JP2022149890A - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】周方向の広範囲、特に全体にわたりファイバ角が小さくされた車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】外方部材1はリブ部1Rと非リブ部1Zとを含む。リブ部1Rは第1取付フランジ1Bが外方部材1と一体として含まれる。第1取付フランジ1Bは、外方部材1の周方向に関する一部において、非リブ部1Zに対して径方向に突起するように含まれる。リブ部1Rと非リブ部1Zとの双方において、外輪軌道面に隣接するファイバフローが転動体との接点における外輪軌道面の接線との間でなす角度としてのファイバ角が均一である。【選択図】図3
Description
本開示は、車輪用軸受装置に関するものである。
軸受装置、特に車輪用の軸受装置においては、軌道面に剥離が起こる場合がある。当該剥離は、軸受の外輪などを構成する鋼材中の非金属介在物が軌道面に露出することが一因となる。非金属介在物が軌道面に露出した部分が剥離の起点となるためである。軌道面と、その近くでの炭素鋼のファイバフローとのなす角度であるファイバ角が大きければ、非金属介在物が軌道面に露出する可能性が高くなる。そこでファイバ角が極力小さくされ、非金属介在物に起因する軌道面の剥離を抑制することが望まれる。この観点から、ファイバ角が極力小さくなるように生産工程および製品形状が設計されることが好ましい。
ここで、たとえば外輪、内輪およびハブ輪からなるいわゆる第3世代の車輪用軸受装置においては、外輪のファイバフローが最もファイバ角が大きくなる傾向がある。そこで、特開2013-116689号公報(特許文献1)においては、外輪(外方部材)の製造において、鍛造工程の後に冷間ローリング加工によって外輪軌道面にファイバフローを沿わせ、外輪軌道面に交差するファイバフローの角度を小さくする技術が提案されている。
ただし車輪用軸受の外輪等の全体におけるファイバフローの流れ(ファイバフローの延びる形状)は、外輪などの外方部材の鍛造工程および製品形状によるところが大きい。このため特開2013-116689号公報のように冷間ローリング加工のみがなされても、ファイバ角を小さくするよう制御するには不十分である。
そもそも特開2013-116689号公報に開示されるいわゆる第3世代の車輪用軸受装置においては、外方部材に相手部材(車体)を組み付けるための径方向外側への突起部であるリブ部が形成される。リブ部は外方部材の周方向の一部のみ形成され、周方向についてのリブ部以外の領域は非リブ部とされる。リブ部と非リブ部とは間ではファイバ角が全く異なる。鍛造時の鋼材の流れ方が異なるためである。
本開示は上記の課題に鑑みなされたものである。その目的は、周方向の広範囲、特に全体にわたりファイバ角が小さくされた車輪用軸受装置を提供することである。
本開示に従った車輪用軸受装置は、外方部材と、内方部材と、転動体とを備えている。外方部材は内周に外輪軌道面を含み、相手部材に組み付け可能である。内方部材は外周に内輪軌道面を含み、外方部材の内周側に対向する。転動体は外輪軌道面および内輪軌道面の間に配置される。外方部材はリブ部と、リブ部以外の非リブ部とを含む。リブ部は、取付フランジが外方部材と一体として含まれる。取付フランジは、外方部材の周方向に関する一部において、非リブ部に対して径方向に突起するように含まれる。リブ部と非リブ部との双方において、外輪軌道面に隣接するファイバフローが、転動体との接点における外輪軌道面の接線との間でなす角度としてのファイバ角が均一である。
本開示によれば、周方向の広範囲、特に全体にわたりファイバ角が小さくされた車輪用軸受装置を提供できる。
以下、本実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず図1~図3を用いて、本実施の形態の車輪用軸受装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る車輪用軸受装置の構成を示す概略断面図である。図2は、図1に示す車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。図3は、図2の外方部材を矢印IIIの方向から見た態様を示す概略図である。言い換えれば、図3中のII-II線に沿う断面図が図2である。
(実施の形態1)
まず図1~図3を用いて、本実施の形態の車輪用軸受装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る車輪用軸受装置の構成を示す概略断面図である。図2は、図1に示す車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。図3は、図2の外方部材を矢印IIIの方向から見た態様を示す概略図である。言い換えれば、図3中のII-II線に沿う断面図が図2である。
