JP2022136720A - 光硬化性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化物からのガスの放出量を低減することができる光硬化性接着剤を提供する。【解決手段】光硬化性接着剤1は、レーザ光の照射によって硬化可能に構成されている。光硬化性接着剤1には、エポキシ系接着成分11と、レーザ光の照射によって発熱可能に構成された光吸収性成分12と、が含まれている。エポキシ系接着成分11には、シアネートエステル樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、活性水素を有するアミン系潜在性硬化剤(C)と、イオン捕捉剤(D)と、が含まれている。【選択図】図1
Description
本発明は、光硬化性接着剤に関する。
光照射によって硬化可能に構成された光硬化性接着剤は、硬化に要する時間が比較的短いという特徴を活かし、種々の分野に用いられている。例えば特許文献1には、エポキシ系接着剤成分と、レーザ光の吸収により前記エポキシ系接着剤を加熱硬化させることが可能な光吸収性成分とを含む迅速光硬化性エポキシ系接着剤組成物が記載されている。
近年、例えば車載用カメラモジュールやLiDAR(つまり、Light Detection and Ranging)モジュール、ヘッドアップディスプレイなどの光学デバイスにおいて、構成部材同士の接合に接着剤が用いられることがある。しかし、特許文献1の接着剤組成物においては、接着剤の硬化物からガスが発生し、光学デバイスの内部に滞留することがある。このガスが光学デバイスの内部において昇華し、光学デバイスの内部に析出すると、構成部材の光の反射率や透過率等の光学特性の変動を招くおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、硬化物からのガスの放出量を低減することができる光硬化性接着剤を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、レーザ光の照射によって硬化可能に構成された光硬化性接着剤(1)であって、
エポキシ系接着成分(11)と、
前記レーザ光の照射によって発熱可能に構成された光吸収性成分(12)と、を含んでおり、
前記エポキシ系接着成分(11)は、
シアネートエステル樹脂(A)と、
エポキシ樹脂(B)と、
活性水素を有するアミン系潜在性硬化剤(C)と、
イオン捕捉剤(D)と、を含んでいる、光硬化性接着剤にある。
エポキシ系接着成分(11)と、
前記レーザ光の照射によって発熱可能に構成された光吸収性成分(12)と、を含んでおり、
前記エポキシ系接着成分(11)は、
シアネートエステル樹脂(A)と、
エポキシ樹脂(B)と、
活性水素を有するアミン系潜在性硬化剤(C)と、
イオン捕捉剤(D)と、を含んでいる、光硬化性接着剤にある。
前記光硬化性接着剤(1)のエポキシ系接着成分(11)中には、接着性を発現させるためのシアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)及びアミン系潜在性硬化剤(C)に加えて、イオン捕捉剤(D)が含まれている。このように、エポキシ系接着成分中にイオン捕捉剤(D)を配合することにより、光硬化性接着剤の硬化物中に生じるイオン性の揮発成分や揮発性の有機酸等をイオン捕捉剤(D)によって捕捉することができる。その結果、硬化物から外部へのガスの放出量を低減することができる。
以上のごとく、上記態様によれば、硬化物からのガスの放出量を低減することができる光硬化性接着剤(1)を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施形態1)
前記光硬化性接着剤に係る実施形態について、図1を参照して説明する。本形態の光硬化性接着剤1は、レーザ光の照射によって硬化可能に構成されている。光硬化性接着剤1に照射するレーザ光の波長は、光吸収性成分の吸収波長に応じた波長であればよい。レーザ光は、例えば、780nm~3μmの波長を有する近赤外レーザであってもよい。光硬化性接着剤1は、エポキシ系接着成分11と、レーザ光の照射によって発熱可能に構成された光吸収性成分12と、を含んでいる。以下、光硬化性接着剤1のより詳細な構成について説明する。
前記光硬化性接着剤に係る実施形態について、図1を参照して説明する。本形態の光硬化性接着剤1は、レーザ光の照射によって硬化可能に構成されている。光硬化性接着剤1に照射するレーザ光の波長は、光吸収性成分の吸収波長に応じた波長であればよい。レーザ光は、例えば、780nm~3μmの波長を有する近赤外レーザであってもよい。光硬化性接着剤1は、エポキシ系接着成分11と、レーザ光の照射によって発熱可能に構成された光吸収性成分12と、を含んでいる。以下、光硬化性接着剤1のより詳細な構成について説明する。
1.エポキシ系接着成分
光硬化性接着剤1中のエポキシ系接着成分11は、レーザ光が照射された際に、光吸収性成分12の発熱によって硬化することができるように構成されている。エポキシ系接着成分11には、シアネートエステル樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、アミン系潜在性硬化剤(C)と、イオン捕捉剤(D)と、が含まれている。
光硬化性接着剤1中のエポキシ系接着成分11は、レーザ光が照射された際に、光吸収性成分12の発熱によって硬化することができるように構成されている。エポキシ系接着成分11には、シアネートエステル樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、アミン系潜在性硬化剤(C)と、イオン捕捉剤(D)と、が含まれている。
1-1.シアネートエステル樹脂(A)
シアネートエステル樹脂(A)としては、1分子中に2個以上のシアナト基(-O-CN)を有する化合物を使用することができる。シアネートエステル樹脂(A)は、例えば、下記一般式(1)で表される化合物(A-1)、下記一般式(2)で表される化合物(A-2)、及び、前記化合物(A-1)~(A-2)のうち1種以上の化合物の重合体(A-3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であってもよい。
