JP5072685B2 - 塗装体及びその形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な塗装体及びその形成方法に関するものである。
従来、建築物の壁面等においては、その美観性を高める手段として、壁面に直接塗装を行ったり、あるいは予め塗装を施した壁装材を壁面に貼り付ける等の方法が採用されている。このような方法では、所望の色彩を選定することが可能であり、さらに表面凹凸模様を設けることで多種多様な美観性を表出することができる。
このような凹凸模様を付与する方法として、例えば、特許文献1には、接着剤を用いて凹凸模様形成用下地壁紙を壁面に貼着し、接着剤が乾燥した後、当該壁紙の表面に塗料を塗装する方法が記載されている。特許文献2には、基材に塗料を塗装した後、塗膜表面が半乾き状態中に、その表面に刷毛状凹凸模様を付与して乾燥させる方法が記載されている。特許文献3には、合成樹脂エマルション系塗料を基材に塗装した後、塗膜をゲル化させ、ゲル化直後に表面に模様を付与した後、乾燥させる方法が記載されている。また、特許文献4には、基材の上に、水性エマルション樹脂を塗工して水性エマルション樹脂層を形成し、さらにエンボス加工等を施す方法が記載されている。
上記特許文献の方法によれば、種々の凹凸模様を付与することができる。しかしながら、このような凹凸模様では、その表面に一旦汚れが付着すると取れにくく、簡単には除去できない場合がある。特に、凹凸模様の凹部には汚れが溜まりやすい傾向がある。このような汚れは、美観性を損うものであるが、上記特許文献では汚れの付着・除去については殆ど考慮されていない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、凹凸模様を有する塗装体において、汚れがつきにくく、また汚れがついた場合でも容易に除去できるようにすることを目的とするものである。
特開平2−167953号公報 特開平6−173411号公報 特開平6−285422号公報 特開平8−332443号公報
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、凹凸模様を有する下地に対し、特定の被覆材による塗膜を形成させることに想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1. 凹凸模様を有する塗装体であって、少なくともその表面に、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分とするアクリル樹脂、及びシロキサン化合物を主単量体成分とするシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)を必須成分とし、当該粉粒体(B)の顔料容積濃度が10〜90%であり、
前記合成樹脂エマルション(A)は、前記アクリル樹脂、及び前記シリコーン樹脂が混在する外層と、前記アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルションである被覆材
による塗膜が形成されていることを特徴とする塗装体。
2.凹凸模様を有する下地に対し、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分とするアクリル樹脂、及びシロキサン化合物を主単量体成分とするシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)を必須成分とし、当該粉粒体(B)の顔料容積濃度が10〜90%であり、
前記合成樹脂エマルション(A)は、前記アクリル樹脂、及び前記シリコーン樹脂が混在する外層と、前記アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルションである被覆材を、
前記凹凸模様が保持されるように塗付することを特徴とする塗装体の形成方法。
3.下地に対し、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分とするアクリル樹脂、及びシロキサン化合物を主単量体成分とするシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)を必須成分とし、当該粉粒体(B)の顔料容積濃度が10〜90%であり、
前記合成樹脂エマルション(A)は、前記アクリル樹脂、及び前記シリコーン樹脂が混在する外層と、前記アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルションである被覆材を塗付し、
当該被覆材の塗膜表面に凹凸模様を付与することを特徴とする塗装体の形成方法。
本発明によれば、凹凸模様を有する塗装体において、その表面への汚れの付着を抑制することができる。また、汚れが付着した場合であっても容易に除去することができる。よって、本発明では初期の美観性を長期にわたり維持することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
[被覆材]
まず、本発明で用いる被覆材について説明する。
