量部以下の範囲である。
また、電荷輸送性モノマーと非電荷輸送性モノマーとの重合反応が終了した後、例えば、反応液を水にあけ、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶剤で抽出、水洗し、さらに必要に応じて活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土等の吸着剤を用いて精製を行ってもよい。
<電荷輸送性膜>
次に、電荷輸送性膜について説明する。
電荷輸送性膜は、第1の電荷輸送性樹脂、第1の電荷輸送性樹脂の架橋体、第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂、及び第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種(すなわち、特定樹脂及び特定樹脂架橋体から選ばれる少なくとも1種)を含有する。
電荷輸送性膜は、例えば、特定樹脂が溶剤に溶解した特定樹脂溶解液を用いて膜とすることで形成される。
-特定樹脂溶解液-
特定樹脂溶解液に用いる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等の溶剤が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、混合溶剤として用いてもよい。
なお、これらの溶剤に特定樹脂を溶解する溶解方法としては、例えば、10℃から150℃、好ましくは15℃から120℃の温度で溶剤と攪拌混合(例えば超音波照射しながら攪拌混合)するなど通常の方法が挙げられる。
-特定樹脂の架橋-
電荷輸送性膜の中でも特に、特定樹脂架橋体を含有する電荷輸送性膜を得る方法としては、例えば、重合性官能基を有する特定樹脂を含有する特定樹脂溶解液を用い、これに熱、光、放射線等を付与することで特定樹脂をさらに架橋させる方法が挙げられる。上記架橋により、強度、耐溶剤性が向上した電荷輸送性膜が得られる。
なお、熱及び光の少なくとも一方により架橋を行う場合、重合開始剤は必ずしも必要ではないが、光硬化触媒及び熱重合開始剤の少なくとも一方を用いてもよい。この光硬化触媒及び熱重合開始剤としては、公知の光硬化触媒や熱重合開始剤が用いられる。放射線としては電子線が好ましい。
(電子線架橋)
特定樹脂の架橋に電子線を用いる場合、加速電圧は300KV以下が好ましく、最適には150KV以下である。また、線量は好ましくは1Mrad以上100Mrad以下の範囲、より好ましくは3Mrad以上50Mrad以下の範囲である。加速電圧が300KV以下であることにより感光体特性に対する電子線照射のダメージが抑制される。また、線量が1Mrad以上であることにより架橋が十分に行なわれ、100Mrad以下であることにより感光体の劣化が抑制される。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が1000ppm、好ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、又は照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
(光架橋)
光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどが用いられ、バンドパスフィルター等のフィルターを用いて好適な波長を選択してもよい。照射時間、光強度は自由に選択されるが、例えば照度(365nm)は300mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば600mW/cmのUV光を照射する場合、5秒以上360秒以下照射すればよい。
照射は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下で行い、さらに照射中、又は照射後に50℃以上150℃以下に加熱してもよい。
光硬化触媒として、分子内開裂型としては、ベンジルケタール系、アルキルフェノン系、アミノアルキルフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系、オキシム系などが挙げられる。
より具体的には、ベンジルケタール系として、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが挙げられる。
また、アルキルフェノン系としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、アセトフェノン、2-フェニル-2-(p-トルエンスルフォニルオキシ)アセトフェノンが挙げられる。
アミノアルキルフェノン系としては、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モリホニル)フェニル]-1-ブタノンなどが挙げられる。
ホスフィノキサイド系としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンキサイドなどが挙げられる。
チタノセン系としては、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムなどが挙げられる。
オキシム系としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。
水素引抜型としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンジル系、ミヒラーケトン系などが挙げられる。
より具体的には、ベンゾフェノン系として、2-ベンゾイル安息香酸、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、p,p’-ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系としては、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ベンジル系としては、ベンジル、(±)-カンファーキノン、p-アニシルなどが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用られる。
(熱架橋)
熱重合開始剤としては、V-30、V-40、V-59、V601、V65、V-70、VF-096、VE-073、Vam-110、Vam-111(富士フイルム和光純薬(株)製)、OTazo-15、OTazo-30、AIBN、AMBN、ADVN、ACVA(大塚化学)等のアゾ系開始剤;パーテトラA、パーヘキサHC、パーヘキサC、パーヘキサV、パーヘキサ22、パーヘキサMC、パーブチルH、パークミルH、パークミルP、パーメンタH、パーオクタH、パーブチルC、パーブチルD、パーヘキシルD、パーロイルIB、パーロイル355、パーロイルL、パーロイルSA、ナイパーBW、ナイパーBMT-K40/M、パーロイルIPP、パーロイルNPP、パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP、パークミルND、パーオクタND、パーヘキシルND、パーブチルND、パーブチルNHP、パーヘキシルPV、パーブチルPV、パーヘキサ250、パーオクタO、パーヘキシルO、パーブチルO、パーブチルL、パーブチル355、パーヘキシルI、パーブチルI、パーブチルE、パーヘキサ25Z、パーブチルA、パーヘキシルZ、パーブチルZT、パーブチルZ(日油化学社製)、カヤケタールAM-C55、トリゴノックス36-C75、ラウロックス、パーカドックスL-W75、パーカドックスCH-50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH-70、ペルカドックスBC-FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、カヤヘキサYD-E85、パーカドックス12-XL25、パーカドックス12-EB20、トリゴノックス22-N70、トリゴノックス22-70E、トリゴノックスD-T50、トリゴノックス423-C70、カヤエステルCND-C70、カヤエステルCND-W50、トリゴノックス23-C70、トリゴノックス23-W50N、トリゴノックス257-C70、カヤエステルP-70、カヤエステルTMPO-70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP-65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF-C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH-C70、カヤカルボンEH-W60、カヤカルボンI-20、カヤカルボンBIC-75、トリゴノックス117、カヤレン6-70(化薬アクゾ社製)、ルペロックス610、ルペロックス188、ルペロックス844、ルペロックス259、ルペロックス10、ルペロックス701、ルペロックス11、ルペロックス26、ルペロックス80、ルペロックス7、ルペロックス270、ルペロックスP、ルペロックス546、ルペロックス554、ルペロックス575、ルペロックスTANPO、ルペロックス555、ルペロックス570、ルペロックスTAP、ルペロックスTBIC、ルペロックスTBEC、ルペロックスJW、ルペロックスTAIC、ルペロックスTAEC、ルペロックスDC、ルペロックス101、ルペロックスF、ルペロックスDI、ルペロックス130、ルペロックス220、ルペロックス230、ルペロックス233、ルペロックス531(アルケマ吉富社製)などが挙げられる。
これらのうち、分子量250以上のアゾ系重合開始剤を用いると、低い温度でムラなく反応が進行することから、ムラが抑制された高強度の膜が形成される。より好適には、アゾ系重合開始剤の分子量は、250以上であり、300以上が更に好適である。
加熱は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素濃度が好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下で行い、好ましくは50℃以上170℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下で、好ましくは10分以上120分以下、より好ましくは15分以上100分以下加熱する。
光硬化触媒又は熱重合開始剤の総含有量は、層形成のための溶解液中の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、更には0.1質量%以上8質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が特に好ましい。
-他の成分-
電荷輸送性膜は、特定樹脂を、特定樹脂以外のバインダー樹脂に相溶させた膜であってもよく、二重結合を有するモノマー、オリゴマー、又はポリマー(以下「反応性化合物」ともいう)と混合し硬化させた硬化膜であってもよい。
また、電荷輸送性膜は、発光材料、色素化合物、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料及び電子注入材料から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。これら材料の具体例については後述する。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂等、公知の非反応性のバインダー樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂の総含有量は、電荷輸送性膜を形成する際に用いられる組成物の全固形分に対して、0質量%以上60質量%以下が望ましく、より望ましくは0質量%以上55質量%以下、更に望ましくは0質量%以上50質量%以下である。
(反応性化合物)
反応性化合物としては、例えば、1官能の化合物(すなわち、分子内に二重結合を1つ有する化合物)、及び2官能以上の化合物(すなわち、同一分子内に2つ以上の二重結合を含む化合物)が挙げられ、これらの中でも、電荷輸送性膜の強度向上の観点から2官能以上の化合物が好ましい。なお、反応性化合物は、分子内に電荷輸送性の構造を有するものであってもよい。
反応性化合物として、1官能のモノマーは、例えば、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシエチルo-フェニルフェノールアクリレート、o-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、スチレンなどが挙げられる。
反応性化合物として、2官能のモノマーは、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
反応性化合物として、3官能のモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、トリビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
反応性化合物として、4官能のモノマーは、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
反応性化合物として、5官能以上のモノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、反応性化合物として、反応性のポリマーは、例えば、特開平5-216249号公報、特開平5-323630号公報、特開平11―52603号公報、特開2000-264961号公報、特開2005-2291号公報などに開示されたものが挙げられる。
反応性化合物を用いる場合には、単独又は2種以上の混合物として使用される。反応性化合物は、膜を形成する際に用いられる組成物の全固形分の全固形分に対して、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下で用い、更に好ましくは50質量%以下で使用される。
<有機電子デバイスの種類>
有機電子デバイスとしては、例えば、支持体上に、上記電荷輸送性膜を設けたものが挙げられ、具体的には、例えば、電子写真感光体、有機電界発光素子、太陽電池、トランジスター等が挙げられる。
なお、有機電子デバイスが感光層を有する電子写真感光体である場合、最表面層が前記電荷輸送性膜であってもよく、感光層が前記電荷輸送性膜であってもよい。感光層が前記電荷輸送性膜である場合、感光層である電荷輸送性膜が、電荷輸送材料として特定樹脂及び特定樹脂架橋体から選ばれる少なくとも1種と、電荷発生材料と、を含有してもよい。
電荷輸送性膜に含有される電荷発生材料としては、例えばフタロシアニン化合物が挙げられ、さらに具体的には、例えば、特開平5ー98181号公報に開示されているハロゲン化ガリウムフタロシアニン結晶、特開平5ー140472号公報及び特開平5ー140473号公報に開示されているハロゲン化スズフタロシアニン結晶、特開平5ー263007号公報及び特開平5ー279591号公報に開示されているヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、特開平4-189873号公報及び特開平5ー43813号公報に開示されているオキシチタニウムフタロシアニン水和物結晶等が挙げられる。これらのフタロシアニン化合物を用いることにより、高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られる。
以下、有機電子デバイスの一例として、電子写真感光体及び有機電界発光素子について説明する。
-電子写真感光体-
電子写真感光体としては、例えば、導電性基体上に前述の電荷輸送性膜を設けたものが挙げられる。その中でも、導電性基体上に設けられた層のうち最表面層が前述の電荷輸送性膜であるものが好ましい。
なお、最表面層は、電子写真感光体自体の最上面を形成していればよく、保護層として機能する層であってもよく、電荷輸送層として機能する層であってもよい。
最表面層が保護層として機能する層である場合、例えば、この保護層の下層に、電荷輸送層及び電荷発生層からなる感光層、又は単層型感光層を有する。つまり、最表面層が保護層として機能する層である場合、例えば、導電性基体上に、感光層、及び最表面層としての保護層を有し、該保護層が前記電荷輸送性膜である形態が挙げられる。
一方、最表面層が電荷輸送層として機能する層である場合、例えば、導電性基体上に、電荷発生層、及び最表面層としての電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が前記電荷輸送性膜である形態が挙げられる。なお、電荷輸送層は、チオール基又は不飽和結合などの反応性基を有さない電荷輸送材料をさらに含有してもよい。
以下、電子写真感光体の例として、最表面層が保護層として機能する層である電子写真感光体について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、電子写真用感光体の好適な一例を示す模式断面図である。図2及び図3はそれぞれ電子写真感光体の好適な他の一例を示す模式断面図である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層が構成される。
図2に示す電子写真感光体7Bは、図1に示す電子写真感光体7Aのごとく、電荷発生層2と電荷輸送層3とに機能が分離された機能分離型感光体である。
図2に示す電子写真感光体7Bにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に、電荷輸送層3、電荷発生層2、及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Bにおいては、電荷輸送層3及び電荷発生層2により感光層が構成される。
図3に示す電子写真感光体7Cは、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層6)に含有するものである。図3に示す電子写真感光体7Cにおいては、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に単層型感光層6及び保護層5が順次形成された構造を有するものである。
そして、図1、図2、及び図3に示す電子写真感光体7A、7B、及び7Cにおいて、保護層5が、導電性基体4から最も遠い側に配置される最表面層となっており、当該最表面層が、上記の構成となっている。
尚、図1、図2、及び図3に示す電子写真感光体において、下引層1は設けてもよいし、設けなくてもよい。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
(下引層)
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物;2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ-t-ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気又は窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
(中間層)
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5-263007号公報、特開平5-279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5-98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5-140472号公報、特開平5-140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4-189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004-78147号公報、特開2005-181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n-型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012-155282号公報の段落[0288]~[0291]に記載された化合物(CG-1)~(CG-27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突又は液-壁衝突させて分散する衝突方式、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
Figure 2022172241000048

