JP2022145607A - 有機金属錯体、それを含む有機発光素子、表示装置、撮像装置、電子機器、照明装置及び移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光スペクトルのピークの半値幅が小さく、発光効率が高い有機金属錯体を提供する。【解決手段】例えば下記式の反応生成物で表される有機金属錯体である。TIFF2022145607000051.tif62159【選択図】図1

Description

本開示は、発光スペクトルのピークの幅が小さい有機金属錯体、それを有する有機発光素子、表示装置、撮像装置、電子機器、照明装置及び移動体に関する。
有機発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、あるいは有機EL素子とも呼ぶ)は、第一電極と第二電極とこれら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子及び正孔を注入することにより、有機化合物層中の発光性有機化合物の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放出する。有機発光素子の最近の進歩は著しく、低駆動電圧、多様な発光波長、高速応答性、発光デバイスの薄型化・軽量化が可能であることが挙げられる。
有機発光素子の性能向上には、さらに高性能発光性有機化合物が求められており、盛んに開発が進められている。しかし、イリジウム錯体に代表される燐光材料においては、発光スペクトルのピーク幅を小さくすることによる色純度向上と発光効率の向上とを両立することは困難であることが知られている。特許文献1には発光効率が高い燐光発光材料として下記の化合物Aが、特許文献2には発光スペクトルのピーク幅が小さい化合物として化合物Bが記載されている。
Figure 2022145607000002
特開2009-114137号公報 米国特許公開公報第2017/0012223号明細書
特許文献1に記載の化合物Aは、発光効率が高い化合物であるが、発光スペクトルのピーク幅の小ささが不十分であった。特許文献2に記載の化合物Bは、発光スペクトルのピーク幅が小さいものの、発光効率が不十分であった。
燐光材料の発光スペクトルを急峻化しようとすると、発光効率が下がってしまうことが知られており、発光スペクトルのピーク幅を小さくし、高い発光効率の有機金属錯体が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光スペクトルのピークの半値幅が小さくかつ発光効率の高い有機金属錯体を提供することである。
本発明は、下記式(1)で表される有機金属錯体を提供する。
MLL’L’’ (1)
式(1)において、Mは遷移金属を表し、LL’L’’は、それぞれ異なる配位子を表す。mは1乃至3の整数、nは0乃至2の整数、lは0乃至2の整数であり、m+n+l=3である。MLは、下記一般式(2)で表される構造である。
Figure 2022145607000003
一般式(2)において、R11乃至R14は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換かあるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。
XはCRR’、SiRR’、S、SO、SOから選ばれる。前記R及び前記R’は置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアリール基、及びハロゲン原子からそれぞれ独立に選ばれる。
乃至Yは炭素原子及び窒素原子からそれぞれ独立に選ばれる。
前記Y乃至前記Yが炭素原子の場合、当該炭素原子はアルキル基あるいはアリール基で置換されてもよい。
前記Y乃至前記Yが炭素原子の場合、当該炭素原子は、当該炭素原子と隣り合う炭素原子と互いに結合して環構造を形成してよい。
ML’及びML’’は、下記式(4)または(5)からそれぞれ独立に選ばれる。
Figure 2022145607000004
式(4)及び(5)において、R31乃至R38及びR41乃至R43は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換アミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
本発明によれば、発光スペクトルのピークの半値幅が小さくかつ発光効率の高い有機金属錯体を提供できる。
例示化合物A-1の分子構造モデルである。 (a)本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の一例を表す概略断面図である。(b)本発明の一実施形態に係る有機発光素子を用いた表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図である。 (a)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例で、撮像装置を有する形態を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係るイリジウム錯体は、下記式(1)で表される。
MLL’L’’ (1)
式(1)において、Mは遷移金属を表し、LL’L’’は、それぞれ異なる配位子を表す。mは1乃至3の整数、nは0乃至2の整数、lは0乃至2の整数であり、m+n+l=3である。MLは、下記一般式(2)で表される構造である。
Figure 2022145607000005
一般式(2)において、R11乃至R14は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換かあるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。
XはCRR’、SiRR’、S、SO、SOから選ばれる。前記R及び前記R’は置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアリール基、及びハロゲン原子からそれぞれ独立に選ばれる。
乃至Yは炭素原子及び窒素原子からそれぞれ独立に選ばれる。
前記Y乃至前記Yが炭素原子の場合、当該炭素原子はアルキル基あるいはアリール基で置換されてもよい。アルキル基またはアリール基で置換されない場合は、水素原子を有する。
前記Y乃至前記Yが炭素原子の場合、当該炭素原子は、当該炭素原子と隣り合う炭素原子と互いに結合して環構造を形成してよい。炭素原子が互いに結合して環構造を形成した場合、脂環構造、芳香環、複素環であってよく、環構造を構成する縮環の数は、1乃至3であってよく、1であることが好ましい。
前記Yは窒素原子であってよい。Yが窒素原子である場合には、有機金属錯体の最高被占有分子軌道(HOMO)が低くなるので、発光波長が短波長化する。一方、前記Yまたは前記Y10が窒素原子であってよい。これらが窒素原子である場合には、有機金属錯体の最低非占有分子軌道(LUMO)が低くなるので、発光波長がさらに長波化する。
前記Y乃至前記Yの炭素原子が隣り合う炭素原子と互いに結合して環構造を形成する場合、以下の式(3)で表されることが好ましい。他の位置に環構造を形成するよりも、発光効率が高い有機金属錯体となるためである。
Figure 2022145607000006
式(3)において、R21乃至R26は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換かあるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。
XはCRR’、SiRR’、S、SO、SOから選ばれる。前記R及び前記R’は置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアリール基及びハロゲン原子からそれぞれ独立に選ばれる。
