JP2022134976A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】打ち抜きすべき位置に関わらず、外方部材のファイバ角を小さくすることが可能な車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】外方部材1には、外輪軌道面1Aのうち最も外周側に配置される底部1Pから内周面1FTが延びる。内周面1FTは、底部1Pから、外方部材1の外周側に向かうように、相手部材の軸方向に対して傾斜する方向に延びる。【選択図】図2

Description

本開示は、車輪用軸受装置に関するものである。
軸受、特に車輪用軸受に使用される炭素鋼には、酸化アルミニウム(Al23)などの非金属介在物が含まれている。非金属介在物は鋼材より硬度が高い。このため軸受の軌道面の内部に非金属介在物が存在すれば、その非金属介在物の周辺にせん断応力が生じる。せん断応力により、軸受における非金属介在物の周辺にき裂が発生しやすくなる。非金属介在物の周辺に生じたき裂は、ファイバフローに沿って軌道面まで進展し、軌道面の剥離(以下、内部起点剥離と呼ぶ)の原因となる。つまり非金属介在物は軸受の転動疲労寿命が短縮される原因となる。
内部起点剥離を抑制するためには、軌道面と、その近くでの炭素鋼のファイバフローとのなす角(以下、ファイバ角と呼ぶ)を小さくするか、あるいは非金属介在物の含有量が少ない鋼材を用いることが好ましい。非金属介在物が微量であれば、たとえファイバ角が大きくても、転動疲労寿命への大きな影響はないことがわかっているためである。しかし炭素鋼の非金属介在物の含有量はロットによってばらつきがある。非金属介在物が多く含まれ、ファイバ角が大きい炭素鋼が車輪用軸受に使用されれば、内部起点剥離が起こりやすくなる。
外輪、内輪およびハブ輪からなるいわゆる第3世代の車輪用軸受装置においては、外輪のファイバフローが最もファイバ角が大きくなる傾向がある。そこでたとえば特開2008-101685号公報(特許文献1)には、外輪のファイバ角をなるべく小さくする観点から次のようにされる。鍛造工程において中間素材が形成される。中間素材の外輪軌道面に対応する溝部が、円弧状の断面となるように形成される。断面における当該溝部の接線方向にカウンタボアが形成される。これにより、外輪軌道面に対応する部分のファイバフローが外輪軌道面に沿ってほぼ平行となるように形成される。このため、溝部の旋削による完成品の形成時に外輪軌道面でのファイバ角を小さくでき、転動疲労寿命を延長できる。なお完成品におけるカウンタボアは、溝底部を残してわずかに径方向内方に突出し、シール部に向かって漸次拡径するテーパ状に形成されている。
特開2008-101685号公報
特開2008-101685号公報に開示される方法により、多くの車輪用軸受装置においてはファイバ角を小さくできる。しかし一部の車輪用軸受装置においては、外輪などの外方部材の鍛造工程にて形成される、後の旋削加工時に打ち抜きすべき位置が、インナ側とアウタ側とのいずれかに偏った位置に形成される。インナ側とは、当該外方部材が車体に取り付けられた時の車両の幅方向の中央寄りに相当する方向を意味する。アウタ側とは、当該外方部材が車体に取り付けられた時の車両の幅方向の外側寄りに相当する方向を意味する。打ち抜きすべき位置が偏っている場合、旋削加工の後に外輪軌道面でのファイバ角が大きくなる。特開2008-101685号公報においてはこのような課題について考慮されていない。
本開示は以上の課題に鑑みなされたものである。その目的は、打ち抜きすべき位置に関わらず、外方部材のファイバ角を小さくすることが可能な車輪用軸受装置を提供することである。
本開示に従った車輪用軸受装置は、外方部材と、内方部材と、転動体とを備えている。外方部材は内周に外輪軌道面を含み、相手部材に組み付け可能な取付フランジを一体として含んでいる。内方部材は外周に内輪軌道面を含み、外方部材の内周側に対向する。転動体は外輪軌道面および内輪軌道面の間に配置される。外方部材には、外輪軌道面のうち最も外周側に配置される底部から内周面が延びる。内周面は、底部から、外方部材の外周側に向かうように、相手部材の軸方向に対して傾斜する方向に延びる。
本開示によれば、打ち抜きすべき位置に関わらず、外方部材のファイバ角を小さくすることが可能な車輪用軸受装置を提供できる。
