JP2022154761A - 自動車のサブフレーム構造 - Google Patents

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Takahiro Otani
正顕 田中
Masaaki Tanaka
泰成 神保
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剛 中野
Takeshi Nakano
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【課題】サイドメンバに対するクロスメンバの上下方向の曲げ剛性およびねじり剛性を向上させることができる自動車のサブフレーム構造を提供する。【解決手段】本発明による自動車のサブフレーム構造は、多角形状の閉断面を有するクロスメンバ20の開放端部20aが、サイドクロスメンバ24、26の外表面に結合され、その結合部(20a、22a)近傍の上方側および/または下方側において、クロスメンバ20の多角形状の閉断面の一つの角部には、長手方向に延びると共に上方に突出する突出部20cが形成され、さらに、この突出部20cは開放端部20aの他の部分よりも長手方向の外方向きに延長された延長部20dを有し、延長部20dがサイドクロスメンバ24、26の上方側および/または下方側でサイドクロスメンバ24、26の外表面に結合されている。【選択図】図7

Description

本発明は、自動車のサブフレーム構造に関し、特に、車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ、および、この一対のサイドメンバを互いに連結するように車幅方向に延びる前後クロスメンバにより井桁状に構成された自動車のサブフレーム構造に関する。
従来、マルチリンク式サスペンション装置として、5本のIリンクを備え、その各リンクの車体側の端部が、車体に取り付けられるサブフレームに連結され、各リンクの車輪側の端部が、車輪を支持するホイールサポートに連結されたものが知られている。このようなマルチリンク式サスペンションのサブフレームとして、一対のサイドメンバと前後のクロスメンバとで井桁状にフレームを構成したものが知られている。このようなサブフレームにおいて、前後のクロスメンバをサイドメンバの車幅方向内方の側面に突き当てて結合する構造が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
特開2006-347337号 独国特許出願公開第102010030292号明細書
このような井桁状のサブフレームでは、一対のサイドメンバおよび前後クロスメンバは、それぞれ、板状部材で形成された閉断面体であり、車幅方向に延びるクロスメンバの左右の開放端部をサイドメンバの車幅方向内方側面に突き当てて結合する構造が一般的である。
しかしながら、井桁状サブフレームでは、車両が路面上を走行するとき、車輪から加わる上下方向力(バンプ)や横力などの荷重が主な要因となって、サブフレーム全体に曲げ力やねじれ力が加わるので、操安性や振動防止などのために、そのような力に対する剛性を高める必要がある。
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、サイドメンバに対するクロスメンバの上下方向の曲げ剛性およびねじり剛性を向上させることができる自動車のサブフレーム構造を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、車幅方向左右両側でそれぞれ車両前後方向に延びる一対のサイドメンバと、この一対のサイドメンバを互いに連結するように車幅方向に延びる前側クロスメンバおよび後側クロスメンバとにより井桁状に構成された自動車のサブフレーム構造であって、前側クロスメンバおよび/または後側クロスメンバを構成するクロスメンバは、板状部材で構成され、その少なくとも左右両端部において多角形状の閉断面を有し、これらの多角形状の閉断面を有する左右両端部の開放端部が、それぞれ、一対のサイドメンバの外表面に結合され、クロスメンバにおけるサイドメンバへの結合部近傍の上方側および/または下方側において、クロスメンバの多角形状の閉断面の一つの角部には、クロスメンバの長手方向に延びると共に上方および/または下方に突出する突出部が形成され、さらに、これらの突出部は開放端部の他の部分よりも長手方向の外方向きに延長された延長部を有し、これらの延長部がサイドメンバの上方側および/または下方側でサイドメンバの外表面に結合されている、ことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、クロスメンバは、その上方および/または下方に突出した突出部により上下方向の曲げに対する強度(剛性)が高められており、また、突出部自体の上下方向の曲げに対する強度(剛性)も高められており、この強度が高められた突出部の延長部がサイドメンバの上方側および/または下方側でサイドメンバの外表面に結合されているので、クロスメンバのサイドメンバへの結合部の曲げ剛性とねじり剛性が向上させることができる。