前期Y乃至前記Y12は炭素原子及び窒素原子からそれぞれ独立に選ばれる。
前記Y乃至前記Y12が炭素原子の場合、当該炭素原子はアルキル基あるいはアリール基で置換されてもよい。
前記Y乃至前記Y12がすべて炭素原子であってよい。すべてが炭素原子である場合は、有機金属錯体の安定性が高い。
ML’及びML’’は、下記式(4)または(5)からそれぞれ独立に選ばれる。
Figure 2022145607000007
式(4)及び(5)において、R31乃至R38及びR41乃至R43は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換アミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
式(5)において、R41、R43は、炭素原子数1以上8以下のアルキルであってよい。メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、-CH(Cであってよい。R41乃至R43の置換基をかさ高い置換基とすることで、有機金属錯体の耐熱性、昇華性を向上できる場合がある。特に、R41、R42、R43の組み合わせが、イソプロピル基、水素原子、イソプロピル基であってよい。R41、R42、R43の組み合わせが、-CH(C、水素原子、-CH(Cであってよい。R41、R42、R43の組み合わせが、t-ブチル基、水素原子、t-ブチル基であってよい。R41、R42、R43の組み合わせが、エチル基、水素原子、メチル基であってよい。
本明細書において、遷移金属原子は、3価であってよく、具体的には、Ir、Co、Ru、Os、Rh、Re等があげられ、Irであることが好ましい。
本明細書において、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等であるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン原子の中でもフッ素原子を設けることが好ましい。
本明細書において、アルキル基は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基があげられ、炭素原子数1以上8以下がより好ましく、炭素原子数1以上4以下であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、セカンダリーブチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において、アルコキシ基は、炭素原子数1以上10以下のアルコキシ基があげられ、炭素原子数1以上6以下であることがより好ましく、炭素原子数1以上4以下であることがさらに好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2-エチル-シキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において、アミノ基は、無置換または、アルキル基、アリール基、アミノ基のいずれかで置換されたアミノ基があげられる。アルキル基、アリール基、アミノ基は、ハロゲン原子を置換基として有してよい。アリール基、アミノ基はアルキル基を置換基として有してよい。アミノ基は置換したアルキル基が互いに結合して環を形成してよい。具体的には、N-メチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N、N-ジメチルアミノ基、N、N-ジエチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-ベンジルアミノ基、N、N-ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N、N-ジフェニルアミノ基、N、N-ジナフチルアミノ基、N、N-ジフルオレニルアミノ基、N-フェニル-N-トリルアミノ基、N、N-ジトリルアミノ基、N-メチル-N-フェニルアミノ基、N、N-ジアニソリルアミノ基、N-メシチル-N-フェニルアミノ基、N、N-ジメシチルアミノ基、N-フェニル-N-(4-ターシャリーブチルフェニル)アミノ基、N-フェニル-N-(4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ基、N-ピペリジル基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において、アリール基は、炭素原子数6以上18以下のアリール基があげられる。具体的には、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基等があげられる。
本明細書において、複素環基は、炭素原子数3以上15以下の複素環基があげられる。複素環基は、複素原子として、窒素、硫黄、酸素を有してよい。具体的には、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基、フラニル基、チオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において、アリールオキシ基は、フェノキシ基、チエニルオキシ基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において、シリル基は、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等があげられるが、これらに限定されるものではない。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、重水素原子を置換基として有してよい。アルキル基が重水素原子を置換基として有する例として、-CD、(-CDCH)、(-CDCD)等があげられるが、これらに限られない。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、ハロゲン原子を置換基として有してよい。ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、臭素があげられ、フッ素原子であってよい。特にアルキル基は、フッ素原子を有することで、トリフッ化メチル基(-CF)、ペンタフルオロエチル基(-C)であってよい。
上記アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、アルキル基を置換基として有してよい。アルキル基は、炭素原子数1以上10以下であってよい。より具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基であってよい。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、アリール基を置換基として有してよい。アリール基は炭素原子数6以上12以下であってよい。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基であってよい。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、複素環基を置換基として有してよい。複素環基は、炭素原子数3以上9以下であってよい。複素環基は、複素原子として、窒素、硫黄、酸素を有してよい。より具体的には、ピリジル基、ピロリル基であってよい。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、アミノ基を置換基として有してよい。アミノ基は、アルキル基、アリール基を有してよく、アルキル基は互いに結合して環を形成してよい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基であってよい。