実施の形態1に係る車輪用軸受装置の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1における車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。 実施の形態1の車輪用軸受装置に含まれる外方部材の製造工程を示す概略断面図である。 比較例の外方部材の形状、およびその製造工程を示す概略断面図である。 比較例のアウター側の外輪軌道面への転動体の接触態様、および外輪軌道面周辺でのファイバフローの形状を示す、部分概略断面図である。 実施の形態1の外方部材の完成品のファイバフローを示す断面図である。 実施の形態2における車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。 実施の形態3における車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。
以下、本実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず図1~図2を用いて、本実施の形態の車輪用軸受装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る車輪用軸受装置の構成を示す概略断面図である。図2は、実施の形態1における車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。
図1を参照して、本実施の形態に係る車輪用軸受装置10は、図示されない車両の車体に組み付け可能である。以下では車輪用軸受装置10が車体に組み付けられた状態で、車両の幅方向の外側寄りとなる側をアウター側OTとし、車両の幅方向の中央寄りとなる側をインナー側INとする。すなわち図1では車輪用軸受装置10の右側がアウター側OTであり、車輪用軸受装置10の径方向外側に図示されない車輪が取り付けられている。ここでの径方向は、概ね図1での上下方向に相当し、軸方向AXを示す鎖線を中心とする仮想の円環形状の径の方向である。
車輪用軸受装置10が車体に組みつけられた際に、車輪用軸受装置10は軸方向AXに沿って延びることができる。軸方向AXは車輪用軸受装置10が組み付けられる車輪が車体に対してハンドルで旋回されていないまっすぐの状態においては、車体の幅方向(図1の左右方向)である。軸方向AXは車輪用軸受装置10単独の幅方向(図1の左右方向)である。また図1では車輪用軸受装置10の左側がインナー側INであり、車輪用軸受装置10の左側が車体の中央側となる。したがって図1での左端よりさらに左側の図示されない領域に、車輪用軸受装置10が取り付けられる車輪と対となる他の車輪が取り付けられる。
図1の車輪用軸受装置10は、軸方向AXが図示される位置を中心とする仮想の円環形状の径方向に並ぶように、外方部材1と、内方部材2と、転動体3とを主に備えている。
外方部材1は、単一の部材からなっている。外方部材1は、概ね環状の部材である。外方部材1は、内周に外輪軌道面1Aを含んでいる。外方部材1の内周とは、径方向についての内側の環状の部分、つまり外方部材1のうち軸方向AXを示す鎖線に最も近い部分である。外方部材1には、外輪軌道面1Aが複列に形成されている。すなわち外輪軌道面1Aは、軸方向AXに沿って互いに間隔をあけて複数(図1では2列)形成されている。外輪軌道面1Aは軸方向AXを示す鎖線から径方向に一定距離だけ離れた位置に1周、円環形状を有するように形成されている。外方部材1は、図示されない車両の車体(相手部材)に組み付け可能である。これにより車輪用軸受装置10が当該車両に組み付け可能である。
内方部材2は、概ね環状の部材である。内方部材2は、外方部材1の内周側に対向している。つまり内方部材2は、少なくとも後述の第2取付フランジ4Bなど一部の領域を除き、径方向について外方部材1と間隔をあけて外方部材1よりも軸方向AXに近い側に配置されている。内方部材2は、2つの部材を含んでいる。すなわち内方部材2は、第1内方部材としてのハブ輪4と、第2内方部材としての内輪2Dとを含んでいる。ハブ輪4は、外周に内輪軌道面4Aを含んでいる。内輪2Dは、外周に内輪軌道面2Aを含んでいる。図1において内輪軌道面4Aは内輪軌道面2Aよりもインナー側INに配置される。内方部材2の外周とは、径方向についての外側の環状の部分、つまり内方部材2のうち軸方向AXを示す鎖線から最も遠い部分である。内輪軌道面4Aと内輪軌道面2Aとは、軸方向AXにおいて隣り合う。内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aは1列ずつ(合計2列)、いずれも軸方向AXを示す鎖線から径方向に一定距離だけ離れた位置に1周、円環形状を有するように形成されている。
