JP2022162294A - ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂膜 - Google Patents

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昌嗣 東
Masatsugu Higashi
雅子 内田
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Abstract

【課題】水分散性が良好であり、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び基材への密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物を提供する。【解決手段】ブロックポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロック化されたブロックポリイソシアネートと、少なくとも1種の、HLB値が11.5以上16.0以下であるノニオン型界面活性剤と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロックポリイソシアネート組成物、樹脂組成物及び樹脂膜に関する。
従来、ポリウレタン樹脂塗料は非常に優れた耐摩耗性、耐薬品性及び耐汚染性を有している。特に、脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートから得られたポリイソシアネートを用いたポリウレタン樹脂塗料はさらに耐候性が優れ、その需要は増加する傾向にある。
しかしながら、一般にポリウレタン樹脂塗料は二液性であるため、その使用は極めて不便であった。即ち、通常のポリウレタン樹脂塗料はポリオール及びポリイソシアネートの二成分からなり、ポリオール及びポリイソシアネートを別々に貯蔵し、塗装時に両者を混合する必要がある。また、一旦両者を混合すると塗料は短時間でゲル化し使用できなくなるという課題を有する。ポリウレタン樹脂塗料はこのような課題を有するため、数日以上のポットライフを必要とする用途には適用できない。
上述の課題を改善するために、従来から、活性なイソシアネート基を全てブロック剤で封鎖したブロックポリイソシアネートを用いることが提案されている。このブロックポリイソシアネートは、常温ではポリオールと反応しない。しかしながら、加熱することによりブロック剤が解離し、活性なイソシアネート基が再生されてポリオールと反応し架橋反応が起こるので、上述の課題を改善することができる。従って、数多くのブロック剤の検討がなされおり、例えばフェノール、メチルエチルケトオキシム等が代表的なブロック剤として挙げられる。
一方で、近年は環境負荷の観点から、ブロックイソシアネートを水に分散させて使用する機会が増えている。例えば、特許文献1では、ポリイソシアネート基の一部に水分散能を付与することによる、ブロックイソシアネートの水系化を提案している。
特開昭62-151419号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、かなりの割合のイソシアネート基が水分散能の付与に消費され、その結果、ポリイソシアネートの架橋能力は著しく低下する。また、それによって塗膜の硬度が低下してしまう等の課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水分散性が良好であり、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び基材への密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物、並びに、前記ブロックポリイソシアネート組成物を用いた樹脂組成物及び樹脂膜を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロック化されたブロックポリイソシアネートと、
少なくとも1種の、HLB値が11.5以上16.0以下であるノニオン型界面活性剤と、
を含む、ブロックポリイソシアネート組成物。
(2) 前記ノニオン型界面活性剤の含有量が、前記ブロックポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部以下である、(1)に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(3) 前記ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が、前記ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して10.0質量部以下の親水性化合物によって変性されている、(1)又は(2)に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(4) 前記ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数が2.5以上6.0以下である、(1)~(3)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(5) 前記ブロックポリイソシアネート組成物の有効イソシアネート基含有率が、10.0質量%以上である、(1)~(4)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(6) 前記ポリイソシアネートがヌレート構造を含む、(1)~(5)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(7) 前記ブロックポリイソシアネートの重量平均分子量Mwが500以上20000以下である、(1)~(6)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(8) 前記ブロック剤が、活性メチレン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、アミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、及び、トリアゾール系ブロック剤からなる群より選ばれる1種以上のブロック剤である、(1)~(7)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(9) 前記ブロック剤が、ピラゾール系ブロック剤、又はオキシム系ブロック剤である、(1)~(8)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(10) 前記ブロック剤が、3,5-ジメチルピラゾール、又はメチルエチルケトオキシムである、(1)~(9)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(11) 水への溶解度が10g/L以上である溶媒を更に含有する、(1)~(10)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(12) 前記溶媒がエーテル構造を有する溶媒である、(11)に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(13) (1)~(12)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物と、ポリオールと、を含む、樹脂組成物。
(14) (13)に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、樹脂膜。
(15) 前記樹脂組成物を、ポリプロピレンからなる基材上に塗工し、140℃で30分間加熱して硬化させてなる、膜厚40μmの樹脂膜を、23℃で1週間保存後にアセトン中に23℃で24時間浸漬した際のゲル分率が80.0質量%以上である、(14)に記載の樹脂膜。
(16) 前記樹脂組成物を、ガラスからなる基材上に塗工し、140℃で30分間加熱して硬化させてなる、膜厚40μmの樹脂膜を23℃で1週間保存後して測定された23℃におけるケーニッヒ硬度が80回以上である、(14)又は(15)に記載の樹脂膜。
上記態様のブロックポリイソシアネート組成物によれば、水分散性が良好であり、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び基材への密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物を提供することができる。上記態様の樹脂組成物は、前記ブロックポリイソシアネート組成物を含み、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び基材への密着性に優れる。上記態様の樹脂膜は、前記樹脂組成物を硬化させてなり、硬化性、硬度及び基材への密着性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
なお、本明細書において、「ポリオール」とは、一分子中に2つ以上のヒドロキシ基(-OH)を有する化合物を意味する。
また、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、2つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する単量体化合物が複数結合した反応物を意味する。
また、本明細書において、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」は、メタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
≪ブロックポリイソシアネート組成物≫
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ブロックポリイソシアネートと、少なくとも1種のノニオン型界面活性剤と、を含む。
前記ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロック化されたものである。
前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから誘導されたものである。
前記ノニオン型界面活性剤のHLB値は、11.5以上16.0以下であり、11.8以上15.8以下が好ましく、12.0以上15.5以下がより好ましく、12.2以上15.3以下がさらに好ましい。
ノニオン型界面活性剤のHLB値が上記数値範囲内であることで、水分散性を優れたものとすることができる。
なお、ここでいうHLB値とは、Hydrophile Lipophile Balanceの略で、乳化剤の疎水性と親水性のバランスを表す数値である。