構造式(a-1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
Figure 2022172241000049

構造式(a-2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8-176293号公報、特開平8-208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
電子写真感光体7Aにおける最表面層である保護層について説明する。
保護層は、電子写真感光体7Aにおける最表面層であり、例えば前述の特定樹脂溶解液を用いて形成されたものであることが好ましく、前述の電荷輸送性膜を含むことが好ましく、さらに特定樹脂架橋体を含有することが最も好ましい。
架橋方法としては、熱、光、又は放射線などによるラジカル重合が行なわれる。反応が早く進行しすぎないよう調整すると膜のムラ及びシワの発生が抑制されるため、ラジカル発生が比較的ゆっくりと起こる条件下で架橋させることが望ましい。この点からは、架橋速度を調整しやすい熱架橋が好適である。
・非反応性の電荷輸送材料
保護層(最表面層)5を構成する膜は、非反応性の電荷輸送材料を併用してもよい。非反応性の電荷輸送材料は電荷輸送を担っていない反応性基を有さないため、非反応性の電荷輸送材料を保護層(最表面層)5に用いた場合には実質的に電荷輸送成分の濃度が高まり、電気特性を更に改善するのに有効である。また、非反応性の電荷輸送材料を添加して架橋密度を減じ、強度を調整してもよい。
非反応性の電荷輸送材料としては、公知の電荷輸送材料を用いてもよく、具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等が用いられる。
中でも、モビリティー、相溶性など点から、トリフェニルアミン骨格を有するものが望ましい。
非反応性の電荷輸送材料は、層形成のための塗布液中の全固形分に対して0質量%以上30質量%以下で用いられることが望ましく、より望ましくは1質量%以上25質量%以下であり、更に望ましくは5質量%以上25質量%以下である。
・その他の添加剤
保護層(最表面層)5は、更に成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、特にフッ素含有のカップリング剤を用いたものであってもよい。このような化合物として、各種シランカップリング剤、及び市販のシリコーン系ハードコート剤が用いられる。また、ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物を用いてもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP-85、X-40-9740、X-8239(以上、信越化学工業社製)、AY42-440、AY42-441、AY49-208(以上、東レダウコーニング社製)等が挙げられる。
また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3-(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えてもよい。
シランカップリング剤は任意の量で使用されるが、含フッ素化合物の量は、架橋膜の成膜性の観点から、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。更に、特開2001-166510号公報などに開示されている反応性のフッ素化合物などを混合してもよい。
ラジカル重合性基を有するシリコン化合物、フッ素含有化合物としては、特開2007-11005号公報に記載の化合物などが挙げられる。
保護層(最表面層)5は、劣化防止剤を含有してもよい。劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。
劣化防止剤の添加量としては20質量%以下が望ましく、10質量%以下がより望ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、イルガノックス1076、イルガノックス1010、イルガノックス1098、イルガノックス245、イルガノックス1330、イルガノックス3114、イルガノックス1076、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、サノールLS2626、サノールLS765、サノールLS770、サノールLS744、チヌビン144、チヌビン622LD、マークLA57、マークLA67、マークLA62、マークLA68、マークLA63が挙げられ、チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP-Dが挙げられ、ホスファイト系として、マーク2112、マークPEP-8、マークPEP-24G、マークPEP-36、マーク329K、マークHP-10等が挙げられる。
更に、保護層(最表面層)5は導電性粒子、有機、無機粒子を添加してもよい。
この粒子の一例として、ケイ素含有粒子が挙げられる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、好ましくは平均粒径1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、又はアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれる。該粒子としては一般に市販されているものを使用してもよい。
保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、保護層の全固形分全量を基準として、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。
表面層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集、89頁”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂で構成される粒子、ZnO-Al、SnO-Sb、In-SnO、ZnO-TiO、ZnO-TiO、MgO-Al、FeO-TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。さらに、粒子を分散させるために公知の種々の分散材を用いてもよい。
また、シリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5-トリメチル-1.3.5-トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチル-1,3,5,7,9-ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
また、金属、金属酸化物、及びカーボンブラック等を添加してもよい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモン又はタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体又は融着での混合でもよい。導電性粒子の平均粒径は0.3μm以下、特に0.1μm以下が好ましい。
保護層を形成するために用いる組成物としては、例えば前述の特定樹脂溶解液が挙げられる。
なお、特定樹脂溶解液を得るために、前述の成分と溶剤とを反応させる場合、各成分を単純に混合、溶解させるだけでもよいが、望ましくは室温(20℃)以上100℃以下、より望ましくは30℃以上80℃以下で、望ましくは10分以上100時間以下、より望ましくは1時間以上50時間以下の条件で加温する。また、この際に超音波を照射することも望ましい。
保護層形成用塗布液は、被塗布面(図1に示す態様では電荷輸送層3)の上に、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法、インクジェット塗布法等の通常の方法により塗布される。
その後、得られた塗膜に対して、光、電子線、又は熱を付与してラジカル重合を生起させて、該塗膜を架橋、硬化させる。
熱により塗膜を架橋、硬化させる際、加熱条件は50℃以上であることが望ましい。特に、加熱温度としては、100℃以上180℃以下が望ましい。
光により塗膜を架橋、硬化させる際、水銀灯、メタルハライドなどの公知の方法で照射して硬化膜を得る。
上記のような、架橋、硬化反応の際には、光、電子線、又は熱によって発生したラジカルが失活することなく連鎖反応を行えるよう、真空又は不活性ガス雰囲気下で、酸素濃度が望ましくは10%以下、より望ましくは5%以下、更に望ましくは2%以下、最も望ましくは500ppm以下の低酸素濃度で行われる。
本実施態様では、ラジカルの発生が比較的ゆっくりと起こる熱による硬化方法が特に好ましい。
保護層の膜厚は3μm以上40μm以下が好ましく、5μm以上35μm以下とすることがさらに好ましい。
以上、図1に示される電子写真感光体7Aを参照し、機能分離型の感光層における各層の構成を説明したが、図2に示される機能分離型の電子写真感光体7Bにおける各層においてもこの構成が採用しうる。
以下、図3に示される電子写真感光体7Cの単層型感光層6について説明する。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下がよく、好ましくは0.8質量%以上5質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層及び電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
なお、上述の実施形態では、最表面層が保護層である形態を説明したが、保護層がない層構成の場合には、その層構成において最表面に位置する電荷輸送層が該最表面層となる。最表面層が電荷輸送層である場合、この層の厚みは、7μm以上70μm以下が望ましく、10μm以上60μm以下がより望ましい。
-画像形成装置及びプロセスカートリッジ-
次に、上記電子写真感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
画像形成装置は、例えば、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記電子写真感光体が適用される。
画像形成装置としては、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、前記電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図4には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
