JP2022141040A - 制震装置 - Google Patents

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隆介 瀧川
Ryusuke Takigawa
崇兵 閻
Chongbing Yan
みなみ 藤森
Minami Fujimori
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Abstract

【課題】壁構造に適した制震装置の新規提案【解決手段】制震装置100Aでは、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとのうち少なくとも一方の端部は、当該端部に固定されたブレース支持プレート172と、ブレース支持プレート172から折れ曲って第2柱22の内側面に沿って延びる固定プレート171とを有する。【選択図】図11

Description

本発明は、制震装置に関する。
特開2019-90254号公報には、粘弾性体を備えたいわゆるK型ブレースタイプの制震装置が開示されている。同公報で開示されるK型ブレースタイプの制震装置は、固定金具と、可動金具と、一対のブレースと、粘弾性体とを備えている。固定金具は、フレームを構成する一対の柱のうち、一方の柱の長手方向中央部に固定されている。一対のブレースは、他方の柱の長手方向両端部から一方の柱の長手方向中央部に向けて架設されている。可動金具は、一対のブレースに固定されている。固定金具は、フレーム面に平行な面を有している。可動金具は、フレーム面と直交する方向において、固定金具に対向する面を有している。粘弾性体は、固定金具と可動金具との間に介在されて両金具に接着されている。同公報では、可動金具の少なくとも一部が、柱または固定金具に直接または間接的に接触し、回転するのが防止される構造が開示されている。
特開2019-90254号公報
ところで、一対の柱と一対の横架材とで囲まれた建物の壁構造に取付けられる、粘弾性体を含むK型ブレースでは、建物の壁構造の動きに対して、粘弾性体にせん断変形が入力される。この際、建物の壁構造の変位に対して粘弾性体に適切にせん断変形が入力されることが望ましい。ここで、かかる観点で、制震装置の新規構造を提案する。
ここで開示される制震装置は、建物の一対の柱と一対の横架材とで囲まれた壁構造に取り付けられる制震装置である。制震装置は、壁構造を構成する一対の柱のうち第1柱の内側面に取り付けられる制震ユニットと、制震ユニットに取り付けられた第1ブレースと、制震ユニットに取り付けられた第2ブレースとを有している。第2プレートは、第1プレートに対向する側とは反対側の側面に、第1ブレースが取付けられる第1取付部と、第2ブレースが取付けられる第2取付部とを有している。第1ブレースは、第1取付部に取り付けられる第1端部と、第1端部から上方に向けて延びる第1ブレース軸部と、壁構造を構成する一対の柱のうち第1柱と対をなす第2柱に取り付けられる第2端部とを有している。第2ブレースは、第2取付部に取り付けられる第3端部と、第3端部から下方に向けて延びる第2ブレース軸部と、第2柱に取付けられる第4端部とを有している。第1ブレースの第2端部と第2ブレースの第4端部とのうち少なくとも一方の端部は、端部に固定されたブレース支持プレートと、ブレース支持プレートから折れ曲って第2柱の内側面に沿って延びる固定プレートとを有している。
かかる制震装置によれば、固定プレートとブレース支持プレートとが折曲げられている。このため、固定プレートとブレース支持プレートとに大きな力が作用すると、屈曲部に塑性変形が生じ、第2柱に大きな力が作用しにくい。このため、建物の損傷が小さく抑えられる。
第1ブレースの第2端部と第2ブレースの第4端部との両方は、それぞれブレース支持プレートと固定プレートとを有していてもよい。ブレース支持プレートと固定プレートとを有する端部の幅は、当該端部が取り付けられる第2柱の側面の幅よりも50mm以上短くてもよい。ブレース支持プレートには、ブレースが取り付けられた側に盛り上がったリブが設けられていてもよい。第1ブレース軸部の軸線と第2ブレース軸部の軸線との交点は、建物の一対の柱と一対の横架材とで囲まれた壁構造において、第1柱の内側面よりも外側にあってもよい。
制震ユニットは、壁構造を構成する一対の柱のうち第1柱の内側面に取り付けられる第1プレートと、第1プレートと対向するように配置された第2プレートと、第1プレートと第2プレートとの間に配置され、第1プレートと第2プレートとにそれぞれ接着された粘弾性体とを有していてもよい。ブレース支持プレートは、ブレース軸部の側面に接合されていてもよい。
図1は、制震装置100が取付けられた建物10の壁構造20を示す正面図である。 図2は、制震ユニット120の正面図である。 図3は、制震ユニット120の側面図である。 図4は、制震ユニット120の平面図である。 図5は、制震ユニット120の第1粘弾性体141に変位が生じた状態を示す正面図である。 図6は、他の形態に係る制震装置100の正面図である。 図7は、制震ユニット120Aを示す側面図である。 図8は、制震ユニット120Bの正面図である。 図9は、制震ユニット120Bの側面図である。 図10は、図1に示された制震装置100のX-X断面図である。 図11は、建物10の壁構造20の他の形態を示す正面図である。 図12は、図11に示された壁構造20のXII-XII側面図である。 図13は、ここで提案される制震装置100Aのブレースの端部構造を示す側面図である。 図14は、制震装置100Aのブレースの端部構造の背面図である。
以下、ここで開示される制震装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。上、下、左、右、前、後の向きは、図中、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。
図1は、制震装置100が取付けられた建物10の壁構造20を示す正面図である。ここでは、図1における建物10の壁構造20の上下に応じて、上、下、左、右、前、後が規定されている。建物10の壁構造20は、例えば、図1に示されているように、一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた構造である。図1では左側の柱を第1柱21とし、右側の柱を第2柱22と、便宜的に称する。第1柱21と第2柱22の配置は、左右で入れ替わってもよい。ここでは、一対の柱21,22のうち制震ユニット120が取付けられる側の柱が「第1柱」とされ、他方の柱が「第2柱」とされる。