ノニオン型界面活性剤のHLB値(NHLB)は、例えば、Griffinが提唱した以下の式(I)から算出することができる。式(I)中、E及びPはそれぞれポリオキシアルキレン部及び多価アルコール部の界面活性剤分子中に占める質量%である。
Figure 2022162294000001
なお、後述する実施例に使用したノニオン型界面活性剤のHLB値は、入手したメーカーのカタログ値を採用した。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記構成を有することで、水分散性が良好であり、硬化性、硬度及び基材への密着性に優れる樹脂膜が得られる。
<ブロックポリイソシアネート>
ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートとブロック剤との反応物であって、ポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック化されたものである。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックポリイソシアネートは、イソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロック化されたものであってもよく、イソシアネート基の全部がブロック剤によりブロック化されたものであってもよい。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックポリイソシアネートの重量平均分子量Mwは、500以上20000以下であることが好ましく、500以上10000以下であることがより好ましく、500以上5000以下であることがさらに好ましい。
ポリイソシアネートの重量平均分子量Mwは、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
[ポリイソシアネート]
ブロックポリイソシアネートの原料となるポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから誘導されたものである。
(脂肪族ジイソシアネート)
本実施形態において「脂肪族ジイソシアネート」とは、分子中に鎖状脂肪族炭化水素を有し、芳香族炭化水素を有しないジイソシアネート化合物をいう。脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」ともいう)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。このような脂肪族ジイソシアネートを用いることにより、得られるポリイソシアネートがより低粘度となる。
(脂環族ジイソシアネート)
本明細書において「脂環族ジイソシアネート」とは、分子中に芳香族性を有しない環状脂肪族炭化水素を有するジイソシアネート化合物をいう。脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」ともいう)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
中でも、工業的に入手し易いことから、HDI、IPDI、水添キシリレンジイソシアネート、又は水添ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、HDIがより好ましい。HDIを用いることにより、ブロックポリイソシアネート組成物から得られる塗膜の耐候性と、柔軟性がより優れる傾向にある。
脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用することもできる。
上記ジイソシアネートモノマーから誘導されるポリイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、以下の(a)~(h)に示すポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
(a)2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン基を有するポリイソシアネート化合物;
(b)3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート基又はイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート化合物;
(c)3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させて得られるビウレット基を有するポリイソシアネート化合物;
(d)2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させて得られるオキサダイアジントリオン基を有するポリイソシアネート化合物;
(e)1つのイソシアネート基と1つの水酸基を反応させて得られるウレタン基を複数有するポリイソシアネート化合物;
(f)2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるアロファネート基を有するポリイソシアネート化合物;
(g)1つのイソシアネート基と1つのカルボキシ基とを反応させて得られるアシル尿素基を有するポリイソシアネート化合物;
(h)1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させて得られる尿素基を有するポリイソシアネート化合物
中でも、ポリイソシアネート化合物としては、分子内にビウレット基、イソシアヌレート基(ヌレート構造)、ウレタン基、ウレトジオン基、又はアロファネート基を含むものが好ましく、イソシアヌレート基(ヌレート構造)を含むものがより好ましい。ビウレット基を有するものは接着性に優れている。イソシアヌレート基を含むものは耐候性や耐熱性に優れている。長い側鎖を有するアルコール化合物を用いたウレタン基を含むものは弾性及び伸展性に優れている。ウレトジオン基を有するものは低粘度である。アロファネート基を有するものは、低粘度に加え、組み込まれた水酸基を有する化合物が有する性能(極性、Tg等)を付与できる。
ポリイソシアネート化合物は、脂肪族トリイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート化合物を含んでもよい。前記脂肪族トリイソシアネートとしては、例えば、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナートメチルオクタン、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナト-ヘキサノエート等が挙げられる。
(ポリイソシアネートの製造方法)
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート化合物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ジイソシアネートモノマーを触媒等によりイソシアヌレート化反応を行い、所定の転化率になったときに該反応を停止し、未反応のジイソシアネートモノマーを除去する方法が挙げられる。
イソシアヌレート化反応に用いられる触媒としては、特に限定されないが、塩基性を示すものが好ましく、具体的には、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド及び有機弱酸塩、ヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド及び有機弱酸塩、アルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、金属アルコラート、アミノシリル基含有化合物、マンニッヒ塩基類、第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、燐系化合物等が挙げられる。
テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
アルカリ金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。
金属アルコラートとしては、例えば、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等が挙げられる。
アミノシリル基含有化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
燐系化合物としては、例えば、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
これらの触媒の使用量は、原料である、ジイソシアネートモノマー(及び、必要に応じてアルコール)の総質量に対して、10質量ppm以上1.0質量%以下が好ましい。また、イソシアヌレート化反応を終了させるために、触媒を中和する酸性物質の添加、熱分解、化学分解等により不活性化してもよい。触媒を中和する酸性物質としては、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル等が挙げられる。
ポリイソシアネートの製造時に用いられるアルコールは、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましい。
前記アルコールとして具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、モノアルコール、ジアルコール等が挙げられる。これらアルコールは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等が挙げられる。
ジアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
中でも、アルコールとしては、モノアルコールが好ましく、分子量200以下のモノアルコールがより好ましい。
アルコールの水酸基のモル量に対するジイソシアネートモノマーのイソシアネート基のモル量の比は、10/1以上1000/1以下が好ましく、100/1以上1000/1以下がより好ましい。当該モル比が上記数値範囲内であることによって、平均イソシアネート官能基数をより十分に確保することができる。
ポリイソシアネート化合物の収率は、一般的には、10質量%以上70質量%以下となる傾向にある。より高い収率で得られたポリイソシアネート化合物は、より粘度が高くなる傾向にある。収率は、原料成分の総質量に対する得られたポリイソシアネート化合物の質量の割合から算出できる。
イソシアヌレート化反応の反応温度は、特に限定されないが、50℃以上200℃以下であることが好ましく、50℃以上150℃以下であることがより好ましい。反応温度が上記下限値以上であることで、反応がより進み易くなる傾向にあり、反応温度が上記上限値以下であることで、着色を引き起こすような副反応をより抑制することができる傾向にある。