図1を参照して、本実施の形態に係る車輪用軸受装置10は、図示されない車両の車体に組み付け可能である。以下では車輪用軸受装置10が車体に組み付けられた状態で、車両の幅方向の外側寄りとなる側をアウター側OTとし、車両の幅方向の中央寄りとなる側をインナー側INとする。すなわち図1では車輪用軸受装置10の左側がアウター側OTであり、車輪用軸受装置10の径方向外側に図示されない車輪が取り付けられている。ここでの径方向は、概ね図1での上下方向に相当し、軸方向AXを示す鎖線を中心とする仮想の円環形状の径の方向である。
車輪用軸受装置10が車体に組みつけられた際に、車輪用軸受装置10は軸方向AXに沿って延びることができる。軸方向AXは車輪用軸受装置10が組み付けられる車輪が車体に対してハンドルで旋回されていないまっすぐの状態においては、車体の幅方向(図1の左右方向)である。軸方向AXは車輪用軸受装置10単独の幅方向(図1の左右方向)である。また図1では車輪用軸受装置10の右側がインナー側INであり、車輪用軸受装置10の右側が車体の中央側となる。したがって図1での右端よりさらに右側の図示されない領域に、車輪用軸受装置10が取り付けられる車輪と対となる他の車輪が取り付けられる。
図1の車輪用軸受装置10は、軸方向AXが図示される位置を中心とする仮想の円環形状の径方向に並ぶように、外方部材1と、内方部材2と、転動体3とを主に備えている。
外方部材1は、単一の部材からなっている。外方部材1は、概ね環状の部材である。外方部材1は、内周に外輪軌道面1Aを含んでいる。外方部材1の内周とは、径方向についての内側の環状の部分、つまり外方部材1のうち軸方向AXを示す鎖線に最も近い部分である。外方部材1には、外輪軌道面1Aが複列に形成されている。すなわち外輪軌道面1Aは、軸方向AXに沿って互いに間隔をあけて複数(図1では2列)形成されている。外輪軌道面1Aは軸方向AXを示す鎖線から径方向に一定距離だけ離れた位置に1周、円環形状を有するように形成されている。外方部材1は、図示されない車両の車体(相手部材)に組み付け可能である。これにより車輪用軸受装置10が当該車両に組み付け可能である。
内方部材2は、概ね環状の部材である。内方部材2は、外方部材1の内周側に対向している。つまり内方部材2は、少なくとも後述の第2取付フランジ4Bなど一部の領域を除き、径方向について外方部材1と間隔をあけて外方部材1よりも軸方向AXに近い側に配置されている。内方部材2は、2つの部材を含んでいる。すなわち内方部材2は、第1内方部材としてのハブ輪4と、第2内方部材としての内輪2Dとを含んでいる。ハブ輪4は、外周に内輪軌道面4Aを含んでいる。内輪2Dは、外周に内輪軌道面2Aを含んでいる。図1において内輪軌道面4Aは内輪軌道面2Aよりもアウター側OTに配置される。内方部材2の外周とは、径方向についての外側の環状の部分、つまり内方部材2のうち軸方向AXを示す鎖線から最も遠い部分である。内輪軌道面4Aと内輪軌道面2Aとは、軸方向AXにおいて隣り合う。内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aは1列ずつ(合計2列)、いずれも軸方向AXを示す鎖線から径方向に一定距離だけ離れた位置に1周、円環形状を有するように形成されている。
転動体3は、外輪軌道面1A上ならびに、内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aのいずれかの上に配置されている。具体的には、複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1Aと、内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aのいずれかとの間に配置されている。別の観点から言えば、複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1A上に設けられている。同様に、複数の転動体3の各々は、内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aのいずれかの上に設けられている。複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1Aと内輪軌道面2A,4Aとの間で転動するように構成されている。複数の転動体3の各々は、保持器5により周方向に所定のピッチで配置される。これにより、円環状の外輪軌道面1A上および内輪軌道面2A,4A上において転動自在に保持されている。複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1Aおよび内輪軌道面2A,4Aの周方向に沿って回転可能に構成されている。以上の構成により、外方部材1および内方部材2は、互いに相対的に回転可能となっている。
