JP2022148676A - ハブユニット軸受 - Google Patents

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Ayami Suzuki
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Abstract

【課題】転動体の転動面と相手面との接触部の潤滑状態を、長期にわたり良好に維持することができるハブユニット軸受を提供する。【解決手段】エンコーダ5は、円輪板状の芯金段板部26と、芯金段板部26の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長する円筒状の芯金小径筒部27とを有する。軸受キャップ6は、円輪板状のキャップ段板部31と、キャップ段板部31の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長した円筒状のキャップ小径筒部32とを有する。芯金段板部26の軸方向内側面とキャップ段板部31の軸方向外側面とが軸方向に近接対向し、かつ、芯金小径筒部27の外周面とキャップ小径筒部32の内周面とが径方向に近接対向して、径方向ラビリンス隙間38と軸方向ラビリンス隙間39が連続するラビリンスシール7が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受に関する。
図4は、特開2019-209802号公報(特許文献1)に記載された、ハブユニット軸受の従来構造の1例を示している。ハブユニット軸受100は、外輪101と、ハブ102と、複数個の転動体103a、103bと、エンコーダ104と、軸受キャップ105と、センサ106とを備える。なお、ハブユニット軸受100に関して、軸方向外側は、車両への組付け状態で車両の幅方向外側となる図4の左側であり、軸方向内側は、車両への組付け状態で車両の幅方向中央側となる図4の右側である。
外輪101は、内周面に複列の外輪軌道107a、107bを有する。外輪101は、使用状態で懸架装置を構成するナックルに支持固定されて回転しない。
ハブ102は、外輪101の内径側に配置されており、外周面に複列の内輪軌道108a、108b、および、軸方向外側部に回転フランジ109を有する。ハブ102は、使用状態で回転フランジ109に従動輪となる車輪および制動用回転体が支持固定され、車輪および制動用回転体と一体となって回転する。
図示の例では、ハブ102は、軸方向外側の内輪軌道108aと回転フランジ109とを備えるハブ輪110と、軸方向内側の内輪軌道108bを外周面に備える内輪111とを組み合わせてなる。内輪111は、ハブ輪110の軸方向内側部に外嵌され、かつ、ハブ輪110の軸方向内端部に備えられたかしめ部112により軸方向内側面の径方向内側部を抑え付けられることで、ハブ輪110に結合固定されている。
転動体103a、103bは、複列の外輪軌道107a、107bと複列の内輪軌道108a、108bとの間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ配置され、外輪101に対するハブ102の回転を許容する。外輪101の内周面とハブ102の外周面との間に存在する転動体設置空間123には、潤滑用のグリースが充填されている。
エンコーダ104は、芯金113と、エンコーダ本体114とを備える。芯金113は、磁性を有する金属板製で、円筒状の嵌合筒部115と、嵌合筒部115の軸方向内端部に径方向外端部を結合された円板状の支持板部116とを有する。芯金113は、嵌合筒部115の軸方向外端部を内輪111の軸方向内端部に外嵌することにより、内輪111に支持固定されている。この状態で、支持板部116は、かしめ部112よりも軸方向内側に配置されている。エンコーダ本体114は、円輪板状の永久磁石により構成されており、支持板部116の径方向外側部の軸方向内側面に全周にわたり支持固定されている。エンコーダ本体114は、軸方向内側面に、S極とN極とが円周方向に関して交互に配置された被検出部117を有する。
軸受キャップ105は、略有底円筒状で、外輪101の軸方向内端部に装着され、外輪101の軸方向内側の開口部を塞いでいる。