したがって、サイドメンバに対するクロスメンバの上下方向の曲げ剛性およびねじり剛性を向上させることができる。
また、本発明において、好ましくは、クロスメンバの左右両端部は、突出部の延長部の前後に、それぞれ、サイドメンバの外表面の形状と一致する湾曲部分を有し、これらの前後の湾曲部分がサイドメンバの外表面に溶接されている。
このように構成された本発明によれば、強度を高めた突出部の延長部によりクロスメンバをサイドメンバの上下に延ばしつつ、サイドメンバの外表面の形状と一致する前後の湾曲部分をサイドメンバの外表面に溶接することにより、クロスメンバのサイドメンバへの接合強度を高めることができる。これにより、より効果的に、サイドメンバに対するクロスメンバの上下方向の曲げ剛性およびねじり剛性を向上させることができる。
本発明の自動車のサブフレーム構造によれば、サイドメンバに対するクロスメンバの上下方向の曲げ剛性およびねじり剛性を向上させることができる。
本発明の実施形態による自動車のサブフレームを適用した自動車のリアサスペンションアッセンブリの斜視図である。 図1に示すリアサスペンションアッセンブリの上面図である。 図1に示すリアサスペンションアッセンブリの後面図である。 本実施形態による車両左側のリアサスペンションの上面図である。 図4のリアサスペンションの左側面図である。 図4のリアサスペンションの正面図である。 本実施形態による自動車のサブフレームの車両左側のフロントクロスメンバの構造およびサイドクロスメンバへの結合構造を示す斜め前方から見た斜視図である。 図7と同様の部分の構造を車両斜め後方から見た斜視図である。 本実施形態による自動車のサブフレームの車両左側のフロントクロスメンバの構造およびサイドクロスメンバへの結合構造を車両斜め後方の下方から見た斜視図である。 図9と同様の部分の構造を車両斜め後方の下方から見た斜視図である。 本実施形態によるフロントクロスメンバの上方部材を示す平面図である。 本実施形態によるフロントクロスメンバの上方部材を示す斜視図である。 本実施形態によるフロントクロスメンバの上方部材を示す側面図である。 本実施形態によるフロントクロスメンバの下方部材を示す平面図である。 本実施形態によるフロントクロスメンバの下方部材を示す斜視図である。 本実施形態によるフロントクロスメンバの下方部材を示す側面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による自動車のサブフレーム構造を説明する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
先ず、図1乃至図3により、本発明の実施形態による自動車のサブフレーム構造の全体構成を説明する。図1乃至図3は、本発明の実施形態による自動車の後輪サスペンション装置1(以下、単にリアサスペンションという)を自動車の左右両側の後輪にそれぞれ適用した実施形態を示し、図1は、本発明の実施形態による自動車のサブフレーム構造を適用した自動車のリアサスペンションアッセンブリの斜視図であり、図2は、図1に示すリアサスペンションアッセンブリの上面図であり、図3は、図1に示すリアサスペンションアッセンブリの後面図である。
本実施形態の自動車(車両)は、図示しないが、車体前部のエンジンルームにエンジンを搭載し、車体後部にディファレンシャルを配設して車軸(図示せず)により後輪2を駆動するようにした後輪駆動車である。
図1乃至図3に示すように、後輪サスペンション装置1のリアサスペンションアッセンブリは、左右一対のリアサスペンションが連結されたサブフレーム3を備えている。
まず、リアサスペンション装置1の概略構成を説明する。