転動体3は、外輪軌道面1A上ならびに、内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aのいずれかの上に配置されている。具体的には、複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1Aと、内輪軌道面2Aと内輪軌道面4Aとのいずれかとの間に配置されている。別の観点から言えば、複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1A上に設けられている。同様に、複数の転動体3の各々は、内輪軌道面2Aおよび内輪軌道面4Aのいずれかの上に設けられている。複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1Aと内輪軌道面2A,4Aとの間で転動するように構成されている。複数の転動体3の各々は、保持器5により周方向に所定のピッチで配置される。これにより、円環状の外輪軌道面1A上および内輪軌道面2A,4A上において転動自在に保持されている。複数の転動体3の各々は、外輪軌道面1Aおよび内輪軌道面2A,4Aの周方向に沿って回転可能に構成されている。以上の構成により、外方部材1および内方部材2は、互いに相対的に回転可能となっている。
図1および図2を参照して、外方部材1は内周面1FTを有している。内周面1FTは、外輪軌道面1Aのうち最も径方向の外周側に配置される底部1Pを起点として、そこから延びている。外輪軌道面1Aの底部1Pは、図2の断面図での上側の外輪軌道面1Aの、最も上側の位置(点)である。内周面1FTは底部1Pから、外方部材1の外周側に向かうように、相手部材である車体の軸方向AXに対して傾斜する方向に延びている。つまり内周面1FTは、図1および図2が示す軸方向AXを通る断面図においては、右側の外輪軌道面1Aの底部1Pから、右側に向かうにつれて漸次上側に進む方向に直線状に延びている。つまり内周面1FTは、図1において、車輪用軸受装置10(外方部材1)が車体に組み付けられた状態で、軸方向AXに対して微小な角度を有するように延びている。
さらに言い換えれば、内周面1FTは、図1の右側の外輪軌道面1Aのアウター側OTに隣り合う位置に、その側面が軸方向AXに対してやや傾斜した円錐形状の面となるように形成されている。本実施の形態においては、内周面1FTは、複列(2列)の外輪軌道面1Aのうち少なくとも1つである、アウター側OTの外輪軌道面1Aの底部1Pのみから、上記のように傾斜するように(円錐の側面状に)延びている。一方、外方部材1のインナー側INの外輪軌道面1Aからは内周面1FTは延びていない。当該外輪軌道面1Aのインナー側INに隣接する位置には、内面が径方向の内側に突起するカウンタボアCBが形成されている。
図1の車輪用軸受装置10は、いわゆる第3世代の車輪用軸受装置である。すなわち図1および図2の車輪用軸受装置10の外方部材1は、第1取付フランジ1B(取付フランジ)を一体として含んでいる。つまり外方部材1には第1取付フランジ1Bが形成されている。第1取付フランジ1Bは、外方部材1をたとえば車体に取り付け可能とするために設けられた、外方部材1の径方向外側への突起部である。このため外方部材1は回転せず固定される。第1取付フランジ1Bは、外方部材1の外周の複数箇所に形成されることが好ましい。第1取付フランジ1Bは、たとえば外方部材1の周方向に位相90°ずつ間隔をあけて4つ形成されていてもよい。ただし第1取付フランジ1Bの形成される数はこれに限らず任意である。たとえば第1取付フランジ1Bは6つ形成されてもよく、8つ形成されてもよい。また複数の第1取付フランジ1B間の周方向の間隔は互いに等しくなくてもよい。第1取付フランジ1Bには、図示されないナックルに締結されるネジ部1Cが形成されている。