制震装置100は、壁構造20に取付けられている、いわゆるK型ブレースタイプの制震装置である。図1では、建物10は、木造住宅である。横架材23は、建物10の一階の天井梁である。横架材24は、建物10の土台である。土台としての横架材24は、建物10のコンクリート基礎30の上に配置され、コンクリート基礎30に埋め込まれたアンカーボルト36に固定されている。コンクリート基礎30と土台24との間には、ゴムパッキン32などが適宜に取付けられる。一対の柱21,22は、それぞれ土台としての横架材24に立てられた状態で設置され、天井梁としての横架材23を支持している。一対の柱21,22は、それぞれホールダウン金具で、土台に固定されている。地震や強風時には、一対の横架材23,24が相対的に変位する。また、一対の横架材23,24の相対的な変位に応じて、一対の柱21,22が平行に傾くように動く。なお、図1に示された例では、制震装置100は、建物10の一階の構造において、取付けられている。制震装置100は、かかる形態に限定されず、建物10の2階、3階などにも設置可能である。ここで開示される制震装置100は、建物10の一対の柱と一対の横架材とで囲まれた任意の壁構造に取り付けられうる。
制震装置100は、図1に示されているように、制震ユニット120と、第1ブレース161と、第2ブレース162とを備えている。図2は、制震ユニット120の正面図である。図3は、制震ユニット120の側面図である。図4は、制震ユニット120の平面図である。図2および図3では、図1に示されているように、壁構造20に取付けられた状態で、制震ユニット120の、上、下、左、右、前、後の向きが規定されている。
制震ユニット120は、図2および図3に示されているように、第1プレート121と、第2プレート122と、第1粘弾性体141とを備えている。
第1プレート121は、図1に示されているように、壁構造20を構成する一対の柱21,22のうち第1柱21の内側面21aに沿って、プレート面121aを壁構造20の内側に向けて取り付けられる。ここで、第1柱21の内側面21aは、一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20の内側に向いた面である。この実施形態では、第1プレート121は、図3に示されているように、略長方形の平板状の部材である。第1プレート121の短辺は、第1柱21の内側面21aの幅と同じか少し小さいとよい。第1プレート121は、長手方向の中央部に第1粘弾性体141が接着される接着領域を有している。この実施形態では、第1プレート121は、長手方向において、第1粘弾性体141が接着される領域の両側に、第1柱21に取付けられる取付部121b,121cを有している。この実施形態では、第1プレート121は、第1柱21にねじ止めされる。第1プレート121を第1柱21に固定するねじには、例えば、ラグスクリューボルトが用いられるとよい。
第2プレート122は、図2および図3に示されているように、第1プレート121のプレート面121aと対向するように配置されたプレート部材である。また、第2プレート122は、第1ブレース161が取付けられる第1取付部131と、第2ブレース162が取付けられる第2取付部132とを有している。
この実施形態では、第2プレート122は、図2に示されているように、プレート122aと、プレート122bとを備えている。プレート122aは、第1プレート121に対向するプレートである。プレート122bは、プレート122aに直交したプレートである。プレート122bは、プレート122aのうち第1プレート121に対向する側の側面122a1とは反対側の側面122a2に直交している。
この実施形態では、プレート122aは、略長方形である。プレート122aの短辺は、第1プレート121の短辺と同じ幅とされている。プレート122aは、長手方向において、第1プレート121の第1粘弾性体141が接着される領域に対向しうる長さを有している。なお、第1プレート121は、長手方向において、第1粘弾性体141が接着される領域の両側に、第1柱21に取付けられる取付部を有している。プレート122aは、当該取付部に被らない程度の長さであるとよい。
プレート122aとプレート122bとが直交する部分は、溶接されているとよい。第1ブレース161が取付けられる第1取付部131と、第2ブレース162が取付けられる第2取付部132とは、第2プレート122のプレート122bに設けられている。この実施形態では、第1取付部131は、プレート122bの上下方向の中央よりも上部に設けられている。第2取付部132は、プレート122bの下部に設けられている。第1取付部131と第2取付部132とには、それぞれボルト孔が形成されている。ボルト孔は、例えば、図2に示されているように、第1取付部131と第2取付部132において、それぞれ上下方向に離間した2箇所に形成されている。
第1粘弾性体141は、第1プレート121と第2プレート122との間に配置され、第1プレート121と第2プレート122とにそれぞれ接着されている。ここで、第1粘弾性体141は、いわゆる粘弾性体であるとよい。粘弾性体には、せん断変形に応じて所要の減衰力を発生する材料が用いられている。粘弾性体に用いられる材料としては、例えば、スチレン系、ウレタン系、アクリル系、イソブチレン系、シリコン系、ジエン系、イソプレン系などのエラストマーが好適である。特に、温度依存性の少ない材料がより好ましく、いわゆる高減衰ゴムと称されるゴム材料などが採用されうる。また、第1粘弾性体141には、建物用の制震ゴムとして用いられる粘弾性体が種々採用されうる。
第1粘弾性体141の成形では、例えば、粘弾性体となる未加硫のゴム素材が用意される。そして、例えば、第1プレート121と第2プレート122を予め定められた配置で設置できる金型を用意する。次に、当該金型に配置された第1プレート121と第2プレート122との間に、第1粘弾性体141となる未加硫のゴム素材を配置する。そして、当該金型にて、予め定められた条件で加硫するとともにゴム素材を成形する。これにより、第1プレート121と第2プレート122との間に、第1プレート121と第2プレート122とにそれぞれ加硫接着された第1粘弾性体141が成形される。この実施形態では、第1プレート121と第2プレート122とが対向する領域に収まるように、第1粘弾性体141が成形されている。第1プレート121と第2プレート122とは、略長方形の領域で対向している。第1粘弾性体141は、第1プレート121と第2プレート122とが対向する略長方形の領域よりも、一回り小さい長方形の形状を有している。第1粘弾性体141は、第1プレート121と第2プレート122との間隔に応じた厚さで成形されている。なお、ここでは、粘弾性体に加硫接着できる材料が用いられる場合が例示されている。粘弾性体には、加硫接着できない材料が用いられてもよい。この場合、粘弾性体となるゴム素材が用意され、第1プレート121と第2プレート122との間で成形され、かつ、第1プレート121と第2プレート122に接着されるとよい。