本発明の被覆材における合成樹脂エマルション(A)(以下「(A)成分」という)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及びシロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂がエマルション粒子内に混在するものである。(A)成分におけるアクリル樹脂とシリコーン樹脂の形態は特に限定されず、均一に混ざり合った形態であってもよいが、海島構造等により相互に分離した形態が好適である。
(A)成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分(アクリル樹脂を構成する全モノマーに対し30重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上)とするアクリル樹脂である。また、(A)成分におけるシロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂は、シロキサン化合物を主単量体成分(シリコーン樹脂を構成する全モノマーに対し50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上)とするシリコーン樹脂である。
(A)成分におけるアクリル樹脂とシリコーン樹脂の重量比率は、通常99:1〜30:70、好ましくは97:3〜40:60、より好ましくは95:5〜50:50である。このような比率で両成分が混在することにより、汚染防止性、撥水性、造膜性、ひび割れ防止性等に優れた被覆材を得ることができる。
(A)成分を構成するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合体であり、必要に応じその他のモノマーを共重合したものである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、通常30重量%以上、好ましくは40〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.5重量%、さらに好ましくは70〜99.5重量%である。
その他のモノマーとしては、例えばカルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、水酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー等が挙げられる。これらモノマーの使用量は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、通常0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは0.5〜30重量%である。
このうち、カルボキシル基含有モノマーを共重合して、カルボキシル基含有アクリル樹脂とした場合には、(A)成分の安定性を高めることができ、さらにカルボキシル基と反応可能な化合物を別途添加することにより、塗膜の諸物性向上を図ることができる。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。このうち、特にアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる1種以上が好適である。カルボキシル基含有モノマーの使用量は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
(A)成分におけるシリコーン樹脂は、シロキサン化合物を重合して得られるものである。シロキサン化合物としては、例えば一般式RSiO(4−n)/2(式中Rは炭化水素基、n=0〜3)で表される構造単位を有するものが挙げられる。このような化合物としては、直鎖状シロキサン化合物、分岐状シロキサン化合物、環状シロキサン化合物等が挙げられ、このうち環状シロキサン化合物が好適である。環状シロキサン化合物としては、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。このような環状シロキサン化合物を重合する際には、直鎖状シロキサン化合物、分岐状シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物等を用いることもでき、重合用の触媒を適宜用いることもできる。このうち、アルコキシシラン化合物としては、分子中に1個以上のアルコキシル基を有するシラン化合物が使用でき、例えばテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の他、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が使用できる。環状シロキサン化合物を重合する際、このようなアルコキシシラン化合物を併用することにより、シリコーン樹脂とアクリル樹脂を化学的に結合させることが可能となり、耐水性等の塗膜物性向上の点で有利である。シリコーン樹脂の平均分子量は、通常10000以上、好ましくは50000以上である。