本実施形態のリアサスペンション装置1は、独立した5本のIリンク4~8によって後輪2のホイールサポート10を車体に対しストローク可能に連結したマルチリンク式のものである。リアサスペンション装置1は、仮想的に上方のアームを構成する前側のアッパリンク(アッパアーム)4、および、後側のリーディングリンク(リーディングアーム)5と、仮想的に下方のアームを構成する前側のトレーリングリンク(トレーリングアーム)6、および、後側のロアリンク(ロアアーム)7と、仮想キングピン軸IK(図5参照)周りの後輪2の回動変位を規制するトーコントロールリンク(トーコントロールアーム)8とを備えている。アッパアーム4、リーディングアーム5、トレーリングアーム6およびロアアーム7は、それぞれ車体側の連結部(44、52、60、68)を中心に上下に揺動することによって、ホイールサポート10及び後輪2が所定の軌跡に沿って上下にストロークするようになっている。
また、そのような後輪2のストロークを許容しながら、同時に所定の付勢力及び減衰力を付与するための、コイルバネ12およびダンパ14を備えた緩衝装置16が設けられている。この緩衝装置16は、コイルバネ12とダンパ14とがほぼ同軸に配置された上下方向に長い円筒形状を有し、その上端部が車体に取り付けられている。緩衝装置16の下端部は、ロアアーム7に枢着されている。
また、サスペンション装置1には、左右のロアアーム7を連結するように延びるスタビライザーバー18が回動可能に取り付けられている。
次に、本実施形態によるサブフレーム3の概略構成を説明する。
サブフレーム3は、主に4つの鋼板製フレームを平面視で矩形枠状/井桁状に組み合わせて形成されており、それぞれ車幅方向に延びるフロントクロスメンバ(前側クロスメンバ)20およびリアクロスメンバ(後側クロスメンバ)22と、それらの左右両側の端部同士を連結するように車体の左右両側において車体前後方向に延びる一対のサイドクロスメンバ(サイドメンバ)24、26を備えている。
まず、本実施形態のフロントクロスメンバ20は、上下の板状部材120、220を互いに接合した閉断面の中空体として構成され、車両上方から見て、直線状に車幅方向に延び、その車幅方向の左右両端部/開放端部20aにおいて、それぞれ左右のサイドクロスメンバ24、26の各前端側の箇所に結合されている。
フロントクロスメンバ20は、図1および図2に示すように、車両前後方向で見ると、その長手方向の中央部分が左右両端部よりも上方に位置するように全体に湾曲するアーチ形状に形成されている。
また、フロントクロスメンバ20は、図2に示すように、車両上方から見ると、その長手方向の中央部分が直線状に延びると共に、その中央部分から左右両端部20aに向かうほど前後長さが拡大するように延びている。より詳細には、上方から見ると、フロントクロスメンバ20の前端縁が直線状に車幅方向に延び、かつ、その後端縁の中央部分が直線状に車幅方向に延びると共に後端縁の左右両側部分が中央部分よりも後方に位置するよう湾曲して車幅方向に延びている。
左右両側において前後長さが拡大した部分20bは、閉断面の開放端部20aを含み、図1および図2に示すように、各開放端部20aがサイドメンバ24、26の各前端側の箇所にそれぞれ結合(溶接接合)されている。
また、フロントクロスメンバ20の左右両端側には、それぞれサイドクロスメンバ24、26との結合部20aに近接した位置、かつ、サイドクロスメンバ24、26の上方側および下方側に、それぞれ、アッパアーム4の取付座(ピボット軸支部)28およびトレーリングアーム6の取付座(ピボット軸支部)30が設けられている(図4乃至図6参照)。左右両側の取付座28には、それぞれ、アッパアーム4の車体側の端部が連結され、左右両側の取付座30には、それぞれ、トレーリングアーム6の車体側の端部が連結されている。
次に、本実施形態のリアクロスメンバ22は、井桁状のサブフレーム3の一部を構成するリアクロスメンバ本体21と、主にロアアームを支持する役割を有する左右のリアクロスメンバ下方部(垂下部)23とを有し、車両上方から見て、車幅方向の左右両端部/開放端部22aにおいて、それぞれ左右のサイドクロスメンバ24、26の各前端側の箇所に結合されている。
リアクロスメンバ本体21は、前後の板状部材121、221を互いに接合した閉断面の中空体として構成され、車両上方から見て、その長手方向の中央部分がほぼ直線状に形成されると共に、その車幅方向の左右両側で、各両端部に向かうほど前後長さが拡大した拡大部分22bが形成されている。これらの拡大部分22bの開放端部22aが、サイドクロスメンバ24、26の各後端側の箇所にそれぞれ結合(溶接接合)されている。本実施形態では、このような構成により、リアクロスメンバ22自体およびサブフレーム3の剛性を確保するようにしている。