図1および図2、図3を参照して、図1の車輪用軸受装置10は、いわゆる第3世代の車輪用軸受装置である。すなわち図1~図3の車輪用軸受装置10の外方部材1は、リブ部1Rと、非リブ部1Zとを含んでいる。リブ部1Rは、周方向について第1取付フランジ1B(取付フランジ)が形成されている領域である。第1取付フランジ1Bは、外方部材1の周方向、すなわち図3にて鎖線で示す円形の周方向に関する一部に形成されている。第1取付フランジ1Bは、非リブ部1Zに対して径方向のたとえば外側に突起するように延びている。つまりリブ部1Rは、それ以外の非リブ部1Zに比べて、最外部が径方向の外側まで延びた領域である。リブ部1Rにおいては、第1取付フランジ1Bが外方部材1と一体として含まれている。非リブ部1Zはリブ部1R以外の領域であり、外方部材1の(径方向の)最外部にリブ部1Rが形成されない領域である。以上のように、周方向について第1取付フランジ1Bが形成される領域の全体(第1取付フランジ1Bが形成される領域よりも径方向内側の領域を含む)をリブ部1Rと称している。また周方向についてリブ部1R以外の第1取付フランジ1Bが形成されない領域の、径方向内側の領域を含む全体を非リブ部1Zと称している。
リブ部1Rは、外方部材1の周方向について間隔をあけて1つ以上(図3では4つ)形成されている。このため複数すなわち4つのリブ部1Rは、周方向について互いに間隔をあけて形成されている。ただし4つのリブ部1Rは、周方向について必ずしも等間隔ずつ離れるように形成されなくてもよい。周方向について隣り合う1対のリブ部1Rの間の領域は非リブ部1Zである。図3においては上側2つのリブ部1Rの周方向中央同士の間隔、および下側2つのリブ部1Rの周方向中央同士の間隔(第1間隔)はほぼ等しい。左上のリブ部1Rと左下のリブ部1Rとの周方向中央同士の間隔、および右上のリブ部1Rと右下のリブ部1Rとの周方向中央同士の間隔(第2間隔)はほぼ等しい。しかし第1間隔と第2間隔とは等しくなく、第2間隔の方が第1間隔よりも大きい。このような構成であってもよい。ただし第1間隔と第2間隔とが互いに等しく、たとえば4つのリブ部1Rが周方向に位相90°ずつ間隔をあけて形成されてもよい。またリブ部1Rの数は4つに限らず任意である。たとえばリブ部1Rの数は6つであっても、8つであってもよい。
リブ部1Rは、外方部材1をたとえば車体(相手部材)に取り付け可能とするために設けられた、外方部材1の径方向外側への突起部である。このため外方部材1は回転せず固定される。リブ部1Rには、図示されないナックルに締結されるネジ部1Cが形成されている。
外方部材1は炭素鋼などの鋼材により形成される。このため外方部材1は、材料組織にファイバフローが複数形成されている。複数のファイバフローの一部は外輪軌道面1Aを通るように形成されている。つまり複数のファイバフローの一部は外輪軌道面1Aに交差している。後述する通り、図1、図2が示す軸方向AXを通る断面図にて、リブ部1Rと非リブ部1Zの双方において、外輪軌道面1Aに隣接するファイバフローが、転動体3との接点における外輪軌道面1Aの接線との間でなす角度としてのファイバ角が均一である。特に、たとえばリブ部1Rと非リブ部1Zとの双方における外方部材1の全周において、外輪軌道面1Aに隣接するファイバフローの外輪軌道面1Aに交差する点での接線と、その点での外輪軌道面1Aの接線との間でなす角度が均一であることが好ましい。
再度図1を参照して、いわゆる第3世代である車輪用軸受装置10の内方部材2は、第2取付フランジ4Bを一体として含んでいる。つまり内方部材2を構成するハブ輪4には第2取付フランジ4Bが形成されている。第2取付フランジ4Bは、ハブ輪4(内方部材2)を図示されない車輪に取り付け可能とするために設けられた、ハブ輪4の径方向外側への突起部である。このため内方部材2は回転可能とされる。ハブ輪4は、第2取付フランジ4Bを一体として有している。ただし図示されないが、内方部材2を構成する内輪2Dに第2取付フランジ4Bが一体に形成されてもよい。第2取付フランジ4Bは、ハブ輪4(または内輪2D)の外周の複数箇所に形成されることが好ましい。第2取付フランジ4Bは、たとえば外方部材1の周方向に位相90°ずつ間隔をあけて4つ形成されていることが好ましい。ただし第2取付フランジ4Bの形成される数はこれに限らず任意である。第2取付フランジ4Bには貫通孔4Cが形成されている。貫通孔4Cを貫通するように、車輪を取り付けるためのハブボルト8が配置可能となっている。ハブボルト8は図示されない車輪のたとえばホイールと、軸方向AXから見たときに重なるように配置されている。これによりハブボルト8は当該ホイールに固定されている。
内方部材2の特にハブ輪4の軸方向AXを示す鎖線周りには軸貫通孔4Gが形成されている。たとえば車輪用軸受装置10が駆動輪に取り付けられる場合には、軸貫通孔4Gを貫通するように車軸が配置され、車軸に連結される等速自在継手が設けられる。等速自在継手は、図示されないエンジンまたはディファレンシャルギアに接続される。これによりエンジンの動力などが車輪用軸受装置10から車輪に伝えられる。ただし車輪用軸受装置10が従動輪に取り付けられる場合には、ハブ輪4に軸貫通孔4Gが形成されてもよいが、形成されなくてもよい。従動輪用のハブ輪4に軸貫通孔4Gを形成すれば、ハブ輪4を含む車輪用軸受装置10を軽量化できる。
外方部材1と内方部材2との間の空間は、シール部7で密封されている。シール部7は、外方部材1の軸方向AXの左端部および右端部の双方に配置されている。シール部7で密封された空間が軸受内部空間を構成する。シール部7は、たとえば外方部材1の内面1M,1Nに装着される。