シアネートエステル樹脂(A)としては、1分子中に2個以上のシアナト基(-O-CN)を有する化合物を使用することができる。シアネートエステル樹脂(A)は、例えば、下記一般式(1)で表される化合物(A-1)、下記一般式(2)で表される化合物(A-2)、及び、前記化合物(A-1)~(A-2)のうち1種以上の化合物の重合体(A-3)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であってもよい。
ただし、前記一般式(1)におけるA1及びA2は、それぞれ独立に非置換のフェニレン基または炭素数1~4のアルキル基で置換されたフェニレン基を表し、Y1は、エーテル結合、チオエーテル結合または置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
ただし、前記一般式(2)におけるmは1以上の整数であり、R1~R6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、Y2及びY3は、それぞれ独立に2価の炭化水素基またはフッ素置換された2価のアルキレン基を表す。
前記一般式(1)におけるY1、前記一般式(2)におけるY2及びY3は、例えば、下記構造式(3)~(11)で表される2価の炭化水素基であってもよい。
ただし、前記構造式(3)~(11)における*は結合手を表す。前記構造式(3)におけるR7及びR8はそれぞれ独立に水素原子、非置換のメチル基またはフッ素置換されたメチル基を表す。前記構造式(11)におけるnは4以上12以下の整数である。
シアネートエステル樹脂(A)は、より具体的には、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂であることが特に好ましい。
1-2.エポキシ樹脂(B)
エポキシ樹脂(B)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を使用することができる。エポキシ樹脂(B)は、1種のエポキシ基を有する化合物のみから構成されていてもよいし、2種以上のエポキシ基を有する化合物から構成されていてもよい。
エポキシ樹脂(B)としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を使用することができる。エポキシ樹脂(B)は、1種のエポキシ基を有する化合物のみから構成されていてもよいし、2種以上のエポキシ基を有する化合物から構成されていてもよい。
前記光硬化性接着剤1中におけるエポキシ樹脂(B)の含有量は、例えば、シアネートエステル樹脂(A)100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下の範囲から適宜設定することができる。エポキシ樹脂(B)の含有量をシアネートエステル樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上とすることにより、光硬化性接着剤1にレーザ光を照射した際に光硬化性接着剤1を十分に硬化させることができる。光硬化性接着剤1の硬化性をより高める観点からは、エポキシ樹脂(B)の含有量は、シアネートエステル樹脂(A)100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましい。
また、エポキシ樹脂(B)の含有量をシアネートエステル樹脂(A)100質量部に対して10000質量部以下とすることにより、優れた物性を有する硬化物を得ることができる。硬化物の物性をより向上させる観点からは、エポキシ樹脂(B)の含有量はシアネートエステル樹脂(A)100質量部に対して1000質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B)は、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノールなどの多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類;グリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N-ジグリシジルアニリン、ビス(4-(N-メチル-N-グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物等であってもよい。これらの化合物は、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されていてもよいし、多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)によって高分子量化されていてもよい。
反応性の観点から、前記エポキシ樹脂(B)には、グリシジル基を有するグリシジル型エポキシ樹脂が含まれていることが好ましく、多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物、グリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物及びジシクロペンタジエンジメタノールのポリグリシジルエーテル化合物からなる群より選択される1種または2種以上の化合物が含まれていることがより好ましい。前記エポキシ樹脂(B)に多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物が含まれている場合には、硬化物の耐熱性をより向上させることができる。前記エポキシ樹脂(B)にグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物が含まれている場合には、光硬化性接着剤1の反応性をより向上させるとともに硬化物の耐熱性をより向上させることができる。前記エポキシ樹脂(B)にジシクロペンタジエンジメタノールのポリグリシジルエーテル化合物が含まれている場合には、光硬化性接着剤1に密着性を付与することができる。
1-3.アミン系潜在性硬化剤(C)