(帯電装置)
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器又はコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
(露光装置)
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザ又は青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
(現像装置)
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
(クリーニング装置)
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
(転写装置)
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器又はコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
(中間転写体)
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図5は、画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
-有機電界発光素子-
有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明である一対の電極と、該一対の電極に挟持された、発光層を含む1つ又は複数の有機化合物層とから構成されるデバイスである。
本実施形態に係る有機電界発光素子は、有機化合物層の少なくとも1つが、前述の電荷輸送性膜である。
本実施形態に係る有機電界発光素子において、有機化合物層が単層の場合は、この有機化合物層が正孔輸送性能を有する発光層であり、この正孔輸送性能を有する発光層が本実施形態における前述した電荷輸送性膜となる。
有機電界発光素子において、有機化合物層が複数層の場合(即ち、各層が異なる機能を有する機能分離型の場合)は、少なくともいずれか1層が発光層であり、例えば、下記の層構成(1)~(3)が挙げられる。層構成(1)~(3)において、本実施形態に係る有機電界発光素子では、少なくとも1層が、前述した電荷輸送性膜となる。
層構成(1):正孔輸送層と、発光層と、を有する機能分離型の層構成。本構成においては、正孔輸送層及び発光層の少なくとも一方が電荷輸送性膜であればよく、正孔輸送層が前述の電荷輸送性膜であることが好ましい。
層構成(2):正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、を有する機能分離型の層構成。本構成においては、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の少なくとも1層が前述の電荷輸送性膜であればよく、正孔輸送層が前述の電荷輸送性膜であることが好ましい。
層構成(3):発光層と、電子輸送層と、を有する機能分離型の層構成。本構成においては、発光層及び電子輸送層の少なくとも一方が前述の電荷輸送性膜であればよく、発光層が前述の電荷輸送性膜であることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る有機電界発光素子を説明するが、本実施形
態はこれに限定されるわけではない、
図7乃至図10は、本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図7、図8、及び図9は、有機化合物層が複数層からなる場合の一例であり、図10は、有機化合物層が単層からなる場合の一例である。図7乃至図10において、同様の機能を有する層には同じ符号を付して説明する。
図7は、前記の層構成(1)を示す。
図7に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板21上に、透明電極22、正孔輸送層23、発光層24、及び背面電極27がこの順に積層された素子である。透明電極22と正孔輸送層23との間には、正孔注入層が配置されていてもよい。図7に示す形態例においては、正孔輸送層23を、本実施形態における前述の電荷輸送性膜とすることが好ましく、更に、正孔注入層が配置されていれば、この正孔注入層を本実施形態における前述の電荷輸送性膜としてもよい。
図8は、前記の層構成(2)を示す。
図8に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板21上に、透明電極22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25、及び背面電極27がこの順に積層された素子である。透明電極22と正孔輸送層23との間には、正孔注入層が配置されていてもよい。電子輸送層25と背面電極27との間には、電子注入層が配置されていてもよい。図8に示す形態例においては、正孔輸送層23を、本実施形態における前述の電荷輸送性膜とすることが好ましく、更に、正孔注入層が配置されていれば、この正孔注入層を本実施形態における前述の電荷輸送性膜としてもよい。
図9は、前記の層構成(3)を示す。
図9に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板21上に、透明電極22、発光層26、電子輸送層25、及び背面電極27がこの順に積層された素子である。電子輸送層25と背面電極27との間には、電子注入層が配置されていてもよい。図9に示す形態例においては、発光層26を、本実施形態における前述の電荷輸送性膜とすることが好ましい。この場合、本実施形態における前述の電荷輸送性膜には、発光材料を少なくとも1種含有させる。
図10は、単層型の層構成を示す。図10に示す有機電界発光素子は、透明絶縁体基板21上に、透明電極22、正孔輸送性能を有する発光層26、及び背面電極27がこの順に積層された素子である。図10に示す形態例においては、発光層26を、本実施形態における前述の電荷輸送性膜とする。この場合、本実施形態における前述の電荷輸送性膜には、発光材料を少なくとも1種含有させる。
図7乃至図10に示す各有機電界発光素子において、背面電極27上には、水分や酸素による有機電界発光素子の劣化を防ぐ目的で、保護層を設けてもよい。
トップエミッション構造とする場合、又は、2つの電極を共に透明電極とする場合は、図7乃至図10に示される層構成を複数段積み重ねた構造としてもよい。
以下、図7乃至図10における各層をより詳細に説明する。
透明絶縁体基板21について透明とは、可視領域の光の透過率が10%以上であることを意味し、透過率が75%以上であることが好ましい。
透明絶縁体基板21としては、例えば、ガラス板、石英板、金属箔、樹脂製フィルムが用いられる。樹脂製フィルムの材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のメタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
透明絶縁体基板21は、透水性や透ガス性を抑える目的で、表面処理を行なってもよく、積層構造にしてもよい。
透明電極22は、透明絶縁体基板21と同様に発光を取り出すため透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きな電極が好ましく、仕事関数が4eV以上の電極が好ましい。
透明電極22について透明とは、可視領域の光の透過率が10%以上であることを意味し、透過率が75%以上であることが好ましい。
透明電極22の材料としては、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化物;アルミニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム等の金属;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子;が挙げられる。
透明電極22のシート抵抗は、低いほど望ましく、数百Ω/□以下が好ましく、100Ω/□以下がより好ましい。
有機化合物層(図7乃至図10において、符号23乃至26で示される層)は、その機能に応じて、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、及び発光材料から選択される材料を含む。
有機化合物層が本実施形態における前述の電荷輸送性膜である場合には、これら材料と共に、架橋性基を有する正孔輸送化合物及び架橋性基を有する電子輸送化合物を混合した組成物を用いて層形成してもよい。
正孔輸送材料としては、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、ポルフィリン系化合物が挙げられ、テトラフェニレンジアミン誘導体、スピロフルオレン誘導体、トリフェニルアミン誘導体が挙げられる。
正孔注入材料としては、フェニレンジアミン誘導体、フタロシアニン誘導体、インダンスレン誘導体、ポリアルキレンジオキシチオフェン誘導体等が挙げられ、これらには、ルイス酸、スルホン酸等の有機酸、塩化鉄等の無機酸を混合してもよい。
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、シロール誘導体、キレート型有機金属錯体、多核又は縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、トリアゾール誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。
電子注入材料としては、Li、Ca、Sr等の金属やLiF、MgF等の金属フッ化物、MgO、Al2O3、LiO等の金属酸化物が挙げられる。
発光材料としては、固体状態で高い発光量子効率を示す化合物が望ましい。発光材料は、低分子化合物及び高分子化合物のいずれでもよい。
有機低分子化合物としては、キレート型有機金属錯体、多核又は縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体が挙げられる。
有機高分子化合物としては、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体が挙げられる。
発光材料の具体例として、下記例示化合物(VI-1)乃至(VI-17)が挙げられる。
なお、下記例示化合物(VI-1)乃至(VI-17)は、電子輸送材料として用いてもよい。
Figure 2022172241000050