図2を再度参照して、外方部材1は図1のように設置されたときの軸方向AXを通る断面において、以下に述べる形状および寸法の特徴を有することが好ましい。なおここで述べる各部分は、周方向について1周、円環形状となるように形成されている。ただしリブ部1Rは例外的に、周方向の一部の領域のみに配置される。外方部材1は、リブ部1R、非リブ部1Zともに、径方向の外側において径方向に延びる部分の付根部(径方向の最も内側)に、湾曲部1F,1Gを有している。特に外方部材1が径方向に沿って延びる部分(リブ部1Rを含む)のアウター側OTに湾曲部1Fが、インナー側INに湾曲部1Gが、形成されている。湾曲部1F,1Gは曲面(球面の一部)の形状を有する凹部である。湾曲部1Fは径方向内側に向けてややインナー側INによるように、図1において傾斜した断面形状を有していてもよい。湾曲部1Gは径方向内側に向けてややアウター側OTによるように、図2において傾斜した断面形状を有していてもよい。
湾曲部1Gのインナー側INには、湾曲部1Gに連なるように、外面1Hが形成されている。湾曲部1Fのアウター側OTには、湾曲部1Fに連なるように、外面1Iが形成されている。外面1Iのアウター側OTには、屈曲部12を介して、外面1Iに連なるように傾斜面1Jが形成されている。屈曲部12は図2の断面にて折れ曲がった点状の境界にすぎないため、傾斜面1Jは外面1Iに連なるように隣接している。傾斜面1Jのアウター側OTには、屈曲部12を介して外面1Kが形成されている。外面1Kは外面1Hよりも径方向内側に配置される。
外方部材1のインナー側INの端部には内面1Mが、アウター側OTの端部には内面1Nが形成されている。これらは外面よりも径方向内側に配置される。径方向内側は、インナー側INからアウター側OTへ、内面1M、湾曲部1L、カウンタボアCB、外輪軌道面1A、内面1S、外輪軌道面1A、カウンタボアCB,湾曲部1Q、内面1Nの順に並んでいる。カウンタボアCBは、外方部材1の内周を形成する面が部分的に径方向の内側に突起する部分である。内面1Sは内面1M,1Nよりも径方向内側に配置される。
外面1H,1I,1Kおよび内面1M,1N,1Sは、軸方向AXに沿って円筒形状に延びている。傾斜面1Jは軸方向AXに対して傾斜するように円錐の側面形状として延びている。
外方部材1のリブ部1Rは、図1のように軸方向AXについて、中央よりもややインナー側INに寄るように固定可能な形状とされてもよい。ただし図1とは逆に、リブ部1Rは軸方向AXについて中央よりもややアウター側OTに寄るように車体に固定されてもよい。またリブ部1Rは、径方向の最外周が、アウター側OTの端部において曲面状であり、インナー側INの端部においてほぼ直角に交わる平面状であってもよい。さらに、外方部材1のリブ部1Rは、軸方向AXに延びる寸法が、外方部材1全体の軸方向AXについての寸法(左端部と右端部との距離)の1/5以上であることが好ましい。そのなかでもリブ部1Rの軸方向AX寸法は、外方部材1全体の軸方向AX寸法のたとえば25%以上であることが好ましく、30%以上であってもよい。ただしリブ部1Rの軸方向AXの寸法T1と、非リブ部1Zの軸方向AXの寸法T2とは同じでもよいが異なってもよい。またリブ部1Rの第1取付フランジ1Bの付根部である湾曲部1Fの曲面を球面としたときの半径R1は、非リブ部1Zの最外部に近い付根部である湾曲部1Fの曲面を球面としたときの半径R2に対して、同じでもよいが異なってもよい。
以上のように図2に示す外方部材1の形状および寸法の特徴について説明したが、本実施の形態に適用可能な外方部材1の形状および寸法はこれに限られない。
次に、図4~図9を用いて、本実施の形態の車輪用軸受装置の製造方法について説明する。
図4は、実施の形態1の車輪用軸受装置に含まれる外方部材の製造工程の第1工程を示す概略図である。図4を参照して、外方部材1は、以下のように製造される。たとえば炭素鋼からなる円柱形状のバー材20が準備される。バー材20の内部には、たとえばその延在方向に均一に、ファイバフローFFが多数通っている。
図5は、実施の形態1の車輪用軸受装置に含まれる外方部材の製造工程の第2工程を示す概略図である。図5を参照して、図4のバー材20が加熱されながら、たとえば上下方向に縮むように圧縮加工される。その後に当該バー材20が鍛造加工される。これにより中間素材11が形成される。中間素材11は外方部材1の完成品の外形に比較的近い形状を有している。中間素材11は周方向の全周に、最終的に第1取付フランジ1Bとなるべき領域としてのリブ11Bが形成されている。また図示されないが、図中最も内側の円形よりも内側の空洞部分には、打ち抜き部とされる円板部が形成されてもよい。
図6は、実施の形態1の車輪用軸受装置に含まれる外方部材の製造工程の第3工程を示す概略図である。図6を参照して、リブ部1Rとなるべき領域のリブ11Bを残して、それ以外の非リブ部1Zとなるべき領域のリブ11Bが、打ち抜き加工により除去される。打ち抜き部とされる円板部が形成される場合はこの部分も打ち抜かれ、除去されることによりたとえば図2の内面1S(または内面1Sを形成するためのニアネットシェイプ)が露出される。これにより点線で示す余分なリブ11Bが除去され、必要な領域のみにリブ11Bが残存する。このリブ11Bが残存したものが第1取付フランジ1Bである。なお打ち抜きにより除去される余分なリブ11Bは、部分的に欠けを生じても問題ない。