上記アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基、アリールオキシ基は、ベンジル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、シアノ基等を置換基として有してよい。置換基はこれらに限定されるものではない。
次に、一般式(1)で表される有機金属錯体の特性について説明する。図1は下記化学構造式で表される有機金属錯体を分子モデルで表した図である。
Figure 2022145607000008
上記化学構造式は式(2)、(3)において、R11乃至R26が水素原子、XがC(CH基、Y乃至Yが炭素原子である分子の立体構造を示している。上記化学構造式で表される有機金属錯体は、Irに結合するベンゾイソキノリン(以下、BIQと呼ぶ)環と、Irに結合するフェニル基と、が結合している。さらに当該フェニル基と当該BIQ環が別の位置でも結合している環状構造の配位子(以下、主配位子と呼ぶ)を有する。上記化学構造式の化合物は、主配位子を2つ、ピバロイルメタンを配位子(以下、補助配位子と呼ぶ)を1つ有する有機金属錯体である。
この化学構造式で表される有機金属錯体は後述の例示化合物A-1である。以降の説明ではこの化学構造式で表される有機金属錯体を「例示化合物A-1」と呼ぶ。
なお、図1に示した立体構造や後に示す分子軌道計算の各パラメータは、電子状態計算ソフトウェアであるGaussian09*Revision C.01を用いて基底状態の構造最適化計算を行ない求めたものである。その際、量子化学計算法として、密度汎関数法(Density Functional Theory)を採用し、汎関数にはLC-BLYPを用いた。基底関数はGaussian 09、 Revision C.01では6-31**を用いた。
Gaussian 09、 Revision C.01、 M.J.Frisch、G.W.Trucks、 H.B.Schlegel、 G.E.Scuseria、M.A.Robb、 J.R.Cheeseman、 G.Scalmani、 V.Barone、 B.Mennucci、 G.A.Petersson、 H.Nakatsuji、 M.Caricato、 X.Li、 H.P.Hratchian、 A.F.Izmaylov、 J.Bloino、 G.Zheng、 J.L.Sonnenberg、 M.Hada、 M.Ehara、 K.Toyota、 R.Fukuda、 J.Hasegawa、 M.Ishida、 T.Nakajima、 Y.Honda、O.Kitao、 H.Nakai、 T.Vreven、 J.A.Montgomery、 Jr.J.E.Peralta、 F.Ogliaro、 M.Bearpark、 J.J.Heyd、 E.Brothers、 K.N.Kudin、 V.N.Staroverov、 T.Keith、 R.Kobayashi、 J.Normand、 K.Raghavachari、 A.Rendell、 J.C.Burant、 S.S.Iyengar、 J.Tomasi、 M.Cossi、 N.Rega、 J.M.Millam、 M.Klene、 J.E.Knox、 J.B.Cross、 V.Bakken、 C.Adamo、 J.Jaramillo、 R.Gomperts、 R.E.Stratmann、 O.Yazyev、 A.J.Austin、 R.Cammi、 C.Pomelli、 J.W.Ochterski、 R.L.Martin、 K.Morokuma、 V.G.Zakrzewski、 G.A.Voth、 P.Salvador、 J.J.Dannenberg、 S.Dapprich、 A.D.Daniels、 O.Farkas、 J.B.Foresman、 J.V.Ortiz、 J.Cioslowski、 and D.J.Fox、Gaussian、Inc.Wallingford CT、2010.
図1において、例示化合物A-1は、主配位子を2つ、補助配位子を1つ有する。主配位子は、BIQ環と、BIQ環と結合しているフェニル環と、を有し、BIQ環上のフェニル環と結合した炭素原子に隣接した炭素原子と、フェニル環上のBIQ環と結合した炭素原子に隣接した炭素原子と、が6員環を形成している。補助配位子はピバロイルメタンである。
BIQ環とフェニル環とが、単結合のみではなく、さらにもう一つの架橋構造を有し、環状配位子とすることで発光スペクトルのピーク幅が小さくかつ発光効率が高い性能を有する。
BIQ環を有することは発光量子収率を向上させるうえで優位に働いている。イリジウム錯体のような燐光材料の発光量子収率を高効率化するには、錯体の励起状態における遷移双極子モーメントを増大させ振動子強度を向上させることが有効である。
BIQ環を持つイリジウム錯体は共役面の重心を金属原子からより遠ざかる方向に適切に共役を拡張しているので錯体の励起状態において、金属原子から配位子へ移る電子の移動距離が長くなり、遷移双極子モーメントを増大させ、振動子強度を向上させることができる。そのため、発光効率が高い有機金属錯体となる。
本発明に係る有機金属錯体の双極子モーメントが大きいことを以下に示す。特許文献2に記載のRef-1、Ref-1に環構造を一つ縮環した比較化合物1及び比較化合物2、例示化合物A-1を挙げて分子軌道計算により各化合物の振動子強度を計算した。
Ref-1、比較化合物1及び2、例示化合物A-1の構造をそれぞれ下記に示す。表1には、各構造の最高被占有分子軌道(HOMO)、最低非占有分子軌道(LUMO)、最大発光ピーク波長(λmax.calc)、振動子強度を分子軌道計算により算出した値を示した。
Figure 2022145607000009
Figure 2022145607000010
その結果、例示化合物A-1の振動子強度は、Ref-1の振動子強度の1.3倍であり、比較化合物1の振動子強度の1.3倍であり、比較化合物2の振動子強度の2.6倍であることがわかる。
すなわち、例示化合物A-1が有するBIQ環が、有機金属錯体の遷移双極子モーメントを最も増大させ、振動子強度を大きくする。振動子強度が大きくなることで、発光効率を高くすることに最も作用している。
表1の各化合物のHOMO-LUMOのエネルギー準位を比較すると、各化合物のHOMOの値に大きな差は見られなかったが、LUMOの値が大きく異なった。特に比較化合物1は発光波長が有機ELディスプレイ用の発光材料として適さない波長領域になっている。これは縮環位置の違いにより、共役の大きさが異なるものである。
また、配位子を環状配位子とすることが発光スペクトルのピーク幅を小さくすることに作用している。有機化合物の発光スペクトルのピークがブロードになるのは、化合物の基底状態における構造と励起状態における構造との差が原因である。すなわち、基底状態と励起状態において構造の差が小さいものは発光スペクトルのピーク幅が小さくなる。配位子が環状になっているイリジウム錯体は、化合物として剛直な構造になっているので、基底状態と励起状態との構造変化が低減されている。そのため、環状の配位子を有する本発明に係る有機金属錯体は発光スペクトルのピーク幅が小さい。ピークはが小さいとは、半値幅が40nm以下であってよい。
図1に示す通り、例示化合物A-1の構造は環状配位子によって剛直性が増しており、平面性が非常に高い構造を有している。化合物の平面性を示すために、例示化合物A-1の二面角と環状の配位子ではない、比較化合物3の二面角を比較した。二面角は分子軌道計算によって算出した。その結果を表2に示す。ここで二面角とはBIQ環とフェニル環がなす角を意味する。二面角はτ(1234)と表記している。これは、表2中の構造に1乃至4の番号を付しており、これら4点を用いて、二面角を算出したことを示している。
Figure 2022145607000011
その結果、例示化合物A-1の二面角は0.2°であり、比較化合物3の15.1°と比較しても非常に小さい。例示化合物A-1は非常に平面性が高く、剛直な構造を有していることが明らかになった。すなわち、基底状態と励起状態において、構造変化が低減された本発明に係る有機金属錯体は、発光スペクトルのピーク幅が小さい。