センサ106は、軸受キャップ105の底板部120に支持されている。センサ106は、軸受キャップ105の内側に保持固定された合成樹脂製のセンサホルダ118と、センサホルダ118に包埋された検出部119とを備える。センサホルダ118の一部は、軸受キャップ105の底板部120に備えられた通孔121を通じて軸受キャップ105の外部に引き出され、図示しないセンサケーブルの端部を接続するためのコネクタ部122を構成している。検出部119は、ホール素子などの磁気検出素子により構成されており、エンコーダ104の被検出部117の円周方向一部に対して軸方向に近接対向している。
ハブユニット軸受100では、車輪と一体となってエンコーダ104が回転すると、センサ106の検出部119の近傍を、被検出部117に配置されたS極とN極とが交互に通過する。この結果、被検出部117から出入りして検出部119を通過する磁束の密度が変化し、センサ106の出力信号が変化する。このように出力信号が変化する周波数は、車輪の回転速度に比例する。したがって、この出力信号を車体側の制御器に送れば、ABS、TCSなどを適切に制御することができる。
特に、図示の構造では、軸方向内側を向いたエンコーダ104の被検出部117が、かしめ部112よりも軸方向内側に配置されているため、被検出部117から放出された磁束がかしめ部112に向けて流れることを防止できる。したがって、その分、センサ106の検出部119を通過する磁束の密度を大きくすることができる。この結果、センサ106の出力信号のレベルを高くし、回転速度の検出精度を高くすることができる。
特開2019-209802号公報
上述したハブユニット軸受100では、転動体設置空間123内のグリースが軸受キャップ105の内径側の空間に移動することを抑制するための手段が存在しない。
特に、上述したハブユニット軸受100では、被検出部117から放出された磁束がかしめ部112に向けて流れることを防止するために、軸方向内側を向いたエンコーダ104の被検出部117が、かしめ部112よりも軸方向内側に配置されている。また、エンコーダ104の被検出部117と軸方向に対向するセンサ106の検出部119が、軸受キャップ105の底板部よりも軸方向外側に配置されている。これらのことから、軸受キャップ105の内径側には、転動体設置空間123から移動してくるグリースの受け入れを十分に許容し得る広い空間が存在している。
近年、ハブユニット軸受の低トルク化の要求が強まり、転動体設置空間123内のグリースの攪拌抵抗を減少させるために、転動体設置空間123に充填するグリースの量が初期段階から少なく抑えられている。したがって、転動体設置空間123内のグリースが軸受キャップ105の内径側の空間に移動すると、転動体設置空間123内のグリースが不足し、転動体103a、103bの転動面と外輪軌道107a、107bおよび内輪軌道108a、108bとの転がり接触部の潤滑状態が悪化して、軸受寿命の低下を招く可能性がある。
本発明は、転動体の転動面と相手面との接触部の潤滑状態を長期にわたり良好に維持することができるハブユニット軸受を提供することを目的とする。
本発明の一態様のハブユニット軸受は、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有するハブと、前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ配置された転動体と、前記ハブの軸方向内端部に支持されたエンコーダと、前記外輪の軸方向内端部に装着され、前記外輪の軸方向内側の開口部を塞ぐ軸受キャップとを備える。
前記エンコーダは、前記ハブの軸方向内端部に外嵌された円筒状の芯金嵌合筒部と、前記芯金嵌合筒部の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長する円輪板状の芯金段板部と、前記芯金段板部の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長する円筒状の芯金小径筒部と、前記芯金小径筒部の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長する円輪板状の芯金立板部とを有し、および、該芯金立板部に被検出部が設けられている。