本発明における(A)成分としては、特に、上述の如きアクリル樹脂とシリコーン樹脂が混在する合成樹脂エマルションであって、少なくとも前記エマルション粒子表層には前記シリコーン樹脂が存在するものが好ましい。このような(A)成分としては、シリコーン樹脂を含む外層と、アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルション、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂が混在する外層と、アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルション等が挙げられる。このような合成樹脂エマルションを使用すれば、汚染防止性能、撥水性能等において一層顕著な効果を得ることができる。
さらに(A)成分としては、上述の如きアクリル樹脂とシリコーン樹脂が混在する合成樹脂エマルションであって、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂が混在する外層と、アクリル樹脂を含む内層を有し、外層におけるアクリル樹脂のガラス転移温度よりも内層におけるアクリル樹脂のガラス転移温度が低く設定された多層構造型合成樹脂エマルション(A−1)(以下「(A−1)成分」という)が好適である。このような合成樹脂エマルションを使用すれば、汚染防止性能、撥水性能等において一層顕著な効果を得ることができ、さらにひび割れ防止性等の塗膜性能を高めることもできる。外層と内層の重量比率は、通常80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70である。
このような(A−1)成分は、例えば、内層を構成するアクリル樹脂を乳化重合により合成した後、外層を構成するアクリル樹脂及びシリコーン樹脂を乳化重合により合成する方法等によって得ることができる。(A−1)成分においては、内層を構成する樹脂として上述の如きシリコーン樹脂が含まれていてもよい。内層にシリコーン樹脂が含まれることにより、ひび割れ防止性等を高めることができる。
ここで、内層を構成するアクリル樹脂のガラス転移温度(以下「Tg」という)は、通常−60〜20℃(好ましくは−50〜10℃)に設定すればよい。外層を構成するアクリル樹脂のTgは、通常20〜100℃(好ましくは30〜90℃)である。各層のアクリル樹脂のTgがこのような範囲内であれば、上述の如き効果を安定して得ることができる。なお、本発明におけるTgは、Foxの計算式により求められる値である。
本発明では、(A)成分にカルボキシル基含有アクリル樹脂が含まれる場合、カルボキシル基と反応可能な化合物を別途配合することにより、汚染防止性、膨れ防止性、剥れ防止性、耐洗浄性等の効果を高めることができる。さらに、塗膜表面の粘着性を抑えることもできる。このような化合物としては、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基等から選ばれる1種以上の官能基を有する化合物が挙げられる。このうち、本発明では特にエポキシ基を有する反応性化合物が好適である。
エポキシ基を有する反応性化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。この他、エポキシ基含有モノマーの重合体(ホモポリマーまたはコポリマー)からなる水溶性樹脂やエマルションを使用することもできる。このような化合物の混合量は、通常(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部である。
本発明の被覆材では、上記(A)成分を結合材として使用するが、(A)成分以外の結合材を(A)成分と併用することもできる。このような結合材としては、例えば、(A)成分以外の合成樹脂エマルションや、各種水溶性樹脂等を使用することができる。これらは架橋反応性を有するものであってもよい。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。本発明では、(A)成分と、それ以外の結合材を併用することにより、経時的な撥水性能の向上等の効果を得ることもできる。(A)成分と、それ以外の結合材との混合比率は、固形分換算で通常95:5〜20:80(好ましくは90:10〜30:70)程度とすればよい。
(A)成分以外の結合材として、架橋反応型合成樹脂エマルションを使用した場合は、さらに汚染防止性、耐水性等の物性を高めることもできる。このような架橋反応型合成樹脂エマルションにおける架橋反応としては、例えば水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、カルボキシル基と金属イオン、エポキシ基とアミノ基、エポキシ基とカルボキシル基、エポキシ基とヒドラジド基、カルボキシル基とカルボジイミド、カルボキシル基とオキサゾリン、アルコキシシリル基どうし等の組合せが挙げられる。架橋反応型エマルションとしては、ここに例示したような架橋反応をエマルション粒子内で生じるものであってもよいし、エマルション粒子と架橋剤との間で架橋反応を生じるものであってもよい。架橋反応型合成樹脂エマルションを使用する場合、(A)成分と架橋反応型合成樹脂エマルションの混合比率は、固形分換算で通常95:5〜20:80(好ましくは90:10〜30:70)程度とすることが望ましい。本発明では、上述のカルボキシル基と反応可能な化合物と、このような架橋反応型合成樹脂エマルションを併用することもできる。
