JP2022156000A - バリア紙 - Google Patents

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Shozo Yuki
元子 若松
Motoko Wakamatsu
文彦 斉藤
Fumihiko Saito
貴史 柴田
Takashi Shibata
千紗代 松本
Chisayo MATSUMOTO
太郎 森本
Taro Morimoto
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Abstract

【目的】本発明は、屈曲前後または製袋前後の酸素バリア性および水蒸気バリア性、層間密着性に優れ、有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型のバリア紙、および該環境配慮型のバリア紙から作製された環境配慮型の、ガスバリア性紙系積層体、ガスバリア性紙系材料、ガスバリア性紙系包装体を提供することを課題とする。【解決手段】少なくとも、紙基材層の片面に、該紙基材層に接する固定目止め層と、該固定目止め層に接するガスバリア層とが積層された層構成を有し、該固定目止め層は、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、該ガスバリア層は、ポリウレタン系樹脂と無機充填材とを含有することを特徴とする、前記バリア紙。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性と層間密着性とを有するバリア紙、および該バリア紙から作製された、ガスバリア性紙系積層体、ガスバリア性紙系材料、ガスバリア性紙系包装体に関する。
近年、マイクロプラスチックなどによる環境問題が大きく取り上げられており、紙を用いた製品においても、環境負荷を低減する為に、製品をできるだけ紙のみで構成することによってリサイクル性を向上したり、更には、生分解性を視野に入れたりすることが求められ始めた。
従来から、食品、医療、化成品、化粧品等の内容物の水分や酸素による品質低下を抑制する包装方法として、ガスバリア性の高い包装材料を用いたり、内容物収容部を窒素ガス等の不活性ガスによってガス置換したり、還元鉄粉などが包装された脱酸素剤を同梱したりされているが、性能が不十分であったり、包装コストが上昇したり、廃棄物としてのゴミが増えたり、水分がある環境下でしか性能が発揮しなかったり、誤飲したりする問題点が挙げられている。
使い終えた包装材料のリサイクル使用や、焼却処理等を考えた場合に、紙材を用いた包装材料が注目され始めたが、紙材のみではガスバリア性が不十分であり、ガスバリア性を高める為に、樹脂を表面コーティングしたり、金属箔や無機蒸着層を有する樹脂フィルムを積層したりすると、紙材のみを取り出してのリサイクル使用や生分解が阻害されたり、樹脂成分が燃焼によって焼却炉を傷める原因になったり、金属箔による焼却残差を大量に発生させていたりした。
特許文献1には、多糖類と珪素化合物との重縮合物からなる目止め層を表面に有する紙またはパルプモールドからなる基材に、プラズマ重合によるガスバリア性の薄膜層を積層した積層体が開示されている。しかしながらこの積層体においては、目止め層の厚さを数10μm程度に厚くする必要があり、目止め層の塗布形成方法が限定される。さらに、ガスバリア性の薄膜層を形成する際のプラズマ重合装置に紙またはパルプモールドからなる基材を入れる為に、紙またはパルプモールドから発生する紙粉またはパルプ粉によって、プラズマ重合装置内をプラズマ重合に適合した気圧まで減圧することが阻害され易く、安定したガスバリア性の薄膜層の形成が困難であり、目止め層とガスバリア性の薄膜層との密着性が不十分になり易く、ガスバリア性が不安定になり易い欠点を有する。
特許文献2には、紙支持体上にエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂と無機層状化合物を含む第1のガスバリア層と、エチレン変性ポリビニルアルコールからなる第2のガスバリア層を順次設けたガスバリア性積層体が開示されている。しかしながら紙支持体と第1のガスバリア層間の層間密着性が不十分であったり、第1および第2のガスバリア層に用いる樹脂の種類が限定されたりする為に、様々な品質に対応することが困難であった。
特許第4622201号公報 特開2009-184138
本発明は、上記の問題点を解決して、屈曲前後または製袋前後の酸素バリア性および水
蒸気バリア性、層間密着性に優れ、有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型のバリア紙、および該環境配慮型のバリア紙から作製された環境配慮型の、ガスバリア性紙系積層体、ガスバリア性紙系材料、ガスバリア性紙系包装体を提供することを課題とする。
本発明者は、種々研究の結果、少なくとも、紙基材層と、特定の固定目止め層と、特定のガスバリア層とが、この順に隣接して積層され、固定目止め層及びガスバリア層が紙基材層の片面のみに積層された層構成を有するバリア紙が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、紙基材層の片面に、該紙基材層に接する固定目止め層と、該固定目止め層に接するガスバリア層とが積層された層構成を有し、
該固定目止め層は、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、
該ガスバリア層は、ポリウレタン系樹脂と無機充填材とを含有することを特徴とする、バリア紙。
2.前記固定目止め層は、無機充填材を更に含有することを特徴とする、上記1に記載のバリア紙。
3.前記固定目止め層が、ポリウレタン系樹脂を含有することを特徴とする、上記1または2に記載のバリア紙。
4.JIS K7126に準拠した温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、0.01cc/m2/day/atm以上、20cc/m2/day/atm以下であることを特徴とする、上記1~3の何れかに記載のバリア紙。
5.JIS K7129に準拠した温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.01g/m2/daym以上、30g/m2/day以下であることを特徴とする、上記1~4の何れかに記載のバリア紙。

6.一旦180度に2つ折りして伸ばす屈曲処理後の、JIS K7126に準拠した温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、0.1cc/m2/day/atm以上、100cc/m2/day/atm以下であることを特徴とする、上記1~5の何れかに記載のバリア紙。
7.一旦180度に2つ折りして伸ばす屈曲処理後の、JIS K7129に準拠した温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.1g/m2/day以上、40g/m2/day以下であることを特徴とする、上記1~6の何れかに記載のバリア紙。
8.上記1~7何れかに記載のバリア紙を用いて作製された、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する、ガスバリア性紙系積層体。
9.上記8に記載のガスバリア性紙系積層体を用いて作製された、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する、ガスバリア性紙系材料。
10.上記9に記載のガスバリア性紙系材料を用いて作製された、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する、ガスバリア性紙系包装体。