イソシアヌレート化反応の終了後には、未反応のジイソシアネートモノマーを薄膜蒸発缶、抽出等により除去することが好ましい。ポリイソシアネート化合物は、未反応のジイソシアネートモノマーを含んでいた場合であっても、ジイソシアネートモノマーの含有量がポリイソシアネート化合物の総質量に対して、3.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。残留未反応ジイソシアネートモノマー濃度が上記範囲内であることにより、硬化性がより優れる傾向にある。
ジイソシアネートモノマーの含有量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。
(ポリイソシアネートの物性)
ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数は、樹脂膜としたときの硬化性を高める点で、2.5以上が好ましく、樹脂膜としたときの硬化性、及び、ポリオールとの相溶性の両立の観点から、2.5以上6.0以下がより好ましく、2.7以上5.8以下がさらに好ましく、2.9以上5.7以下が特に好ましく、3.0以上5.6以下が最も好ましい。
ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(NCO基含有率)は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、ポリイソシアネートの質量に対して10質量%以上27質量%以下であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
NCO基含有率は、例えば、ポリイソシアネートのイソシアネート基を過剰のアミン(ジブチルアミン等)と反応させ、残ったアミンを塩酸等の酸で逆滴定することによって求めることができる。
[ブロック剤]
ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、活性メチレン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、アルコール系ブロック剤、酸アミド系ブロック剤、酸イミド系ブロック剤、フェノール系ブロック剤、アミン系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、トリアゾール系ブロック剤等が挙げられる。
活性メチレン系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、アセト酢酸エステル、マロン酸ジエステル、イソブタノイル酢酸エステル、アセチルアセトン等が挙げられる。
アセト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル等が挙げられる。
マロン酸ジエステルとしては、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-プロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸エチルイソプロピル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジイソブチル、マロン酸ジ-sec-ブチル、マロン酸ジtert-ブチル、マロン酸メチルtert-ブチル、マロン酸エチルtert-ブチル、マロン酸ジ-tert-ペンチル、マロン酸ジn-ヘキシル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ジベンジル等が挙げられる。
オキシム系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
アルコール系ブロック剤としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール等が挙げられる。
酸アミド系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等が挙げられる。
酸イミド系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
フェノール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
アミン系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール等が挙げられる。
ピラゾール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられる。
トリアゾール系ブロック剤としては、特に限定されないが、例えば、3,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
その中でも、入手容易性や製造したブロックポリイソシアネート組成物の粘度、反応温度、反応時間の観点から、活性メチレン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、アミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、及び、トリアゾール系ブロック剤からなる群より選ばれる1種以上のブロック剤が好ましく、メチルエチルケトオキシム、ε-カプロラクタム、ジイソプロピルアミン、又は3,5-ジメチルピラゾールがより好ましく、メチルエチルケトオキシム、又は3,5-ジメチルピラゾールがさらに好ましく、メチルエチルケトオキシムが特に好ましい。
上記ブロック剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
[親水性化合物]
ブロックポリイソシアネートの少なくとも一部は、親水性化合物から誘導される構成単位、すなわち、親水性基を有していてもよい。
親水性基を有するブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が親水性化合物で変性されており、且つ、残りのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロック化されているものである。
ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が、前記ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して10.0質量部以下の親水性化合物によって変性されていることが好ましく、9.0質量部以下の親水性化合物によって変性されていることがより好ましく、8.0質量部以下の親水性化合物によって変性されていることがさらに好ましく、7.0質量部以下の親水性化合物によって変性されていることが特に好ましい。
ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が親水性化合物によって変性されている割合が上記上限値以下であることで、主剤との反応時に架橋構造を形成し得るイソシアネート基の量を十分に確保することができ、樹脂膜とのしたときの硬化性及び硬度がより優れる。
一方で、ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が親水性化合物によって変性されている割合の下限値は特に限定されないが、前記ポリイソシアネートの質量に対して0.0質量部が好ましい。ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が親水性化合物によって変性されている割合が上記下限値以上であることで、ブロックポリイソシアネート組成物の水分散性がより良好なものとなる。
親水性化合物は、親水性基を有する化合物である。親水性化合物は、親水性基に加えて、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の少なくとも1つと反応するための活性水素基を、親水性化合物1分子に対して、1つ以上有することが好ましい。活性水素基として、具体的には、水酸基、メルカプト基、カルボン酸基、アミノ基、チオール基が挙げられる。
親水性化合物としては、ノニオン性化合物、カチオン性化合物、アニオン性化合物が挙げられる。これら親水性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、親水性化合物としては、入手容易性及び配合物との電気的な相互作用を受けにくく、且つ、溶液状態で濁りが生じにくいという観点で、ノニオン性化合物が好ましく、得られる樹脂膜の硬度や強度の低下を抑制する観点、及び、乳化性向上の観点で、アニオン性化合物が好ましい。
(ノニオン性化合物)
ノニオン性化合物として、具体的には、モノアルコール、アルコールの水酸基にエチレンオキサイドを付加した化合物が挙げられる。モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールの水酸基にエチレンオキサイドを付加した化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらノニオン性化合物は、イソシアネート基と反応する活性水素基も有する。
中でも、ノニオン性化合物としては、少ない使用量でブロックポリイソシアネート組成物の水分散性を向上できることから、モノアルコールの水酸基にエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
エチレンオキサイドを付加した化合物のエチレンオキサイドの付加数としては、4以上30以下が好ましく、4以上25以下がより好ましい。エチレンオキサイドの付加数が上記下限値以上であることで、ブロックポリイソシアネート組成物に水分散性をより効果的に付与できる傾向にあり、エチレンオキサイドの付加数が上記上限値以下であることで、低温貯蔵時にブロックポリイソシアネート組成物の析出物がより発生しにくい傾向にある。
ブロックポリイソシアネートに付加されるノニオン性親水性基の量(以下、「ノニオン性親水性基の含有量」と称する場合がある)の下限値は、ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、0.0質量部が好ましい。
また、ノニオン性親水性基の含有量の上限値は、得られる樹脂膜の耐水性及び硬度の観点から、ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、10.0質量部が好ましく、9.0質量部がより好ましく、8.0質量部がさらにより好ましく、7.0質量部がさらに好ましく、5.0質量部がよりさらに好ましく、4.0質量部が特に好ましい。