前記軸受キャップは、前記外輪の軸方向内端部に取り付けられるキャップ取付部と、前記キャップ取付部から径方向内側に向けて伸長する円輪板状のキャップ段板部と、前記キャップ段板部の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長した円筒状のキャップ小径筒部と、前記キャップ小径筒部の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長し、かつ、前記被検出部と軸方向に対向して配置されるセンサを保持する底板部とを有する。
前記芯金段板部の軸方向内側面と前記キャップ段板部の軸方向外側面とが軸方向に近接対向し、かつ、前記芯金小径筒部の外周面と前記キャップ小径筒部の内周面とが径方向に近接対向して、径方向ラビリンス隙間と軸方向ラビリンス隙間が連続するラビリンスシールが形成されている。
本発明の一態様では、前記エンコーダは、前記芯金嵌合筒部の軸方向外端部から径方向外側に向けて伸長する芯金堰板部を有する。
本発明の一態様では、前記ハブは、ハブ輪と、前記複列の内輪軌道のうちの軸方向内側の内輪軌道を外周面に有する内輪とを含み、前記内輪は、前記ハブ輪に外嵌され、かつ、前記ハブ輪の軸方向内端部に備えられたかしめ部により、軸方向内側面を抑え付けられており、前記芯金嵌合筒部は、前記内輪の軸方向内端部に外嵌されており、および、前記芯金立板部は、前記かしめ部よりも軸方向内側に配置されている。
本発明の一態様のハブユニット軸受によれば、転動体の転動面と相手面との接触部の潤滑状態を長期にわたり良好に維持することができる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例のハブユニット軸受の断面図である。 図2は、図1の右上部の拡大図である。 図3は、本発明の実施の形態の第2例のハブユニット軸受に関する、図2に相当する図である。 図4は、従来のハブユニット軸受の1例を示す半部断面図である。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例について、図1および図2を用いて説明する。
本例のハブユニット軸受1は、内輪回転型、かつ、従動輪用であって、外輪2と、外輪2の内径側に配置されるハブ3と、外輪2とハブ3との間の空間に存在し、外輪2とハブ3との相対回転を許容する転動体4a、4bと、ハブ3の軸方向内端部に支持されたエンコーダ5と、外輪2の軸方向内端部に装着され、外輪2の軸方向内側の開口部を塞ぐ軸受キャップ6と、ラビリンスシール7とを備える。なお、ハブユニット軸受1に関して、軸方向外側は、車両への組付け状態で車両の幅方向外側となる図1の左側であり、軸方向内側は、車両への組付け状態で車両の幅方向中央側となる図1の右側である。
本例では、外輪2は、中炭素鋼などの硬質金属により構成されている。本例では、外輪2は、内周面に、複列の外輪軌道8a、8bを有し、かつ、軸方向中間部に、径方向外側に向けて突出した静止フランジ9を有する。静止フランジ9は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する支持孔10を有する。外輪2は、静止フランジ9の支持孔10に螺合した支持ボルトにより、懸架装置に対し支持固定され、車輪が回転する際にも回転しない。本例では、外輪2の軸方向内側の端面は、ハブ3を構成する内輪16の軸方向内側の端面よりも軸方向内側に配置されている。
本例では、ハブ3は、外周面に、複列の内輪軌道11a、11bを有し、外輪2の径方向内側に外輪2と同軸に配置されている。本例では、ハブ3は、外輪2の軸方向外端部よりも軸方向外側に位置する部分に、径方向外側に向けて突出した回転フランジ12、および、軸方向外端部に、円筒状のパイロット部13を有する。回転フランジ12は、径方向中間部の円周方向複数箇所に、軸方向に貫通する取付孔14を有する。