本発明によれば、屈曲前後または製袋前後の酸素バリア性及び水蒸気バリア性と層間密着性とに優れ、有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型のバリア紙、および該環境配慮型のバリア紙から作製された環境配慮型の、ガスバリア性紙系積層体、ガスバリア性紙系材料、ガスバリア性紙系包装体を得ることができる。
本発明のバリア紙、ガスバリア性紙系積層体の層構成の一例を示す概略的断面図である。 本発明のガスバリア性紙系材料の層構成の一例を示す概略的断面図である。
本発明の環境配慮型の、バリア紙、ガスバリア性紙系積層体、ガスバリア性紙系材料、ガスバリア性紙系包装体について、図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものを用いることとする。また、本発明は、以降の列記された諸々の具体例に限定されるものでは無い。
本発明においては、フィルムとシートは、包括的にフィルムという語で記載する。
また、本発明において、「ガスバリア性」と記載されている場合には、酸素バリア性と水蒸気ガスバリア性とを指す。
≪バリア紙≫
本発明のバリア紙は、屈曲処理前後または製袋前後の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、作製時の有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型のバリア紙である。
ここで、屈曲処理とは、製袋時に包装材料が受ける屈曲負荷を与える代替処理を指しており、定量的な評価の為には、例えば、バリア紙を一度、紙層が外側になるように一旦180度に二つ折り(山折り)して、次いで伸ばして元に戻す処理を以て屈曲処理とすることができる。
本発明のバリア紙は、少なくとも、紙基材層の片面に、該紙基材層に接する固定目止め層と、該固定目止め層に接するガスバリア層とが積層された層構成を有する。
固定目止め層は、固定目止め樹脂組成物からなる層であり、紙基材層を目止めし、ガスバリア層と紙基材層とを仲介してガスバリア層を固定して密着性を向上させ、且つ酸素バリア性及び水蒸気バリア性を補助することができる層である。密着性が高くなることで内部剥離による酸素バリア性及び水蒸気バリア性の劣化を防止することができる。
ガスバリア層は、ガスバリア樹脂組成物からなる層であり、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を付与する層である。
バリア紙内で、固定目止め層とガスバリア層とは、紙基材層の片面にのみ積層されている。片面にのみ積層されていることによって、バリア紙の構成層数を少なくして、バリア紙を薄くし、生産性を向上させ、バリア紙の剛性を抑制して包装材料用途の使い勝手を向上することができる。
本発明のバリア紙の厚さは、特に制限は無いが、20μm以上、250μm以下が好ましく、30μm以上、120μm以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと、十分な厚さの固定目止め層とガスバリア層とを形成することが困難になり易く、また、包装材料に用いた際に包装材料の剛性が不十分になるおそれがある。上記範囲よりも厚いと包装材料に用いた際に包装材料の剛性が強くなり過ぎるおそれがある。
紙基材層の厚さまたは坪量は、特に制限は無いが、厚さは20μm以上、200μm以下が好ましく、30μm以上、100μm以下がより好ましい。坪量は25g/m2以上、600g/m2以下が好ましく、50g/m2以上、450g/m2以下がより好ましい。坪量および/または厚さが、上記範囲よりも小さいと、十分な剛性を有することが困難になり易く、バリア紙の製造時にカールや波打ちが発生し易くなり、上記範囲よりも大きいと、剛性が強過ぎて作業性が悪く、バリア紙の巻き径が大きくなって作業能率が低下し易く、バリア紙としての適性に劣るおそれがある。
本発明のバリア紙中の、紙基材層が占める厚さ割合は、特に制限は無いが、80%以上
、99%以下が好ましく、90%以上、98%以下がより好ましい。上記範囲よりも低いと、バリア紙のリサイクル性や生分解性の効率が低くなり易く、上記範囲よりも高くしても、リサイクル性や生分解性の効率はそれ以上高く変化し難く、十分な酸素バリア性及び水蒸気バリア性が発揮されないおそれがある。
固定目止め層の厚さまたは塗布量は、特に制限は無いが、厚さは0.2μm以上、25μm以下が好ましく、0.5μm以上、20μm以下がより好ましい。塗布量は0.5g/m2以上、30g/m2以下が好ましく、1g/m2以上、20g/m2以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと、ガスバリア層を十分な目止め性によって固定することが困難になり易く、上記範囲よりも厚くても目止め性およびガスバリア層を固定する効果にさほど向上しない。
ガスバリア層の厚さまたは塗布量は、特に制限は無いが、厚さは0.1μm以上、10μm以下が好ましく、0.2μm以上、5μm以下がより好ましい。塗布量は0.3g/m2以上、10g/m2以下が好ましく、0.5g/m2以上、5g/m2以下がより好ましい。上記範囲よりも薄いと、十分な酸素バリア性を有することが困難になり易く、上記範囲よりも厚くても酸素バリア性及び水蒸気バリア性はさほど向上しない。
本発明のバリア紙は、固定目止め層とガスバリア層との相乗効果によって優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を示す。
また、本発明のバリア紙は、屈曲処理後も酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れていることが好ましい。
そして、固定目止め層とガスバリア層とが両面に存在する場合には、片面にのみ存在する場合よりもより優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を示し易く、特に屈曲処理後の酸素バリア性及び水蒸気バリア性がより優れ易い。
酸素バリア性及び水蒸気バリア性は、各々、JIS K7126、K7129に準拠した方法で測定される酸素透過度、水蒸気透過度によって表すことができる。
屈曲処理前のバリア紙は、温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、0.01cc/m2/day/atm以上、20cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、0.05cc/m2/day/atm以上、10cc/m2/day/atm以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、酸素バリア性が不十分になり易い。
例えば、一旦180度に2つ折りして伸ばす屈曲処理された後の、温度23℃、湿度0%における酸素透過度は、0.1cc/m2/day/atm以上、100cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、0.5cc/m2/day/atm以上、50cc/m2/day/atm以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、酸素バリア性が不十分になり易い。
屈曲処理前のバリア紙は、温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.01g/m2/day以上、30g/m2/day以下であることが好ましく、0.05g/m2/day以上、20g/m2/day以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、水蒸気バリア性が不十分になり易い。
