JP2022160377A - 下塗塗料とその製造方法および塗膜付き基材の製造方法 - Google Patents

下塗塗料とその製造方法および塗膜付き基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】作業者の熟練度に依存することなく、ローラー滑りを抑制して水性上塗塗料を均一に塗装でき、かつ、良好な塗膜外観が得られる、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料および塗膜付き基材の製造方法を提供する。【解決手段】水性樹脂と顔料を含み、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料であって、前記顔料が、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを含み、前記水性樹脂と前記顔料の合計体積に占める前記体質顔料Aの体積濃度が13%以上、前記体質顔料Bの体積濃度が17%以上、前記体質顔料Aおよび前記体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%であることを特徴とする下塗塗料とこれを用いた塗膜付き基材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、下塗塗料とその製造方法および塗膜付き基材の製造方法に関する。さらに詳しくは、作業者の熟練度に依存することなく、ローラーで水性上塗塗料を均一に塗装できるようにするための下塗塗料とその製造方法、および該下塗塗料を用いた塗膜付き基材の製造方法に関する。
構造物の外壁などの塗装には、スプレーガンやローラー等が使用される。スプレーガンを用いた塗装は、均一に、かつ効率的に塗装ができる一方、塗料の飛散、臭気等の問題がある。そのため、塗料の飛散、臭気等の問題が生じにくいローラーによる塗装を採用するケースが多くなってきている。
しかし、ローラーでの塗装は、ローラーが塗布面で滑りやすく、均一に塗装することが難しいという問題がある。特に有機溶剤を用いない水性塗料の場合にローラーの滑りが生じやすく、均一な塗装には作業者の熟練が必要となってくる。
ローラー塗装性を改善するため、特許文献1には、炭酸カルシウム粒状体を大量に配合することにより、特定の粘度範囲となるように調整した水系ライニング材が提案されている。
しかし、特許文献1のライニング材では、ローラー滑りは解消されず、改善の余地があった。
また、特許文献2には、平均粒径10~100メッシュの骨材を含む着色塗料を下地として塗装後、水系多彩塗料を配り塗りし、次いで当該塗料をコテ、ヘラ等の押え具で引き押える塗装方法が提案されている。
これにより、ローラー塗装の際にローラー滑りが起こりにくくなり、水系多彩塗料のゲル状粒子を均一に塗装することができ、また押え具で引き押さえることで、ゲル状粒子が引き延ばされ、多彩な外観を得ることが可能となるとされている。
しかしながら、特許文献2の塗装方法では、ローラーで配り塗り後、コテで引き押さえる必要があり、塗装工程が増え、また特殊な道具も必要となる。
特開2017-057348号公報 特開2006-326494号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、作業者の熟練度に依存することなく、ローラー滑りを抑制して水性上塗塗料を均一に塗装でき、かつ、良好な塗膜外観が得られる、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料とその製造方法および塗膜付き基材の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]水性樹脂と顔料を含み、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料であって、
前記顔料が、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを含み、
前記水性樹脂と前記顔料の合計体積に占める前記体質顔料Aの体積濃度が13%以上、前記体質顔料Bの体積濃度が17%以上、前記体質顔料Aおよび前記体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%であることを特徴とする下塗塗料。
[2]下記条件により測定した表面粗さRzが、35~140μmである、[1]に記載の下塗塗料。
<表面粗さRz測定条件>
前記下塗塗料をフロートガラス板上に、スプレーガンを用いて、乾燥前(wet)の単位面積当たりの質量として300g/m塗装した後、23℃、50%RH雰囲気下で14日間乾燥し、得られた塗膜のJISB 0601:1994に基づく十点平均粗さRzを、測定箇所を変えて10回測定した平均値を表面粗さRzとする。
[3]固形分濃度が30~90質量%である、[1]又は[2]に記載の下塗塗料。
[4]前記下塗塗料の総質量に占める前記水性樹脂と前記顔料の合計質量が、30~85質量%である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の下塗塗料。
[5]少なくとも水性樹脂と顔料とを混合して、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料の製造方法であって、
前記顔料として、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを、