アミン系潜在性硬化剤(C)としては、例えば、アミノ基に由来する活性水素を備えた化合物や、当該化合物を含む混合物を使用することができる。アミン系潜在性硬化剤(C)の含有量は、例えば、シアネートエステル樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して1質量部以上100質量部以下の範囲から適宜設定することができる。アミン系潜在性硬化剤(C)の含有量は、シアネートエステル樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して5~60質量部であることが好ましい。
アミン系潜在性硬化剤(C)としては、例えば、アミノ基に由来する活性水素を備えた化合物や、当該化合物を含む混合物を使用することができる。アミン系潜在性硬化剤(C)の含有量は、例えば、シアネートエステル樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して1質量部以上100質量部以下の範囲から適宜設定することができる。アミン系潜在性硬化剤(C)の含有量は、シアネートエステル樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して5~60質量部であることが好ましい。
アミン系潜在性硬化剤(C)は、例えば、1分子中に1個以上の活性水素を有するアミン化合物とエポキシ化合物とを反応させてなる変性アミン(C-1)であってもよい。アミン系潜在性硬化剤(C)は、1種の変性アミン(C-1)から構成されていてもよいし、2種以上の変性アミン(C-1)から構成されていてもよい。
変性アミン(C-1)は、前記アミン化合物に由来するアミン構造単位と、前記エポキシ化合物に由来するエポキシ構造単位とを有しており、前記アミン構造単位と前記エポキシ構造単位とが結合した構造を有している。変性アミン(C-1)に用いられるアミン化合物としては、例えば、分子内に2個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有するジアミンや、分子内に2個以上の第1級及び/又は第2級アミノ基を有するポリアミンが挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で使用されていてもよいし、2種以上のアミン化合物が併用されていてもよい。
より具体的には、変性アミン(C-1)に用いられるアミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の脂肪族ジアミン及びポリアミン;イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等の脂環式ジアミン及びポリアミン;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、トリレン-2,4-ジアミン、トリレン-2,6-ジアミン、メシチレン-2,4-ジアミン、メシチレン-2,6-ジアミン、3,5-ジエチルトリレン-2,4-ジアミン、3,5-ジエチルトリレン-2,6-ジアミン等の単核ジアミン及びポリアミン;ビフェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルメタン、2,5-ナフチレンジアミン、2,6-ナフチレンジアミン等の芳香族ジアミン及びポリアミン;2-アミノプロピルイミダゾール等のアミノ基を有するイミダゾール化合物等が挙げられる。また、変性アミン(C-1)に用いられるアミン化合物としては、前述した化合物をエポキシ化合物と反応させてなるエポキシ変性アミンを使用することもできる。これらのアミン化合物は、単独で使用されていてもよいし、2種以上のアミン化合物が併用されていてもよい。
前記変性アミン(C-1)は、分子内にそれぞれ反応性を異にする2個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有するジアミン、及び、分子内に2個以上の第1級及び/又は第2級アミノ基を有し、その1個がエポキシ基と反応した場合その立体障害により残りの第1級及び/又は第2級アミノ基のエポキシ基との反応性が低下するポリアミンからなる群より選択される1種または2種以上のアミン化合物に由来する構造単位を有していることが好ましい。これらのアミン化合物を用いて得られる変性アミン(C-1)は、光硬化性接着剤1の接着性や硬化物の物性等を向上させることができる。なお、前述したジアミンには脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及び芳香族ジアミンが含まれる。また、前述したポリアミンには脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン及び芳香族ポリアミンが含まれる。
このようなジアミンとしては、例えば、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン及び1,2-ジアミノプロパン、m-キシリレンジアミン、1,3-ビスアミノシクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジンなどが挙げられる。
また、アミン化合物としては、2-アミノプロピルイミダゾール等の第1級アミノ基を含有するイミダゾール化合物を使用することもできる。このようなイミダゾール化合物を用いて得られる変性アミン(C-1)は、光硬化性接着剤1の低温硬化性をより向上させ、低い温度においても光硬化性接着剤1をより容易に硬化させることができる。
変性アミン(C-1)に用いられるエポキシ化合物は、1分子内に1個以上のエポキシ基を有していればよい。