すなわち、ノニオン性親水性基の含有量は、ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、0.0質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.0質量部以上9.0質量%部以下がより好ましく、0.0質量部以上8.0質量部以下がさらにより好ましく、0.0質量部以上7.0質量部以下がさらに好ましく、0.0質量部以上5.0質量部以下がよりさらに好ましく、0.0質量部以上4.0質量部以下が特に好ましい。
ノニオン性親水性基の含有量が上記範囲内であることにより、ブロックポリイソシアネート組成物がより水に分散し、均質な膜が得られる傾向にある。
得られる樹脂膜の硬度や強度の低下を抑制する観点で、ブロックポリイソシアネートに付加されるノニオン性親水性基の量をモル比で表すと、原料ポリイソシアネートのイソシアネート基100モル%に対して、0モル%以上15モル%以下が好ましく、0モル%以上12モル%以下がより好ましく、0モル%以上8モル%以下がさらにより好ましく、0モル%以上6モル%以下がさらに好ましく、0モル%以上5モル%以下がよりさらに好ましく、0モル%以上4モル%以下が特に好ましく、0モル%以上3モル%以下が最も好ましい。
(カチオン性化合物)
カチオン性化合物として、具体的には、カチオン性親水性基と活性水素基とを併せて有する化合物が挙げられる。また、グリシジル基等の活性水素基を有する化合物と、スルフィド、ホスフィン等のカチオン性親水性基を有する化合物を併せて、親水性化合物としてもよい。この場合は、予め、イソシアネート基を有する化合物と活性水素基を有する化合物を反応させ、グリシジル基等の官能基を付加し、その後、スルフィド、ホスフィン等の化合物を反応させる。製造の容易性の観点からは、カチオン性親水性基と活性水素基とを併せて有する化合物が好ましい。
カチオン性親水性基と活性水素基とを併せて有する化合物として、具体的には、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等が挙げられる。また、これらの化合物を用いて付加された三級アミノ基は、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルで四級化することもできる。
カチオン性化合物と脂環族ポリイソシアネートとの反応は、溶媒の存在下で反応させることができる。この場合の溶媒は、活性水素基を含まないものが好ましく、具体的には、例えば、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
ブロックポリイソシアネートに付加されたカチオン性親水性基は、アニオン性基を有する化合物で中和されることが好ましい。このアニオン性基として、具体的には、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基等が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物として、具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有する化合物として、具体的には、例えば、エタンスルホン酸等が挙げられる。
燐酸基を有する化合物として、具体的には、例えば、燐酸、酸性燐酸エステル等が挙げられる。
ハロゲン基を有する化合物として、具体的には、例えば、塩酸等が挙げられる。
硫酸基を有する化合物として、具体的には、例えば、硫酸等が挙げられる。
中でも、アニオン性基を有する化合物としては、カルボキシ基を有する化合物が好ましく、酢酸、プロピオン酸又は酪酸がより好ましい。
(アニオン性化合物)
アニオン性親水性基として、具体的には、カルボキシ基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基が挙げられる。
アニオン性化合物として、具体的には、アニオン性基と活性水素基とを併せて有する化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、モノヒドロキシカルボン酸、ポリヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基をアニオン性基として有する化合物が挙げられる。
モノヒドロキシカルボン酸としては、例えば、1-ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシプロパン酸、12-ヒドロキシ-9-オクタデカン酸、ヒドロキシピバル酸(ヒドロキシピバリン酸)、乳酸等が挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸のカルボキシ基をアニオン性基として有する化合物としては、例えば、ジメチロール酢酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジメチロールプロピオン酸等が挙げられる。
また、スルホン酸基と活性水素基とを併せて有する化合物も挙げられ、より具体的には、例えば、イセチオン酸等が挙げられる。
中でも、アニオン性基と活性水素基とを併せて有する化合物としては、ヒドロキシピバル酸又はジメチロールプロピオン酸が好ましい。
ブロックポリイソシアネートに付加されたアニオン性親水性基は、塩基性物質であるアミン系化合物で中和することが好ましい。
アミン系化合物として、具体的には、例えば、アンモニア、水溶性アミノ化合物等が挙げられる。
水溶性アミノ化合物として、具体的には、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。また、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミンも挙げられ、これらを用いることもできる。これらのアミン系化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<ノニオン型界面活性剤>
ノニオン型界面活性剤としては、HLB値が11.5以上16.0以下であるものでえあれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある)等が挙げられる。
Figure 2022162294000002
(一般式(I)中、R11は炭素数2以上10以下のアルキレン基である。R12は炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上32以下のアリール基である。n11は1.0以上100以下の数である。)
(R11
11は、親水性付与の観点から、炭素数2以上10以下のアルキレン基である。R11における炭素数2以上10以下のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。より親水性が付与できる観点から、R11としては、エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
(R12
12は、炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上32以下のアリール基である。
12における炭素数1以上22以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
12における炭素数6以上32以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
中でも、R12としては、炭素数6以上18以下のアルキル基がより好ましい。炭素数を上記範囲にすることで、疎水性と親水性のバランスがより良好となり、ブロックポリイソシアネートとの親和性と水への分散性を両立することができる。
(n11)
n11は、オキシアルキレン基の繰り返し数、すなわち化合物(I)の重合度を示す。また、化合物(I)は、単一成分ではなく、重合度であるn11の数が異なる物質の集合体である。そのため、n11は、重合度の平均値で表す。
さらに、重合度の平均値であるn11の下限値は、水分散性と水分散安定性と塗膜外観との観点から、1.0が好ましく、2.0がより好ましく、4.0がさらに好ましく、5.0が特に好ましい。
n11が上記下限値以上であることにより、水分散性が向上し、より容易に組成物を分散することができる。
また、重合度の平均値であるn11の上限値は、水分散性と塗膜硬度との観点から、100が好ましく、50がより好ましく、20がさらに好ましく、16が特に好ましい。
n11が上記上限値以下であることにより、本実施形態のブロックイソシアネート組成物のゲル化等の過度の粘度上昇をより防ぐことができ、より容易に水に分散することができる傾向にある。更に、塗膜の硬度がより優れる傾向にある。
すなわち、重合度の平均値であるn11は、1.0以上100以下が好ましく、2.0以上50以下がより好ましく、4.0以上20以下がさらに好ましく、5.0以上16以下が特に好ましい。
化合物(I)として具体的には、例えば、R12が水素原子である場合はポリ(オキシアルキレン)グリコールであり、R12が炭素数1以上22以下のアルキル基である場合には、ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルである。
ポリ(オキシアルキレン)グリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル等が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシプロピレン2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)モノアルキルエーテルの市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製の商品名「ニューコール(登録商標) 1008」(ポリオキシエチレンモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、オキシエチレン基の繰り返し数:8、HLB値14.6);花王株式会社製の商品名「エマルゲン(登録商標) LS-106」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値12.5)、「エマルゲン(登録商標) LS-110」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値13.4)、「エマルゲン(登録商標) LS-114」(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値14.0)等が挙げられる。
上記ノニオン型界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