例えば、180度に2つ折りして屈曲処理された後の、温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度は、0.1g/m2/day以上、40g/m2/day以下であることが好ましく、0.5g/m2/day以上、30g/m2/day以下であることがより好ま
しい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、水蒸気バリア性が不十分になり易い。
本発明のバリア紙には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことが可能である。
二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、本発明の積層体に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施すこともできる。
本発明のバリア紙を構成する各層を積層する際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理を各層の表面に予め施すことができる。また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等のアンカーコート剤等を任意に使用することができる。
[紙基材層]
紙基材層は紙基材からなる層であり、1層構成であってもよく、2層以上の多層構成であってもよい。多層構成の場合には、各層は、同一または異なる素材の紙基材であってよく、同一または異なる厚みであってよく、各層間が接着剤で接着ざれていてもよい。
(紙基材)
紙基材層に用いられる紙基材には、特に制限は無く、一般的な積層工程や接着剤層形成工程に十分耐え得る、強度、靱性、耐熱性、およびその他の、機械的、物理的、化学的性質を有するものであれば、一般的な公知公用の紙基材を使用することができる。
紙基材としては、強サイズ性の晒または未晒の紙基材を用いることができ、具体的には、純白ロ-ル紙、クラフト紙、板紙、コート紙、キャストコート紙、ミルク原紙、加工原紙、上質紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、樹脂コート紙、剥離原紙、両面コート剥離原紙、塗工耐油紙、含侵紙等を使用することができる、これらの中でも、コート紙、晒クラフト紙等が特に好ましい。
また、紙基材層は、1層で構成されていてもよく、同じ又は異なる紙基材からなる2層以上の多層で構成されていてもよい。紙基材間は接着剤層を介して、任意の積層手段によって積層することができる。
紙基材の原料パルプとしては、針葉樹パルプ(N材)や広葉樹パルプ(L材)を用いることができ、これらを併用することもでき、各々の含有率を変更することによって、離型紙製造工程や転写生成体製造工程に耐え得る強度、耐屈曲性、平滑性、バリア性のバランスを調整することが可能であり、用途に応じた性能の紙基材を作製することができる。
例えば、針葉樹パルプ(N材)の含有率を高くすることで耐屈曲性を高めて割れが発生し難くすることができ、広葉樹パルプ(L材)の含有率を高くすることで平滑性及び/またはガスバリア性を高めることができる。
また、紙基材が充分な耐熱性を有するためには中性紙であることが好ましく、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いてサイズした中性紙がより好ましい。
紙基材層および/または紙基材が多層構成の場合、積層される紙基材および/または原紙は、押し出しラミネートまたはウェットラミネートによって、接着剤層を介して積層されることが好ましい。
該接着剤層を形成するための接着剤は、バリア紙またはガスバリア性紙系積層体を作製する際の接着剤層に用いられるものと同様でよいが、ラミネート用接着剤またはウェットラミネート溶接着剤を用いることが好ましい。
また、紙基材には、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
紙基材および/または基材層と他層との接着性を高める為には、必要に応じて、樹脂等を含有するコート層を表面に有する紙基材を用いたり、紙基材および/または紙基材層の接着剤と接する側の表面に、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理、サンドブラスト処理等の物理的な表面処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な表面処理を予め施したりしておくこともできる。
[固定目止め層]
固定目止め層は、固定目止め樹脂組成物からなる層である。
固定目止め層は、少なくとも、固定目止め性樹脂を含有し、必要に応じて、無機充填材や添加剤等を更に含有することができる。
紙基材の表面はポーラスで凹凸があるため、固定目止め層によって目止めを行う。
固定目止め層は1層構成であってもよく、2層以上の多層構成であってもよい。多層構成の場合には、各層は、同一または異なる組成であってよく、同一または異なる厚みあるいは塗布量、坪量であってよく、各層間が接着剤で接着されていてもよい。
固定目止め層は、固定目止め樹脂組成物を基材層に、溶融(共)押し出しラミネートまたは塗布して形成することができる。
塗布して形成する場合には、、液体である固定目止め樹脂組成物を基材層に、2ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、エアナイフコーター、カーテンコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、グラビアキスコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター等を用いて塗布し、次いでドライヤーを用いた加熱によって乾燥させることで行うことができる。
(固定目止め樹脂組成物)
固定目止め樹脂組成物は、固定目止め層を形成する為の樹脂組成物であり、固定目止め層を構成する為の成分を含有し、少なくとも固定目止め性樹脂を含有する。そして、必要に応じて、無機充填材や添加剤等を更に含有することができる。
固定目止め樹脂組成物は、高温で溶融するものであってもよく、水性の溶媒を更に含有して、水性樹脂が水性の溶媒に溶解した水性溶液や、水性樹脂が分散した水性エマルジョンであることもできる。
この場合、無溶剤であること、または溶媒が水性であることによって、乾燥工程における有機溶剤蒸気の発生が抑制されて、環境に配慮することができる。
溶媒の紙基材への浸透を抑制するために、固定目止め樹脂組成物中の固形分量は高いことが好ましい。
(固定目止め性樹脂)
固定目止め性樹脂は、紙基材表面の微小な孔を埋める(目止めする)ことができ、さらにはガスバリア層と強い密着性を発揮するものが好ましい。固定目止め樹脂組成物が水性の溶媒を含む場合には、固定目止め性樹脂は、水性の溶媒にエマルジョン化されて分散さ
れ得る樹脂、または水性の溶媒に溶解する樹脂が好ましい。
固定目止め性樹脂は、固定目止め層を形成し易く、維持し易いように、耐水性が高く、ガスバリア樹脂組成物に含有される溶剤への溶解性が低いものが好ましい。
具体的な固定目止め性樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、等が挙げられ、これらの樹脂の1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリスチレン系樹脂とは、スチレン系モノマーの単独重合体、またはスチレン系モノマーと他の共重合性モノマーとの共重合体を指す。