より具体的には、変性アミン(C-1)に用いられるエポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、第二ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、2-メチルオクチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等のモノグリシジルエーテル化合物、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノグリシジルエステル化合物、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(つまり、ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(つまり、ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノールなどの多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類;グリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N-ジグリシジルアニリン、ビス(4-(N-メチル-N-グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で使用されていてもよいし、2種以上のエポキシ化合物が併用されていてもよい。
変性アミン(C-1)に用いられるエポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を2個以上有するポリグリシジルエーテル化合物であることが好ましく、メチレンビスフェノール(つまり、ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(つまり、ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)等のビスフェノール化合物のポリグリシジルエーテルであることが特に好ましい。
変性アミン(C-1)の作製に当たっては、反応後に1級及び/又は2級アミノ基が残存するように、アミン化合物とエポキシ化合物とを反応させればよい。例えば、1級及び/又は2級アミノ基を1分子中に合計2個以上有するアミン化合物とエポキシ化合物とを反応させる場合には、アミン化合物が1モルとなる量に対し、エポキシ化合物をそのエポキシ当量が0.5~2当量となる量で反応させることが好ましく、0.8~1.5当量となる量で反応させることがより好ましい。
アミン系潜在性硬化剤(C)は、前記変性アミン(C-1)とフェノール樹脂との混合物(C-2)であってもよい。混合物(C-2)中には、1種の変性アミン(C-1)が含まれていてもよいし、2種以上の変性アミン(C-1)が含まれていてもよい。同様に、混合物(C-2)中には、1種のフェノール樹脂が含まれていてもよいし、2種以上のフェノール樹脂が含まれていてもよい。アミン系潜在性硬化剤(C)として前記混合物(C-2)を使用することにより、光硬化性接着剤1の貯蔵安定性をより向上させることができる。
変性アミン(C-1)と組み合わせて使用されるフェノール樹脂は、例えばフェノール類とアルデヒド類とを縮重合して得られる樹脂である。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n-プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、第三ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルメタン、ナフトール、テルペンフェノール、フェノール化ジシクロペンタジエンなどを挙げることができる。また、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒドを挙げることができる。
前記変性アミン(C-1)とフェノール樹脂との混合物(C-2)におけるフェノール樹脂の含有量は、例えば、100質量部の変性アミン(C-1)に対して10質量部以上100質量部以下の範囲から適宜設定することができる。
1-4.イオン捕捉剤(D)
イオン捕捉剤(D)は、光硬化性接着剤1の硬化物中に生じるイオン性の揮発成分や揮発性の有機酸等を捕捉する作用を有している。硬化物中に生じるイオン性の揮発成分や揮発性の有機酸は、例えば、光硬化性接着剤1の構成成分や接着対象の部材に含まれるガラス等に由来する分解物に由来している。イオン捕捉剤(D)は、前述した作用を有する物質であれば、有機物であってもよいし、無機物であってもよい。耐熱性の観点からは、イオン捕捉剤(D)は、無機物であることが好ましい。また、光硬化性接着剤1中には、1種のイオン捕捉剤(D)が含まれていてもよいし、2種以上のイオン捕捉剤(D)が含まれていてもよい。
イオン捕捉剤(D)は、光硬化性接着剤1の硬化物中に生じるイオン性の揮発成分や揮発性の有機酸等を捕捉する作用を有している。硬化物中に生じるイオン性の揮発成分や揮発性の有機酸は、例えば、光硬化性接着剤1の構成成分や接着対象の部材に含まれるガラス等に由来する分解物に由来している。イオン捕捉剤(D)は、前述した作用を有する物質であれば、有機物であってもよいし、無機物であってもよい。耐熱性の観点からは、イオン捕捉剤(D)は、無機物であることが好ましい。また、光硬化性接着剤1中には、1種のイオン捕捉剤(D)が含まれていてもよいし、2種以上のイオン捕捉剤(D)が含まれていてもよい。
イオン捕捉剤(D)の含有量は、例えば、シアネートエステル樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、アミン系潜在性硬化剤(C)との合計100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下の範囲から適宜設定することができる。
イオン捕捉剤(D)は、1.0meq/g以上のイオン交換容量を有していることが好ましい。このようなイオン捕捉剤(D)を使用することにより、イオン性の揮発成分をより多く捕捉し、光硬化性接着剤1の硬化物から外部へのガスの放出量をより低減することができる。また、このようなイオン捕捉剤(D)を含む光硬化性接着剤1は、高温高湿環境下における防曇性に優れており、光学デバイスに用いた場合に、より長期間に亘って光学素子の光学特性の低下を抑制することができる。