第1ブレース161は、図1に示されているように、第2プレート122の第1取付部131に取り付けられる第1端部161aと、第1端部161aから上方に向けて直線状に延びる第1ブレース軸部161bと、第2柱22に取り付けられる第2端部161cとを有している。
ここで、第1端部161aには、第2プレート122の第1取付部131に重ねられるプレート161a1が設けられている。当該プレート161a1は、第1ブレース軸部161bに溶接されているとよい。プレート161a1には、第2プレート122の第1取付部131のボルト孔に合うにように、ボルト挿通孔161a2が形成されている。ボルト挿通孔161a2は、左右方向に沿って長い長穴で形成されている。壁構造20を構成する一対の柱21,22の間隔は、建物によって異なる。ボルト挿通孔161a2は、かかる間隔の違いを吸収しうる程度の長さの長穴であるとよい。これにより、制震装置100の汎用性が高くなる。
この実施形態では、ボルト挿通孔161a2は、第1ブレース軸部161bの軸線161b1に対して直交する方向に長い長穴で形成されている。また、この実施形態では、第1端部161aのプレート161a1は、第2プレート122の第1取付部131に取り付けられた部位から斜め上方に延びている。そして、当該斜め上方に延びた部位161a3に、第1ブレース軸部161bが溶接されている。このため、第1ブレース161の第1ブレース軸部161bは、第2プレート122のより上部に取り付けられている。ここで、第1ブレース軸部161bの軸線161b1は、例えば、第1ブレース軸部161bの横断断面の中心に沿って設定された直線でありうる。第1ブレース軸部161bの横断断面の中心が部分的にずれるような場合には、適切な近似直線が設定されるとよい。後述する第2ブレース軸部162bの軸線162b1も同様に規定されうる。
第1ブレース軸部161bは、所要の剛性を有する軸材であるとよい。また、第1ブレース軸部161bは、第1端部161aから第2柱22に向けて、理想的には、45度に近い角度で上方に延びているとよい。かかる観点で、第1ブレース軸部161bは、30度以上、より好ましくは40度以上、また、60度以下、より好ましくは50度以下の角度で第1端部161aから第2柱22に向けて上方に延びているとよい。第2端部161cは、第2柱22に取付けられているとよい。この実施形態では、第2端部161cは、第2柱22の内側面22aに沿って取付けられるプレート161c1が、第1ブレース軸部161bに溶接されている。当該プレート161c1には、ボルト孔が形成されているとよい。
第2ブレース162は、第2取付部132に取り付けられる第3端部162aと、第3端部162aから下方に向けて直線状に延びる第2ブレース軸部162bと、第2柱22に取付けられる第4端部162cとを有する。この実施形態では、第2ブレース162は、第1ブレース161と、上下対称となり、各部位において概ね同じ構造を有している。第3端部162aには、第2プレート122の第2取付部132に重ねられるプレート162a1が設けられている。プレート162a1には、ボルト挿通孔162a2が形成されているとよい。ボルト挿通孔162a2は長穴であるとよい。この実施形態では、ボルト挿通孔162a2は、第2ブレース軸部162bの軸線162b1に対して直交する方向に長い長穴で形成されている。また、この実施形態では、第3端部162aのプレート162a1は、第2プレート122の第2取付部132に取り付けられた部位の下部から斜め下方に延びている。そして、当該斜め上方に延びた部位162a3に、第2ブレース軸部162bが溶接されている。このため、第2ブレース162の第2ブレース軸部162bは、第2プレート122のより下部に取り付けられている。
第2ブレース162の第2ブレース軸部162bは、第3端部162aから第2柱22に向けて下方に延びているとよい。第4端部162cには、プレート162c1が、第2ブレース軸部162bに溶接されているとよい。プレート162c1は、予め定められた角度で第2ブレース軸部162bに溶接されており、第2柱22の内側面22aに沿って取付けられる。そして、かかるプレート162c1には、ボルト孔が形成されているとよい。
制震装置100は、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。ここで、第1柱21の内側面21aよりも外側とは、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20の内側よりも外側にある。この実施形態では、交点c1は、壁構造20の正面視において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。詳しくは、この実施形態では、交点c1は、第1柱21の内側面21aと、第1柱21の幅方向の中心線21cとの間に設けられている。交点c1は、かかる形態に限定されず、第1柱21の内側面21aと外側面の間、つまり、第1柱21の幅内に配置されていてもよい。
かかる制震装置100は、図1に示されているように、壁構造20の内側において、一対の柱21,22に取付けられる。この制震装置100は、地震時や強風によって、土台24に対して、天井梁23が動かされた場合、換言すると、壁構造20の一対の横架材23,24が水平方向に相対的に変位した場合、それに応じて一対の柱21,22が傾く。このとき、第1柱21に取付けられた制震ユニット120の第1プレート121と、第2柱22に取付けられた第1ブレース161と第2ブレース162とが、一対の柱21,22の傾きに応じて動く。第1ブレース161と第2ブレース162とは、制震ユニット120の第2プレート122に取付けられている。このため、制震ユニット120の第1プレート121と第2プレート122とが相対的に変位する。かかる第1プレート121と第2プレート122との変位に応じて、第1プレート121と第2プレート122とにそれぞれ接着された第1粘弾性体141にせん断変形が生じる。
第1粘弾性体141は、第1柱21に沿って平行な第1プレート121と第2プレート122との間に挟まれている。このため、建物の壁構造20の動きに応じて、第1粘弾性体141に回転などの変形が生じ難く、第1粘弾性体141に適切なせん断変形が入力されやすい。