本発明の被覆材では上述の(A)成分に加え、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)(以下「(B)成分」という)を必須成分とし、この(B)成分を顔料容積濃度が10〜90%となる範囲内で配合する。本発明では、このように(B)成分を配合することで、形成塗膜の表面に微細な凹凸構造が付与され、塗膜に水滴が接触した際の接触面積を小さくすることができるため、優れた汚染防止効果、撥水効果等が得られる。
(B)成分における好適な平均粒子径の範囲は1〜200μm(より好ましくは2〜100μm、さらに好ましくは3〜80μm)である。(B)成分の平均粒子径が上記範囲外である場合は、汚染防止性能、撥水性能等において十分な効果が得られ難くなる。具体的に、(B)成分の平均粒子径が大きすぎる場合は、塗膜表面が粗くなりすぎ、水等が塗膜中に浸入するおそれがある。平均粒子径が小さすぎる場合は、撥水性向上に寄与する微細な凹凸構造を形成することが困難となる。なお、(B)成分の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡の観察によるものであり、各粒子の円相当径を直径としたときの粒子径分布(個数基準)を求めることによって得られる値である。
(B)成分の吸油量は60ml/100g以下であり、好ましくは40ml/100g以下、より好ましくは20ml/100g以下である。(B)成分の吸油量が上記範囲を超える場合は、(B)成分を分散させるために多量の分散剤が必要となり、撥水効果が阻害されてしまうこととなる。なお、吸油量(ml/100g)とは、JIS K 5101−13−2:2004に規定されている方法によって求められる値であり、粉粒体100gに対する煮アマニ油のmlで表されるものである。
本発明における(B)成分としては、上記物性を満たす限り、その材質は特に限定されず各種粉粒体を使用することができる。例えば、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、タルク、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられる。この他、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、石灰石、珪石、珪砂、砕石、雲母、珪質頁岩、及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、樹脂粉砕物、ゴム粒、プラスチック片、金属粒等や、これらの表面を着色コーティングしたもの等も使用できる。本発明では(B)成分として、平均粒子径等が異なる2種以上の粉粒体を併用することもできる。本発明では特に、(B)成分としてシリカ粉が含まれることが好ましい。(B)成分におけるシリカ粉の含有量は30体積%以上とすることができ、40体積%以上80体積%未満とすることが好ましく、50体積%以上70体積%未満とすることがより好ましい。
また、(B)成分は球状のものでないことが好ましく、粒状のもの、角状のもの、針状のもの、不規則形のもの、リン片状のもの等の非球状体を含むことが好ましい。本発明では、(B)成分として少なくともリン片状のものを含むことが望ましい。リン片状のものの具体例としては、例えば、タルク、マイカ、クレー等が挙が挙げられる。(B)成分における前記リン片状のものの含有量は10体積%以上とすることができ、20体積%以上60体積%未満とすることが好ましく、30体積%以上50体積%未満とすることがより好ましい。
本発明ではこのような(B)成分を用いることにより、汚染防止性等をいっそう高めることができる。
本発明の被覆材における(B)成分は、その顔料容積濃度が10〜90%(好ましくは20〜70%、より好ましくは25〜55%)となる範囲内で混合する。(B)成分の顔料容積濃度が小さすぎる場合は、十分な汚染防止効果、撥水効果等が得られ難くなり、安定した塗装性が得られ難くなるおそれもある。(B)成分の顔料容積濃度が大きすぎる場合は、塗膜にひび割れが発生しやすくなり、汚染防止性、防水性等の物性が不十分となるおそれもある。なお、本発明における(B)成分の顔料容積濃度は、乾燥塗膜中に含まれる(B)成分の容積百分率であり、被覆材を構成する結合材及び(B)成分の配合量から計算により求められる値である。
本発明では、上述の成分による汚染防止効果、撥水効果等が著しく損なわれない範囲内であれば、上記(B)成分以外の粉粒体成分、例えば無機系着色顔料、有機系着色顔料等を混合することもできる。このような着色顔料を混合することで、被覆材を所望の色相に調色することができ、形成塗膜の汚染防止性能、撥水性能等を高めることもできる。着色顔料の平均粒子径は、通常0.5μm未満(好ましくは0.4μm以下)である。
本発明において、被覆材全体の顔料容積濃度は40〜90%(好ましくは45〜70%、より好ましくは45〜60%)に設定することが望ましい。被覆材全体の顔料容積濃度をこのような範囲内に設定することにより、本発明の効果を安定して得ることができる。なお、被覆材全体の顔料容積濃度は、乾燥塗膜中に含まれる粉粒体全体の容積百分率であり、被覆材を構成する結合材及び粉粒体の配合量から計算により求められる値である。