イオン捕捉剤(D)のイオン交換容量は、例えば、WO2008/053694に記載の方法により測定することができる。具体的には、まず、濃度0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を準備し、測定検体と50mLの前記水酸化ナトリウム水溶液とを100mlのポリエチレン製の容器に入れる。この容器を40℃で20時間振盪した後、容器内から上清を採取する。これとは別に、測定検体を容器内に入れない以外は上記の操作と同様の操作を行い、容器の内容物からブランクを採取する。そして、誘導結合プラズマ発光分光分析法(つまり、ICP)により、上清のナトリウムイオン濃度及びブランクのナトリウムイオン濃度を測定する。このようにして得られたブランクのナトリウムイオン濃度から上清のナトリウムイオン濃度を差し引いて、検体に保持されたナトリウムイオンの当量を求める。そして、ナトリウムイオンの当量を検体の重量で割った値をイオン捕捉剤(D)のイオン交換容量とする。なお、イオン捕捉剤(D)のイオン交換容量は、通常、10meq/g以下である。
イオン捕捉剤(D)は、無機微粒子であることが好ましい。無機微粒子は、耐熱性に優れており光硬化性接着剤1中に均一に分散しやすい。
イオン捕捉剤(D)は、Zr(ジルコニウム)原子、Sb(アンチモン)原子、Bi(ビスマス)原子、Y(イットリウム)原子、Al(アルミニウム)原子、Mg(マグネシウム)原子、La(ランタン)原子及びNd(ネオジム)原子からなる群より選択される1種または2種以上の金属原子を含んでいることが好ましい。この場合には、高温高湿環境下におけるイオン性の揮発成分の捕捉能をより向上させることができる。
前述した金属原子を含むイオン捕捉剤(D)は、単体の金属であってもよいし、金属化合物であってもよい。このようなイオン捕捉剤(D)としては、例えば、リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、モリブデン酸ジルコニウム、アンチモン酸ジルコニウム、セレン酸ジルコニウム、テルル酸ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、リンケイ酸ジルコニウム、ポリリン酸ジルコニウム、酸化ビスマス化合物、水酸化ビスマス化合物、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ネオジウム、マグネシウムとアルミニウムとの複合酸化物、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト、ハイドロオーマイト、ゼオライト及びその他の金属複合酸化物等が挙げられる。これらの物質は、天然物であってもよいし、人工物であってもよい。
また、イオン捕捉剤(D)としては、例えば、東亞合成株式会社製「IXE-100」、「IXE-300」、「IXE-500」、「IXE-530」、「IXE-550」、「IXE-600」、「IXE-633」、「IXE-700F」、「IXE-770D」、「IXE-800」、「IXE-1000」、「IXE-6107」、「IXE-6136」、「IXEPLAS-A1」、「IXEPLAS-A2」、「IXEPLAS-B1」や、協和化学工業株式会社製「キョーワード200」、「キョーワード500」、「キョーワード600」、「キョーワード700」、「KW-2000」、「DHT-4A」等の市販品を使用することもできる。
なお、「IXE」「IXEPLAS」は東亞合成株式会社の登録商標であり、「キョーワード」「DHT-4A」は協和化学工業株式会社の登録商標である。
高温高湿環境下におけるイオン性の揮発成分の捕捉能をより向上させる観点からは、イオン捕捉剤(D)は、金属化合物であることがより好ましい。
イオン捕捉剤(D)は、体積基準の粒度分布におけるメジアン径が0.001μm以上100μm以下となる粒度分布を有していることが好ましく、0.01μm以上20μm以下となる粒度分布を有していることがより好ましい。この場合には、高温高湿環境下におけるイオン性の揮発成分の捕捉能をより向上させることができる。なお、前述した粒度分布は、例えば、レーザ回折・散乱法により得られる。
イオン捕捉剤(D)は、Zr原子、Al原子及びMg原子を含んでいることがより好ましい。このようなイオン捕捉剤(D)を含む光硬化性接着剤1は、光学デバイスに適用した場合に優れた防曇性を示すことができる。かかる観点からは、イオン捕捉剤(D)は、Zr原子、Al原子及びMg原子を含む無機微粒子であることがさらに好ましく、Zr原子、Al原子及びMg原子を含み、体積基準の粒度分布におけるメジアン径が0.01μm以上10μm以下となる粒度分布を有する無機微粒子であることが特に好ましく、Zr原子、Al原子及びMg原子を含み、Bi原子を含まず、体積基準の粒度分布におけるメジアン径が0.01μm以上10μm以下となる粒度分布を有する無機微粒子であることが最も好ましい。このようなイオン捕捉剤(D)としては、東亞合成株式会社製「IXEPLAS-A1」及び「IXEPLAS-A2」が挙げられる。
1-5.充填材
エポキシ系接着成分11中には、必須成分としてのシアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、アミン系潜在性硬化剤(C)及びイオン捕捉剤(D)に加えて、充填材13が含まれていてもよい。エポキシ系接着成分11中に充填材13を配合することにより、光硬化性接着剤1の硬化物の物性を向上させることができる。充填材13としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ガラス、窒化ホウ素、二酸化チタン、カオリン、クレー、タルク、炭素繊維、酸化鉄及びダイヤモンド等の無機フィラーを使用することができる。充填材13は、透光性を有することが好ましく、波長800nm~1100nmの赤外線レーザ光の透過率が80%以上であることがより好ましい。この場合には、光硬化性接着剤1の硬化性を向上させることができる。