例えば、壁構造20の天井梁23が、土台24に対して、図1の矢印a1の方向(左方向)に変位した場合、一対の柱21,22は、それぞれ矢印a2の方向(左方向)に傾く。そして、一対の柱21,22と一対の横架材23,24で囲まれた壁構造20は、全体として一対に柱21,22の傾きに応じて傾く。この際、第1柱21に取付けられた第1プレート121は、図5に示されているように、第2プレート122に対して相対的に矢印a3の方向(上方)に動く。また、第1ブレース161と第2ブレース162に取付けられた第2プレート122は、矢印a4の方向(下方)に動く。図5は、制震ユニット120の第1粘弾性体141に変位が生じた状態を示す正面図である。なお、壁構造20の天井梁23が、土台24に対して、図1の矢印a1の方向とは反対方向に変位した場合には、それぞれ反対に動き、制震ユニット120に第1粘弾性体141に反対方向のせん断変形が生じる。つまり、地震や強風時には、壁構造20の天井梁23が土台24に対して水平方向に揺れ動く。これに応じて、一対の柱21,22が左右に傾く。これに応じて制震ユニット120の第1プレート121と第2プレート122とは、一対の柱21,22の傾きに応じて、上下方向に交互にせん断変位する。第1プレート121と第2プレート122との上下方向のせん断変位に追従して、第1粘弾性体141には、せん断変形が繰り返し生じる。
さらに、制震装置100は、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。本発明者の研究によれば、この場合には、一対の柱21,22が傾くときに、第1ブレース161と第2ブレース162は、それぞれ第2プレート122は第1柱21の内側面21aに対してより回転しにくい。第2プレート122は第1プレート121に対して距離を保ちつつ変位しやすい。このため、第1粘弾性体141に、壁構造20の変形に応じた適切なせん断変形が生じやすい。
つまり、交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21a上または第1柱21の内側面21aよりも内側にある場合よりも、第1粘弾性体141に、壁構造20の変形に応じた適切なせん断変形が生じやすい。このことについて、本発明者は、以下のように考えている。
例えば、図6は、他の形態に係る制震装置100の正面図である。図6では、交点c1が、第1柱21の内側面21a上に設定された形態が示されている。第1柱21および第2柱22が剛体として傾く場合、机上の計算では、交点c1は、壁構造20の変形に応じて、第2柱22側に設定される回転中心c0周りに、回転中心c0との距離を半径する円弧cxに沿って移動する。このため、壁構造20の変形が大きくなればなるほど、交点c1は、第1プレート121から離れる方向に移動する。
第2プレート122は、交点c1の動きに応じて動く。壁構造20の変形が大きくなればなるほど、第2プレート122は、第1プレート121から離れうる。第2プレート122は、第1プレート121から離れるように動くため、第1粘弾性体141に壁構造20の変形に応じたせん断変形が生じると、第1プレート121は、第1粘弾性体141に引っ張られる。第1プレート121は、長い長方形のプレート状の部材であり、長さ方向の両端が第1柱21にビス留めされている。第1粘弾性体141は、第1プレート121の中間部に接着されている。このため、壁構造20の変形が大きくなり、第1プレート121が、第1粘弾性体141に引っ張られる力が大きくなると、第1プレート121が第1粘弾性体141に引っ張られ、第1柱21から浮き上がる事象が生じうる。これに対して、第1プレート121が十分な剛性を有しているとよいが、第1プレート121の剛性を高めると、コストが割高になる。
これに対して、図1に示された形態では、交点c1は、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。この場合、交点c1と回転中心c0との距離を半径する交点c1を通る円弧cxは、図5に示されているように、第1柱21の内側面21aよりも外側を通る領域が大きい。壁構造20の変形が大きくなっても、交点c1は、第1柱21の内側面21aよりも外側に留まる。第2プレート122は、交点c1の動きに応じて動く。壁構造20の変形が大きくなっても、第2プレート122は、第1プレート121から離れず、第1プレート121との間で第1粘弾性体141を挟んだ状態で維持される。このため、壁構造20の変形が大きくなっても、第1プレート121が第1柱21から浮き上がりにくい。このため、第1粘弾性体141に、壁構造20の変形に応じた適切なせん断変形が生じやすい。
制震装置100は、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。さらに、交点c1は、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、想定される壁構造20の変位に対して、交点c1は、第1柱21の内側面21aよりも外側に留まるように、交点c1の位置が設定されているとよい。また、交点c1は、壁構造20の変形に応じた制震ユニット120の動作が阻害されない程度に、適当に第1柱21の内側面21aよりも外側に配置されているとよい。
このとき、第1粘弾性体141は、粘弾性体であり、せん断変形に応じた反力を生じさせる。この際、第1粘弾性体141のせん断変形により、エネルギが消費される。このため、制震装置100が取付けられていない場合に比べて、一対の柱21,22に生じる揺れは小さく抑えられ、かつ、一対の柱21,22に生じる揺れは早期に減衰する。このように、制震装置100は、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。このため、第1粘弾性体141に、壁構造20の変形に応じた適切なせん断変形が生じる。そして、壁構造20に生じる揺れは小さく抑えられ、かつ、壁構造20に生じる揺れは早期に減衰する。
このように、壁構造20の正面視において、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、第1柱21の内側面21aよりも外側にあるとよい。例えば、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1とが、壁構造20の法線方向に前後にずれている場合がありうる。この場合には、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点は、壁構造20の正面視において、特定されるとよい。そして、壁構造20の正面視において、交点c1が第1柱21の内側面21aよりも外側にあるとよい。なお、制震ユニット120は、第1プレート121と第2プレート122の間隔を維持する構造が適宜に付加されてもよい。
以下に、制震装置100の変形例を説明する。図7は、制震ユニット120Aを示す側面図である。制震ユニット120Aでは、図7に示されているように、第2プレート122の、第1プレート121に対向する側とは反対側の側面において、第1取付部131と第2取付部132とは、正面側と背面側にずらして設けられている。この場合、第1ブレース161と第2ブレース162(図1参照)とが共通部品であってもよい。つまり、第1ブレース161と第2ブレース162(図1参照)とは、第2プレート122の第1取付部131と第2取付部132とが、同じ側にオフセットされており、上下にひっくり返して取り付けられるように構成されていてもよい。
