JP2022167550A - トラクタ - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、この構造においては、狭い対向間隔を通してロアリンクピンにロアリンクの基部を嵌合させるには、重いロアリンクを支持した状態で、ロアリンクの基部を上下方向及び水平方向に移動させながら、かなり緻密な位置合わせ作業を要し、多くの時間と労力を要する点で改善の余地があった。
自走可能に構成された走行機体と、
作業装置が連結されるリンク部材を有したリンク機構と、
前記リンク機構を前記走行機体の前後方向の一端部に取り付けるリンク取付機構と、が備えられ、
前記リンク取付機構に、前記リンク部材における前記走行機体側の端部を左右方向に沿う軸心回りで回動可能に枢支する支軸と、前記走行機体に設けられ、前記支軸を支持する支持部と、前記支持部に対する前記支軸の左右方向移動を固定、及び固定解除可能な固定具と、が備えられ、
前記固定具による固定が解除されるに伴って、前記支持部に対する前記支軸の左右方向での抜き差しが可能となる点にある。
これによって、固定具による固定を解除することで、支軸を支持部に対して挿抜することができる。このように、位置固定されている支軸に対してリンク部材の端部を位置合わせするのではなく、支軸を支持部に対して挿抜するものであるから、リンク機構の取り外しに際しては、固定具による固定を解除して支軸を左右方向に抜き出すだけの簡単な作業で短時間に行うことができる。
そして、リンク機構の取り付けの際には、リンク部材と支持部との位置合わせが必要であるが、リンク部材端部の移動方向としては、支軸の突き合わせ端部同士の間隔を通すような作業が不要であるため、リンク部材端部の左右方向での位置調節操作は必要なくなる。これにより、リンク部材端部の上下方向高さ位置を支持部の高さに調節する操作を行うことで、支軸の差し込みを容易に行うことができる。
その結果、走行機体に対するリンク部材の脱着操作を伴う、リンク機構の取り付け、取り外し作業を、比較的簡単な作業で、短時間で行い易いトラクタを得られる。
それでいて、最低地上高に相当する高さ位置近くに設けられる傾向があるヒッチよりも、支軸の位置は高く保たれていて、ヒッチの下端よりも下方へ突出するものではないので、最低地上高を下げてしまうことはなく、他物との接触機会を増大する虞も回避できる。
尚、本実施形態では、本発明に係るトラクタの作業走行時における前進側の進行方向(図1,2における矢印F参照)が「前側」、後進側への進行方向(図1,2における矢印B参照)が「後側」である。又、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印R参照)が「右側」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印L参照)が「左側」である。図1及び図3における矢印Uが「上方」、同図の矢印Dが「下方」を示している。
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム10の前半部に原動部が設けられ、車体フレーム10の後半部に搭乗運転部が設けられた走行機体1を備えている。そして、原動部の左右に駆動可能な操舵輪としての前輪1Fを配備し、搭乗運転部の左右に非操舵輪であり、かつ駆動可能に構成された駆動輪としての後輪1Rを配備してある。走行機体1は、これらの前輪1F及び後輪1Rを備えて自走可能な4輪駆動型に構成されている。
トランスミッションケース14の左右両側部には、後輪駆動軸(図示せず)を内装する後車軸ケース14A,14Aが、左右横外方へ向けて延出されている。この後車軸ケース14A,14Aは、トランスミッションケース14と一体に鋳造されているが、別体で構成して連結するようにしてもよい。
図1乃至図4に示すように、トランスミッションケース14の上部には、後述する昇降リンク機構3(リンク機構に相当する)の昇降作動させるための昇降駆動機構2が設けられている。
トランスミッションケース14の上部にシリンダブロック14Bが取り付けられている。このシリンダブロック14Bに、昇降駆動機構2を構成するところの、左右一対のリフトアーム26と、それらのリフトアーム26を揺動駆動するための単動型の油圧シリンダで構成されたリフトシリンダ25と、が備えられている。
図1乃至図4に示すように、走行機体1の後部に備えた昇降リンク機構3は、左右一対のロアリンク30と、平面視で左右のロアリンク30,30の中間に位置する一本のトップリンク31と、を備えた三点リンク機構によって構成されている。
このロアリンク30及びトップリンク31の走行機体1への取り付けは、後述するリンク取付機構4を介して行われる。