スチレン系モノマーの具体例としては、スチレン、及びメチルスチレン、パラビニルフェノール、t-ブトキシスチレン、クロロスチレン等の置換基を有するスチレン系化合物等が挙げられる。
共重合性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル等のスチレン系モノマーと共重合性のあるモノマーが挙げられる。
ポリスチレン系樹脂は、耐水性が良好なものが好ましい。
ポリスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、(メチル)スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、(メチル)スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メチル)スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、スチレン-アクリル酸共重合体が好ましい。
ポリウレタン系樹脂とは、主骨格にウレタン結合(-NHCOO-)を有する(共)重合体であり、必要に応じて各種の官能基を有することができる。
ポリウレタン系樹脂は、耐水性が良好なものが好ましい。
アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルを用いた(共)重合体であり、必要に応じて各種の官能基を有することができる。
アクリル系樹脂は、耐水性が良好なものが好ましい。
(固定目止め層に含有される無機充填材)
固定目止め層に含有される無機充填材は、固定目止め層による紙基材への目止め効果を強化することができる。
固定目止め層に含有される無機充填材の種類は、特に制限は無いが、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化チタン、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、セリア、リチウムシリケート、ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、マイカ、カオリン、酸化クロム、シリカ(酸化ケイ素)、酸化アンチモン、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの無機充填材を1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、シリカ、マイカ、アルミナ、カオリンを用いることが好ましい。
固定目止め層に含有される無機充填材の粒子の平均粒子径は、特に制限は無いが、優れた目止め効果を安定して得る為には、紙基材の厚さや目の粗さにもよるが、0.1μm以上、10μm以下が好ましく、0.5μm以上、5μm以下がより好ましい。上記範囲よりも小さくても、大きくても、目止め効果が低下し易い。
固定目止め層に含有される無機充填材の形状は、特に制限は無く、真球状、楕円球状、破砕状、鱗片状等の多種多様の形状のものを用いることができる。これらの形状の無機充填材を1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、粉砕状のものが好ましい。
固定目止め層に含有される無機充填材の表面は、有機修飾されていてもよい。有機修飾によって、固定目止め性樹脂や溶媒との親和性が向上し、凝集が低減されて固定目止め樹脂組成物または固定目止め層中での均一な分散が容易になる。
固定目止め層中の無機充填材の含有率は、固定目止め性樹脂100質量部に対して、1質量部以上、50質量部以下が好ましく、10質量部以上、40質量部以下がより好ましい。上記範囲であれば、固定目止め樹脂組成物は溶融押出し易い適切な溶融粘度、または塗布し易い適切な粘度を示し、また、固定目止め層は十分で安定した目止め効果を示すことができる。
(液体の固定目止め樹脂組成物の溶媒)
液体の固定目止め樹脂組成物の溶媒の主成分は水であり、樹脂成分の溶解性や分散性等を調節する為に、水溶性の低級アルコールをさらに含有してもよい。
溶媒の紙基材への浸透を抑制するために、水性の溶媒は、紙基材への浸透性が低いものが好ましい。
[ガスバリア層]
該ガスバリア層は、ガスバリア樹脂組成物からなる層である
ガスバリア層は、少なくともガスバリア性樹脂を含有し、必要に応じて、無機充填材や添加剤等を更に含有することができる。
ガスバリア層は1層構成であってもよく、2層以上の多層構成であってもよい。多層構成の場合には、各層は、同一または異なる組成であってよく、同一または異なる厚みあるいは塗布量、坪量であってよく、各層間が接着剤で接着ざれていてもよい。
ガスバリア層は、少なくともガスバリア性樹脂を含有する。
ガスバリア層は、ガスバリア樹脂組成物を固定目止め層に、溶融(共)押し出しラミネートまたは塗布して形成することができる。
塗布して形成する場合には、液体であるガスバリア樹脂組成物を固定目止め層に2ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、エアナイフコーター、カーテンコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、グラビアキスコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、含浸コーター等を用いて塗布し、次いでドライヤーを用いた加熱によって乾燥させることで行うことができる。
(ガスバリア樹脂組成物)
ガスバリア樹脂組成物は、ガスバリア層を形成する為の樹脂組成物であり、ガスバリア層を構成する為の成分を含有し、少なくともガスバリア性樹脂を含有する。そして、必要に応じて、無機充填材や添加剤等を更に含有することができる。
ガスバリア樹脂組成物は、高温で溶融するものであってもよく、水性の溶媒を更に含有して、水性樹脂が水性の溶媒に溶解した水性溶液や、水性樹脂が分散した水性エマルジョンであることもできる。
この場合、無溶剤であること、または溶媒が水性であることによって、乾燥工程における有機溶剤蒸気の発生が抑制されて、環境に配慮することができる。
(ガスバリア性樹脂)
ガスバリア性樹脂は、酸素バリア性および/または水蒸気バリア性を有する樹脂であり、熱可塑性樹脂が好ましく、固定目止め性樹脂と強い密着性を発揮するものが好ましい。ガスバリア樹脂組成物が水性の溶媒を含む場合には、さらに、水性の溶媒に溶解されて溶液化され得る樹脂や、水性の溶媒にエマルジョン化されて分散され得る樹脂が好ましい。
ガスバリア性樹脂には、1種で酸素バリア性および水蒸気バリア性を有する樹脂を用い
てもよく、酸素バリア性を有する樹脂と水蒸気バリア性を有する樹脂とを併用して用いてもよい。
ガスバリア性樹脂は、それのみからなる20μm厚樹脂フィルムの、JIS 7126に準拠した方法で測定される温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、1.0×10-4cc/m2/day/atm以上、20cc/m2/day/atm以下であることが好ましい。上記範囲よりも低いものを調達することは困難であり、上記範囲よりも高いものは、酸素バリア性が不十分になり易い。
ガスバリア性樹脂は、それのみからなる25μm厚樹脂フィルムの、JIS 7129に準拠した方法で測定される温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.1g/m2/day以上、30g/m2/day以下であることが好ましい。上記範囲よりも低いものを調達することは困難であり、上記範囲よりも高いものは、水蒸気バリア性が不十分になり易い。
また、凝集エネルギー密度の高い樹脂が、ガスバリア性樹脂として適している。
例えばポリエチレンは、凝集エネルギー密度が低いことから、ガスバリア性樹脂として適していない。