ノニオン型界面活性剤の含有量は、ブロックポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上2.70質量部以下であることより好ましく、0.03質量部以上2.50質量部以下であることがさらに好ましい。
<その他構成成分>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記ブロックポリイソシアネートに加えて、溶媒等の添加剤を更に含むことができる。
溶媒としては、20℃における水への溶解度が10g/L以上であるものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、エチレングリコールジエチルエーテル(34g/L)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(1.0×10g/L)、エチレングリコールジメチルエーテル(1.0×10g/L)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(1.0×10g/L)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPDM)(526g/L)、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(100g/L以上)等のエーテル構造を有する溶媒;メチルエチルケトン(29g/L)、アセトン(1.0×10g/L)、メチルイソブチルケトン(19g/L)等のケトン系溶媒;酢酸エチル(87g/L)等のエステル系溶媒等が挙げられる。これら溶媒を、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、上記括弧内の数値は、20℃における水への溶解度を示す。水への分散性の観点から、溶媒としては、エーテル構造を有する溶媒が好ましく、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPDM)、又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートとブロック剤とを反応させてブロックポリイソシアネートを得た後、該ブロックポリイソシアネートとノニオン型界面活性剤と混合することで得られる。
ポリイソシアネートとブロック剤とのブロック化反応は、溶媒の存在の有無に関わらず行うことができ、ブロックポリイソシアネートが得られる。
ブロック剤の添加量は、通常は、イソシアネート基のモル総量に対して80モル%以上200モル%以下であってよく、90モル%以上150モル%以下であることが好ましい。
また、溶媒を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いればよい。
溶媒を用いる場合、ブロックポリイソシアネート組成物100質量部に対するポリイソシアネート及びブロック剤に由来する不揮発分の含有量は、通常は、10質量部以上95質量部以下であってよく、20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、30質量部以上75質量部以下であることがより好ましい。
ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、3級アミン系化合物及びナトリウム等のアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
触媒の添加量は、ブロック化反応の温度等により変動するが、通常は、ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して0.05質量部以上1.5質量部以下であってよく、0.1質量部以上1.0質量部以下であることが好ましい。
ブロック化反応は、一般に-20℃以上150℃以下で行うことができ、0℃以上100℃以下で行うことが好ましく、10℃以上95℃以下で行うことがより好ましい。ブロック化反応の温度が上記下限値以上であることにより、反応速度をより高めることができ、上記上限値以下であることにより、副反応をより抑制することができる。
ブロック化反応後には、酸性化合物等の添加で中和処理してもよい。
前記酸性化合物としては、無機酸を用いてもよく、有機酸を用いてもよい。無機酸としては、例えば、塩酸、亜燐酸、燐酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等が挙げられる。
また、親水性化合物を用いる場合には、上記ポリイソシアネートと上記ブロック剤と上記親水性化合物とを反応させて得られる。
ポリイソシアネートと親水性化合物との反応、及び、ポリイソシアネートとブロック剤との反応を同時に行うこともでき、又は、予めいずれの反応を行った後に、2つ目以降の反応を行うこともできる。中でも、ポリイソシアネートと親水性化合物との反応を先に行い、親水性化合物により変性された親水性化合物変性ポリイソシアネートを得た後、得られた親水性化合物変性ポリイソシアネートとブロック剤との反応を行うことが好ましい。
ポリイソシアネートと親水性化合物との反応は、有機金属塩、3級アミン系化合物、アルカリ金属のアルコラートを触媒として用いてもよい。前記有機金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。前記アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム等が挙げられる。
ポリイソシアネートと親水性化合物との反応温度は、-20℃以上150℃以下が好ましく、30℃以上130℃以下がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であることで、反応性をより高くできる傾向にある。また、反応温度が上記上限値以下であることで、副反応をより効果的に抑制できる傾向にある。
親水性化合物が未反応状態で残存しないよう、完全にポリイソシアネートと反応させることが好ましい。未反応状態で残存しないことにより、ブロックポリイソシアネート組成物の水分散安定性、及び、樹脂膜としたときの硬化性の低下をより効果的に抑制する傾向にある。
親水性化合物変性ポリイソシアネートとブロック剤との反応は、上述のブロック化反応として記載された方法を用いることができる。
上記方法によって、得られたブロックポリイソシアネート(或いは、親水性化合物変性ポリイソシアネート)と、ノニオン型界面活性剤とを混合することで、ブロックポリイソシアネート組成物が得られる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記ブロックポリイソシアネート及び上記ノニオン型界面活性剤に加えて、更に溶媒を添加して、希釈した状態で用いることもできる。
<ブロックポリイソシアネート組成物の物性>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の有効イソシアネート基含有率は、ブロックポリイソシアネート組成物の固形分の総質量に対して(すなわち、ブロックポリイソシアネート組成物が溶媒を含まない状態の質量に対して)、10.0質量%以上であることが好ましく、11.0質量%以上であることがより好ましく、12.0質量%以上であることがさらに好ましい。一方、有効イソシアネート基含有率の上限値は特に限定されないが、ブロックポリイソシアネート組成物の固形分の総質量に対して、例えば、25.0質量%であり、20.0質量%以下が好ましい。有効イソシアネート基含有率が上記数値範囲内であることで、主剤との反応時に架橋構造を形成し得るイソシアネート基の量を十分に確保することができ、樹脂膜とのしたときの硬化性及び硬度がより優れる。
なお、ここでいう「有効イソシアネート基含有率(有効NCO%)」とは、ブロック化反応後のブロックポリイソシアネート成分中に存在する架橋反応に関与しうるブロックされたイソシアネート基量を定量化したものであって、イソシアネート基の質量%で表したものである。後述する実施例に記載の方法を用いて算出することができる。
≪樹脂組成物≫
本実施形態の樹脂組成物は、上述したブロックポリイソシアネート組成物と、ポリオールと、を含む。本実施形態の樹脂組成物は、硬化剤成分と、主剤成分とを含む一液型樹脂組成物ということもできる。
本実施形態の樹脂組成物は、上述したブロックポリイソシアネート組成物を硬化剤成分として含むことで、硬化性、硬度及び基材との密着性に優れる樹脂膜が得られる。
<ポリオール>
ポリオールとして具体的には、例えば、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、エポキシ樹脂類、含フッ素ポリオール類、アクリルポリオール類等が挙げられる。
中でも、ポリオールとしては、ポリエステルポリオール類、含フッ素ポリオール類又はアクリルポリオール類であることが好ましい。
[脂肪族炭化水素ポリオール類]
前記脂肪族炭化水素ポリオール類としては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエンやその水素添加物等が挙げられる。
[ポリエーテルポリオール類]
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、以下(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得られるものが挙げられる。
(1)多価アルコールの単独又は混合物に、アルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類又はポリテトラメチレングリコール類。
(2)アルキレンオキサイドに多官能化合物を反応させて得られるポリエーテルポリオール類。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類。
前記多価アルコールとしては、例えば、グリセリンやプロピレングリコール等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
前記多官能化合物としては、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン類等が挙げられる。
[ポリエステルポリオール類]
前記ポリエステルポリオール類としては、例えば、以下の(1)又は(2)のいずれかのポリエステルポリオール類等が挙げられる。
(1)二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール樹脂類。
(2)ε-カプロラクトンを多価アルコールで開環重合して得られるポリカプロラクトン類。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