図7に示された形態では、第2プレート122の、第1プレート121に対向する側とは反対側の側面に設けられたプレート122bは、上下で前後にずれた2つのプレート122b3,122b4とを備えている。上側のプレート122b3は、プレート122aの前後方向の中央よりも前側にずれて設けられている。かかる上側のプレート122b3には、第1ブレース161の第1端部161a(図1参照)が取付けられる第1取付部131が設けられている。第1ブレース161は、かかる上側のプレート122b3の後面に重ねられて取付けられている。下側のプレート122b4は、プレート122aの前後方向の中央よりも後側にずれて設けられている。かかる下側のプレート122b4には、第2ブレース162の第3端部162a(図1参照)が取付けられる第2取付部132が設けられている。第2ブレース162は、かかる下側のプレート122b4の前面に重ねられて取付けられている。この場合、第1ブレース161を上下にひっくり返すと、第2ブレース162として使えるように、第1ブレース161と第2ブレース162とが共通部品で構成されているとよい。第1ブレース161と第2ブレース162とが共通部品で構成されることによって、製造コストが安価に抑えられる。
上述した実施形態では、制震ユニット120の第1プレート121と第2プレート122は、第1柱21の内側面21aに平行に配置されている。制震ユニット120は、上述した形態に限定されない。
図8は、制震ユニット120Bの正面図である。図9は、制震ユニット120Bの側面図である。制震ユニット120Bは、図1に示された制震装置100の制震ユニット120に適宜に置き換えられうる。なお、第1ブレース161と第2ブレース162の具体的な構造は、制震ユニット120Bに合わせて適宜に変更されるとよい。
制震ユニット120Bは、図8および図9に示されているように、第1プレート121Bと、第2プレート122Bと、第2粘弾性体151,152を備えている。
第1プレート121Bは、ベースプレート121B1と、中間プレート121B2を備えている。ベースプレート121B1は、プレート状の部材であり、第1柱21の内側面に沿って第1柱21に取り付けられている。中間プレート121B2は、ベースプレート121B1の内側面に立ち上がるようにベースプレート121B1に溶接されている。中間プレート121B2は、所要の長さを有する長方形のプレートであり、ベースプレート121B1の内側面の前後の幅方向の中間位置に、上下方向に沿ってベースプレート121B1に溶接されている。換言すると、中間プレート121B2は、第1柱21の内側面に取り付けられたベースプレート121B1から壁構造20に対して内側に向けて延びている。
第2プレート122Bは、長方形の一対のプレート122B1,122B2で構成されている。第2プレート122Bを構成する一対のプレート122B1,122B2は、中間プレート121B2を前後に挟み、対向している。一対のプレート122B1,122B2は、それぞれ中間プレート121B2と対向する部位と、中間プレート121B2からはみ出た部位とを有している。中間プレート121B2からはみ出た部位には、第1ブレース161が取付けられる第1取付部131と、第2ブレース162が取付けられる第2取付部132とが設けられている。
第2粘弾性体151,152は、それぞれ中間プレート121B2と一対のプレート122B1,122B2とが対向する部位に配置されている。第2粘弾性体151,152は、中間プレート121B2と一対のプレート122B1,122B2とに挟まれており、中間プレート121B2と一対のプレート122B1,122B2とにそれぞれ接着されている。
このように、図8および図9に示された制震ユニット120Bでは、第1プレート121Bと第2プレート122Bは、第1柱21の内側面に直交する向きに配置されている。そして、第1プレート121Bと第2プレート122Bとの間に、粘弾性体151,152が配置され、第1プレート121Bと第2プレート122Bとにそれぞれ接着されている。
この場合、地震や強風時には、壁構造20の一対の横架材23,24の相対的に変位する(図1参照)。また、一対の横架材23,24の相対的に変位に応じて、一対の柱21,22が平行に傾くように動く。
この際、制震ユニット120Bでは、第1プレート121Bは、第1柱21の傾きに応じて傾く。これに対して、第2プレート122Bは、第2柱22の傾きに応じて、第1ブレース161と第2ブレース162とを通じて変位する。このとき第1プレート121Bに対して、第2プレート122Bが上または下に相対的に変位する。そして、第1プレート121Bに対する第2プレート122Bの変位に応じて、第1プレート121Bの中間プレート121B2と、第2プレート122Bの一対のプレート122B1,122B2とに相対的な変位が生じる。そして、中間プレート121B2と一対のプレート122B1,122B2とに挟まれ、かつ、接着された第2粘弾性体151,152に、中間プレート121B2と一対のプレート122B1,122B2との相対的な変位に応じたせん断変形が生じる。制震ユニット120Bは、第2粘弾性体151,152に生じるせん断変形によって、壁構造20に生じる揺れを小さく抑え、かつ、早期に減衰させることができる。
この場合でも、制震装置100は、図8に示されているように、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にあるとよい。さらに、交点c1は、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、想定される壁構造20の変位に対して、交点c1は、第1柱21の内側面21aよりも外側に留まるように、交点c1の位置が設定されているとよい。
これにより、壁構造20が傾くときに、一対の柱21,22の傾きに応じて、第2プレート122Bは第1プレート121Bに対して距離を保ちつつ変位しやすい。このため、第2粘弾性体151,152に、壁構造20の変形に応じた適切なせん断変形が生じやすい。第2粘弾性体151,152は、せん断変形に応じた反力を生じさせる。また、第2粘弾性体151,152のせん断変形により、エネルギが消費される。このため、制震装置100が取付けられていない場合に比べて、一対の柱21,22に生じる揺れは小さく抑えられ、かつ、一対の柱21,22に生じる揺れは早期に減衰する。このように、制震装置100は、第1ブレース軸部161bの軸線161b1と第2ブレース軸部162bの軸線162b1との交点c1が、建物10の一対の柱21,22と一対の横架材23,24とで囲まれた壁構造20において、第1柱21の内側面21aよりも外側にある。このため、壁構造20に生じる揺れは小さく抑えられ、かつ、壁構造20に生じる揺れは早期に減衰する。
