JP2022144243A - 光電変換装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】垂直信号線に読み出される信号の振幅に応じた動作が可能な光電変換装置および電子機器を提供すること。【解決手段】光電変換によって信号を生成する画素と、画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定する判定回路と、を有し、判定回路は、画素が信号を読み出すために選択されている間に複数回または複数種の判定を行うことを特徴とする光電変換装置である。【選択図】図5
Description
本発明は、光電変換装置および電子機器に関する。
特許文献1には、1本の垂直信号線に対し、2つのサンプル&ホールド回路を並列に持つサンプル&ホールド部と、サンプル&ホールド部から出力される画素信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル部と、を備えた個体撮像装置が示されている。
特許文献1に示される構成では、垂直信号線に読み出される信号の振幅に応じた動作が考慮されていない。
本発明は、垂直信号線に読み出される信号の振幅に応じた動作が可能な光電変換装置および電子機器を提供することを1つの目的とする。
上述の目的は、光電変換によって信号を生成する画素と、画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定する判定回路と、を有し、判定回路は、複数回または複数種の判定を行うことを特徴とする光電変換装置によって達成される。
本発明によれば、垂直信号線に読み出される信号の振幅に応じた動作が可能な光電変換装置および電子機器を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る光電変換装置1000の構成例を示すブロック図である。光電変換装置1000は、第1の基板1と第2の基板2とが電気的に接続された構造を有する。第1の基板は画素部5を有する。また、第2の基板は電流源40、判定回路20、サンプルホールド部(SH)50、変換部(AD)60、データ処理部90、出力部100を有する。光電変換装置1000は例えばCMOSイメージセンサであってよい。
画素部5には、フォトダイオードなどの光電変換素子を有する画素10が行列状に配列されている。以下の説明において、図1における左右方向を行方向もしくは水平方向、図1における上下方向を列方向もしくは垂直方向という。また、画素部5において行方向に沿って配列された画素群を画素行、列方向に沿って配列された画素群を画素列という。また、信号の伝達方向に関して、画素10に向かう方向を上流または前段、出力部100に向かう方向を下流もしくは後段という。
個々の画素10は、露光時間中に入射した光量に応じた電圧値を有する信号を生成する。画素部5には、画素列に対応した垂直信号線30が設けられている。図1では、画素列ごとに1つの垂直信号線30が設けられている例を示しているが、画素列ごとに複数の垂直信号線30が設けられてもよい。垂直信号線30は、接続されている画素10のうち、外部の垂直走査回路によって選択されている画素行に属する画素10から、信号を判定回路20およびサンプルホールド部50に伝達する。
電流源40は、垂直信号線30のそれぞれに対応して設けられている。電流源40は、信号を読み出すために選択されている画素10に対して、垂直信号線30を介してバイアス電流を供給する。
判定回路20は、垂直信号線30を介して供給される信号の振幅を判定し、判定結果を出力する。振幅とは、ある基準電位からの変化量を表す。振幅の判定は例えば基準値との大小関係の判定であってよい。図1には、振幅の判定に用いる基準値が、第1の基準値REF1と第2の基準値REF2の2種類である例を示している。したがって、判定回路20は、第1の基準値REF1を用いた第1の判定と、第2の基準値REF2を用いた第2の判定とを実施可能である。判定結果は光電変換装置1000における後段の処理や、光電変換装置1000の外部回路での処理に用いることができる。判定結果は判定結果を利用する回路や目的に応じて利用可能であり、判定結果の用途は限定されない。
サンプルホールド部50は、それぞれの画素10の光電変換素子で生成された信号を画素部5から垂直信号線30を介してサンプリングし保持する。サンプルホールド部50は、それぞれが垂直信号線30に接続された、リセット信号をサンプリングおよび保持するサンプルホールド回路と、データ信号をサンプリングおよび保持するサンプルホールド回路とを有している。リセット信号は、画素が蓄積している電荷をリセットした際の信号である。また、データ信号は、光電変換素子が露光期間に生成した電荷に基づく信号である。
変換部60は、サンプルホールド部50ごとに設けられ、対応するサンプルホールド部50から出力される信号をアナログデジタル(A/D)変換してデジタル信号として出力するA/D変換回路である。A/D変換回路の具体例としては、スロープ型アナログデジタル変換回路、逐次比較型アナログデジタル変換回路、デルタシグマ(ΔΣ)型アナログデジタル変換回路などが挙げられるが、これらに限定されない。
データ処理部90は、変換部60から出力されるデジタル信号に対して予め定められた処理を適用して出力する。データ処理部90は、例えばデジタル信号に対してデジタルゲインを適用したり、補正処理や補完処理を適用したりすることができる。
出力部100は、データ処理部90で処理されたデジタル信号を光電変換装置1000の外部へ出力する。
出力部100は、データ処理部90で処理されたデジタル信号を光電変換装置1000の外部へ出力する。
図2は、画素10の構成例を示す回路図である。画素10は、フォトダイオードなどの光電変換素子400と、転送トランジスタ410と、リセットトランジスタ455と、増幅トランジスタ430と、選択トランジスタ440とを含む。光電変換素子400は、主電極のうち一方が、接地電位450に接続されており、受光量に応じた量の信号電荷(例えば、光電子)を生成する。光電変換素子400の主電極のうち他方は、転送トランジスタ410を介して増幅トランジスタ430のゲート電極に電気的に接続されている。増幅トランジスタ430のゲート電極が電気的に繋がったノード420は、フローティングディフュージョン(FD)として機能する。フローティングディフュージョンは、光電変換素子400で生成された電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部である。
転送トランジスタ410のゲート電極には、転送信号TXが供給される。転送トランジスタ410が転送信号TXに応じて導通状態になることによって、光電変換素子400で生成され、光電変換素子400に蓄積された電荷が、フローティングディフュージョンであるノード420に転送される。電荷が転送された状態におけるノード420の電位が上述したデータ信号に相当する。