その後、旋削加工により、さらに余分な領域が除去されてもよい。その他の工程については一般公知の方法により形成される。以上により、図1~図3に示す形状の外方部材1が形成される。
図7は、図6の工程の変形例を示す概略図である。たとえば図6においては、鍛造による中間素材11の成型時に、残存されるべきリブ11Bの中心Oに対する径が、除去されるべきリブ11Bの中心Oに対する径と(ほぼ)同一とされる。このように中間素材11が成型されることが好ましい。しかし図7を参照して、鍛造による中間素材11の成型時に、残存されるべきリブ11Bの中心Oに対する半径R3が、除去されるべきリブ11Bの中心Oに対する半径R4と異なるようにされてもよい。具体的には、半径R4が半径R3よりも小さくされてもよい。
図8は、中間素材のうちリブが残存されるべき領域を、図2と同様に軸方向に沿うように見た断面図である。図9は、中間素材のうちリブが除去されるべき領域を、図2と同様に軸方向に沿うように見た断面図である。図8および図9を参照して、鍛造により成型される中間素材11は、残存されるべきリブ11Bの厚みT3と、除去されるべきリブ11Bの厚みT4とが(ほぼ)同一とされることが好ましい。しかし厚みT3と厚みT4とは異なるようにされてもよい。具体的には、厚みT4が厚みT3より薄くされてもよい。これにより、完成品の外方部材1は、非リブ部1Zの径方向の最外部での厚みT2(図2参照)が、リブ部1Rの第1取付フランジ1Bの径方向の最外部での厚みT1(図2参照)よりも薄くなってもよい。
また中間素材11は、残存されるべきリブ11Bの付根部の曲面を球面の一部としたときの半径R5と、除去されるべきリブ11Bの付根部の曲面の半径R6とが(ほぼ)同一とされることが好ましい。しかし半径R5と半径R6とは異なるようにされてもよい。具体的には、半径R6が半径R5よりも小さくてもよい。これにより、完成品の外方部材1は、非リブ部1Zの最外部に近い付根部の半径R2が、リブ部1Rの第1取付フランジ1Bの付根部の半径R1よりも小さくなってもよい。
次に図10~図13を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図10は、外方部材内における、外輪軌道面に隣接するファイバフローと、外輪軌道面に露出する非金属介在物との態様の第1例を示す概略図である。図11は、外方部材内における、外輪軌道面に隣接するファイバフローと、外輪軌道面に露出する非金属介在物との態様の第2例を示す概略図である。図10および図11を参照して、鋼材中の非金属介在物41は、鍛造工程時にファイバフローFFの延びる方向に沿って引き延ばされる。図10においては、ファイバフローFFが外輪軌道面1Aに交差する点におけるファイバフローFFの外輪軌道面1Aの接線(図10の左右方向)とのなす角度であるファイバ角が90°である。一方、図11においては、上記のように定義されるファイバ角が10°である。深さW1は深さW2より大きい。図10のようにファイバ角が大きい方が、図11のようにファイバ角が小さい場合よりも、非金属介在物41が外輪軌道面1A上に露出し、この部分を起点とする剥離が生じやすくなる。このためファイバ角がなるべく小さくなるように外方部材1が加工されることが好ましい。
図10は、外方部材内における、外輪軌道面に隣接するファイバフローと、外輪軌道面に露出する非金属介在物との態様の第1例を示す概略図である。図11は、外方部材内における、外輪軌道面に隣接するファイバフローと、外輪軌道面に露出する非金属介在物との態様の第2例を示す概略図である。図10および図11を参照して、鋼材中の非金属介在物41は、鍛造工程時にファイバフローFFの延びる方向に沿って引き延ばされる。図10においては、ファイバフローFFが外輪軌道面1Aに交差する点におけるファイバフローFFの外輪軌道面1Aの接線(図10の左右方向)とのなす角度であるファイバ角が90°である。一方、図11においては、上記のように定義されるファイバ角が10°である。深さW1は深さW2より大きい。図10のようにファイバ角が大きい方が、図11のようにファイバ角が小さい場合よりも、非金属介在物41が外輪軌道面1A上に露出し、この部分を起点とする剥離が生じやすくなる。このためファイバ角がなるべく小さくなるように外方部材1が加工されることが好ましい。
より正確には、特に完成品におけるファイバ角は以下のように定義される。転動体3と外輪軌道面1Aとの接点における外輪軌道面1Aの接線をL1とする。当該接点と転動体3の中心とを結ぶ直線と、外輪軌道面1Aに隣接する(最も近い)ファイバフローFFとの交点におけるファイバフローFFの接線をL2とする。接線L1と接線L2とのなす角度がファイバ角である。中間素材11のファイバ角は、転動体3と外輪軌道面1Aとの接点となるべき位置に隣接する位置での接線をL1と仮定し、そこに隣接するファイバフローとのなす角度で近似される。