再度図1を参照して、いわゆる第3世代である車輪用軸受装置10の内方部材2は、第2取付フランジ4Bを一体として含んでいる。つまり内方部材2を構成するハブ輪4には第2取付フランジ4Bが形成されている。第2取付フランジ4Bは、ハブ輪4(内方部材2)を図示されない車輪に取り付け可能とするために設けられた、ハブ輪4の径方向外側への突起部である。このため内方部材2は回転可能とされる。ハブ輪4は、第2取付フランジ4Bを一体として有している。ただし図示されないが、内方部材2を構成する内輪2Dに第2取付フランジ4Bが一体に形成されてもよい。第2取付フランジ4Bは、ハブ輪4(または内輪2D)の外周の複数箇所に形成されることが好ましい。第2取付フランジ4Bは、たとえば外方部材1の周方向に位相90°ずつ間隔をあけて4つ形成されていることが好ましい。ただし第2取付フランジ4Bの形成される数はこれに限らず任意である。第2取付フランジ4Bには貫通孔4Cが形成されている。貫通孔4Cを貫通するように、車輪を取り付けるためのハブボルト8が配置可能となっている。ハブボルト8は図示されない車輪のたとえばホイールと、軸方向AXから見たときに重なるように配置されている。これによりハブボルト8は当該ホイールに固定されている。
内方部材2の特にハブ輪4の軸方向AXを示す鎖線周りには軸貫通孔4Gが形成されている。たとえば車輪用軸受装置10が駆動輪に取り付けられる場合には、軸貫通孔4Gを貫通するように車軸が配置され、車軸に連結される等速自在継手が設けられる。等速自在継手は、図示されないエンジンまたはディファレンシャルギアに接続される。これによりエンジンの動力などが車輪用軸受装置10から車輪に伝えられる。ただし車輪用軸受装置10が従動輪に取り付けられる場合には、ハブ輪4に軸貫通孔4Gが形成されてもよいが、形成されなくてもよい。従動輪用のハブ輪4に軸貫通孔4Gを形成すれば、ハブ輪4を含む車輪用軸受装置10を軽量化できる。
外方部材1と内方部材2との間の空間は、シール部7で密封されている。シール部7は、外方部材1の軸方向AXの左側および右端部の双方に配置されている。シール部7で密封された空間が軸受内部空間を構成する。シール部7は、たとえば外方部材1の内面1L、傾斜面1Qに装着される。
図2を再度参照して、外方部材1は図1のように設置されたときの軸方向AXを通る断面において、以下に述べる形状および寸法の特徴を有することが好ましい。なおここで述べる各部分は、周方向について1周、円環形状となるように形成されている。ただし第1取付フランジ1Bは例外的に、周方向の一部の領域のみに配置される。外方部材1は、径方向の外側において径方向に延びる部分の付根部(径方向の最も内側)に、湾曲部1F,1Gを有している。特に外方部材1が径方向に沿って延びる部分(第1取付フランジ1Bを含む)のインナー側INに湾曲部1Fが、アウター側OTに湾曲部1Gが、形成されている。湾曲部1F,1Gは曲面(球面の一部)の形状を有する凹部である。湾曲部1Fは径方向内側に向けてややアウター側OTに寄るように、図2において傾斜した断面形状を有していてもよい。また、前記の傾斜した断面形状は径方向内側、軸方向内側のいずれか一方に設けられていてもよい。
湾曲部1Gのアウター側OTには、湾曲部1Gに連なるように、外面1Hが形成されている。外面1Hは外方部材1のアウター側OTの端部まで、軸方向AXに沿って円筒形状にまっすぐ延びていてもよい。湾曲部1Fのインナー側INには、湾曲部1Fに連なるように、外面1Iが形成されている。外面1Iのインナー側INには、屈曲部12を介して、外面1Iに連なるように傾斜面1Jが形成され、さらに屈曲部12を介してそのインナー側INに傾斜面1Kが形成されてもよい。屈曲部12は図2の断面にて折れ曲がった境界部である。
外方部材1のアウター側OTの端部には内面1Lが、インナー側INの端部には傾斜面1Nが形成されている。これらは外面よりも径方向内側に配置される。径方向内側は、アウター側OTからインナー側INへ、内面1L、湾曲部1M、屈曲部12、内周面1FT、(底部1P、)外輪軌道面1A、傾斜面1T、屈曲部12、最内周面1S、外輪軌道面1A、カウンタボアCB、屈曲部12、湾曲部1R、屈曲部12、傾斜面1Q、屈曲部12、傾斜面1Nの順に並んでいる。カウンタボアCBは、外方部材1の内周を形成する面が部分的に径方向の内側に突起する部分である。図2でのカウンタボアCBの径方向寸法は(外輪軌道面1Aの溝底径)-0.2×(外輪軌道面1Aの溝直径)以上であることが好ましく、(外輪軌道面1Aの溝底径)-0.1×(外輪軌道面1Aの溝直径)以上であることがより好ましい。最内周面1Sは内面1Lよりも径方向内側に配置される。
外面1H,1Iおよび内面1Lは、軸方向AXに沿って円筒形状に延びている。上記の各傾斜面は軸方向AXに対して傾斜するように円錐の側面形状として延びている。
外面1Hは外面1Iよりもやや外周側に配置されてもよい。アウター側OTの端部はインナー側INの端部よりも径方向に厚くてもよい。