また、リアクロスメンバ本体21は、図3に示すように、車両後方から見ると、その長手方向の中央部分が左右両端部よりも下方に位置するように全体に湾曲するアーチ形状に形成されている。
また、リアクロスメンバ下方部23は、前後の3つの板状部材123、124、223(図5参照)を互いに接合した閉断面の中空体として構成されている。リアクロスメンバ下方部23は、サイドクロスメンバ24、26の車幅方向内方かつ近傍の位置で、リアクロスメンバ本体21の下部に結合(溶接接合)され、かつ、サイドクロスメンバ24、26の車幅方向外方側まで延びて、サイドクロスメンバ24、26の下方面および外方面に結合(溶接接合)されている。
リアクロスメンバ22の左右両端側には、サイドクロスメンバ24、26の上方側および下方側に、それぞれ、リーディングアーム5の取付座(ピボット軸支部)32およびロアアーム7の取付座(ピボット軸支部)34が設けられている(図4、図5参照)。左右両側の取付座32には、それぞれ、リーディングアーム5の車体側の端部が連結され、左右両側の取付座34には、それぞれ、ロアアーム7の車体側の端部が連結されている。
本実施形態では、リアクロスメンバ下方部23の下端部が、ロアアーム7の取付座34として形成され、また、リアクロスメンバ下方部23の上端部は、リーディングアーム5の取付座32の一部として形成されている(図4、図5参照)。
また、リアクロスメンバ下方部23の後面23bには、上方から見て、各サイドクロスメンバ24、26の車幅方向内方の位置、かつ、後方から見て、各サイドクロスメンバ24、26の斜め下方の位置に、トーコントロールアーム8の取付座(ピボット軸支部)36が設けられている。左右両側の取付座36には、それぞれ、トーコントロールアーム8の車体側の端部が連結されている。
次に、左右のサイドクロスメンバ24、26は、それぞれ、車両上方から見て、その長手方向の中央部分が前後端部に比べて車幅方向内方に位置するよう湾曲するとともに、側面視では、後端部から前端部にわたって車両前方に斜め下方に延びている(図5参照)。これらのサイドクロスメンバ24、26の前側部分には、上述した取付座28、30が設けられ、その後側部分には、上述した取付座32、34が設けられている。
また、サイドクロスメンバ24、26には、サブフレーム3全体を車体に弾性支持させるための弾性マウント38、40が設けられている、これらの弾性マウント38、40は、各サイドクロスメンバ24、26の前端部および後端部の計4箇所に設けられている。各弾性マウント38、40は、上下方向に軸線を有する円筒形状を有し、各サイドクロスメンバ24、26に形成された凹部に取り付けられている。各サイドクロスメンバ24、26において、各弾性マウント38、40は、車両上方から見て、前端部の弾性マウント38と後端部の弾性マウント40とを結ぶ直線が、車体前後方向の中心線CL(図2にのみ示す)とほぼ平行になるように配置される。
各弾性マウント38、40には、「すぐり」と言われる所定の空隙が形成され、各弾性マウント38、40は、その軸線に対して、前後方向と左右方向とで硬さ(所定のたわみ量(mm)を生じさせる荷重(N)の大きさで示される特性)が異なるよう形成されている。各弾性マウント38、40は、いずれも、車両前後方向の硬さに対して車幅方向の硬さが大きくなるような向きとなるよう、サイドクロスメンバ24、26に取り付けられている。
次に、図4乃至図6により、車両左側のリアサスペンション装置1について、各アーム4~8の配置構成およびサブフレーム3のアーム支持構成を説明する。図4は、本実施形態による車両左側のリアサスペンションの上面図であり、図5は、図4のリアサスペンションの左側面図であり、図6は、図4のリアサスペンションの正面図である。車両右側のリアサスペンション装置1は、車両左側のリアサスペンション1と同じ構成を有しているので、以下では、その説明を省略する。
まず、図4乃至図6に示すように、アッパアーム4は、その車体側の端部が弾性ブッシュ(ゴム製のブッシュであり、以下、「ブッシュ」という)42を介してサイドクロスメンバ24(26)のピボット軸支部28に連結されている。アッパアーム4は、車両上方から見て、車体側の連結部44から車幅方向外方に向かうほど徐々に後方に位置するように後傾して延びている。車輪側の連結部46では、アッパアーム4の車輪側の端部がブッシュ48を介してホイールサポート10に連結されている。
アッパアーム4のピボット軸支部28は、サイドクロスメンバ24、26に基部が溶接された対向する2つの板状部材で構成され、これらの板状部材により、アッパアーム4の車体側のピボット部が軸支されている(図4乃至図6参照)。