リセットトランジスタ455は、電源電位460とノード420との間に接続されている。本明細書において、トランジスタがAとBとの間に接続されているとは、トランジスタの主電極の一方がAに、他方がBに接続されており、トランジスタのゲート電極がAまたはBに接続されていないことを示す。
リセットトランジスタ455のゲート電極には、リセット信号RESが供給される。リセットトランジスタ455がリセット信号RESに応じて導通状態になることによって、ノード420(フローティングディフュージョン)の電位が、電源電位460にリセットされる。リセットトランジスタ455の導通状態におけるノード420の電位が上述したリセット信号に相当する。
増幅トランジスタ430は、ゲート電極がノード420に、主電極のうち一方が電源電位460に、主電極のうち他方が選択トランジスタ440に、それぞれ接続されている。増幅トランジスタ430は、画素10が光電変換素子400の光電変換によって生成した信号を垂直信号線30に出力するソースフォロワの入力部である。したがって、増幅トランジスタ430の主電極のうち他方は選択トランジスタ440を介して垂直信号線30に電気的に接続されている。増幅トランジスタ430と、垂直信号線30に接続された電流源40とは、ノード420の電圧を垂直信号線30の電位に変換するソースフォロワを構成している。
選択トランジスタ440は、増幅トランジスタ430と垂直信号線30との間に接続されている。選択トランジスタ440のゲート電極には、選択信号SELが供給される。選択トランジスタ440が選択信号SELに応じて導通状態になることによって、画素10が選択状態となる。したがって、垂直信号線30には、選択状態の画素10から信号が読み出される。
画素10の回路構成は、図2に示される構成に限定されるものではない。例えば、選択トランジスタ440、電源電位460と増幅トランジスタ430との間に接続されていてもよい。また、図2に示される構成では、画素10として、転送トランジスタ410、リセットトランジスタ455、増幅トランジスタ430、選択トランジスタ440を備える、4Transistor(4Tr.)型の構成を示したが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ440を省略し、増幅トランジスタ430が選択トランジスタとしても機能する3Tr.型の構成としてもよい。また、光電変換装置1000に要求される仕様などに応じて、トランジスタの数を増やした5Tr.型以上の構成にしてもよい。画素10からは、リセットトランジスタ455によってノード420の電位をリセットし、光電変換素子400をリセットした際のリセット信号と、光電変換素子400で光電変換を行った際の信号レベルであるデータ信号と、が順に出力されうる。
図3は、光電変換装置1000のうち、第2の基板2が有する回路に着目した構成例を示す図である。1つの垂直信号線30に、リセット信号をサンプリングし保持するサンプルホールド回路210およびデータ信号をサンプリングし保持するサンプルホールド回路211が接続されている。サンプルホールド回路210および211はサンプルホールド部50を構成する。サンプルホールド部50の出力は、サンプルホールド回路211から変換部60を構成するアナログデジタル変換回路390に供給される。
判定回路20、サンプルホールド回路210、211、およびアナログデジタル変換回路390は垂直信号線30ごとに設けられる。そのため、多画素化などによって垂直信号線30の本数が増えた場合、これらの回路を配置するスペースも増加する。本実施形態ではこれらの回路を画素部5が設けられる第1の基板1とは異なる第2の基板2に配置し、第1の基板1および第2の基板2を積層することにより、回路配置の制約を抑制し、あるいはチップ面積を小型化することが可能となる。
判定回路20は画素10から垂直信号線30に読み出された信号の振幅を、基準値を用いて判定する。基準値は例えば光電変換装置1000が有する基準値回路または外部にある回路から判定回路20に供給される。ここでは第1の基準値REF1と第2の基準値REF2が判定回路20に供給されている。したがって、判定回路20は、第1の基準値REF1を用いた第1の判定と、第2の基準値REF2を用いた第2の判定とを実行することができる。
ここでは、一例として、第1の判定の結果を信号の自動ゲイン制御(AGC)に用い、第2の判定の結果を黒沈みの検出に用いるものとする。したがって、第1の判定の結果は 光電変換装置1000において、アナログゲイン(可変抵抗240の抵抗値)の制御と、デジタルゲイン(データ処理部90で適用される倍率または係数)の制御に用いられる。また、例えば黒沈みが生じている画素の信号を飽和レベルの信号に置換するために用いられる。この補正は光電変換装置1000の内部(例えばデータ処理部90)で行ってもよいし、光電変換装置1000の外部で行ってもよい。補正を外部で行う場合、第2の判定の結果は出力部100を通じて光電変換装置1000の外部に出力することができる。しかし、振幅判定結果の用途はこれらに制限されず、また振幅判定結果の出力先についても用途に応じて変更されうる。
サンプルホールド部50および変換部60の回路構成について説明する。リセット信号用のサンプルホールド回路210は、容量素子120および反転増幅器220を含む。スイッチ110は、制御信号Smp_nに従って、垂直信号線30と容量素子120との接続状態および切断状態を切り替える。反転増幅器220は、ソース接地回路およびソースフォロア回路の組み合わせによって構成されうる。反転増幅器220は、トランジスタ130、140、150、160、スイッチ170、180、190、電流源200を含む。スイッチ170は、反転増幅器220の反転入力端と出力端との間に接続されており、制御信号Smpa_nによって制御される。反転増幅器220からリセット信号が、制御信号Hold_nに従って出力される。
データ信号用のサンプルホールド回路211は、リセット信号用のサンプルホールド回路210と同様の構成を有しうる。具体的には、サンプルホールド回路211は、容量素子121および反転増幅器221を含む。スイッチ111は、制御信号Smp_sに従って、垂直信号線30と容量素子121との接続状態および切断状態を切り替える。反転増幅器221は、ソース接地回路およびソースフォロア回路の組み合わせによって構成されうる。反転増幅器221は、トランジスタ131、141、151、161、スイッチ171、181、191、電流源201を含む。スイッチ171は、反転増幅器221の反転入力端と出力端との間に接続されており、制御信号Smpa_nによって制御される。反転増幅器221からデータ信号が、制御信号Hold_sに従って出力される。