前記水性樹脂と前記顔料の合計体積に占める前記体質顔料Aの体積濃度が13%以上、前記体質顔料Bの体積濃度が17%以上、前記体質顔料Aおよび前記体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%となるように配合することを特徴とする下塗塗料の製造方法。
[6]基材の上に、[1]~[4]のいずれか一項に記載の下塗塗料を塗装して下塗塗膜を形成した後、前記下塗塗膜の上に水性上塗塗料をローラーにより塗装して水性上塗塗膜を形成する塗膜付き基材の製造方法。
[7][5]に記載の下塗塗料の製造方法により下塗塗料を得、得られた下塗塗料を基材の上に塗装して下塗塗膜を形成した後、前記下塗塗膜の上に水性上塗塗料をローラーにより塗装して水性上塗塗膜を形成する塗膜付き基材の製造方法。
本発明の下塗塗料とその製造方法および塗膜付き基材の製造方法によれば、下塗塗料で得られた下塗塗膜の上に水性上塗塗料を塗装することで、作業者の熟練度に依存することなく、ローラー滑りを抑制して水性上塗塗料を均一に塗装できる。また、良好な塗膜外観が得られる。
塗膜付き基材の製造方法を説明する工程図である。
<下塗塗料>
下塗塗料は、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための塗料である。本発明の下塗塗料は水性樹脂と顔料を含む。
「水性樹脂」
水性樹脂は、水性媒体に溶解又は分散可能な樹脂である。水性樹脂としては、水性媒体に分散可能な樹脂(水分散性樹脂)が好ましい。水性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水性樹脂の種類に特に制限は無く、下塗塗膜に要求される性能に応じて適宜選択できる。水性樹脂としては、下塗塗膜の耐水性、耐アルカリ性が良好になるものが好ましい。
水性樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ベオバ(分岐脂肪酸ビニルエステル)、天然ゴム、合成ゴムや、これらの共重合体等が挙げられる。これらの水性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、耐水性、耐アルカリ性に優れる点で、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂等の合成樹脂が好ましい。
「顔料」
顔料は、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを含む。
なお、本発明において、体質顔料等の顔料の平均粒子径は、JIS Z8801-1に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行うことにより求めた値である。
体質顔料は、それ自体には着色力,隠蔽力がない顔料である。体質顔料は意匠材の役割を担っていてもよい。特に粒子径の大きい体質顔料は、意匠材としての機能を奏しやすい。
体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム、シリカ粉、タルク、クレー、マイカ、アルミナ、珪砂、珪藻土、骨材、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、マイクロカプセル、高炉スラグ、プラスチック、ゴム等が挙げられる。これらは着色されたものであってもよい。また、表面処理、中空処理、多孔質処理など加工処理されたものであってもよい。
体質顔料A、体質顔料Bとしては、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。体質顔料Aと体質顔料Bとは、同一の化合物であっても異なる化合物であってもよい。また、同一の化合物の組み合わせであっても、一部又は全部が異なる化合物の組み合わせであってもよい。
下塗塗料中に含まれる、体質顔料Aの平均粒子径は1~30μmである。より好ましくは1~25μmである。体質顔料Aの平均粒子径が前記範囲内であることにより、水性上塗塗料をローラー塗装した際に気泡が生じにくくなる。
下塗塗料中に含まれる、体質顔料Bの平均粒子径は73~300μm、より好ましくは85~250μmである。体質顔料Bの平均粒子径が73μm以上であることにより、水性上塗塗料をローラー塗装する際のローラー滑りが抑制され、均一な塗装が可能となる。体質顔料Bの平均粒子径が300μm以下であることにより、水性上塗塗料を塗装する際の塗り込み性が良好となる。
本発明の下塗塗料における顔料は、必要に応じて、体質顔料Aおよび体質顔料B以外のその他の顔料を含んでいてもよい。
その他の顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、チタンイエロー、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料、カーボンブラック顔料などの着色顔料、遮熱顔料等が挙げられる。
本発明の下塗塗料における顔料がその他の顔料を含む場合、その他の顔料の平均粒子径は10~800nmであることが好ましく、30~600nmであることがより好ましい。
その他の顔料としては、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
下塗塗料は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、水性樹脂、顔料以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