次に、リーディングアーム5は、その車体側の端部がブッシュ50を介して上述したピボット軸支部32に連結されている。リーディングアーム5は、車両上方から見て、車体側の連結部52から車幅方向外方に向かうほど徐々に前方に位置するように前傾して延びている。車輪側の連結部54では、リーディングアーム5の車輪側の端部がブッシュ56を介してホイールサポート10に連結されている。
リーディングアーム5のピボット軸支部32は、対向する2つの板状部材で構成され、本実施形態では、その一方が、上述したリアクロスメンバ下方部23の上端部であり、他方が、サイドクロスメンバ24、26に基部が溶接された板状部材である(図4、図5参照)。
このように、2本の上方のアーム4、5は、車両上方から見て、車体外方側に向かって互いに接近するように配置されている。
本実施形態では、車体側の各ブッシュ42、50および車輪側の各ブッシュ48、56にピロボールジョイントを採用している。
次に、トレーリングアーム6は、その車体側の端部がブッシュ58を介して上述したピボット軸支部30に連結されている。トレーリングアーム6は、車両上方から見て、車体側の連結部60から車幅方向外方に向かうほど徐々に後方に位置するように後傾して延びている。車輪側の連結部62では、トレーリングアーム6の車輪側の端部がブッシュ64を介してホイールサポート10に連結されている。
トレーリングアーム6のピボット軸支部30は、2つの対向するL字状の側面部材を互いに溶接した断面コの字状のアーム支持ブラケット30であり、対向する側面部により、トレーリングアーム6の車体側のピボット部が軸支されている(図5、図6参照)。
次に、ロアアーム7は、その車体側の端部がブッシュ66を介して上述したピボット軸支部34に連結されている。ロアアーム7は、車両上方から見て、車体側の連結部68から車幅方向外方に向かうほど徐々に前方に位置するように前傾して延びている。車輪側の連結部70では、トレーリングアーム6の車輪側の端部がブッシュ72を介してホイールサポート10に連結されている。
ロアアーム7のピボット軸支部34は、上述したリアクロスメンバ下方部23の下端部であり、その下端部の前後の板状部材123、223により、ロアアーム7の車体側のピボット部が軸支されている(図5参照)。
このように、2本の下方のアーム6、7は、車両上方から見て、車幅方向外方に向かって互いに接近するように配置されており、主にこの配置によって、後輪2には、制動時などに路面G(図3参照)からの制動力が後輪2に作用すると、その車両後方への変位に伴い幾何学的にトーインが付与され(前後力コンプライアンスステア)、また、旋回時に後輪2に横力が加わると、主に下方のアーム6、7の各ブッシュ56、64が撓むことにより、後輪2がトーインの向きに変化するようになっている(横力コンプライアンスステア)。
本実施形態では、車体側の各ブッシュ58、66および車輪側の各ブッシュ64、72にピロボールジョイントを採用している。
次に、トーコントロールアーム8は、その車体側の端部がブッシュ74を介して上述したピボット軸支部36に連結されている。トーコントロールアーム8は、車両上方から見て、車体側の連結部76から車幅方向外方に向かうほど徐々に前方に位置するように前傾して延びている。車輪側の連結部78では、トレーリングアーム6の車輪側の端部がブッシュ80を介してホイールサポート10に連結されている。
本実施形態では、車体側のブッシュ74および車輪側のブッシュ80にピロボールジョイントを採用している。
トーコントロールアーム8のピボット軸支部36は、プレス成形で一体的に形成された断面コの字状のアーム支持ブラケット37を有している。ピボット軸支部36は、このアーム支持ブラケット37の軸支部と、前後方向に対向する位置に形成された、リアクロスメンバ下方部23側の軸支部とで構成され、そのような2つの対向する軸支部により、コントロールアーム8の車体側のピボット部が軸支されている(図3、図5参照)。
ここで、リアサスペンションには、アッパアーム4の仮想延長線とリーディングアーム5の仮想延長線との交点と、トレーリングアーム6の仮想延長線とロアアーム7の仮想延長線との交点とを上下に結ぶ仮想キングピン軸IK(図5参照)が形成される。この仮想キングピン軸は、後輪2の操向方向(トー方向)への回動の瞬間回転中心である。
次に、図4乃至図6により、ホイールサポート10の構成および各アームの取付構成を説明する。