よって、振動子強度の大きさの比較と合わせて考えると、例示化合物A-1は発光効率が高く、発光スペクトルのピーク幅が小さい有機金属錯体として好適であることを見出した。
以下に本発明に係る有機金属錯体の具体的な構造式を例示する。ただし、本発明に係る有機金属錯体は、これらに限定されるものではない。
Figure 2022145607000012
Figure 2022145607000013
Figure 2022145607000014
Figure 2022145607000015
Figure 2022145607000016
Figure 2022145607000017
Figure 2022145607000018
Figure 2022145607000019
Figure 2022145607000020
Figure 2022145607000021
Figure 2022145607000022
Figure 2022145607000023
Figure 2022145607000024
Figure 2022145607000025
Figure 2022145607000026
Figure 2022145607000027
Figure 2022145607000028
Figure 2022145607000029
Figure 2022145607000030
Figure 2022145607000031
Figure 2022145607000032
A群乃至D群に示す例示化合物は、一般式(1)で表される有機金属錯体の例である。A群に示す有機金属錯体は、主に発光に寄与する主配位子Lが2つ、補助配位子L’’としてピバロイルメタンが1つずつイリジウムに配位した化合物例である。他の群の有機金属錯体と比較して、A群に示す有機金属錯体は分子量が低いため、蒸着温度が低くできる効果がある。B群に示す有機化合物は、主配位子Lが3つイリジウムに配位した化合物例である。分子の対称性が高いため、安定な有機金属錯体である。C群に示す有機化合物は、主配位子Lが1つ、補助配位子L’として2-フェニルピリジンが2つずつイリジウムに配位した化合物例である。D群に示す有機化合物は、主配位子Lが2つ、補助配位子L’として2-フェニルピリジンが1つずつイリジウムに配位した化合物例である。C群およびD群の有機金属錯体は、適当な主配位子Lと補助配位子L’を選択することで、安定性と蒸着温度のバランスが取れた化合物として好適に用いることができる。
上記のすべての有機化合物において、主に発光に寄与する主配位子Lはベンゾイソキノリンまたはアザクリセン骨格を有する環状配位子であり、分子内の構造変化を抑制する効果とベンゾイソキノリン、アザクリセン骨格が遷移双極子モーメントの向きや長さを最適化することで振動子強度を高め発光量子収率を高効率化させる、2つの効果を両立した分子構造である。よって、本実施形態における有機金属錯体は発光スペクトルの半値幅が急峻になりやすく発光量子収率が非常に高いという両方の特性を有する。
次に、本実施形態の有機発光素子について説明する。本実施形態の有機発光素子は、第一電極と第二電極と、これら電極間に配置される有機化合物層と、を少なくとも有する。第一電極及び第二電極は、一方が陽極で他方が陰極である。本実施形態の有機発光素子において、有機化合物層は発光層を有していれば単層であってもよいし複数層からなる積層体であってもよい。ここで有機化合物層が複数層からなる積層体である場合、有機化合物層は、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等を有してもよい。また発光層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。
本実施形態の有機発光素子において、上記有機化合物層の少なくとも一層が本実施形態に係る有機金属錯体を含有する。具体的には、本実施形態に係る有機化合物は、上述した発光層、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、電子注入層等のいずれかに含まれている。本実施形態に係る有機化合物は、好ましくは、発光層に含まれる。
本実施形態の有機発光素子において、本実施形態に係る有機化合物が発光層に含まれる場合、発光層は、本実施形態に係る有機化合物のみからなる層であってもよいし、本実施形態に係る有機金属錯体と他の化合物とからなる層であってもよい。ここで、発光層が本実施形態に係る有機金属錯体と他の化合物とからなる層である場合、本実施形態に係る有機化合物は、発光層のホストとして使用してもよいし、ゲストとして使用してもよい。また発光層に含まれ得るアシスト材料として使用してもよい。ここでホストとは、発光層を構成する化合物の中で質量比が最も大きい化合物である。またゲストとは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さい化合物であって、主たる発光を担う化合物である。またアシスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で質量比がホストよりも小さく、ゲストの発光を補助する化合物である。尚、アシスト材料は、第2のホストとも呼ばれている。ホスト材料を第一有機化合物、アシスト材料を第二有機化合物と呼ぶこともできる。第一有機化合物は、有機金属錯体よりも最低励起一重項エネルギー、最低励起三重項エネルギーが高い。第二有機化合物の最低励起三重項エネルギーは、有機金属錯体の最低励起三重項エネルギーよりも高く、第一有機化合物の最低励起三重項エネルギーよりも低くてよい。
本実施形態に係る有機化合物を発光層のゲストとして用いる場合、ゲストの濃度は、発光層全体に対して0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
本発明者らは種々の検討を行い、本実施形態に係る有機化合物を、発光層のホスト又はゲストとして、特に、発光層のゲストとして用いると、高効率で高輝度な光出力を呈し、かつ極めて耐久性が高い素子が得られることを見出した。この発光層は単層でも複層でも良いし、他の発光色を有する発光材料を含むことで本実施形態の発光色である赤の発光と混色させることも可能である。複層とは発光層と別の発光層とが積層している状態を意味する。この場合、有機発光素子の発光色は赤に限られない。より具体的には白色でもよいし、中間色でもよい。白色の場合、別の発光層が赤以外の色、すなわち青色や緑色を発光する。また、製膜方法も蒸着もしくは塗布製膜で製膜を行う。この詳細については、後述する実施例で詳しく説明する。
本実施形態に係る有機金属錯体が発光層に含まれる場合、発光層と第二電極との間に第一有機化合物層を有してよい。第一有機化合物層は、発光層よりも最低励起三重項エネルギーが高いことが好ましい。また、発光層と第一電極との間に第二有機化合物層を有してよい。第二有機化合物層は、発光層よりも最低励起三重項エネルギーが高いことが好ましい。
本実施形態に係る有機金属錯体は、本実施形態の有機発光素子を構成する発光層以外の有機化合物層の構成材料として使用することができる。具体的には、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層、ホールブロッキング層等の構成材料として用いてもよい。この場合、有機発光素子の発光色は赤に限られない。より具体的には白色発光でもよいし、中間色でもよい。
ここで、本実施形態に係る有機化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系のホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、ホストとなる化合物、発光性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。以下にこれらの化合物例を挙げる。