制動用回転体およびホイールは、それぞれの中心部に備えられた中心孔にパイロット部13を挿通し、かつ、それぞれの径方向中間部の円周方向複数箇所に備えられた通孔を挿通したハブボルトを、取付孔14に螺合することにより、回転フランジ12に結合固定される。なお、取付孔14のそれぞれに圧入したスタッドを、制動用回転体およびホイールのそれぞれの径方向中間部の円周方向複数箇所に備えられた通孔に挿通した状態で、該スタッドの先端部にハブナットを螺合することにより、制動用回転体及び車輪を回転フランジ12に結合固定することもできる。
本例では、ハブ3は、中炭素鋼などの硬質金属製のハブ輪15と、軸受鋼などの硬質金属製の内輪16とを組み合わせてなる。軸方向内側の内輪軌道11aは、内輪16の外周面に備えられている。軸方向外側の内輪軌道11bは、ハブ輪15の軸方向中間部の外周面に備えられている。回転フランジ12及びパイロット部13は、ハブ輪15の軸方向外側部に備えられている。内輪16は、ハブ輪15の軸方向内側部に外嵌され、かつ、ハブ輪15の軸方向内端部に備えられたかしめ部17により軸方向内側面の径方向内側部を抑え付けられることで、ハブ輪15に結合固定されている。
より具体的には、ハブ輪15は、軸方向内側部の外周面に円筒面状の嵌合面部18を有し、嵌合面部18の軸方向外端部に軸方向内側を向いた段差面19を有する。内輪16は、ハブ輪15の嵌合面部18に締り嵌めで外嵌され、かつ、軸方向外側面を段差面19に当接させている。さらに、ハブ輪15は、軸方向内端部にかしめ部17を有する。かしめ部17は、ハブ輪15のうち、内輪16を外嵌した部分の軸方向内端部から径方向外側に向けて折れ曲がっており、内輪16の軸方向内側面の径方向内側部を抑え付けている。つまり、内輪16は、ハブ輪15の段差面19とかしめ部17との間で軸方向に挟持された状態で、ハブ輪15に結合固定されている。
なお、本発明は、軸方向外側の内輪軌道が、ハブ輪に外嵌された別の内輪の外周面に備えられたハブユニット軸受にも適用することもできる。
転動体4a、4bは、複列の外輪軌道8a、8bと複列の内輪軌道11a、11bとの間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ、円周方向に離隔して配置され、かつ、それぞれの列の保持器20a、20bにより転動自在に保持されている。これにより、ハブ3は、外輪2の径方向内側に回転自在に支持されている。本例では、転動体4a、4bとして玉を使用しているが、転動体として円すいころを使用することもできる。本例では、軸方向内側列の転動体4aのピッチ円直径と、軸方向外側列の転動体4bのピッチ円直径とを互いに同じとしている。ただし、本発明は、軸方向内側列の転動体のピッチ円直径と、軸方向外側列の転動体のピッチ円直径とが互いに異なる異径PCD型のハブユニット軸受に適用することもできる。
本例では、外輪2の内周面とハブ3の外周面との間に存在し、かつ、転動体4a、4bが配置された、略円筒状の転動体設置空間21の軸方向外側の開口部は、外輪2の軸方向外端部に装着されたシールリング22により塞がれている。これにより、転動体設置空間21の軸方向外側の開口部を通じて、転動体設置空間21に存在する潤滑用のグリースが外部空間に漏洩したり、外部空間から転動体設置空間21に泥水などの異物が侵入したりすることを防止している。
エンコーダ5は、芯金嵌合筒部25と、芯金段板部26と、芯金小径筒部27と、芯金立板部28とを有し、および、該芯金立板部28に被検出部29が設けられている。
特に、本例では、エンコーダ5は、芯金23と、エンコーダ本体24とを組み合わせてなる。芯金嵌合筒部25と、芯金段板部26と、芯金小径筒部27と、芯金立板部28とは、芯金23に備えられている。被検出部29は、芯金立板部28に固定されるエンコーダ本体24に備えられている。
芯金嵌合筒部25は、円筒状で、ハブ3の軸方向内端部に外嵌されている。本例では、芯金嵌合筒部25の軸方向外側部が、内輪16の軸方向内端部に締り嵌め、すなわち圧入により外嵌されている。芯金嵌合筒部25の軸方向内側部は、内輪16の軸方向内側面よりも軸方向内側に突出している。