この他、被覆材においては、本発明の効果を著しく損なわない限り、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、骨材、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等を混合することもできる。本発明の被覆材は、以上のような成分を常法により均一に混合することで製造することができる。
[塗装体]
本発明の塗装体は、凹凸模様を有するものであり、少なくともその表面に上記被覆材による塗膜を有するものである。このような塗装体は、主に、建築物の壁面等に適用できるものである。
本発明の塗装体における凹凸模様とは、概ね0.2〜5mm程度の高低差を有する表面模様のことである。このような凹凸模様としては、例えば砂壁状、ゆず肌状、繊維壁状、さざ波状、スタッコ状、凹凸状、月面状、櫛引状、虫喰状、格子状、縞状等の各種模様のほか、動植物、器物、文字等をデザイン化した図形模様や幾何学模様等が挙げられる。
塗装体の下地としては、建築物等に適用可能な各種基材が使用でき、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。また、織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、ガラスクロス、メッシュ、壁紙等の基材を下地に用いることもできるし、複数種の基材を組み合わせて使用することもできる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたもの等であってもよい。
本発明の塗装体は、例えば、建築物壁面等を構成している下地に上記被覆材を塗付することによって形成でき、また、流通可能な下地に上記被覆材を塗付することによって形成(製造)することもできる。後者の場合は、得られる塗装体を、建築現場に搬入して壁面に適用すればよい。
本発明の塗装体は、例えば、以下の方法により形成できる。
(1)凹凸模様を有する下地に対し、当該凹凸模様が保持されるように上記被覆材を塗付する方法。
(2)下地に対し、上記被覆材を塗付し、当該被覆材の塗膜表面に凹凸模様を付与する方法。
上記(1)では、凹凸模様を有する下地を塗装対象とする。具体的に下地としては、例えば、下地となる基材自体が凹凸模様を有するもの、凹凸模様を有する塗膜、壁紙等が基材に積層されたもの、等が挙げられる。
このうち、基材自体が凹凸模様を有するものは、基材製造時に型枠成形、エンボス加工等を施すことで得られる。
凹凸模様を有する塗膜が基材に積層されたものは、基材に塗材を塗付したとき、ないしはその塗膜の乾燥前に、塗膜表面に凹凸模様を形成させることにより得ることができる。この際用いる塗材としては、例えば、JIS A6909の薄付け仕上塗材・厚付け仕上塗材等、あるいは石材調仕上塗材等が挙げられる。このような塗材では、塗付時の塗装器具や粘性等を適宜設定して塗装を行うことにより、種々の凹凸模様を形成することができる。また、塗膜の乾燥前に、デザインローラー、コテ、刷毛、櫛、へら等で塗膜表面を処理することで、種々の凹凸模様を形成させることもできる。
一方、凹凸模様を有する壁紙としては、ペンキ下地クロス(塗装下地壁紙)等の各種壁紙が使用できる。
上記(1)では、下地の凹凸模様が保持されるように被覆材を塗付する。ここでは、被覆材塗付後に、下地に由来する凹凸模様の一部ないし全部が認識できるように塗装を行えばよい。被覆材の塗付け量は、通常0.1〜0.6kg/m、好ましくは0.2〜0.5kg/m程度である。
上記(1)では、凹凸模様を有する塗膜または壁紙に対し、シーラー、サーフェーサー等の下塗材を塗付した後に、被覆材を塗装することもできる。特に、塗装対象となる塗膜または壁紙が経年劣化したものである場合は、下塗材を介すことにより、密着性等の物性を高めることができる。このような塗膜、壁紙が可塑剤等を含むものであれば、可塑剤等の塗膜表面への移行を抑制し、汚れ防止効果を高めることもできる。
下塗材における結合材としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂(樹脂エマルション)、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散形樹脂等の各種結合材、あるいはこれらを複合化した結合材等を使用することができる。本発明では、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適である。これらは架橋反応性を有するものであってもよい。また、結合材の形態は特に限定されず、1液型、2液型のいずれであってもよい。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。下塗材は、酸化チタン等の顔料を含むものであってもよい。
下塗材の塗装方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が可能である。下塗材の塗付け量は、下地の凹凸模様が保持される範囲内で設定すればよく、通常は0.1〜0.5kg/m程度である。
上記(2)では、被覆材の塗装時ないし塗装後に塗膜表面に凹凸模様を形成させる。