リセット信号用のサンプルホールド回路210の出力端とデータ信号用のサンプルホールド回路211の出力端との間には、可変抵抗素子240が設けられている。可変抵抗素子240の抵抗値は、判定回路20による第1の判定の結果に応じて制御される。判定回路20は、例えば、信号の振幅が小さい(第1の基準値REF1より小さい)場合には、そうでない場合よりも可変抵抗素子240の抵抗値を下げる。これにより、振幅が小さい信号に対するゲインを増加させ、撮像画像の暗部ノイズを低減することができる。
可変抵抗素子240の抵抗値はアナログ信号に適用されるゲインであるためアナログゲインと呼ばれる。アナログゲインを変更した場合、信号処理部90において変更を相殺するゲインが適用される。信号処理部90が適用するゲインはA/D変換後のデジタル信号を対象とするため、デジタルゲインと呼ばれる。アナログゲインとデジタルゲインの値は、積が1となるように定められる。したがって、アナログゲインを1より大きくした場合にはデジタルゲインは1より小さくなる。
可変抵抗素子240に流れる電流Iは、サンプルホールド回路210の出力端の電位、つまりリセット信号の電位をVn、サンプルホールド回路211の出力端の電位、つまりデータ信号の電位をVs、可変抵抗素子240の抵抗値をRとすると、
I=(Vn-Vs)/R
である。
I=(Vn-Vs)/R
である。
電流Iは、アナログデジタル変換回路390へと入力される。可変抵抗素子240に流れる電流Iは、画素のリセット信号の電位Vnとデータ信号の電位Vsとの差分に比例する。したがって、変換部60のアナログデジタル変換回路390には相関二重サンプリング(CDS)後の電流Iが入力される。また、可変抵抗素子240の抵抗値Rを基準値よりも下げることにより、CDS後のデータ信号(Vn-Vs)にプラスのゲインを適用することができる。
なお、ここで説明した回路構成とは異なり、サンプルホールド回路210および211の出力を入力とし、データ信号とリセット信号との差分を得るCDS回路を用いてCDS後のデータ信号を得る構成としてもよい。
図3には、変換部60が有するアナログデジタル変換回路390の一例としてデルタシグマ(ΔΣ)型のアナログデジタル変換回路390が示されている。ΔΣ型のアナログデジタル変換回路390は、第1積分器、第2積分器、量子化器370、デシメーションフィルタ380を含む。アナログデジタル変換回路390において、第1積分器は、積分容量320によって構成されている。第2積分器は、電圧を電流に変換するGmセル330および積分容量360によって構成されている。
第1積分器の入力ノードには、電流源300およびスイッチ310を含むデジタルアナログ変換器305が接続されている。デジタルアナログ変換器305は、第2積分器および量子化器370を介したデジタル信号に応じて第1積分器への電流を制御する。第2積分器の入力ノードには、電流源340およびスイッチ350を含むデジタルアナログ変換器345が接続されている。デジタルアナログ変換器345は、第2積分器の出力を、量子化器370で量子化した結果に応じて、第2積分器への電流を制御する。
ΔΣ型のアナログデジタル変換回路390では、量子化器370で前の量子化値を、デジタルアナログ変換器305、345を通して、第2積分器および第1積分器にフィードバックする動作が行われる。このように、前の量子化値をデジタルアナログ変換器304、345にフィードバックしながら積分器を2回通すことによって2次のノイズシェーピング特性を得ることができる。さらに、量子化器370の後段に配されているデシメーションフィルタ380によって高域ノイズを除去することで、精度が高いアナログデジタル変換出力を得ることができる。
デシメーションフィルタ380から出力されるデジタル信号は、データ処理部90に入力される。データ処理部90は、デジタル信号に対し、デジタルゲインの適用を含む、予め定められた処理を適用して出力部100へ出力する。データ処理部90は判定回路20から通知される第1の判定の結果に基づいて、デジタル信号に適用するデジタルゲインの大きさを制御する。デジタルゲインの適用は、デジタル信号の値に対するゲイン係数の乗算であってよい。
図4は、判定回路20の構成例を示す回路図である。図4に示す判定回路20はいずれも複数種の基準値に対応した構成を有する。図4(a)に示す判定回路20は、判定に用いる基準値の種類と同数の判定器およびラッチを有する。ここでは2種類の基準値を用いる場合の構成を示しており、第1の基準値REF1を用いた第1の判定を行う第1の判定器としての比較器80と、第2の基準値REF2を用いた第2の判定を行う第2の判定器としての比較器81とが設けられている。第1の判定の結果はラッチ70に、第2の判定の結果はラッチ71に記憶される。比較器80および81は垂直信号線30の電位と基準値との大小関係に応じてハイレベルまたはローレベルを出力する。
図4(b)は、比較器に対して選択的に基準値を入力する構成であり、図4(a)の構成よりも比較器の数を減らすことができる。判定回路20は、1つの比較器80と1つのラッチ70を有する。また、判定回路20は、1つの比較器80に対して第1の基準値REF1と第2の基準値REF2とを選択的に入力するためのスイッチSW1およびSW2を有している。スイッチSW1およびSW2の制御信号は、例えば画素から信号を読み出す動作を制御する制御信号の1つとして供給される。
図4(c)は、基準値の入力線を1つとした構成であり、図4(b)の構成におけるスイッチSW1およびSW2を減らすことができる。図4(c)の構成の判定回路20を用いる場合、比較器80に入力する基準値REFの値を可変とする。具体的には、第1の判定を行う期間には第1の基準値REF1を、第2の判定を行う期間には第2の基準値REF2を比較器80に入力する。
判定回路20が用いる基準値は、光電変換装置1000の内部に設けられた基準値回路21から、あるいは光電変換装置1000の外部から供給することができる。
図5は、選択されている画素の入射光量の大きさに応じた垂直信号線30の電位変化と、サンプルホールド回路210、211の各スイッチの動作タイミングとの例を示した図である。また、判定回路20で用いる第1の基準値REF1および第2の基準値REF2についても示している。なお、判定回路20は図4(a)に示す構成を有するものとする。
ここでは、垂直信号線30の電位変化の例を、画素10の入射光量が少ない場合(低輝度)、多い場合(高輝度)、および非常に多い場合(超高輝度)の3通りについて示している。なお、超高輝度は、画素の光電変換素子で発生した電荷がフローティングディフュージョンに漏れ込む現象(ブルーミングとも言われる)が生じる条件に該当する。低輝度および高輝度はブルーミングが生じない範囲における入射光量が少ない場合と多い場合の典型例である。本実施形態では画素10が光電変換によって電子を蓄積するものとする。したがって、垂直信号線30の電位は、画素10の入射光量が多いほど基準電位から低下する。
図5における制御信号Smp_n、Smpa_n,Hlod_n,smp_s,smpa_s,hlod_sは、図3において同じ名称が記載されているスイッチの制御信号である。ここでは、制御信号がハイレベルの間、対応するスイッチがオン状態(導通状態)になり、制御信号がローレベルの間、対応するスイッチがオフ状態(不導通状態)になるものとする。