Figure 2022172241000051

Figure 2022172241000052

Figure 2022172241000053

例示化合物(VI-13)乃至(VI-17)中、n及びgはそれぞれ独立に1以上の整数であり、Vは2価の連結基である。Vとしては、例えば、下記の2価の基が挙げられる。
下記の2価の基において、gは1以上の整数を表し、hは0以上5以下の整数を表す。
Figure 2022172241000054

有機電界発光素子の耐久性の向上又は発光効率の向上を目的に、発光材料の中に、発光材料とは異なる色素化合物をゲスト材料としてドーピングしてもよい。
色素化合物のドーピング量は、ホスト100質量部に対して、0.001質量部以上40質量部以下が好ましく、0.01質量部以上10質量部以下がより好ましい。
ドーピング用の色素化合物としては、クマリン誘導体、DCM誘導体、キナクリドン誘導体、ペリミドン誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン誘導体;ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、及び金等の金属錯体化合物;などが挙げられる。
ドーピング用の色素化合物の具体例として、例示化合物(VII-1)~(VII-6)が挙げられる。
Figure 2022172241000055

各有機化合物層は、結着樹脂を含有していてもよい。
結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。
各有機化合物層は、必要に応じて、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等を含有していてもよい。
背面電極27の材料としては、真空蒸着可能で、電子注入を行なうため仕事関数の小さな材料が好ましく、金属、金属酸化物、金属フッ化物が好ましい。
金属としては、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、インジウム、リチウム、カルシウム及びこれらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛が挙げられる。
金属フッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムが挙げられる。
背面電極27上には、保護層を設けてもよい。
保護層の材料としては、インジウム、スズ、鉛、金、銀、銅、アルミニウム等の金属;酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化チタン等の金属酸化物;ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂;が挙げられる。
透明電極22、各有機化合物層、背面電極27、及び保護層の厚さは、一般的に、0.001μm以上10μm以下であり、0.001μm以上5μm以下が好ましい。
図7乃至図10に示される有機電界発光素子は、透明絶縁体基板21上に、透明電極22、各有機化合物層、及び背面電極27を順次形成することで作製される。
透明電極22、各有機化合物層、及び背面電極27は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法等により形成される。
塗布法は、材料を適切な溶媒に溶解又は分散した塗布液を透明電極22上に塗布し、塗布膜を乾燥させる成膜法である。
塗布液の塗布方法としては、スピンコーティング法、ダイコート法、インクジェット法、キャスト法、ディップ法等が挙げられる。
有機化合物層における各材料の含有状態は、分子が分散した状態(分子分散状態)でもよく、粒子を形成して分散した状態(粒子分散状態)でもよい。
塗布液を用いた成膜法において分子分散状態にするためには、塗布液の溶媒を、各材料の分散性及び溶解性を考慮して選択する。
塗布液を用いた成膜法において粒子分散状態にするためには、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、アトライター、ホモジナイザー、超音波のいずれかを利用して塗布液を調製する。
本実施形態に係る有機電界発光素子を、マトリクス状又はセグメント状に配置して画像表示媒体が構成される。
有機電界発光素子をマトリクス状に配置する場合、電極のみをマトリクス状に配置する形態であってもよいし、電極及び有機化合物層をマトリクス状に配置する形態であってもよい。
有機電界発光素子をセグメント状に配置する場合、電極のみをセグメント状に配置する形態であってもよいし、電極及び有機化合物層をセグメント状に配置する形態であってもよい。
マトリクス状又はセグメント状の有機化合物層は、インクジェット法により形成してもよい。
マトリクス状の有機電界発光素子及びセグメント状の有機電界発光素子の駆動装置及び駆動方法としては、特開平2-148687号公報、特開平6-301355号公報、特開平5-29080号、特開平7-134558号公報、特開平8-234685号公報、特開平8-241047号公報、特許第2784615号公報、米国特許5828429号明細書、米国特許6023308号明細書などに記載の駆動装置及び駆動方法を適用し得る。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
<合成例A1>
化合物3-5として、前記一般式(3A)で表され、かつ、AとTとpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-5)である化合物を準備した。
500mlフラスコに、化合物3―5を80g、エピクロロヒドリン230g、水酸化ナトリウム26.8g、トリエチルアミン3gを入れ、窒素置換したのち、室温(25℃)で24時間撹拌した。反応後、希塩酸水溶液、次いで水で洗浄した。濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物4―5を64g得た。
なお、化合物4-5は、前記一般式(4A)で表され、かつ、AとTとqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-5)である。
化合物3-29として、前記一般式(3A)で表され、かつ、AとTとpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-29)である化合物を準備した。
2000mlフラスコに、化合物3-29を79.8g、テトラヒドロフランを700ml、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を1.8g入れ、窒素置換したのち、50℃に加熱した。この溶液に、テトラヒドロフラン200mlに化合物4-5を50.0g溶かした溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、2時間反応させた後、10Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-1)の樹脂である樹脂(A-1)を107.0g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記M/(M+M)の値は1.0であった。
<合成例A2>
合成例A1で得られた樹脂(A-1)10gを300mlのフラスコに入れ、4-ヨードメチルスチレン18g、ニトロベンゼン0.1gをフラスコに入れ、テトラヒドロフランを100ml加えて溶解した。これに、t-ブトキシナトリウム5.8gを室温(25℃)で2時間かけて加えた後、50℃で3時間反応させた。反応終了後、トルエン100mlを加え、希塩酸、ついで水で洗浄した後、500mlのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-2)の樹脂である樹脂(A-2)を10.1g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で61000であった。また、前記M/(M+M)の値は0であった。
<合成例A3>
4-ヨードメチルスチレンの添加量を1.0g、t-ブトキシナトリウムの添加量を0.3gとした以外は、合成例A2と同様にして、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-3)の樹脂である樹脂(A-3)を9.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記M/(M+M)の値は0.95であった。
<合成例A4>
4-ヨードメチルスチレンの添加量を1.8g、t-ブトキシナトリウムの添加量を0.5gとした以外は、合成例A2と同様にして、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-4)の樹脂である樹脂(A-4)を9.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記M/(M+M)の値は0.85であった。
<合成例A5>
4-ヨードメチルスチレンの添加量を9.0g、t-ブトキシナトリウムの添加量を2.9gとした以外は、合成例A2と同様にして、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-5)の樹脂である樹脂(A-5)を9.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で60000であった。また、前記M/(M+M)の値は0.45であった。
<合成例A6>
化合物3-17として、前記一般式(3A)で表され、かつ、AとTとpとの組み合わせが前述の具体例番号(2-17)である化合物を準備した。
500mlフラスコに、化合物3―17を60g、エピクロロヒドリン200g、水酸化ナトリウム17.6g、トリエチルアミン2gを入れ、窒素置換したのち、室温(25℃)で24時間撹拌した。反応後、希塩酸水溶液、次いで水で洗浄した。濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物4―17を74.5g得た。
なお、化合物4-17は、前記一般式(4A)で表され、かつ、AとTとqとの組み合わせが前述の具体例番号(2-17)である。
1000mlフラスコに、化合物3-17を39.4g、テトラヒドロフランを700ml、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を1.0g入れ、窒素置換したのち、50℃に加熱した。この溶液に、テトラヒドロフラン200mlに化合物4-17を45.2g溶かした溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、2時間反応させた後、10Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-6)の樹脂である樹脂(A-6)を75.0g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で40000であった。また、前記M/(M+M)の値は1.0であった。
<合成例A7>
200mlフラスコに、合成例A6で得られた樹脂(A-6)を8.0g、テトラヒドロフランを100ml、メタクリル酸クロライドを52.0g、トリエチルアミンを50.0入れ、室温(25℃)で24時間反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-7)の樹脂である樹脂(A-7)を7.1g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で41000であった。また、前記M/(M+M)の値は0であった。
<合成例A8>
500mlフラスコに、合成例A6で得られた樹脂(A-6)を8.0g、テトラヒドロフランを100ml、メタクリル酸クロライドを1.0g、トリエチルアミンを1.0入れ、室温(25℃)で24時間反応した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-8)の樹脂である樹脂(A-8)を7.4g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で40000であった。また、前記M/(M+M)の値は0.95であった。
<合成例A9~合成例A31>
合成例A1~A8と同様にして、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-9)~(A-31)の樹脂である樹脂(A-9)~(A-31)を得た。
<合成例A32>
200mlフラスコに、合成例A9で得られた樹脂(A-9)を8.0g、テトラヒドロフラン100ml、エピクロロヒドリン50g、水酸化ナトリウム4.4g、トリエチルアミン2.5gを入れ、窒素置換したのち、40℃で48時間撹拌した。反応終了後、1Lのメタノールに滴下してポリマーを析出させた。得られたポリマーを十分にメタノールで洗浄し、乾燥して、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-32)の樹脂である樹脂(A-32)を7.8g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で31000であった。また、前記M/(M+M)の値は0.45であった。
<合成例A33>
使用するエピクロロヒドリンを100g、水酸化ナトリウムを8.8g、トリエチルアミンを5gに変更した以外は合成例A32と同様にして、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-33)の樹脂である樹脂(A-33)を7.9g得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で31000であった。また、前記M/(M+M)の値は0であった。
<合成例A34>
エピクロロヒドリンを3-(クロロメチル)-3-メチルオキセタンに変更する以外は合成例A33と同様にして、第1の電荷輸送性樹脂の具体例として示した番号(A-34)の樹脂である樹脂(A-34)を得た。
GPCで分子量を測定したところ、ポリスチレン換算で31000であった。また、前記M/(M+M)の値は0であった。
<合成例B1>
化合物A-4として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-4の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-4に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-4(分子量417.5)8.35g(0.02mol)、化合物B-2(分子量160.17)3.20g(0.02mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.44g(0.02mol)、及びテトラヒドロフラン50mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)6.83g(0.044mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-1(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-1)を7.85g得た。GPCで樹脂B-1の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は28000であった。
<合成例B2>
化合物A-4として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-4の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-4に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-43として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:エポキシエステル40EM、共栄社化学製)を準備した。
フラスコに、化合物A-4(分子量417.5)8.35g(0.02mol)、化合物B-43(分子量388.45)7.77g(0.02mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.44g(0.02mol)、及びテトラヒドロフラン50mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)6.83g(0.044mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-2(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-2)を11.17g得た。GPCで樹脂B-2の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は27000であった。