このように制震装置100の制震ユニット120Bの第1プレート121Bと第2プレート122Bは、第1柱21の内側面に直交する向きに配置されていてもよい。そして、第1プレート121Bと第2プレート122Bとの間に、粘弾性体151,152が配置され、第1プレート121Bと第2プレート122Bとにそれぞれ接着されていてもよい。このように制震ユニットの具体的な構造は、図示例に限定されず、種々の形態が採用されうる。
また、交点c1について、例えば、図1に示された実施形態では、交点c1は、第1柱21の内側面21aと、第1柱21の幅方向の中心線21cとの間に設けられている。壁構造20の変形に応じた適切なせん断変形を第1粘弾性体141に生じさせるとの観点において、交点c1は適切に設定されるとよい。かかる観点において、交点c1は、第1柱21の幅方向の中心線21cよりも外側の適当な位置に設定されるとよい。交点c1は、例えば、制震ユニット120が取り付けられる第1柱21の幅をdとした場合(図1参照)、第1柱21の内側面21aよりも外側、例えば、第1柱21の内側面21aから0.1d以上(例えば、0.2d以上、あるいは0.3d以上)外側の適当な位置に設定されていてもよい。また、交点c1は、壁構造20の変形に応じた制震ユニット120の動作を阻害しないとの観点において、適当な位置に設定されていてもよい。かかる観点において、交点c1は、例えば、第1柱21の幅dとした場合に、第1柱21の内側面21aから3d以下(例えば、2d以下、1.5d以下、あるいは、1.2d以下)の距離離れた適当な位置に設定されていてもよい。
次に、制震装置100の第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとを説明する。第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cは、それぞれ壁構造20の第2柱22に取り付けられる部位である。
図10は、図1に示された制震装置100のX-X断面図である。図10では、第2ブレース162の第4端部162cが第2柱22に取り付けられた部位が示されている。図示は省略するが、第1ブレース161の第2端部161c(図1参照)も同様の構造を備えうる。この実施形態では、図10に示されているように、第2ブレース162の第4端部162cは、固定プレート171とブレース支持プレート172とを備えている。固定プレート171は、第2柱22の内側面22aに沿って、当該内側面22aに取り付けられている。固定プレート171は、図1では、第2柱22の内側面22aに沿って取付けられるプレート161c1,162c1である。ブレース支持プレート172は、当該固定プレート171に直交するように固定プレート171に溶接されている。ブレース支持プレート172は、固定プレート171の幅方向の中間位置から立ち上がるようにプレートの端面が固定プレート171に溶接されている。第2ブレース162の第4端部162cには、軸方向に沿ってスリット16c1が形成されている。スリット16c1には、ブレース支持プレート172が嵌められ、溶接されている。固定プレート171が第2柱22に沿うように、固定プレート171に対する第2ブレース162の軸線方向の角度が予め定められた角度に調整されている。
第2ブレース162の第4端部162cは、図1に示されているように、固定プレート171が第2柱22に沿うように第2柱22の内側面22aに取り付けられている。この実施形態では、固定プレート171は、第2柱22の内側面22aに複数のビスによってビス留めされている。第1ブレース161の第2端部161cも同様に取り付けられている。
ところで、建物10の壁構造20には、剛性を向上させるために筋交いが設けられる場合がある。図11は、建物10の壁構造20の他の形態を示す正面図である。図11では、建物10の壁構造20に制震装置100Aと筋交い26とが取り付けられている。図12は、図11に示された壁構造20のXII-XII側面図である。
筋交い26は、例えば、壁構造20の第1柱21と第2柱22の間に斜めに架け渡され、第1柱21の内側面21aと第2柱22の内側面22aと取り付けられる。筋交い26は、例えば、壁構造20の上下の横架材23,24と第1柱21と第2柱22と角部に金物を介して取り付けられる。筋交い26が設けられることによって、壁構造20は水平方向に対する抵抗力が向上する。そして、筋交い26が設けられた壁は、水平方向の荷重に対して抵抗しうる耐力壁として機能する。建物10には、水平方向の荷重に対して抵抗しうる耐力壁を所要の数設けることが、設計上求められる。他方で、2階建てや3階建ての木造の建物10の一階では、耐力壁を設けることができる壁が限られる場合がある。制震装置100は、木造の建物10の一階に設けられうる。木造の建物10の一階は、制震装置100が取り付けられうる壁が限られている場合がある。そこで、図11に示されているように、建物10の同じ壁構造20に制震装置100Aと筋交い26とを取り付けたい場合がある。
この場合、制震装置100Aを第1柱21と第2柱22の片側に寄せ、壁構造20に筋交い26を取り付けるスペースを確保する必要がある。このため、第1ブレース161と第2ブレース162を薄くするとともに、第1ブレース161の第2端部161cと、第2ブレース162の第4端部162cをそれぞれ第2柱22の幅方向においてコンパクトで所要の剛性を確保できる構造にすることが望ましい。
図13は、ここで提案される制震装置100Aのブレースの端部構造を示す側面図である。図14は、制震装置100Aのブレースの端部構造の背面図である。図13では、図11に示された第2ブレース162の第4端部162cを壁構造20の内側から見た図が示されている。図14では、図11に示された第2ブレース162の第4端部162cを壁構造20の裏側(背面側)から見た図が示されている。この実施形態では、図13および図14に示されているように、第2ブレース162の第4端部162cは、固定プレート171と、ブレース支持プレート172とを有している。このうち、このうち、ブレース支持プレート172には、当該第4端部162cが固定されている。
この実施形態では、ブレース支持プレート172は、当該第4端部162cが設けられる第2ブレース軸部162bの側面162b2に接合されている。この場合、第2ブレース軸部162bの側面162b2とブレース支持プレート172とが重ねられた部位W1を、隅肉溶接するとよい。この場合、第2ブレース162の第2ブレース軸部162bにスリットを形成する必要が無い。このため、第2ブレース162の第2ブレース軸部162bの剛性を高く維持できる。なお、図13に示された形態では、ブレース支持プレート172は、筋交い26とは反対側、図では壁構造20の正面側(F側)に向けて取り付けられている。この場合、ブレース支持プレート172と筋交い26との間に間隙(クリアランス)が生じる。筋交い26を柱22に取り付けるのに筋交い金物が用いられる場合などにおいて、ブレース支持プレート172が、筋交い金物や筋交い金物を固定するビスなどに干渉しにくい。