まず、時刻t1で、制御信号Smp_n,Smpa_nがハイレベルになり、リセット信号用のサンプルホールド回路210において、スイッチ110、170がオン状態になる。次いで、制御信号Smpa_nがハイレベルからローレベルに遷移する時刻t2で、リセット信号の電位Vnがサンプリングされ、容量素子120に蓄積される。
次に、時刻t3において、制御信号Smp_nがハイレベルからローレベルへ遷移する。また、制御信号Hold_nがハイレベルとなり、スイッチ180、190がオン状態になることによって、サンプルホールド回路210において、容量素子120がリセット信号の電位Vnを保持する。この容量素子120にサンプリングされ保持された電荷が、リセット信号用のサンプルホールド回路210から出力される。
時刻t4で、垂直信号線30に画素10から光電変換素子400で生成された信号が出力される。次いで、時刻t5で、制御信号Smp_s、Smpa_sがハイレベルになり、データ信号用のサンプルホールド回路211において、スイッチ111、171がオン状態になる。次いで、制御信号Smpa_sがハイレベルからローレベルに遷移する時刻t6で、データ信号の電位Vsがサンプリングされ、容量素子121に蓄積される。判定回路20は、時刻t5からt6までの期間に振幅判定を行う。
次に、時刻t7において、制御信号Smpa_sがハイレベルからローレベルに遷移する。また、時刻t8において、制御信号Hold_nがハイレベルとなり、スイッチ181、191がオン状態になることによって、サンプルホールド回路211において、容量素子121がデータ信号の電位Vsを保持する。この容量素子121にサンプリングされ保持された電荷が、データ信号用のサンプルホールド回路211から出力される。
上述したように、サンプルホールド回路210の出力端のリセット信号の電位Vnとサンプルホールド回路211の出力端のデータ信号の電位Vsとの差に応じた電流が、アナログデジタル変換回路390へと入力される。次いで、時刻t9において、制御信号Hold_n、Hold_sがローレベルになり、次の画素10のリセット信号およびデータ信号のサンプリングが開始される。
次に、画素の入射光量の大きさと判定回路20における振幅判定結果との関係についてに説明する。ここでは、AGC制御を目的とした第1の基準値REF1と、黒沈みの検出を目的とした第2の基準値REF2とが供給されるものとする。したがって、第1の基準値REF1は、予め定められた、アナログゲインを増加させる範囲に含まれる輝度レベルの信号を検出するための値を有する。また、第2の基準値REF2は、飽和レベルを超える垂直信号線30の電位を検出するための値を有する。
画素の入射光量が少なく、低輝度に相当する信号が出力される場合、時刻t4における垂直信号線30の電位低下は小さく、第1の基準値REF1を下回らない。その結果、判定回路20の比較器80は第1の判定の結果としてハイレベルを出力する。これは、読み出されたデータ信号がアナログゲインを増加させる輝度範囲の信号であることを意味する。また、垂直信号線30の電位は第2の基準値REF2を下回らないため、判定回路20の比較器81は第2の判定の結果としてハイレベルを出力する。これはデータ信号に黒沈みが生じていないことを意味する。
画素から電荷が漏れない程度に入射光量が多く、高輝度に相当する信号が出力される場合、時刻t4における垂直信号線30の電位低下は大きくなり、第1の基準値REF1を下回るようになる。その結果、判定回路20の比較器80は第1の判定の結果としてローレベルを出力する。これは、読み出されたデータ信号がアナログゲインを増加させる輝度範囲の信号でないことを意味する。また、垂直信号線30の電位は第2の基準値REF2を下回らないため、判定回路20の比較器81は第2の判定の結果としてハイレベルを出力する。これはデータ信号に黒沈みが生じていないことを意味する。
ブルーミングが生じる超高輝度の場合、光電変換素子は飽和している。そのため、時刻t5からt6までのデータ信号のサンプリング期間において判定回路20で検出される垂直信号線30の電位は第1の基準値REF1を下回る。その結果、判定回路20の比較器80は第1の判定の結果としてローレベルを出力する。
また、光電変換素子から漏れ出した電荷により、データ信号が垂直信号線30に出力される時刻t4において、フローティングディフュージョンの電位は通常よりも低下している。この状態からさらに飽和レベルの電荷がフローティングディフュージョンに転送されるため、時刻t5からt6の期間に判定回路20で検出される垂直信号線30の電位は過飽和レベルとなり、第2の基準値REF2を下回る。そのため、判定回路20の比較器81は第2の判定の結果としてローレベルを出力する。これはデータ信号に黒沈みが生じていることを意味する。
判定回路20は、画素10が信号を読み出すために選択されている間に第1の基準値REF1を用いた第1の判定と、第2の基準値REF2を用いた第2の判定とを行う。そして、判定の結果はラッチ70および71にそれぞれ保持され、光電変換装置1000内における後段の処理および光電変換装置1000の外部における処理の少なくとも一方に用いることができる。
ここでは、第1の判定の結果は、光電変換装置1000において、判定回路20による可変抵抗素子240の抵抗値(アナログゲイン)の調整および、データ処理部90で適用するデジタルゲインの調整に用いられる。また、第2の判定の結果は、例えば黒沈みが生じているデータ信号を補正するために用いることができる。この補正は光電変換装置1000の内部(例えばデータ処理部90)で行ってもよいし、光電変換装置1000の外部で行ってもよい。いずれの場合においても、第2の判定の結果はメモリなどに保持しておくことができる。補正は、例えば第2の判定によって黒沈みが検出されたデータ信号を、飽和レベルのデータ信号に置換する処理であってよい。
判定結果と判定結果に基づく動作の例を以下に示す。表において低輝度データ信号に対して適用するゲインは単なる例示である。また、上述の通り、判定の目的はここで例示したAGC制御および黒沈み検出に限定されない。また、3種類以上の判定を行ってもよい。例えば、低輝度の範囲を複数に分割してAGC制御をより細かく行うために判定の種類を増やしてもよい。
画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定する判定回路を有することにより、本実施形態の光電変換装置は、光電変換装置内部もしくは外部において、判定結果に基づいて適切な処理を実行することを可能にする。特に、画素が信号を読み出すために選択されている間に判定回路において複数種の振幅判定を行うことで、例えば、黒沈みの検出と、データ信号に適用するゲインの調整といった、画質の向上に寄与する処理を実現することができる。
(変形例1)