[エポキシ樹脂類]
前記エポキシ樹脂類としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、β-メチルエピクロ型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリコールエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ型脂肪族不飽和化合物、エポキシ化脂肪酸エステル、エステル型多価カルボン酸、アミノグリシジル型エポキシ樹脂、ハロゲン化型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂類、及びこれらエポキシ樹脂をアミノ化合物、ポリアミド化合物等で変性した樹脂類等が挙げられる。
[含フッ素ポリオール類]
前記含フッ素ポリオール類としては、例えば、参考文献1(特開昭57-34107号公報)、参考文献2(特開昭61-275311号公報)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
[アクリルポリオール類]
前記アクリルポリオール類は、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を持つ重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得られる。
前記一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下(i)~(iii)に示すものが挙げられる。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル類。
(iii)グリセリンのアクリル酸モノエステル又はメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステル又はメタクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
前記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、以下の(i)~(v)に示すものが挙げられる。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類。
(iii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
(iv)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド。
(v)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等。
また、参考文献3(特開平1-261409号公報)及び参考文献4(特開平3-006273号公報)等で開示されている重合性紫外線安定性単量体を共重合して得られるアクリルポリオール類等が挙げられる。
前記重合性紫外線安定性単量体として具体的には、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2、2、6、6-テトラメチルピペリジン、2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
例えば、上記の単量体成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶媒等で希釈することによって、アクリルポリオールを得ることができる。
水系ベースアクリルポリオールを得る場合には、オレフィン性不飽和化合物を溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合等の公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分をアミンやアンモニアで中和することによって水溶性又は水分散性を付与することができる。
[NCO/OH]
本実施形態の樹脂組成物に含まれるポリオールの水酸基に対するブロックポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル当量比(NCO/OH)は、必要とする樹脂膜の物性により決定されるが、通常、0.01以上22.5以下である。
[水酸基価]
ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上250mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上220mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下がさらに好ましい。ポリオールの水酸基価が上記範囲内であることで、引張強度等の各種物性により優れる樹脂膜が得られる。
<その他添加剤>
本実施形態の樹脂組成物は、その他添加剤を更に含んでもよい。
その他添加剤としては、例えば、多価ヒドロキシ化合物中の架橋性官能基と反応しうる硬化剤、硬化触媒、溶媒、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等が挙げられる。
前記硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ基含有化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂、ヒドラジド化合物等が挙げられる。
前記硬化触媒としては、塩基性化合物であってもよく、ルイス酸性化合物であってもよい。
前記塩基性化合物としては、例えば、金属ヒドロキシド、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセチネート、オニウム塩の水酸化物、オニウムカルボキシレート、オニウム塩のハロゲン化物、活性メチレン系化合物の金属塩、活性メチレン系化合物のオニウム塩、アミノシラン類、アミン類、ホスフィン類等が挙げられる。前記オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩又はスルホニウム塩が好適である。
前記ルイス酸性化合物としては、例えば、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物等が挙げられる。
前記溶媒としては、上記ブロックポリイソシアネート組成物において例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、顔料類(体質顔料、着色顔料、メタリック顔料等)、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカル安定剤、焼付工程時の着色を抑える黄変防止剤、塗面調整剤、流動調整剤、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤及び造膜助剤としては、公知のものを適宜選択して用いることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、溶媒ベース、水系ベースどちらにも使用可能であるが、水系ベースの樹脂組成物として好適に用いられる。
水系ベースの樹脂組成物(水系樹脂組成物)を製造する場合には、まず、ポリオール又はその水分散体若しくは水溶物に、必要に応じて、上述したその他添加剤を加える。次いで、上記ブロックポリイソシアネート組成物又はその水分散体を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶媒を更に添加して、粘度を調整する。次いで、攪拌機器により強制攪拌することによって、水系ベースの樹脂組成物(水系樹脂組成物)を得ることができる。
溶媒ベースの樹脂組成物を製造する場合には、まず、ポリオール又はその溶媒希釈物に、必要に応じて、上述したその他添加剤を加える。次いで、上記ブロックポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、溶媒を更に添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶媒ベースの樹脂組成物を得ることができる。
≪樹脂膜≫
本実施形態の樹脂膜は、上述した樹脂組成物を硬化させてなる。本実施形態の樹脂膜は、硬化性、硬度及び密着性が良好である。
本実施形態の樹脂膜は、上記樹脂組成物を、基材にロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の公知の方法を用いて塗装し、加熱して硬化させることで得られる。
加熱温度は、省エネルギー及び基材の耐熱性の観点から、約60℃以上約180℃以下が好ましく、約65℃以上約160℃以下がより好ましく、約70℃以上約150℃以下がさらに好ましい。
加熱時間は、省エネルギー及び基材の耐熱性の観点から、約1分間以上約60分間以下が好ましく、約2分間以上約40分間以下がより好ましい。
基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;バンパー等の自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部;各種フィルム等が挙げられ、中でも、自動車車体の外板部又は自動車部品が好ましい。
基材の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn-Al、Zn-Ni、Zn-Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類、各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材、紙、布等の繊維材料等が挙げられ、中でも、金属材料又はプラスチック材料が好ましい。
基材は、上記金属材料の表面、又は、上記金属材料から成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよく、さらに、その上に塗膜が形成されているものであってもよい。塗膜が形成された基材としては、必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜が形成されたもの、例えば、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体であってもよい。基材は、上記プラスチック材料の表面、又は、上記プラスチック材料から成形された自動車部品等のプラスチック表面に、所望による表面処理を行ったものであってもよい。また、基材は、プラスチック材料と金属材料とが組み合わさったものであってもよい。