固定プレート171は、ブレース支持プレート172から折れ曲って第2柱22の内側面22aに沿って延びている。この実施形態では、固定プレート171とブレース支持プレート172とは、大凡直角に折曲げられたL字状に形成されている。この実施形態では、固定プレート171とブレース支持プレート172とがL字状に折曲げられた屈曲部175には、いくつか屈曲させた角の内側に盛り上がるように変形させたリブ176が設けられている。かかるリブ176によって屈曲部175に所要の剛性が確保されている。しかしながら、固定プレート171とブレース支持プレート172とがL字状であり、所要の剛性は有しているものの、屈曲部175の剛性を調整できる。また、固定プレート171は、ブレース支持プレート172に第2ブレース162の第2ブレース軸部162bが取り付けられた側に折曲げられている。このため、第2ブレース162の第2ブレース軸部162bが取り付けられた部位が全体として薄く構成されている。
図10に示されているように、固定プレート171とブレース支持プレート172とがT字状に溶接されている場合、溶接箇所の剛性を調整できず、溶接部位の剛性が高く、変形しにくい。これに対して、図13に示された形態では、固定プレート171とブレース支持プレート172とが折曲げられている。固定プレート171とブレース支持プレート172とは溶接されてない。そして、プレートの厚さやリブ176の有無、数や位置などによって、屈曲部175の剛性が適切に調整される。制震装置100Aは、第2柱22において許容されるよりも大きな力が第2柱22に作用する前に、固定プレート171とブレース支持プレート172との屈曲部175に塑性変形を生じうるように屈曲部175の剛性が調整されているとよい。
固定プレート171とブレース支持プレート172とに大きな力が作用すると、固定プレート171とブレース支持プレート172の屈曲部175を広げるように、全体として塑性変形が生じる。そして、第2柱22に大きな力が作用しにくく、建物10(図11参照)の損傷が小さく抑えられる。この結果、大地震により制震装置100に大きな振動が入力された場合に屈曲部175の塑性変形が先行し、第2柱22に想定以上の押圧力が作用しにくくなる。このように、この制震装置100Aでは、第2柱22に作用する力を制御でき、大地震時に、制震装置100Aが取り付けられていることに起因して第2柱22が折れることや、第2柱22が折れることに起因して建物10が倒壊するような事象が起きにくい。このように、第2柱22を保護する観点において、ブレース支持プレート172と固定プレート171とは、一枚のプレート材がL字状に折曲げられていてもよい。さらに固定プレート171は、図13に示すように、ブレース支持プレート172に対して第2ブレース軸部162bが接合される側に屈曲されているとよい。これにより、筋交い26を柱22に取り付けるのに制震装置100Aが邪魔になりにくい。
また、この実施形態では、ブレース支持プレート172には、第2ブレース162が取り付けられた側に盛り上がったリブ173が設けられている。この実施形態では、リブ173は、第2ブレース162が取り付けられた側に盛り上がった突条であり、反対側では凹みである。具体的には、この実施形態では、リブ173は、第2ブレース軸部162の軸線162b1の方向に沿って延びている。この場合、ブレース支持プレート172は、プレス加工でリブ173が設けられるので、加工コストが低く抑えつつ、ブレースを支持するのに適当な所要の剛性を確保できる。また、ブレース支持プレート172には、第2ブレース軸部162の軸線162b1の方向に沿ってリブ173が延びているので、第2ブレース軸部162の軸線162b1に沿ってブレース支持プレート172の剛性が高くなる。
また、ブレース支持プレート172には、これに直交して固定プレート171が取り付けられており、固定プレート171は、第2柱22の内側面22aに沿って取り付けられる。このため、ブレース支持プレート172と固定プレート171はそれぞれ剛性が高い。このように、ブレース支持プレート172と固定プレート171は、それぞれ剛性が確保されているが、ブレース支持プレート172と固定プレート171とが折曲げられた屈曲部175については、溶接されておらず、大きな力が作用したときに折れ曲った角度が開いたり閉じたりする方向への変形が許容される。このため、第2柱22に大きな力が作用しにくい。また、ブレース支持プレート172と固定プレート171の剛性を向上させつつ、第2ブレース162の第4端部162cの幅方向の厚さは小さく抑えられる。
なお、リブ173は、ブレース支持プレート172にプレート材を溶接したものでもよい。この場合も、ブレース支持プレート172に第2ブレース162が取り付けられた側に、プレートが溶接されることによって、ブレース支持プレート172を含む第2ブレース162の第4端部162cが幅方向に厚くなるのが抑えられる。また、ブレース支持プレート172にリブ173が設けられ、剛性が確保されることによって、ブレース支持プレート172に用いられるプレート材自体を薄くできる。このため、第2ブレース162の第4端部162cの幅方向の厚さが小さく抑えられうる。
この実施形態では、第1ブレース161の第2端部161cは、第2ブレース162の第4端部162cと同様の形態を有している。つまり、図示は省略するが、図12および図13に示された第2ブレース162の第4端部162cと同様に、第1ブレース161の第2端部161cは、第1ブレース軸部161bの側面に接合されたブレース支持プレート172と、ブレース支持プレート172から折れ曲って第2柱22の内側面22aに沿って延びた固定プレート171とを有している。このように、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとの両方が、それぞれブレース軸部161b,162bの側面に接合されたブレース支持プレート172と、ブレース支持プレート172から折れ曲って第2柱22の内側面22aに沿って延びた固定プレート171とを有するとよい。
なお、図11に示されているように、壁構造20に斜めに一本の筋交い26が取り付けられる場合には、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとのうち何れか一方が、ブレース軸部の側面に接合されたブレース支持プレート172と、ブレース支持プレート172から折れ曲って第2柱22の内側面22aに沿って延びた固定プレート171とを有する構造であるとよい。例えば、図11に示された形態では、筋交い26と干渉しうる下側、つまり、第2ブレース162の第4端部162c側が、当該構造を有しているとよい。