まず、図4乃至図6に示すように、ホイールサポート10には、その中央部に、ハブ82が取り付けられると共に、車軸(図示せず)が貫通する開口部84が形成されている。
また、ホイールサポート10には、開口部84より車両前方側の部分に、車幅方向内方に突出する前方縦壁部86が形成され、この前方縦壁部86に、アッパアーム4、リーディングアーム5およびトレーリングアーム6が連結されている。図6に示すように、この前方縦壁部86の外縁には補強リブ86aが形成されている。
また、ホイールサポート10には、開口部84の下方部分に、車幅方向内方に突出する下方縦壁部88が形成され、この下方縦壁部88にロアアーム7が連結されている。
さらに、ホイールサポート10には、開口部84より車両後方側の部分に、車幅方向内方に突出する後方縦壁部90が形成され、この後方縦壁部90にトーコントロールアーム8が連結されている。
次に、図7乃至図10により、フロントクロスメンバ20のサイドクロスメンバ24、26への結合構造を説明する。図7は、本実施形態による自動車のサブフレームの車両左側のフロントクロスメンバの構造およびサイドクロスメンバへの結合構造を示す斜め前方から見た斜視図であり、図8は、図7と同様の部分の構造を車両斜め後方から見た斜視図であり、図9は、本実施形態による自動車のサブフレームの車両左側のフロントクロスメンバの構造およびサイドクロスメンバへの結合構造を車両斜め後方の下方から見た斜視図であり、図10は、図9と同様の部分の構造を車両斜め後方の下方から見た斜視図である。
まず、図7乃至図10に示すように、フロントクロスメンバ20は、上方側の板状部材(上側部材)120と下方側の板状部材(下側部材)220を互いに溶接して結合された閉断面の中空体であり、左右の開放端部20aを含む前後長さの拡大部分(左右両端部20aの近傍部分)20bは、おおよそ4つの角部を有する多角形状の閉断面を有している(図13および図16を参照)。これらの左右両側の開放端部(左右両側で車幅方向に開放した開口部)20aが、それぞれ、サイドクロスメンバ24(26)の外表面に結合されている。また、左右両側の開放端部20aの一部は、それぞれ、サイドクロスメンバ24(26)の内側面に突き当てるようにして結合されている。
次に、図7および図8に示すように、左右両端部20aの近傍部分20bには、その後縁部の角部に、後縁部に沿って(フロントクロスメンバ20の長手方向に沿って)延びると共に、上方に突出する突出部20cが形成されている。本実施形態において、この突出部20cは、上側部材120に形成されている。
この突出部20cは、さらに、開放端部20aの他の部分よりも、フロントクロスメンバ20の長手方向の外方向きに延長された延長部20dを有している。すなわち、突出部20cは、上方から見て、サイドクロスメンバ24(26)の内側面の位置に対して、開放端部20aの他の部分よりも車幅方向外方に延長された延長部20dを有している。
本実施形態では、このような延長部20dが、サイドクロスメンバ24(26)の上側面に結合されている。この延長部20dの結合は、図7および図8に示すように、延長部20dの前後の部分20eが、図中符号Wで示す溶接ラインWに沿って、サイドクロスメンバ24(26)の外表面に溶接されることで構成される。より詳細には、延長部20dの前後の部分20eは、上側部材120における開放端部20aであって、サイドクロスメンバ24(26)の外表面の形状に沿うような湾曲形状に形成された部分であり、これらの前後の湾曲部分20eが、サイドクロスメンバ24(26)の上側面に溶接されている。
また、サイドクロスメンバ24(26)の外表面上では、延長部20dに対向した位置に、アッパアーム4のピボット軸支部28の一方側の板状部材が溶接されている(溶接ラインW参照)。
なお、変形例として、このような突出部20cや延長部20dを下側部材220に形成し、上側部材120と同様に、サイドクロスメンバ24(26)の外表面、すなわち、この場合はサイドクロスメンバ24(26)の下側面に結合するようにしてもよい。また、この場合は、下側部材220における突出部(20c)は下方に突出させるのがよい。