外方部材1の最も内周側の最内周面1Sの軸方向AXについての中央部(一点鎖線)と、当該軸方向AXについて中央部に近い側の端部との距離aを考える。外方部材1の軸方向AXに沿う最大寸法をLとする。このとき距離aは、最大寸法Lの45%以下である。なお距離aは最大寸法Lの40%以下であってもよいし、35%以下であっても、30%以下であっても、25%以下であってもよい。つまり最内周面1Sは外方部材1の左右方向の中央部よりもアウター側OTに寄って形成されている。これに対し、外方部材1の第1取付フランジ1Bは、外方部材1の左右方向の中央部よりもインナー側INに寄って形成されている。このような構成であってもよい。
以上のように図2に示す外方部材1の形状および寸法の特徴について説明したが、本実施の形態に適用可能な外方部材1の形状および寸法はこれに限られない。
図3は、実施の形態1の車輪用軸受装置に含まれる外方部材の製造工程を示す概略断面図である。なお図3には、実施の形態1にて形成される外輪軌道面1Aの周辺での、後述するファイバフローの形状を示している。図3を参照して、外方部材1は、以下のように製造される。たとえば円柱形状の鋼材を圧縮加工した後に鍛造加工することにより、図中実線で示す外形の中間素材11が形成される。この中間素材11は図3の下方に延びる打ち抜き部が形成されている。この打ち抜き部が打ち抜き加工で除去される。これにより最内周面1Sのニアネットシェイプが形成される。さらに中間素材11が旋削加工され、外表面などが部分的に除去される。旋削加工により、図中点線で示す、図2と同じ断面形状を有する外方部材1が形成される。旋削時には、外輪軌道面1Aおよび内周面1FTを形成するための中間素材11の除去量が極力少なくなるように加工がなされる。
次に、図4~図5の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図4は、比較例の外方部材の形状、およびその製造工程を示す概略断面図である。図4を参照して、比較例の外方部材1は、図中点線で示される。当該外方部材1は、本実施の形態において底部1Pから内周面1FTが延びる位置に、内周面1FTの代わりに、カウンタボアCBが形成されている。すなわち比較例では、外方部材1のアウター側OTの外輪軌道面1Aのアウター側OTに隣接する位置には、カウンタボアCBが形成されている。つまりインナー側INとアウター側OTの外輪軌道面1Aの双方とも、底部1Pから内周面1FTが延びることなく、カウンタボアCBが形成されている。その他の条件、たとえば最内周面1Sが外方部材1の左右方向の中央部よりもアウター側OTによって形成されている点などは、図2の本実施の形態の外方部材1と同様であるためその説明を繰り返さない。
図5は、比較例のアウター側の外輪軌道面への転動体の接触態様、および外輪軌道面周辺でのファイバフローの形状を示す、部分概略断面図である。図4および図5を参照して、最内周面1Sを形成するための打ち抜き部42が中央よりもたとえばアウター側OTに寄っており、外輪軌道面1Aに隣接する位置にカウンタボアCBが形成される。このとき図4および図5のように、中間素材11の、打ち抜き部42に近い外輪軌道面1Aが形成されるべき位置において、外方部材1の材料である鋼材のファイバフローFFが、折り返し部43のように転回することがある。これは局所的に径方向に延びるカウンタボアCBが形成されるため、カウンタボアCBを形成するように旋削加工がなされる際に径方向に沿って除去される部分の幅(旋削取り代)が大きくなるためである。このため幅の大きい旋削取り代の部分に折り返し部43が形成される可能性が高くなる。旋削取り代の部分に折り返し部43が形成されれば、旋削加工により折り返し部43が除去される。これによりファイバ角Fθが大きくなる。折り返し部43に近い位置に外輪軌道面1Aが形成されるために、外輪軌道面1Aを通過するファイバフローFFは外輪軌道面1Aに対して直角に近いファイバ角Fθを有するためである。
なお図5において、転動体3と外輪軌道面1Aとの接点における外輪軌道面1Aの接線(に平行な線)をL1とする。当該接点と転動体3の中心とを結ぶ直線と、外輪軌道面1Aに隣接する(最も近い)ファイバフローFFとの交点におけるファイバフローFFの接線をL2とする。接線L1は、外輪軌道面1Aと転動体3との接点にて転動体3が外輪軌道面1Aに対して接する方向(当該方向の径方向に対する角度は接触角Cθで示す)に対して垂直な方向である。このとき、上記接線L1と接線L2とのなす角度(ファイバ角Fθ)は10°以下である。