芯金段板部26は、円輪板状で、芯金嵌合筒部25の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長している。芯金段板部26は、かしめ部17と径方向に重畳して配置されている。本例では、芯金段板部26の軸方向外側面と内輪16の軸方向内側面の径方向外側部とが、隙間を介して軸方向に対向している。ただし、本発明を実施する場合には、芯金嵌合筒部の全体を内輪16の軸方向内側部に外嵌し、かつ、芯金段板部の軸方向外側面を内輪の軸方向内側面の径方向外側部に当接させることもできる。
芯金小径筒部27は、円筒状で、芯金段板部26の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長している。
芯金立板部28は、円輪板状で、芯金小径筒部27の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長している。本例では、芯金立板部28は、かしめ部17よりも軸方向内側に配置されている。
エンコーダ本体24は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのゴム中に、フェライトなどの磁性粉末を分散させてなる磁性ゴム(ゴム磁石)により、円環状に構成されている。エンコーダ本体24は、芯金立板部28の軸方向内側面に全周にわたり固定されている。したがって、エンコーダ本体24は、芯金立板部28と同様、かしめ部17よりも軸方向内側に配置されている。なお、エンコーダ本体24は、十分な強度および耐久性を確保できれば、ゴム磁石以外の永久磁石により構成することもできる。エンコーダ本体24は、軸方向内側面に、N極とS極とを円周方向に関して交互に、かつ、等ピッチに配置してなる被検出部29を有する。
軸受キャップ6は、外輪2の軸方向内側の開口部において、転動体設置空間21を含む外輪2の内部空間と外部空間とを分離して、転動体設置空間21に存在する潤滑用のグリースが外部空間に漏洩したり、外部空間から転動体設置空間21に泥水などの異物が侵入したりすることを防止している。
本例では、軸受キャップ6は、冷間圧延鋼板、フェライト系ステンレス鋼板などの磁性金属板製で、全体を略有底円筒状に構成されており、かつ、必要に応じ、表面に塗装などの防錆処理が施されている。
軸受キャップ6は、キャップ取付部30と、キャップ段板部31と、キャップ小径筒部32と、底板部33とを有する。
キャップ取付部30は、外輪2の軸方向内端部に取り付けられる部位である。本発明を実施する場合、キャップ取付部の形状は、任意の形状を採用することができる。本例では、キャップ取付部30は、キャップ嵌合筒部34と、外側フランジ部35と、内側フランジ部36とを有する。キャップ嵌合筒部34は、円筒状で、外輪2の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌されている。外側フランジ部35は、円輪板状で、キャップ嵌合筒部34の軸方向内端部から径方向外側に向けて伸長し、かつ、外輪2の軸方向内端面に当接する軸方向外側面を有する。内側フランジ部36は、円輪板状で、外側フランジ部35の径方向外端部から軸方向内側に向けて180°折り返され、かつ、外側フランジ部35の軸方向内側面に当接する軸方向外側面を有する。
キャップ段板部31は、円輪板状で、径方向外端部が、内側フランジ部36の径方向内端部に接続されている。すなわち、キャップ段板部31は、内側フランジ部36の径方向内端部から径方向内側に向けて伸長している。キャップ小径筒部32は、円筒状で、キャップ段板部31の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長している。底板部33は、円板状で、キャップ小径筒部32の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長し、かつ、エンコーダ5の被検出部29と軸方向に対向して配置されるセンサ41を保持する。本例では、底板部33は、径方向外側部の円周方向1箇所に、軸方向に貫通する通孔37を有する。