ここで、第3世代の車輪用軸受装置のように第1取付フランジ1Bが形成される外方部材1は、リブ部1Rと非リブ部1Zとを有する。図12は、鍛造により形成されたリブ部におけるファイバフローを示す断面図である。図13は、鍛造により形成された非リブ部におけるファイバフローを示す断面図である。たとえば図4のように、全体において延在方向に沿ってファイバフローFFが均一に通るバー材20を鍛造してリブ部と非リブ部との双方が形成される場合を考える。この場合、図12および図13を参照して、図12のようにリブ11Bが残存しリブ部1Rとなるべき領域におけるファイバフローFFと、図13のように非リブ部1Zとなるべき領域におけるファイバフローFFとの形状(通り方)がまったく異なる。この差は、リブ部と非リブ部との最外部の形状の差により、両者間で鍛造時における材料の流れ方が異なるためである。
図12および図13においては外輪軌道面1Aに近い形状を有する外表面11Aが形成されている。外表面11Aは最終的に外輪軌道面1Aとなる、外輪軌道面1Aのニアネットシェイプである。図13の非リブ部での外表面11Aに隣接するファイバフローFFは、図12のリブ部での外表面11Aに隣接するファイバフローFFに比べて、外表面11Aの接線とのなす角度(ファイバ角)が大きい。リブ部の位置、外輪軌道面1Aの位置などによって、ファイバ角は上記のような大小関係となることがある。
以上のように、鍛造工程によりリブ部と非リブ部とが形成された中間素材11においては、リブ部と非リブ部との間でファイバ角が大きく異なる。したがって当該中間素材11から形成された外方部材1は、外輪軌道面1Aのファイバ角が、周方向についての異なる領域間で大きく異なり、均一とならない。このため特に非リブ部においてファイバ角を小さくすることは困難である。
さらに、第3世代の車輪用軸受装置10の外方部材1は、ファイバ角が、鍛造工程時に投入するバー材20(図4参照)の寸法、打ち抜き加工がされる位置に応じて変化する。このことからも、鍛造工程時に形成される中間素材のファイバ角を制御することは困難である。たとえば円柱形状であるバー材20の底面の直径を変更すれば、形成される外方部材1のファイバ角に影響する。しかし材料メーカーおよび材質によって、購入できるバー材20の底面の直径は変わるため当該直径の値には制約がある。また打ち抜き加工がされる位置は、打ち抜き加工時の材料の流れを考慮して、材料が欠ける不具合が起こるリスクが小さくなるように設定する必要がある。このため打ち抜き加工がされる位置も自由に制御することはできず制約がある。これらの制約があるため、ファイバ角を制御することは困難である。
以上の観点から、本実施の形態において形成される車輪用軸受装置10は、外方部材1と、内方部材2と、転動体3とを備えている。外方部材1は内周に外輪軌道面1Aを含み、相手部材に組み付け可能である。内方部材2は外周に内輪軌道面2A,4Aを含み、外方部材1の内周側に対向する。転動体3は外輪軌道面1Aおよび内輪軌道面2A,4Aの間に配置される。外方部材1は、第1取付フランジ1Bが外方部材1と一体として含まれるリブ部1Rと、リブ部1R以外の非リブ部1Zとを含む。第1取付フランジ1Bは、外方部材1の周方向に関する一部において、非リブ部1Zに対して径方向に突起するように含まれる。リブ部1Rと非リブ部1Zとの双方において、外輪軌道面1Aに隣接するファイバフローFFが、転動体3との接点における外輪軌道面1Aの接線との間でなす角度としてのファイバ角が均一である。
図5~図6の工程に示すように、中間素材11を鍛造する際には周方向の全周においてリブ11Bを形成し、これを一部の領域のみ残存させてリブ部1Rを形成し、他の領域についてはリブ11Bが除去された非リブ部1Zとする。ここで、バー材20(図4参照)の状態でのファイバフローFFは全体において延在方向に沿って均一に通っている。このためこれにより、リブ部1Rと非リブ部1Zの双方にて、図12のようにファイバフローFFが形成される。非リブ部1Zとなるべき領域にも鍛造工程においてはリブ11Bが形成されるために、リブ部1Rとなるべき領域と同様に材料が流れ、全周での材料の流れ方を均一にできるためである。このため非リブ部1Zであっても、図12のリブ部1Rと同様に、図13に比べて外表面11Aにおけるファイバ角を小さくすることができる。したがって外方部材1は周方向の全周において均一に、ファイバ角の小さい領域を形成できる。その結果、比較的周方向の領域間のファイバ角のばらつきが小さくなるように形成できる。
バー材20のファイバフローFFが均一に流れていれば、バー材20の鍛造により、ファイバフローFFは材料の流れに合わせるように変形する。このためバー材20のファイバフローFFが均一であれば、鍛造工程において全周に均一にリブ11Bが形成されることで、全周にわたって均一にファイバフローFFが変形する。このため後工程にてニアネットシェイプの外表面11A(図12参照)が旋削加工されたとしても、リブ部1Rと非リブ部1Zとの双方において旋削後の完成品の外輪軌道面1Aに交差するファイバフローFFの流れは同様(均一)となる。したがって上記製法により、リブ部1Rと非リブ部1Zとの双方において、リブ部1Rと同等にファイバ角の小さいファイバフローFFの流れを形成できる。これにより、周方向の広範囲にわたり、外輪軌道面1Aの剥離を抑制する効果が高められる。