<合成例B3>
化合物A-6として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-6の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-6に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-6(分子量465.54)5.00g(0.0107mol)、化合物B-2(分子量160.17)1.89g(0.0118mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.69g(0.0220mol)、及びテトラヒドロフラン25mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.67g(0.024mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-3(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-3)を5.85g得た。GPCで樹脂B-3の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は22000であった。
<合成例B4>
2Lフラスコに、4-ヒドロキシスチレン(分子量120.15)120.15g(1.0mol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(分子量91.15)93.88g(1.03mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びN-メチルピロリドン700mlを加えて、80℃で1時間撹拌した。その後、一旦室温(25℃)まで温度を戻した後、3-クロロ-1,2-プロパンジオール(分子量110.54)110.54g(1.0mol)を添加し、80℃で5時間反応させた。反応後、トルエンを添加して水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-3(分子量194.23)147.61gを得た。
上記化合物B-3は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-3の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-6として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-6の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-6に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-6(分子量465.54)5.00g(0.0107mol)、化合物B-3(分子量194.23)2.29g(0.0118mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.69g(0.0220mol)、及びテトラヒドロフラン25mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.67g(0.024mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-4(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-4)を6.31g得た。GPCで樹脂B-4の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は26000であった。
<合成例B5>
化合物A-18として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-18の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-18に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-18(分子量784.94)6.65g(0.0085mol)、化合物B-2(分子量160.17)1.43g(0.0089mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.12g(0.0174mol)、及びテトラヒドロフラン50ml、N-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)2.89g(0.0186mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-11(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-11)を5.37g得た。GPCで樹脂B-11の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は12000であった。
<合成例B6>
2Lフラスコに、グリシドール(分子量74.08)74.08g(1.0mol)、4-ビニル安息香酸(分子量148.16)148.16g(1.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-5(分子量222.24)184.46gを得た。
上記化合物B-5は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-5の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-18として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-18の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-18に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-18(分子量784.94)6.65g(0.0085mol)、化合物B-5(分子量222.24)1.98g(0.0089mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.12g(0.0174mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)2.89g(0.0186mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-13(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-13)を6.39g得た。GPCで樹脂B-13の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は16000であった。
<合成例B7>
化合物A-43として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-43に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-2として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-2の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:ブレンマーGLM、日油製)を準備した。
フラスコに、化合物A-43(分子量861.03)7.75g(0.009mol)、化合物B-2(分子量160.17)1.59g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-20(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-20)を7.23g得た。GPCで樹脂B-20の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は14000であった。
<合成例B8>
2Lフラスコに、3-エチル-3-オキセタンメタノール(分子量116.16)116.16g(1.0mol)、メタクリル酸(分子量86.06)86.06g(1.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-23(分子量214.26)143.55gを得た。
上記化合物B-23は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-23の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-43として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-43に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-43(分子量861.03)7.75g(0.009mol)、化合物B-23(分子量214.26)2.12g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-21(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-21)を7.02g得た。GPCで樹脂B-21の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は16000であった。
<合成例B9>
2Lフラスコに、1,5-ヘキサジエンジエポキシド(分子量114.14)114.14g(1.0mol)、メタクリル酸(分子量86.06)172.12g(2.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-30(分子量314.37)198.05gを得た。
上記化合物B-30は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-30の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-43として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-43の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-43に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-43(分子量861.03)7.75g(0.009mol)、前記合成例で得られた化合物B-30(分子量314.37)3.11g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-24(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-24)を7.46g得た。GPCで樹脂B-24の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は14000であった。
<合成例B10>
化合物A-47として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-47の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-47に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-41として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-41の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:エポキシエステル70PA、共栄社化学製)を準備した。
フラスコに、化合物A-47(分子量764.95)6.88g(0.009mol)、化合物B-41(分子量360.40)3.57g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、10時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-26(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-26)を8.65g得た。GPCで樹脂B-26の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は14000であった。
<合成例B11>
2Lフラスコに、1,7-オクタジエンジエポキシド(分子量142.20)142.20g(1.0mol)、β-カルボキシエチルアクリレート(分子量144.13)288.26g(2.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)27.79g(0.1mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)1.23g(0.01mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-39(分子量430.45)361.59gを得た。
上記化合物B-39は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-39の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-64として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-64の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-64に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-64(分子量812.99)7.32g(0.009mol)、化合物B-39(分子量430.45)4.26g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、14時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-28(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-28)を8.65g得た。GPCで樹脂B-28の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は29000であった。
<合成例B12>
2Lフラスコに、9,9-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)フルオレン(分子量462.55)231.28g(0.5mol)、メタクリル酸(分子量86.06)86.06g(1.0mol)、テトラブチルアンモニウムクロリド(分子量277.92)13.90g(0.05mol)、ニトロベンゼン(分子量123.06)0.62g(0.005mol)、及びメチルエチルケトン700mlを加えて、窒素気流下で7時間加熱還流した。反応後、水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-60(分子量758.85)246.63gを得た。
上記化合物B-60は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-60の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-64として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-64の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-64に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-64(分子量812.99)7.32g(0.009mol)、化合物B-60(分子量758.85)7.51g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、14時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-29(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-29)を11.34g得た。GPCで樹脂B-29の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は32000であった。