本実施形態の樹脂膜は、後述する実施例に示すように、上記樹脂組成物を、ポリプロピレンからなる基材上に塗工し、140℃で30分間加熱して硬化させてなる、膜厚40μmの樹脂膜を、23℃で1週間保存後にアセトン中に23℃で24時間浸漬した際のゲル分率が80.0質量%以上であることが好ましく、85.0質量%以上であることがより好ましく、87.0質量%以上であることがさらに好ましく、90.0質量%以上であることが特に好ましい。ゲル分率が上記下限値以上であることで、硬化性をより良好なものとすることができる。一方、ゲル分率の上限値は特に限定されないが、例えば100質量%とすることができる。ゲル分率の具体的な測定方法は、例えば、後述する実施例に示す方法を用いることができる。
本実施形態の樹脂膜は、後述する実施例に示すように、上記樹脂組成物を、ガラスからなる基材上に塗工し、140℃で30分間加熱して硬化させてなる、膜厚40μmの樹脂膜を23℃で1週間保存後して測定された23℃におけるケーニッヒ硬度が80回以上であることが好ましく、90回以上であることがより好ましく、100回以上であることがさらに好ましく、105回以上であることが特に好ましい。ケーニッヒ硬度が上記上限値以下であることで、硬度をより良好なものとすることができる。一方、ケーニッヒ硬度の上限値は特に限定されないが、例えば160回とすることができる。ケーニッヒ硬度の具体的な測定方法は、例えば、後述する実施例に示す方法を用いることができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいて更に詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<試験項目>
合成例で製造されたポリイソシアネート及びブロックポリイソシアネート、並びに、実施例及び比較例で製造されたブロックポリイソシアネート組成物について、以下に示す方法に従い、各物性の測定及び各評価を行った。
[物性1]
(イソシアネート基含有率)
まず、フラスコに測定試料2g以上3g以下を精秤した(Wg)。次いで、トルエン20mLを添加し、測定試料を溶解した。次いで、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液20mLを添加し、混合後、15分間室温放置した。次いで、イソプロピルアルコール70mLを加え、混合した。次いで、この液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬に滴定した。得られた滴定値をV2mLとした。次いで、ポリイソシアネート試料無しで、得られた滴定値をV1mlとした。次いで、下記式からポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(NCO%)(質量%)を算出した。
イソシアネート基含有率(質量%) = (V1-V2)×F×42/(W×1000)×100
[物性2]
(数平均分子量及び重量平均分子量)
数平均分子量及び重量平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定によるポリスチレン基準の数平均分子量及び重量平均分子量である。
(測定条件)
装置:東ソー(株)製、HLC-802A
カラム:東ソー(株)製、G1000HXL×1本
G2000HXL×1本
G3000HXL×1本
キャリア:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
[物性3]
(平均イソシアネート官能基数)
ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数(平均NCO数)は、下記式により求めた。なお、式中、「Mn」は、数平均分子量を意味し、上記「物性2」において測定された値を用いた。「NCO%」は、上記「物性1」において算出された値を用いた。
平均イソシアネート官能基数 = (Mn×NCO%×0.01)/42
[物性4]
(ブロックポリイソシアネート組成物の固形分量)
ブロックポリイソシアネート組成物の固形分量は、次のように求めた。
まず、底直径38mmのアルミ皿を精秤した。次いで、アルミ皿上に実施例及び比較例で製造されたブロックポリイソシアネート組成物約1gを乗せた状態で精秤した(W1)。
次いで、ブロックポリイソシアネート組成物を均一厚さに調整した。次いで、アルミ皿に乗せた状態のブロックポリイソシアネート成分を105℃のオーブンで3時間保持した。次いで、アルミ皿が室温になった後、アルミ皿に残存したブロックポリイソシアネート組成物を精秤した(W2)。次いで、下記式からブロックポリイソシアネート成分の固形分量(質量%)を算出した。
「ブロックポリイソシアネート組成物の固形分量(質量%)」 = W2/W1×100
[物性5]
(有効イソシアネート基含有率)
ブロックポリイソシアネート組成物の有効イソシアネート基(NCO)含有率は、下記式により算出した。
有効NCO含有率[質量%]
={100×(ブロック化反応に使用したポリイソシアネートの固形分中のイソシアネート基の質量)}/(ブロック化反応後のブロックポリイソシアネートの固形分の質量)
<評価方法>
[評価1]
(水分散性)
実施例及び比較例で得られたブロックイソシアネート組成物を、水100質量部に対して3質量部添加した後、1分間攪拌し、その後5分間静置した。静置後に、沈殿物が生じているかどうかを目視で判断し、以下の評価基準に従い水分散性を評価した。
(評価基準)
〇:沈殿を生じていない
×:沈殿を生じている
[樹脂組成物の作製]
水系アクリルポリオール(Nuplex社製 Setaqua(登録商標)6515(商品名)、OH(on solids):3.3質量%、Acid value:9.9mgKOH/g、樹脂分45質量%)、及び、水系アクリルポリオール(Nuplex社製 Setaqua(登録商標)6522(商品名)、OH(on solids):2.4質量%、Acid value:48mgKOH/g、樹脂分42質量%)を水酸基のモル比で1:1になるように混合したものと、各ブロックポリイソシアネート組成物とを、水酸基のモル量に対するイソシアネート基のモル量の比(イソシアネート基/水酸基)が1.0となるように配合して、各樹脂組成物を得た。
[評価2]
(硬化性:ゲル分率)
各樹脂組成物を、ポリプロピレン(PP)からなる基材上に塗工し、乾燥膜厚が40μmになるよう塗装した後、140℃で30分間加熱して樹脂膜を得た。得られた樹脂膜を常温(23℃)で1週間保管した後、ゲル分率の測定を行なった。ゲル分率は、樹脂膜をアセトン中に23℃で24時間浸漬した際の未溶解部分質量を浸漬前質量で除した値の百分率(質量%)として求めた。なお、ゲル分率が80.0質量%以上であるものを硬化性が良好であると評価した。
[評価3]
(ケーニッヒ硬度)
各樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥膜厚40μmになるよう塗装した後、乾燥膜厚が40μmになるよう塗装した後、140℃で30分間加熱して樹脂膜を得た。得られた樹脂膜を常温(23℃)で1週間保管した後、ケーニッヒ硬度計でケーニッヒ硬度(回)を測定した。なお、ケーニッヒ硬度が80回以上であるものを硬度が良好であると評価した。
[評価4]
(密着性)
各樹脂組成物を、ガラス板上に乾燥膜厚40μmになるよう塗装した後、乾燥膜厚が40μmになるよう塗装した後、140℃で30分間加熱して樹脂膜を得た。得られた樹脂膜を常温(23℃)で1週間保管した後、40℃の温水に24時間浸漬し、取り出して、水を拭き取った。この樹脂膜の密着性をJIS K5600-5-6に準じて評価した。密着性の評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
○:ガラスから剥離しなかった。
×:ガラスから剥離したものがあった。
<ブロックポリイソシアネートの合成>
[合成例1]
(ブロックポリイソシアネートB-1の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.1gを加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は23.5質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.3であった。
得られたポリイソシアネートのイソシアネート基1モル当量に対して、メチルエチルケトオキシムの活性水素基が1.02モル当量となるように混合し、90℃で反応させた。赤外スペクトル(IRスペクトル)においてイソシアネート基由来のスペクトルの消失を確認した後、ブロックイソシアネートB-1を得た。ブロックイソシアネートB-1の重量平均分子量は、6.4×10であった。
[合成例2]
(ブロックポリイソシアネートB-2の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.09g、及びイソブタノール1.3gを同時に加えた。4.5時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は23.1質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.4であった。
得られたポリイソシアネートのイソシアネート基1モル当量に対して、メチルエチルケトオキシムの活性水素基が1.02モル当量となるように混合し、90℃で反応させた。赤外スペクトル(IRスペクトル)においてイソシアネート基由来のスペクトルの消失を確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて固形分濃度が70質量%となるように希釈し、ブロックイソシアネートB-2を得た。ブロックイソシアネートB-2の重量平均分子量は、6.9×10であった。
[合成例3]
(ブロックポリイソシアネートB-3の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてベンジルトリメチルアンモニウムカプリエート0.1gを加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は23.5質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.3であった。
得られたポリイソシアネートのイソシアネート基のモル量に対して、ノ二オン性親水性組成物である、メトキシポリエチレングリコール(日本乳化剤(株)製、商品名「MPG081」、エチレンオキサイド繰り返し単位数15.0個)を1モル%(ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、3.8質量部)となるように加えて、120℃で2時間撹拌した。次いで、ポリイソシアネートの残りのイソシアネート基1モル当量に対して、メチルエチルケトオキシムの活性水素基が1.02モル当量となるように混合し、90℃で反応させた。赤外スペクトル(IRスペクトル)においてイソシアネート基由来のスペクトルの消失を確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて固形分濃度が70質量%となるように希釈し、ブロックイソシアネートB-3を得た。ブロックイソシアネートB-3の重量平均分子量は、8.3×10であった。