ここで、リブ部1Rと非リブ部1Zとの双方においてファイバ角が「均一」とは、以下のように定義される。図2の上側に示すリブ部1Rと非リブ部1Zとのそれぞれの外輪軌道面1A上の1点に隣接するファイバフローFFのファイバ角が上記のように測定される。このときたとえば図2での測定点P1および測定点P2のように、断面図における各外輪軌道面1Aのほぼ同じ位置(転動体3との接点)を測定点として測定される。リブ部1Rと非リブ部1Zとのそれぞれについて測定される点数は1点以上の任意であるが、リブ部1Rと非リブ部1Zとのそれぞれについて同数ずつ測定される。リブ部1Rと非リブ部1Zとを併せた複数のファイバ角の測定値(ファイバ角)のうち最大値と最小値との差(ばらつき)が10°以下であることを、リブ部1Rと非リブ部1Zとの間でファイバ角が均一であると定義する。
なおリブ部1Rでのファイバ角(の測定値)と、非リブ部1Zでのファイバ角(の測定値)はいずれも15°以下であることが好ましい。すなわち上記のようにリブ部1Rと非リブ部1Zとのそれぞれについて同数点ずつ測定されたファイバ角は、いずれも15°以下(測定値のうち最大のものでも15°以下)であることが好ましい。このようにすれば、リブ部1R、非リブ部1Zにかかわらずファイバ角を均一に小さくすることができる。このため外方部材1の周方向の広範囲(リブ部1Rと非リブ部1Zとを含む)にわたり、外輪軌道面1Aの剥離を抑制する効果が高められる。
上記車輪用軸受装置10は以下の構成を有してもよい。上記外方部材1には、軸方向AXに沿って複列の外輪軌道面1Aが含まれる。複列の外輪軌道面1Aのそれぞれの、リブ部1Rおよび非リブ部1Zに対して個別に、上記と同様の定義および測定方法の下で、ファイバ角(の測定値)が求められる。この結果として得られる、複列を併せた外輪軌道面1Aにおいて、リブ部1Rと非リブ部1Zとを併せたファイバ角のばらつきは10°以下である。複列の外輪軌道面1Aにおいて、リブ部1Rでのファイバ角(の測定値)と、非リブ部1Zでのファイバ角(の測定値)はいずれも15°以下であることが好ましい。つまりたとえば2列の外輪軌道面1Aを有する場合、当該2列のそれぞれについて測定されるため、1列の場合に比べて測定点の数が2倍になる。
このようにすれば、複列の外輪軌道面1Aのそれぞれについて同様に、ファイバ角を均一にし、外輪軌道面1Aの剥離を抑制する効果が高められる。このため外方部材1の全体にわたり、外輪軌道面1Aの剥離を抑制する効果が高められる。
上記車輪用軸受装置10は、特に外方部材の全周において前記ファイバ角が均一であることが好ましい。より具体的には、たとえば外方部材1の全周に渡って、リブ部1Rと同等にファイバ角の小さいファイバフローFFの流れを形成できる。これにより、リブ部1Rであるか非リブ部1Zであるかにかかわらず、周方向の全体にわたり、外輪軌道面1Aの剥離を抑制する効果が高められる。
ここで、外方部材1の「全周において」とは、図2のリブ部1Rと非リブ部1Zとのそれぞれを1点以上ずつ含むように、周方向に間隔をあけて合計10点以上ずつについて測定することを意味する。「全周において」の定義においてはリブ部1Rでの測定点数と非リブ部1Zでの測定点数とは同数でなくてもよい。周方向に隣り合う2つの測定点間の角度(位相)はすべて等しくなくてもよい。ただし周方向の広範囲をまんべんなく測定する観点から、周方向に隣り合う2つの測定点間の角度(位相)は45°以下とする。以上は転動体3の数が10個を超える場合についてである。転動体3の数が10個以下であれば、すべての転動体3の外輪軌道面1Aとの接点を用いて1点ずつ測定される。上記と同様に各測定点でのファイバ角の測定値が求められ、それらのうち最大値と最小値との差(ばらつき)が10°以下であることを、ファイバ角が全周において均一であると定義する。
なお複列の外輪軌道面1Aのそれぞれの全周において、(リブ部1Rと非リブ部1Zとにかかわらず)上記のようにファイバ角が「均一」、すなわちばらつき(最大値と最小値との差)が10°以下であり、いずれのファイバ角も15°以下であることがより好ましい。
ファイバ角は、図10および図11のように外輪軌道面1Aの断面をエッチングすることによりファイバフローFFを現出させた後に、たとえば画像処理により実測される。
以上の、10°以下が好ましいとされる「ばらつき」は、8°以下であることがより好ましく、その中でも7°以下であることが好ましい。さらに当該ばらつきは、5°以下であることがいっそう好ましい。またファイバ角の測定値は15°以下のなかでも、10°以下であることがより好ましく、その中でも7°以下であることが好ましい。さらに当該ファイバ角は5°以下であることがより好ましい。
本実施の形態におけるいわゆる第3世代の車輪用軸受装置10は、外方部材1の外周にリブ部1Rが一体形成され、かつハブ輪4の外周に内輪軌道面4Aが直接形成されている。第3世代の車輪用軸受装置10は、相手部材と取り付けるための部材が外輪および内輪と一体化されることにより、車輪用軸受装置10の構成の簡略化およびコスト低減が可能となる。