このような方法では、被覆材の塗膜によって凹凸模様を付与することができる。具体的には、被覆材塗付時の塗装器具や粘性等を適宜設定して塗装を行うことにより、種々の凹凸模様を形成することができる。また、下地に対し被覆材を配り塗りした後、当該塗膜の乾燥前に、デザインローラー、コテ、刷毛、櫛、へら等で塗膜表面を処理することで、種々の凹凸模様を形成させることもできる。被覆材の塗付け量は、通常0.2〜2kg/m、好ましくは0.3〜1.5kg/m程度である。
また、上記(2)では、被覆材を下地に塗装した後、エンボス加工等を施すことで凹凸模様を付与することもできる。この方法は、特に、工場内で塗装体を製造する場合に有用なものである。
本発明の塗装体では、水に対する接触角が110°以上(好ましくは120°以上、より好ましくは130°以上)の塗膜を形成することができる。このような撥水性は、汚染防止効果にも有効に作用するものである。なお、ここに言う接触角は、接触角計で測定される静的接触角の値である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(被覆材の製造)
表1〜3に示す配合に従い、各原料を常法により混合・攪拌することによって各被覆材を製造した。原料としては下記のものを使用した。なお、粉粒体1〜4はいずれも非球状のものである。
・樹脂1:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、外層アクリル樹脂とシリコーン樹脂との重量比80:20、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%
・樹脂2:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、外層アクリル樹脂と外層シリコーン樹脂との重量比80:20、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、内層アクリル樹脂と内層シリコーン樹脂との重量比80:20、
外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%
・樹脂3:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)、外層アクリル樹脂と外層シリコーン樹脂との重量比92:8、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)、内層アクリル樹脂と内層シリコーン樹脂との重量比92:8、
外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%
・樹脂4:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、外層アクリル樹脂と外層シリコーン樹脂との重量比55:45、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、内層アクリル樹脂と内層シリコーン樹脂との重量比55:45、
外層と内層の重量比45:55、固形分50重量%
・樹脂5:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、
内層;シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、
外層と内層の重量比70:30、固形分50重量%
・樹脂6:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg45℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;カルボキシル基含有モノマー5重量%)、
内層;アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、
外層と内層の重量比50:50、固形分50重量%
・樹脂7:アクリル樹脂エマルション(Tg12℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸;固形分50重量%)
・樹脂8:架橋反応型アクリル樹脂エマルション(Tg20℃、構成成分;メチルメタクリレート、スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、アクリル酸、架橋剤;アジピン酸ジヒドラジド、固形分50重量%)
・架橋剤:エポキシ基含有化合物(ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル)
・粉粒体1:シリカ粉(平均粒子径18μm、吸油量10ml/100g、比重2.7)
・粉粒体2:シリカ粉(平均粒子径4μm、吸油量10ml/100g、比重2.7)
・粉粒体3:シリカ粉(平均粒子径72μm、吸油量10ml/100g、比重2.7)
・粉粒体4:タルク(平均粒子径12μm、吸油量35ml/100g、比重2.7)
・粉粒体5:珪藻土(平均粒子径9μm、吸油量170ml/100g、比重2.3)
・着色顔料1:酸化チタン(平均粒子径0.2μm、吸油量13ml/100g、比重4.2)