紙基材層の片面のみに、少なくとも、固定目止め層と、ガスバリア層とが、この順に隣接して積層された層構成を有しているバリア紙においては、具体的なガスバリア性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、シクロオレフィンポリマー等が挙げられ、これらの樹脂の1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの樹脂の中でも、ポリウレタン系樹脂を含有することが特に好ましい。ポリウレタン系樹脂は水性溶媒中に分散されてエマルジョン化され得る樹脂である。
ポリウレタン系樹脂とは、主骨格に-NHCOO-の繰り返し単位を有する(共)重合体であり、必要に応じて各種の官能基を有することができる。
特に、水酸基を多く有するポリウレタン系樹脂が、凝集エネルギー密度が高く、好ましい。
ガスバリア層に上記のガスバリア性樹脂以外の樹脂を含有することが可能である。
例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を含有することも可能ではあるが、ポリビニルアルコール系樹脂は低湿度雰囲気下では酸素バリア性及び水蒸気バリア性が高いが、湿度が高くなるにつれて酸素バリア性及び水蒸気バリア性、特に水蒸気バリア性が低下し易い傾向にある。特に湿度70%以上の雰囲気化で低下し易い。したがって、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する場合には、ガスバリア性樹脂と併用することが必要である。
ポリビニルアルコール系樹脂とは、主骨格に-CH2CH(OH)-の繰り返し単位を有する(共)重合体であり、必要に応じて各種の官能基を有することができる。
特に、けん化度が高く、一分子中に水酸基を多く有するポリビニルアルコール系樹脂が、凝集エネルギー密度が高く、好ましい。
(ガスバリア層に含有される無機充填材)
ガスバリア層に含有される無機充填材は、ガスバリア樹脂組成物によるガスバリア性を強化することができる。
ガスバリア層に含有される無機充填材の種類は、特に制限は無いが、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化チタン、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、セリア、リチウムシリケート、ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化鉄、炭酸カルシウム、カオリン、酸化クロム、マイカ、シリカ(酸化ケイ素)、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの無機充填材を1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、マイカ、シリカ、アルミナ等が好ましく、特にマイカが好ましい。
ガスバリア層に含有される無機充填材の粒子の平均粒子径は、特に制限は無いが、優れ
たガスバリア性、適度な剛性、可撓性のバランスを安定して得る為には、紙基材の目の粗さにもよるが、0.1μm以上、20μm以下が好ましく、1μm以上、15μm以下がより好ましい。上記範囲よりも小さくても、大きくても、上記バランスが低下し易い。
ガスバリア層に含有される無機充填材の形状は、特に制限は無く、真球状、楕円球状、破砕状、鱗片状等の多種多様の形状のものを用いることができる。これらの形状の無機充填材を1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、鱗片状のものが好ましい。
ガスバリア層に含有される無機充填材の表面は、有機修飾されていてもよい。有機修飾によって、ガスバリア性樹脂や溶剤との親和性が向上し、凝集が低減されてガスバリア樹脂組成物またはガスバリア層中での均一な分散が容易になる。
ガスバリア層中の無機充填材の含有率は、ガスバリア性樹脂100質量部に対して、5質量部以上、70質量部以下が好ましく、10質量部以上、50質量部以下がより好ましい。上記範囲であれば、ガスバリア樹脂組成物は溶融押出し易い適切な溶融粘度、または塗布し易い適切な粘度を示し、また、ガスバリア層は十分で安定した酸素バリア効果及び水蒸気バリア効果を示し易い。
(液体のガスバリア樹脂組成物の溶媒)
液体のガスバリア樹脂組成物の溶媒の主成分は水であり、樹脂成分の溶解性や分散性等を調節する為に、水溶性の低級アルコールをさらに含有してもよい。
≪接着剤層≫
接着剤層は、一般的な公知公用の汎用の接着剤を用いて形成することができ、先んじてアンカーコート層を形成しておいてから、接着剤からなる層を形成してもよい。
アンカーコート剤には、特に制限は無いが、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等のアンカーコート剤等を任意に使用することができる。
接着剤層は、例えば、ノンソルベントラミネート法によって形成された層(ノンソルベントラミネート層)であってもよく、塗布形成された層(塗布層)であってもよく、押し出し樹脂によって形成された層(押し出し樹脂層)あってもよく、ウェットラミネート接着剤を用いて形成された層(ウェットラミネート層)であってもよく、ドライラミネート接着剤を用いたドライラミネーションによって形成された層(ドライラミネート層)であってもよい。
接着剤は、有機溶剤型、水性型、無溶剤型等の何れであってもよいが、接着剤層中の残留有機溶剤量は、少ないことが好ましく、6mg/m2以下であることが好ましい。該残留有機溶剤量は0mg/m2であることが最も好ましいが、実質的には6mg/m2以下であることが好ましい。
接着剤層中の残留有機溶剤量を上記範囲にすることによって、残留有機溶剤による接着力の低下を抑える点で有利であり、乾燥時の体積収縮による接着界面における歪や微小な剥離欠陥の発生を抑えて、ガスバリア性の劣化を抑える点で有利である。更には、本発明のバリア紙からの有機溶剤臭の発生を抑える点で有利である。
該残留有機溶剤量を低減する為には、無溶剤型または水性型の接着剤を用いて接着剤層を形成することが有利であり、好ましい。
しかしながら、充分な層間接着力があれば、形成された接着剤層中の残留有機溶剤量が6mg/m2よりも多くても充分に使用に耐えることができ、使用条件によっては有機溶剤臭を他の方法で解決することができるため、必ずしも上記を満たしていなくてもよい。
ここで、本発明のバリア紙が接着剤層以外に有機溶剤を含有している構成を含んでいない場合は、バリア紙全体の有機溶剤含有量を測定することによって、接着剤層の有機溶剤含有量として検出することができる。
またここで、本発明において無溶剤とは、溶剤を積極的には含有しないことを意味し、接着剤は、原材料中に残存する有機溶剤に由来する微量分の有機溶剤を、形成された接着剤層中の残留有機溶剤量を6mg/m2以下にし得る範囲内で含有していてもよい。
接着剤に含有される樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステル系ポリウレタン接着剤、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、ポリオレフィン系樹脂や、ポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物を使用して、グラフト重合または共重合によって酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。
接着剤層は、本発明の特性を損なわない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤等の添加剤を含むことができる。