例えば、乳化剤、pH調整剤、消泡剤、粘性調整剤、造膜助剤、凍結抑止剤、分散剤、湿潤剤、浸透助剤、表面調整剤、防腐剤、防藻剤、防黴剤、抗菌剤、殺虫剤、忌避剤、防錆剤、難燃剤、艶消剤、ゲル化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、遮熱剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「各成分の体積濃度」
下塗塗料は、水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Aの体積濃度が13%以上であり、体質顔料Bの体積濃度が17%以上であり、体質顔料Aおよび体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%である。
各成分の体積濃度は、以下の式により求められる。
体質顔料Aの体積濃度[%]
=[体質顔料Aの合計体積]÷[水性樹脂と顔料の合計体積]×100 …(1)
体質顔料Bの体積濃度[%]
=[体質顔料Bの合計体積]÷[水性樹脂と顔料の合計体積]×100 …(2) 体質顔料Aと体質顔料Bを合わせた体積濃度[%]
=[(体質顔料Aの合計体積)+(体質顔料Bの合計体積)]
÷[水性樹脂と顔料の合計体積]×100 …(3)
上記式(1)、式(3)において、[体質顔料Aの合計体積](体積部)は、下塗塗料中の体質顔料Aの配合量(質量部)を当該体質顔料Aの比重で除することによって求められる。体質顔料Aに該当する複数種類の顔料を含む場合は、種類ごとに配合量(質量部)を比重で除し、それらの合計を求める。
上記式(2)、式(3)において、[体質顔料Bの合計体積](体積部)は、下塗塗料中の体質顔料Bの配合量(質量部)を当該体質顔料Bの比重で除することによって求められる。体質顔料Bに該当する複数種類の顔料を含む場合は、種類ごとに配合量(質量部)を比重で除し、それらの合計を求める。
上記式(1)、式(2)、式(3)において、[水性樹脂と顔料の合計体積](体積部)は、下塗塗料中の[水性樹脂の固形分体積]と下塗塗料中の[全顔量の合計体積]の合計である。
[全顔量の合計体積]は、[体質顔料Aの合計体積]、[体質顔料Bの合計体積]、及び[その他の顔料の合計体積]の総和である。
水性樹脂は、通常、水分散液又は水溶液等の態様で利用されるので、水性樹脂の固形分量(質量部)は、水性樹脂(水分散液又は水溶液等)の配合量(質量部)×固形分濃度(質量%)で求められる。
そして、水性樹脂の固形分量(質量部)を、当該水性樹脂の比重で除することによって水性樹脂の体積(体積部)が求められる。複数種類の水性樹脂を含む場合は、種類ごとに固形分量(質量部)を計算したものを比重で除し、それらの合計を求める。
[その他の顔料の合計体積](体積部)は、下塗塗料中のその他の顔料の配合量(質量部)を当該その他の顔料の比重で除することによって求められる。その他の顔料に該当する複数種類の顔料を含む場合は、種類ごとに配合量(質量部)を比重で除し、それらの合計を求める。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Aの体積濃度は13%以上であり、15%以上であることが好ましい。体質顔料Aの体積濃度が13%以上であることにより、水性上塗塗料をローラー塗装する際に気泡が生じにくくなる。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Aの体積濃度は45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。体質顔料Aの体積濃度が好ましい上限値以下であることにより、下塗塗料中の顔料の総量を、水性上塗塗料塗装後に耐水性等の塗膜物性を確保できる量に留めやすい。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Bの体積濃度は17%以上であり、20%以上であることが好ましい。体質顔料Bの体積濃度が17%以上であることにより、水性上塗塗料をローラー塗装する際にローラー滑りを抑制できる。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Bの体積濃度は55%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。体質顔料Bの体積濃度が好ましい上限値以下であることにより、下塗塗料中の顔料の総量を、水性上塗塗料塗装後に耐水性等の塗膜物性を確保できる量に留めやすい。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Aおよび体質顔料Bを合わせた体積濃度は30~80%であり、35~75%であることが好ましい。体質顔料Aおよび体質顔料Bを合わせた体積濃度が30%以上であることにより、体質顔料Aおよび体質顔料Bの各必要量を配合できる。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める顔料Bの体積濃度が80%以下であることにより、下塗塗料中の顔料の総量を、水性上塗塗料塗装後に耐水性等の塗膜物性を確保できる量に留められる。また、水性上塗塗料をローラー塗装後に、均一で良好な外観を得ることができる。
水性樹脂と顔料の合計体積に占めるその他の顔料の体積濃度は25%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。その他の顔料の体積濃度が好ましい上限値以下であることにより、本発明の効果を発揮しやすい。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める水性樹脂の体積濃度は15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。水性樹脂の体積濃度が好ましい下限値以上であることにより、水性上塗塗料塗装後に良好な耐水性等の塗膜物性を得やすい。