そして、同じ下部支軸40に対して、ロアリンク30よりも走行機体1の左右方向での中央側に相当する箇所には、ロアリンク30の左右揺動(ヨーイング)を抑制するためのスタビライザ32が備えられている。
取付部材33は、下部支軸40に外嵌する筒部材33aと、その筒部材33aに溶接固定されたU字状の連結ブラケット33bと、を備えている。基端側部材32Aの基端部を、連結ブラケット33bのU字状部分に挟んで、連結ピン33cが連結ブラケット33bと基端側部材32Aとを貫通する状態に刺すことにより、取付部材33に対してスタビライザ32が連結される。
連結金具34は、ロアリンク30の連結孔30bに対して挿抜可能な係止ピン34aと、その係止ピン34aが溶接固定されたU字状ブラケット34bと、を備えている。U字状ブラケット34bが遊端側部材32Bに連結ピン34cで連結されている。
連結金具34を介して遊端側をロアリンク30に連結されたスタビライザ32は、ロアリンク30と同様に、下部支軸40に対して相対回動可能に、かつ、下部支軸40の軸心x1に対する交差角度Θ2を前記連結ピン33c回りで変更可能に支持されている。
図3に示されるように、トップリンク31の上下揺動支点となる上部支軸41は、ロアリンク30,30の揺動支点となる下部支軸40よりも高い位置にある。トップリンク31の前後方向長さは、ロアリンク30,30の前後方向長さよりも少し短く設定されている。
上部支軸41に対するトップリンク31の取付箇所においても、ラジアル方向及びスラスト方向の外力を受け止める球面軸受30aが用いられている。これにより、トップリンク31は、上部支軸41に対して相対回動自在に支持され、かつ、上部支軸41の軸心x2に対する平面視での交差角度を所定範囲内で変更可能に支持されている。
昇降リンク機構3を走行機体1の後部に連結するためのリンク取付機構4は次のように構成されている。
図3乃至図6に示されるように、リンク取付機構4は、ロアリンク30を走行機体1に取り付けるための下部取付機構4Aと、トップリンク31を走行機体1に取り付けるための上部取付機構4Bと、を備えている。
図4乃至図6に示すように、ヒッチ取付部材44の底面側に、上向き開放のチャンネル状に形成された固定用ブラケット45の底板部分45aが固定されている。この固定用ブラケット45は、ヒッチ取付部材44の左右方向幅よりも幅広に形成されている。そして、固定用ブラケット45の底板部分45aのうち、幅広に形成されてヒッチ取付部材44の横外側にはみ出した部分に、固定具46の挿入用孔(図示せず)が形成されるとともに、その挿入用孔に挿入される固定具46に螺合する固定ナット45bが溶接固定されている。
したがって、下部支軸40は、側部ブラケット43に形成された挿通孔43aと、ヒッチ取付部材44に形成された挿通孔44aと、起立側板45cに形成された透孔45dと、の三箇所で支持された状態となる。
下部支軸40のうち、ロアリンク30よりも左右方向での横外方箇所には、ロアリンク30が下部支軸40から抜け落ちることを阻止するように、ピン孔40bと、そのピン孔40bに対して挿抜される抜け止めピン40cと、が設けられている。
そして、下部支軸40の位置は、ヒッチ47の下端よりも高い位置であるように、支持部42を構成する側部ブラケット43、及びヒッチ取付部材44の位置が定められている。このように下部支軸40の高さ位置がヒッチ47の下端高さとの位置関係で定められると、走行機体1の最低地上高に近い高さ位置で、かつ頑丈に形成されるものであるヒッチ47よりも高い位置にあることで、他物との接触を回避し易くなる。
取付ブラケット48,48は、トランスミッションケース14の上側に固定されたシリンダブロック14Bの後面に取り付けられたサブフレーム支持部材50の後面側に溶接固定されている。
サブフレーム支持部材50は、後述する左右一対のサブフレーム5,5同士を連結する部材で、左右方向での中間部がシリンダブロック14Bの後面に取り付けられ、左右方向の両端部が左右のサブフレーム5,5の上部に連結されている。
上部支軸41は、一端部にフランジ状の頭部41aを備え、他端部に抜け止め孔41b、及び抜け止めピン41cを備えている。抜け止めピン41cを取り外すことで上部支軸41を抜き出し、トップリンク31を取り外すことができる。
図2乃至図4に示されるように、支持部42に装着されている下部支軸40の左右方向での横外方の端部よりもさらに横外方位置に、走行機体1に取り付けて使用することのできるインプルメント6としてのバックホー(図7参照)を装着固定するためのサブフレーム5が取り付けられている。
尚、サブフレーム5は、バックホーをトラクタに連結する際に用いられるものであり、機能的にはインプルメント6に属するものであるが、本発明では、インプルメント6のうち、トラクタに対して脱着されて作業を行うものをインプルメント本体60と称し、そのインプルメント本体60をトラクタに取り付けるために用いられる部位をサブフレーム5と称する。