本例の構造では、芯金段板部26の軸方向内側面とキャップ段板部31の軸方向外側面とが軸方向に近接対向し、かつ、芯金小径筒部27の外周面とキャップ小径筒部32の内周面とが径方向に近接対向して、径方向ラビリンス隙間38と軸方向ラビリンス隙間39が連続するラビリンスシール7が形成されている。すなわち、芯金段板部26の軸方向内側面とキャップ段板部31の軸方向外側面との間に、径方向に伸長する円輪板状の径方向ラビリンス隙間38が形成されている。芯金小径筒部27の外周面とキャップ小径筒部32の内周面との間に、軸方向に伸長する円筒状の軸方向ラビリンス隙間39が形成されている。径方向ラビリンス隙間38と軸方向ラビリンス隙間39とを組み合わせてなるラビリンスシール7は、L字形の断面形状を有する。
本例のハブユニット軸受1は、軸受キャップ6の底板部33に支持されたセンサ41を備える。センサ41は、軸受キャップ6の底板部33の内側に支持された合成樹脂製のセンサホルダ42と、センサホルダ42に包埋された検出部43および該検出部43を実装したセンサ基板とを備える。センサホルダ42の一部は、底板部33の通孔37を通じて軸受キャップ6の外部に引き出され、図示しないセンサケーブルの端部を接続するためのコネクタ部44を構成している。検出部43は、ホール素子、MR素子などの磁気検出素子により構成されており、エンコーダ5の被検出部29の円周方向一部に対して軸方向に近接対向している。
本例のハブユニット軸受1では、車輪とともにエンコーダ5が回転すると、センサ41の検出部43の近傍を、被検出部29に配置されたS極とN極とが交互に通過する。この結果、被検出部29から出入りして検出部43を通過する磁束の密度が変化し、センサ41の出力信号が変化する。このように出力信号が変化する周波数は、車輪の回転速度に比例する。したがって、この出力信号を車体側の制御器に送れば、ABS、TCSなどを適切に制御することができる。
特に、図示の構造では、軸方向内側を向いた被検出部29が、かしめ部17よりも軸方向内側に配置されているため、被検出部29から放出された磁束がかしめ部17に向けて流れることを防止できる。したがって、その分、センサ41の検出部43を通過する磁束の密度を大きくすることができる。この結果、センサ41の出力信号のレベルを高くし、回転速度の検出精度を高くすることができる。
本例のハブユニット軸受1では、被検出部29から放出された磁束がかしめ部17に向けて流れることを防止するために、軸方向内側を向いたエンコーダ5の被検出部29が、かしめ部17よりも軸方向内側に配置されている。また、エンコーダ5の被検出部29と軸方向に対向するセンサ41の検出部43が、軸受キャップ6の底板部33よりも軸方向外側に配置されている。これらのことから、軸受キャップ6の内径側には、転動体設置空間21から移動してくるグリースの受け入れを十分に許容し得る広い空間が存在している。
しかしながら、本例の構造では、軸受キャップ6の内径側に存在する空間の径方向外側部において、エンコーダ5と軸受キャップ6との間に全周にわたり形成された、L字形の断面形状を有するラビリンスシール7が存在する。このため、転動体設置空間21から軸受キャップ6の内径側に存在する空間に移動してきたグリースが、軸受キャップ6の内径側に存在する空間のうち、ラビリンスシール7よりも転動体設置空間21から遠い側に移動することを、ラビリンスシール7のシール機能によって抑制することができる。
車両の走行時に、回転フランジ12に路面反力に基づくモーメント荷重が加わると、ハブ3の中心軸が外輪2の中心軸Oに対し傾斜する。外輪2の中心軸Oに対するハブ3の中心軸の傾斜中心は、回転フランジ12に加わるモーメント荷重の大きさや方向などに応じて多少変わるが、おおよそ、外輪2の中心軸O上で、軸方向に関して複列の転動体4a、4bの間の中央に位置する点Pとなる。
ここで、たとえば、図1に示すように、回転フランジ12の上側部分にモーメント荷重Fが加わり、ハブ3の中心軸が外輪2の中心軸Oに対して、図1の時計方向に傾斜すると、ハブユニット軸受1の上側部分においては、径方向ラビリンス隙間38の軸方向に関する厚さ寸法が狭くなるのに対し、軸方向ラビリンス隙間39の径方向に関する厚さ寸法が広くなる。ハブユニット軸受1の下側部分においては、径方向ラビリンス隙間38の軸方向に関する厚さ寸法が広くなるのに対し、軸方向ラビリンス隙間39の径方向に関する厚さ寸法が狭くなる。回転フランジ12のうち、モーメント荷重Fが加わった部分から周方向に関する位相が90度ずれた位置においては、径方向ラビリンス隙間38の軸方向に関する厚さ寸法および軸方向ラビリンス隙間39の径方向に関する厚さ寸法は、モーメント荷重Fが加わる前と変わらない。