水性樹脂と顔料の合計体積に占める水性樹脂の体積濃度は65%以下であり、60%以下であることが好ましい。水性樹脂の体積濃度が65%以下であることにより、体質顔料Aおよび体質顔料Bの各必要量を配合できる。
「水性媒体」
下塗塗料は水性樹脂、顔料及びその他の任意成分を分散又は溶解する水性媒体を含む。
水性媒体は、水のみの媒体、又は水に水と相溶性のある溶剤を加えた媒体である。水性媒体における水の割合は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
水としては、イオン交換水、水道水等を使用できる。
水と相溶性のある溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。
下塗塗料の総質量に対する水性媒体の割合は、10~70質量%が好ましく、15~65質量%がより好ましい。
なお、下塗塗料における水性媒体は、水性樹脂やその他の任意成分の水分散液又は水溶液等に含まれる水性媒体を含む。
すなわち、下塗塗料の固形分濃度は、30~90質量%好ましく、35~85質量%がより好ましい。下塗塗料の固形分濃度が前記範囲であることにより、良好な塗装作業性および塗膜性能を得ることができる。
また、下塗塗料の総質量に占める水性樹脂と顔料の合計質量は、30~85質量%好ましく、30~80質量%がより好ましい。
下塗塗料の総質量に占める水性樹脂と顔料の合計質量が前記範囲であることにより、良好な塗装作業性および塗膜性能を得ることができる。
「表面粗さRz」
本発明の下塗塗料は、下記条件により測定した表面粗さRzが、35~140μmであることが好ましく、40~130μmであることがより好ましい。
<表面粗さRz測定条件>
下塗塗料をフロートガラス板上に、スプレーガンを用いて、乾燥前(wet)の単位面積当たりの質量として300g/m塗装した後、23℃、50%RH雰囲気下で14日間乾燥し、得られた塗膜のJISB 0601:1994に基づく十点平均粗さRzを、測定箇所を変えて10回測定した平均値を表面粗さRzとする。
ここで、表面粗さRzとは、JISB 0601:1994に基づく十点平均粗さであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
具体的には、表面粗さ測定器(SE3500、(株)小坂研究所製)を用い、測定箇所を変えて10回測定した平均値を用いる。測定条件は、以下のとおりである。
・送り速度:0.5mm/s
・測定倍率:2000
・カットオフλc:0.8mm
・評価長さ:カットオフ×5
上記表面粗さRzが好ましい下限値以上であることにより、水性上塗塗料を塗装する際、ローラーが滑らず均一に塗装することができる。また、上記表面粗さが好ましい上限値以下であることにより、水性上塗塗料を塗装する際、ローラーの巻き込み泡の発生を抑制することが可能となる。
表面粗さRzは、下塗塗料に含まれる顔料の組成により調整できる。具体的には、体質顔料Bの平均粒子径が大きいほど、表面粗さRzが大きくなる。また、体質顔料Bの配合量が大きいほど、表面粗さRzが大きくなりやすい。
<下塗塗料の製造方法>
本発明の下塗塗料の製造方法は、少なくとも水性樹脂と顔料とを混合して、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料の製造方法である。
本発明の下塗塗料の製造方法では、顔料として、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを配合する。
体質顔料Aおよび体質顔料Bは、水性樹脂と顔料の合計体積に占める体質顔料Aの体積濃度が13%以上、体質顔料Bの体積濃度が17%以上、体質顔料Aおよび体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%となるように配合する。
体質顔料Aおよび体質顔料Bの好ましい平均粒子径は、下塗塗料において説明したのと同様である。
体質顔料Aおよび体質顔料Bの好ましい配合量は、下塗塗料におけるこれらの好ましい体積濃度と同じである。
下塗塗料の具体的な製造方法に特に限定はなく、公知の方法を適宜採用できる。例えば、水性樹脂の水分散液又は水溶液と体質顔料Aと体質顔料Bと、必要に応じてその他の成分と配合水を混合・撹拌することにより、下塗塗料を製造することができる。
<水性上塗塗料>
水性上塗塗料は、水性上塗塗膜を形成するための塗料である。水性上塗塗料は、少なくとも水性樹脂と水性媒体を含む。
水性上塗塗料としては、顔料を含まない透明なクリヤー塗料、顔料を含み着色された水性エナメル塗料、2以上の液状またはゲル状の色と粒が懸濁した多彩模様塗料(水系多彩塗料)が挙げられる。
水性上塗塗料に用いる水性樹脂の種類としては、下塗塗料における水性樹脂と同様のものが挙げられる。これらの水性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、耐候性、耐水性に優れる点で、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂等の合成樹脂が好ましい。
水性上塗塗料に用いる水性媒体の種類としては、下塗塗料における水性媒体と同様のものが使用できる。
なお、水性上塗塗料における水性媒体は、水性樹脂やその他の任意成分の水分散液又は水溶液等に含まれる水性媒体を含む。