つまり、サブフレーム5が車体フレーム10と一体化され、後車軸ケース14A,14Aと連結されている。そして、サブフレーム5の上部は、前述したように、中間部がシリンダブロック14Bの後面に取り付けられたサブフレーム支持部材50の左右方向の両端部に連結固定されている。
このため、図3に示すように、サブフレーム5のうち、下部支軸40の抜き出しの際に対向する部位の一部に凹入部52を形成してある。この凹入部52が存在することによって、下部支軸40が側面視でサブフレーム5と重複する状態とはならず、支持部42から抜き出される下部支軸40の抜き出し方向への移動が、サブフレーム5の存在によって阻害されるおそれはない。
したがって、下部支軸40は、凹入部s1の存在する空間の左右方向幅分だけ、より横外方へ引き出すことができるので、後輪1Rを取り外さなくとも支持部42から抜き出すことができる。
これらのロアリンク30、スタビライザ32、及びトップリンク31を走行機体1から取り外した状態で、図7に示すように、インプルメント6としてのバックホーをサブフレーム5に取り付けることにより、バックホー作業を行うことができる。
尚、詳述はしないが、前述した運転座席18は前後に向き変更可能であり、バックホー作業の際には、後方に向いた状態で運転座席18に塔座し、バックホーの操作装置を操作することができる。
また、下部支軸40及び上部支軸41を支持部42及び取付ブラケット48から抜き出す際にも、サブフレーム5の存在が邪魔にはならないので、サブフレーム5は走行機体1に装着されたままの状態で用いることになる。このように、サブフレーム5が走行機体1に常備された状態とすることで、インプルメント本体60の脱着操作に、サブフレーム5の脱着操作が含まれずに済み、インプルメント6としてのバックホーの脱着操作を簡略化することができる。
上記の実施形態では、昇降リンク機構3として、トップリンク31と左右一対のロアリンク30とを用いた三点リンク機構を例示したが、必ずしも、この構造に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、ロアリンクに相当する左右一対のリンク部材を用いた二点リンク機構を採用したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、昇降リンク機構3及びリンク取付機構4が、走行機体1の後端部に備えられた構造のものを例示したが、必ずしも、この構造に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、昇降リンク機構3及びリンク取付機構4が、走行機体1の前端部に備えられたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、前輪1F及び後輪1Rを備えた構造のトラクタを例示したが、必ずしも、この構造に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、前輪1F又は後輪1Rの何れかに代えてクローラ走行装置を採用したものであって良い。この場合、下部支軸40を抜き出すための凹入部s1は、前輪1F又は後輪1R、あるいはクローラ走行装置の何れに設けてもよい。前輪1F又は後輪1Rを用いずに、走行装置全体をクローラ走行装置とする場合には、下部支軸40を抜き出すための凹入部s1が、クローラ走行装置のクローラベルトにおける巻回範囲の外側の空間であるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、左右の下部支軸40,40のそれぞれを、横外方へ抜き出す構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。例えば、下部支軸40を支持する位置が、サブフレーム5や、後輪1Rなどの存在箇所から外れた位置にある場合には、左右のロアリンク30にわたる一本の長い下部支軸40を用いて、左右いずれかの方向に抜き出す構造を採用してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、ロアリンク30の姿勢規制を行うものとしてスタビライザ32を備えた構造のものを例示したが、必ずしも、この構造に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、スタビライザ32に代えて、チェックチェーンを採用したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、支持部42として、トランスミッションケース14の左右両横側部に備えた側部ブラケット43と、トランスミッションケース14の下部から後方へ延出されたヒッチ取付部材44と、を用いたものであるが、必ずしも、この構造に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、側部ブラケット43をトランスミッションケース14の横側部から離れた後車軸ケース14A部分に設けたり、左右方向での二箇所のみならず、三箇所以上の複数箇所に設けたり、してもよい。