ホール注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にして、かつ注入されたホールを発光層へ輸送できるようにホール移動度が高い材料が好ましい。また有機発光素子中において結晶化等の膜質の劣化を抑制するために、ガラス転移点温度が高い材料が好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、アリールカルバゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。さらに上記のホール注入輸送性材料は、電子ブロッキング層にも好適に使用される。以下に、ホール注入輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022145607000033
正孔輸送材料としてあげた中でも、HT16乃至HT18は、陽極に接する層に用いることで駆動電圧を低減することができる。HT16は広く有機発光素子に用いられている。HT16に隣接する有機化合物層に、HT2、HT3、HT4、HT5、HT6、HT10、HT12を用いてよい。また、一つの有機化合物層に複数の材料を用いてもよい。
主に発光機能に関わる発光材料としては、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、アントラセン誘導体、ルブレン等)、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、スチルベン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体、レニウム錯体、銅錯体、ユーロピウム錯体、ルテニウム錯体、及びポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体が挙げられる。
以下に、発光材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022145607000034
Figure 2022145607000035
発光材料が炭化水素化合物である場合、エキサイプレックス形成による発光効率低下やエキサイプレックス形成による発光材料の発光スペクトルの変化による色純度低下を低減できるので、好ましい。
炭化水素化合物とは炭素と水素のみで構成される化合物であり、上記の例示化合物の中ではBD7、BD8、GD5乃至GD9、RD1である。
発光材料は5員環を含む縮合多環である場合、イオン化ポテンシャルが高いため、酸化しにくく、高耐久な寿命の素子となるため好ましい。上記の例示化合物の中ではBD7、BD8、GD5乃至GD9、RD1である。
発光層に含まれる発光層ホストあるいは発光アシスト材料としては、芳香族炭化水素化合物もしくはその誘導体の他、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体等が挙げられる。
以下に、発光層に含まれる発光層ホストあるいは発光アシスト材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022145607000036
ホスト材料は炭化水素化合物である場合、本発明の化合物が電子や正孔をトラップしやすくなるため高効率化の効果が大きく好ましい。炭化水素化合物とは炭素と水素のみで構成される化合物であり、上記の例示化合物の中ではEM1乃至EM12及びEM16乃至EM27である。
電子輸送性材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、クリセン誘導体、アントラセン誘導体等)が挙げられる。さらに上記の電子輸送性材料は、ホールブロッキング層にも好適に使用される。
以下に、電子輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
Figure 2022145607000037
電子注入性材料としては、陰極からの電子注入が容易に可能なものから任意に選ぶことができ、正孔注入性とのバランス等を考慮して選択される。有機化合物としてn型ドーパント及び還元性ドーパントも含まれる。例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属を含む化合物、リチウムキノリノール等のリチウム錯体、ベンゾイミダゾリデン誘導体、イミダゾリデン誘導体、フルバレン誘導体、アクリジン誘導体があげられる。
また上記の電子輸送材料と合わせて用いることもできる。
[有機発光素子の構成]
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[有機化合物層]
有機化合物層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[マイクロレンズ]
有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
[有機層]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
[画素回路]
発光装置は、発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。
画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。
画素回路を構成するトランジスタは、第一の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
[画素]
有機発光装置は、複数の画素を有する。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が、発光する。この領域は第一領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。
副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えは、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
[本発明の一実施形態に係る有機発光素子の用途]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置について説明する。
図2は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるトランジスタとを有する表示装置の例を示す断面模式図である。トランジスタは、能動素子の一例である。トランジスタは薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。
図2(a)は、本実施形態に係る表示装置の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素10を有している。副画素はその発光により、10R、10G、10Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出社する光がカラーフィルタ等により、選択的透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素は、層間絶縁層1の上に第一電極である反射電極2、反射電極2の端を覆う絶縁層3、第一電極と絶縁層とを覆う有機化合物層4、透明電極5、保護層6、カラーフィルタ7を有している。
層間絶縁層1は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子を配されていてよい。トランジスタと第一電極は不図示のコンタクトホール等を介して電気的に接続されていてよい。
絶縁層3は、バンク、画素分離膜とも呼ばれる。第一電極の端を覆っており、第一電極を囲って配されている。絶縁層の配されていない部分が、有機化合物層4と接し、発光領域となる。
有機化合物層4は、正孔注入層41、正孔輸送層42、第一発光層43、第二発光層44、電子輸送層45を有する。