<合成例B13>
化合物A-67として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-67の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-67に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
また、化合物B-54として、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y-O、n3、及びYの組み合わせ)が具体例Y-54の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマー(品名:エポキシエステル3000A、共栄社化学製)を準備した。
フラスコに、化合物A-67(分子量716.91)6.45g(0.009mol)、化合物B-54(分子量512.59)5.07g(0.0099mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.25g(0.0184mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.07g(0.0198mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、14時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール200ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-30(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-30)を8.50g得た。GPCで樹脂B-30の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は26000であった。
<合成例B14>
2Lフラスコに、3-メチル-3-オキセタンカルボン酸(分子量116.12)116.12g(1.0mol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(分子量91.15)93.88g(1.03mol)、及びN-メチルピロリドン700mlを加えて、室温で1時間撹拌した。その後、3-クロロ-1,2-プロパンジオール(分子量110.54)110.54g(1.0mol)を添加し、80℃で5時間反応させた。反応後、トルエンを添加して水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-61(分子量190.19)150.25gを得た。
上記化合物B-61は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y3-O、n3、及びY4の組み合わせ)が具体例Y-61の組み合わせであり、Z2で示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-6として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、AとTとの組み合わせ)が具体例AT-6の組み合わせであり、Zで示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-6に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-6(分子量465.54)5.00g(0.0107mol)、化合物B-61(分子量190.19)2.24g(0.0118mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.69g(0.0220mol)、及びテトラヒドロフラン25mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)3.67g(0.024mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、4時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-31(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-31)を 6.28g得た。GPCで樹脂B-31の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は25000であった。
<合成例B15>
2Lフラスコに、オキシラン-2-カルボン酸(分子量88.06)88.06g(1.0mol)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(分子量91.15)93.88g(1.03mol)、及びN-メチルピロリドン700mlを加えて、室温で1時間撹拌した。その後、3-クロロ-1,2-プロパンジオール(分子量110.54)110.54g(1.0mol)を添加し、80℃で5時間反応させた。反応後、トルエンを添加して水で洗浄し、濃縮後、シリカゲルクロマトにて精製し、化合物B-62(分子量162.14)110.26gを得た。
上記化合物B-62は、一般式(4B)で表され、組み合わせY(すなわち、O-Y3-O、n3、及びY4の組み合わせ)が具体例Y-62の組み合わせであり、Z2で示される基が水酸基である非電荷輸送性のジオールモノマーである。
化合物A-18として、一般式(3B)で表され、かつ、組み合わせAT(すなわち、A3とT3との組み合わせ)が具体例AT-18の組み合わせであり、Z1で示される基が水酸基である電荷輸送性モノマー(すなわち、具体例AT-18に相当するジカルボン酸モノマー)を準備した。
フラスコに、化合物A-18(分子量784.94)6.65g(0.0085mol)、化合物B-62(分子量162.14)1.44g(0.0089mol)、4-ジメチルアミノピリジン(分子量122.17)2.12g(0.0174mol)、テトラヒドロフラン50ml、及びN-メチルピロリドン15mlを加え、窒素気流下で撹拌しながら0℃に冷却した。そこへ、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(分子量155.24)2.89g(0.0186mol)を添加し、徐々に反応温度を室温(25℃)まで戻し、7時間撹拌した。その後、反応溶液を水に滴下して再沈させ、さらに希塩酸を加えて中和した。ろ過で採取した固体をメタノール100ml中で撹拌して洗浄した。ろ過で採取した固体を真空乾燥し、樹脂B-32(第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の具体例として示した樹脂B-32)を6.63g得た。GPCで樹脂B-32の分子量を測定したところ、ポリスチレン換算の重量平均分子量は15000であった。
<実施例A1-1>
-下引層の作製-
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100部をテトラヒドロフラン500部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110部を500部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1.0部を50部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛を濾別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM-1、積水化学工業製)15部とをメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部と、を混合し1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)45部を添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて、直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
-電荷発生層の作製-
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜、16.0゜,24.9゜、28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、株式会社NUC製)10部、n-酢酸ブチル200部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を、前記下引層上に浸漬塗布し、常温(20℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
-電荷輸送層の作製-
合成例A2で得られた樹脂(A-2)10部、OTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)0.2部をクロロベンゼン40部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を突き上げコートにて前記電荷発生層上に塗布し、室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚18μmの電荷輸送層を形成して実施例A1-1の電子写真感光体を作製した。
-画質の評価-
上述のようにして作製した電子写真感光体を富士ゼロックス社製、ApeosPort-IV C4470に装着し、低温低湿(8℃、20%RH)及び高温高湿(30℃、85%RH)のそれぞれにおいて、以下の評価を連続して行なった。
まず低温低湿(8℃、20%RH)環境下で10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価(すなわち、下記ゴースト、カブリ、スジ、及び画像流れ)を実施した。次いで、低温低湿(8℃、20%RH)環境下で24時間放置した後の最初の1枚目の画質についてさらに画質評価を行った。
その結果を表2に示す。
この低温低湿環境下での画質評価に続いて、高温高湿(30℃、85%RH)の環境下にて10000枚の画像形成テストを行い、10000枚目の画質評価を実施した。次いで、高温高湿(30℃、85%RH)環境下で24時間放置した後の最初の1枚目の画質についてさらに画質評価を行った。
その結果を表3に示す。
(ゴースト評価)
ゴーストは、図6(A)に示したGと画像濃度50%の灰色領域を有するパターンのチャートをプリントし、50%の灰色部分にGの文字の現れ具合を目視にて評価した。
A:図6(A)のように良好又は軽微である。
B:図6(B)のようにやや目立つ。
C:図6(C)のようにはっきり確認される。
(カブリ評価)
カブリ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて白地部のトナーの付着した度合いを目視にて観察し判断した。
A:良好。
B:うっすらとカブリあり。
C:画質上問題となるカブリあり。
(スジ評価)
スジ評価は上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:部分的にスジの発生あり。
C:画質上問題となるスジ発生。
(画像流れ評価)
画像流れは上述のゴースト評価と同じサンプルを用いて目視にて判断した。
A:良好。
B:連続的にプリントテストしている時は問題ないが、1日(24時間)放置後に発生。
C:連続的にプリントテストしている時にも発生。
-残留電位の上昇分の評価-
以下の方法により、残留電位を測定し、画像形成テスト前後での残留電位の上昇分評価を行った。具体的には、富士ゼロックス社製、ApeosPort-IV C4470改造機に電位センサーを取り付け、低温低湿(8℃、20%RH)下で画像形成テスト前の電位(初期の電位)の測定を行った。ついで、低温低湿(8℃、20%RH)下で1万枚のプリントテストを行った後に、同様にして低温低湿(8℃、20%RH)下で電子写真感光体表面の残留電位(1万枚後の残留電位)の測定を行った。初期の電位と1万枚後の残留電位との差(1万枚後の残留電位-初期の電位)を「残留電位の上昇分」とした。結果を表2に示す。
-電荷輸送層の磨耗量の評価-
画像形成テストを行う前の初期の感光体膜厚(すなわち、下引層、電荷発生層、及び電荷輸送層の合計膜厚)と、前述した低温低湿(8℃、20%RH)環境下及び高温高湿(30℃、85%RH)環境下での画像形成テストを終了した後の感光体膜厚と、を渦電流測定装置(フィッシャースコープMMS)にて測定し、磨耗量を評価した。結果を表2に示す。
<実施例A1-2~A1-7>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、電荷輸送層の作製において、樹脂(A-2)の代わりに表1に示す第1の電荷輸送性樹脂を用いた以外は、実施例A1-1と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
<実施例A1-8>
樹脂(A-2)を樹脂(A-1)に代え、電荷輸送層の作製においてOTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)0.2部を加えなかった以外は、実施例A1-1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
<実施例A1-9~A1-10>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、電荷輸送層の作製において、樹脂(A-2)の代わりに表1に示す第1の電荷輸送性樹脂を用い、OTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)0.2部に代えて三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.05部を用いた以外は、実施例A1-1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
<実施例A1-11>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、合成例A4で得られた樹脂(A-4)10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A-TMPT、新中村化学社製)2部、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(イルガキュア184、BASF製)0.2部をモノクロロベンゼン40部に溶解し、得られた溶解液を突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で酸素濃度200ppmの窒素下で光照射を行ない、塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え膜厚17μmの表面層を形成して電子写真感光体を作製し、実施例A1-1に記載の方法により評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
<実施例A1-12>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、合成例A7で得られた樹脂(A-7)10部、下記構造式(G)で示される化合物2部、OTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)0.2部をモノクロロベンゼン40部に溶解し、得られた溶解液を突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚18μmの電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製し、実施例A1-1に記載の方法により評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2022172241000056