接着剤層の厚みは、特に制限されるものではないが、1g/m2以上、20g/m2以下が好ましく、2g/m2以上、10g/m2以下がより好ましく、或いは、1μm以上、20μm以下が好ましく、2μm以上、10μm以下がより好ましい。上記数値範囲よりも薄いと十分高く安定した接着性を示し難くなり易く、上記数値範囲よりも厚くても接着性はさほど変化せず、形成方法が限定され易くなる為、好ましくない。
有機溶剤型の接着剤に含有される有機溶剤は、有機溶剤型の接着剤を構成する樹脂原料を溶解し、本発明のバリア紙の製造工程上の適切な沸点や揮発性を有し、形成された接着剤層の有機溶剤含有量を6mg/m2以下にし得るものが好ましい。
極性が高い溶剤を用いた場合には、作業性に乏しくなりやすい。例えばアセトンのような溶解性の高い溶剤を使用した場合には、沸点が低く且つ外気の水を取り込みやすいため、水とイソシアネートとの反応によって耐クラック性付与接着剤の粘度が上昇しやすいといった問題が発生することがある。
水性型の接着剤に含有される水性の溶媒の主成分は水であり、樹脂成分の溶解性や分散性等を調節する為に、水溶性の低級アルコールをさらに含有してもよい。
≪ガスバリア性紙系積層体≫
本発明のガスバリア性紙系積層体は、本発明の環境配慮型のバリア紙を用いて作製され、作製時の有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型の積層体であり、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する。
≪ガスバリア性紙系材料≫
本発明のガスバリア性紙系材料は、本発明の環境配慮型のガスバリア性紙系積層体を用いて作製され、作製時の有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型の紙系材料であり、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有し、包装材料として用いることができる。
ガスバリア性紙系材料の層構成は、ガスバリア性紙系積層体と同一でもよく、必要に応じて、シーラント層(ヒートシール層)や、ガスバリア層を保護する為の層等をさらに積
層した層構成であってもよい。
シーラント層は紙基材層上に積層されていてもよく、ガスバリア層上に積層されていてもよい。またシーラント層はガスバリア性紙系材料の、どちらか一方の片面、または両面の表面に有することが出来る。
例えば、紙基材層/固定目止め層/ガスバリア層の層構成のガスバリア性紙系積層体を用いて、シーラント層/紙基材層/固定目止め層/ガスバリア層、紙基材層/固定目止め層/ガスバリア層/シーラント層、シーラント層/紙基材層/固定目止め層/ガスバリア層/シーラント層、等の層構成を有するガスバリア性紙系材料が挙げられる。
シーラント層の厚さは、5~500μmが好ましく、10~250μmがより好ましく、15~100μmが更に好ましい。または、塗工によって形成されたヒートシール層の場合には、1~30g/m2が好ましく、5~20g/m2がより好ましい。上記範囲より薄いと十分なヒートシール性及びヒートシール強度を得難く、上記範囲より厚いと、コスト上昇を招くと共にガスバリア性紙系材料の剛性が強くなり過ぎて作業性が悪化し易い。
酸素バリア性及び水蒸気バリア性は、各々、JIS K7126、K7129に準拠した方法で測定される酸素透過度、水蒸気透過度によって表すことができる。
屈曲処理前のガスバリア性紙系材料は、温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、0.01cc/m2/day/atm以上、20cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、0.05cc/m2/day/atm以上、10cc/m2/day/atm以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、酸素バリア性が不十分になり易い。
例えば、180度に2つ折りして屈曲処理された後の、温度23℃、湿度0%における酸素透過度は、0.1cc/m2/day/atm以上、100cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、0.5cc/m2/day/atm以上、50cc/m2/day/atm以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、酸素バリア性が不十分になり易い。
屈曲処理前のガスバリア性紙系材料は、温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.01g/m2/day以上、30g/m2/day以下であることが好ましく、0.05g/m2/day以上、20g/m2/day以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、水蒸気バリア性が不十分になり易い。
例えば、180度に2つ折りして屈曲処理された後の、温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度は、0.1g/m2/day以上、40g/m2/day以下であることが好ましく、0.5g/m2/day以上、30g/m2/day以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、水蒸気バリア性が不十分になり易い。
ガスバリア性紙系材料の具体例としては、食品や化粧品、医薬品等を包装する為のガスバリア性紙系包装材料、カップや皿等の容器を作製するためのガスバリア性紙系容器材料、ガスバリア性紙系蓋材料等が挙げられる。
[シーラント層]
シーラント層は、ガスバリア性紙系材料にヒートシール性を付与する層であり、熱によって溶融し融着し得るヒートシール性樹脂を含有する。本発明では、ヒートシール剤を塗工して形成した場合は、特にヒートシール層とも記載する。
シーラント層は、単層であっても、2層以上の多層構成であってもよい。多層構成の場合には、それぞれの層の組成が同一であってもよく、異なっていてもよく、ヒートシール性樹脂のみからなる層や、ヒートシール性樹脂を含まない層を含むこともできる。更には、種々の機能を備えた機能層や、接着剤層を含むこともできる。しかし、ガスバリア性紙系材料の片面最表層を構成する層は、ヒートシール性樹脂を含むことが好ましい。
ヒートシール性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メチルペンテンポリマー、エチレン-プロピレン共重合体、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、その他等が挙げられる。
不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸エステル共重合体等が挙げられる。より具体的には、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂等が挙げられる。不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等が挙げられる。
ヒートシール性樹脂には、これらの樹脂の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
シーラント層は、ヒートシール性樹脂を塗布、溶融(共)押し出しラミネート、ヒートシール性樹脂からなるフィルムないしシートを融着または接着剤を介して貼り付けること等によって形成することができる。また、ヒートシール性樹脂が水性溶媒中に分散されて調製されたエマルジョンを塗布、乾燥してヒートシール層を形成することもできる。