エポキシ系接着成分11中には、必須成分としてのシアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、アミン系潜在性硬化剤(C)及びイオン捕捉剤(D)に加えて、充填材13が含まれていてもよい。エポキシ系接着成分11中に充填材13を配合することにより、光硬化性接着剤1の硬化物の物性を向上させることができる。充填材13としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ガラス、窒化ホウ素、二酸化チタン、カオリン、クレー、タルク、炭素繊維、酸化鉄及びダイヤモンド等の無機フィラーを使用することができる。充填材13は、透光性を有することが好ましく、波長800nm~1100nmの赤外線レーザ光の透過率が80%以上であることがより好ましい。この場合には、光硬化性接着剤1の硬化性を向上させることができる。
2.光吸収性成分
光硬化性接着剤1中には、レーザ光を吸収した際に発熱可能に構成された光吸収性成分12が含まれている。光吸収性成分12は、レーザ光が照射された際に発熱することにより、エポキシ系接着成分11を加熱硬化させる作用を有している。光吸収性成分12としては、例えば、カーボンブラック、黒色含金塗料、アジン系塗料、ニグロシン系化合物などの光吸収性物質を用いることができる。ニグロシン系化合物としては、例えば、ニグロシンの硫酸塩、リン酸塩等の水不溶性ニグロシン系化合物などを挙げることができる。光吸収性物質は、単独で使用してもよく、2種類以上の物質を混合して使用してもよい。光吸収性成分12は、カーボンブラックからなることが好ましい。この場合には、光硬化性接着剤1のレーザ光に対する硬化性をより向上させることができる。
光硬化性接着剤1中には、レーザ光を吸収した際に発熱可能に構成された光吸収性成分12が含まれている。光吸収性成分12は、レーザ光が照射された際に発熱することにより、エポキシ系接着成分11を加熱硬化させる作用を有している。光吸収性成分12としては、例えば、カーボンブラック、黒色含金塗料、アジン系塗料、ニグロシン系化合物などの光吸収性物質を用いることができる。ニグロシン系化合物としては、例えば、ニグロシンの硫酸塩、リン酸塩等の水不溶性ニグロシン系化合物などを挙げることができる。光吸収性物質は、単独で使用してもよく、2種類以上の物質を混合して使用してもよい。光吸収性成分12は、カーボンブラックからなることが好ましい。この場合には、光硬化性接着剤1のレーザ光に対する硬化性をより向上させることができる。
光吸収性成分12の含有量は、例えば、光硬化性接着剤1全体に対して0.1質量%以下とすることができる。
3.その他の成分
光硬化性接着剤1中には、エポキシ系接着成分11及び光吸収性成分12の他に、接着剤に用いられる種々の添加剤が含まれていてもよい。
光硬化性接着剤1中には、エポキシ系接着成分11及び光吸収性成分12の他に、接着剤に用いられる種々の添加剤が含まれていてもよい。
例えば、光硬化性接着剤1中には、取り扱いを容易にするため、種々の溶剤が含まれていてもよい。溶剤としては、有機溶剤を使用することが好ましい。より具体的には、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン等のエーテル類、イソ-またはn-ブタノール、イソ-またはn-プロパノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、トリエチルアミン、ピリジン、ジオキサン、アセトニトリルなどを溶剤として使用することができる。
(実施形態2)
本形態においては、実施形態1の光硬化性接着剤1を種々の光学デバイス2に適用する例を説明する。なお、本形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本形態においては、実施形態1の光硬化性接着剤1を種々の光学デバイス2に適用する例を説明する。なお、本形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
実施形態1の光硬化性接着剤1は、種々の光学デバイス2に適用することができる。光学デバイス2は、例えば、図2に示すようなレンズモジュール21であってもよい。図2のレンズモジュール21は、回路基板211と、回路基板211上に設けられたレンズホルダ212と、レンズホルダ212に保持された1枚以上のレンズ213と、回路基板211におけるレンズ213の光路L上に保持された撮像素子214と、を有している。そして、これらの構成部材同士は、光硬化性接着剤1の硬化物10を介して接合されている。なお、レンズホルダ212には、レンズ213に替えて光学フィルタが保持されていてもよい。
また、光学デバイス2は、例えば、図3に示すようなLiDARモジュール22であってもよい。図3のLiDARモジュール22は、回路基板221と、回路基板221に保持された光源222と、光源222から発生する光の光路L上に配置された1枚以上の反射板223と、反射板223を保持する固定台224と、を有している。そして、回路基板221と光源222との間、及び、反射板223と固定台224との間には光硬化性接着剤1の硬化物10が介在しており、これらの構成部材が光硬化性接着剤1の硬化物10を介して接合されている。なお、光源222としては、例えば、レーザダイオード等を使用することができる。
また、光学デバイス2は、例えば、図4に示すようなヘッドアップディスプレイ23であってもよい。図4のヘッドアップディスプレイ23は、回路基板231と、回路基板231に保持された光源232と、光源232から発生する光の光路L上に配置された拡大ミラー233と、拡大ミラー233を保持するステー234と、拡大ミラー233によって反射された光の光路L上に配置されたスクリーン235と、を有している。そして、回路基板231と光源232との間、及び、拡大ミラー233とステー234との間には光硬化性接着剤1の硬化物10が介在しており、これらの構成部材が光硬化性接着剤1の硬化物10を介して接合されている。
実施形態1の光硬化性接着剤1を前述した種々の光学デバイス2に適用することにより、光硬化性接着剤1の硬化物10から外部へのガスの放出量を低減することができる。その結果、硬化物10から放出されたガスがレンズ213や撮像素子214、光学フィルタ、反射板223、拡大ミラー233などの光学素子に昇華することを抑制できる。その結果、光学素子の透過率や反射率等の低下を長期間に亘って抑制することができる。
(実験例)