<実施例A1-13>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、合成例A2で得られた樹脂(A-2)10部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(ルブロンL-2、ダイキン工業社製)0.8部をモノクロロベンゼン40部に溶解し、ナノマイザー(NM2-L200AR-D08、ナノマイザー社製)にて分散したのち、OTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)0.2部を加えて溶解させ、得られた溶解液を突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度200ppmの窒素下で室温(20℃)から10℃/分の速度で150℃まで昇温し、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚18μmの電荷輸送層を形成して電子写真感光体を作製し、実施例A1-1に記載の方法により評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
<実施例A1-14>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
この電荷発生層上に、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’]ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)40質量部、N,N-ビス(3,4-ジメチルフェニル)ビフェニル-4-アミン10質量部、及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(PC(Z):粘度平均分子量:6万)55質量部をクロロベンゼン800質量部に加えて溶解した塗布液を塗布し、130℃、45分の乾燥を行って膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
-保護層の作製-
合成例A10で得られた樹脂(A-10)を10部、トリメチロールプロパントリアクリレート(A-TMPT、新中村化学社製)3部をモノクロロベンゼン20部、トルエン40部に溶解し、得られた溶解液を突き上げコートにて電荷輸送層上に塗布した。室温(20℃)で30分風乾した後、酸素濃度20ppmの窒素下で感光体を300rpmの速度で回転させながら照射距離が30mm、電子線加速電圧が90kV、電子線ビーム電流が2mA、電子線照射時間が1.0秒の条件で感光体に電子線を照射した。照射後すぐに、酸素濃度20ppmの窒素下で150℃に加熱し、10分保持して硬化反応を完結させ、膜厚4μmの保護層を形成して電子写真感光体を作製し、実施例A1-1に記載の方法により評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
<実施例B1-1~B1-15>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、電荷輸送層の作製において、樹脂(A-2)の代わりに表1に示す第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例A1-1と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
<比較例1-1>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、電荷輸送層の作製において、樹脂(A-2)の代わりに比較樹脂1(ポリ(9-ビニルカルバゾール)、シグマ-アルドリッチ製、数平均分子量:25000)を用いた以外は、実施例A1-1と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
<比較例1-2>
電荷発生層の作製までは、実施例A1-1に記載の方法により行った。
ついで、電荷輸送層の作製において、樹脂(A-2)の代わりに下記構造式の化合物(H)を用いた以外は、実施例A1-1と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2022172241000057