この実施形態では、ブレース支持プレート172は、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとにおいてブレース軸部161b,161b2の側面に接合されている。このため、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとには、スリットが設けられておらず、それぞれ剛性を保ちつつ薄くコンパクトに構成されている。なお、図11に示された形態では、ブレース支持プレート172は、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cとにおいてブレース軸部161b,161b2の側面に接合されているが、特に限定されない限りにおいて、第1ブレース161の第2端部161cと第2ブレース162の第4端部162cをブレース支持プレート172に固定する構造は、かかる形態に限定されない。
ここで、ブレース支持プレート172と固定プレート171とを有する第2端部161cと第4端部162cの幅は、当該第2端部161cと第4端部162cが取り付けられる第2柱22の側面の幅よりも50mm以上短くてもよい。この場合、側面の幅が105mm程度の標準的な柱に対して、例えば、制震装置100の当該第2ブレース162の第4端部162cの幅を、50mm~55mm程度に抑えるとよい。
これにより、第2柱22の内側面22aに片側に寄せて第2ブレース162の第4端部162cが取り付けられることによって、第2ブレース162の第4端部162cが寄せられた側とは反対側に、第2柱22の内側面22aに50mm以上の幅の取付けスペースが生じる。このため、側面の幅が105mm程度の標準的な柱に対して、例えば、90mm×45mmの標準的な筋交い26を、制震装置100と併用することができる。
ここで制震ユニットは、特に言及されない限りにおいて、上述した形態に限定されない。例えば、壁構造の面に直交する方向に対向した一対のプレートと、当該一対のプレート間に粘弾性体が挟まれており、一方のプレートがブレース材に取り付けられ、他方のプレートが柱に取り付けられた形態でもよい。このような制震ユニットは、例えば、特開2019-90254号に開示されている。
以上、ここで開示される制震装置について、種々説明したが、ここで開示される制震装置は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態や変形例に限定されない。また、種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。
10 建物
20 壁構造
21 第1柱
21a 内側面
21c 中心線
22 第2柱
22a 内側面
23 天井梁(横架材)
24 土台(横架材)
30 コンクリート基礎
32 ゴムパッキン
36 アンカーボルト
100 制震装置
120 制震ユニット
120A 制震ユニット
120B 制震ユニット
121,121B 第1プレート
121B1 ベースプレート
121B2 中間プレート
121a プレート面
121b,121c 取付部
122,122B 第2プレート
131 第1取付部
132 第2取付部
141 第1粘弾性体
151,152 第2粘弾性体
161 第1ブレース
161b 第1ブレース軸部
161b1 軸線
162 第2ブレース
162b 第2ブレース軸部
162b1 軸線
c1 軸線161b1と軸線162b1との交点
171 固定プレート
172 ブレース支持プレート
173 リブ

Claims (7)

  1. 建物の一対の柱と一対の横架材とで囲まれた壁構造に取り付けられる制震装置であって、
    前記制震装置は、
    前記壁構造を構成する一対の柱のうち第1柱の内側面に取り付けられる制震ユニットと、
    前記制震ユニットに取り付けられた第1ブレースと、
    前記制震ユニットに取り付けられた第2ブレースと
    を有し、
    前記第1ブレースは、
    前記第1取付部に取り付けられる第1端部と、
    前記第1端部から上方に向けて延びる第1ブレース軸部と、
    前記壁構造を構成する一対の柱のうち前記第1柱と対をなす第2柱に取り付けられる第2端部と
    を有し、
    前記第2ブレースは、
    前記第2取付部に取り付けられる第3端部と、
    前記第3端部から下方に向けて延びる第2ブレース軸部と、
    前記第2柱に取付けられる第4端部と
    を有し、
    前記第1ブレースの第2端部と前記第2ブレースの第4端部とのうち少なくとも一方の端部は、当該端部に固定されたブレース支持プレートと、前記ブレース支持プレートから折れ曲って前記第2柱の内側面に沿って延びる固定プレートとを有する、制震装置。
  2. 前記第1ブレースの第2端部と前記第2ブレースの第4端部との両方が、それぞれ前記ブレース支持プレートと前記固定プレートとを有する、請求項1に記載された制震装置。
  3. 前記ブレース支持プレートと前記固定プレートとを有する端部の幅は、当該端部が取り付けられる前記第2柱の側面の幅よりも50mm以上短い、請求項1または2に記載された制震装置。
  4. 前記ブレース支持プレートには、前記ブレースが取り付けられた側に盛り上がったリブが設けられている、請求項1から3までの何れか一項に記載された制震装置。
  5. 前記第1ブレース軸部の軸線と前記第2ブレース軸部の軸線との交点が、前記建物の一対の柱と一対の横架材とで囲まれた壁構造において、前記第1柱の内側面よりも外側にある、
    請求項1から4までの何れか一項に記載された制震装置。
  6. 前記制震ユニットは、
    前記壁構造を構成する一対の柱のうち第1柱の内側面に取り付けられる第1プレートと、
    前記第1プレートと対向するように配置された第2プレートと、
    前記第1プレートと前記第2プレートとの間に配置され、前記第1プレートと前記第2プレートとにそれぞれ接着された粘弾性体と
    を有し、
    前記第2プレートは、
    前記第1プレートに対向する側とは反対側の側面に、前記第1ブレースが取付けられる第1取付部と、前記第2ブレースが取付けられる第2取付部と
    を有する、請求項1から5までの何れか一項に記載された制震装置。
  7. 前記ブレース支持プレートは、前記ブレース軸部の側面に接合された、請求項1から6までの何れか一項に記載された制震装置。
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