そこで、本実施の形態の車輪用軸受装置10は、外方部材1と、内方部材2と、転動体3とを備えている。外方部材1は内周に外輪軌道面1Aを含み、相手部材に組み付け可能な第1取付フランジ1Bを一体として含んでいる。内方部材2は外周に内輪軌道面2A,4Aを含み、外方部材1の内周側に対向する。転動体3は外輪軌道面1Aおよび内輪軌道面2A,4Aの間に配置される。外方部材1には、外輪軌道面1Aのうち最も外周側に配置される底部1Pから内周面1FTが延びる。内周面1FTは、底部1Pから、外方部材1の外周側に向かうように、相手部材の軸方向AXに対して傾斜する方向に延びる。
このようにすれば、底部1Pから軸方向AXに直接内周面1FTが延びるため、底部1Pからわずかに径方向内方に突出することがない。カウンタボアCBが形成されず、外輪軌道面1Aの底部1Pから外方部材1の端面に向けて(端面まで)滑らかに外径が拡がるように傾斜した円錐状の面を有する。このため鍛造工程において形成される中間素材11の外表面が外方部材1の完成品の内周面1FTの形状に近くなり、旋削取り代を小さくするように、いわゆるニアネットシェイプ加工を行なうことができる。
再度図3を参照して、本実施の形態においては形成される中間素材11の外輪軌道面1Aに近い位置にはファイバフローFFの折り返し部は形成されない。ファイバフローFFの折り返し部は素材の最外部に形成されることは少ない。このため鍛造工程にて完成品に近い外形を形成することにより、旋削加工にて削除される旋削取り代の中に折り返し部が含まれにくくなる。図3では、最終的に外輪軌道面1Aが形成される位置のやや内部に、外輪軌道面1Aおよび内周面1FTの形状に概ね沿うようなファイバフローFFが形成されている。このため接線L1と接線L2とのなすファイバ角Fθは非常に小さくなる。
図6は、実施の形態1の外方部材の完成品のファイバフローを示す断面図である。図6を参照して、図3の中間素材11に対して旋削加工がなされて最外部が除去されることにより、図3での最外部を除く領域のファイバフローFFがそのまま残存している。したがって外輪軌道面1Aに隣接する位置でのファイバフローFFのファイバ角Fθを小さく(たとえば10°以下に)することができる。これにより、外輪軌道面1Aの内部起点剥離を抑制し、転がり疲労寿命を向上できる。
なおファイバ角Fθは、図6のように外輪軌道面1Aの断面をエッチングすることによりファイバフローFFを現出させた後に、たとえば画像処理により実測される。
本実施の形態によれば、打ち抜き部42(図4参照)がインナー側INまたはアウター側OTのどちらかに寄っていても、ファイバ角Fθを小さくすることができる。転動疲労寿命に大きな影響を与える、外輪軌道面1Aの接触角Cθを形成する直線(接線L1に垂直)上の外輪軌道面1Aの直下の位置における、鍛造工程直後の中間素材11の形状をニアネットシェイプにできるためである。
上記車輪用軸受装置10において、外方部材1には軸方向AXに沿って複列(2列)の外輪軌道面1Aが含まれ、内周面1FTは、複列の外輪軌道面1Aのうち少なくとも1つの外輪軌道面1Aの底部1Pから延びるように形成されてもよい。これにより少なくとも1つの外輪軌道面1Aに隣接するファイバフローFFのファイバ角Fθを小さくできる。したがって外輪軌道面1Aの内部起点剥離を抑制し、転がり疲労寿命を向上できる。
上記車輪用軸受装置10において、外方部材1の最も内周側の最内周面1Sの軸方向AXについての中央部と、軸方向AXについて中央部に近い側の外方部材1の端部との距離aは、外方部材1の軸方向AXに沿う最大寸法Lの45%以下である。打ち抜き部42(打ち抜き加工により最内周面1Sまたはこれに近い形状が形成)がインナー側INまたはアウター側OTのいずれかに偏った位置に形成される外方部材1の形成時にも、上記のように外輪軌道面1Aの内部起点剥離を抑制し、転がり疲労寿命を向上できる。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2における車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。図7を参照して、本実施の形態に係る車輪用軸受装置10は、大筋で実施の形態1の車輪用軸受装置10と同様の構成を有する。このため図7において実施の形態1と同一の構成要素には実施の形態1と同一の符号を付し、機能等の特徴が同様である限りその説明を繰り返さない。特に記さない限り、実施の形態1に記載した事項は実施の形態2についても同様に成立する。