水性上塗塗料は、公知の添加剤を含んでいてもよい。公知の添加剤としては、下塗塗料における添加剤と同様のものが挙げられる。また、撥水剤、撥油剤、親水化剤等の表面調整剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「クリヤー塗料」
クリヤー塗料は、例えば、水性樹脂の水分散液又は水溶液等を、必要に応じてその他の成分と配合水と共に混合・撹拌することにより製造することができる。
「水性エナメル塗料」
水性エナメル塗料は、水性樹脂の水分散液又は水溶液等と着色顔料とを、必要に応じてその他の成分と配合水と共に混合・撹拌することにより製造することができる。
着色顔料の種類としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、キナクリドン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が使用できる。これらの着色顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水性エナメル塗料は、更に、体質顔料Aおよび体質顔料Bで示した成分を含んでもよい。また、着色顔料以外の意匠材、例えば、輝度顔料、骨材、艶消ビーズ、光輝材、着色樹脂チップ等を含んでいてもよい。
「多彩模様塗料」
多彩模様塗料は、水性媒体と、少なくとも1色の着色されたゲル状粒子とを含む。ゲル状粒子は、水性樹脂と、コロイド形成物質と、ゲル化剤とで形成される。ゲル状粒子は、水性上塗塗料が含むことができる公知の添加剤を含んでいてもよい。
多彩模様塗料のゲル状粒子を形成する水性樹脂は、クリヤー塗料や水性エナメル塗料に用いる水性樹脂と同様に、下塗塗料における水性樹脂と同様のものを使用できる。
多彩模様塗料のゲル状粒子を形成するコロイド形成物質は、ゲル化剤と反応してゲル化膜を形成可能なものであればよい。
コロイド形成物質としては、例えば、セルロース誘導体;ポリエチレンオキサイド;ポリビニルアルコール;カゼイン、デンプン、ガラクトマンナン、グアルゴム、ローカストビーンガム等の天然高分子等が挙げられる。これらのコロイド形成物質は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多彩模様塗料のゲル状粒子を形成するゲル化剤は、典型的には、水性樹脂及びコロイド形成物質を含む液滴の表面でコロイド形成物質と反応し架橋することで、三次元的網状組織を含むゲル化膜を形成する。形成するゲル化膜を撹拌粉砕して得られるゲル状粒子の平均粒子径は、0.1mm~5cmの範囲内であることが好ましい。
ゲル化剤としては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、タンニン酸、ホウ酸塩、アルミニウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
これらのゲル化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多彩模様塗料は、ゲル状粒子を形成する水性樹脂の他にも樹脂(バインダ樹脂)を含んでいてもよい。
多彩模様塗料のバインダ樹脂としては、水性樹脂が好まく、ゲル状粒子を構成する水性樹脂と同様のものが挙げられる。
バインダ樹脂とゲル状粒子における水性樹脂とは、形態及び種類が同じであることが好ましいが、種類が異なっていてもよい。
多彩模様塗料は、ゲル状粒子を形成するゲル化剤の他もゲル化剤を含んでいてもよい。
多彩模様塗料は、ゲル状粒子を形成するコロイド形成物質の他もコロイド形成物質を含んでもよい。
多彩模様塗料は、更に、体質顔料Aおよび体質顔料Bと同様の顔料を含んでもよい。また、着色顔料以外の意匠材、例えば、輝度顔料、骨材、艶消ビーズ、光輝材、着色樹脂チップ等を含んでいてもよい。
多彩模様塗料は、例えば以下の製造方法で製造できる。
まず、水性樹脂とコロイド形成物質の水溶液とを混合して混合液(d)を調製する。別途、水と、必要に応じて顔料、分散剤等の添加剤とを混合して混合液(e)を調製する。次いで、混合液(d)と混合液(e)とを混合して水性樹脂溶液(c)を調製する。
別途、ゲル化剤と水と、必要に応じてコロイド形成物質や添加剤とを混合して水溶液(f)を調製する。
次いで、水溶液(f)を分散機で撹拌しながら、水溶液(f)に水性樹脂溶液(c)を添加する。
水性樹脂溶液(c)を水溶液(f)中で撹拌すると、水性樹脂溶液(c)の液滴を形成し、この液滴に含まれるコロイド形成物質と、水溶液(f)に含まれるゲル化剤とが反応し、ゲル化膜を形成する。また、水性樹脂溶液(c)は、ゲル化剤との反応によって凝集しながら、撹拌により細分化される。細分化の過程においても、継続的にコロイド形成物質とゲル化剤とが反応し、ゲル化膜を形成する。これにより、水性樹脂溶液(c)の液滴がゲル化膜で被覆されたゲル状粒子が得られる。
水性上塗塗料は、得られたゲル状粒子分散液をそのまま水性上塗塗料としてもよいし、さらにバインダ樹脂を加えてもよい。
<塗膜付き基材の製造方法>
本発明の塗膜付き基材の製造方法は、基材の上に、本発明の下塗塗料又は本発明の下塗塗料の製造方法により得られた下塗塗料を塗装して下塗塗膜を形成した後、前記下塗塗膜の上に水性上塗塗料をローラーにより塗装して水性上塗塗膜を形成し、塗膜付き基材を得る方法である。
塗膜付き基材の製造方法の一実施形態について、図1を参照して詳述する。なお、図1における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