<比較例1-3>
実施例A1-14において、電荷発生層の厚みを25μmとし、保護層を形成しなかった以外は、実施例A1-14と同様にして、電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
Figure 2022172241000058

Figure 2022172241000059

Figure 2022172241000060

表2及び表3に示す結果から、実施例の電子写真感光体は、長期間に渡って繰り返し使用後における画質の低下が抑えられていることがわかる。
<実施例A2-1>
-有機EL素子の作製-
厚さ150nmのITO膜を設けたガラス基板を、プラズマ洗浄機(サムコインターナショナル社製、BP1)を用い、酸素プラズマにて30秒間洗浄した。さらに、中性洗剤、水、アセトン(電子工業用、関東化学製)及びイソプロパノール(電子工業用、関東化学製)の順に、各液に浸して超音波を各5分間印加して洗浄した後、スピンコーターで乾燥させた。
前記樹脂(A-2)を3質量部と、OTazo-15(大塚化学、分子量354.4)0.06質量部と、をジクロロメタン97質量部に溶解した溶液を、孔径0.1μmのPTFEフィルターで濾過し塗布液を得た。塗布液を前記ガラス基板にスピンコートした。回転数は、後述する膜厚(400nm)となるように調整して行った。酸素濃度150ppmの不活性ガス雰囲気下で、160℃で1時間加熱することにより、膜厚400nm(触針膜厚計にて測定)の正孔輸送層を形成した。
次に、この正孔輸送層上に、発光層の材料として、例示化合物(VI-1):トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を50nmの厚さに真空蒸着したのち、マグネシウム・銀合金陰極を200nmの厚さに蒸着し、有機EL素子を作製した。
-有機EL素子の性能評価-
この有機EL素子のITO電極を陽極とし、マグネシウム・銀合金電極を陰極として、直流7Vを印加して、電流密度を以下の方法により求めるとともに、輝度を以下の方法により測定した。さらに、1000時間動作後の輝度を以下の方法により測定した。その結果を表4に示す。
なお、電流密度、電圧、及び輝度は、測定装置として有機EL発光効率測定装置(東京インスツルメンツ社製)を用い、且つ測定条件を25℃に調整して測定した。また、有機EL素子は、ディスプレイ又はレーザに利用する場合には、高電流注入が必要となることから、印加電圧7Vで電流密度及び輝度を測定した。
-電荷輸送性膜の可視光透過性評価-
正孔輸送層を形成した後、発光層を蒸着する前に、正孔輸送層として設けられた電荷輸送性膜の可視光透過性評価を行った。具体的には、分光光度計(U-4100、日立製作所)を用い、正孔輸送層として設けられた電荷輸送性膜における可視光域(380nm~780nm)の平均透過率(%)を測定し、以下の基準で評価した。結果を表5に示す。
A:平均透過率が97%以上
B:平均透過率が90%以上97%未満
C:平均透過率が90%未満
以下のようにして、電荷輸送性膜形成時における塗膜の平滑性評価を行った。具体的には、本発明の電荷輸送性膜(正孔輸送層)を作製した後、膜をカッター等で切り出し、表面形状測定装置DEKTAK6M(ULVAC社製)を用いて表面粗さRaを測定し、以下の基準で評価した。
測定条件としては、JIS B0601(1994年)に準拠し、測定長4mm、測定速度0.3mm/sec、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別:ガウシアンとした。結果を表5に示す。
A:Raが25未満
B:Raが25以上45未満
C:Raが45以上
(電荷輸送性膜の耐溶剤性評価)
正孔輸送層を形成した後、発光層を蒸着する前に、正孔輸送層として設けられた電荷輸送性膜の耐溶剤性評価を行った。具体的には、2.5cm角の測定対象の膜に対して紫外-可視吸収測定を行い、長波長側で極大値を示す波長(λmax)における吸光度(トルエン静置前吸光度)を求めた。その後、電荷輸送性膜をスピンコータの台座に置き、膜の上にトルエン2mlを載せて30秒間静置した後、200rpmで10秒間、2000rpmで20秒間スピンさせ、トルエンを除去し、再び紫外-可視吸収測定を行い、λmaxにおける吸光度(トルエン除去後吸光度)を求めた。
下記式より残膜率を算出し、下記の判断基準で膜の耐溶剤性を評価した。結果を表5に示す。
式 : 残膜率=(トルエン除去後吸光度/トルエン静置前吸光度)×100(%)
A:残膜率が95%以上
B:残膜率が90%以上95%未満
C:残膜率が90%未満
<実施例A2-2>
樹脂(A-2)を樹脂(A-1)に代え、正孔輸送層の作製においてOTazo-15(大塚化学社製、分子量354.4)を加えなかった以外は、実施例A2-1に記載の方法により有機EL素子の作製及び評価を行った。また、実施例A2-1に記載の方法により電荷輸送性膜の評価を行った。その結果を表4及び表5に示す。
<実施例A2-3~A2-10>
実施例A2-1における樹脂(A-2)を表4に示す樹脂に変えた以外は、実施例A2-1に記載の方法により有機EL素子の作製及び評価を行った。また、実施例A2-1に記載の方法により電荷輸送性膜の評価を行った。その結果を表4及び表5に示す。
<実施例B2-1~B2-10>
実施例A2-1における樹脂(A-2)を表4に示す樹脂に変えた以外は、実施例A2-1に記載の方法により有機EL素子の作製及び評価を行った。また、実施例A2-1に記載の方法により電荷輸送性膜の評価を行った。その結果を表4及び表5に示す。
<比較例2-1>
実施例A2-2における樹脂(A-1)を比較樹脂2(ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン]、シグマ-アルドリッチ製、数平均分子量:7000)に代えた以外は、実施例A2-2に記載の方法により有機EL素子の作製及び評価を行った。また、実施例A2-2に記載の方法により電荷輸送性膜の評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
<比較例2-2>
実施例A2-1における樹脂(A-2)を用いて形成した正孔輸送層に代えて、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’]ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)を膜厚400nmで真空蒸着した正孔輸送層を適用した以外は実施例A2-1に記載の方法により有機EL素子を作製し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
Figure 2022172241000061

Figure 2022172241000062

表4及び表5に示す結果から、実施例の有機EL素子は、長期に渡って安定した発光特性が得られることがわかる。
また、電荷輸送性膜の耐溶剤性の結果から、将来、本発明の電荷輸送性膜の上に塗布形式で層を形成する場合、両層界面の混合が抑制される効果を有することが分かる。よって、塗布積層型の有機電界発光素子においても良好な発光特性を示すことが期待できる。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、5 保護層、6 単層型感光層、7,7A,7B,7C 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑材、21 透明絶縁体基板、22 透明電極、23 正孔輸送層、24 発光層、25 電子輸送層、26 発光層、27 背面電極、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ

Claims (16)

  1. 下記一般式(1B)で表される構造を有する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂及び前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する電荷輸送性膜を有する有機電子デバイス。
    Figure 2022172241000063


    (前記一般式(1B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。)
  2. 前記重合性官能基は、下記一般式(P1)で表される基、下記一般式(P2)で表される基、下記一般式(P3)で表される基、下記一般式(P4)で表される基、及び下記一般式(P5)で表される基から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の有機電子デバイス。
    Figure 2022172241000064


    (前記一般式(P1)~(P5)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を示し、*は、結合位置を示す。)
  3. 前記重合性官能基は、下記式(P1-1)で表される基、下記式(P1-2)で表される基、及び下記式(P3-1)で表される基から選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載の有機電子デバイス。
    Figure 2022172241000065


    (前記式(P1-1)、(P1-2)、及び(P3-1)中、*は、結合位置を示す。)
  4. 前記一般式(1B)におけるAは、正孔輸送能を有する2価の有機基を示す請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  5. 前記一般式(1B)におけるAは、下記一般式(2)で表される2価の有機基を示す請求項4に記載の有機電子デバイス。
    Figure 2022172241000066


    (前記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Xは置換又は未置換の2価の有機基を示し、k及びmはそれぞれ独立に0又は1を示す。)
  6. 前記一般式(1B)におけるTは、炭素数1以上8以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示す請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  7. 前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の全体に含まれる水酸基の総数をMとし、前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の全体に含まれる前記重合性官能基の総数をMとしたとき、下記式(A1)を満たす請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
    式(A1):0≦M/(M+M)≦0.9
  8. 前記M及び前記Mは、下記式(A2)を満たす請求項7に記載の有機電子デバイス。
    式(A2):0≦M/(M+M)≦0.6
  9. 前記一般式(1B)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が2以上20以下である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  10. 前記一般式(1B)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数が1以上10以下である請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  11. 前記一般式(1B)におけるYを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、前記一般式(1B)におけるY中の前記n4の数と、前記一般式(1B)におけるY中の前記Lを構成する原子のうち水素原子以外の原子の数と、の合計が25以下である請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  12. 前記電荷輸送性膜は、前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体を含有する請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  13. 前記有機電子デバイスが電子写真感光体である請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  14. 前記電子写真感光体の最表面層として、前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体を含有する電荷輸送性膜を有する請求項13に記載の有機電子デバイス。
  15. 前記有機電子デバイスが有機電界発光素子である請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  16. 下記一般式(1B)で表される構造を有する第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂及び前記第2の電荷輸送性ポリエステル樹脂の架橋体から選ばれる少なくとも1種を含有する電荷輸送性膜。
    Figure 2022172241000067


    (前記一般式(1B)中、Aは電荷輸送性を有する2価の有機基を示し、Tは炭素数1以上10以下の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基を示し、Yは(n3+2)価の非電荷輸送性のジオール残基を示し、n3は1又は2を示し、Yは「*-(CHn4-L-Z」を示し、*はYとの結合位置を示し、n4は1又は2を示し、Lは炭素原子、酸素原子、及び水素原子から選択される少なくとも1種の原子で構成された2価の連結基又は単結合を示し、Zは重合性官能基を示す。)
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