・着色顔料2:ファストイエロー10G(平均粒子径0.2μm、吸油量40ml/100g、比重1.6)
・撥水剤:ジメチルシロキサン化合物分散液、固形分50重量%)
・造膜助剤:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・分散剤:ポリカルボン酸系分散剤(固形分30重量%)
・増粘剤:ポリウレタン系増粘剤(固形分30重量%)
・消泡剤:シリコン系消泡剤(固形分50重量%)
Figure 0005072685
Figure 0005072685
Figure 0005072685
(試験例1〜24)
試験例1〜24では、それぞれ上記方法により得られた被覆材1〜24を用いて、以下に示す試験を行った。結果を表4〜6に示す。
(1)接触角測定
アルミニウム板(150×70mm)に、エポキシ樹脂系プライマー(顔料容積濃度0%。以下同様)を塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、温度23℃・相対湿度50%下(以下、標準状態)で8時間乾燥した後、上記方法にて得られた被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装し、標準状態で14日間乾燥したものを試験体とした。この試験体の塗膜表面に、0.2ccの脱イオン水を滴下し、滴下直後の接触角を協和界面科学株式会社製CA−A型接触角測定装置にて測定した。
(2)塗装性試験
スレート板(900×900mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装したときの表面状態を確認した。評価基準は、はじきが生じなかったものを「○」、わずかにはじきが生じたものを「△」、明らかにはじきが生じたものを「×」した。
(3)耐水性試験
凹凸模様を有するサイディング板(150×70mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装し、14日間養生したものを試験体とした。この試験体を50℃の温水に24時間浸漬した後、JIS K 5600−5−6に準じた碁盤目テープ法にて密着性を評価した。評価基準は、欠損部面積が5%未満のものを「◎」、欠損部面積が5%以上15%未満のものを「○」、欠損部面積が15%以上35%未満のものを「△」、欠損部面積が35%以上のものを「×」とした。
(4)耐湿潤冷熱繰返し性試験
凹凸模様を有するサイディング板(150×70mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装し、14日間養生したものを試験体とした。この試験体を23℃の水中に18時間浸した後、直ちに−20℃に保った恒温槽にて3時間冷却し、次に50℃に保った別の恒温槽で3時間加温した。この操作を10回繰り返した後、標準状態に約1時間置いて、塗膜表面の状態を目視にて観察した。評価基準は、異常発生(割れ・膨れ・剥れ)の程度を確認することにより行い、異常が全く発生しなかったものを「◎」、異常がほとんど発生しなかったものを「○」、異常が部分的に発生したものを「△」、異常が著しく発生したものを「×」とした。
(5)撥水持続性試験
アルミニウム板(150×70mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装し、標準状態で14日間乾燥したものを試験体とした。この試験体の塗膜表面に、0.2ccの脱イオン水を滴下し、滴下直後の接触角を協和界面科学株式会社製CA−A型接触角測定装置にて測定した。
次いで、試験体を23℃の水中に3時間浸し、標準状態で1時間乾燥後、同様に接触角を測定した。この試験では、水浸漬後の接触角が、初期接触角に対しどの程度低下したかを確認することによって評価した。評価基準は、水浸漬後の接触角の低下が5度未満であったものを「○」、5度以上10度未満であったものを「△」、10度以上であったものを「×」とした。
(6)汚染防止性試験
(6−1)汚染防止性試験1
スレート板(150×70mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、JIS A6909の薄付け仕上塗材を塗付け量1.2kg/mでスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥することにより、凹凸模様を有する下地(高低差1〜2mm)を作製した。この下地に対し、各被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装し、14日間養生したものを試験体とした。この試験体を水平面に対し15度傾け、試験体の塗膜表面にスポイドを用いて市販の醤油を2cc滴下し、15分放置後、塗膜表面に水を流した。このときの塗膜表面の状態を目視にて確認した。評価基準は、汚れが認められないものを「◎」、著しく汚れが認められるものを「×」とする4段階(◎>○>△>×)で行った。
(6−2)汚染防止性試験2
上記汚染防止性試験1と同様の方法で試験体を用意し、この試験体を水平面に対し15度傾け、試験体の塗膜表面にスポイドを用いて、食用色素(赤色102号)の0.01%水溶液を2cc滴下し、15分放置後、塗膜表面に水を流した。このときの塗膜表面の状態を、上記汚染防止性試験1と同様の基準で評価した。