第二電極5は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
保護層6は、有機化合物層に水分が浸透することを低減する。保護層は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
カラーフィルタ7は、その色により7R、7G、7Bに分けられる。カラーフィルタは、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ上に不図示の樹脂保護層を有してよい。また、カラーフィルタは、保護層6上に形成されてよい。またはガラス基板等の対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられよい。
図2(b)の表示装置100は、有機発光素子26とトランジスタの一例としてTFT18が記載されている。ガラス、シリコン等の基板11とその上部に絶縁層12が設けられている。絶縁層の上には、TFT等の能動素子18が配されており、能動素子のゲート電極13、ゲート絶縁膜14、半導体層15が配置されている。TFT18は、他にも半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とで構成されている。TFT18の上部には絶縁膜19が設けられている。絶縁膜に設けられたコンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
なお、有機発光素子26に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、図2(b)に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFTソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
図2(b)の表示装置100では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
図2(b)の表示装置100ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
また図2(b)の表示装置100に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
図2(b)の表示装置100に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
図3は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図4(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本発明の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
図4(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部に映される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
図5は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図5(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光装置が用いられてよい。
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図5(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図5(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図5(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図6(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタは光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本発明の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図6(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
図7を参照して、上述の各実施形態の表示装置の適用例について説明する。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有する。
図7(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置が設けられている。
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
図7(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
本発明に係る有機金属錯体は、例えば。下記の合成方法により、合成できる。下記は例として例示化合物A-1の合成を示している。
Figure 2022145607000038
以下、実施例について説明する。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<例示化合物A-1の合成>
以下の手順で例示化合物A-1を合成した。
Figure 2022145607000039
窒素雰囲気において、2-(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸を2.19g、4-クロロベンゾ[f]イソキノリンを2.0g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.54g、1、4-ジオキサンを100mL、純水を30mL、炭酸ナトリウムを3.00g、200mLのナスフラスコに加えた。この溶液を室温から90℃に昇温し、12時間攪拌した。クロロホルムと水を加え、有機層を抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。濃縮後、10%酢酸エチルを含むヘキサン溶液でカラムした。得られた液体を濃縮し中間体1を1.61g得た。構造はH-NMR、GC-MSにて同定した。
Figure 2022145607000040
窒素雰囲気において、中間体1を1.5g、脱水THFを50mL、1.06Mのメチルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン溶液を40mL、300mLナスフラスコに加えた。この溶液を室温で12時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止させた。クロロホルムと水を加え、抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。溶媒を濃縮後、10%酢酸エチルを含むヘキサン溶液でカラムした。得られた液体を濃縮し中間体2を1.11g得た。構造はH-NMR、GC-MSにて同定した。
Figure 2022145607000041
窒素雰囲気において、中間体2を1.0g、トリフルオロメタンスルホン酸を10mL、100mLのナスフラスコに加えた。その後、室温で1時間攪拌した。ジクロロメタンと水を加え、抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。溶媒を濃縮すると、中間体3を0.85g得た。構造はH-NMR、GC-MSにて同定した。
Figure 2022145607000042