図6は、判定回路20を図4(b)の構成とした変形例1についての、垂直信号線30の電位変化と、サンプルホールド回路210、211の各スイッチおよび判定回路20のスイッチの動作タイミングとの例を示した図である。本変形例でも、第1の判定および第2の判定は、データ信号のサンプリング期間に行うものとする。
図6は、判定回路20を図4(b)の構成とした変形例1についての、垂直信号線30の電位変化と、サンプルホールド回路210、211の各スイッチおよび判定回路20のスイッチの動作タイミングとの例を示した図である。本変形例でも、第1の判定および第2の判定は、データ信号のサンプリング期間に行うものとする。
図6において、データ信号のサンプリング期間は時刻t5からt7までの期間である。ここでは、時刻t5からt6までの期間に第2の判定を行い、時刻t6からt7までの期間に第1の判定を行う例を示している。時刻t6は時刻t5とt7を2等分する時刻である。
時刻t1から時刻t5までの間、スイッチSW1およびSW2の制御信号はいずれもローレベルである。したがって、スイッチSW1およびSW2はオフであり、振幅判定処理は行われない。時刻t5になると、スイッチSW2の制御信号がハイレベルになり、スイッチSW2がオンする。スイッチSW1はオフのままである。これにより、比較器80の反転入力に第2の基準値REF2が入力される。比較器80の非反転入力には垂直信号線30を通じてデータ信号が入力されているため、比較器80の出力は第2の判定の結果としてラッチ70に保持されたのち、出力部100から光電変換装置1000の外部へ出力される。光電変換装置1000内部で第2の判定の結果を利用する回路がある場合には、その回路が時刻t5以降、時刻t6までの期間にラッチ70の状態を参照する。
時刻t6になると、スイッチSW2の制御信号がローレベルになり、スイッチSW2がオフする。また、スイッチSW1の制御信号がハイレベルになり、スイッチSW1がオンする。これにより、比較器80の反転入力に第1の基準値REF1が入力される。比較器80の非反転入力には垂直信号線30を通じてデータ信号が入力されつづけているため、比較器80の出力は第1の判定の結果としてラッチ70に保持される。
判定回路20は第1の判定の結果に基づいて可変抵抗素子240の抵抗値を調整することにより、アナログデジタル変換回路390に入力される、CDS後のデータ信号に対するアナログゲインを調整する。また、データ処理部90は、アナログデジタル変換回路390から出力されるデジタル信号に適用するデジタルゲインを、ラッチ70に保持された第1の判定の結果に基づいて調整する。
他の動作については図5を用いて説明した通りであるため、説明を省略する。なお、第1の判定と第2の判定の順序は逆であってもよい。
本変形例では、上述した効果に加え、判定回路20の構成を簡略化できるため、回路規模を低減することができる。
(変形例2)
変形例1では、データ信号のサンプリング期間に第1の判定と第2の判定とを順次行う構成であった。本変形例では、第1の判定と第2の判定との一方を、データ信号のサンプリング期間外に行う。具体的には、第2の判定をデータ信号の出力開始より前の期間(例えばリセット信号のサンプリング期間)に行う。
変形例1では、データ信号のサンプリング期間に第1の判定と第2の判定とを順次行う構成であった。本変形例では、第1の判定と第2の判定との一方を、データ信号のサンプリング期間外に行う。具体的には、第2の判定をデータ信号の出力開始より前の期間(例えばリセット信号のサンプリング期間)に行う。
図7は、変形例2についての、垂直信号線30の電位変化と、サンプルホールド回路210、211の各スイッチおよび判定回路20のスイッチの動作タイミングとの例を示した図である。ここでは、判定回路20が図4(b)の構成であるものとする。第1の判定と第2の判定とを並行して実施する必要がないため、比較器を1つ有する構成の判定回路20での実施に適している。
時刻t1からリセット信号の読み出し期間が開始する。判定回路20でリセット信号に対して振幅の判定を行うため、スイッチSW2の制御信号が時刻t1でハイレベルになる。スイッチSW1の制御信号はローレベルのままである。これにより、比較器80の反転入力に第2の基準値REF2が入力される。垂直信号線30にはリセット信号が読み出されているため、比較器80の出力は第2の判定の結果に相当する。なお、本変形例ではデータ信号ではなくリセット信号に対して第2の判定を行うため、第2の基準値REF2の値が実施形態および変形例1とは異なる。ブルーミングが生じていない状態では起こりえないリセット信号の振幅を検出するための値が第2の基準値REF2として用いられる。例えば、第2の基準値REF2は、フルスケールの1/8振幅相当の値であってよい。
ブルーミングが生じている場合、リセット信号の読み出し期間において光電変換素子から溢れた電荷がフローティングディフュージョンに漏れ込み、リセット信号のレベルが経時的に変化する。図7の例では、時刻t1の時点ではリセット信号のレベルは第2の基準値REF2を下回っていないが、リセット信号が保持される時刻t2までの間に第2の基準値REF2を下回るようになる。これにより、時刻t2における比較器80の出力はローレベルとなり、黒沈みが生じていることを示す判定結果となる。
時刻t2になると、スイッチSW2の制御信号がローレベルとなり、第2の判定は終了する。その後、時刻t4からデータ信号の読み出し期間が始まり、時刻t5でデータ信号のサンプリングが行われるタイミングで、スイッチSW1の制御信号がハイレベルになる。スイッチSW2の制御信号はローレベルのままである。これにより、比較器80の反転入力に第1の基準値REF1が入力される。垂直信号線30にはデータ信号が読み出されているため、比較器80の出力は第1の判定の結果に相当する。
その後、データ信号のサンプリングが行われる時刻t6で、スイッチSW1の制御信号がローレベルとなり、第1の判定が終了する。
本変形例では、変形例1と同様の効果に加え、判定処理に対する時間の制約を変形例1よりも緩和することができる。
(変形例3)
図8は、判定回路20を図4(c)の構成とした変形例3についての、垂直信号線30の電位変化と、基準値サンプルホールド回路210、211の各スイッチの動作タイミングと、判定回路20で用いる基準値の制御との例を示した図である。本変形例において、第1の判定および第2の判定は、変形例2と同じタイミングで行う。
図8は、判定回路20を図4(c)の構成とした変形例3についての、垂直信号線30の電位変化と、基準値サンプルホールド回路210、211の各スイッチの動作タイミングと、判定回路20で用いる基準値の制御との例を示した図である。本変形例において、第1の判定および第2の判定は、変形例2と同じタイミングで行う。
本変形例では比較器80の反転入力に供給する基準値を可変とし、第2の判定を行う期間には第2の基準値REF2を、第1の判定を行う期間には第1の基準値REF1を供給する。例えば、基準値回路21が、時刻t1からt2までは第2の基準値REF2を、時刻t5からt6までは第1の基準値REF1を、基準値REFとして比較器80の反転入力に供給する。基準値の供給方法以外は、変形例2と共通である。