つまり、本例の構造では、ラビリンスシール7のいずれの円周方向位置においても、径方向ラビリンス隙間38の軸方向に関する厚さ寸法と、軸方向ラビリンス隙間39の径方向に関する厚さ寸法とのうち、いずれか一方の厚さ寸法が広くなった場合でも、他方の厚さ寸法が狭くなるため、ラビリンスシール7のシール機能を維持しやすい。
したがって、本例の構造によれば、転動体設置空間21に、長期間にわたり十分量のグリースを保持することができて、転動体4a、4bの転動面と、該転動面の相手面である外輪軌道8a、8bおよび内輪軌道11a、11bとの転がり接触部の潤滑状態を、長期にわたり良好に維持することができる。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例について、図3を用いて説明する。
本例の構造では、エンコーダ5aの芯金23aは、芯金嵌合筒部25の軸方向外端部から径方向外側に向けて伸長する芯金堰板部45を有する。図示の例では、芯金堰板部45は、円輪板状、すなわち、軸方向外側面が平面となるように構成されている。ただし、本発明を実施する場合、芯金堰板部は、軸方向外側面が円すい凹面または凹曲面となるように構成することもできる。本例では、芯金堰板部45の径方向外端部を軸受キャップ6のキャップ嵌合筒部34の内周面に近接対向させてなるラビリンスシール40を備える。
本例の構造では、芯金堰板部45が、転動体設置空間21内のグリースが軸受キャップ6の内径側の空間に移動することを堰き止める機能を有する。ラビリンスシール40が、転動体設置空間21内のグリースが軸受キャップ6の内径側の空間に移動することを抑制する機能を有する。したがって、転動体設置空間21に長期間にわたり十分量のグリースを保持する効果を向上させることができる。
芯金堰板部45が、芯金嵌合筒部25の補強部として機能する。このため、内輪16の軸方向内端部に芯金嵌合筒部25を圧入により外嵌する際に、芯金嵌合筒部25に好ましくない変形を生じにくくすることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
なお、図示は省略するが、本発明を実施する場合には、キャップ嵌合筒部34の軸方向外端部から径方向内側に向けて伸長するキャップ堰板部を備えた構成を採用することもできる。このような構成を採用すれば、キャップ堰板部、および、キャップ堰板部の径方向内端部と相手部材との間に形成されるラビリンスシールの存在に基づいて、転動体設置空間21内のグリースが軸受キャップ6の内径側の空間に移動することを防止または抑制することができる。
本発明のハブユニット軸受は、外輪回転型、駆動輪型を含む、従来のさまざまな構造のハブ軸受ユニットに適用することができる。
本発明を実施する場合、エンコーダおよびセンサは、磁気検出式に限定されず、たとえば光学検出式であってもよい。磁気検出式のエンコーダおよびセンサを採用する場合には、エンコーダの芯金立板部自体を被検出部とすることもできる。この場合には、芯金立板部の円周方向等間隔となる複数箇所に透孔、切り欠きなどの除肉部を形成することで、芯金立板部の磁気特性を円周方向に関して交互にかつ等ピッチに変化させる。この場合には、センサとして、芯金立板部の磁気特性の変化を検出自在な磁気センサを用いる。光学式のエンコーダおよびセンサを採用する場合には、エンコーダの芯金立板部の軸方向内側面を被検出部とすることができる。この場合には、芯金立板部の軸方向内側面に塗料を塗布するなどして、該軸方向内側面の光の反射率を円周方向に関して交互にかつ等ピッチに変化させる。この場合には、センサとして、反射する光の強さの変化を検出自在な光センサを用いる。
本発明を実施する場合、転動体設置空間に充填する潤滑剤は、グリースに限らず、その他の液状潤滑剤であってもよい。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 ハブ
4a、4b 転動体
5、5a エンコーダ
6 軸受キャップ
7 ラビリンスシール
8a、8b 外輪軌道
9 静止フランジ
10 支持孔