上記のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルムないしシート、あるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムないしシート等のいずれのものでも使用することができる。
≪ガスバリア性紙系包装体≫
本発明のガスバリア性紙系包装体は、本発明の環境配慮型のガスバリア性紙系材料を用いて作製され、作製時の有機溶剤の使用量が削減された環境配慮型の包装体であり、ガスバリア性紙系容器も包含され、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する。
本発明のガスバリア性紙系包装体は、固定目止め層とガスバリア層との相乗効果によって優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有している。
本発明のガスバリア性紙系包装体の例としては、例えば、ガスバリア性紙系材料のシーラント層を熱融着させるようなヒートシール加工によって、蓋材、紙カップ、ピロー包装袋、三方シール袋、四方シール袋、スタンディングパウチ、ガゼット袋等の包装形態のものが挙げられ、ガスバリア性紙系材料のシーラント層を熱融着させるようなヒートシール加工によって作製することができる。
通常、包装材料から包装体を作製する際に包装材料は屈曲負荷を受けてしまう為に、包装体形成後の包装材料は元の包装材料よりも酸素バリア性及び水蒸気バリア性が低下しており、包装体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性は低くなっているが、本発明のガスバリア性紙系包装体は、本発明のガスバリア性紙系材料が屈曲負荷を受けた後も酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れていることによって、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を維持している。
ガスバリア性紙系包装体を構成している製袋後のガスバリア性紙系材料の温度23℃、湿度0%における酸素透過度は、0.01cc/m2/day/atm以上、100cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、0.05cc/m2/day/atm以上、50cc/m2/day/atm以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、酸素バリア性が不十分になり易い。
また、ガスバリア性紙系包装体のシール方法によっては屈曲負荷量を少なくすることが可能であり、酸素透過度をさらに小さくすることができる。例えば4方シールでガスバリア性紙系包装体を作製した場合などは、酸素透過度を0.01cc/m2/day/atm以上、20cc/m2/day/atm以下にすることができる。
ガスバリア性紙系包装体を構成している製袋後のガスバリア性紙系材料の温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度は、0.01g/m2/day以上、40g/m2/day以下であることが好ましく、0.05g/m2/day以上、30g/m2/day以下であることがより好ましい。上記範囲よりも低いものは作製することが困難であり、上記範囲よりも高いものは、水蒸気バリア性が不十分になり易い。
また、ガスバリア性紙系包装体のシール方法によっては屈曲負荷量を少なくすることが可能であり、水蒸気透過度をさらに小さくすることができる。例えば4方シールでガスバリア性紙系包装体を作製した場合などは、水蒸気透過度を0.01g/m2/day以上、20g/m2/day以下にすることができる。
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[ガスバリア樹脂組成物]
・ガスバリア樹脂組成物1:ウレタン系ハイブリッドガスバリア樹脂組成物。下記を混合して調製した。
ウレタンエマルジョン1(三井化学社製WPB-341) 27質量部
合成マイカ1(トピー工業社製NTS-5(NV6)) 67質量部
・ガスバリア樹脂組成物2:ポリビニルアルコール系ガスバリア樹脂組成物。下記操作により調製した。
下記原料を用いて、先ず、温水にポリビニルアルコール粉末1を添加して均一化し、次いでイソプロピルアルコールを添加して均一化して調製した。
温水(95℃) 96質量部
ポリビニルアルコール粉末1(クラレポバールPVA124) 4質量部
イソプロピルアルコール 4質量部
・ガスバリア樹脂組成物3:フィラー含有のポリビニルアルコール系ガスバリア樹脂組成物。下記操作により調製した。
下記原料を用いて、先ず、温水にポリビニルアルコール粉末1を添加して均一化し、次いで合成マイカ1とイソプロピルアルコールを添加して均一化して調製した。
温水(95℃) 96質量部
ポリビニルアルコール粉末1(クラレポバールPVA124) 4質量部
合成マイカ1(トピー工業社製NTS-5(NV6)) 20質量部
イソプロピルアルコール 4質量部
[固定目止め樹脂組成物]
・固定目止め樹脂組成物1:サカタインクス(株)社製アクリル系樹脂水性エマルジョン、AC-1。
・固定目止め樹脂組成物2:マイケルマン社製スチレン-アクリル共重合体水性エマルジョン、MC1548A。
・固定目止め樹脂組成物3:第一工業製薬社製ポリウレタン系樹脂水性エマルジョン、F-2235D。
・固定目止め樹脂組成物4:マイケルマン社製ポリエチレン系樹脂水性エマルジョン、MFP2300。
[紙基材]
・紙基材1:大王製紙社製、リュウオウコート。片面コート層付き。坪量55g/m2、厚さ49μm。コート面に(第1の)目止めコート剤を塗布して使用。
・紙基材1A:紙基材1と同一紙基材だが、非コート面に(第1の)目止めコート剤を塗布して使用。
・紙基材2:大王製紙社製、耐油紙S。坪量40g/m2、厚さ54μm。
[ヒートシール剤]
・ヒートシール剤1:マイケルマン社製ヒートシール剤、MP4983R。ポリエチレン系樹脂の水性溶媒分散液。
実施例A:片面バリア紙
[実施例A-1]
紙基材1の片面に固定目止め樹脂組成物1を、バーコーターを用いて塗布し、次いで100℃で乾燥(乾燥後塗布量:2g/m2)して目止め層を形成し、そして、ガスバリア樹脂組成物1をバーコーター機を用いて塗布し、次いで100℃で乾燥(乾燥後塗布量:2.5g/m2)してガスバリア層を形成して、下記層構成のバリア紙を得た。そして、各種評価を行った。
層構成:ガスバリア層/固定目止め層/紙基材層=ガスバリア樹脂組成物1(2.5g/m2)/固定目止め樹脂組成物1(2g/m2)/紙基材1(49μm厚)
[実施例A-2~9]
表1に記載された紙基材、固定目止め樹脂組成物、ガスバリア樹脂組成物の組み合わせで、実施例1と同様に操作して、バリア紙を作製し、同様に評価した。
[比較例A-1~9]
表2に記載された紙基材とガスバリア樹脂組成物の組み合わせで、固定目止コート層を形成せずに、紙基材層上に直接ガスバリア層を形成したこと以外は、実施例A-1と同様に操作して、紙積層体を得て、同様に評価した。
[比較例A-10~21]
表2、3に記載された紙基材、固定目止め樹脂組成物、ガスバリア樹脂組成物の組み合わせで、実施例A-1と同様に操作して、紙積層体を得て、同様に評価した。
実施例B:ガスバリア性紙系材料及びガスバリア性紙系包装体
[実施例B-1]
実施例A-1で作製したバリア紙のガスバリア層側表面にヒートシール剤1をバーコーターを用いて塗布し、次いで100℃で乾燥(乾燥後塗布量:10g/m2)してヒートシール層を形成して、表4に記載された、下記層構成のガスバリア性紙系材料を作製した。