本変形例では、変形例2と同様の効果に加え、基準値を供給するための信号線を削減することができる。
(変形例4)
ここまでは第1の判定と第2の判定とにそれぞれ個別の基準値を用いる構成について説明した。しかし、第1の判定と第2の判定とに同一の基準値を用いることもできる。図9は、変形例4における、垂直信号線30の電位変化と、基準値サンプルホールド回路210、211の各スイッチの動作タイミングと、判定回路20で用いる基準値の制御との例を示した図である。
ここまでは第1の判定と第2の判定とにそれぞれ個別の基準値を用いる構成について説明した。しかし、第1の判定と第2の判定とに同一の基準値を用いることもできる。図9は、変形例4における、垂直信号線30の電位変化と、基準値サンプルホールド回路210、211の各スイッチの動作タイミングと、判定回路20で用いる基準値の制御との例を示した図である。
図9は、図8における基準値REFの値が変化しないものに相当する。本変形例では、それぞれの判定に最適な基準値を用いることはできないが、基準値を可変にする必要が無いため、基準値を供給するための構成(例えば基準値回路21)の構成をより単純にすることができる。本変形例の他の効果は変形例3と同様である。
ここでは、第2の判定に適した第2の基準値REF2を第1の判定にも流用している。しかし、第1の判定に適した第1の基準値REF1を第2の判定に流用したり、第1の基準値REF1および第2の基準値REF2と異なる第3の基準値REF3を第1の判定および第2の判定に用いたりしてもよい。第1の判定の結果は、光電変換装置1000において用いられる。第2の判定の結果は、例えば光電変換装置1000の外部に出力される。第2の判定の結果は例えば外部に出力するためにメモリなどに保持しておくことができる。
(変形例5)
上述の例は目的の異なる複数種の振幅判定を行うものであった。しかし、本発明は同じ目的の振幅判定を複数回行う場合にも適用できる。例えば、画素のフローティングディフュージョン(ノード420)の容量が可変である場合、フローティングディフュージョンの容量を変えて複数回データ信号を読み出すことがある。
上述の例は目的の異なる複数種の振幅判定を行うものであった。しかし、本発明は同じ目的の振幅判定を複数回行う場合にも適用できる。例えば、画素のフローティングディフュージョン(ノード420)の容量が可変である場合、フローティングディフュージョンの容量を変えて複数回データ信号を読み出すことがある。
図10は、フローティングディフュージョンの容量を変えて複数回データ信号を読み出す場合の、垂直信号線30の電位変化と、基準値サンプルホールド回路210、211の各スイッチの動作タイミングと、判定回路20で用いる基準値との例を示した図である。本変形例では図4(c)の構成を有する判定回路20を用いるものとする。
ここでは、2回読み出されるデータ信号のそれぞれに対して第1の判定を行う場合を想定している。したがって、判定回路20には第1の基準値REF1が継続して供給される。1回目のデータ信号のサンプリング期間(時刻t5からt6)に、1回目の第1の判定を行う。
データ信号がホールドされた後、時刻t10で、例えば画素のダイナミックレンジを拡大するためにフローティングディフュージョンの容量が増加される。そして、時刻t11から2回目のデータ信号のサンプリング期間が開始される。フローティングディフュージョンの容量が変化したことにより、データ信号の振幅が変化する。そのため、2回目のデータ信号のサンプリング期間(時刻t11からt12)に、2回目の第1の判定を行う。ラッチ70に保持された1回目の判定結果は2回目の判定結果で上書きされる。
本変形例によれば、フローティングディフュージョンの容量が変更された場合には、変更後の容量に応じた信号について改めて振幅を判定することができる。そのため、例えばAGCを目的とした振幅の判定を行う場合、最終的なデータ信号の振幅に応じた適切なゲイン調整が可能である。
なお、ここでは同じ判定を複数回行う例として、画素のフローティングディフュージョンの容量が変更される都度、データ信号の振幅を判定する例を説明した。しかし、リセット信号レベルに対して同じ判定を複数回行ってもよい。例えば、リセット信号レベルをA/D変換する場合、リセット信号に対する第2の判定の結果によってフローティングディフュージョンの容量を変更することがあり得る。容量の変更後に読み出されたリセット信号に対して2回目の第2の判定を行うことで、フローティングディフュージョンの容量が変更される場合についても適切に黒沈みの検出を行うことができる。
本変形例によれば、振幅を判定した後にフローティングディフュージョンの容量が変更された場合、容量の変更後に読み出された信号に対して再び振幅を判定する。そのため、フローティングディフュージョンの容量が可変な画素から読み出される信号について適切な振幅判定を行うことができる。
(変形例6)
判定回路20に用いる比較器80および81を差動増幅器で実現する場合、入力オフセットが精度低下の原因となりうる。そのため、入力オフセットを補正する構成を有する比較器80を用いることで、判定精度を高めることができる。
判定回路20に用いる比較器80および81を差動増幅器で実現する場合、入力オフセットが精度低下の原因となりうる。そのため、入力オフセットを補正する構成を有する比較器80を用いることで、判定精度を高めることができる。
図11は判定回路20の比較器80および81として用いることのできる、入力オフセットが補正可能な比較器の構成例を示す図である。
図11(a)において比較器80は、入力用の2つの容量素子500、510と、フィードバックスイッチ520、530とを有する。フィードバックスイッチ520は、一端が反転入力端子に、他端が非反転出力端子に接続されている。また、フィードバックスイッチ530は、一端が非反転入力端子に、他端が反転出力端子に接続されている。
なお、比較器80の出力は非反転出力端子であり、この端子がラッチ70の入力端子に接続される。反転入力端子には容量素子500が接続され、非反転入力端子には容量素子510が接続される。反転入力端子には容量素子500を介して基準値が供給され、非反転入力端子には容量素子500を介して垂直信号線30が接続される。
非反転入力にリセット信号が、反転入力に基準値REFが供給されている状態で、この状態でスイッチ520および530をオン(導通)させたのち、オフさせると、容量素子500および510はそれぞれ同じ電位差を有するようになる。これにより、比較器80の入力オフセット電圧をキャンセルすることができる。
図11(b)は、比較器80を構成する差動増幅器がシングルエンドであることを除き、図11(a)と同じである。この構成によっても、非反転入力にリセット信号が、反転入力に基準値REFが供給されている状態で、この状態でスイッチ520および530をオン(導通)させたのち、オフさせることにより、比較器80の入力オフセット電圧をキャンセルすることができる。