図7の車輪用軸受装置10の外方部材1は、内周面1FTは、複列(2列)の外輪軌道面1Aのうち1つの外輪軌道面1Aの底部1Pのみから延びるように形成される。具体的には、インナー側INの外輪軌道面1Aの底部1Pのみから、傾斜するように(円錐の側面状に)延びている。この内周面1FTは、底部1Pから、外方部材1の外周側に向かうように、相手部材である車体の軸方向AXに対して傾斜する方向に延びている。つまり内周面1FTは、図1および図2が示す軸方向AXを通る断面図においては、左側の外輪軌道面1Aの底部1Pから、左側に向かうにつれて漸次上側に進む方向に直線状に延びている。一方、外方部材1のアウター側OTの外輪軌道面1Aからは内周面1FTは延びていない。当該外輪軌道面1Aのアウター側OTに隣接する位置には、内面が径方向の内側に突起するカウンタボアCBが形成されている。この点において本実施の形態は、アウター側OTの外輪軌道面1Aの底部1Pのみから内周面1FTが延びるように形成される実施の形態1と構成上異なっている。このような構成であってもよく、インナー側INの外輪軌道面1Aにおいて、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3における車輪用軸受装置を構成する外方部材を抜き取った概略拡大断面図である。図8を参照して、本実施の形態に係る車輪用軸受装置10は、大筋で実施の形態1の車輪用軸受装置10と同様の構成を有する。このため図8において実施の形態1と同一の構成要素には実施の形態1と同一の符号を付し、機能等の特徴が同様である限りその説明を繰り返さない。特に記さない限り、実施の形態1に記載した事項は実施の形態3についても同様に成立する。
図8の車輪用軸受装置10の外方部材1は、内周面1FTは、複列(2列)の外輪軌道面1Aのすべての底部1Pのそれぞれから延びるように形成されている。つまり内周面1FTは、インナー側INおよびアウター側OTの双方の外輪軌道面1Aの底部1Pから、上記のように傾斜するように(円錐の側面状に)延びている。このような構成であってもよく、インナー側INおよびアウター側OTの双方の外輪軌道面1Aにおいて、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 外方部材、1A 外輪軌道面、1B 第1取付フランジ、1C ネジ部、1FT 内周面、1F,1G,1M,1R 湾曲部、1H,1I 外面、1J,1K,1N,1Q,1T 傾斜面、1L 内面、1P 底部、1S 最内周面、1U フランジ面、2 内方部材、2A,4A 内輪軌道面、2D 内輪、3 転動体、4 ハブ輪、4B 第2取付フランジ、4C 貫通孔、4G 軸貫通孔、5 保持器、7 シール部、8 ハブボルト、10 車輪用軸受装置、11 中間素材、12 屈曲部、13 外表面、42 打ち抜き部、43 折り返し部、CB カウンタボア、Cθ 接触角、FF ファイバフロー、Fθ ファイバ角、IN インナー側、OT アウター側。

Claims (4)

  1. 内周に外輪軌道面を含み、相手部材に組み付け可能な取付フランジを一体として含む外方部材と、
    外周に内輪軌道面を含み、前記外方部材の内周側に対向する内方部材と、
    前記外輪軌道面および前記内輪軌道面の間に配置される転動体とを備え、
    前記外方部材には、前記外輪軌道面のうち最も外周側に配置される底部から内周面が延び、
    前記内周面は、前記底部から、前記外方部材の外周側に向かうように、前記相手部材の軸方向に対して傾斜する方向に延びる、車輪用軸受装置。
  2. 前記外方部材には、前記軸方向に沿って複列の前記外輪軌道面が含まれ、
    前記内周面は、前記複列の外輪軌道面のうち少なくとも1つの前記外輪軌道面の前記底部から延びるように形成される、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記内周面は、前記複列の外輪軌道面のすべての前記底部のそれぞれから延びるように形成される、請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記外方部材の最も内周側の最内周面の前記軸方向についての中央部と、前記軸方向について前記中央部に近い側の前記外方部材の端部との距離は、前記外方部材の前記軸方向に沿う最大寸法の45%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
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