[合成例4]
(ブロックポリイソシアネートB-4の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてベンジルトリメチルアンモニウムプロピオネート0.08g及び2エチルヘキサノール1.5gを加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は22.5質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.2であった。
得られたポリイソシアネートのイソシアネート基1モル当量に対して、メチルエチルケトオキシムの活性水素基が1.03モル当量となるように混合し、90℃で反応させた。赤外スペクトル(IRスペクトル)においてイソシアネート基由来のスペクトルの消失を確認した後、ブロックイソシアネートB-4を得た。ブロックイソシアネートB-4の重量平均分子量は、7.4×10であった。
[合成例5]
(ブロックポリイソシアネートB-5の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた4つ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI 1000gを仕込み、60℃で攪拌下、触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.09gを加えた。4時間後、反応液の屈折率測定により設定した反応終点を確認し、リン酸0.2gを添加して反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIモノマーを薄膜蒸留装置により除去することにより、ポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートのイソシアネート基含有率は23.4質量%であり、イソシアネート平均官能基数は3.3であった。
得られたポリイソシアネートのイソシアネート基1モル当量に対して、メチルエチルケトオキシムの活性水素基が1.02モル当量となるように混合し、90℃で反応させた。赤外スペクトル(IRスペクトル)においてイソシアネート基由来のスペクトルの消失を確認した後、ブロックイソシアネートB-5を得た。ブロックイソシアネートB-5の重量平均分子量は、6.7×10であった。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造>
[実施例1~11及び比較例1~3]
(ブロックポリイソシアネート組成物BP-a1~BP-a11及びBP-b1~BP-b3製造)
ブロックポリイソシアネート、ノニオン型界面活性剤、及び溶媒の種類及び配合量を表1~表3に示すとおりに混合して、各ブロックポリイソシアネート組成物を製造した。
各ブロックポリイソシアネート組成物の組成、物性及び評価結果を下記表1~表2に示す。
なお、表1~表2において、各ノニオン型界面活性剤は以下の化合物である。
(ノニオン型界面活性剤の種類)
N-1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値12.5)(花王(株)製、商品名「エマルゲン(登録商標) LS-106」)
N-2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値13.4)(花王(株)製、商品名「エマルゲン(登録商標) LS-110」)
N-3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値14.0)(花王(株)製、商品名「エマルゲン(登録商標) LS-114」)
N-4:ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル(HLB値14.6)(日本乳化剤(株)製、商品名「ニューコール(登録商標) 1008」)
N-5:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値16.4)(日本乳化剤(株)製、商品名「ニューコール(登録商標) ニューコール2320」)
N-6:ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル(HLB値17.4)(日本乳化剤(株)製、商品名「ニューコール(登録商標) 1020」)
N-7:ポリオキシエチレントリデシルエーテル(HLB値10.5)(日本乳化剤(株)製、商品名「ニューコール(登録商標) 1305」)
(溶媒の種類)
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(水への溶解度:100g/L以上)
Figure 2022162294000003
Figure 2022162294000004
Figure 2022162294000005
表1~表3から、HLB値が12.5以上14.6以下のノニオン型界面活性剤を配合したブロックポリイソシアネート組成物BP-a1~BP-a11(実施例1~11)では、水分散性、並びに、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び密着性の全てが良好であった。
一方で、HLB値が16.0超であるノニオン型界面活性剤を配合したブロックポリイソシアネート組成物BP-b1~BP-b2(比較例1~2)では、樹脂膜としたときの硬化性及び硬度は良好であったが実施例と比べると劣るものであり、水分散性、及び樹脂膜としたときの密着性が不良であった。
また、HLB値が11.5未満であるノニオン型界面活性剤を配合したブロックポリイソシアネート組成物BP-b3(比較例3)では、水分散性、並びに、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び密着性のいずれも不良であった。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物によれば、水分散性が良好であり、樹脂膜としたときの硬化性、硬度及び基材への密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物を提供することができる。

Claims (16)

  1. 脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートのイソシアネート基の少なくとも一部がブロック剤によりブロック化されたブロックポリイソシアネートと、
    少なくとも1種の、HLB値が11.5以上16.0以下であるノニオン型界面活性剤と、
    を含む、ブロックポリイソシアネート組成物。
  2. 前記ノニオン型界面活性剤の含有量が、前記ブロックポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、0.01質量部以上3.00質量部である、請求項1に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  3. 前記ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部が、前記ポリイソシアネートの固形分100質量部に対して、10.0質量部以下の親水性化合物によって変性されている、請求項1又は2に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  4. 前記ポリイソシアネートの平均イソシアネート官能基数が2.5以上6.0以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  5. 前記ブロックポリイソシアネート組成物の有効イソシアネート基含有率が、10.0質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  6. 前記ポリイソシアネートがヌレート構造を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  7. 前記ブロックポリイソシアネートの重量平均分子量Mwが500以上20000以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  8. 前記ブロック剤が、活性メチレン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、アミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、及び、トリアゾール系ブロック剤からなる群より選ばれる1種以上のブロック剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  9. 前記ブロック剤が、ピラゾール系ブロック剤、又はオキシム系ブロック剤である、請求項1~8のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  10. 前記ブロック剤が、3,5-ジメチルピラゾール、又はメチルエチルケトオキシムである、請求項1~9のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  11. 水への溶解度が10g/L以上である溶媒を更に含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  12. 前記溶媒がエーテル構造を有する溶媒である、請求項11に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、ポリオールと、を含む、樹脂組成物。
  14. 請求項13に記載の樹脂組成物を硬化させてなる、樹脂膜。
  15. 前記樹脂組成物を、ポリプロピレンからなる基材上に塗工し、140℃で30分間加熱して硬化させてなる、膜厚40μmの樹脂膜を、23℃で1週間保存後にアセトン中に23℃で24時間浸漬した際のゲル分率が80.0質量%以上である、請求項14に記載の樹脂膜。
  16. 前記樹脂組成物を、ガラスからなる基材上に塗工し、140℃で30分間加熱して硬化させてなる、膜厚40μmの樹脂膜を23℃で1週間保存後して測定された23℃におけるケーニッヒ硬度が80回以上である、請求項14又は15に記載の樹脂膜。
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