本例では、実施形態1に係る光硬化性接着剤1のより具体的な構成の例を説明する。本例においては、まず、シアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、アミン系潜在性硬化剤(C)、イオン捕捉剤(D)、光吸収性成分12および充填材13が表1に示す質量比で含まれている光硬化性接着剤1(試験剤S1、試験剤S2)を準備した。本例において用いたシアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、アミン系潜在性硬化剤(C)、イオン捕捉剤(D)、光吸収性成分12及び充填材13は、具体的には以下の通りである。
本例では、実施形態1に係る光硬化性接着剤1のより具体的な構成の例を説明する。本例においては、まず、シアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、アミン系潜在性硬化剤(C)、イオン捕捉剤(D)、光吸収性成分12および充填材13が表1に示す質量比で含まれている光硬化性接着剤1(試験剤S1、試験剤S2)を準備した。本例において用いたシアネートエステル樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、アミン系潜在性硬化剤(C)、イオン捕捉剤(D)、光吸収性成分12及び充填材13は、具体的には以下の通りである。
・シアネートエステル樹脂(A)
CY-1:ビスフェノール型シアネートエステル樹脂(Lonza社製「Lecy」)
CY-1:ビスフェノール型シアネートエステル樹脂(Lonza社製「Lecy」)
・エポキシ樹脂(B)
EP-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-4300E」)
EP-2:グリシジルアミン型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-3950S」)
EP-3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-4088S」)
なお、「アデカレジン」は株式会社ADEKAの登録商標である。
EP-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-4300E」)
EP-2:グリシジルアミン型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-3950S」)
EP-3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-4088S」)
なお、「アデカレジン」は株式会社ADEKAの登録商標である。
・アミン系潜在性硬化剤(C)
EH-1:下記の方法により調製された変性アミン(C-1)とフェノール樹脂との混合物(C-2)
EH-1:下記の方法により調製された変性アミン(C-1)とフェノール樹脂との混合物(C-2)
まず、フラスコ中に201g(つまり、2.71モル)の1,2-ジアミノプロパンを入れた後、60℃に加温した。次いで、系内の温度が100~110℃に維持されるようにしながら、580gのビスフェノールA型エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製「アデカレジンEP-4100E」、エポキシ当量190)をフラスコ内に少しずつ加えた。なお、1,2-ジアミノプロパンとビスフェノールA型エポキシ樹脂とを上記のように配合した場合、1,2-ジアミノプロパン1モルに対するビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は1.12である。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の添加が完了した後、反応系内を140℃まで昇温させ、この温度を1.5時間保持して内容物を反応させた。以上により、変性アミン(C-1)を得た。
次に、上記の方法で得られた変性アミン(C-1)100gとフェノール樹脂(旭有機材株式会社製「MP-800K」、軟化点100℃)30gとを混合した後、混合物を30~40Torrの減圧環境下で180~190℃の温度に1時間保持して減圧脱気を行った。これにより、混合物から未反応物を除去した。その後、混合物をジェットミルで粉砕した。以上により、EH-1を得た。
・イオン捕捉剤(D)
IC-1:Mg、Al、Zr含有無機微粒子(東亞合成株式会社製「IXEPLAS-A1」、メジアン径0.5μm、ナトリウムイオン交換容量1meq/g以上10meq/g以下)
IC-1:Mg、Al、Zr含有無機微粒子(東亞合成株式会社製「IXEPLAS-A1」、メジアン径0.5μm、ナトリウムイオン交換容量1meq/g以上10meq/g以下)
・光吸収性成分12
P-1:チタンブラック(三菱マテリアル電子化成株式会社製「13M-C」、一次粒子径97nm)
P-2:カーボンブラック(三菱カーボンブラック株式会社製「#750B」、一次粒子径22nm)
P-1:チタンブラック(三菱マテリアル電子化成株式会社製「13M-C」、一次粒子径97nm)
P-2:カーボンブラック(三菱カーボンブラック株式会社製「#750B」、一次粒子径22nm)
・充填材13
シリカ(株式会社アドマテックス製「200SX-E1」)
シリカ(株式会社アドマテックス製「200SX-E1」)
また、本例においては、試験剤S1及び試験剤S2との比較のため、試験剤S3及び試験剤S4を準備した。試験剤S3及び試験剤S4は、各成分の配合を表1に示すように変更した以外は、試験剤S1及び試験剤S2と同様の構成を有している。
次に、以下の方法により、試験剤S1~S4のレーザ硬化性及び防曇性を評価した。
・レーザ硬化性
0.1gの試験剤を、外径75mm、高さ20mmの寸法を有する並ガラス製のガラスシャーレの底面に薄く塗り広げた。次いで、915nmの波長を有する近赤外レーザ光を3Wの出力で5秒間試験剤に照射した。その後、シャーレ内の試験剤にスパチュラを接触させ、試験剤が硬化しているか否かを判定した。試験剤がスパチュラに付着せず、十分に硬化している場合には、表1の「レーザ硬化性」欄に記号「A」を記載した。また、試験剤がスパチュラに付着するか、またはスパチュラと接触した試験剤が変形した場合には、試験剤の硬化が不十分と判断し、同欄に記号「B」を記載した。