次に、図7、図9および図10に示すように、フロントクロスメンバ20の開放端部20aには、その前方縁かつ下方縁の角部の近傍に、下方に膨出する膨出部20fが形成され、この膨出部20fには、トレーリングアーム6のアーム支持ブラケット30の外形に沿うような、ほぼL字状の切り欠き部20gが形成されている(図16参照)。ここで、トレーリングアーム6のアーム支持ブラケット30は、2つの対向するL字状の側面部材を互いに溶接した断面コの字状のアーム支持ブラケット30であり、前後方向に対向する側面部30a、30bおよび車幅方向内方側の後面部30cを有している。このようなアーム支持ブラケット30は、その基部30dがサイドクロスメンバ24、26に結合(溶接接合)され、2つの対向する側面部により、トレーリングアーム6の車体側のピボット部が軸支されている(図7、図9、図10参照)。
本実施形態では、膨出部20fの切り欠き部20gは、図9および図10に示すように、アーム支持ブラケット30の対向する2つの側面部30aのうち、一方の側面部30aに溶接され(溶接ラインW参照)、また、図7および図9に示すように、ブラケット30の後面部30cにも溶接される(溶接ラインW参照)。また、本実施形態では、図7に示すように、切り欠き部20gは、アーム支持ブラケット30を構成する2つの断面L字状部材の一方に溶接されている(溶接ラインW参照)。
このように本実施形態では、フロントクロスメンバ20の開放端部20aの一部は、下側部材220に膨出部20fと切り欠き部20gを形成することにより、ブラケット30の側面部30aの一方と後面部30cとを囲うように付き当てて溶接されている。
なお、切り欠き部20gを、ブラケット30の両側面30a、30bと後面部30cとを囲うようにコの字状の開口部として形成し、この開口部を突き当てて溶接してもよい。
次に、図9および図10に示すように、下側部材220における開放端部20aには、上述した膨出部20fの後方側の部分に、サイドクロスメンバ24(26)の外表面の形状に沿うような形状に形成された外方縁部20hが形成されると共に、この外方縁部20hが、図中符号Wで示す溶接ラインWに沿って、サイドクロスメンバ24(26)の下側面に溶接されている。
ここで、アーム支持ブラケット30は、そのコの字状に延びる基部30dが、サイドクロスメンバ24(26)の下側面に溶接されている(溶接ラインW参照)。本実施形態では、下側部材220に下方に膨出する膨出部20fを形成すると共に切り欠き部20gを形成することにより、図9および図10に示すように、アーム支持ブラケット30の基部30dから下方に離間した位置で、ブラケット30の側面部30aに溶接されるようにしている。これにより、特に図10に示すように、基部30dと、下方膨出部20fと、サイドクロスメンバ24(26)の下面部との間に空間Sが形成されるようにし、これにより、アーム支持ブラケット30によるアーム支持剛性を高めるようにしている。すなわち、主に膨出部20fにより形成される空間Sは、外方縁部20hが、その前方側の膨出部20fを介してブラケット30を側方から支持するために形成されているのである。特に、アーム支持ブラケット30の基部30dの近傍部分に加わる曲げ力に対する強度が向上し、その分、ブラケット30の曲げ剛性が向上して、トレーリングアーム6のピボット位置がブレなくなる。
なお、変形例として、このような膨出部20fを上側部材120に形成し、下側部材220と同様に、アームピボット軸支部(たとえばアッパアーム4のピボット軸支部28)に溶接するようにしてもよい。また、この場合は、上側部材120における膨出部(20f)は上方に膨出させるのがよい。
また、変形例として、このような膨出部20fおよび切り欠き部20gをトレーリングアーム6以外のアーム(たとえば、アッパアーム4やリーディングアーム5など)の支持部に、上述したように溶接するようにしてもよい。
また、変形例として、このようなフロントクロスメンバ20の構造を、リアクロスメンバに適用してもよい。
次に、図11乃至図13に示すように、フロントクロスメンバ20の上側部材120は、板状の鋼板部材をプレス成形したものであり、上述した両端部20aおよび前後拡大部分20bを有し、また、上側部材120には、上述した突出部20c、延長部20d、および、前後の湾曲部分20eが形成されている。
次に、図14乃至図16に示すように、フロントクロスメンバ20の下側部材220は、板状の鋼板部材をプレス成形したものであり、上述した両端部20aを有し、また、下側部材220には、上述した膨出部20f、切り欠き部20g、および、外方縁部20hが形成されている。
次に、本実施形態および変形例の作用効果を説明する。