窒素雰囲気において、中間体3を0.80g、塩化イリジウム三水和物を0.48g、2-エトキシエタノールを30mL、純水を10mL、200mLナスフラスコに加えた。この溶液を室温から120℃に昇温し、20時間攪拌した。水を加え、析出した固体をろ過した。ろ過した固体をメタノール、ヘキサンで洗浄して中間体4を1.00g得た。
Figure 2022145607000043
窒素雰囲気において、中間体4を0.5g、ジピバロイルメタンをg、2-エトキシエタノールをmL、炭酸ナトリウムをg、100mLナスフラスコに加えた。この溶液を室温から120℃に昇温し、20時間攪拌した。水を加え、析出した固体をろ過した。ろ過した固体をメタノールで洗浄して例示化合物A-1を0.47g得た。
NMR測定の結果、ピーク積分値の比がその構造と良く一致したので、得られた化合物は例示化合物A-1であることを確認した。NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
1H-NMR(重クロロホルム)δ(ppm):7.20(t、1H)、6.99-6.83(m、5H)、6.74(d、1H)、6.72-6.65(m、2H)、4.45(sep、2H)、3.69(s、3H)、3.25(sep、1H)、2.28(s、3H)、1.62(d、6H)、1.42-1.02(d、br、12H)
[実施例2]
(発光特性および発光効率の評価)
実施例1で得られた例示化合物A-1を溶解させたトルエン溶液(1.0×10-5M)を調整し、発光スペクトルと量子収率を測定した。得られた結果から各イリジウム錯体の発光波長、発光スペクトルの半値幅(FWHM)、色度座標、発光量子収率を算出し、表3に記載した。同様にして、比較の化合物として、化合物A、化合物Bの測定結果を示す。発光スペクトルの半値幅は、発光スペクトルのピーク幅である。幅を測定する箇所が、最大発光強度のおおよそ半分の箇所を測定したため、半値幅として記載した。
Figure 2022145607000044
[実施例3]
<例示化合物A-52の合成>
以下の手順で例示化合物A-52を合成した。
Figure 2022145607000045
窒素雰囲気において、NIQ-Clを0.5g(1.90mmol)、2-アセトキシフェニルボロン酸を0.37g(2.28mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.11g(0.095mmol)、1、4-ジオキサンを15mL、純水を5mL、炭酸ナトリウムを0.40g(3.80mmol)、100mLのナスフラスコに加えた。この溶液を室温から110℃に昇温し、6時間攪拌した。クロロホルムと水を加え、有機層を抽出した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。濃縮後、カラム精製し中間体b-1を0.56g得た。
次いで、窒素雰囲気において100mLナスフラスコに、中間体b-1を0.5g(1.44mmol)、脱水THFを20mL加え氷浴で撹拌した。1.06Mのメチルマグネシウムブロミド/テトラヒドロフラン溶液4.1mL(4.32mmol)を滴下した後、この溶液を室温に昇温し、12時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止させた。クロロホルムと水を加え、抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。溶媒を濃縮後、カラム精製し中間体b-2を0.26g得た。
窒素雰囲気において、100mLのナスフラスコに中間体b-2を0.2g(0.56mmol)をトリフルオロメタンスルホン酸5mLに懸濁させ、120℃で5時間攪拌した。反応終了後、氷浴で撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムと水を加え、抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。濃縮後、カラム精製し中間体b-3を0.17g得た。
窒素雰囲気において、中間体b-3を0.15g(0.44mmol)、塩化イリジウム三水和物を1.5mg(0.44mmol)、2-エトキシエタノールを10mL、純水を5mLと混合し、この溶液を120℃で20時間攪拌した。水を加え、析出した固体をろ過した。ろ過した固体をメタノール、ヘキサンで洗浄して中間体b-4を0.15g得た。この中間体b-4を2-エトキシエタノールを10mLと混合し、ジケトン体b-5を199mg、炭酸ナトリウム78mg加えた後、120℃で5時間攪拌した。水を加え、析出した固体をろ過した。ろ過した固体をメタノールで洗浄して例示化合物A-52を0.10g得た。
[実施例4]
<例示化合物A-53の合成>
以下の手順で例示化合物A-53を合成した。
Figure 2022145607000046
窒素雰囲気において100mLナスフラスコに、実施例3の中間体b-1を0.5g(1.44mmol)、フッ化セシウム437mg(2.88mmol)、脱水1,4-ジオキサン20mLを混合し撹拌した。(トリフルオロメチル)トリメチルシラン410mg(2.88mmol)を滴下した後、この溶液を室温で3時間攪拌した。飽和水酸化ナトリウム水溶液を加えて50℃で30分撹拌した後、残渣に蒸留水、クロロホルムを加え、抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。溶媒を濃縮し中間体c-1を0.54g得た。
窒素雰囲気において、100mLのナスフラスコに中間体c-1を0.50g(1.20mmol)をトリフルオロメタンスルホン酸5mLに懸濁させ、120℃で5時間攪拌した。反応終了後、氷浴で撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液で中和し、クロロホルムと水を加え、抽出した有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過した。濃縮後、カラム精製し中間体c-2を0.33g得た。
窒素雰囲気において、中間体c-2を0.25g(0.63mmol)、塩化イリジウム三水和物を90mg(0.30mmol)、2-エトキシエタノールを20mL、純水を7mLと混合し、この溶液を120℃で20時間攪拌した。水を加え、析出した固体をろ過した。ろ過した固体をメタノール、ヘキサンで洗浄して中間体c-3を0.21g得た。この中間体c-3を2-エトキシエタノールを10mLと混合し、ジケトン体b-5を177mg、炭酸ナトリウム88mg加えた後、120℃で5時間攪拌した。水を加え、析出した固体をろ過した。ろ過した固体をメタノールで洗浄して例示化合物A-53を0.10g得た。
[実施例5]
(発光特性および発光効率の評価)
実施例3で得られた例示化合物A-52および実施例4で得られた例示化合物A-53をトルエンに溶解し(1.0×10-5M)、実施例2と同様に発光スペクトルと量子収率を測定した。得られた結果を、表4に記載した。
Figure 2022145607000047
以上の通り、本発明に係る有機金属錯体は、発光スペクトルの半値幅が小さく、かつ高発光量子効率を両立することができる。
1 層間絶縁層
2 反射電極
3 絶縁層
4 有機化合物層
5 透明電極
6 保護層
7 カラーフィルタ
10 副画素
11 基板
12 絶縁層
13 ゲート電極
14 ゲート絶縁膜
15 半導体層
16 ドレイン電極
17 ソース電極
18 薄膜トランジスタ
19 絶縁膜
20 コンタクトホール
21 下部電極
22 有機化合物層
23 上部電極
24 第一保護層
25 第二保護層
26 有機発光素子
100 表示装置
1000 表示装置
1001 上部カバー
1002 フレキシブルプリント回路
1003 タッチパネル
1004 フレキシブルプリント回路
1005 表示パネル
1006 フレーム
1007 回路基板
1008 バッテリー
1009 下部カバー
1100 撮像装置
1101 ビューファインダ
1102 背面ディスプレイ