0.1gの試験剤を、外径75mm、高さ20mmの寸法を有する並ガラス製のガラスシャーレの底面に薄く塗り広げた。次いで、915nmの波長を有する近赤外レーザ光を3Wの出力で5秒間試験剤に照射した。その後、シャーレ内の試験剤にスパチュラを接触させ、試験剤が硬化しているか否かを判定した。試験剤がスパチュラに付着せず、十分に硬化している場合には、表1の「レーザ硬化性」欄に記号「A」を記載した。また、試験剤がスパチュラに付着するか、またはスパチュラと接触した試験剤が変形した場合には、試験剤の硬化が不十分と判断し、同欄に記号「B」を記載した。
・防曇性
前述したレーザ硬化性の評価と同様の方法によりガラスシャーレ内に試験剤を塗布し、次いで試験剤にレーザ光を照射した。さらに、ガラスシャーレを120℃に設定したオーブンで1時間加熱し、シャーレ内の試験剤を十分に硬化させた。
前述したレーザ硬化性の評価と同様の方法によりガラスシャーレ内に試験剤を塗布し、次いで試験剤にレーザ光を照射した。さらに、ガラスシャーレを120℃に設定したオーブンで1時間加熱し、シャーレ内の試験剤を十分に硬化させた。
次に、試験剤の硬化物が設けられたシャーレに、500μm程度の隙間が形成されるようにして蓋をかぶせた。このガラスシャーレを温度85℃、相対湿度85%RHの恒温恒湿槽内で静置した。恒温恒湿槽内での保持時間の合計が500時間、1000時間及び2000時間に達した時点でガラスシャーレを恒温恒湿槽から取り出し、光学顕微鏡を用いて硬化物の周囲のガラス面を観察した。そして、ガラス面に曇りが生じるまでの時間に基づいて防曇性を評価した。
表1の「防曇性」欄に記載した記号の意味は、以下の通りである。
A:保持時間が2000時間に達した時点でガラス面にほとんど曇りが生じない
B:保持時間が1000時間に達した時点まではガラス面にほとんど曇りがなく、2000時間に達した時点でガラス面に曇りが生じた
C:保持時間が500時間に達した時点まではガラス面にほとんど曇りがなく、1000時間に達した時点でガラス面に曇りが生じた
D:保持時間が500時間に達した時点でガラス面に曇りが生じた
A:保持時間が2000時間に達した時点でガラス面にほとんど曇りが生じない
B:保持時間が1000時間に達した時点まではガラス面にほとんど曇りがなく、2000時間に達した時点でガラス面に曇りが生じた
C:保持時間が500時間に達した時点まではガラス面にほとんど曇りがなく、1000時間に達した時点でガラス面に曇りが生じた
D:保持時間が500時間に達した時点でガラス面に曇りが生じた
表1に示すように、試験剤S1及び試験剤S2のエポキシ系接着成分11中には、イオン捕捉剤(D)が含まれている。そのため、これらの試験剤は、レーザ光の照射によって硬化可能である。また、これらの試験剤は、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下で静置した場合にもガラスシャーレへの析出物の付着を抑制することができた。
一方、試験剤S3及び試験剤S4には、イオン捕捉剤(D)が含まれていない。そのため、これらの試験剤は、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下で静置した場合に、試験剤S1及び試験剤S2に比べて防曇性に劣り、早期にガラスシャーレに析出物が付着した。
本発明は上記各実施形態及び実験例の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 光硬化性接着剤
11 エポキシ系接着成分
12 光吸収性成分
11 エポキシ系接着成分
12 光吸収性成分
Claims (9)
- レーザ光の照射によって硬化可能に構成された光硬化性接着剤(1)であって、
エポキシ系接着成分(11)と、
前記レーザ光の照射によって発熱可能に構成された光吸収性成分(12)と、を含んでおり、
前記エポキシ系接着成分(11)は、
シアネートエステル樹脂(A)と、
エポキシ樹脂(B)と、
活性水素を有するアミン系潜在性硬化剤(C)と、
イオン捕捉剤(D)と、を含んでいる、光硬化性接着剤(1)。 - 前記イオン捕捉剤(D)のイオン交換容量は1.0meq/g以上である、請求項1に記載の光硬化性接着剤。
- 前記イオン捕捉剤(D)は無機微粒子である、請求項1または2に記載の光硬化性接着剤。
- 前記イオン捕捉剤(D)は、Zr原子、Sb原子、Bi原子、Y原子、Al原子、Mg原子、La原子及びNd原子からなる群より選択される1種または2種以上の金属原子を含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の光硬化性接着剤。
- 前記イオン捕捉剤(D)は、Zr原子、Al原子及びMg原子を含んでいる、請求項4に記載の光硬化性接着剤。
- 前記アミン系潜在性硬化剤(C)は、1分子中に1個以上の活性水素を有するアミン化合物とエポキシ化合物とを反応させてなる変性アミン(C-1)、及び、前記変性アミン(C-1)とフェノール樹脂との混合物(C-2)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の光硬化性接着剤。
- 前記アミン系潜在性硬化剤(C)は、前記変性アミン(C-1)とフェノール樹脂との混合物(C-2)である、請求項6に記載の光硬化性接着剤。
- 前記シアネートエステル樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される化合物(A-1)、下記一般式(2)で表される化合物(A-2)、及び、前記化合物(A-1)~(A-2)のうち1種以上の化合物の重合体(A-3)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光硬化性接着剤。
- 前記一般式(1)におけるY1、前記一般式(2)におけるY2及びY3は、下記構造式(3)~(11)で表される2価の炭化水素基のうち少なくとも1種である、請求項8に記載の光硬化性接着剤。
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