本実施形態およびその変形例によれば、フロントクロスメンバ20および/またはリアクロスメンバ22を構成するクロスメンバは、板状部材で構成され、その少なくとも左右両端部20a(22a)において多角形状の閉断面を有し、これらの多角形状の閉断面を有する左右両端部の開放端部20a(22a)が、それぞれ、一対のサイドクロスメンバ24、26の外表面に結合され、クロスメンバ20、22におけるサイドクロスメンバ24、26への結合部(20a、22a)近傍の上方側および/または下方側において、クロスメンバ20、22の多角形状の閉断面の一つの角部には、長手方向に延びると共に上方および/または下方に突出する突出部20cが形成され、さらに、これらの突出部20cは開放端部20a(22a)の他の部分よりも長手方向の外方向きに延長された延長部20dを有し、これらの延長部20dがサイドクロスメンバ24、26の上方側および/または下方側でサイドクロスメンバ24、26の外表面に結合されている。
このように構成された本実施形態および変形例によれば、クロスメンバ20、22は、その上方および/または下方に突出した突出部20cにより上下方向の曲げに対する強度(剛性)が高められており、また、突出部20c自体の上下方向の曲げに対する強度(剛性)も高められており、この強度が高められた突出部20cの延長部20dがサイドクロスメンバ24、26の上方側および/または下方側でサイドクロスメンバ24、26の外表面に結合されているので、クロスメンバ20、22のサイドクロスメンバ24、26への結合部の曲げ剛性とねじり剛性が向上させることができる。
また、本実施形態および変形例においては、クロスメンバ20(22)の左右両端部20a(22a)は、突出部20cの延長部20dの前後に、それぞれ、サイドクロスメンバ24、26の外表面の形状と一致する湾曲部分20eを有し、これらの前後の湾曲部分20eがサイドクロスメンバ24、26の外表面に溶接されているので、クロスメンバ20(22)のサイドクロスメンバ24、26への接合強度を高めることができる。
1 自動車のサスペンション装置/リアサスペンションアッセンブリ
2 後輪
3 サブフレーム
4 アッパアーム
5 リーディングアーム
6 トレーリングアーム
7 ロアアーム
8 トーコントロールアーム(コントロールアーム)
10 ホイールサポート
16 緩衝装置
18 スタビライザーバー(スタビライザーリンク)
20 フロントクロスメンバ
20a 両端部/左右開放端部
20b 拡大部分
20c 突出部
20d 延長部
20e 前後の湾曲部分
20f 膨出部
20g 切り欠き部
20h 外方縁部
21 リアクロスメンバ本体
23 リアクロスメンバ下方部
22 リアクロスメンバ
22a 両端部/左右開放端部/
24、26 サイドクロスメンバ(サイドメンバ)
30 トレーリングアーム6の支持ブラケット(ピボット軸支部)
30a、30b アーム支持ブラケットの側面部
30c アーム支持ブラケットの後面部
30d アーム支持ブラケットの基部
120、220 フロントクロスメンバ20の上下の板状部材
123、124、223 リアクロスメンバの前後の板状部材
IK 仮想キングピン軸
S 空間
W 溶接ライン(溶接線)

Claims (2)

  1. 車幅方向左右両側でそれぞれ車両前後方向に延びる一対のサイドメンバと、この一対のサイドメンバを互いに連結するように車幅方向に延びる前側クロスメンバおよび後側クロスメンバとにより井桁状に構成された自動車のサブフレーム構造であって、
    上記前側クロスメンバおよび/または上記後側クロスメンバを構成するクロスメンバは、板状部材で構成され、その少なくとも左右両端部において多角形状の閉断面を有し、これらの多角形状の閉断面を有する左右両端部の開放端部が、それぞれ、上記一対のサイドメンバの外表面に結合され、
    上記クロスメンバにおける上記サイドメンバへの結合部近傍の上方側および/または下方側において、上記クロスメンバの多角形状の閉断面の一つの角部には、上記クロスメンバの長手方向に延びると共に上方および/または下方に突出する突出部が形成され、さらに、これらの突出部は上記開放端部の他の部分よりも長手方向の外方向きに延長された延長部を有し、これらの延長部が上記サイドメンバの上方側および/または下方側で上記サイドメンバの外表面に結合されている、ことを特徴とする自動車のサブフレーム構造。
  2. 上記クロスメンバの上記左右両端部は、上記突出部の延長部の前後に、それぞれ、上記サイドメンバの外表面の形状と一致する湾曲部分を有し、これらの前後の湾曲部分が上記サイドメンバの外表面に溶接されている、請求項1に記載の自動車のサブフレーム構造。
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