(6−3)汚染防止性試験3
上記汚染防止性試験1と同様の方法で試験体を用意し、この試験体を水平面に対し15度傾け、試験体の塗膜表面にスポイドを用いて市販の植物油を2cc滴下し、15分放置後、残存した植物油を乾いたガーゼで除去し、次いで中性洗剤を染み込ませたガーゼで塗膜表面を拭いた。このときの塗膜表面の状態を、上記汚染防止性試験1と同様の基準で評価した。
(6−4)汚染防止性試験4
上記汚染防止性試験1と同様の方法で試験体を用意し、試験体の塗膜表面に黒色ゴムを擦り付けた後、水拭きを行った。このときの塗膜表面の状態を、上記汚染防止性試験1と同様の基準で評価した。
(7)透水試験
スレート板(400×200mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、各被覆材を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでスプレー塗装し、14日間養生したものを試験体とした。得られた試験体の透水量を、JIS A 6909 7.13「透水試験B法」の手順に従って測定した。評価基準は、透水量が0.2ml未満を「◎」、0.2ml以上0.5ml未満を「○」、0.5ml以上1ml未満を「△」、1ml以上を「×」とした。
(試験例25)
スレート板(150×70mm)に、エポキシ樹脂系プライマーを塗付け量0.1kg/mでスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥した後、被覆材6を水で10%希釈して塗付け量0.1kg/mでウールローラーを用いて塗装した。2時間乾燥後、被覆材6を希釈せずに塗付け量0.35kg/mで多孔質ローラーを用いて塗装し、直ちにデザインローラー(ローラー表面に網状の凹凸を有するもの)を用いて塗面に凹凸模様(高低差約1mm)を形成させた。その後、14日間養生したものを試験体とした。この試験体につき、上記汚染防止性試験1〜4と同様の方法で汚染防止性試験を行った。試験結果を表6に示す。
(試験例26)
石膏ボード(150×70mm)に、市販のペンキ下地クロスを貼り付けることにより、凹凸模様を有する下地(高低差約1mm)を作製した。この下地に対し、被覆材6を水で10%希釈して塗付け量0.2kg/mでウールローラーを用いて塗装した後、14日間養生したものを試験体とした。この試験体につき、上記汚染防止性試験1〜4と同様の方法で汚染防止性試験を行った。試験結果を表6に示す。
Figure 0005072685
Figure 0005072685
Figure 0005072685

Claims (3)

  1. 凹凸模様を有する塗装体であって、少なくともその表面に、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分とするアクリル樹脂、及びシロキサン化合物を主単量体成分とするシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)を必須成分とし、当該粉粒体(B)の顔料容積濃度が10〜90%であり、
    前記合成樹脂エマルション(A)は、前記アクリル樹脂、及び前記シリコーン樹脂が混在する外層と、前記アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルションである被覆材
    による塗膜が形成されていることを特徴とする塗装体。
  2. 凹凸模様を有する下地に対し、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分とするアクリル樹脂、及びシロキサン化合物を主単量体成分とするシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)を必須成分とし、当該粉粒体(B)の顔料容積濃度が10〜90%であり、
    前記合成樹脂エマルション(A)は、前記アクリル樹脂、及び前記シリコーン樹脂が混在する外層と、前記アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルションである被覆材を、
    前記凹凸模様が保持されるように塗付することを特徴とする塗装体の形成方法。
  3. 下地に対し、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体成分とするアクリル樹脂、及びシロキサン化合物を主単量体成分とするシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、平均粒子径0.5〜500μm、吸油量60ml/100g以下の粉粒体(B)を必須成分とし、当該粉粒体(B)の顔料容積濃度が10〜90%であり、
    前記合成樹脂エマルション(A)は、前記アクリル樹脂、及び前記シリコーン樹脂が混在する外層と、前記アクリル樹脂を含む内層を有する多層構造型合成樹脂エマルションである被覆材を塗付し、
    当該被覆材の塗膜表面に凹凸模様を付与することを特徴とする塗装体の形成方法。
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