図1に示すように、本実施形態の製造方法では、まず、基材1の上に下塗塗料を塗装し、乾燥して下塗塗膜3を形成する(工程(a))。次いで、下塗塗膜3の上に水性上塗塗料を塗装し、乾燥して水性上塗塗膜5を形成する(工程(b))。
「基材」
基材1に特に制限はなく、例えば窯業系サイディングボード、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグバーライト板、木片セメント板、石綿セメント板、パルプセメント板、プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート(ALC)板、石膏ボード等の窯業建材板や、アルミニウム、鉄及びステンレス等の金属建材板等が挙げられる。
基材1の表面にシーラーやプライマー等による下地処理が施されていてもよい。
「工程(a)」
下塗塗料の塗装方法に特に制限はなく、刷毛、こて、ローラー、スプレーコーティング、ロールコーティング、フローコーティング等の公知の塗装方法で塗装することができる。
下塗塗料の塗布量は、乾燥前(wet)の単位面積当たりの質量として、50~1000g/mが好ましく、100~800g/mがより好ましい。塗布量を好ましい下限値以上とすることにより、耐水性等の塗膜性能を満たしやすい。塗布量を好ましい上限値以下とすることにより、塗装時や乾燥時における造膜不良や垂れによる不具合を回避しやすい。
下塗塗料は、被塗物、乾燥等の条件に応じ、複数回に分けて塗装しても良い。
乾燥は、水性媒体を除去できればよく、常温乾燥でも加熱乾燥でもよい。乾燥温度は、例えば5~90℃である。乾燥時間は、乾燥温度によっても異なるが、例えば5分間~48時間である。
「工程(b)」
水性上塗塗料の塗装には、例えば、刷毛、こて、ローラー、スプレーコーティング、ロールコーティング、フローコーティング等の公知の塗装方法で塗装することができる。本発明では、ローラーで塗装した場合、ローラー滑りを抑制でき、巻き込み泡も抑えられ、均一に塗装することができる。ローラーとしては、例えば、繊維質ローラー、多孔質(スポンジ質)ローラー等が挙げられる。
水性上塗塗料の塗布量は、乾燥前(wet)の単位面積当たりの質量として、100~1200g/mが好ましく、250~1000g/mがより好ましい。水性上塗塗料の塗布量を好ましい下限値以上とすることにより、耐候性や意匠性等の塗膜性能を満たしやすい。塗布量を好ましい上限値以下とすることにより、塗装時や乾燥時における造膜不良や垂れによる不具合を回避しやすい。
水性上塗塗料は、被塗物、乾燥等の条件に応じ、複数回に分けて塗装しても良い。
乾燥は、水性媒体を除去できればよく、常温乾燥でも加熱乾燥でもよい。乾燥温度は、例えば5~90℃である。乾燥時間は、乾燥温度によっても異なるが、例えば5分間~2週間である。
「下塗塗膜の60°光沢値」
工程(a)によって得られる下塗塗膜の60°光沢値は、特に制限はないが、その上方に塗装される水性上塗塗膜より低い方が好ましい。下塗塗膜の60°光沢値が水性上塗塗膜のそれを超えると、水性上塗塗料の少ない箇所で底艶が出てしまい、艶ムラになるおそれがある。
60°光沢値が15以下の水性上塗塗料を塗装する場合においては、下塗塗膜の60°光沢値は10以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。
60°光沢値は、光沢計(BYK社製、「micro-TRI-gloss」)により測定することができる。
下塗塗膜の60°光沢値は、塗料に含まれる樹脂、顔料、艶調整材の種類・粒子径・配合量を変えること等により調整できる。
<作用効果>
本発明者は、塗装工程を増やしたり特殊な道具を必要としたりせずに、ローラーで水性上塗塗料を均一に塗装できることを実現すべく、下塗塗料に平均粒子径が大きい体質顔料Bを配合して下塗塗膜に凹凸をつけることで、水性上塗塗料を塗装する際に、ローラー滑りを抑制することを検討した。
しかし平均粒子径が大きい体質顔料Bを下塗塗料に配合すると、ローラー塗装の際に、巻き込み泡が多く生じてしまう新たな問題が生じることが判明した。巻き込み泡(気泡)が多く発生すると、結果として水性上塗塗料乾燥後において、透けや気泡残りによる外観不良になったり、塗膜性能が十分に発揮されなくなったりする恐れがある。
そこで、下塗塗料に、平均粒子径が小さい体質顔料Aをさらに配合したところ、ローラー滑りを抑制する効果を発揮しながら、巻き込み泡の発生も抑制できることを見出した。
さらに、体質顔料Aと体質顔料Bの適切な配合量について検討し、下塗塗膜の表面を適切な表面粗さとして、上塗塗料のローラー作業性を改善しながら気泡の発生を抑制し、水性上塗塗料を均一に塗装することを可能とした。
本発明は、特に水性上塗塗料が多彩模様塗料である場合に有用である。多彩模様塗料は、ローラーで塗装する際、着色されたゲル状粒子を均一に壁面に塗装する必要があるため、水性エナメル塗料やクリヤー塗料よりもローラーで塗装することが更に難しい。しかし本発明の下塗塗料を用いれば、体質顔料Aおよび体質顔料Bから形成される下塗塗膜の凹凸により、着色粒子が下塗塗膜に引っ掛かりやすくなる。そのため、転写性が向上し、ローラー塗装でも多彩模様塗料を均一に塗装することが可能となった。また、副次効果として、多彩模様塗料を垂直面に塗装した場合、ゲル状粒子の自重による垂れも改善された。よって、本発明の下塗塗料および塗膜付き基材の製造方法は、水性上塗塗料が多彩模様塗料である場合に、特に効果的である。
なお、本発明の下塗塗料および塗膜付き基材の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。前記した実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