なお、比較器80はいわゆるオートゼロ方式の差動増幅器として公知の任意の構成を採ることができる。図11に示した構成は単なる例示である。
(変形例7)
図12は、判定回路20を、画素10の選択トランジスタ440、増幅トランジスタ430に電流を供給する垂直信号線30の電流源40で駆動する構成を示す。これにより、判定回路20を別電源で駆動する場合よりも消費電力の低減を実現することができる。
図12は、判定回路20を、画素10の選択トランジスタ440、増幅トランジスタ430に電流を供給する垂直信号線30の電流源40で駆動する構成を示す。これにより、判定回路20を別電源で駆動する場合よりも消費電力の低減を実現することができる。
比較器は、N型MOSトランジスタ540と、P型MOSトランジスタ550、560と、リセットスイッチ570とを有する。トランジスタ540はソースに垂直信号線30が接続され、ゲートに基準値REFが入力される。また、トランジスタ550は電源電圧とトランジスタ540に接続され、ゲートにはバイアス電圧が印加されている。トランジスタ560は電源電圧とラッチ70に接続され、ゲートにはトランジスタ540と55の接続点の電圧が印加されている。トランジスタ560の出力がラッチ70に入力される。また、リセットスイッチ570はオン時にラッチ70をリセットするスイッチである。
垂直信号線30の電位が、(基準電圧REF-トランジスタ540の閾値電圧Vth)以下に低下するとトランジスタ540がオンする。トランジスタ540がオンすると、電流源40に向かって電流が流れる。これにより、トランジスタ560のゲート電圧が低下し、トランジスタ560がオンする。これにより、ラッチ70にはハイレベルが保持される。基準電圧REFは第1の基準値REF1であっても第2の基準値REF2であってもよい。また、判定を複数回行う場合には、リセットスイッチ570をオンにして前回の判定結果をリセットしてから新たな判定を行う。
本変形例によれば、判定回路20を垂直信号線30の電流源40で駆動するため、消費電力を低減することができる。
(変形例8)
図13は、判定回路20を、垂直信号線30の電流源40で駆動する別の形態を示す図である。変形例7と同じ構成要素については図12と同じ参照数字を付して説明を省略する。本変形例に係る判定回路20は、変形例7の構成に対して垂直信号線30の電位を保持するための構成を付加したものである。
図13は、判定回路20を、垂直信号線30の電流源40で駆動する別の形態を示す図である。変形例7と同じ構成要素については図12と同じ参照数字を付して説明を省略する。本変形例に係る判定回路20は、変形例7の構成に対して垂直信号線30の電位を保持するための構成を付加したものである。
具体的には、トランジスタ540のソースとゲートとの接続、切断を行うスイッチ590と、トランジスタ540のゲートと基準値の入力端子との間に設けられた容量素子600とが追加されている。
垂直信号線30にリセット信号が読み出されている状態で、スイッチ590をオンすることにより、容量素子600に垂直信号線30が接続される。スイッチ590をオフすると、リセット信号の電位が容量素子600に保持される。容量素子600はリセット信号の電位の保持回路として機能する。
この状態で基準値REFをΔVだけ低下させて、この低下分を容量素子600に印加すると、トランジスタ540のゲートには(リセット信号-ΔV)の電位が印加される。垂直信号線30の電位がリセット信号から、例えばフルスケールの1/8分だけ低下した際にトランジスタ540がオンするように、ΔVを調整しておくことで、データ信号に対して第1の判定を行うことができる。このように、本変形例では、トランジスタ540のゲート電位の基準に垂直信号線30の基準のリセット信号を用いている。
これにより、本変形例によれば、信号を読み出す画素の出力段におけるソースフォロワトランジスタの閾値電圧Vthのばらつきを抑制した状態で振幅を判定することができ、判定精度の向上が実現できる。
以上説明したように、本実施形態による光電変換装置は、画素から読み出された信号の振幅、もしくは読み出された信号に基づく信号の振幅を判定する判定回路を有する。画素が信号を読み出すために選択されている間、判定回路において、様々な種類もしくはタイミングで振幅の判定を行うことにより、光電変換装置内部もしくは外部において、判定結果に基づいて適切な処理を実行することができる。判定結果を用いることにより、例えば、黒沈みの検出と、データ信号に適用するゲインの調整とを実現することができ、画質の向上を実現することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態に係る光電変換装置1000の応用例を以下に説明する。図14は、光電変換装置1000を搭載した電子機器EQPの模式図である。図14は、電子機器EQPの一例としてカメラを示している。ここで、カメラの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータや、スマートフォンなどの携帯端末)も含まれる。
上述の実施形態に係る光電変換装置1000の応用例を以下に説明する。図14は、光電変換装置1000を搭載した電子機器EQPの模式図である。図14は、電子機器EQPの一例としてカメラを示している。ここで、カメラの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータや、スマートフォンなどの携帯端末)も含まれる。
光電変換装置1000は、画素部5が設けられた積層構造の半導体チップでありうる。光電変換装置1000は、図14に示されるように、半導体パッケージPKGに収容されている。パッケージPKGは、光電変換装置1000が固定された基体と、光電変換装置1000に対向する蓋体と、基体に設けられた端子と光電変換装置1000に設けられた端子とを接続する導電性の接続部材と、を含みうる。蓋体は例えばガラスで構成することができる。また、接続部材はボンディングワイヤやバンプなどであってよい。機器EQPは、光学系OPT、制御装置CTRL、処理装置PRCS、表示装置DSPL、記憶装置MMRYの少なくともいずれかをさらに備えていてもよい。