そして、得られたガスバリア性紙系材料2枚を、ヒートシール層を対向させて重ねて、
4辺部をヒートシールして4方シール袋(内部サイズ15cm×15cm)形態のガスバリア性紙系包装体を作成した。
そして、ガスバリア性紙系包装体を作製する前のガスバリア性紙系材料のガスバリア性と、ガスバリア性紙系包装体を構成している製袋後のガスバリア性紙系材料のガスバリア性を測定した。
層構成:ヒートシール層(10g/m2)/ガスバリア層/固定目止め層/紙基材層=ガスバリア樹脂組成物2(0.9g/m2)/固定目止め樹脂組成物1(2g/m2)/紙基材1(49μm厚)
[実施例B-2~9]
実施例A-2~9それぞれで作製したバリア紙を用いて、実施例B-1と同様に操作して、表4に記載されたガスバリア性紙系材料を作製し、同様に評価した。
[比較例B-1~21]
比較例A-1~21のそれぞれで作製したバリア紙を用いて、実施例B-1と同様に操作して、表5、6に記載された紙系材料を作製し、同様に評価した。
<評価方法>
[酸素透過度]
酸素透過率測定装置(日立ハイテク製MOCON)を用いて、JIS K7126に準拠した温度23℃、湿度0%における酸素透過度を測定した。該装置の測定限界は、200cc/m2/日/atm。
測定試験片の、紙基材層側からガスバリア層側方向の酸素透過度を測定した。
屈曲処理は、バリア紙を、一度、紙層が外側になるように180度に二つ折り(山折り)して、元に戻すことによって行った。
[水蒸気透過度]
Mocon水蒸気透過率測定装置(日立ハイテク製MOCON)を用いて、JIS K7129に準拠した温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度を測定した。該装置の測定限界は、50g/m2/day。
測定試験片の、紙基材層側からガスバリア層側方向の水蒸気透過度を測定した。
バリア紙への屈曲処理は、バリア紙を一度、紙層が外側になるように180度に二つ折り(山折り)して、元に戻すことによって行った。
[層間密着性]
下記の操作により、バリア紙の何れかの層間の剥離有無を検出した。
1)バリア紙のガスバリア層にセロハンテープ(幅15mm×長さ50mm)を、片端10mmを残して、荷重1000g重で圧着した。
2)上記のセロハンテープの圧着されていない片端10mm部を把持し、テンシロン測定機を用いて、速度100mm/分で剥離し、バリア紙の剥離状況を目視して、下記に分類した。
分類A:層間剥離は全く発生していない。
分類B:紙基材層内の凝集剥離のみが発生。ガスバリア層と固定目止め層との密着性には問題が無い。
分類C:固定目止め層/紙基材層間の剥離、または固定目止め層内の凝集剥離が発生し、固定目止め層の密着性または破壊強度が十分でない。
分類D:ガスバリア層/固定目止め層間の剥離、またはガスバリア層内の凝集剥離が発生し、ガスバリア層の密着性または破壊強度が十分でない。
<結果まとめ>
本発明の片面構成のバリア紙は、全実施例Aにおいて、屈曲前及び屈曲後に良好な酸素バリア性及び水蒸気バリア性と層間密着性とを示した。
さらに、片面構成の全実施例Aのバリア紙にシーラント層(ヒートシール層)を形成して作製した全実施例Bのガスバリア性紙系材料は、ガスバリア性紙系包装体の製袋前及び製袋後に良好な酸素バリア性及び水蒸気バリア性と層間密着性を示した。
一方、ガスバリア層にバリア性樹脂(ポリウレタン系樹脂)を含有しない、固定目止め層を有さない、または固定目止め層に固定目止め性樹脂(ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂)を含有しない比較例A-1~21の積層体は、屈曲前または屈曲後の、酸素バリア性、水蒸気バリア性、密着性の何れかがが劣る結果を示した。
さらに、比較例Aの積層体にシーラント層(ヒートシール層)を形成して作製した比較例B-1~21の紙系材料は、包装体の製袋前または製袋後に、酸素バリア性、水蒸気バリア性、層間密着性の何れかが劣る結果を示した。
Figure 2022156000000002
Figure 2022156000000003
Figure 2022156000000004
Figure 2022156000000005
Figure 2022156000000006
Figure 2022156000000007
1 バリア紙、ガスバリア性紙系積層体
2 ガスバリア層
3 固定目止め層
4 紙基材層
5 ガスバリア性紙系材料
6 シーラント層(ヒートシール層)

Claims (10)

  1. 少なくとも、紙基材層の片面に、該紙基材層に接する固定目止め層と、該固定目止め層に接するガスバリア層とが積層された層構成を有し、
    該固定目止め層は、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、
    該ガスバリア層は、ポリウレタン系樹脂と無機充填材とを含有することを特徴とする、バリア紙。
  2. 前記固定目止め層は、無機充填材を更に含有することを特徴とする、請求項1に記載のバリア紙。
  3. 前記固定目止め層が、ポリウレタン系樹脂を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のバリア紙。
  4. JIS K7126に準拠した温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、0.01cc/m2/day/atm以上、20cc/m2/day/atm以下であることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載のバリア紙。
  5. JIS K7129に準拠した温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.01g/m2/daym以上、30g/m2/day以下であることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のバリア紙。
  6. 一旦180度に2つ折りして伸ばす屈曲処理後の、JIS K7126に準拠した温度23℃、湿度0%における酸素透過度が、0.1cc/m2/day/atm以上、100cc/m2/day/atm以下であることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のバリア紙。
  7. 一旦180度に2つ折りして伸ばす屈曲処理後の、JIS K7129に準拠した温度40℃、湿度90%における水蒸気透過度が、0.1g/m2/day以上、40g/m2/day以下であることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載のバリア紙。
  8. 請求項1~7何れか1項に記載のバリア紙を用いて作製された、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する、ガスバリア性紙系積層体。
  9. 請求項8に記載のガスバリア性紙系積層体を用いて作製された、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する、ガスバリア性紙系材料。
  10. 請求項9に記載のガスバリア性紙系材料を用いて作製された、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する、ガスバリア性紙系包装体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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