<下塗塗料の製造>
表1、表2、表3に示す配合にて、各原料を常法により混合・攪拌することによって、各実施例比較例の下塗塗料を製造した。原料としては下記のものを使用した。
「水性樹脂」
DIC社製「ボンコート 5400EF」、アクリル樹脂エマルション、固形分55%、固形分比重1.04g/cm
「顔料A」
・A-1:炭酸カルシウム、日東粉化工業社製「NS#2300」、平均粒子径1μm、比重2.7。
・A-25:重質炭酸カルシウム、旭鉱末社製「MC-35」、平均粒子径25μm、比重2.7。
・A-30:ソーダ石灰ガラス、ユニチカ社製「SPL-30」、平均粒子径30μm、比重2.5。
・A-36:珪砂を粉砕したシリカパウダー、丸東社製「#200」、平均粒子径36μm、比重2.6。
「顔料B」
・B-65:炭酸カルシウム、三共精粉社製「G-100」、平均粒子径65μm、比重2.7。
・B-73:水酸化アルミニウム、昭和電工社製「ハイジライトH-100-ME」、平均粒子径73μm、比重2.4。
・B-85:珪砂、竹折砿業所社製「珪砂8号」、平均粒子径85μm、比重2.6。
・B-100:ソーダ石灰ガラス、ユニチカ社製「SPL-100」、平均粒子径100μm、比重2.5。
・B-250:珪砂、竹折砿業所社製「珪砂6号」、平均粒子径250μm、比重2.6。
・B-300:ソーダ石灰ガラス、ユニチカ社製「SPL-300」、平均粒子径300μm、比重2.5。
・B-400:ソーダ石灰ガラス、ユニチカ社製「SPL-400」、平均粒子径400μm、比重2.5。
「他の成分」
・分散剤:アニオン性高分子分散剤、ダウ・ケミカル社製「オロタン731A」、固形分25%。
・造膜助剤:EASTMAN CHEMICAL社製「テキサノール」。
・消泡剤:サンノプコ社製「SNデフォーマー1316」、固形分100%。
・酸化チタン:テイカ社製「JR-806」、平均粒子径0.25μm、比重4.0。
・HEC:ヒドロキシエチルセルロース、ダウ・ケミカル社製「QP52000H」。
・粘性調整剤:アルケマ社製「Coapur6050」。
<水性上塗塗料の製造>
「白色ゲル状粒子分散液」
水性樹脂162部、親水性コロイド形成物質(4%水溶液)110部を混合して混合液(d)を得た。また別途、水108部、顔料55部、分散剤5部を混合して混合液(e)を得た。次いで、混合液(d)と混合液(e)とを混合してエマルション溶液(c)を得た。
別途、ゲル化剤(5%水溶液)30部、水250部、体質顔料(4%水中分散液)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(1%水溶液)を混合して水溶液(f)を得た。
次いで、水溶液(f)をディゾルバ(株式会社日本精機製作所製、回転数1000rpm)で撹拌しながら、エマルション溶液(c)を加えた。撹拌により細分化されたエマルション溶液(c)の平均粒子径が1cm程度になるまで撹拌し、白色ゲル状粒子の分散液(ゲル粒子の含有量:分散液の総質量に対して44%)を得た。
原料としては下記のものを使用した。
・水性樹脂:アクリル樹脂エマルション、ダウ・ケミカル社製「プライマルAC38」、固形分50%。
・親水性コロイド形成物質:非イオン性グアルゴム誘導体の4%水溶液、デュポン社製「MEYPRO HPG 8111」。
・顔料:酸化チタン、テイカ株式会社製「JR-806」、平均粒子径0.25μm、比重4.0。
・分散剤:アニオン性高分子分散剤、ダウ・ケミカル社製「オロタン731A」。
・ゲル化剤:重ホウ酸アンモニウムの5%水溶液、米山化学工業社製。
・体質顔料:含水ケイ酸マグネシウムの5%水分散液、日本タルク社製「タルクSSS」、平均粒子径12μm。
・ナトリウムカルボキシメチルセルロース:ダイセル化学工業社製「CMC-1170」。
・増粘剤:サンノプコ社製「SNシックナー618」、有効成分12%。
「黄色ゲル状粒子分散液」
白色ゲル状粒子分散液の作製において使用した顔料を「ダイピロキサイドTMイエロー8170」(FeOOH、大日精化工業社製、平均粒子径70nm)としたこと以外は同様に行い、黄色ゲル状粒子の分散液を得た。
「赤色ゲル状粒子分散液」
白色ゲル状粒子分散液の作製において使用した顔料を「ダイピロキサイドTMレッド8270」(Fe、大日精化工業社製、平均粒子径70nm)としたこと以外は同様に行い、赤色ゲル状粒子の分散液を得た。
上記で得られた白色ゲル状粒子の分散液286部、黄色ゲル状粒子の分散液286部、赤色ゲル状粒子の分散液286部、水性樹脂119部、増粘剤5部、25%アンモニア水1部、水16部を混合して水性上塗塗料を得た。
<塗膜付き基材の製造>
予め「エフシーコートカチオンシーラー」(藤倉化成株式会社製、アクリルエマルション系カチオン系水性シーラー)を塗布量が100g/m(wet)となるようローラーで塗装したスレート板(900×900×3mm)に、各例の下塗塗料を、塗布量が300g/m(wet)となるようにウールローラー(毛丈20mm)で塗装し、気温23℃、相対湿度50%の条件下で24時間乾燥させた。これにより、スレート板の上に下塗塗膜が形成された塗装板を得た。
次いで、塗装板を床面に対して垂直になるように設置し、水性上塗塗料を塗布量が400g/m(wet)となるように砂骨ローラー(細目)で塗装し,各例の塗膜付き基材を得た。
<評価>
「水性上塗塗料のローラー作業性」
各例の塗膜付き基材の製造において、水性上塗塗料の塗装時に、下記基準によりローラー作業性を評価した。結果を表1、表2、表3に示す。
評価基準:
A:塗装時にローラー滑りが無い。
B:塗装時に少しローラー滑りが生じる。
C:塗装時に何度もローラー滑りが生じる。