1103 操作部
1104 筐体
1200 電子機器
1201 表示部
1202 操作部
1203 筐体
1300 表示装置
1301 額縁
1302 表示部
1303 土台
1310 表示装置
1311 第一表示部
1312 第二表示部
1313 筐体
1314 屈曲点
1400 照明装置
1401 筐体
1402 光源
1403 回路基板
1404 光学フィルム
1405 光拡散部
1500 自動車
1501 テールランプ
1502 窓

Claims (21)

  1. 下記式(1)で表されることを特徴とする有機金属錯体。
    MLL’L’’ (1)
    式(1)において、Mは遷移金属を表し、LL’L’’は、それぞれ異なる配位子を表す。mは1乃至3の整数、nは0乃至2の整数、lは0乃至2の整数であり、m+n+l=3である。MLは、下記一般式(2)で表される構造である。
    Figure 2022145607000048

    一般式(2)において、R11乃至R14は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換かあるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。
    XはCRR’、SiRR’、S、SO、SOから選ばれる。前記R及び前記R’は置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアリール基及びハロゲン原子からそれぞれ独立に選ばれる。
    乃至Yは炭素原子及び窒素原子からそれぞれ独立に選ばれる。
    前記Y乃至前記Yが炭素原子の場合、当該炭素原子はアルキル基あるいはアリール基で置換されてもよい。
    前記Y乃至前記Yが炭素原子の場合、当該炭素原子は、当該炭素原子と隣り合う炭素原子と互いに結合して環構造を形成してよい。
    ML’及びML’’は、下記式(4)または(5)からそれぞれ独立に選ばれる。
    Figure 2022145607000049

    式(4)及び(5)において、R31乃至R38及びR41乃至R43は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換アミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
  2. 前記有機金属錯体が、下記式(3)で表されることを特徴とする有機金属錯体。
    Figure 2022145607000050

    式(3)において、R21乃至R26は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換かあるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、シリル基、シアノ基からそれぞれ独立に選ばれる。
    XはCRR’、SiRR’、S、SO、SOから選ばれる。前記R及び前記R’は置換あるいは無置換のアルキル基または置換あるいは無置換のアリール基、及びハロゲン原子からそれぞれ独立に選ばれる。
    乃至Y12は炭素原子及び窒素原子からそれぞれ独立に選ばれる。
    前記Y乃至前記Y12が炭素原子の場合、当該炭素原子はアルキル基あるいはアリール基で置換されてもよい。
  3. 前記MがIrであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機金属錯体。
  4. 前記XはCRR’であり、前記R及び前記R’は置換あるいは無置換のアルキル基及び置換あるいは無置換のアリール基、及びハロゲン原子からそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  5. 前記Y乃至前記Y12がすべて炭素原子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  6. 前記Yは窒素原子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  7. 前記Yまたは前記Y10は窒素原子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  8. 発光スペクトルの半値幅が40nm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  9. 式(1)において、R11乃至R14が、前記水素原子、前記重水素原子、前記アリール基からそれぞれ独立に選ばれることを特徴とする請求項1乃至8いずれか一項に記載の有機金属錯体。
  10. 第一電極と第二電極と前記第一電極と前記第二電極との間に配置されている有機化合物層を有する有機発光素子であって、前記有機化合物層は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機金属錯体を有することを特徴とする有機発光素子。
  11. 前記有機化合物層は発光層を有し、前記発光層は、前記有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりも最低励起一重項エネルギーが大きい第一有機化合物をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の有機発光素子。
  12. 前記発光層は、前記第一有機化合物とは異なる第二有機化合物を有し、前記第二有機化合物は最低励起三重項エネルギーが、前記第一有機化合物の最低励起三重項エネルギーよりも小さく、かつ前記有機金属錯体の最低励起三重項エネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項11に記載の有機発光素子。
  13. 前記有機化合物層は、前記発光層と前記第二電極との間に第一有機化合物層を有し、前記第一有機化合物層の最低励起三重項エネルギーは、前記発光層の最低励起三重項エネルギーよりも高いことを特徴とする請求項11または12に記載の有機発光素子。
  14. 前記第一有機化合物層は、炭化水素化合物から成ることを特徴とする請求項13に記載の有機発光素子。
  15. 前記有機化合物層は、前記発光層と前記第一電極との間に第二有機化合物層を有し、前記第二有機化合物層の最低励起三重項エネルギーは、前記発光層の最低励起三重項エネルギーよりも高いことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の有機発光素子。
  16. 前記第二有機化合物層は、炭化水素化合物から成ることを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
  17. 複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項10乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
  18. 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
    前記表示部は請求項10乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする撮像装置。
  19. 請求項10乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
  20. 請求項10乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルタと、を有することを特徴とする照明装置。
  21. 請求項10乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
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