光学系OPTは、光電変換装置1000に結像するものであり、例えば、レンズやシャッタ、ミラーでありうる。制御装置CTRLは、光電変換装置1000の動作を制御するものであり、例えば、ASICなどの半導体デバイスでありうる。処理装置PRCSは、光電変換装置1000から出力された信号を処理するものであり、CPUやASICなどの半導体デバイスでありうる。表示装置DSPLは、光電変換装置1000で得られた画像データを表示する、EL表示装置や液晶表示装置でありうる。記憶装置MMRYは、光電変換装置1000で得られた画像データを記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置MMRYは、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリでありうる。機械装置MCHNはモーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。カメラにおける機械装置MCHNはズーミングや合焦、シャッタ動作のために光学系OPTの部品を駆動することができる。機器EQPでは、光電変換装置1000から出力された画像データを表示装置DSPLに表示したり、機器EQPが備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。このため、機器EQPは、記憶装置MMRYや処理装置PRCSを備えていてもよい。
光電変換装置1000が組み込まれたカメラは、監視カメラや、自動車や鉄道車両、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの輸送機器に搭載される車載カメラなどにも適用されうる。加えて、光電変換装置1000が組み込まれたカメラは、輸送機器に限らず、高度道路交通システム(ITS)など、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
本発明は上述した実施形態の内容に制限されず、発明の精神および範囲から離脱することなく様々な変更及び変形が可能である。したがって、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
5:画素部、10:画素、30:垂直信号線、50:サンプルホールド部、60:変換部、210,211:サンプルホールド回路、1000:光電変換装置
Claims (19)
- 光電変換によって信号を生成する画素と、
前記画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定する判定回路と、を有し、
前記判定回路は、前記画素が信号を読み出すために選択されている間に複数回または複数種の前記判定を行うことを特徴とする光電変換装置。 - 前記判定回路は、
第1の判定を行う第1の判定器と、
第2の判定を行う第2の判定器と、
を用いて前記判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。 - 前記判定回路は、第1の期間に第1の判定を行い、第2の期間に第2の判定を行う判定器を有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記画素からリセット信号とデータ信号とが読み出され、
前記第1の判定および前記第2の判定が、前記データ信号に対して行われることを特徴とする請求項2または3に記載の光電変換装置。 - 前記画素からリセット信号とデータ信号とが読み出され、
前記判定回路は、前記リセット信号に対して第2の判定を行い、前記データ信号に対して第1の判定を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の光電変換装置。 - 前記判定回路は、前記第1の判定には第1の基準値を用い、前記第2の判定には第2の基準値を用いることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記判定回路は、前記第1の判定と前記第2の判定に同じ基準値を用いることを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
- 前記第1の判定の結果を前記光電変換装置で用い、前記第2の判定の結果を前記光電変換装置の外部に出力することを特徴とする請求項7に記載の光電変換装置。
- 前記画素がフローティングディフュージョンの容量を切り替え可能であり、
前記判定回路は、前記容量が第1の容量である状態で前記画素から読み出された信号と、前記容量が第2の容量である状態で前記画素から読み出された信号とのそれぞれについて、同じ基準値を用いて前記判定を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。 - 前記判定回路が前記信号と前記判定に用いる基準値とを入力とし、入力オフセットをキャンセルする機能を有するオートゼロ方式の差動増幅器であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記判定回路が前記画素の垂直信号線に接続された電流源によって駆動されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記判定回路が、
前記垂直信号線に読み出されたリセット信号の電位を保持する保持回路を有し、
前記保持回路に保持された前記リセット信号の電位を差し引いた基準値を用いて前記判定を行う、
ことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置。 - 前記判定回路は、前記判定の結果を前記判定回路の外部から読み出し可能に保持することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記判定が、前記信号に適用するアナログゲインと、前記信号をA/D変換した後に適用するデジタルゲインとを調整するための判定を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記判定が、前記画素に黒沈みが生じているか否かの判定を含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 光電変換によって信号を生成する画素と、
前記画素に電流を供給する電流源と、
前記画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定する判定回路と、を有し、
前記電流源から電流が前記判定回路に供給されることを特徴とする光電変換装置。 - 請求項1から16のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置の動作を制御する制御装置と、
を有することを特徴とする電子機器。 - 光電変換によって信号を生成する画素が設けられた基板に積層される基板であって、
前記画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定する判定回路と、を有し、
前記判定回路は、前記画素が信号を読み出すために選択されている間に複数回または複数種の前記判定を行うことを特徴とする基板。 - 光電変換によって信号を生成する画素が設けられた基板に積層される基板であって、
前記画素に電流を供給するように設けられた電流源と、
前記画素から垂直信号線に読み出された信号の振幅を判定するための判定回路と、を有し、
前記電流源から電流が前記判定回路に供給されることを特徴とする基板。
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