「水性上塗塗膜の外観(気泡性)」
各例の塗膜付き基材の水性上塗塗膜の外観を、水性上塗塗料を塗装した直後、および、塗膜乾燥後に目視で観察し、下記基準により気泡性を評価した。結果を表1、表2、表3に示す。
評価基準:
A:目立った気泡は認められない。
B:目立った気泡が一部認められたが、塗膜乾燥後に気泡痕は認められない。
C:目立った気泡が多く認められ、塗膜乾燥後にも気泡痕が認められる。
「水性上塗塗料の塗り込み性」
各例の塗膜付き基材の製造において、水性上塗塗料の塗装時に、下記基準により水性上塗塗料の塗り込み性を評価した。結果を表1、表2、表3に示す。
評価基準:
A:塗り漏れは認められない。
B:一部に塗り漏れが認められる。
C:塗り漏れが多く認められる。
Figure 2022160377000001
Figure 2022160377000002
Figure 2022160377000003
「耐水性」
顔料Aと顔料Bの合計体積濃度が高い、実施例9、実施例10、比較例7について、耐水性試験を行った。
予め「エフシーコートカチオンシーラー」(藤倉化成社製、アクリルエマルション系カチオン系水性シーラー)を塗布量が100g/m(wet)となるようローラーで塗装したスレート板(300×15×3mm)に、調製した実施例9、実施例10、比較例7の下塗塗料を、それぞれ塗布量が300g/m(wet)となるようにウールローラー(毛丈20mm)で塗装し、気温23℃、相対湿度50%の条件下で24時間乾燥させた。
次いで、形成された下塗塗膜の上に、水性上塗塗料を塗布量が400g/m(wet)となるように砂骨ローラー(細目)で塗装し、気温23℃、相対湿度50%の条件下で14日間乾燥させた。これにより、スレート板の上に下塗塗膜及び塗膜が順次形成された試験体を得た。
得られた試験体を23℃の水に14日間浸漬し、引き上げた後、塗膜外観を目視で観察し、下記基準により耐水性を評価した。評価結果を表4に示す。
評価基準:
A:塗膜のフクレは認められず、艶引けもなく良好。
B:塗膜のフクレは認められないが、部分的な艶引けが認められる。
C:塗膜のフクレが認められる。
Figure 2022160377000004
表1、表2に示す様に、いずれの実施例においても、良好なローラー作業性と塗膜外観が得られた。これに対して、表3に示す様に、体質顔料Bに該当しない平均粒径の小さい顔料Bを配合した比較例1と体質顔料Bの配合量が不足している比較例5、6は、ローラー作業性に劣っていた。また、体質顔料Bに該当しない平均粒径の大きい顔料Bを配合した比較例2は、塗り込み性に劣っていた。また、体質顔料Aに該当しない平均粒径の大きい顔料Aを配合した比較例3と体質顔料Aの配合量が不足している比較例4、6は、塗膜外観(気泡性)に劣っていた。
一方、顔料Aと顔料Bの合計体積濃度が高い比較例7は、良好なローラー作業性と塗膜外観は得られたものの、耐水性に劣っていた。
1…基材、3…下塗塗膜、5…水性上塗塗膜

Claims (7)

  1. 水性樹脂と顔料を含み、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料であって、
    前記顔料が、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを含み、
    前記水性樹脂と前記顔料の合計体積に占める前記体質顔料Aの体積濃度が13%以上、前記体質顔料Bの体積濃度が17%以上、前記体質顔料Aおよび前記体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%であることを特徴とする下塗塗料。
  2. 下記条件により測定した表面粗さRzが、35~140μmである、請求項1に記載の下塗塗料。
    <表面粗さRz測定条件>
    前記下塗塗料をフロートガラス板上に、スプレーガンを用いて、乾燥前(wet)の単位面積当たりの質量として300g/m塗装した後、23℃、50%RH雰囲気下で14日間乾燥し、得られた塗膜のJISB 0601:1994に基づく十点平均粗さRzを、測定箇所を変えて10回測定した平均値を表面粗さRzとする。
  3. 固形分濃度が30~90質量%である、請求項1又は2に記載の下塗塗料。
  4. 前記下塗塗料の総質量に占める前記水性樹脂と前記顔料の合計質量が、30~85質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の下塗塗料。
  5. 少なくとも水性樹脂と顔料とを混合して、水性上塗塗膜の下方に接する下塗塗膜を形成するための下塗塗料の製造方法であって、
    前記顔料として、平均粒子径が1~30μmの体質顔料A、および平均粒子径が73~300μmの体質顔料Bを、
    前記水性樹脂と前記顔料の合計体積に占める前記体質顔料Aの体積濃度が13%以上、前記体質顔料Bの体積濃度が17%以上、前記体質顔料Aおよび前記体質顔料Bを合わせた体積濃度が30~80%となるように配合することを特徴とする下塗塗料の製造方法。
  6. 基材の上に、請求項1~4のいずれか一項に記載の下塗塗料を塗装して下塗塗膜を形成した後、前記下塗塗膜の上に水性上塗塗料をローラーにより塗装して水性上塗塗膜を形成する塗膜付き基材の製造方法。
  7. 請求項5に記載の下塗塗料の製造方法により下塗塗料を得、得られた下塗塗料を基材の上に塗装して下塗塗膜を形成した後、前記下塗塗膜の上に水性上塗塗料をローラーにより塗装して水性上塗塗膜を形成する塗膜付き基材の製造方法。
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