11a、11b 内輪軌道
12 回転フランジ
13 パイロット部
14 取付孔
15 ハブ輪
16 内輪
17 かしめ部
18 嵌合面部
19 段差面
20a、20b 保持器
21 転動体設置空間
22 シールリング
23、23a 芯金
24 エンコーダ本体
25 芯金嵌合筒部
26 芯金段板部
27 芯金小径筒部
28 芯金立板部
29 被検出部
30 キャップ取付部
31 キャップ段板部
32 キャップ小径筒部
33 底板部
34 キャップ嵌合筒部
35 外側フランジ部
36 内側フランジ部
37 通孔
38 径方向ラビリンス隙間
39 軸方向ラビリンス隙間
40 ラビリンスシール
41 センサ
42 センサホルダ
43 検出部
44 コネクタ部
45 芯金堰板部
100 ハブユニット軸受
101 外輪
102 ハブ
103a、103b 転動体
104 エンコーダ
105 軸受キャップ
106 センサ
107a、107b 外輪軌道
108a、108b 内輪軌道
109 回転フランジ
110 ハブ輪
111 内輪
112 かしめ部
113 芯金
114 エンコーダ本体
115 嵌合筒部
116 支持板部
117 被検出部
118 センサホルダ
119 検出部
120 底板部
121 通孔
122 コネクタ部
123 転動体設置空間

Claims (3)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
    外周面に複列の内輪軌道を有するハブと、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ配置された転動体と、
    前記ハブの軸方向内端部に支持されたエンコーダと、
    前記外輪の軸方向内端部に装着され、前記外輪の軸方向内側の開口部を塞ぐ軸受キャップと、
    を備え、
    前記エンコーダは、前記ハブの軸方向内端部に外嵌された円筒状の芯金嵌合筒部と、前記芯金嵌合筒部の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長する円輪板状の芯金段板部と、前記芯金段板部の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長する円筒状の芯金小径筒部と、前記芯金小径筒部の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長する円輪板状の芯金立板部とを有し、および、該芯金立板部に被検出部が設けられており、
    前記軸受キャップは、前記外輪の軸方向内端部に取り付けられるキャップ取付部と、前記キャップ取付部から径方向内側に向けて伸長する円輪板状のキャップ段板部と、前記キャップ段板部の径方向内端部から軸方向内側に向けて伸長した円筒状のキャップ小径筒部と、前記キャップ小径筒部の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長し、かつ、前記被検出部と軸方向に対向して配置されるセンサを保持する底板部とを有し、
    前記芯金段板部の軸方向内側面と前記キャップ段板部の軸方向外側面とが軸方向に近接対向し、かつ、前記芯金小径筒部の外周面と前記キャップ小径筒部の内周面とが径方向に近接対向して、径方向ラビリンス隙間と軸方向ラビリンス隙間が連続するラビリンスシールが形成されている、
    ハブユニット軸受。
  2. 前記エンコーダは、前記芯金嵌合筒部の軸方向外端部から径方向外側に向けて伸長する芯金堰板部を有する、
    請求項1に記載のハブユニット軸受。
  3. 前記ハブは、ハブ輪と、前記複列の内輪軌道のうちの軸方向内側の内輪軌道を外周面に有する内輪とを含み、
    前記内輪は、前記ハブ輪に外嵌され、かつ、前記ハブ輪の軸方向内端部に備えられたかしめ部により、軸方向内側面を抑え付けられており、
    前記芯金嵌合筒部は、前記内輪の軸方向内端部に外嵌されており、および、
    前記芯金立板部は、前記かしめ部よりも軸方向内側に配置されている、
    請求項1または2に記載のハブユニット軸受。
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