また、側部ブラケット43とヒッチ取付部材44とを一連の部材で構成したり、あるいは、ヒッチ取付部材44とは異なる全く別の支持部材を設けるなど、適宜の構成を採用することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、下部支軸40の抜け止めを行う構成として、下部支軸40の走行機体1の中央側の端部に形成された止め孔40aに対して挿入可能な止めボルトによって構成されたものを例示したが、必ずしもこの構造に限られるものではない。
例えば、下部支軸40を径方向外方から抱き込んだり、下部支軸40の抜き出し方向の出口部分にストッパーを設けるなど、適宜の構造を採用しても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、インプルメント6として、バックホーが連結される場合を例示したが、必ずしもバックホーに限られるものではなく、例えば、スクレーパーなど、三点リンク機構には連結できない構造の作業機を連結するようにしてもよい。この場合に、三点リンク機構を取り外し易くしたものである。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、サブフレーム5を走行機体1に常時装着した状態で用いる構造のものを例示したが、サブフレーム5の全体、もしくは一部を脱着可能に構成して、必要に応じてサブフレーム5を脱着するようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
1R 後輪
3 リンク機構
4 リンク取付機構
5 サブフレーム
6 インプルメント
14 トランスミッションケース
30 リンク部材(ロアリンク)
32 スタビライザ
40 支軸
42 支持部
43 側部ブラケット
44 ヒッチ取付部材
46 固定具
47 ヒッチ
60 インプルメント本体
x1 軸心
s1 凹入部
Claims (7)
- 自走可能に構成された走行機体と、
作業装置が連結されるリンク部材を有したリンク機構と、
前記リンク機構を前記走行機体の前後方向の一端部に取り付けるリンク取付機構と、が備えられ、
前記リンク取付機構に、前記リンク部材における前記走行機体側の端部を左右方向に沿う軸心回りで回動可能に枢支する支軸と、前記走行機体に設けられ、前記支軸を支持する支持部と、前記支持部に対する前記支軸の左右方向移動を固定、及び固定解除可能な固定具と、が備えられ、
前記固定具による固定が解除されるに伴って、前記支持部に対する前記支軸の左右方向での抜き差しが可能となるトラクタ。 - 前記走行機体における前後方向の一端部のうち、前記リンク取付機構が設けられた側の端部にヒッチが備えられ、
前記支持部が、前記ヒッチの下端よりも高い位置に前記支軸を支持している請求項1記載のトラクタ。 - 前記ヒッチを支持するヒッチ取付部材が前記走行機体に設けられ、
前記ヒッチ取付部材に前記支持部が設けられている請求項2記載のトラクタ。 - 前記支持部は、トランスミッションケースの左右両横側部に備えた側部ブラケット、及び前記トランスミッションケースの下部から後方へ延出された前記ヒッチ取付部材に設けられ、前記ヒッチ取付部材の後方に前記ヒッチが脱着可能に設けられている請求項3記載のトラクタ。
- 前記走行機体に左右の前輪と左右の後輪とが備えられ、
前記支軸は、前記後輪のハブに形成されている凹入部と側面視で重複する位置にある請求項1~4のいずれか一項記載のトラクタ。 - 左右の前記リンク部材よりも、左右方向で走行機体の中央側に位置する状態で、左右のスタビライザが配置され、前記リンク部材及び前記スタビライザが、同一軸心回りで上下揺動可能に前記支軸に支持されている請求項1~5のいずれか一項記載のトラクタ。
- 前記走行機体に装着される対象であるインプルメントに、インプルメント本体と、そのインプルメント本体を前記走行機体の所定位置に連結するためのサブフレームとが備えられ、
前記支軸は、前記走行機体に装着された前記サブフレームと側面視で重複しない位置に設けられている請求項1~6のいずれか一項記載のトラクタ。
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