(実施の形態2)
図14は、実施の形態2に係る車輪用軸受装置の構成を示す概略断面図である。図14を参照して、本実施の形態に係る車輪用軸受装置10は、大筋で実施の形態1の車輪用軸受装置10と同様の構成を有する。このため図14において実施の形態1と同一の構成要素には実施の形態1と同一の符号を付し、機能等の特徴が同様である限りその説明を繰り返さない。特に記さない限り、実施の形態1に記載した事項は実施の形態2についても同様に成立する。
図14は、実施の形態2に係る車輪用軸受装置の構成を示す概略断面図である。図14を参照して、本実施の形態に係る車輪用軸受装置10は、大筋で実施の形態1の車輪用軸受装置10と同様の構成を有する。このため図14において実施の形態1と同一の構成要素には実施の形態1と同一の符号を付し、機能等の特徴が同様である限りその説明を繰り返さない。特に記さない限り、実施の形態1に記載した事項は実施の形態2についても同様に成立する。
図14の車輪用軸受装置10は、いわゆる第2世代の車輪用軸受装置である。すなわち車輪用軸受装置10を構成する車輪用軸受は、外方部材1と、内方部材としての内輪2Dと、転動体3とを備えている。内輪2Dは軸方向AXにおいて隣り合うように複列(2列)形成されており、それぞれの内輪2Dに1列ずつ、内輪軌道面2Aが形成されている。ハブ輪4は内方部材とは別の部材として配置されており、ハブ輪4には内輪軌道面は形成されていない。ただし外方部材1は実施の形態1と同様に、たとえば車体に取り付け可能にするための第1取付フランジ1Bを一体として含んでおり、ここにネジ部1Cが形成されている。外方部材1の形状や寸法の特徴は実施の形態1と同様であってもよいし、異なっていてもよい。
なお本実施の形態の第2世代としての外方部材1は、第1取付フランジ1Bとして、車体取付フランジを有する構成であってもよいが、車輪取付フランジを有する構成であってもよい。この場合、外方部材が回転可能であり、内輪が固定輪として用いられる。
本実施の形態のように第2世代の車輪用軸受装置10は、外方部材1の外周に第1取付フランジが一体形成されている。このような第2世代の車輪用軸受装置10の外方部材1も、実施の形態1の外方部材1と同様の特徴を有する構成とすることにより、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 外方部材、1A 外輪軌道面、1B 第1取付フランジ、1C ネジ部、1D 外輪、1F,1G,1L,1Q 湾曲部、1H,1I,1K 外面、1J 傾斜面、1M,1N,1S 内面、1Z 非リブ部、2 内方部材、2A,4A 内輪軌道面、2D 内輪、3 転動体、4 ハブ輪、4B 第2取付フランジ、4C 貫通孔、4G 軸貫通孔、5 保持器、7 シール部、8 ハブボルト、10 車輪用軸受装置、11 中間素材、11A 外表面、11B リブ、12 屈曲部、20 バー材、41 非金属介在物、CB カウンタボア、FF ファイバフロー、IN インナー側、OT アウター側。
Claims (4)
- 内周に外輪軌道面を含み、相手部材に組み付け可能な外方部材と、
外周に内輪軌道面を含み、前記外方部材の内周側に対向する内方部材と、
前記外輪軌道面および前記内輪軌道面の間に配置される転動体とを備え、
前記外方部材は、取付フランジが前記外方部材と一体として含まれるリブ部と、前記リブ部以外の非リブ部とを含み、
前記取付フランジは、前記外方部材の周方向に関する一部において、前記非リブ部に対して径方向に突起するように含まれ、
前記リブ部と前記非リブ部との双方において、前記外輪軌道面に隣接するファイバフローが、前記転動体との接点における前記外輪軌道面の接線との間でなす角度としてのファイバ角が均一である、車輪用軸受装置。 - 前記リブ部と前記非リブ部とを併せた前記ファイバ角のばらつきは10°以下であり、
前記リブ部での前記ファイバ角と、前記非リブ部での前記ファイバ角はいずれも15°以下である、請求項1に記載の車輪用軸受装置。 - 前記外方部材には、前記軸方向に沿って複列の前記外輪軌道面が含まれ、
前記複列の外輪軌道面において、前記リブ部と前記非リブ部とを併せた前記ファイバ角のばらつきは10°以下であり、
前記複列の外輪軌道面において、前記リブ部での前記ファイバ角と、前記非リブ部での前記ファイバ角はいずれも15°以下である、請求項2に記載の車輪用軸受装置。 - 前記外方部材の全周において前記ファイバ角が均一である、請求項1~3のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
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JP2021052227A JP2022149890A (ja) | 2021-03-25 | 2021-03-25 | 車輪用軸受装置 |
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